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JP2015218322A - 微小澱粉粒子及びその製造方法 - Google Patents

微小澱粉粒子及びその製造方法 Download PDF

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JP2015218322A
JP2015218322A JP2014105087A JP2014105087A JP2015218322A JP 2015218322 A JP2015218322 A JP 2015218322A JP 2014105087 A JP2014105087 A JP 2014105087A JP 2014105087 A JP2014105087 A JP 2014105087A JP 2015218322 A JP2015218322 A JP 2015218322A
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直哉 吉田
Naoya Yoshida
直哉 吉田
泰彦 小野
Yasuhiko Ono
泰彦 小野
和博 大生
Kazuhiro Daibu
和博 大生
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Asahi Kasei Chemicals Corp
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Abstract

【課題】核粒子を用いた粒子を細粒剤や口腔内崩壊錠に応用した場合に口腔内でざらつきなどがなく、特に口腔内崩壊錠としての硬度や崩壊性、服用感で満足いくものの提供。【解決手段】平均粒子径(D50)が5〜50μm、安息角が30〜45?、嵩密度が0.2〜0.9g/ml、保水能が200〜1000質量%、粒度分布シャープネスが1.0〜2.0、打圧3.5kN時の錠剤硬度が40N以上である澱粉粒子を核粒子として使用する。【選択図】なし

Description

本発明は、粒子の製造に用いられる核粒子、該核粒子を用いて調製される粒子、及び該粒子を含む錠剤、水なしでも服用できる口腔内崩壊錠又はカプセル剤に関する。
近年、医薬、食品等の製剤化において、粒子を調製する方法として、核粒子に薬物や薬効成分を含む薬物層を被覆させてレイヤリング粒子を得るレイヤリング法が知られている。また、薬物や薬効成分などの有効成分の安定性や苦味などのマスキング、有効成分の溶出制御のために、該レイヤリング粒子にフィルムコーティング層を被覆させてフィルムコーティング粒子を得る微粒子フィルムコーティング技術が知られている。
特に、微粒子フィルムコーティング技術は苦味マスキングや口腔内崩壊錠に多く採用されてきており、その要因は、本来、カプセル剤の粒子として利用されてきた核粒子の製造技術が向上し微粒子化したことと、微粒子でも安定した製品が製造できる微粒子コーティング装置が開発されたことである。このことによって、微粒子コーティング粒子を含有させた口腔内崩壊錠も広く利用可能となり、そのような錠剤は口腔内でもざらつきを感じることなく服用できるようになっている。さらに、微粒子化したことで、より多くの薬物を被覆することができ、患者への錠剤投与量への負担が低減可能となっている。なお、口腔内崩壊錠の場合、口腔内で違和感なく服用できる核粒子の平均粒子径は小さければ小さいほど良いが、一般的に薬物層やフィルムコーティング層を被覆させた後の平均粒子径が150μm以下であれば許容範囲と言われている。
最近の口腔内崩壊錠は、医薬製剤分野において大いに発展した剤形である。それらの口腔内崩壊錠は、普通錠と同様の製法で製造されているが、錠剤として実用的な錠剤硬度と口腔内崩壊錠としての満足いく崩壊性や服用感を得るのに、多種多様の添加剤や賦形剤の配合比率を駆使して作り上げた技術に基づくものである。こうした技術の製剤は、高付加価値製剤として、患者へのQOL(Quality Of Life)向上の他、製品のPLCM(Product Life Cycle Management)の上でも重要になりつつある。更には、高齢化社会が急速に進む中、唾液や少量の水で速やかに崩壊する口腔内崩壊錠は、高齢者のみならず小児などの嚥下力の弱い患者でも服用しやすい剤形として、医療現場での利便性や患者への服用性など、アドヒアランスやコンプライアンスの向上に大いに寄与している。
これまで粒子の製造に用いられる核粒子としては、例えば以下の結晶セルロース、糖類からなるものが提案されている。
特許文献1には、結晶セルロースを核粒子として使用して薬物を積層させ、更にフィルムコーティングを施す方法が開示されている。特許文献2には、機械的に摩砕して得られた結晶セルロースを含む分散液を調整し、該分散液を液滴の形態にした後、乾燥することにより得られるセルロース系核粒子、及びその粒子に薬物を積層させ、フィルムコーティングを施す方法が開示されている。更に、特許文献3には、結晶セルロース系の核粒子に薬効成分及びフィルムコーティング層が均一の厚みに積層された小さい粒子を高い収率で製造する方法が開示されている。
特許文献4には、少なくとも糖を含有する粒径50〜850μmの核粒子に固形分を含有する液を噴霧して遠心流動装置で球形核粒子にし、摩損度、顆粒硬度が十分に高いレベルに改善させた製造方法が開示されている。
一方、製剤用途において、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン等のデンプン粒子は、崩壊剤、保水剤として使用することが知られている。
例えば、特許文献5には、生澱粉粒の外殻薄膜構造を実質的に温存する実質的に非複屈折性の澱粉粉末であって、該粉末は60タイラーメッシュまたはそれより目の大きな留分を実質的に有しない粒度分布であり、その嵩密度が0.25g/cc以上、冷水可溶分が10重量%未満、膨張容積が約3〜15ml/g、保水力が約2以上であることを特徴とする加工澱粉が開示されている。
特許文献6には、保水量が400%以上であり、崩壊時間が5時間以上であり、かつゲル押込み荷重が200g以上である、機能性澱粉粉末であって、その澱粉粒子の1か所以上がくぼんだ構造を有し、粒子径が50〜500μmであることが開示されている。
特開平7−173050号公報 国際公開第2002/036168号 国際公開第2008/149894号 特開2009−263303号公報 特開昭57−5700号公報 国際公開第2005/005484号
特許文献1に開示されているセルロース系核粒子は、平均粒子径が150μm以上と大きく、細粒剤や顆粒含有錠等に応用する場合、口腔内でざらつきを感じ服用感が問題となる。また、粒子含有錠とした際、粒子と賦形剤の分離偏析が生じ、製剤として打錠性や混合均一性及び含量均一性に問題がある。
特許文献2に開示されているセルロース系核粒子は平均粒径が10〜400μmとの開示があるが、粒子表面の凹凸が大きく、かつ比表面積が大きいことから、フィルムコーティング層のばらつきが生じるため、薬効成分の溶出制御が難しく、所望の薬効成分の溶出制御を得るためにはフィルム層を厚くする必要があり、コーティング層を多く必要とする。その結果、薬物層やフィルムコーティング層を被覆させた後の粒子の大きさも150μm以上となり、細粒剤や粒子含有錠等に応用する場合、口腔内でざらつきを感じ服用感が問題となる。
