JP2015227257A - 水素供給システム - Google Patents
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Abstract
【課題】エネルギー効率を向上できる水素供給システムを提供する。
【解決手段】水素供給システム100は、水素ガスを用いて発電を行う燃料電池部21と、水素精製器6から排出されるオフガスを燃料電池部21へ供給するオフガスラインL7と、を備えている。従って、水素精製器6から排出されたオフガスは、オフガスラインL7を介して燃料電池部21へ供給される。オフガスには水素ガスが含まれているため、燃料電池部21はオフガスを供給されることによって発電を行うことができる。このように、水素の精製工程で発生したオフガスを用いた発電を燃料電池部21で行うことで、外部から燃料などを供給することなく(発電装置を設けて外部から燃料を供給してもよいが、その量を低減できる)、水素供給システム100内で用いられる電気を供給することが可能となる。
【選択図】図1
【解決手段】水素供給システム100は、水素ガスを用いて発電を行う燃料電池部21と、水素精製器6から排出されるオフガスを燃料電池部21へ供給するオフガスラインL7と、を備えている。従って、水素精製器6から排出されたオフガスは、オフガスラインL7を介して燃料電池部21へ供給される。オフガスには水素ガスが含まれているため、燃料電池部21はオフガスを供給されることによって発電を行うことができる。このように、水素の精製工程で発生したオフガスを用いた発電を燃料電池部21で行うことで、外部から燃料などを供給することなく(発電装置を設けて外部から燃料を供給してもよいが、その量を低減できる)、水素供給システム100内で用いられる電気を供給することが可能となる。
【選択図】図1
Description
本発明は、水素の供給を行う水素供給システムに関する。
従来の水素供給システムとして、例えば特許文献1に挙げるものが知られている。特許文献1の水素供給システムは、原料の芳香族炭化水素の水素化物を貯蔵するタンクと、当該タンクから供給された原料を脱水素反応させることによって水素を得る脱水素反応器と、反応器で得られた水素を気液分離する気液分離器と、気液分離された水素を精製する水素精製器と、を備える。
ここで、上述のような水素供給システムにおいて、システム内で用いる電気を供給するために、発電装置を設けて、当該発電装置で電気を発生させる場合があった。しかしながら、このような発電装置にて電気を発生させるためには、外部から炭化水素系の燃料などを当該発電装置に供給する必要があった。従って、水素供給システム全体としてのエネルギー効率を更に向上させることが要請されていた。
そこで、本発明は、エネルギー効率を向上させることができる水素供給システムを提供することを目的とする。
本発明に係る水素供給システムは、水素の供給を行う水素供給システムであって、原料を脱水素反応させることによって水素含有ガスを得る脱水素反応部と、水素含有ガスから脱水素生成物を分離する気液分離部と、気液分離部で分離された水素含有ガスから脱水素生成物を除去し、精製ガスを得る水素精製部と、水素ガスを用いて発電を行う燃料電池部と、水素精製部から排出されるオフガスを燃料電池部へ供給するオフガスラインと、を備える。
本発明に係る水素供給システムは、水素ガスを用いて発電を行う燃料電池部と、水素精製部から排出されるオフガスを燃料電池部へ供給するオフガスラインと、を備えている。従って、水素精製部から排出されたオフガスは、オフガスラインを介して燃料電池部へ供給される。オフガスには水素ガスが含まれているため、燃料電池部はオフガスを供給されることによって発電を行うことができる。このように、水素の精製工程で発生したオフガスを発電に用いることで、外部から燃料などを供給することなく(外部から燃料を供給するとしても、その量を低減できる)、水素供給システム内で用いられる電気を供給することが可能となる。以上により、水素供給システムのエネルギー効率を向上させることができる。
本発明に係る水素供給システムは、水素精製部から排出される精製ガスを圧縮する圧縮部を更に備え、燃料電池部は、発生させた電気を圧縮部へ供給してよい。これによって、燃料電池部で発生させた電気を有効に利用することができる。
本発明に係る水素供給システムは、気液分離部で分離された脱水素生成物を電気を用いて水素化し、原料として脱水素反応部の上流側へ供給する水素化部を更に備え、燃料電池部は、発生させた電気を水素化部へ供給してよい。これによって、燃料電池部で発生させた電気を有効に利用することができる。
