JP2709669B2 - 液体媒体と気体媒体との混合物の物質移動方法及び装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、液体媒体を強制搬送に
よって発生した気体媒体流に噴霧させることによって形
成した液体媒体と気体媒体との混合物を物質移動させる
方法、およびこの方法を実施するための装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】たとえば空気加湿または煙道ガス浄化の
ために、噴霧ノズルによって断面が比較的大きい流路に
液体を送入し、できるだけ多くの割合の液体をガス流の
中で気化させることが知られている。この場合、気化し
ない液滴をガス流から分離し、集水槽に還流させるため
に、流路の終端部にそらせ板が設けられている。

【０００３】英国特許公告公報第３６４，２３９号に、
同時に気体の加湿または除湿に使用できるガス洗浄装置
が記載されている。この装置は噴霧室を有し、そこにお
いて洗浄されるべき液体がガス流に送入される。噴霧室
の後段には、多数の小さい穴があいたプレートが配置さ
れたスクラバーが接続されている。ガスを穴に通すこと
によって、強い旋回とガスの完全な洗浄が実現される。

【０００４】欧州特許公告公報第０３５２９０２号に
は、液体流と境界層、たとえば膜との間の質量交換およ
び熱交換のための装置が記載されている。この装置は、
液体の流路と、液体を脈動的に供給するためのポンプと
を有している。より良好な交換を達成するために、液体
を旋回させるための流路が流路内に配置されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、より効率的
な物質の混合および該混合された物質の移動を可能にす
る上記の種類の方法、および高性能でありながらよりコ
ンパクトで、気化しない循環水の割合が著しく少ない、
この方法を実施するための装置を提供することを目的と
している。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を解決するため
の、本発明の請求項１に係る手段は、液体媒体を強制搬
送によって発生した気体媒体流に噴霧させることによっ
て液体媒体と気体媒体とを混合し、該混合物を物質移動
する方法において、気体媒体が、その流れ方向に向かっ
て間隔をあけて連続する流路の流れ規制手段を通過し、
少なくとも１つの前記規制手段を通過した気体媒体の流
れの中で、液体媒体が前記気体媒体の流れと同一方向に
１つの高圧ノズルによって噴霧され、 流路の連続する２
つの前記規制手段が空洞を形成し、該複数の規制手段と
少な くとも１つの空洞とによって、気体媒体の速度およ
び圧力を変化させ、流動抵抗を最小化しつつ前記移動を
行う各ステップを含むことを特徴とする。

【０００７】また、この方法を実施するための本発明の
請求項３に係る装置は、気体の流れを形成し気体媒体を
作り出す手段（３）と、 該気体媒体の流れを案内する少
なくとも１つの流路（１）とを有し、 該気体媒体の流れ
の中で、その流れと液体媒体の流れとが同一方向となる
ように、少なくとも１つの高圧ノズル（８，９）が前記
流路内に導かれ、前記流路の少なくとも一部分（５）に
複数の流れ規制手段（１４〜２７）が設けられ、該複数
の流れ規制手段は、流路（６，７）を横切るように流路
に沿って整列され、かつ、流体の流動方向に等間隔で配
置され、該複数の流れ規制手段は、局部的に流動断面積
を絞り、かつ、各流れ規制手段の間に空洞を形成し、少
なくとも１つの高圧ノズル（８，９）の出口部分は、前
記複数の流れ規制手段が設けられた前記流路の一部分に
配置され、また、該流路の一部分には、流れ方向に関し
て前記高圧ノズルの出口部分よりも手前から前記流れ規
制手段が設けられており、 少なくとも１つの高圧ノズル
は、少なくとも１つの前記流れ規制手段を通過した気体
媒体の中に、前記液体媒体を導き入れ、 前記複数の流れ
規制手段と少なくとも１つの空洞とによって、気体媒体
の速度および圧力を変化させ、流動抵抗を最小化しつつ
前記移動を行うことを特徴とする。

【０００８】他の従属請求項は、この方法および装置の
有利な実施例に関するものである。

【０００９】

【作用】上記構成によれば、多数の流れ規制手段が流路
に沿って複数整列され、該流れ規制手段によって流路の
流動断面積を絞り、かつ各流れ規制手段の間に空洞を形
成している。よって、気体媒体は流れ規制手段および空
洞を通過する際に、その速度および圧力を脈動的に変化
させる。また、液体媒体を噴霧する高圧ノズルは、少な
くとも１つの流れ規制手段を通過した位置に導き入れら
れており、この位 置で気体媒体の流動方向と同一方向に
液体媒体を噴霧する。流れ規制手段を通過した気体媒体
には、速度および圧力の脈動が生じていることから、液
体媒体は気体媒体と高い効率で混合される。また、液体
媒体の噴霧方向が、気体媒体の流動方向と同一であるこ
とから、液体媒体が気体媒体に流動抵抗を発生させるこ
とがない。そして、気体媒体と液体媒体との混合物質
は、さらに流路に沿って整列された複数の流れ規制手段
および空洞を通過し、その際にできるだけ多くの割合の
液体媒体が気体媒体の中で気化し、かつ、流動抵抗を極
端に増加させることなく移動する。このように、本発明
によって生じる特別の流動形態は、物質交換を顕著に改
善されるが、その際に流動抵抗が極端に増すことはな
い。

