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JP2017157303A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】放電容量が10Ah以上の大型電池に適用可能で、優れた放電特性、寿命特性及び安全性を備えたリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】少なくとも、正極活物質を含む正極14と、負極活物質を含む負極15と、非水電解質とを具備してなり、正極14は、正極活物質として、少なくとも、一般式:LiNiwCoxAlyNbzO2(但し、式中において、0<w、0<x、0<y、0<zであり、且つ、w+x+y+z=1を満たす)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。
近年、大容量かつ高効率な二次電池の実現が期待されており、このような要求に応えうる二次電池の1つとして、正極活物質にリチウム遷移金属酸化物が用いられ、電解液として非水電解液が用いられたリチウムイオン二次電池が知られている。このリチウムイオン二次電池は、鉛蓄電池等の他の二次電池に比べて、高電圧が得られること、エネルギー密度が高いこと、クーロン効率が高いこと等の優れた特長を有している。
リチウムイオン二次電池は、例えば、LiPF等のリチウム塩が溶解された非水電解液が収容された電池容器の内部に、正極がセパレータを介して負極と離間して配置された構造とされている。また、正極及び負極は、それぞれ、集電体に電極活物質(正極活物質又は負極活物質)が塗工されてなる構成とされている。
リチウムイオン二次電池の正極に用いられる正極活物質としては、これまで、コバルト酸リチウム(LiCoO)やマンガン酸リチウム(LiMn)等の金属酸化物リチウム塩の他、燐酸鉄リチウム(LiFePO)等の燐酸リチウム塩が実用化されている。
また、リチウム遷移金属酸化物の一部が他の金属元素に置換された、元素置換型のリチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質も実用化されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、正極活物質に用いられるリチウム遷移金属複合酸化物としては、例えば、LiNiCo(x+y=1)、LiNiCoAl(x+y+z=1)の他、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等が挙げられ、それぞれ実用化されている。このようなリチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質の容量密度(放電容量)は、おおよそ150(mAh/g)程度であることが知られている。
特許第5451228号公報
ここで、ニッケル酸リチウム(LiNiO)は、放電容量が200(mAh/g)以上と、単独で正極活物質として用いた場合には大きな放電容量が得られるものの、結晶構造が不安定であることから、これまで実用化が難しかった。一方、ニッケル酸リチウムにおけるニッケルの一部が、例えば、コバルト、アルミニウム又はマンガンに置換された元素置換型の正極活物質は、結晶構造が一定程度で安定することから、放電容量が数Ah以下の小型の電池では実用化されているものの、放電容量が10Ah以上である大型の電池においては実用化が難しかった。
また、ニッケル酸リチウム系材料からなる正極活物質は、上記のように、結晶構造を安定させるのが難しいことから、一般的に寿命が短く、また、高温での酸素放出速度及び放出量が多いため、安全性に劣るという問題があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、大型電池に適用可能な高い放電容量を有するとともに、容量維持率に優れ、高寿命で安全性にも優れたリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決するために、リチウムイオン二次電池の正極に用いられる正極活物質の組成について鋭意検討を行った。その結果、正極活物質に用いるニッケル酸リチウム系化合物において、ニッケルの一部がコバルト、アルミニウム及びニオブ置換されていることを必須とし、特にアルミニウムを置換元素とする構成を採用することで、放電容量が増大するとともに、容量維持率が向上することを知見した。これにより、例えば、放電容量が10Ah以上の大型のリチウムイオン二次電池において、優れた放電特性が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明に係るリチウムイオン二次電池によれば、少なくとも、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解質とを具備してなるリチウムイオン二次電池であって、前記正極は、前記正極活物質として、少なくとも、一般式:LiNiCoAlNb(但し、式中において、0<w、0<x、0<y、0<zであり、且つ、w+x+y+z=1を満たす)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含有することを特徴とする。
係る構成のリチウムイオン二次電池によれば、ニッケル酸リチウム系化合物におけるNiの一部がCo,Al及びNbに置換されたリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質に用いることで、放電容量が増大するとともに、容量維持率も向上する。より詳細には、まず、Niの一部がCo,Nbに置換されていることで、初期の放電容量が増大する。さらに、Niの一部がAlに置換されていることで、容量維持率が向上する。このように、リチウムイオン二次電池の放電特性が向上する詳細なメカニズムは不明であるが、Niの一部が上記金属元素(Co,Nb等)に置換されることで、結晶構造の柔軟性が増し、Liイオンの挿入脱離が容易となることで、初期容量が増大するものと考えられる。更に、置換元素としてAl元素が添加されることで、Al元素と酸素の結合力が高いことから、リチウム遷移金属複合酸化物の結晶構造がより安定化し、結晶構造の崩壊が抑制されることで、正極活物質の寿命が向上するためではないかと考えられる。さらに、正極活物質の結晶構造が安定することで、高温での酸素放出量が抑制される等、電池の安全性も高められる。