本発明に係る水素供給システムにおいて、燃料電池部は、発生させた電気を、電気によって移動する移動体へ供給してよい。これによって、燃料電池部で発生させた電気を有効に利用することができる。
本発明に係る水素供給システムにおいて、燃料電池部は、発電に伴って発生する熱を脱水素反応部へ供給してよい。これによって燃料電池部で発生した熱を脱水素反応部における脱水素反応に有効に利用することができる。
本発明によれば、水素供給システムのエネルギー効率を向上させることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る水素供給システムの構成を示すブロック図である。本実施形態に係る水素供給システム100は、有機化合物(常温で液体)を原料とするものである。なお、水素精製の過程では、原料である有機化合物(常温で液体)を脱水素した、脱水素生成物(有機化合物(常温で液体))が除去される。原料の有機化合物として、例えば、有機ハイドライドが挙げられる。有機ハイドライドは、製油所で大量に生産されている水素を芳香族炭化水素と反応させた水素化物が好適な例である。また、有機ハイドライドは、芳香族の水素化化合物に限らず、2−プロパノール(水素とアセトンが生成される)の系もある。有機ハイドライドは、ガソリンなどと同様に液体燃料としてタンクローリーなどによって水素供給システム100へ輸送することができる。本実施形態では有機ハイドライドとして、メチルシクロヘキサン(以下、MCHと称する)を用いる。その他、有機ハイドライドとしてシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン、メチルデカリン、ジメチルデカリン、エチルデカリンなど芳香物炭化水素の水素化物を適用することができる(なお、芳香族化合物は特に水素含有量の多い好適な例である)。水素供給システム100は、燃料電池自動車(FCV)や水素エンジン車に水素を供給することができる。なお、メタンを主成分とした天然ガスやプロパンを主成分としたLPG、あるいはガソリン、ナフサ、灯油、軽油といった液体炭化水素原料から水素を製造する場合にも適用可能である。
本実施形態では、水素供給システム100として、FCV10に高純度水素を供給する水素ステーションを例として説明を行う。図1に示すように、本実施形態に係る水素供給システム100は、MCHタンク1、気化器2、脱水素反応器(脱水素反応部)3、気液分離器(気液分離部)4、トルエンタンク5、水素精製器(水素精製部)6、圧縮機(圧縮部)7、蓄圧器8、ディスペンサ9、熱源11、冷熱源12,13、水素化装置20、及び燃料電池部21を備えている。また、水素供給システム100は、ラインL1〜L9を備えている。なお、本実施形態では、原料としてMCHを採用し、水素精製の過程で除去される脱水素生成物がトルエンである場合を例として説明する。なお、実際には、トルエンのみならず、未反応のMCHと少量の副生成物及び不純物も存在するが、本実施形態中では、トルエンに混じって当該トルエンと同じ挙動を示す。従って、以下の説明において、「トルエン」と称して説明するものには、未反応のMCHや副生成物も含むものとする。
ラインL1〜L9は、MCH、トルエン、水素含有ガス、オフガス、または高純度水素が通過する流路である。ラインL1は、MCHタンク1と気化器2とを接続する。ラインL2は、気化器2と脱水素反応器3とを接続する。ラインL3は、脱水素反応器3と気液分離器4とを接続する。ラインL4は、気液分離器4と水素精製器6とを接続する。ラインL5は、気液分離器4とトルエンタンク5とを接続する。ラインL6は、水素精製器6と圧縮機7とを接続する。ラインL7は、水素精製器6と燃料電池部21とを接続する。ラインL7は、水素精製器6から排出されるオフガスを燃料電池部21へ供給するオフガスラインとして機能する。以下の説明においては、ラインL7を「オフガスラインL7」と称して説明する。ラインL8は、圧縮機7と蓄圧器8とを接続する。ラインL9は、蓄圧器8とディスペンサ9とを接続する。
MCHタンク1は、原料となるMCHを貯留するタンクである。外部からタンクローリーなどで輸送されたMCHは、MCHタンク1にて貯留される。MCHタンク1に貯留されているMCHは、圧縮機(不図示)によってラインL1を介して気化器2へ供給される。
