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JP2015227437A - 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、その硬化膜を用いた積層体及び成形体 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、その硬化膜を用いた積層体及び成形体 Download PDF

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JP2015227437A
JP2015227437A JP2014217144A JP2014217144A JP2015227437A JP 2015227437 A JP2015227437 A JP 2015227437A JP 2014217144 A JP2014217144 A JP 2014217144A JP 2014217144 A JP2014217144 A JP 2014217144A JP 2015227437 A JP2015227437 A JP 2015227437A
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Japan
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resin
resin composition
active energy
monomer
layer
Prior art date
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Application number
JP2014217144A
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English (en)
Inventor
祐二 川口
Yuji Kawaguchi
祐二 川口
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Publication date
Application filed by Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Rayon Co Ltd
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  • Laminated Bodies (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Abstract

【課題】高い硬度を持ち、且つ柔軟でキズが付いた際にもその優れた復元力によってキズを復元もしくは目立たなくすることが可能な樹脂を提供し、各種基材の表面保護用途に好適な成形体及びフィルムを提供する。
【解決手段】ナノインデンテーション法により測定した樹脂の復元率(x)及び押込み弾性率が以下の(i)及び(ii)に記載した値を示し、且つ鉛筆硬度がH以上である樹脂(X)。
(i)・・・下記式(1)より算出される樹脂の復元率(x)が70%以上100%以下。
Figure 2015227437

(ii)・・・押込弾性率が10MPa以上2000MPa以下。
【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、その硬化膜を用いた積層体及び成形体に関する。本発明の樹脂組成物の硬化膜は、柔軟性と傷の復元力に優れ、且つ高い鉛筆硬度を示すため、各種基材の表面保護用途に好適に使用可能である。
ダッシュボード等の自動車内装用部材、テールランプカバー等の自動車外装用部材、携帯電話やパソコン等の筐体や各種部品、レンズや窓ガラス等の光学部材、電子レンジ等の家電製品といった工業製品は、その輸送時又は使用時に表面に傷が生じ、透明性の悪化や、外観が損なわれる等の問題を有している。
これらの問題を解決するために、製品の表面には耐擦傷性、耐薬品性等の付与を目的として高硬度のハードコートを施すことが一般的である。しかしながら、高硬度を発現する一般的なハードコートでは、製品の表面に耐擦傷性や耐薬品性を付与することが可能ではあるものの、一度傷がついてしまうと、その傷が半永久的に残ってしまう課題がある。
この問題を解決するために、高い弾性を持つ樹脂を最表層に用いて傷を復元させる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、ここで提案されている塗料を用いた金属板では、塗料を硬化させるために高温が必要であり、更に金属板に起因した硬度の高さが発現している可能性があるため、樹脂製の成形品に用いることが困難であることが想定される。
また、成形性と柔軟性を両立させたハードコートの技術が提案されている(例えば、特許文献2)。該特許文献中では、ハードコート塗膜の伸度と硬度についての記載はあるものの、塗膜の復元についての検討はなされておらず、傷がついた場合にその傷が残り得る。
WO2010/134617号公報 特開2009−184284号公報
本発明の課題は、高い硬度を持ち、且つ柔軟でキズが付いた際にもその優れた復元力によってキズを復元もしくは目立たなくすることが可能な樹脂を提供することである。また、各種基材の表面保護用途に好適に使用可能な成形体及びフィルムを提供することを目的とする。
前記課題は、特定の復元率と押込み弾性率を有し、かつ一定の硬度を有する樹脂を用いることにより達成されることが見いだされた。
すなわち、本発明は以下を提供するものである。
<1>ナノインデンテーション法により以下の測定条件で測定した、樹脂の復元率(x)及び押込み弾性率が以下の(i)及び(ii)に記載した値を示し、且つ鉛筆硬度がH以上である樹脂(X)。
測定条件
樹脂の表面に、ビッカース圧子に5mN/5秒の条件で徐々に荷重を増加させながら荷重を加え、5mNに達した後10秒保持し、保持後5mN/5秒の条件で荷重を減少させながら荷重を除荷し、除荷後、更に25秒間保持を行う。
(i)・・・下記式(1)より算出される樹脂の復元率(x)が70%以上100%以下。

Figure 2015227437
ここで、復元率(x)は上記測定条件で測定され、算出に用いたLs,Le,Lmaxはそれぞれ、Ls:荷重を加え始めた際の初期の押込み深さ、Le:除荷後、更に25秒間保持した後の押込み深さ、Lmax:5mNで10秒保持した後の最も深く圧子が押し込まれた際の押込み深さ、である。
(ii)・・・押込み弾性率が10MPa以上2000MPa以下。

<2>側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)を含有する、<1>に記載の樹脂(X)を製造するための樹脂組成物。

<3>熱可塑性樹脂(A)が、以下の単量体成分(a)を重合して得られ且つ以下の(iii)を示す重合体に、ラジカル重合性の不飽和基とカルボキシル基を有する単量体を反応させて得られる重合体である<2>に記載の樹脂組成物。
単量体成分(a)
・エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(a−1):5〜70質量%
・(a−1)以外の(メタ)アクリレート(a−2):95〜30質量%
・(a−1)及び(a−2)と共重合可能な単量体(a−3):0〜30質量%
(iii)・・・ガラス転移温度(Tg)が0℃以下。
ここで、Tgは、FOXの式から算出した値をいう。

<4>無機微粒子(B)を更に含有する<2>または<3>に記載の樹脂組成物。

<5>多官能単量体(C)を更に含有する<4>に記載の樹脂組成物。

<6>多官能単量体(C)が、1分子内に2個以上のラジカル重合性官能基及びポリアルキレングリコール構造を有する多官能単量体である<5>に記載の樹脂組成物。

<7>多官能チオール化合物(D)を更に含有する<2>〜<6>のいずれか一項に記載の樹脂組成物。

<8><2>〜<7>のいずれか一項に記載の樹脂組成物を活性エネルギー線により硬化してなる樹脂(X)。

<9><7>に記載の樹脂組成物を熱硬化した後、さらに活性エネルギー線により硬化してなる樹脂(X)。

<10><1>に記載の樹脂(X)または<8>または<9>に記載の硬化された樹脂(X)の層を、基材の少なくとも片方の面に有する積層体。

<11>基材がフィルム形状である<10>に記載の積層体。

<12><7>に記載の樹脂組成物の層を有する積層体を加熱し、樹脂組成物の層を熱硬化した後、成形を行い、さらに該樹脂組成物の層を活性エネルギー線で硬化して得られる樹脂(X)の層を有する成形体。
本発明により、高い硬度を持ち、且つ柔軟でキズが付いた際にもその優れた復元力によってキズを復元もしくは目立たなくすることが可能な樹脂を提供することができるようになる。また、その樹脂を用いた成形体及びフィルムは、前記特徴を有するため各種基材の表面保護用途に好適に使用可能である。
以下、本発明の態様について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
<樹脂(X)>
本発明に用いられる樹脂(X)は、ナノインデンテーション法により以下の測定条件で測定した復元率(x)及び押込み弾性率が以下の(i)及び(ii)を示し、且つ鉛筆硬度がH以上を示す樹脂である。
測定条件
樹脂の表面に、前記ビッカース圧子に5mN/5秒の条件で徐々に荷重を増加させながら荷重を加え、5mNに達した後10秒保持し、保持後5mN/5秒の条件で荷重を減少させながら荷重を除荷し、除荷後、更に25秒間保持を行う。
(i)・・・下記式(1)より算出される樹脂の復元率(x)が70%以上100%以下。