また、上記構成のリチウムイオン二次電池においては、前記正極活物質は、一般式:LiNiCoAlNb(但し、式中において、0<w、0<x、0<y、0<zであり、且つ、w+x+y+z=1を満たす)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物中における、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)及びニッケル(Ni)の質量比が、Co:10〜20質量%、Nb:0.5〜5質量%、Al:3〜10質量%、Ni:残部(但し、Co,Al,Nb及びNiの合計で100%である)であることがより好ましい。
係る構成のリチウムイオン二次電池によれば、正極活物質に用いられるリチウム遷移金属複合酸化物中における各金属元素の質量比を上記範囲とすることで、上述したような、結晶構造が安定する作用がより効果的に得られる。従って、放電特性がさらに向上するとともに、寿命特性や安全性もより高められる。
また、上記構成のリチウムイオン二次電池においては、LiPF等のリチウム塩が溶解された非水電解液に、添加剤として、ジフルオロリン酸リチウム(LiPF)及びリチウムビス(オキサレート)ボレート(Li[B(C])を含むことがより好ましい。
係る構成のリチウムイオン二次電池によれば、まず、非水電解液にジフルオロリン酸リチウムが添加されていることで、この添加剤と負極表面とが効果的に反応し、負極表面に安定な皮膜(SEI膜:Solid Electrolyte Interface膜)が形成される。このSEI膜が形成されることによって負極におけるLiイオンの挿入離脱が容易になり、電解液自体の負極表面での分解を抑制することで、容量維持率が高められ、電池の寿命特性が向上する。さらに、非水電解質にリチウムビス(オキサレート)ボレートが添加されていることで、より安定なSEI膜が形成され、電池の寿命特性が向上する。従って、リチウムイオン二次電池の放電特性及び寿命特性が向上する効果が得られる。
また、上記構成のリチウムイオン二次電池においては、負極表面で形成されるSEI膜の厚さが薄過ぎると電解液分解抑制効果が小さくなり、SEI膜の厚さが厚過ぎても内部抵抗の増大を招くことから、最適な膜厚を形成させるための最適添加量があると考えられる。このため、前記非水電解液中における、前記ジフルオロリン酸リチウムの含有量が0.7〜1.3質量%であり、且つ、前記リチウムビス(オキサレート)ボレートの含有量が0.3〜0.7質量%であることがより好ましい。
係る構成のリチウムイオン二次電池によれば、非水電解液中における各添加剤の含有量を上記範囲に制限することにより、上記のような、放電特性及び寿命特性が向上する効果がより顕著に得られる。
本発明のリチウムイオン二次電池によれば、ニッケル酸リチウム系化合物におけるNiの一部がCo,Al及びNbに置換された、一般式:LiNiCoAlNb(但し、式中において、0<w、0<x、0<y、0<zであり、且つ、w+x+y+z=1を満たす)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質に用いることで、結晶構造が安定し、正極活物質のエネルギー密度が向上する。これにより、放電容量が増大するとともに、容量維持率も向上し、さらに、高温での酸素放出量が抑制される等、電池の安全性も高められる。従って、例えば、放電容量が10Ah以上の大型電池に適用可能で、優れた放電特性、寿命特性及び安全性を備えたリチウムイオン二次電池が実現できる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池の一例を模式的に示す図であり、電池外観及び部品構成を示す分解斜視図である。 本発明に係るリチウムイオン二次電池の実施例について説明する図であり、正極活物質に用いるリチウム遷移金属複合酸化物の組成を変化させた場合の、電池の容量密度(放電容量)を示すグラフである。 本発明に係るリチウムイオン二次電池の実施例について説明する図であり、正極活物質に用いるリチウム遷移金属複合酸化物の組成を変化させた場合の、電池の容量維持率を示すグラフである。 本発明に係るリチウムイオン二次電池の実施例について説明する図であり、非水電解液に添加する添加剤の組成を変化させた場合の、電池の容量維持率を示すグラフである。 本発明に係るリチウムイオン二次電池の実施例について説明する図であり、非水電解液に添加する添加剤の組成を変化させて加速劣化サイクル試験を行った場合の、サイクル容量劣化率を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池について、図面を適宜参照しながら詳しく説明する。なお、説明に用いる図面においては、特徴的な部分を分かりやすく示すために、図面中の構造の寸法や縮尺が、実際の構造に対して異なっている場合がある。また、本実施形態中における同じ構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明を省略する場合がある。
[リチウムイオン二次電池の構成]
図1は、リチウムイオン二次電池の一実施形態を示す斜視分解図である。
図1に例示するリチウムイオン二次電池1は、内部にLiPF等のリチウム支持塩(非水電解質)を含む非水電解液を貯留する電池容器10を備えている。電池容器10は、例えば、アルミニウム製の中空容器であり、本実施形態では、外形が略角柱状(略直方体状)とされている。また、電池容器10は、開口を有する筒状体10aと、筒状体10aの開口を塞ぐ蓋10bとから構成されている。