気化器2は、インジェクタなどを介してMCHタンク1から供給されたMCHを気化する機器である。気化されたMCHは、オフガスラインL7を介して水素精製器6から供給されたオフガスと併せて、ラインL2を介して脱水素反応器3へ供給される。
脱水素反応器3は、MCHを脱水素反応させることによって水素を得る機器である。すなわち、脱水素反応器3は、脱水素触媒を用いた脱水素反応によってMCHから水素を取り出す機器である。有機ハイドライドの反応は可逆反応であり、反応条件(温度、圧力)によって反応の方向が変わる(化学平衡の制約を受ける)。一方、脱水素反応は、常に吸熱反応で分子数が増える反応である。従って、高温、低圧の条件が有利である。脱水素反応は吸熱反応であるため、脱水素反応器3は熱源11から熱媒体を介して熱を供給される。脱水素反応器3は、脱水素触媒中を流れるMCHと熱源11からの熱媒体との間で熱交換可能な機構を有している。熱源11は、脱水素反応器3を加熱することができるものであればどのようなものを採用してもよい。例えば、熱源11は、脱水素反応器3を直接加熱するものであってもよく、例えば気化器2やラインL1,L2を加熱することによって脱水素反応器3に供給されるMCHを加熱してもよい。また、熱源11は、脱水素反応器3と、脱水素反応器3へ供給されるMCHの両方を加熱してもよい。例えば、熱源11としてバーナーやエンジンを採用することができる。脱水素反応器3で取り出された水素含有ガスは、ラインL3を介して気液分離器4へ供給される。ラインL3の水素含有ガスは、液体であるトルエンを混合物として含んだ状態で、気液分離器4へ供給される。
気液分離器4は、水素含有ガスからトルエンを分離するタンクである。気液分離器4は、混合物としてトルエンを含む水素含有ガスを貯留することによって、気体である水素と液体であるトルエンとを気液分離する。気液分離器4は、冷熱源12からの冷却媒体によって冷却される。気液分離器4は、気液分離器4中の水素含有ガスと冷熱源12からの冷却媒体との間で熱交換可能な機構を有している。冷熱源12は気液分離器4を冷却することができるものであればどのようなものを採用してもよい。例えば、冷熱源12としてチラー等の冷却器を採用することができる。気液分離器4で分離されたトルエンは、ラインL5を介してトルエンタンク5へ供給される。気液分離器4で分離された水素含有ガスは、ラインL4を介して水素精製器6へ供給される。なお、水素含有ガスを冷やすと当該ガスの一部(トルエン)は液化し、気液分離器4によって、液化しないガス(水素)と分離することができる。ガスを低温とした方が、分離の効率は良くなり、圧力を上げると更に、トルエンの液化が進む。
トルエンタンク5は、気液分離器4で分離された液体のトルエンを貯留するタンクである。トルエンタンク5に貯留されたトルエンは、水素化装置20での水素化によってMCHとなり、MCHタンク1へ供給される。水素化装置20の構成については後述する。
水素精製器6は、脱水素反応器3で得られると共に気液分離器4で気液分離された水素含有ガスから、脱水素生成物(本実施形態ではトルエン)を除去する。これによって、水素精製器6は、当該水素含有ガスを精製して高純度水素(精製ガス)を得る。得られた高純度水素は、ラインL6へ供給され、水素及び脱水素生成物を含むオフガスは、オフガスラインL7へ排出される。オフガスラインL7へ供給されたオフガスは、図示されない圧縮機を介して気化器2へ供給され、ラインL2を介して脱水素反応器3へ供給される。
水素精製器6は、採用する水素精製方法によって異なるが、具体的には、水素精製方法として膜分離を用いる場合には、水素分離膜を備える水素分離装置であり、PSA(Pressure swing adsorption)法又はTSA(Temperature swing adsorption)法を用いる場合には、不純物を吸着する吸着材を格納する吸着塔を複数備えた吸着除去装置である。
水素精製器6が膜分離を用いる場合について説明する。この方法では、所定温度に加熱された膜に、圧縮機(不図示)によって所定圧力に加圧された水素含有ガスを透過させることによって、脱水素生成物を除去し、高純度の水素ガス(精製ガス)を得ることができる。膜を透過した透過ガスの圧力は、膜を透過する前の圧力と比べて低下する。一方、膜を透過しなかった非透過ガスの圧力は、膜を透過する前の所定圧力と略同一である。このとき、膜を透過しなかった非透過ガスが、水素精製器6のオフガスに該当する。
