図面を参照すると、図1A−2Bは、カフの形態の自己閉鎖アクセスデバイス330の実施例を示し、中央の長軸336を規定する柔軟なベース材料でなるほぼ環形のポート本体332と、前記ポート本体332内に埋め込まれた複数のバンド350(図1A−1B)と、ポート本体332の露出面を覆うファブリック360(図2A−2B)とを具える。ポート本体332は、第1および第2の端部332a、332bの間に延びる縦のエッジ336を有する概略「C」形である。代替的に、本書または本書に参照により組み込まれる他の出願のどこかに記載されるように、ポート本体332は、パッチ、あるいは組織部位や他の体内構造に取付可能なほぼ平面または曲面を具える他の物体として提供されてもよい。
選択的に、アクセスデバイスは、例えばアクセスデバイスと、当該アクセスデバイスが固定される下にある管状構造との間の転位(transition)を提供するための、1またはそれ以上の付加的な構造を具えてもよい。例えば図18は、本書のいずれかの箇所で説明するいずれかの実施例と同様に、中に弾性部材(図示せず)を埋め込んだカフまたはスリーブなどのアクセスデバイス430の一実施例を示す。このアクセスデバイス430は、エラストマー材料の両端部から伸びるフィンガー432を有し、これはより大きな柔軟性を提供し、順応性を高くし、および/またはアクセスデバイスが体組織(図示せず)に移植されたときの捻れを防ぐ。
ポート本体332は、例えばシリコーン、ポリウレタン、または他のエラストマーあるいは無孔の、および/または可撓性材料といった柔軟なベース材料の1またはそれ以上の層から形成され得る。付加的あるいは代替的に、ポート本体332は、本書に参照により組み込まれるさらなる出願に記載されているように、例えばポリエチレングリコール、PLA、PGA、小腸粘膜(SIS)などの生体吸収性材料で形成してもよい。
バンド350は、本書に参照により組み込まれる他の出願に記載された実施例のように、チューブ、ワイヤ、またはシートから、レーザーカット、機械カット、型抜き、機械加工などで形成された、ニチノールあるいは別の弾性、超弾性、または形状記憶材料の、連続リングまたは「C」形カラーから形成することができる。各バンド350は、長軸336を横切るポート本体332の周囲の少なくとも一部に延在してもよい。例えば、各バンド350は、湾曲した周囲のコネクタ、支材、または部材354によって交互に隣接する支材352に接続された両端部を具えて延在する複数の水平支材352を具え、ジグザグパターンまたは他の蛇行パターンを規定する。水平支材352は、長軸334に実質的に平行に延在し、あるいは代替的に、長軸334に対し斜めや螺旋状に延在してもよい(図示せず)。
代替的に、アクセスデバイス330は、本書のどこかに記載されるように、1またはそれ以上の機器が挿入可能な開口部(図示せず)を少なくとも部分的に取り囲む支材を具える連続メッシュまたは他の閉じているか開いているパターンを具えてもよい。例えば、個々のバンドまたは実質的に連続するメッシュシートは、ほぼダイヤモンド形または他の閉じた開口部(図示せず)を間に規定する相互接続された支材を具え、本書のどこかで説明するように、1またはそれ以上の機器を受け入れるために、これらの支材が開口部のサイズを増大すべく離隔可能である。利用可能なメッシュパターンの実施例は米国特許第4,733,665号、第5,344,426号及び第5,591,197号に示されており、これらの開示の全体が参照により本書に組み込まれる。さらなる代替例では、アクセスデバイス330は、例えば単一の螺旋部材、メッシュなどに編まれるかそうでなければ巻かれた複数の螺旋フィラメントなどの、ポート本体332の周り、および/またはポート本体332の所望の長さに沿って、螺旋状に巻かれた1またはそれ以上のワイヤ、あるいは他の長いフィラメントを具えてもよい。
さらなる代替例では、支材またはバンドは、アクセスデバイス330の長さに沿って軸方向に延在してもよい(図示せず)。例えば、複数のほぼ真っ直ぐなワイヤまたは他のフィラメントを、ベース材料内に埋め込むか他の方法で固定してもよい。本書の他の実施例と同様に、これらのフィラメントは、アクセスデバイス330を通して1またはそれ以上の機器(図示せず)を挿入できるように十分に間隔が開けられており、フィラメントが横に動いて機器を通し、弾性的に元の構成に戻ってアクセスデバイス330を実質的に閉塞する。代替的に、フィラメントは、図17Cの実施例に示すとともに本書のどこかでさらに説明するように、フィラメントがアクセスデバイス330の端部間を軸方向に延在しつつ、横方向(transversely)に延在するジグザグまたは他のパターンを含んでもよい。さらに、本書および参照により本書に組み込まれた他の出願の他の実施例と同様に、フィラメントまたは支材は、隣接するベース材料に実質的に連続的な圧縮力をかけ、これがベース材料を通って形成された通路の閉塞を促すようにしてもよい。
図1A、1Bに示す支材352および湾曲コネクタ354などの、支材、フィラメント、またはバンドあるいはメッシュの構造は、任意の所望の断面を有することができる。例えば、これらの構造は、ほぼ円形、楕円形、三角形、または四角い断面を有してもよく、選択的に、構造間に機器が通過できるようにテーパ形あるは曲面を有してもよい。例えば、これらの構造は断面四角形に形成され、その縁が例えば電解研磨、機械加工、レーザカッティングなどによって丸められるかテーパ形とされてもよい。代替的に、これらの構造は、本書のどこかで説明するように、その幅(軸方向および/または周方向に延在)より厚さ(中央の長軸336に対して半径方向に延在)の方が大きく、これらの構造が「横方向」に離隔可能としたうえで半径方向の支持を増大させてもよい。
図1A、1Bに示す実施例では、各バンド350はほぼ円柱形であり、互いに軸方向に隔てられ長軸334にほぼ直交するポート本体332の周方向に整列された、第1および第2の長手方向の端部を具える。代替的に、バンド350は、ポート本体332の周囲に螺旋状に延在し(図示せず)、および/または、ポート本体332の長さに沿った軸方向の寸法とポート本体332の周囲の少なくとも一部に延在する周囲の寸法を有する他の形状または構成を有してもよい。
バンド350は、例えば隣接するバンド350が互いに同位相で、互いにすぐ近くに配置されてもよい。例えば、図1Aおよび1Bに示すように、第1のバンド350の第1の端部の湾曲コネクタ354が、隣接するバンド350の第2の端部の湾曲コネクタ354の間に配置され、隣接するバンド350に部分的に入れ子になっている。代替的に、以下に詳述するように、隣接するバンド350は互いに軸方向に間隔が開けられ(図示せず)、これにより隣接するバンド350間でポート本体332の強化されない環状部が設けられ、支材352および/またはバンド350間に比較的大きな機器を受け入れられるようにしてもよい。別の代替例では、支材やメッシュの他の要素が自由に横方向および/または弾性的に動いて要素間に1またはそれ以上の機器を受け入れられる限りにおいて、隣接するバンドの一部が互いに重なり(図示せず)、編まれ、あるいは他の複数層のメッシュが設けられてもよい(これも図示せず)。選択的に、図8−9Bに示すとともに本書のどこかで述べるように、これらの実施例では隣接するバンド350が互いに1またはそれ以上のリンクまたはコネクタによって接続されてもよい。
さらなる代替例では、隣接するバンド350は互いに位相が異なり、隣接するバンド350の湾曲コネクタ354が互いに隣接配置され、互いに対して軸方向または斜めに整列されてもよい(図示せず)。この代替例では、隣接するバンドからの対の支材で囲まれた開口部が規定され、比較的大きな機器を開口部に受け入れられるとともに、機器が取り去られたときには開口部を実質的に閉じることができる。選択的に、本代替例では、バンド350の1またはそれ以上の湾曲コネクタ354が隣接するバンド350の1またはそれ以上の湾曲コネクタ354に接続されてもよい。例えば、隣接する湾曲コネクタ354は互いに直接連結されてもよいし、柔軟なリンクまたはコネクタ(図示せず)で接続されて、隣接するバンド350の互いに対する動きを制限するようにしてもよい。
代替的に、ベース材料および/または弾性部材に合成物および/または可変の材料を用いて、ポート本体332の所望の箇所に可変の追従性(compliance)を提供してもよい。例えば、ベース材料および/または弾性部材は、得られるアクセスデバイスの両端部または周縁部のデバイスの長さに沿って追従性をより高くしたり、および/または変化する追従性を提供してもよい。例えば、端部において弾性部材の支材はより細くてもよく、および/またはベース材料の厚さがより薄くてもよい。このような追従性の変化により、得られるアクセスデバイスの機能を非線形および/または捻れた解剖組織に適合させることができる。
