JP2016219653A - 担持体及び光電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】高光変換効率・高耐久性を有する光電変換素子を提供すること。【解決手段】一般式(1)で表される化合物の少なくとも2種を担持させた担持体を光電変換素子の作用電極として用いる。詳細には、一般式(1)で表される化合物のうち、少なくとも1種の化合物として一般式(2)で表される化合物を用いる。好ましくは上記化合物として一般式(1)中のR1が、式(1−1)〜(1−10)で表される基の何れかであり、R3が、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、−SiR19R20R21又は一般式(3)若しくは一般式(4)で表される基である化合物を用いる。【選択図】なし
Description
本発明は、担持体及び担持体を有する電極を備えた光電変換素子に関する。
従来、多様な技術分野において、色素が広く使用されている。一例を挙げると、太陽電池等の光電変換素子の分野では、光増感作用を有する色素が、色素増感型光電変換素子に用いられている。この色素増感型光電変換素子は、理論的に高い光電変換効率が期待でき、従来のシリコン半導体を用いた光電変換素子より低コストで製造できると考えられている。しかしながら、増感色素の吸収波長がシリコンに比較して限定されてしまうため、光の利用効率が低く、素子の光電変換効率が低いという課題があった。また、金属酸化物半導体に担持させた色素が、電解質へ溶出してしまうという問題がある。
色素増感型光電変換素子の変換効率及び耐久性を向上させる手法として、担体と色素の担持性向上の検討がなされている。つまり、物理的・化学的吸着性を向上させることで、色素の励起エネルギーを高効率に担体へ移動させることが可能となり、また、素子中へ色素が溶出する(具体的には、電解液等に溶出する)ことを抑止できる。担持性を向上させる手法として、色素分子に、カルボン酸基がアミド結合した構造を持たせたもの(特許文献1)、色素分子にカルボキシル基を2個持たせたもの(特許文献2)等が開示されている。しかし、色素増感型光電変換素子の主たる用途の一つである太陽電池においては、その用途の特性上高い耐久性が要求されており、公知の色素及び該色素を用いた光電変換素子では未だ十分な耐久性が得られていない。
従って、本発明の目的は、高光変換効率・高耐久性を有する光電変換素子を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有する化合物の少なくとも2種を担持させた作用電極を用いた場合、上記課題を解決することを知見し、本発明に至ったものである。
即ち、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも2種を担持してなる担持体において、一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種が下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする担持体を提供するものである。
(式中、A1は直接結合又は下記式(A1−1)〜(A1−21)で表される基から選ばれる基を1〜9個連結した基であり、
R1は、窒素原子を有する基であり、
R2は、水素原子又はシアノ基を表し、
R3は、担体に結合する部位を有する基を表す。)
(式中、Xは、S、O、NRを表し、Arは、ベンゼン環若しくはベンゼン環が2〜5個縮環した炭化水素環又はフルオレン環を表し、Rは水素原子又は、無置換若しくは置換された炭化水素基を表し、上記式(A1−1)〜(A1−21)で表される基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、−OR5基、−SR5基、−NR5R6基又は、無置換若しくは置換された脂肪族炭化水素基で置換されていてもよく、R5及びR6は、水素原子又は、無置換若しくは置換された炭化水素基を表す。)
(式中、A1'、R2'、R3'は、それぞれ、上記一般式(1)におけるA1、R2、R3と同様の基を表し、
R7、R8、R9、R10は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、−OR11基、−SR11基、−NR12R13基又は、無置換若しくは置換された脂肪族炭化水素基を表し、
R11、R12及びR13は、それぞれ独立に水素原子又は、無置換若しくは置換された炭化水素基を表し、
n1及びn4は、0〜5の整数を表し、
n2及びn3は、0〜4の整数を表し、
R7、R8、R9、R10のそれぞれは互いに連結して環を形成してもよく、また、R7とR8、R8とR9、R9とR10は互いに連結して環を形成してもよい。)
R1は、窒素原子を有する基であり、
R2は、水素原子又はシアノ基を表し、
R3は、担体に結合する部位を有する基を表す。)
R7、R8、R9、R10は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、−OR11基、−SR11基、−NR12R13基又は、無置換若しくは置換された脂肪族炭化水素基を表し、
R11、R12及びR13は、それぞれ独立に水素原子又は、無置換若しくは置換された炭化水素基を表し、
n1及びn4は、0〜5の整数を表し、
n2及びn3は、0〜4の整数を表し、
R7、R8、R9、R10のそれぞれは互いに連結して環を形成してもよく、また、R7とR8、R8とR9、R9とR10は互いに連結して環を形成してもよい。)
また、本発明は、上記担持体を有する電極を備えた光電変換素子を提供するものである。
本発明の担持体は、作用電極として用いた場合、良好な光電変換効率を示すため、太陽電池等の光電変換素子に好適なものである。
以下、本発明の担持体、該担持体を用いてなる光電変換素子について、好ましい実施形態に基づき説明する。
先ず、本発明の担持体に用いられる化合物について説明する。
<一般式(1)で表される化合物>
R1が表す基は、窒素原子を含んでいる基であれば特に限定されないが、窒素原子を含む芳香族複素環や、窒素原子をアリール基で置換したジアリールアミン基等が好ましく用いられる。
窒素原子を含む芳香族複素環としては、ピロール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ピロリジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、ナフチリジン、フタラジン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、フェナントリジン、イミダゾール、アクリジン、ペリミジン、フェナジン、フェノテルラジン、フェノセレナジン、フェノチアジン、フェノキサイジン、テペニジン、キンドリン、キニンドリン、トリフェノジチアジン、ポルフィリン、ポルフィラジン、フタロシアニン等が挙げられ、これらの基は更に置換されていてもよく、ポルフィリン、ポルフィラジン、フタロシアニンは、金属原子が配位していてもよい。また、環のどの部位で置換していてもよい。
R1が表す基は、窒素原子を含んでいる基であれば特に限定されないが、窒素原子を含む芳香族複素環や、窒素原子をアリール基で置換したジアリールアミン基等が好ましく用いられる。
窒素原子を含む芳香族複素環としては、ピロール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ピロリジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、ナフチリジン、フタラジン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、フェナントリジン、イミダゾール、アクリジン、ペリミジン、フェナジン、フェノテルラジン、フェノセレナジン、フェノチアジン、フェノキサイジン、テペニジン、キンドリン、キニンドリン、トリフェノジチアジン、ポルフィリン、ポルフィラジン、フタロシアニン等が挙げられ、これらの基は更に置換されていてもよく、ポルフィリン、ポルフィラジン、フタロシアニンは、金属原子が配位していてもよい。また、環のどの部位で置換していてもよい。
