JP2556080B2 - メタノール分解触媒 - Google Patents
メタノール分解触媒Info
- Publication number
- JP2556080B2 JP2556080B2 JP63003866A JP386688A JP2556080B2 JP 2556080 B2 JP2556080 B2 JP 2556080B2 JP 63003866 A JP63003866 A JP 63003866A JP 386688 A JP386688 A JP 386688A JP 2556080 B2 JP2556080 B2 JP 2556080B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nickel
- catalyst
- copper
- methanol
- reaction
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)
- Catalysts (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はメタノールを接触分解して水素と一酸化炭素
含有ガスを製造するためのメタノール分解用触媒に関す
る。
含有ガスを製造するためのメタノール分解用触媒に関す
る。
メタノールは、天然ガス、石炭などから大規模に製造
され、且つ輸送が容易であることから、石油に替る将来
のエネルギー源または化学工業用原料として注目を集め
ている。メタノールを分解して得られる水素と一酸化炭
素の混合ガスは、そのままで自動車等の内燃機関の燃
料、各種有機合成化学工業の原料ガスとして用いられ
る。またこの混合ガスから水素と一酸化炭素を分離し
て、水素は燃料電池用燃料または各種有機化合物の水素
添加用水素源等に、一酸化炭素は各種有機化合物のカル
ボニル化用等に用いられる。
され、且つ輸送が容易であることから、石油に替る将来
のエネルギー源または化学工業用原料として注目を集め
ている。メタノールを分解して得られる水素と一酸化炭
素の混合ガスは、そのままで自動車等の内燃機関の燃
料、各種有機合成化学工業の原料ガスとして用いられ
る。またこの混合ガスから水素と一酸化炭素を分離し
て、水素は燃料電池用燃料または各種有機化合物の水素
添加用水素源等に、一酸化炭素は各種有機化合物のカル
ボニル化用等に用いられる。
[従来の技術] メタノール接触分解用触媒として遷移金属元素を含有
した触媒が有効であることは良く知られている。例えば
Industrial and Engineering Chemistyr 40 583〜586頁
(1948)には担体に担持した銅・ニッケル触媒が、また
日化誌64 423〜430頁(1942)には酸化亜鉛触媒がメタ
ノールの分類に有効であることが記載されている。更に
日化誌92 659〜669頁(1971)にはニッケルがメタノー
ル分解能を有することが、また特開昭57−68140号には
貴金属によるメタノール分解が記載されている。
した触媒が有効であることは良く知られている。例えば
Industrial and Engineering Chemistyr 40 583〜586頁
(1948)には担体に担持した銅・ニッケル触媒が、また
日化誌64 423〜430頁(1942)には酸化亜鉛触媒がメタ
ノールの分類に有効であることが記載されている。更に
日化誌92 659〜669頁(1971)にはニッケルがメタノー
ル分解能を有することが、また特開昭57−68140号には
貴金属によるメタノール分解が記載されている。
これらのメタノール分解触媒は、概ね銅系、ニッケル
系、貴金属系3種類に大別でき、銅系触媒においてはギ
酸メチルが、ニッケル系触媒においてはメタンが副生し
易く、また貴金属触媒においては触媒が高価であること
が問題である。これらを改善するために種々の試みが為
されており、例えば銅およびニッケル成分をアルミナな
いしシリカ等に担持させた触媒がある。また特開昭62−
176545号には銅・ニッケル・シリカの共沈澱触媒が記載
されている。特開昭62−49945号には銅・ニッケルおよ