特許文献3に開示されているセルロース系核粒子の平均粒子径は10〜100μm未満と小さく、口腔内でざらつきを感じないものである。しかしながら、該平均粒子径は、凝集を起こさないという観点から50μm以上が好ましいとされており、特許文献3には50μm未満の具体的な実施例の記載はない。また、該核粒子はタッピング嵩密度が0.80g/ml以上と重質で、さらには真球度が高く、かつ表面が平滑であるが故、該核粒子に薬物層とフィルムコーティング層とを設けたフィルムコーティング粒子は、打錠する要領で成形したときに賦形剤を多く加えないと成形性が不足するものである。つまり、粒子含有錠とした際、高い薬物含有量で錠剤化することが難しいだけでなく、錠剤にすることができても高い打錠圧が必要となり、速い崩壊性が得られず口腔内崩壊錠に製剤設計するには非常に難しいものである。
特許文献4に開示されている糖を含む核粒子は、従来より医薬品や食品などの基材として使用されているノンパレル(フロイント産業製)の摩損度や顆粒強度を改善したものである。その結果、薬物層やフィルムコーティング層を顆粒表面に被覆しやすくなり、該球形顆粒を効率的かつ簡便に製造する方法を開示しているが、核粒子の平均粒子径は50μmから850μmが好ましいとされ、更に薬物やフィルムコーティングを被覆していくと150μm以上の顆粒径となり、口腔内でざらつきを感じ服用感が問題となる。
このように、従来の核粒子では、核粒子に対し数十〜数百質量%以上の薬効成分を含む薬物層の被覆やフィムコーティング層を積層させると平均粒子径が150μm以上と大きくなり、さらには、粒子の成形性も悪く、口腔内崩壊錠としての最適な錠剤硬度や崩壊性、用感で満足いくものを製造することはできなかった。
これらの核粒子に粉砕処理を行うことで平均粒径を50μm以下にすることは可能であるが、本発明者が検討した結果、微粉末が多く発生して粒度分布がブロードとなるため、核粒子として適したものを得ることができなかった。このブロードな分布の粒子から必要な粒子径のところをふるいで分画し採取することは可能であるが、収率が悪く実用的ではなかった。
そこで、本発明の目的は、核粒子に対し数十質量%以上の薬効成分を含む薬物層の被覆やフィルムコーティング層を積層させても平均粒子径が150μm以下に抑制でき、さらには、粒子の成形性も良く、口腔内崩壊錠としての硬度や崩壊性、服用感で満足いく核粒子であって、実用的な収率で製造できるものを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、医薬分野においては主として崩壊剤として使用されている加工澱粉粒子を平均粒子径50μm以下に粉砕することによって、粒子径の揃った、粒度分布のシャープな粒子が得られることを見出した。
さらに、これらの粒子表面が完全には平滑でなく、多少の凹凸がある為、その粒子を核粒子として使用して薬物を積層させ、更にフィルムコーティングを施すと、当該核粒子の質量に対して数十質量%以上の薬効成分の被覆やフィルムコーティング層を積層させても平均粒子径を150μm以下に抑制でき、さらには、粒子の成形性も良く、口腔内崩壊錠としての硬度や崩壊性、服用感で満足いくものが製造できることを見出した。
検討の結果、上述の製法によって得られる、平均粒子径(D50)が5〜50μm、安息角が30〜45°、嵩密度が0.2〜0.9g/ml、保水力が200〜1000質量%、粒度分布シャープネスが1.00〜2.00である澱粉粒子が上記目的を達成できることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は下記の通りである。
(1) 平均粒子径(D50)が5〜50μm、安息角が30〜45°、嵩密度が0.2〜0.9g/ml、保水能が200〜1000質量%、粒度分布シャープネスが1.0〜2.0、打圧3.5kN時の錠剤硬度が40N以上である澱粉粒子。
(2) 上記澱粉が加工澱粉である上記(1)に記載の澱粉粒子。
(3) 上記加工澱粉が部分アルファー化澱粉又はアルファー化デンプンである上記(2)に記載の澱粉粒子。
(4) 粒度分布シャープネスが1.0〜1.7である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の澱粉粒子。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載の澱粉粒子と該澱粉粒子を被覆する薬物層とを有するレイヤリング粒子。
(6) 上記(5)に記載のレイヤリング粒子と該レイヤリング粒子を被覆するフィルムコーティング層とを有するフィルムコーティング粒子。
(7) 上記(5)に記載のレイヤリング粒子又は上記(6)に記載のフィルムコーティング粒子を含有する錠剤。
(8) 上記(5)に記載のレイヤリング粒子又は上記(6)に記載のフィルムコーティング粒子を3〜90質量%含有する上記(7)に記載の錠剤。
(9) 口腔内崩壊錠である上記(7)又は(8)に記載の錠剤。
本発明の核粒子は、当該核粒子の質量に対して数十質量%以上の薬効成分を含む薬物層の被覆やフィルムコーティング層を積層させても平均粒子径が150μm以下に抑制でき、さらには、粒子の成形性も良く、口腔内崩壊錠としての硬度や崩壊性、服用感で満足いく核粒子であって、実用的な収率で製造できる核粒子である。
本発明のフィルムコーティング粒子の一実施態様の断面模式図を示す。
以下、本発明を実施する為の最良の形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるのもではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<澱粉粒子の特徴>
本実施形態の澱粉粒子は、澱粉種がトウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、米澱粉、小麦澱粉、タピオカなどの穀類澱粉であり、平均粒子径(D50)が5〜50μm、安息角が30〜45°、嵩密度が0.2〜0.9g/ml、保水力が200〜1000質量%、粒度分布シャープネスが1.0〜2.0であり、打圧3.5kN時の錠剤硬度が40N以上である。
澱粉粒子としては生澱粉を用いてもよいが、加熱処理して生澱粉粒子の外殻薄膜構造を強化したアルファー化澱粉もしくは部分アルファー化澱粉とした加工澱粉が好ましい。
上記加工澱粉は、化学的変性によらず、物理的変性のみによって適切な吸水性能を与えられたものであり、水や水に溶け込んだ薬物などを澱粉粒子の表面に蓄層することなく粒子内部に取り込むことができる。
さらに、その粒子を核粒子として使用して薬物層を被覆させ、更にフィルムコーティングを施すと、核粒子に対して、核粒子の質量の数十〜数百質量%以上の薬物の被覆やフィルムコーティング層を積層させても平均粒子径を150μm以下に抑制でき、さらには、粒子の成形性も良く、口腔内崩壊錠としての硬度や崩壊性、服用感で満足いくものが製造できる。
本実施形態の澱粉粒子の平均粒子径は、薬効成分の被覆、フィルムコーティング時の凝集を抑制させる観点、及び口腔内でのざらつき防止や薬効成分の含量均一性に影響する分離偏析抑制の観点から、5μm〜50μmが好ましく、10μm〜50μmがより好ましく、20μm〜45μmがさらに好ましい。
平均粒子径とは、レーザー回折散乱式測定装置で測定した際の累積50質量%の粒径、またはロータップ型篩分機、振動型篩分機、超音波篩分機、エアージェットシーブ等の一般的な空気分散式篩分析装置などを用いて測定した際の累積50質量%の粒度のことを言う。
また、本実施形態において、澱粉粒子の粒度分布は、上記の理由から出来るだけシャープであることが好ましく、目開き75μmの篩(なお、篩はいずれもJIS標準篩)を通過し、目開き20μmの篩上に残留する粒子の割合が50質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
本実施形態の澱粉粒子は粒度分布シャープネスが1.0〜2.0が好ましく1.0〜1.9がさらに好ましく、1.0〜1.8がより好ましい。この値が1.0に近いほど単分散となり好ましく、2.0以下とすることで粒子径のバラツキが小さくなり、核粒子として薬物層を被覆させた後のフィルムコーティング層も均一に被覆でき、製剤として重要な、安定した薬物の溶出プロファイルが得られる。
