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JP2015209419A - N−置換(メタ)アクリルアミドの製造方法 - Google Patents

N−置換(メタ)アクリルアミドの製造方法 Download PDF

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JP2015209419A
JP2015209419A JP2014093615A JP2014093615A JP2015209419A JP 2015209419 A JP2015209419 A JP 2015209419A JP 2014093615 A JP2014093615 A JP 2014093615A JP 2014093615 A JP2014093615 A JP 2014093615A JP 2015209419 A JP2015209419 A JP 2015209419A
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晴香 古荘
Haruka Furusho
晴香 古荘
明理 平田
Akimichi Hirata
明理 平田
増田 英樹
Hideki Masuda
英樹 増田
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KJ Chemicals Corp
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KJ Chemicals Corp
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Abstract

【課題】温和な条件下、高純度のN−置換(メタ)アクリルアミドの製造方法を提供。
【解決手段】シリカを主成分とする触媒存在下、アミノプロピオン酸アミド誘導体[1]の液相熱分解により、アミン化合物を脱離させ、N−置換(メタ)アクリルアミド[3]を得る方法。
Figure 2015209419

Figure 2015209419

(R〜RはH、C1〜32のアルキル基、ヒドロキシアルキル基に代表される。)
【選択図】なし

Description

本発明は、アミノプロピオン酸アミド誘導体が温和な条件下で液相熱分解によりアミンを脱離させることを特徴とする、各種重合体原料として有用なN−置換(メタ)アクリルアミドの簡便な工業的製造方法に関する。
N−置換(メタ)アクリルアミドは、単独または他の重合性モノマーと共重合した機能性ポリマーとして、日常生活において、その利便性から、塗料、粘着剤、接着剤、各種コーティング剤、紙力増強剤などの製紙用薬剤、産業排水や生活排水の処理に用いる高分子凝集剤、高分子改質剤、分散剤、増粘剤、コンタクトレンズや生体用ゲルなどの合成原料、UV硬化樹脂用反応性希釈剤など、極めて多様な分野において使用されている。従って、N−置換(メタ)アクリルアミドの製造方法は従来盛んに検討、報告されてきた。
N−置換(メタ)アクリルアミドの工業的製法としては、出発物質から纏めると主に下記に示すような4種類が挙げられる。第1の製法は、(メタ)アクリルアミドを用いてアミンと、触媒としてアミンのアクリル酸塩の存在下、100〜250℃でアミド交換反応とマイケル付加反応を行い、さらに160〜350℃の高温で液相熱分解によりアミンを除去、N−置換(メタ)アクリルアミドを取得する方法である(特許文献1)。第2の製法は、(メタ)アクリル酸エステルを使用してアミンと、強塩基性触媒や有機錫触媒存在下で直接アミド化反応またはアミンとマイケル付加反応後にアミド化反応を行い、次にその生成物アミドアダクトを無触媒、酸性触媒或いは重合禁止剤の存在下で約150〜200℃において液相熱分解することでN−置換(メタ)アクリルアミドを合成する方法である(特許文献2〜8)。第3の製法は、アクリロニトリルとオレフィンあるいはアルコールを濃硫酸、ルイス酸等の存在下で反応させN−置換(メタ)アクリルアミドを製造する方法である(特許文献9)。第4の製法は、(メタ)アクリル酸を用い、メソポーラスシリカ触媒存在下でアミンと直接アミド化(特許文献10)、または(メタ)アクリル酸と3〜10倍モルの2級アミンを加圧下で反応させN,N−二置換βアミノ酸を合成し、その後、アルミナ触媒と対流システムを用いて120〜200℃、0.17〜0.87MPaの条件下で低沸点の2級アミンとアミド化反応を行い、さらに、気相重合禁止剤を添加し、200〜300℃、0.15〜0.95MPaの条件下で分解させ、N−置換(メタ)アクリルアミドを合成する方法である(特許文献11)。
しかしながら、これらの方法には何れも課題や問題が残されていた。すなわち、第1と第2の製造方法では、アミド化反応後、得られたアミドアダクトを液相で熱分解させるとき、150℃以上の高温条件或いは強酸性触媒の存在下で行う必要があった。そのため、熱分解で生成した目的物であるN−置換(メタ)アクリルアミドの重合が極めて起こり易くなり、収率低下と精製コスト上昇などの問題があった。また、強塩基や強酸性触媒を用いる場合、反応終了後に中和操作が必要となり、中和工程、中和塩の除去工程および中和排水の処理工程を別途行わなければならない。さらに、第1の製法で副生した毒性ガスアンモニアや第2の製法で使用済の有機錫触媒などについても、分離、回収、除害などの措置を取らなければならなかった。これらの追加工程のため、過大なエネルギーと設備投資が必要となるから、これらの方法はいずれも工業生産に適した安価、簡便な方法ではなかった。
第3の製造方法においても同様に、反応に酸性触媒あるいはルイス酸触媒を用いることから、触媒の反応系からの抽出による除去工程あるいは中和工程が必要となる。この方法も工業的に有利な方法ではなかった。また、用いるアルコールあるいはオレフィンによって反応収率が大きく変化することから、様々なN−置換(メタ)アクリルアミドを合成する手法としては不十分であった。
第4の製造方法について、近年、シリカやアルミナを触媒としたカルボン酸とアミンのアミド化反応が注目されるようになった。しかし、(メタ)アクリル酸のような不飽和カルボン酸において、二重結合が極めて反応性に富むため、アミンとのアザーマイケル付加反応が優先的に進行し、特許文献10に報告されたように(メタ)アクリル酸とアミンの直接アミド化の反応収率は40%程度と低かった。一方、特許文献11では、予めアミンを二重結合に保護基として付加させ、アミン保護のN,N−二置換βアミノ酸を合成してから続けてアミンとのアミド化反応を行った。しかし、(メタ)アクリル酸と2級アミンのアザーマイケル付加反応には大過剰のアミン(3〜10倍モル)が必要であり、過剰に使用されたアミンの回収、再使用など煩雑な後工程を追加され、経済的に不利な面があった。また、当然であるが、過剰のアミンがN,N−二置換βアミノ酸と有機中和塩を多く副生してしまい、目的生成物の純度低下、反応液の粘度増加および次工程の触媒汚染による失活など数多くの問題が残されている。
さらに、特許文献11では、特殊な重合禁止剤を用いて、200〜300℃の高温下で気相熱分解を行ったが、高沸点や高粘度、非揮発性のN−置換(メタ)アクリルアミドに適用しない欠点があった。すなわち、所定の温度と圧力において、モノマー(N−置換(メタ)アクリルアミド)およびそれらのアミンアダクト(N−置換(メタ)アクリルアミドの二重結合がアミン付加で保護されたモノ)が揮発でき、アミンアダクトが熱分解でき、かつモノマーが重合せず、熱的安定であるN−置換(メタ)アクリルアミドしか合成できない。しかしながら、公知の通り、N−置換(メタ)アクリルアミドは水素結合を形成し易く、沸点や粘度、揮発性などは類似構造を有する(メタ)アクリレートより高く、また、極めて重合し易い特徴がある。そのため、このような方法では、合成可能なモノマーにおいても、甚だしい場合の操作が困難となり、収率がさらなる低下し、目的物が取得できない場合もあった。
以上述べたように、N−置換(メタ)アクリルアミドの温和な条件での工業的製造方法、特に、熱分解工程において強酸性触媒や高温条件を用いない高収率かつ高純度、簡便なプロセスは、まだ確立されていない。