R1が表す基の中でも、下記式(1−1)〜(1−10)で表される基が好ましく用いられ、更にその中でも、式(1−1)、(1−5)、(1−9)、(1−10)で表されるものがより好ましい。尚、式(1−1)〜(1−10)中の*は、これらの式で表される基が、*部分で、隣接する基と結合することを意味する(以下同様)。
(式中、R14は、水素原子又は、無置換若しくは置換された炭化水素基を表し、
R15、R16及びR17は、M2に配位する配位子を表し、
M1及びM2は金属元素を表し、
Ar1及びAr2は、芳香族基を表し、式中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、−OR18基、−SR18基又は無置換若しくは置換された脂肪族炭化水素基で置換されていてもよく、
R18は、水素原子又は無置換若しくは置換された炭化水素基を表し、
R5及びR6は、水素原子又は、無置換若しくは置換された炭化水素基を表す。)
R15、R16及びR17は、M2に配位する配位子を表し、
M1及びM2は金属元素を表し、
Ar1及びAr2は、芳香族基を表し、式中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、−OR18基、−SR18基又は無置換若しくは置換された脂肪族炭化水素基で置換されていてもよく、
R18は、水素原子又は無置換若しくは置換された炭化水素基を表し、
R5及びR6は、水素原子又は、無置換若しくは置換された炭化水素基を表す。)
上記式(1−3)において、M1が表す金属元素としては、具体的には、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Sn、Yb、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Th、U、Mn、Cu、Cr、Fe、Co、Zn、Mo、Ni、Rh等が挙げられ、これらの中でも、Cu、Ti、Ni、Fe、Znが好ましく、Cu又はZnがより好ましい。
上記式(1−6)及び(1−7)において、M2が表す金属元素としては、4配位又は6配位が可能な金属が挙げられ、より好ましくはRu、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、Mn、Znであり、更に好ましくはRu、Fe、Os、Cuであり、特に好ましくはRuである。
上記式(1−6)及び(1−7)において、M2が表す金属元素としては、4配位又は6配位が可能な金属が挙げられ、より好ましくはRu、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、Mn、Znであり、更に好ましくはRu、Fe、Os、Cuであり、特に好ましくはRuである。
上記式(1−6)及び(1−7)において、R15、R16及びR17で表されるM2に配位する配位子としては、単座、二座又は三座の配位子であればよく、また、配位子は中性配位子であっても陰イオン性の配位子であってもよい。具体的な配位子としては、特に限定されないが、好ましくはハロゲン原子、−NCS、シュウ酸、PPh(OMe)2等が挙げられ、より好ましくはハロゲン原子、−NCSである。
上記式(1−9)において、Ar1及びAr2が表す芳香族基としては、フェニル、ナフチル、シクロヘキシルフェニル、ビフェニル、ターフェニル、フルオレイル、チオフェニルフェニル、フラニルフェニル、2’−フェニル−プロピルフェニル、ベンジル、ナフチルメチル等のベンゼン系芳香族基や、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール等の複素芳香族基等が挙げられる。
R14及びR18が表す無置換の炭化水素基としては、芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素で置換された芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル、ナフチル、シクロヘキシルフェニル、ビフェニル、ターフェニル、フルオレイル、チオフェニルフェニル、フラニルフェニル、2’−フェニル−プロピルフェニル、ベンジル、ナフチルメチル等が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、t−ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、t−オクチル、ノニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等の直鎖、分岐及び環状のアルキル基が挙げられる。炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基は、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR22−、−C=C−、−C≡C−で中断されていてもよい。
R22は炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、その例としては、上記炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基が挙げられる。炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基を中断する基が炭素原子を含む場合、中断される基を含めた炭素原子数が1〜20である。
上記脂肪族炭化水素基で置換された芳香族炭化水素基としては、上記脂肪族炭化水素基で置換されたフェニル、ナフチル、ベンジル等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル、ナフチル、シクロヘキシルフェニル、ビフェニル、ターフェニル、フルオレイル、チオフェニルフェニル、フラニルフェニル、2’−フェニル−プロピルフェニル、ベンジル、ナフチルメチル等が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、t−ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、t−オクチル、ノニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等の直鎖、分岐及び環状のアルキル基が挙げられる。炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基は、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR22−、−C=C−、−C≡C−で中断されていてもよい。
R22は炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、その例としては、上記炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基が挙げられる。炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基を中断する基が炭素原子を含む場合、中断される基を含めた炭素原子数が1〜20である。
上記脂肪族炭化水素基で置換された芳香族炭化水素基としては、上記脂肪族炭化水素基で置換されたフェニル、ナフチル、ベンジル等が挙げられる。
R14及びR18が表す置換された炭化水素基としては、前記無置換の炭化水素基として例示した基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、チオール基、−NR23R24基等で置換されているものをいう。R23及びR24は、水素原子又は無置換の若しくは置換された炭化水素基を表す。無置換の若しくは置換された炭化水素基としては、R14及びR18で説明した無置換の又は置換された炭化水素基として例示した基と同様である。