【００１０】また、前記流れ規制手段によって気体媒体
に脈動を発生させ、該脈動雰囲気内に液体媒体を噴霧す
ることにより、流路壁の近傍において液体媒体が気体媒
体から分離することを概ね防止することができる。

【００１１】

【実施例】以下に、本発明の実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。

【００１２】装置の流路１において、流入口２の後方に
軸流送風機３が配置されている。軸流送風機３には案内
区間４が接続しており、気体媒体は均一な流動で装置の
領域５に到達し、ここで二つの媒体が一緒になる。この
領域において装置は図１および図２の実施例に従い、互
いに平行な複数個の部分流路６、７（図２）に分割され
ている。

【００１３】部分流路６、７にはそれぞれ１つの高圧ノ
ズル８、９が配置されている。高圧ノズル８、９は、液
体媒体を非常に小さい液滴にしてガス流中に分散させ
る。液体媒体の供給は、流路１に配置された配管格子１
０を介して行われる。配管格子１０から流路２の軸と平
行に、それぞれ１つのノズルパイプ１１、１２が各部分
流路６、７の中央部に通っている。その終端部にそれぞ
れ高圧ノズル８、９が付いている。

【００１４】適当な高圧ノズル、ＪＡＴＯ分子噴霧器
は、たとえばＪＡＴＯデューゼンバウ会社（ＣＨ−６０
１５ロイスビュール）から販売されている。装置の始動
段階にとくに多く見られるが、ガス流によって捕捉され
なかった液体媒体は、流路の最下部から管４１を介して
排出される。

【００１５】液体媒体が噴霧状態で流路に送入されるガ
ス流中で脈動的に速度変化を発生させるために、領域５
または上記の部分流路６、７に多数の流れ規制手段であ
るそらせ板１４、１５が取り付けられている。これらの
そらせ板が流動方向に直列に配置されていることによっ
て、流動経路は周期的に著しく脈流する。それによって
生じる本流動形態は、物質の混合および移動を顕著に改
善するが、その際に流動抵抗が極端に増すことはない。

【００１６】流路または流路部分の断面形状は、図４〜
図６および図９に示すように、さまざまに形成すること
ができる。この場合に、そらせ板１６、１７、１８、１
９が断面の円周方向において均一に流路に突き出してい
るか、半径方向に一定の幅をもっており、流路の輪郭に
従っていることが好都合である。

【００１７】図５および図６の断面形状は、下部断面領
域における流速が大きくなるため、そこに向かって下降
する液滴はふたたびガス流によって運ばれる。さらに、
流路壁に付着した液体の排出も改善される。しかしなが
ら、本発明によるそらせ板によって、液体が流路壁にお
いてガス流から分離するのが概ね防止される。流路の下
部に集まる液体を排出するために流路はやや傾いてお
り、リング状そらせ板は下部に小さい穴１３があいてい
る。

【００１８】流動抵抗を小さくするために、図７および
図８の実施例に従い、そらせ板２０〜２７を有する領域
５′、５″の始端部に、弓状に湾曲した流動案内体３
０、３１、３２が配置されている。これらの流動案内体
は、そらせ板２０〜２７が突き出していない流路の自由
な断面領域に、ガス流を噴流状に案内する。

【００１９】図示の例では、そらせ板は流路の断面形状
に適合した、好ましくはリング状または円板状の薄板か
らなる。これらの薄板は、より強力な旋回を得るため
に、そらせ板２１、２２、２５（図７，図８）のよう
に、流動方向に向かって縁が湾曲したり、円錐状に曲が
ったりしている。図３に、縁を折り返し、波形２９を有
するそらせ板の他の形状を示す。そらせ板の十分な効果
を達成するために、これらのそらせ板は流路の流動断面
に大きく、たとえば流路半径の３分の１ほど突き出し、
軸方向における相互の間隔はほぼ半径方向の寸法に等し
い。

【００２０】図９に示す装置の実施例では、波形に湾曲
した薄板が小さい間隔で互いに平行に配置されている。
これらの薄板は、複数個の流路３４〜３８およびそれら
の間の排水ギャップ３９を形成している。これらの排水
ギャップはその下にある流路に続いている。