電池容器10に備えられる蓋10bには、電極端子11、12及び電解液の注入口13が設けられており、本実施形態では、電極端子11が正極端子、電極端子12が負極端子である場合について説明する。また、電池容器10の内部には、複数の電極14、15と、これら複数の電極14、15の間にそれぞれ配置されるセパレータ16が収容されている。
電極(正極、負極)14、15は、通常、導体箔や導体薄板等のシート状の集電体(導体)を母材とし、母材の表面に電解液の種類に応じた電極活物質のコーティングがなされて構成される。電極14は、本実施形態においては正極であり、ニッケル酸リチウム系化合物における一部の金属元素が他の金属元素に置換されたリチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質が、アルミニウム製の正極集電体上に正極活物質層として形成されたものである。電極15は、本実施形態においては負極であり、例えば銅箔等からなる負極集電体上に負極活物質が設けられる。
正極(電極)14は、負極(電極)15と対向配置され、これら各電極14、15は、互いに対向する方向で繰り返すように配置されている。また、各電極14、15の間には、それぞれセパレータ16が設けられており、各電極14、15が互いに接触しないように構成されている。セパレータ16としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔性高分子材料膜、ガラス繊維、各種高分子繊維からなる不織布等の絶縁材料が用いられる。
正極14における正極端子(電極端子)11側の端部には、電極タブ14aが形成されている。繰返し配置された複数の正極14の電極タブ14aが一括して、正極端子11と電気的に接続されている。
また、負極15における負極端子(電極端子)12側の端部には、電極タブ15aが形成されている。繰返し配置された複数の負極15の電極タブ15aが一括して、負極端子12と電気的に接続されている。
正極14は、上述したように、正極集電体と、この正極集電体上に設けられた正極活物質層(正極活物質)とから構成される。本発明に係るリチウムイオン二次電池1においては、正極14を構成する正極活物質層に、少なくとも、一般式:LiNiCoAlNb(但し、式中において、0<w、0<x、0<y、0<zであり、且つ、w+x+y+z=1を満たす)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含有する正極活物質を用いる。また、正極14の正極活物質層は、上記の正極活物質に加え、例えば、導電助材粉末と結着剤とが混合され、膜状に成形されたものである。
正極14において正極活物質層として備えられる正極活物質は、例えば、ニッケル酸リチウム(LiNiO)における一部の金属元素、具体的には、Niの一部がCo,Al及びNbに置換されることで、一般式:LiNiCoAlNb(但し、式中において、0<w、0<x、0<y、0<zであり、且つ、w+x+y+z=1を満たす)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物として得られるものである。正極活物質として上記のリチウム遷移金属複合酸化物を採用し、Niの一部がCo,Al及びNbに置換されていることを必須とし、特に、Alを置換元素とする構成とすることで、放電容量が増大するとともに、容量維持率も向上する。より詳細には、まず、上記のリチウム遷移金属複合酸化物中におけるNiの一部がCo,Nbに置換されていることで、結晶構造の柔軟性が増し、Liイオンの挿入脱離が容易となり、初期の放電容量が増大する効果が得られる。さらに、リチウム遷移金属複合酸化物中におけるNiの一部がAlに置換されていることで、Al元素と酸素の結合力が高いことから、リチウム遷移金属複合酸化物の結晶構造がより安定化し、結晶構造の崩壊が抑制されることで容量維持率が向上する効果が得られると考えられる。
上述したように、正極活物質に上記のリチウム遷移金属複合酸化物を採用することで、リチウムイオン二次電池1の放電特性が向上する詳細なメカニズムは不明である。しかしながら、本発明者等が鋭意研究したところによれば、Niの一部がCo,Al及びNbに置換されていることでリチウム遷移金属複合酸化物の結晶構造が安定し、正極活物質のエネルギー密度が向上してリチウムイオン二次電池1の放電特性が向上しているのではないかと考えられる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池1によれば、上記構成により、放電容量が増大することで、例えば、放電容量が10Ah以上である大型の二次電池にも適用可能となる。また、容量維持率が高められることで寿命特性も向上し、さらに、正極活物質の結晶構造が安定することで、高温での酸素放出量が抑制される等、電池の安全性も高められる。従って、放電特性に優れ、また、寿命特性及び安全性にも優れたリチウムイオン二次電池1が実現できる。
なお、上記一般式で表されるリチウム遷移金属複合酸化物が用いられた正極活物質は、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)及びニッケル(Ni)の質量比が、Co:10〜20質量%、Nb:0.5〜5質量%、Al:3〜10質量%、Ni:残部(但し、Co,Al,Nb及びNiの合計で100%である)であることがより好ましい。リチウム遷移金属複合酸化物中におけるCo,Al,Nb及びNiの質量比を上記範囲とすることで、結晶構造がより安定化し、放電容量が増大するとともに容量維持率が向上する効果がより顕著に得られ、寿命特性及び安全性も向上する。
Coは、結晶構造が安定で電池寿命に与える影響が大きい元素であり、このような効果を得るためには、上記質量比の下限を10質量%とすることが好ましい。一方、Coは、Niに比べて電気容量を低下させる可能性もあることから、上記質量比の上限を20質量%とすることが、放電容量を確保する観点から有利であると考えられる。
また、Coの質量比は、12〜18質量%がさらに好ましく、14〜16質量%であることが最も好ましい。