水素精製器6に適用される膜の種類は特に限定されず、多孔質膜(分子流によって分離するもの、表面拡散流によって分離するもの、毛管凝縮作用によって分離するもの、分子ふるい作用によって分離するものなど)や、非多孔質膜を適用することができる。水素精製器6に適用される膜として、例えば、金属膜(PbAg系、PdCu系、Nb系など)、ゼオライト膜、無機膜(シリカ膜、カーボン膜など)、高分子膜(ポリイミド膜など)を採用することができる。
膜分離による水素精製器6の水素回収率は、70〜90%である。水素精製器6で用いられる膜の「水素/トルエン」の分離係数は、1000以上であることが好ましく、10000以上であることがより好ましい。
水素精製器6の除去方法として、PSA法を採用する場合について説明する。PSA法で用いられる吸着材は、高圧下では水素含有ガスに含まれるトルエンを吸着し、低圧下では吸着したトルエンを脱着する性質を持つ。PSA法は、吸着材のこのような性質を利用するものである。すなわち、吸着塔内を高圧にすることにより、水素含有ガスに含まれるトルエンを吸着材に吸着させて除去し、高純度の水素ガス(精製ガス)を得る。吸着により吸着塔内の吸着材の吸着機能が低下した場合には、吸着塔内を低圧にすることにより、吸着材に吸着したトルエンを脱着し、併せて除去した精製ガスの一部を逆流させることにより当該脱着されたトルエンを吸着塔内から除去することで、吸着材の吸着機能を再生する(このとき、トルエンを吸着塔内から除去することで排出される少なくとも水素とトルエンを含む水素含有ガスが、水素精製器6からのオフガスに該当する)。
吸着塔内の圧力の調整方法は特に限定されないが、例えば、吸着塔毎に備えられたバルブを閉めるなどの操作により、吸着塔毎に調節することができる。従って、吸着材の吸着機能が低下した吸着塔については、減圧により吸着材を再生させるとともにオフガスを排出する。一方、残りの吸着塔については、加圧により水素含有ガスに含まれるトルエンを吸着材に吸着させて除去するとともに高純度水素を得る。再生中の吸着塔についての吸着材再生が完了したら、当該吸着塔については、加圧によりトルエンの除去を開始するとともに高純度水素を得る。一方、トルエンの除去を行っていた吸着塔の全部または一部については、減圧により吸着材の再生を開始するとともにオフガスを排出する。このように、再生を行う吸着塔とトルエンの除去を行う吸着塔の切り替えを繰り返し行うことで、水素供給システム100全体として、連続的に高純度水素とオフガスとを得ることができる。水素精製器6がPSA法を採用する場合の水素回収率は、吸着塔の数によるが、約60〜90%である。
水素精製器6の除去方法として、TSA法を採用する場合について説明する。TSA法で用いられる吸着材は、常温下では水素含有ガスに含まれるトルエンを吸着し、高温下では吸着したトルエンを脱着する性質を持つ。TSA法は、吸着材のこのような性質を利用するものである。すなわち、吸着塔内を常温にすることにより、水素含有ガスに含まれるトルエンを吸着材に吸着させて除去し、高純度の水素ガス(高純度水素)を得る。吸着により吸着塔内の吸着材の吸着機能が低下した場合には、吸着塔内を高温にすることにより、吸着材に吸着したトルエンを脱着し、併せて除去した高純度水素の一部を逆流させることにより当該脱着されたトルエンを吸着塔内から除去することで、吸着材の吸着機能を再生する(このとき、トルエンを吸着塔内から除去することで排出される少なくとも水素とトルエンを含む水素含有ガスが、水素精製器6からのオフガスに該当する)。
吸着塔内の温度の調整方法は特に限定されないが、例えば、吸着塔毎に備えられたヒータのON/OFFを切り替えるなどの操作により、吸着塔毎に調節することができる。従って、吸着材の吸着機能が低下した吸着塔については、高温にすることにより吸着材を再生させるとともにオフガスを排出する。一方、残りの吸着塔については、常温に保つことにより水素含有ガスに含まれるトルエンを吸着材に吸着させて除去するとともに高純度水素を得る。再生中の吸着塔についての吸着材再生が完了したら、当該吸着塔については、吸着塔内を常温に保つことによりトルエンの除去を開始するとともに高純度水素を得る。一方、トルエンの除去を行っていた吸着塔の全部または一部については、吸着塔内を高温にすることにより吸着材の再生を開始するとともにオフガスを排出する。このように、再生を行う吸着塔とトルエンの除去を行う吸着塔の切り替えを繰り返し行うことで、水素供給システム100全体として、連続的に高純度水素とオフガスとを得ることができる。水素精製器6がTSA法を採用する場合の水素回収率は、吸着塔の数によるが、約60〜90%である。