びアルミニウムの水溶性塩の混合溶液に水酸化アルカリ
を加えて共沈澱させた触媒、ないしこれにアルミニウム
のリン酸塩を混合した触媒が記載されている。
系、貴金属系3種類に大別でき、銅系触媒においてはギ
酸メチルが、ニッケル系触媒においてはメタンが副生し
易く、また貴金属触媒においては触媒が高価であること
が問題である。これらを改善するために種々の試みが為
されており、例えば銅およびニッケル成分をアルミナな
いしシリカ等に担持させた触媒がある。また特開昭62−
176545号には銅・ニッケル・シリカの共沈澱触媒が記載
されている。特開昭62−49945号には銅・ニッケルおよ
びアルミニウムの水溶性塩の混合溶液に水酸化アルカリ
を加えて共沈澱させた触媒、ないしこれにアルミニウム
のリン酸塩を混合した触媒が記載されている。
工業的に使用される触媒は、安価であり、低温での触
媒活性が高く、活性の低下が小さく、水素及び一酸化炭
素への選択率が高く、触媒の強度が十分であることが要
求されるが、従来発表されている触媒はこれらの点で未
だ不十分である。
媒活性が高く、活性の低下が小さく、水素及び一酸化炭
素への選択率が高く、触媒の強度が十分であることが要
求されるが、従来発表されている触媒はこれらの点で未
だ不十分である。
銅・ニッケル2成分から成る触媒は水素及び一酸化炭
素への選択性は高いが活性が低く、また強度も不十分で
あるため工業的にはそのまま使用することはできない。
アルミナにこれらの成分を担持した触媒は、強度が十分
であるが、アルミナの酸性によりジメチルエーテルが生
成し易く、水素および一酸化炭素への選択性が悪い。ア
ルミナ等の酸性担体の代わりにシリカ等を用いた触媒
は、触媒性能が概して低く実用に供し得ない。
素への選択性は高いが活性が低く、また強度も不十分で
あるため工業的にはそのまま使用することはできない。
アルミナにこれらの成分を担持した触媒は、強度が十分
であるが、アルミナの酸性によりジメチルエーテルが生
成し易く、水素および一酸化炭素への選択性が悪い。ア
ルミナ等の酸性担体の代わりにシリカ等を用いた触媒
は、触媒性能が概して低く実用に供し得ない。
銅・ニッケル・シリカの共沈澱触媒は、特開昭62−17
6545号の実施例より分かるように低温での活性が低い。
またこの触媒は、メタンの副生が多く、水素および一般
化炭素への選択率が十分で無い。
6545号の実施例より分かるように低温での活性が低い。
またこの触媒は、メタンの副生が多く、水素および一般
化炭素への選択率が十分で無い。
発明者らが特開昭62−49945号による銅・ニッケル・
アルミニウム共沈殿触媒を調製して検討した結果、この
触媒は常圧では優れた活性・選択性を示すが、触媒を加
圧下で用いた場合にメタノール転化率、水素及び一酸化
炭素選択率共に大きく低下することが分かった。また銅
・ニッケル・アルミニウム共沈殿に更にアルミニウムの
リン酸塩を添加した触媒では、アルミニウムのリン酸塩
の添加により触媒活性は低下し、また加圧下においてメ
タノール転化率、水素及び一酸化炭素選択率共に大きく
低下することになり変りなかった。工業プロセスにおい
ては、生成ガスの精製、または生成ガスからの水素ある
いは一酸化炭素の分離・精製,及びそれに引き続く各ガ
スの合成化学への利用等を考慮すれば、メタノール分解
反応を加圧下で行うことが好ましく、加圧下でも活性、
選択性に優れた触媒が要求される。
アルミニウム共沈殿触媒を調製して検討した結果、この
触媒は常圧では優れた活性・選択性を示すが、触媒を加
圧下で用いた場合にメタノール転化率、水素及び一酸化
炭素選択率共に大きく低下することが分かった。また銅
・ニッケル・アルミニウム共沈殿に更にアルミニウムの
リン酸塩を添加した触媒では、アルミニウムのリン酸塩
の添加により触媒活性は低下し、また加圧下においてメ
タノール転化率、水素及び一酸化炭素選択率共に大きく
低下することになり変りなかった。工業プロセスにおい
ては、生成ガスの精製、または生成ガスからの水素ある
いは一酸化炭素の分離・精製,及びそれに引き続く各ガ
スの合成化学への利用等を考慮すれば、メタノール分解