Alは、後述の実施例におけるサイクル試験の結果(図3のグラフを参照)より、充放電容量に与える影響は小さいものの、結晶構造の劣化に伴う電池寿命特性に与える影響が大きな元素であると考えられる。このため、Alは、結晶構造の劣化を抑制して電池寿命特性を向上させる観点から、上記質量比の下限を4質量%とすることが好ましい。一方、Alの質量比が10質量%を超えると放電容量が低下する可能性があることから、これを上限とすることが好ましい。
また、Alの質量比は、3〜6質量%がさらに好ましく、3〜5質量%が最も好ましい。
Nbは、少量の添加により、リチウム遷移金属複合酸化物が発熱した際の発熱量を抑制する作用がある元素であり、二次電池の安全性を向上させるのに有効であると考えられ、この効果を得るためには、上記質量比の下限を0.5質量%とすることが好ましい。一方、Nbは、非常に高価な金属元素であることから、コスト面を考慮した場合、上記質量比の上限を5質量%とすることが好ましい。
また、Nbの質量比は、0.5〜2質量%がさらに好ましく、0.5〜1.5質量%が最も好ましい。
なお、上記質量比におけるNiの範囲は、Co,Al,Nb及びNiの合計を100%とした場合に、その残部とする。
その他、正極活物質層(正極活物質)に添加される導電助材粉末としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、炭素繊維等の炭素質材料を用いることができる。
また、結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、テトラフロオロエチレン、ポリエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、等が挙げられ、これらの内の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、正極活物質層に、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリイミダゾール等の導電性高分子材料を添加しても良い。これらの導電性高分子材料は、電気化学的に安定であり、しかも電子伝導性に優れているため、正極活物質層の内部抵抗を低減する効果が得られる。
正極14に用いられる正極集電体としては、上記のアルミニウムに限定されることなく、その他の金属材料からなる金属箔、金属網、エキスパンドメタル等を用いることができ、例えば、チタンやステンレス等を用いても良い。
負極15は、銅箔等からなる集電体と、この集電体上に成膜された負極活物質層とから構成される。負極活物質層は、例えば、リチウムを電気化学的に脱挿入する黒鉛等の負極活物質粉末と、ポリフッ化ビニリデン等の結着剤と、負極活物質層の表面にSEI膜を形成する添加剤とが混合されて形成される。また、上記添加剤の一部又は全部が反応して、負極活物質の表面にSEI膜が形成される。なお、負極電極層にカーボンブラック等の導電助材粉末が添加される場合もある。
負極活物質としては、黒鉛の他に、コークス、熱分解炭素、ガラス状炭素、無定形炭素、黒鉛化炭素繊維、各種高分子材料の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、活性炭等の各種炭素材料を用いることができる。また、比較的低い電位での充放電が可能なSi、Sn、In等の合金、あるいは金属酸化物・窒化物等を用いても良い。
負極活物質層に用いられる結着剤としては、特に限定されず、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PolyVinylidene DiFluoride;PVDF)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロース、スルホン化EPDM、等のポリマーが挙げられ、これらを1種又は2種以上で組み合わせて用いることができる。
また、添加剤としても、負極活物質層の表面にSEI膜を形成できるものであれば特に限定されず、例えば、ビニレンカーボネート等の他、従来公知の材料を何ら制限無く採用することが可能である。
電池容器10の内部には、非水電解液(非水電解質)が各電極14、15と接触するように収容される。非水電解液としては、例えば、炭酸エチレンや炭酸ジエチル、炭酸プロピル等の有機溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)や四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)等のリチウム塩を溶解した溶液等が挙げられる。
また、非水電解液としては、上記のものには限定されず、例えば、環状炭酸エステル又は鎖状炭酸エステルの何れか一方あるいは両方が含まれ、さらに溶質が含まれた構成のものを採用することが可能である。特に、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルの両方が混合された有機溶媒に、溶質(電解質)が溶解されてなるものが好ましい。
環状炭酸エステルとしては、例えば、プロピレンカーボネート等の従来公知の材料を例示でき、また、鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート(DMC)やエチルメチルカーボネート(EMC)等の公知の材料を例示できる。また、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルは上記に列挙したものに限らず、後述の溶質及び第4級アンモニウム塩を解離できるものであれば、どのようなものでも用いることができる。
また、非水電解液に用いられる有機溶媒としては、2種以上の有機溶媒の混合溶媒を用いることも可能である。
また、溶質(電解質)としては、LiPF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiCFSO、LiCSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(RfSO、LiC(RfSO、LiCnF+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO[ここでRfはフルオロアルキル基]等のリチウム塩を例示できる。
