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JP2736433B2 - 徐放性害虫忌避材 - Google Patents

徐放性害虫忌避材

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JP2736433B2
JP2736433B2 JP6949189A JP6949189A JP2736433B2 JP 2736433 B2 JP2736433 B2 JP 2736433B2 JP 6949189 A JP6949189 A JP 6949189A JP 6949189 A JP6949189 A JP 6949189A JP 2736433 B2 JP2736433 B2 JP 2736433B2
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Japan
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menthane
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vinyl acetate
cis
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JP6949189A
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保夫 敷波
邦広 畑
正樹 安原
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Takiron Co Ltd
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Takiron Co Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、蚊、ナメクジ、ヤスデ、ヨトウムシ等の害
虫に対して、忌避効果を有するp−メンタン−3,8−ジ
オールのシス体とトランス体を常温で液状となる比率に
混合したものと、その基材である熱可塑性エラストマー
の親和性を調節することにより、p−メンタン−3,8−
ジオールを徐々に外部空間に蒸発させ、該害虫を長期間
忌避することを可能とした害虫忌避材に関する。
〔従来の技術〕
従来から害虫を防除する手段としては、1.スプレー式
殺虫剤や燻煙剤に代表される殺虫による防除、2.ゴキブ
リ捕獲器や電撃殺虫器に代表される捕獲による防除、3.
防虫スプレーやシート状忌避材に代表される忌避による
防除が一般的に行われている。
蚊は種々の伝染病を媒介するため、その防除対策は極
めて重要である。人間に対しては、マラリヤ、日本脳炎
等の病気を媒介し、犬に対しては、フィラリアの原因と
なる寄生虫の中間宿主として重大な被害を与えるもので
ある。この蚊の駆除手段としては、ピレスロイド系殺虫
剤や有機リン系殺虫剤のスプレー式の噴霧、ピレスロイ
ド系殺虫剤を主成分とする蚊取線香等にみられる殺虫に
よる防除、紫外線により蚊を誘引し、電気的ショックを
与えて死に至らしめる、いわゆる電撃殺虫器による捕獲
等が一般的に行われている。又、忌避剤を配合したスプ
レーを噴霧し、一定期間蚊を寄せつけなくする方法も用
いられている。
ところで、p−メンタン−3,8−ジオールが蚊、ナメ
クジ、ヤスデ、ヨトウムシ等の害虫に対して、忌避効力
があることは知られている。このp−メンタン−3,8−
ジオールは構造異性体及び光学異性体を有する物質であ
り(+)−シス−p−メンタン−3,8−ジオール、
(−)−シス−p−メンタン−3,8−ジオール、(+)
−トランス−p−メンタン−3,8−ジオール、(−)−
トランス−p−メンタン−3,8−ジオールの4種類の異
性体が存在する。これらの物質の融点は、いずれも57℃
〜60℃であり、常温では固体である。しかし、これらは
いずれも常温の固体状態であっても揮散性を有してお
り、蚊、ナメクジ、ヤスデ、ヨトウムシ等の害虫に対し
て、雰囲気による忌避効力を発揮することができる。こ
のp−メンタン−3,8−ジオールを熱可塑性エラストマ
ーに配合してシート状とする技術も提示されている。以
