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JP2022083803A - 吸収性物品 - Google Patents

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JP2022083803A JP2020195344A JP2020195344A JP2022083803A JP 2022083803 A JP2022083803 A JP 2022083803A JP 2020195344 A JP2020195344 A JP 2020195344A JP 2020195344 A JP2020195344 A JP 2020195344A JP 2022083803 A JP2022083803 A JP 2022083803A
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暁 湯山
Akira Yuyama
真人 安田
Masato Yasuda
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Abstract

【課題】実用上十分な液吸収性を有し、肌触りが滑らかで着用感に優れる吸収性物品を提供すること。【解決手段】吸収性物品1は、体液を吸収保持可能な吸収性コア5と、該吸収性コア5よりも着用者の肌から近い側に配された表面シート3とを備える。吸収性コア5よりも着用者の肌から遠い側に、複数の繊維塊11の集合体である繊維塊層6が配されている。繊維塊11は、非吸水性の熱可塑性繊維を含む。繊維塊11の構成繊維の平均繊度は、1dtex以上2.5dtex以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、複数の繊維塊の集合体である繊維塊層を備えた吸収性物品に関する。
使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品として、着用者の肌と接触し得る位置に配された表面シートと、該表面シートよりも着用者の肌から遠い位置に配された裏面シートと、両シート間に介在配置された吸収体とを含むものが知られている。吸収体は、典型的には、木材パルプ等の吸水性繊維や吸水性ポリマーなどの吸水性材料を含有する吸収性コアを主体とし、尿、便、経血等の体液を吸収保持可能である。吸収体に要求される特性は、液吸収性のみならず、柔軟性、クッション性、保形性等、多数存在し、これに対応して吸収体の改良技術が種々提案されている。
特許文献1には、熱可塑性繊維とセルロース系吸水性繊維とを含有する吸収体であって、該熱可塑性繊維が、該吸収体の表面シート側の表面と該吸収体の裏面シート側の表面との両方に露出しているものが記載されている。特許文献1によれば、熱可塑性繊維がこのように配されていることで、吸収体は柔軟でヨレにくいとされている。
特許文献2には、熱融着繊維どうしが結合した3次元構造の不織布片と親水性の繊維とを混合した吸収体が記載されている。
本出願人は、先に、合成繊維を含んでなる繊維塊と吸水性繊維とを含有し、該繊維塊どうし又は該繊維塊と該吸水性繊維とが交絡している吸収体を提案した(特許文献3)。特許文献3に記載の繊維塊は、特許文献2に記載の不織布片とは対照的に、形状が定形で平面を有しており、該繊維塊を含む吸収体は、クッション性及び圧縮回復性に優れ、外力に対して応答性よく柔軟に変形し得る。
また出願人は、特許文献3に記載の繊維塊を含む吸収体を備えた吸収性物品として、着用者の排泄部に対向する領域において、吸収性コアの非肌対向面側よりも吸収性コアの肌対向面側の方が、繊維塊及び吸水性繊維の合計含有質量に対する該繊維塊の含有質量の比率が小さいもの、すなわち、吸収性コアよりも着用者の肌から遠い側に、複数の繊維塊の集合体である繊維塊層が配されたものを提案した(特許文献4)。特許文献4に記載の吸収性物品は、クッション性及び液引き込み性に優れ、また、着用中に吸収体がヨレ難いという特長を有する。
特開2015-16296号公報 特開2002-301105号公報 特開2017-63469号公報 特開2020-96779号公報
表面シートは通常、吸収性物品において着用者の肌と接触する機会が最も多い部材であり、表面シートの肌触りは、吸収性物品の着用感等の品質に大きな影響を及ぼし得る。表面シートの肌触りとしては一般に、滑らかな肌触りが好まれるところ、表面シートの構成繊維を低繊度化する(繊維径を細くする)ことで、表面シートに滑らかな肌触りを付与することができる。しかしながら、表面シートの構成繊維が細くなると、繊維どうしの間隙に体液が保持されやすくなり、表面シートの肌対向面上に排泄された体液の吸収性コア側への引き込み性が低下するため、吸収性物品の液吸収性が低下し、具体的には例えば、表面シートに体液が残りやすい、液戻り(ウエットバック)が発生しやすい等の不都合が生じやすくなる。液戻りは、表面シートの肌対向面上に排泄された体液が、該表面シート内あるいは吸収性コアに一旦引き込まれた後、再び該表面シートの肌対向面に戻る現象である。このように従来技術では表面シートの肌触りの向上(滑らかな感触の獲得)と液吸収性とはトレードオフの関係にある。液吸収性の低下を招かずに、表面シートに滑らかな肌触りを付与する技術は未だ提供されていない。
本発明の課題は、実用上十分な液吸収性を有し、肌触りが滑らかで着用感に優れる吸収性物品を提供することに関する。
本発明は、体液を吸収保持可能な吸収性コアと、該吸収性コアよりも着用者の肌から近い側に配された表面シートとを備える吸収性物品であって、前記吸収性コアよりも着用者の肌から遠い側に、複数の繊維塊の集合体である繊維塊層が配されている。
本発明の吸収性物品の一実施形態では、前記繊維塊は、非吸水性の熱可塑性繊維を含むことが好ましい。
本発明の吸収性物品の一実施形態では、前記繊維塊の構成繊維の平均繊度は、1dtex以上2.5dtex以下であることが好ましい。
本発明の他の特徴、効果及び実施形態は、以下に説明される。
本発明によれば、実用上十分な液吸収性を有し、肌触りが滑らかで着用感に優れる吸収性物品が提供される。
図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキンの肌対向面側(表面シート側)を一部破断して模式的に示す平面図である。 図2は、図1のI-I線断面(吸収性物品の厚み方向且つ横方向に沿う断面)の模式的な断面図である。 図3は、図2をより簡略化したもので、本発明の吸収性物品の着用中の状態の説明図であり、図3(a)は、表面シートの肌対向面に肌が接触している状態、図3(b)は、図3(a)に示す状態から肌が矢印で示す方向に移動した場合の状態を示す。 図4は、本発明の吸収性物品の他の実施形態の図2相当図である。 図5は、本発明の吸収性物品の更に他の実施形態の図2相当図である。 図6は、図5に示す吸収性コアの非肌対向面側の模式的な平面図である。 図7は、本発明に係る繊維塊の一例の模式的な斜視図である。 図8は、本発明に係る繊維塊の一例を模式的に示した図である。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
図1及び図2には、本発明の吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキン1が示されている。ナプキン1は、経血等の体液を吸収保持可能な吸収性コア5と、吸収性コア5よりも着用者の肌から近い側(吸収性コア5の肌対向面側)に配された表面シート3とを備える。
本実施形態では、ナプキン1は、図1に示すように、着用者の前後方向に対応し、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる縦方向Xと、縦方向Xに直交する横方向Yとを有している。またナプキン1は、着用者の膣口などの排泄部に対向する排泄部対向部を含む縦中央域Mと、縦中央域Mよりも着用者の前側(腹側)に配される前方域Fと、縦中央域Mよりも着用者の後側(背側)に配される後方域Rとを有する。