さらに、本発明に係るリチウムイオン二次電池1においては、非水電解液に、添加剤として、下記化学式1に示すジフルオロリン酸リチウム(LiPF)、及び、下記化学式2に示すリチウムビス(オキサレート)ボレート(Li[B(C])が含まれることがより好ましい。
Figure 2017157303
Figure 2017157303
本発明に係るリチウムイオン二次電池1においては、まず、非水電解液にジフルオロリン酸リチウムが添加されていることで、この添加剤と負極活物質層の表面とが効果的に反応し、負極15における負極活物質層の表面に皮膜(SEI膜:Solid Electrolyte Interface膜)が形成される。このSEI膜が形成されることによって、負極活物質層におけるLiイオンの挿入離脱が容易になり、容量維持率が高められ、電池の寿命特性が向上する。さらに、非水電解質にリチウムビス(オキサレート)ボレートが添加されていることで、より安定なSEI膜が形成され、電池の寿命特性が向上する。従って、リチウムイオン二次電池1の放電特性及び寿命特性が向上する効果が得られる。
非水電解液に含まれる添加剤の含有量は、特に限定されないが、非水電解液中において、負極表面で形成されるSEI膜の厚さが薄過ぎると電解液分解抑制効果が小さくなり、SEI膜の厚さが厚過ぎても内部抵抗の増大を招くことから、最適な膜厚を形成させるための最適添加量があると考えられる。このことから、非水電解液中において、ジフルオロリン酸リチウムの含有量が0.7〜1.3質量%であり、且つ、リチウムビス(オキサレート)ボレートの含有量が0.3〜0.7質量%であることが好ましい。非水電解液中における各添加剤の含有量を上記範囲とすることにより、上記のような、放電特性及び寿命特性が向上する効果がより顕著に得られる。
より詳細には、非水電解液に含まれるジフルオロリン酸リチウムの含有量が上記範囲であることで、負極活物質層の表面にSEI膜が効果的に形成され、また、寿命特性が向上する効果が得られる。非水電解液中におけるジフルオロリン酸リチウムの含有量が0.7質量%未満だと、寿命向上効果が小さくなり、一方、1.3質量%を超えて添加した場合でも、その効果は変わらない。
また、非水電解液に含まれるジフルオロリン酸リチウムの含有量は、0.9〜1.2質量%がさらに好ましく、1.0〜1.2質量%が最も好ましい。なお、本発明者等の検討によれば、ジフルオロリン酸リチウムが負極活物質表面と間で効果的に反応して、SEI膜が形成される最適な含有量は1質量%前後であるものと考えられる(後述の実施例及び表5のグラフも参照)。
また、非水電解液に含まれるリチウムビス(オキサレート)ボレートの含有量が上記範囲であることで、電極材料における結晶構造の劣化を効果的に抑制できる。非水電解液中におけるリチウムビス(オキサレート)ボレートの含有量が0.3質量%未満だと、上述した電極材料における結晶構造の劣化抑制効果が小さくなり、また、0.7質量%を超えて添加した場合も同様である。
また、非水電解液に含まれるリチウムビス(オキサレート)ボレートの含有量は、0.4〜0.7質量%がさらに好ましく、0.5〜0.6質量%がさらに好ましい。このことから、非水電解液に含まれるリチウムビス(オキサレート)ボレートの最適な含有量は0.5質量%前後であるものと考えられる(後述の実施例及び図5のグラフも参照)。
なお、本発明においては、さらに、上記の非水電解液に代えて、固体電解質(非水電解質)を用いることもできる。このような固体電解質としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等の高分子マトリックスに、上記非水電解液を含浸させてなるゲル電解質等を例示できる。また、固体電解質を用いる場合には、セパレータ16を省略することも可能である。
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
以下に、本発明に係るリチウムイオン二次電池を製造する方法の一例について、図1を参照しながら説明する。
本発明に係るリチウムイオン二次電池1を製造するにあたっては、まず、以下に説明するような手順で正極活物質を製造した後、この正極活物質を正極集電体上に塗工することで正極14を製造する。さらに、後述するように、負極、非水電解質等をそれぞれ作製・調製することにより、リチウムイオン二次電池1を製造する。
まず、正極活物質の原料として、M(OH)(M=Ni,Co,Nb,Al)及びLiOHを準備し、これらを混合する。具体的には、正極活物質の原料である水酸化ニッケル、水酸化コバルト、水酸化ニオブ、水酸化アルミを、Ni,Co,Al及びNbが所定の金属重量比となるように混合するとともに、水酸化リチウム(LiOH)と混合する。
そして、上記の混合物を、700〜800℃の酸素雰囲気中で焼成することにより、水酸化ニッケルに由来するNiの一部を、Co,Al及びNbに置換する。これにより、一般式:LiNiCoAlNb(但し、式中において、0<w、0<x、0<y、0<zであり、且つ、w+x+y+z=1を満たす)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物からなる、粉末状の正極活物質を得る。
さらに、上記手順で得られた正極活物質に、導電助材粉末と結着剤とを混合して、混合物スラリーを調整する。
導電助剤としては、特に限定されることなく、上記したようなカーボンブラック等、導電性を有する材料を適宜選択して採用することができる。
また、結着剤としても、上記したようなポリフッ化ビニリデン等のフッ素ポリマーを適宜採用することができる。
次いで、正極活物質、導電助材及び結着剤の混合物を、さらに、ポリアニリンが溶解されたNMP等の分散媒に添加してスラリーとする。その後、このスラリーを正極集電体上にドクターブレード法等により塗布した後、分散媒を所定時間の加熱によって除去し、乾燥させる。そして、乾燥した混合物をプレス等によって圧縮することで正極14を製造する。この際の加熱温度は、スラリーに含まれる分散媒の沸点以上の温度範囲、又は減圧乾燥とする。