Figure 2015227437
ここで、復元率(x)は上記測定条件で測定され、算出に用いたLs,Le,Lmaxはそれぞれ、Ls:荷重を加え始めた際の初期の押込み深さ、Le:除荷後、更に25秒間保持した後の押込み深さ、Lmax:5mNで10秒保持した後の最も深く圧子が押し込まれた際の押込み深さ、である。
なお、ナノインデンテーション法による測定は、公知の装置を用いて行うことができるが、本明細書では以下の条件を用いている。
装置:微小硬度計 フィッシャースコープHM2000
(フィッシャーインスツルメンツ製)
圧子:ビッカース圧子(四面ダイヤモンド錐体)
試験雰囲気:温度23℃、湿度50%
ここで、復元率(x)は樹脂(X)の厚さに依存しない値であるが、樹脂(X)が薄すぎる場合には、十分な押込み深さを担保できないため、後述する<樹脂(X)の厚み>の項に記載の範囲内とすることが好ましい。
本発明に記載の復元率(x)は、前記測定条件において上記式(1)から算出される値である。復元率(x)が70%以上であれば、樹脂(X)に傷が生じた際にも、目視で傷が目立たなくなる程度に回復することが可能となる。より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上である。
(ii)・・・押込み弾性率が10MPa以上2000MPa以下。
本発明に記載の押込み弾性率は、前記測定条件および測定装置においてISO14577の規格に基づいて算出される値である。押込み弾性率が10MPa以上2000MPa以下の範囲内であれば、樹脂(X)の復元に十分な柔軟性を確保することが可能となる。より好ましくは、20MPa以上1800MPa以下、更に好ましくは30MPa以上1600MPa以下である。
復元率(x)と押込み弾性率を上記範囲内とするために用いる樹脂の種類としては、特に制限されず、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂の中から適宜選択して用いることができる。また、これらを併用することもできる。
また、用いられる樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂や紫外線、電子線等の活性エネルギー線を加えることで架橋する活性エネルギー線硬化性樹脂を用いてもよい。
硬化性樹脂を用いる場合は、樹脂(X)を得る際の反応速度の観点や、硬化させる際に基材の耐熱性を考慮する必要が少ない等の観点から、活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることが好ましい。
中でも得られる樹脂(X)の設計のし易さ、耐候性や透明性の観点から側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)を用いることが好ましい。
側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)としては、熱可塑性樹脂(A)である後述する単量体成分(a)の重合体にラジカル重合性不飽和基を導入した重合体が挙げられる。
また、押込み弾性率と復元率(x)の両立のために、単量体成分(a)の重合体のTgが、0℃以下であることが好ましい。単量体成分(a)の重合体のTgを0℃以下とすることで、側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)を含有する樹脂(X)を硬化させた際にも、樹脂(X)の柔軟性を維持することが可能となり、押込弾性率を10MPa以上2000MPa以下の範囲内とすることが容易となる。Tgは、より好ましくは、−10℃以下、更に好ましくは、−20℃以下である。
更に、樹脂(X)の復元率(x)と押込弾性率の両立のために、側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)の側鎖のラジカル重合性不飽和基の量としては、二重結合当量(不飽和基1mol当たりの樹脂量)が、計算値で10〜5,000g/molであることが好ましい。
二重結合当量を10〜5,000g/molの範囲内とすることで、該熱可塑性樹脂(A)を含有する樹脂(X)の架橋点間の分子量を長くし、柔軟性を維持しつつ且つ弾性回復により傷を復元させることが可能となる。
前記二重結合当量は、50〜4,500g/molであることがより好ましく、100〜4,000g/molであることが更に好ましい。
尚、二重結合当量の算出方法は後述する。
また、樹脂(X)の、前記測定条件および測定装置においてISO14577の規格に基づいて算出されるマルテンス硬さが10〜200N/mm2の範囲内にあることが好ましい。マルテンス硬さが10N/mm2以上であれば、樹脂(X)が柔らかくなりすぎて鉛筆硬度を低下させることが抑制でき、200N/mm2以下とすることで柔軟性と鉛筆硬度を両立することが可能となる。より好ましくは、15〜170N/mm2、さらに好ましくは20〜140N/mm2の範囲内である。
<樹脂(X)の鉛筆硬度>
更に、樹脂(X)の鉛筆硬度がH以上を示すことで、柔軟であり傷は復元する樹脂であるが、傷自体の発生を抑制することが可能となる。より好ましくは2H以上、更に好ましくは3H以上である。
樹脂(X)の鉛筆硬度をH以上とするためには、後述する無機微粒子(B)を含有させることがより好ましい。無機微粒子(B)としては、特に制限は無いが、コロイダルシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、異種元素ドープ酸化スズ(ATO等)、酸化インジウム、異種元素ドープ酸化インジウム(ITO等)、酸化カドミウム、酸化アンチモンが挙げられ、その中から適宜選択して用いることができる。また、2種以上を併用して用いることもできる。中でも、入手のし易さや、種類の豊富さの観点から、コロイダルシリカを用いることが好ましい。
無機微粒子(B)としては、後述するシラン化合物によって予め表面が処理された無機微粒子を用いてもよい。表面処理された無機微粒子を使用した場合、樹脂(X)を得るための樹脂組成物の保存安定性が更に良好となる好ましい。
<樹脂(X)に添加可能なその他成分>
柔軟性と硬度を両立するために、樹脂(X)を製造するに際し、後述する多官能単量体(C)を含有する樹脂組成物を用いることが好ましい。また、さらなる柔軟性の付与と硬度の両立のために、後述する1分子中に2個以上のチオール基を有する多官能チオール化合物(D)を用いることもできる。
また、樹脂(X)中には必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、艶消し剤、加工助剤、耐衝撃助剤、抗菌剤、防カビ剤、発泡剤、離型剤、着色剤、紫外線吸収剤、増感剤、レベリング剤、ハジキ防止剤、熱可塑性重合体等の各種添加剤を配合することができる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系熱安定剤、硫黄系熱安定剤及びヒドラジン系熱安定剤が挙げられる。可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、オキシ安息香酸エステル、エポキシ化合物及びポリエステルが挙げられる。滑剤としては、例えば、脂肪酸エステル、脂肪酸、金属石鹸、脂肪酸アミド、高級アルコール及びパラフィンが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤及び無機系紫外線吸収剤のいずれも使用することができる。有機系紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びトリアジン系紫外線吸収剤が挙げられる。無機系紫外線吸収剤としては、例えば、粒子径0.2μm以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、紫外線吸収剤を使用するに際し、紫外線吸収剤の吸収波長領域と後述する光重合開始剤(E)の吸収波長領域が重なることがある。その場合は、光硬化性樹脂組成物の硬化性、光硬化性樹脂組成物の硬化物の耐候性や耐磨耗性等が低下することがあるので、紫外線吸収剤の吸収波長領域と光重合開始剤(E)の吸収波長領域が重ならないようにすることが好ましい。上記の紫外線吸収剤の中で、有機系紫外線吸収剤の方が光硬化性樹脂組成物の硬化物の透明性の点で好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、化学構造中に窒素原子の隣接する2つの炭素原子に複数の立体障害作用を示す置換基が結合されたピペリジン環を有する化合物が挙げられる。このような立体障害作用を示す置換基としては、例えば、メチル基が挙げられる。ヒンダードアミン系光安定剤としては、公知の化合物を用いることができ、特に限定されない。例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル基を有する化合物、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル基を有する化合物が挙げられる。市販品としては、例えば、Uvinul(商標)5050H、Uvinul(商標)4050FF、Tinuvin(商標)622LD、Tinuvin(商標)622SF、Tinuvin(商標)144、Tinuvin(商標)PA144、Tinuvin(商標)765、Tinuvin(商標)770DF、Tinuvin(商標)123、Tinuvin(商標)292、Sanol(商標)LS−2626(以上商品名、BASFジャパン(株)製)、アデカスタブ(商標)LA−52、LA−57、LA−63P、LA−68、LA−81、LA−82、LA−87(以上商品名、(株)ADEKA製)等を挙げることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これら添加剤の添加量としては、樹脂(X)を構成する樹脂成分100質量部に対して0〜15質量部が好ましく、0〜10質量部がより好ましく、0〜5質量部が更に好ましい。
添加剤を配合する方法としては、後述する無機微粒子(B)の場合と同様の方法が挙げられる。
<樹脂(X)の厚み>
樹脂(X)は、樹脂(X)のみから形成される単層のフィルム状又はシート状の成形体としてもよく、樹脂(X)の層を基材の少なくとも片方の面に有する積層体として提供することもできる。
樹脂(X)のみから形成される単層のフィルム状又はシート状の成形体として提供する場合は、その成形体の取扱い性や得られる成形体のコストの観点から15〜300μmの範囲内とすることが好ましく、より好ましくは20〜250μm、更に好ましくは25〜200μmである。
樹脂(X)の層を基材の少なくとも片方の面に有する積層体として提供する場合は、樹脂(X)の層の厚みを1〜50μmの範囲とすることが好ましい。より好ましくは2〜40μm、更に好ましくは3〜30μmである。樹脂(X)の層の厚みを1〜50μmの範囲内とすることで、柔軟性と硬度を両立した弾性塗膜の特性を基材の表面に反映させることが可能となる。
<側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)>
本発明の樹脂(X)を製造するために用いられる樹脂としては、側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)を用いることが好ましい。該熱可塑性樹脂(A)を用いることにより、硬化して得られる樹脂(X)に傷が付いた際にも、傷が復元もしくは目立たなくするために十分な柔軟性と復元力を付与することが可能となる。
側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)としては、例えば、後述する単量体成分(a)の重合体にラジカル重合性不飽和基を導入した重合体が挙げられる。
単量体成分(a)に用いられる単量体としては、例えば、N−メチロールアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体、(メタ)アクリル酸、アクリロイルオキシエチルモノサクシネート等のカルボキシル基を有する単量体、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する単量体、2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、2−アジリジニルプロピオン酸アリル等のアジリジニル基を有する単量体、(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する単量体、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホ基を有する単量体、2,4−トルエンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートの等モル付加物のようなジイソシアネートと活性水素を有するラジカル重合性単量体の付加物、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有する単量体が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの単量体を重合させた重合体のガラス転移温度(Tg)を調節したり、得られる樹脂の物性を調節したりするために、これらの単量体と共重合可能な他の単量体を用いることもできる。
共重合可能な他の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、N−フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、N−ブチルマレイミド等のイミド誘導体、ブタジエン等のオレフィン系単量体、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、単量体成分(a)に用いられる単量体としては、以下の単量体成分(a−1)〜(a−3)で表されるものであって、且つ得られた重合体が以下の(iii)を示す単量体であることが好ましい。
単量体成分(a)
エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(a−1) 5〜70質量%
(a−1)以外の(メタ)アクリレート(a−2) 95〜30質量%
(a−1)及び(a−2)と共重合可能なその他の単量体(a−3) 0〜30質量%(iii)・・・ガラス転移温度(Tg)が0℃以下。
ここで、Tgは、FOXの式から算出した値をいう。
エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(a−1)としては、前述したエポキシ基を有する単量体と同様のものを用いることができる。すなわち、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する単量体が挙げられる。
中でも、低いTgを示す樹脂を得られることと、樹脂に柔軟性を付与する観点から、下記式(2)で表される化合物を用いることが好ましい。