特開昭58−18346号公報 特開平4−208258号公報 特開平6−199752号公報 特開2000−273072号公報 特開2012−97005号公報 特開平4−154749号公報 特開平7−188135号公報 特開平11−302240号公報 特開2000−264865号公報 特開2012−46431号公報 WO2010/126086号公報
本発明の課題は、温和な条件下においてアミノプロピオン酸アミド誘導体を熱分解することで不純物の副生や生成物の重合を起こすことなく、高純度のN−置換(メタ)アクリルアミド(N−モノ置換(メタ)アクリルアミドまたはN,N−二置換(メタ)アクリルアミド)を高収率、簡便且つ安価に工業的に製造する方法を提供することである。
本発明者らはこれらの課題を解決するために鋭意検討を行った結果、触媒としてシリカを主成分とする無機物を添加することで、一般式[1]に示されるアミノプロピオン酸アミド誘導体が温和な条件下で液相熱分解によりアミン化合物(一般式[2])を脱離させ、目的化合物N−置換(メタ)アクリルアミド(一般式[3])を得ることを見出し、本発明に到達した。
Figure 2015209419
Figure 2015209419
Figure 2015209419
(各式中、R、R、RとRは各々独立に水素原子または炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基(但し、RとRが同時に水素原子である場合及びRとRが同時に水素原子である場合を除く。)、または、炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のヒドロキシアルキル基、または、炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のアミノアルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、また、RとR、および/またはRとRは、それらを担持する窒素原子と一緒になって、酸素原子を含む飽和5〜7員環を形成してもよく、Rは水素原子またはメチル基を表す)
すなわち本発明は、
(1)一般式[1]で示されるアミノプロピオン酸アミド誘導体を、シリカを主成分とする無機物の存在下で液相熱分解により一般式[2]で示されるアミン化合物を脱離させることにより得られる、一般式[3]で示されるN−モノ置換(メタ)アクリルアミド、またはN,N−二置換(メタ)アクリルアミドの製造方法、
Figure 2015209419
Figure 2015209419
Figure 2015209419
(各式中、R、R、RとRは各々独立に水素原子または炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基(但し、RとRが同時に水素原子である場合及びRとRが同時に水素原子である場合を除く。)、または、炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のヒドロキシアルキル基、または、炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のアミノアルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、また、RとR、および/またはRとRは、それらを担持する窒素原子と一緒になって、酸素原子を含む飽和5〜7員環を形成してもよく、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
(2)一般式[1]で示される化合物が、一般式[4]で示されるアミノプロピオン酸エステル誘導体と1モル以上の一般式[2]で示されるアミン化合物とを反応させて得ることを特徴とする前記(1)に記載のN−モノ置換(メタ)アクリルアミド、またはN,N−二置換(メタ)アクリルアミドの製造方法、
Figure 2015209419
(各式中、R、R、RとRは各々独立に水素原子または炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基(但し、RとRが同時に水素原子である場合及びRとRが同時に水素原子である場合を除く。)、または、炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のヒドロキシアルキル基、または、炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のアミノアルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、また、RとR、および/またはRとRは、それらを担持する窒素原子と一緒になって、酸素原子を含む飽和5〜7員環を形成してもよく、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。)
(3)一般式[1]で示される化合物が、一般式[5]で示される(メタ)アクリル酸エステルと2モル以上の一般式[2]で示されるアミン化合物とを反応させて得ることを特徴とする前記(1)に記載のN−モノ置換(メタ)アクリルアミド、またはN,N−二置換(メタ)アクリルアミドの製造方法、
Figure 2015209419
(各式中、R、R、RとRは各々独立に水素原子または炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基(但し、RとRが同時に水素原子である場合及びRとRが同時に水素原子である場合を除く。)、または、炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のヒドロキシアルキル基、または、炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のアミノアルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、また、RとR、および/またはRとRは、それらを担持する窒素原子と一緒になって、酸素原子を含む飽和5〜7員環を形成してもよく、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。)
(4)一般式[1]で示される化合物が、一般式[6]で示されるアミノプロピオン酸誘導体と1モル以上の一般式[2]で示されるアミン化合物とを反応させて得ることを特徴とする前記(1)に記載のN−モノ置換(メタ)アクリルアミド、またはN,N−二置換(メタ)アクリルアミドの製造方法、
Figure 2015209419
(各式中、R、R、RとRは各々独立に水素原子または炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基(但し、RとRが同時に水素原子である場合及びRとRが同時に水素原子である場合を除く。)、または、炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のヒドロキシアルキル基、または、炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のアミノアルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、また、RとR、および/またはRとRは、それらを担持する窒素原子と一緒になって、酸素原子を含む飽和5〜7員環を形成してもよく、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
(5)前記のシリカを主成分とする無機物は多孔質のシリカゲル、メソポーラスシリカ、シリカアルミナ、ゼオライトからなる群から選択された1種または2種以上であることを特徴とする前記(1)〜(4)の何れか一項に記載のN−モノ置換(メタ)アクリルアミド、またはN,N−二置換(メタ)アクリルアミドの製造方法、
(6)前記のシリカを主成分とする無機物中のシリカ含量は60〜100重量%であることを特徴とする前記(1)〜(5)の何れか一項に記載のN−モノ置換(メタ)アクリルアミド、またはN,N−二置換(メタ)アクリルアミドの製造方法
を提供するものである。