本実施形態では、ナプキン1は、縦方向Xに長い形状の吸収性本体2と、吸収性本体2における縦中央域Mの縦方向Xに沿う両側部それぞれから横方向Yの外方に延出する一対のウイング部2W,2Wとを有している。吸収性本体2は、ナプキン1の主体をなす部分であり、図2に示すように、表面シート3及び吸収性コア5に加えて更に、吸収性コア5よりも着用者の肌から遠い側(吸収性コア5の非肌対向面側)に配された裏面シート4と、吸収性コア5と裏面シート4との間に介在配置された繊維塊層6とを備える。図2に示す形態では、吸収性コア5及び繊維塊層6が液透過性シート7で一体的に覆われている。
なお、縦中央域Mは、前記排泄部対向部を含む、吸収性物品の縦方向(長手方向、図中のX方向)に所定範囲の領域のことであるが、本実施形態のナプキン1のように、吸収性物品がウイング部を有する場合には、該吸収性物品の縦方向においてウイング部を有する領域に相当し、ナプキン1を例にとれば、一方のウイング部2Wの縦方向Xに沿う付け根と他方のウイング部2Wの縦方向Xに沿う付け根とに挟まれた領域である。ナプキン1においては、一対のウイング部2W,2Wは、ナプキン1を横方向Yに二等分して縦方向Xに延びる縦中心線(図示せず)を基準として左右対称に形成されており、一方のウイング部2Wの前方域Fに近い側の付け根と他方のウイング部2Wのそれとは、縦方向Xにおいて同位置に存する。また、ウイング部を有しない吸収性物品(例えば使い捨ておむつ)における縦中央域は、例えば、該吸収性物品を縦方向に三等分したときに中間に位置する領域に相当する。
本明細書において、「肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収性コア5)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌に向けられる面、換言すれば、相対的に着用者の肌から近い面であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材の肌対向面とは反対側の面(相対的に着用者の肌から遠い面)である。なお、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置、すなわち当該吸収性物品の正しい着用位置が維持された状態を意味する。
図2に示すように、表面シート3は、吸収性コア5の肌対向面の全域を被覆し、裏面シート4は、吸収性コア5の非肌対向面の全域を被覆している。両シート3,4は、それぞれ、吸収性コア5の縦方向Xの両端から外方に延出している。裏面シート4は、吸収性コア5の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出し、後述するサイドシート8とともにサイドフラップ部2Sを形成している。サイドフラップ部2Sは、図1に示すように、縦中央域Mに周辺部よりも横方向Yの外方に突出した部分を有し、該部分がウイング部2Wである。ウイング部2Wは、ナプキン1をショーツ等の着衣に装着する際に、該着衣のクロッチ部の非肌対向面側に折り返されて使用されるもので、ウイング部2Wにおける、該着衣のクロッチ部の非肌対向面との対向面には、ウイング部2Wの固定手段としてウイング部粘着部(図示せず)が設けられている。また、吸収性本体2の非肌対向面(裏面シート4の非肌対向面)には、ナプキン1をショーツ等の着衣に固定する固定手段として粘着部(図示せず)が設けられている。前記ウイング部粘着部及び前記本体粘着部は、それぞれ、その使用前においてはフィルム、不織布、紙等からなる剥離シート(図示せず)によって被覆されている。また、吸収性本体2の肌対向面(表面シート3の肌対向面)における縦方向Xに沿う両側部には、平面視において吸収性コア5の縦方向Xに沿う左右両側部に重なるように、一対のサイドシート8,8が吸収性本体2の縦方向Xの略全長にわたって配されている。一対のサイドシート8,8は、それぞれ縦方向Xに延びる図示しない線状の接合部にて、接着剤等の公知の接合手段によって表面シート3等の他の部材に接合されている。
表面シート3、裏面シート4、吸収性コア5、サイドシート8としては、本発明の要旨から逸脱しないことを条件として、それぞれ、この種の吸収性物品に従来使用されている各種のものを特に制限なく用いることができる。
表面シート3としては、例えば、液透過性を有する単層又は積層構造の不織布を用いることができ、該不織布として、カード法により製造された不織布(例えば、エアスルー不織布)、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布を例示できる。表面シート3を構成する不織布には、界面活性剤等の親水化剤を用いた親水化処理が施されていてもよい。
裏面シート4及びサイドシート8としては、防漏性を有するシート、すなわち、液不透過性(液を全く通さない性質)又は液難透過性(液不透過性とまでは言えないものの、液を通し難い性質)を有するシートを用いることができ、例えば、透湿性の樹脂フィルムを用いることができる。
吸収性コア5の一例として、吸水性繊維を含む繊維集合体からなる、いわゆる積繊型吸収性コアが挙げられる。積繊型吸収性コアは、典型的には、公知の積繊装置を用いて吸水性繊維を積もらせることで製造される。積繊型吸収性コアにおいて、繊維集合体における吸水性繊維の含有量は、該繊維集合体の全質量に対して、好ましくは50質量%以上であり、100質量%でもよい。積繊型吸収性コアは吸水性ポリマーを含んでいてもよく、例えば、繊維集合体の内部に吸水性ポリマーの粒子が担持された構成のものが挙げられる。
吸収性コア5の他の一例として、シート型吸収性コアが挙げられる。シート型吸収性コアは、典型的には、吸水性繊維又は非吸水性繊維を含む繊維シート(紙、不織布等)と、該繊維シートの内部又は表面に固定された吸水性ポリマー等の吸水性材料とを含む。シート型吸収性コアの具体例として、相対向する2枚の繊維シート間に吸水性ポリマーの粒子が介在配置された構成のものが挙げられる。一般に、シート型吸収性コアは、積繊型吸収性コアに比べて、厚みが薄く柔軟である。
吸収性コア5の坪量は特に制限されないが、液吸収性、着用感等の要求性能のバランスの観点から、好ましくは100g/m以上、より好ましくは200g/m以上、そして、好ましくは800g/m以下、より好ましくは600g/m以下である。
吸収性コア5で使用可能な吸水性繊維の一例としては、セルロース繊維が挙げられる。セルロース繊維としては、例えば、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプ、綿パルプや麻パルプ等の非木材パルプ等の天然繊維;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ;キュプラ、レーヨン等の再生繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
吸収性コア5で使用可能な非吸水性繊維の一例としては、繊維塊11の構成繊維である非吸水性の熱可塑性繊維が挙げられる。
吸収性コア5で使用可能な吸水性ポリマーとしては、例えば、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合物又は共重合物が挙げられる。
図2に示すように、吸収性コア5よりも着用者の肌から遠い側(吸収性コア5の非肌対向面側)には、複数の繊維塊11の集合体である繊維塊層6が配されている。繊維塊層6は、ナプキン1のクッション性、圧縮回復性、保形性などの向上に寄与し得る。
繊維塊11は、複数の繊維がまとまって一体となった繊維集合体である。繊維塊11は、例えば、一定の大きさを有する合成繊維シートをカッター等により切断して得られたシート片の如き、定形の繊維集合体でもよく、あるいは、合成繊維を主体とする不織布を細片状に粉砕し、あるいはむしり取ったり引きちぎり取ったりして製造された不定形の繊維集合体でもよい。繊維塊11として特に好ましいものは、定形の繊維集合体からなるものであり、これについては後で詳述する。
繊維塊層6では、典型的には、複数の繊維塊11は個々独立に存在しており、繊維塊層6から繊維塊11を個別に取り出すことが可能である。
