当技術分野で既知であるように、内燃エンジン内でのバルブの作動がポジティブ・パワーの発生量を制御する。ポジティブ・パワー中では、吸入バルブが、燃焼のために燃料及び空気をシリンダの中に入れるように開けられ得る。1つ又は複数の排出バルブが、シリンダから燃焼ガスが逃げるのを可能にするように開けられ得る。また、吸入バルブ、排出バルブ及び/又は補助バルブが、圧縮解放(CR:compression−release)エンジン制動、ブリーダによるエンジン制動(bleeder engine braking)、排気ガス再循環(EGR:exhaust gas recirculation)、内部排気ガス再循環(IEGR:internal exhaust gas recirculation)、ブレーキ・ガス再循環(BGR:brake gas recirculation)、さらには、早期排出バルブ開口(EEVO:early exhaust valve opening)や遅延吸入バルブ開口(LIVO:late intake valve opening)などのいわゆる可変バルブ・タイミング(VVT:variable valve timing)事象、などの(しかし、これらのみに限定されない)、補助バルブの事象を引き起こすように制御され得る。
述べたように、エンジン・バルブの作動は、エンジンがポジティブ・パワーを発生させるのに使用されていないときに、エンジン制動及び排気ガス再循環を引き起こすのにも使用され得る。エンジン制動の間では、1つ又は複数の排出バルブが、少なくとも一時的にエンジンを空気圧縮機へと変換するように、選択的に開けられ得る。これを行う間、エンジンが、車両を減速させるのを補助するために馬力の低減を大きくしていく。これにより操作者の車両に対する制御を向上させることができ、また、車両の常用ブレーキの摩耗を大幅に低減することができる。
特にはエンジン制動との関連で、バルブ・タイミング及びバルブ・リフトを調製する1つの方法では、バルブとバルブ作動モーション源(valve actuation motion source)との間のバルブ・トレイン・リンケージ内にロスト・モーション構成要素が組み込まれる。内燃エンジンの文脈では、ロスト・モーションとは、可変長の機械的連結組立体、油圧式連結組立体又は他の連結組立体を備えるバルブ作動モーション源に従うバルブ・モーションを修正するための技術的解決策の1つの種類に対して適用される用語である。ロスト・モーション・システムでは、バルブ作動モーション源が、エンジン運転条件の全範囲にわたって必要となる、最長のドエル(時間)及び最大のリフト・モーションを提供することができる。ここでは、バルブ作動モーション源からバルブへと加えられるモーションの一部又はすべてを減ずるすなわち「損失」させることを目的として、可変長システムが、開けられることになるバルブとバルブ作動モーション源との間のバルブ・トレイン・リンケージに含まれ得る。この可変長システム又はロスト・モーション・システムは、完全に膨張するときに、利用可能なモーションのすべてをバルブに伝達し、完全に収縮するときに、バルブに対して、利用可能なモーションを伝達しないか又は最小量の利用可能なモーションを伝達する。
ロスト・モーション構成要素を備えるこのようなバルブ作動システム100の実例が図1に概略的に示される。バルブ作動システム100が、ロッカ・アーム120に動作可能に接続されるバルブ作動モーション源110を有する。ロッカ・アーム200がロスト・モーション構成要素130に動作可能に接続され、ロスト・モーション構成要素130がさらに1つ又は複数のエンジン・バルブ140に動作可能に接続され、1つ又は複数のエンジン・バルブ140が、1つ又は複数の、排出バルブ、吸入バルブ又は補助バルブを備えることができる。バルブ作動モーション源110が、ロッカ・アーム120に対して適用される開閉モーションを提供するように構成される。ロスト・モーション構成要素130が、バルブ作動モーション源110からのモーションのすべて又は一部をロッカ・アーム120を通してエンジン・バルブ140に伝えるように又は伝えないように、選択的に制御され得る。ロスト・モーション構成130はさらに、制御装置150の動作に従い、エンジン・バルブ140に伝えられるモーションの大きさ及びタイミングを修正するように適合され得る。当技術分野で既知であるように、バルブ作動モーション源110はバルブ・トレイン要素の任意の組み合わせを備えることができ、これには、限定しないが、カム、プッシュ・チューブ又はプッシュロッド、タペット、又は、それらの均等物、のうちの1つ又は複数が含まれる。当技術分野で既知であるように、バルブ作動モーション源110が、排出モーション、吸入モーション、補助モーション、或は、排出モーション又は吸入モーションと補助モーションとの組み合わせを提供することの専用であってよい。
