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JP7144939B2 - 自動車用樹脂部材 - Google Patents

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JP7144939B2 JP2018010854A JP2018010854A JP7144939B2 JP 7144939 B2 JP7144939 B2 JP 7144939B2 JP 2018010854 A JP2018010854 A JP 2018010854A JP 2018010854 A JP2018010854 A JP 2018010854A JP 7144939 B2 JP7144939 B2 JP 7144939B2
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Description

本発明は、自動車用樹脂部材に係り、更に詳細には、耐傷性を向上させた自動車用樹脂部材に関する。
自動車の下部には、例えば、悪路走行時における砂利の跳ね返り等による塗膜のはがれを防止するため、塩化ビニル系の耐チッピング塗装を施したりや、ウレタン系の保護フィルムを貼付することが行われている。
特許文献1の特開2004-115657号公報には、弾性率が45~65MPaのオレフィン系エラストマーから成るフィルム状基材と粘着層を有する自動車外装用保護フィルムが開示されている。
特開2004-115657号公報
しかしながら、特許文献1に記載の保護フィルムは、貼り付け作業を容易にするために硬いフィルム状基材を用いる必要があり、砂利等のダストの衝突による応力を充分緩和できず、耐チッピング性が充分ではない。
また、近年においては、軽量化による省燃費を目的として樹脂製の部材(以下、樹脂部材という。)が採用され、樹脂部材は、金属材料だけでなく、ガラスをも代替するようになっており、自動車の下部だけでなく見易い箇所にも用いられる。
特に、樹脂部材をガラスの代替部材として用いる場合は、摩耗傷が生じると光が散乱して白っぽくなり、視認性が低下するため、耐チッピング性を向上させるだけでは不十分であり、摩耗傷の発生をも防止する必要がある。
上記チッピング傷は、砂利等の鋭利なダストが、洗車機のブラシに絡まったり、走行中の跳ね上げなどにより、樹脂部材に衝突して生じる、所謂、陥没傷や、引っ掻き傷であり、局所的な応力によって樹脂部材の厚さ方向にダストがもぐり込み、樹脂部材の表面を抉り取ることで生じる。
したがって、チッピング傷は、ダストから局所的に大きな応力を受けたときに、広い範囲が凹んで応力を分散させて緩和し、樹脂部材にダストがもぐり込まないようにすることで防止することができる。
これに対し、摩耗傷は、例えば、ウエスや洗車ブラシで樹脂部材を拭くときに、応力を広い範囲に受けて樹脂部材が凹み、ウエスや洗車ブラシと樹脂部材との間に介在するダストが研磨剤として働き、樹脂部材表面を移動して上記凹みの縁から広く浅く削り取ることで生じる傷である。
したがって、ウエスや洗車ブラシ等による広い範囲に受ける応力により、表面が凹まないように樹脂部材を硬くして、摩耗傷の発生し易い凹みの縁が生じないようにすることで摩耗傷の発生を防止できる。
しかしながら、樹脂部材を硬くして摩耗傷の発生を防止すると、ダストからの局所的な大きな応力を緩和することができず、チッピング傷が発生してしまう。
そして、樹脂部材は、一般的に砂利などの無機物を含むダストよりも軟質な材料であるため、ダストよりも硬質なガラス等の無機材料とは異なり、チッピング傷と摩耗傷との両方の発生を同時に防止することは困難である。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、チッピング傷と摩耗傷との両方の傷の発生を防止できる樹脂部材を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、自動車用樹脂部材全体の荷重-変位曲線が、所定の変位量の範囲内で直線的に変化するように、積層するエラストマー層とハードコート層とを調節し組み合わせることで、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の自動車用樹脂部材は、 樹脂基材上に、エラストマー層と、ハードコート層とを、この順で直接積層して成り、
上記エラストマー層が熱可塑性エラストマーを含有し、そのショアA硬度が85A~98A、厚さが50μm~250μmであり、