本発明の方法によると、高純度のN−モノ置換(メタ)アクリルアミドとN,N−二置換(メタ)アクリルアミドを汎用の工業原料から高収率で安価かつ簡便に製造することができる。また、本発明の方法では、環境負荷の小さいシリカ系触媒を使用し、酸性触媒を用いる必要がなく、重合などのトラブルが発生せず、温度も圧力も温和な条件において、低コストで製造することができる。
本発明の製造方法において、アミノプロピオン酸アミド誘導体の液相熱分解反応におけるシリカ主成分とする無機物の触媒メカニズムについて、反応機構は必ずしも明らかではないが、触媒の表面に孤立シラノール基、さらに酸強度の高い酸点を有するため、活性点としてアミドのカルボニル酸素を活性化させ、その結果カルボニル基β水素が脱離し易くなることで、温和な条件下でも反応がスムーズに進行していくと発明者らは推測している。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、シリカを主成分とする無機物の存在下で一般式[1]で示されるアミノプロピオン酸アミド誘導体を液相熱分解させ、1分子のアミン化合物を脱離することにより、一般式[3]で示されるN−モノ置換(メタ)アクリルアミド、またはN,N−二置換(メタ)アクリルアミドを製造するものである。
本発明に用いられるアミノプロピオン酸アミド誘導体は、N−モノ置換−β−アルキルアミノプロピオン酸アミド、N−モノ置換−β−ジアルキルアミノプロピオン酸アミド、N,N−二置換−β−アルキルアミノプロピオン酸アミド、N,N−二置換−β−ジアルキルアミノプロピオン酸アミド、N−モノ置換−β−ヒドロキシアルキルアミノプロピオン酸アミド、N−モノ置換−β−ジヒドロキシアルキルアミノプロピオン酸アミド、N,N−二置換−β−ヒドロキシアルキルアミノプロピオン酸アミド、N,N−二置換−β−ジヒドロキシアルキルアミノプロピオン酸アミド、N−モノ置換−β−アミノアルキルアミノプロピオン酸アミド、N−モノ置換−β−ジアミノアルキルアミノプロピオン酸アミド、N,N−二置換−β−アミノアルキルアミノプロピオン酸アミド、N,N−二置換−β−ジアミノアルキルアミノプロピオン酸アミド、N−モノ置換−β−モルホリンアミノプロピオン酸アミド、N,N−二置換−β−モルホリンアミノプロピオン酸アミド、N−モルホリン−β−モルホリンアミノプロピオン酸アミドである。ここで、アルキルとは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ベチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ラウリル、ステアリル、オレイル、イコシル、ドコシル、ヘキサコシル、オクタコシル、ドトリアコンチルなどの炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状の飽和、または不飽和のアルキル基である。また、工業的に製造しやすい面から、N,N−ジメチル−β−ジメチルアミノプロピオン酸アミド、N,N−ジエチル−β−ジエチルアミノプロピオン酸アミド、N,N−ジプロピル−β−ジプロピルアミノプロピオン酸アミド、N−イソプロピル−β−イソプロピルアミノプロピオン酸アミド、N,N−ジブチル−β−ジブチルアミノプロピオン酸アミド、N−イソブチル−β−イソブチルアミノプロピオン酸アミド、N,N−ジエチル−β−ヒドロキシエチルアミノプロピオン酸アミド、N,N−ジメチル−β−プロピルアミノプロピオン酸アミド、モルホリル−β−モルホリルプロピオン酸アミドが好ましい。
本発明に用いるシリカを主成分とする無機物(シリカ主成分無機物)は多孔質シリカゲル、メソポーラスシリカ、シリカアルミナ、ゼオライトからなる群より選択された1種または2種以上である。
シリカ主成分無機物触媒の形状において、粉末状、微粒子状、顆粒状、薄膜等成型品など特に制限はなく、反応方法に応じて流動床、固定床などに適した形状を適宜選択することが出来る。また、反応はバッチ方式でも連続方式であってもよい。例えば、バッチ式の液相懸濁反応の場合は、反応活性点から考えると、触媒の形状は粉末状又は微粒子状が好ましい。また、微粒子において、水や有機溶剤による均一に分散された分散液の状態では取り扱い易いので、用いることはできる。分散液として用いる場合、反応系に加え、分散剤を蒸留等によって除去してから、所定条件に調整し、熱分解反応を行うことができる。
本発明において、多孔質シリカゲルとは、細孔を有するシリカゲルであり、製造方法等により限定することなく使用できる。多孔質シリカゲルの形状は、破砕した非球状のシリカゲルであっても、球状のシリカゲルであってもよいが、球状のシリカゲルは強度が高く、リサイクル使用しやすいので、より好ましい。また、本発明における「球状」とは真球に限定されるものではなく、楕円球などやや変形した球形を含み、平均球形度0.5以上であり、0.85以上のもがより好ましくい。また、球状のシリカゲルにおいて、通常、平均粒径は0.1〜10,000μmであり、好ましくは1〜5,000μmである。平均細孔径は0.5〜100nmであり、2〜50nmが好ましい。比表面積は10〜10000m/gであり、30〜1000m/gであることがより好ましい。これらの範囲を外れる場合、2有効粒子や細孔の含有率が低下し、反応速度の低下、副反応の進行などを招いてしまう可能性がある。本発明で用いられる多孔質シリカゲルは、市販の工業品として容易に入手可能、また、公知の方法により合成や処理することも可能である。例えば、クロマトの担体としてもよく利用されているシルカゲル40、シリカゲル60、WakosilC−200、WakosilC−300等が挙げられる。
本発明において、メソポーラスシリカとは、均一で規則的なメソ孔(直径 2〜50nm の細孔)を持つ二酸化ケイ素主成分の無機物である。メソポーラスシリカは粉末であっても、微粒子であっても、薄膜等成型品であってもよい。また、比表面積が大きく、強度が高く、リサイクル使用しやすく、簡便に工業化生産できる面から、球状の微粒子がより好ましい。メソポーラスシリカの細孔径は2〜50nmであり、2nm〜10nmが好ましい。メソポーラスシリカの細孔径が2nmより小さくなると、原料分子や生成物分子の拡散速度が低く、反応性が低下するおそれがある。一方、メソポーラスシリカの細孔径が50nmより大きくなると、原料分子と生成物分子の間で遷移状態が形成され難くなり、高選択率、高収率が得られなくなるおそれがある。
メソポーラスシリカの比表面積は10〜3000m/gであり、50〜3000m/gが好ましい。粒子系触媒としてこの範囲の比表面積のものが容易に製造でき、また原料分子に効率よく接触して作用することが可能である。なお、比表面積は、例えば窒素ガスを吸着させて比表面積を測定するBET法によって求めることができる。また、平均粒径は0.2〜10,000μmであり、好ましくは1〜5,000μmである。
メソポーラスシリカの代表的な例として、MCM−41、MCM−48、MCM−50、SBA−1、SBA−11、SBA−15、SBA−16、FSM−16、KIT−5、KIT−6、HMS(六方晶)、MSU−F、MSU−Hなど挙げられる。これらのメソポーラスシリカは市販されているものを入手して使用することができ、又は公知の方法を利用して合成することができる。
本発明において用いられるメソポーラスシリカの合成方法に特に制限はないが、基本的にシリカ源と型剤であるカチオン性もしくは中性の界面活性剤の反応複合体を焼成処理する公知の方法を利用することができる。シリカ源の種類としては、コロイダルシリカ、シリカゲル、ケイ酸ナトリウムなどの珪酸塩、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのアルコキシシランを単独、あるいは混合して使用することができる。型剤(テンプレート)としては炭素数8以上のアルキル基を有する4級アンモニウム塩、特にハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム系陽イオン型界面活性剤やポリ(エチレングリコール―エチレン)ブロック共重合体系中性界面活性剤を好適に用いることができる。また、反応複合体中に残存する型剤は酸性溶液で処理した後、焼成することにより除去してメソポーラスシリカが合成される。
前記の焼成処理は空気や酸素の存在下で行うことが好ましい。焼成温度は200〜800
℃、また300〜700℃ がより好ましい。焼成温度が200℃未満であると型剤の燃焼が遅くなり、十分に除去できない可能性がある。また、焼成温度が800℃以上であると、細孔壁を構成しているシリカが部分的に崩壊する欠点がある。