反応を加圧下で行うことが好ましく、加圧下でも活性、
選択性に優れた触媒が要求される。
[問題点を解決するための手段] 発明者等は銅・ニッケル系触媒の改良を鋭意検討した
結果、銅塩の水溶液と塩基性沈殿剤とを混合して得られ
る沈殿と、ニッケル塩の水溶液と塩基性沈殿剤とを混合
して得られる沈殿との混合物、または銅、ニッケルの塩
の混合水溶液と塩基性沈殿剤とを混合して得られる共沈
殿に、アルミニウムのリン酸塩を添加することにより、
活性、選択性、強度に優れたメタノール分解用触媒が得
られ、且つ加圧下においても高性能を有することを見出
し、本発明に至った。
結果、銅塩の水溶液と塩基性沈殿剤とを混合して得られ
る沈殿と、ニッケル塩の水溶液と塩基性沈殿剤とを混合
して得られる沈殿との混合物、または銅、ニッケルの塩
の混合水溶液と塩基性沈殿剤とを混合して得られる共沈
殿に、アルミニウムのリン酸塩を添加することにより、
活性、選択性、強度に優れたメタノール分解用触媒が得
られ、且つ加圧下においても高性能を有することを見出
し、本発明に至った。
即ち、本発明は、水溶性の銅塩及び水溶性のニッケル
塩の水溶液と塩基性沈殿剤とを混合することにより、水
に不溶性の銅の化合物と水に不溶性のニッケルの化合物
を沈殿として別々にまたは同時に析出させ、その沈殿の
混合物または共沈殿にアルミニウムのリン酸塩を加えて
成るメタノール分解触媒である。
塩の水溶液と塩基性沈殿剤とを混合することにより、水
に不溶性の銅の化合物と水に不溶性のニッケルの化合物
を沈殿として別々にまたは同時に析出させ、その沈殿の
混合物または共沈殿にアルミニウムのリン酸塩を加えて
成るメタノール分解触媒である。
本発明に於て用いられる銅、ニッケルの塩としては、
水溶性の塩が用いられ、例えば硝酸塩、塩酸塩、硫酸
塩、酢酸塩等が挙げられる。また沈殿生成に用いられる
塩基性沈殿剤には従来知られている沈殿剤、例えばアル
カリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニアの水酸化
物、炭酸塩、重炭酸塩等がある。沈殿剤として炭酸塩、
重炭酸塩を使用した場合は、水酸化物を用いた場合より
も水素及び一酸化炭素選択率に優れたものが得られ、逆
に沈殿剤として水酸化物を使用した場合は、炭酸塩、重
炭酸塩を用いた場合よりも活性の優れたものが得られ
る。これは沈殿剤として炭酸塩、重炭酸塩を使用した場
合は沈殿成分中に炭酸塩、重炭酸塩が含まれるのに対
し、水酸化物を使用した場合はこれらの塩が含まれない
ことによると見られる。銅・ニッケル系触媒は、沈殿剤
として炭酸塩、重炭酸塩を使用した場合、生成する沈殿
は特に脆い性質を有しているが、アルミニウムのリン塩
酸を加えた本発明は、これらに対しても好適に適用でき
る。
水溶性の塩が用いられ、例えば硝酸塩、塩酸塩、硫酸
塩、酢酸塩等が挙げられる。また沈殿生成に用いられる
塩基性沈殿剤には従来知られている沈殿剤、例えばアル
カリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニアの水酸化
物、炭酸塩、重炭酸塩等がある。沈殿剤として炭酸塩、
重炭酸塩を使用した場合は、水酸化物を用いた場合より
も水素及び一酸化炭素選択率に優れたものが得られ、逆
に沈殿剤として水酸化物を使用した場合は、炭酸塩、重
炭酸塩を用いた場合よりも活性の優れたものが得られ
る。これは沈殿剤として炭酸塩、重炭酸塩を使用した場
合は沈殿成分中に炭酸塩、重炭酸塩が含まれるのに対
し、水酸化物を使用した場合はこれらの塩が含まれない
ことによると見られる。銅・ニッケル系触媒は、沈殿剤
として炭酸塩、重炭酸塩を使用した場合、生成する沈殿
は特に脆い性質を有しているが、アルミニウムのリン塩
酸を加えた本発明は、これらに対しても好適に適用でき
る。
本発明に於ける銅とニッケルの比は、銅1原子に対し
てニッケル0.01〜2原子、好ましくは0.05〜1.5原子で
ある。ニッケル量を2原子よりも大きくするとメタンが
生成し易くなり、逆に0.01原子よりも小さくするとギ酸
メチル、ジメチルエーテルが生成し易くなるので、いず
