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JP2018038999A - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents

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JP2018038999A JP2017072467A JP2017072467A JP2018038999A JP 2018038999 A JP2018038999 A JP 2018038999A JP 2017072467 A JP2017072467 A JP 2017072467A JP 2017072467 A JP2017072467 A JP 2017072467A JP 2018038999 A JP2018038999 A JP 2018038999A
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【課題】本発明は、十分な耐熱性を有しつつ、酸素貯蔵容量及び酸素吸放出速度を両立したOCS材を用いた排ガス浄化用触媒を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、基材と、該基材上に形成された触媒コート層を有する排ガス浄化用触媒であって、パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア系複合酸化物を基材容量に対して5〜100g/Lの量で触媒コート層中に含み、セリア−ジルコニア系複合酸化物の二次粒子径(D50)が3〜7μmであり、セリア−ジルコニア系複合酸化物がプラセオジムを含んでいてもよい、前記排ガス浄化用触媒に関する。【選択図】図1

Description

本発明は排ガス浄化用触媒に関する。
自動車等の内燃機関から排出される排ガスには、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、未燃の炭化水素(HC)等の有害ガスが含まれている。そのような有害ガスを分解する排ガス浄化用触媒(いわゆる三元触媒)には、酸素貯蔵能(OSC:Oxygen Storage Capacity)を有する助触媒としてセリア−ジルコニア系複合酸化物等が用いられる。セリア−ジルコニア系複合酸化物等の酸素貯蔵材(OSC材)は、酸素を吸放出することによりミクロな空間で空燃比(A/F)を制御し、排ガス組成変動に伴う浄化率の低下を抑制する効果を有する。
従来、排ガス浄化用触媒に用いられるOSC材には、長時間にわたって酸素吸放出能を維持するための十分な酸素貯蔵容量及び耐熱性を有し、さらに、高温に長時間晒された後においても十分に優れた酸素貯蔵能を発揮することが求められていた。この要求に対し、特許文献1では、セリア−ジルコニア系複合酸化物の一次粒子径や、セリウムとジルコニウムとの含有比率等を特定した、パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア系複合酸化物が提案されており、具体的には、セリア−ジルコニア系複合酸化物における粒子径1.5〜4.5μmの一次粒子が該複合酸化物の全一次粒子に対して粒子数基準で50%以上であり、セリア−ジルコニア系複合酸化物におけるセリウムとジルコニウムとの含有比率がモル比([セリウム]:[ジルコニウム])で43:57〜55:45の範囲にあり、かつ、大気中、1100℃の温度条件で5時間加熱後のX線回折測定により得られるCuKαを用いたX線回折パターンから求められる2θ=14.5°の回折線と2θ=29°の回折線との強度比{I(14/29)値}及び2θ=28.5°の回折線と2θ=29°の回折線との強度比{I(28/29)値}がそれぞれ以下の条件:I(14/29)値≧0.015、I(28/29)値≦0.08を満たすものであることを特徴とするセリア−ジルコニア系複合酸化物が記載されている。特許文献1に記載されるセリア−ジルコニア系複合酸化物では、その一次粒子径が特定されているが、二次粒子径については具体的に記載されていない。
また、特許文献2には、セリア−ジルコニア系複合酸化物のパイロクロア構造を有する結晶粒子と、前記粒子表面に存在するセリア−ジルコニア系複合酸化物の蛍石構造を有する結晶とを含み、前記セリア−ジルコニア系複合酸化物の蛍石構造を有する結晶が、セリアよりもジルコニアを多く含み、かつ前記セリア−ジルコニア系複合酸化物のパイロクロア構造を有する結晶粒子と一体化されていることを特徴とする複合酸化物材料が記載されており、平均二次粒子径11μmのパイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア系複合酸化物を調製したことが記載されている。
最近、触媒の低体格化に伴い、排ガス浄化用触媒に用いられるOSC材について、十分な耐熱性及び酸素貯蔵容量を有するだけでなく、より速い挙動を示すために酸素吸放出速度も十分に大きいことが求められている。
しかし、従来のセリア−ジルコニア系複合酸化物では、その結晶構造が蛍石構造のものでは、酸素吸放出速度は大きいものの、酸素貯蔵容量が小さく、また、その結晶構造がパイロクロア構造のものでは、酸素貯蔵容量が大きいものの、酸素吸放出速度が小さく、酸素貯蔵容量及び酸素吸放出速度の両立はこれまで困難であった。
特開2015−34113号公報 特開2014−114196号公報
前記のように、従来の排ガス浄化用触媒では、OSC材として用いられるセリア−ジルコニア系複合酸化物において、結晶構造が蛍石構造のものでは、酸素吸放出速度は大きいものの、酸素貯蔵容量が小さく、また、結晶構造がパイロクロア構造のものでは、酸素貯蔵容量が大きいものの、酸素吸放出速度が小さいため、十分な耐熱性を有しつつ、酸素貯蔵容量及び酸素吸放出速度を両立することは困難であった。それ故、本発明は、十分な耐熱性を有しつつ、酸素貯蔵容量及び酸素吸放出速度を両立したOCS材を用いた排ガス浄化用触媒を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア系複合酸化物の二次粒子径(D50)を特定の範囲とすることで、該複合酸化物において、十分な耐熱性を有しつつ、酸素貯蔵容量及び酸素吸放出速度を両立できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)基材と、該基材上に形成された触媒コート層を有する排ガス浄化用触媒であって、パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア系複合酸化物を基材容量に対して5〜100g/Lの量で触媒コート層中に含み、セリア−ジルコニア系複合酸化物の二次粒子径(D50)が3〜7μmであり、セリア−ジルコニア系複合酸化物がプラセオジムを含んでいてもよい、前記排ガス浄化用触媒。
(2)排ガス浄化用触媒が、スタートアップ触媒(S/C)と、排ガスの流れ方向に対して前記S/Cよりも後方に設置されたアンダーフロア触媒(UF/C)を含む排ガス浄化用触媒システムのS/C又はUF/Cである、(1)に記載の排ガス浄化用触媒。
(3)排ガス浄化用触媒がS/Cであり、該S/Cが、少なくとも2層の触媒コート層を有し、前記セリア−ジルコニア系複合酸化物を基材容量に対して5〜50g/Lの量で触媒コート層の最上層に含む、(2)に記載の排ガス浄化用触媒。
(4)排ガス浄化用触媒がS/Cであり、該S/Cが、少なくとも2層の触媒コート層を有し、前記セリア−ジルコニア系複合酸化物を基材容量に対して5〜30g/Lの量で触媒コート層の最上層以外の少なくとも1層に含む、(2)に記載の排ガス浄化用触媒。