図1Aに転じると、本書のどこかで説明するように、アクセスデバイス330は、最初は、シリコーン、PET、または他の柔軟な、無孔の、および/または生体吸収性の、ポート本体352に望ましい長さおよび/または直径を有するベース材料を、モールディング、キャスティング、機械加工、噴霧、スピニング、堆積などのいずれかにより、環状体またはシートに構成して形成される。例えば、環状体は約1−10cmの長さ、約1−40mmの直径、および約0.5−5.0mmの壁厚を有することができる。
バンド350のセットは、本書のとこかで説明するように、例えばチューブからのレーザカッティング、1以上のストランドをマンドレルの周りにジグザグあるいは他のうねりのあるパターンで巻くこと等により、個別に形成されてもよいし同時に形成されてもよい。例えば、ある長さのニチノールのワイヤまたは他の材料120を、図7A−7Cに示され本書のどこかで説明されるように、円筒形のマンドレル100の周囲にピン110間に巻いて、ジグザグまたは他のうねりのあるパターンを規定し、閉じたバンド(またはバンド122のセット全体)を規定するようにするか、マンドレルに沿って螺旋状に巻いて実質的に連続する螺旋バンドを規定するようにする(図示せず)。代替的に、必要に応じて、単一のチューブをカットして、バンド350のセットまたは実質的に連続する支材のメッシュ(図示せず)を形成してもよい。個々あるいはセットのバンド350は、ポート本体352の長さと同じかこれ以下の、約3.0−125mmの長さを有してもよい。
代替的に、バンド350は平坦なシートを、レーザカッティング、機械カッティング、エッチング、型抜きなどのいずれかによって形成し、その後にシートをロールさせることにより、当該シートから1またはそれ以上の支材あるいはコネクタのセットを作成してもよい。ロールされたシートの長手方向端縁は離れたままにして「C」形のバンドを構成してもよいし、代替的に長手方向端縁は、溶接、半田付け、ヒュージング、接着剤で接着、コネクタ使用等(図示せず)により互いに取り付けて、閉じたバンドを構成してもよい。さらなる代替例では、特にバンド350がリンクまたは隣接するコネクタ354で互いに連結される場合は、バンド350のセット、例えばアクセスデバイス330のセット全体を1のチューブまたはシートから同時に形成してもよい。
バンド350は熱処理され、および/または別に加工されて、所望のバンド350の仕上げおよび/または機械的特性が得られる。例えば、バンド350は熱処理されて、バンド350が、ポート本体332用の管状体と実質的に同じか小さい所望の弛緩状態の直径へとバイアスされ、ただし以降にさらに説明するように、弾性的に引き伸ばすことができ、および/または、弾性的に変形して針やその他の機器(図示せず)を隣接する支材352、コネクタ354、および/またはバンド350の間に受け入れる1またはそれ以上の支材352および/または湾曲コネクタ354を有する。代替的に、バンド350が材料シートから形成される場合、このシートは熱処理または他の方法で処理されて、当該シートから形成されるバンド350の所望の形状および/または特性を付与するようにしてもよい。
一実施例では、ニチノール素材について、バンド350は、この材料では温度Afが体温(約37度)より低くなるよう、すなわち摂氏約10−30度となるように熱処理される。例えば、ニチノール素材は、アクセスデバイス330が患者の体内に移植されたときは実質的にオーステナイト状態(Austenitic state)のままとなり、ただし、本書のどこかで説明するように、アクセスデバイス330の開口部に機器が挿入されたらストレスがかかるマルテンサイト状態(martensitic state)に変わる超弾性範囲(superelastic range)内で動作してもよい。代替的に、ニチノール素材を熱処理して、材料の温度活性あるいは他の形状記憶特性を利用するようにしてもよい。例えば、バンド350が例えば摂氏20度(20℃)の環境温度以下で実質的にマルテンサイトとなるよう材料を熱処理して、バンド350が比較的柔らかく、および/または可塑的変形可能となるようにして、アクセスデバイス330の操作、導入、または移植を容易にしてもよい。体温、すなわち摂氏37度(37℃)周辺またはそれ以上では、バンド350は実質的にオーステナイトとなり、材料にプログラムされた所望の形状に戻り、アクセスデバイス330が患者の体内に移植されたら弾性あるいは超弾性の特性となるようにする。
図1Aを続けて参照すると、本書のどこかで説明するように、アクセスデバイス330を形成するために、バンド350のセットが管状体またはポート本体332の他のベース材料に、配置、接着、あるいは埋め込まれて固定される。例えば、これらの弛緩状体では、バンド350はポート本体332のベース材料より小さな直径を有し、管状体の周囲に配置されたバンド350は半径方向外側に拡張され、解放されるとバンド350が管状体に対して半径方向内側に圧縮力をかける。このような圧縮は、アクセスデバイス330が固定される管状体より小さな所望の直径にポート本体332をバイアスするのに十分であり、アクセスデバイス330の移動を低減し、および/または固定する。さらに、このような圧縮は、実質的に連続的な圧縮力をポート本体332にかけ、アクセスデバイス330の自己閉鎖機能を向上させる。代替的に、バンド350は管状体の外側面と同様の直径へとバイアスされ、バンド350が実質的に半径方向内側に圧縮することなく管状体を取り囲むようにしてもよい。この代替例では、バンド350は実質的に弛緩状体に維持され、および/またはポート本体332のベース材料に対して半径方向内側への圧縮力をかけることがない。
選択的に、バンド350は、半径方向に拡張することに加えて、あるいはその代わりに、「横方向」に拡張してもよい。例えば、バンド350を弛緩状態から半径方向に拡張して支材またはフィラメントの間隔を広げ、すなわちバンド350に規定される開口部のサイズを拡げてから、ポート本体332のベース材料に配設し、埋め込み、および/または取り付ける。本実施例では、バンド350がポート本体332に固着したら、バンド350を解放して、バンド350が弛緩状態へと横方向内側に戻るようにバイアスされ、これにより支材と開口部が小さなサイズにバイアスされ、ただし本書のどこかで記載されるように、これらの支材は横方向に動いて開口部に挿入される機器を未だ受け入れ可能である。
上述したように、ポート本体332に固定されると、バンド350は隣接するバンド350と、所望の通りに同相あるいは位相で、間隔が開けられ、接触し、重なり、あるいは入れ子状態となる。代替的に、バンド350が互いに接続されている場合は、バンド350の全体セットを、当該バンドを拡張および解放するかしない状態で、管状体の周りに配置してもよい。
選択的に、バンド350がポート本体332のベース材料を取り囲み、あるいは面して配置され、および/または固定された状態で、シリコーン、PET、または他の柔軟なベース材料をバンド350の周りに適用してポート本体332をさらに構成し、これによりバンド350をベース材料内に埋め込んでもよい。例えば、図14A−14Cに示すとともに本書のどこかに説明するように、シリコーンの外側層をバンド350の周りに適用し、このアセンブリに加熱、硬化、または他の処理を行って融合、溶解、または何らかにより外側層の材料をバンド350および/または管状体の物質に固着させてもよい。代替的に、所望の場合、管状体を柔らかくするか他の処理を行って、バンド350を埋め込むようにするか、管状体がバンド350の周りに形成されるようにしてもよい。さらなる代替例では、バンド350は、粘着材、超音波溶接、溶着などの1以上の結合法により、管状体の周りに固定されてもよい。
図1A、1Bに示すように、必要に応じて2、3、4、5(図に例示)、またはそれ以上のバンド350といった複数のバンド350がポート本体332の中に埋め込まれるか周りに固定される。例えば、図示するように、バンド350はポート本体332の実質的に長さ全体に沿って設けられる。代替的に、バンド350はポート本体332の中央部分のみに設けられ、第1および第2の端部332a、332bが支持のないシリコーンまたは他のベース材料(図示せず)および/またはフィンガー、または図18に示すフィンガー432のような他の変化構造を具えてもよい。
図1A、1Bに戻ると、バンド350がポート本体332の中に埋め込まれるか他の方法で固定されると、シリコーン材料とバンド350を通してレーザカッティング、機械カッティングなどの1またはそれ以上によりポート本体332は縦に裂かれるか別な方法で分離され、図1Bに示すようなサイドエッジ336が設けられる。代替的に、バンド350は、縦の端縁336を形成するのにポート本体332を切る前か後に、ポート本体332の周りに取り付けるか中に埋め込まれる「C」形のカラーとして形成されてもよい。さらなる代替例では、所望の場合、バンドが埋め込まれ複数の個別のアクセスデバイスに対応する長さのベース材料を上述の方法で形成し、得られたアセンブリを切断または他の方法により個々のポート本体332へと分割してもよい。さらなる代替例では、本書の他の実施例と同様に、管状のアクセスデバイスが求められる場合は、バンドとポート本体は縦にカットされなくてもよい。