上記ハードコート層が、ポリウレタン樹脂又はポリメタクリル酸メチル樹脂であり、その厚さが、5μm~40μmであり、
上記自動車用樹脂部材は、マルテンス硬度(HMT)が10~40N/mm であり、先端対稜角が115°の三角錐ダイヤモンド圧子を押し込んだときの荷重(mN)と変位量(μm)との関係が、以下の式を満たすことを特徴とする;

傾き変化量△S<0.1・・・式

但し、式中、△Sは、S2-S1を表わす。
S1は、変位量が0.1μmから0.5μmまで増加したときの荷重の増加割合(傾き)であり、
S2は、変位量が0.5μmから1.0μmまで増加したときの荷重の増加割合(傾き)である。
本発明によれば、所定の圧子を1.0μmまで押し込んだときの荷重(mN)-変位(μm)曲線が直線的に変化するように、エラストマー層とハードコート層とを組み合わせたため、発生メカニズムが異なるチッピング傷と摩耗傷との両方の傷の発生を防止できる樹脂部材を提供することができる。
自動車用樹脂部材の概略断面図である。 実施例1の自動車用樹脂部材の荷重-変位曲線である。 実施例2の自動車用樹脂部材の荷重-変位曲線である。 実施例3の自動車用樹脂部材の荷重-変位曲線である。 比較例1の自動車用樹脂部材の荷重-変位曲線である。 比較例2の自動車用樹脂部材の荷重-変位曲線である。 比較例3の自動車用樹脂部材の荷重-変位曲線である。 比較例4の自動車用樹脂部材の荷重-変位曲線である。
本発明の自動車用樹脂部材について詳細に説明する。
上記自動車用樹脂部材は、樹脂基材上に、エラストマー層、ハードコート層を順に備え、上記エラストマー層が、熱可塑性エラストマーを含む。
そして、先端対稜角が115°の三角錐ダイヤモンド圧子(Triangular115)を10μmまで押し込んだときの荷重(mN)-変位(μm)曲線が、直線的に変化するものである。
具体的には、荷重(mN)と変位量(μm)との関係が、以下の式を満たす。
傾き変化量ΔS<0.1・・・式
但し、式中、ΔSは、S2-S1を表わす。
上記S1は、
変位量が0.1μm(D0.1)のときの荷重(mN)をF0.1、
変位量が0.5μm(D0.5)のときの荷重(mN)をF0.5としたとき、
(F0.5-F0.1)/(D0.5-D0.1)であって、
変位量が0.1μmから0.5μmまで増加したときの荷重の増加割合(傾き)を表わし、
上記S2は、
変位量が1.0μm(D1.0)のときの荷重(mN)をF1.0としたとき、
(F1.0-F0.5)/(D1.0-D0.5)であって、
変位量が0.5μmから1.0μmまで増加したときの荷重の増加割合(傾き)を表わす。
上記自動車用樹脂部材は、エラストマー層上にハードコート層を有するものであって、ゴム状弾性体上に、該ゴム状弾性体よりも薄く硬い樹脂を積層したものである。
傷の発生原因となるダストからの応力は、ハードコート層を介してエラストマー層に伝わるため、エラストマー層とハードコート層との組み合わせにより、自動車用樹脂部材の荷重-変位曲線の形状を調節することができる。
そして、荷重-変位曲線が直線状であることで、ダストからの応力に対する反力をエラストマー層で低下させると共に、ダストからの応力による変位量をハードコート層によって小さくすることができる。
したがって、応力を局所的に受けたときには、広い範囲で変位して応力を分散させ、応力を広い範囲に受けたときには応力に抗して表面が屈曲せずに凹みが生じ難くなるため、チッピング傷と摩耗傷との両方の発生を防止できる。
つまり、一般的な弾性変形では、変位量が多くなるにつれて反力が大きくなって、荷重に対する変位量が減少するため、ダストからの応力が過大になると、応力に対する反力が大きくなるため応力を緩和できない。
そして、ダストから受けた応力が緩和されないと、上記のようにダストが自動車用樹脂部材の厚さ方向にもぐり込み、表面が抉り取られてチッピング傷が発生してしまう。
上記チッピング傷の発生を防止するために、弾性率を小さくして反力を小さくする場合は、ウエスや洗車ブラシなどで拭いたときのように、広い範囲に受けたときにも凹んでしまい、上記のように、凹みの縁から削り取られて摩耗傷が発生してしまう。
したがって、上記のような一般的な弾性変形では、チッピング傷と摩耗傷との両方を防止することは困難であるが、荷重-変位曲線が直線状であることで、応力の分散と凹み防止とを両立でき、チッピング傷と摩耗傷との両方を防止することができる。