繊維塊層6は、定形の繊維集合体からなる繊維塊11のみを含んでいてもよく、不定形の繊維集合体からなる繊維塊11のみを含んでいてもよく、あるいは両方の繊維塊11を含んでいてもよい。繊維塊層6として特に好ましいものは、定形の繊維集合体からなる繊維塊11のみを含む形態である。不定形の繊維集合体からなる繊維塊11は、構成繊維がランダムに配向していることに起因して、表面のあちこちから繊維が突出していて表面粗さが比較的大きいため、繊維塊層6において繊維塊11どうしがそれらの表面を介して係合しやすく、繊維塊11の動きの自由度が制限されやすい。これに対し、定形の繊維集合体からなる繊維塊11は、不定形の繊維集合体からなる繊維塊11に比べて表面粗さが小さいため、繊維塊層6において繊維塊11の動きの自由度が比較的大きい。繊維塊層6において繊維塊11の動きの自由度が大きいことは、繊維塊層6の柔軟性、クッション性、圧縮回復性、保形性の向上の点で有効である。
繊維塊層6は前述したとおり、吸収性コア5の非肌対向面側に配されていればよく、図2に示す形態のように、吸収性コア5の非肌対向面に繊維塊層6が直接重ねられていてもよく、あるいは吸収性コア5と繊維塊層6との間に他の部材が介在していてもよい(図4参照)。ただし、繊維塊層6は通常、裏面シート4が有しているような防漏性を有していないので、ナプキン1の非肌対向面側からの漏れを防止する観点から、繊維塊層6は裏面シート4の肌対向面側に配されることが好ましい。
繊維塊層6は、平面視において吸収性コア5と重なる領域の少なくとも一部に配されていればよく、該領域の全域に配されていてもよく、あるいは該領域から横方向Yの外方に延出する部分を有していてもよい。
繊維塊層6は、少なくとも縦中央域M(ナプキン1を縦方向Xに三等分したときに中間に位置する領域)に配されることが好ましい。ナプキン1の縦中央域Mは通常、ナプキン1の着用時において着用者の両大腿部間に挟まれるため、着用者の歩行動作の際の両大腿部の動きによって、縦方向Xに延びる仮想的な回転軸周りにねじられやすく、そのため、前方域F及び後方域Rに比べて外力の影響を受けやすく、ヨレ(好ましくない変形)が生じやすい。このような外力の影響を受けやすい部位である縦中央域Mに、クッション性、圧縮回復性、保形性などの向上に寄与し得る繊維塊層6を配置することで、ヨレが効果的に防止され得る。
繊維塊層6の坪量は特に制限されないが、繊維塊層6の坪量が小さすぎると、繊維塊層6による作用効果が十分に発揮されず、逆に大きすぎると、ナプキン1が嵩高となって着用感の低下につながるおそれがある。以上を考慮すると、繊維塊層6の坪量は、好ましくは32g/m以上、より好ましくは80g/m以上、そして、好ましくは640g/m以下、より好ましくは480g/m以下である。
繊維塊11は、非吸水性の熱可塑性繊維を含む。繊維塊11が非吸水性の熱可塑性繊維を含むことで、繊維塊層6が乾燥状態である場合のみならず、体液中の水分を吸収する等して湿潤状態にある場合でも、繊維塊層6による作用効果(保形性、柔軟性、クッション性、圧縮回復性、ヨレにくさなどの向上効果)が安定的に奏されるようになる。
非吸水性且つ熱可塑性の繊維は、非吸水性の熱可塑性樹脂を形成材料とする合成繊維である。非吸水性の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお本発明では、前記の非吸水性且つ熱可塑性の繊維の如き、合成樹脂(熱可塑性樹脂)を形成材料とするいわゆる合成繊維は、1種類の合成樹脂又は2種類以上の合成樹脂を混合したブレンドポリマーからなる単一繊維でもよく、あるいは複合繊維でもよい。ここでいう複合繊維は、成分の異なる2種類以上の合成樹脂を紡糸口金で複合し、同時に紡糸して得られる合成繊維で、複数の成分がそれぞれ繊維の長さ方向に連続した構造で、単繊維内で相互接着しているものをいう。複合繊維の形態には、芯鞘型、サイドバイサイド型等があり、特に制限されない。
繊維塊11に使用される非吸水性の熱可塑性繊維は、水分率が6%未満であることが好ましく、4%未満であることがより好ましい。なお、前述した吸収性コア5に好ましく使用される吸水性繊維は、水分率が6%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。水分率は下記方法により測定される。
<水分率の測定方法>
本測定方法は、JIS P8203の水分率試験方法に準拠する。具体的には、測定対象の繊維を温度40℃、相対湿度80%RHの環境に24時間静置後、その環境にて絶乾処理前の繊維の重量(W、単位:g)を測定する。その後、繊維を温度105±2℃の電気乾燥機(例えば、株式会社いすゞ製作所製)内にて1時間静置することで、繊維の絶乾処理を行う。絶乾処理後、繊維をラップフィルム(例えば、旭化成(株)製サランラップ(登録商標))で包んだ状態とし、そのラップフィルムで包まれた繊維をシリカゲルとともにガラス製デシケーター内に収容し、該デシケーターを温度20±2℃、相対湿度65±2%の環境に静置する。繊維の温度が温度20±2℃になったら、繊維の恒量(W’、単位:g)を秤量して、次式により測定対象の繊維の水分率を算出する。
繊維の水分率(%)=(W-W’/W’)×100
繊維塊11における非吸水性の熱可塑性繊維の含有量は、繊維塊11の全質量に対して、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは100質量%である。すなわち繊維塊11は、非吸水性の熱可塑性繊維以外の繊維、例えば前記吸水性繊維の一種であるセルロース繊維を含んでいてもよいが、非吸水性の熱可塑性繊維のみから形成されていることが最も好ましい。
ナプキン1は、繊維塊11の構成繊維の平均繊度が1dtex以上2.5dtex以下である点で特徴付けられる。斯かる特徴的な構成により、ナプキン1は、液吸収性及び着用感の双方に優れたものとなる。前述したように、表面シート3の肌対向面の肌触りを滑らかにするために表面シート3の構成繊維を低繊度化すると液吸収性の低下が懸念されるが、ナプキン1は、表面シート3の構成繊維の低繊度化無しで、着用中における表面シート3の滑らかな感触を実現しており、液吸収性の低下を招かずに着用感が向上されている。その理由は以下のように推察される。
ナプキン1の着用中において、図3(a)に示すように、着用者の肌100が表面シート3の肌対向面に接触している状態から、図3(b)に示すように、肌100が表面シート3の肌対向面との接触状態を維持しつつ符号Y1で示す方向(図3の右方向)に移動した場合、その肌100の移動に追従するように繊維塊層6が変形し、このとき表面シート3は肌100とともに同方向に移動するので、表面シート3の肌対向面と肌100との間に摩擦が生じにくい。この摩擦の生じにくさが、表面シート3の肌対向面の肌触りが滑らかであると感じる直接の原因であり、またこの摩擦の生じにくさは、繊維塊層6が肌100の移動に追従するように変形することによるものである。つまり、繊維塊11の構成繊維の平均繊度が前記特定範囲にあることで、繊維塊層6の外力への即応性が向上し、繊維塊層6が柔軟に変形し得るようになり、その結果、表面シート3の肌対向面の感触が滑らかなものになると推察される。また一般に、平均繊度が前記特定範囲にある繊維は、繊維径の細い繊維に分類されるところ、繊維塊層6を構成する繊維塊11の構成繊維の繊維径が細くなることで、繊維塊11の表面粗さが小さくなるため、繊維塊層6の変形において繊維塊11どうしが接触する際の摩擦が低減し、その結果、繊維塊層6が外力に対して柔軟に変形し得るようになるものと推察される。
前述の作用効果を一層確実に奏させるようにする観点から、繊維塊11の構成繊維の平均繊度は、好ましくは2.5dtex以下、より好ましくは2.0dtex以下である。表面シート3の肌対向面の感触を滑らかなものとする(繊維塊層6を柔軟に変形し得るものとする)観点からは、繊維塊11の構成繊維の平均繊度は小さいほど好ましいが、繊維塊11の保形性等を確保する観点から、繊維塊11の構成繊維の平均繊度は、好ましくは1.0dtex以上、より好ましくは1.2dtex以上である。
特に好ましいのは、繊維塊11の構成繊維の「平均繊度」ではなく、繊維塊11の構成繊維の「繊度」が前記範囲にある形態である。
繊維塊11の構成繊維の繊度(平均繊度)は、以下の方法により測定される。
<繊維塊の構成繊維の繊度の測定方法>
本測定方法では、測定対象の繊維塊の構成繊維の断面積(繊維の長さ方向と直交する方向での断面積)を測定するとともに、構成繊維の組成に関する情報、例えば、構成繊維が合成繊維であれば、その形成材料である樹脂の種類、複数種類の樹脂が含まれている場合はそれらの含有比率等の情報を取得し、それらの情報に基づいて、当該測定対象の繊維塊の構成繊維の繊度を算出する。