図2A−2Cに転ずると、ファブリック360がすべての露出面、すなわちポート本体332の外側面、内側面、および端面の上に設けられ、アクセスデバイス330が完成される。例えば、本書に参照で組み込まれる出願の実施例と同様に、1またはそれ以上のファブリック160片をポート本体332の周りに巻き、互いにおよび/またはポート本体332に縫い付けてもよい。選択的に、本書に参考により組み込まれる出願に記載されているように、アクセスデバイス330は、当該アクセスデバイス330が皮下または他の方法で患者の体内に移植されるときにアクセスデバイス330および/またはバンド350の位置決めを容易にするために、触覚要素、強磁性要素、エコー発生要素など(図示せず)を具えてもよい。
使用時に、アクセスデバイス330は、移植前または後のグラフト、血管、フィステル、または患者の体内の露出されるか他の方法でアクセスされる管状構造(図示せず)といった管状構造の周りに配置される。例えば、サイドエッジ336が離隔されて、ポート本体332が管状構造の周りかそうでなくても近接に配置される。サイドエッジ336が解放され、ポート本体332が管状構造の周りの少なくとも一部を弾性的に包み、および/または、粘着、縫合、溶融などの1以上の結合法によりポート本体332が管状構造に取り付けられる。代替的に、アクセスデバイスが閉じた管状のポート本体(図示せず)を有する場合、アクセスデバイスは管状構造の上に、その一端(これは予め存在してもよいし、管状構造をカットして作成してもよい)から導入される。
代替的な実施例では、アクセスデバイス330と似たアクセスデバイスを、患者の体内に導入および/または移植する前に、管状のグラフトまたは他の構造体に取り付けてもよい。別の実施例では、必要に応じて、グラフトの製造時に、アクセスデバイス330をグラフトの壁に一体的に形成してもよい。例えば、個別にポート本体332を設けるのではなく、バンド350または他の支持部材を管状のグラフトまたは他のインプラントの壁内にモールドするか他の方法で埋め込んでもよい。これにより、インプラントが本書の他の実施例と同様に作用する一体的なアクセスデバイスを具えることになる。
図2A−2Cに戻りアクセスデバイス330を参照すると、管状構造の管腔へのアクセスが必要な場合、アクセスデバイス330の上の患者の皮膚を通して針(図示せず)が導入され、ポート本体332を通して管腔内へ導入することができる。管状構造の隣接領域に対して触覚的に端部を認識できるため、触診により、アクセスデバイス330の厚さによってアクセスデバイス330の端部を認識することができる。このように、アクセスデバイス330により、当該アクセスデバイス330に覆われていない管状構造の領域を意図せずに刺してしまうリスクが低減される。
針が挿入される際に、針が支材352、コネクタ354、またはバンド350の他の構成に当たると、当たった物は弾性的に針から離れてアクセスデバイス330を通る管腔内への通路が形成される。例えば針を通るか針自身の上に進められるガイドワイヤを介して、以降にアクセスデバイス330に1またはそれ以上の大きな機器が導入される場合、支材352、コネクタ354、および/またはバンド350の他の構造は弾性的に離隔して、ポート本体332を通る十分な大きさの、機器のための通路が形成される。通常、支材352、コネクタ354、および/またはバンド350の他の構造は、ポート本体332で規定される円筒面内で「横方向」、すなわち周囲および/または軸方向に離隔して、ポート本体332を通る通路を形成する。本書で用いる「横方向」は、ベース材料内でポート本体332の実質的に周囲方向および/または長さに沿った方向(すなわちポート本体332の「面内」)でのバンド350または他のメッシュの構造の移動に関し、ポート本体332の内側面または外側面に向かう方向ではない。例えば、ポート本体332が実質的にある面内で平坦である場合、横方向とは実質的に当該面内におけるバンドの構造物の動きを言い、通常は面を外れて内側面や外側面に向かうものを言わない。
アクセスデバイス330および管状構造の管腔を介した処置が完了し、機器が取り去られると、バンド350は、横方向内側に元の構成に向かって、弾性的に元の形に戻り、これによりポート本体332のベース材料が収縮して貫通形成されていたいずれの通路も閉じる。したがって、バンド350は、針や他の機器によりポート本体332に貫通形成された通路を自動的かつ実質的に閉塞する、自己閉塞または自己閉鎖を提供する。
例えば、バンド350の支材または他の構造体の間隔がアクセスデバイス330を通して挿入される機器の断面より小さい場合、構造体が離隔して、アクセスデバイス330にその弛緩状態の構造体の間隔よりも大きな通路が形成される。しかしながら、構造体同士の間隔がアクセスデバイス330を通して挿入される機器の断面より大きい場合でも、バンド350はポート本体332の面内で十分なバイアスを生成して、形成された貫通経路の周りのポート本体の材料を横方向内側に弾性的に閉じるようにバイアスをかけ、通路が自動的に閉じるようにする。このように、バンド350の弾性/バイアス力は、ポート本体332の材料を強化および/またはバイアスしてアクセスデバイス330を通る反復的なアクセスを可能とし、同時に様々な通路を自動的に閉じてアクセスデバイス330を自動閉塞する。バンド350の支材間のポート本体の材料のバイアスまたは支持はさらに、複数の穿刺による経時的な組織崩壊のリスクを低減する。
アクセスデバイス330の利点の1つは、針や他の機器をポート本体332を通る複数の箇所に導入できることである。1以上のバンド350を具える、および/またはこれに支持されたアクセスデバイス330の領域を通して針が挿入される限り、バンド350の構造体は離隔するか別の方法で開いて針またを受け入れ、すべての機器が取り去られるとその実質的に無ストレス状態またはプレロードされた元の構成の方へ弾性的に戻る。
さらに、このようなバンド350は、アクセスされる管状構造を針や他の機器による過度の穿刺から保護することができる。例えば、アクセスデバイス330が実質的に管状構造を取り囲んでいれば、不意に挿入された針または他の機器が、アクセスデバイス330の一方の側から環状構造全体を通ってアクセスデバイス330の反対側から出た場合に、アクセスデバイス330は両方の穴を自己閉鎖するため、後の場所からも先の場所からも血が出たり他の漏出の有意なリスクなく取り去ることができる。
選択的に、ポート本体332の周が180°以下またはほぼ平坦である場合、アクセスデバイス330は、例えばグラフト、フィステル、血管などの環状構造、あるいは組織、腹壁、または他の組織構造などの任意の体組織の表面へのパッチとして適用することができる。この「パッチ」は、応用例に応じて様々な形状および/またはサイズで、および/またはパッチが適用される解剖組織の形状に順応するのに十分な柔軟性を有してもよい。例えば、ポート本体332は、三角形、四角形、楕円形、または円形などの二次元形状を有することができ、ポート本体332の全面領域に沿ってバンド350が設けられるか、「パッチ」の外縁から内側に間隔を設けて設けられる。このようなパッチは、上述したように管状体にバンドを埋め込むか固定した後に所望形状にカットするか他の方法で分割して作成することができる。代替的に、所望の形状に形成したシリコーンまたは他のベース材料のパッチに平坦なバンドを埋め込むか固定して作成してもよい。
さらなる代替例では、パッチは、材料の複数の層を貼り合わせて、組織構造に取付可能な自己閉塞構造を作成して製造することができる。例えば、各層は、ベース材料の1またはそれ以上の層を当該ベース材料の面内で支持するメッシュや支材などの弾性支持部材を具えてもよい。代替的に、ベース材料の1またはそれ以上の層に十分な柔軟性とバイアス力を設けて、支持部材を省略してもよい。
得られたパッチは、当該パッチに1以上の機器を挿入する際に、支持部材がベース材料の面内で横に動いて、複数層のベース材料を通して穴の形成を実現する。機器を取り除くと、支持部材は各層のベース材料に元の構成に向かって横方向にバイアスをかけ、これにより穴が自動的に閉じる。