Figure 2015227437
一般式(2)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数2〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。
上記化合物の市販品の具体例としては、例えば、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(例えば、日本化成(株)製、商品名:4HBAGE)が挙げられる。エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(a−1)の含有量としては、5〜70質量%とすることが好ましい。5〜70質量%の範囲内とすることで、得られた重合体に水酸基又はカルボキシル基を有する単量体を付加反応させて得られる、側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)に、柔軟性と傷の復元性を両立させることが可能となるため好ましい。より好ましくは、10〜60質量%、更に好ましくは15〜50質量%である。
(a−1)以外の(メタ)アクリレート(a−2)としては、(a−1)以外であれば特に制限されない。例えば、アルキル(メタ)アクリレート類、アルケニル(メタ)アクリレート類、アルキニル(メタ)アクリレート類、アリール(メタ)アクリレート類が挙げられる。前記アルキル部分は、更に水酸基、カルボキシル基、アジリジニル基、アミノ基、スルホ基、イソシアネート基などの官能基により置換されていてもよいが、前述したエポキシ基を有する(メタ)アクリレート(a−1)のエポキシ基と付加反応を起こさない官能基であることが好ましい。
前記アルキル部分は炭素数1〜10の直鎖、分岐鎖あるいは環状アルキルであることがより好ましい。前記アルケニル部分は炭素数2〜10の直鎖、分岐鎖あるいは環状アルケニルであることが好ましい。前記アルキニル部分は炭素数3〜10の直鎖、分岐鎖あるいは環状アルケニルであることが好ましい。前記アリール部分は炭素数6〜12のアリール基であることが好ましい。
また、単量体成分(a)で前述した(メタ)アクリレートの中から適宜選択して用いることができる。
中でも、低いTgを示す樹脂を得ることが容易であり、樹脂に柔軟性を付与することが容易な点、エポキシ基への付加反応を起こさない点から、アルキルアクリレート類を用いることが好ましい。
(a−1)及び(a−2)と共重合可能な単量体(a−3)としては、(a−1)及び(a−2)以外の他の単量体であれば、特に制限されず、単量体成分(a)で前述した単量体の中から適宜選択して用いることができる。また、単量体として、後述するマクロモノマーを用いることもできる。
上記単量体成分(a)あるいは(a−1)〜(a−3)からなる成分の重合体を得る際に用いられる重合開始剤としては、公知のものを使用することができる。重合開始剤は特に限定されないが、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、などのアゾ化合物;過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの過酸化物などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤は、単量体100質量部に対して0.01〜3.0質量部程度で用いることが好ましい
上記単量体成分(a)あるいは(a−1)〜(a−3)からなる成分の重合法は、溶液重合法、乳化重合法及び懸濁重合法が挙げられる。
更に、(a−1)、(a−2)、(a−1)及び(a−2)と共重合可能な単量体(a−3)を重合して得られた重合体のFOXの式から算出されるTgが、0℃以下であることが好ましい。Tgを0℃以下とすることで、側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)を含有する樹脂(X)に柔軟性を付与することが可能となる。より好ましくは、−10℃以下、更に好ましくは、−20℃以下である。
また、前述したように、後述するマクロモノマーを使用する場合は、マクロモノマー以外の単量体のみから算出したTgを参考に用いることとした。
単量体成分(a)中の、(a−1)、(a−2)、(a−1)及び(a−2)と共重合可能な単量体(a−3)は、前述した含有量の中で、得られる重合体のTgが0℃以下となれば、特に制限されず、前述した単量体の中から適宜選択して用いることができる。
また、少なくとも一方の末端(片末端、両末端ともいう)にラジカル重合性の官能基を有する質量平均分子量が1,000〜500,000の範囲内であるマクロモノマーを用いることもできる。マクロモノマーの種類は特に限定されるものではないが、透明性、耐候性、基材との密着性の観点から(メタ)アクリル系のマクロモノマーを用いることが好ましい。耐擦傷性の向上のために、必要に応じてシリコーン系のマクロモノマーを用いてもよい。更に、(メタ)アクリル系のマクロモノマー、シリコーン系のマクロモノマー、その他のマクロモノマーを併用することもできる。
これらのマクロモノマーも、その繰り返し単位や末端のラジカル重合性の官能基の種類によって、上述した単量体成分(a)の組成(a−1)〜(a−3)を構成する。
(メタ)アクリル系のマクロモノマーの質量平均分子量としては、2,000〜200,000であることがより好ましく、3,000〜100,000の範囲内であることが更に好ましい。このようなマクロモノマーとしては、エルバサイト(ELVACITE、Lucite International)シリーズを好適に用いることができる。
側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)は次のような方法により製造することができる。
例えば以下の方法により、単量体成分(a)の重合体にラジカル重合性不飽和基を導入し、側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)とすることができる。
例えば、水酸基を有する単量体の単独重合体又は共重合体の場合には、カルボキシル基又はスルホ基を有する単量体を縮合反応させるか、エポキシ基、アジリジニル基、イソシアネート基を有する単量体又はジイソシアネート化合物と水酸基含有アクリル酸エステル単量体との等モル付加物を付加反応させることができる。
カルボキシル基又はスルホ基を有する単量体から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する単独重合体又は共重合体の場合には、水酸基を有する単量体を縮合反応させることができる。
カルボキシル基を有する単量体の単独重合体又は共重合体の場合には、エポキシ基、アジリジニル基、イソシアネート基を有する単量体又はジイソシアネート化合物と水酸基含有アクリル酸エステル単量体との等モル付加物を付加反応させることができる。
エポキシ基、イソシアネート基又はアジリジニル基を有する単量体から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する単独重合体又は共重合体の場合には、水酸基又はカルボキシル基を有する単量体を付加反応させることができる。
これらの反応は、微量のハイドロキノン等の重合禁止剤を加え、乾燥空気を送りながら行うことが好ましい。
前記エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(a−1)を用いた単量体成分(a)を用いた場合には、ラジカル重合性の不飽和基と水酸基又はカルボキシル基を有する単量体の付加反応を用いることが好ましい。
また、単量体成分(a)の重合体にラジカル重合性不飽和基を導入する他の方法としては、例えば、単量体成分(a)の重合体を有機溶媒に溶解した溶液を用いて、触媒の存在下、ラジカル重合性の不飽和基と水酸基又はカルボキシル基を有する単量体を付加反応させる方法が挙げられる。
付加反応に用いる触媒としては、特に制限は無く、公知のものを用いることができる。例えば、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等のホスフィン類;テトラメチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類;2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;ジブチル錫ジラウレート等の有機錫化合物等が挙げられる。
中でも入手のし易さや得られる樹脂組成物への着色の少なさの観点から、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類を用いることが好ましい。
ラジカル重合性の不飽和基と水酸基又はカルボキシル基を有する単量体としては、エポキシ基との反応性の高さの観点からカルボキシル基を有する単量体を用いることがより好ましい。
ラジカル重合性の不飽和基とカルボキシル基を有する単量体の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸が挙げられる。
市販品の具体例としては、例えば、アクリル酸(三菱化学(株)製)、β−カルボキシエチルアクリレート(ダイセル・オルネクス(株)製)、アロニックスM5300(ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、東亜合成(株)製)、アクリエステルPA(フタル酸モノヒドロキシエチルメタクリレート、三菱レイヨン(株)製)が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、入手のし易さや反応性の高さの観点からアクリル酸、メタクリル酸を用いることが好ましい。
側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)の側鎖のラジカル重合性不飽和基の量は、二重結合当量(不飽和基1mol当たりの樹脂量)が、計算値で10〜5,000g/molであることが、側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)を含有する樹脂(X)の架橋点間の分子量を長くし、柔軟性を維持しつつ且つ弾性回復により傷を復元させることが可能となるため好ましい。前記二重結合当量は、50〜4,500g/molであることがより好ましく、100〜4,000g/molであることが更に好ましい。このように、架橋に関与するラジカル重合性不飽和基を複数導入することにより、効率的に柔軟性と弾性回復による傷を復元の両立が可能となる。尚、二重結合当量の算出方法は後述する。
側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)の質量平均分子量(Mw)は、1,000〜2,500,000であることが好ましい。より好ましくは3,000〜1,000,000、更に好ましくは5,000〜500,000である。質量平均分子量を1,000〜2,500,000とすることで、側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)の溶液の粘度を塗工に適正な粘度に保つことができるため好ましい。
<無機微粒子(B)>
本発明の樹脂(X)中には、必要に応じて無機微粒子(B)を含有することができる。無機微粒子(B)を含有することで、得られる樹脂(X)に硬度を付与することが可能となる。
無機微粒子(B)の材質としては、特に制限は無いが、コロイダルシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、異種元素ドープ酸化スズ(ATO等)、酸化インジウム、異種元素ドープ酸化インジウム(ITO等)、酸化カドミウム、酸化アンチモンが挙げられ、その中から適宜選択して用いることができる。また、2種以上を併用して用いることもできる。中でも、入手のし易さや、種類の豊富さの観点から、コロイダルシリカを用いることが好ましい。
無機微粒子(B)の粒子径は、得られる樹脂の透明性の観点から500nm以下が好ましい。300nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましい。また、無機微粒子(B)の粒子径の下限値としては、1nm以上が好ましい。
樹脂(X)を製造するための樹脂組成物中において、コロイダルシリカは通常の水性分散液の形態または有機溶媒に分散させた形態で用いることができる。しかしながら、樹脂組成物(A)中に均一且つ安定に分散させるためには、有機溶媒に分散させたコロイダルシリカを用いることが好ましい。
該有機溶媒としては、例えば、メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、エチレングリコール、キシレン/ブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はトルエンが挙げられる。これらは、必要に応じて適宜選択して用いることができる。また、2種以上を併用して用いることもできる。
有機溶媒に分散させた形態のコロイダルシリカとしては、例えば、メタノールシリカゾル、イソプロピルアルコールシリカゾルIPA−ST、n−ブタノールシリカゾルNBA−ST、エチレングリコールシリカゾルEG−ST、キシレン/ブタノールシリカゾルXBA−ST、エチルセロソルブシリカゾルETC−ST、ブチルセロソルブシリカゾルBTC−ST、ジメチルホルムアミドシリカゾルDBF−ST、ジメチルアセトアミドシリカゾルDMAC−ST、メチルエチルケトンシリカゾルMEK−ST、メチルイソブチルケトンシリカゾルMIBK−ST(以上商品名、日産化学工業(株)製)が挙げられる。これらは、必要に応じて適宜選択して用いることができる。また、2種以上を併用して用いることもできる。
無機微粒子(B)の添加量は、側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、無機微粒子固形分で5〜400質量部が好ましい。より好ましくは10〜300質量部、更に好ましくは15〜200質量部である。無機微粒子(B)の添加量が5質量部以上とすることで、得られる樹脂の硬度の向上効果が認められる。一方、無機微粒子(B)の添加量が400質量部以下とすることで、樹脂組成物の保存安定性を損なうことがないため好ましい。
また、無機微粒子(B)としては、下記式(I)で表されるシラン化合物によって予め表面が処理された無機微粒子を用いてもよい。表面処理された無機微粒子を使用した場合、樹脂(X)を得るための樹脂組成物の保存安定性が更に良好となる好ましい。
SiR4 a5 b(OR6c (I)
(前記式(I)中、R4及びR5は、それぞれ、エーテル結合、エステル結合、エポキシ結合又は炭素−炭素二重結合を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を表す。R6は水素原子又はエーテル結合、エステル結合、エポキシ結合もしくは炭素−炭素二重結合を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を表す。a及びbは、それぞれ、0〜3の整数であり、cは4−a−bを満足する1〜4の整数である。)。
前記式(I)で表されるシラン化合物の中でも、下記式(II)〜(VII)で表されるシラン化合物がより好ましい。
SiR7 a8 b(OR9c (II)
SiR7 n(OCH2CH2OCO(R10)C=CH24-n (III)
CH2=C(R10)COO(CH2pSiR11 n(OR93-n (IV)
CH2=CHSiR11 n(OR93-n (V)
HS(CH2pSiR11 n(OR93-n (VI)
Figure 2015227437
(前記式(II)から(VII)中、R7及びR8は、それぞれ、エーテル結合、エステル結合又はエポキシ結合を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を表す。R9は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。R10は水素原子又はメチル基を表す。R11は炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル基を表す。a及びbは、それぞれ、0〜3の整数であり、cは4−a−bを満足する1〜4の整数である。nは0〜2の整数である。pは1〜6の整数である。)。
前記式(II)で表されるシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、メトキシエチルトリエトキシシラン、アセトキシエチルトリエトキシシラン、ジエトキシエチルジメトキシシラン、テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。
前記式(III)で表されるシラン化合物としては、例えば、テトラキス(アクリロイルオキシエトキシ)シラン、テトラキス(メタクリロイルオキシエトキシ)シラン、メチルトリス(アクリロイルオキシエトキシ)シラン、メチルトリス(メタクリロイルオキシエトキシ)シランが挙げられる。
前記式(IV)で表されるシラン化合物としては、例えば、β−アクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
前記式(V)で表されるシラン化合物としては、例えば、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが挙げられる。
前記式(VI)で表されるシラン化合物としては、例えば、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
前記式(VII)で表されるシラン化合物としては、例えば、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルトリメトキシシランが挙げられる。これらのシラン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機微粒子(B)を添加する方法としては、特に制限はなく、例えば、予め側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)を重合した後、無機微粒子(B)を混合してもよいし、また側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)を構成する単量体と無機微粒子(B)とを混合した条件下で、該単量体を重合する方法等、任意の方法を選択することができる。
また、樹脂(X)を得るための樹脂組成物中に無機微粒子(B)を添加する場合の含有量としては、樹脂組成物の樹脂成分100質量%中、10〜80質量%の範囲内であることが好ましい。10質量%以上とすることで、樹脂(X)に鉛筆硬度を付与することが可能となり、80質量%以下とすることで、樹脂(X)に鉛筆硬度を付与しつつ柔軟性を維持することが可能となる。より好ましくは20〜75質量%、さらに好ましくは30〜70質量%の範囲内である。
<多官能単量体(C)>
本発明の樹脂(X)を製造するための樹脂組成物中には、必要に応じて多官能単量体(C)を含有することができる。多官能単量体(C)を含有することで、硬化して得られる樹脂(X)に柔軟性と復元性を付与することが可能となる。
多官能単量体(C)としては、特に制限はないが、前述した側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)との反応性の観点から、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、2−メチル−1,3−プロパンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,2'−ジメチル−1,4−ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニルジメタクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等に代表される、ポリアルキレングリコール鎖の繰り返し単位を有する多官能単量体であることが、得られる樹脂に柔軟性と復元性を付与することができるため好ましい。また、ポリアルキレングリコール鎖の繰り返し単位が3〜40の範囲内である多官能単量体であることがより好ましく、6〜30の範囲内であることが更に好ましい。繰り返し単位を3〜40の範囲内とすることで、得られる樹脂に柔軟性と復元性を付与しつつ、硬度を維持することが可能となる。
ポリアルキレングリコール鎖の繰り返し単位を有する多官能単量体の市販品の具体例としては、例えば、アロニックスM−240、アロニックスM−260、アロニックスM−270(いずれも商品名、東亜合成(株)製)、NKエステルA−400、NKエステルA−600、NKエステルA−1000(いずれも商品名、新中村化学製)が挙げられる。
また、樹脂(X)を得るための樹脂組成物中の多官能単量体(C)の含有量としては、樹脂組成物の樹脂成分100質量%中、50質量%以下とすることが好ましい。50質量%以下含有させることで、樹脂(X)の鉛筆硬度を損なうことなく、柔軟性と復元性を向上させることが可能となる。より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
<多官能チオール化合物(D)>
本発明の樹脂(X)を製造するための樹脂組成物中には、必要に応じて多官能チオール化合物(D)を含有させることができる。多官能チオール化合物(D)とは、1分子中にチオール基を2個以上有する化合物である。多官能チオール化合物(D)を含有させることで、硬化して得られる樹脂(X)にさらなる柔軟性と復元性を付与することが可能となる。