圧縮機7は、水素精製器6で得られた高純度水素を高圧状態とする。圧縮機7は、例えば、20〜90MPaの圧力で高純度水素を高圧状態とする。圧縮機7は、高純度水素をFCV10へ供給可能とするために高圧状態にした上で、ラインL8を介して蓄圧器8へ供給する。なお、目的とする圧力に応じて、圧縮を行う圧縮ユニットを複数備え、段階的に圧縮を行う構成としてもよい。
蓄圧器8は、高純度水素を高圧状態のまま蓄える。蓄圧器8で蓄えられた高純度水素は、ラインL9を介して、ディスペンサ9によってFCV10に供給される。蓄圧器8により、水素供給システム100内にある程度の量の高純度水素を蓄えておくことができるため、FCV10へ水素を安定供給することが可能となる。ただし、蓄圧器8は、水素供給を行うために必須ではないため、省略してもよい。ラインL9を通過する高純度水素は、冷熱源13からの冷却媒体によって冷却される。ラインL9は、当該ラインL9を流れる高純度水素と冷熱源13からの冷却媒体との間で熱交換可能な機構を有している。冷熱源13はラインL9を流れる高純度水素を冷却することができるものであればどのようなものを採用してもよい。例えば、冷熱源13としてチラー等の冷却器を採用することができる。
次に、本実施形態に係る水素供給システム100の要部について説明する。水素化装置(水素化部)20は、トルエンタンク5に貯蔵されているトルエン(脱水素生成物)を、水素ガスを発生させることなく水素化し、MCH(原料)としてMCHタンクへ供給する装置である。水素化装置20は、ラインL10を介してトルエンタンク5と接続されている。また、水素化装置20は、ラインL11を介してMCHタンク1と接続されている。水素化装置20は、電気を用いてトルエンを水素化する。このような構成により、トルエンタンク5に貯蔵されたトルエンは、ラインL10を介して水素化装置20へ供給される。また、水素化装置20でトルエンを水素化することによって得られたMCHは、ラインL11を介してMCHタンク1へ供給される。なお、水素化のために用いられる電気は、後述の燃料電池部21から供給されてよい。ただし、水素化のために用いられる電気の一部は、例えば太陽光発電機、風力発電機、水力発電機、地熱発電機、潮力発電機等の再生可能エネルギーを用いて発電されてよい。また、水素化装置20がトルエンの水素化を行うタイミングは特に限定されない。例えば、トルエンタンク5内に所定量のトルエンが貯蔵されたタイミングで水素化装置20を運転してもよく、トルエンタンク5に新たなトルエンが供給され続けている間は常時水素化装置20を運転させてもよい。
なお、水素化装置20へ流れるトルエンは、トルエンタンク5から取り出されなくともよく、例えば、ラインL5から取り出されてもよく、気液分離器4から直接取り出されてもよい。また、水素化装置20で得られた原料は、脱水素反応器3の上流側である限りMCHタンク1へ供給されなくともよく、ラインL1や気化器2へ供給されてもよい。
例えば、水素化装置20は、水を含む電解質を保持する酸化槽と、トルエン(脱水素生成物)を保持する還元槽と、イオン透過能を有する電解質膜と、酸化槽に保持される水からプロトンを生成する酸化極と、還元槽に保持される脱水素生成物を水素化する還元極と、を備えていてよい。電解質膜は、酸化槽に保持される電解質と還元槽に保持される脱水素生成物とを隔てている。このような水素化装置20では、酸化極で酸素を生成させると共に、酸化極から還元極へ供給される電子と、酸化槽内に生成したプロトンと、トルエンとを反応させて、トルエンを水素化する。すなわち、水素化装置20では、水の電気分解による水素ガスの発生を実質的に経由することなく、水に由来する水素をトルエンに付加して、有機ハイドライドを形成することが可能となる。上述した有機化合物の水素化は、下記化学反応式(1)のように表すことができる。
U(n)+xH2O → U(n−x)+(x/2)O2 (1)
式(1)中、U(n)は不飽和化合物(すなわちトルエン)を表し、nはU(n)が有する不飽和結合の数を表す1以上の整数であり、xは1以上n以下の整数であり、U(n−x)は2x個の水素原子が付加されたU(n)を表し、n−xはU(n−x)が有する不飽和結合の数を表す整数である。U(n)が完全に水素化される場合、xはnに等しく、U(n−x)はU(0)、すなわち不飽和結合の無い化合物である。