本発明において、シリカアルミナとは、シリカ(SiO)とアルミナ(Al)を主成分とする複合酸化物であり、結晶性のものであっても、非晶質のものであってもよい。シリカアルミナのシリカ及びアルミナの含有率の合計は95重量%以上であり、且つシリカの含有率は50mol%以上であることが好ましい。本発明で用いるシリカアルミナ触媒は、粉末であっても、微粒子であっても、薄膜等成型品であってもよい。また、比表面積が大きく、強度が高く、リサイクル使用しやすく、簡便に工業化生産できる面から、球状の微粒子がより好ましい。球状の粒子系シリカアルミナにおいて、通常、平均粒径は0.2〜20,000μmであり、好ましくは1〜10,000μmである。平均細孔径は1〜100nmであり、2〜50nmが好ましい。比表面積は10〜10000m/gであり、30〜1000m/gであることがより好ましい。球状の粒子系触媒としてこの範囲の平均粒径や比表面積のものが容易に製造でき、また原料分子や生成物分子の拡散速度が高く、遷移状態が形成され易くなり、高選択率、高収率が得られる利点がある。
本発明で用いられるシリカアルミナは、市販の工業品として容易に入手可能、また、公知の方法により合成や処理することも可能である。例えば、水ガラスやシリカゲル等のシリカ源、及び硫酸アルミニウム、アルミン酸ソーダやアルミナゲル等のアルミナ源から共沈法、ゲル混錬法、ゲル沈着法、共ゲル化法、含浸法等で調製されるシリカアルミナヒドロゲルを乾燥、焼成することにより製造することができる。また、テトラエトキシシランとアルミニウムイソプロポキシドとの混合溶液を加水分解するアルコキシド法(ゾルゲル法)及び化学蒸着法等により製造することもできる。このように製造されたシリカアルミナを十分に水洗して、400〜700℃程度で数〜十数時間焼成することにより、高純度化することができる。市販品であれば、例えば、富士シリシア化学社製シリカアルミナ308、日揮触媒化成社製N633HN、N631HN、N633L、N631L、シグマアルドリッチ社製Al−MCM−41、Al−MSU−Fなどが挙げられる。
本発明において、ゼオライトとは規則性の微細孔(マイクロポア)を有するケイ素とアルミニウムの結晶性複合酸化物であり、天然品或いは合成品のいずれでも良い。また、構造タイプとしてMFI型、β型、モルデナイト型(MOR)、フォージャサイト型(FAU)、フェリエライト型(FER)、LTL型、LTA型、MWW型、MSE型、Y型FAU、X型FAUが挙げられる。ゼオライトの構成成分であるSiO/Alモル比は1以上、好ましくは2以上である。SiO/Alモル比は1未満の場合、アルミナ由来の酸点の量が増加し、副反応が発生しやすくなる。また、ゼオライトは粉末、粒状、成形体のいずれでもよい。比表面積が大きく、強度が高く、リサイクル使用しやすく、簡便に工業化生産できる面から、球状の微粒子がより好ましい。球状の粒子系ゼオライトにおいて、通常、平均粒径は1〜500μm、比表面積が150m2 /g以上、細孔容積は0.1〜2cm/g程度である。比表面積と細孔容積がこれらの範囲内にあれば、触媒の活性が低下することはなく、好適である。本発明に用いられるゼオライトは市販のものでもよいし、シリカアルミナゲルを高いpH領域で100〜200℃水熱条件下で結晶化させる等公知の方法で調製して使用してもよい。市販品であれば、例えば、東ソー社製のY型320HOA、FER型720KOA、MOR型640HOA、690HOA、MFI型890HOAなどが挙げられる。
本発明に用いるシリカ主成分無機物、例えば、多孔質シリカゲル、メソポーラスシリカ、シリカアルミナ、ゼオライト等は、上記の公知の方法により調製することができ、調製方法に制限はない。具体的には、特許文献10、12〜15と非特許文献1〜5に記載の方法で調製できる。
特許文献12:特開平10−130013号公報
特許文献13:特開2004−182492号公報
特許文献14:特開2011−532号公報
特許文献15:特開2013−47166号公報
非特許文献1:Sakthivel, S. J. Huang, W. H. Chen, Z. H. Lan, K. H. Chen, H.P. Lin, C. Y. Mou, S. B. Liu, Adv. Funct. Mater.,2005年、15巻、253頁
非特許文献2:S. Inagaki, M. Ogura, T.Inami, Y. Sasaki, E. Kikuchi, M. Matsukata, Micropours and Mesoporoua Materials, 2004年、74巻、163頁
非特許文献3:. Inagaki, A. Koiwai, N. Suzuki, Y. Fukushima and K. Kuroda, Bull. Chem. Soc. Jpn., 1996年、69巻、1449頁
非特許文献4:J.S. Beck, J.C. Vartuli, W.J. Roth, M.E. Leonowicz, C.T. Kresge, K.D. Schmitt, C.T.-W. Chu, D.H. Olson, E.W. Sheppard, S.B. McCullen, J.B. Higgins and J.L. Schlenker, J. Am. Chem. Soc. 1992年、114巻、10834頁
非特許文献5:P. D. Yang, D. Y. Zhao, D. I. Margolese, B. F. Chmelka, G. D. Stucky, Nature 1998年、396巻、152頁
本発明に用いるシリカ主成分無機物は、表面に孤立シラノール基が存在することが好ましい。シリカ主成分無機物を重アセトニトリル中に添加し、1H−MAS−NMR分析により孤立シラノール基由来のプロトンピークを3.3ppmm付近に確認することができる。シリカ主成分無機物の表面にある孤立シラノール基の含有量は多いほど、触媒として活性が高くなるが、孤立シラノール基の高濃度化は特殊な加工技術、精密な制御など触媒の製造コストが高くなる。本発明において、孤立シラノール基の含有量は0.01mmol/g以上であり、さらに0.05mmol/g以上が好ましく、1.00mmol/g以上が特に好ましい。また、シリカ主成分無機物の表面に酸強度の高い酸点を同時に存在することがより好ましい。酸強度の高い酸点の存在は、同様に重アセトニトリルに添加したシリカ主成分無機物の1H−MAS−NMRスペクトルにおける5ppm付近にブロードなプロトンピークから容易に判別することができる。
本発明の液相熱分解に用いるシリカ主成分無機物の使用量は、アミノプロピオン酸アミド誘導体の品種や性状(反応温度における液体または固体)、溶解性、反応温度および使用する溶媒によって最適な範囲があるが、通常、アミノプロピオン酸アミド誘導体の量に対して、0.1〜200重量%の範囲、好ましくは0.5〜100重量%の範囲、特に好ましくは2〜50重量%の範囲である。
液相熱分解の反応温度と反応時間は、該反応の出発原料であるアミノプロピオン酸アミド誘導体の品種に応じて適切に選定されるが、反応速度が比較的速い理由で、反応温度は100〜150℃未満程度で、反応時間は0.1〜48時間の範囲である。また、好ましい反応温度は110〜150℃未満程度で、反応時間は0.5〜40時間の範囲であり、特に好ましい反応温度は115〜145℃程度で、反応時間は1〜36時間の範囲である。反応の出発原料であるアミノプロピオン酸アミド誘導体がシリカ主成分無機物を分散できるため、反応溶媒としての作用も提供できるが、さらに必要に応じて溶媒を使用してもよい。反応は常圧下又は真空ポンプ等の装置を用いる減圧下で実施することができる。反応溶媒は、特に限定するものではなく、反応の出発原料、生成物およびシリカ主成分無機物との副反応を起さなければ、一般的な溶媒を使用することができる。例えば、トルエン、キシレンなどの疎水性溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)などの親水性溶媒、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアナート、1,3-ジメチルイミダゾリウムジメチルホスファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム2-(2-メトキシエトキシ)エチルスルファート、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-エチル-3-(ヒドロキシメチル)ピリジニウムエチルスルファート、トリエチルペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル(2-メトキシエチル)ホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなどのイオン性液体が挙げられる。溶媒を使用する場合、その使用量としては、通常、アミノプロピオン酸アミドに対して20〜1000重量%の範囲、好ましくは50〜500重量%の範囲、特に好ましくは100〜300重量%の範囲である。反応溶媒が、原料の溶解や撹拌効率向上などの目的で使用される場合、20重量%未満と十分な効果が期待できない可能性があり、また、1000重量%を超えると、不経済である同時に反応速度の低下を招くことがある。