(5)排ガス浄化用触媒がUF/Cであり、該UF/Cが、少なくとも2層の触媒コート層を有し、前記セリア−ジルコニア系複合酸化物を基材容量に対して5〜20g/Lの量で触媒コート層の最上層に含む、(2)に記載の排ガス浄化用触媒。
本発明により、十分な耐熱性を有しつつ、酸素貯蔵容量及び酸素吸放出速度を両立したOSC材を用いた排ガス浄化用触媒を提供することが可能となる。
図1は、実施例1−2及び比較例1−5のセリア−ジルコニア系複合酸化物の初期の酸素吸放出量(OSC)(棒グラフ)と、これらの複合酸化物を用いた排ガス浄化用触媒の最大酸素吸蔵量(Cmax)(折れ線グラフ)を示す。 図2は、初期(0〜13秒)の酸素吸放出量(OSC)と最大酸素吸蔵量(Cmax)の関係を示す。 図3は、実施例4及び7、並びに比較例6−10のS/Cの最大酸素吸蔵量(Cmax)を示す。 図4は、上層コート中のOSC材(実施例2のセリア−ジルコニア系複合酸化物)の添加量と、最大酸素吸蔵量(Cmax)との関係を示す。 図5は、上層コート中のOSC材(実施例2のセリア−ジルコニア系複合酸化物)の添加量と、T50−NOxとの関係を示す。 図6は、下層コート中のOSC材(実施例2のセリア−ジルコニア系複合酸化物)の添加量と、A/F切り替え時のNOx排出量との関係を示す。 図7は、下層コート中のOSC材(実施例2のセリア−ジルコニア系複合酸化物)の添加量と、定常NOx浄化率との関係を示す。 図8は、実施例13及び17、並びに比較例16−18のUF/Cの定常HC浄化率を示す。 図9は、上層コート中のOSC材(実施例2のセリア−ジルコニア系複合酸化物)の添加量と、定常HC浄化率との関係を示す。 図10は、上層コート中のOSC材(実施例2のセリア−ジルコニア系複合酸化物)の添加量と、T50−NOxとの関係を示す。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明の排ガス浄化用触媒は、基材と、該基材上に形成され、パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア系複合酸化物(CeZr:以下、パイロクロア型セリア−ジルコニア系複合酸化物又はパイロクロアCZとも称する)を所定量含む触媒コート層とを有する。
セリア−ジルコニア系複合酸化物において「パイロクロア構造を有する」とは、セリウムイオンとジルコニウムイオンとによるパイロクロア型の規則配列構造を有する結晶相(パイロクロア相)が構成されていることを意味する。セリウムイオン及びジルコニウムイオンは、その一部がプラセオジム等の追加の元素により置換されていてもよい。パイロクロア相の配列構造は、CuKαを用いたX線回折パターンの2θ角が14.5°、28°、37°、44.5°及び51°の位置にそれぞれピークを有することにより特定することができる。ここで、「ピーク」とは、ベースラインからピークトップまでの高さが30cps以上のものをいう。また、回折線強度を求める際には、各回折線強度の値から、バックグラウンド値として2θ=10〜12゜の平均回折線強度を差し引いて計算する。
パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア系複合酸化物において、X線回折パターンのピーク強度比により求められる全結晶相に対するパイロクロア型に規則配列した結晶相の含有比率は50%以上、特に80%以上であることが好ましい。パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア系複合酸化物の調製方法は当業者に公知である。
セリア−ジルコニア系複合酸化物のパイロクロア相(CeZr)は酸素欠陥サイトを有し、そのサイトに酸素原子が入り込むとパイロクロア相はκ相(CeZr)に相変化する。一方、κ相は酸素原子を放出することによりパイロクロア相に相変化することができる。セリア−ジルコニア系複合酸化物の酸素貯蔵能は、パイロクロア相とκ相との間で相互に相変化して酸素を吸放出することによるものである。
ここで、セリア−ジルコニア系複合酸化物のκ相は、再配列により蛍石構造を有する結晶相(CeZrO:蛍石型相)に相変化することが知られており、リーン時、特に高温リーン時には、パイロクロアCZは、κ相を経て、蛍石型相に相変化しやすくなる。
セリア−ジルコニア系複合酸化物の結晶相のCuKαを用いたX線回折(XRD)測定において、2θ=14.5°の回折線は規則相(κ相)の(111)面に帰属する回折線であり、2θ=29°の回折線は規則相の(222)面に帰属する回折線とパイロクロア相を有しないセリア−ジルコニア固溶体の(111)面に帰属する回折線とが重なったものであるため、両者の回折線の強度比であるI(14/29)値を規則相の存在率を示す指標とすることができる。なお、本発明において、XRD測定は、通常、測定対象のセリア−ジルコニア系複合酸化物を大気中、1100℃で5時間加熱した(高温耐久試験)後に行う。本発明において、セリア−ジルコニア系複合酸化物における、大気中、1100℃で5時間加熱した後のX線回折測定により得られるCuKαを用いたX線回折パターンから求められる2θ=14.5°の回折線と2θ=29°の回折線との強度比I(14/29)値は、良好な規則相の維持及び耐久試験後の酸素貯蔵能の観点から、好ましくは、0.017以上である。なお、κ相のPDFカード(PDF2:01−070−4048)及びパイロクロア相のPDFカード(PDF2:01−075−2694)に基づき、完全なκ相のI(14/29)値は0.04、完全なパイロクロア相のI(14/29)値は0.05と計算することができる。また、セリア−ジルコニア系複合酸化物の結晶相のCuKαを用いたXRD測定において、2θ=28.5゜の回折線はCeO単体の(111)面に帰属する回折線であるため、2θ=28.5゜の回折線と2θ=29゜の回折線の強度比であるI(28/29)値を、複合酸化物からCeOが分相している程度を示す指標とすることができる。本発明において、セリア−ジルコニア系複合酸化物における、大気中、1100℃で5時間加熱した後のX線回折測定により得られるCuKαを用いたX線回折パターンから求められる2θ=28.5°の回折線と2θ=29°の回折線との強度比I(28/29)値は、セリアの分相の抑制及び耐久試験後の酸素貯蔵能の観点から、好ましくは、0.05以下である。
パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア系複合酸化物は、二次粒子径(D50)が3〜7μmであり、好ましくは3〜6μmであり、より好ましくは3〜5μmである。パイロクロアCZが、この範囲の二次粒子径(D50)を有すると、二次粒子径(D50)がこの範囲にないものと比較して、十分な耐熱性を有しつつ、高い酸素貯蔵容量を維持したまま、酸素吸放出速度を有意に向上させることができる。なお、蛍石構造を有するセリア−ジルコニア系複合酸化物では、二次粒子径と酸素吸放出速度との間にこのような関係がないため、パイロクロアCZにおいて二次粒子径(D50)を特定の範囲とすることで酸素吸放出速度が有意に向上することは、パイロクロアCZに特異的な予想外の効果である。パイロクロアCZでは、パイロクロア構造特有の酸素内部拡散が速い特性により二次粒子径の影響が非常に大きく、一方、トレードオフの関係にある耐熱性は、二次粒子径に対して酸素吸放出速度とは異なる感度を示し、十分に高い耐熱性が維持されるため、結果として、パイロクロアCZにおいて二次粒子径(D50)を特定の範囲とすることで、高い耐熱性を有しつつ、高い酸素貯蔵容量を維持したまま、酸素吸放出速度を有意に向上させることができたと推測される。よって、本発明では、パイロクロアCZが3〜7μmの二次粒子径(D50)を有することにより、十分な耐熱性を有しつつ、酸素貯蔵容量及び酸素吸放出速度を両立でき、特に、酸素吸放出速度を有意に向上させることができる。