代替的に、アクセスデバイス330は、円錐形、放物型、または他の形状(図示せず)などの三次元構造に作成されてもよい。付加的あるいは代替的に、アクセスデバイス330は曲がった円筒形(ほぼ均一あるいはテーパ形)、または、60°以下、120°、5−360°、180−360°などの所望の弧の長さの他の形状に構成されてもよい。ポート本体332は所定の三次元形状にバイアスされ、ただし、本書の他の実施例と同様に、シリコーン、ポリウレタン、または他のエラストマーといった柔軟なベース材料に埋め込まれるか他の方法で固定された1またはそれ以上のバンドまたは弾性の支材を含む他の構造を有し、実際に遭遇する解剖要素に適合するのに十分な可撓性を有する。
選択的に、アクセスデバイス330は、所望の場合に、組織や器官の弱い箇所に取り付けられるか他の方法で固定されて以降にアクセス可能にするとともに強化のためのパッチまたは外科用メッシュとして利用可能である。例えば、アクセスデバイス330は血管修復のパッチとして偽動脈瘤の上に、あるいは偽動脈瘤があったところに適用され、当該領域を強化し、および/または以降のアクセスを可能にする。
図3に転ずると、外科用パッチ530の実施例が示されており、ほぼ平坦または湾曲した「面」を規定するベース材料532の1以上の層と、当該ベース材料530に埋め込まれるか他の方法で取り付けられた複数の支持部材またはバンド550とを具える。例えば、ベース材料532は、平坦または湾曲面の形にバイアスされた、あるいは特定の形状を保たず実質的に様々な所望の形状に順応しうる「くたっとした(floppy)」シリコーンまたは他の弾性材料の1以上の層を具える。図示するように、支持部材は、本書の他の実施例と同様に、交互に湾曲コネクタ554で接続された支材552の構造を有する複数のバンド550を具える。バンド550はベース材料532にわたってほぼ線形に延在し、互いに隣接するとともにほぼ平行な正弦曲線または他の交流パターンを規定する。したがって、支柱552とコネクタ554の構造はベース材料532を支持し、本書の他の実施例と同様に、これらの支持部材550は横方向に離隔してベース材料532を通る1以上の機器(図示せず)を受け入れ可能であるとともに、機器により生じたベース材料532を通る穴を閉じるように弾性的にバイアスされている。
代替的に、パッチ530は、支持部材550を有さず、ファブリックまたは他の材料(図示せず)でカバーされた1以上の層のベース材料532を具えてもよい。このベース材料532は、針や他の機器(図示せず)が通る通路を形成できるように自己支持および弾性的にバイアスされるよう構成され、さらに機器を取り去ると通路が自己閉鎖して、パッチ530を通る漏れを実質的に防ぐ。例えば、ベース材料の各層が所望の軸方向に軸性強度を有し、複数の層を互いに軸方向が直交するかそうでなくても交差するように取り付ける。軸性強度の方向付けは、ベース材料のポリマーまたは他の材料の選択、あるいはベース材料内にストランド、ワイヤ、または他の素材を埋め込む(図示せず)ことにより達成できる。本書の他の実施例と同様に、パッチ530は、本書のどこかに記載のように、ほぼ平坦な構造、あるいは湾曲構造にバイアスされるか、「くたっとした」状態でもよい。
さらに、図3に示すように、外科用パッチ530は、以下に説明するように、ベース材料532の周縁に延在し組織にパッチ530を固定するのに役立つ縫製リングまたはカフ560を具える。例えば、縫製リング560は、糸で縫ったり、粘着材で接着したりすることによりベース材料532の周縁に取り付けられ、選択的に発泡体、ファブリック、または他の弾性の、柔軟な、および/または貫通可能な、ファブリックまたは他の材料の1またはそれ以上の層を具えてもよい。ベース材料532はまた、組織の内殖を促したり、および/またはパッチ530の要素を統合するために、縫製リング560と同じか異なる材料などのファブリックまたは他の材料で覆われてもよい。
パッチ530は実質的に丸い形、例えば楕円形、オーバル、またはほぼ円形であってよい。代替的に、パッチ530は、必要に応じて、正方形または他の四角形、あるいは他の幾何学形状であってよい。
代替実施例では、パッチ530は「所望長さにカット可能(cut−to−length)」であり、すなわち複数の個別のパッチを作成するのに十分な所定の幅と長さのベース材料532の長いシートまたはロール(図示せず)であってもよい。この代替例では、縫製リング560は省略するか、シートまたはロールの縦の縁に沿って設けられてもよい。選択的に、シートまたはロールは、個々のパッチを分離し易くする脆弱領域を具えてもよいし、支持部材550を有する領域間に支持部材550を有しない無支持領域を具えて、この部分で容易にカットするか他の方法で分割して個々のパッチをシートまたはロールから切り離せるようにしてもよい。
図4A−4Cに転ずると、図3のパッチ530を用いた血管修復方法の実施例が示されている。図4Aに示すように、血管90は修復が必要な弱った領域92を具える。図4Bでは、弱った領域92と周辺組織が切除されて、パッチ530のサイズと形状に対応する開口部94が形成される。その後にパッチ530が、例えば開口部94を囲む血管壁に縫製リング560を縫い付けることにより、開口部94内またはこれを覆って取り付けられる。代替的に、パッチ530は弱った領域92を除去することなく血管90の壁に取り付けられてもよく、これはパッチ530を弱った領域92の上から血管90に、または弱った領域92の下の管腔内に取り付けることにより、弱った領域92が支持されるようにする。別の代替例では、パッチ530は、移植部位に弱った領域が広がるのを防ぐ予防処置として、弱った領域がない血管壁に取り付けてもよい。本書の他の実施例と同様に、パッチ530はその後に血管壁を支持する構造体を提供し、および/または血管90に繰り返しアクセス可能な自己閉鎖構造を提供する。
別の実施例では、例えば大動脈弁の置換などの経心尖処置を容易にすべく、心臓の左心室の心尖にアクセスポートパッチを取り付けてもよい。このようなパッチは、LV心尖を通る左心室への1回または反復のアクセスを可能にする。処置が完了したら、パッチを貫通して導入された機器が取り去られ、パッチはほぼ同時にLV心尖を塞ぐ。
別の選択肢では、アクセスデバイス330は管状または「C」形の構成で作成され、血管または他の体腔内へと導入される。例えば、アクセスデバイス330を巻くか別の方法で圧迫して、カテーテル、送達シースなど(図示せず)に装填される。代替的に、アクセスデバイス330は、例えば透析針などの針を介して、グラフト、フィステル、または他の透析後の管状構造に進められる。管状構造または体腔の管腔内に展開したら、アクセスデバイス330は、糸で縫ったり、粘着材で接着したり、アクセスデバイス330の半径方向のバイアスによる締まりばめなどによって体腔壁に取り付けられる。これにより、アクセスデバイス330は体腔壁を通る漏出への即時的なバリアを提供し、体腔内から穴を実質的に密閉する。さらに、アクセスデバイス330によると、このアクセスデバイス330が本書の他の実施例と同様に自己閉塞型のアクセス領域を提供するため、必要に応じてこの管腔が実質的に再びアクセス可能となる。
図5A−5Cに転ずると、本書のどこかに説明され、本書に参照により組み込まれる文献にあるように、カフまたはパッチといったアクセスデバイス330を移植するための装置10の実施例が示されている。一般に、装置10は、アクセスデバイス330を担持するディセクタ20と、当該ディセクタ20にアクセスデバイス330を解放可能に固定する拘束部30とを具える。
ディセクタ20は概して、ハンドル(図示せず)を有する近位端部と、「C」形の断面でスロットを規定する縦のエッジ27を有し、したがって血管、フィステル、環状グラフトなど(図示せず)の体内構造を受ける管腔または通路28を規定する遠位端部または部分24とを具える。一実施例では、ディセクタ20の遠位端部分24は、実質的に非外傷性および/または鈍い遠位先端26で終端しており、ここに鈍いディセクタ端縁が形成されて、これがアクセスデバイス330を体構造またはその周りに配置し易くする。例えば、鈍い遠位先端26により、体組織の外側面に取り付けられるか隣接配置された組織または他の要素が除去され、切除され、および/または他の方法で他組織から切り離され、アクセスデバイス330のための目標移植部位が作成される。代替的に、必要に応じて、遠位先端26は尖った、あるいは組織の切除あるいは切断を促進する他のエッジを具えてもよい。
ディセクタ20の「C」形の遠位端部分24の長さは、アクセスデバイス330よりも長くてもよく、これによりアクセスデバイス330全体が遠位端部24の外側面に支持され、および/または他の方法で担持される。装置10の操作を容易にすべく、近位部において、ディセクタ20はハンドルおよび/または近位端部に結合されたシャフトまたは他の構造物へと変化してもよい。選択的に、ハンドルまたは近位端部は、遠位端部分24の向きを特定するための1またはそれ以上のマーカー(図示せず)を具え、ユーザが縦のエッジ27の向きおよび/または遠位端部分24が患者の体内に導入されたときのスロットの位置を特定できるようにしてもよい。
