JP2025030200A - 表面性状に優れたステンレス鋼 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】以下、質量%にて、C:0.001~0.3%、Si:0.1~4%、Mn:0.1~3%、P:0.05%以下、S:0.03%以下、Ni:4~40%、Cr:13~35%、Mo:0.1~8%、Cu:0.1~4%、Al:0.001~0.5%、Ti:0.6%以下、Ca:0.0001~0.02%、Mg;0.0001~0.02%、N:0.001~0.4%、O:0.01%以下、Co、W、Nb、Bのうち1種または2種以上を4%以下含有し、残部鉄および不可避的不純物を含み、非金属介在物の平均組成がMgO:30~70%、Al2O3:15~40%、SiO2:30%以下、CaO:10~40%、MnO:1%以下であることを特徴とする表面性状に優れたステンレス鋼。
【選択図】図1
Description
化学成分は、以下全て質量%であり、C:0.001~0.3%、Si:0.1~4%、Mn:0.1~3%、P:0.05%以下、S:0.03%以下、Ni:4~40%、Cr:13~35%、Mo:0.1~8%、Cu:0.1~4%、Al:0.001~0.5%、Ti:0.6%以下、Ca:0.0001~0.02%、Mg:0.0001~0.02%、N:0.001~0.4%、O:0.01%以下、Co、W、Nb、Bのうち1種または2種以上を4%以下含有し、残部鉄および不可避的不純物を含み、非金属介在物の平均組成がMgO:30~70%、Al2O3:15~40%、SiO2:30%以下、CaO:10~40%、MnO:1%以下であり、表面性状に優れたステンレス鋼である。すなわち、表面に欠陥のないステンレス鋼である。
a:CaO-Al2O3-MgO系酸化物が略球面内にMgO・Al2O3を完全に包含する形態
b:CaO-Al2O3-MgO系酸化物
c:CaO-Al2O3-MgO系酸化物が略球面内にMgOを完全に包含する形態
d:MgO単体
e:MgO・Al2O3単体
C:0.001~0.3%
Cはステンレス鋼の強度を保つことと、Crとの炭化物を形成して耐摩耗性を向上するのに重要な元素である。よって、0.001%は必要である。一方で0.3%を超えて添加すると、Ti、Nb等の炭化物も形成して脆化するという欠点もある。よって、0.001~0.3%と規定した。添加はAODにおいて脱硫後に銑鉄を投入して制御する。好ましくは、0.002~0.025%、より好ましくは、0.005~0.22%である。
Siは脱酸に有効である他に、耐熱性を向上する元素であり本願発明ではとても重要である。脱酸は下記の式にて進めることができる。すなわち、AODにおいてCr還元にFeSi合金を投入することで進める。
Si+2O=(SiO2) …(1)
ここで、下線は溶鋼中の成分、括弧はスラグ中の成分である。後述するが、スラグ中のSiO2の活量係数を下げることで、有効に脱酸を進めることができて、本願発明の酸素濃度に制御できる。さらに脱硫することも同時に可能となる。その効果を発揮するには0.1%は必要であり、4%を超えて高くなるとσ相を形成して耐食性を低位させるだけではなく、脆化してしまう。よって、0.1~4%と規定した。好ましくは、0.15~3.8%、より好ましくは0.18~3.5%である。
Mnは脱酸に有用な元素である他に、オーステナイト相を安定化するために極めて有効な元素である。よって、0.1~3%と規定した。好ましくは0.2~2.6%、より好ましくは、0.3~2.5%である。
Pは粒界に偏析して耐食性を低下させるのみではなく、溶接時に赤熱脆性をもたらし割れに繋がる有害元素である。よって、0.05%以下とした。好ましくは、0.04%以下であり、より好ましくは、0.035%以下である。
Sは粒界に偏析する他、MnSを形成して孔食の起点となるため有害な元素である。さらに、熱間加工性も低下させて耳割れを引き起こす原因となる。よって0.03%以下に規定した。後述詳述するが、下記の反応式により脱硫を進めることができる。
3(CaO)+2Al+3S=(Al2O3)+3(CaS) …(2)
2(CaO)+Si+2S=(SiO2)+2(CaS) …(3)
スラグ中のアルミナ、シリカの活量係数を低下させると効率的に脱硫反応を進められる。
0.03%以下であれば上記の問題を回避できるため本範囲に規定した。好ましくは、0.02%であり、より好ましくは、0.01%以下である。さらに好ましくは、0.008%以下である。
