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JP2024169595A - セメント組成物、及びセメント組成物の製造方法 - Google Patents

セメント組成物、及びセメント組成物の製造方法 Download PDF

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卓 後藤
Taku Goto
貴康 伊藤
Takayasu Ito
正明 長井
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Abstract

【課題】C3A量が多い場合であっても、セメント製造時のCO2排出量を従前よりも低減して製造することが可能であり、DEF膨張を抑制し、高温養生後の脱型強度に優れるセメント組成物を提供できる。【解決手段】本開示の一側面は、Bogue式によって算出されるC3S量が20.0~80.0質量%であり、C3A量が6.0~15.0質量%であるセメントクリンカーと、石膏と、混合材と、を含有し、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計の含有量を100質量%とする、上記混合材の含有量が2.0~30.0質量%であり、上記C3S量、上記C3A量、並びに、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計の含有量を100質量%に対する石炭灰の含有量が、[C3S量(質量%)]≦-3.3×[C3A量(質量%)]+2.0×[石炭灰の含有量(質量%)]+β …式(1)[上記式(1)において、上記βは91.0以下の実数を示す]の関係を満たす、セメント組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本開示は、セメント組成物、及びセメント組成物の製造方法に関する。
近年、国内でも、蒸気養生で得られる二次製品等における遅延エトリンガイト形成(DEF)及びDEFに伴うセメント硬化体の劣化が問題視されている。DEFとは、以下のような膨張性のエトリンガイトの再生成現象のことをいう。まず、初期の高温養生及びセメント組成物の発熱によって、コンクリート内部の温度が著しく上昇することで、本来初期に生成するべきエトリンガイトの分解が発生する。その後、コンクリートの供用中に水分が供給されることによって、エトリンガイトの再生成に伴い硬化体組織に膨張が生じるため、コンクリートにひび割れ等の深刻な劣化を引き起こしている。
例えば、非特許文献1では、国内のコンクリート二次製品(プレキャストコンクリート製品)の膨張事例が報告されている。多くの事例で、CA量の多い白色セメントが使用されている。CA量の多いセメントを用いてコンクリート二次製品を製造するに際して、型枠回転率を上げるため高温下で蒸気養生が行われているが、この際の熱履歴が、コンクリート二次製品におけるDEF膨張に影響を与えていることが報告されている。
DEFを抑制する方策が種々検討されている。非特許文献2では、普通ポルトランドセメント及び早強ポルトランドセメントよりも、低熱ポルトランドセメント及び中庸熱ポルトランドセメントを使用した場合の方が、DEFによる膨張が生じにくいことが示されている。しかし、DEF膨張を抑制する上記セメントでは、発熱抑制等の目的でCA量が低く設定されており、原料に添加できる単位セメント量あたりの廃棄物使用量が低下するという問題がある。
セメントの原料であるセメントクリンカーは、その製造工程におけるCO排出量が多いことが知られている。地球温暖化防止の観点から、セメント組成物におけるセメントの含有量を低下させるため、石炭灰等の混合材の含有量を今後さらに増加させることが望まれている。混合材として、石炭灰以外に、例えば、石灰石等も知られている。CO排出量制限の観点からは石灰石の配合が有効であるが、石灰石の添加はDEFの促進を招くことが報告されている(例えば、非特許文献3)。
二次製品の製造では型枠回転率を上げ、歩留まりを向上させるため、高温養生後の脱型時の強度が必要とされる。特許文献1には、セメント組成物に塩素バイパスダストを添加することで、脱型時の圧縮強さを十分に向上させるセメント組成物、当該セメント組成物を用いて調製されたモルタル及びコンクリートが開示されている。
特開2007-176774号公報
川端雄一郎、松下博通,「高温上記養生を行ったコンクリートにおけるDEF膨張に関する検討」,土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造),2011,Vol.67,No.4,p.549-563 「マスコンクリートのひび割れ制御指針2016」,2016,公益社団法人 日本コンクリート学会 浅本晋吾他,「遅延エトリンガイト生成に及ぼす炭酸イオンの影響に関する検討」,コンクリート工学年次論文集,2016,Vol.28,No.1,p.819-824
本開示は、CA量が多い場合であっても、セメント製造時のCO排出量を従前よりも低減して製造することが可能であり、セメント硬化体におけるDEF膨張を抑制し、高温養生後の脱型時の圧縮強さに優れるセメント組成物、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本開示の一側面は、Bogue式によって算出されるCS量が20.0~80.0質量%であり、CA量が6.0~15.0質量%であるセメントクリンカーと、石膏と、混合材と、を含有し、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計の含有量を100質量%とする、上記混合材の含有量が2.0~30.0質量%であり、上記CS量、上記CA量、並びに、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計の含有量を100質量%に対する石炭灰の含有量が、[CS量(質量%)]≦-3.3×[CA量(質量%)]+2.0×[石炭灰の含有量(質量%)]+β …式(1)[上記式(1)において、上記βは91.0以下の実数を示す]の関係を満たし、セメント組成物を提供する。