上記式中の水素原子を置換する無置換の若しくは置換された脂肪族炭化水素基としては、R14及びR18で説明した無置換の又は置換された脂肪族炭化水素基として例示した基と同様である。
上記式中の水素原子を置換する無置換の若しくは置換された脂肪族炭化水素基としては、R14及びR18で説明した無置換の又は置換された脂肪族炭化水素基として例示した基と同様である。
上記式中の水素原子の置換位置は特に制限されないが、式(1−10)を例にすると、下記の通りとなる。
(式中、R2、R3、R4及びR5は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、−OR5基、−SR5基、−NR5R6基又は、無置換若しくは置換された脂肪族炭化水素基で置換されていてもよく、R5及びR6は、水素原子又は、無置換若しくは置換された炭化水素基を表す。)
R3が表す基は、本発明の担持体に用いられる担体に結合する部位を有していればよく、特に限定されない。
担体に結合する部位としては、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アルコキシシリル基又はシラノール基等が挙げられる。
R3が表す基の具体例としては、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、−SiR19R20R21又は下記一般式(3)若しくは下記一般式(4)で表される基等が挙げられ、R19、R20、及びR21は水素原子、水酸基、アリル基、炭素原子数6〜10のアリール基又は炭素原子数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基であり、R19、R20、及びR21の少なくとも一つは水酸基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基である。これらの中では、カルボン酸基、−SiR19R20R21、一般式(3)で表される基が好ましく用いられる。
担体に結合する部位としては、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アルコキシシリル基又はシラノール基等が挙げられる。
R3が表す基の具体例としては、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、−SiR19R20R21又は下記一般式(3)若しくは下記一般式(4)で表される基等が挙げられ、R19、R20、及びR21は水素原子、水酸基、アリル基、炭素原子数6〜10のアリール基又は炭素原子数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基であり、R19、R20、及びR21の少なくとも一つは水酸基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基である。これらの中では、カルボン酸基、−SiR19R20R21、一般式(3)で表される基が好ましく用いられる。
上記一般式(3)及び(4)において、R22及びR23が表す−SiR19R20R21で1〜3カ所置換されている炭化水素基における炭化水素基は、R14及びR18で説明した無置換の炭化水素基として例示した基と同様である。
R19、R20、及びR21が表す炭素原子数6〜10のアリール基としては、フェニル、ナフチル等が挙げられ、
炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル等が挙げられ、
炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、s−ブトキシ、t-ブトキシ、イソブトキシ等が挙げられる。
上記一般式(3)及び(4)で表される基の具体例としては、以下のものが挙げられる。尚、具体例は、下記の通り一般式(1)中の部分構造を含む形で記載した。
(式中、R2は、一般式(1)と同義であり、R22及びR23は一般式(3)又は(4)と同義である)
R19、R20、及びR21が表す炭素原子数6〜10のアリール基としては、フェニル、ナフチル等が挙げられ、
炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル等が挙げられ、
炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、s−ブトキシ、t-ブトキシ、イソブトキシ等が挙げられる。
上記一般式(3)及び(4)で表される基の具体例としては、以下のものが挙げられる。尚、具体例は、下記の通り一般式(1)中の部分構造を含む形で記載した。
A1は、直接結合であるか、上記式(A1−1)〜(A1−21)で表される2価の基を1〜9個連結した基であり、好ましくは、1〜7個連結した基であり、更に好ましくは2〜4個連結した基である。尚、式(A1−1)〜(A1−21)で表される基は、それぞれ連結する方向は自由である。
(式中、Xは、S、O、NRを表し、Arは、ベンゼン環若しくはベンゼン環が2〜5個縮環した炭化水素環又はフルオレン環を表し、Rは水素原子又は、無置換若しくは置換された炭化水素基を表し、式(A1−1)〜(A1−21)で表される基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、−OR5基、−SR5基、−NR5R6基又は、無置換若しくは置換された脂肪族炭化水素基で置換されていてもよく、R5及びR6は、水素原子又は、無置換若しくは置換された炭化水素基を表す。)
Arが表すベンゼン環が2〜5個縮環した炭化水素環としては、ナフタレン環、フェナントレ環、アントラセン環、3,4−ベンゾピレン環等が挙げられる。
R、R5及びR6が表す無置換若しくは置換された炭化水素基としては、R14及びR18で説明した無置換の又は置換された炭化水素基として例示した基と同様である。
R、R5及びR6が表す無置換若しくは置換された炭化水素基としては、R14及びR18で説明した無置換の又は置換された炭化水素基として例示した基と同様である。
式(A1−1)〜(A1−21)で表される2価の基を1〜9個連結した基の一例を示すと、♯A1(1)〜♯A1(17)となる。以下に示す♯A1(1)〜♯A1(17)において、それぞれ連結する方向は自由である。尚、以下には、置換基を有していないものを示しているが、上記の通り、A1は置換基を有していてもよい。
(式中、X及びArは、式(A1−1)〜(A1−21)と同義である。また、♯A1(1)〜♯A1(21)中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、−OR5基、−SR5基、−NR5R6基又は、無置換若しくは置換された脂肪族炭化水素基で置換されていてもよく、R5及びR6は、式(A1−1)〜(A1−21)と同義である。)
さらに式(A1−1)〜(A1−21)で表される2価の基を1〜9個連結した基の別の一例を示すと、♯A1(18)〜♯A1(27)となる。以下に示す♯A1(18)〜♯A1(27)において、それぞれ連結する方向は自由である。尚、以下には、置換基を有していないものを示しているが、上記の通り、A1は置換基を有していてもよい。
(式中、X及びArは、式(A1−1)〜(A1−21)と同義である。また、♯A1(18)〜♯A1(26)中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、−OR5基、−SR5基、−NR5R6基又は、無置換若しくは置換された脂肪族炭化水素基で置換されていてもよく、R5及びR6は、式(A1−1)〜(A1−21)と同義である。)
また、♯A1(1)〜♯A1(17)及び♯A1(18)〜♯A1(27)が置換基を有する場合の一例を示すと、♯A1'(1)〜♯A1'(17)−2及び♯A1'(18)〜♯A1'(26)となる。以下に示す♯A1'(1)〜♯A1'(17)−2及び♯A1'(18)〜♯A1'(26)において、それぞれ連結する方向は自由である。