【００２１】

【発明の効果】本発明により、物質の混合および移動は
驚くほど改善されるため、気体媒体を液体媒体で飽和さ
せるには、比較的小さい装置で足りる。さらに、流路に
はそらせ板があるにもかかわらず、流動抵抗は予想より
はるかに少ない。これは、そらせ板間の空間に軸方向に
向いた主流を案内する空気旋回が生じるために、流動抵
抗は旋回発生のエネルギーを要するにもかかわらず比較
的小さい。物質の混合および移動を行う能力の強化は、
周期的な圧力交替と速度変化（共振）と、そらせ板、ま
たはそらせ板によって形成される中空部の配置を特徴と
する特別の流動力学的関係によって説明される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による装置の模式的な縦断面図である。

【図２】図１の装置のそらせ板領域の縦断面図である。

【図３】図２に示すそらせ板において、点線で囲んだ部
分の拡大図である。

【図４】本発明による装置の流路の断面形状を示す一構
成図である。

【図５】本発明による装置の流路の断面形状を示す一構
成図である。

【図６】本発明による装置の流路の断面形状を示す一構
成図である。

【図７】迂回式そらせ板を有する流路の模式図である。

【図８】貫流式そらせ板と迂回式そらせ板を有する流路
の模式図である。

【図９】蜂の巣状に配置された互いに平行な流路の部分
の斜視図である。

【符号の説明】

１ 流路 ５，５′，５″ 流路部分 ８，９ 高圧ノズル １４〜２７ そらせ板 ３０〜３２ 流動案内体

Claims (9)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液体媒体と気体媒体との混合物の物質移
   動方法であって、 気体媒体が、その流れ方向に向かって間隔をあけて連続
   する流路の流れ規制手段を通過し、 少なくとも１つの前記規制手段を通過した気体媒体の流
   れの中で、液体媒体が記気体媒体の流れと同一方向に１
   つの高圧ノズルによって噴霧され、 流路の連続する２つの前記規制手段が空洞を形成し、該
   複数の規制手段と少なくとも１つの空洞とによって、気
   体媒体の速度および圧力を変化させ、流動抵抗を最小化
   しつつ前記移動を行う各ステップを含むことを特徴とす
   る 方法。
2. 【請求項２】 前記液体媒体が、高圧ノズルにより５ｂ
   ａｒ〜６００ｂａｒの圧力で噴霧されることを特徴とす
   る請求項１の方法。
3. 【請求項３】 液体媒体と気体媒体との混合物の物質移
   動装置であって、 気体の流れを形成し気体媒体を作り出す手段と、 該気体媒体の流れを案内する少なくとも１つの流路とを
   有し、 該気体媒体の流れの中で、その流れと液体媒体の流れと
   が同一方向となるように、少なくとも１つの高圧ノズル
   が前記流路内に導かれ、前記流路の少なくとも一部分に
   複数の流れ規制手段が設けられ、該複数の流れ規制手段
   は、流路を横切るように流路に沿って整列され、かつ、
   流体の流動方向に等間隔で配置され、該複数の流れ規制
   手段は、局部的に流動断面積を絞り、かつ、各流れ規制
   手段の間に空洞を形成し、少なくとも１つの高圧ノズル
   の出口部分は、前記複数の流れ規制手段が設けられた前
   記流路の一部分に配置され、また、該流路の一部分に
   は、流れ方向に関して前記高圧ノズルの出口部分よりも
   手前から前記流れ規制手段が設けられており、 少なくとも１つの高圧ノズルは、少なくとも１つの前記
   流れ規制手段を通過した気体媒体の中に、前記液体媒体
   を導き入れ、 前記複数の流れ規制手段と少なくとも１つの空洞とによ
   って、気体媒体の速度および圧力を変化させ、流動抵抗
   を最小化しつつ前記移動を行うことを特徴とす る 装置。
4. 【請求項４】 前記複数の流れ規制手段は、前記流れが
   該流れ規制手段を通過しうるように、流路を横切るオリ
   フィス状の壁で形成されていることを特徴とする請求項
   ３の装置。
5. 【請求項５】 前記複数の流れ規制手段は、前記流れが
   該流れ規制手段に沿って向きを変えうるように、前記流
   路の横断面方向中央部に位置し、等間隔に固定され、前
   記流路の壁面から離間させてなることを特徴とする請求
   項３の装置。
6. 【請求項６】 前記複数の流れ規制手段は、前記流れの
   通過と該流れ規制手段に沿った流れ方向の変更とを可能
   とし、前記流路内に設けられていることを特徴とする請
   求項３の装置。
7. 【請求項７】 前記複数の流れ規制手段は、前記流路の
   軸方向に対し垂直に設けられた、平面もしくは湾曲面を
   有する薄い壁からなることを特徴とする請求項３ないし
   ６のいずれか１項の装置。
8. 【請求項８】 全断面が蜂の巣状になった複数個の流路
   が互いに平行に配置され、隣接する流路が共通の壁を有
   することを特徴とする請求項３ないし７のいずれか１項
   の装置。
9. 【請求項９】 前記流路および流れ規制手段の断面形状
   は、下部断面領域における流速が大きくなるよう形成さ
   れていることを特徴とする請求項３ないし８のいずれか
   １項の装置。