上記セメント組成物は、特定のセメントクリンカーと、石膏及び混合材を所定量で含有することで、セメント製造時のCO排出量を従前よりも低減して製造することができる。また、セメントクリンカー中のCS量及びCA量と、石炭灰の含有量とが上記式(1)の関係を充足することによって、CA量が多い場合であっても、DEF膨張を抑制し、高温養生後の脱型時の圧縮強さに優れる。上記式(1)の関係を充足することで、上述のような効果が得られる理由は定かではないが、CS量及びCA量が高いほどDEFが生じやすく、石炭灰の含有量が増加するほどDEFを抑制するため、CA量と石炭灰含有量に応じてCS量を調整する必要があるためであると本発明者らは推測する。
上記セメントクリンカーがSO及びROを含み、上記セメントクリンカー100質量%における、上記SO量が0.10~2.00質量%であり、且つ上記RO量が0.10~2.00質量%であってよい。セメントクリンカーが上述の組成を有することによって、DEFを抑制しつつ、適切な可使時間を得ることができる。
上記セメント組成物は、ブレーン比表面積が3000~6000cm/gであってよい。セメント組成物のブレーン比表面積が上記範囲内であることで、セメント組成物の十分な強度発現と適切な水和熱を両立させることができる。
上記混合材が石灰石を含み、上記石灰石の含有量が、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計の含有量を基準として、2.0~22.5質量%であってよい。混合材として石灰石を所定量で含有することによって、セメント組成物の水和熱を低減し、脱型強度を増進させることができる。
上記混合材が石灰石及び石炭灰を含み、上記石炭灰の含有量が、上記混合材の全量を基準として、15.0~85.0質量%であってよい。石炭灰の含有量が上記範囲内であることで、DEF膨張を抑制し、セメント組成物の水和熱を低減し、脱型強度を増進させることができる。
上記石炭灰のブレーン比表面積が3900~10000cm/gであってよい。石炭灰のブレーン比表面積が上記範囲内であることで、DEF膨張を抑制し、強度を増進させることができる。
上記石膏の含有量が、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計の含有量を100質量%として、SO換算で、0.5質量%以上1.8質量%未満であってよい。石膏の含有量が上記範囲内であることで、DEF膨張を抑制しつつ、強度を増進させることができる。
上記石炭灰は、4μm残分が40~85体積%であり、且つ32μm残分が0~20.0体積%であってよい。石炭灰が上述のような粒度分布を有することによって、強度を増進し、DEFを抑制しつつ、断熱温度上昇を低下させることができる。
上記セメント組成物は、硬化促進剤を更に含有し、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計量100質量部に対する上記硬化促進剤の含有量が0.1~20質量部であってよい。硬化促進剤を所定量で含有することによって、初期強度を増進しつつ、適切なワーカビリティを得ることができる。
本開示の一側面は、Bogue式によって算出されるCS量が20.0~80.0質量%であり、CA量が6.0~15.0質量%であるセメントクリンカーと、石膏と、混合材と、を混合する工程を備え、上記工程において、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計の含有量を100質量%とする上記混合材の含有量を2.0~30.0質量%とし、上記CS量、上記CA量、並びに、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計の含有量を100質量%に対する石炭灰の含有量が、[CS量(質量%)]≦-3.3×[CA量(質量%)]+2.0×[石炭灰の含有量(室慮う%)]+β …式(1)[上記式(1)において、上記βは91.0以下の実数を示す。]の関係を満たすように、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の配合を調整することを特徴とする、セメント組成物の製造方法を提供する。
上記セメント組成物の製造方法は、特定のセメントクリンカーと、石膏及び混合材の配合が所定の割合となるように調整することによって、セメント製造時のCO排出量を従前よりも低減して、セメント組成物を製造することができる。上記セメント組成物の製造方法は、セメントクリンカー中のCS量及びCAと、石炭灰の含有量とが上記式(1)の関係を充足するように、混和材等の配合を調整することによって、CA量が多い場合であっても、DEF膨張を抑制し、高温養生後の脱型時の圧縮強さに優れるセメント硬化体を調製可能なセメント組成物を提供することができる。
本開示によれば、CA量が多い場合であっても、セメント製造時のCO排出量を従前よりも低減して製造することが可能であり、セメント硬化体におけるDEF膨張を抑制し、高温養生後の脱型時における圧縮強さに優れるセメント組成物、及びその製造方法を提供できる。