遠位端部分24は、近位端部から進められるか他の方法で操作されるのに十分な柱強度を有し、ただし必要に応じて患者の体内の体組織の周りに導入および/または配置するのに十分な柔軟性を有する。例えば、遠位端部分24は、スロットを通りディセクタ20の内部28に受けられる体組織のために縦のエッジ27が離隔可能であるように十分な可撓性を有する。一実施例では、遠位端部分24の断面は円の一部または他のアーチ形状を規定してもよく、目標となる体組織の周囲の周りに例えば180°以下または以上延在し、縦のエッジ27が弾性的に離間して体組織の周りを包み、および/またはこれに係合して周辺組織を切除できるように、体組織に対応した直径を有してもよい。
図6A−6Cは、ディセクタ20の遠位端部分24に提供しうる実施例を示す。例えば、図6Aは「C」形チューブ20を示し、切除、モールディングなどにより管状構造にスロットが形成され、鈍い遠位先端26で終端している。図6Bは、遠位先端26’と、遠位先端26’から近位側へ延びてアクセスデバイス330を担持し遠位先端26’を支持する複数のバネ要素とを規定する「C」形カラーを示す。図6Cは、「C」形のバネ要素20’’を示し、遠位端部に沿って互いに連続的に接続され鈍い遠位先端26’’で終端する複数の「C」形のワイヤまたは他の構造を有する。このようなバネ要素は、ディセクタ20’、20’’の導入時に曲げられる可撓性を提供しつつ、進められたときに切除を実現しうる十分な柱強度または軸性硬度を有する。
拘束部30は、アクセスデバイス330をディセクタ20に解放可能に固定する1またはそれ以上の構造を具える。例えば、図示するように、拘束部は、アクセスデバイス330の近位端部に係合可能な内側カラーまたはスリーブから延在する複数のフィンガー31と、フィンガー31を内側に押圧してディセクタ20に対してアクセスデバイス330を保持し、遠位端部24に対してアクセスデバイス330の回転および/または軸方向のスライドを防ぐための外側スリーブ34または他の構造とを具える。一実施例では、外側スリーブ34が前進するとフィンガー31を押圧して、アクセスデバイス330と遠位端部分24の外面との間に内向きの力をかけ、アクセスデバイス330を遠位端部分24に摩擦固定する。スリーブ34を引き戻すとフィンガー30から圧力が取り除かれ、これによりアクセスデバイス330とディセクタ20間の摩擦または他の力が取り去られ、アクセスデバイス330に対してディセクタ20を近位方向に引き抜くことができる。
選択的に、図5Bに示すように、拘束部30は、1またはそれ以上(例えば各々)のフィンガー31の内面に、ディセクタ20の遠位端部分24がアクセスデバイス330内から近位側に取り去られたときに近位側へ移動するのを防止するための1またはそれ以上の止め部32を具えてもよい。例えば、アクセスデバイス330の近位端部に当たる複数のタブまたはリッジ32をフィンガー31の内面に設けてもよい。これにより、ディセクタ20およびアクセスデバイス330を体組織の周りに配置した後に、ディセクタ20が取り去られると、アクセスデバイス330の近位端部がタブまたはリッジ32に接触して、アクセスデバイス330が実質的に体組織の周りの位置に保持される。アクセスデバイス330はこれにより遠位端部分24からスライドして離れ、体組織の周りに受けられる。
代替的に、アクセスデバイス330を解放可能に固定し、および/または近位側への移動を防ぐ他の拘束部がディセクタ20に設けられてもよい。例えば、アクセスデバイス330の上に、ディセクタ20の引き抜きを可能にする止め部を有する「C」形断面の外側スリーブ(図示せず)を設けてもよい。別の実施例では、1またはそれ以上のフィラメント(図示せず)をアクセスデバイス330および/またはディセクタ20の周りに巻いて、アクセスデバイス330を固定してもよい。これらのフィラメントをカットするか他の方法で除去すると、アクセスデバイス330が解放され、および/またはディセクタ20を引き戻すことできる。
使用時に、アクセスデバイス330は、ディセクタ20の遠位端部分24に装填されるか他の方法で設けられる。一実施例では、アクセスデバイス330の内径および/または外周は遠位端部分24より小さく、アクセスデバイス330の縦のエッジ336が遠位端部分24の全周に延在せず、図5Cに示すように、ディセクタ20の縦のエッジ27とずれるようにしてもよい。例えば、アクセスデバイス330は、遠位端部分24の外面に対し半径方向内向きの力をかける。代替的に、アクセスデバイス330は、遠位端部分24の外径と同様の内径を有し、アクセスデバイス330が遠位端部分24の周りで実質的に弛緩状態となるようにしてもよい。
拘束部30に固定されたアクセスデバイス330を担持する遠位端部分24は、アクセスデバイス330を移植すべく患者の体内に導入される。例えば、遠位端部分24は、患者の皮膚の経皮的切開部または他の開口部を通して、血管、フィステル、または管状グラフト(図示せず)などの皮下の体構造といった目標部位に直接導入することができる。代替的に、遠位端部分24を患者の皮膚と目標部位の間に予め配置された、内視鏡、導入シースなどの別のデバイス(図示せず)を通して導入してもよい。
体構造の一部が、縦のエッジ27の間のスロットを通して、ディセクタ20の内側28へと入れられ、アクセスデバイス330が体構造の周りに配置される。スロットの幅が体構造より小さい場合、遠位先端24は、縦のエッジ27の開口部がスロットを介して内側28に体構造を受けられるように体構造の周りに案内される。遠位端部分24は、その遠位先端26が体構造にある角度で接触して、これにより先端26部分でスロットを開き、ひいては体構造がスロットを通過するにしたがい遠位端部分24に沿ってスロットを近位側に開くことができる。
遠位端部分24は、体構造の外側面から隣接組織を切除するために体構造に沿って進められ、体構造の一部に、組織の癒着やその外面に他の物質をなくすようにする。この方法により、遠位端部分24を進め、および/または他の方法で操作して、アクセスデバイス330を体構造の所望の区画の周りに配置することができる。
その後にディセクタ20が取り去られ、アクセスデバイス330が体構造の周りに解放される。例えば、上述したように、拘束部30が取り去られるか他の方法で操作されてアクセスデバイス330を遠位端部分24から解放し、これによりディセクタ20を体構造に沿って引き抜くときに、アクセスデバイス330が体構造の周りの位置に実質的に残る。ディセクタ20がアクセスデバイス330内から除去されると、ディセクタ20、拘束部30、および/または装置10の他の要素が除去され、アクセスデバイス330がその位置に残る。代替的に、本書のどこかおよび本書に参照により組み込まれる出願にあるように、アクセスデバイス330は、例えば縫合、接着などにより、さらに体構造に固定されてもよい。
多くの方法を、本書および本書に参照により組み込まれる出願に記載のアクセスデバイスの製造に用いることができる。例えば、図7A−7Cは、図2A−2Cのカフといったアクセスデバイスに含まれうるリングを形成する弾性部材の製造方法の実施例を示す。図7Aに示すように、細長い円筒マンドレル100が提供され、当該マンドレル100の周囲に、例えば第1の環形セット、当該第1の環形セットとオフセットした第2の環形セット、第3のセットといった所定のパターンで、複数セットのピン110が配列されている。
ワイヤまたは他のフィラメントやストランド120(本書のどこかで記載するように、ニチノールまたは他の材料で形成される)を、マンドレル100の第1のセットのピン110の周りに、周方向にジグザグパターンで巻き、その後にオフセットさせて第2のセットのピンの周りに巻き、これをマンドレル100に設けられたピン110のセットに基づいて行う。この巻回が繰り返され、互いに軸方向に隔てられたジグザグ要素の複数の環形リング150を含む筒状構造122が作成される。
選択的に、管状構造122は、マンドレル100に保持されたまま、熱処理されるか他の方法でさらに処理される。この選択肢では、マンドレル100は、様々な処理パラメータに耐えうる材料で構成される。(ピン110のセットの数に対応する)所望数のリング150が形成されたら、管状構造122はマンドレル100から取り外される。例えば、ストランド120の弾性により、管状構造122は単に弾性的に引き伸ばしてマンドレル100のピン110の周りから引き離すことができる。代替的に、ピン110をマンドレル100から取り外し可能か内部に引っ込められるようにして(図示せず)、管状構造122の形成後に取り外せるようにしてもよい。
