図1に示すように、実施形態に係る画像形成装置1は、カラープリンタであり、本体筐体10内に、シート供給部20と、画像形成部30と、制御部2とを主に備えている。
シート供給部20は、本体筐体10内の下部に設けられ、シートSを収容するシートトレイ21と、シートトレイ21からシートSを画像形成部30に供給する供給機構22とを備えている。シートトレイ21は本体筐体10から図1の左側に引き出して取り外し可能に構成されている。供給機構22は、本体筐体10内の前部に設けられ、給紙ローラ23と、分離ローラ24と、分離パッド25と、レジストレーションローラ27とを備えている。なお、本明細書において、便宜上、前後等の方向は、シートトレイ21が引き出される図1の左を前として説明する。すなわち、図1の左側を前、右側を後、上下をそのまま上下とし、図1の紙面手前側を右、紙面奥側を左とする。本明細書のシートSは、画像形成装置1が画像を形成することができる媒体であって、普通紙、封筒、葉書、薄紙、厚紙、光沢紙、樹脂シート、シール等を含む。
シート供給部20では、シートトレイ21内のシートSが給紙ローラ23により送り出された後、分離ローラ24と分離パッド25との間でシートSが1枚ずつに分離される。その後、シートSは、回転が停止した状態のレジストレーションローラ27によって先端位置が規制された後、レジストレーションローラ27が回転することで画像形成部30に供給される。レジストレーションローラ27は、シートSの搬送方向において感光ドラム50の上流側に配置されたシートSを搬送するための搬送ローラのうち、感光ドラム50(50Y)に最も近い搬送ローラである。
シートSの搬送方向においてレジストレーションローラ27の上流側には、シートSの通過を検知可能な給紙センサ28Aおよびレジ前センサ28Bが配置されている。給紙センサ28Aは、シートトレイ21から送り出されたシートSの通過を最初に検知するセンサであり、シートSの搬送方向において分離ローラ24の下流側に配置されている。レジ前センサ28Bは、シートSの搬送方向においてレジストレーションローラ27と給紙センサ28Aの間に配置されている。また、シートSの搬送方向においてレジストレーションローラ27の下流側には、シートSの通過を検知可能なレジ後センサ28Cが配置されている。レジ後センサ28Cは、シートSの搬送方向においてレジストレーションローラ27と感光ドラム50(50Y)の間に配置されている。なお、本実施形態においては、レジ後センサ28Cが「第1シートセンサ」に相当し、給紙センサ28Aが「第2シートセンサ」に相当する。
画像形成部30は、露光装置40と、複数の感光ドラム50と、複数の現像カートリッジ60と、搬送装置70と、定着器80とを備えている。
露光装置40は、図示しないレーザダイオード、偏向器、レンズおよびミラーを有している。露光装置40は、複数の感光ドラム50を露光する複数のレーザ光を発して、感光ドラム50の表面を走査するように構成されている。
感光ドラム50は、第1色の一例であるイエローに対応した第1感光ドラム50Yと、第2色の一例であるマゼンタに対応した第2感光ドラム50Mと、第3色の一例であるシアンに対応した第3感光ドラム50Cと、第4色の一例であるブラックに対応した第4感光ドラム50Kとを含む。なお、本明細書および図面において、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色に対応して設けられている部材には、色を区別して示す場合に、それぞれ、Y,M,C,Kを付して示す。一方、色を区別しないで説明する場合には、符号にY,M,C,Kを付さず、名称も第1、第2などを省略する。
現像カートリッジ60は、各感光ドラム50に対応して設けられている。具体的には、現像カートリッジ60は、第1感光ドラム50Yにトナーを供給する第1現像ローラ61Yを有する第1現像カートリッジ60Yと、第2感光ドラム50Mにトナーを供給する第2現像ローラ61Mを有する第2現像カートリッジ60Mと、第3感光ドラム50Cにトナーを供給する第3現像ローラ61Cを有する第3現像カートリッジ60Cと、第4感光ドラム50Kにトナーを供給する第4現像ローラ61Kを有する第4現像カートリッジ60Kとを含む。
第1現像ローラ61Y、第2現像ローラ61M、第3現像ローラ61Cおよび第4現像ローラ61Kは、シートSの移動方向の上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。
各現像カートリッジ60は、図1に実線で示した、現像ローラ61が対応する感光ドラム50に接触する接触位置にある位置と、図1に仮想線で示した、現像ローラ61が対応する感光ドラム50から離間する離間位置にある位置との間で移動可能である。
図2に示すように、感光ドラム50は、支持部材90に回転可能に支持されている。また、支持部材90は、第1現像カートリッジ60Y、第2現像カートリッジ60M、第3現像カートリッジ60Cおよび第4現像カートリッジ60Kを着脱可能に支持する。支持部材90は、本体筐体10のフロントカバー11(図1参照)を開くことで形成される開口から、本体筐体10に対して着脱可能である。支持部材90は、感光ドラム50の軸方向に離れて配置された一対のサイドフレーム91と、一対のサイドフレーム91の前部同士を連結する連結フレーム92と、一対のサイドフレーム91の後部同士を連結する連結フレーム93とを備える。一対のサイドフレーム91は、右側のサイドフレーム91Rと、左側のサイドフレーム91Lとを含む。支持部材90には、各感光ドラム50に対向して配置された、感光ドラム50を帯電させるための帯電器52(図1参照)が設けられている。
画像形成装置1は、第1現像ローラ61Y、第2現像ローラ61M、第3現像ローラ61Cおよび第4現像ローラ61Kを、複数の感光ドラム50のうち対応する感光ドラム50に接触する接触位置と、当該感光ドラム50から離間した離間位置との間で移動させる離間機構5を有する。離間機構5は、第1色、第2色、第3色および第4色のそれぞれに対応して設けられている。
具体的に、各離間機構5は、モータ3(図7参照)から駆動力が伝達されることで所定の回転方向に回転する第1カム150(150Y,150M,150C,150K)と、カムフォロワ170とを有する。
第1カム150は、現像ローラ61の回転軸線61X(図1参照)と平行な軸周りに回転するカムであり、現像ローラ61の回転軸線方向(以下、単に「回転軸線方向」という。)に突出する第1カム部152Aを有する。
カムフォロワ170は、第1カム150の第1カム部152Aの端面であるカム面152Fに接触して、図4(b)に示す、現像ローラ61を離間位置に位置させる作動位置と、図4(a)に示す、現像ローラ61を接触位置に位置させる待機位置との間で移動可能である。カムフォロワ170は、第1カム150の第1カム部152Aと接触して回転軸線方向にスライド移動して作動位置に位置し、第1現像カートリッジ60Y、第2現像カートリッジ60M、第3現像カートリッジ60Cおよび第4現像カートリッジ60Kのいずれかを押圧する。また、カムフォロワ170は待機位置において、現像カートリッジ60から離間する。
図2に戻り、第1カム150と、カムフォロワ170とは、各現像カートリッジ60に対応して設けられている。第1カム150およびカムフォロワ170は、左側のサイドフレーム91Lの左右方向外側に配置されている。第1カム150とカムフォロワ170の詳細な構造については後述する。
支持部材90は、サイドフレーム91R,91Lの上部に、後述するスライド部材64に当接する被当接部94が設けられている。被当接部94は、例えば、感光ドラム50の軸方向と平行な第1方向と、感光ドラム50が並ぶ第2方向との両方に直交する第3方向(上下方向)に沿った軸回りに回転可能なローラからなる。
また、支持部材90は、各現像カートリッジ60に対応して設けられた、押圧部材95を備えている。押圧部材95は、各現像カートリッジ60ごとに、感光ドラム50の軸方向の両端部に設けられている。押圧部材95は、バネ95A(図4(a),(b)参照)により後方へ向けて付勢されており、支持部材90に現像カートリッジ60が装着されると、現像カートリッジ60の突起63Dを押圧して、現像ローラ61を対応する感光ドラム50に圧接させるようになっている。
図3(a),(b)に示すように、現像カートリッジ60(60Y,60M,60C,60K)は、トナーを収容するケース63と、スライド部材64と、カップリング65を有する。
ケース63は、一方の側面に、回転軸線方向に突出する突出部として、第1突出部63Aおよび第2突出部63Bを有する。
第1突出部63Aは、現像ローラ61の回転軸線61Xと同軸に配置され、回転軸線方向に突出している。
第2突出部63Bは、第1突出部63Aから所定距離離れて配置されている。本実施形態では、第2突出部63Bは、第1突出部63Aの上方に配置されている。
第1突出部63Aおよび第2突出部63Bは、ともに、回転軸線方向に平行な軸線周りに回転可能なローラである。
図示は省略するが、ケース63は、他方の側面にも、一方の側面と対称な位置に第1突出部63Aと第2突出部63Bが設けられている。