本発明において、「二次粒子」とは、一次粒子が集合したものであり、「一次粒子」とは、一般的に粉末を構成する最も小さい粒子のことをいう。一次粒子は、走査型電子顕微鏡(SEM)等の電子顕微鏡により観察して判断することができる。本発明において、パイロクロアCZの一次粒子径は、通常、二次粒子径よりも小さく、一次粒子径(D50)は、好ましくは、1.5〜6.0μmであり、より好ましくは、1.70〜5.0μmである。ここで、一次粒子径(D50)とは、個数分布を測定した際の平均一次粒子径のことを意味する。一方、本発明において、二次粒子径(D50)とは、二次粒子径が50%累積粒子径(メジアン径又はD50とも呼ばれる)であることを意味する。二次粒子径(D50)は、例えば、レーザー回折散乱法により測定して得られた体積基準粒度分布において、全体積を100%とした累積体積分布曲線における50%となる体積の粒子径(すなわち体積基準累積50%径)である。
特定の範囲の二次粒子径(D50)を有するパイロクロアCZは、例えば、原料を混合して沈殿を得、得られた沈殿を乾燥及び焼成し、粉砕して粉末を得、得られた粉末を加圧成型し、還元処理を施した後、所定の二次粒子径(D50)となるように粉砕することによって得られる。成型体の粉砕は、例えば、ボールミル、振動ミル、ストリームミル及びピンミル等によって行うことができる。
パイロクロアCZにおいて、ジルコニウム(Zr)とセリウム(Ce)のモル比(Zr/Ce)は1.13<Zr/Ce<1.30である。
パイロクロアCZは、プラセオジム(Pr)を含んでいてもよく、好ましくは、セリウム及びジルコニウムに加えてプラセオジムを含む。プラセオジムは、式:Pr11→3Pr+Oで表される還元反応のΔG(ギブズの自由エネルギー)が負であるため、ΔGが正である、式:2CeO→Ce+0.5Oで表されるCeOの還元反応を起こりやすくするものと考えられる。パイロクロアCZがプラセオジムを含む場合、パイロクロアCZは、好ましくは、全陽イオン合計量に対して0.5〜5モル%のプラセオジムを含有し、また、Zrと(Ce+Pr)のモル比は、好ましくは1.13<Zr/(Ce+Pr)<1.30である。
パイロクロアCZは、セリウム(Ce)及びジルコニウム(Zr)以外の追加の元素として、プラセオジム(Pr)以外の元素を含んでいてもよい。プラセオジム以外の追加の元素としては、特に限定されずに、例えば、セリウム及びプラセオジム以外の希土類元素やアルカリ土類金属が挙げられる。セリウム及びプラセオジム以外の希土類元素としては、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等が挙げられ、中でも、貴金属を担持させた際に貴金属との相互作用が強くなり、親和性が大きくなる傾向にあるという観点から、La、Nd、Y、Scが好ましい。また、アルカリ土類金属元素としては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)が挙げられ、中でも、貴金属を担持させた際に、貴金属との相互作用が強くなり、親和性が大きくなる傾向にあるという観点から、Mg、Ca、Baが好ましい。追加の元素の含有量は、通常、パイロクロアCZの全陽イオン合計量に対して5モル%以下である。
パイロクロアCZの比表面積は、良好な貴金属との相互作用、酸素貯蔵能及び耐熱性の観点から、好ましくは、5m/g以下である。比表面積は、吸着等温線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出することができる。
パイロクロアCZのタップ密度は、好ましくは、1.5g/cc〜2.5g/ccである。
触媒コート層に用いられる触媒金属としては、COやHCの酸化及び/又はNOxの還元に対して触媒活性を示す任意の触媒金属を使用することができ、例えば、白金族貴金属が挙げられる。白金族貴金属としては、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)及び白金(Pt)が挙げられ、特にRh、Pt及びPdを用いることが好ましい。その担持量は従来の排ガス浄化用触媒と同様でよいが、排ガス浄化用触媒に対して0.01〜5重量%であることが好ましい。触媒コート層において、パイロクロアCZは、触媒金属を担持する担体として用いてもよい。また、触媒コート層は、担体としてパイロクロアCZ以外の担体材料を含んでいてもよい。パイロクロアCZ以外の担体材料としては、一般的に触媒担体として用いられる任意の金属酸化物、例えばアルミナ(Al)、セリア(CeO)、ジルコニア(ZrO)、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、ランタナ(La)又はそれらの組み合わせ等を用いることができる。担持方法は、含浸担持法、吸着担持法及び吸水担持法等の一般的な担持法を利用することができる。
排ガス浄化用触媒は、使用量に対して得られる酸素吸放出速度向上効果や排ガス浄化能のバランスの観点から、パイロクロアCZを基材容量に対して5〜100g/Lの量で触媒コート層中に含む。
排ガス浄化用触媒は、少なくとも1層の触媒コート層を有するが、好ましくは、上層及び下層の2層の触媒コート層を有する。好ましい実施形態において、排ガス浄化用触媒は、基材と、該基材上に形成された下層触媒コート層と、該下層触媒コート層上に形成され、パイロクロアCZを含む上層触媒コート層とを有する。
排ガス浄化用触媒が2層の触媒コート層を有する実施形態において、好ましくは、下層触媒コート層は、触媒金属としてパラジウム(Pd)を、担体として、例えば、アルミナ(Al)と、アルミナ(Al)、セリア(CeO)、ジルコニア(ZrO)及びランタナ(La)の複合酸化物との組み合わせを含み、上層触媒コート層は、触媒金属としてロジウム(Rh)を、担体として、例えば、パイロクロアCZと、アルミナ(Al)と、アルミナ(Al)、セリア(CeO)、ジルコニア(ZrO)及びランタナ(La)の複合酸化物との組み合わせを含む。この場合、触媒金属は、アルミナ(Al)、セリア(CeO)、ジルコニア(ZrO)及びランタナ(La)の複合酸化物に担持させることが好ましい。
排ガス浄化用触媒に用いる基材は、特に限定されず、一般的に用いられている多数のセルを有するハニカム形状の材料を使用することができ、その材質としては、コージェライト(2MgO・2Al・5SiO)、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素等の耐熱性を有するセラミックス材料や、ステンレス鋼等の金属箔からなるメタル材料が挙げられる。基材への触媒コート層のコーティングは、公知の手法により、例えば、各材料を蒸留水及びバインダーに懸濁して調製したスラリーを基材に流し込み、ブロアーで不要分を吹き払う等して行うことができる。
本発明の排ガス浄化用触媒は、2つ以上の触媒を含む排ガス浄化用触媒システムに用いることができる。好ましくは、本発明の排ガス浄化用触媒は、内燃機関の直下に取り付けられたスタートアップ触媒(S/C、スタートアップコンバータ等とも称される)と、排ガスの流れ方向に対して前記S/Cよりも後方に設置されたアンダーフロア触媒(UF/C、アンダーフロアコンバータ、床下触媒等とも称される)の2つの触媒を含む排ガス浄化用触媒システムに用いられる。すなわち、本発明の排ガス浄化用触媒は、S/CとUF/Cを含む排ガス浄化用触媒システムのS/C及び/又はUF/Cとして用いることができる。