(式中のR1'、R2'、R3'、R4'及びR5'はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、−OR5基、−SR5基、−NR5R6基又は、無置換若しくは置換された脂肪族炭化水素基を表し、R5及びR6は、水素原子又は、無置換若しくは置換された炭化水素基を表す。)
R1'、R2'、R3'、R4'及びR5'としては、無置換若しくは置換された脂肪族炭化水素基が好ましく、無置換若しくはハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜12のアルキル基が好ましい。
R1'、R2'、R3'、R4'及びR5'としては、無置換若しくは置換された脂肪族炭化水素基が好ましく、無置換若しくはハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜12のアルキル基が好ましい。
♯A1(1)〜♯A1(17)及び♯A1(18)〜♯A1(27)の具体例を示すと
以下のA1(1)〜A1(17)及びA1(18)〜A1(27)が挙げられる。以下に示すA1(1)〜A1(17)及びA1(18)〜A1(27)において、それぞれ連結する方向は自由である。
尚、以下には、置換基を有していないものを示しているが、上記の通り、A1は置換基を有していてもよい。
以下のA1(1)〜A1(17)及びA1(18)〜A1(27)が挙げられる。以下に示すA1(1)〜A1(17)及びA1(18)〜A1(27)において、それぞれ連結する方向は自由である。
尚、以下には、置換基を有していないものを示しているが、上記の通り、A1は置換基を有していてもよい。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、以下のNo.1〜22及びNo.101〜109の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。尚、構造式中のBuは、n−ブチル基を表し、Hexはn−ヘキシル基を表し、Octはn−オクチルを表し、Nonはn−ノニル基を表し、Undはn−ウンデシル基を表す。
<一般式(2)で表される化合物>
本発明の担持体に用いられる化合物には、一般式(1)で表される化合物の少なくとも2種を含むものであり、その内の少なくとも1種は、一般式(2)で表される化合物である。
R7、R8、R9、R10、R11、R12及びR13が表す、無置換又は置換された炭化水素基としては、R11の説明で用いた基と同様の基をとることができる。
R7、R8、R9、R10のそれぞれが互いに連結して形成される環、或いはR7とR8、R8とR9、R9とR10が互いに連結して形成される環としては、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環等が挙げられる。
本発明の担持体に用いられる化合物には、一般式(1)で表される化合物の少なくとも2種を含むものであり、その内の少なくとも1種は、一般式(2)で表される化合物である。
R7、R8、R9、R10、R11、R12及びR13が表す、無置換又は置換された炭化水素基としては、R11の説明で用いた基と同様の基をとることができる。
R7、R8、R9、R10のそれぞれが互いに連結して形成される環、或いはR7とR8、R8とR9、R9とR10が互いに連結して形成される環としては、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環等が挙げられる。
上記一般式(2)で表される化合物の具体例としては、上記のNo.101〜109の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<本発明の担持体>
本発明の担持体に用いられる材料(担体)としては、アクリル樹脂、フッ素樹脂等の有機樹脂、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム等の金属酸化物、酸化ケイ素、ゼオライト、活性炭等が挙げられ、表面が多孔質であるものが好ましい。上記担体の形状は、特に制限されず、例えば、膜状、粉状、粒状等の形状から、担持体の用途によって適宜選択すればよい。
本発明の担持体に用いられる材料(担体)としては、アクリル樹脂、フッ素樹脂等の有機樹脂、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム等の金属酸化物、酸化ケイ素、ゼオライト、活性炭等が挙げられ、表面が多孔質であるものが好ましい。上記担体の形状は、特に制限されず、例えば、膜状、粉状、粒状等の形状から、担持体の用途によって適宜選択すればよい。
本発明の担持体は、担持させる化合物が、上記一般式(1)で表される化合物の少なくとも2種を用い、更に、そのうちの少なくとも1種が一般式(2)で表される化合物であることを特徴としているが、その他の化合物を併せて用いることもできる。一般式(1)のみで表される化合物及び一般式(2)で表される化合物の担持量は、特に制限されず、担持体の用途によって適宜選択すればよい。
本発明の担持体を以下で説明する光電変換素子に用いる場合、光電変換効率に優れる点で、一般式(1)のみで表される化合物及び一般式(2)で表される化合物の合計の使用量は、一般式(1)のみで表される化合物、一般式(2)で表される化合物及びその他の化合物の内、10質量%以上で用いられ、好ましくは30質量%以上であり、更に好ましくは50質量%以上であり、特に好ましくは70質量%以上である。
本発明の担持体を以下で説明する光電変換素子に用いる場合、光電変換効率に優れる点で、一般式(1)のみで表される化合物及び一般式(2)で表される化合物の合計の使用量は、一般式(1)のみで表される化合物、一般式(2)で表される化合物及びその他の化合物の内、10質量%以上で用いられ、好ましくは30質量%以上であり、更に好ましくは50質量%以上であり、特に好ましくは70質量%以上である。
一般式(1)のみで表される化合物と一般式(2)で表される化合物のモル比率は、(一般式(1)のみで表される化合物):(一般式(2)で表される化合物)=0:100〜95:5であることが好ましく、10:90〜90:10であることがより好ましい。
上記担体に、一般式(1)のみで表される化合物、一般式(2)で表される化合物、及びその他の化合物を担持させる方法としては、公知の気相吸着、液相吸着等の方法を用いることが可能である。例えば、液相吸着の例として、溶媒に一般式(1)のみで表される化合物、一般式(2)で表される化合物及びその他の化合物を溶解し、その溶液に上記担体を浸漬することで、一般式(1)のみで表される化合物、一般式(2)で表される化合物及びその他の化合物を担体に吸着させる方法が挙げられる。また、複数の化合物をそれぞれ別の溶媒に溶解し、上記担体をそれぞれの溶液に浸漬して、一般式(1)のみで表される化合物及び一般式(2)で表される化合物及びその他化合物をそれぞれ担体に担持させることによって、本発明の担持体とすることができる。
本発明の担持体の好ましい製造方法においては、最初に、導電性基板11の導電層11Bが形成されている面に多孔質構造を有する金属酸化物半導体層12を電解析出法や焼成法により形成する。金属酸化物半導体層を電解析出法により形成する場合には、例えば、金属酸化物半導体材料となる金属塩を含む電解浴を、酸素や空気によるバブリングを行いながら、所定の温度とし、その中に導電性基板11を浸漬し、対極との間で一定の電圧を印加する。これにより、導電層11B上に、多孔質構造を有するように金属酸化物半導体材料を析出させる。この際、対極は、電解浴中において適宜運動させるようにしてもよい。また、金属酸化物半導体層を焼成法により形成する場合には、例えば、金属酸化物半導体材料の粉末を分散媒に分散させることにより調製した金属酸化物スラリーを導電性基板11に塗布して乾燥させたのち焼成し、多孔質構造を有するようにする。続いて、有機溶媒に一般式(1)で表させる化合物等の色素13が溶解した色素溶液を調製する。この色素溶液に金属酸化物半導体層12が形成された導電性基板11を浸漬することにより、金属酸化物半導体層12に色素13を担持させる。
