JP2020043772A - 加熱凝固卵白の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の加熱凝固卵白は、品温10℃における硬さが80g/cm2以上250g/cm2以下である加熱凝固卵白であって、未脱糖及び未熱蔵の卵白乾燥物を含むことを特徴とする。
【選択図】なし
Description
(1)品温10℃における硬さが80g/cm2以上250g/cm2以下である加熱凝固卵白であって、
前記加熱凝固卵白は、未脱糖及び未熱蔵の卵白乾燥物を含むことを特徴とする
加熱凝固卵白。
(2)前記加熱凝固卵白中の卵白タンパク質の全含有量(A)が、5質量%以上15質量%以下であることを特徴とする
(1)に記載の加熱凝固卵白。
(3)前記加熱凝固卵白中の卵白タンパク質の全含有量(A)のうちの前記卵白乾燥物由来の卵白タンパク質の含有量(Y)の割合(Y×100/A)が、15%以上45%以下であることを特徴とする
(1)又は(2)に記載の加熱凝固卵白。
(4)前記卵白乾燥物は、殺菌卵白を乾燥させた卵白乾燥物であることを特徴とする
(1)から(3)のいずれか1つに記載の加熱凝固卵白。
(5)前記卵白乾燥物が、チルド品又は冷凍品であることを特徴とする
(1)から(4)のいずれか1つに記載の加熱凝固卵白。
(6)(1)から(5)のいずれか1つに記載の加熱凝固卵白を材料として含む加工食品。
(7)品温10℃における硬さが80g/cm2以上250g/cm2以下である加熱凝固卵白の製造方法であって、
液卵白と、未脱糖及び未熱蔵の卵白乾燥物と、水と、を混合する工程と、
前記混合して得られたスラリーを加熱凝固する工程と、
を含むことを特徴とする
加熱凝固卵白の製造方法。
(8)前記混合する工程は、前記卵白乾燥物と前記水とを混合した卵白溶液に前記液卵白を混合する工程を含み、
前記液卵白の卵白タンパク質の濃度(B)に対する、前記卵白溶液の卵白タンパク質の濃度(Z)の比率(Z/B)が、1.00〜1.20であることを特徴とする
(7)に記載の加熱凝固卵白の製造方法。
(9)前記卵白乾燥物のpHが8.9以上11.0以下であることを特徴とする
(7)又は(8)に記載の加熱凝固卵白の製造方法。
(10)前記スラリー中の卵白タンパク質の全含有量(A)が、5質量%以上15質量%以下であることを特徴とする
(7)から(9)のいずれか1つに記載の加熱凝固卵白の製造方法。
(11)前記スラリー中の卵白タンパク質の全含有量(A)のうちの前記卵白乾燥物由来の卵白タンパク質の含有量(Y)の割合(Y×100/A)が、15%以上45%以下であることを特徴とする
(7)から(10)のいずれか1つに記載の加熱凝固卵白の製造方法。
(12)前記混合する工程の前に、前記液卵白を殺菌する工程をさらに含むことを特徴とする
(7)から(11)のいずれか1つに記載の加熱凝固卵白。
(13)前記混合する工程の前に、前記卵白乾燥物を15℃以下で保管する工程をさらに含むことを特徴とする
(7)から(12)のいずれか1つに記載の加熱凝固卵白の製造方法。
(14)液卵白を加熱殺菌する工程と、
前記加熱殺菌された殺菌卵白を乾燥する工程と、
前記乾燥して得られた殺菌卵白の乾燥物を15℃以下で保管する工程と、
を含むことを特徴とする
卵白乾燥物の製造方法、
である。
加熱凝固卵白とは、卵白を主成分とした液状混合物(スラリー)を任意の方法で完全に加熱凝固させゲル状にしたものをいう。具体的には、目視で観察したとき加熱凝固卵白の表面ばかりでなく中身も凝固し、全体において凝固していない部分、即ち、半熟状の部分が殆ど観察されない状態にあるものである。
本発明の卵白とは、後述する液卵白及び卵白乾燥物をいう。
加熱凝固卵白は、茹で卵の卵白部を模したものであり、後述するタマゴスプレッドやタマゴフィリング等の加工食品に用いられる。加熱凝固卵白の大きさや形状は任意であり、例えば、スラリーを加熱工程により単に凝固させた状態のもの、さらに当該凝固物をダイサー、フードカッター、撹拌機等により定形あるいは不定形の大きさや形状に処理したもの等が挙げられる。
本発明の加熱凝固卵白は、上記加工食品の材料として適度な硬さを有し、品温10℃において80g/cm2以上250g/cm2以下の硬さを有する。80g/cm2以上とすることで、加工時に必要な形状を保つことができる。250g/cm2以下とすることで、完全に凝固させた茹で卵の卵白部に近い、適度な弾力のある加熱凝固卵白が得られる。