繊維の断面積の測定は、電子顕微鏡(SEM)等の公知の観察手段を用いて実施することができる。測定対象の繊維が、芯鞘型複合繊維のような、繊維の長さ方向と直交する方向での断面において複数の成分(例えば芯部と鞘部)に区分されている繊維である場合には、その複数の区分それぞれの断面積を測定する。
繊維の組成に関する情報の取得は、例えば、DSC(示差熱分析装置)を用いて樹脂の種類を特定して、比重を割り出すことによって実施することができる。測定対象の繊維が複数種類の樹脂を含んでいる場合は、それらのおおよその成分比を特定する。
例えば、繊維塊の構成繊維がPETのみからなる単繊維である場合、SEMを用いて常法に従って繊維の断面を観察し、その観察画像から断面積を算出する。また、斯かるPET単繊維についてDSCを用いて常法に従って熱分析を行い、樹脂(PET)の融点やピーク形状等の情報を取得することで、当該PET単繊維が単成分の樹脂から構成されていること、その単成分がPETであること、PETの密度等がわかる。こうして取得した繊維の断面積及び樹脂(PET)の密度等の情報を用いて、当該PET単繊維の質量を算出することで、その繊度を算出する。
表面シート3の構成繊維は、表面シート3での液残りを抑制し、液の引き込み性を良好にしてナプキン1の液吸収性を向上させる観点から、表面シート3の構成繊維の平均繊度は、好ましくは1.7dtex以上、より好ましくは2.0dtex以上、そして、好ましくは2.7dtex以下、より好ましくは3.3dtex以下である。本発明では、繊維塊層6の繊維塊11の構成繊維の平均繊度を特定範囲にすることで表面シート3の肌触りの滑らかさを実現しているので、表面シート3の構成繊維を比較的高繊度化することで前述した液吸収性の向上効果を実現できる。
表面シート3の構成繊維の平均繊度は、前記<繊維塊の構成繊維の繊度の測定方法>に準じて測定される。具体的には、表面シート3から適当な大きさの小片を切り出して測定サンプルとし、前記の測定方法と同様の方法により測定される。
ナプキン1の液吸収性の向上の観点から、表面シート3の構成繊維の平均繊度は、繊維塊11の構成繊維の平均繊度に比べて大きいことが好ましい。すなわち、「表面シート3の構成繊維の平均繊度>繊維塊11の構成繊維の平均繊度」の関係が成立することが好ましい。
表面シート3の構成繊維の平均繊度と繊維塊11の構成繊維の平均繊度との比率は、前者>後者を前提として、前者/後者として、好ましくは0.68以上、より好ましくは1.0以上、そして、好ましくは3.3以下、より好ましくは2.25以下である。
本実施形態では、図2に示すように、吸収性コア5の非肌対向面に繊維塊層6が直接重ねられているとともに、吸収性コア5及び繊維塊層6が液透過性シート7で一体的に覆われている。斯かる構成により、繊維塊層6の保形性が向上し、ナプキン1の着用中の着用者の動きによって繊維塊層6が崩れることが抑制されるため、繊維塊11の構成繊維の平均繊度を前記特定範囲にすることによる作用効果が一層確実に奏され得る。
液透過性シート7は、1枚の連続したシートであってもよく、その場合、その横方向Yの長さ(幅)は、液透過性シート7によって覆われる吸収性コア5及び繊維塊層6の積層構造における横方向Yの長さ(幅)が最大の部分の幅(最大幅)の2倍以上3倍以下であり得る。このような幅広の液透過性シート7は、例えば、前記積層構造の肌対向面(又は非肌対向面)の全域を被覆するとともに、該積層構造の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出し、その延出部が該積層構造の非肌対向面(又は肌対向面)の全域を被覆する。また、液透過性シート7は複数のシートから構成されていてもよく、例えば、前記積層構造の肌対向面を被覆する1枚の肌側液透過性シートと、該肌側液透過性シートとは別体で、該積層構造の非肌対向面を被覆する1枚の非肌側液透過性シートとの2枚を含んで構成されていてもよい。
吸収性コア5及び繊維塊層6と液透過性シート7との間は、ホットメルト型接着剤等の接着剤により接合されていてもよい。
液透過性シート7としては、液透過性を有するシートを特に制限無く用いることができ、例えば、各種製法による不織布、紙などを用いることができ、また、単層構造でもよく、同種又は異種の複数のシートの積層構造でもよい。
液透過性シート7の坪量は、好ましくは5g/m以上、より好ましくは10g/m以上、そして、好ましくは50g/m以下、より好ましくは25g/m以下である。
繊維塊層6と繊維塊層6の肌対向面に直接重ねられた部材との間には接着剤が配されていないことが好ましい。例えば図2に示す形態では、前記「繊維塊層6の肌対向面に直接重ねられた部材」は吸収性コア5であるので、繊維塊層6と吸収性コア5との間には接着剤が配されていないことが好ましい。例えば図2に示す形態において、繊維塊層6と吸収性コア5との間に接着剤が配されていると、繊維塊層6の肌対向面及びその近傍に存在する繊維塊11が、該接着剤によって吸収性コア5の非肌対向面に固定されるため、前述した着用者の肌の移動に追従するような繊維塊層6の変形が抑制されてしまい、繊維塊11の構成繊維の平均繊度が前記特定範囲にあることによる作用効果が十分に発揮されなくなるおそれがある。そのため、繊維塊層6と繊維塊層6の肌対向面に直接重ねられた部材との間には接着剤が配されていないことが好ましい。
ここでいう「接着剤」とは、この種の吸収性物品において部材どうしの接合に使用される接着剤全般を指し、具体的には例えば、ホットメルト型接着剤が挙げられる。
また、ここでいう「接着剤が配されていない」とは、接着剤が全く配されていない形態のみならず、実質的に接着剤としての機能を奏し得ないような極少量の接着剤が配されている形態を包含する。後者の形態を考慮すると、繊維塊層6と繊維塊層6の肌対向面に直接重ねられた部材との間における接着剤の坪量は、好ましくは15g/m以下、より好ましくは10g/m以下であり、最も好ましくはゼロである。
繊維塊層6において、複数の繊維塊11どうしが交絡しているとともに、繊維塊層6と繊維塊層6の肌対向面に直接重ねられた部材との間において、繊維塊11と該部材の構成繊維とが交絡していることが好ましい。例えば図2に示す形態では、前記「繊維塊層6の肌対向面に直接重ねられた部材」は吸収性コア5であるので、繊維塊層6と吸収性コア5の構成繊維(例えば吸水性繊維)とが交絡していることが好ましい。このような繊維間の交絡が存在することにより、繊維塊層6の保形性が向上し、繊維塊11の動きによる繊維塊層6の崩れが低減されるため、繊維塊11の構成繊維の平均繊度が前記特定範囲にあることによる作用効果と相俟って、繊維塊層6がナプキン1の着用中の着用者の動きに対して一層柔軟に対応し得るようになり、表面シート3の肌対向面の滑らかな感触が一層確実に得られるようになる。また、繊維塊11の構成繊維の平均繊度が前記特定範囲にあること、及び繊維塊11に関わる繊維間の交絡が存在することにより、繊維塊層6の外力への即応性のみならず、柔軟性、クッション性、圧縮回復性等も向上し得る。すなわち、繊維塊層6は、ナプキン1の着用時に様々な方向から受ける外力(例えばナプキン1の着用者の体圧)に対してしなやかに変形し、ナプキン1を着用者の身体にフィット性よく密着させ得る。このような繊維塊層6の優れた変形-回復特性は、繊維塊層6が圧縮された場合のみならず、ねじれた場合でも同様に発現し得る。すなわち、ナプキン1に組み込まれた繊維塊層6は、ナプキン1の着用時において着用者の両大腿部間に挟まれた状態で配置されるため、着用者の歩行動作の際の両大腿部の動きによって、縦方向Xに延びる仮想的な回転軸周りにねじられる場合があるが、そのような場合でも、繊維塊層6は高い変形-回復特性を備えているため、両大腿部からのねじれを促すような外力に対して容易に変形・回復し、したがってヨレにくく、ナプキン1に着用者の身体に対する高いフィット性を付与し得る。
前記の「繊維塊層6における繊維塊11どうしの交絡」及び「繊維塊層6の繊維塊11と繊維塊層6に接触する部材の構成繊維との交絡」には、下記形態A及びBが包含される。
形態A:繊維塊11どうし又は繊維塊11と繊維塊層6に接触する部材の構成繊維とが、融着ではなく、繊維どうしの絡み合いによって結合している形態。