本発明の自動車用樹脂部材の上記荷重-変位曲線は、変位量が0.1μmから0.5μmまでの荷重の増加割合(傾き)と、変位量0.5μmから1.0μmまでの荷重の増加割合(傾き)とが、0.55~1.00(mN/μm)であることが好ましく、0.8~1.00(mN/μm)であることがより好ましい。
荷重の増加割合(傾き)が上記範囲内にあることで、チッピング傷と摩耗傷との両方の傷の発生を防止できる。
また、自動車用樹脂部材は、マルテンス硬度(HMT)が10~40N/mmであり、さらに15~25N/mmであることが好ましい。
マルテンス硬度が10N/mm未満では、軟らかすぎて摩耗傷が発生し易く、40N/mmを超えると硬すぎてチッピング傷が発生し易い。マルテンス硬度が10~40N/mmであることでチッピング傷と摩耗傷との両方の傷の発生を防止できる。
自動車用樹脂部材のマルテンス硬度は、上記荷重-変位曲線の形状と同様に、エラストマー層とハードコート層との組み合わせにより調節できる。
具体的には、同じハードコート層であっても、エラストマー層を軟らかくすることで荷重に対する変位量が大きくなってマルテンス硬度が低くなり、エラストマー層を硬くすることで荷重に対する変位量が小さくなりマルテンス硬度が高くなる。
本発明においては、自動車用樹脂部材のマルテンス硬度(HMT)を、ISO 14577-1「計装化押し込み硬さ試験」におけるマルテンス硬さの測定方法に準拠し、以下の条件で測定した。
測定装置は島津製作所製ダイナミック超微小硬度計DUH-211S、圧子はTriangular115を用い、負荷-除荷試験モードで、試験力1mN、最小試験力0.002mN、負荷速度3.0mN/sec、負荷保持時間5sec、除荷保持時間10sec、試験温度23℃で行った。
<エラストマー層>
上記エラストマー層は、ダストからの応力により変形して応力を緩和するものであり、エラストマー層のショアA硬度は85A~98Aであることが好ましい。
ショアA硬度が80A未満では、軟らかすぎて摩耗傷が発生し易くなり、98Aを超えると硬すぎて、チッピング傷が発生し易くなる。
ショアA硬度は、JIS K 6253-3「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-硬さの求め方-第 3 部:デュロメータ硬さ」に準拠し、タイプ A デュロメータを用いて測定した。
上記エラストマー層の厚さは、ダストからの応力が樹脂基材に伝わったり、エラストマー層が無制限に変形したりして、自動車用樹脂部材の荷重-変位曲線の形状やマルテンス硬度(HMT)に影響することがなければ、特に制限はないが、あまり厚くなるとコストが上昇するため、実用的な上限は1.5mm程度である。
樹脂部材をガラスの代替部材として使用する場合は、50μm~250μmであることが好ましく、さらに、70μm~200μmであることが好ましい。
エラストマー層が厚すぎると、透明性の低下や、厚みバラツキが生じ易くなって光学歪が生じ易くなり、光学的性能が低下し易くなる。
上記エラストマー層は、熱可塑性エラストマーを含有する。
エラストマーが熱可塑性であることで、後述する樹脂基材に直接融着することができ、接着剤が不要であるため、接着剤の劣化に起因する剥がれや白化の問題が生じない。また、貼り付け作業性をする必要がなく、設計の自由度が高い。
上記熱可塑性エラストマーは、樹脂基材やハードコート層と親和性を有し、接着が可能なエラストマーを選択し使用することができる。
上記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ウレタン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱仮想性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマーの他、オレフィン系のゴム成分との混合物や共重合体や、熱可塑性樹脂と混錬可能なゴム成分とをブレンドした熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
なかでも、熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、しなやかで強靱なエラストマーであり、成形性、透明性、耐候性にも優れるため、自動車の外装部品などに好ましく使用できる。
<ハードコート層>
上記ハードコート層は、上記エラストマー層よりも薄く硬い樹脂層であり、自動車用樹脂部材の表面に形成される。
ハードコート層の厚さは、ハードコート層を構成する樹脂種やエラストマーの硬さなどにもよるが、5μm~40μmであることが好ましい。