図7Bに転ずると、図7Aの管状構造122が、両端部を有するジグザグ要素の複数のリングに分割される(1のリング150を示す)。例えば、各リング150と、各リング150間のコネクタを規定するワイヤ120の部分との間のワイヤ120をカットするか他の方法で分離し、最後のリングの余分な部分を切除して、図7Bに示すように、それぞれ両端部152を有する複数の個別のリング150を提供する。図7Cに示すように、各リング150の両端部152を、例えばハイポチューブ(hypotube)または他のスリーブ154への挿入またはクリンプ止め、あるいは溶着、接着剤による接着など(図示せず)により互いに接続する。得られるリング150は、本書または本書に参照に組み込まれる出願のどこかに記載されるように、熱処理され、さらに処理され、および/または、アクセスデバイス(図示せず)に組み込まれる。代替的に、管状構造122は、個々のリング150に分離されることなく、アクセスデバイスへと組み込まれてもよい。
例えば、本書のどこかに記載の方法を用いて、個々のリング150(または管状構造122全体)が、ベース材料に埋め込まれるか他の方法で組み合わされて、アクセスデバイス用の管状スリーブが作成される。選択的に、本書のどこかに記載されるように、得られる管状スリーブは、縦にカットされてカフが作成され、あるいは管状のアクセスデバイスを形成するのに用いられる。代替的に、図7Bに示すリング150を、両端部152を接続することなく利用してもよい。例えば、リング150は、アクセスデバイス(図示せず)の所望の直径または他の形状に合わせて、両端部152が離れた「C」形、湾曲形状、またはほぼ平坦な形状に形状セットされ、本書のどこかに記載の方法を用いてベース材料に埋め込まれるか他の方法で組み合わされてもよい。このように、両端部152はアクセスカフまたは他のアクセスデバイスの縦のエッジに沿って配設される。
類似のプロセスを用いて、ほぼ平坦あるいはアーチ状の弾性部材を形成してもよい。例えば、ほぼ平坦あるいは湾曲したマンドレルに、第1のセット、当該第1のセットと軸方向にオフセットした第2のセットというようにマンドレルの面にわたって所定のパターンに配列された複数のピンのセット(図示せず)を設ける。ピンの周りにワイヤを巻いて互いに接続および/またはオフセットした隣接するジグザグ要素が構成され、これらはアクセスデバイス(図示せず)へと組み込まれるのに一緒のままでもよいし、個別のジグザグ要素へと分離されてもよい。
図8に転ずると、アクセスデバイス(図示せず)用のメッシュパターンの別の実施例の詳細が示され、弾性部材(すなわちリング)の隣接するセットが互いに接続されている。図示するように、メッシュパターンは、互いに隣接するジグザグ要素250を具え、各ジグザグ要素が、閉じるか開いたリング、あるいは両端部(図示せず)を有するほぼ平坦または湾曲した弾性構造を規定する。他の実施例と同様に、各ジグザグ要素250は、交互に端部が湾曲支材254で接続されたほぼ真っ直ぐか概ね縦の支材252を具え、これにより蛇行または他のジグザグパターンを規定する。
1またはそれ以上のコネクタ要素256が、縦に隣接する湾曲支材254の間に延在するジグザグ要素250の隣接するセットを結合し、これは弾性部材250の支材252、254より細いか、および/またはより柔軟であってもよい。一実施例では、単一のコネクタ要素256が隣接するジグザグ要素250を連結してもよい。このコネクタ要素256はほぼ真っ直ぐで、互いに結合される隣接する湾曲支材254間の距離より僅かに長くてもよく、あるいは、隣接するジグザグ要素250間にさらなる柔軟性および/または順応性を提供すべく、隣接する湾曲支材254間の距離より大きな全体長を規定する曲線形状であってもよい。
コネクタ要素256は、レーザカッティング、化学エッチング、EDM、ウォータージェットなどにより、複数のジグザグ要素250をともに製造することを可能とする。例えば、材料のチューブまたはシートの、望まない材料部分を取り除いて、ともに一体形成されたジグザグ要素250とコネクタ要素256の所望の構成を得ることができる。コネクタ要素256は、実体的な構造を提供せず、単に以降の処理および/またはアクセスデバイス(図示せず)への組み込みの間にジグザグ要素250を互いに保持してもよい。例えば、電解研磨中に、コネクタ要素256が、ジグザグ要素250間の電流の通貨を可能にする導電経路を提供して、すべてのジグザグ要素250をまとめて処理できるようにしてもよい。
このように、本書のどこかに記載するように、ジグザグ要素250は、ジグザグ要素250の形状セットおよび/またはプレストレスといった処理中に手動あるいは別の方法によりまとめて操作されてもよい。処理後に、ジグザグ要素250は、例えばコネクタ要素256がある状態でベース材料へ埋め込むことにより、アクセスデバイスに組み込まれる(ただし、その可撓性によりアクセスデバイスの支湯王子にジグザグ要素250の以降の動きに少し制限が生じる)。コネクタ要素256は、ベース材料に組み込む前あるいは組み込み中にジグザグ要素250の装填および/または位置決めを容易にし、これはジグザグ要素250が互いに結合されたままとなり互いに対して調整されるからである。コネクタ要素256はまた、隣接するジグザグ要素250間の距離の調整を実現するのに十分な柔軟性を有し、ベース材料に組み込む際に必要に応じてジグザグ要素250が互いに部分的に入れ子になることが可能である。代替的に、本書のどこかに記載するように、コネクタ要素250が切断され、および/または除去されて、個々のジグザグ要素がアクセスデバイスに組み込まれてもよい。
図9Aおよび9Bに転ずると、アクセスデバイス用のメッシュパターンの別の実施例の証左が示されており、弾性部材(すなわちリングまたは他のジグザグ要素250’)の隣接するセットがともに接続されている。図示するように、メッシュパターンは次から次に隣接するジグザグ要素250’を具え、各ジグザグ要素が閉じるか開いたリング、または両端部を有するほぼ平坦あるいは湾曲した弾性部材を規定している(図示せず)。別の実施例と同様に、各ジグザグ要素250’は、端部が交互に湾曲支材254’で連結されたほぼ真っ直ぐか概ね縦の支材252’を具え、これにより蛇行または他のジグザグパターンを規定する。
縦に隣接する湾曲支材254’の間に延在する1またはそれ以上のコネクタ要素256’が隣接するジグザグ要素250’を結合している。例えば、各湾曲支材254’がコネクタ要素256’により隣接する湾曲支材254’に接続されて閉じたセルのメッシュ(closed−cell mesh)を提供してもよく、あるいは湾曲支材254’のいくつかのみ(例えば、1つとばし、2つとばし等)がコネクタ要素256’で接続されて開いたセルのメッシュ(opne−cell mesh)を提供してもよい。
コネクタ要素256’は、図9Aに示すような初期の、弛緩形状の、曲線形状を有してもよいし、図9Bに示すようなほぼ真っ直ぐの形状の、弾性的に操作されてプレストレス形状であってもよい。例えば、弾性部材250’のセットは、得られるアクセスデバイスの縦軸234’に沿って延在して、弾性部材250’の長さ全体を増大し、弾性部材250’がアクセスデバイスに組み込まれたときに縦のプレストレスを提供するようにしてもよい。付加的または代替的に、弾性部材250’のセットは、本書の別の実施例と同様に、半径方向、周方向、あるいはそれ以外の縦軸234’を横切る方向に拡げられ、これにより弾性部材250’)にプレストレスをかけ、弾性部材250’の直径または横の長さが小さくなる方向にバイアスがかかるようにしてもよい。
プレストレスが与えられた、すなわちコネクタ要素256’が少なくとも部分的に図9Bに示すように伸ばされた(straightened)状態で、隣接する弾性部材250’は互いに部分的に入れ子になったままであり、隣接する弾性部材250’の最も近い湾曲支材254間には重なりが存在する。ベース材料に埋め込まれるか他の方法でアクセスデバイスに組み込まれた後に、コネクタ要素256’が解放されると、コネクタ要素256’は隣接する弾性部材250’を、図9Aに示すような入れ子位置の方へバイアスする。選択的に、支材252’、254’、256’の厚さおよび/または湾曲支材254’の半径を所望の通りに調整して、剛性および/または得られるアクセスデバイスのバイアスを変更することができる。
本書および本書に参照により組み込まれる出願に記載のいずれかの弾性部材は、ベース材料に埋め込まれるか他の方法で組み込まれ、ファブリックまたは他のカバーリングで覆われてアクセスデバイスが作成される。1つの方法では、弾性部材が型枠に配置され、ベース材料がこの型枠に注入されて弾性部材がベース材料に包まれるようにする。
例えば、図10A、10Bに転ずると平坦な型枠600が示されており、テンションがかけられるか他のプレストレス状態、あるいは弛緩状態の弾性部材650のセットが装填された空洞604を間に規定する一対の型枠プレート602を具える。図示するように、弾性部材650の伸ばされた端部658は、型枠600の端部領域608内に固定され、弾性部材650は望む通りに空洞604内に懸架されるか他の方法で配置される。