形態B:繊維塊層6の自然状態(外力が加わっていない状態)では、繊維塊11どうし又は繊維塊11と繊維塊層6に接触する部材の構成繊維とは結合していないが、繊維塊層6に外力が加わった状態では、繊維塊11どうし又は繊維塊11と繊維塊層6に接触する部材の構成繊維とが繊維どうしの絡み合いによって結合し得る形態。ここでいう、「繊維塊層6に外力が加わった状態」とは、例えば、繊維塊層6が適用された吸収性物品(本実施形態ではナプキン1)の着用中において、繊維塊層6に変形力が加わった状態である。
このように、繊維塊層6においては、形態Aのように、繊維塊11は、他の繊維塊11又は繊維塊層6に接触する部材の構成繊維と、繊維どうしの絡み合いすなわち「交絡」によって結合している他、形態Bのように、他の繊維塊11又は繊維塊層6に接触する部材の構成繊維と交絡し得る状態でも存在している。斯かる繊維の交絡による結合が、前述した繊維塊層6の作用効果を一層有効に発現するのに重要なポイントの1つとなっている。特に、繊維塊層6は、形態Aの「交絡」を有している方が保形性の点から好ましい。繊維の交絡による結合は、接着成分や融着が無く、繊維どうしの絡み合いのみによってなされているため、繊維の融着による結合に比して、交絡している個々の要素(繊維塊11、繊維塊層6に接触する部材の構成繊維)の動きの自由度が高く、そのためその個々の要素は、それらからなる集合体としての一体性を維持し得る範囲で移動し得る。このように、繊維塊層6は、それに含有されている複数の繊維塊11どうしあるいは繊維塊11と繊維塊層6に接触する部材の構成繊維とが比較的ゆるく結合していることで、外力を受けたときに変形が可能な、緩やかな保形性を有しており、保形性とクッション性及び圧縮回復性等とが高いレベルで両立されている。そして、斯かる高品質の繊維塊層6を具備するナプキン1は、表面シート3の肌対向面の肌触りが滑らかであり、その上、着用者の身体にフィット性良く密着し、着用感に優れる。
前述した繊維塊11に関わる繊維どうしの交絡は、主として、繊維塊11の構成繊維(非吸水性の熱可塑性繊維)の端部の絡み合いによるものであり、この繊維塊11の構成繊維の端部の単位面積当たりの数が多いほど、繊維塊11に関わる繊維どうしの交絡が起こりやすくなる。この点については後で詳述する。
本実施形態では、図2に示すように、表面シート3の肌対向面に、着用者の肌に向かって突出する凸部31が複数形成されている。ナプキン1においては前述したとおり、繊維塊11の構成繊維の平均繊度が前記特定範囲にあることで繊維塊層6の外力への即応性が向上しており、繊維塊層6がナプキン1の着用中、図3(b)に示すように、着用者の肌100の移動に追従するように変形することで、表面シート3の肌対向面と肌100との間の摩擦が低減される結果、表面シート3の肌対向面の肌触りが滑らかなものとなっているところ、表面シート3の肌対向面に形成された凸部31は、繊維塊層6と同様に、着用者の肌100の移動に追従するように変形し得るため、表面シート3の肌対向面に凸部31が複数形成されていることも、表面シート3の肌対向面と肌100との間の摩擦を低減する有効な手段となり得る。したがって、繊維塊11の構成繊維の平均繊度が前記特定範囲にあることに加えて更に、表面シート3の肌対向面に凸部31が複数形成されていることにより、表面シート3の肌対向面の肌触りが一層滑らかなものとなり、ナプキン1の着用感が一層向上し得る。また、表面シート3の肌対向面に凸部31が複数形成されていることで、表面シート3の肌対向面が着用者の肌に全面的に接触することに起因するべたつき感やムレ、擦れに起因する刺激感が低減されるとともに、排泄物が着用者の肌に付着し難くなり不快な濡れ感が低減されるので、この点でもナプキン1の着用感が向上し得る。
凸部31のパターン(凸部の形状及び配置)は特に限定されず、この種の吸収性物品における凹凸表面シートにおけるパターンを適宜採用できる。また、凸部31は、内部に繊維が充填された中実構造でもよく、内部に繊維が充填されていない一定の大きさの空間部を有する中空構造でもよい。
本実施形態では、図2に示すように、複数の凸部31それぞれの周辺に凹部32が形成され、表面シート3の肌対向面には、複数の凸部31と複数の凹部32とからなる凹凸形状が付与されている。この凹凸形状は、少なくとも表面シート3の肌対向面における、ナプキン1の着用時の着用者の肌と接触し得る部位に存在し、該肌対向面の全域に存在してもよい。このような表面に凹凸形状を有する凹凸表面シートは、典型的には、凹凸が付与されていない表面シートに対してエンボス加工などの圧搾加工を部分的に施すことによって製造することができ、凹凸表面シートにおける圧搾加工が施された部分が凹部32、圧搾加工が施されていない部分が凸部31である。凹部32は、圧搾加工によって表面シート3の形成材料が圧密化されており、圧搾加工が施されていない凸部31よりも高密度である。
図4及び図5には、本発明の吸収性物品の他の実施形態の要部が示されている。後述する他の実施形態については、前述したナプキン1と異なる構成を説明し、ナプキン1と同様の構成は同一の符号を付して説明を省略する。後述する実施形態において特に説明しない構成は、ナプキン1についての説明が適宜適用される。
図4に示すナプキン1Aでは、吸収性コア5の少なくとも非肌対向面が液透過性シート7で覆われており、液透過性シート7の非肌対向面に繊維塊層6が直接重ねられている。より具体的には、ナプキン1Aでは、吸収性コア5は非肌対向面のみならずその外面全体が液透過性シート7で覆われており、その吸収性コア5の非肌対向面を覆う液透過性シート7の非肌対向面に繊維塊層6が直接重ねられている。ナプキン1Aでは、繊維塊層6は液透過性シート7の如きシート部材で覆われておらず、繊維塊層6を構成する繊維塊11が露出している。ナプキン1Aでは、前記「繊維塊層6の肌対向面に直接重ねられた部材」は液透過性シート7であるので、前述した理由により、繊維塊層6と液透過性シート7との間には接着剤が配されていないことが好ましく、また、繊維塊層6と液透過性シート7の構成繊維(例えば吸水性繊維又は非吸水性繊維)とが交絡していることが好ましい。
ナプキン1Aによっても基本的にはナプキン1と同様の効果が奏されるが、繊維塊層6がシート部材で覆われていない点で、繊維塊層6がシート部材(液透過性シート7)で覆われているナプキン1に比べて繊維塊層6の保形性に劣る。繊維塊層6の保形性に優れるナプキン1であれば、着用者の肌が表面シート3の肌対向面との接触状態を維持しつつ所定の方向に繰り返し移動しても、繊維塊層6の形状が維持され得るので、繊維塊11の構成繊維の平均繊度を前記特定範囲にすることによる作用効果を一層安定的に奏し得る。
図5に示すナプキン1Bでは、吸収性コア5Aは、該吸収性コア5Aの肌対向面及び非肌対向面の少なくとも一方に開口を有し且つ所定方向に延在する、溝状凹部50を有している。溝状凹部50自体は、吸収性コア5の形成材料が存在しない空間部である。したがって、吸収性コア5Aにおける溝状凹部50と平面視で重なる部分は、その周囲に比べて坪量が低い。
吸収性コア5Aでは、図5に示すように、溝状凹部50は吸収性コア5Aの非肌対向面に存在し、吸収性コア5Aの肌対向面には存在していない。また吸収性コア5Aでは、図6に示すように、溝状凹部50は、縦方向Xに延びる縦凹部50Xと、これに交差(直交)する方向に延びる横凹部50Yとを含む。縦凹部50X及び横凹部50Yは、吸収性コア5Aの非肌対向面の全域に存在している。吸収性コア5Aの非肌対向面には、複数の縦凹部50Xが横方向Yに間欠配置されているとともに、複数の横凹部50Yが縦方向Xに間欠配置されており、吸収性コア5Aの非肌対向面における両凹部50X,50Yによって包囲された複数の部分は、それぞれ、両凹部50X,50Yと平面視で重なる部分に比べて坪量が大きい凸部51となっている。吸収性コア5Aにおいて、溝状凹部50(50X,50Y)と平面視で重なる部分は相対的に坪量の小さい低坪量部、それ以外の部分は相対的に坪量の大きい高坪量部である。したがって吸収性コア5Aでは、縦方向X及び横方向Yの双方において、前記低坪量部と前記高坪量部とが交互に配されている。