れも目的反応の選択性が低下することになる。銅、ニッ
ケルの沈殿生成時の沈殿剤の量は沈殿生成に必要な等量
よりも僅か過剰に用いる。銅、ニッケルの沈殿を得る方
法としては、銅の沈殿とニッケルの沈殿を別々に製造し
て混合する方法、および銅、ニッケルの沈殿を同時に共
沈殿として製造する方法がある。本発明は何れの方法に
対しても適用できるが、両者を共沈殿として製造する方
が効果的である。
てニッケル0.01〜2原子、好ましくは0.05〜1.5原子で
ある。ニッケル量を2原子よりも大きくするとメタンが
生成し易くなり、逆に0.01原子よりも小さくするとギ酸
メチル、ジメチルエーテルが生成し易くなるので、いず
れも目的反応の選択性が低下することになる。銅、ニッ
ケルの沈殿生成時の沈殿剤の量は沈殿生成に必要な等量
よりも僅か過剰に用いる。銅、ニッケルの沈殿を得る方
法としては、銅の沈殿とニッケルの沈殿を別々に製造し
て混合する方法、および銅、ニッケルの沈殿を同時に共
沈殿として製造する方法がある。本発明は何れの方法に
対しても適用できるが、両者を共沈殿として製造する方
が効果的である。
この沈殿に添加するアルミニウムのリン酸塩の量は銅
及びニッケル1原子に対しアルミニウム0.01〜1原子、
好ましくは0.05〜0.5原子である。アルミニウムのリン
酸塩の量を0.01原子よりも小さくすると触媒活性が不十
分となり、また強度的にも良いものが得られない。逆に
1原子よりも大きくするとジメチルエーテル、メタン等
の副生成物が生成し易くなり、目的反応の選択性が低下
する。アルミニウムのリン酸塩の添加は、アルミニウム
のリン酸塩と沈殿とが均一に混合される方法であれば良
く、擂潰、混練、攪拌等の方法を使うことができる。銅
の沈殿とニッケルの沈殿を別々に調製する場合は、両沈
殿の混合物にアルミニウムのリン酸塩を添加しても良
く、また両沈殿とアルミニウムのリン酸塩を同時に混合
しても良い。アルミニウムのリン酸塩には、結晶構造の
異なるもの、結晶水を含むもの、含まないもの、リン酸
一水素塩、リン酸二水素塩等があるが、使用するリン酸
塩の種類には特に制限はない。
及びニッケル1原子に対しアルミニウム0.01〜1原子、
好ましくは0.05〜0.5原子である。アルミニウムのリン
酸塩の量を0.01原子よりも小さくすると触媒活性が不十
分となり、また強度的にも良いものが得られない。逆に
1原子よりも大きくするとジメチルエーテル、メタン等
の副生成物が生成し易くなり、目的反応の選択性が低下
する。アルミニウムのリン酸塩の添加は、アルミニウム
のリン酸塩と沈殿とが均一に混合される方法であれば良
く、擂潰、混練、攪拌等の方法を使うことができる。銅
の沈殿とニッケルの沈殿を別々に調製する場合は、両沈
殿の混合物にアルミニウムのリン酸塩を添加しても良
く、また両沈殿とアルミニウムのリン酸塩を同時に混合
しても良い。アルミニウムのリン酸塩には、結晶構造の
異なるもの、結晶水を含むもの、含まないもの、リン酸
一水素塩、リン酸二水素塩等があるが、使用するリン酸
塩の種類には特に制限はない。
このようにして調製された沈殿とアルミニウムのリン
酸塩との混合物は、室温より高い温度、好ましくは80〜
130℃で乾燥し、200〜800℃で焼成した後、使用目的に
適した形に成型し反応に用いる。沈殿剤として水酸化物
を用いた場合は、焼成工程を省いても良い。成型する
際、メタノール分解反応を阻害しない範囲で、ケイソウ
土、シリカ、グラファイト等のフィラー混合することは
何ら支障とはならい。これらフィラーは、沈殿生成時、
および/または沈殿とアルミニウムのリン酸塩との混合
物に加えても良い。また成型方法にも特に制限はない。
酸塩との混合物は、室温より高い温度、好ましくは80〜
130℃で乾燥し、200〜800℃で焼成した後、使用目的に
適した形に成型し反応に用いる。沈殿剤として水酸化物
を用いた場合は、焼成工程を省いても良い。成型する
際、メタノール分解反応を阻害しない範囲で、ケイソウ
土、シリカ、グラファイト等のフィラー混合することは
何ら支障とはならい。これらフィラーは、沈殿生成時、
および/または沈殿とアルミニウムのリン酸塩との混合