Niは本願発明の主要元素でありオーステナイト相を安定化して加工性を高めるために重要な元素である。4%未満では二相ステンレス鋼の場合、フェライト相が50%を超えて多くなりすぎてしまう。40%以上では組織の安定性が損なわれる。よって、4~40%に規定した。好ましくは、5~39%であり、より好ましくは、6~38.8%である。さらに好ましくは、7~38.7%である。
Crは本願発明の主要元素であり、ステンレス鋼の表面に緻密な不動態被膜を形成して、耐食性を維持するために不可欠である。そのため、13~35%と規定した。好ましくは、14~34%であり、より好ましくは、14.5~33%である。さらに好ましくは、15~32.5%である。
Moは本願発明の重要元素である。孔食の進行を遅らせて耐食性を向上する役割を担う。よって、0.1~8%と規定した。好ましくは、0.5~7.5%であり、より好ましくは、0.8~7.2%である。
Cuは耐酸性、耐硫酸性を向上するため耐食性を保つ重要元素であると共に、冷間で軟化させる効果もあり深絞り用途等では極めて重要な元素である。よって、0.1~4%と規定した。好ましくは、0.5~3.5%であり、より好ましくは、0.6~3.3%である。
Alは脱酸に有用な元素である。さらに高温酸化性を向上する。その一方で、高過ぎるとAlNを形成して熱間加工性を損ねたり、Ca、Mg濃度が高くなりすぎてしまい、本願発明の範囲の上限を超えてしまう。その結果、CaO系の有害な介在物を形成したり、NiMg2という低融点化合物を形成して熱間加工性を低下させる。脱酸反応は下記の通り進める。
2Al+3O=(Al2O3) …(4)
後に詳述するが、スラグ中のアルミナ活量を低下することで効率的に脱酸が進む。さらに脱硫することも同時に可能となる。したがって、0.001~0.5%と規定した。好ましくは、0.005~0.4%であり、より好ましくは、0.007~0.38%、さらに好ましくは、0.01~0.35%である。
Tiはシーズヒータ材では黒化性を確保するに重要な元素である他、高強度材では微細なG相を形成して高強度を保つ。しかしながら、高すぎるとTiN、TiCが形成することで表面疵をもたらす原因ともなる。よって、0.6%以下の範囲で含有することと規定した。好ましくは、0.5%以下である。さらに好ましくは、0.45%以下である。
Caは非金属介在物の組織形態を好ましいCaO-Al2O3-MgO系酸化物に制御するために重要な元素である。この形態に制御するとスラスター化せずに表面欠陥を形成しなくて健全な製品が製造できる。Caは下記の反応を利用して有効に添加する。
3(CaO)+2Al=(Al2O3)+3Ca …(5)
2(CaO)+Si=(SiO2)+2Ca …(6)
この反応を制御するためにはスラグ中のアルミナ、シリカの活量を適切な範囲に制御すればよい。これについては、製造方法にて詳しく説明する。反対に高すぎると有害なCaO介在物を形成してしまいクラスター化を進め欠陥を形成する。したがって、0.0001~0.02%に規定した。好ましくは、0.0005~0.015%であり、より好ましくは、0.001~0.013%である。
Mgは非金属介在物の組織形態を好ましいCaO-Al2O3-MgO系酸化物、MgO、MgO・Al2O3に制御するために重要な元素である。この形態に制御するとスラスター化せずに表面欠陥を形成しなくて健全な製品が製造できる。Mgは下記の反応を利用して有効に添加する。
3(MgO)+2Al=(Al2O3)+3Mg …(7)
2(MgO)+Si=(SiO2)+2Mg …(8)
この反応を制御するためにはスラグ中のアルミナ、シリカの活量を適切な範囲に制御すればよい。これについては、製造方法にて詳しく説明する。反対に高すぎるとMgが凝固時に気化してブローホールを形成する。それによって、表面欠陥を形成する。したがって、0.0001~0.02%に規定した。好ましくは、0.0005~0.015%であり、より好ましくは、0.001~0.013%である。
Nはオーステナイト相を安定化するために有効である他、孔食にNH4Clをもたらすことで孔食を防止する役割を担う。よって、0.001~0.4%の範囲に規定した。好ましくは、0.003~0.38%である。より好ましくは、0.004~0.37%である。
酸素は非金属介在物の個数を増やし表面欠陥を形成するために下げる必要がある。そのため、0.01%以下とした。好ましくは、0.008%以下、より好ましくは、0.007%以下であり、さらに好ましくは、0.005%以下である。