本実施形態の澱粉粒子の粒度分布シャープネスとは、レーザー回折の散乱式粒度分布測定装置(HORIBA製 LA−950等)を用いて、試料約1gを投入し、乾式法で測定した澱粉粒子の粒度分布より算出される積算重量10%粒径(D10)、積算重量50%粒径(D50)、積算重量90%粒径(D90)を用いて下式より算出される値である。
Figure 2015218322
粒度分布シャープネスの異なる澱粉粒子を核粒子とするフィルムコーティング粒子を作製して検討した結果、この値が小さいほど、安定した薬物の溶出プロファイルが得られることを見出した。
一方、澱粉粒子に薬物層を施したレイヤリング粒子、ならびに澱粉粒子に薬物層及びフィルムコーティング層を施したフィルムコーティング粒子(以下「粒子顆粒」ともいう。)は、前記澱粉粒子よりも一般的に大きいので、その粒度分布シャープネスは、ロータップ式篩振盪機(平工作所製シーブシェーカーA型)、JIS標準篩(Z8801−1987)を用いて、試料10gを10分間篩分することにより粒度分布を測定し、累積重量10%粒径(D10)、累積重量50%粒径(D50)、累積重量90%粒径(D90)を算出し、次式により求めることができる。
Figure 2015218322
本実施形態の澱粉粒子の嵩密度とは見かけ嵩密度を意味し、その好適な範囲は0.2g/ml以上0.9g/ml以下であり、好ましくは、0.3g/ml以上0.8g/ml以下である。
本発明において、見かけ嵩密度とは、澱粉粒子30gを100mlのガラス製メスシリンダーに疎充填した粒子層の容積を読み取り、30gを該容積(ml)で除した値として測定される。
見かけ嵩密度が0.2g/ml以上であれば、粒子が軽質でありつつ単位質量あたりの粒子数が十分なので、単位質量あたりの粒子の表面積が大きくなる一方で、薬物層に含まれる有効成分の溶出制御を行うのに必要な厚さを有するフィルムコーティング層を得るために、フィルムコーティング層の厚さを大幅に増やす必要がなく、効率やコスト面でのマイナス要因が少ない。
見かけ嵩密度が0.9g/ml以下であれば粒子自体を他の賦形剤と混合した場合に、粒子が分離・偏析しにくく、粒子に被覆した薬物の含量均一性に優れるので好ましい。
本実施形態の澱粉粒子の安息角は、試料を自然落下させた状態で形成される粉体の山の角度(仰角)を測定した値である。その測定は、パウダーテスター(PR−T型、ホソカワミクロン製)を使用して、当該機器の通常の測定方法に基づき行うことができる。安息角は、粉体のハンドリング性を推測する最も簡便な測定値であり、一般的に安息角が40°程度の粉体は製造設備中の閉塞が少ないと言われる。しかし、澱粉粒子のみの流れが良くても他の賦形剤と混合、配合した場合、粒子が分離偏析し、含量均一性や錠剤重量の均一性などのトラブルが発生しやすくなることから、澱粉粒子の安息角は、30〜45°が好ましく、34〜45°がさらに好ましく、38〜45°がより好ましい。
また、澱粉粒子は、平均粒子径が5μm〜50μmでありながら、球状核であることが好ましい。ただし、その粒子径が十分に小さいといえるから、該核粒子に被覆する薬物層やフィルムコーティング層である程度、当該被覆やコーティング後の粒子を球状化することが可能である。球状性は真球度で表すことができ、真球度は、粒子の短径を長径で除した値である。薬物層やフィルムコーティング層で被覆した粒子顆粒の真球度は、0.5〜0.9が好ましく、0.6〜0.9がさらに好ましい。粒子顆粒の真球度が0.5以上であれば、それを用いた球状粒子の真球度が良くなり、有効成分の被覆後の製品美観上や有効成分の溶出速度のコントロールの点で好ましい。また、真球度が0.9以下であれば、核粒子同士の抵抗が依然として大きく、その結果、成形性が上がり錠剤の一般的な硬度が得られやすい。また、流動性も高くなりすぎないため、粒子顆粒が分離偏析し、錠剤の重量均一性や含量均一性に問題が生じることが少ない。
本実施形態の澱粉粒子の保水能は、200質量%以上1000質量%以下であることが好ましく、300質量%以上800質量%以下であることがさらに好ましく、400質量%以上700質量%以下であることがより好ましい。保水能力が200質量%以上であれば、錠剤化した時の錠剤の崩壊速度を速くすることが可能であり、水なしの唾液のみで服用する口腔内崩壊錠にも応用可能である。さらに、薬物レイヤリングなどの時に用いられる水溶液や水性懸濁液を噴霧した場合に、澱粉粒子の表面に水分が残りにくく、粒子同士の凝集や機器壁面への付着が少なくなり好ましい。また、保水能が1000質量%以下であれば、錠剤が吸湿しても錠剤自体が膨張することなく元の形を保つことが可能である。さらに、澱粉粒子が吸収する水分が依然として少なく、粒子自体が重くならないため粒子の流動性や操作性が良好である結果として、均一な製品を製造しやすい。
保水能は、澱粉粒子5gを共栓付100mlメスシリンダーに採り、25℃の純水約80mlを加えて軽く振とうして脱泡させた後、全量を純水で100mlとする。得られた分散液を遠心沈降管に移し、4500rpmで30分間遠心分離する。上澄液を捨て湿潤沈降物の重量を測定し<W(g)>、次いで、該沈降物を絶乾させて秤量し<Wo(g)>、次式より保水能を算出する。
Figure 2015218322
本実施形態の澱粉粒子の形状係数は、1.05〜2.50であることが好ましい。より好ましくは、1.15〜2.25であり、さらに好ましくは1.20〜2.00である。形状係数とは、粒子投影図の輪郭の長さを粒子の投影面積と同じ面積を有する円の周長で除した値である。すなわち、粒子表面の平滑度、若しくは、凹凸度合いを示したものであり、形状係数が1.05以上の場合、水溶性の薬物懸濁液、結合液などが付着しやすく、更には、薬物層を核粒子に対し50質量%以上被覆することが容易となり、好ましい。一方、形状係数が2.50以下の場合、薬物被覆後の粒子の凹凸が多すぎず美観的に好ましい。また、粒子が摩損しにくくなり、品質的にも好ましい。
尚、形状係数は、デジタルマイクロスコープ((株)キーエンス製、VH−7000型、VH−501レンズ)を用いて撮影した粒子画像を、画像処理解析ソフトを使用して、粒子形状を測定したものであり、凹凸のない場合は1.0であり、凹凸が多くなるに従って1.0より多くなる。
本実施形態の澱粉粒子の打圧3.5kN時の錠剤硬度とは、約500mgの澱粉粒子を計りとり、臼に入れ、11mmφの臼杵で打錠圧3.5kNの力で10秒間静圧プレス(1011CREEP、AIKOH ENGINEERING製)した錠剤の硬度を指す。錠剤の硬度は、一般的な錠剤硬度測定器(Tablet Tester 8M/DR.SCHLEUNIGER製等)を用いて、当該機器の通常の測定法に従い測定できる。
錠剤硬度が40N以上であれば、本実施形態の澱粉粒子系核粒子を用いて製剤化した錠剤の包装や輸送時にも、その錠剤の角などが欠けにくく、品質や薬物含量の安定につながり好ましい。好ましくは50N以上である。
<澱粉粒子の製造方法>
本実施形態の澱粉粒子を製造するための出発原料としては、トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカなどの穀類澱粉等のいずれも使用できるが、供給量も安定し、よく汎用されているトウモロコシ澱粉が好ましい。また、出発原料として2種類以上の澱粉を組合せることも可能である。