上の駆除手段には次のような問題点が残されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来より使用されているスプレータイプの空間噴霧剤
の場合には、空中に噴霧された微細な殺虫剤の粒子に蚊
が接触しない限りその効力を発揮しないため、蚊のいる
空間に対して過剰な量を直接噴霧する必要があり、効率
が悪く、かつ不快臭が強い等の問題もあった。
又、蚊取線香や電気式蚊取器も最近よく使用されてい
るが、これらも火や電気による発熱を利用して、微細な
殺虫剤粒子を空間に漂わせるものであり、スプレータイ
プの空間噴霧剤と同等の問題を有している。しかも、犬
小屋等で使用する場合には、蚊取線香は火を使っている
ため安全上の問題を有しており、電気蚊取器の場合には
コンセントプラグの接続等の実用上の煩雑さに問題があ
る。
さらに電撃殺虫器による捕獲では、その効果が夜間し
か期待できないという問題がある。
又、忌避剤を配合したスプレーでは、スプレー直後は
著しい効果が得られるが、その効果は短時間しか持続せ
ず、長期間の効果を期待する場合には何度も繰り返しス
プレーする必要がある。
又、本発明に使用するp−メンタン−3,8−ジオール
を忌避剤として使用する場合には、前述の通りp−メン
タン−3,8−ジオールが常温の固体状態でも揮散性を有
するため、その揮散量を制御することができず効率的で
ない。そこで特願昭63−274662号にあるように、p−メ
ンタン−3,8−ジオールを熱可塑性エラストマーに配合
し、その親和性を調節することにより、p−メンタン−
3,8−ジオールを徐放させる技術が提示された。この方
法によれば、p−メンタン−3,8−ジオールを長期にわ
たって、効力を有する範囲で少量ずつ持続的に放出させ
ることができる。しかし、p−メンタン−3,8−ジオー
ルの4種類の異性体はいずれも融点が57℃〜60℃であ
り、常温では固体である。そのためp−メンタン−3,8
−ジオールの安定した徐放システムを構築するために
は、基材物質中でp−メンタン−3,8−ジオールが連続
層を形成できるように適当な液状成分を併用する方が望
ましい等の問題があった。
〔課題を解決するための手段〕
上記問題を解決すべく鋭意研究した結果、p−メンタ
ン−3,8−ジオールのシス体とトランス体を15〜85%の
比率でそれぞれ混合した場合には、その混合物が液状と
なることを発見した。本発明は、このシス体とトランス
体を混合して液状としたp−メンタン−3,8−ジオール
と熱可塑性エラストマーの親和性を調節することによ
り、p−メンタン−3,8−ジオールの徐放システムの設
計をより容易にしたものであり、これをペレット状、シ
ート状、ネット状、ロッド状等に成形することにより、
敷いたり、吊り下げたりするだけで、蚊、ナメクジ、ヤ
スデ、ヨトウムシ等の害虫を長期間忌避することを可能
とした害虫忌避材を提供するものである。
〔作 用〕
天然物であるユーカリ精油中に含まれるp−メンタン
−3,8−ジオールが、蚊、ナメクジ、ヤスデ、ヨトウム
シ等の害虫に対して忌避効果を有していることは、すで
に知られている。中でもp−メンタン−3,8−ジオール
のトランス体は低濃度でも忌避活性を保持する。ところ
が、このp−メンタン−3,8−ジオールは揮散性物質で
あり、原体のまま使用すれば揮散量で制御できず効率的
でない。又、p−メンタン−3,8−ジオールには4種類
の異性体が存在しているが、これらの融点はいずれも57
℃〜60℃であり常温では固体である。一方、揮散性物質
の徐放システムを考える時には、その揮散性物質が固体
であるよりも液体である方が徐放システムの設計は容易
である。本発明はこのような視点からp−メンタン−3,
8−ジオールをより容易に徐放させるべく鋭意研究した
結果、p−メンタン−3,8−ジオールのシス体とトラン
ス体を一定の比率で混合した時にはその混合物が液状と
なることを発見し、このシス体とトランス体を混合して
液状としたp−メンタン−3,8−ジオールと熱可塑性エ
ラストマーの親和性を調節することによりその揮散量を
制御し、p−メンタン−3,8−ジオールを長期にわたっ
て効力を有する範囲で少量ずつ持続的に放出させること
のできる系を確立したものである。
以下に本発明を詳細に説明する。
一般に、基材物質の中に揮散性物質が均一に混合され
ている時には、その表面に存在する揮散性物質が、物質
固有の蒸気圧に従って空気中に揮散していく。その結