図1は、実施例及び比較例で使用したセメント組成物を構成するセメントクリンカーの鉱物組成の関係を示すグラフである。 図2は、実施例及び比較例で使用したセメント組成物を構成するセメントクリンカーの鉱物組成の関係を示すグラフである。 図3は、実施例及び比較例で使用したセメント組成物を構成するセメントクリンカーの鉱物組成の関係を示すグラフである。
以下、本開示の実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。なお、以下の説明では、「X~Y」(X、Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「X以上Y以下」を意味する。
セメント組成物の一実施形態は、Bogue式によって算出されるCS量が20.0~80.0質量%であり、CA量が6.0~15.0質量%であるセメントクリンカーと、石膏と、混合材と、を含む。上記セメント組成物中、上記混合材の含有量は、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計の含有量を100質量%として、2.0~30.0質量%である。
上記セメント組成物は、上記CS量、上記CA量、並びに、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計の含有量を100質量%に対する上記石炭灰の含有量が、以下の式(1)の関係を満たす。なお、石炭灰の含有量は、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計の含有量を基準として、0~22.5質量%である。
[CS量(質量%)]≦-3.3×[CA量(質量%)]+2.0×[石炭灰の含有量(質量%)]+β …式(1)
上記式(1)において、上記βは91.0以下の実数を示す(β≦91.0である)が、例えば、好ましくは91.0であってよく、より好ましくは81.0であり、更に好ましくは71.0である。
Bogue式とは、化学組成によってセメント中の主要鉱物の含有量を算定する式として広く用いられる式である。以下に示すBogue式を用いることによって、セメントクリンカー中のケイ酸三カルシウム(3CaO・SiO,CSで示す。)、ケイ酸二カルシウム(2CaO・SiO,CSで示す。)、及びアルミン酸三カルシウム(3CaO・Al,CAで示す。)の含有量を算出することができる。なお、下記式中の「%」は「質量%」を意味する。
<Bogue式>
S[%]=(4.07×CaO[%])-(7.60×SiO[%])-(6.72×Al[%])-(1.43×Fe[%])-(2.85×SO[%])
S[%]=(2.87×SiO[%])-(0.754×CS[%])
A[%]=(2.65×Al[%])-(1.69×Fe[%])
AF[%]=3.04×Fe[%]
セメントクリンカーにおける、CA及びCAFといった間隙相量が多くなるように設計することによって、石炭灰やスラグ等のAlやFeを多く含む廃棄物・副産物に由来する材料をセメントクリンカー原料として多く利用することができ、環境負荷低減の観点から望ましいセメント組成物を提供できる。
セメントクリンカー中のCS量の下限値は、20.0質量%以上であるが、好ましくは30.0質量%以上であり、より好ましくは33.0質量%以上であり、更に好ましくは37.0質量%以上であり、更により好ましくは41.0質量%以上であり、特に好ましくは45.0質量%以上である。CS量の下限値が上記範囲内であることによって、セメント硬化体の初期強度の低下をより抑制できる。セメントクリンカー中のCS量の上限値は、80.0質量%であるが、好ましくは65.0質量%以下であり、より好ましくは60.0質量%以下であり、更に好ましくは54.0質量%以下であり、特に好ましくは48.0質量%以下である。CS量の上限値が上記範囲内であることによって、セメント組成物をより容易に製造することができる。
セメントクリンカー中のCA量の下限値は、6.0質量%以上であるが、好ましくは、8.0質量%以上であり、より好ましくは9.0質量%以上であり、更に好ましくは9.5質量%以上であり、特に好ましくは10.0質量%超であり、最も好ましくは10.3質量%以上である。CA量の下限値を上記範囲内とすることによって、セメント組成物に占める混和材の含有量を増大させることができ、CO排出量を従前よりも更に低減してセメント組成物を製造することができる。セメントクリンカー中のCA量の上限値は、15.0質量%以下であるが、好ましくは14.0質量%以下であり、より好ましくは13.5質量%以下であり、更に好ましくは12.5質量%以下であり、特に好ましくは10.5質量%未満である。CA量の上限値を上記範囲内とすることによって、セメント組成物の硬化時における断熱温度上昇の増加をより低減することができ、DEFによる膨張を更に抑制することができる。
本明細書におけるCA量、及びCS量は、JIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」に記載の方法に準拠して測定されたセメントクリンカーの化学分析値を用いて、Bogue式によって算出される値を意味する。
セメントクリンカーがSO及びROを含んでよい。