Coはオーステナイト相を安定化するために有効な元素である。また、フェロニッケル合金、純Ni原料に含まれていることがあり、安価な原料を利用する意味でも重要な役割がある。Wは耐食性を高めるため有益な元素である。Nbは高強度材料ではG相を形成する構成成分であるため有益である。Bは耐熱鋼のクリープ特性を向上するので有効な元素であると共に、熱間加工性を改善する。これらの元素を1種または2種以上を4%以下含有することは、より好ましい様態である。つまり、必要に応じて添加して構わない。
非金属介在物の平均組成は以下の通りである。
MgO:30~70%
MgOは無害なCaO-Al2O3-MgO系酸化物を形成するために有効である他、同様に無害であるMgO単体、MgO・Al2O3単体を形成するために極めて有効である。よって、30~70%と規定した。好ましくは、35~65%である。
Al2O3は無害なCaO-Al2O3-MgO系酸化物を形成するために有効である他、同様に無害であるMgO・Al2O3を形成するために極めて有効である。しかし、40%を超えて高いと、有害なAl2O3単体を形成するので欠陥をもたらす。よって、15~40%に規定した。好ましくは、18~39%である。
SiO2はCaO-Al2O3-MgO系酸化物中に存在する化合物であり、その融点を低下させるので有効である。しかし、30%を超えて高くなると、酸素濃度が高くなる方向であり、非金属介在物の個数が多くなる他、有害なMnO-Cr2O3系酸化物を形成することで欠陥を形成する。よって、30%以下と規定した。好ましくは、28%以下である。
CaOは無害なCaO-Al2O3-MgO系酸化物を形成するために有効であるが、高すぎると有害なCaO介在物を形成し欠陥をもたらしてしまう。よって、10~40%と規定した。好ましくは、12~39%である。より好ましくは、13~38%である。
MnOはMgO単体、MgO・Al2O3単体介在物のMgOのサイトに固溶するため無害である。しかし、高いと有害なMnO-Cr2O3系酸化物を形成することで欠陥を形成する。したがって、1%以下に規定した。好ましくは、0.9%以下である。より好ましくは、0.8%以下である。
特に限定はしないものの、Cr2O3が高いとMnO-Cr2O3系介在物を形成し易くなる。さらに溶鋼中の酸素濃度も高くなり、非金属介在物の個数が増加して欠陥を発生させる。よって1.5%以下が望ましい。より望ましくは、1.3%以下である。さらに望ましくは、0.6%以下である。
a:CaO-Al2O3-MgO系酸化物が略球面内にMgO・Al2O3を完全に包含する形態
b:CaO-Al2O3-MgO系酸化物
c:CaO-Al2O3-MgO系酸化物が略球面内にMgOを完全に包含する形態
d:MgO単体
e:MgO・Al2O3単体
ここで、略球面内に完全に包含するとは、図1(a)に示すように内部の物質が外縁部の物質に完全に内包されている状態をいい、図1(b)に示すように内部の物質が一部外部に突出するものは含まれない。
2Mg+SiO2(介在物)=2MgO(介在物)+2Si …(9)
3Mg+Al2O3(介在物)=3MgO(介在物)+2Al …(10)
2Mg+4Al+4SiO2(介在物)=2MgO・Al2O3(介在物)+4Si …(11)
3Mg+4Al2O3(介在物)=MgO・Al2O3(介在物)+2Al …(12)
上記(9)~(12)式の通り、MgO単体、MgO・Al2O3単体が初期に形成する。その後、スラグからCaが供給され、溶鋼中のCaと上記の介在物が反応することで、表面にCaO-Al2O3-MgO系酸化物が旺盛に形成する。そして、本溶融酸化物がMgO単体、MgO・Al2O3単体を覆い無害化する。つまり、融体であり無害なCaO-Al2O3-MgO系介在物として振る舞う。したがって、非金属介在物が球形であると上記のように振る舞うので無害となる。
CaO:20~60%、Al2O3:30~60%、MgO:1~30%、SiO2:20%以下、TiO2:0.5%以下
上記範囲であると、製鋼温度つまり1500℃近傍にてCaO-Al2O3-MgO系酸化物の溶融状態を維持できるため上記範囲とした。特にCaOが高すぎると有害なCaO単体介在物を形成するのでCaO:20~60%と規定した。Al2O3が高すぎるとAl2O3単体を形成するためAl2O3:30~60%とした。SiO2は高すぎると有害なMnO-Cr2O3介在物を形成するため20%以下とした。