また、ケース63は、前側の面の上部に、押圧部材95により押圧される突起63Dを有している。突起63Dは、ケース63の、回転軸線方向における両端部に設けられている。
カップリング65は、後述するカップリング軸119と係合して、カップリング軸119から回転駆動力が入力される。
スライド部材64は、ケース63に対して回転軸線方向にスライド移動可能な部材である。スライド部材64は、カムフォロワ170に押圧されることで回転軸線方向にスライド移動可能である。
図4(a),(b)に示すように、スライド部材64は、シャフト181と、第1当接部材182と、第2当接部材183とを備える。第1当接部材182は、シャフト181の一端に固定され、第2当接部材183は、シャフト181の他端に固定されている。
シャフト181は、ケース63に形成された、回転軸線方向に延びる孔に貫通して配置され、ケース63にスライド移動可能に支持されている。
第1当接部材182は、回転軸線方向における端面である押圧面182Aと、回転軸線方向に対して傾斜した斜面182Bとを有する。
押圧面182Aは、カムフォロワ170により押圧される面である。
斜面182Bは、スライド部材64がカムフォロワ170により回転軸線方向に押圧された場合に、支持部材90の被当接部94に当接して、現像カートリッジ60(60Y,60M,60C,60K)を回転軸線方向に直交する方向、具体的には、シートSの移動方向に平行な方向に向けて付勢し、現像カートリッジ60を移動させる(図4(b)参照)。斜面182Bは、シャフト181の一端から他端に向かうにつれて、第2方向における感光ドラム50から対応する現像ローラ61に向かう方向(前方)に位置するように傾斜している。
第2当接部材183は、第1当接部材182の斜面182Bと同様に傾斜した斜面183Bを有している。斜面183Bもスライド部材64がカムフォロワ170により回転軸線方向に押圧された場合に、支持部材90の被当接部94に当接して、現像カートリッジ60(60Y,60M,60C,60K)をシートSの移動方向に平行な方向へ向けて付勢し、現像カートリッジ60を移動させる(図4(b)参照)。
第1当接部材182とケース63の間には、スライド部材64を回転軸線方向の一方、ここでは、左側に向けて付勢するバネ184が配置されている。バネ184は、圧縮コイルバネであり、コイル内にシャフト181が通るようにシャフト181の外側に配置されている。
図5に示すように、支持部材90は、一方のサイドフレーム91Lの内側の面に、支持面としての第1支持面96Aおよび第2支持面96Bを有する。第1支持面96Aおよび第2支持面96Bは、第1現像ローラ61Y、第2現像ローラ61M、第3現像ローラ61Cおよび第4現像ローラ61Kが接触位置から離間位置に移動するときに、第1突出部63Aおよび第2突出部63Bをそれぞれ下から支持する。第1支持面96Aおよび第2支持面96Bは、シートSの移動方向に延びている。
第1支持面96Aは、第1突出部63Aを支持するように配置されている。第1支持面96Aは、現像カートリッジ60を支持部材90に装着するときの現像ローラ61の案内と上下方向の位置決めの機能を兼ねている。
第2支持面96Bは、第2突出部63Bを支持するように第1支持面96Aの上方に配置されている。
図示は省略するが、支持部材90は、他方のサイドフレーム91Rの内側の面にも、一方のサイドフレーム91Lと左右対称な第1支持面96Aおよび第2支持面96Bを有している。
現像ローラ61が感光ドラム50に接触する接触位置に位置するとき、図5の第1現像カートリッジ60Y、第2現像カートリッジ60Mおよび第3現像カートリッジ60Cのように第1突出部63Aが第1支持面96Aにおける後寄りに位置する。一方、現像ローラ61が感光ドラム50から離間する離間位置に位置するとき、図5の第4現像カートリッジ60Kのように第1突出部63Aが第1支持面96Aにおける前寄りに位置する。
このようにして、離間機構5は、第1現像ローラ61Y、第2現像ローラ61M、第3現像ローラ61Cおよび第4現像ローラ61Kを、接触位置から離間位置に移動させるときに、第1現像ローラ61Y、第2現像ローラ61M、第3現像ローラ61Cおよび第4現像ローラ61Kを、シートSの移動方向の下流側から上流側へ向けて移動させる。
図11(a),(b)に示すように、第1カム150は、円板部151と、ギヤ部150Gと、端面カム152と、クラッチ制御カム153とを有する。第1カム150は、回転することにより、対応する現像ローラ61を接触位置と離間位置との間で移動させる部材である。
円板部151は、略円板形状を有し、支持プレート102(図8参照)に回転可能に支持されている。
ギヤ部150Gは、円板部151の外周に形成されている。
端面カム152は、現像ローラ61の離間機構5を構成する、円板部151から突出した部分である第1カム部152Aを有する。端面カム152は、回転軸線方向における端面にカム面152Fを有する。
カム面152Fは、第1保持面F1と、第2保持面F2と、第1案内面F3と、第2案内面F4とを有する。
第1保持面F1は、カムフォロワ170を待機位置に保持する。
第2保持面F2は、カムフォロワ170を作動位置に保持する。
第1案内面F3は、第1保持面F1と第2保持面F2を繋ぐ、第1保持面F1に対して傾斜した面である。第1案内面F3は、第1カム150が回転するにつれてカムフォロワ170を第1保持面F1から前記第2保持面F2に案内する。
第2案内面F4は、第2保持面F2と第1保持面F1を繋ぐ、第1保持面F1に対して傾斜した面である。第2案内面F4は、第1カム150が回転するにつれてカムフォロワ170を第2保持面F2から第1保持面F1に案内する。
クラッチ制御カム153は、第2カムの一例であり、レバー160と協働してクラッチ120の伝達・切断を切り換える部分である。クラッチ制御カム153は、現像ローラ61が接触位置にある場合にモータ3からの駆動力を現像ローラ61に伝達して現像ローラ61を回転させる状態と、現像ローラ61が離間位置にある場合にモータ3からの駆動力を現像ローラ61に伝達せずに現像ローラ61を停止させる状態とを切り替える。クラッチ制御カム153は、第1カム150の円板部151と一体に形成されている。このため、クラッチ制御カム153は、第1カム150とともに回転する。クラッチ制御カム153は、円柱形状のベース円部153Aと、ベース円部153Aから第1カム150の直径方向に突出した第2カム部153Bとを有する。本実施形態では、第1カム150の第1カム部152Aは、回転軸線方向における第1カム150の円板部151の一方側から回転軸線方向に突出して設けられ、第2カム部153Bは、回転軸線方向における第1カム150の円板部151の他方側から回転軸線方向に突出して設けられている。
カムフォロワ170は、現像カートリッジ60を押圧することにより現像ローラ61を接触位置から離間位置に移動させる部材であり、スライド軸部171と、接触部172とを有する。
スライド軸部171は、本体筐体10に固定された図示しない軸部にスライド移動可能に支持されて、回転軸線方向にスライド移動可能である。スライド軸部171は、付勢部材であるバネ173により、接触部172が第1カム150のカム面152Fに接触する方向に付勢されている。これにより、カムフォロワ170は、待機位置に向けて付勢されている。バネ173は、引張コイルバネであり、一端がスライド軸部171に掛止され、他端が本体筐体10内に設けられた図示しないバネ取付部に掛止されている。
接触部172は、スライド軸部171から延出して設けられている。接触部172の、回転軸線方向の端面は、カム面152Fに対向し、カム面152Fに接触可能である。
図8に示すように、各第1カム150Y,150M,150C,150Kは、第1カム部152Aの第1カム150の回転方向の長さが第1カム150Yだけが他よりも長い点が異なるだけで、他の構成はほぼ同じである。
各第1カム150C,150Kは、第1カム部152Aよりも回転中心に近い位置に、円板部151から軸方向に突出する被検出部154を有する。本体筐体10には、ブラックとシアンに対応して離間センサ4K,4Cが設けられている。
離間センサ4K,4Cは、第1カム150C,150Kの位相を検知する位相センサである。離間センサ4K,4Cは、第1カム150C,150Kが、第3現像ローラ61C、第4現像ローラ61Kが離間位置にある所定の位相範囲に位置する場合に離間信号を出力し、第1カム150C,150Kが所定の位相範囲に位置しない場合に離間信号を出力しない。本実施形態においては、便宜上、離間信号を出力する場合をONと呼び、離間信号を出力しない場合をOFFと呼ぶ。離間信号を出力する場合と出力しない場合は、どちらの電圧が高くても構わない。