澱粉の性状としては、通常の水では溶解せず、ただ乳液状に分散懸濁し、しばらく放置すれば沈殿する。この状態の澱粉では、粘性も無く、また酵素によってほとんど消化・分解されない状態である。このような澱粉の状態は、通常、ベーター澱粉と呼ばれている。しかし、ベーター澱粉の水懸濁液を加熱したり、アルカリ性にしたり、又は塩類を加えると澱粉粒子は膨潤を始め、さらに進んで粒子が崩壊し、最後には粘性を持った透明または半透明の澱粉糊液になる。このような糊液の状態を、通常、アルファー化という。この糊液をホットロールやスプレードライマシンなどで直ちに乾燥すると、冷水で容易に膨潤溶解する粉末が得られる。これを加工澱粉もしくはアルファー化澱粉といい、この加工澱粉は、食品用途や工業用途に幅広く使用されている。本実施形態の澱粉粒子もアルファー化された澱粉粒子が好ましい。特に、トウモロコシ澱粉を部分アルファー化したものはトウモロコシ澱粉を物理的に変性させることで得られ、当該部分アルファー化澱粉は外殻構造を保持しつつ保水性が高く、水可溶分が少ないため、pHに左右されない。そのため、水に弱い薬物の安定化等の機能があり製剤化の原料としては有効である。
上記のような加工澱粉の非限定的な例としては、アルファー化澱粉(製品名:SWELSTAR PD−1(登録商標)、旭化成ケミカルズ製)、部分アルファー化澱粉(製品名:PCS PC−10(登録商標)、旭化成ケミカルズ製)、部分アルファー化澱粉(製品名:スターチ1500(登録商標)、カラコン製)などの市販品が挙げられる。
次に、上記出発原料を粉砕することが好ましい。当該粉砕は、上記の出発原料を超遠心粉砕機(ZM−200、Retsch製)、ジェットミル(STJ−200、セイシン企業製)やハンマミル(H−12、ホソカワミクロン製)、バンタムミル(AP−B、ホソカワミクロン製)ピンミル(160Z、パウレック製)などの粉砕機で粉砕することにより実施できる。次いで、当該粉砕物から75μm未満を篩分採取し、平均粒子径が5μm以上50μm未満、かつ粒度分布シャープネスが1.00〜2.00の範囲内の澱粉粒子を得ることができる。
篩分採取によって得られる75μm以下の粒子の割合は、70重量%以上であれば実用的な収率であると考えられ、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
<レイヤリング粒子、及びフィルムコーティング粒子>
本実施形態の澱粉粒子を薬物層で被覆し、更にフィルムコーティング層で被覆することで、それぞれ、医薬品に配合可能なレイヤリング粒子、及びフィルムコーティング粒子を得ることができる。本実施形態の澱粉粒子系核粒子及び当該核粒子を被覆する薬物層を含有する粒子を含む医薬品、典型的には錠剤、に使用される有効成分とは、人及び動物の疾病の治療、予防、診断に使用されるものであって、器具・機械ではなく、第十六改正日本薬局方に収載されている繁用な医薬品の有効成分である。
例えば、抗癲癇剤(フェニトイン、アセチルフェネトライド、トリメタジオン、ロキソプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、フェノバルビタール、プリミドン、ニトラゼパム、バルプロ酸ナトリウム、スルチアム、等)、解熱鎮痛消炎剤(アセトアミノフェン、フェニルアセチルグリシンメチルアミド、メフェナム酸、ジクロフェナクナトリウム、フロクタフェニン、アスピリン、アスピリンアルミニウム、エテンザミド、オキシフェンブタゾン、スルピリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、アルクロフェナク、ナロキセン、ケトプロフェン、塩酸チノリジン、塩酸ベンジダミン、塩酸チアラミド、インドメタシン、ピロキシカム、サリチルアミド、等)、鎮暈剤(ジメンヒドリナート、塩酸メクリジン、塩酸ジフェニドール、等)、麻薬(塩酸アヘンアルカロイド、塩酸モルヒネ、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、オキシメテバノール、等)、精神神経用剤(塩酸クロルプロマジン、マレイン酸レボメプロマジン、マレイン酸ペラジン、プロペリシアジン、ペルフェナジン、クロルプロチキセン、ハロペリドール、ジアゼパム、オキサゼパム、オキサゾラム、メキサゾラム、アルプラゾラム、ゾテピン、等)、骨格筋弛緩剤(クロルゾキサゾン、カルバミン酸クロルフェネシン、クロルメザノン、メシル酸プリジノール、塩酸エペリゾン、等)、自律神経用剤(塩化ベタネコール、臭化ネオスチグミン、臭化ピリドスチグミン、等)、鎮痙剤(硫酸アトロピン、臭化ブトロピウム、臭化ブチルスポコラミン、臭化プロパンテリン、塩酸パパベリン、等)、抗パーキンソン剤(塩酸ビペリデン、塩酸トリヘキシフェニジル、塩酸アマンタジン、レボドパ、等)、抗ヒスタミン剤(塩酸ジフェンヒドラミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、プロメタジン、メキタジン、フマル酸クレマスチン、等)、強心剤(アミノフィリン、カフェイン、dl−塩酸イソプロテレノール、塩酸エチレフリン、塩酸ノルフェネリン、ユビデカレノン、等)、不整脈用剤(塩酸プロカインアミド、ピンドロール、酒石酸メトプロロール、ジソビラミド、等)、利尿剤(塩化カリウム、シクロペンチアジド、ヒドロクロロチアジド、トリアムテレン、アセタゾラミド、フロセミド、等)、血圧降下剤(臭化ヘキサメトニウム、塩酸ヒドララジン、シロシンゴピン、レセルピン、塩酸プロプラノール、カプトプリル、メチルドパ、等)、血管収縮剤(メシル酸ジヒドロエルゴタミン、等)、血管拡張剤(塩酸エタフェノン、塩酸ジルチアゼム、塩酸カルボクロメン、四硝酸ペンタエリスリトール、ジピリダモール、硝酸イソソルビド、ニフェジピン、クエン酸ニカメタート、シクランデレート、シンナリジン、等)、動脈硬化用剤(リノール酸エチル、レシチン、クロフィブラート、等)、循環器官用剤(塩酸ニカルジピン、塩酸メクロフェノキサート、チトクロームC、ピリジノールカルバメート、ピンボセチン、ホパンテン酸カルシウム、ペントキシフィリン、イデベノン、等)、呼吸促進剤(塩酸ジメフリン、等)、鎮咳去痰剤(リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、臭化水素酸デキストロメトルファン、ノスカピン、塩酸L−メチルシステイン、塩酸ブロムヘキシン、テオフィリン、塩酸エフェドリン、アンレキサノクス、等)、利胆剤(オサルミド、フェニルプロパノール、ヒメクロモン、等)、整腸剤(塩化ベルベリン、塩酸ロペラミド、等)、消化器官用剤(メトクロプラミド、フェニペントール、ドンペリドン、等)、ビタミン剤(酢酸レチノール、ジヒドロタキステロール、エトレチナート、塩酸チアミン、硝酸チアミン、フルスルチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール、ニコチン酸、パンテチン、シアノコバラミン、ビオチン、アスコルビン酸、フィトナジオン、メナテトレノン、等)、抗生物質(ベンジルペニシリンベンザチン、アモキシシリン、アンピシリン、シクラシリン、セファクロル、セファレキシン、セフロキシムアキセチル、エリスロマイシン、キタサマイシン、ジョサマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、グリセオフルビン、セフゾナムナトリウム、等)、化学療法剤(スルファメトキサゾール、イソニアジド、エチオナミド、チアゾスルホン、ニトロフラントイン、エノキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、等)が挙げられる。