MgO・Al2O3のMgOのサイトにMnOが固溶するためMnOを無害にできる。よって、0.5%以下と規定した。
MgO単体介在物は無害であるためこの介在物にある程度固溶することは望ましい。固溶限を考慮して、Al2O3:3%以下、SiO2:1%以下、CaO:10%以下、MnO:1%以下含有とした。
2(Cr2O3)+3Si=3(SiO2)+4Cr …(13)
CaO:35~70%
CaO濃度は生石灰を投入することで調整可能である。CaOは脱酸脱硫に絶大な効果がある。つまり、(2)~(3)式の通り、スラグ中にCaSとして安定的に存在させることで脱硫出来る。しかし、70%を超えて高いとCaO介在物を形成する。したがって、35~70%が良い。好ましくは、40~65%である。より好ましくは、50~63%である。
Al2O3はCaO-Al2O3-MgO-SiO2-F系スラグを溶融状態とするために有効である。一方で、30%を超えると、Al2O3単体介在物を作りクラスター化を進める。よって、30%以下が望ましい。好ましくは、25%以下である。より好ましくは、22%以下である。
MgOはCaO-Al2O3-MgO-SiO2-F系スラグを溶融状態とするために有効である。一方で、MgO濃度が高いと溶鋼中のMg濃度が高くなり凝固時にMgガスを放出してブローホールを形成する。よって、3~25%が望ましい。より望ましくは、5~20%、さらに望ましくは7~15%である。
SiO2はCaO-Al2O3-MgO-SiO2-F系スラグを溶融状態とするために有効である。一方で、SiO2濃度が高いと溶鋼中の酸素濃度が高くなり、非金属介在物組成もMnO-Cr2O3系となってしまう。その結果表面欠陥を発生する。よって、3~32%が望ましい。より望ましくは、5~30%である。さらに望ましくは、5~20%である。
Fは蛍石で添加する。FはCaO-Al2O3-MgO-SiO2-F系スラグを溶融状態とするために有効である。一方で、F濃度が高いと、AODの煉瓦や取鍋の煉瓦を溶損して寿命を縮める。したがって、0.5~10%が良い。より望ましくは、1~9%である。
Cr2O3:1%以下
高いと酸素濃度が高くなってMnO-Cr2O3系介在物を形成させる。したがって、1%以下が良い。望ましくは、0.7%以下である。より望ましくは、0.6%以下である。
高いと酸素濃度が高くなってMnO-Cr2O3系介在物を形成させる。したがって、1%以下が良い。望ましくは、0.9%以下である。より望ましくは、0.8%以下である。さらに、S濃度は高い方が望ましい。その理由は、脱硫が正常に進んだことを表すためである。0.3%以上が望ましくより望ましくは、0.4%以上である。
原料を70トン電気炉で溶解し、その後AODにて脱炭精錬した。原料には、ステンレス屑、Ni、フェロシリコン合金、フェロシリコン合金、鉄屑、Mo、三酸化Mo、フェロモリブデン合金、フェロニオブ合金、フェロクロム合金、銅線等目的鋼種に従いブレンドした。脱炭工程が完了した後、スラグに移行したCr2O3を還元した。すなわち、生石灰とマグネシア含有の廃煉瓦、さらに蛍石を投入して、その後FeSiを投入した。これにより、スラグ中のCr酸化物が還元されて、有価金属であるCrが溶鋼に戻すCr還元工程を完了した。さらに、一部の鋼種ではAlを投入して、最終的にCaO-Al2O3-MgO-SiO2-F系スラグを形成した。Alを添加しない場合もFeSi合金中の不純物であるAlが酸化することでアルミナを供給した。
1)化学成分:連続鋳造機のタンディッシュで採取した、φ30mm×10mm高さの吸上げサンプルの表面をグラインダーで研削した。主要元素は蛍光X線分析により行った。一部、C、Sは燃焼法によって分析した。また、N、Oは赤外線吸収法によって分析した。さらに、Hは水素分析装置にて値を得た。
2)スラグ成分:スラグを鉄棒で採取して砕いた。これを円筒状に圧粉したサンプルを作製した。このサンプルを、蛍光X線分析法を用いて値を求めた。Fは化学分析で求めた。
3)非金属介在物の平均組成:上記の吸上げサンプルを切出して、樹脂に埋め込み鏡面研磨した。これを、SEMに入れて観察すると共に、定量分析を行った。5μm以上の介在物を無作為に30点選択して、中心と外周を分析した。各介在物はマッピングにより元素分布を求めて、各相の比率を画像解析により算出して、加重平均を考慮して、各介在物粒子の代表分析値を得た。これを、30点の平均値を計算して求めた。