制御装置150が、任意の電子機器(例えば、記憶される命令又はプログラム可能論理アレイなどを実行することができる、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号処理装置、又は、コプロセッサ、或は、それらの組み合わせ、などであり、これらは、例えばエンジン制御ユニット(ECU:engine control unit)内で具体化される)、或は、バルブ作動モーション源110からのモーションのすべて又は一部をロッカ・アーム120を通してエンジン・バルブ140に伝えるか又は伝えないための機械的デバイスを備えることができる。例えば、制御装置150が、ロッカ・アーム120に対して油圧油を選択的に供給するために、切替式デバイス(switched device)(例えば、ソレノイド供給バルブ)を制御することができる。別法として又は加えて、制御装置150が、切替式デバイスをどのように制御するかを決定するために、制御装置150によって使用されるデータを提供する1つ又は複数のセンサ(図示せず)に結合され得る。エンジン・バルブの事象が、これらのセンサを介して制御装置150によって制御される情報に基づいて、複数のエンジン運転条件(例えば、速度、負荷、温度、圧力、位置情報、など)において最適化され得る。
ロスト・モーション構成要素130が油圧的に作動される場合、バルブ作動システム100を成功裏に動作させるためには、必要な油圧油を供給することが非常に重要である。バルブ・トレイン内の構成要素の間にラッシュ・スペース(すなわち、隙間)が存在すると、このような油圧油の供給が複雑となり、それにより、隣接し合うバルブ・トレイン構成要素が分離して衝突するようになる可能性があり、それにより騒音が生じたり又は衝撃損傷が発生したりするか、或は、このような隣接し合う構成要素の間で油圧油の供給が損失したりする。これはいわゆるブリッジ・ブレーキ・システムに特に当てはまり、ここでは、ロスト・モーション構成要素130がバルブ・ブリッジ(図示せず)によって支持されるか又はバルブ・ブリッジ(図示せず)内に配備され、ロスト・モーション構成要素130を作動させるための油圧油がロッカ・アーム120を介して供給される。
次に、図2を参照すると、本開示によるバルブ作動システム200が示されている。示されるように、システム200が、上述したようにロッカ・アーム210のモーション受け端部212に動作可能に接続されるバルブ作動モーション源110を備える。ロッカ・アーム210が、後でさらに説明されるように付勢機構250を支持するように構成され得るモーション伝達端部214をさらに備える。システム200が、2つ以上のエンジン・バルブ140に動作可能に接続されるバルブ・ブリッジ220をさらに備える。ブリッジ・ブレーキ・システムの技術分野で既知であるように、バルブ・ブリッジ220がロスト・モーション構成要素230を備えることができる。バルブ・ブリッジ240はまた、後でさらに説明するように付勢機構240を支持するように構成される。
図2には示されないが、ロッカ・アーム210は通常はロッカ・アーム・シャフトによって支持され、ロッカ・アーム210がロッカ・アーム・シャフトの周りを往復運動する。やはり、当技術分野で既知であるように、ロッカ・アーム・シャフトが、ロッカ・アーム・シャフトの長さ方向に沿うように形成される油圧油通路の形態の油圧油供給源260の要素を組み込むことができる。さらに当技術分野で既知であるように、モーション受け端部212が、バルブ作動モーション源110の性質に応じて、複数の適切な構成のうちの任意の構成を備えることができる。例えば、バルブ作動モーション源110がカムを備える場合、モーション受け端部212がカム・ローラを備えることができる。別法として、バルブ作動モーション源110がプッシュ・チューブを備える場合、モーション受け端部212が、プッシュ・チューブの端部を受けるように構成される適切な受け表面を備えることができる。この点に関して、本開示は限定されない。