液相熱分解の反応においては、バッチ方式でも、連続方式でもよく、また、シリカ主成分無機物の供給方式は流動床でも固定床でもよい。バッチ方式の場合は、例えば、反応容器に原料のアミノプロピオン酸アミド誘導体、シリカ主成分無機物および溶媒を仕込み、必要に応じて反応容器内および反応液内を不活性ガスで置換した後、撹拌により懸濁状態を維持しながら、所定の反応温度と操作圧力に調整し、液相分解反応により1分子のアミン化合物を脱離し、反応溶媒とともに沸点順で蒸留、回収し、留出成分として、目的のN−モノ置換(メタ)アクリルアミド、N,N−二置換(メタ)アクリルアミドを得る。また、反応終了後の留出残物は、例えば、固形状のシリカ主成分無機物をフィルターなどで濾別し、反応液から分離後、洗浄して加熱乾燥することでリサイクル使用することができる。
本発明に用いるアミノプロピオン酸アミド誘導体はアミノプロピオン酸エステル誘導体と1モル以上のアミン化合物とを反応させることで合成できる。アミン化合物とアミノプロピオン酸エステル誘導体のモル比(アミン化合物/アミノプロピオン酸エステル誘導体)は1.0〜3.0の範囲で反応させることが好ましい。この反応は量論的に進行し、即ち、理論的に1:1モル比の反応であるが、反応を促進、完結させるため、反応原料のどちらかを過剰に仕込むことが望ましいが、回収再利用の観点から、アミン化合物の過剰し込みがより好ましい。一方、アミン化合物の仕込み比は3.0倍モルを超えると、未反応のアミンが多く残存し、アミンの品種によって目的生成物であるアミノプロピオン酸アミド誘導体との分離が困難になる場合がある。
また、アミノプロピオン酸エステル誘導体とアミン化合物との反応は無触媒でも十分な速度で進行するが、アミン化合物の品種や反応設備、効率などを考慮して、塩基性触媒の使用による反応温度の低下や反応時間の短縮など調整することは可能である。塩基性触媒は無機系も有機系も、また汎用な均一系においても分離しやすい不均一系においても使用可能である。無機塩基としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが挙げられ、有機塩基としては、第3級アミン、ピリジン、上記アルカリ金属のアルコキシドなどが挙げられる。また、これらの塩基性化合物は、一種を単独使用しても良く、二種以上を組み合わせて使用してもよい。触媒使用する場合、その配合量はアミノプロピオン酸エステル誘導体に対して0.005〜10モル%であることが好ましい。反応終了後、塩基性触媒が硫酸、塩酸などの酸性化合物による中和してから次の工程に持ち越すことが好ましい。
アミノプロピオン酸エステル誘導体とアミン化合物の反応において、反応温度と反応時間は、アミン化合物の品種およびアミン化合物とアミノプロピオン酸エステル誘導体の仕込みモル比に応じて適切に選定されるが、通常、反応温度は40〜120℃程度で、反応時間は0.5〜48時間の範囲である。また、好ましい反応温度は60〜100℃程度で、反応時間は2〜36時間の範囲である。反応温度が20℃未満、または反応時間が0.5時間未満であると、反応速度が著しく低下し、アミノプロピオン酸アミド誘導体が十分に取得できない可能性がある。一方、反応温度が120℃超えると、低沸点のアミン化合物が反応系外へ脱離しやすくなり、また、反応時間が48時間を超える場合、生産性やコストにはデメリットが発生する。
アミノプロピオン酸エステル誘導体とアミン化合物との反応は、アミン化合物が反応の原料であると同時に、反応溶媒としての作用も提供できる。また、必要に応じて溶媒を使用してもよい。反応溶媒は、特に限定するものではなく、反応の原料、生成物および反応触媒との副反応を起さなければ、一般的な溶媒を使用することができる。例えば、トルエン、キシレンなどの疎水性溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)などの親水性溶媒が挙げられる。溶媒を使用する場合、その使用量としては、通常、アミノプロピオン酸エステルに対して20〜1000重量%の範囲が好ましい。また、この反応は常圧下又はオートクレーブ等の装置を用いる加圧下で実施することができる。
本発明に用いるアミノプロピオン酸アミド誘導体は(メタ)アクリル酸エステルと2モル以上のアミン化合物とを反応させることで合成できる。アミン化合物と(メタ)アクリル酸エステルのモル比(アミン化合物/(メタ)アクリル酸エステル)が2.0〜5.0の範囲で反応させることが好ましい。この反応は量論的に進行し、即ち、理論的に1:2モル比の反応であるが、反応を促進、完結させるため、アミンを過剰に仕込むことが望ましい。一方、アミン化合物の仕込み比は5.0倍モル以上になると、未反応のアミンが多く残存し、アミンの品種によっては目的生成物であるアミノプロピオン酸アミド誘導体との分離は困難になる場合がある。
(メタ)アクリル酸エステルとアミン化合物との反応は無触媒でも十分な速度で進行するが、アミン化合物の品種や反応設備、効率などを考慮して、塩基性触媒の使用により反応温度の低下や反応時間の短縮など調整することは可能である。塩基性触媒は前記同様無機系も有機系も、また汎用な均一系においても分離しやすい不均一系においても使用可能である。触媒の使用量は(メタ)アクリル酸エステルに対して0.01〜10モル%であることが好ましい。反応終了後、塩基性触媒が硫酸、塩酸などの酸性化合物により中和してから次の工程に持ち越すことが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとアミン化合物の反応において、反応温度と反応時間は、アミン化合物の品種およびアミン化合物と(メタ)アクリル酸エステルの仕込みモル比に応じて適切に選定されるが、通常、反応温度は20〜120℃程度で、反応時間は1〜48時間の範囲である。また、好ましい反応温度は40〜100℃程度で、反応時間は2〜36時間の範囲である。反応温度が20℃未満、または反応時間が1時間未満であると、反応速度が著しく低下し、アミノプロピオン酸アミド誘導体が十分に取得できない可能性がある。一方、反応温度が120℃超えると、低沸点のアミン化合物が反応系外へ脱離しやすくなり、また、反応時間が48時間を超える場合、生産性やコストにはデメリットが発生する。
(メタ)アクリル酸エステルとアミン化合物との反応は、アミン化合物が反応の原料であると同時に、反応溶媒としての作用も提供できる。また、必要に応じて溶媒を使用してもよい。反応溶媒は、特に限定するものではなく、反応の原料、生成物および反応触媒との副反応を起さなければ、前記同様一般的な溶媒を使用することができる。溶媒を使用する場合、その使用量としては、通常、(メタ)アクリル酸エステルに対して20〜1000重量%の範囲が好ましい。また、この反応は常圧下又はオートクレーブ等の装置を用いる加圧下で実施することができる。
本発明に用いるアミノプロピオン酸アミド誘導体はアミノプロピオン酸誘導体と1モル以上のアミン化合物とを反応させることで合成できる。アミン化合物とアミノプロピオン酸誘導体のモル比(アミン化合物/アミノプロピオン酸)が1.0〜3.0の範囲で反応させることが好ましい。この反応は量論的に進行し、即ち、理論的に1:1モル比の反応であるが、反応を促進、完結させるため、原料のどちらか過剰に仕込むことが望ましいが、回収再利用する観点から、アミン化合物の過剰し込みがより好ましい。一方、アミン化合物の仕込み比は3.0倍モルを超えると、未反応のアミンが多く残存し、アミンの品種によっては目的生成物であるアミノプロピオン酸アミド誘導体との分離が困難になる場合がある。