果、表面と中心部での揮散性物質の濃度が不均一となり
濃度勾配ができる。この濃度勾配のために、中心部に存
在する揮散性物質が徐々に表面層に移動し、そこから空
気中に揮散していく。このような流れを持続させて、揮
散性物質が連続的に空気中に揮散していくのである。と
ころが、揮散性物質が固体である場合には、揮散性物質
が基材物質中で連続層を形成することは極めて少なく、
不連続に分散していることが多い。このため、層表面と
中心部での濃度勾配を生じない。従って、常温で固体で
ある揮散性物質を安定的に徐放させるためには、適当な
液状物質を配合して、その揮散性物質が基材物質中で連
続層を形成できるようにする必要がある。これにより、
常温で固体である揮散性物質でも層表面からの揮散に伴
い、層表面と中心部で濃度勾配を生じる。この濃度勾配
のために、中心部に存在する揮散性物質が液状物質の
「道すじ」を通って表面層に移動し、連続的に空気中に
揮散していく。このように、常温で固体である物質であ
っても、その物質が昇華性を有している場合には徐放シ
ステムを構築することは可能である。しかし、今まで述
べてきたように徐放システムの安定性や徐放システム構
築の容易さを考えれば、忌避剤自身が液状である方が望
ましいことは自明の理である。
ところで、p−メンタン−3,8−ジオールは構造異性
体及び光学異性体を有する物質であり、(+)−シス−
p−メンタン−3,8−ジオール、(−)−シス−p−メ
ンタン−3,8−ジオール、(+)−トランス−p−メン
タン−3,8−ジオール、(−)−トランス−p−メンタ
ン−3,8−ジオールの4種類の異性体が存在する。これ
らの物質の融点は、いずれも57℃〜60℃であり、常温で
は固体である。従って、それぞれを単独で用いることは
前述の通り困難である。
このような点をふまえ、より安定した徐放システムを
構築するため鋭意研究した結果、p−メンタン−3,8−
ジオールのシス体とトランス体を一定比率で混合するこ
とにより、その混合物が液状となることを発見した。す
なわち、(+)−シス−p−メンタン−3,8−ジオール
と(+)−トランス−p−メンタン−3,8−ジオール、
(+)−シス−p−メンタン−3,8−ジオールと(−)
−トランス−p−メンタン−3,8−ジオール、(−)−
シス−p−メンタン−3,8−ジオールと(+)−トラン
ス−p−メンタン−3,8−ジオール、(−)−シス−p
−メンタン−3,8−ジオールと(−)−トランス−p−
メンタン−3,8−ジオールをそれぞれ一定比率で混合し
た時には、その混合物は液状となることを発見したもの
である。混合物が液状となるのは、いずれの組み合わせ
においても片方の成分を15%〜85%配合した時である。
このようにp−メンタン−3,8−ジオールのシス体とト
ランス体をある一定の比率で混合すれば常温で液状にな
ることを発見したことにより、忌避剤自身が液状である
徐放システムを構築することが可能となったものであ
る。
さて、徐放システムを構築する時に次の問題となるの
は蒸散性物質の蒸散速度の調節である。これは蒸散性物
質(p−メンタン−3,8−ジオール)が基材物質中を移
動する速度を調節することによって成しとげることがで
きる。そしてその蒸散性物質が基材物質中を移動する速
度を調節するためには、基材物質と蒸散性物質とのAffi
nity controll(親和性の調節)が必要となる。
一般に、ポリマーに対する親和性の程度を左右する因
子として、溶解度係数(Solubility parameter)が知ら
れている。すなわち、ポリマーの溶解度係数(以下SP値
と略す)と、ある物質のSP値が近似しておれば、それら
は親和性が高く、相溶性が良好である。逆に、ポリマー
とその物質のSP値が大きく離れている場合には、それら
は親和性が乏しく相溶性の悪い組み合わせである。
さて我々は、本発明の忌避成分であるp−メンタン−
3,8−ジオールと種々のポリマーの親和性を鋭意研究し
た結果、該忌避成分を長期間にわたって、効力を有する
範囲で少量ずつ持続的に放出させることのできる系を発
見するに至ったものである。さらに具体的な説明を加え
る。
1種類のホモポリマーを用いて、本発明の害虫忌避成
分であるp−メンタン−3,8−ジオールを長期間にわた
り、効力を有する範囲で持続的に放出させる、いわゆる
徐放性を達成することは困難である。なぜなら、ホモポ