このような手順により、正極14を製造する。
次に、本実施形態では、負極15については、適宜選択される従来公知の形成材料や形成方法によって形成することができる。即ち、例えば、負極の材料として黒鉛系の材料を用い、この黒鉛系材料と結着材とを混合した水系スラリーを調製した後、このスラリーを銅箔等からなる負極集電体の表面に塗布する。そして、正極14の場合と同様、所定温度で所定時間乾燥させることで負極15を製造する。
そして、そして、正極14、セパレータ16、及び、負極15を順次積層して、これらの積層体を形成する。
次に、電池容器10を構成する筒状体10aおよび蓋10bを用意し、筒状体10aに上記各電極14、15及びセパレータ16からなる積層体を収容する。また、蓋10bには、予め、電極端子11、12及び注入口13を設ける。そして、上記積層体における複数の電極タブ14aを一括して電極端子11と電気的に接続し、積層体における複数の電極タブ15aを一括して電極端子12と電気的に接続する。そして、筒状体10aに蓋10bを取付けて溶接する。
そして、電池容器10の内部に、注入口13から、所定の組成で調製された非水電解液を注入した後、注入口13を封じる。
次に、本実施形態では、初期充放電を行う。具体的には、電極端子11、12を充電器等と電気的に接続し、正極14と負極15との間に電圧を印加することで充電制御する。
充電方法としては、例えば、定電流・定電圧方式を採用することが好ましい。即ち、電池電圧が充電上限電圧に達するまで定電流で充電を行い(定電流充電)、充電上限電圧に達した後は、この上限電圧を維持したまま、所定の充電時間で電流を流す(定電圧充電)。定電流・定電圧充電時の充電上限電圧は、電池の正負極の構成にもよるが、4.1〜4.2Vの範囲が好ましい。また、定電流充電時の充電電流は、電池サイズにもよるが、0.1〜2C(1Cは電池全容量を1時間で放電または充電可能な電流値と定義されているため、0.1Cでは充電に10時間必要となる)の範囲が好ましい。さらに、定電圧充電時の充電時間は、電池サイズにもよるが、10時間以内が好ましい。
また、放電方法としては、定電流放電を採用することが好ましい。即ち、電池電圧が放電下限電圧に達するまで、定電流で放電を行う(定電流放電)。放電下限電圧は、電池の正負極の構成にもよるが、2.7〜3.5Vの範囲が好ましい。また、放電電流は、電池サイズにもよるが、0.1C〜2Cの範囲が好ましい。
上述したように初期充放電を行うことにより、正極14の正極活物質において化学反応が起きる。この反応が生じた時点で、正極14がその機能を果たすものとなる。
また、初期充放電の際、負極15においても負極活物質の化学反応が起き、正極14と同様に、負極15がその機能を果たすものとなる。
[作用効果]
以上説明したような、本発明に係るリチウムイオン二次電池1によれば、ニッケル酸リチウム系化合物におけるNiの一部がCo,Al及びNbに置換された、一般式:LiNiCoAlNb(但し、式中において、0<w、0<x、0<y、0<zであり、且つ、w+x+y+z=1を満たす)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質に用いることで、結晶構造が安定し、正極活物質のエネルギー密度が向上する。これにより、放電容量が増大するとともに、容量維持率も向上し、さらに、高温での酸素放出量が抑制される等、電池の安全性も高められる。従って、例えば、放電容量が10Ah以上の大型電池に適用可能で、優れた放電特性、寿命特性及び安全性を備えたリチウムイオン二次電池が実現できる。
また、本実施形態で説明したリチウムイオン二次電池1においては、正極活物質に上記のリチウム遷移金属複合酸化物を採用することに加え、さらに、非水電解液(非水電解質)に、添加剤として、ジフルオロリン酸リチウム(LiPF)及びリチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)が含まれる構成を採用することで、容量維持率がさらに高められ、電池の寿命特性が向上する効果が得られる。
なお、本発明の技術範囲は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で多様な変形が可能である。例えば、上述した実施形態においては、外形が略直方体状のリチウムイオン二次電池を例に挙げて説明しているが、ラミネート型、コイン型、円筒型、シート型のリチウムイオン二次電池においても本発明を適用することが可能である。
以下、実施例を示して、本発明に係るリチウムイオン二次電池について、さらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものでは無い。
[実施例1]
実施例1では、まず、以下の手順及び条件で正極活物質を作製し、さらに、この正極活物質を備えた正極、負極、非水電解液(非水電解質)を作製した。そして、これら各電極及び非水電解液をラミネートセル容器内に収容することで、リチウムイオン二次電池のラミネートセルを完成させ、以下に説明する評価試験を行った。
(正極活物質・正極の作製)
まず、「遊星型ボールミル(フリッチュ社製P6)」を用い、正極活物質の原料である水酸化ニッケル、水酸化コバルト、水酸化ニオブ、水酸化アルミニウム、及び水酸化リチウムを、下記表1に示す金属重量比となるように各々の量を調整しながらボールミルに投入し、乾式撹拌によって混合させ、予備混合物を作製した。この際、ボールミルの回転数を150rpm程度とし、3時間の撹拌を行った。
Figure 2017157303
次いで、上記手順で得られた予備混合物を、700〜800℃の酸素雰囲気中で焼成することにより、水酸化ニッケルに由来するNiの一部をCo,Al及びNbに置換させることで、リチウム遷移金属複合酸化物からなる粉末状の正極活物質を得た。この正極活物質は、Co,Nb,Al及びNiの金属重量比が上記範囲とされた、LiNi0.764Co0.143Al0.083Nb0.01からなるものである。