特に本発明は苦味のある薬物を有効成分として含む医薬品に適用するのが好ましく、そのような薬物としては、カフェイン、ランソプラゾール、ファモチジン、オメプラゾール、クエン酸モサプリド、ボグリボース、酒石酸ゾルピデム、ロラタジン、イミダプリル塩酸塩、ミゾリビン、塩酸セフカペンピボキシル、レボフロキサシン、リスペリドン、コハク酸スマトリプタン、フマル酸クエチアピン、コハク酸ソリフェナシン、グルコサミン、グルコサミン塩酸塩、N−アセチルグルコサミン、コエンザイムQ10、ギムネマ、アガリクス、コラーゲン、サイリウムハスク末、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸塩、ウコン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸エステル、アルギン酸亜鉛、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウム、防風痛聖散、明日葉、アスタキサンチン、アルファーリポ酸、イチョウ葉、エラスチン、L−カルニチン、キトサン、クロレラ、スピルリナ、セラミド、コノギリヤシ、ヒアルロン酸、ビルベリー、β―グルカン、マカ、松樹皮抽出物、ルテイン、アフリカマンゴノキ、柑橘系フルーツ抽出エキス、キノコキトサン、葛の花エキス、グリーンコーヒー豆エキス、グリーンルイボス、黒酢、オルニチン、アミノ酸、オリーブ、クルクミン、アガリクス、霊芝等菌類、リン脂質、オリゴ乳酸、フェルラ酸、青大豆パウダー、ラクトビオン酸、キャッツクロー、ポリフェノール等が挙げられるが、これらに限定されない。
核粒子に対する薬物層の割合は、本実施態様の核粒子の質量を基準として2質量%〜800質量%であれば実用的な値と考えられ、2質量%〜500質量%であることが好ましく、2質量%〜300質量%がより好ましい。
本実施形態の澱粉粒子に有効成分を含む薬物層を被覆して粒子を製造する方法としては、例えば、核粒子を流動層造粒装置(MP−25型、パウレック製)で流動させながら結合液中に有効成分を溶解又は懸濁させた液を噴霧する方法や遠心流動型コーティング装置(CFグラニュレーター;フロイント製)中で転動させながら、結合液を連続的に噴霧し、同時に有効成分粉末を散布する方法、有効成分と結合液中に核粒子を浸漬する方法などが挙げられる。
本実施形態の澱粉粒子に薬物層を被覆させることで得られる前記レイヤリング粒子は、その粒子表面にフィルムコーティング層を施してフィルムコーティング粒子とすることが好ましい。フィルムコーティングは、例えば、レイヤリング粒子に対し、飲みやすさの改善、外観の美化、防湿、防酸化、薬物の溶出制御(例えば、徐放性、腸溶性、胃溶性)、薬物の苦味マスキングや劣化防止などの、医薬品にとって更に好適な物性を賦与することを目的として行われる。
本実施形態のフィルムコーティング層を有する粒子に使用されるフィルムコーティング成分としては、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポビドン、マクロゴール、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、アセチルグリセリン脂肪酸エステル、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、パルミチン酸イソプロピルヒドロキシプロピルセルロース、ヒマシ油、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ミツロウ、ミスチリン酸イソプロピル2−メチル−5−ビニルピリジンメチルアクリレート・メタクリル酸コポリマー、モノステアリン酸グリセリン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、アラビアゴム末、エチルセルロース、エチルセルロース水分散液、オクチルデシルトリグリセリド、オパドライ、含水二酸化ケイ素、クエン酸トリエチル、グリセリン脂肪酸エステル、合成ケイ酸アルミニウム、合成ワックス、酸化チタン、酸化マグネシウム、ジメチルアミノエチルメタアクリレート・メチルメタアクリレートコポリマー、ステアリルアルコール、D−ソルビトール、トウモロコシデンプン、トリアセチン、バレイショデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒプロメロースフタル酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、D−マンニトール、無水クエン酸、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、メチルアクリレート・メタアクリル酸・メチルメタアクリレートコポリマー、メチルセルロース、2−メチル−5−ビニルピリジンメチルアクリレート・メタクリル酸コポリマー、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート等が挙げられる。
フィルムコーティング層の量は目的によって異なるが、フィルムコーティング粒子100質量部に対してフィルムコーティング層1〜50質量部であることが好ましく、1〜30質量部がより好ましい。フィルムコーティング層が50質量部以下であれば粒子の粒子径を小さいまま保つことができ、口腔内でのざらつきが少ないため好ましい。また、錠剤化においても粒子と賦形剤の粒子径の違いによる流動性の均一性が高く、分離偏析が起こりにくいため好ましい。また、フィルムコーティング層が1質量部以上であれば、フィルムコーティング層による目的の溶出制御が容易となり好ましい。
<錠剤>
本実施形態のレイヤリング粒子、またはフィルムコーティング粒子を含有する医薬品、典型的には錠剤、に使用される本実施態様の澱粉粒子、有効成分、フィルムコーティング成分以外の成分として、例えば、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴム、等)、安定化剤(安息香酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、等)、甘味剤(アスパルテーム、D−マンニトール、等)、矯味剤(アスパラギン酸、アスパラギン酸ナトリウム、等)、香料(ペパーミント、メントール、等)、崩壊剤(クロスポビドン、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カンテン末、ショ糖脂肪酸エステル、カルボキシメチルスターチナトリウム、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、ポビドン、クロスカルメロースナトリウム、等)、その他の添加剤などの製剤や食品などに使用可能な成分を挙げることができる。
前記のとおり、本実施形態において、レイヤリング粒子又はフィルムコーティング粒子が薬効成分を含むものである場合は、そのまま投薬するか、又は他の薬剤と混合して投薬してもよいが、カプセルに充填してカプセル剤とするのが好ましく、更に、他の適当な賦形剤と混合後、打錠して粒子含有錠とすることがより好ましい。粒子含有錠の中でも、口腔内の唾液で速やかに崩壊する口腔内崩壊錠は最も好ましい剤型の一つである。
従って、以下に、本実施形態のレイヤリング粒子又はフィルムコーティング粒子を含んだ、口腔内で速やかに崩壊する口腔内崩壊錠の製造方法について説明する。
本実施形態において、口腔内崩壊錠は、錠剤100質量%に対して、レイヤリング粒子又はフィルムコーティング粒子を3〜90質量%含有することが好ましく、3〜70質量%含有することがより好ましく、3〜50質量%含有することがさらに好ましい。レイヤリング粒子又はフィルムコーティング粒子の含有量が3質量%以上であれば、有効成分の薬効が発現しやすいため好ましい。一方、レイヤリング粒子又はフィルムコーティング粒子の含有量が90質量%以下であれば、口腔内崩壊錠として十分な錠剤硬度や崩壊時間が得られるため好ましい。