リマーと該忌避成分の親和性が高い時には、相溶性が良
好であるために、該忌避成分がポリマー層中を移動する
速度が極めて遅く、表層からの該忌避成分の空気中への
揮散を適度にコントロールすることは困難であり、有効
な忌避性が得られない。一方、ホモポリマーと該忌避成
分の親和性が低い時には、相溶性が悪くなるため、該忌
避成分を少量しか配合することができず、しかも基材中
に均一に分散させることは困難である。従って、忌避成
分が基材物質中で連続層を形成することができず、忌避
成分を徐放させることは不可能である。
従って、本発明の害虫忌避成分であるp−メンタン−
3,8−ジオールの徐放性を達成するためには、1分子中
に2種類以上の該忌避成分との親和性が異なる構成分子
の部分を有するポリマーが有用である。例えば、ブロッ
ク共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体等が
特に有用である。又、ホモポリマーのブレンド体も考え
られる。つまり、害虫忌避成分と親和性の良いポリマー
と悪いポリマーのブレンド体も一つの系として考えられ
る。しかし、このようにホモポリマーをブレンドして
も、溶解特性等は各々のホモポリマーの溶解特性に支配
されるため、該忌避成分は親和性の高いホモポリマーに
優先的に溶解することになる。このため、該忌避成分が
ポリマー層中を移動する速度が極めて遅くなり、非相溶
性のポリマーとの粒界でのマクロな表面において全体の
系内の移行を調節したとしても、表層からの該忌避成分
の空気中への揮散を適度にコントロールすることは困難
であり、有効な忌避性は得られ難い。
しかるに、1分子中に2種類以上の該忌避成分との親
和性が異なる構成分子の部分を有するポリマー、例えば
ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合
体等を用いた場合には、モノマーユニットの種類や長さ
の構成比率を適度に調整することにより、該忌避成分の
揮散速度を調整することができる。このような共重合体
では、分子内でのミクロ相分離が達成されており、各々
のミクロドメインが高度に分散しているため、該忌避成
分も共重合体分子中にミクロ的に分子分散している。こ
のような共重合体では、ホモポリマーを物理的にブレン
ドしただけでは達成できないような特性を発現する。す
なわち、該忌避成分とのSP値が比較的近いモノマーユニ
ットあるいはモノマーの連続層であるセグメントとかな
り離れたSP値を有するものからなる共重合体では該忌避
成分との相溶性をうまくコントロールすることができ、
それにより該忌避成分の徐放性が達成されるものであ
る。又、この徐放性の速度はセグメントの構成比率等に
より充分調節が可能なものである。又、ここでポリマー
は担持体としての素材であり、材料となるので実に都合
が良い。
該忌避成分は常温揮散性ではあるが、温度が高くなる
程揮散量が多くなるのは言うまでもないことである。従
って、成型温度が高ければ、それだけ成型中に揮散して
しまう量が多くなり好ましくない。従って、成型温度が
できるだけ低い材料を選択することが必要となる。
以上のような条件を全て満足するポリマーを探すべく
鋭意研究した結果、一部の熱可塑性エラストマーを用い
れば、該忌避成分が長期間にわたり、少量ずつ持続的に
放出されることを見出した。すなわち、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合
体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、
ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビ
ニルアルコール共重合体、部分鹸化PVA、ポリエチレン
グリコール−ポリプロピレングリコール共重合体等が、
該忌避成分を徐放させるのに有効であることを見出し
た。中でも、エチレン−酢酸ビニル共重合体が、徐放シ
ステムの達成の容易さや成型型の良さ等を考慮すれば最
適であることを発見したものである。
p−メンタン−3,8−ジオールのSP値は13.8であり、
エチレン−酢酸ビニル共重合体の内、エチレンユニット
のSP値は8.6、酢酸ビニルユニットのSP値は11.3であ
る。つまり、p−メンタン−3,8−ジオールと酢酸ビニ
ルユニットは比較的親和性が高く、一方、p−メンタン