本発明の加熱凝固卵白は、スラリー中の原料として液卵白を含む。本発明の液卵白とは、機械によって工業的に鶏卵等の卵を割卵し、卵黄を分離して得られる液状の卵白をいう。本発明の液卵白は、例えば、割卵後、分離した直後の未調製の生卵白である。本発明の液卵白には、殺菌、凍結等の処理が施されていてもよく、食塩、砂糖等の調味料を添加して用いてもよい。
本発明の加熱凝固卵白は、スラリー中の原料として、液卵白の他、卵白乾燥物を含む。
卵白乾燥物とは、液卵白の乾燥物であり、未脱糖及び未熱蔵のものをいう。
乾燥物とは、液状物を、任意の乾燥方法により乾燥させたものをいう。卵白乾燥物の製造方法の詳細については、後述する。
卵白乾燥物の性状は、例えば、パウダー状、顆粒状等の粒状物や、フレーク状の固形物であると、水への溶解性が良好となり、好ましい。
ここで、従来の乾燥卵白は、割卵して得られた液卵白を乾燥したものであり、液卵白を乾燥後に熱蔵処理を行うことが一般的であった。熱蔵処理は、一般的には、55℃〜90℃で2時間〜1ヶ月間加熱されることで行われる。また、従来の乾燥卵白では、熱蔵中のメイラード反応を防ぐために、液卵白に対して脱糖処理が必要であった。メイラード反応とは、卵白タンパク質中のアミノ基と糖とが反応し、褐変化する反応をいう。また、ここでいう脱糖処理は、酵素、酵母、細菌、膜除去等により糖を分解及び/又は除去させる処理をいう。つまり、従来の乾燥卵白においては、熱蔵処理を行い、それに伴って脱糖処理を行うことが技術常識であった。
一方で、本発明では上記技術常識を覆し、脱糖処理及び熱蔵処理をしていない卵白乾燥物を用いる。
そのため、本発明の卵白乾燥物は、液卵白と同等、あるいはそれに近い風味を有するため、液卵白のみを用いたときのような良好な卵白の風味を有する。また、本発明の卵白乾燥物は、液卵白に近い加熱凝固性を有することで、加熱凝固卵白の食感を良好なものとすることができる。
本発明の卵白乾燥物は、従来の乾燥卵白と同様に、長期保存が可能となる。また、卵白乾燥物は、保管中の品位安定のため、殺菌液卵白を用いて乾燥することが好ましく、より風味を維持するため、乾燥後に15℃以下で保存されることが好ましい。
本発明の加熱凝固卵白は、液卵白由来及び卵白乾燥物由来の卵白タンパク質を含む。
卵白タンパク質とは、卵白に含まれるタンパク質の総称であり、オボアルブミン、オボトランスフェリン、オボムコイド等を含み、加熱凝固性を有する。
本発明の加熱凝固卵白中の卵白タンパク質の全含有量(A)とは、液卵白由来の卵白タンパク質の含有量(X)と、卵白乾燥物由来の卵白タンパク質の含有量(Y)の和(X+Y)をいう。つまり、A,X,Yの間には、A=X+Yの関係が成り立つ。
加熱凝固卵白中の卵白タンパク質の全含有量Aは、5.0質量%以上15.0質量%以下であるとよく、10.0質量%以上15.0質量%以下であるとよく、さらに10.5質量%以上13.0質量%以下であるとよい。
上記範囲とすることで、完全に凝固させた茹で卵の卵白部に近い風味が得られるともに、タマゴスプレッドなどの加工食品の材料として適した硬さの加熱凝固性が得られやすくなる。
本発明の卵白乾燥物による置換率とは、加熱凝固卵白中における加熱凝固卵白中の卵白タンパク質の全含有量Aのうち、卵白乾燥物由来の卵白タンパク質の含有量Yの割合(Y×100/A)をいう。
本発明の卵白乾燥物による置換率(Y×100/A)は、15%以上45%以下であるとよく、15%以上40%以下であるとよく、さらに20%以上35%以下であるとよい。
5%以上とすることで、液卵白の使用量を抑えられ、コストの面や供給安定性に優れた加熱凝固卵白を提供することができる。
45%以下とすることで、液卵白のみを用いた加熱凝固卵白に近い、良好な風味及び食感が得られる。
本発明の卵白乾燥物は、従来の乾燥卵白等の代替材料を用いたときと比べて、卵白の風味が感じられやすく、乾燥臭が少なくなる。このため、本発明の加熱凝固卵白では、従来の代替材料よりも多くの量を液卵白と置き換えることができ、安定して供給することができるとともに、コストの面で有利になる。
本発明の加熱凝固卵白の製造方法は、卵白乾燥物を含む原料を混合してスラリーを製する工程と、スラリーを加熱凝固する工程と、を含む。また、混合する工程の前に、卵白乾燥物を15℃以下で保管する工程をさらに含んでもよい。
まず、卵白乾燥物と、液卵白と、水と、を混合し、スラリーを製する。
本発明のスラリーとは、液卵白、卵白乾燥物及び水、並びにその他の原料を均一に混合した液状物をいい、卵白を主成分とするものをいう。