離間センサ4K,4Cは、検出光を発する発光部4Pと、発光部4Pからの検出光を受光可能な受光部4Rを有する。離間センサ4K,4Cは、発光部4Pと受光部4Rの間に被検出部154が入って発光部4Pの検出光を遮り、受光部4Rが検出光を受光しないときに、ON信号を制御部2に出力し、発光部4Pと受光部4Rの間から被検出部154から外れて受光部4Rが発光部4Pの検出光を受光したときに、OFF信号を制御部2に出力する。なお、第1カム150Y,150Mにも被検出部154と同様の形状が設けられているが、第1カム150Y,150Mに対応する離間センサは設けられていないので、これらは、被検出部としては機能しない。
図1に戻り、搬送装置70は、シートトレイ21と感光ドラム50との間に設けられている。搬送装置70は、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、無端状のベルトからなる搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74とを備えている。搬送ベルト73は、駆動ローラ71と従動ローラ72との間に張設され、外側の面が各感光ドラム50に対向配置されている。各転写ローラ74は、各感光ドラム50との間で搬送ベルト73を挟持するように搬送ベルト73の内側に配置されている。搬送装置70は、上側の外周面にシートSを載せた状態で搬送ベルト73を移動させることでシートSを搬送し、このときに、複数の感光ドラム50のトナー像をシートSに転写する。
定着器80は、感光ドラム50および搬送装置70の後方に設けられている。定着器80は、加熱ローラ81と、加熱ローラ81に対向して配置された加圧ローラ82とを備えている。シートSの搬送方向における定着器80の下流側には、シートSの通過を検出する排紙センサ28Dが設けられている。定着器80の上方には搬送ローラ15が設けられ、搬送ローラ15の上方には排出ローラ16が設けられている。
このように構成される画像形成部30では、まず、各感光ドラム50の表面が、帯電器52により一様に帯電された後、各露光装置40から照射される光により露光される。これにより、各感光ドラム50上に画像データに基づく静電潜像が形成される。
また、ケース63内のトナーは現像ローラ61の表面に担持され、現像ローラ61が感光ドラム50に対向して接触するときに、感光ドラム50上に形成された静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム50上でトナー像が形成される。
次に、搬送ベルト73上に供給されたシートSが各感光ドラム50と各転写ローラ74との間を通過することで、各感光ドラム50上に形成されたトナー像がシートS上に転写される。そして、シートSが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、シートS上に転写されたトナー像がシートSに熱定着される。
定着器80から排出されたシートSは、搬送ローラ15および排出ローラ16によって本体筐体10の上面の排紙トレイ13に蓄積される。
次に、現像ローラ61を駆動・停止するための構成と、現像ローラ61を感光ドラム50に対して接触・離間させるように動かすための構成の詳細について説明する。
図6、図7に示すように、画像形成装置1は、モータ3と、モータ3から第1現像ローラ61Y、第2現像ローラ61M、第3現像ローラ61Cおよび第4現像ローラ61Kに駆動力を伝達する駆動伝達機構100とを備えている。前記した離間機構5の一部である第1カム150は、駆動伝達機構100と機械的に接続されている。駆動伝達機構100は、第1現像ローラ61Y、第2現像ローラ61M、第3現像ローラ61Cおよび第4現像ローラ61Kが離間位置にある場合において、現像ローラ61に駆動力を伝達しないように構成されている。
駆動伝達機構100は、図7に、モータ3の駆動力を現像ローラ61に伝達するための駆動伝達ギヤ列100Dを含んでなり、駆動伝達ギヤ列100Dの駆動力の伝達を制御するための駆動制御ギヤ列100Cと機械的に接続されている。図7、図9において、駆動伝達ギヤ列100Dの各ギヤ同士の噛み合いは、太い実線で示し、駆動制御ギヤ列100Cの各ギヤ同士の噛み合いは、太い破線で示す。
駆動伝達ギヤ列100Dは、2つの第1アイドルギヤ110(110A,110B)と、3つの第2アイドルギヤ113A,113B,113Cと、第3アイドルギヤ115(115Y,115M,115C,115K)と、4つのクラッチ120と、4つのカップリングギヤ117(117Y,117M,117C,117K)とを含んでなる。駆動伝達ギヤ列100Dを構成する各ギヤは、支持プレート102または図示しないフレームに支持されており、感光ドラム50の軸方向に平行な回転軸周りに回転可能である。
モータ3は、回転駆動する出力軸3Aを有している。出力軸3Aには、図示しないギヤが設けられている。
図6に示すように、第1アイドルギヤ110は、大径ギヤ110Lと、大径ギヤ110Lよりも歯数が少ない小径ギヤ110Sとを備える2段ギヤである。大径ギヤ110Lと小径ギヤ110Sは一体に回転する。2つの第1アイドルギヤ110は、出力軸3Aの前側に配置された第1アイドルギヤ110Aと、出力軸3Aの後側に配置された第1アイドルギヤ110Bとを含む。各第1アイドルギヤ110の小径ギヤ110Sは、出力軸3Aのギヤと噛み合っている。
図7に示すように、第2アイドルギヤ113Aは、前側に配置された一方の第1アイドルギヤ110の小径ギヤ110Sと噛み合っている。
第2アイドルギヤ113Bは、後側に配置された他方の第1アイドルギヤ110の小径ギヤ110Sと噛み合っている。
第3アイドルギヤ115Y,115M,115C,115Kは、各色に対応して設けられ、前から後ろに向かってこの順に配置されている。
第3アイドルギヤ115Y,115Mは、それぞれ、第2アイドルギヤ113Aと噛み合っている。
第3アイドルギヤ115Cは、第2アイドルギヤ113Bと噛み合っている。
第3アイドルギヤ115Cと第3アイドルギヤ115Kは、それぞれ、第2アイドルギヤ113Cと噛み合っている。これにより第3アイドルギヤ115Kは、第3アイドルギヤ115Cから第2アイドルギヤ113Cを介して駆動力を受ける。
4つのクラッチ120は、それぞれ同じ構成を有している。各クラッチ120は、第3アイドルギヤ115Y,115M,115C,115Kの一つと噛み合って、第3アイドルギヤ115から駆動力を受ける。クラッチ120の構成については後述する。
各カップリングギヤ117は、クラッチ120の一つと噛み合っている。各カップリングギヤ117は、同軸で一体に回転するカップリング軸119を有している(図6参照)。カップリング軸119は、フロントカバー11の開閉に連動して軸方向に移動可能に構成され、フロントカバー11を閉めると現像カートリッジ60のカップリング65(図3(a)参照)と係合する。
このような駆動伝達ギヤ列100Dにより、イエローのカップリングギヤ117Yは、モータ3から、第1アイドルギヤ110A、第2アイドルギヤ113A、第3アイドルギヤ115Yおよびクラッチ120を介して駆動力が伝達される。
また、マゼンタのカップリングギヤ117Mは、モータ3から、第1アイドルギヤ110A、第2アイドルギヤ113A、第3アイドルギヤ115Mおよびクラッチ120を介して駆動力が伝達される。
また、シアンのカップリングギヤ117Cは、モータ3から、第1アイドルギヤ110B、第2アイドルギヤ113B、第3アイドルギヤ115Cおよびクラッチ120を介して駆動力が伝達される。
また、ブラックのカップリングギヤ117Kは、モータ3から、第1アイドルギヤ110B、第2アイドルギヤ113B、第3アイドルギヤ115C、第2アイドルギヤ113C、第3アイドルギヤ115Kおよびクラッチ120を介して駆動力が伝達される。
図8、図9に示すように、駆動制御ギヤ列100Cは、2つの第4アイドルギヤ131(131A,131B)と、2つの第5アイドルギヤ132(132A,132B)と、切替機構の一例であるYMCクラッチ140AおよびKクラッチ140Kと、2つの第6アイドルギヤ133(133A,133B)と、第7アイドルギヤ134と、第8アイドルギヤ135と、第9アイドルギヤ136と、第10アイドルギヤ137と、第1カム150(150Y,150M,150C,150K)とを含んでなる。駆動制御ギヤ列100Cを構成する各ギヤは、支持プレート102または図示しないフレームに支持されており、感光ドラム50の軸方向に平行な回転軸周りに回転可能である。
第4アイドルギヤ131は、大径ギヤ131Lと、大径ギヤ131Lよりも歯数が少ない小径ギヤ131Sとを備える2段ギヤである(図8参照)。大径ギヤ131Lと小径ギヤ131Sは一体に回転する。2つの第4アイドルギヤ131は、第1アイドルギヤ110Aの前側に配置された第4アイドルギヤ131Aと、第1アイドルギヤ110Bの後側に配置された第4アイドルギヤ131Bとを含む。各第4アイドルギヤ131の大径ギヤ131Lは、第1アイドルギヤ110の小径ギヤ110Sと噛み合っている。
2つの第5アイドルギヤ132は、第4アイドルギヤ131Aの前側に配置された第5アイドルギヤ132Aと、第4アイドルギヤ131Bの後側に配置された第5アイドルギヤ132Bとを含む。各第5アイドルギヤ132A,132Bは、第4アイドルギヤ131A,131Bの小径ギヤ131Sと噛み合っている。