セメントクリンカー中のRO量は、セメントクリンカー100質量%を基準として、好ましくは0.10~2.00質量%であり、より好ましくは0.15~1.50質量%であり、更により好ましくは0.20~1.20質量%であり、特に好ましくは0.25~0.75質量%である。RO量が上述の範囲内であることによって、セメントクリンカー焼成時に使用する廃棄物量をより増加させることが可能であり、当該セメントクリンカーを含むセメント組成物から得られるセメント硬化体におけるDEFをより抑制することができる。
セメントクリンカー中のRO量は、JIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」に記載の方法に準拠して測定したセメントクリンカーの化学分析値を用い、下記式から算出される値を意味する。なお、RO量はセメント中の全アルカリ量として、品質規格などに利用されている。下記式中の「%」は「質量%」を意味する。
O[%]=NaO[%]+0.658×KO[%]
セメントクリンカー中のSO量は、セメントクリンカー100質量%を基準として、好ましくは0.10~2.00質量%であり、より好ましくは0.15~1.50質量%であり、更により好ましくは0.20~1.20質量%であり、特に好ましくは0.25~0.75質量%である。SO量が上述の範囲内であることによって、セメントクリンカー焼成時に使用する廃棄物量をより増加させることが可能であり、当該セメントクリンカーを含むセメント組成物から得られるセメント硬化体におけるDEFをより抑制することができる。
セメントクリンカー中のSO量は、JIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」に記載の方法に準拠して測定したセメントクリンカーの化学分析値を意味する。
石膏は、例えば、二水石膏、半水石膏、及び無水石膏を使用することができる。石膏は、1種を単独で使用してもよく、また複数を組み合わせて使用してもよい。セメント組成物における石膏の含有量は、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計の含有量を100質量%として、SO換算で、好ましくは0.5質量%以上1.8質量%未満であり、より好ましくは0.7質量%以上1.7質量%未満であり、更に好ましくは1.1~1.6質量%である。石膏の含有量が上述の範囲内であることによって、セメント組成物を高温養生した際の脱型時の圧縮強さの低下をより抑制することができ、セメント硬化体におけるDEFをより抑制することができる。
セメント組成物においては、上記セメントクリンカー及び上記石膏を、予め混合・粉砕したベースセメントとして含んでもよい。
ベースセメントのブレーン比表面積は、好ましくは3000~5000cm/gであり、より好ましくは3100~4500cm/gであり、更に好ましくは3150~4000cm/gである。ブレーン比表面積が上述の範囲内であることで、セメント硬化体の脱型時の圧縮強さをより向上させることができ、セメント組成物の初期の水和発熱を低下させ、セメント硬化体におけるDEFをより抑制することができる。
本明細書における「ブレーン比表面積」は、JIS R 5201:2015「セメントの物理試験方法」に記載の方法に準拠して測定される値を意味する。
混合材としては、例えば、石灰石、及び石炭灰等が挙げられる。混合材は、石炭灰及び石灰石の併用が望ましい。石炭灰及び石灰石を併用することによって、セメント組成物の製造におけるCO発生量の低減、及びセメント組成物を高温養生して得られるセメント硬化体の圧縮強さをより向上させることができる。
混合材の含有量は、セメント組成物の製造におけるCO発生量低減を含む低炭素化の観点からは多い方が望ましく、一方でセメント硬化体の物性(例えば、圧縮強さ等)向上の観点からは少ない方が望ましい。混合材の含有量は、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計の含有量を100質量%として、2.0~30.0質量%であるが、好ましくは2.5~27.5質量%であり、より好ましくは3.0~20.0質量%であり、更に好ましくは4.0~15.0質量%であり、特に好ましくは5.0質量%を超えて12.5質量%以下である。
混合材が、石炭灰に加えて、その他の成分(例えば、石灰石)を含む場合、石炭灰の含有量は、混合材の全量を基準として、好ましくは15.0~85.0質量%であり、より好ましくは25.0~75.0質量%であり、更に好ましくは35.0~60.0質量%であり、特に好ましくは45.0~55.0質量%である。混合材における石炭灰の含有量を上述の範囲内とすることで、セメント硬化体におけるDEF膨張をより抑制することができ、セメント組成物の高温養生によって得られるセメント硬化体の圧縮強さをより向上させることができる。
石炭灰は、例えば、石炭火力発電所から排出される石炭灰を好適に使用できる。上記混合材は、石炭灰及び石灰石に加えて、その他の成分を含んでもよい。例えば、石炭火力発電所の発電ボイラ燃料として、主燃料である石炭と、木屑、やし殻、及び下水汚泥等に由来するバイオマス燃料とを投入して混焼した場合に得られる灰も、混合材として使用することができる。
石炭灰のブレーン比表面積は、好ましくは3900~10000cm/gであり、より好ましくは4200~8000cm/gであり、更に好ましくは4500~6500cm/gであり、更により好ましくは5000~6000cm/gである。石炭灰のブレーン比表面積は、例えば、石炭灰の分級、破砕等によって調整することができる。石炭灰のブレーン比表面積はまた、ブレーン比表面積の異なる石炭灰を混合して調整してもよく、粉砕した石炭灰と、分級した石炭灰とを混合することによって調整してもよい。石炭灰の分級方法としては、例えば、空気分級、静電分級、篩い分級、重力場分級、及び遠心力場分級などが挙げられる。石炭灰の粉砕方法としては、例えば、ボールミル、ジェットミル、ロッドミル、ブレードミル等の機器を用いる方法が挙げられる。