示されるように、ロッカ・アーム210のモーション伝達端部214が、バルブ作動モーション源110によって提供されるバルブ作動モーション(実線の矢印)をバルブ・ブリッジ220のロスト・モーション構成要素230に送る。図2には示されないが、1つ又は複数の油圧通路がロッカ・アーム210のモーション伝達端部214内に設けられ、その結果、油圧油供給源260から受けられる油圧油(点線の矢印)が、さらに、モーション伝達端部214を介してロスト・モーション構成要素230まで送られ得るようになる。後でさらに示されるように、モーション伝達端部214が、ロッカ・アーム210のボディ自体に加えて、1つ又は複数の構成要素を備えることができ、これらが、ロスト・モーション構成要素230までバルブ作動モーション及び油圧油を送るのを促進する。
本明細書で説明されるすべての実施例で、ロッカ付勢力(rocker bias force)126によって概略的に示されるように、ロッカ・アームのモーション受け端部212がバルブ作動モーション源110の方に付勢される。図2ではモーション受け端部212の上側部分に加えられるように示されるが、付勢力126を確立する手法はデザインの選択の問題として多様であってよい。したがって、例えば、付勢力126がモーション伝達端部214の下側部分に加えられ得、それにより、モーション受け端部212がバルブ作動モーション源110の方向に付勢される。
バルブ・ブリッジ220が2つ以上のエンジン・バルブ140に動作可能に接続され、これらの2つ以上のエンジン・バルブ140が、上で述べたように、当技術分野で既知であるように、吸入バルブ、排出バルブ、及び/又は、補助バルブを備えることができる。ロスト・モーション構成要素230がバルブ・ブリッジ220によって支持され、ロッカ・アーム210のモーション伝達端部214からバルブ作動モーション及び油圧油を受けるように構成される。ロスト・モーション構成要素230が油圧的に作動され、ここでは、油圧油を供給することにより、ロスト・モーション構成要素230により、受けられたバルブ作動モーションがバルブ・ブリッジ220及びひいてはバルブ140にまで送られるような状態、又は、受けられたバルブ作動モーションがバルブ・ブリッジ220にまで送られずしたがって「損失」する状態、のいずれかの状態にすることができる。バルブ・ブリッジのロスト・モーション構成要素の実例が米国特許第7,905,208号明細書に教示されており、その教示がこの参照により本明細書に組み込まれ、ここでは、油圧油がロスト・モーション構成要素に提供されないときには、ロッカ・アームからのバルブ作動モーションが損失するが、油圧油がロスト・モーション構成要素に提供されるときには、ロッカ・アームからのバルブ作動モーションがバルブ・ブリッジ及びバルブに送られる。このタイプのロスト・モーション構成要素230では、ロスト・モーション構成要素230の中へ油圧油が一方向の流れるのを可能にするために、チェック・バルブ(図示せず)が設けられる。チェック・バルブは、ロスト・モーション構成要素230により油圧油の量を固定することを確立するのを可能にし、これにより、油圧油が実質的に非圧縮性の性質を有することを理由として、ロスト・モーション構成要素230を実質的に剛体的に動作させることが可能となり、それにより、受けられたバルブ作動モーションを送ることが可能となる。
上で言及した両方のタイプのロスト・モーション構成要素230の態様は、ロスト・モーション構成要素をモーション伝達状態又はモーション損失状態へと切り替えるのに、ロスト・モーション構成要素に油圧油を適用することが必要となるような態様である。しかし、上で述べたように、ロッカ・アーム210のモーション受け端部212がバルブ作動モーション源110の方に付勢され、さらにその結果、ロッカ・アームのモーション伝達端部214がロスト・モーション構成要素230から離れるように付勢される。このようにロッカ・アーム210を付勢することにより、ロッカ・アームのモーション伝達端部214とロスト・モーション構成要素230との間にラッシュ・スペースが生じる。しかし、このようなラッシュ・スペースが存在することで、ロッカ・アーム210のモーション伝達端部214とロスト・モーション構成要素230との間での油圧油を提供が中断される可能性があり、これにより同様にロスト・モーション構成要素230を適切に動作させることも中断される可能性がある。