また、側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)と多官能チオール化合物(D)は、触媒存在下で加熱することにより、硬化させることができる。この場合、熱可塑性樹脂(A)が、α,β不飽和カルボニル基を有する樹脂であれば、α,β不飽和カルボニル基と多官能チオール化合物(D)とのマイケル付加を利用した反応を有効に進めることが可能となるため好ましい。
多官能チオール化合物(D)を用いて熱硬化された樹脂(X)は、柔軟性に優れるため成形することが容易となる。また、硬化によりタック感が減少することから、金型への樹脂(X)の転写や金型表面の凹凸の転写を抑制することも可能となる。成形後、活性エネルギー線を用いてさらに硬化させることで、柔軟性と復元性を有する成形体を得ることが可能となる。
多官能チオール化合物(D)としては、特に制限は無く、公知のものを用いることができる。多官能チオール化合物(D)の具体例としては、例えば、1,2−エタンジチオール、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ジペンタエチスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
中でも得られる樹脂(X)の柔軟性や成形性の観点からチオール基が2個以上10個以下である多官能チオール化合物(D)であることが好ましい。チオール基が2個以上であれば樹脂組成物を熱硬化させた際にタック感を減少させつつ、柔軟性と成形性を付与することが可能となり、10個以下とすることで得られる樹脂(X)の柔軟性を損なうことなく熱硬化後の成形性を維持することが可能となる。
多官能チオール化合物(D)の市販品の具体例としては、例えば、「カレンズMT PE1」、「カレンズMT NR1」、「カレンズMT PE1」(いずれも商品名、昭和電工(株)製)、「TMMP」、「TEMPIC」、「PEMP」、「DPMP」、「EGMP−4」(いずれも商品名、SC有機化学(株)製)等が挙げられる。
多官能チオール化合物(D)の添加量としては、0.1〜10質量部であることが好ましい。0.1〜10質量部以上添加することで、柔軟性と復元性を付与しつつ樹脂組成物を加熱し熱硬化させることが可能となり、さらに成形性を損なうことがなく好ましい。より好ましくは0.3〜9質量部、さらに好ましくは0.5〜8質量部である。
また、熱硬化に用いられる触媒としては、特に制限はなく、公知の触媒を用いることができる。前記マイケル付加反応に用いられる触媒としては、例えば、塩基性化合物が好適に用いられる。塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;ナトリウムメトキサイド、カリウムエトキサイドなどのアルカリ金属のアルコキシド;テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキサイドなどの4級アンモニウムヒドロキサイド;テトラブチルアンモニウムカーボネート、ベンジルトリメチルアンモニウムカーボネートなどの4級アンモニウムカーボネート;テトラブチルアンモニウムフロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムフロライドなどの4級アンモニウムフロライド;テトラブチルアンモニウムテトラヒドロボレート、ベンジルトリメチルアンモニウムテトラヒドロボレートなどの4 級アンモニウムテトラヒドロボレート;テトラメチルグアニジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5などの第3 級アミン;グアニジン、アミジン、トリフェニルホスフィンなどの第3級ホスフィン等が挙げられる。触媒の塩基性化合物としては、第3級アミンおよび/または第3級ホスフィンを用いることが好ましい。
<光重合開始剤(E)>
本発明の側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)を含有する樹脂組成物を硬化させる際に必要な光重合開始剤(E)としては、例えば、電子線、紫外線又は可視光線等の活性エネルギー線を照射することによってラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、公知の化合物を用いることができ、特に限定されない。光硬化時の黄変性や耐候時の劣化等を考慮すると、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系のような分子内にアミノ基を含まない化合物が好ましい。例えば、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤(E)の含有量としては、硬化後の残存量が耐候性に影響するため、側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)、無期微粒子(B)及び多官能単量体(C)の合計100質量部に対して0.1〜5質量部が好ましい。また、光重合開始剤(E)として硬化時の黄変に関与するアミノ系の光ラジカル重合開始剤を用いる場合には、1質量部以下が好ましい。
光重合開始剤(E)を、樹脂組成物中に添加する方法としては、特に限定されない。例えば、予め側鎖にラジカル重合性不飽和基を有する熱可塑性樹脂(A)を重合した後、光重合開始剤(E)を混合してもよいし、また側鎖にラジカル重合性不飽和基を有する熱可塑性樹脂(A)を構成する単量体と光重合開始剤(E)とを混合した条件下で、該単量体を重合する方法等、任意の方法を選択することができる。
<樹脂組成物の硬化方法>
本発明の樹脂(X)を得るための樹脂組成物を硬化させる方法としては、特に制限はなく、熱もしくは電子線、紫外線又は可視光線等の活性エネルギー線の照射といった公知の硬化方法を適宜選択して用いることができる。また、これらの方法を併用して硬化させることもできる。活性エネルギー線としては、更にプラズマ、赤外線などの熱線なども挙げることができる。活性エネルギー線の中でも、一般的に普及している紫外線を用いることが、設備の導入や照度の管理の簡便さの観点から好ましい。
硬化方法としては、前述したように樹脂(X)を得る際の反応速度の観点や、硬化させる際に基材の耐熱性を考慮する必要が少ない等の観点から、紫外線の照射による硬化方法を用いることが好ましい。
硬化のタイミングとしては、後述するコーティング方法で基材に樹脂(X)を得るための樹脂組成物を塗布し、溶媒を乾燥させた後に、紫外線を照射し硬化することが好ましい。
照射条件は任意に設定できるが、通常、照射エネルギーで100〜10,000mJ/cm2程度である。
また、前述した多官能チオール化合物(D)を用いた場合は、熱により硬化させることもできる。熱により硬化させる場合は、得られる樹脂(X)のタック感の観点から、乾燥温度は60〜100℃の範囲内とすることが好ましい。60〜100℃の範囲内とすることで、側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)と多官能チオール化合物(D)との反応を効率よく進めることが可能となる。加熱時間としては、得られる樹脂(X)のタック感が無くなる以上の時間であれば特に制限されず、樹脂(X)の性状を確認して適宜決定することができる。
ここで、樹脂(X)に柔軟性と復元性を付与する観点から、熱硬化後に、さらに活性エネルギー線を用いて硬化させることが好ましい。活性エネルギー線としては、前述した種類のものと同様のものを同様の条件で用いることができる。
<基材>
本発明の樹脂(X)を積層する際に用いられる基材としては、例えば、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体)系樹脂、AS(アクリロニトリル/スチレン共重合体)系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、セロファン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレンビニルアルコール系樹脂、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を使用したシートが挙げられる。また、これらの基材はシート状のものを2層以上重ねて使用することもできる。
樹脂(X)と基材との密着性や耐候性、透明性等の点で、アクリル系樹脂からなるシートを用いることが好ましい。また、架橋ゴム成分を有する熱可塑性アクリル樹脂のシートが取扱いの観点からより好ましい。
基材中には、必要に応じて、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の滑剤、シリカ、球状アルミナ、鱗片状アルミナ等の減摩剤、可塑剤、安定剤、着色剤等の各種添加剤を配合することができる。
また、例えば、基材に樹脂(X)が積層された積層体を屋外で使用する場合には基材中に紫外線吸収剤や光安定剤を配合することが好ましい。紫外線吸収剤及び光安定剤としては、樹脂(X)の項で記載したものと同様のものが挙げられる。
基材の厚みとしては、0.01〜5mmの範囲内であることが好ましい。0.02〜4mmの範囲内がより好ましく、0.03〜3mmの範囲内が更に好ましい。基材の厚みは用途に応じて適宜選択して用いることができる。コストや後述する積層体の取扱い性の観点から、フィルム形状の基材を用いることが好ましい。
<積層体>
本発明の態様にかかる積層体としては、基材の少なくとも片方の面に樹脂(X)の層が積層されたものが挙げられる。また、必要に応じて積層体の基材に設けられた樹脂(X)の層とは反対の面に後述する加飾層並びに/又は接着層を積層することができる。
基材の上に樹脂(X)の層を積層する方法としては、例えば、樹脂(X)を得るための樹脂組成物の溶液を、基材シートの上に塗付した後、有機溶媒を乾燥して積層シートを得る方法が挙げられる。
また、基材に使用される樹脂材料が、樹脂(X)との密着性が低いポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等である場合には、基材と樹脂(X)との密着性を改善するために、予め基材の上に低分子量ポリオレフィン等からなるプライマーを塗付しておくか、又は予めコロナ放電等で基材の表面を活性化しておくことが好ましい。
尚、上記のコロナ放電を行う場合には、樹脂(X)と基材との密着性の観点から、樹脂(X)を積層する直前に行うことが好ましい。
更に、樹脂(X)が活性エネルギー線で硬化される際に、体積収縮して基材との密着性が低下するのを防ぐ目的で、基材と樹脂(X)との間にプライマー層を形成することができる。
樹脂(X)の積層方法としては、ナイフコート法、コンマコート法、リバースコート法、ディップコート法等の公知のコーティング方法、又は後述する印刷層の形成方法と同様の方法が挙げられる
<成形体>
前述した多官能チオール化合物(D)を含有する樹脂組成物を用いた場合は、該樹脂組成物の層を有する積層体とした後、その積層体を熱硬化し、所望の形状に成形を行い、さらに熱硬化後の該樹脂組成物の層を活性エネルギー線で硬化させることで、柔軟性と復元性を付与した成形体を得ることができる。
該樹脂組成物の層を一度熱硬化することで、タック感を減少させることが可能となるため、成形が容易な樹脂とすることができる。
該樹脂組成物の熱硬化の条件としては、樹脂組成物の硬化方法の項に記載の条件を用いることができる。
また、活性エネルギー線としては、前述した種類のものと同様のものを同様の条件で用いることができる。
成形の方法としては、特に制限は無く、公知の成形方法を用いることができる。成形方法としては、例えば、インサート成形法、インモールド成形法、3次元オーバーレイラミネート成形法等が挙げられる。
インサート成形法とは、印刷等の加飾を施したフィルム又はシートを、あらかじめ真空成形等によって三次元の形状に成形し、不要なフィルム又はシート部分をトリミング加工により除去し、その後射出成形金型内に移し、基材となる樹脂を射出成形することにより一体化させて成形体を得る方法である。
インモールド成形法とは、印刷等の加飾を施したフィルム又はシートを、射出成形金型内に設置し、真空成形を施し、その後同じ金型内で基材となる樹脂を射出成形することにより一体化させて成形体を得る方法である。
3次元オーバーレイラミネート成形法とは以下の方法をいう。
まず、シートで仕切られた2つの密閉空間を形成して一方の空間側に成形体を配置し、両方の空間または成形体を配置している空間のみを減圧する。
次いで、シートを加熱軟化し、一方の空間側から他方の空間側に向かってシート表面に成形体を押し当てた状態で、成形体を配置していない他方の空間のみを常圧に戻し、差圧を利用してシートを成形体に貼り付ける。
3次元オーバーレイラミネート成形法では、加熱されたシートが全体的に均一に圧力を受けて成形体の表面に貼り付けられるため、成形体の表面が曲面であっても良好にシートを成形体に貼り付けることができる。
3次元オーバーレイラミネート成形を行うための装置としては、例えば、布施真空(株)製の「TOM(商品名)」が挙げられる。
射出成型にて、本成形体を製造する場合、基材に使用する樹脂材料としては、射出成型後の収縮率がフィルムもしくはシートの収縮率に近似した樹脂材料が好ましい。両社の収縮率が近似していると、インモールド成形またはインサート成形によって得た成形体の反りまたはフィルム、シートの剥がれ等の不具合が生じにくくなる傾向にある。
<保護シート>
本発明の態様にかかる積層体には、必要に応じて積層体の樹脂(X)の層の上に保護シートを積層することができる。保護シートは樹脂(X)の層の表面の防塵に有効であると共に、搬送等による移動で樹脂(X)の層に傷がつくことの防止にも有効である。
保護シートは、樹脂(X)の層に密着しており、積層体の使用前に剥離又は貼り合わせたまま加工し、その後剥離するため、樹脂(X)の層に対して適度な密着性と良好な離型性を有することが好ましい。
このような条件を満たす保護シートであれば、任意の保護シートを選択して用いることができる。そのような保護シートとしては、例えば、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、ポリエステル系フィルムが挙げられる。
<加飾層>
本発明の態様にかかる積層体には、必要に応じて後述する印刷層及び蒸着層から選ばれる少なくとも1種で構成されている加飾層を積層することができる。
本発明の態様にかかる加飾層は、積層体の表面に模様や文字等の加飾を施すために積層される。加飾の種類としては任意のものを選択することができるが、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字及び全面ベタの柄が挙げられる。
<印刷層>
印刷層に使用される材料としては、例えば、樹脂バインダー及び着色剤を含有する着色インキが挙げられる。
樹脂バインダーとしては、例えば、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体等のポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキッド樹脂及び塩素化ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
着色剤としては、公知の染料及び顔料から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。顔料としては、例えば、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン等の有機顔料、黄鉛等の無機顔料等の黄色顔料;ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドン等の有機顔料、弁柄等の無機顔料等の赤色顔料;フタロシアニンブルー等の有機顔料、コバルトブルー等の無機顔料等の青色顔料;アニリンブラック等の黒色顔料;及び二酸化チタン等の白色顔料が挙げられる。
印刷層の形成方法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア輪転印刷法、スクリーン印刷法等の印刷法及びロールコート法、スプレーコート法等のコート法が挙げられる。
<蒸着層>
蒸着層に使用される材料としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、インジウム、スズ、銀、チタニウム、鉛及び亜鉛から選ばれる少なくとも1つの金属又はそれらの合金若しくは金属化合物が挙げられる。
蒸着層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法及び鍍金法が挙げられる。
<接着層>
本発明の態様にかかる接着層は、積層体と加飾層との密着性の向上、又は積層体に更にシート状の基材を積層したい場合等に必要に応じて形成することができる。
接着層に使用される材料としては、特に制限は無く、任意の合成樹脂材料等を適宜選択して用いることができる。
接着層に使用される材料は、例えば、ポリアクリル系樹脂、ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリアミド系、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、環化ゴム、クマロンインデン系樹脂又はブロックイソシアネートを用いた熱硬化型ウレタン系樹脂が挙げられる。これらの接着層に使用される樹脂は目的に応じて、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、接着層には、接着層の粘着性低減や耐熱性向上を目的として、疎水性シリカ、エポキシ樹脂、石油樹脂等を必要に応じて配合することができる。
接着層の形成方法としては、前述した積層体や印刷層の項で述べた方法と、と同様の方法が挙げられる。
本発明の樹脂や積層体の用途としては、例えば、インストルメントパネル、コンソールボックス、メーターカバー、ドアロックペゼル、ステアリングホイール、パワーウィンドウスイッチベース、センタークラスター、ダッシュボード等の自動車内装用部材;ウェザーストリップ、バンパー、バンパーガード、サイドマッドガード、ボディーパネル、スポイラー、フロントグリル、ストラットマウント、ホイールキャップ、センターピラー、ドアミラー、センターオーナメント、サイドモール、ドアモール、ウインドモール、窓、ヘッドランプカバー、テールランプカバー、風防部品等の自動車外装用部材;AV機器等の各種フロントパネル;ボタン、エンブレム等の表面化粧材;携帯電話等のハウジング、表示窓、ボタン等の各種部品;家具用外装材;壁面、天井、床等の建築用内装材;サイディング等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の建築用外装材;窓枠、扉、手すり、敷居、鴨居等の家具類の表面化粧材;各種ディスプレイ、レンズ、ミラー、ゴーグル、窓ガラス等の光学部材;電車、航空機、船舶等の自動車以外の各種乗り物の内外装用部材;及び瓶、化粧品容器、小物入れ等の各種包装容器、包装材料、景品、小物等の雑貨等のその他各種用途が挙げられる。
以下に、本発明の態様を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明の範囲がこれらに限定されるものではないことはいうまでもない。尚、例中、「部」は「質量部」を意味する。また、本実施例における各種測定、評価は以下の方法により行った。
(1)固形分
固形分は以下の方法により測定した。
側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)もしくは樹脂組成物(X’)の溶液又は分散液約0.5gをアルミ皿の上に採取し正確な質量を測定した。室温にて溶媒又は分散媒を揮発させた後、80℃で4時間加熱して得られる固体の質量を測定し、固形分(質量%)を算出した。
(2)質量平均分子量(Mw)
側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)のMwは高速GPC装置(東ソー(株)製、型式:HLC−8220GPC)を用いて測定した。尚、数値に関してはポリスチレン換算した値を用いた。
(3)二重結合当量
側鎖にラジカル重合性不飽和基を有する熱可塑性樹脂(A)の二重結合当量は、合成の処方からアクリル樹脂(A)の構造を推定し、二重結合当量(g/mol)を算出した。
(4)ガラス転移温度(Tg)
側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)のTgは、合成の処方からFOXの式を用いて算出した。
尚、合成の用いた4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルについては、日本化成株式会社のカタログに記載の値(ホモポリマーTg:−64℃)、(メタ)アクリル系のマクロモノマーについては、ポリマーハンドブック〔Polymer HandBook(J.Brandrup,Interscience,1989)〕に記載されているメチルメタクリレートの値(ホモポリマーTg:105℃)、シリコーン系のマクロモノマーについては、同ポリマーハンドブックの記載されているポリジメチルシロキサンの値(Tg:−123℃)を用いた。
(5)復元率
以下の測定条件で測定し、復元率は下記式(1)により算出した。
測定条件
装置:微小硬度計 フィッシャースコープHM2000
(フィッシャーインスツルメンツ製)
圧子:ビッカース圧子(四面ダイヤモンド錐体)
試験雰囲気:温度23℃、湿度50%
測定プログラム:
樹脂(X)の層の表面に、前記ビッカース圧子に5mN/5秒の条件で徐々に荷重を増加させながら荷重を加え、5mNに達した後10秒保持し、保持後5mN/5秒の条件で荷重を減少させながら荷重を除荷し、除荷後、更に25秒間保持を行う。
Figure 2015227437