吸収性コア5Aは、溝状凹部50の延在方向と交差する方向に外力を受けた場合、その外力の作用する方向に全体が傾くように変形しやすい。具体的には例えば、図3に示す吸収性コア5が吸収性コア5Aである場合において、図3(b)に示すように、肌100が表面シート3の肌対向面との接触状態を維持しつつ、例えば、符号Y1で示す方向に移動した場合には、前述したとおり、肌100のY1方向への移動に追従するように繊維塊層6が変形するところ、このとき吸収性コア5Aも繊維塊層6と同様に変形し得る。詳細には、図5に示す吸収性コア5Aでは、溝状凹部50が吸収性コア5Aの非肌対向面に存在し、該溝状凹部50と平面視で重なる部分である前記低坪量部が肌対向面側に存在するところ、例えば、ナプキン1Bの縦中央域Mに対して、縦凹部50Xの延びる方向と交差する方向である横方向Yから外力が加わった場合、吸収性コア5Aは、空間部である縦凹部50Xとそれよりも着用者の肌側に位置する該低坪量部とが厚み方向に重なった低剛性部分(吸収性コア5Aにおける縦凹部50Xが位置する部分)が横方向Yに大きく倒れるように変形し易い。一方で繊維塊層6は、吸収性コア5Aに加わったものと同じ外力に対して、肌の移動に追従するように変形する。このため、ナプキン1Bは、縦中間域Mに加わった外力に対して吸収性コア5Aの変形を良好なものとする一方で、当該外力による吸収性コア5Aの壊れを抑制することができる。ナプキン1Bではこのように、着用者の肌が表面シート3の肌対向面との接触を維持しつつ移動したときに、吸収性コア5A及び繊維塊層6の双方が、その肌の移動に追従するように連動して変形するので、吸収性コア5を備えるナプキン1に比べて、表面シート3の肌対向面と肌との間の摩擦が一層低減されており、表面シート3の肌対向面の肌触りが一層滑らかなものとなり得る。
更に図5に示す形態のように、吸収性コア5Aと繊維塊層6とが他の部材を介さずに隣接していると、吸収性コア5Aの低坪量部の溝状凹部50では吸収性コア5Aの親水性繊維と繊維塊11の繊維とが交絡し難くなる。このため、排泄液が繊維塊層6に伝播し難くなって、肌の移動に追従するような繊維塊層6の変形を長時間にわたって持続することが容易となる。
本発明の吸収性物品では、溝状凹部50の形態として、吸収性コア5を厚み方向に貫通していない非貫通型と、吸収性コア5を厚み方向に貫通する貫通型(図示せず)とがあり得る。吸収性コア5Aの複数の溝状凹部50は何れも非貫通型であるが、貫通型の溝状凹部50であっても、基本的には非貫通型の溝状凹部50と同様の効果が期待できる。また、溝状凹部50が非貫通型である場合の溝状凹部50の存在位置に関し、吸収性コア5Aでは非肌対向面に存在しているが、肌対向面に存在してもいてもよく、両面に存在していてもよく、何れであっても前述の溝状凹部50による作用効果(吸収性コアの変形促進効果等)が期待できる。
吸収性コア5Aについて更に説明すると、吸収性コア5Aの複数の溝状凹部50は何れも非貫通型であり、吸収性コア5Aの非肌対向面に開口を有するとともに、該開口とは反対側である吸収性コア5Aの肌対向面側に底部を有する。この溝状凹部50の底部が偏在する吸収性コア5Aの肌対向面側は、溝状凹部50が存在しない連続層52からなり、連続層52と吸収性コア5Aの非肌対向面側の複数の凸部51とは一体に構成されている。吸収性コア5Aの肌対向面は、連続層52によって形成され実質的に凹凸の無い平坦面であるのに対し、吸収性コア5Aの非肌対向面は、溝状凹部50(50X,50Y)の開口からなる複数の凹部と複数の凸部51とで構成される凹凸形状を有し、凹凸面である。
以下、繊維塊11について更に説明する。図7には、繊維塊11の好ましい一例の外形形状が示されている。繊維塊11は四角柱形状より具体的には直方体形状をなしている。繊維塊11は、相対向する2つの基本面(base surface)111と、該2つの基本面111を連結する骨格面(body surface)112とを備えている。基本面111及び骨格面112は何れも、この種の繊維を主体とする物品における表面の凹凸度合いを評価する際に適用されるレベルで、実質的に凹凸が無いと認められる部分である。
繊維塊11では、骨格面112は、基本面111に比して、繊維端部の単位面積当たりの数が多いことが好ましい。このような繊維塊11は、原料シートをカッター等によって切断して得られるところ、その骨格面112は、該原料シートの切断によって形成された切断面である。そして、このことに起因して、繊維塊11の製造時の切断面である骨格面112には、繊維塊11の構成繊維11Fの切断端部からなる繊維端部が、該骨格面112の全体に多数存在し、骨格面112は、基本面111(すなわち繊維塊11の製造時の非切断面)に比べて、構成繊維11Fの繊維端部の単位面積当たりの数が多い。
繊維塊11の各面(基本面111、骨格面112)に存在する繊維端部は、該繊維塊11が、繊維塊層6に含まれる他の繊維塊11、あるいは繊維塊層6の肌対向面に直接重ねられた部材(ナプキン1,1Bでは吸収性コア5、ナプキン1Aでは液透過性シート7)の構成繊維との間に交絡を形成するのに有用である。また一般に、繊維端部の単位面積当たりの数が多いほど交絡性が向上し得るので、繊維端部の単位面積当たりの数を増やすことは、繊維塊層6の保形性などの諸特性の向上に繋がり得る。そして、繊維塊11の各面における繊維端部の単位面積当たりの数は均一ではなく、斯かる繊維端部の単位面積当たりの数に関しては、前記のとおり「骨格面112>基本面111」なる関係が成立することから、繊維塊11の他の繊維塊11又は繊維との交絡性は、繊維塊11の面によって異なり、骨格面112は基本面111に比して交絡性が高い。すなわち、骨格面112を介しての他の繊維塊又は繊維との交絡による結合の方が、基本面111を介してのそれよりも結合力が強く、1個の繊維塊11において、基本面111と骨格面112とで他の繊維との結合力に差が生じ得る。一般に、斯かる結合力が強いほど、その結合されている繊維の動きの自由度が制限され、繊維塊層6全体として強度(保形性)が向上する反面、柔らかさが低下する傾向がある。このように、繊維塊層6においてはそれに含まれている複数の繊維塊11それぞれが、その周辺の他の繊維塊11又は繊維に対して、2種類の結合力を持って交絡しており、これにより繊維塊層6は、適度な柔らかさと強度(保形性)とを兼ね備えたものとなる。
特許文献2、3に記載されているような、原料シートをミルカッターのような切断機によって不規則に切断して製造された不定形の繊維塊は、基本面111や骨格面112のような「面」を持っておらず、しかも、その製造時において繊維塊全体に切断処理の外力が加わるため、構成繊維の繊維端部が繊維塊全体にランダムに形成されている。このような不定形の繊維塊と比較して、本発明に係る繊維塊11は、構成繊維11Fの繊維端部による作用効果が十分に発現されやすい。
前述した繊維端部による作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、基本面111(非切断面)の繊維端部の単位面積当たりの数N1と、骨格面112(切断面)の繊維端部の単位面積当たりの数N2との比率は、N1<N2を前提として、N1/N2として、好ましくは0以上、より好ましくは0.05以上、そして、好ましくは0.90以下、より好ましくは0.60以下である。より具体的には、N1/N2は0以上0.90以下が好ましく、0.05以上0.60以上がより好ましい。
基本面111の繊維端部の単位面積当たりの数N1は、好ましくは0個/mm以上、より好ましくは3個/mm以上、そして、好ましくは8個/mm以下、より好ましくは6個/mm以下である。
骨格面112の繊維端部の単位面積当たりの数N2は、好ましくは5個/mm以上、より好ましくは8個/mm以上、そして、好ましくは50個/mm以下、より好ましくは40個/mm以下である。
基本面111、骨格面112の繊維端部の単位面積当たりの数は、以下の方法により測定される。
<繊維塊の各面における繊維端部の単位面積当たりの数の測定方法>