このようなラッシュ・スペースの影響を克服するために、1つ又は複数の付勢機構240、250がバルブ・ブリッジ220及び/又はロッカ・アーム210によって支持され得る。付勢機構240、250がロッカ・アーム210のモーション伝達端部214とロスト・モーション構成要素230を互いに接触させるように付勢するように構成され、そうすることで、モーション伝達端部214とロスト・モーション構成要素230との間の流体連通を維持する。したがって、一実施例では、バルブ・ブリッジ220によって支持される付勢機構240が、ロッカ・アーム210のモーション伝達端部214に接触させるようにロスト・モーション構成要素230(又は、その一部分)を付勢する。別法として、別の実施例では、ロッカ・アーム210によって支持される付勢機構250が、ロスト・モーション構成要素230に接触させるようにモーション伝達端部214(又は、その一部分)を付勢する。さらに、いくつかの状況では、バルブ・ブリッジ220及びロッカ・アーム210の両方に付勢機構240、250を設けることが所望される場合がある。
いずれの場合も、本明細書で教示される付勢機構240、250は、好適には、モーション伝達端部214とロスト・モーション構成要素230との間の流体連通を維持するように構成され、つまり、これらは、ロッカ・アーム210及びバルブ・ブリッジ220が移動する場合でも、流体連通を維持するのに十分な付勢力を提供する。これらの好適な実施例では、付勢機構240、250が、ばね又はその均等物などの弾性要素の形態をとることができる。図3〜5に関連させて、本開示によるバルブ・ブリッジ及びロッカ・アームの種々の実施例をさらに説明する。
ここで図3を参照すると、バルブ・ブリッジ300内に形成される第1のピストン孔304内に摺動可能に配置される第1のピストン302を有するバルブ・ブリッジ300が示されている。第1のピストン302よび第1のピストン孔304が、上述したように、ロッカ・アーム210(図示せず)のモーション伝達端部214からバルブ作動モーション及び油圧油を受けるように構成される。第1のピストン302が、第1のピストン302内に形成されるキャビティ308との流体連通を可能にするための開口部306を備えることができる。チェック・バルブ310と、チェック・バルブばね312と、チェック・バルブ・リテーナ314とを備えるチェック・バルブ組立体が、キャビティ308内に設けられる。上述したように、チェック・バルブ組立体が、ロッカ・アーム210のモーション伝達端部214からキャビティ308及び第1のピストン孔304への一方向の流体連通を可能にする。
図3にさらに示されるように、第2のピストン330が、バルブ・ブリッジ300内に形成される第2のピストン孔332内に摺動可能に配置される。第2のピストン330及び第2のピストン孔332がエンジン・バルブに位置合わせされるように構成され、その結果、エンジン・バルブの端部が第2のピストン330内に形成される対応する受け部分336内で受けられ得る。第2のピストンばね334が、その対応するエンジン・バルブに向かう方向に第2のピストン330を付勢するように設けられる。さらに、油圧通路340(部分的に示される)が第1のピストン孔304と第2のピストン孔332との間に設けられる。当技術分野で既知であるように、キャビティ308、第1のピストン孔304、油圧通路340及び第1のピストン孔332が油圧油で充填されている場合、第1のピストン302及び第2のピストン330がそれぞれマスター・ピストン及びスレイブ・ピストンとして機能し、その結果、第1のピストン302によって受けられるバルブ作動モーションが第2のピストン330及びその対応するエンジン・バルブに送られる。さらに、示されるように、受け部分350が第2のピストン330の反対側のバルブ・ブリッジの端部上に設けられ、その結果、受け部分が別のエンジン・バルブ(図示せず)に位置合わせされるようになる(及び、別のエンジン・バルブの端部を受けるように構成される)。キャビティ308、第1のピストン孔304、油圧通路340及び第1のピストン孔332が油圧油で充填されていない場合、第1のピストン302の運動距離が、第1のピストン孔304内に形成されるショルダ360によって制限される。別の第2のピストン及び油圧通路構成が受け部分350の位置に設けられてもよく、その場合、第1のピストン302が、図3に示されるように1つのみではなく2つのスレイブ・ピストンに対してのマスター・ピストンとして機能することができる、ことに留意されたい。