物に加えても良い。また成型方法にも特に制限はない。
反応に用いる際、成型された触媒を予め水素等の還元
性ガスにより還元して用いても良いが、メタノール自身
により、またはメタノールが分解して生成する水素、一
酸化炭素等により触媒が還元されるため、未還元の状態
で反応を開始しても支障はない。
性ガスにより還元して用いても良いが、メタノール自身
により、またはメタノールが分解して生成する水素、一
酸化炭素等により触媒が還元されるため、未還元の状態
で反応を開始しても支障はない。
本発明による触媒を用いてメタノール分解反応を行う
際の原料メタノールとしては、通常工業的規模で用いら
れているメタノールをそのまま用いることができるが、
エタノール等の不純物を生成ガスの純度が落ちない程度
に含んでいても良く、また水についても生成ガスの純度
が落ちない程度に含んでいても良い。本発明の触媒を使
用する時の反応圧力は50kg/cm2以下、好ましくは30kg/c
m2以下とする。反応温度は200〜400℃、好ましくは250
〜350℃とする。メタノール供給GHSVは50〜40000Hr-1、
好ましくは200〜10000Hr-1とする。反応生成ガスの用途
によっては精製装置が付加されることがあるが、その場
合これら反応条件は当該精製装置の運転条件を含めたプ
ロセス全体の効率を勘案して求められる。その場合は反
応生成ガス純度の低下が許容できる範囲で上記反応条件
を広げることは可能である。
際の原料メタノールとしては、通常工業的規模で用いら
れているメタノールをそのまま用いることができるが、
エタノール等の不純物を生成ガスの純度が落ちない程度
に含んでいても良く、また水についても生成ガスの純度
が落ちない程度に含んでいても良い。本発明の触媒を使
用する時の反応圧力は50kg/cm2以下、好ましくは30kg/c
m2以下とする。反応温度は200〜400℃、好ましくは250
〜350℃とする。メタノール供給GHSVは50〜40000Hr-1、
好ましくは200〜10000Hr-1とする。反応生成ガスの用途
によっては精製装置が付加されることがあるが、その場
合これら反応条件は当該精製装置の運転条件を含めたプ
ロセス全体の効率を勘案して求められる。その場合は反
応生成ガス純度の低下が許容できる範囲で上記反応条件
を広げることは可能である。
公開昭62−49945号では、銅・ニッケル・アルミニウ
ム共沈殿にアルミニウムのリン酸塩を添加する方法を示
している。一方本発明は、銅・ニッケルの沈殿に別途ア
ルミニウムのリン酸塩を添加するものであり、沈殿成分
にはアルミニウム成分が含まれていないのが特徴であ
る。
ム共沈殿にアルミニウムのリン酸塩を添加する方法を示
している。一方本発明は、銅・ニッケルの沈殿に別途ア
ルミニウムのリン酸塩を添加するものであり、沈殿成分
にはアルミニウム成分が含まれていないのが特徴であ
る。
発明者等は、(1)銅・ニッケル・アルミニウム共沈
殿の場合はアルミニウムのリン酸塩を添加することによ
り活性が低下したのに対し、銅とニッケルの沈殿にアル
ミニウムのリン酸塩を添加した場合は逆に活性が著しく
増大すること、(2)銅・ニッケル・アルミニウム共沈
殿、あるいはこの共沈殿にアルミニウムのリン酸塩を添
加した触媒は、加圧下ではジメチルエーテルの副生が多
く、水素及び一酸化炭素への選択率が大きく低下するの
に対し、銅・ニッケルの沈殿にアルミニウム成分をリン
酸塩として添加した触媒は、加圧下においても非常に高
い水素及び一酸化炭素への選択率が得られることを見出
したものである。
殿の場合はアルミニウムのリン酸塩を添加することによ
り活性が低下したのに対し、銅とニッケルの沈殿にアル
ミニウムのリン酸塩を添加した場合は逆に活性が著しく
増大すること、(2)銅・ニッケル・アルミニウム共沈
殿、あるいはこの共沈殿にアルミニウムのリン酸塩を添
加した触媒は、加圧下ではジメチルエーテルの副生が多
く、水素及び一酸化炭素への選択率が大きく低下するの
に対し、銅・ニッケルの沈殿にアルミニウム成分をリン
酸塩として添加した触媒は、加圧下においても非常に高
い水素及び一酸化炭素への選択率が得られることを見出