本発明の混合工程は、全原料が均質に混合できれば工程の順序は問わないが、卵白乾燥物と添加する水分をあらかじめ混合し、卵白乾燥物を溶解した後、液卵白と混合することで安定した品位の加熱凝固卵白が得られやすい。均質に混合するためには、例えばミキサー等の混合機を用いることができる。
本発明の卵白溶液とは、スラリー中の液卵白以外の水分に卵白乾燥物が溶解した溶液をいう。スラリー中の液卵白以外の水分は、スラリー中の液卵白及び卵白乾燥物以外に添加される材料がある場合は、その材料の水分も含むものとする。
卵白溶液は、混合工程において、上述のように、液卵白との混合前に製されてもよいが、これに限定されず、例えばスラリーにおいて全原料が同時に混合されて製されてもよい。
従って、「液卵白以外の水分によって卵白乾燥物が溶解している」態様には、卵白乾燥物を予め水分に溶解させて卵白溶液を製する態様だけでなく、例えば卵白乾燥物と液卵白と水とが混合されることにより卵白乾燥物の少なくとも一部が液卵白の水分に溶解している態様も含まれるが、この場合であっても、液卵白の水分に溶解した一部の卵白乾燥物も含めた配合中の全ての卵白乾燥物が、スラリー中の液卵白以外の水分に溶解していると考えるものとする。
本発明の卵白溶液濃度比とは、卵白溶液の卵白乾燥物由来の卵白タンパク質の濃度Zと、原料として用いる液卵白の卵白タンパク質の濃度Bとの比率Z/Bをいう。
卵白溶液濃度比Z/Bにより、卵白溶液における卵白成分の濃さを判断できる。つまり、上記卵白溶液濃度比Z/Bの値が1.00であれば、卵白溶液の卵白タンパク質の濃度が液卵白の卵白タンパク質の濃度と同等であることを示し、卵白溶液濃度比Z/Bの値が1.00よりも大きいと液卵白よりも濃く、1.00よりも小さいと液卵白よりも薄いことを示す。
本発明のスラリーでは、卵白溶液濃度比Z/Bが、0.30〜1.30であるとよい。これにより、液卵白のみを用いた加熱凝固卵白と同程度の加熱凝固性が得られる。特に、卵白溶液濃度比Z/Bが、1.00〜1.20であるとよく、さらに1.05〜1.10であるとよい。上記範囲とすることで、弾力のある好ましい食感が得られる。
混合工程で用いられる卵白乾燥物のpHは、8.5以上11.0以下であるとよく、8.9以上11.0以下であるとよく、さらに9.3以上10.6以下であるとよい。
卵白乾燥物のpHとは、卵白乾燥物を7倍の水で水戻しした溶液のpHをいい、具体的には、pH測定装置(例えば、商品名「Seven Multi」、メトラー・トレド社製)を用いて測定される値をいう。
卵白乾燥物のpHを上記範囲とすることで、液卵白と混合された加熱凝固卵白は、適度な硬さに調整しやすく、ソフトで弾力のある食感が得られる。
また、卵白乾燥物のpHを上記範囲に調整するために、例えば、酸材を用いてもよく、膜濃縮処理を行ってもよい。
ここで、酸材とは、食用として供されるもので、水溶液とした時酸性を呈するものであればいずれのものでもよく、例えば、食酢、醸造酢、果汁、酢酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、L-アスコルビン酸等の有機酸等が挙げられる。また、本発明では、酸材のみでpH調整してもよいが、有機酸のナトリウム塩やカリウム塩等の食用のアルカリ材と組み合わせてpHを調整してもよい。
上記スラリーには、本発明の効果を損なわない範囲で、乳タンパク質、澱粉、ガム質等の増粘多糖類、その他の添加物等の各種原料を適宜選択し、混合してもよい。
乳タンパク質とは、乳に含まれる高分子化合物であってアミノ酸が重合したものをいう。乳タンパク質としては、α−カゼイン、β−カゼイン、γ−カゼイン等のカゼインと、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリン等のホエー(乳清)タンパク質等が挙げられる。
澱粉としては、食用として供される未加工澱粉及び加工澱粉が挙げられる。未加工澱粉としては、例えば、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、ワキシーコーンスターチ、レギュラーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉等が挙げられる。加工澱粉としては、未加工澱粉に架橋、エステル化、エーテル化、アルデヒド化、酸化等の処理を施したものが挙げられる。
ガム質としては、例えば、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアガム、タマリンドシーガム、アラビアガム、カラヤガム等が挙げられる。
上述した以外の原料としては、例えば、食塩、砂糖、醤油、グルタミン酸ナトリウム、動植物等のエキス類、アミノ酸等の調味料類、卵黄油、菜種油、コーン油、綿実油、大豆油、パーム油、魚油等の動植物油又はこれらの精製油、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油等のような化学的あるいは酵素的処理等を施して得られる油脂、コレステロール、フィトステロール、各種脂肪酸等の油脂類、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、リン脂質、リゾリン脂質等の乳化材、卵黄、卵黄レシチン等の卵黄成分、魚肉蛋白、畜肉蛋白、血清蛋白、小麦蛋白、ゼラチン等の蛋白質類、鉄、カルシウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、銅、セレン、マンガン、コバルト、ヨウ素等のミネラル類、あるいはこれらミネラル類を高度に含有した酵母、スクラロース、ステビア、マルチトール、アセスルファムカリウム等の甘味料、からし粉、胡椒等の香辛料、酢酸ソーダ、グリシン、ポリリジン、卵白リゾチーム、プロタミン等の静菌剤、β―カロチン、クチナシ、アナトー色素などの着色成分、デキストリン、オリゴ糖、糖アルコール、水飴等の糖類、その他、食物繊維、ビタミン類、キレート剤等が挙げられる。
続いて、上記スラリーを加熱凝固する。これにより、加熱凝固卵白が製される。
加熱凝固する方法としては、スラリーが凝固する温度、具体的には75℃以上、好ましくは80℃以上に加熱する方法を用いればよく、その手段は任意である。例えば、スラリーをトレー等の容器に移し、蒸煮、通電加熱、マイクロ波加熱等により加熱処理を行なう、あるいはポリ袋等の容器にスラリーを充填密封し、熱水や蒸気等により加熱処理を行なう方法等が挙げられる。
本発明の加熱凝固卵白は、加工食品の食材としても用いられる。
本発明の加熱凝固卵白を用いた加工食品は、例えば、茹で卵を利用した代表的な加工食品である、タマゴスプレッド、タマゴフィリング、タマゴサラダ、タルタルソース等が挙げられる。但し、本発明の加工食品は、本発明の加熱凝固卵白を用いたものであればこれらに限定されず、例えば、パスタソース、カレー、シチュー、スープ、お粥、雑炊、目玉焼き、オムレツ、ラーメン等が挙げられる。
本発明の加工食品は、上述の加熱凝固食品を用いるため、良好な卵白の風味及び食感を有する。
また、本発明の加工食品は、レトルト殺菌やその他の加熱殺菌が施されたものであってもよい。
本発明の卵白乾燥物の製造方法は、液卵白を加熱殺菌する工程と、加熱殺菌された液卵白を乾燥する工程と、乾燥して得られた液卵白の乾燥物を15℃以下で保管する工程と、を含む。
また、液卵白を乾燥する工程の前に、液卵白を加熱殺菌する工程を含んでもよい。
続いて、乾燥して得られた卵白乾燥物を15℃以下で保管する。保管の期間は特に限定されないが、卵白乾燥物が充分冷却された後、数十分〜数ヶ月であってもよい。これにより、保管中の風味の劣化を防止することができる。なお、卵白乾燥物は、0℃以下で保管されてもよい。
また、液卵白を加熱殺菌する場合、液卵白が凝固しない程度に常法により行われ、例えば54℃〜65℃で1〜10分加熱する。具体的に、食品衛生法には、液卵白の殺菌条件として、バッチ式殺菌の場合は54℃で10分間、連続式殺菌の場合は56℃で3.5分間と定められているため、これに従って行うとよい。
以上のように、卵白乾燥物が製造される。
本発明の卵白乾燥物は、チルド品又は冷凍品であるとよい。チルド品とは、0〜15℃で流通させるものをいう。冷凍品とは、0℃以下、好ましくは−18℃以下で流通させるものをいう。
従来の乾燥卵白は、上記脱糖及び熱蔵後、常温保管されることが一般的である。一方で、上記卵白乾燥物は、乾燥工程の後、チルド品として流通され、冷蔵又は冷凍保管される。これにより、加熱凝固卵白の原料として用いた場合にも、加熱による風味や食感の劣化を充分に抑えることができる。
なお、卵白乾燥物は、常温に戻してから加熱凝固卵白の原料として用いられてもよい。
以上のように、本発明では、液卵白の代替材料として卵白乾燥物を用いることで、風味や食感の良好な加熱凝固卵白が得られる。
以前より、タマゴサラダ、タマゴスプレッド、タマゴフィリング等の茹で卵の卵白部を用いる加工食品は、茹で卵を剥く際の手間や殻の混入などを防止する観点から、予め割卵された液卵白を加熱凝固することが行われていた。さらに、液卵白の供給量やコスト等の観点から、液卵白の一部を乾燥卵白(従来の乾燥卵白)等で置き換えることが行われていた。