測定対象の繊維を含む部材(繊維塊)を紙両面テープ(ニチバン株式会社製ナイスタックNW-15)を用いて、測定片を試料台に貼り付ける。次いで測定片を白金コーティングする。コーティングには日立那珂精器株式会社製イオンスパッタ装置E-1030型(商品名)を用い、スパッタ時間は120秒とする。測定片の切断面を、JEOL(株)製のJCM-6000型の電子顕微鏡を用いて、倍率100倍にて基本面及び骨格面を観察する。この倍率100倍の観察画面においては、測定対象面(基本面又は骨格面)の任意の位置に縦1.2mm、横0.6mmの長方形領域を設定し、且つ該長方形領域の面積が、該観察画面の面積の90%以上を占めるように観察角度などを調整した上で、該長方形領域内に含まれる繊維端部の個数を測定する。但し、倍率100倍の観察画面において、繊維塊の測定対象面が1.2mm×0.6mmよりも小さく、該観察画面全体に占める前記長方形領域の面積の割合が90%未満となる場合には、観察倍率を100倍より大きくした上で、前記と同様に、該測定対象面における前記長方形領域内に含まれる繊維端部の数を測定する。ここで個数測定の対象となる「繊維端部」は、繊維塊の構成繊維の長さ方向端部であり、測定対象面から該構成繊維の長さ方向端部以外の部分(長さ方向中間部)が延出していても、該長さ方向中間部は個数測定の対象としない。そして下記式により、繊維塊の測定対象面(基本面又は骨格面)における繊維端部の単位面積当たりの数を算出する。10個の繊維塊それぞれについて、前記手順に従って、基本面及び骨格面それぞれにおける繊維端部の単位面積当たりの数を測定し、それら複数の測定値の平均値を、当該測定対象面における繊維端部の単位面積当たりの数とする。
繊維塊の測定対象面(基本面又は骨格面)における繊維端部の単位面積当たりの数(個数/mm)=長方形領域(1.2×0.6mm)に含まれる繊維端部の個数/該長方形領域の面積(0.72mm
繊維塊11の各部の寸法等は以下のように設定することが好ましい。繊維塊11の各部の寸法は、電子顕微鏡写真などに基づいて測定することができる。
基本面111が図7に示す如き平面視四角形形状の場合、その一辺(短辺)111aの長さL1は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、更に好ましくは0.5mm以上、そして、好ましくは10mm以下、より好ましくは6mm以下、更に好ましくは5mm以下である。
繊維塊11が平面視長方形形状の場合には、基本面111の他の一辺(長辺)111bの長さL2は、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは1mm以上、更に好ましくは2mm以上、そして、好ましくは30mm以下、より好ましくは15mm以下、更に好ましくは10mm以下である。
なお、基本面111が図7に示すように、繊維塊11が有する複数の面のうちで最大面積を有する面である場合、他の一辺(長辺)111bの長さL2は、繊維塊11の最大差し渡し長さに一致する。
一辺(短辺)111aの長さL1と他の一辺(長辺)111bの長さL2との比率は、L1/L2として、好ましくは0.003以上1以下、より好ましくは0.025以上1以下である。特に好ましい繊維塊11として、基本面111のアスペクト比が1又は1に近いもの、すなわち基本面111の平面視形状が正方形又はそれに準じる形状のものが挙げられる。斯かる繊維塊11を繊維塊層6に用いると、繊維塊層6が嵩高くなる傾向があり、クッション性等が向上し得る。
繊維塊11の厚みT、すなわち2つの対向する基本面111間の長さTは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、そして、好ましくは10mm以下、より好ましくは6mm以下である。
繊維塊11のサイズは特に制限されず、繊維塊層6のクッション性、通液性などを考慮して適宜設定し得る。繊維塊11が有する複数の面のうちで面積が最大の面である、基本面111の面積は、繊維塊11のサイズの指標となり得る。繊維塊11の基本面111の面積は、好ましくは1mm以上、より好ましくは5mm以上、そして、好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下である。
図8には、本発明に係る繊維塊11の一例を模式的に示した図が示されている。繊維塊11は図8に示すように、本体部110と、該本体部110から外方に延出する繊維11Fを含んで構成され且つ該本体部110に比して繊維密度の低い(単位面積当たりの繊維の数が少ない)、延出繊維部113とを有するものが包含され得る。なお、繊維塊層6には、延出繊維部113を有しない繊維塊11、すなわち本体部110のみからなる繊維塊11も包含され得る。延出繊維部113は、前述した、繊維塊11の各面(基本面111、骨格面112)に存在する繊維端部の一種を含みうるものであり、それは、該繊維端部のうち、繊維塊11の各面から外方に延出した繊維端部である。
延出繊維部113は主として、繊維塊層6に含有されている複数の繊維塊11どうし、あるいは繊維塊層6の肌対向面に直接重ねられた部材(ナプキン1,1Bでは吸収性コア5、ナプキン1Aでは液透過性シート7)の構成繊維との交絡性の向上に寄与し、繊維塊層6の保形性の向上に直接的にかかわる他、繊維塊11の繊維塊層6における均一分散性などにも影響して、本体部110による作用効果を間接的に補強し得る。
繊維塊11は図8に示すように、延出繊維部113の一種として、本体部110、より具体的には骨格面112から外方へ延びる複数の繊維11Fを含む延出繊維束部113Sを有する。繊維塊11が有する延出繊維部113のうちの少なくとも1つは、この延出繊維束部113Sであり得る。延出繊維束部113Sは、骨格面112から延出する複数の繊維11Fが寄り集まって構成されたもので、延出繊維部113に比して、本体部110の骨格面112からの延出長さが長い点で特徴付けられる。延出繊維束部113Sは、基本面111にも存在し得るが、典型的には図8に示すように骨格面112に存在し、基本面111には全く存在しないか、存在したとしてもその数は骨格面112よりも少数である。その理由は、延出繊維部113が、原料シートの切断面である骨格面112に主に存在する理由と同じであり、前述したとおりである。繊維塊11がこのような、長くて太い大型の延出繊維部113とも言うべき延出繊維束部113Sを有していることで、繊維塊11どうし、あるいは繊維塊層6の肌対向面に直接重ねられた部材の構成繊維との交絡がより一層強まり、結果として、繊維塊11の存在に起因する本発明の所定の効果がより一層安定的に奏されるようになる。また、延出繊維束部113Sが熱融着部を有していると、延出繊維束部113S自体の強度が向上することに起因して、延出繊維束部113Sを介して交絡している繊維塊11どうし、あるいは繊維塊層6の肌対向面に直接重ねられた部材の構成繊維との交絡がより一層強まるため、好ましい。
繊維塊11は前述したとおり、非吸水性の熱可塑性繊維を含み、好ましくは、非吸水性の熱可塑性繊維を主体として構成されているところ、斯かる構成により繊維塊11は、複数の熱可塑性繊維が互いに熱融着した3次元構造を有し得るものとなり、繊維塊11の内部に複数の熱融着部が3次元的に分散配置される。このような構成の繊維塊11は、繊維塊層6が乾燥状態及び湿潤状態のいずれの状態でも、保形性、柔軟性、クッション性、圧縮回復性、ヨレにくさなどにおいて優れた効果を発現し得る。また前述したように、延出繊維束部113Sは熱融着部を有していることが好ましいところ、繊維塊11の構成繊維として熱可塑性繊維を用いることで、斯かる延出繊維束部113Sの好ましい形態を得ることも可能となる。複数の熱融着部が3次元的に分散した繊維塊11を得るためには、その原料シートが同様に構成されていればよく、また、そのような複数の熱融着部が3次元的に分散した原料シートは、前述したように、熱可塑性繊維を主体とするウエブや不織布に、熱風処理などの熱処理を施すことによって製造することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
〔実施例1、2〕
図1に示すナプキン1と基本構成が同様の生理用ナプキンを作製し、実施例1、2とした。実施例1、2は、繊維塊の構成繊維の平均繊度以外は、同様に構成されている。実施例1、2の生理用ナプキンにおける各部材の詳細は下記のとおりである。
・表面シートとして、肌対向面を形成する肌側層と、非肌対向面を形成する非肌側層とを有する坪量74g/mの2層構造の凹凸表面シートを用いた。前記肌側層として、非熱収縮性繊維を含む不織布を用い、前記非肌側層として、熱収縮性繊維を含む不織布を用い、特開2015-186543号公報に記載の方法に準じて、2層構造の凹凸表面シートを製造した。
・裏面シートとして、坪量37g/mのポリエチレン樹脂フィルム(FL-KDJ100nN、大化工業製)を用いた。