したものである。
銅・ニッケル・アルミニウム共沈殿の場合、沈殿剤の
種類、沈殿生成時の温度、蒸気圧等の条件により、アル
ミニウムは、酸化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等、
あるいはそれらの混合物として沈殿中に含まれ、乾燥、
焼成、還元等の工程を経て実際に反応に供せられている
状態では、その一部は酸化物すなわちアルミナとなるこ
とが避けられない。アルミナ表面には酸点があり、この
アルミナの酸点に基ずきジメチルエーテル生成等の副反
応が起こり易くなり、特に加圧下での水素及び一酸化炭
素への分解反応選択性が低下することが分かった。目的
とする水素及び一酸化炭素への分解反応は反応の進行に
伴いモル数が増加する反応であり、圧力上昇に伴い反応
速度が低下するのに対し、ジメチルエーテルの生成する
反応は圧力の影響を受けない。従って銅、ニッケル、ア
ルミニウム共沈殿、あるいはこの共沈殿にアルミニウム
のリン酸塩を添加した触媒のようにジメチルエーテル生
成能を有する触媒は、加圧にするにつれて水素及び一酸
化炭素への選択率は低下することとなる。これに対し本
発明に基ずく触媒は、ジメチルエーテル生成能が殆ど無
く、従って加圧下においても水素及び一酸化炭素への高
い選択率を得ることができる。これが本発明の大きな特
徴であり、本発明では沈殿中にはアルミニウム成分が含
まれておらず、銅、ニッケルの沈殿にアルミニウム成分
をリン酸塩として添加している。本発明は、この方法に
より表面に酸点が形成されず高選択性触媒の製造が可能
となったと判断できる。
種類、沈殿生成時の温度、蒸気圧等の条件により、アル
ミニウムは、酸化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等、
あるいはそれらの混合物として沈殿中に含まれ、乾燥、
焼成、還元等の工程を経て実際に反応に供せられている
状態では、その一部は酸化物すなわちアルミナとなるこ
とが避けられない。アルミナ表面には酸点があり、この
アルミナの酸点に基ずきジメチルエーテル生成等の副反
応が起こり易くなり、特に加圧下での水素及び一酸化炭
素への分解反応選択性が低下することが分かった。目的
とする水素及び一酸化炭素への分解反応は反応の進行に
伴いモル数が増加する反応であり、圧力上昇に伴い反応
速度が低下するのに対し、ジメチルエーテルの生成する
反応は圧力の影響を受けない。従って銅、ニッケル、ア
ルミニウム共沈殿、あるいはこの共沈殿にアルミニウム
のリン酸塩を添加した触媒のようにジメチルエーテル生
成能を有する触媒は、加圧にするにつれて水素及び一酸
化炭素への選択率は低下することとなる。これに対し本
発明に基ずく触媒は、ジメチルエーテル生成能が殆ど無
く、従って加圧下においても水素及び一酸化炭素への高
い選択率を得ることができる。これが本発明の大きな特
徴であり、本発明では沈殿中にはアルミニウム成分が含
まれておらず、銅、ニッケルの沈殿にアルミニウム成分
をリン酸塩として添加している。本発明は、この方法に
より表面に酸点が形成されず高選択性触媒の製造が可能
となったと判断できる。
[実施例] 次に実施例により本発明を更に具体的に示す。各実施
例に於て調製された触媒の性能評価方法は以下の通りで
ある。
例に於て調製された触媒の性能評価方法は以下の通りで
ある。
触媒20mlを内径14mmの反応管に充填し、水素・窒素の
混合ガスで還元後、市販メタノールを原料としてメタノ
ール分解反応を行った。反応は圧力常圧〜10kg/cm2、反
応温度240〜300℃、メタノールの供給GHSV2000Hr-1の条
件下で行った。反応器出口ガス中のジメチルエーテル、
ギ酸メチル、メタノール、及び生成ガス中のH2、CO、CH
4、CO2の分析はガスクロマトグラフィーにより行った。
メタノール反応率,水素および一酸化炭素選択率,副生
物の選択率は以下の式により計算した。なお次式中の各
量は(mol/Hr)とした。
混合ガスで還元後、市販メタノールを原料としてメタノ
ール分解反応を行った。反応は圧力常圧〜10kg/cm2、反