しかしながら、液卵白の一部を従来の乾燥卵白で置き換えた場合、上述のように、乾燥臭を感じることがあり、茹で卵の卵白部と同等の風味を付与するには到らなかった。このため、加熱凝固卵白中の従来の乾燥卵白の代替量を増やすことができず、依然として多くの液卵白を用いることによるコスト等の問題が生じたままであった。
そこで、本発明者らは、流通性及び保存性に優れており、かつ加熱凝固卵白としたときに液卵白と同等の風味や食感が得られる材料について鋭意研究した結果、熱蔵及び脱糖処理を行わずに液卵白を乾燥させる上記卵白乾燥物に想到した。
これにより、本願発明では、時間を要していた乾燥処理後の熱蔵処理や、褐色変性対策としての脱糖処理を不要としながら、卵白本来の良好な風味が維持された加熱凝固卵白を得ることができる。また、本発明の卵白乾燥物は、液卵白と同様の加熱凝固性を有することで、本発明の卵白乾燥物と液卵白とを混合して加熱凝固した際に、良好な食感を得ることができる。
また、本発明の卵白乾燥物は、液卵白の状態で殺菌された殺菌卵白を乾燥処理することで、保管中の卵白乾燥物の品位が安定し、液卵白と同等の風味がより得られやすくなる。
このように、本発明では、供給安定性、流通性及び保存性に優れながら、茹で卵の卵白部と同等又は近い、良好な風味とソフトで弾力のある食感を有する加熱凝固卵白が得られる。
[実施例1]
(卵白乾燥物の製造)
まず、液卵白を、食品衛生法に定められた条件を参照し、54℃で10分加熱して殺菌卵白を得た。次に、160℃の条件で殺菌卵白をスプレードライした後、得られた殺菌卵白の乾燥物を、15℃以下で冷蔵保管し、卵白乾燥物を製した。
続いて、下記表1の配合にて実施例1のスラリーを調製した。具体的には、まず、上記製した卵白乾燥物と、水とをミキサーに投入し攪拌混合して卵白溶液を作製した。続いて、卵白溶液に液卵白を投入し攪拌混合することで、スラリーを製した。
そして、このスラリーを、厚みが3cmになるようにナイロンポリ袋に充填し、90℃のボイル槽で60分間加熱処理して加熱凝固させた後、15℃以下で冷却保管し、本発明の加熱凝固卵白を得た。
得られた実施例1の加熱凝固卵白を用いて、表1に示す(1)〜(4)の各値を算出した。
まず、原料の配合から、X:液卵白由来の卵白タンパク質の含有量(質量%)、Y:卵白乾燥物由来の卵白タンパク質の含有量(質量%)を算出した。表1に示すように、実施例1の加熱凝固卵白では、Xが8.4質量%、Yが2.2質量%であった。
続いて、スラリー中の卵白タンパク質の全含有量(A=X+Y)を算出した。表1の(1)に示すように、実施例1の卵白タンパク質の全含有量Aは、10.6質量%であった。
また、算出された卵白タンパク質の全含有量Aのうち、卵白乾燥物由来の卵白タンパク質の含有量の割合を、卵白乾燥物による置換率(Y×100/A)として算出した。表1の(2)に示すように、実施例1の卵白乾燥物による置換率(Y×100/A)は、21.0%であった。
さらに、水と卵白乾燥物とを混合し水戻しした卵白溶液の卵白タンパク質の濃度の値をZとして算出した。表1に示すように、実施例1の加熱凝固卵白では、Zが11.2質量%であった。また、スラリー中の液卵白の卵白タンパク質の濃度Bを分析した結果、Bは10.5質量%であった。実施例1について、B=10.5%に対するZの比率を「卵白溶液濃度比Z/B」として求めたところ、表1の(3)に示すように、1.06であった。 また、実施例1の卵白乾燥物を用いて、7倍の水で水戻しした溶液を作り、pHを、pH測定装置(商品名「Seven Multi」、メトラー・トレド社製)により測定し、卵白乾燥物のpHを求めた。その結果、表1の(4)に示すように、9.83であった。
上記表1のように、原料の配合を変え、未殺菌の液卵白を用いて製した未脱糖及び未熱蔵の卵白乾燥物を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2〜9に係る加熱凝固卵白を得た。
表1の(4)に示す卵白乾燥物のpHはいずれも、9.83であった。実施例6では、卵白乾燥物のpHが8.82の卵白乾燥物を用いた。
実施例2では、卵白乾燥物による置換率(Y×100/A)を実施例1よりも増加させ、31.2%とした。それ以外の値は実施例1と同程度であり、卵白タンパク質の全含有量Aは10.7質量%、卵白溶液濃度比Z/Bは1.06であった。