YMCクラッチ140Aは、イエロー、マゼンタおよびシアンの第1カム150に駆動力を伝達する系列の駆動制御ギヤ列100Cの、駆動力の伝達・切断を切り換える。すなわち、YMCクラッチ140Aは、第1カム150Y,150M,150Cの回転・停止を切り替え可能である。具体的には、YMCクラッチ140Aは、モータ3からの駆動力を第1カム150Y,150M,150Cに伝達する状態と、モータ3からの駆動力を第1カム150Y,150M,150Cに伝達しない状態とを切り替えて、第1カム150Y,150M,150Cの回転と停止を切り替える。
YMCクラッチ140Aは、大径ギヤ140Lと、大径ギヤ140Lよりも歯数が少ない小径ギヤ140Sとを備える。YMCクラッチ140Aは、第5アイドルギヤ132Aの前側に配置され、大径ギヤ140Lが第5アイドルギヤ132Aと噛み合っている。
YMCクラッチ140Aは、例えば、電磁クラッチであり、通電すること(ONとする)により、大径ギヤ140Lと小径ギヤ140Sが一体に回転し、通電を止めると(OFFとする)、大径ギヤ140Lが空転して小径ギヤ140Sが回転しない。
Kクラッチ140Kは、YMCクラッチ140Aと同じ構成を有している。Kクラッチ140Kは、ブラックの第1カム150に駆動力を伝達する系列の駆動制御ギヤ列100Cの、駆動力の伝達・切断を切り換える。すなわち、Kクラッチ140Kは、第1カム150Kの回転・停止を切り替え可能である。具体的には、Kクラッチ140Kは、モータ3からの駆動力を第1カム150Kに伝達する状態と、モータ3からの駆動力を第1カム150Kに伝達しない状態とを切り替えて、第1カム150Kの回転と停止を切り替える。Kクラッチ140Kは、大径ギヤ140Lと、大径ギヤ140Lよりも歯数が少ない小径ギヤ140Sとを備える。Kクラッチ140Kは、第5アイドルギヤ132Bの後側に配置され、大径ギヤ140Lが第5アイドルギヤ132Bと噛み合っている。
第6アイドルギヤ133は、大径ギヤ133Lと、大径ギヤ133Lよりも歯数が少ない小径ギヤ133Sとを備える2段ギヤである(図6参照)。大径ギヤ133Lと小径ギヤ133Sは一体に回転する。2つの第6アイドルギヤ133は、YMCクラッチ140Aの前側に配置された第6アイドルギヤ133Aと、Kクラッチ140Kの後側に配置された第6アイドルギヤ133Bとを含む。各第6アイドルギヤ133の大径ギヤ133Lは、YMCクラッチ140AまたはKクラッチ140Kの小径ギヤ140Sと噛み合っている。
第7アイドルギヤ134は、第6アイドルギヤ133Aと第1カム150Yの間に配置されている。第7アイドルギヤ134は、第6アイドルギヤ133Aの小径ギヤ133S(図6参照)と、第1カム150Yのギヤ部150Gとに噛み合っている。
第8アイドルギヤ135は、第1カム150Yと第1カム150Mの間に配置されている。第8アイドルギヤ135は、第1カム150Yのギヤ部150Gと第1カム150Mのギヤ部150Gとに噛み合っている。
第9アイドルギヤ136は、第1カム150Mと第1カム150Cの間に配置されている。第9アイドルギヤ136は、第1カム150Mのギヤ部150Gと第1カム150Cのギヤ部150Gとに噛み合っている。
第10アイドルギヤ137は、第6アイドルギヤ133Bと第1カム150Kの間に配置されている。第10アイドルギヤ137は、第6アイドルギヤ133Bの小径ギヤ133S(図6参照)と、第1カム150Yのギヤ部150Gとに噛み合っている。
このような駆動制御ギヤ列100Cにより、イエローの第1カム150Yは、モータ3から、第1アイドルギヤ110A、第4アイドルギヤ131A、第5アイドルギヤ132A、YMCクラッチ140A、第6アイドルギヤ133Aおよび第7アイドルギヤ134を介して駆動力が伝達される。
また、マゼンタの第1カム150Mは、イエローの第1カム150Yから、第8アイドルギヤ135を介して駆動力が伝達される。
また、シアンの第1カム150Cは、マゼンタの第1カム150Mから、第9アイドルギヤ136を介して駆動力が伝達される。
そして、YMCクラッチ140Aに通電することにより、第1カム150Y,150M,150Cは同時に回転し、YMCクラッチ140Aの通電を止めることにより、第1カム150Y,150M,150Cは、ともに停止する。
一方、ブラックの第1カム150Kは、モータ3から、第1アイドルギヤ110B、第4アイドルギヤ131B、第5アイドルギヤ132B、Kクラッチ140K、第6アイドルギヤ133Bおよび第10アイドルギヤ137を介して駆動力が伝達される。
そして、Kクラッチ140Kに通電することにより、第1カム150Kは回転し、Kクラッチ140Kの通電を止めることにより、第1カム150Kは停止する。
ここで、クラッチ120の構成とその機能について説明する。
図10(a),(b)に示すように、クラッチ120は、遊星歯車機構を有してなる。クラッチ120は、モータ3からの駆動力を現像ローラ61に伝達する伝達状態と、モータ3からの駆動力を現像ローラ61に伝達しない切断状態とで切替可能に構成されている。具体的に、クラッチ120は、一つの軸を中心に回転可能な要素であるサンギヤ121、リングギヤ122およびキャリア123と、キャリア123に支持されるプラネタリギヤ124とを備えて構成されている。
サンギヤ121は、ギヤ部121Aと一体に回転する円板部121Bと、円板部121Bの外周に設けられた複数の爪部121Cとを有する。爪部121Cは、尖った先端を有し、この尖った先端が周方向において、一方の回転方向に傾いている。
リングギヤ122は、内周面に設けられたインナーギヤ122Aと、外周面に設けられた入力ギヤ122Bとを有する。
キャリア123は、プラネタリギヤ124を回転可能に支持する4つの軸部123Aを有する。また、キャリア123は、外周面に出力ギヤ123Bが設けられている。
プラネタリギヤ124は、4つ設けられ、それぞれ、キャリア123の軸部123Aに回転可能に支持されている。プラネタリギヤ124は、サンギヤ121のギヤ部121Aに噛み合っているとともにリングギヤ122のインナーギヤ122Aに噛み合っている。
クラッチ120は、入力ギヤ122Bが第3アイドルギヤ115と噛み合い、出力ギヤ123Bがカップリングギヤ117と噛み合っている(図6参照)。
そして、サンギヤ121が回転しないように止められた状態では、入力ギヤ122Bに入力された駆動力を出力ギヤ123Bに伝達できる伝達状態となる。
一方、サンギヤ121が回転できる状態では、入力ギヤ122Bに入力された駆動力を出力ギヤ123Bに伝達できない切断状態となる。
クラッチ120が切断状態かつ出力ギヤ123Bに負荷が掛かっている状態で入力ギヤ122Bに駆動力が入力された場合は、出力ギヤ123Bは回転せず、サンギヤ121が空転する。
図9に示すように、駆動伝達機構100は、レバー160をさらに備える。レバー160は、支持プレート102に固定された支持軸102Aに揺動可能に支持されている。
レバー160は、第1カム150と協働することにより、遊星歯車機構の要素であるサンギヤ121、リングギヤ122およびキャリア123のうちの1つの要素であるサンギヤ121に係合してサンギヤ121が回転しないように規制し、クラッチ120を伝達状態とし、サンギヤ121から離脱してクラッチ120を切断状態とする機能を有する。
具体的に、図11(a)に示すように、レバー160は、回転支持部161と、回転支持部161から延びる第1アーム162と、回転支持部161から第1アーム162と異なる方向に延びる第2アーム163とを有する。
回転支持部161は、円筒形状を有し、その内側に支持プレート102の支持軸102Aが入って、支持軸102Aに支持されている。
第2アーム163の先端は、クラッチ120の円板部121Bの外周面に向けて延びている。レバー160は、図示しないトーションスプリングにより先端がサンギヤ121(円板部121B)の外周面に向かうように付勢されている。第2アーム163は、先端にフック163Aを有する。フック163Aは、サンギヤ121の外周面の爪部121Cに係合してサンギヤ121の回転を規制することが可能である。
レバー160は、第1アーム162の先端部162Aが、第2カム部153Bと接触可能である。レバー160は、第1アーム162の先端部162Aがベース円部153Aと対向してフック163Aがクラッチ120の爪部121Cに係合する係合位置と、第1アーム162の先端部162Aが第2カム部153Bと接触して押し動かされることで、フック163Aが遊星歯車機構の1つの要素であるサンギヤ121の爪部121Cから離脱する離脱位置とに移動可能である。レバー160は、第2カム部153Bから離間して係合位置に位置する場合にクラッチ120を伝達状態とし、第2カム部153Bに接触して離脱位置に位置する場合にクラッチ120を切断状態とする。
この動作について、図11から図15を参照して説明する。なお、図11から図15に示した各部材は、イエローに対応する部材であるが、他の色についても、第1カム150の位相が異なるのみで、基本的な動作は同じである。