スタートアップ触媒(S/C)
本発明の排ガス浄化用触媒をS/Cとして用いる場合、S/Cは、好ましくは、少なくとも2層の触媒コート層(すなわち、多層触媒コート)を有し、触媒コート層の少なくとも1層に前記パイロクロアCZを含む。S/Cは、好ましくは、上層及び下層の2層の触媒コート層を有する。S/Cの触媒コート層に用いられる触媒金属としては、排ガス浄化用触媒について前記のものが好ましく、S/Cの触媒コート層の最上層が触媒金属としてRh及びPdを含み、最上層以外の少なくとも1層が触媒金属としてPdを含むことがより好ましい。
パイロクロアCZを多層触媒コートの最上層に含むS/C
一実施形態において、S/Cは、パイロクロアCZを触媒コート層の最上層に含み、好ましい実施態様において、上層及び下層の2層の触媒コート層の上層にパイロクロアCZを含む。この場合、S/Cの最上層以外の触媒コート層はパイロクロアCZを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。この実施形態では、S/Cが、パイロクロアCZを、排ガスと接触しやすい最上層に含むことで、排ガスの細かな雰囲気変動に対して素早くOSCを発現させて、触媒を長時間ストイキに保つことができる。さらに、パイロクロアCZが少量で十分なOSC能を発揮するため、触媒の圧力損失を増加させずに触媒の低体格化が可能になる。
この実施形態において、S/Cは、パイロクロアCZを触媒コート層の最上層に基材容量に対して5〜50g/L含むことが好ましい。S/Cが、パイロクロアCZを触媒コート層の最上層に基材容量に対して5g/L以上含むと、十分なOSC能及び高いNOx浄化能(触媒活性)を有し、また、50g/L以下含むと、高いOSC能と十分なNOx浄化能を有する。
この実施形態のS/Cは、例えば、A/Fをストイキ近傍で制御する内燃機関で、400℃以上の条件下で用いることが好ましい。
好ましい実施形態において、S/Cは、少なくとも2層の触媒コート層を有し、触媒コート層の最上層は、Rh及びPdである触媒金属と、基材容量に対して5〜50g/LのパイロクロアCZと、他の担体材料を含み、最上層以外の少なくとも1層は、Pdである触媒金属と、パイロクロアCZ以外の担体材料を含む。
より好ましい実施形態において、S/Cは、上層及び下層の2層の触媒コート層を有し、触媒コート層の上層は、Rh及びPdである触媒金属と、基材容量に対して5〜50g/LのパイロクロアCZと、他の担体材料を含み、触媒コート層の下層は、Pdである触媒金属と、パイロクロアCZ以外の担体材料を含む。
パイロクロアCZを多層触媒コートの最上層以外の層に含むS/C
別の実施形態において、S/Cは、パイロクロアCZを触媒コート層の最上層以外の少なくとも1層に含み、好ましい実施態様において、パイロクロアCZを上層及び下層の2層の触媒コート層の下層に含む。この場合、S/Cの最上層はパイロクロアCZを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。この実施形態では、S/CがパイロクロアCZを最上層以外の層に含むことで、定常運転時の高いNOx浄化能及びA/F切り替え時の高いNOx浄化能を両立でき、特に、従来のOSC材では効果が得られにくかった低温においてNOx浄化能が高く、この実施形態はモード走行時のNOxエミッションの低減に有用である。
この実施形態において、S/Cは、パイロクロアCZを触媒コート層の最上層以外の少なくとも1層に基材容量に対して5〜30g/L含むことが好ましい。S/Cが、パイロクロアCZを触媒コート層の最上層以外の少なくとも1層に基材容量に対して5〜30g/L含有すると、定常運転時の高いNOx浄化能及びA/F切り替え時の高いNOx浄化能を両立できる。
この実施形態のS/Cは、例えば、A/Fをストイキ近傍で制御する内燃機関で、400℃以上の条件下で用いることが好ましい。
好ましい実施形態において、S/Cは、少なくとも2層の触媒コート層を有し、触媒コート層の最上層は、Rh及びPdである触媒金属と、パイロクロアCZ以外の担体材料を含み、最上層以外の少なくとも1層は、Pdである触媒金属と、基材容量に対して5〜30g/LのパイロクロアCZと、パイロクロアCZ以外の担体材料を含む。
より好ましい実施形態において、S/Cは、上層及び下層の2層の触媒コート層を有し、触媒コート層の上層は、Rh及びPdである触媒金属と、パイロクロアCZ以外の担体材料を含み、触媒コート層の下層は、Pdである触媒金属と、基材容量に対して5〜30g/LのパイロクロアCZと、パイロクロアCZ以外の担体材料を含む。
アンダーフロア触媒(UF/C)
UF/CはS/Cの下流に設けられる。UF/Cには、S/Cでの反応後の排ガスが流入するため、UF/Cは、排ガスの酸素が少ない雰囲気において、S/Cで浄化しきれない排ガス(特に、HC)を浄化する。
本発明の排ガス浄化用触媒をUF/Cとして用いる場合、UF/Cは、少なくとも2層の触媒コート層を有し、好ましくは、パイロクロアCZを触媒コート層の最上層に含む。UF/Cの最上層以外の触媒コート層はパイロクロアCZを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。UF/Cは、好ましくは、上層及び下層の2層の触媒コート層を有し、パイロクロアCZを上層に含む。この実施形態では、UF/CがパイロクロアCZを、排ガスと接触しやすい最上層に含むことで定常運転時のHC浄化能が高くなる。さらに、パイロクロアCZが少量で十分なHC浄化能を示すため、触媒の圧力損失を増加させずに触媒の低体格化が可能になる。UF/Cの触媒コート層に用いられる触媒金属としては、排ガス浄化用触媒について前記のものが好ましく、UF/Cの触媒コート層の最上層が触媒金属としてRhを含み、最上層以外の少なくとも1層が触媒金属としてPdを含むことがより好ましい。
UF/Cは、パイロクロアCZを触媒コート層の最上層に基材容量に対して5〜20g/L含むことが好ましい。UF/Cが、パイロクロアCZを触媒コート層の最上層に基材容量に対して5〜20g/L含むと、定常運転時の高いHC浄化能及び高いNOx浄化能を両立できる。
この実施形態のUF/Cは、例えば、A/Fをストイキ近傍で制御する内燃機関で、350℃以上の条件下で用いることが好ましい。
好ましい実施形態において、UF/Cは、少なくとも2層の触媒コート層を有し、触媒コート層の最上層は、Rhである触媒金属と、基材容量に対して5〜20g/LのパイロクロアCZと、他の担体材料を含み、最上層以外の少なくとも1層は、Pdである触媒金属と、パイロクロアCZ以外の担体材料を含む。
より好ましい実施形態において、UF/Cは、上層及び下層の2層の触媒コート層を有し、触媒コート層の上層は、Rhである触媒金属と、基材容量に対して5〜20g/LのパイロクロアCZと、他の担体材料を含み、触媒コート層の下層は、Pdである触媒金属と、パイロクロアCZ以外の担体材料を含む。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
<セリア−ジルコニア系複合酸化物の調製>
(1)プラセオジム添加パイロクロア型セリア−ジルコニア系複合酸化物(Pr添加パイロクロアCZ)の合成
硝酸セリウム六水和物129.7g、オキシ硝酸ジルコニウム二水和物99.1g、硝酸プラセオジム六水和物5.4g及び18%過酸化水素水36.8gをイオン交換水500ccに溶解させ、25%アンモニア水340gを用いて逆共沈法により水酸化物沈殿を得た。ろ紙で沈殿を分離し、得られた沈殿を乾燥炉にて150℃で7時間乾燥して水分を除去し、電気炉にて500℃で4時間焼成し、粉砕して、セリア−ジルコニア−プラセオジミア複合酸化物を得た。