実施例3では、実施例1に対し、卵白溶液濃度比Z/Bを0.99と低くし、かつ卵白乾燥物による置換率(Y×100/A)を29.9%と増加させた。
実施例4では、卵白乾燥物による置換率(Y×100/A)を39.9%とさらに増加させた以外は、実施例3と同様とした。
実施例5では、卵白乾燥物による置換率(Y×100/A)を実施例4よりもさらに増加させ、49.9%とした。卵白タンパク質の全含有量Aは10.5質量%、卵白溶液濃度比Z/Bは0.99であり、実施例4と同等であった。
実施例6では、実施例1〜5,7〜9よりも低いpH(8.82)の卵白乾燥物を用いた。実施例6において、卵白タンパク質の全含有量Aは10.9質量%、卵白乾燥物による置換率(Y×100/A)は32.6%、卵白溶液濃度比Z/Bは1.13とした。
実施例7,8では、卵白タンパク質以外の加熱凝固性タンパク質として乳タンパク質を配合した。
このため、実施例7では、卵白タンパク質の全含有量Aは9.1質量%、卵白溶液濃度比Z/Bは0.64と、他のタンパク質を含まない実施例1〜5,9よりも低い値となった。なお、卵白乾燥物による置換率(Y×100/A)は24.6%であった。
実施例8では、配合する乳タンパク質の含有量を実施例7よりも増加させた。詳細には、実施例8では、卵白タンパク質の全含有量Aは7.5質量%、卵白乾燥物による置換率(Y×100/A)は29.8%、卵白溶液濃度比Z/Bは0.46であった。
実施例9では、卵白タンパク質以外に、加工澱粉と、増粘剤とをさらに配合した。このため、卵白タンパク質の全含有量Aは6.9質量%、卵白溶液濃度比Z/Bは0.30と、実施例6,7よりもさらに低い値となった。卵白乾燥物による置換率(Y×100/A)は24.1%であった。
比較例では、従来の乾燥卵白を用いた以外は実施例1と同様の方法により加熱凝固卵白を得た。従来の乾燥卵白として、脱糖処理および熱蔵処理が施された市販品を用いた。
従来の乾燥卵白中の卵白タンパク質の濃度を公知の方法で測定した結果、86.5質量%であった。そして、上述の「卵白乾燥物」の値を「従来の乾燥卵白」の値に置き換え、(1)〜(3)を算出した。その結果、表1の(1)に示す卵白タンパク質の全含有量Aは10.8質量%、表1の(2)に示す卵白乾燥物による置換率(Y×100/A)は32.0%、表1の(3)に示す卵白溶液濃度比Z/Bは1.10であった。
表1の(4)に示すように、従来の乾燥卵白のpHは、8.85であった。
対照として、実施例1と同様の加熱条件で液卵白を完全に加熱凝固させ、加熱凝固卵白を製した。つまりこの対照は、液卵白を卵白乾燥物で置換せずに加熱凝固させたものであり、茹で卵の卵白部と同様のものである。
製した加熱凝固卵白の硬さを確認するため、レオメーターにより実施例1〜9および比較例並びに対照の加熱凝固卵白の硬さを測定した。
具体的には、まず、実施例1〜9および比較例各々の加熱凝固卵白の中央部を、縦4cm、横4cm及び厚さ3cmの直方体状に切り出し、測定用のサンプルを得た。これらのサンプルのうち、サンプルの表面(サンプル中で最も硬いと考えられる箇所)と、当該サンプルの断面(サンプル中で最も硬いと考えられる箇所)の2箇所を測定箇所とした。これらの測定箇所に対して、レオメーター(Stable Micro System社製、TA.XT EXPRESS)を用いて、直径5mmの球形のプランジャーを6mm/秒の速度で押し込み、このときの破断したときの力(破断応力)を測定値とした。2箇所の測定値の平均値を、各サンプルの硬さとして算出した。
この結果、実施例1〜9および比較例の加熱凝固卵白の硬さは、品温10℃において、いずれも80g/cm2以上250g/cm2以下の範囲であった。すなわち、実施例1〜9および比較例の加熱凝固卵白も、対照である茹で卵の卵白部と同様の硬さを有していることが確認された。
但し、タマゴスプレッド等の加工食品の材料として用いた場合の食感は、硬さの数値とは必ずしも相関を有さない。このため、上記実施例及び比較例の加熱凝固卵白を用いて製したタマゴスプレッドの食感については、別途官能評価を行った。詳細については後述する。
試験例1として、加熱凝固卵白の風味に関する官能評価を行った。
評価方法として、評価者が実施例1〜9及び比較例で得られた加熱凝固卵白と対照の加熱凝固卵白をそれぞれ喫食し、下記評価基準に従って評価することにより行った。結果は表1に示す。
A:対照の加熱凝固卵白に近い卵白の風味が感じられた。
B:対照の加熱凝固卵白と比較して、卵白の風味が若干弱かったが、問題ない程度であった。
C:対照の加熱凝固卵白と比較して、卵白の風味が悪かった。