本発明において、アミノプロピオン酸とアミン化合物との反応は、触媒として上記同様のシリカ主成分無機物の存在下で行うことが可能である。反応温度と反応時間は、アミン化合物の品種およびアミン化合物とアミノプロピオン酸誘導体の仕込みモル比に応じて適切に選定されるが、通常、反応温度は40〜120℃程度で、反応時間は1〜48時間の範囲である。また、好ましい反応温度は60〜100℃程度で、反応時間は2〜36時間の範囲である。反応温度が40℃未満、または反応時間が1時間未満であると、反応速度が著しく低下し、アミノプロピオン酸アミド誘導体が十分に取得できない可能性がある。一方、反応温度は120℃超えると、低沸点のアミン化合物が反応系外へ脱離しやすくなり、また、反応時間は48時間を超える場合、生産性やコストにはデメリットが発生する。
反応の出発原料であるアミン化合物が過剰に配合することによって反応溶媒としての作用も提供できるが、さらに必要に応じて溶媒を使用してもよい。反応は常圧下又はオートクレーブ等加圧可能な装置を用いる加圧下で実施することができる。反応溶媒は、特に限定するものではなく、反応の出発原料、生成物およびシリカ主成分無機物との副反応を起さなければ、前記同様一般的な溶媒を使用することができる。溶媒を使用する場合、その使用量としては、通常、アミノプロピオン酸とアミン化合物の合計に対して20〜1000重量%の範囲、好ましくは50〜500重量%の範囲、特に好ましくは100〜300重量%の範囲である。反応溶媒が、原料の溶解や撹拌効率向上などの目的で使用される場合、20重量%未満と十分な効果が期待できない可能性があり、また、1000重量%を超えると、不経済である同時に反応速度の低下を招くことがある。
アミノプロピオン酸とアミン化合物との反応は、バッチ方式でも、連続方式でもよく、また、シリカ主成分無機物の供給方式も流動床でも固定床でもよい。バッチ方式の場合は、例えば、反応容器に原料のアミノプロピオン酸誘導体、アミン化合物、シリカ主成分無機物および溶媒を仕込み、必要に応じて反応容器内および反応液内を不活性ガスで置換した後、撹拌により懸濁状態を維持しながら、反応温度を所定値に調整し、所定時間で反応を行う。また、反応終了後の反応液混合物は、例えば、固形状のシリカ主成分無機物をフィルターなどで濾別し、反応液から分離、回収してもよいし、分離せず、そのまま次工程に持ち越してもよい。反応終了後の反応液混合物の室温における粘度は1000mPa・s以下の場合、シリカ主成分無機物をろ過、遠心分離などによって回収、再利用することが好ましい。
さらに、アミノプロピオン酸誘導体とアミン化合物との反応において、反応温度がアミン化合物の沸点より高くなる場合、耐圧性反応容器を用いて、加圧下で反応させることができる。その時の反応圧力は反応の進行状況に特に影響しないので、制限することはないが、一般的に0.101〜0.981MPaの範囲である。
本発明において、アミノプロピオン酸アミド誘導体の液相熱分解反応および(メタ)アクリル酸エステルとアミン化合物の反応は、ラジカル合禁止剤の存在下で行うことが好ましい。重合禁止剤としては公知のものが使用できるが、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチルパラハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,4−ジメチル−6−tertブチルフェノール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール化合物、N−イソプロピル−N'−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N'−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N'−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、N,N'−ジフェニル−パラ−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−2−ナフチル−パラ−フェニレンジアミン等のパラフェニレンジアミン類、チオジフェニルアミン等のアミン化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、アセトアミドテトラメチルピペリジン−1−オキシル等のピペリジン−1−オキシルフリーラジカル化合物類等を例示することができる。これらの重合禁止剤は、1種又は2種以上を併用しても構わない。また、重合禁止剤の添加量は、(メタ)アクリル酸エステルまたはアミノプロピオン酸アミド誘導体に対して1〜10000ppm、好ましくは5〜5000ppmである。
本発明に使用されるアミン化合物はN−モノ置換またはN,N−二置換の炭素数1〜32の飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖状の脂肪族第一級アミンと第二級アミン、モルホリン、ヒドロキシル基を有する前記第一級アルカノールアミンと第二級アルカノールアミン、アミノ基を有する前記第一級アミンと第二級アミンである。具体的には、(ジ)メチルアミン、(ジ)エチルアミン、(ジ)プロピルアミン、(ジ)イソプロピルアミン、(ジ)ブチルアミン、(ジ)イソブチルアミン、t-ブチルアミン、(ジ)ペンチルアミン、(ジ)ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、(ジ)ヘプチルアミン、(ジ)オクチルアミン、t-オクチルアミン、(ジ)ノニルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、アミン(ジ)アリルアミン、メチルエチルアミン、メチル(イソ)プロピルアミン、メチル(イソ)ブチルアミン、メチル(イソ)ヘキシルアミン、エチルヘキシルアミン、エチル(イソ)プロピルアミン、エチル(イソ)ブチルアミン、エチル(イソ)ヘキシルアミン、プロピルイソプロピルアミン、プロピルブチルアミン、プロピルヘキシルアミン、イソプロピルブチルアミン、イソプロピルイソブチルアミン、イソプロピルヘキシルアミン、ブチルイソブチルアミン、ブチルヘキシルアミン、モルホリン、モノエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、プロパノールアミン;イソプロパノールアミン、ブタノールアミン、 ペンタノールアミン、ヘキサノールアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジイソプロピルアミノエチルアミン、N,N−ジアリルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジイソプロピルアミノプロピルアミン、N,N−ジアリルアミノプロピルアミン等があげられる。
前記の各種製造方法で得られるアミノプロピオン酸アミド誘導体をシリカ主成分の無機物存在下で液相熱分解させ、1分子のアミン化合物を脱離し、反応溶媒とともに沸点順で目的のN−モノ置換(メタ)アクリルアミド、N,N−二置換(メタ)アクリルアミドを得ることができる。また、必要に応じて、得られた留出成分を精密蒸留することによりさらに高純度の留出成分として得ることができる。
本発明の実施例と比較例に用いたシリカ主成分無機物を表1に示す。
Figure 2015209419
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例及び比較例に記載するN−置換(メタ)アクリルアミドおよび用いた材料の略称は以下の通りである。
(1)N−置換(メタ)アクリルアミド
DEAA:N,N−ジエチルアクリルアミド
DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド
HEAA:N−ヒドロキシエチルアクリルアミド
NMAA:N−メチルアクリルアミド
MHEAA:N−メチル−N−ヒドロキシエチルアクリルアミド
ACMO:アクリロイルモルホリン