ここで、復元率(x)は上記測定条件で測定され、算出に用いたLs,Le,Lmaxはそれぞれ、Ls:荷重を加え始めた際の初期の押込み深さ、Le:除荷後、更に25秒間保持した後の押込み深さ、Lmax:5mNで10秒保持した後の最も深く圧子が押し込まれた際の押込み深さ、である。
(6)押込み弾性率
復元率を測定した方法と同様の方法で測定した際に、ISO14577の規格に基づいて算出される押込弾性率(MPa)をそのまま用いた。
(7)マルテンス硬さ
復元率を測定した方法と同様の方法で測定した際に、ISO14577の規格に基づいて算出されるマルテンス硬さ(N/mm2)をそのまま用いた。
(8)全光線透過率及びヘイズ
全光線透過率及びヘイズは、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、型式:NDH4000)を用いて測定した。
(9)鉛筆硬度
JIS K5600−5−4に準じて、鉛筆(三菱鉛筆(株)製、製品名:uni)を使用して評価した。
(10)傷の復元性
先端が約1.0mmの幅を持つボールペンを用い、得られた樹脂の表面がボールペンで押し込まれる程度の強さで引っ掻き、その引っ掻き傷の復元の有無を目視で判断した。
○:引っ掻いた後、引っ掻き傷が復元し元の状態に戻る。
×:引っ掻いた後、引っ掻き傷が復元せず目視で傷として確認できる。
[合成例1]側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A−1)の合成
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた300mLの4つ口フラスコに、溶媒としてメチルエチルケトン75部を入れ、80℃に昇温した。
次いで、フラスコ内を窒素雰囲気下とし、メチルエチルケトン30部、ブチルアクリレート78.4部、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル21.6部及びアゾビスイソブチロニトリル0.35部の単量体成分(イ)を2時間かけて滴下し、滴下後1時間攪拌を行った。
その後、メチルエチルケトン30部とアゾビスイソブチロニトリル0.15部の混合物を30分間かけて攪拌しながら滴下した。
更に5時間30分攪拌を行った後、メチルエチルケトン67.4部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.5部、トリフェニルホスフィン2.5部及びアクリル酸7.7部の単量体成分(ロ)を30分間かけて滴下し、空気を吹き込みながら80℃で40時間攪拌した。
次いで、フラスコ内を冷却し、揮発した分のメチルエチルケトンを追加した後、反応物をフラスコより取り出し、側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A−1)の溶液を得た。
熱可塑性樹脂(A−1)の固形分は約35質量%、Mwは約5.2万、計算される二重結合当量は約999g/mol、また、単量体成分(イ)のみの処方から得られる重合体のFOXの式から算出されるTgは約−56℃であった。
合成については、表1にまとめた。
[合成例2]側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A−2)の合成
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた300mLの4つ口フラスコに、溶媒としてメチルエチルケトン105部、(メタ)アクリル系のマクロモノマーとしてELVACITE1020(Lucite社製、Mw:1.1万)を12部、シリコーン系のマクロモノマーとしてX−22−174DX(信越化学工業(株)製、片末端メタクリル変性シリコーンオイル、Mw:0.6万)を3部入れ、80℃に昇温しながら攪拌し、メチルエチルケトンにマクロモノマーを溶解させた。
次いで、フラスコ内を窒素雰囲気下とし、メチルエチルケトン30部、ブチルアクリレート47部、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル35部及びアゾビスイソブチロニトリル0.35部の単量体成分(イ)を2時間かけて滴下し、滴下後1時間攪拌を行った。
その後、メチルエチルケトン12.5部とアゾビスイソブチロニトリル0.15部の混合物を30分間かけて攪拌しながら滴下した。
更に5時間30分攪拌を行った後、メチルエチルケトン58部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.5部、トリフェニルホスフィン2.5部及びアクリル酸12.5部の単量体成分(ロ)を30分間かけて滴下し、空気を吹き込みながら80℃で40時間攪拌した。
次いで、フラスコ内を冷却し、揮発した分のメチルエチルケトンを追加した後、反応物をフラスコより取り出し、側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A−2)の溶液を得た。
熱可塑性樹脂(A−2)の固形分は約35質量%、Mnは約3.7万、計算される二重結合当量は約644g/mol、また、単量体成分(イ)のみの処方から得られる重合体のFOXの式から算出されるTgは約−47℃であった。
合成については、表1にまとめた。
[合成例3]側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A−3)の合成
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた300mLの4つ口フラスコに、溶媒としてメチルエチルケトン105部、(メタ)アクリル系のマクロモノマーとしてELVACITE1020(Lucite社製、Mw:1.1万)を13.2部入れ、80℃に昇温しながら攪拌し、メチルエチルケトンにマクロモノマーを溶解させた。
次いで、フラスコ内を窒素雰囲気下とし、メチルエチルケトン30部、ブチルアクリレート32.9部、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル52.9部及びアゾビスイソブチロニトリル0.35部の単量体成分(イ)を2時間かけて滴下し、滴下後1時間攪拌を行った。
その後、メチルエチルケトン12.5部とアゾビスイソブチロニトリル0.15部の混合物を30分間かけて攪拌しながら滴下した。
更に5時間30分攪拌を行った後、メチルエチルケトン54部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.5部、トリフェニルホスフィン2.5部及びアクリル酸18.9部の単量体成分(ロ)を30分間かけて滴下し、空気を吹き込みながら80℃で40時間攪拌した。
次いで、フラスコ内を冷却し、揮発した分のメチルエチルケトンを追加した後、反応物をフラスコより取り出し、側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A−3)の溶液を得た。
熱可塑性樹脂(A−3)の固形分は約36質量%、Mnは約4.0万、計算される二重結合当量は約450g/mol、また、単量体成分(イ)のみの処方から得られる重合体のFOXの式から算出されるTgは約−47℃であった。
合成については、表1にまとめた。
[合成例4]側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A−4)の合成
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた300mLの4つ口フラスコに、溶媒としてメチルエチルケトン75部を入れ、80℃に昇温した。
次いで、フラスコ内を窒素雰囲気下とし、メチルエチルケトン30部、ブチルアクリレート94.2部、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル7.6部及びアゾビスイソブチロニトリル0.35部の単量体成分(イ)を2時間かけて滴下し、滴下後1時間攪拌を行った。
その後、メチルエチルケトン30部とアゾビスイソブチロニトリル0.15部の混合物を30分間かけて攪拌しながら滴下した。
更に5時間30分攪拌を行った後、メチルエチルケトン34部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.5部、トリフェニルホスフィン2.5部及びアクリル酸2.7部の単量体成分(ロ)を30分間かけて滴下し、空気を吹き込みながら80℃で40時間攪拌した。
次いで、フラスコ内を冷却し、揮発した分のメチルエチルケトンを追加した後、反応物をフラスコより取り出し、側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A−4)の溶液を得た。
熱可塑性樹脂(A−4)の固形分は約38質量%、Mwは約7.2万、計算される二重結合当量は約3797g/mol、また、単量体成分(イ)のみの処方から得られる重合体のFOXの式から算出されるTgは約−55℃であった。
合成については、表1にまとめた。
[合成例5]側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A−5)の合成
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた300mLの4つ口フラスコに、溶媒としてメチルエチルケトン75部を入れ、80℃に昇温した。
次いで、フラスコ内を窒素雰囲気下とし、メチルエチルケトン30部、ブチルアクリレート85.2部、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル14.8部及びアゾビスイソブチロニトリル0.35部の単量体成分(イ)を2時間かけて滴下し、滴下後1時間攪拌を行った。
その後、メチルエチルケトン30部とアゾビスイソブチロニトリル0.15部の混合物を30分間かけて攪拌しながら滴下した。
更に5時間30分攪拌を行った後、メチルエチルケトン39部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.5部、トリフェニルホスフィン2.5部及びアクリル酸5.3部の単量体成分(ロ)を30分間かけて滴下し、空気を吹き込みながら80℃で40時間攪拌した。
次いで、フラスコ内を冷却し、揮発した分のメチルエチルケトンを追加した後、反応物をフラスコより取り出し、側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A−5)の溶液を得た。
熱可塑性樹脂(A−5)の固形分は約38質量%、Mwは約7.2万、計算される二重結合当量は約1426g/mol、また、単量体成分(イ)のみの処方から得られる重合体のFOXの式から算出されるTgは約−55℃であった。
合成については、表1にまとめた。
[合成例6]側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A−6)の合成
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた300Lの4つ口フラスコに、溶媒としてメチルエチルケトン70部を入れ、80℃に昇温した。
次いで、フラスコ内を窒素雰囲気下とし、メチルエチルケトン30部、メチルメタクリレート80部、グリシジルメタクリレート20部及びアゾビスイソブチロニトリル0.5部の単量体成分(イ)を4時間かけて滴下し、滴下後1時間攪拌を行った。
その後、メチルエチルケトン30部とアゾビスイソブチロニトリル0.2部の混合物を30分間かけて攪拌しながら滴下した。
更に5時間30分攪拌を行った後、メチルエチルケトン67.4部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.5部、トリフェニルホスフィン2.5部及びアクリル酸10.1部の単量体成分(ロ)を30分間かけて滴下し、空気を吹き込みながら80℃で35時間攪拌した。
次いで、フラスコ内を冷却した後、揮発した分のメチルエチルケトンを追加した後、反応物をフラスコより取り出し、側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A−6)の溶液を得た。
熱可塑性樹脂(A−6)の固形分は約36質量%、Mwは約5.2万、計算される二重結合当量は約781g/mol、また、単量体成分(イ)のみの処方から得られる重合体のFOXの式から算出されるTgは約91℃であった。
合成については、表1にまとめた。
[合成例7]無機微粒子(B)の合成
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた3Lの4つ口フラスコに、メタノールシリカゾル(日産化学工業(株)製、商品名:MT−ST、分散媒:メタノール、SiO2濃度:30質量%、一次粒子径:10〜20nm)1200部と、有機シラン化合物としてγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン(株)製、商品名:KBM−503、分子量:248)230部を入れ、攪拌しながら昇温させた。
揮発成分の還流が始まった後、純水33部を加えて還流下で2時間攪拌しながら加水分解を行い、アルコール、水等の揮発成分を留出させて、固形分濃度が60質量%になるように調整した。
この後、トルエン700部を追加し、アルコール、水等をトルエンと一緒に3時間攪拌しながら共沸留出させた。更に、完全に溶媒置換を行うため、アルコール、トルエンを留出させながら110℃で4時間反応を行い、固形分濃度を約60質量%とした。
[実施例1]
熱可塑性樹脂(A−1)、無機微粒子(B)及び光重合開始剤(E)として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF社製、商品名:Irgacure 184、分子量:204.3、)を表2に示す組成で用いて、樹脂組成物(X’−1)の溶液とした。更に樹脂組成物(X’−1)中の固形分が35質量%となるようメチルエチルケトンを追加し固形分を調整した。
得られた樹脂組成物(X’−1)を基材としてA4サイズにカットしたアクリル板(三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリライトL」、厚み3mm、透明)上の片方の面に塗工幅180mmで塗布した後、80℃の熱風乾燥機を用いて3分間乾燥し、厚さ約18μmの樹脂(X−1)の層が基材上に積層された積層シートを得た。
得られた積層シートに、紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)製、商品名:アイグランテージ(商標)(4kw)ECS−401GX)を用いて、約560mJ/cm2の紫外線を照射して樹脂層を硬化させ、硬化された樹脂からなる層が積層された積層シートを得た。
得られた積層シートは、全光線透過率が93%、ヘイズが0.5%であり、優れた透明性を示した。
また、低Tgの重合体で、且つ側鎖を有する熱可塑性樹脂(A−1)と無機微粒子(B)を併用したことから、得られた樹脂は復元率が86.5%、押込弾性率が1280MPa、マルテンス硬さが77N/mm2、更に鉛筆硬度がHを示し、柔軟性、復元性及び硬度を発現することが確認された。
また、ボールペンで引っ掻いた際にも、引っ掻き傷の復元が見られたことから、傷に対する良好な復元性を確認することができた。
積層シートの評価結果は表2に示した。
[実施例2]
熱可塑性樹脂(A−1)に代えて、熱可塑性樹脂(A−2)を用い、表2に示す割合の樹脂組成物(X’−2)として樹脂(X−2)の層を得た以外は、実施例1と同様に行った。
得られた積層シートは、全光線透過率が93%、ヘイズが0.5%であり、優れた透明性を示した。
実施例1と同様に低Tgの重合体で、且つ側鎖を有する熱可塑性樹脂(A−2)と無機微粒子(B)を併用したことから、得られた樹脂は復元率が76.4%、押込弾性率が1600MPa、マルテンス硬さが87N/mm2、更に鉛筆硬度が2Hを示し、柔軟性、復元性及び高い硬度を発現することが確認された。
また、ボールペンで引っ掻いた際にも、引っ掻き傷の復元が見られたことから、傷に対する良好な復元性を確認することができた。
積層シートの評価結果は表2に示した。
[実施例3]