本実施形態において、口腔内崩壊錠の成分にセルロース類を含有することが好ましく、その配合量は錠剤100質量%に対して1〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。セルロース類が1質量%以上であれば、口腔内崩壊錠の硬度が向上し好ましい。セルロース類が30質量%以下であれば、口腔内崩壊錠としたとき、口腔内でもさつきなどが発生せず服用感に問題がでにくいため好ましい。
このようなセルロース類としては、結晶セルロース、粉末セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられるが、口腔内崩壊錠の成形性と崩壊性のバランスから結晶セルロースが好ましい。結晶セルロースの具体例としては、例えば、セオラス(登録商標)KG−1000、KG−802、PH−302、PH−301、PH−101、PH−102、UF−711、UF−702、PH−200、PH−F20JP(いずれも旭化成ケミカルズ製)などが挙げられる。
本実施形態において、口腔内崩壊錠は、糖又は糖アルコール(例えば、D−マンニトール、乳糖、エリスリトール、トレハロース、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、ショ糖)、崩壊剤、無機賦形剤(例えば、無水リン酸水素カルシウム)、澱粉類、その他、一般製剤の製造に用いられる種々の添加剤を含んでいても良い。このような添加剤として、例えば、滑沢剤、結合剤、流動化剤、矯味剤、香料、着色剤、甘味剤、界面活性剤などが挙げられる。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、酒石酸カリウムナトリウム、軽質無水ケイ酸、カルナウバロウ、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、含水二酸化ケイ素、硬化油、硬化ナタネ油等が挙げられる。滑沢剤は錠剤を打錠する際に、臼や杵への粉の付着を防止する目的で配合される。滑沢効果が強すぎると成形性が弱くなり、実用的な錠剤硬度50〜70Nを得るために、必要以上の圧縮圧力を要することがある。高い圧力で打錠された錠剤は、錠剤の崩壊速度が遅延する傾向にあることから、口腔内崩壊錠には適さない。したがって、本発明においても、できるだけ低い圧力で打錠する必要がある。その点から、本発明の滑沢剤としては、少量で滑沢効果の高いステアリン酸マグネシウムが好ましい。滑沢剤の配合量は、錠剤100質量%に対して0.05〜3質量%が好ましく、0.1〜1.5質量%がより好ましい。
結合剤としては、ゼラチン、プルラン、カラギーナン、キサンタンガム、タマリンドガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム等の水溶性多糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類、アルファー化デンプン、デンプン糊等のデンプン類、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等の合成高分子類等が挙げられる。
流動化剤としては含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。
矯味剤としてはグルタミン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、メントールなどが挙げられる。
香料としてはオレンジ、バニラ、ストロベリー、またはヨーグルト風味の香料、及びメントール等が挙げられる。
着色剤としては食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号等の食用色素、リボフラビンなどが挙げられる。
甘味剤としてはアスパルテーム、サッカリン、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア等が挙げられる。
界面活性剤としては、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
口腔内崩壊錠の具体的な製造方法について説明する。
例えば、レイヤリング粒子、またはフィルムコーティング粒子とセルロース類、糖又は糖アルコールなどを含む添加剤を混合機で混合して打錠用粉末を調製後、打錠して製造する方法が挙げられる。打錠は、例えば、ロータリー打錠機、単発打錠機などの公知の打錠装置によって製造することができる。打錠の際の圧力は、必要な硬度・摩損度を確保できる範囲内で、できるだけ低くすることが望ましく、好ましくは20kN以下であり、より好ましくは15kN以下、さらに好ましくは10kN以下である。打錠の際の圧力が大きすぎる場合、口腔内崩壊錠中のフィルムコーティング粒子のフィルムが損傷し、有効成分の溶出制御ができなくなる場合があるため好ましくない。また、打錠圧力と錠剤の崩壊性は、錠剤内の空隙率と水浸透性に相関があるため口腔内崩壊錠としての崩壊性を確保するためにも打錠圧力は低い方が好ましい。
口腔内崩壊錠の錠剤硬度は40〜100Nであることが好ましい。40N以上であれば輸送や保管中に錠剤側面が欠けたり、割れたりする可能性が少なく好ましい。一方、100N以下であれば錠剤の崩壊性が遅すぎず口腔内崩壊錠として満足いく崩壊性が得られるため好ましい。
口腔内崩壊錠は、水なしでも服用できる医薬品及び健康食品製剤であり、例えば、第16改正日本薬局方、一般試験法「崩壊試験法」に準じて実施した錠剤の崩壊時間は60秒未満が好ましく、30秒以内がより好ましい。
また、錠剤を実際に、人の口の中に入れて唾液のみで崩壊させる口腔内崩壊試験では、60秒未満で崩壊することが好ましく、30秒以内がより好ましい。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明で用いられる物性の測定方法及び条件は以下のとおりである。これらの測定方法は、本発明で定義した物性を同定するための標準的なプロトコールとして参照され得る。
<平均粒子径[μm]>
澱粉粒子はレーザー回折の散乱式粒度分布測定装置(HORIBA製 LA−950)の乾式法で試料を約1g投入し測定する。測定した際の累積50質量%の粒度を平均粒子径とした。また、レイヤリング粒子及びフィルムコーティング粒子は、ロータップ式篩振盪機(平工製作所製、シーブシェーカーA型)によりJIS標準篩を用いて試料20gを10分間篩分することにより粒度分布を測定し、目開き75μmの篩を通過し、目開き20μmの篩上に残留する粒子の割合(質量%)を求めた。また、篩下積算分布における積算50質量%粒子径を平均粒子径とした。
<粒度分布シャープネス>
澱粉粒子の粒度分布シャープネスは、レーザー回折の散乱式粒度分布測定装置(HORIBA製 LA−950)を用いて、試料約1gを投入し、乾式法で測定した澱粉粒子の粒度分布より算出される積算重量10%粒径(D10)、積算重量50%粒径(D50)、積算重量90%粒径(D90)を用いて下式より算出した。
Figure 2015218322
また、フィルムコーティング粒子の粒度分布シャープネスは、ロータップ式篩振盪機(平工作所製シーブシェーカーA型)、JIS標準篩(Z8801−1987)を用いて、試料10gを10分間篩分することにより粒度分布を測定し、累積重量10%粒径(D10)、累積重量50%粒径(D50)、累積重量90%粒径(D90)を算出し、上記と同じ式により求めた。
<嵩密度(見かけ嵩密度)[g/ml]>
100mlのメスシリンダーに澱粉粒子30gを疎充填(メスシリンダーの開口部にロートを差し込み、5秒から10秒程度かけてゆっくり澱粉粒子を注ぎ込み、そのまま静置)させた粒子層の容積を読み取り、30gを該容積(ml)で除した値を算出した。繰り返し数は3で、その平均値をとった。
<安息角[°]>
パウダーテスター(PR−T型、ホソカワミクロン製)を使用して測定する。繰り返し数は3で、その平均値をとった。
<真球度>