次いで、上記の正極活物質に、さらに、導電助材粉末としてアセチレンブラックを添加するとともに、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを添加して正極混合物を作製した。そして、この正極混合物を、分散媒であるNMPに添加してスラリーを調整した後、このスラリーを、ドクターブレード法を用いて、アルミニウム箔からなる正極集電体上に塗布した。その後、120℃の温度で一定時間加熱することでスラリー中に含まれる分散媒を除去し、上記の正極混合物を乾燥させた。
そして、正極集電体上に積層された乾燥正極混合物をプレス圧縮することで、正極を作製した。
(二次電池構造(ラミネートセル)の作製)
次に、本実施例では、上記手順で得られた正極を用いて、従来公知の方法で、ラミネートセル容器内に、正極、セパレータ及び負極が順次積層された積層体を収容して封止し、二次電池構造のラミネートセルを作製した。
この際に用いた正極の平面視寸法は97×130mmであり、上記手順及び条件で作製した正極活物質を備えてなる。
また、負極の平面視寸法は100×134mmである。本実施例では、従来公知の黒鉛系負極材料を用い、黒鉛系材料と結着材とを混合した水系スラリーを調製した後、このスラリーを銅箔からなる負極集電体の表面に塗布し、従来から負極の作製に適用されている乾燥温度及び時間で乾燥させることで負極を製造した。
また、電解液としては、溶質として1M LiPFを含み、有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)/エチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒に、添加剤としてジフルオロリン酸リチウム(LiPF)が1質量%で添加されたものを調製して用いた。この際の有機溶媒の混合比率は、[(33.3vol%(EC)/33.3vol%(DMC)/33.4vol%(EMC))とした。
また、セパレータとしては、ポリプロピレン微多孔体(セルガード社製)を用いた。
上記の二次電池構造を作製した後、0.2Cの電流量で4.3Vまでで初期充放電を行ない、本実施例のリチウムイオン二次電池を完成させた。
(充放電特性の測定)
上記手順及び条件で得られた本実施例のリチウムイオン二次電池に関し、充放電特性を測定して評価した。
この際、測定装置として「アスカ電子製充放電システム装置ACD−01」を用い、また、測定温度を25℃、電圧範囲を3.0〜4.3Vとし、電流密度は0.2mA/cmとした。
より具体的には、まず、55℃雰囲気に設定された恒温槽内に本実施例のリチウムイオン二次電池を設置し、充放電装置を用いて、1Cの電流量で充放電を繰り返した(サイクル試験)。この際、上限電圧を4.3V、下限電圧を3.0Vとし、充電時はCC-CV充電(1Cの電流量で充電し、4.3Vに到達した後は電流を絞り、所定電流値に減少した時点で充電終了)、放電時はCC放電(1Cの電流量で放電し、電圧が3.0Vになった時点で放電終了)とした。
そして、初期放電容量(Ah/kg)の測定結果を図2グラフに示すとともに、初期放電容量に対する容量維持率(%)の測定結果を図3のグラフに示した。
[比較例1]
比較例1においては、正極活物質の原料に水酸化アルミニウムを使用せず、水酸化ニッケル、水酸化コバルト、水酸化ニオブ及び水酸化リチウムのみを用いて、上記表1に示す金属重量比のリチウム遷移金属複合酸化物となるように正極活物質を作製した点以外は、上記の実施例1と同様の手順及び条件でリチウムイオン二次電池のラミネートセルを作製し、同様の評価試験を行った。
即ち、比較例1では、正極活物質として、LiNi0.8Co0.150Nb0.050で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を作製し、これを用いた正極を備えてなるリチウムイオン二次電池のラミネートセルを作製して評価した。
そして、上記同様、初期放電容量(Ah/kg)の測定結果を図2グラフに示すとともに、初期放電容量に対する容量維持率(%)の測定結果を図3のグラフに示した。
[比較例2]
比較例2においても、正極活物質の原料に水酸化アルミニウムを使用せず、水酸化ニッケル、水酸化コバルト、水酸化ニオブ、及び水酸化リチウムのみを用いて、上記表1に示す金属重量比のリチウム遷移金属複合酸化物となるように正極活物質を作製した点以外は、上記の実施例1と同様の手順及び条件でリチウムイオン二次電池のラミネートセルを作製し、同様の評価試験を行った。
即ち、比較例2では、正極活物質として、LiNi0.821Co0.149Nb0.030で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を作製し、これを用いた正極を備えてなるリチウムイオン二次電池のラミネートセルを作製して評価した。
そして、上記同様、初期放電容量(Ah/kg)の測定結果を図2グラフに示すとともに、初期放電容量に対する容量維持率(%)の測定結果を図3のグラフに示した。
[実施例2]
実施例2においては、非水電解液中における添加剤として、ジフルオロリン酸リチウムを1質量%に加えて、さらに、リチウムビス(オキサレート)ボレート(Li[B(C])を0.5質量%で添加した点を除き、実施例1と同様の手順及び条件でリチウムイオン二次電池のラミネートセルを作製して評価した。
そして、実施例2における初期放電容量に対する容量維持率(%)の測定結果を、実施例1の結果とともに図4のグラフに示した。
[実験例1〜4]
実験例1〜4においては、非水電解液中における添加剤(ジフルオロリン酸リチウム、リチウムビス(オキサレート)ボレート)の含有量を以下に示す含有量で変化させた点を除き、実施例1と同様の手順及び条件でリチウムイオン二次電池のラミネートセルを作製した。
(1)実験例1;ジフルオロリン酸リチウム:0.7質量%+リチウムビス(オキサレート)ボレート:0.5質量%
(2)実験例2;ジフルオロリン酸リチウム:1.2質量%+リチウムビス(オキサレート)ボレート:0.5質量%
(3)実験例3;ジフルオロリン酸リチウム:1質量%+リチウムビス(オキサレート)ボレート:0.3質量%