熱可塑性樹脂(A−1)に代えて、熱可塑性樹脂(A−3)を用い、更に多官能単量体(C)として「アロニックスM−260」(ポリエチレングリコールジアクリレート:エチレングリコール鎖の繰り返し単位=14、東亜合成(株)製)、滑剤として「BYK−UV3500」(アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ビックケミージャパン(株)製)を用いて表2に示す組成の樹脂組成物(X’−3)として樹脂(X−3)の層を得た以外は、実施例1と同様に行った。
得られた積層シートは、全光線透過率が92%、ヘイズが0.3%であり、優れた透明性を示した。
実施例1と同様に低Tgの重合体で、且つ側鎖を有する熱可塑性樹脂(A−3)と無機微粒子(B)を併用し、更にエチレングリコール鎖の繰り返し構造を有する多官能単量体を併用したことから、得られた樹脂は復元率が93.0%、押込弾性率が550MPa、マルテンス硬さが37N/mm2、更に鉛筆硬度が4Hを示すことから、極めて優れた柔軟性、復元性及び極めて高い硬度を発現することが確認された。
また、ボールペンで引っ掻いた際にも、引っ掻き傷の復元が見られたことから、傷に対する良好な復元性を確認することができた。
積層シートの評価結果は表2に示した。
[実施例4]
多官能単量体(C)として「アロニックスM−260」に代えて、「NKエステルA−1000」(ポリエチレングリコールジアクリレート:エチレングリコール鎖の繰り返し単位=23、新中村化学工業(株)製)を用いて表2に示す組成の樹脂組成物(X’−4)として樹脂(X−4)の層を得た以外は、実施例3と同様に行った。
得られた積層シートは、全光線透過率が93%、ヘイズが0.3%であり、優れた透明性を示した。
実施例1と同様に低Tgの重合体で、且つ側鎖を有する熱可塑性樹脂(A−3)と無機微粒子(B)を併用し、更に長いエチレングリコール鎖の繰り返し構造を有する多官能単量体を併用したことから、得られた樹脂は復元率が97.4%、押込弾性率が530MPa、マルテンス硬さが36N/mm2、更に鉛筆硬度が2Hを示すことから、極めて優れた柔軟性、復元性及び高い硬度を発現することが確認された。
また、ボールペンで引っ掻いた際にも、引っ掻き傷の復元が見られたことから、傷に対する良好な復元性を確認することができた。
積層シートの評価結果は表2に示した。
[実施例5]
滑材を用いず、熱可塑性樹脂(A−3)に代えて、熱可塑性樹脂(A−6)を用い、表2に示す組成の樹脂組成物(X’−5)として樹脂(X−5)の層を得た以外は、実施例3と同様に行った。
得られた積層シートは、全光線透過率が93%、ヘイズが0.5%であり、優れた透明性を示した。
高Tgを示す重合体から得られた側鎖を有する熱可塑性樹脂(A−6)と無機微粒子(B)を併用しているものの、エチチレングリコール鎖の繰り返し構造を有する多官能単量体を併用したことから、得られた樹脂は復元率が75.4%、押込弾性率が1490MPa、マルテンス硬さが70N/mm2、更に鉛筆硬度2Hを示すことから、柔軟性、復元性及び硬度を発現することが確認された。
また、ボールペンで引っ掻いた際にも、引っ掻き傷の復元が見られたことから、傷に対する良好な復元性を確認することができた。
積層シートの評価結果は表2に示した。
[実施例6]
多官能単量体(C)として「アロニックスM−260」に代えて、「NKエステルA−1000」(ポリエチレングリコールジアクリレート:エチレングリコール鎖の繰り返し単位=23、新中村化学工業(株)製)を用いて表2に示す組成の樹脂組成物(X’−6)として樹脂(X−6)の層を得た以外は、実施例5と同様に行った。
高Tgを示す重合体から得られた側鎖を有する熱可塑性樹脂(A−6)と無機微粒子(B)を併用しているものの、更に長いエチチレングリコール鎖の繰り返し構造を有する多官能単量体を併用したことから、得られた樹脂は復元率が81.2%、押込弾性率が1390MPa、マルテンス硬さが70N/mm2、更に鉛筆硬度Hを示すことから、柔軟性、復元性及び硬度を発現することが確認された。
また、ボールペンで引っ掻いた際にも、引っ掻き傷の復元が見られたことから、傷に対する良好な復元性を確認することができた。
積層シートの評価結果は表2に示した。
[実施例7]
実施例1の樹脂組成物に加えて、多官能チオール化合物(D)として、「カレンズMT BD1」(1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、チオール基=2個、昭和電工(株)製)を4部、滑剤として「BYK−UV3500」(アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ビックケミージャパン(株)製)を0.5部添加し、樹脂組成物(X’−7)を得た。
得られた樹脂組成物(X’−7)を基材としてA4サイズにカットしたアクリル板(三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリライトL」、厚み3mm、透明)上の片方の面に塗工幅180mmで塗布した後、80℃の熱風乾燥機を用いて15分間乾燥し、厚さ約18μmの樹脂(X−7)の層が基材上に積層された積層シートを得た。また、ここで得られた樹脂(X−7)は、熱により硬化しており、タック感はなく、指紋の跡も残らなかった。
積層シートに、さらに紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)製、商品名:アイグランテージ(商標)(4kw)ECS−401GX)を用いて、約560mJ/cm2の紫外線を照射して樹脂層を硬化させ、硬化された樹脂からなる層が積層された積層シートを得た。
紫外線照射後に得られた積層シートは、全光線透過率が93%、ヘイズが0.4%であり、優れた透明性を示した。
また、低Tgの重合体で且つ側鎖を有する熱可塑性樹脂(A−1)、無機微粒子(B)および多官能チオール化合物(D)を使用したことから、得られた樹脂は復元率が86.3%、押込弾性率が1310MPa、マルテンス硬さが76N/mm2、更に鉛筆硬度が2Hを示し、柔軟性、復元性及び硬度を発現することが確認された。
また、ボールペンで引っ掻いた際にも、引っ掻き傷の復元が見られたことから、傷に対する良好な復元性を確認することができた。
積層シートの評価結果は表2に示した。
[実施例8]
実施例7の樹脂組成物中の多官能チオール化合物(D)「カレンズMT BD1」(1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、チオール基=2個、昭和電工(株)製)の添加量を6部とし、樹脂組成物(X’−8)を得た。
実施例7と同様の方法で熱硬化された積層シートは、タック感はなく、指紋の跡も残らなかった。
さらに、実施例7と同様の紫外線照射条件で硬化し得られた積層シートは、全光線透過率が93%、ヘイズが0.5%であり、優れた透明性を示した。
また、低Tgの重合体で且つ側鎖を有する熱可塑性樹脂(A−1)、無機微粒子(B)および多官能チオール化合物(D)を使用したことから、得られた樹脂は復元率が84.6%、押込弾性率が1020MPa、マルテンス硬さが58N/mm2、更に鉛筆硬度が2Hを示し、柔軟性、復元性及び硬度を発現することが確認された。
また、ボールペンで引っ掻いた際にも、引っ掻き傷の復元が見られたことから、傷に対する良好な復元性を確認することができた。
積層シートの評価結果は表2に示した。
[実施例9]
実施例7の樹脂組成物中の多官能チオール化合物(D)を「カレンズMT PE1」(ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、チオール基=4個、昭和電工(株)製)に変更し、添加量を3.6部として樹脂組成物(X’−9)を得た。
実施例7と同様の方法で熱硬化された積層シートは、タック感はなく、指紋の跡も残らなかった。
さらに、実施例7と同様の紫外線照射条件で硬化し得られた積層シートは、全光線透過率が93%、ヘイズが0.5%であり、優れた透明性を示した。
また、低Tgの重合体で且つ側鎖を有する熱可塑性樹脂(A−1)、無機微粒子(B)および多官能チオール化合物(D)を使用したことから、得られた樹脂は復元率が84.6%、押込弾性率が1020MPa、マルテンス硬さが58N/mm2、更に鉛筆硬度が3Hを示し、柔軟性、復元性及び硬度を発現することが確認された。
また、ボールペンで引っ掻いた際にも、引っ掻き傷の復元が見られたことから、傷に対する良好な復元性を確認することができた。
積層シートの評価結果は表2に示した。
[実施例10]
実施例2の樹脂組成物に加えて、多官能チオール化合物(D)として、「カレンズMT BD1」(1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、チオール基=2個、昭和電工(株)製)を5.3部、滑剤として「BYK−UV3500」(アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ビックケミージャパン(株)製)を0.5部添加し、樹脂組成物(X’−10)を得た。
実施例7と同様の方法で熱硬化された積層シートは、タック感はなく、指紋の跡も残らなかった。
さらに、実施例7と同様の紫外線照射条件で硬化し得られた積層シートは、全光線透過率が93%、ヘイズが0.4%であり、優れた透明性を示した。
また、低Tgの重合体で且つ側鎖を有する熱可塑性樹脂(A−2)、無機微粒子(B)および多官能チオール化合物(D)を使用したことから、得られた樹脂は復元率が83.6%、押込弾性率が630MPa、マルテンス硬さが34N/mm2、更に鉛筆硬度がHを示し、柔軟性、復元性及び硬度を発現することが確認された。
また、ボールペンで引っ掻いた際にも、引っ掻き傷の復元が見られたことから、傷に対する良好な復元性を確認することができた。
積層シートの評価結果は表2に示した。
[実施例11]
熱可塑性樹脂(A−2)に代えて、熱可塑性樹脂(A−3)を用い、表2に示す割合の多官能チオール化合物(D)とした以外は、実施例10と同様に行った。
実施例10と同様の方法で熱硬化された積層シートは、タック感はなく、指紋の跡も残らなかった。
さらに、実施例10と同様の紫外線照射条件で硬化し得られた積層シートは、全光線透過率が93%、ヘイズが0.4%であり、優れた透明性を示した。
また、低Tgの重合体で且つ側鎖を有する熱可塑性樹脂(A−3)、無機微粒子(B)および多官能チオール化合物(D)を使用したことから、得られた樹脂は復元率が83.1%、押込弾性率が1238MPa、マルテンス硬さが69N/mm2、更に鉛筆硬度が2Hを示し、柔軟性、復元性及び硬度を発現することが確認された。
また、ボールペンで引っ掻いた際にも、引っ掻き傷の復元が見られたことから、傷に対する良好な復元性を確認することができた。
積層シートの評価結果は表2に示した。
[実施例12]
多官能単量体(C)として、「ビスコート♯230」(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、大阪有機化学工業(株)製)を用いて、表2に示す組成の樹脂組成物(X’−12)とした以外は、実施例11と同様に行った。
実施例11と同様の方法で熱硬化された積層シートは、タック感はなく、指紋の跡も残らなかった。
さらに、実施例11と同様の紫外線照射条件で硬化し得られた積層シートは、全光線透過率が93%、ヘイズが0.4%であり、優れた透明性を示した。
また、低Tgの重合体で且つ側鎖を有する熱可塑性樹脂(A−3)、無機微粒子(B)および多官能チオール化合物(D)を使用したことから、得られた樹脂は復元率が75.9%、押込弾性率が1415MPa、マルテンス硬さが72N/mm2、更に鉛筆硬度が2Hを示し、柔軟性、復元性及び硬度を発現することが確認された。
また、ボールペンで引っ掻いた際にも、引っ掻き傷の復元が見られたことから、傷に対する良好な復元性を確認することができた。
積層シートの評価結果は表2に示した。
[実施例13]
熱可塑性樹脂(A−3)および熱可塑性樹脂(A−4)を用い、表2に示す組成の樹脂組成物(X’−13)とした以外は、実施例11と同様に行った。
実施例11と同様の方法で熱硬化された積層シートは、タック感はなく、指紋の跡も残らなかった。
さらに、実施例11と同様の紫外線照射条件で硬化し得られた積層シートは、全光線透過率が93%、ヘイズが0.4%であり、優れた透明性を示した。
また、低Tgの重合体で且つ側鎖を有する熱可塑性樹脂(A−3)と熱可塑性樹脂(A−4)、無機微粒子(B)および多官能チオール化合物(D)を使用したことから、得られた樹脂は復元率が80.4%、押込弾性率が1160MPa、マルテンス硬さが61N/mm2、更に鉛筆硬度が2Hを示し、柔軟性、復元性及び硬度を発現することが確認された。
また、ボールペンで引っ掻いた際にも、引っ掻き傷の復元が見られたことから、傷に対する良好な復元性を確認することができた。
積層シートの評価結果は表2に示した。
[実施例14]
熱可塑性樹脂(A−3)および熱可塑性樹脂(A−5)を用い、表2に示す組成の樹脂組成物(X’−14)とした以外は、実施例11と同様に行った。
実施例11と同様の方法で熱硬化された積層シートは、タック感はなく、指紋の跡も残らなかった。
さらに、実施例11と同様の紫外線照射条件で硬化し得られた積層シートは、全光線透過率が93%、ヘイズが0.4%であり、優れた透明性を示した。
また、低Tgの重合体で且つ側鎖を有する熱可塑性樹脂(A−3)と熱可塑性樹脂(A−5)、無機微粒子(B)および多官能チオール化合物(D)を使用したことから、得られた樹脂は復元率が81.3%、押込弾性率が1070MPa、マルテンス硬さが58N/mm2、更に鉛筆硬度が2Hを示し、柔軟性、復元性及び硬度を発現することが確認された。
また、ボールペンで引っ掻いた際にも、引っ掻き傷の復元が見られたことから、傷に対する良好な復元性を確認することができた。
積層シートの評価結果は表2に示した。
[比較例1]
熱可塑性樹脂(A−1)と光重合開始剤(E)のみの樹脂組成物(X’−15)として樹脂(X−15)の層を得た以外は、実施例1と同様に行った。
得られた積層シートは、全光線透過率が93%、ヘイズが0.3%であり、優れた透明性を示した。
しかし、低Tgの重合体で、且つ側鎖を有する熱可塑性樹脂(A−1)のみとしたことから、得られた樹脂は復元率が100%、押込弾性率が86MPa、マルテンス硬さが5.0N/mm2、と極めて優れた柔軟性と復元性を示したものの、鉛筆硬度が5B以下と極めて低い硬度しか示さず、柔軟性、復元性及び硬度の全てを満たす樹脂とはならなかった。
また、ボールペンで引っ掻いた際には、樹脂(X−15)の層が柔らかすぎたため、引っ掻き傷が深くつき、復元する様子は見られなかった。
積層シートの評価結果は表2に示した。
[比較例2]
熱可塑性樹脂(A−2)に代えて、熱可塑性樹脂(A−6)を用い、表2に示す割合の樹脂組成物(X’−16)として樹脂(X−16)の層を得た以外は、実施例2と同様に行った。
得られた積層シートは、全光線透過率が92%、ヘイズが0.5%であり、優れた透明性を示した。
しかし、高Tgを示す重合体から得られた側鎖を有する熱可塑性樹脂(A−6)と無機微粒子(B)のみからなる硬質層であるため、得られた樹脂は復元率が65.2%、押込弾性率が4500MPa、マルテンス硬さが250N/mm2、更に鉛筆硬度が2Hであり、高い硬度を示すものの、柔軟性と復元性に劣り、傷が復元もしくは目立たなくなる基準となる復元率70%以上を確保することができなかった。
また、ボールペンで引っ掻いた際には、鉛筆硬度が高いため傷はつきにくいものの、ついた引っ掻き傷の復元は見られなかった。
積層シートの評価結果は表2に示した。
Figure 2015227437
MEK:メチルエチルケトン
n−BA:ブチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
4HBAGE:4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル
GMA:グリシジルメタクリレート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
MEHQ:ハイドロキノンモノメチルエーテル
TPP:トリフェニルホスフィン
AA:アクリル酸
Figure 2015227437