本発明の担持体は、以下で説明する光電変換素子に好適に用いられるほか、触媒、トナー等にも用いることができる。
次に、本発明の光電変換素子について説明する。
本発明の光電変換素子は、色素増感型光電変換素子であり、色素として一般式(1)で表される化合物(増感色素)を用いる点以外は、従来の色素増感型光電変換素子と同様とすることができる。以下、本発明の光電変換素子の代表的な構成例について、図1及び図2を参照して説明する。
本発明の光電変換素子は、色素増感型光電変換素子であり、色素として一般式(1)で表される化合物(増感色素)を用いる点以外は、従来の色素増感型光電変換素子と同様とすることができる。以下、本発明の光電変換素子の代表的な構成例について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、本発明の光電変換素子の一例の断面構成を模式的に表すものであり、図2は、図1に示した光電変換素子の主要部を抜粋し拡大して表すものである。図1及び図2に示した光電変換素子は、いわゆる色素増感型太陽電池の主要部である。この光電変換素子は、作用電極10と対向電極20とが電解質含有層30を介して対向配置されたものであり、作用電極10及び対向電極20のうちの少なくとも一方は、光透過性を有する電極である。
作用電極10は、例えば、導電性基板11と、その一方の面(対向電極20の側の面)に設けられた金属酸化物半導体層12と、金属酸化物半導体層12に担持された色素13とを有している。本発明の光電変換素子においては、色素13が、一般式(1)で表される化合物(増感色素)の少なくとも2種を含むものであり、前記色素13と、それを担持する金属酸化物半導体層12との複合体が、本発明の担持体である。
作用電極10は、外部回路に対して、負極として機能するものである。導電性基板11は、例えば、絶縁性の基板11Aの表面に導電層11Bを設けたものである。
作用電極10は、外部回路に対して、負極として機能するものである。導電性基板11は、例えば、絶縁性の基板11Aの表面に導電層11Bを設けたものである。
基板11Aの材料としては、例えば、ガラス、プラスチック等の絶縁性材料が挙げられる。プラスチックは、例えば透明ポリマーフィルムの形態で用いられ、透明ポリマーフィルムを形成するプラスチックとしては、例えば、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン或いはブロム化フェノキシ等が挙げられる。
導電層11Bとしては、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)或いは酸化スズにフッ素をドープしたもの(FTO:F−SnO2)等を含む導電性金属酸化物薄膜や、金(Au)、銀(Ag)或いは白金(Pt)等を含む金属薄膜及び金属メッシュ、導電性高分子等で形成されたもの等が挙げられる。
導電性基板11は、例えば、導電性を有する材料によって単層構造となるように構成されていてもよく、その場合、導電性基板11の材料としては、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、インジウム−スズ複合酸化物或いは酸化スズにフッ素をドープしたもの等の導電性金属酸化物や、金、銀或いは白金等の金属や、導電性高分子等が挙げられる。
金属酸化物半導体層12は、色素13を担持する担体であり、例えば、図2に示したように多孔質構造を有している。金属酸化物半導体層12は、緻密層12Aと多孔質層12Bとから形成されている。緻密層12Aは、導電性基板11との界面において形成され、緻密で空隙の少ないものであることが好ましく、膜状であることがより好ましい。多孔質層12Bは、電解質含有層30と接する表面において形成され、空隙が多く、表面積の大きな構造であることが好ましく、特に、多孔質の微粒子が付着している構造であることがより好ましい。なお、金属酸化物半導体層12は、例えば、膜状の単層構造となるように形成されていてもよい。本発明において、担持とは、色素13が、多孔質層12Bと化学的、物理的若しくは電気的に結合又は吸着している状態である。
金属酸化物半導体層12に含まれる材料(金属酸化物半導体材料)としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化バナジウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム或いは酸化マグネシウム等が挙げられる。中でも、金属酸化物半導体材料としては、高い変換効率が得られるため、酸化チタン及び酸化亜鉛が好ましい。また、これらの金属酸化物半導体材料は、いずれか1種を単独で用いてもよいが、2種以上を複合(混合、混晶、固溶体、表面被覆等)させて用いてもよく、例えば、酸化チタン及び酸化亜鉛等の組み合わせで使用することもできる。
多孔質構造を有する金属酸化物半導体層12の形成方法としては、例えば、電解析出法や、塗布法や、焼成法等が挙げられる。電解析出法により金属酸化物半導体層12を形成する場合には、金属酸化物半導体材料の微粒子を含む電解浴液中において、導電性基板11の導電層11B上にその微粒子を付着させると共に金属酸化物半導体材料を析出させる。塗布法により金属酸化物半導体層12を形成する場合には、金属酸化物半導体材料の微粒子を分散させた分散液(金属酸化物スラリー)を導電性基板11の上に塗布したのち、分散液中の分散媒を除去するために乾燥させる。焼結法により金属酸化物半導体層12を形成する場合には、塗布法と同様にして金属酸化物スラリーを導電性基板11の上に塗布、乾燥したのち、焼成する。中でも、電解析出法或いは塗布法により金属酸化物半導体層12を形成すれば、基板11Aとして耐熱性が低いプラスチック材料やポリマーフィルム材料を用いることができるため、フレキシブル性の高い電極を作製することができる。
また、金属酸化物半導体層12は、有機塩基、尿素誘導体、環状糖鎖を用いて処理してもよい。有機塩基としては、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン、キノリン、ピペリジン、アミジン、4−トリメチルシリルピリジン等の有機塩基が挙げられる。該処理は、下記で説明する色素13を吸着させる前でも後でもよい。処理方法としては浸漬処理が挙げられ、処理剤が固体の場合、有機溶媒に溶解した上で浸漬処理すればよい。
色素13は、金属酸化物半導体層12に対して、例えば吸着しており、光を吸収して励起されることにより、電子を金属酸化物半導体層12へ注入することが可能な2種以上の色素(増感色素)を含んでいる。本発明の光電変換素子において、一般式(1)で表される化合物の少なくとも2種を含み、且つそのうちの少なくとも1種が一般式(2)で表される化合物であるものが色素13に該当するものである。色素13として、一般式(1)で表される化合物の少なくとも2種であり、且つそのうちの少なくとも1種に一般式(2)で表される化合物を用いると、色素13全体として、照射された光量に対する金属酸化物半導体層12への電子注入量の割合が高くなるため、変換効率が向上する。
色素13は、一般式(1)で表される化合物を少なくとも2種含んでおり、且つそのうちの1種が一般式(2)で表させる化合物であればよく、その他の有機色素や有機金属錯体化合物を含んでいてもよい。その他の有機色素や金属錯体化合物は、好ましくは金属酸化物半導体層12(担体)に吸着できる基を有する色素が好ましい。金属酸化物半導体層に吸着できる基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、シリル基等が挙げられる。