U(n)+xH2O → U(n−x)+(x/2)O2 (1)
式(1)中、U(n)は不飽和化合物(すなわちトルエン)を表し、nはU(n)が有する不飽和結合の数を表す1以上の整数であり、xは1以上n以下の整数であり、U(n−x)は2x個の水素原子が付加されたU(n)を表し、n−xはU(n−x)が有する不飽和結合の数を表す整数である。U(n)が完全に水素化される場合、xはnに等しく、U(n−x)はU(0)、すなわち不飽和結合の無い化合物である。
あるいは、水素化装置20は、表面に光触媒を備える第一電極と、第一電極と電気的に接続された第二電極を、水を含んだ電解質と接触させた状態において、光触媒に光を照射することにより、脱水素生成物を水素化してもよい。このような水素化装置20は、表面に光触媒を備える酸化極と、酸化極と電気的に接続された還元極(第二電極)を、水を含んだ電解質と接触させた状態において、光触媒に光を照射することにより、脱水素生成物を水素化する。これによって、水素ガスを発生させることなく、効率よく脱水素生成物の水素化を行うことができる。具体的には、第一電極の光触媒に太陽光を照射することにより、光触媒に形成された正孔でOH−を酸化して酸素ガスを生成させると共に、第一電極から第二電極へ供給される電子と、支持電解質に存在するH+と、不飽和化合物(トルエン)とを反応させて、不飽和化合物U(n)を水素化する。すなわち、水の電気分解又は光分解による水素ガスの発生を実質的に経由することなく、太陽エネルギーをエネルギー源として、水に由来する水素を不飽和化合物に直接付加して、有機ハイドライドを形成することが可能となる。
あるいは、水素化装置20は、電気分解によって水素ガスを発生させ、当該水素ガスとトルエンとを水素化触媒に流すことによって、トルエンの水素化を行うものであってもよい。
燃料電池部21は、オフガスラインL7を介して水素精製器6から排出されたオフガスを供給される。燃料電池部21は、オフガスに含まれる水素ガスを用いて発電を行うことができる。例えば、オフガスには50〜99%の水素ガスが含有されている。燃料電池部21は、発生させた電気を水素供給システム100内で用いてよい。例えば、燃料電池部21は、システム内の電気機器である圧縮機7へ電気を供給してよい。また、燃料電池部21は、システム内の電気機器である水素化装置20に電気を供給してよい。その他、燃料電池部21は、システム内の電気機器としてあらゆるものに電気を供給してよい。また、燃料電池部21は、システム外の機器であるFCV(電気によって移動する移動体)10に電気を供給してもよい。燃料電池部21は定格運転を行うことが好ましい。従って、例えば燃料電池部21は、圧縮機7等の電気機器へ電気を供給し、電気が余る場合に、水素化装置20へ電気を供給してよい。
また、燃料電池部21は、発電に伴って発生した熱を水素供給システム100内で用いてよい。例えば、燃料電池部21は、脱水素反応器3へ熱を供給してよい。その他、燃料電池部21は、熱を用いるあらゆるものへ熱を供給してもよい。なお、燃料電池部21の種類は特に限定されず、SOFC(固体酸化物形燃料電池)、PEFC(固体高分子形燃料電池)、PAFC(りん酸形燃料電池)を採用してよい。燃料電池部21としてSOFCを採用した場合は、排熱を利用して効率的に脱水素反応器3を加熱することができる。
図2は、燃料電池部21の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、燃料電池31は、水素精製器6からのオフガス(水素ガス)及び酸化剤供給部35からの酸化剤を用いて発電を行う。燃料電池部21は、オフガスが供給されるアノード32と、酸化剤が供給されるカソード34と、アノード32とカソード34との間に配置される電解質33と、を備えている。燃料電池部21は、パワーコンディショナー(不図示)を介して、電気を上述で説明した電気機器などへ供給する。燃料電池部21は、発電に用いられなかった水素ガス及び酸化剤をオフガスとして、オフガス燃焼部36へ供給する。オフガス燃焼部36は、燃料電池31から供給されるオフガスを燃焼させる。オフガス燃焼部36によって発生する熱は、脱水素反応器3へ供給される。なお、燃料電池部21は、炭化水素系の燃料を改質することによって水素ガスを生成する改質器を備えていてもよい。これにより、水素精製器6からのオフガスの量が不十分である場合に改質器で生成した水素ガスをアノード32へ供給してよい。
次に、本実施形態に係る水素供給システム100の作用・効果について説明する。