石炭灰の粒度は、好ましくは、4μm残分が40~85体積%であり、かつ32μm残分が0~20.0体積%以下であり、より好ましくは、4μm残分が65~80体積%であり、かつ32μm残分が10.0体積%以下であり、更に好ましくは、4μm残分が70.5~77.5体積%であり、かつ32μm残分が5.0体積%以下である。石炭灰の4μm残分が40体積%以上であることで、微細な石炭灰粒子の含有量を低減し、ハンドリング性の低下を抑制することができる。石炭灰の4μm残分が40体積%以上であることでまた、セメント組成物の硬化時における断熱温度上昇の増加をより抑制することができ、DEF抑制効果をより長期に維持することができる。石炭灰の32μm残分が20.0体積%以下であることで、石炭灰の粗大粒子の含有量が少なく、ポゾラン反応性の低下を抑制し、セメント硬化体の強度(例えば、圧縮強さ等)の低下及びDEF抑制効果の低下をより抑制することができる。
本明細書における石炭灰の粒度は、レーザー回折式粒度分布計によって求められる値を意味する。本明細書における石炭灰の4μm残分とは、石炭灰全量に対する粒子径が4μm以上である粒子の含有割合を意味し、石炭灰の32μm残分とは、石炭灰全量に対する粒子径が32μm以上である粒子の含有割合を意味する。
石炭灰の含有量は、DEF抑制の観点からは多い方が望ましく、一方で、セメント硬化体の物性(例えば、圧縮強さ等)向上の観点からは少ない方が望ましい。石炭灰の含有量は、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計の含有量を基準として、好ましくは0~22.5質量%であり、より好ましくは1.0~17.0質量%であり、更に好ましくは1.5~12.5質量%であり、特に好ましくは2.5~7.5質量%である。
石灰石としては、例えば、一般に販売されている石灰石粉、及び寒水石粉等の炭酸カルシウムを主成分とする粉末を使用することができる。石灰石は、好ましくは、JIS R 5210「ポルトランドセメント」に記載の少量混合成分に適合するものを含む。
石灰石のブレーン比表面積は、好ましくは2500~10000cm/gであり、より好ましくは4000~9000cm/gであり、更に好ましくは6000~8000cm/gである。石灰石のブレーン比表面積が2500cm/g以上であることで、セメント組成物の反応性を向上させることができる。石灰石のブレーン比表面積が10000cm/g以下であることで、ハンドリング性の低下を抑制できる。
石灰石の含有量は、DEF抑制の観点からは少ない方が望ましく、一方で、セメント組成物の製造におけるCO発生量低減を含む低炭素化の観点からは多い方が望ましい。石灰石の含有量は、上記前記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計の含有量を基準として、好ましくは2.0~22.5質量%であり、より好ましくは2.2~17.0質量%であり、より好ましくは2.5~12.5質量%であり、更に好ましくは2.5質量%を超10.0質量%以下である。石灰石の含有量が上述の範囲内であることで、水和発熱をより低減でき、セメント硬化体の強度もより増進することができる。石灰石の含有量が上述の範囲内であることで、セメント硬化体の初期及び長期の強度発現性をより向上させることができる。
上述のセメント組成物に細骨材、粗骨材、水及び/又は混和剤、硬化促進剤等を加えることによってモルタル組成物又はコンクリート形成用組成物を製造することができる。細骨材を含有するセメント組成物は、モルタル形成用として好適であり、モルタル形成用組成物又は単にモルタル組成物ということもある。粗骨材を含有するセメント組成物は、コンクリート形成用として好適であり、コンクリート形成用組成物ということもある。上述のセメント組成物を用いて形成されるモルタル及びコンクリートは、優れた断熱温度上昇抑制、強度増進、及びDEF抑制効果を発揮し得る。
細骨材は、JIS A 5005「コンクリート用砕石及び砕砂」に規定の細骨材等を用いることができる。細骨材としては、例えば、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、硬質高炉スラグ細骨材、高炉スラグ細骨材、銅スラグ細骨材、及び電気炉酸化スラグ細骨材等が挙げられる。細骨材は、1種を単独で使用してもよく、また複数を組み合わせて使用してもよい。上述のセメント組成物における細骨材の含有量は、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計量100質量部に対して、例えば、150~350質量部であってよい。
粗骨材は、JIS A 5005「コンクリート用砕石及び砕砂」に規定の粗骨材等を用いることができる。粗骨材としては、例えば、砂利、砕石、高炉スラグ粗骨材、及び電気炉酸化スラグ粗骨材等が挙げられる。粗骨材は、1種を単独で使用してもよく、また複数を組み合わせて使用してもよい。上述のセメント組成物における粗骨材の含有量は、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計量100質量部に対して、好ましくは150~350質量部である。