その他の有機色素としては、エオシンY、ジブロモフルオレセイン、フルオレセイン、ローダミンB 、ピロガロール、ジクロロフルオレセイン、エリスロシンB(エリスロシンは登録商標)、フルオレシン、マーキュロクロム、メロシアニンジスアゾ系色素、トリスアゾ系色素、アントラキノン系色素、多環キノン系色素、インジゴ系色素、ジフェニルメタン系色素、トリメチルメタン系色素、キノリン系色素、ベンゾフェノン系色素、ナフトキノン系色素、ペリレン系色素、フルオレノン系色素、スクワリリウム系色素、アズレニウム系色素、ペリノン系色素、キナクリドン系色素、無金属フタロシアニン系色素、無金属ポルフィリン系色素又は無金属アザポルフィリン系色素等が挙げられる。
有機金属錯体化合物としては、芳香族複素環内にある窒素アニオンと金属カチオンとで形成されるイオン性の配位結合と、窒素原子又はカルコゲン原子と金属カチオンとの間に形成される非イオン性配位結合の両方を有する有機金属錯体化合物や、酸素アニオン又は硫黄アニオンと金属カチオンとで形成されるイオン性の配位結合と、窒素原子又はカルコゲン原子と金属カチオンとの間に形成される非イオン性配位結合の両方を有する有機金属錯体化合物等が挙げられる。具体的には、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、コバルトフタロシアニン、ニッケルフタロシアニン、鉄フタロシアニン等の金属フタロシアニン系色素、金属ナフタロシアニン系色素、金属ポルフィリン系色素、金属アザポルフィリン系色素ならびにルテニウム、鉄、オスミウムを用いたビピリジル金属錯体、ターピリジル金属錯体、フェナントロリン金属錯体、ビシンコニン酸金属錯体、アゾ金属錯体或いはキノリノール金属錯体等のルテニウム錯体等が挙げられる。
有機金属錯体化合物としては、芳香族複素環内にある窒素アニオンと金属カチオンとで形成されるイオン性の配位結合と、窒素原子又はカルコゲン原子と金属カチオンとの間に形成される非イオン性配位結合の両方を有する有機金属錯体化合物や、酸素アニオン又は硫黄アニオンと金属カチオンとで形成されるイオン性の配位結合と、窒素原子又はカルコゲン原子と金属カチオンとの間に形成される非イオン性配位結合の両方を有する有機金属錯体化合物等が挙げられる。具体的には、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、コバルトフタロシアニン、ニッケルフタロシアニン、鉄フタロシアニン等の金属フタロシアニン系色素、金属ナフタロシアニン系色素、金属ポルフィリン系色素、金属アザポルフィリン系色素ならびにルテニウム、鉄、オスミウムを用いたビピリジル金属錯体、ターピリジル金属錯体、フェナントロリン金属錯体、ビシンコニン酸金属錯体、アゾ金属錯体或いはキノリノール金属錯体等のルテニウム錯体等が挙げられる。
また、色素13は、上記した一般式(1)のみで表される化合物、一般式(2)で表される化合物及びその他の色素の他に、1種或いは2種以上の添加剤を含んでいてもよい。この添加剤としては、例えば、色素中の化合物の会合を抑制する会合抑制剤が挙げられ、具体的には、化学式(14)で表されるコール酸系化合物等である。これらは単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
対向電極20は、例えば、導電性基板21に導電層22が設けられたものであり、外部回路に対して正極として機能するものである。導電性基板21の材料としては、例えば、作用電極10の導電性基板11の基板11Aの材料と同様のものが挙げられる。導電層22は、1種或いは2種以上の導電材と、必要に応じて結着材を含んで構成されている。導電層22に用いられる導電材としては、例えば、白金、金、銀、銅(Cu)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)或いはインジウム(In)等の金属、炭素(C)、又は導電性高分子等が挙げられる。また、導電層22に用いられる結着材としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、セルロース、メラミン樹脂、フロロエラストマー又はポリイミド樹脂等が挙げられる。なお、対向電極20は、例えば、導電層22の単層構造であってもよい。
電解質含有層30は、例えば、酸化還元対を有するレドックス電解質を含んで構成されている。レドックス電解質としては、例えば、I-/I3 -系、Br-/Br3 -系、キノン/ハイドロキノン系、Co錯体系又はニトロキシラジカル化合物系等が挙げられる。具体的には、ヨウ化物塩とヨウ素単体とを組み合わせたもの、又は臭化物塩と臭素単体とを組み合わせたもの等のハロゲン化物塩とハロゲン単体とを組み合わせたもの等である。このハロゲン化物塩としては、ハロゲン化セシウム、ハロゲン化四級アルキルアンモニウム類、ハロゲン化イミダゾリウム類、ハロゲン化チアゾリウム類、ハロゲン化オキサゾリウム類、ハロゲン化キノリニウム類或いはハロゲン化ピリジニウム類等が挙げられる。具体的には、ヨウ化物塩としては、例えば、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化セシウムや、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラペンチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、テトラへプチルアンモニウムヨージド或いはトリメチルフェニルアンモニウムヨージド等の四級アルキルアンモニウムヨージド類や、3−メチルイミダゾリウムヨージド或いは1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヨージド等のイミダゾリウムヨージド類や、3−エチル−2−メチル−2−チアゾリウムヨージド、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムヨージド或いは3−エチル−2−メチルベンゾチアゾリウムヨージド等のチアゾリウムヨージド類や、3−エチル−2−メチル−ベンゾオキサゾリウムヨージド等のオキサゾリウムヨージド類や、1−エチル−2−メチルキノリニウムヨージド等のキノリニウムヨージド類や、ピリジニウムヨージド類等が挙げられる。また、臭化物塩としては、例えば、四級アルキルアンモニウムブロミド等が挙げられる。ハロゲン化物塩とハロゲン単体とを組み合わせたものの中でも、上記したヨウ化物塩のうちの少なくとも1種とヨウ素単体との組み合わせが好ましい。
また、レドックス電解質は、例えば、イオン性液体とハロゲン単体とを組み合わせたものでもよい。この場合には、さらに上記したハロゲン化物塩等を含んでいてもよい。イオン性液体としては、電池や太陽電池等において使用可能なものが挙げられ、例えば、「Inorg.Chem」1996,35,p1168〜1178、「Electrochemistry」2002,2,p130〜136、特表平9−507334号公報、又は特開平8−259543号公報等に開示されているものが挙げられる。中でも、イオン性液体としては、室温(25℃)より低い融点を有する塩、又は室温よりも高い融点を有していても他の溶融塩等と溶解することにより室温で液状化する塩が好ましい。このイオン性液体の具体例としては、以下に示したアニオン及びカチオン等が挙げられる。
イオン性液体のカチオンとしては、例えば、アンモニウム、イミダゾリウム、オキサゾリウム、チアゾリウム、オキサジアゾリウム、トリアゾリウム、ピロリジニウム、ピリジニウム、ピペリジニウム、ピラゾリウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、トリアジニウム、ホスホニウム、スルホニウム、カルバゾリウム、インドリウム、又はそれらの誘導体が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、複数種を混合して用いられてもよい。具体的には、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム或いは1−エチル−3−メチルイミダゾリウム等が挙げられる。