まず、図3を参照して従来の水素供給システム50について説明する。水素供給システム50は、本実施形態に係る水素供給システム100のように燃料電池部21を備えていない。このような水素供給システム50では、システム内で用いる電気を供給するために、発電装置を設けて、当該発電装置で電気を発生させる必要があった。しかしながら、このような発電装置にて電気を発生させるためには、外部から炭化水素系の燃料などを当該発電装置に供給する必要があった。従って、水素供給システム50全体としてのエネルギー効率を更に向上させることが要請されていた。
そこで、本実施形態に係る水素供給システム100は、水素ガスを用いて発電を行う燃料電池部21と、水素精製器6から排出されるオフガスを燃料電池部21へ供給するオフガスラインL7と、を備えている。従って、水素精製器6から排出されたオフガスは、オフガスラインL7を介して燃料電池部21へ供給される。オフガスには水素ガスが含まれているため、燃料電池部21はオフガスを供給されることによって発電を行うことができる。このように、水素の精製工程で発生したオフガスを発電に用いることで、外部から燃料などを供給することなく(発電装置を設けて外部から燃料を供給してもよいが、その量を低減できる)、水素供給システム100内で用いられる電気を供給することが可能となる。以上により、水素供給システム100のエネルギー効率を向上させることができる。
本実施形態に係る水素供給システム100において、燃料電池部21は、発生させた電気を圧縮機7へ供給する。これによって、燃料電池部21で発生させた電気を有効に利用することができる。
本実施形態に係る水素供給システム100において、燃料電池部21は、発生させた電気を水素化装置20へ供給してよい。これによって、燃料電池部21で発生させた電気を有効に利用することができる。
本実施形態に係る水素供給システム100において、燃料電池部21は、発生させた電気を、電気を動力として移動するFCV10へ供給してよい。これによって、燃料電池部21で発生させた電気を有効に利用することができる。
本実施形態に係る水素供給システム100において、燃料電池部21は、発電に伴って発生する熱を脱水素反応器3へ供給してよい。これによって燃料電池部21で発生した熱を脱水素反応器3における脱水素反応に有効に利用することができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では燃料電池部21の電気の供給先として水素化装置20を例示したが、水素供給システムから水素化装置20を省略してもよい。また、水素精製器6の一部を燃料電池部21へ供給し、一部を脱水素反応器3の上流側へ供給してもよい。
1…MCHタンク、2…気化器、3…脱水素反応器(脱水素反応部)、4…気液分離器(気液分離部)、5…トルエンタンク、6…水素精製器(水素精製部)、7…圧縮機(圧縮部)、8…蓄圧器、9…ディスペンサ、10…FCV(移動体)、11…熱源、12,13…冷熱源、20…水素化装置、21…燃料電池部、100…水素供給システム。
Claims (5)
- 水素の供給を行う水素供給システムであって、
原料を脱水素反応させることによって水素含有ガスを得る脱水素反応部と、
前記水素含有ガスから脱水素生成物を分離する気液分離部と、
前記気液分離部で分離された前記水素含有ガスから前記脱水素生成物を除去し、精製ガスを得る水素精製部と、
水素ガスを用いて発電を行う燃料電池部と、
前記水素精製部から排出されるオフガスを前記燃料電池部へ供給するオフガスラインと、
を備える水素供給システム。 - 前記水素精製部から排出される前記精製ガスを圧縮する圧縮部を更に備え、
前記燃料電池部は、発生させた電気を前記圧縮部へ供給する、請求項1に記載の水素供給システム。 - 前記気液分離部で分離された前記脱水素生成物を電気を用いて水素化し、前記原料として前記脱水素反応部の上流側へ供給する水素化部を更に備え、
前記燃料電池部は、発生させた電気を前記水素化部へ供給する、請求項1又は2に記載の水素供給システム。 - 前記燃料電池部は、発生させた電気を、電気によって移動する移動体へ供給する、請求項1〜3の何れか一項に記載の水素供給システム。
- 前記燃料電池部は、発電に伴って発生する熱を前記脱水素反応部へ供給する、請求項1〜4の何れか一項に記載の水素供給システム。
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