水としては、例えば、水道水、蒸留水、及び脱イオン水等が挙げられる。上述のセメント組成物における水の含有量は、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計量100質量部に対して、好ましくは20質量部以上60質量部以下である。セメント組成物における水の含有量を上述の範囲内とすることで、所定のフレッシュ性状(流動性、空気量等)及び成形性を十分に確保することができ、得られるセメント硬化体の圧縮強さ及び耐久性の低下も十分抑制することができる。
混和剤としては、例えば、AE剤、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤、消泡剤、収縮低減剤、凝結促進剤、凝結遅延剤、及び増粘剤等が挙げられる。混和剤は、求められる性能に応じて、1種を単独で使用してもよく、また複数を組み合わせて使用してもよい。上述のセメント組成物における混和剤の含有量は、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01~2質量部である。
硬化促進剤としては、例えば、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、無水石膏、生石灰、消石灰、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、アルミン酸アルカリ、炭酸アルカリ、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジエタノールイソプロパノールアミン、ギ酸カルシウム、無水マレイン酸、ロダン酸カルシウム、C-S-Hナノ粒子、及びチオシアン酸カルシウム等が挙げられる。硬化促進剤は、1種を単独で使用してもよく、また複数を組み合わせて使用してもよい。上述のセメント組成物における硬化促進剤の含有量は、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部であり、より好ましくは3.0~15質量部であり、更に好ましくは6.0~10質量部以下である。硬化促進剤の含有量が上述の範囲内であることで、硬化促進効果を十分に発揮させると共に、凝結の促進及び流動性の低下などを抑制することができる。
上述のセメント組成物のブレーン比表面積は、好ましくは3000~6000cm/gであり、より好ましくは3050~5000cm/gであり、更に好ましくは3100~4500cm/gであり、更により好ましくは3150~4000cm/gであり、特に好ましくは3200~3800cm/gである。ブレーン比表面積が上述の範囲内であることで、セメント硬化体の脱型時の圧縮強さをより向上させることができ、セメント組成物の初期の水和発熱を低下させ、セメント硬化体におけるDEFをより抑制することができる。
上述のセメント組成物は、例えば、以下のような方法によって製造することができる。セメント組成物の製造方法の一実施形態は、Bogue式によって算出されるCS量が20.0~80.0質量%であり、CA量が6.0~15.0質量%であるセメントクリンカーと、石膏と、混合材と、を混合する工程(混合工程)を備える。
上記製造方法においては、上記工程において、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計の含有量を100質量%とする、上記混合材の含有量を、2.0~30.0質量%とし、上記CS量、上記CA量、並びに、石炭灰の含有量を、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の合計の含有量を100質量%に対する上記石炭灰の含有量が、下記式(1)の関係を満たすように、上記セメントクリンカー、上記石膏及び上記混合材の配合を調整する。
[CS量(質量%)]≦-3.3×[CA量(質量%)]+2.0×[石炭灰の含有量(質量%)]+β …式(1)
上記式(1)において、βは91.0以下の実数を示す(β≦91.0である)が、例えば、好ましくは91.0であってよく、より好ましくは81.0であり、更に好ましくは71.0である。
混合工程における各種成分の混合順序は適宜調整してよく、例えば、セメントクリンカー及び石膏を先に混合しベースセメントを調製し、その後に混合材を混合してもよく、セメントクリンカー、石膏及び混合材を一度に混合してもよい。混合工程は、各種成分を粉砕する粉砕工程を兼ねてもよい。例えば、上記製造方法は、セメントクリンカー、石膏、及び混合材を粉砕機に投入し混合及び粉砕する混合工程を備えてもよい。混合工程がセメントクリンカー、石膏、及び混合材を混合及び粉砕する工程であることで、DEFの抑制効果により優れるセメント組成物を製造することができる。
混合工程における各種成分の混合は、例えば、パン型ミキサー、傾胴式ミキサー、リボンミキサー等の混合機を用いて行ってよい。
以上、幾つかの実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。また、上述した実施形態についての説明内容は、互いに適用することができる。
以下、実施例及び比較例を参照して本開示の内容をより詳細に説明する。ただし、本開示は、下記の実施例に限定されるものではない。
[ベースセメント(セメントクリンカー及び石膏の混合物)の調製]
表1に後述する実施例及び比較例で使用したベースセメント(NC1~NC8)を示す。ベースセメント(NC1~NC8)は、いずれも少量添加成分の混和材を添加せずに、まずセメントクリンカーに二水石膏を添加し、ブレーン比表面積が3300±100cm/gとなるようにボールミルで粉砕して調製した。ベースセメント中の全SO量が1.9質量%±0.1質量%となるように二水石膏量を調整して添加した。