上記範囲の厚さを有することで、局所的に受けた応力を広範囲に分散してエラストマー層に伝えると共に、広範囲に受けた応力に抗して凹むことを防止できる。
また、ハードコート層は、鉛筆硬度がB~2Hであることが好ましい。
鉛筆硬度がB未満では、軟らかすぎてハードコート層自体が傷つきやすくなり、エラストマーに応力を伝え難く傷つきやすくなることがあり、2Hを超えると屈曲性が小さくなってエラストマーに応力を伝え難く、傷つきやすくなることがある。
鉛筆硬度は、JIS K 5600-5-4 「塗料一般試験方法-塗膜の機械的性質に関する試験方法」の引っかき硬度(鉛筆法)に準拠して測定した。
ハードコート層を構成する樹脂としては、自動車用の塗装に用いられる従来公知の樹脂を使用することができる。
上記樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン変性ポリエステル樹脂、シリコン変性アクリル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂などを挙げることができる。
なかでも、ポリウレタン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂は、強靭で透明性に優れるため好ましく使用できる。
<自動車用樹脂部材の作製>
上記自動車用樹脂部材は、樹脂基材にエラストマー層を積層した複合体を作製し、ハードコート層塗工液を塗布乾燥することで作製できる。
上記複合体は、樹脂基材を成形した後に、シート状のエラストマーを重ね、熱プレスによりエラストマーを樹脂基材に融着させることや、2台の押出し機から溶融状態の樹脂基材を構成する樹脂と熱可塑性エラストマーとを押出して積層し、プレス成形することで作製できる。
また、2色インジェクションや2色インジェクションプレス工法により、溶融状態の樹脂基材を構成する樹脂と熱可塑性エラストマーとを金型内に射出して成形することもできる。
上記自動車用樹脂部材は、自動車用グレージング部品、樹脂製外装部品、樹脂製内装トリム部品などに使用できる。
自動車用グレージング部品としては、リアクォーターウインドウ、リアサイドウィンドウ、リアウインドウ、サンルーフなどの窓ガラスや、ヘッドランプカバーなどを挙げることができる。
また、樹脂製外装部品としては、サイドミラーハウジング、バンパー、フロントグリル、リアスポイラー、サイドシルスポイラー、樹脂製フェンダーなどを挙げることができる。
さらに、樹脂製内装トリム部品としては、メーターカバー、センターコンソールカバー、ナビゲーションカバー、ランプカバー、ドアトリム、マップランプ、センターコンソール、ボディーサイドトリム、ラゲッジトリム、トノカバー、フロアボード、インスツルメントパネル、グローブボックスなどを挙げることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
<樹脂基材の作製>
ポリカーボネート樹脂(LEXAN:LS2-111:Sabic社製)を、射出成形機(TM130F2:東洋機械金属株式会社製)を用いて以下の条件で射出成形した。
成形温度は、射出成形機のノズル先端部の温度を300℃に設定し、ホッパー側に向けて各シリンダー温度を5℃毎に低下させて、ホッパー下部の温度を285℃に設定し、また、金型温度を90℃に設定した。
ポリカーボネート樹脂を加熱溶融し、40mmφスクリューで射出速度80%(88mm/sec)、射出圧力90Kgf/(1130Kgf/cm)で射出し、80Kgf/(1070Kgf/cm)で15秒間保圧して、厚さ2mmプレート状の樹脂基材を得た。
[実施例1]
脂肪族イソシアネートを用いた無黄変熱可塑性ポリウレタンエラストマー(Elastollan:NY585A:BASF社製;硬度85A)を、押出成形機(Plastogaph EC Plus,19mmφ)を用いて、以下の条件で成形した。
押出成形機のノズル先端部の温度を195℃に設定し、ホッパー側に向けて各シリンダー温度を5℃毎に低下させて、ホッパー下部の温度を180℃に設定した。
溶融させた熱可塑性ポリウレタンエラストマーを押出成形機のT字型フラットダイから、スクリュー回転速度10~15rpmで押し出し、引取速度を調節して厚さ200μmのシート状エラストマーを得た。
上記シート状エラストマーを上記樹脂基材上に乗せ、真空プレス機(ミカド機器販売株式会社製)を用いて、差圧100kPaの減圧下、シート状エラストマーを120℃で加熱して軟化させた後、5kNで1分間加圧して、シート状エラストマーと樹脂基材とを熱融着させて、樹脂基材上にエラストマー層を形成した。