4)非金属介在物の組織形態:上記の通り観察・分析した際に、形態を分類した。なお、図1の右側にあたる形態は確認されなかった。
5)各酸化物の組成:上記の各酸化物相の組成から求めた。
6)総合評価:1mmtのステンレス鋼板を通板した際に検査員が肉眼にて評価した。下記の通り、評価結果を定めた。以下において切断しない許容範囲とは、鋼板表面10m2あたりに長さ1mm以上の線状疵が3本までということを意味する。
合格:◎表面欠陥発生なし(出荷時良品率100%)
合格:〇表面欠陥一部に発生したが要求品質の許容範囲内(同良品率95%)
合格:△表面欠陥一部に発生したが部分切断で出荷可能(同良品率80%)
不合格:×表面欠陥がコイル全長に発生し屑化処理(同良品率0%)
No.15はSiが低くなってしまった。逆にAlが高く外れ、スラグ中のCaO濃度も望ましい範囲を上回ったために、Ca、Mg濃度が高くなってしまった。その結果、介在物の平均組成の中でもMgOとCaOが外れた。組織形態もf・CaO単体が多くなり、CaO-Al2O3-MgO系酸化物中のCaOが高く外れた。つまり、CaO単体介在物が中心となってしまい欠陥が発生して屑化となった。
化学成分は、以下全て質量%であり、C:0.001~0.3%、Si:0.1~4%、Mn:0.1~3%、P:0.05%以下、S:0.03%以下、Ni:4~40%、Cr:13~35%、Mo:0.1~8%、Cu:0.1~4%、Al:0.001~0.5%、Ti:0.6%以下、Ca:0.0001~0.02%、Mg:0.0001~0.02%、N:0.001~0.4%、O:0.01%以下、Co、W、Nb、Bのうち1種または2種以上を4%以下含有し、残部鉄および不可避的不純物であり、非金属介在物の平均組成がMgO:30~70%、Al2O3:15~40%、SiO2:30%以下、CaO:10~40%、MnO:1%以下であり、表面性状に優れたステンレス鋼である。すなわち、表面に欠陥のないステンレス鋼である。
Claims (6)
- 以下、質量%にて、C:0.001~0.3%、Si:0.1~4%、Mn:0.1~3%、P:0.05%以下、S:0.03%以下、Ni:4~40%、Cr:13~35%、Mo:0.1~8%、Cu:0.1~4%、Al:0.001~0.5%、Ti:0.6%以下、Ca:0.0001~0.02%、Mg;0.0001~0.02%、N:0.001~0.4%、O:0.01%以下、Co、W、Nb、Bのうち1種または2種以上を4%以下含有し、残部鉄および不可避的不純物を含み、非金属介在物の平均組成がMgO:30~70%、Al2O3:15~40%、SiO2:30%以下、CaO:10~40%、MnO:1%以下であることを特徴とする表面性状に優れたステンレス鋼。
- 前記非金属介在物の組織形態は、全非金属介在物に対して個数比率で70%以上の非金属介在物が以下のa~eの5種類のいずれか1または2以上であることを特徴とする請求項1に記載の表面性状に優れたステンレス鋼。
a:CaO-Al2O3-MgO系酸化物が略球面内にMgO・Al2O3を完全に包含する形態
b:CaO-Al2O3-MgO系酸化物
c:CaO-Al2O3-MgO系酸化物が略球面内にMgOを完全に包含する形態
d:MgO単体
e:MgO・Al2O3単体 - 前記CaO-Al2O3-MgO系酸化物は、CaO:20~60%、Al2O3:30~60%、MgO:1~30%、SiO2:20%以下、TiO2:0.5%以下であることを特徴とする請求項2に記載の表面性状に優れたステンレス鋼。
- 前記MgO・Al2O3はMnOを0.5%以下含むことを特徴とする請求項2に記載の表面性状に優れたステンレス鋼。
- 前記MgO単体はAl2O3:3%以下、SiO2:1%以下、CaO:10%以下、MnO:1%以下を含有することを特徴とする請求項2に記載の表面性状に優れたステンレス鋼。
- 請求項1~5のいずれかに記載のステンレス鋼の製造方法であって、原料を電気炉で溶解し、その後AODにて脱炭精錬し、生石灰とFeSiを投入してCr還元を実施し、さらにAlを投入して、CaO-Al2O3-MgO-SiO2-F系スラグを形成して、脱酸、脱硫を施した後、連続鋳造機にてスラブを製造し、表面を研削後、熱間圧延工程を経て、冷間圧延を実施することを特徴とする表面性状に優れたステンレス鋼の製造方法。
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