デジタルマイクロスコープ(VH−7000型、キーエンス製、VH−501レンズ使用)を用いて撮影した画像を1360×1024ピクセル、TIFFファイル形式で保存し、画像処理解析ソフト(Image HyperII、デジモ製)を使用して、100個の粒子の短径と長径の平均値をとって、短径の平均値/長径の平均値により真球度を算出した。また、該画像の100個の粒子の輪郭の長さを該粒子の投影面積と同じ面積を有する円の周長で除した値の平均値により形状係数を算出した。
<保水能>
澱粉粒子5gを共栓付100mlメスシリンダーに採り、25℃の純水約80mlを加えて軽く振とうして脱泡させた後、全量を純水で100mlとした。得られた分散液を遠心沈降管に移し、4500rpmで30分間遠心分離した。上澄液を捨て湿潤沈降物の重量を測定し<W(g)>、次いで、該沈降物を送風乾燥機(WFO−420W/東京理化器械製)にて105℃で16時間乾燥させて秤量し<Wo(g)>、次式より保水能を算出した。
Figure 2015218322
<フィルムコーティング粒子の溶出性>
第16改正日本薬局方、一般試験法「溶出試験法」に従って実施した。試験液は水を用いた。一般試験法に従い評価し、試験規格内のものを「安定」、規格外のものを「不安定」と評価した。
<錠剤の硬度>
一般的に使用される錠剤硬度測定器(Tablet Tester 8M/DR.SCHLEUNIGER製)にて、錠剤の硬度を測定した。1錠ずつ錠剤硬度を測定し、20錠分の錠剤硬度の平均値を算出した。
<錠剤の崩壊試験>
第16改正日本薬局方、一般試験法「崩壊試験法」に従って実施した。試験液は水を用いた。
<錠剤の口腔内崩壊試験>
健康な成人男子3人を被験者として、口腔内の唾液で錠剤が完全に崩壊する時間を測定した。各人2回測定し、3人の平均値を算出した。
<服用感>
健康な成人男子3人を被験者として、口腔内の錠剤の服用感を官能的に評価した。錠剤の味や食感に問題がない場合を「良好」とし、粉っぽさを感じる場合は、「もさつき感あり」、粒子などのザラツキを感じた場合は、「違和感あり」として判定した。各人2回測定し、2回とも「良好」である場合のみ、その被験者の服用感の評価を「良好」と判定した。そして、例えば、もさつき感について、被験者が1回目に何も感じず、2回目にもさつき感を感じた場合は、その被験者の評価は「もさつき感あり」とし、同様に、1回でも粒子などのザラツキを感じた場合は、「違和感あり」として判定した。
I.核粒子の製造
[実施例1]
部分アルファー化澱粉(製品名:PCS PC−10(登録商標)、旭化成ケミカルズ製)1.0kgを超遠心粉砕機(ZM200、Retsch製、スクリーン目開き0.12mmφ、回転数14000rpm)に仕込み、全量粉砕した。粉砕工程で得られた粉砕物約1.0kgを目開き75μmの篩で篩分し、75μmを通過した澱粉粒子を集め、澱粉粒子(A)を得た。篩分工程前の澱粉粒子の量を100質量%として、篩分工程後に得られた澱粉粒子(A)の75μm以下の割合は95質量%であった。物性を表1に示す。
[実施例2]
実施例1同様に、アルファー化澱粉(製品名:SWELSTAR PD−1(登録商標)、旭化成ケミカルズ製)1.0kgを超遠心粉砕機(ZM200、Retsch製、スクリーン目開き0.12mmφ、回転数14000rpm)に仕込み、全量粉砕した。粉砕工程で得られた粉砕物約1.0kgを目開き75μmの篩で篩分し、75μmを通過した澱粉粒子を集め、澱粉粒子(B)を得た。篩分工程前の澱粉粒子の量を100質量%として、篩分工程後に得られた澱粉粒子(B)の75μm以下の割合は92質量%であった。物性を表1に示す。
[実施例3]
部分アルファー化澱粉(製品名:PCS PC−10(登録商標)、旭化成ケミカルズ製)1.0kgをジェットミル粉砕機(ZM200、セイシン製、圧力0.70MPa)に仕込み、全量粉砕した。粉砕工程で得られた粉砕物約0.95kgを目開き75μmの篩で篩分し、75μmを通過した澱粉粒子を集め、澱粉粒子(C)を得た。篩分工程前の澱粉粒子の量を100質量%として、篩分工程後に得られた澱粉粒子(C)の75μm以下の割合は91質量%であった。物性を表1に示す。
[実施例4]
アルファー化澱粉(製品名:SWELSTAR PD−1(登録商標)、旭化成ケミカルズ製)1.0kgをジェットミル粉砕機(ZM200、セイシン製、圧力0.70MPa)に仕込み、全量粉砕した。粉砕工程で得られた粉砕物約0.96kgを目開き75μmの篩で篩分し、75μmを通過した澱粉粒子を集め、澱粉粒子(D)を得た。篩分工程前の澱粉粒子の量を100質量%として、篩分工程後に得られた澱粉粒子(D)の75μm以下の割合は90質量%であった。物性を表1に示す。
[実施例5]
部分アルファー化澱粉(製品名:スターチ1500(登録商標)、カラコン製)1.0kgを超遠心粉砕機(ZM200、Retsch製、スクリーン目開き0.12mmφ、回転数14000rpm)に仕込み、全量粉砕した。粉砕工程で得られた粉砕物約1.0kgを目開き75μmの篩で篩分し、75μmを通過した澱粉粒子を集め、澱粉粒子(E)を得た。篩分工程前の澱粉粒子の量を100質量%として、篩分工程後に得られた澱粉粒子(E)の75μm以下の割合は88質量%であった。物性を表1に示す。
[比較例1]
部分アルファー化澱粉(製品名:PCS PC−10(登録商標)、旭化成ケミカルズ製)1.0kgを粉砕せずに、目開き75μmの篩で篩分し、75μmを通過した澱粉粒子を集め、澱粉粒子(F)を得た。篩分工程前の澱粉粒子の量を100質量%として、篩分工程後に得られた澱粉粒子(F)の75μm以下の割合は35質量%であった。物性を表1に示す。後述する比較例6以降においては、上記篩分工程前の澱粉粒子を使用した。
[比較例2]
アルファー化澱粉(製品名:SWELSTAR PD−1(登録商標)、旭化成ケミカルズ製)1.0kgを粉砕せずに、目開き75μmの篩で篩分し、75μmを通過した澱粉粒子を集め、澱粉粒子(G)を得た。篩分工程前の澱粉粒子の量を100質量%として、篩分工程後に得られた澱粉粒子(G)の75μm以下の割合は32質量%であった。物性を表1に示す。後述する比較例6以降においては、上記篩分工程前の澱粉粒子を使用した。
[比較例3]
トウモロコシ澱粉(日澱化学製)1.0kgを粉砕せずに、目開き75μmの篩で篩分し、75μmを通過した澱粉粒子を集め、澱粉粒子(H)を得た。篩分工程前の澱粉粒子の量を100質量%として、篩分工程後に得られた澱粉粒子(H)の75μm以下の割合は82質量%であった。物性を表1に示す。
[比較例4]
馬鈴薯澱粉(日澱化学製)1.0kgを粉砕せずに、目開き75μmの篩で篩分し、75μmを通過した澱粉粒子を集め、澱粉粒子(I)を得た。篩分工程前の澱粉粒子の量を100質量%として、篩分工程後に得られた澱粉粒子(I)の75μm以下の割合は80量%であった。物性を表1に示す。
[比較例5]
核粒子として使用される球形の結晶セルロース(商品名:セルフィア(登録商標)、旭化成ケミカルズ製)を超遠心粉砕機(ZM200、Retsch製、スクリーン目開き0.50mmφ、回転数14000rpm)に仕込み、全量粉砕した。セルフィアは硬い性状のため、この粉砕を5回繰り返し実施した。粉砕工程で得られた粉砕物約0.80kgを目開き75μmの篩で篩分し、75μmを通過した粒子を集め、粉砕セルフィア粒子(J)を得た。篩分工程前の澱粉粒子の量を100質量%として、篩分工程後に得られた粉砕セルフィア粒子(J)の75μm以下の割合は25質量%であった。物性を表1に示す。
Figure 2015218322
[実施例6、比較例6]
次に実施例1〜5、比較例1〜5で得られた澱粉粒子、または粉砕セルフィア粒子を、各々約500mg計りとり、11mmφの臼杵で打錠圧3.5kNの力で10秒間静圧プレス(1011CREEP、AIKOH ENGINEERING製)し、錠剤を作製した。各々の錠剤硬度は表2に示す。実施例の錠剤硬度について、以下の表2にまとめる。