Figure 2015227437
[実施例15]
樹脂組成物(X’−2)を用い、基材として架橋ゴム成分を含有する厚さ300μmの透明軟質アクリル樹脂シート(三菱レイヨン(株)製、アクリプレンHBS010P)を用いた以外は、実施例2と同様に行い、樹脂層を積層した積層フィルムを得た。
得られたフィルムの樹脂(X−2)の層は実施例2と同様の物性を示し、更に該フィルムを曲げた際にも、樹脂(X−2)の層が柔軟であることからクラックが発生しにくく、取扱い性にも優れていることが確認された。
[実施例16]
樹脂組成物(X’−7)を用い、基材として架橋ゴム成分を含有する厚さ300μmの透明軟質アクリル樹脂シート(三菱レイヨン(株)製、アクリプレンHBS010P)を用いた以外は、実施例7と同様に塗布および乾燥を行い、熱硬化された樹脂(X−7)の層が基材上に積層された積層フィルムを得た。
この積層フィルムを用いて、熱硬化後の樹脂(X−7)の層側がキャビティ側になるように真空引き機能を持つ金型内に配置し、積層フィルムが190℃に達するまでヒーターで加熱した後、真空成形を行った。真空成形後の積層フィルムの形状は、縦150mm×横120mm、深さ10mmの箱型であった。
熱硬化後の樹脂(X−7)の層は優れた柔軟性を有することから、真空成形後もクラックは見られず、また十分に硬化していることから金型への樹脂(X−7)の付着も見られなかった。
次いで、真空成形した積層フィルムの不要な部分(最終積層体において基材と接着しない部分)を、樹脂(X−7)の層側から、トムソン打ち抜き型を用いてトリミングした。
続いて、トリミングした真空成形後の積層フィルムの樹脂(X−7)の層側がキャビティ側になるように配置し、基材側に溶融させたABS樹脂(UMG ABS(株)製、商品名ダイヤペットABS「バルクサムTM25B」)を射出し、インサート成形により樹脂(X−7)の層を表層に有する成形体を得た。成形体の形状は、縦150mm×横120mm×厚さ2mm、深さ10mmの箱型であった。
得られた成形体の樹脂(X−7)の層を実施例7と同様の紫外線照射条件で硬化し、硬化後の樹脂(X−7)の層をボールペンで引っ掻いたところ、引っ掻き傷の復元が見られたことから、傷に対する良好な復元性を有する成形体を得ることができた。
この様に本発明によれば、高い硬度を持ち、且つ柔軟でキズが付いた際にもその優れた復元力によってキズを復元もしくは目立たなくすることが可能な樹脂を提供することができるようになる。また、その樹脂を用いた成形体及びフィルムは、前記特徴を有するため各種基材の表面保護用途に好適に使用可能であり、自動車内装用部材、自動車外装用部材等の車両用部材、建築用内装材、建築用外装材等の建材、各種表面化粧材、光学部材等の多くの用途に使用することができる。