次に、上記エラストマー層にクリアコート(PU High Gloss Clear:GF54055A PU SB HG CC:BASF社製)を塗布して膜厚を調整した後、熱風オーブン内で養生し、膜厚が30μmのハードコート層を形成して自動車用樹脂部材を得た。
実施例1の自動車用樹脂部材の荷重(mN)-変位(μm)曲線を図2に示す。
変位量が0.1μmから0.5μmまでの傾き(S1)は0.853であり、
変位量が0.5μmから1.0μmまでの傾き(S2)は0.905であり、
ΔSは0.052であった。
なお、S1、S2は、マルテンス硬度を5回測定し、それぞれの荷重-変位曲線の傾きを平均してS1、S2とした。
[実施例2]
ハードコート層の膜厚を10μmにする他は実施例1と同様にして自動車用樹脂部材を得た。
実施例2の自動車用樹脂部材の荷重(mN)-変位(μm)曲線を図3に示す。
変位量が0.1μmから0.5μmまでの傾き(S1)は0.561であり、
変位量が0.5μmから1.0μmまでの傾き(S2)は0.602であり、
ΔSは0.041であった。
[実施例3]
脂肪族イソシアネートを用いた無黄変熱可塑性ポリウレタンエラストマー(Elastollan:NY998:BASF社製;硬度98A)を、以下の条件で成形し、また、ハードコート層の膜厚を10μmにする他は実施例1と同様にして自動車用樹脂部材を得た。
押出成形機のノズル先端部の温度を205℃に設定し、ホッパー側に向けて各シリンダー温度を5℃毎に低下させて、ホッパー下部の温度を190℃に設定した。
溶融させた熱可塑性ポリウレタンエラストマーを押出成形機のT字型フラットダイから、スクリュー回転速度10~15rpmで押し出し、引取速度を調節して厚さ100μmのシート状エラストマーを得た。
実施例3の自動車用樹脂部材の荷重(mN)-変位(μm)曲線を図4に示す。
変位量が0.1μmから0.5μmまでの傾き(S1)は0.848であり、
変位量が0.5μmから1.0μmまでの傾き(S2)は0.838であり、
ΔSは-0.010であった。
[比較例1]
エラストマー層の膜厚を100μmにする他は実施例2と同様にして自動車用樹脂部材を得た。
比較例1の自動車用樹脂部材の荷重(mN)-変位(μm)曲線を図5に示す。
比較例1の自動車用樹脂部材は、変位量が0.15μmを超えたあたりで破壊したため、ΔSを測定できなかった。
[比較例2]
エラストマー層を形成しない他は、実施例2と同様にして自動車用樹脂部材を得た。
比較例2の自動車用樹脂部材の荷重(mN)-変位(μm)曲線を図6に示す。
比較例2の自動車用樹脂部材は、変位量が0.20μmあたりで破壊したため、ΔSを測定できなかった。
[比較例3]
エラストマー層を形成しない他は、実施例3と同様にして自動車用樹脂部材を得た。
比較例3の自動車用樹脂部材の荷重(mN)-変位(μm)曲線を図7に示す。
変位量が0.1μmから0.5μmまでの傾き(S1)は0.549であり、
変位量が0.5μmから1.0μmまでの傾き(S2)は0.663であり、
ΔSは0.114であった。
[比較例4]
ハードコート層を形成しない他は、実施例2と同様にして自動車用樹脂部材を得た。
比較例4の自動車用樹脂部材の荷重(mN)-変位(μm)曲線を図8に示す。
変位量が0.1μmから0.5μmまでの傾き(S1)は0.550であり、
変位量が0.5μmから1.0μmまでの傾き(S2)は0.850であり、
ΔSは0.300であった。
[参考例1]
上記樹脂基材上に、二酸化ケイ素(SiO)をプラズマコートして、0.01μmのガラスコート層を形成した。
<評価>
実施例1~3、比較例1~4自動車用樹脂部材、および参考例1のガラスコート部材を以下の方法で試験した。評価結果を表1に示す。
なお、ハードコート層の鉛筆硬度は、比較例4の自動車用樹脂部材を測定してハードコート層の鉛筆硬度とした。
(洗車機試験)
試験片を黒い板の上に設置し、入射角0°、受光角10°におけるL値を測定し、以下の条件で実施した洗車機試験前のL値と比較して、明度差(ΔL)を測定し、光の散乱により耐傷付性を調べた。
洗車機ブラシとして、材質はポリエチレン、形状は十字先割れタイプ、ブラシ全長220mmを使用した。
ブラシの回転速度および時間は、150rpm、10秒とした。
水量は、4L/分とした。