図11(a),(b)に示すように、第1アーム162の先端部162Aは、第2カム部153Bから離間した後に、ベース円部153Aに対向する。すると、第2アーム163のフック163Aは、クラッチ120のサンギヤ121の爪部121Cと係合して、レバー160は係合位置に位置する。クラッチ120は、レバー160によりサンギヤ121の回転が止められるので、入力ギヤ122Bが回転させられたときに出力ギヤ123Bが回転する伝達状態となる。これにより、現像ローラ61には、モータ3からの駆動力が伝達可能となり、モータ3が回転すると、駆動伝達ギヤ列100Dを介して現像ローラ61が回転する。また、カムフォロワ170は、接触部172の端面がカム面152Fの第1保持面F1に位置する。このため、スライド軸部171は、現像カートリッジ60のスライド部材64から離間している(図4(a)参照)。したがって、現像ローラ61は、接触位置に位置する。
図12(a),(b)に示すように、図11(a),(b)の状態から第1カム150が回転すると、カムフォロワ170の接触部172が第1保持面F1上を滑り、第1案内面F3に近づく。4つある第1カム150のうち、特にイエローの第1カム150Yを現像ローラ61が接触位置にある状態で停止させる場合は、図12(a),(b)のような、接触部172が第1案内面F3に接する位置で停止させる。
現像ローラ61を感光ドラム50から離間させるとき、第1カム150Yはさらに回転し、接触部172が第1案内面F3と摺動して第1案内面F3に押し動かされ、図13(a),(b)に示すように、接触部172が第2保持面F2に接触する。このとき、スライド軸部171は、現像カートリッジ60のスライド部材64を回転軸線方向に押し動かす。そして、現像カートリッジ60が支持部材90の反力によって前側に押し動かされる(図4(b)参照)。現像ローラ61は、接触部172が第1案内面F3の第2保持面F2に近い位置にあるときに感光ドラム50から離間する。接触部172が第2保持面F2に接触すると、現像ローラ61は離間位置に保持される。
図14(a),(b)に示すように、現像ローラ61が離間位置に位置した後、第1カム150はさらに回転し、レバー160の第1アーム162の先端部162Aが第2カム部153Bに接触する。レバー160は、第1アーム162が第2カム部153Bに押し動かされることで揺動し、フック163Aがサンギヤ121の爪部121Cから外れて離脱位置に位置する。クラッチ120のサンギヤ121は、レバー160により回転が止められなくなるので、入力ギヤ122Bが回転させられたときに出力ギヤ123Bが駆動力を伝達しない切断状態となる。これにより、現像ローラ61には、モータ3からの駆動力が伝達不能となり、モータ3が回転しても、サンギヤ121が空転するだけで現像ローラ61は回転しない。
現像ローラ61を離間位置に位置させて維持する場合、図14(a),(b)のようなレバー160が離脱位置にある位置で第1カム150が停止する。4つある第1カム150のうち、特にイエローの第1カム150Yを現像ローラ61を離間位置にある状態で一時停止させる場合は、図14(a),(b)の状態からさらに回転させる。そして、図15(a),(b)に示すように、接触部172が第2保持面F2のうち第2案内面F4側の端部(接触部172が第2案内面F4に接触する直前の位置)で一時停止させる。
現像ローラ61を離間位置から接触位置に移動させる場合、図14(a),(b)または図15(a),(b)の状態から、第1カム150を回転させる。すると、接触部172は、第2案内面F4を摺動して図11に示すような第1保持面F1と対向する位置に位置する。これにより、スライド軸部171は、バネ173の付勢力によって回転軸線方向に動き、スライド部材64から離れる。スライド部材64は、図4(a)の位置に戻り、現像カートリッジ60は図1の実線の位置に戻る。これによって、現像ローラ61は、感光ドラム50に接触する。現像ローラ61は、接触部172が第2案内面F4の第2保持面F2に近い位置を通過したときに感光ドラム50に接触する(図15(b)参照)。
そして、前記したように、レバー160がベース円部153Aと対向してサンギヤ121と係合する係合位置に位置することで、クラッチ120が伝達状態となる。
現像ローラ61は、第1カム150が1回転する間の接触位置に位置する間にモータ3からの駆動力が伝達されて回転する。そのため、現像ローラ61は、第1カム150が1回転する間に、感光ドラム50の回転方向に沿った所定の長さだけ感光ドラム50の表面を現像可能である。本発明では、このような、第1カム150が1回転する間に現像ローラ61が感光ドラム50の表面を現像可能な所定の長さを、単位現像長さDL1という。
本実施形態において、画像形成装置1は、シートSへのトナー像の転写時に、シートSの移動に合わせて、第1現像ローラ61Y、第2現像ローラ61M、第3現像ローラ61Cおよび第4現像ローラ61Kを接触位置に移動させ、トナー像の転写後に離間位置に順次移動させる。このため、第1カム150Y,150M,150Cは、第1カム部152Aの位相が所定角度ずつずれるように組み付けられている(図8参照)。より正確には、第1カム150M,150Cは、同じ部品が用いられ、第1カム150Yは、第1カム150M,150Cよりも第1カム部152Aの回転方向の長さが長い。そして、第1カム150Y,150M,150Cは、第1カム部152Aの回転方向の下流端の位相が所定角度ずつずれており、第1カム150Yと第1カム150Mは、第1カム部152Aの回転方向の上流端の位相が揃っている。
一方、第1カム150Kは、第1カム150M,150Cと同じ部品であり、制御部2により、第1カム150M,150Cよりも所定角度、位相が遅れて動作するように制御される。
制御部2は、画像形成装置1の全体の動作を制御する装置である。制御部2は、CPU、ROM、RAM、入出力部等を有し、予め記憶されたプログラムを実行することで各処理を実行する。
本実施形態において、制御部2は、給紙センサ28A、レジ前センサ28B、レジ後センサ28C、離間センサ4K,4Cからの信号に基づいて、YMCクラッチ140AおよびKクラッチ140Kを制御し、現像ローラ61の感光ドラム50に対する接触・離間を制御する。
制御部2は、上流側に隣接する感光ドラム50の露光を開始する前に現像ローラ61M,61C,61Kを接触位置に位置させるように構成されている。すなわち、第2現像ローラ61Mおよび第3現像ローラ61Cについては、前記した、第1カム150Y,150M,150Cの第1カム部152Aの回転方向の長さの設定と、互いの位相のずれの機械的な設定によって、上流側に隣接する感光ドラム50の露光を開始する前に接触位置に位置するようになっている。特に第2現像ローラ61Mについては、第1現像ローラ61Yの露光前に、第2現像ローラ61Mを接触位置に位置させるため、第1カム150Y,150Mは、第1現像ローラ61Yを第1感光ドラム50Yに接触させる以前、本実施形態では、第1現像ローラ61Yを第1感光ドラム50Yに接触させるのと同時に第2現像ローラ61Mを第2感光ドラム50Mに接触させるように設定されている。
また、第4現像ローラ61Kについては、カラー印刷時は、第3現像ローラ61Cとの関係で、第1カム150Kが第1カム150Cに対して所定角度遅れるように制御部2が制御する。すなわち、制御部2は、第1現像ローラ61Y、第2現像ローラ61M、第3現像ローラ61Cおよび第4現像ローラ61Kを使ってカラー印刷をする場合に、第3感光ドラム50Cの露光を開始する前に、第3現像ローラ61Cを接触位置に移動させるとともに第4現像ローラ61Kを接触位置へ移動させる。
具体的には、図16(a)に示すように、制御部2は、印刷を開始する前は、第1現像ローラ61Y、第2現像ローラ61M、第3現像ローラ61Cおよび第4現像ローラ61Kのすべてを離間位置に位置させておく。そして、図16(b)に示すように、制御部2は、カラー印刷の場合には、シートSが第1感光ドラム50Yに近づくと、第1感光ドラム50Yの露光を開始する前に、第1現像カートリッジ60Yおよび第2現像カートリッジ60Mを同時に移動させ、第1現像ローラ61Yおよび第2現像ローラ61Mを接触位置に移動させる。これにより、第1現像ローラ61Yが第1感光ドラム50Yを現像し、第1感光ドラム50Yからトナー像がシートSに転写される。
その後、図16(c)に示すように、シートSが第2感光ドラム50Mに近づくと、第2感光ドラム50Mの露光を開始する前に、第3現像カートリッジ60Cが移動して、第3現像ローラ61Cが接触位置に移動する。これにより、第2現像ローラ61Mが第2感光ドラム50Mを現像し、第2感光ドラム50Mからトナー像がシートSに転写される。そして、図16(d)に示すように、制御部2は、シートSが第3感光ドラム50Cに近づくと、第3感光ドラム50Cの露光を開始する前に、第4現像カートリッジ60Kを移動させ、第4現像ローラ61Kを接触位置に移動させる。これにより、第3現像ローラ61Cが第3感光ドラム50Cを現像し、第3感光ドラム50Cからトナー像がシートSに転写される。また、第4現像ローラ61Kが接触位置に位置することで、第4現像ローラ61Kが第4感光ドラム50Kを現像することが可能となる。