(4)実験例4;ジフルオロリン酸リチウム:1質量%+リチウムビス(オキサレート)ボレート:0.7質量%
そして、実施例1と同様の方法で充放電を繰り返すサイクル試験(充放電特性)を行うことで加速劣化試験を実施することにより、1サイクルあたりの容量劣化率(%/サイクル)を測定し、結果を図5のグラフに示した。
なお、本実験例においては、上記の実施例1,2で作製したリチウムイオン二次電池のラミネートセルについても加速劣化試験を実施し、1サイクルあたりの容量劣化率(%/サイクル)を測定して、上記同様、図5のグラフに結果を示した。
[評価結果]
図2のグラフに示すように、本発明で規定する組成の正極活物質、即ち、LiNi0.764Co0.143Al0.083Nb0.01で表されるリチウム遷移金属複合酸化物が用いられた正極を備える実施例1のリチウムイオン二次電池は、放電容量が約190(Ah/kg)で、従来の組成の正極活物質を用いた比較例1,2とほぼ同等であった。しかしながら、実施例1のリチウムイオン二次電池は、図3のグラフに示した充放電の繰り返しによるサイクル試験の結果より、充放電回数が増えるほど、従来の構成のリチウムイオン二次電池に比べて優れた容量維持率を示すことが明らかとなった。図3に示すように、実施例のリチウムイオン二次電池は、充放電サイクルを100回にわたって繰り返した場合でも容量維持率が約92%と、比較例1(約54%)及び比較例2(約66%)に比べて、非常に高い評価結果となっている。これは、実施例1の正極活物質が、比較例1,2の正極活物質とは異なり、Niの一部がAlに置換された構造を有していることから、その結晶構造が安定し、放電特性が向上しているものと考えられる。
また、図4のグラフに示すように、非水電解液にジフルオロリン酸リチウム及びリチウムビス(オキサレート)ボレートの両方を添加した実施例2は、ジフルオロリン酸リチウムのみを添加した実施例1に比べ、容量維持率が非常に高められていることがわかる。実施例2のように、非水電解液にジフルオロリン酸リチウム及びリチウムビス(オキサレート)ボレートの両方を添加することで、ジフルオロリン酸リチウム単独で添加した場合に形成されるSEI膜に比べ、負極表面での電解液分解を抑制するSEI膜が形成されることで、容量維持率が顕著に高められ、寿命特性も向上すると考えられる。
また、図5のグラフに示すように、非水電解液に、添加剤としてジフルオロリン酸リチウム:1質量%及びリチウムビス(オキサレート)ボレート:0.3質量%を添加した実験例3、並びに、ジフルオロリン酸リチウム:1質量%及びリチウムビス(オキサレート)ボレート:0.7質量%を添加した実験例4は、実験例1,2及び実施例1,2に比べて、1サイクルあたりの容量劣化率が低いことが確認できた。この結果より、正極活物質として本発明に係る組成のリチウム遷移金属複合酸化物を採用したうえで、さらに、非水電解液中の添加剤として、ジフルオロリン酸リチウム及びリチウムビス(オキサレート)ボレートの両方を適量で添加することで、容量劣化を顕著に抑制できることが明らかとなった。これは、まず、非水電解液にジフルオロリン酸リチウムを適量で添加することで、負極活物質層の表面にSEI膜が効果的に形成され、放電特性及び寿命特性が向上するとともに、リチウムビス(オキサレート)ボレートを適量で添加することで、さらに効果的に電解液の分解を抑制し、内部抵抗を増大させない最適膜厚のSEI膜を形成できるためではないかと考えられる。
上述したような本発明に係るリチウムイオン二次電池によれば、上記構成により、放電容量が増大するとともに、容量維持率も向上し、さらに、電池の安全性も高められたものである。従って、例えば、移動体電源システムや定置用電力貯蔵システム等の、放電容量が10Ah以上の大型のリチウムイオン二次電池に本発明を適用することが期待される。
1…リチウムイオン二次電池、
10・・・電池容器、
10a・・・筒状体、
10b・・・蓋、
11、12・・・電極端子、
13・・・注入口、
14…正極(電極)、
14a・・・電極タブ、
15…負極(電極)、
15a・・・電極タブ、
16…セパレータ

Claims (4)

  1. 少なくとも、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解質とを具備してなるリチウムイオン二次電池であって、
    前記正極は、前記正極活物質として、少なくとも、一般式:LiNiCoAlNb(但し、式中において、0<w、0<x、0<y、0<zであり、且つ、w+x+y+z=1を満たす)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. 前記正極活物質は、一般式:LiNiCoAlNb(但し、式中において、0<w、0<x、0<y、0<zであり、且つ、w+x+y+z=1を満たす)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物中における、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)及びニッケル(Ni)の質量比が、Co:10〜20質量%、Nb:0.5〜5質量%、Al:3〜10質量%、Ni:残部(但し、Co,Al,Nb及びNiの合計で100%である)であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記非水電解質が、添加剤として、ジフルオロリン酸リチウム(LiPF)及びリチウムビス(オキサレート)ボレート(Li[B(C])を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記非水電解質中における、前記ジフルオロリン酸リチウムの含有量が0.7〜1.3質量%であり、且つ、前記リチウムビス(オキサレート)ボレートの含有量が0.3〜0.7質量%であることを特徴とする請求項3に記載のリチウムイオン二次電池。
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