泥水は、試験用ダスト8種(JIS Z 8901):イオン交換水:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム0.75wt%水溶液=3:10:2(重量比)で混合したものとした。
寸法が70×30mmの試験片の試験面を上に向け、規定量(24±5mmg・cm)の泥水を滴下後、刷毛で70×30mmに広げた。
泥水を塗布した試験片を洗車ブラシの中心から150mmの距離におき、規定の雨量の水を試験片にかけながら、規定の条件で規定時間ブラシを回転させた。
これを1サイクルとして、167サイクル実施した後、表面の泥水を除去し、さらに、両面ネル(両面を起毛した生地)を用いてアルコールで傷方向に拭いてブラシのカスを除去した。
(剥離試験)
耐候試験前後の樹脂基材とエラストマー層との接着性を以下の方法で測定した。
JIS K 5600-5-6「塗料一般試験方法」に準じ、試験片のほぼ中央に、カッタナイフで基材に達する直交する縦横11本ずつの平行線を2mm間隔で引き、100個の正方形の碁盤目状のセルをつくった。
碁盤目状の試験片の上に、幅18mmから30mm程度のセロハンテープ(登録商標)を密着させ、上方に一気に引きはがし、各セルの樹脂基材側にエラストマー層及びハードコート層が残った面積が50%以上のものを合格セルとし、100個すべてのセルが合格であるものを剥離なしとした。
(耐候試験)
東洋精機(株)製 耐候性試験機(ATLAS Ci400)を用い、JIS K7350-2 に準じて耐候性試験を実施した。
照射照度:60W/m(波長範囲300~400nm)、ブラックパネル温度:63℃±3℃の試験片を加速劣化させた。
1サイクルを120分間とし、始めの12分間はイオン交換水をスプレーするサイクルを500サイクル行った。耐候性試験後の試験片について、上記剥離試験を実施した。
Figure 0007144939000001
実施例1の自動車用樹脂部材は、荷重(mN)-変位(μm)曲線が直線状であり、耐傷付性に優れるものであったが、比較例3,4の自動車用樹脂部材は、ΔSが大きく変位量の増加に伴って反力が大きくなるものであるため、ダストからの応力を緩和できず、耐傷付性が劣るものであった。
また、実施例1~3の自動車用樹脂部材は、洗車機試験前後のΔLが4以下であり、光の散乱による白化が抑制されており、耐傷付性に優れることが確認できた。
特に、マルテンス硬度が15~25N/mmを満たす実施例1,3の自動車用樹脂部材は、ガラスコート層を形成した参考例1の部材とほぼ同程度の耐傷付性を有していた。
なお、参考例1の部材は、マルテンス硬度が高く耐傷付性を有するものであるが、プラズマ処理が必要であり非常に高価である。
1 樹脂基材
2 エラストマー層
3 ハードコート層

Claims (5)

  1. 樹脂基材上に、エラストマー層と、ハードコート層とを、この順で直接積層して成る自動車用樹脂部材であって、
    上記エラストマー層が熱可塑性エラストマーを含有し、そのショアA硬度が85A~98A、厚さが50μm~250μmであり、
    上記ハードコート層が、ポリウレタン樹脂又はポリメタクリル酸メチル樹脂であり、その厚さが、5μm~40μmであり、
    上記自動車用樹脂部材は、マルテンス硬度(HMT)が10~40N/mm であり、先端対稜角が115°の三角錐ダイヤモンド圧子を押し込んだときの荷重(mN)と変位量(μm)との関係が、以下の式を満たすことを特徴とする自動車用樹脂部材。

    傾き変化量ΔS<0.1・・・式

    但し、式中、ΔSは、S2-S1を表わす。
    S1は、変位量が0.1μmから0.5μmまで増加したときの荷重の増加割合であり、
    S2は、変位量が0.5μmから1.0μmまで増加したときの荷重の増加割合である。
  2. 上記自動車用樹脂部材のマルテンス硬度(HMT)が15~25N/mmであることを特徴とする請求項に記載の自動車用樹脂部材。
  3. 上記エラストマー層の厚さが70μm~200μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車用樹脂部材。
  4. 上記エラストマー層が、熱可塑性ポリウレタンエラストマーを含むことを特徴とする請求項1~のいずれか1つの項に記載の自動車用樹脂部材。
  5. 上記ハードコート層の鉛筆硬度が、B~2Hであることを特徴とする請求項1~のいずれか1つの項に記載の自動車用樹脂部材。
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