イオン性液体のアニオンとしては、AlCl4 -或いはAl2Cl7 -等の金属塩化物や、PF6 -、BF4 -、CF3SO3 -、N(CF3SO2)2 -、F(HF)n -或いはCF3COO-等のフッ素含有物イオンや、NO3 -、CH3COO-、C6H11COO-、CH3OSO3 -、CH3OSO2 -、CH3SO3 -、CH3SO2 -、(CH3O)2PO2 -、N(CN)2 -或いはSCN-等の非フッ素化合物イオンや、ヨウ化物イオン或いは臭化物イオン等のハロゲン化物イオンが挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、複数種を混合して用いられてもよい。中でも、このイオン性液体のアニオンとしては、ヨウ化物イオンが好ましい。
電解質含有層30には、上記したレドックス電解質を溶媒に対して溶解させた液状の電解質(電解液)を用いてもよいし、電解液を高分子物質中に保持させた固体高分子電解質を用いてもよい。また、電解液とカーボンブラック等の粒子状の炭素材料とを混合して含む凝固体状(ペースト状)の電解質を用いてもよい。なお、炭素材料を含む凝固体状の電解質では、炭素材料が酸化還元反応を触媒する機能を有するため、電解質中にハロゲン単体を含まなくてもよい。このようなレドックス電解質は、上記したハロゲン化物塩やイオン性液体等を溶解する有機溶媒のいずれか1種或いは2種以上を含んでいてもよい。この有機溶媒としては、電気化学的に不活性なものが挙げられ、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、プロピオニトリル、ブチロニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、バレロニトリル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、N−メチルピロリドン、ペンタノール、キノリン、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド或いは1,4−ジオキサン等が挙げられる。
また、電解質含有層30には、光電変換素子の発電効率向上、耐久性向上等の目的で、非円環状糖類(特開2005−093313号公報)、ピリジン系化合物(特開2003−331936号公報)、尿素誘導体(特開2003−168493号公報)、層状粘土鉱物(特表2007−531206号公報)、ジベンジリデン−D−ソルビトール、コレステロール誘導体、アミノ酸誘導体、トランス−(1R,2R)−1,2−シクロヘキサンジアミンのアルキルアミド誘導体、アルキル尿素誘導体、N−オクチル−D−グルコンアミドベンゾエート、双頭型アミノ酸誘導体、4級アンモニウム誘導体等を添加してもよい。
この光電変換素子では、作用電極10に担持された色素13に対して光(太陽光又は、太陽光と同等の紫外光、可視光或いは近赤外光)が照射されると、その光を吸収して励起した色素13が電子を金属酸化物半導体層12へ注入する。その電子が隣接した導電層11Bに移動したのち外部回路を経由して、対向電極20に到達する。一方、電解質含有層30では、電子の移動に伴い酸化された色素13を基底状態に戻す(還元する)ように、電解質が酸化される。この酸化された電解質が上記対向電極20に到達した電子を受け取ることによって還元される。このようにして、作用電極10及び対向電極20の間における電子の移動と、これに伴う電解質含有層30における酸化還元反応とが繰り返される。これにより、連続的な電子の移動が生じ、定常的に光電変換が行われる。
本発明の光電変換素子は、例えば、以下のように製造することができる。
まず、作用電極10を作製する。最初に、導電性基板11の導電層11Bが形成されている面に多孔質構造を有する金属酸化物半導体層12を電解析出法や焼成法により形成する。電解析出法により形成する場合には、例えば、金属酸化物半導体材料となる金属塩を含む電解浴を、酸素や空気によるバブリングを行いながら、所定の温度とし、その中に導電性基板11を浸漬し、対極との間で一定の電圧を印加する。これにより、導電層11B上に、多孔質構造を有するように金属酸化物半導体材料を析出させる。この際、対極は、電解浴中において適宜運動させるようにしてもよい。また、焼成法により形成する場合には、例えば、金属酸化物半導体材料の粉末を分散媒に分散させることにより調製した金属酸化物スラリーを導電性基板11に塗布して乾燥させたのち焼成し、多孔質構造を有するようにする。続いて、有機溶媒に一般式(1)で表される化合物の少なくとも2種であり、且つそのうちの少なくとも1種が一般式(2)で表される化合物を含む色素13を溶解した色素溶液を調製する。この色素溶液に金属酸化物半導体層12が形成された導電性基板11を浸漬することにより、金属酸化物半導体層12に色素13を担持させる。
上記色素溶液における色素(一般式(1)のみで表される化合物、一般式(2)で表される化合物、その他の有機色素、金属錯体化合物の合計)の濃度は、1.0×10-5〜1.0×10-2mol/dm3が好ましく、5.0×10-5〜1.0×10-3mol/dm3がより好ましい。上記色素溶液に用いる有機溶媒は、色素を溶解できるものであれば特に制限はなく、具体例としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の炭化水素類;メタノール、エタノール、t−ブタノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルジグリコール等のエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等のエステル類;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ化アルコール類;メチレンジクロライド、ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素類;アセトニトリル、テトラヒドロフラン等が挙げられ、これらの有機溶媒を任意に混合してもよい。好ましくは、トルエン、アセトニトリル、アルコール類であり、更に好ましくはアセトニトリル、アルコール類である。
次に、導電性基板21の片面に導電層22を形成することにより、対向電極20を作製する。導電層22は、例えば、導電材をスパッタリングすることにより形成する。
最後に、作用電極10の色素13を担持した面と、対向電極20の導電層22を形成した面とが所定の間隔を保つと共に対向するように、封止剤等のスペーサ(図示せず)を介して貼り合わせ、例えば、電解質の注入口を除いて全体を封止する。続いて、作用電極10と対向電極20との間に、電解質を注入したのち注入口を封止することにより、電解質含有層30を形成する。これにより図1及び図2に示した光電変換素子が完成する。
上記した光電変換素子では、作用電極10と対向電極20との間に電解質含有層30を設けた場合について説明したが、電解質含有層30に代えて固体電荷移動層を設けてもよい。この場合、固体電荷移動層は、例えば、固体中のキャリアー移動が電気伝導にかかわる材料を有している。この材料としては、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料等が好ましい。
正孔輸送材料としては、芳香族アミン類や、トリフェニレン誘導体類等が好ましく、例えば、オリゴチオフェン化合物、ポリピロール、ポリアセチレン或いはその誘導体、ポリ(p−フェニレン)或いはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)或いはその誘導体、ポリチエニレンビニレン或いはその誘導体、ポリチオフェン或いはその誘導体、ポリアニリン或いはその誘導体、ポリトルイジン或いはその誘導体等の有機導電性高分子等が挙げられる。