本書の他の実施例および本書に参照により組み込まれる出願と同様に、エラストマーまたは他のベース材料(図示せず)が、注入ポート606を介して空洞604内に注入され、弾性部材650を包み込んでアクセスデバイス用のパネルが作成される(パネルの周りにファブリックのカバーリングを固定した後。図示せず)。図示するように、型枠600は、空洞604の喀痰部および/または型枠プレート602の一方または双方に複数の注入ポート606を具え、えらがベース材料の注入時間を減らし、および/または空洞604を充填する際に実質的な均一性を提供する。型枠プレート602において空洞604を規定する凹部の深さは、得られるアクセスデバイスの所望の厚さを提供するように選択され、これは必要に応じてほぼ均一であっても変化してもよい。ベース材料が注入され硬化したら、必要に応じて、型枠プレート602が開けられ、包み込まれた弾性部材650を取り外し、延びた端部658を除去したり、ファブリックのカバーリング(図示せず)を追加する等のさらなる処理が行われ、最終形のアクセスデバイスが作成される(図示せず)。
図11A、11Bに転ずると、円筒形の型枠700の一実施例が示されており、本ション他の実施例と同様に、弾性部材750のセットがテンションをかけられるか他の方法でプレストレスが与えられた状態で、内部に装填された環形の空洞704を規定する複数の型枠プレート702、703を具える。例えば、弾性部材750のセットは、図10A、10Bの平坦な型枠600と同様に、延びた端部758が型枠700の端部領域708に固定されている。
図11Bに最もよく見えるように、型枠700は、注入ポート706と連通する通路702aを有する空洞の型枠コア702を有し、これらの注入ポート706は空洞704内に連通している。型枠700はまた外側の型枠プレート703を具え、これは、コア702と、弾性部材750のセット、コア702の凹部との周りに固定された一対のプレートであり、プレート703はともに空洞704を規定する。
本書および本書に参照により組み込まれた出願の他の実施例と同様に、エラストマーまたは他のベース材料(図示せず)がコア通路702aおよび注入ポート706を介して空洞704内に注入され、弾性部材750を包み込み、アクセスデバイス(図示せず)用のスリーブを形成する。弾性部材750は、空洞704内にほぼ弛緩状態で装填され、あるいは弾性的に波形方向に引き伸ばされ、および/または空洞704にわたって縦に引き伸ばされてエラストマー材料で包まれたときに望む通りに弾性部材750にプレストレスが与えられるように、プレストレス状態で装填されてもよい。代替的に、複数工程のモールディング処理を用いて、例えば最初に弾性部材750の内側か外側に弾性部材750を支持するベース層(図示せず)を作成し、ほぼ均一の直径や他の構成を保持するようにしてもよい。さらなる代替例では、弾性部材750はエラストマーチューブの外面のエラストマーベースに装填され(図示せず)、これが空洞にまたがるように装填され、弾性部材750とベース材料の周りにて1またはそれ以上の追加の層が注入され形成されてもよい。
モールディングに加え、本書のどこかに記載されるように、他の方法を用いてアクセスデバイスを作成するために弾性部材をベース材料内に入れ込むか他の方法で組み込んでもよい。例えば、1またはそれ以上のシート形、円筒形、または他の構造のベース材料を成形し、弾性部材を当該ベース部材の内部に埋め込むか他の方法で取り付けてもよい。
図12A−12Dに転ずると、弾性部材850のセットをエラストマーまたは他のベース材料のシート832内に埋め込む方法の実施例が示されている。例えば、図12A、12Bに示すように、弾性部材850を、図12Aに示すように、複数の個別または連結されたジグザグ要素を、弛緩状態またはプレストレス状態で、次から次へ隣接および/または入れ子状態または間隔を開けて配置して、所望の構成に形成して配置する。図12Bに示すように、その後にベース材料のシート832を弾性部材850の上に適用する。
例えば、ベース材料の硬い、硬化したシート832を、弾性部材850に適用し、および/または取り付けることができる。選択的に、ベース材料(図示せず)の1またはそれ以上の層を、粘着材による接着、溶着、リフローイングなどにより、ベース材料832の弾性部材850の上に適用して、弾性部材850をベース材料で包んでもよい。代替的に、図13A−13Cに示すとともに後述するように、弾性部材850をトレイまたは他の容器(図示せず)内に配置し、硬化していないか他に流動的なベース材料832を、弾性部材850の上から容器に注いで弾性部材850を包み込み、そのうえでベース材料832を硬化し、架橋し、および/または他の方法で処理する。
さらなる代替例では、図12C、12Dに示すように、ベース材料のシートまたは他の基板832を形成し、その後に弾性部材850のセットを基板832内に配置する。例えば、図13A−13Cに示すように、ベース材料が少なくとも部分的に硬化しないように混合あるいは他の方法で準備し、すなわちベース材料が液状、ゲル状、または他の流動状態に維持されるようにする(図示せず)。図13Bに示すように、流動的なベース材料832を注ぐことができる凹部または窪み812を有するトレイまたは他の容器810を用意する。ブレードまたは他のツール820を容器810の頂面814に沿って案内することで余分なベース材料832を除去し、ベース材料832のほぼ平坦な露出面を作成する。余分な材料を除去したら、図12Dに示すように、弾性部材850を、本書の他の実施例と同様に、弛緩状態またはプレストレス状態で、ベース材料内に挿入する。その後にベース材料832を硬化し、架橋し、および/または他の処理を行い、弾性部材850が完全に硬化したベース材料832内に包まれるようにする。
代替的に、ベース材料832を硬化させ、その後に弾性部材850をベース材料832の上に配置し、あるいは、ベース材料832に押し入れるか、加熱溶融するか、弾性部材850の周りにリフローするなどして、ベース材料832内に挿入してもよい。代替的に、硬化していないベース材料832の露出面にスタンプまたは他のツール(図示せず)を挿入して、ベース材料832の露出面に「ネガティブパターン」を形成してもよい。その後にベース材料を硬化し、架橋し、および/または他の方法で処理し、ツールを取り去って弾性部材850の支材の構造に対応して一連の凹部を形成する。これにより、弾性部材850を、ベース材料832に直接押し入れるのではなく、予め形成された凹部に受けることができる。選択的に、ベース材料の1またはそれ以上の追加の層(図示せず)をその上に適用し、および/または他の方法でベース材料832に溶融あるいは取り付けて、弾性部材850を包み込むようにしてもよい。
さらなる代替例では、ベース材料を形成するのに噴霧/薄膜堆積方法を用いてもよい。例えば、エラストマー材料の1またはそれ以上の層を、トレイまたは他の容器(図示せず)内に、液体または粒状の形態で噴霧する。例示的な噴霧方法は、アエロゾルの噴霧、静電荷堆積(すなわち、パウダーコーティング、コピーインク/トナーのアプリケーション)、インクジェット堆積技術などを含む。エラストマー材料の適用後に、追加のステップを行って(例えば熱、湿気、可視光線または紫外線など)、ベース材料を硬化、架橋、および/または処理する。一実施例では、エラストマー材料はダイスタンプの上に堆積され、これがエラストマー材料850の下面に構造的凹部を形成する(図示せず)。スタンプを取り去ると、得られるベース材料832は弾性部材850の構造に対応した凹部パターンを有することになる。これにより、弾性部材850を凹部パターン内に入れ込むことができるため、弾性部材850を配置するのに追加の定着工程を行う必要がなく、さらにデバイス間の整合性も向上する。インクジェット堆積方法では、弾性部材850用の凹部パターンを、当該ベース材料を堆積する際に直接形成することができる。
さらに、凹部パターンは、凹部に弾性部材850を挿入したときにストレスがかかるように選択することができる。例えば、凹部パターンは、弾性部材850の各支材に対応する凹部を有してもよいが、これらの凹部が弾性部材850の弛緩状態から離隔されるようにする。これにより、凹部パターンと当該凹部を囲むベース材料が、さらなる固定物の必要なく、弾性部材850をプレストレス状態に保持する。選択的に、これらの方法では、弾性部材850を凹部パターンに配置した後に、ベース材料の最後の層を設けて弾性部材850を完全に埋め込むか他の方法で包み込むようにしてもよい。