また、図17(a)に示すように、制御部2は、第1現像ローラ61Yによる第1感光ドラム50Yの現像が終了した後で、かつ、第2現像ローラ61Mによる第2感光ドラム50Mの現像が終了する前に、第1現像カートリッジ60Yを移動させ、第1現像ローラ61Yを離間位置に移動させる。その後、図17(b)に示すように、第2現像ローラ61Mによる第2感光ドラム50Mの現像が終了した後で、かつ、第3現像ローラ61Cによる第3感光ドラム50Cの現像が終了する前に、第2現像カートリッジ60Mが移動して、第2現像ローラ61Mが離間位置に移動する。
さらにその後、図17(c)に示すように、第3現像ローラ61Cによる第3感光ドラム50Cの現像が終了した後で、かつ、第4現像ローラ61Kによる第4感光ドラム50Kの現像が終了する前に、第3現像カートリッジ60Cが移動して、第3現像ローラ61Cを離間位置が移動する。そして、図17(d)に示すように、制御部2は、第4現像ローラ61Kによる第4感光ドラム50Kの現像が終了した後に、第4現像カートリッジ60Kを移動させ、第4現像ローラ61Kを離間位置に移動させる。
一方、制御部2は、第4現像ローラ61Kだけを使ってシートSに画像を形成するモノクロ印刷の場合に、第1現像ローラ61Y、第2現像ローラ61Mおよび第3現像ローラ61Cを離間位置に維持し、第4感光ドラム50Kの露光を開始する前に、第4現像カートリッジ60Kを移動させて第4現像ローラ61Kを接触位置に移動させる。そして、制御部2は、第4感光ドラム50Kの現像が終了した後に、第4現像ローラ61Kを離間位置へ移動させる。
また、制御部2は、シートSの搬送と現像ローラ61Y,61Kの対応する感光ドラム50Y,50Kへの接触タイミングを合わせる制御を実行する。すなわち、制御部2は、印刷ジョブを受信した場合、第1カム150Y,150M,150C,150Kを回転させる。そして、離間センサ4CからON信号を取得しなくなった時点(OFF信号になった時点)から第1時間T1経過後の一時停止タイミングであって、第1現像ローラ61Yが第1感光ドラム50Yに接触しない一時停止タイミングでYMCクラッチ140Aを制御して第1カム150Y,150M,150Cを停止させる。そして、レジ前センサ28BがシートSの前端の通過を検知した時点から第2時間T2経過後の再開タイミングでYMCクラッチ140Aを制御して第1カム150Y,150M,150Cを回転させ、第1現像ローラ61Yを第1感光ドラム50Yに接触させて現像を実行する。
また、制御部2は、離間センサ4KからON信号を取得しなくなった時点(OFF信号になった時点)から第1時間T21経過後の一時停止タイミングであって、第4現像ローラ61Kが第4感光ドラム50Kに接触しない一時停止タイミングでKクラッチ140Kを制御して第1カム150Kを停止させる。そして、レジ後センサ28CがシートSの前端の通過を検知した時点から第2時間T22経過後の再開タイミングでKクラッチ140Kを制御して第1カム150Kを回転させ、第4現像ローラ61Kを第4感光ドラム50Kに接触させて現像を実行する。
また、本実施形態において、制御部2は、レジ後センサ28Cの検知結果に基づいて、シートSの搬送方向におけるシートSの長さ(以下、「シート長さ」という。)SLを取得する。一例として、制御部2は、画像形成装置1におけるシートSの搬送速度をv、レジ後センサ28Cがシート(第1シート)Sの前端を検知した時刻をt1、レジ後センサ28Cが当該シート(第1シート)Sの後端を検知した時刻をt2として、以下の式(1)により、シート長さSLを算出して取得する。
SL=v(t2−t1) ・・・(1)
また、制御部2は、複数枚のシートSに連続して画像を形成する場合、シートSの搬送方向における先のシート(以下「第1シート」という。)Sの後端と、第1シートSの次のシート(以下「第2シート」という。)Sの前端との間隔であるシート間隔SIを算出する。具体的には、制御部2は、レジ後センサ28Cが第1シートSの通過を検知したタイミングと、給紙センサ28Aが第2シートSの前端を検知したタイミングとに基づいて、シート間隔SIを算出する。
ここで、シート間隔SIを算出する方法の一例について説明する。
制御部2は、原則として、シートSの搬送経路に沿った給紙センサ28Aからレジ後センサ28Cまでの距離(センサ間距離)をSD、給紙センサ28Aが第2シートSの前端を検知した時刻をt3として、以下の式(2)により、シート間隔SIを算出する。
SI=SD−v(t2−t3) ・・・(2)
一方、制御部2は、例外的に、第1シートSの実際の長さが、所定値より小さい場合、具体的には、単位現像長さDL1よりも小さい場合、第1シートSのシート長さSLを実際の長さから単位現像長さDL1以上の所定長さに設定し、シート間隔SIを、所定長さとした第1シートSの後端と、次の第2シートSの前端との間隔として算出する。単位現像長さDL1は、前記したとおり、第1カム150が1回転する間に現像ローラ61が感光ドラム50の表面を現像可能な長さである。本実施形態において、制御部2は、所定長さを単位現像長さDL1に設定する。このため、制御部2は、第1シートSの実際の長さが単位現像長さDL1よりも小さい場合、第1シートSのシート長さSLを単位現像長さDL1に設定し、シート間隔SIを、シート長さSLを単位現像長さDL1とした第1シートSのいわば仮想的な後端と、次の第2シートSの前端との間隔として算出する。
具体的には、制御部2は、まず、レジ後センサ28Cが、第1シートSの前端を検知した時刻t1の後、単位現像長さDL1の第1シートSの後端を検知する予定の時刻(予定時刻)txを算出する。予定時刻txは、上記の式(1)に基づく以下の式(3)により算出することができる。
tx=(DL1/v)+t1 ・・・(3)
そして、制御部2は、以下の式(4)により、第1シートSのシート長さSLを単位現像長さDL1とした場合のシート間隔SIを算出する。
SI=SD−v(tx−t3) ・・・(4)
なお、予定時刻txと時刻t3の先後や、前記した時刻t2と時刻t3の先後は任意である。後の時刻は、先の時刻より値が大きいものとし、時刻tx,t2が後の時刻の場合には、t2−t3やtx−t3は正の値となり、時刻tx,t2が先の時刻の場合には、t2−t3やtx−t3は負の値となる。
本実施形態において、制御部2は、算出したシート間隔SIが所定の間隔SIthよりも大きい場合には、第1シートSに転写される画像の現像が終了した後であって第2シートSに転写される画像の現像を開始する前に、現像ローラ61を接触位置から離間位置に移動させ、その後、現像ローラ61を離間位置から再び接触位置に移動させて第2シートSに転写される画像の現像を開始する。すなわち、制御部2は、シート間隔SIが大きい場合、第1シートSに転写される画像の現像が終了した後、現像ローラ61を感光ドラム50から一旦離間させ、その後、現像ローラ61を感光ドラム50に再び接触させて第2シートSに転写される画像の現像を実行する。シート間隔SIが大きい場合に現像ローラ61を一旦離間させないと、第2シートSが感光ドラム50(カラー印刷の場合は第1感光ドラム50Y、モノクロ印刷の場合は第4感光ドラム50K)に来るまでに現像ローラ61が無駄に感光ドラム50と接触した状態で回転し続けることになるからである。
一方、制御部2は、シート間隔SIが所定の間隔SIth以下の場合、第1シートSに転写される画像の現像が終了した後、現像ローラ61を移動させることなく接触位置に位置させたまま、第2シートSに転写される画像の現像を開始する。すなわち、制御部2は、シート間隔SIが小さい場合には、現像ローラ61を感光ドラム50から離間させずに接触させたままとして第2シートSに転写される画像の現像を実行する。シート間隔SIが小さい場合に現像ローラ61を離間させずに次の現像を行うのは、現像ローラ61を一旦離間させてしまうと次の現像開始に間に合うタイミングで現像ローラ61を接触位置に移動させることができない可能性があるからである。
所定の間隔SIthは、カラー印刷の場合は、レジ前センサ28Bが第1シートSの後端の通過を検知する時刻と第2シートSの前端の通過を検知する時刻との時間差が、第1カム150Yを1回転させる間に第1現像ローラ61Yが接触位置、離間位置、接触位置の順に移動するのに必要な時間以上となるようなシート間隔に設定されている。また、モノクロ印刷の場合、所定の間隔SIthは、レジ後センサ28Cが第1シートSの後端の通過を検知する時刻と第2シートSの前端の通過を検知する時刻との時間差が、第1カム150Kを1回転させる間に第4現像ローラ61Kが接触位置、離間位置、接触位置の順に移動するのに必要な時間以上となるようなシート間隔に設定されている。
ここで、制御部2の処理の一例について説明する。
図18に示すように、制御部2は、印刷ジョブを受信したとき、印刷ジョブに含まれる画像データがカラー画像か否かを判定する(S1)。制御部2は、形成すべき画像がカラー画像であると判定した場合(S1,Yes)、カラー印刷の処理を実行し(S2)、形成すべき画像がモノクロ画像である(カラー画像でない)と判定した場合(S1,No)、モノクロ印刷の処理を実行する(S3)。そして、ステップS2またはS3で画像形成が終了すると、処理を終了する。