実施例1〜6,では、対照と同程度に、卵白の風味が充分に感じられた。
液卵白、卵白乾燥物、および水以外の成分として、乳タンパク質、加工澱粉、又は増粘剤を含む実施例7〜9の加熱凝固卵白では、実施例1〜6の加熱凝固卵白と比べて若干風味が弱かったが、充分に卵白の風味が感じられるものであった。
これに対して、比較例では、乾燥臭が感じられ、卵白の風味が悪かった。
この結果から、卵白タンパク質の全含有量Aが対照の卵白タンパク質の全含有量に近い10.5質量%以上13.0質量%以下であると、卵白の風味を充分に発揮できることが確認された。
また、スラリーの材料として、液卵白及び卵白乾燥物以外の成分を含んでいる場合でも、卵白タンパク質の全含有量Aが5.0質量%以上であれば、卵白の風味を良好に感じられることが確認された。
次に、実施例1〜9および比較例で得られた加熱凝固卵白を用いてタマゴスプレッドを製造した。
まず、加熱凝固卵黄を製した。具体的には、卵黄50部と、食油20部と、澱粉5部と、水25部とを均一になるまで攪拌混合し、スラリーを作製した。これを公知の方法で、加熱凝固することで、加熱凝固卵黄を得た。
次に、得られた加熱凝固卵黄と、実施例1〜9および比較例で得られた加熱凝固卵白と、を1辺が約5mmのダイス状に裁断した。続いて、加熱凝固卵黄20部、加熱凝固卵白50部と、マヨネーズ30部と、食塩0.5部とを常法に従い混合して、タマゴスプレッドを製した。
試験例2として、タマゴスプレッドの食感に関する官能評価を行った。具体的には、評価者が、実施例1〜9および比較例で得られた加熱凝固卵白を用いて製したタマゴスプレッドを喫食し、下記評価基準に従って評価した。結果は表1に示す。
A:タマゴスプレッドに最適な硬さであり、非常に良好な食感であった。
B1:やや硬いものの、タマゴスプレッドに適した硬さであり、良好な食感であった。
B2:やや柔らかいものの、タマゴスプレッドに適した硬さであり、良好な食感であった。
C1:硬いものの、問題のない程度にタマゴスプレッドに適した硬さと食感であった。
C2:柔らかいものの、問題のない程度にタマゴスプレッドに適した硬さと食感であった。
D1:硬すぎて、タマゴスプレッドに適さない硬さであり、食感が悪かった。
D2:柔らかすぎて、タマゴスプレッドに適さない硬さであり、食感が悪かった。
実施例1,2の加熱凝固卵白を用いたスプレッドでは、非常に良好な食感が得られた。これらの実施例は、卵白乾燥物による置換率(Y×100/A)が20%以上35%以下、卵白溶液濃度比Z/Bも1.05以上1.10以下の範囲内であった。
これに対して、比較例では、卵白乾燥物による置換率(Y×100/A)が32.0%、卵白溶液濃度比Z/Bが1.10と、いずれも上記範囲内であるにもかかわらず、柔らかく口の中で脆く崩れる食感となり、タマゴスプレッドとして適していなかった。
これにより、本発明の加熱凝固卵白中の卵白乾燥物を用いることにより、タマゴスプレッドとした場合にもソフトで適度に弾力があり、非常に良好な食感が得られることが確認された。
実施例3の加熱凝固卵白を用いたスプレッドでは、実施例1及び2と比較して若干弾力に欠け、やや柔らかい食感であったが、良好な食感であった。これは、卵白溶液濃度比Z/Bが0.99と若干低いことが影響すると考えられる。
実施例4の加熱凝固卵白を用いたスプレッドでは、実施例3よりも硬くなるものの、問題のない程度にタマゴスプレッドに適した硬さと食感が得られた。これは、卵白乾燥物による置換率(Y×100/A)の卵白乾燥物による置換率が39.9%とやや高いことが影響するものと考えられる。
実施例5の加熱凝固卵白を用いたスプレッドでは、卵白乾燥物による置換率(Y×100/A)が49.9%と高いためか、比較的硬かったが、スプレッドとした場合に問題ない硬さと食感であった。
実施例6の加熱凝固卵白を用いたスプレッドでも、実施例3よりも硬くなるものの、実施例4と同様に、問題のない程度にタマゴスプレッドに適した硬さと食感が得られた。これは、卵白乾燥物のpHが8.82と他の実施例よりも低いことが影響しているものと考えられる。
実施例7,8の加熱凝固卵白を用いたスプレッドでは、実施例1及び2と比較してやや硬くなったものの、タマゴスプレッドに適した硬さと、良好な食感が得られた。これは、乳タンパク質を配合していることに関連し、スラリー全体のタンパク質の熱凝固性が高まったこと等が影響としていると考えられる。
実施例9の加熱凝固卵白を用いたスプレッドでは、柔らかくなったものの、問題のない程度にスプレッドに適した硬さと食感が得られた。これは、加工澱粉及び増粘剤の配合が影響するものと考えられる。