表1には、ベースセメントのブレーン比表面積値、化学成分、及びBogue式によって算出されるセメントクリンカーの鉱物組成を示した。ベースセメントのブレーン比表面積はJIS R 5201「セメントの物理試験方法」に基づき求めた。ベースセメントの化学組成、及びセメントクリンカーの鉱物組成はJIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」に基づき、分析を行なった。蛍光X線分析には株式会社リガク製のSimultix12を用いた。
Figure 2024169595000001
[石炭灰(フライアッシュ)]
表2に後述する実施例及び比較例で使用した石炭灰(F1)を示す。石炭灰(FA1)は、火力発電所から採取した石炭灰を、旋回気流式分離機(日清エンジニアリング株式会社製、ターボクラシファイア)を用いて3000rpmの条件下で分級し、粗粉分を除去して、得られた微粉の分画を更に6000rpmの条件下で分級し、極細かい微粒分を除去して、粒度を調整したうえで用いた。
表2には、石炭灰のブレーン比表面積、及び粒度を示す。石炭灰のブレーン比表面積はJIS R 5201「セメントの物理試験方法」に基づいて求めた。石炭灰の粒度分布は、株式会社島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置SALD2200を用いて、石炭灰をエタノール中に分散させて測定した。
Figure 2024169595000002
[石灰石]
後述する実施例及び比較例で使用した石灰石(CC)は、宇部マテリアルズ株式会社製の325メッシュ品(45μmふるい通過分)を用いた。当該325メッシュ品は、ブレーン比表面積が7470cm/g、炭酸カルシウム含有量が90質量%以上、酸化アルミニウム含有量が1.0質量%以下であり、JIS R 5210:2019「ポルトランドセメント」の少量混合成分に適合するものを用いた。
[細骨材]
DEF試験及び圧縮強さ測定では、細骨材として、セメント協会(一社)のセメント強さ試験用標準砂を用いた。
(実施例1~12、及び比較例4)
ベースセメント、石炭灰及び石灰石を表3に示す配合割合(質量%)で、混合及び粉砕することで、セメント組成物を調製した。表3に示すセメント組成物について、使用したセメント組成物を構成するセメントクリンカーの鉱物組成の関係を示すグラフを作成し、図1,図2及び図3に示した。図中の直線の下部の領域が、式(1)においてβが91.0である場合を示し、点線の下部の領域が、式(1)においてβが81である場合を示す。
Figure 2024169595000003
[DEF試験及び圧縮強さ測定]
(モルタル組成物の調製)
実施例及び比較例で調製した各組成物に対して、細骨材としてのセメント協会(一社)のセメント強さ試験用標準砂、及び水を配合し、JIS R 5201:2015「セメントの物理試験方法」に記載の方法に準拠してモルタル組成物を調製した。モルタル組成物の配合は表4に示した。
Figure 2024169595000004
(DEF試験)
DEF試験は、上述のモルタル試験体については、硬化促進剤として硫酸カリウムを加え、混合セメント中の全SO量を6.2質量%に調整し、更に90℃の高温での前養生を施すことでDEFを生じやすい条件の下で行った。これは、高温養生及びSO量の増加が無い場合には、DEFによる膨張を生じない場合があり得、観測を容易なものとするために、上述の調整を行った。
より具体的には、まずモルタル組成物に硬化促進剤を添加した後、練り混ぜ及び型詰めを行った。次に、型枠を封かん状態にして恒温槽に入れ、20℃において4時間かけて養生し、2時間かけて90℃まで上昇させ、90℃において12時間保持した。12時間経過後、4時間かけて20℃まで温度を下げ、20℃において2時間養生した。その後、脱型し、モルタル硬化体を得た。
上述と同様の方法で3つのモルタル硬化体を調製した。3本のうち2本を、DEF試験に使用した。調製されたモルタル硬化体について、20℃の恒温室にて水中養生を行い、各モルタル硬化体についての長さ変化量を測定した。長さ変化量の測定方法は、JIS A 1129-3:2010「モルタル及びコンクリートの長さ変化測定方法」の記載に準拠して、ダイヤルゲージを用いて、脱型時を基長として、水中養生材齢7日目、14日目、28日目、その後は28日間経過毎にモルタル硬化体を水中から取り出して、長さ変化量を測定した。2本のモルタル硬化体の表裏の4か所にて、長さ変化量を測定し、その平均値を、対象とするモルタル硬化体の長さ変化量とした。得られた長さ変化量をストレインゲージの間隔(100mm)で除した値を、モルタル硬化体の膨張率とし、水中養生材齢112日目のモルタル硬化体について以下の基準でDEF抑制の程度を評価した。結果を表5に示す。
A:モルタル硬化体の膨張率が0.03%以下である。
B:モルタル硬化体の膨張率が0.03%超0.10%以下である。
C:モルタル硬化体の膨張率が0.10%超1.00%以下である。
D:モルタル硬化体の膨張率が1.00%超である。
(脱型時の圧縮強さの測定)
練り混ぜから24時間時点での脱型時の圧縮強さを測定した。圧縮強さの測定は、JIS R 5201:2015「セメントの物理試験方法」に記載の方法に準拠した。測定は上記3本のうち1本を対象として行い、2回の測定を行って得られた平均値を脱型時の圧縮強さとし、下記の基準で評価した。結果を表5に示す。
A:圧縮強さが35MPa以上である。
B:圧縮強さが30MPa以上であり、35MPa未満である。
C:圧縮強さが27MPa以上であり、30MPa未満である。