次に、印刷の処理について、カラー印刷の場合(S2)を例に、図19〜図21のフローチャートおよび図22のタイミングチャートを参照して説明する。なお、図22では、一番上のイエローの第1現像ローラ61Yの動作のタイミングチャートに重ねて、線種を変えてマゼンタ、シアンおよびブラックの第2現像ローラ61M、第3現像ローラ61Cおよび第4現像ローラ61Kの動作を示している。
印刷の処理をする場合、画像形成動作の前はすべての現像ローラ61が離間位置にある。制御部2は、現像ローラ61を順次、接触位置にするため、図19に示すように、YMCクラッチ140AをONにする(S201)。また、制御部2は、フラグFを1とするとともに(S300)、Kクラッチ140KをONにする(S301)(t0)。これにより、第1カム150Y,150M,150C,150Kが回転する。第1カム150Y,150M,150C,150Kが回転すると、すぐに、離間センサ4C,4KがOFFになる(t31)。そして、制御部2は、給紙ローラ23を所定時間動かして(t51)、シートSをピックアップして搬送を開始する。
そして、制御部2は、シアンの離間センサ4CがOFF信号を出力した時点から第1時間T1が経過したか否か判定する(S202)。制御部2は、第1時間T1が経過したと判定したら(S202,Yes)、YMCクラッチ140AをOFFにして(S203,t32)、一時停止タイミングで第1カム150Y,150M,150Cを停止させる。この第1時間T1は、一時停止タイミングにおいて、イエローのカムフォロワ170の接触部172が、第1カム150Yの第2保持面F2のうち、最も第2案内面F4に近い位置に位置するような時間に設定されている。これにより、第1カム150Y,150M,150Cの回転が再開すると、すぐにイエローのカムフォロワ170が第2案内面F4に移動し、第1現像ローラ61Yが接触位置へ向けて動き出すようになっている。
次に、制御部2は、レジ前センサ28Bが搬送されているシートSの前端の通過を検知してONになってから(t53)第2時間T2が経過したか否か判定し(S211)、経過したと判定したら(S211,Yes)、YMCクラッチ140AをONにして(S212,t33)、再開タイミングで第1カム150Y,150M,150Cを再び回転させる。この第2時間T2は、第1現像ローラ61Yによる第1感光ドラム50Yの現像が、搬送されてきたシートSへのトナー像の転写に間に合うような時間に設定されている。
また、制御部2は、ブラックの離間センサ4KがOFF信号を出力した時点から第1時間T21が経過したか否か判定する(S302)。制御部2は、第1時間T21が経過したと判定したら(S302,Yes)、Kクラッチ140KをOFFにして(S303,t42)、一時停止タイミングで第1カム150Kを停止させる。この第1時間T21は、一時停止タイミングにおいて、ブラックのカムフォロワ170の接触部172が、第1カム150Kの第2保持面F2のうち、最も第2案内面F4に近い位置に位置するような時間に設定されている。これにより、第1カム150Kの回転が再開すると、すぐにカムフォロワ170が第2案内面F4に移動し、第4現像ローラ61Kが接触位置へ向けて動き出すようになっている。なお、第1時間T21と第1時間T1は異なる時間である。
次に、制御部2は、再開タイミングでYMCクラッチ140AをON(t33)にしてから第3時間T3が経過したか否か判定し(S213)、経過したと判定したら(S213,Yes)、YMCクラッチ140AをOFFにして(S214,t36)、第1カム150Y,150M,150Cを停止させる。この第3時間T3は、第1現像ローラ61Y、第2現像ローラ61Mおよび第3現像ローラ61Cのすべてが接触位置に位置するような時間に設定されている。
次に、制御部2は、レジ後センサ28Cが搬送されているシートSの前端の通過を検知してONになってから(t54)第2時間T22が経過したかを判定し(S311)、経過したと判定したら(S311,Yes)、Kクラッチ140KをONにして(S312,t43)、再開タイミングで第1カム150Kを再び回転させる。第2時間T22は、第4現像ローラ61Kによる第4感光ドラム50Kの現像が、搬送されてきたシートSへのトナー像の転写に間に合うような時間に設定されている。これにより、第4現像ローラ61Kが接触位置に位置するタイミングが、第3感光ドラム50Cの露光を開始する直前となる。
次に、制御部2は、Kクラッチ140KをON(t43)にしてから所定時間T23が経過したか否か判定し(S313)、経過したと判定したら(S313,Yes)、Kクラッチ140KをOFFにして(S314,t44)、第1カム150Kを停止させる。この所定時間T23は、第4現像ローラ61Kが接触位置に位置するような時間に設定されている。
その後、制御部2は、フラグFが1であるので(S220およびS320,No)、ステップS220,S320の処理を繰り返す。なお、フラグFは、初期値が0である。後述するように、制御部2は、フラグFが0の場合、現像が終了した後に現像ローラ61を離間位置に移動させ、フラグFが1の場合、現像が終了した後に現像ローラ61を離間位置に移動させずに接触位置に維持する。
制御部2は、レジ後センサ28Cが搬送されているシートSの後端の通過を検知してOFFになったとき(t57)、図20に示すように、センサの検知時刻、具体的には、レジ後センサ28CがシートSの前端を検知した時刻t1、レジ後センサ28CがシートSの後端を検知した時刻t2、給紙センサ28Aが次のシートSの前端を検知した時刻t3(次の頁がある場合)を取得する(S101)。そして、制御部2は、上記の式(1)によりシート長さSLを算出して取得する(S102)。
その後、制御部2は、シート長さSLが単位現像長さDL1よりも小さいか否かを判定し(S103)、小さいと判定したら(S103,Yes)、シート長さSLを単位現像長さDL1に設定する(S104)。また、シート長さSLが単位現像長さDL1以上と判定したら(S103,No)、制御部2は、シート長さSLをステップS102で取得した実際のシート長さSLに設定する。その後、制御部2は、印刷ジョブに次の頁があるか否かを判定し(S110)、次の頁がない場合(S110,No)、フラグFを0とする(S132)。
図19に戻り、フラグFが0の場合(S220およびS320,Yes)、制御部2は、レジ後センサ28CがOFFになってから(t57)第4時間T4が経過したかを判定する(S231)。そして、レジ後センサ28CがOFFになってから第4時間T4が経過したと判定したら(S231,Yes)、制御部2は、YMCクラッチ140AをONにして(S232,t37)、第1カム150Y,150M,150Cを回転させ、第1現像ローラ61Y、第2現像ローラ61M、第3現像ローラ61Cを順次離間させ始める。第4時間T4は、第1現像ローラ61Yにより第1感光ドラム50Yの現像が完了し、さらに、第1感光ドラム50YからシートSへの転写が終わった直後に第1現像ローラ61Yが離間位置に移動することができるような時間に設定されている。
また、制御部2は、レジ後センサ28CがOFFになってから(t57)所定時間T13が経過したかを判定し(S331)、経過したと判定したら(S331,Yes)、Kクラッチ140KをONにして(S332,t45)、第1カム150Kを回転させる。所定時間T13は、第4現像ローラ61Kにより第4感光ドラム50Kに現像が完了し、さらに、第4感光ドラム50KからシートSへの転写が終わった直後に第4現像ローラ61Kが離間位置に移動することができるような時間に設定されている。
次に、制御部2は、シアンの離間センサ4CがON信号(離間信号)を出力したか否かを判定し(S233)、ON信号を出力したと判定したら(S233,Yes)、YMCクラッチ140AをOFFにして(S234,t40)、第1カム150Y,150M,150Cを停止させる。また、制御部2は、ブラックの離間センサ4KがON信号を出力したか否かを判定し(S333)、ON信号を出力したと判定したら(S333,Yes)、Kクラッチ140KをOFFにして(S334,t46)、第1カム150Kを停止させる。
一方、図20に示すように、ステップS110で印刷ジョブに次の頁がある場合(S110,Yes)、制御部2は、後端がレジ後センサ28Cを通過した先のシート(第1シート)Sと、次のシート(第2シート)Sとのシート間隔SIを算出する(S120)。図21に示すように、シート間隔算出の処理において、制御部2は、シート長さSLが単位現像長さDL1であるか否かを判定する(S121)。シート長さSLが単位現像長さDL1でない場合(S121,No)、すなわち、シート長さSLが単位現像長さDL1よりも大きい場合、制御部2は、上記の式(2)によりシート間隔SIを算出し(S123)、シート間隔算出の処理を終了する。