NIPAM:N−イソプロピルアクリルアミド
DMAPAA:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
HEMAA:N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド
TBAA:tert−ブチルアクリルアミド
DHEAA: N,N−ジヒドロキシエチルアクリルアミド
NLAA:n−ラウリルアクリルアミド
TOAA:tert−オクチルアクリルアミド
NSAA:n−ステアリルアクリルアミド
LMAA:ラウリルメタクリルアミド
(2)(メタ)アクリル酸エステル
MA:アクリル酸メチル
EA:アクリル酸エチル
MMA:メタクリル酸メチル
BA:アクリル酸ブチル
(3)(メタ)アクリル酸
AAc:アクリル酸
MAc:メタクリル酸
(4)アミン化合物
DEA:ジエチルアミン
DMA:ジメチルアミン
EA:エタノールアミン
NMA:n−メチルアミン
Mor:モルホリン
i-PA:イソプロピルアミン
DMAPA:ジメチルアミノプロピルアミン
TBA:tert−ブチルアミン
MEA:メチルエタノールアミン
DEtA:ジエタノールアミン
NLA:n−ラウリルアミン
TOA:tert−オクチルアミン
NSA:n−ステアリルアミン
(5)重合禁止剤
TDA:チオジフェニルアミン
HQ:ハイドロキノン
TEMPO:2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル
MEHQ:ハイドロキノンモノメチルエーテル
DDA:スチリル化−N−-アミノビフェニール
TBC:4−tert−ブチルカテコール
BHT:ジブチルヒドロキシトルエン
W−300:4,4'−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)
(6)塩基性触媒
NaOH:水酸化ナトリウム
SM:ナトリウムメトキシド
(7)イオン性液体
イオン性液体1:1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート
イオン性液体2:1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
イオン性液体3:トリエチルペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
実施例1
攪拌機と温度センサーの付いた1000mLの耐圧反応容器(オートクレーブ)にN,N−ジエチルアミノプロピオン酸メチル(略称DEA-MA)477.7g(3.0mol)とDEA 263.3g(3.6mol)、SM 8.1g (0.15mol)を投入し、90℃にて48時間撹拌した。反応終了後、反応液の温度を室温に戻し、氷冷下にて硫酸7.4g( 0.075mol)を加え、SMの中和を行った。その後、反応液を蒸留により低沸カット(未反応のDEAと副生成したアルコールを除去)することで、N,N−ジエチル−β−ジエチルアミノプロピオン酸アミド(略称DEA-AAm)622g(純度97%)を淡黄色液体として得た。
攪拌機、温度計を付けた1000mLの四つ口フラスコに、得られたDEA-AAm 400gとシリカ主成分無機物としてシリカ60 40g、重合禁止剤としてTDA 0.4gを加えた。その後、四つ口フラスコに充填塔、コンデンサーと留出受器を付け、微量窒素ガスをキャリアーとして流し、反応液を撹拌しながら、釜温130℃、真空度7.0kPaに調整し、熱分解反応を3時間実施し、水凝縮器より粗「DEAA」 245g(純度=95%)を得た。
さらに、得られた粗「DEAA」を充填塔付きの蒸留精製装置に移し、減圧蒸留により精製を行い(60℃/0.13kPa)、無色液体として高純度品「DEAA」 222gを取得し、純度99.7%、トータル収率=90%であった。結果は表2に示す。
実施例2
攪拌機と温度センサーの付いた1000mLの耐圧反応容器(オートクレーブ)にMA 258.3g(3.0mol)とDEA 526.6g(7.2mol)、SM 8.1g (0.15mol)とTDA 0.79gを投入し、90℃にて48時間撹拌した。反応終了後、反応液の温度を室温に戻し、氷冷下にて硫酸7.4g(0.075mol)を加え、SMの中和を行った。その後、蒸留により低沸カットし、DEA-AAm 621g(純度99%)を淡黄色液体として得た。
実施例1と同様に、得られたDEA-AAm 400g、シリカ60 40g、TDA 0.4gを用い、実施例1と同様に液相熱分解反応を行い、粗「DEAA」 251g(純度=94%)を得た。
さらに、実施例1と同様に粗「DEAA」を蒸留による精製を行い、無色液体として高純度品「DEAA」 225g(純度99.6%、トータル収率=91%)を取得した(表2)。
実施例3
攪拌機と温度センサーの付いた1000mLの耐圧反応容器(オートクレーブ)にN,N−ジエチルアミノプロピオン酸435.2g(3.0mol)とDEA 263.3g(3.6mol)、シリカ60 60gを投入し、100℃にて24時間撹拌した。反応終了後、反応液の温度を室温に戻し、充填塔、コンデンサーと留出受器を付けた四つ口フラスコに反応液を移し、重合禁止剤としてTDA 0.6gを加えた。その後、実施例1と同様に釜温130℃、真空度7.0kPaの条件で、熱分解反応を3時間実施し、粗「DEAA」 378g(純度=96%)を得た。
さらに、得られた粗「DEAA」を実施例1と同様に蒸留による精製を行い、無色液体として高純度品「DEAA」 345g(純度99.7%、トータル収率=90%)を取得した(表2)。
Figure 2015209419
実施例4〜10
実施例1において、反応の出発原料であるアミノプロピオン酸エステル誘導体とアミン化合物、反応触媒、反応溶媒、重合禁止剤および反応条件を表3に示す通りに変更し、実施例1と同様に合成を行った。表3に示す粗N−置換(メタ)アクリルアミドを得、さらに表2に示す条件で蒸留精製を行い、目的化合物であるN−置換(メタ)アクリルアミド(純度99 %以上)を取得した。
Figure 2015209419
実施例11〜14
実施例2において、反応の出発原料である(メタ)アクリル酸エステルとアミン化合物、反応触媒、反応溶媒、重合禁止剤および反応条件を表4に示す通りに変更し、実施例4と同様に合成を行った。表4に示す粗N−置換(メタ)アクリルアミドを得、さらに表4に示す条件で蒸留または再結晶により精製を行い、目的化合物であるN−置換(メタ)アクリルアミド(純度99%以上)を取得した。
Figure 2015209419
実施例15〜20
実施例3において、反応の出発原料であるアミノプロピオン酸とアミン化合物、反応触媒、反応溶媒、重合禁止剤および反応条件を表5に示す通りに変更し、実施例3と同様に合成を行った。表5に示す粗N−置換(メタ)アクリルアミドを得、さらに表5に示す条件で蒸留または再結晶により精製を行い、目的化合物であるN−置換(メタ)アクリルアミド(純度98%以上)を取得した。
Figure 2015209419
比較例1〜3
実施例1において、出発原料、触媒、重合禁止剤および反応条件を表6に示す通りに変更したこと以外は、実施例1に記載した方法に準じて反応を行った。反応結果を表6に示す。なお、これらの比較例では最終生成物の精製は行わず、得られた粗N−置換(メタ)アクリルアミドの収率を示している。
比較例4〜5
実施例2において、出発原料、触媒、重合禁止剤および反応条件を表6に示す通りに変更したこと以外は、実施例2に記載した方法に準じて反応を行った。反応結果を表6に示す。なお、これらの比較例では最終生成物の精製は行わず、得られた粗N−置換(メタ)アクリルアミドの収率を示している。
比較例6
実施例3において、出発原料、触媒、重合禁止剤および反応条件を表6に示す通りに変更したこと以外は、実施例3に記載した方法に準じて反応を行った。反応結果を表6に示す。なお、これらの比較例では最終生成物の精製は行わず、得られた粗N−置換(メタ)アクリルアミドの収率を示している。
Figure 2015209419