Claims (12)

  1. ナノインデンテーション法により以下の測定条件で測定した、復元率(x)及び押込み弾性率が以下の(i)及び(ii)に記載した値を示し、且つ鉛筆硬度がH以上である樹脂(X)。
    測定条件
    樹脂の表面に、ビッカース圧子に5mN/5秒の条件で徐々に荷重を増加させながら荷重を加え、5mNに達した後10秒保持し、保持後5mN/5秒の条件で荷重を減少させながら荷重を除荷し、除荷後、更に25秒間保持を行う。
    (i)・・・下記式(1)より算出される樹脂の復元率(x)が70%以上100%以下。
    Figure 2015227437
    ここで、復元率(x)は上記測定条件で測定され、算出に用いたLs,Le,Lmaxはそれぞれ、Ls:荷重を加え始めた際の初期の押込み深さ、Le:除荷後、更に25秒間保持した後の押込み深さ、Lmax:5mNで10秒保持した後の最も深く圧子が押し込まれた際の押込み深さ、である。
    (ii)・・・押込み弾性率が10MPa以上2000MPa以下。
  2. 側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)を含有する、請求項1に記載の樹脂(X)を製造するための樹脂組成物。
  3. 側鎖に活性エネルギー線により硬化可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(A)が、以下の単量体成分(a)を重合して得られ且つ以下の(iii)を示す重合体に、ラジカル重合性の不飽和基とカルボキシル基を有する単量体を反応させて得られる重合体である請求項2に記載の樹脂組成物。
    単量体成分(a)
    ・エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(a−1) 5〜70質量%
    ・(a−1)以外の(メタ)アクリレート(a−2) 95〜30質量%
    ・(a−1)及び(a−2)と共重合可能な単量体(a−3) 0〜30質量%
    (iii)・・・ガラス転移温度(Tg)が0℃以下。
    ここで、Tgは、FOXの式から算出した値をいう。
  4. 無機微粒子(B)を更に含有する請求項2または3に記載の樹脂組成物。
  5. 多官能単量体(C)を更に含有する請求項2〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 多官能単量体(C)が、1分子内に2個以上のラジカル重合性官能基及びポリアルキレングリコール構造を有する多官能単量体である請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. 多官能チオール化合物(D)を更に含有する請求項2〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  8. 請求項2〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物を活性エネルギー線により硬化してなる樹脂(X)。
  9. 請求項7に記載の樹脂組成物を熱硬化した後、さらに活性エネルギー線により硬化してなる樹脂(X)。
  10. 請求項1に記載の樹脂(X)または請求項8〜9に記載の硬化された樹脂(X)の層を、基材の少なくとも片方の面に有する積層体。
  11. 基材がフィルム形状である請求項10に記載の積層体。
  12. 請求項7に記載の樹脂組成物の層を有する積層体を加熱し、樹脂組成物の層を熱硬化した後、成形を行い、さらに該樹脂組成物の層を活性エネルギー線で硬化して得られる樹脂(X)の層を有する成形体。
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