図3にさらに示されるように、弾性要素320が第1のピストン孔304内に配置され、この例では第1のピストン302に装着されるチェック・バルブ・リテーナ314を介して、第1のピストン302に動作可能に接続される。弾性要素320は、構成された状態で、第1のピストン孔304から出すように及びその結果としてロッカ・アーム210のモーション伝達端部214に接触させるように第1のピストン302を付勢する。好適には、弾性要素320が、移動する場合であっても第1のピストン302とロッカ・アーム210のモーション伝達端部214との間の接触を維持するのに十分な力を提供する。しかし、弾性要素320によって提供される力は、さらに、好適には、第1のピストン302に加えられる任意のバルブ作動モーションの力によって比較的容易に克服されるように選択され、それにより、ロッカ・アーム210及び上流のバルブ・トレイン構成要素に過度の負荷が生じることが防止される。
図3のバルブ・ブリッジの代替的実施例が図4に示される。具体的には、図4の実施例は、第1のピストン302が第1のピストン孔304の外側に配置される弾性要素404に係合されるリップ402を備えることを除いて、図3の実施例と実質的に同じである。示されるように、この実施例では、従来の圧縮ばねを備える弾性要素404が第1のピストン302を囲む。当業者であれば認識するであろうが、図3及び4の実施例で、板ばねなどの他のタイプのばねも弾性要素として同様に採用され得る。いずれの場合も、弾性要素404も、第1のピストン302とモーション伝達端部214とを所望される形で接触させるのを可能にするように選択され、付勢力がバルブ作動モーションにより容易に克服される。別の実施例では、弾性要素が第1のピストン孔の中及びその外側のいずれにも配置されてよく、それにより、図3及び4に示される実装形態が組み合わされる。
図3及び4の両方で、バルブ・ブリッジ300が、中に形成されるブリード通路372を有する反応表面370をさらに備える。ブリード通路372が第2のピストン孔332及びひいては油圧通路340に流体連通される。当技術分野で既知であるように、バルブ・ブリッジ300が、第1のピストン302により第2のピストンを介してエンジン・バルブまでモーションを送るときに反応表面370に接して着座するように機能するリアクション・ロード・スクリュ又は同様の構造(図示せず)に逆らうように付勢され、この状況において第2のピストン孔322内に生じる圧力がバルブ・ブリッジ300を上方に変位させ、その結果、ブリード通路372が密閉され、第2のピストン孔332及び油圧通路340の中に存在する任意の油圧油が漏出することが実質的に防止される。有意に大きいリフト・バルブの事象(例えば、主要な排出事象)がバルブ・ブリッジ300に接触するロッカ・アームに適用される場合、第2のピストン330がさらに平行移動することが不可能となる(例えば、第2のピストン304内のショルダ360によって制限される)。その結果、ロッカ・アームが付勢されるときにバルブ・ブリッジ300が変位されるようになり、それにより反応表面372がリアクション・ロード・ボルトから外れるようになる。その結果、ブリード通路372の密閉が解除され、それにより、第2のピストン孔372、油圧通路340及び第1のピストン孔304内の加圧油圧油が迅速に逃げることが可能となる。このように油圧油が排出されることで、さらに、第2のピストン330を平行移動させてピストン孔332の中に戻すことが可能となり、それにより、大きいリフト・バルブ・モーションがエンジン・バルブに送られることが防止される。