−3,8−ジオールとエチレンユニットは比較的親和性が
低い。このエチレンユニットと酢酸ビニルユニットの構
成比を適度に調節することにより、該忌避成分の徐放性
を有する系を確立することができたのである。つまり、
酢酸ビニルユニットの構成比率を高くすれば、全体とし
て該忌避成分との親和性がより高い系を構築することが
できるため、より長期間にわたり該忌避成分を徐放させ
ることができるようになる。一方、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体は、酢酸ビニルユニットの構成比率が高くな
ると(40重量%以上)成型性が悪くなる。従って、より
長期間の徐放を達成するためには、酢酸ビニルユニット
の構成比率が低く、成型型の優れたエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体を基材樹脂とし、酢酸ビニルユニットの構成
比率が高い(50重量%以上)酢酸ビニル−エチレン共重
合体を成型性が悪くならない程度に加えて成形すれば良
い。又、徐放システムの構築にはエチレン−酢酸ビニル
共重合体を基材樹脂とするのが最も好ましいが、場合に
よってはポリ塩化ビニル、ポリエチレン等の汎用の樹脂
を基材とし、そこに酢酸ビニル−エチレン共重合体を配
合することにより、徐放性を有する系を構築することが
可能である。
さて、本発明の忌避成分であるp−メンタン−3,8−
ジオールを、エチレン−酢酸ビニル共重合体で代表され
る熱可塑性エラストマーに配合する方法としては、忌避
成分を熱可塑性エラストマーに撹拌、加温下で滴下して
吸収させる方法や、加熱ロール上で混練する方法等を採
用することができる。又、通常のプラスチック成型機に
よりペレット状、シート状、ネット状、ロッド状等の任
意の形状に成型加工することが可能である。この場合、
忌避成分であるp−メンタン−3,8−ジオールを熱可塑
性エラストマーに対して配合できる量は通常0.1部〜30
部程度である。しかし、成型の容易さ、効力持続時間、
コスト等を考慮すれば、1部〜15部程度配合することが
望ましい。
又、本発明ではp−メンタン−3,8−ジオールと、忌
避性を有する他の植物精油を併用しても良い。このよう
な植物精油の例としてはペパーミント油、ローレル油、
パイン油、ユーカリブタス油、シトロネラ油、ペニーロ
イヤル油、セダー油、ヘンルーダ油、ヒノキ油、ラベン
ダー油、ハッカ油、メリッサ油、サルビア油、ローズマ
リー油、シナモン油、クローブ油等がある。
又、成型時には必要に応じて、着色剤や充填剤、可塑
剤等を加えても良い。
上記成型加工されたペレット状のものは、そのまま木
の根元にまいて木を害虫から保護したり、或いは、開放
部を有する容器中に充填して、玄関やトイレ、或いは部
屋の隅や犬小屋の中につりさげて用いると良い。又、シ
ート状、ネット状のものは、犬小屋の中に敷いたり、木
に巻き付けて用いれば良い。又、シート状のものは適当
なサイズに切り金具を取り付けて犬や猫に首輪として装
着すれば、蚊、ノミ、ダニ等の害虫を忌避することので
きる首輪としても使用することができる。さらに、ネッ
ト状のものは網戸と併用すれば、家屋内への害虫の侵入
をより強固に防止することができる。ロッド状のものも
木に巻き付けたり、犬小屋の入口につりさげて用いると
良い。さらに農業用資材としても広範囲に利用できる。
つまり、農園芸用の支柱やネットにこの発明を利用すれ
ば、農作物を害虫から保護することが可能となる。又、
養蚕業の分野においても、蚕座の周囲をペレットやシー
トでおおってやれば、蚕座への害虫の侵入や蚕の這い出
しを防止することができる。
以下に実施例をあげて本発明を説明する。
〔実施例−1〕 エチレン−酢酸ビニル共重合体〔東ソ−株式会社製、
商品名:ウルトラセンUE634〕100部に塩素化ポリエチレ
ン〔大阪曹達株式会社製、商品名:ダイソラックH−13
5〕40部、水酸化アルミニウム(粒径3μm)40部、水
酸化アルミニウム(粒径3μm)40部に忌避剤として
(+)−シス−p−メンタン−3,8−ジオールと(−)
−トランス−p−メンタン−3,8−ジオールの1:1混合物
を10部加え、均一に混合し、ミキシングロールにて混練
して厚み1mmのシートを作製した。このシート状の害虫
忌避材に含まれるp−メンタン−3,8−ジオールの経時
的な残存率をガスクロマトグラフにより調べた。