また、シート長さSLが単位現像長さDL1である場合(S121,Yes)、制御部2は、レジ後センサ28Cが、第1シートSの前端を検知した時刻t1の後、単位現像長さDL1の第1シートSの後端を検知する予定時刻txを算出する(S125)。その後、制御部2は、上記の式(4)によりシート間隔SIを算出し(S126)、シート間隔算出の処理を終了する。
図20に戻り、シート間隔SIを算出したら、制御部2は、シート間隔SIが所定の間隔SIth以下であるか否かを判定する(S130)。そして、制御部2は、シート間隔SIが所定の間隔SIth以下の場合(S130,Yes)には、フラグFを1とし(S131)、シート間隔SIが所定の間隔SIthよりも大きい場合(S130,No)には、フラグFを0とする(S132)。
そして、フラグFが1の場合(シート間隔SIが所定の間隔SIth以下の場合)(図19、S220およびS320,No)、制御部2は、現像ローラ61を対応する感光ドラム50から離間させる動作(S231〜S234,S331〜S334)を実行することなく、t57〜t37の間において、現像ローラ61を対応する感光ドラム50に接触させたまま、第2シートSに転写される画像の現像を実行する。
また、フラグFが0の場合(シート間隔SIが所定の間隔SIthよりも大きい場合)(図19、S220およびS320,Yes)、制御部2は、ステップS231〜S234,S331〜S334の処理(t37〜t46)を実行して現像ローラ61を対応する感光ドラム50から離間させ、その後、ステップS201〜S214,S300〜S314の処理(t0〜t44)を実行して現像ローラ61を対応する感光ドラム50に順次接触させつつ、第2シートSに転写される画像の現像を順次実行する。
なお、モノクロ印刷の場合(S3)は、YMCクラッチ140Aを一切動かさず、現像ローラ61Y,61M,61Cを離間位置に位置させたままとすること(すなわち、図19(a)の処理を実行しないこと)以外は、上記と同様である。モノクロ印刷における第1時間T21とカラー印刷における第1時間T21は異なる時間である。また、モノクロ印刷における第2時間T22とカラー印刷における第2時間T22は異なる時間である。
また、イエローの第1カム150Yとブラックの第1カム150Kとの間で第1カム部152A(直接的には、第1保持面F1)の回転方向の長さの設定が異なることにより(図8参照)、モノクロ印刷の場合の単位現像長さDL1と、カラー印刷の場合の単位現像長さDL1は異なる長さである。具体的には、第1カム150Kが1回転する間に第4現像ローラ61Kが回転する時間は、第1カム150Yが1回転する間に第1現像ローラ61Yが回転する時間よりも長いため、モノクロ印刷の場合の単位現像長さDL1は、カラー印刷の場合の単位現像長さDL1よりも大きい。
以上に説明した画像形成装置1による作用効果について説明する。
画像形成装置1は、シート間隔SIが所定の間隔SIthよりも大きい場合に、現像ローラ61を接触位置から離間位置に移動させ、その後、現像ローラ61を離間位置から再び接触位置に移動させて第2シートSに転写される画像の現像を開始するので、第2シートSに転写される画像の現像を行う前に現像ローラ61を一旦感光ドラム50から離間させて停止させることができる。これにより、現像ローラ61が感光ドラム50に接触した状態で第2シートSの到着を待つ状況を発生しにくくできる。また、現像ローラ61が無駄に感光ドラム50と接触した状態で回転するのを抑制することができるので、現像ローラ61を長持ちさせたり、トナーの劣化を抑制したりすることができる。
ところで、現像ローラ61は、一旦接触位置に移動すると、第1カム150が所定の位相、具体的には、図12に示すように、カムフォロワ170の接触部172が、第1保持面F1の、第1案内面F3に近い端部に接触する位相(すなわち、現像ローラ61が離間位置に移動し始める直前の位相)まで回転しない限り離間位置に移動させることができない。そのため、第1シートSの実際の長さが単位現像長さDL1よりも小さい場合には、第1カム150が所定の位相まで回転する前に、例えば、第1保持面F1の周方向における中央付近の位相などで現像が終了するため、その後、第1カム150を所定の位相(図12に示す位相)まで回転させなければ現像ローラ61を離間位置に移動させることができない。
このように第1シートSの長さが小さい場合に、第1シートSと第2シートSの実際のシート間隔が所定の間隔SIthよりも大きいからといって、現像ローラ61を離間位置に移動させ、その後、再び接触位置に移動させようとすると、第1カム150が所定の位相まで回転してから現像ローラ61が離間位置に移動し始めることになるので、現像ローラ61の離間位置への移動開始のタイミングが遅れる。そして、これにより、現像ローラ61が離間位置から再び接触位置に戻るタイミングも遅れるので、所定の間隔SIthの設定次第ではあるが、なるべく現像ローラ61を一旦感光ドラム50から離間させて停止させるために所定の間隔SIthを小さくすると、現像ローラ61が接触位置に戻るタイミングが次の第2シートSに転写される画像の現像に間に合わない可能性がある。
そこで、本実施形態では、第1シートSの長さが小さい場合に、第1シートSの長さを所定長さとしての単位現像長さDL1に設定することで、第1カム150を所定の位相まで回転させておき、シート間隔SIが所定の間隔SIthよりも大きい場合には、現像ローラ61をすぐに離間位置に移動させ、その後、第2シートSに転写される画像の現像に間に合うように、現像ローラ61を再び接触位置に移動させることができる。これにより、例えば、所定の間隔SIthを第1シートSの長さに応じて変更することなく、現像ローラ61を一旦離間させて停止させる制御を実行することが可能となっている。
また、本実施形態では、第1シートSの実際の長さが単位現像長さDL1よりも小さい場合に第1シートSのシート長さSLとして設定される所定長さを、単位現像長さDL1そのものにしているので、第1シートSのシート長さSLを所定長さとみなす場合に、第1シートSの長さを最小とすることができる。これにより、第1シートSの長さを単位現像長さDL1よりも大きい長さに設定した場合よりも、印刷完了までの時間を短縮することができる。
また、第1カム150と第2カムであるクラッチ制御カム153が一体に形成され、その周りに、クラッチ120やレバー160が配置されているので、現像ローラ61を接触・離間させる機構である離間機構5と、現像ローラ61への駆動力を伝達・切断する機構であるクラッチ120やレバー160をコンパクトに設けることができる。また、一体のカム(第1カム150)を回転させることで、現像ローラ61の接触・離間と、現像ローラ61への駆動力の伝達・切断を実現できるので、離間機構5とクラッチ120に駆動力を伝達する機構を駆動伝達機構100として一本化し、離間機構5に駆動力を伝達する機構と、クラッチ120に駆動力を伝達する機構とを別に設ける場合と比較して、部品点数を減らして小型化することができる。これにより、画像形成装置1を小型化することができる。
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することが可能である。
例えば、画像形成装置は、モータ3を第1回転速度で回転させる第1モードと、モータ3を第1回転速度よりも遅い第2回転速度で回転させる第2モードとを実行可能であってもよい。第2モードのとき、現像ローラ61の回転速度、および、現像ローラ61の接触位置と離間位置との間の移動速度は第1モードのときよりも遅くなる。なお、シートSの搬送速度は、第1モードと第2モードとで変わらないものとする。このような構成においては、第2モードでの単位現像長さDL1を、第1モードでの単位現像長さDL1よりも大きくする。また、第2モードでのシート間隔SIの所定の間隔SIthを、第1モードでの所定の間隔SIthよりも大きくする。
また、前記実施形態においては、第1シートSの実際の長さが単位現像長さDL1よりも小さい場合に第1シートSのシート長さSLとして設定される所定長さを、単位現像長さDL1に設定したが、所定長さを単位現像長さより大きい長さに設定してもよい。また、所定長さを、例えば、A5サイズやB5サイズなどのような定形のサイズに設定してもよい。
また、前記実施形態においては、第1カム150と第2カムであるクラッチ制御カム153が一体に形成されていたが、第1カムと第2カムは、別々に形成されていてもよい。
また、前記実施形態においては、第1シートセンサとしてレジ後センサ28Cを例示したが、第1シートセンサは、給紙センサ28Aやレジ前センサ28Bなどであってもよい。第2シートセンサについても同様である。なお、本発明において、シート長さSLやシート間隔SIの算出方法が前記実施形態で説明した方法に限定されないことはいうまでもない。
また、前記実施形態においては、4色のトナーを用いてカラー画像を印刷する画像形成装置1を例示したが、3色や5色のトナーを用いてカラー画像を印刷する装置であってもよい。また、画像形成装置は、感光ドラムや現像ローラ、カムなどをそれぞれ1つずつ備え、1色のトナーのみを用いてモノクロ画像を印刷する装置であってもよい。
また、画像形成装置は、複合機やコピー機であってもよい。