Figure 2015218322
II.フィルムコーティング粒子の製造
[実施例7]
実施例1の澱粉粒子800gをワースター型流動層造粒コーティング装置(MP−01型、パウレック製)に入れ、スプレーエアー圧:0.16MPa、スプレーエアー流量:40L/min、保護エア圧:0.2MPa、給気温度:75℃、排気温度:35℃、風量:30〜50m3/hの条件で、ロキソプロフェン40質量部、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達製)2質量部、水58質量部の懸濁液を、10g/minの供給速度で噴霧し、実施例1の澱粉粒子100質量部に対してロキソプロフェンが200質量部となるまでロキソプロフェン含有被覆層(薬物層)を被覆した。実施例1の澱粉粒子にロキソプロフェンを被覆した粒子を150μmの篩で篩分し、凝集粒子を取り除き、レイヤリング粒子(澱粉粒子を被覆する薬物層を有する粒子)を得た。
次いで、ロキソプロフェンを被覆したレイヤリング粒子700g(150μm以下)をワースター型流動層造粒コーティング装置(MP−01型、パウレック製)に入れ、エチルセルロース水分散液/クエン酸トリエチル/ヒドロキシプロピルメチルセルロース/水=34.3/2.6/2.1/61.0の質量組成で、スプレーエアー圧:0.16MPa、スプレーエアー流量:40L/min、保護エア圧:0.2MPa、給気温度:75℃、排気温度:35℃、風量:30〜50m/hの条件で、10g/minの供給速度で噴霧し、レイヤリング粒子100質量部に対してフィルムコーティング液の固形分として15.0質量部までフィルムコーティングを施した。フィルムコーティングを施した粒子を150μmの篩で篩分し、凝集粒子を取り除き、フィルムコーティング粒子を得た。フィルムコーティング粒子の平均粒子径と収率を表3に示す。
[実施例8]
実施例2〜5の澱粉粒子に対しても同様の操作を行った。実施例2〜5のフィルムコーティング粒子の平均粒子径と収率について、以下の表3にまとめる。
Figure 2015218322
[比較例7]
実施例7と同様に、比較例1〜5の核粒子に対しても同様の操作を行った。フィルムコーティング粒子の平均粒子径について、以下の表4にまとめる。
Figure 2015218322
III.口腔内崩壊錠の製造
[参考例1]
結晶セルロースのセオラス(登録商標)KG−1000(旭化成ケミカルズ製)300gとエリスリトール(三菱化学フーズ製)700gをバーチカルグラニュレーター造粒装置に仕込み、水を摘下させながら撹拌造粒を行い、造粒顆粒を得た。さらに、この造粒顆粒を、流動層乾燥機に移して造粒顆粒の乾燥を行った後、600μmの篩で篩分し、結晶セルロースとエリスリトールを含有する平均粒子径が150〜200μmの造粒顆粒を得た。
撹拌造粒の条件は下記の通りであった。
(1)使用装置 :バーチカルグラニュレーター(商品名)FM−VG−10(パウレック製)
(2)加水量 :200g
(3)ブレード回転数 :280rpm
(4)チョッパー回転数:3000rpm
(5)造粒時間 :3分間
乾燥の条件は下記の通りであった。
(1)使用装置 :マルチプレックス(商品名)MP−01型(パウレック製)
(2)風量 :50m/時間
(3)給気温度 :70〜75℃
(4)排気温度 :45℃停止
[実施例9]
次に、実施例7で得たフィルムコーティング粒子を30.0質量%、参考例1で得た造粒顆粒を56.9質量%、無水リン酸水素カルシウム(フジカリン(商品名)富士化学製)を5.0質量%、結晶セルロース(セオラス(登録商標)KG−1000(商品名)、旭化成ケミカルズ製)を5.0質量%、崩壊剤としてクロスポビドン(ポリプラスドンXL−10(商品名)、AIPジャパン製)を3.0質量%、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業)を0.1質量%混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、菊水製作所製)で、打錠した。打錠用の臼杵は、直径9.5mm、杵の凹曲面半径が13.5mmのものを使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力7.0kNで打錠し、錠剤重量が380mgの錠剤を得た。実施例8のフィルムコーティング粒子に対しても同様の操作を行った。
実施例1〜5の澱粉粒子を用いた錠剤は、全て、硬度50N以上、崩壊時間30秒以内で、服用感も良好であった。得られた錠剤の物性は表5に示す。
Figure 2015218322
[比較例8]
実施例9と同様に、比較例7で得たフィルムコーティング粒子を30.0質量%、参考例1で得た造粒顆粒を56.9質量%、無水リン酸水素カルシウム(フジカリン(商品名)富士化学製)を5.0質量%、結晶セルロース(セオラス(登録商標)KG−1000(商品名)、旭化成ケミカルズ製)を5.0質量%、崩壊剤としてクロスポビドン(ポリプラスドンXL−10(商品名)を3.0質量%、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業製)を0.1質量%混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、菊水製作所製)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径9.5mm、杵の凹曲面半径が13.5mmのものを使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力7.0kNで打錠し、錠剤重量が380mgの錠剤を得た。
比較例1〜5の澱粉粒子、または粉砕セルフィア粒子を用いた錠剤は、服用感で粒子のザラツキを感じ、口腔内崩壊錠として不適格なものであった。得られた錠剤の物性は表6に示す。
Figure 2015218322
本発明の澱粉粒子は、医薬品薬物を含有する医薬品製剤の分野で好適に利用できる。特に優れた崩壊性を有しているため、水なしで服用できる崩壊性固形製剤、好ましくは口腔内速崩壊性の固形製剤(錠剤)として利用できる。
1..核粒子
2..薬物層
3..レイヤリング粒子
4..フィルムコーティング層
5..フィルムコーティング粒子

Claims (9)

  1. 平均粒子径(D50)が5〜50μm、安息角が30〜45°、嵩密度が0.2〜0.9g/ml、保水能が200〜1000質量%、粒度分布シャープネスが1.0〜2.0、打圧3.5kN時の錠剤硬度が40N以上である澱粉粒子。
  2. 上記澱粉が加工澱粉である請求項1記載の澱粉粒子。
  3. 上記加工澱粉が部分アルファー化澱粉又はアルファー化デンプンである請求項2記載の澱粉粒子。
  4. 粒度分布シャープネスが1.0〜1.7である請求項1〜3のいずれか一項に記載の澱粉粒子。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の澱粉粒子と該澱粉粒子を被覆する薬物層とを有するレイヤリング粒子。
  6. 請求項5記載のレイヤリング粒子と該レイヤリング粒子を被覆するフィルムコーティング層とを有するフィルムコーティング粒子。
  7. 請求項5記載のレイヤリング粒子又は請求項6記載のフィルムコーティング粒子を含有する錠剤。
  8. 請求項5記載のレイヤリング粒子又は請求項6記載のフィルムコーティング粒子を3〜90質量%含有する請求項7記載の錠剤。
  9. 口腔内崩壊錠である請求項7又は8に記載の錠剤。
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