・吸収性コアとして、吸水性繊維である針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と吸水性ポリマーの粒子とを含む、混合積繊型吸収性コアを用いた。繊維の坪量は、前記排泄部対向部(吸収性物品における着用者の排泄部に対向する部分)及びその近傍に対応する部分(以下、「排泄部対向部域」とも言う。)が440g/m、該排泄部対向部域の周辺部が200g/mであった。吸水性ポリマーの坪量は、前記排泄部対向部域が70g/m、該排泄部対向部域の周辺部が35g/mであった。
・繊維塊の原料シートとして、ポリエチレン及びポリエチレンテレフタラート樹脂からなる非吸水性の熱可塑性繊維のみを構成繊維とする坪量25g/mのエアスルー不織布(構成繊維どうしの熱融着部を有する繊維シート)を用い、該原料シートを賽の目状に切断して、図7に示す繊維塊11の如き、直方体形状の繊維塊を製造した。この直方体形状の繊維塊のサイズは、図7を参照して、長さL1が5mm、長さL2が5mm、厚みTが0.6mmであった。
・繊維塊層として、前記のように製造した繊維塊のみからなるものを用いた。繊維塊層の坪量は140g/mであった。繊維塊層は生理用ナプキンの縦中央域(着用者の排泄部に対向する部位)のみに配置した。
・液透過性シートとして、坪量16g/mのティッシュペーパーからなるコアラップシートを用いた。吸収性コア及び繊維塊層を液透過性シートで一体的に覆った。
〔比較例1~3〕
比較例1の生理用ナプキンは、繊維塊層を備えていない点以外は、実施例1の生理用ナプキンと同じである。
比較例2の生理用ナプキンは、表面シートの肌対向面を形成する前記肌側層の構成繊維の平均繊度を変更した点以外は、比較例1の生理用ナプキンと同じである。
比較例3の生理用ナプキンは、繊維塊の構成繊維の平均繊度を変更した点以外は、実施例1の生理用ナプキンと同じである。
〔性能評価〕
各実施例及び比較例の生理用ナプキンについて、下記方法により、摩擦仕事量、動的ヨレ率、液戻り量をそれぞれ測定した。その結果を下記表1に示す。
<摩擦仕事量の測定方法>
表面が平滑で厚みが均一なアクリル板を水平面上に載置し、該アクリル板の上面に、測定対象の生理用ナプキンを、非肌対向面(裏面シート)を下に向けて載置する。このナプキンの上面である肌対向面(表面シート)の上に、縦方向長さ6.5mm、横方向長さ3.5mmの平面視正方形形状のシリコン製のモデル皮膚(今井ゴム株式会社製、厚み0.5mm)を載置し、更に、該モデル皮膚の上に錘を載せて、ナプキンに対して13gf/cmの荷重を加える。ナプキン上の錘の一端に紐を取り付け、引張試験機(株式会社オリエンテック製、製品名「TENSILON RTC-1210S」)を用いて、この紐を引張速度200mm/minで水平方向に引っ張り、その際の錘の変位量Δx(単位:mm)と、モデル皮膚とナプキンとの間に作用する摩擦力に対応する引張荷重F(単位:N)とを記録する。縦軸に引張荷重F、横軸に変位量Δxをとってグラフを作成し、最大静摩擦力Fmaxに到達するまでのグラフと横軸Δxとに挟まれた部分の面積を、測定対象のナプキンの摩擦仕事量とする。摩擦仕事量の数値が大きいほど、測定対象のナプキンが備える表面シートの肌対向面は滑らかであるとされ、高評価となる。
<動的ヨレ率の測定方法>
駆動式の女性用下半身人体モデルを用いて測定を行う。まず、測定対象の生理用ナプキンの中央幅、より具体的には、ナプキンの縦方向中央における横方向長さ(以下、「歩行前の中央幅」とも言う。)を測定した後、ナプキンを常法に従ってショーツに装着し、更にショーツを人体モデルに常法に従って装着する。次に、人体モデルを100歩/分の速度で30分間歩行させ、その人体モデルの歩行中において、3分歩行後に装着状態のナプキンに脱繊維馬血を15秒間で1.5g注入する操作を6回繰り返し、合計9gの脱繊維馬血をナプキンに注入する。そして、ナプキンをショーツから外してその中央幅(以下、「歩行後の中央幅」とも言う。)を測定し、「歩行前の中央幅」と「歩行後の中央幅」とから、次式により動的ヨレ率(%)を算出する。
動的ヨレ率(%)=[{(歩行前の中央幅)-(歩行後の中央幅)}/(歩行前の中央幅)]×100
動的ヨレ率の数値が小さいほど、測定対象のナプキンはヨレ難いものであるとされ、高評価となる。なお、測定対象に注入する脱繊維馬血は、日本バイオテスト研究所製脱繊維馬血で且つ液温25℃における粘性が8cpに調整されたものであり、また、斯かる粘度は、東機産業株式会社製TVB-10M形粘度計において、ロータ名称L/AdP(ロータコード19)のロータで回転速度12rpmにて測定した場合の粘度である。
<液戻り量の測定方法>
測定対象の生理用ナプキンを平面状に広げて肌対向面側(表面シート側)が上を向くように水平に載置し、該ナプキンの上に、楕円形注入口(長径50mm、短径23m)を載置する。24mPa・sに粘度調製した株式会社日本バイオテスト研究所製馬脱繊維血を、10ccの注液ビーカーに3g測り取る。斯かる粘度は、東機産業株式会社製TVB-10M形粘度計において、ロータ名称L/Adp(ロータコード19)のロータで回転速度12rpmにて測定した場合の粘度である。この血液を前記注入口に一気に注ぎ込んだ後、1分放置してから、ナプキンにおける血液が注ぎ込まれた部分に、ティッシュ(日本製紙クレシア製クリネックス(登録商標))1枚を三つ折りにした吸収紙と、重量125g、底面積31cmの直方体の重りとを載せて5秒静置し、5秒後の吸収紙重量より、該吸収紙が吸い取った血液の量(g)を算出する。計測は3回行い、その平均値を測定対象のナプキンの液戻り量とする。液戻り量の数値が小さいほど、測定対象のナプキンは液吸収性に優れたものであるとされ、高評価となる。
Figure 2022083803000002
1,1A,1B 生理用ナプキン(吸収性物品)
F 前方域
M 縦中央域
R 後方域
2 吸収性本体
3 表面シート
31 凸部
32 凹部
4 裏面シート
5,5A 吸収性コア
50,50X,50Y 溝状凹部
51 凸部
52 連続層
6 繊維塊層
7 液透過性シート
8 サイドシート
11 繊維塊
11F 繊維塊の構成繊維
110 本体部
111 基本面
112 骨格面
113 延出繊維部
113S 延出繊維束部

Claims (7)

  1. 体液を吸収保持可能な吸収性コアと、該吸収性コアよりも着用者の肌から近い側に配された表面シートとを備える吸収性物品であって、
    前記吸収性コアよりも着用者の肌から遠い側に、複数の繊維塊の集合体である繊維塊層が配されており、
    前記繊維塊は、非吸水性の熱可塑性繊維を含み、
    前記繊維塊の構成繊維の平均繊度は、1dtex以上2.5dtex以下である、吸収性物品。
  2. 前記表面シートの構成繊維の平均繊度は、1.7dtex以上である、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記吸収性コアの非肌対向面に前記繊維塊層が直接重ねられているとともに、該吸収性コア及び該繊維塊層が液透過性シートで一体的に覆われている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記繊維塊層と該繊維塊層の肌対向面に直接重ねられた部材との間に接着剤が配されていない、請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記繊維塊層において複数の前記繊維塊どうしが交絡しているとともに、該繊維塊層と該繊維塊層の肌対向面に直接重ねられた部材との間において、該繊維塊と該部材の構成繊維とが交絡している、請求項1~4の何れか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記表面シートの肌対向面に、着用者の肌に向かって突出する凸部が複数形成されている、請求項1~5の何れか1項に記載の吸収性物品。
  7. 前記吸収性コアは、該吸収性コアの肌対向面及び非肌対向面の少なくとも一方に開口を有し且つ所定方向に延在する、溝状凹部を有し、該吸収性コアにおける該溝状凹部と平面視で重なる部分は、その周囲に比べて坪量が低い、請求項1~6の何れか1項に記載の吸収性物品。
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