さらなる代替例では、含浸方法を用いてベース材料を作成してもよい。例えば、マンドレルを液状のエラストマー材料内に1またはそれ以上の回数含浸することにより、エラストマー材料の1またはそれ以上の層をマンドレル(図示せず)の上に設ける。得られるベース材料の厚さは、液状エラストマーの粘度、エラストマーの固形成分パーセント、および/または含浸工程の数のうちの1以上により制御できる。この厚さの別の制御方法は、一対の平行プレートを溶液に浸し、これにより当該プレート間に、プレート間の間隔に対応する厚さのベース材料の層が形成される。
図14A−14Cに転ずると、弾性部材1050の周りにベース材料1030の複数のシートまたは層を熱融合させて、アクセスデバイス用の弾性部材またはパネル1030を作成する別の方法が示されている。例えば、図14Aに示すように、本書のどこかに記載の方法のいずれかで形成されたエラストマー材料の一対のシート1010が、弾性部材1050に対応する凹部を設けて(図示せず)、あるいは設けずに形成される。
弾性部材1050がシート1010間に配置され、エネルギ、圧力などの1以上がかけられて2枚のシート1010が溶着され、および/または弾性部材1050がシート1010間に埋め込まれ、図14Aのアセンブリ1028となる。エネルギは、例えば加熱素子(図示せず)を用いて直接的に、および/または、無線周波数(RF)電気エネルギ、超音波振動、および摩擦などの1以上を用いて間接的にかけられ、エネルギがシート1010間の界面に集中される。例えば、弾性部材1050の材料が、得られる熱エネルギをシート1010の内面に集中させる誘導子(director)として作用し、シート1010内および/またはその間への弾性部材1050の埋め込みが促進されるようにしてもよい。
選択的に、図14Bに示すように、ダイ1020を用いて、エネルギをかけ、および/またはアセンブリ1028をアクセスデバイス(図示せず)に組み込まれる最終的な弾性シート1030に形成してもよい。図示するように、ダイ1020は、1またはそれ以上の加熱素子および/または他のエネルギ源(図示せず)を有する対向するプレート1022,1024を具える。例えば、上側プレート1022が加熱素子(図示せず)を具えてもよいし、あるいはRF溶接用のカソードとして構成され、下側プレート1024がRF溶接溶のアノードとして構成されてもよい。
アセンブリ1028の構成要素はプレート1022、1024の間に配置され、これは下側プレート1024の上に順番に、ベース材料1010の第1の層と、弾性部材1050(弛緩状態またはプレストレス状態)と、ベース材料1010の第2の層とを配置し(図14Aに示す)、本書のどこかに記載されるように、ベース材料1010が互いにくっつくように圧力および/または他のエネルギがかかるようにプレート1022、1024をともに誘導する。選択的に、プレート1022、1024は、1またはそれ以上の刃または他の切断要素1026と、対向する凹部1027とがプレート1022、1024にそれぞれ配置されており、図14Cに示すように、アセンブリ1028を最終的な弾性パネル1030へとカットしてもよい。切断要素1026は固定されていてもよいし、1またはそれ以上のバネ、油圧、液圧など(図示せず)を用いて機械的に作動され、切断要素1026をアセンブリ1028内へ、および(ベース材料1032と弾性部材1050を通して切断するように)対向する凹部1027内へと通すようにしてもよい。
図15A−15Dに転ずると、図15Aに示すように得られるアクセスデバイスの内径を規定するマンドレル1110を用いたアクセスデバイスの別の作成方法が示されている。マンドレル1110は、中実または中空の筒型であり、用いられる処理に耐えうるか、および/または所望の外面仕上げを提供しうる材料で形成される。最初に、図15Bに示すように、エラストマーまたは他のベース材料1032の第1の層がマンドレル1110の周りに設けられ、これは例えばベース材料の第1の層をマンドレル1110に直接形成してもよいし、あるいは図15Bに示すように、ベース材料のシートをマンドレル1110の周りに巻いてもよい。例えば、マンドレル1110を、本書の他の実施例と同様に、硬化していない、液状のベース材料に漬けてもよく、このとき得られるコーティングの厚さは、液状エラストマー、固形成分のパーセント、および浸漬工程の数のうちの1以上により制御される。マンドレル1110を浸漬後にほぼ水平に配置し、マンドレル1110の硬化中に回転させると、適用物の均一性が向上する。
代替的に、図16に示すように、ベース材料1132の第1の層をマンドレル1110の周りに適用し、マンドレル1110を回転させつつ刃または他のツール1112を用いて余剰のベース材料を除去するようにしてもよい。例えば、噴霧、刷毛塗りなどにより、硬化していない、液状のベース材料を回転するマンドレル1110の外側面に適用し、ツール1112で余剰の材料を除去して、第1の層1132が所望の外径となるようにする。選択的に、所望の外径が得られるまで、ベース材料が適用されると熱や他のパラメータを加えることにより、実施的に連続的にベース材料を適用して硬化させ、マンドレル1110を回転させて材料が硬化するようにしてもよい。
別の代替例では、ベース材料(すなわち熱硬化性または熱可塑性の材料)がダイ(図示せず)を介してマンドレル1110上に直接的に押出成形され、あるいは、ビーディング(beading)または他のサブアセンブリ(図示せず)の上に押出成形された後にマンドレル1110に移されてもよい。
さらなる別の代替例では、弾性部材(図示せず、図12−13に示す方法といった他の実施例と同様に形成される)をマンドレル1110の周りに取り付けた状態で、平坦なベース材料の薄いシートまたは層を巻き、粘着材で接着、溶融、機械的コネクタ、縫合(図示せず)などによりシートの両端部を互いに取り付けることにより、マンドレル1110の上に円筒形を構成してもよい。
マンドレル1110上にベース材料1132が形成され、および/または固定されると、既に設けられていない場合に、弾性部材1150のセットが第1の層1132の周りに配置され、あるいは第1の層1132の面内へと配置される。例えば、外側面へのレーザカッティング、機械カッティング、パターン付きスタンプ(図示せず)の加熱などにより、凹部パターンが第1の層1132の外側面に形成される。代替的に、図15Cに示すように、弾性部材1150は外側面に、押し入れられ、加熱され、および/または他の方法で導入されてもよい。
最後に、ベース材料1134の第2の層を、ここでもマンドレル1110上に直接第2の層1134を形成するか(例えば、含浸して硬化、噴霧して硬化させる等)、マンドレル1110の周りにベース材料のシートを巻くことにより、弾性部材1150の周りに設ける。例えば、第2の層1134は、図16に示す吹きつけ方法を用いて形成するか、ベース材料の層を形成または巻き付ける等して、弾性部材1150を包み込むようにする。
選択的に、得られるアセンブリは、ベース材料をさらに硬化あるいは架橋させ、層を加熱または溶融等させる等の処理を行ってもよい。マンドレル1110がその後に取り去られ、アセンブリが図2A−2Cに示すようなアクセスデバイスへと組み込まれる。選択的に、本書に記載の他の方法の組み合わせを用いて、さらなるベース材料を追加して、マンドレル1110を取り去った後の円筒形状を強化してもよい。
図17A−17Cに転ずると、弾性部材1230のシートを形成する別の方法が示され、複数の弾性部材1250がベース材料1232内に埋め込まれている。本書の他の実施例と同様に、図17A、17Bは、エラストマー材料のシートまたは層の正面図と端面図である。複数の弾性部材1250、すなわち独立した曲線ワイヤまたは他のフィラメントが、図17Bに示すようにシート1232の一方の端縁からエラストマー材料内に入り、図17Cに示すように他方の端縁へと通される(threaded)。代替的に、直線あるいは曲線形状の複数の管状ガイド(図示せず)がシート1232の一方の端縁から他方の端縁まで通されており、フィラメント1250が当該ガイドに通された後に除去されてもよい。この代替例では、フィラメント1250はガイドとは異なる弛緩状態の形状を有し、ガイドが取り去られた後にフィラメント1250がエラストマーシート1232内でプレストレス状態となるようにしてもよい。
以上に本発明の複数の実施例を説明した。当業者は、本発明の範囲内で多くの実施例を理解するであろう。本書に記載の多様な構成要素および方法の他の変更、変形、および組み合わせが可能であり、それらはいずれも本発明の範囲内である。例えば、本書に記載のいずれかのデバイスは、これも本書に記載のいずれかの送達システムや方法と組み合わせることができる。
本発明の複数の実施例を図示し説明したが、本発明の範囲を逸脱することなく多様な変更を加えることができる。本発明は、したがって、添付のクレームおよびその均等物以外で制限されるべきではない。