一方、比較例として実施例の配合と全く同じもので、
忌避剤だけを固体状の(+)−シス−p−メンタン−3,
8−ジオール10部に変えた厚み1mmのシートを作製した。
このシート状の害虫忌避材に含まれるp−メンタン−3,
8−ジオールの経時的な残存率を同様にガスクロマトグ
ラフにより調べた。これらの結果は次の通りであった。
上記結果よりわかるように、実施例の方では12ケ月間
にわたり、忌避材であるp−メンタン−3,8−ジオール
が少量ずつ持続的に放出されているのに対し、比較例の
方では、6ケ月目位までは忌避材が持続的に放出されて
いるが、それ以降は忌避材の放出はほとんど見られな
い。すなわち、実施例の方は、本発明の通りp−メンタ
ン−3,8−ジオールのシス体とトランス体を一定の比率
で混合し、液状となったp−メンタン−3,8−ジオール
を忌避剤として用いているため徐放システムの構築が容
易であることを示している。一方、比較例の方は固体状
のp−メンタン−3,8−ジオールを用いているため、6
ケ月程度経過した時点で、p−メンタン−3,8−ジオー
ルが基材物質中で連続層を維持することが困難になった
ため、その時点以降、忌避剤の放出が殆ど見られなくな
ったと考えられる。以上のように、同じ量の忌避剤を配
合しても、その忌避剤が常温で液状であることにより、
より長期にわたって徐放システムを維持することが可能
である。
〔実施例−2〕 酢酸ビニルユニットを26重量%含むエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体〔東ソ−(株)製:商品名ウルトラセンUE
634〕100部に酢酸ビニルユニットを60重量%含む酢酸ビ
ニル−エチレン共重合体〔日本合成化学工業(株)製:
商品名ソアブレンCI〕を20部、(+)−シス−p−メン
タン−3,8−ジオールと(−)−トランス−p−メンタ
ン−3,8−ジオールの1:1混合物を10部加え、均一に混合
し、ミキシングロールにて混練して厚みが1mmのシート
を作製した。このシート状の害虫忌避材に含まれるp−
メンタン−3,8−ジオールの経時的な残存率をガスクロ
マトグラフにより調べた。この結果は次の通りであっ
た。
上記結果よりわかるように、忌避材であるp−メンタ
ン−3,8−ジオールが少量ずつ持続的に放出され、徐放
システムが構築されている。
〔発明の効果〕
以上述べてきたように、本発明はp−メンタン−3,8
−ジオールのシス体とトランス体を常温で液状となる比
率に混合したものと、その基材である熱可塑性エラスト
マーの親和性を調節することにより、p−メンタン−3,
8−ジオールの揮散速度を調節し、少量の該忌避剤が長
期間にわたり、効力を有する範囲で持続的に放出される
ことを可能ならしめたものである。
又、p−メンタン−3,8−ジオールは天然物であり、
安全性の面で他の害虫忌避剤に比べて優れている。
又、本発明品を適当な形状に加工して犬や猫の首輪と
して利用したり、犬小屋に設置すれば、安全な害虫忌避
材として利用でき、愛犬がノミやダニの被害にあった
り、フィラリア等にかかるのを防止することができる。
さらに、庭の樹木等に設置すれば、それらをナメクジ、
ヨトウムシ等から守ることができる。さらに、農園芸用
のネットや支柱にこの発明を利用すれば、農作物を害虫
から保護することができる。又、養蚕業の分野において
も、蚕座の周囲をペレットやシートでおおってやれば、
蚕座への害虫の侵入や蚕の這い出しを防止することがで
きる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】p−メンタン−3,8−ジオールのシス体と
    トランス体を15〜85%の比率でそれぞれ混合し、これを
    熱可塑性エラストマーに配合したことを特徴とする徐放
    性害虫忌避材。
  2. 【請求項2】熱可塑性エラストマーがエチレン−酢酸ビ
    ニル共重合体である請求項1記載の徐放性害虫忌避材。
JP6949189A 1988-10-31 1989-03-22 徐放性害虫忌避材 Expired - Lifetime JP2736433B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
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