応温度240〜300℃、メタノールの供給GHSV2000Hr-1の条
件下で行った。反応器出口ガス中のジメチルエーテル、
ギ酸メチル、メタノール、及び生成ガス中のH2、CO、CH
4、CO2の分析はガスクロマトグラフィーにより行った。
メタノール反応率,水素および一酸化炭素選択率,副生
物の選択率は以下の式により計算した。なお次式中の各
量は(mol/Hr)とした。
実施例1 硝酸第二銅三水塩0.5モルと硝酸ニッケル六水塩0.5モ
ルをステンレス製容器に採り純水2を加えて溶解さ
せ、ケイソウ土2.2gを加えて40℃に保った。別のステン
レス製容器に重炭酸アンモニウム2.1モルを採り、純水
2を加えて溶解させ40℃に保った。硝酸塩水溶液の入
ったステンレス製容器に、攪拌下重炭酸アンモニウム水
溶液全量を注入し、その後も攪拌しながら内容物の温度
を40〜45℃に保ち、次に75℃に昇温した。生成した沈殿
を母液から分離し、純水で十分洗浄した。濾別した沈殿
全量にリン酸アルミニウム0.1モルを擂潰により混合
し、115℃で乾燥後、350℃にで焼成し、グラファイト3w
t%を加えて、3mmφ×3mmHに成型した。
ルをステンレス製容器に採り純水2を加えて溶解さ
せ、ケイソウ土2.2gを加えて40℃に保った。別のステン
レス製容器に重炭酸アンモニウム2.1モルを採り、純水
2を加えて溶解させ40℃に保った。硝酸塩水溶液の入
ったステンレス製容器に、攪拌下重炭酸アンモニウム水
溶液全量を注入し、その後も攪拌しながら内容物の温度
を40〜45℃に保ち、次に75℃に昇温した。生成した沈殿
を母液から分離し、純水で十分洗浄した。濾別した沈殿
全量にリン酸アルミニウム0.1モルを擂潰により混合
し、115℃で乾燥後、350℃にで焼成し、グラファイト3w
t%を加えて、3mmφ×3mmHに成型した。
実施例2 実施例1においてケイソウ土を加えず、硝酸第二銅、
硝酸ニッケル、重炭酸アンモニウム、リン酸アルミニウ
ムの量をそれぞれ0.5モル、0.1モル、1.25モル、0.18モ
ルとした以外は実施例1と同様にした。
硝酸ニッケル、重炭酸アンモニウム、リン酸アルミニウ
ムの量をそれぞれ0.5モル、0.1モル、1.25モル、0.18モ
ルとした以外は実施例1と同様にした。
実施例3 実施例1における重炭酸アンモニウム2.1モルの代り
に水酸化ナトリウム2.1モルを用い、硝酸第二銅、硝酸
ニッケルの混合液の温度と水酸化ナトリウム水溶液の温
度を何れも70℃として、両液混合後70〜75℃に保った以
外は実施例1と同様にした。
に水酸化ナトリウム2.1モルを用い、硝酸第二銅、硝酸
ニッケルの混合液の温度と水酸化ナトリウム水溶液の温
度を何れも70℃として、両液混合後70〜75℃に保った以
外は実施例1と同様にした。
比較例1 実施例1において、銅とニッケルの共沈殿にリン酸ア
ルミニウムを加えることなく、以後の工程を実施した。
ルミニウムを加えることなく、以後の工程を実施した。
比較例2 硝酸第二銅三水塩0.5モル、硝酸ニッケル0.05モル、
硝酸アルミニウム0.1モルをステンレス製容器に採り、
純水1.8を加えて溶解させ、75℃に保った。別のステ
ンレス製容器に水酸化ナトリウム1.45モルを採り、純水
1.45を加えて溶解させ75℃に保った。硝酸塩水溶液の
入ったステンレス製容器に攪拌下水酸化ナトリウム水溶
液全量を注入し、その後攪拌しながら内容物の温度を80
℃に保った。生成した沈殿を母液から分離し、純水で十
分洗浄した。濾別した沈殿全量にリン酸アルミニウム0.
05モルをニーダーにより混合し115℃で乾燥後、350℃で
焼成し、グラファイト3wt%を加えて3mmφ×3mmHに成型
した。
硝酸アルミニウム0.1モルをステンレス製容器に採り、
純水1.8を加えて溶解させ、75℃に保った。別のステ
ンレス製容器に水酸化ナトリウム1.45モルを採り、純水
1.45を加えて溶解させ75℃に保った。硝酸塩水溶液の
入ったステンレス製容器に攪拌下水酸化ナトリウム水溶
液全量を注入し、その後攪拌しながら内容物の温度を80
℃に保った。生成した沈殿を母液から分離し、純水で十
分洗浄した。濾別した沈殿全量にリン酸アルミニウム0.