次に、得られた粉末を、加圧成型機(Wet−CIP)を用いて、2000kgf/cmの圧力を加えて成型してセリア−ジルコニア−プラセオジミア複合酸化物の成型体を得た。
次に、得られた成型体を、活性炭を入れた黒鉛坩堝内で、Ar雰囲気下で、1700℃で5時間還元し、プラセオジム添加パイロクロア型セリア−ジルコニア系複合酸化物(Pr添加パイロクロアCZ)を調製した。得られたPr添加パイロクロアCZは、その後、電気炉にて500℃で5時間焼成した。
(2)プラセオジム添加蛍石型セリア−ジルコニア系複合酸化物(Pr添加蛍石CZ)の合成
硝酸セリウム六水和物129.7g、オキシ硝酸ジルコニウム二水和物99.1g、硝酸プラセオジム六水和物5.4g及び18%過酸化水素水36.8gをイオン交換水500ccに溶解させ、25%アンモニア水340gを用いて逆共沈法により水酸化物沈殿を得た。ろ紙で沈殿を分離し、得られた沈殿を乾燥炉にて150℃で7時間乾燥して水分を除去し、電気炉にて900℃で5時間焼成して、プラセオジム添加蛍石型セリア−ジルコニア系複合酸化物(Pr添加蛍石CZ)を得た。
実施例1
振動ミルを用いて、200g/バッチのPr添加パイロクロアCZを、二次粒子径(D50)が3μmになるように粉砕条件を設定して粉砕して、二次粒子径(D50)が3.3μmである実施例1のPr添加パイロクロアCZを調製した。
実施例2
ストリームミルを用いて、200g/バッチのPr添加パイロクロアCZを、二次粒子径(D50)が5μmになるように粉砕条件を設定して粉砕して、二次粒子径(D50)が4.9μmである実施例2のPr添加パイロクロアCZを調製した。
比較例1
振動ミルを用いて、200g/バッチのPr添加パイロクロアCZを、二次粒子径(D50)が1μmになるように粉砕条件を設定して粉砕して、二次粒子径(D50)が0.5μmである比較例1のPr添加パイロクロアCZを調製した。
比較例2
ストリームミルを用いて、200g/バッチのPr添加パイロクロアCZを、二次粒子径(D50)が11μmになるように粉砕条件を設定して粉砕して、二次粒子径(D50)が11.2μmである比較例2のPr添加パイロクロアCZを調製した。
比較例3
振動ミルを用いて、200g/バッチのPr添加蛍石CZを、二次粒子径(D50)が1μmになるように粉砕条件を設定して粉砕して、二次粒子径(D50)が1.0μmである比較例3のPr添加蛍石CZを調製した。
比較例4
ストリームミルを用いて、200g/バッチのPr添加蛍石CZを、二次粒子径(D50)が5μmになるように粉砕条件を設定して粉砕して、二次粒子径(D50)が5.1μmである比較例4のPr添加蛍石CZを調製した。
比較例5
ストリームミルを用いて、200g/バッチのPr添加蛍石CZを、二次粒子径(D50)が8μmになるように粉砕条件を設定して粉砕して、二次粒子径(D50)が10.9μmである比較例5のPr添加蛍石CZを調製した。
<セリア−ジルコニア系複合酸化物の評価>
<X線回折(XRD)測定>
実施例1−2及び比較例1−5で得られたセリア−ジルコニア系複合酸化物を大気中1100℃で5時間加熱処理し(高温耐久試験)、処理後のセリア−ジルコニア系複合酸化物の結晶相をX線回折法により測定した。X線回折装置としてTTR−III((株)リガク製)を用いてX線回折パターンを測定し、I(14/29)値及びI(28/29)値を求めた。実施例1−2及び比較例1−2のセリア−ジルコニア系複合酸化物について得られた結果を表1に示す。
Figure 2018038999
表1より、実施例1−2及び比較例1−2のセリア−ジルコニア系複合酸化物において、I(14/29)値がほぼ同等であることから、パイロクロアCZの二次粒子径(D50)が耐熱性に与える影響は小さく、実施例1−2のセリア−ジルコニア系複合酸化物は十分な耐熱性を有している。
<酸素吸放出量の測定試験:OSC評価>
実施例1−2及び比較例1−5で得られたセリア−ジルコニア系複合酸化物の酸素吸放出量(OSC)を以下のようにして測定した。
耐久試験は、1050℃で5時間加熱処理し、耐久試験中のガス組成は、8%−CO+10%−HO⇔20%−O+10%−HOを15分毎に交互に切り替えた。
更に耐久試験後の実施例1−2及び比較例1−5のセリア−ジルコニア系複合酸化物と、Pdを担持した(0.25重量%)Pd/Al粉末を重量比1:1で物理混合し、得られた粉末を、加圧成型機(Wet−CIP装置)を用い、1000kgf/cmの圧力を加えて成型し、粉砕及び篩い分けして1mm角のペレットを作製した。
固定床流通装置に3.0gのペレットを配置し、トータル流量15Lの評価用ガスを用いて試験を実施した。1%−O(Nバランス)処理後2%−CO(Nバランス)流通時の初期(0〜13秒)のCO発生量から、CO+1/2 O→COの反応式に基づき、セリア−ジルコニア系複合酸化物から放出されたO量を算出し、初期の酸素吸放出量(OSC)を求めることで、酸素吸放出速度を評価した。なお、セリウムからの酸素の放出は2CeO→Ce+1/2 Oの反応式で表される。
結果を図1に示す。図1は、実施例1−2及び比較例1−5のセリア−ジルコニア系複合酸化物の初期の酸素吸放出量(OSC)(棒グラフ)と、これらの複合酸化物を用いた排ガス浄化用触媒の最大酸素吸蔵量(Cmax)(折れ線グラフ)を示す。図1(棒グラフ)より、蛍石構造を有するセリア−ジルコニア系複合酸化物(比較例3〜5)では、二次粒子径を制御しても初期の酸素吸放出量(OSC)は増加せず、ほぼ一定であるのに対し、パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア系複合酸化物(実施例1、2及び比較例1、2)では、二次粒子径(D50)の範囲を特定の範囲とすることで初期の酸素吸放出量(OSC)が有意に増加し、酸素吸放出速度が有意に向上することが示された。
<エンジンベンチ評価>
実施例1−2及び比較例1−5のセリア−ジルコニア系複合酸化物を用いて排ガス浄化用触媒を調製し、評価した。
(1)触媒の調製
触媒の材料として以下の材料を用いた:
実施例1−2及び比較例1−5のセリア−ジルコニア系複合酸化物
Al:La(1重量%)複合化Al
ACZL:Al(30重量%)、CeO(20重量%)、ZrO(45重量%)及びLa(5重量%)の複合酸化物
Rh:貴金属含有量2.75重量%の硝酸ロジウム(Rh)水溶液((株)キャタラー製)
Pd:貴金属含有量8.8重量%の硝酸パラジウム(Pd)水溶液((株)キャタラー製)
ハニカム基材:875cc(600H/3−9R−08)のコージェライトハニカム基材((株)デンソー製)。
触媒は以下のようにして調製した:
(a)下層:Pd(0.69)/ACZL(45)+Al(40)(括弧内の数値は、基材容量に対するコート量(g/L)を示す)
ACZLと硝酸パラジウムとを用い、含浸法により、PdがACZLに担持されたPd/ACZLを調製し、これを蒸留水に懸濁させ、Al及びAl系バインダーを添加してスラリーを調製した。調製したスラリーを基材へ流し込み、ブロアーで不要分を吹き払い、基材壁面をコーティングした。コーティングには、基材容量に対して、Pdが0.69g/L、Alが40g/L、ACZLが45g/L含まれるようにした。コーティング後、120℃に保持した乾燥機で2時間乾燥した後、500℃の電気炉で2時間焼成して、下層コートを作製した。
(b)上層:Rh(0.10)/ACZL(110)+Al(28)+実施例1−2及び比較例1−5のセリア−ジルコニア系複合酸化物(20)
ACZLと硝酸ロジウムとを用い、含浸法により、RhがACZLに担時されたRh/ACZLを調製し、これを蒸留水に懸濁させ、Al及びAl系バインダーを撹拌しながら添加し、最後に、実施例1−2及び比較例1−5の各セリア−ジルコニア系複合酸化物を添加して、対応する各スラリーを調製した。得られた各スラリーを、前記(a)によりコーティングを施した基材へ流し込み、ブロアーで不要分を吹き払い、基材壁面の下層コートをコーティングした。コーティングには、基材容量に対して、Rhが0.10g/L、Alが28g/L、ACZLが110g/L、実施例1−2及び比較例1−5の各セリア−ジルコニア系複合酸化物が20g/L含まれるようにした。コーティング後、120℃に保持した乾燥機で2時間乾燥した後、500℃の電気炉で2時間焼成して、実施例1−2及び比較例1−5の各セリア−ジルコニア系複合酸化物を用いた、対応する実施例1−2及び比較例1−5の各触媒を得た。
(2)耐久試験
1UR−FEエンジン(トヨタ自動車(株)製)を用いて、触媒床温1000℃で25時間の劣化促進試験を実施した。排ガス組成は、スロットル開度とエンジン負荷を調整し、リッチ〜ストイキ〜リーンを一定サイクルで繰り返して劣化を促進させた。
(3)OSC試験
前記(2)の耐久試験後の触媒を2AZ−FEエンジン(トヨタ自動車(株)製)に装着し、入りガス温度を600℃に設定し、入りガス雰囲気のA/Fを14.1と15.1を目標にフィードバック制御して周期的に振幅させ、ストイキ点とA/Fセンサー出力の差分より、酸素の過不足を式:OSC(g)=0.23×ΔA/F×噴射燃料量により算出し、最大酸素吸蔵量(Cmax)を求めた。ここで、触媒の初期(0〜13秒)の酸素吸放出量(OSC)と、最大酸素吸蔵量(Cmax)との間には相関関係があり、初期(0〜13秒)の酸素吸放出量(OSC)が大きい場合、最大酸素吸蔵量(Cmax)は大きくなることがわかっている(図2参照)。よって、触媒の最大酸素吸蔵量(Cmax)を求めることで、酸素吸放出速度を評価することができる。結果を図1に示す。図1は、実施例1−2及び比較例1−5のセリア−ジルコニア系複合酸化物の初期の酸素吸放出量(OSC)(棒グラフ)と、これらの複合酸化物を用いた排ガス浄化用触媒の最大酸素吸蔵量(Cmax)(折れ線グラフ)を示す。
図1より、実施例1−2及び比較例1、2、4のセリア−ジルコニア系複合酸化物を用いた触媒のエンジンベンチ評価においても、実施例1−2及び比較例1−5のセリア−ジルコニア系複合酸化物と同様の結果が確認された。具体的には、図1(折れ線グラフ)より、本発明では、パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア系複合酸化物の二次粒子径(D50)を特定の範囲(3〜7μm)とすることで、二次粒子径がこの範囲にないパイロクロアCZ及び蛍石構造を有するセリア−ジルコニア系複合酸化物に対して最大酸素吸蔵量(Cmax)が有意に増加し、よって、酸素吸放出速度が有意に向上したことが示された。パイロクロアCZでは、パイロクロア構造特有の酸素内部拡散が速い特性により二次粒子径の影響が非常に大きく、一方、トレードオフの関係にある耐熱性は、二次粒子径に対して酸素吸放出速度とは異なる感度を示し、十分に高い耐熱性が維持されるため、結果として、パイロクロアCZにおいて二次粒子径(D50)を特定の範囲とすることで、高い耐熱性を有しつつ、高い酸素貯蔵容量を維持したまま、酸素吸放出速度を有意に向上させることができたと推測される。
パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア系複合酸化物において、二次粒子径(D50)を3〜7μmとすることで、十分な耐熱性を有しつつ、酸素貯蔵容量及び酸素吸放出速度を両立することができ、かかるセリア−ジルコニア系複合酸化物を用いた排ガス浄化用触媒もこのような効果を有する。
<スタートアップ触媒(S/C)>
触媒の材料として以下の材料を用いた:
Al:La(4重量%)複合化Al(Sasol社製)
ACZ−1:Al(30重量%)、CeO(27重量%)、ZrO(35重量%)、La(4重量%)及びY(4重量%)の複合酸化物(Solvay社製)
ACZ−2:Al(30重量%)、CeO(20重量%)、ZrO(44重量%)、Nd(2重量%)、La(2重量%)及びY(2重量%)の複合酸化物(第一稀元素化学工業社製)
OSC材:
・実施例2及び比較例1−2のセリア−ジルコニア系複合酸化物(Pr添加パイロクロアCZ)
・前記ACZ−2
・CZ:CeO(30重量%)、ZrO(60重量%)、La(5重量%)及びY(5重量%)の複合酸化物(Solvay社製)
・蛍石型CZ:比較例4と同様にして調製した二次粒子径(D50)6.1μmのPr添加蛍石CZ
ハニカム基材:875cc(600セル六角 壁厚2mil)のコージェライトハニカム基材
本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物をOSC材として最上層に添加したS/Cの性能評価をするため、実施例3−7及び比較例6−11のS/Cを以下のようにして調製した。
比較例6
(a)下層コートの調製
ACZ−1と硝酸パラジウムとを用い、含浸法により、PdがACZ−1に担持されたPd/ACZ−1を調製し、所定量のPd/ACZ−1、Al、硫酸バリウム及びAl系バインダーを撹拌しながら蒸留水に添加し、懸濁させてスラリー1を調製した。調製したスラリー1を基材へ流し込み、ブロアーで不要分を吹き払い、基材壁面をコーティングした。コーティングには、基材容量に対して、Pdが0.38g/L、Alが40g/L、ACZ−1が45g/L、硫酸バリウムが5g/L含まれるようにした。コーティング後、120℃に保持した乾燥機で2時間乾燥した後、500℃の電気炉で2時間焼成して、下層コートを作製した。
(b)上層コートの調製
ACZ−2と硝酸ロジウムとを用い、含浸法により、RhがACZ−2に担持されたRh/ACZ−2を調製し、所定量の硝酸パラジウム、Rh/ACZ−2、Al及びAl系バインダーを蒸留水に撹拌しながら添加し、懸濁させてスラリー2を調製した。得られたスラリー2を、前記(a)によりコーティングを施した基材へ流し込み、ブロアーで不要分を吹き払い、基材壁面の下層コートをコーティングした。コーティングには、基材容量に対して、Rhが0.3g/L、Pdが0.2g/L、ACZ−2が72g/L、Alが63g/L含まれるようにした。コーティング後、120℃に保持した乾燥機で2時間乾燥した後、500℃の電気炉で2時間焼成して、上層コートが下層コート上に形成したS/Cを得た。
実施例3−6
実施例3、4、5及び6は、上層コートを形成するためのスラリー2に、OSC材として実施例2のセリア−ジルコニア系複合酸化物(Pr添加パイロクロアCZ)を基材容量に対して、それぞれ16g/L、24g/L、48g/L及び55g/Lのコート量となるように添加した以外は比較例6と同様にして各S/Cを得た。
実施例7
下層コートを形成するためのスラリー1に、OSC材として実施例2のセリア−ジルコニア系複合酸化物を基材容量に対して24g/Lのコート量となるように添加した以外は比較例6と同様にしてS/Cを得た。
比較例7
上層コートを形成するためのスラリー2に、OSC材として比較例2のセリア−ジルコニア系複合酸化物(Pr添加パイロクロアCZ)を基材容量に対して24g/Lのコート量となるように添加した以外は比較例6と同様にしてS/Cを得た。
比較例8
上層コートを形成するためのスラリー2に、OSC材として比較例1のセリア−ジルコニア系複合酸化物(Pr添加パイロクロアCZ)を基材容量に対して24g/Lのコート量となるように添加した以外は比較例6と同様にしてS/Cを得た。
比較例9
上層コートを形成するためのスラリー2に、OSC材としてCZを基材容量に対して25g/Lのコート量となるように添加した以外は比較例6と同様にしてS/Cを得た。
比較例10
上層コートを形成するためのスラリー2に、OSC材としてACZ−2を基材容量に対して24g/Lのコート量となるように添加した以外は比較例6と同様にしてS/Cを得た。
比較例11
上層を形成するためのスラリー2に、OSC材として蛍石型CZを基材容量に対して24g/Lのコート量となるように添加した以外は比較例6と同様にしてS/Cを得た。
実施例3−7及び比較例6−11のS/Cについて、OSC材の添加位置及び添加量(コート量)、並びにOSC材の特性を表2に示す。
Figure 2018038999
実施例3−7及び比較例6−11のS/Cについて耐久試験を実施し、性能評価を行った。
<耐久試験>
実施例3−7及び比較例6−11の各S/CをV型8気筒エンジンの排気系に装着し、触媒床温950℃で50時間にわたり、ストイキ及びリーンの各雰囲気の排ガスを一定時間(3:1の比率)ずつ繰り返して流すことにより耐久試験を実施した。
<性能評価>
耐久試験後の各S/CをL4エンジンに装着して以下の性能を評価した。
OSC:
耐久試験後の各S/CをL4エンジンに装着し、入りガス温度を500℃に設定し、空燃比(A/F)を14.4と15.1を目標にフィードバック制御し、前記排ガス浄化用触媒のOSC試験と同様にして最大酸素吸蔵量(Cmax)を求め、これをOSCとして評価した。
T50−NOx:
耐久試験後の各S/Cに、A/F=14.4の排ガスを供給し、高Ga条件(Ga=35g/s)において500℃まで昇温させた際に、NOx浄化率が50%となる温度(T50−NOx)を計測し、触媒活性を評価した。
結果を図3〜図5に示す。図3は、実施例4及び7、並びに比較例6−10のS/Cの最大酸素吸蔵量(Cmax)を示す。図4は、上層コート中のOSC材(実施例2のセリア−ジルコニア系複合酸化物)の添加量と、最大酸素吸蔵量(Cmax)との関係を示す。図5は、上層コート中のOSC材(実施例2のセリア−ジルコニア系複合酸化物)の添加量と、T50−NOxとの関係を示す。
図3より、本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物を用いたS/Cは、他のOSC材を用いたものに対してOSCが有意に増加したことが示された(実施例4及び比較例7−10)。本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物は高いOSC能を有するため、圧力損失を増加させることなく触媒の低体格化が可能であることが示唆される。また、S/CのOSC能については、本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物を、排ガスと接触しやすい触媒コート層の最上層に含むと、下層に含む場合よりも高くなることが示されている(実施例4及び7)。
また、図4より、S/CのOSC能は、上層コート中の本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物の添加量に応じて増加するが、一方で、図5より、低温におけるNOx浄化能は、上層コート中の本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物の添加量が増加すると低下する。図4及び図5より、本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物を触媒コート層の最上層に含むS/Cにおいて、その添加量は、良好なOSC能及びNOx浄化能を両立できるという点で5〜50g/Lの範囲が好ましい。
次に、本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物をOSC材として最上層以外の層に添加したS/Cの性能評価をするため、実施例8−12及び比較例12−15のS/Cを以下のようにして調製した。
実施例8−11
実施例8、9、10及び11は、下層コートを形成するためのスラリー1に、実施例2のセリア−ジルコニア系複合酸化物(Pr添加パイロクロアCZ)を基材容量に対して、それぞれ6g/L、12g/L、24g/L及び35g/Lのコート量となるように添加した以外は比較例6と同様にして各S/Cを得た。
実施例12
実施例12は、実施例3と同様にして調製した。
比較例12
比較例12は、比較例6と同様にして調製した。
比較例13及び14
比較例13及び14は、下層コートを形成するためのスラリー1に、比較例2のセリア−ジルコニア系複合酸化物(Pr添加パイロクロアCZ)を基材容量に対して、それぞれ9g/L及び20g/Lのコート量となるように添加した以外は比較例6と同様にして各S/Cを得た。
比較例15
下層コートを形成するためのスラリー1に、蛍石型CZを基材容量に対して6g/Lのコート量となるように添加した以外は比較例6と同様にしてS/Cを得た。
実施例8−12及び比較例12−15のS/Cについて、OSC材の添加位置及び添加量(コート量)、並びにOSC材の特性を表3に示す。
Figure 2018038999
実施例8−12及び比較例12−15のS/Cについて耐久試験を実施し、性能評価を行った。
<耐久試験>
実施例8−12及び比較例12−15の各S/CをV型8気筒エンジンの排気系に装着し、触媒床温950℃で50時間にわたり、ストイキ及びリーンの各雰囲気の排ガスを一定時間(3:1の比率)ずつ繰り返して流すことにより耐久試験を実施した。
<性能評価>
耐久試験後の各S/CをL4エンジンに装着して以下の性能を評価した。
定常NOx浄化率:A/F=14.1及び500℃における定常運転時のNOx浄化率を算出した。
A/F切り替え時のNOx浄化能:A/Fを14.1と15.1を目標にフィードバック制御した際に排出されるNOx量を測定した。入りガス温度は500℃に設定した。
結果を表3、図6及び図7に示す。図6は、下層コート中のOSC材(実施例2のセリア−ジルコニア系複合酸化物)の添加量と、A/F切り替え時のNOx排出量との関係を示す。図7は、下層コート中のOSC材(実施例2のセリア−ジルコニア系複合酸化物)の添加量と、定常NOx浄化率との関係を示す。
表3及び図6より、本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物を用いたS/Cは、他のOSC材を用いたものに対してA/F切り替え時のNOx排出量が有意に少なくなることが示された。また、定常NOx浄化能及びA/F切り替え時のNOx浄化能について、本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物を下層コートに含むと、上層コートに含む場合よりもこれらの性能が優れ、モード走行時のNOxエミッションの低減に有利であることが示されている。また、表3、図6及び図7より、本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物の下層コートへの添加量が5〜30g/Lであると、A/F切り替え時の低いNOx排出量及び高い定常NOx浄化能を両立できることが示された。
<アンダーフロア触媒(UF/C)>
触媒の材料として以下の材料を用いた:
Al:La(4重量%)複合化Al(Sasol社製)
ACZ−2:Al(30重量%)、CeO(20重量%)、ZrO(44重量%)、Nd(2重量%)、La(2重量%)及びY(2重量%)の複合酸化物(第一稀元素化学工業社製)
AZ:Al(30重量%)、ZrO(60重量%)、Nd(2重量%)、La(4重量%)及びY(4重量%)の複合酸化物(第一稀元素化学工業社製)
OSC材:
・実施例2のセリア−ジルコニア系複合酸化物(Pr添加パイロクロアCZ)
・前記ACZ−2
・蛍石型ZC:CeO(21重量%)、ZrO(72重量%)、Nd(5.3重量%)及びLa(1.7重量%)の蛍石型ZC複合酸化物(第一稀元素化学工業社製)
ハニカム基材:875cc(400セル四角 壁厚4mil)のコージェライトハニカム基材
UF/Cは以下のようにして調製した。
比較例16
(a)下層コートの調製
ACZ−2と硝酸パラジウムとを用い、含浸法により、PdがACZ−2に担持されたPd/ACZ−2を調製し、所定量のPd/ACZ−2、Al及びAl系バインダーを撹拌しながら蒸留水に添加し、懸濁させてスラリー1を調製した。調製したスラリー1を基材へ流し込み、ブロアーで不要分を吹き払い、基材壁面をコーティングした。コーティングには、基材容量に対して、Pdが0.53g/L、Alが40g/L、ACZ−2が93g/L含まれるようにした。コーティング後、120℃に保持した乾燥機で2時間乾燥した後、500℃の電気炉で2時間焼成して、下層コートを作製した。
(b)上層コートの調製
AZと硝酸ロジウムとを用い、含浸法により、RhがAZに担持されたRh/AZを調製し、所定量のRh/AZ、Al及びAl系バインダーを蒸留水に撹拌しながら添加し、懸濁させてスラリー2を調製した。得られたスラリー2を、前記(a)によりコーティングを施した基材へ流し込み、ブロアーで不要分を吹き払い、基材壁面の下層コートをコーティングした。コーティングには、基材容量に対して、Rhが0.4g/L、Alが35g/L、AZが33g/L含まれるようにした。コーティング後、120℃に保持した乾燥機で2時間乾燥した後、500℃の電気炉で2時間焼成して、上層コートが下層コート上に形成したUF/Cを得た。
実施例13−16
実施例13、14、15及び16は、上層コートを形成するためのスラリー2に、実施例2のセリア−ジルコニア系複合酸化物(Pr添加パイロクロアCZ)を基材容量に対してそれぞれ11g/L、20g/L、31g/L及び40g/Lのコート量となるように添加した以外は比較例16と同様にして各UF/Cを得た。
実施例17
下層コートを形成するためのスラリー1に、実施例2のセリア−ジルコニア系複合酸化物を基材容量に対して11g/Lのコート量となるように添加した以外は比較例16と同様にしてUF/Cを得た。
比較例17
上層コートを形成するためのスラリー2に、ACZ−2を基材容量に対して11g/Lのコート量となるように添加した以外は比較例16と同様にしてUF/Cを得た。
比較例18
上層コートを形成するためのスラリー2に、蛍石型ZCを基材容量に対して11g/Lのコート量となるように添加した以外は比較例16と同様にしてUF/Cを得た。
実施例13−17及び比較例16−18のUF/Cについて、OSC材の添加位置及び添加量(コート量)、並びにOSC材の特性を表4に示す。
Figure 2018038999
実施例13−17及び比較例16−18のUF/Cについて耐久試験を実施し、性能評価を行った。
<耐久試験>
実施例13−17及び比較例16−18の各UF/CをV型8気筒エンジンの排気系に装着し、触媒床温950℃で50時間にわたり、ストイキ及びリーンの各雰囲気の排ガスを一定時間(3:1の比率)ずつ繰り返して流すことにより耐久試験を実施した。
<性能評価>
耐久試験後の各UF/CをL4エンジンに装着して以下の性能を評価した。
定常HC浄化率:
A/F=14.4及び550℃における定常運転時のHC浄化率を算出した。
T50−NOx:
耐久試験後の各UF/Cに、A/F=14.4の排ガスを供給し、高Ga条件(Ga=35g/s)において、250℃まで降温させた際に、NOx浄化率が50%となる温度(T50−NOx)を計測し、触媒活性を評価した。
結果を図8〜10に示す。図8は、実施例13及び17、並びに比較例16−18のUF/Cの定常HC浄化率を示す。図9は、上層コート中のOSC材(実施例2のセリア−ジルコニア系複合酸化物)の添加量と、定常HC浄化率との関係を示す。図10は、上層コート中のOSC材(実施例2のセリア−ジルコニア系複合酸化物)の添加量と、T50−NOxとの関係を示す。
図8より、本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物を用いたUF/Cは、他のOSC材を用いたものに対して有意に高い定常HC浄化率を有することが示された(実施例13、17及び比較例17−18)。本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物は高い定常HC浄化能を有するため、圧力損失を増加させることなく触媒の低体格化が可能となることが示唆される。また、UF/Cにおいて、本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物を、排ガスと接触しやすい触媒コート層の最上層に含むと、下層に含む場合よりも定常HC浄化率が高くなることが示された(実施例13及び17)。
また、図9より、定常HC浄化率は、上層コート中の本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物の添加量に応じて高くなるが、一方で、図10より、低温におけるNOx浄化能は、添加量20g/Lから30g/Lの間で低下する。よって、本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物を触媒コート層の最上層に含むUF/Cにおいて、その添加量は、良好な定常HC浄化能及びNOx浄化能を両立できるという点で5〜20g/Lの範囲が好ましい。

Claims (5)

  1. 基材と、該基材上に形成された触媒コート層を有する排ガス浄化用触媒であって、
    パイロクロア構造を有するセリア−ジルコニア系複合酸化物を基材容量に対して5〜100g/Lの量で触媒コート層中に含み、
    セリア−ジルコニア系複合酸化物の二次粒子径(D50)が3〜7μmであり、
    セリア−ジルコニア系複合酸化物がプラセオジムを含んでいてもよい、
    前記排ガス浄化用触媒。
  2. 排ガス浄化用触媒が、スタートアップ触媒(S/C)と、排ガスの流れ方向に対して前記S/Cよりも後方に設置されたアンダーフロア触媒(UF/C)を含む排ガス浄化用触媒システムのS/C又はUF/Cである、請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  3. 排ガス浄化用触媒がS/Cであり、該S/Cが、少なくとも2層の触媒コート層を有し、前記セリア−ジルコニア系複合酸化物を基材容量に対して5〜50g/Lの量で触媒コート層の最上層に含む、請求項2に記載の排ガス浄化用触媒。
  4. 排ガス浄化用触媒がS/Cであり、該S/Cが、少なくとも2層の触媒コート層を有し、前記セリア−ジルコニア系複合酸化物を基材容量に対して5〜30g/Lの量で触媒コート層の最上層以外の少なくとも1層に含む、請求項2に記載の排ガス浄化用触媒。
  5. 排ガス浄化用触媒がUF/Cであり、該UF/Cが、少なくとも2層の触媒コート層を有し、前記セリア−ジルコニア系複合酸化物を基材容量に対して5〜20g/Lの量で触媒コート層の最上層に含む、請求項2に記載の排ガス浄化用触媒。
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