次に図5を参照すると、ロッカ・アーム502内に付勢機構を配置する実施例がさらに示されている。具体的には、ロッカ・アーム502が、上述した、モーション伝達端部504を備え、さらに、ロッカ・シャフト(図示せず)を受けるように構成されるロッカ・シャフト孔520を備える。油圧通路522がロッカ・アーム502のモーション伝達端部504内に形成され、ロッカ・アーム502の一方の端部が、当技術分野で既知であるようなロッカ・シャフトの油圧通路などの油圧油供給源に流体連通されるように構成される。バルブ・ブリッジのためのこのような流体の供給は、通常、(例えば、ソレノイド供給バルブを介して)切り替えられ、それにより、ロスト・モーション構成要素の動作を制御することを目的として油圧通路522内の圧力を増大又は低下させることが可能となる。
モーション伝達端部504が、モーション伝達端部504内に形成される摺動部材孔508内に摺動可能に配置される摺動部材506を備える摺動組立体506をさらに有する。示されるように、摺動組立体506がモーション伝達端部504の遠位側の部分に形成されるが、上述したバルブ・ブリッジのロスト・モーション構成要素に接触するように構成されることを条件として、デザインの選択の問題として、モーション伝達端部504内の摺動組立体506の具体的なロケーションが選択され得る。摺動部材孔508が油圧通路522に流体連通される。さらに、摺動部材506も摺動部材通路510を備え、その結果、油圧油が、油圧通路522から摺動部材孔508の中へさらには摺動部材通路508を通るように流れることができるようになる。バルブ作動モーションを送るときにロッカ・アーム502と摺動部材506とを強固に接続するために、摺動部材506が、摺動部材孔508内で摺動部材506が上方に移動するのを制限するためのハード・ストップとして機能するショルダ512を備える。図5にさらに示されるように、ロッカ・アーム502のモーション伝達端部504が、油圧油供給源及び摺動部材孔508に流体連通されるように構成される中に形成される潤滑通路524を備えることができる。示されるように、潤滑通路524が摺動部材孔508と交差し、その結果、摺動部材506と孔508との間のクリアランスによって漏洩が制限される。油圧通路522と併せて使用される切替式流体供給源(switched fluid supply)とは対照的に、潤滑通路524に供給される流体は、好適には、一定の潤滑を維持するために常に加圧される。
既知の技術と調和するように、摺動部材孔508から外へ延在する摺動部材506の端部が概略球状表面を有するように形成され、それにより、摺動部材506をいわゆるスイベル・フット又はエレファント・フット514に結合することが可能となる。当技術分野で既知であるように、スイベル・フット514は、スイベル・フット514内に形成される開口部516を介して摺動部材通路510との流体連通を実現しながら、ロッカ・アーム502とバルブ・ブリッジとの間の相対移動を受け入れることができる。
最後に、圧縮ばねの形態の弾性要素518が摺動部材孔508内に配置され、ここでは、弾性要素518が摺動部材孔508から出すように摺動部材506を常に付勢する。やはり、図3及び4の実施例と同様に、弾性要素518は、摺動組立体506とバルブ・ブリッジのロスト・モーション構成要素とを所望される形で接触させるのを可能にするように選択され、付勢力がバルブ作動モーションによって容易に克服される。
図4の実施例と同様に、弾性要素508はすべての例において摺動部材孔508内に配置されるのを必要とするわけではなく、いくつかの実装形態では摺動部材孔508の外側に配置されてもよい。例えば、適切なばねの形態の弾性要素が、摺動部材506のショルダ512とモーション伝達端部504の相補的な表面との間に配置され得る。
さらに、上で述べたように、図3及び4に示されるタイプの実施例と図5に示されるタイプの実施例とを組み合わせることが所望される可能性がある。このような例では、弾性要素320、404、518は、弾性要素のうちの任意の1つによって提供される力を可能性として低減することを可能にするようにこれらの複数の弾性要素が使用される、という結果をもたらすように選択され得る。
特定の好適な実施例を示して説明してきたが、本教示から逸脱することなく変更形態及び修正形態が作られ得ることを当業者であれば認識するであろう。したがって、上述した教示の任意のすべての修正形態、変形形態又は均等物が、上で開示されて本明細書で特許請求される根底をなす原理(basic underlying principle)の範囲内にあることが企図される。