また、正孔輸送材料としては、例えば、p型無機化合物半導体を用いてもよい。このp型無機化合物半導体は、バンドギャップが2eV以上であることが好ましく、さらに、2.5eV以上であることがより好ましい。また、p型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルは色素の正孔を還元できる条件から、作用電極10のイオン化ポテンシャルより小さいことが必要である。使用する色素によってp型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルの好ましい範囲は異なってくるが、そのイオン化ポテンシャルは、4.5eV以上5.5eV以下の範囲内であることが好ましく、さらに4.7eV以上5.3eV以下の範囲内であることがより好ましい。
p型無機化合物半導体としては、例えば、1価の銅を含む化合物半導体等が挙げられる。1価の銅を含む化合物半導体の一例としては、CuI、CuSCN、CuInSe2、Cu(In,Ga)Se2、CuGaSe2、Cu2O、CuS、CuGaS2、CuInS2、CuAlSe2等がある。このほかのp型無機化合物半導体としては、例えば、GaP、NiO、CoO、FeO、Bi2O3、MoO2又はCr2O3等が挙げられる。
このような固体電荷移動層の形成方法としては、例えば、作用電極10の上に直接、固体電荷移動層を形成する方法があり、そののち対向電極20を形成付与してもよい。
有機導電性高分子を含む正孔輸送材料は、例えば、真空蒸着法、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解重合法又は光電解重合法等の手法により電極内部に導入することができる。無機固体化合物の場合も、例えば、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法又は電解メッキ法等の手法により電極内部に導入することができる。このように形成される固体電荷移動層(特に、正孔輸送材料を有するもの)の一部は、金属酸化物半導体層12の多孔質構造の隙間に部分的に浸透し、直接接触する形態となることが好ましい。
本発明の光電変換素子の使用用途は、前述した太陽電池の用途に限らず、他の用途であってもよい。他の用途としては、例えば、光センサ等が挙げられる。
以下、本発明の担持体(作用電極)の実施例及び比較例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
<酸化チタン担体の製造(導電性基板11)>
縦2.0cm×横1.5cm×厚さ1.1mmの導電性ガラス基板(F−SnO2)よりなる導電性基板11を用意した。続いて、導電性基板11に、縦0.5cm×横0.5cmの四角形を囲むように厚さ70μmのマスキングテープを貼り、この四角形の部分に金属酸化物スラリー3cm3を一様の厚さとなるように塗布して乾燥させた。金属酸化物スラリーとしては、10重量%となるように酸化チタン粉末(TiO2、日揮触媒化成社製PST−18NR)を、水に懸濁したものを用いた。続いて、導電性基板11上のマスキングテープを剥がし取り、この基板を電気炉により450℃、30分で焼成し、厚さ約5μmの金属酸化物半導体層12を形成した。
縦2.0cm×横1.5cm×厚さ1.1mmの導電性ガラス基板(F−SnO2)よりなる導電性基板11を用意した。続いて、導電性基板11に、縦0.5cm×横0.5cmの四角形を囲むように厚さ70μmのマスキングテープを貼り、この四角形の部分に金属酸化物スラリー3cm3を一様の厚さとなるように塗布して乾燥させた。金属酸化物スラリーとしては、10重量%となるように酸化チタン粉末(TiO2、日揮触媒化成社製PST−18NR)を、水に懸濁したものを用いた。続いて、導電性基板11上のマスキングテープを剥がし取り、この基板を電気炉により450℃、30分で焼成し、厚さ約5μmの金属酸化物半導体層12を形成した。
<担持体(作用電極10)の製造>
〔表1〕に示す内容で、濃度が0.3mMの色素溶液を調整し、続いて、上記で製造した酸化チタンを担体とする導電性基板11を浸漬させ、化合物を担持させた作用電極10を作製した。色素溶液を複数用いている場合、第1の浸漬後、乾燥により十分に溶媒を除去してから、第2以降の色素溶液へ浸漬するようにした。
〔表1〕に示す内容で、濃度が0.3mMの色素溶液を調整し、続いて、上記で製造した酸化チタンを担体とする導電性基板11を浸漬させ、化合物を担持させた作用電極10を作製した。色素溶液を複数用いている場合、第1の浸漬後、乾燥により十分に溶媒を除去してから、第2以降の色素溶液へ浸漬するようにした。
<光電変換素子の製造及び変換効率評価>
図1に示すように、作製した作用電極10と、導電性基板21としてPtコートステンレス板(対向電極20)とを、スペーサー(63μm)を介して対向させ、それらの間に電解質含有層30を配し、これらをクリップで固定し、電解質含有層30に電解液〔アセトニトリルに対して、ヨウ化リチウム(0.50mol/dm3)、ヨウ素(0.05mol/dm3)を、それぞれ所定の濃度になるように混合したもの〕を浸透させ、光電変換素子を作製した。セル上部を開口部1cm2のマスクで覆い、AM−1.5G、100mW/cm2のソーラーシミュレーターで変換効率(%)を測定した。結果を[表2]に示す。
図1に示すように、作製した作用電極10と、導電性基板21としてPtコートステンレス板(対向電極20)とを、スペーサー(63μm)を介して対向させ、それらの間に電解質含有層30を配し、これらをクリップで固定し、電解質含有層30に電解液〔アセトニトリルに対して、ヨウ化リチウム(0.50mol/dm3)、ヨウ素(0.05mol/dm3)を、それぞれ所定の濃度になるように混合したもの〕を浸透させ、光電変換素子を作製した。セル上部を開口部1cm2のマスクで覆い、AM−1.5G、100mW/cm2のソーラーシミュレーターで変換効率(%)を測定した。結果を[表2]に示す。
表2の結果より、本発明の担持体は、光電変換素子用の電極として用いた場合、高い変換効率を維持できることが明らかなため有用なものである。
10 作用電極
11 導電性基板
11A 基板
11B 導電層
12 金属酸化物半導体層
12A 緻密層
12B 多孔質層
13 色素
20 対向電極
21 導電性基板
22 導電層
30 電解質含有層
11 導電性基板
11A 基板
11B 導電層
12 金属酸化物半導体層
12A 緻密層
12B 多孔質層
13 色素
20 対向電極
21 導電性基板
22 導電層
30 電解質含有層
Claims (4)
- 下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも2種を担持してなる担持体において、
一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種が下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする担持体。
R1は、窒素原子を有する基であり、
R2は、水素原子又はシアノ基を表し、
R3は、担体に結合する部位を有する基を表す。)
R7、R8、R9、R10は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、−OR11基、−SR11基、−NR12R13基又は、無置換若しくは置換された脂肪族炭化水素基を表し、
R11、R12及びR13は、それぞれ独立に水素原子又は、無置換若しくは置換された炭化水素基を表し、
n1及びn4は、0〜5の整数を表し、
n2及びn3は、0〜4の整数を表し、
R7、R8、R9、R10のそれぞれは互いに連結して環を形成してもよく、また、R7とR8、R8とR9、R9とR10は互いに連結して環を形成してもよい。) - R3が、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、−SiR19R20R21又は下記一般式(3)若しくは下記一般式(4)で表される基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の担持体。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載の担持体を有する電極を備えた光電変換素子。
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