比較例1において、用いるシリカ主成分の無機物触媒が少なかったため、熱分解反応の速度が著しく低下した。一方、比較例3では、触媒の添加量が多すぎたので、反応混合物の流動性がなくなり、粗モノマーの収率が低水準に留まった。また、比較例2と比較例4の結果から、熱分解温度が低かった場合、反応が十分に進行せず、その反面、熱分解温度が高すぎると、反応釜内での重合トラブルが発生しやすくなり、それによって目的のN−置換(メタ)アクリルアミドが得られなくなった。さらに、比較例5と6の結果から、本発明の製造方法において、アミン化合物の仕込みモル倍比が高収率且つ高純度のN−置換(メタ)アクリルアミドを取得するための重要因子であることを確認できた。特に、蒸留で精製できない高沸点N−置換長鎖アルキル(メタ)アクリルアミドを合成する場合、比較例6に示すように、アミン化合物の仕込み比が3.0倍モルを超えると、未反応のアミンが多く残存し、目的の粗モノマーとの分離が困難となり、収率も純度も低かった。
以上説明してきたように、本発明の方法を用いれば、アミノプロピオン酸アミド誘導体を出発物質として温和な反応条件においても短時間、効率よく、高純度のN−置換(メタ)アクリルアミドおよびN,N−二置換(メタ)アクリルアミドを製造することができる。また、シリカ系触媒の選定により、常圧、低温でも十分な速度で反応が進行し、重合などのトラブルもなく、低コストで製造することができる。さらに、シリカやシリカアルミナ等のシリカを主成分とする無機物は、安定で容易に分離することができ、そのためリサイクル使用することが可能である。また、必要であれば有機溶媒やイオン性液体などの様々な溶媒に適用することができる。
本発明の製法方法で取得するN−置換(メタ)アクリルアミドおよびN,N−二置換(メタ)アクリルアミドは、単独または他の重合性モノマーと共重合した機能性ポリマーとして、日常生活において、その利便性から、塗料、粘着剤、接着剤、インク、各種コーティング剤、紙力増強剤などの製紙用薬剤、産業排水や生活排水の処理に用いる高分子凝集剤、高分子改質剤、分散剤、増粘剤、コンタクトレンズや生体用ゲルなどの合成原料、UV硬化樹脂用反応性希釈剤など、極めて多様な分野において好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. 一般式[1]で示されるアミノプロピオン酸アミド誘導体を、シリカを主成分とする無機物の存在下で液相熱分解により一般式[2]で示されるアミン化合物を脱離させることにより得られる、一般式[3]で示されるN−モノ置換(メタ)アクリルアミド、またはN,N−二置換(メタ)アクリルアミドの製造方法。
    Figure 2015209419
    Figure 2015209419
    Figure 2015209419
    (各式中、R、R、RとRは各々独立に水素原子または炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基(但し、RとRが同時に水素原子である場合及びRとRが同時に水素原子である場合を除く。)、または、炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のヒドロキシアルキル基、または、炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のアミノアルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、また、RとR、および/またはRとRは、それらを担持する窒素原子と一緒になって、酸素原子を含む飽和5〜7員環を形成してもよく、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
  2. 一般式[1]で示される化合物が、一般式[4]で示されるアミノプロピオン酸エステル誘導体と1モル以上の一般式[2]で示されるアミン化合物とを反応させて得ることを特徴とする請求項1に記載のN−モノ置換(メタ)アクリルアミド、またはN,N−二置換(メタ)アクリルアミドの製造方法。
    Figure 2015209419
    (各式中、R、R、RとRは各々独立に水素原子または炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基(但し、RとRが同時に水素原子である場合及びRとRが同時に水素原子である場合を除く。)、または、炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のヒドロキシアルキル基、または、炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のアミノアルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、また、RとR、および/またはRとRは、それらを担持する窒素原子と一緒になって、酸素原子を含む飽和5〜7員環を形成してもよく、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。)
  3. 一般式[1]で示される化合物が、一般式[5]で示される(メタ)アクリル酸エステルと2モル以上の一般式[2]で示されるアミン化合物とを反応させて得ることを特徴とする請求項1に記載のN−モノ置換(メタ)アクリルアミド、またはN,N−二置換(メタ)アクリルアミドの製造方法。
    Figure 2015209419
    (各式中、R、R、RとRは各々独立に水素原子または炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基(但し、RとRが同時に水素原子である場合及びRとRが同時に水素原子である場合を除く。)、または、炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のヒドロキシアルキル基、または、炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のアミノアルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、また、RとR、および/またはRとRは、それらを担持する窒素原子と一緒になって、酸素原子を含む飽和5〜7員環を形成してもよく、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。)
  4. 一般式[1]で示される化合物が、一般式[6]で示されるアミノプロピオン酸誘導体と1モル以上の一般式[2]で示されるアミン化合物とを反応させて得ることを特徴とする請求項1に記載のN−モノ置換(メタ)アクリルアミド、またはN,N−二置換(メタ)アクリルアミドの製造方法。
    Figure 2015209419

    (各式中、R、R、RとRは各々独立に水素原子または炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基(但し、RとRが同時に水素原子である場合及びRとRが同時に水素原子である場合を除く。)、または、炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のヒドロキシアルキル基、または、炭素数1〜32の直鎖状又は分岐鎖状のアミノアルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、また、RとR、および/またはRとRは、それらを担持する窒素原子と一緒になって、酸素原子を含む飽和5〜7員環を形成してもよく、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
  5. 前記のシリカを主成分とする無機物は多孔質のシリカゲル、メソポーラスシリカ、シリカアルミナ、ゼオライトからなる群から選択された1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のN−モノ置換(メタ)アクリルアミド、またはN,N−二置換(メタ)アクリルアミドの製造方法。
  6. 前記のシリカを主成分とする無機物中のシリカ含量は60〜100重量%であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のN−モノ置換(メタ)アクリルアミド、またはN,N−二置換(メタ)アクリルアミドの製造方法。
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