D:圧縮強さが23MPa以上であり、27MPa未満である。
E:圧縮強さが20MPa以上であり、23MPa未満である。
F:圧縮強さが20MPa未満である。
Figure 2024169595000005
表5に示されるとおり、石炭灰を用いずに調製した実施例1~3のモルタル組成物と比較例1~3の組成物との比較から、式(1)を満たすセメント組成物では膨張率を抑制することができ、脱型時の圧縮強さの点でも優れることが確認された。
表5に示されるとおり、石炭灰の含有量が5質量%である実施例4~10のモルタル組成物と比較例4の組成物との比較から、式(1)を満たすセメント組成物では膨張率を抑制することができ、脱型時の圧縮強さの点でも優れることが確認された。特に、比較例1の組成物と実施例7のモルタル組成物と、並びに比較例2の組成物と実施例8のモルタル組成物とは、それぞれ同一のセメントクリンカーを含有するものであるが、式(1)を満たすように石炭灰の含有量を増加させることによって、DEF膨張の抑制効果と脱型時の圧縮強さとを高水準で両立できることが確認された。
表5に示されるとおり、石炭灰の含有量が10質量%である実施例11及び12のモルタル組成物は、式(1)を満たすことで、膨張率が低く、脱型時の圧縮強さに優れることが確認された。特に、比較例3及び比較例4の組成物と実施例12のモルタル組成物とは、それぞれ同一のセメントクリンカーを含有するものであるが、式(1)を満たすように石炭灰の含有量を増加させることによって、DEF膨張の抑制効果と脱型時の圧縮強さとを高水準で両立できることが確認された。
本開示によれば、CA量が多い場合であっても、セメント製造時のCO排出量を従前よりも低減して製造することが可能であり、DEF膨張を抑制し、高温養生後の脱型強度に優れるセメント組成物、及びその製造方法を提供できる。

Claims (10)

  1. Bogue式によって算出されるCS量が20.0~80.0質量%であり、CA量が6.0~15.0質量%であるセメントクリンカーと、
    石膏と、
    混合材と、を含有し、
    前記セメントクリンカー、前記石膏及び前記混合材の合計の含有量を100質量%とする、前記混合材の含有量が2.0~30.0質量%であり、
    前記CS量、前記CA量、並びに、前記セメントクリンカー、前記石膏及び前記混合材の合計の含有量を100質量%に対する石炭灰の含有量が、
    [CS量(質量%)]≦-3.3×[CA量(質量%)]+2.0×[石炭灰の含有量(質量%)]+β …式(1)
    [前記式(1)において、前記βは91.0以下の実数を示す。]
    の関係を満たす、セメント組成物。
  2. 前記セメントクリンカーがSO及びROを含み、
    前記セメントクリンカー100質量%における、前記SO量が0.10~2.00質量%であり、且つ前記RO量が0.10~2.00質量%である、請求項1に記載のセメント組成物。
  3. ブレーン比表面積が3000~6000cm/gである、請求項1又は2に記載のセメント組成物。
  4. 前記混合材が石灰石を含み、
    前記石灰石の含有量が、前記セメントクリンカー、前記石膏及び前記混合材の合計の含有量を基準として、2.0~22.5質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載のセメント組成物。
  5. 前記混合材が石灰石及び石炭灰を含み、
    前記石炭灰の含有量が、前記セメントクリンカー、前記石膏及び前記混合材の合計の含有量を基準として、15.0~85.0質量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載のセメント組成物。
  6. 前記石炭灰のブレーン比表面積が3900~10000cm/gである、請求項1~5のいずれか一項に記載のセメント組成物。
  7. 前記石膏の含有量が、前記セメントクリンカー、前記石膏及び前記混合材の合計の含有量を100質量%として、SO換算で、0.5質量%以上1.8質量%未満である、請求項1~6のいずれか一項に記載のセメント組成物。
  8. 前記石炭灰は、4μm残分が40~85体積%であり、且つ32μm残分が0~20.0体積%である、請求項1~7のいずれか一項に記載のセメント組成物。
  9. 硬化促進剤を更に含有し、
    前記セメントクリンカー、前記石膏及び前記混合材の合計量100質量部に対する前記硬化促進剤の含有量が0.1~20質量部である、請求項1~8のいずれか一項に記載のセメント組成物。
  10. Bogue式によって算出されるCS量が20.0~80.0質量%であり、CA量が6.0~15.0質量%であるセメントクリンカーと、石膏と、混合材と、を混合する工程を備え、
    前記工程において、前記セメントクリンカー、前記石膏及び前記混合材の合計の含有量を100質量%とする前記混合材の含有量を2.0~30.0質量%とし、前記CS量、前記CA量、並びに、前記セメントクリンカー、前記石膏及び前記混合材の合計の含有量を100質量%に対する石炭灰の含有量が、
    [CS量(質量%)]≦-3.3×[CA量(質量%)]+2.0×[石炭灰の含有量(質量%)]+β …式(1)
    [前記式(1)において、前記βは91.0以下の実数を示す]
    の関係を満たすように、前記セメントクリンカー、前記石膏及び前記混合材の配合を調整することを特徴とする、セメント組成物の製造方法。
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