また、実施例7〜9により、本発明の加熱凝固卵白は、液卵白、卵白乾燥物及び水以外の材料を適宜加えていても、良好な食感の加工食品が得られることが確認された。
以上のように、本発明の加熱凝固卵白は、卵白乾燥物を用いているため、従来の乾燥卵白を用いた場合よりも良好な卵白の風味を有しており、違和感のある乾燥臭も感じられなかった。
従来の乾燥卵白では、例えば加熱凝固卵白中の卵白タンパク質の全含有量のうちの30%を占めるように置換すると良好な風味が得られないことが確認された(比較例参照)。このため、違和感のない風味を得るためには、加熱凝固卵白中の卵白タンパクの全含有量のうちの20%未満しか乾燥卵白に置き換えることができなかった。
一方で、本発明の加熱凝固卵白では、卵白タンパク質中の卵白乾燥物の割合、すなわち表1の(2)に示す卵白乾燥物による置換率(Y×100/A)を20%〜35%程度とした場合に非常な良好な風味を得ることができ、さらに49.9%まで置換したとしても、良好な風味を得ることができた(実施例5参照)。
また、本発明の加熱凝固卵白は、タマゴスプレッド等の加工食品の材料として用いた場合にも、液卵白のみを用いた加熱凝固卵白と同様の、弾力がありソフトな食感となり、好ましかった。
以上により、本発明の卵白乾燥物を用いることで、液卵白の供給が不安定な場合でも、良好な風味と食感を有する加熱凝固卵白を低コストで、かつ安定的に供給することが可能となる。
Claims (14)
- 品温10℃における硬さが80g/cm2以上250g/cm2以下である加熱凝固卵白であって、
前記加熱凝固卵白は、未脱糖及び未熱蔵の卵白乾燥物を含むことを特徴とする
加熱凝固卵白。 - 前記加熱凝固卵白中の卵白タンパク質の全含有量(A)が、5質量%以上15質量%以下であることを特徴とする
請求項1に記載の加熱凝固卵白。 - 前記加熱凝固卵白中の卵白タンパク質の全含有量(A)のうちの前記卵白乾燥物由来の卵白タンパク質の含有量(Y)の割合(Y×100/A)が、15%以上45%以下であることを特徴とする
請求項1又は2に記載の加熱凝固卵白。 - 前記卵白乾燥物は、殺菌卵白を乾燥させた卵白乾燥物であることを特徴とする
請求項1から3のいずれか1つに記載の加熱凝固卵白。 - 前記卵白乾燥物が、チルド品又は冷凍品であることを特徴とする
請求項1から4のいずれか1つに記載の加熱凝固卵白。 - 請求項1から5のいずれか1つに記載の加熱凝固卵白を材料として含む加工食品。
- 品温10℃における硬さが80g/cm2以上250g/cm2以下である加熱凝固卵白の製造方法であって、
卵白の乾燥物からなる未脱糖及び未熱蔵の卵白乾燥物と、液卵白と、水と、を混合する工程と、
前記混合して得られたスラリーを加熱凝固する工程と、
を含むことを特徴とする
加熱凝固卵白の製造方法。 - 前記混合する工程は、前記卵白乾燥物と前記水とを混合した卵白溶液に前記液卵白を混合する工程を含み、
前記液卵白の卵白タンパク質の濃度(B)に対する、前記卵白溶液の卵白タンパク質の濃度(Z)の比率(Z/B)が、1.00〜1.20であることを特徴とする
請求項7に記載の加熱凝固卵白の製造方法。 - 前記卵白乾燥物のpHが8.9以上11.0以下であることを特徴とする
請求項7又は8に記載の加熱凝固卵白の製造方法。 - 前記スラリー中の卵白タンパク質の全含有量(A)が、5質量%以上15質量%以下であることを特徴とする
請求項7から9のいずれか1つに記載の加熱凝固卵白の製造方法。 - 前記スラリー中の卵白タンパク質の全含有量(A)のうちの前記卵白乾燥物由来の卵白タンパク質の含有量(Y)の割合(Y×100/A)が、15%以上45%以下であることを特徴とする
請求項7から10のいずれか1つに記載の加熱凝固卵白の製造方法。
- 前記混合する工程の前に、前記液卵白を殺菌する工程をさらに含むことを特徴とする
請求項7から11のいずれか1つに記載の加熱凝固卵白。 - 前記混合する工程の前に、前記卵白乾燥物を15℃以下で保管する工程をさらに含むことを特徴とする
請求項7から12のいずれか1つに記載の加熱凝固卵白の製造方法。 - 液卵白を加熱殺菌する工程と、
前記加熱殺菌された殺菌卵白を乾燥する工程と、
前記乾燥して得られた殺菌卵白の乾燥物を15℃以下で保管する工程と、
を含むことを特徴とする
卵白乾燥物の製造方法。
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