05モルをニーダーにより混合し115℃で乾燥後、350℃で
焼成し、グラファイト3wt%を加えて3mmφ×3mmHに成型
した。
比較例3 比較例2において、銅とニッケルの共沈殿にリン酸ア
ルミニウムを加えることなく、以後の工程を行った。
ルミニウムを加えることなく、以後の工程を行った。
実施例1〜3,及び比較例1〜3で得た触媒の活性試験
結果を第1表に示す。
結果を第1表に示す。
第1表においてMeOHはメタノール、DMEはジメチルエ
ーテル、MFはギ酸メチルを示す。
ーテル、MFはギ酸メチルを示す。
活性試験中、各実施例および比較例2および3の触媒
において異常に無かったが、比較例1で得た触媒を用い
ての活性試験においては、触媒還元中より徐々に触媒層
の差圧が大きくなり始め、反応開始後30時間を経過した
時点で反応の継続が不能となった。反応器を開放し触媒
を取り出したところ著しい粉化が認められ、触媒の強度
が不十分であるとが分かった。
において異常に無かったが、比較例1で得た触媒を用い
ての活性試験においては、触媒還元中より徐々に触媒層
の差圧が大きくなり始め、反応開始後30時間を経過した
時点で反応の継続が不能となった。反応器を開放し触媒
を取り出したところ著しい粉化が認められ、触媒の強度
が不十分であるとが分かった。
〔発明の効果〕 各実施例に示された如くに、本発明の触媒は、加圧下
においても高い活性を有し、且つジメチルエーテルやギ
酸メチル等の副反応生成物が非常に少ない。また本発明
の触媒は、十分な強度を有し長期間の運転に耐えること
ができる。
においても高い活性を有し、且つジメチルエーテルやギ
酸メチル等の副反応生成物が非常に少ない。また本発明
の触媒は、十分な強度を有し長期間の運転に耐えること
ができる。
本発明により実際工業上使用される加圧下の反応にお
いて活性および選択性が優れたメタノール分解が得るこ
とができるので、本発明の工業的意義が大きい。
いて活性および選択性が優れたメタノール分解が得るこ
とができるので、本発明の工業的意義が大きい。
Claims (1)
- 【請求項1】水溶性の銅塩及び水溶性のニッケル塩の水
溶液と塩基性沈殿剤とを混合することにより、水に不溶
性の銅の化合物と水に不溶性のニッケルの化合物を沈殿
として別々にまたは同時に析出させ、その沈殿の混合物
または共沈殿にアルミニウムのリン酸塩を加えて成るメ
タノール分解触媒
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63003866A JP2556080B2 (ja) | 1988-01-13 | 1988-01-13 | メタノール分解触媒 |
US07/295,525 US4916104A (en) | 1988-01-13 | 1989-01-10 | Catalyst composition for decomposition of methanol |
EP89300260A EP0324618B1 (en) | 1988-01-13 | 1989-01-12 | Catalyst composition for decomposition of methanol |
DE8989300260T DE68900208D1 (de) | 1988-01-13 | 1989-01-12 | Katalytische zusammensetzung fuer die spaltung von methanol. |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63003866A JP2556080B2 (ja) | 1988-01-13 | 1988-01-13 | メタノール分解触媒 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01180250A JPH01180250A (ja) | 1989-07-18 |
JP2556080B2 true JP2556080B2 (ja) | 1996-11-20 |
Family
ID=11569116
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63003866A Expired - Fee Related JP2556080B2 (ja) | 1988-01-13 | 1988-01-13 | メタノール分解触媒 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2556080B2 (ja) |
-
1988
- 1988-01-13 JP JP63003866A patent/JP2556080B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01180250A (ja) | 1989-07-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2371799B1 (en) | Method for methanol synthesis using synthesis gas generated by combined reforming of natural gas with carbon dioxide | |
CN102946994B (zh) | 纳米级Cu基催化剂及其制备方法、以及使用该催化剂通过羧酸的直接氢化来制备醇的方法 | |
EP2237882B1 (en) | Iron-based water gas shift catalyst | |
EP0100607B1 (en) | Catalyst compostion and its use in a process for the production of alcohols from synthesis gas | |
KR860002159B1 (ko) | 메탄올과 고급 알코올 혼합물 제조용 촉매시스템 | |
JPH05253482A (ja) | 前駆体アルデヒド水素化触媒 | |
US10661253B2 (en) | Method of preparation of mixed metal oxide using glucose oxidation assisted precipitation | |
AU3789085A (en) | Process for producing alcohols from carbon monoxide and hydrogen using an alkali-molybdenum sulfide catalyst | |
JP2807053B2 (ja) | メタノールの分解方法 | |
EP0324618B1 (en) | Catalyst composition for decomposition of methanol | |
US1746782A (en) | Catalyst and catalytic process | |
EP0171297A2 (en) | A method for preparing dual colloid catalyst compositions | |
JP2556080B2 (ja) | メタノール分解触媒 | |
JP2535760B2 (ja) | メタノ―ルの水蒸気改質用触媒の製造方法 | |
JPS647974B2 (ja) | ||
US5336440A (en) | Process for decomposition of methanol | |
JPH0576341B2 (ja) | ||
JPH02119941A (ja) | メタノール分解触媒の製法 | |
JPH06256001A (ja) | 水素含有ガスの製造方法 | |
JPH0456015B2 (ja) | ||
JPH03109942A (ja) | 炭化水素の水蒸気改質用触媒 | |
JP2958994B2 (ja) | メタノール脱水素触媒 | |
JPS6361931B2 (ja) | ||
JPS60110337A (ja) | 水素富化ガス製造用触媒 | |
JP2023108468A (ja) | メタノールの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |