JP2015127447A - 耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材およびその判定方法 - Google Patents
耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材およびその判定方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2015127447A JP2015127447A JP2013273146A JP2013273146A JP2015127447A JP 2015127447 A JP2015127447 A JP 2015127447A JP 2013273146 A JP2013273146 A JP 2013273146A JP 2013273146 A JP2013273146 A JP 2013273146A JP 2015127447 A JP2015127447 A JP 2015127447A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- phase
- fatigue crack
- ferrite
- eff
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Abstract
【解決手段】質量%で、C:0.02〜0.4%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Sol.Al:0.10%以下、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成と、面積率で50%を超えるフェライトと残部硬質相を有し、降伏点:315MPa以上、試験温度0℃でのシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーvE0が31J以上の高靭性な高強度鋼材。疲労き裂伝ぱ時のき裂先端塑性域寸法γp *(={(KImax)2×106/(2πσY 2)}×(1−2ν)2(μm))と有効組織単位MUeff(=(AR)α×(DP)α+(AR)P×(DP)P×{(Hv)P/(Hv)α}+(AR)B×(DP)B×{(Hv)B/(Hv)α}+(AR)M×(DP)M×{(Hv)M/(Hv)α})の比が10以下で耐疲労き裂伝ぱ特性が向上する。
【選択図】図5
Description
このため、溶接止端部からのき裂発生を抑制する手段として、付加溶接を施すなどして形状を改善し応力集中を低減させる技術や、ショットピーニングなどで圧縮の残留応力を導入する技術などが広く知られている。
(1)軟質相がフェライト、焼戻しべーナイト、焼戻しマルテンサイトの1種または2種以上から構成され、かつ平均ビッカース硬さが150以下であること。
(3)硬質第二相の粒界占有率(硬質第二相が占めている粒界長さの総和/総粒界長さ)が0.5以上であること。
を全て満足する耐疲労き裂伝播特性に優れた厚鋼材である。特許文献2に記載された技術で製造された厚鋼材を溶接構造部材に用いれば、母材における疲労き裂進展速度をいずれのき裂進展方向においても顕著に抑制できるとしている。しかし、特許文献2に記載された技術では、バンド組織の抑制のため、高温で長時間の拡散焼鈍を必要としており、工程が複雑となり、生産性が低下するという問題を残していた。
また、特許文献8に記載された技術によれば、厚鋼板の板厚方向の疲労き裂進展を抑制することができるが、厚鋼板の圧延方向あるいは幅方向の疲労き裂進展までも抑制できるかどうかは不明のままである。また、特許文献8に記載された技術では、硬さ:400HV以上の偏平なマルテンサイトを得るために、仕上圧延温度を低温とし、累積圧下率を高く限定し、しかも急速な加速冷却を施すとしており、製造負荷が大きく、生産性が低下するという問題があった。
本発明は、このような従来技術の問題を有利に解決し、高強度で、延性、靱性、溶接性に優れるとともに、耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材およびその判定方法を提供することを目的とする。なお、ここでいう「高強度」とは、降伏点YS(または0.2%耐力)が315MPa以上である高降伏点を有する場合をいうものとする。また、ここでいう「耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた」とは、具体的に、疲労き裂伝ぱ速度da/dNが、少なくとも、ΔKI=15MPa√mで1.75×10-8(m/cycle)以下、ΔKI=20MPa√mで4.26×10-8(m/cycle)以下、好ましくはΔKI=25MPa√mで8.50×10-8(m/cycle)以下、となる場合をいう。
まず、本発明の基礎となった実験結果について説明する。
そこで、ΔKI=15MPa√mにおける疲労き裂伝ぱ速度da/dNが、目標値である1.75×10−8m/cycle以下の、9.57×10−9m/cycleである鋼材について、観察した疲労き裂の屈曲挙動から、き裂屈曲時の屈曲長さrと、き裂進展方向に対する屈曲角度θとの関係を○印で、図3に示す。なお、屈曲長さr、屈曲角度θは、図2に示すモードI(開口型)の変形様式でのき裂先端を原点とするr−θ−zの円柱座標系で求め、図3ではr−θ座標系で示している。なお、図2には、モードI(開口型)の変形様式について用いる、き裂先端を原点とするx−y−z直交座標系、r−θ−zの円柱座標系を示す。
つぎに、疲労き裂伝ぱ速度に及ぼす、疲労き裂先端での塑性域寸法と組織との関係に着目し、まず、平面歪みでのvon Misesの降伏条件に基づいたき裂先端での塑性域寸法γp(θ)を求めた。γp(θ)は、図2の円柱座標系において、き裂先端から弾塑性境界までの距離を表し、次(6)式
γp(θ)={(KImax)2×106/4πσY 2}×{(3/2)sin2θ+(1−2ν)2(1+cosθ)}‥(6)
で定義される。なお、θは角度(°)、KImaxは対象とするモードIの最大応力拡大係数、σYは鋼材の降伏応力(MPa)、νはポアソン比である。ここで、KImaxは、応力比Rと応力拡大係数範囲ΔKIとの関係で、次式
KImax=ΔKI/(1−R)
を満足する。本発明では、KImaxは5〜35(MPa√m)の範囲内の値とする。
図3から、疲労き裂の屈曲は、概ね実線の範囲内、すなわち結晶粒内で生じており、しかもき裂進展方向(θ:0°)近傍に集中する傾向にあることがわかる。また、き裂進展方向(θ:0°)近傍では、き裂先端での塑性域寸法(破線)と、結晶粒界の軌跡(実線)とが近接している。このことから、本発明者らは、き裂先端での塑性域寸法と結晶粒の大きさ(組織単位ともいう)とが、疲労き裂の屈曲を介して、疲労き裂伝ぱ速度に密接に関連していると考えた。なお、ΔKI=15MPa√mにおける疲労き裂伝ぱ速度が、目標値である1.75×10−8(m/cycle)を超える鋼材では、き裂の屈曲頻度が少なく、しかも屈曲は結晶粒以外の位置でも多発していた。さらに、き裂先端での塑性域寸法と結晶粒界の軌跡は大きくかけ離れていた。しかも、き裂先端での塑性域と結晶粒界の軌跡は、近接しておらず大きく離れていた。
γp*={(KImax)2×106/(2πσY 2)}×(1−2ν)2‥‥(1)
で定義される。
得られたγp*と得られた(DP)αとの比、γp*/(DP)αを算出し、疲労き裂伝ぱ速度に及ぼすγp*/(DP)αの影響を求め、図4に示す。なお、図4には、ΔKI=15MPa√m以外に、ΔKI=20MPa√m、ΔKI=25MPa√mの場合についても示した。γp *は、当然ながらKImaxのレベルに応じて変化している。
そこで、まず、面積率で50%以上のフェライト相を主相とし、第二相として、パーライト、ベイナイト、マルテンサイトのような硬質相を含む、複合組織を有する鋼材について、疲労き裂伝ぱ挙動を調査した。その結果、疲労き裂は、フェライトからパーライト、ベイナイト、マルテンサイト、あるいはベイナイトからマルテンサイトのように、より硬質な組織へ伝ぱする際には、き裂の屈曲や分岐が生じ、疲労き裂伝ぱ速度が低減することを見出した。さらに、より詳細な観察を行った結果、パーライトでは塊状や層状の境界でもき裂の屈曲が生じていること、ベイナイト、マルテンサイトではパケット境界、ブロック境界などでき裂の屈曲が生じていることを知見した。
MUeff=(AR)α×(DP)α+(AR)P×(DP)P×{(Hv)P/(Hv)α}+(AR)B×(DP)B×{(Hv)B/(Hv)α}+(AR)M×(DP)M×{(Hv)M/(Hv)α}‥‥(2)
ここで、(AR)α、(AR)P、(AR)B、(AR)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相の面積割合(0〜1)、
(DP)α、(DP)P、(DP)B、(DP)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相のき裂進展方向における組織単位(μm)、
(Hv)α、(Hv)P、(Hv)B、(Hv)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相の平均ビッカース硬さ
で表せることになる。なお、上記した(2)式は、フェライト単相組織である鋼材の場合には、第1項のみとなり、図4に示す結果とも整合する。
(1)質量%で、C:0.02〜0.4%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Sol.Al:0.10%以下を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成と、板厚1/4位置において、面積率で50%を超えるフェライトを主相とし、該主相と残部硬質相とからなる組織とを有し、降伏点:315MPa以上の高強度とシャルピー衝撃試験における試験温度:0℃での吸収エネルギーvE0が31J以上の高靭性とを有し、次(1)式
γP*={(KImax)2×106/(2πσY 2)}×(1−2ν)2 ‥‥(1)
ここで、KImax:モードIの最大応力拡大係数で、5〜35の範囲内の値(MPa√m)、σY:降伏応力(MPa)、ν:ポアソン比
で定義されるき裂先端塑性域寸法γp *(μm)と、次(2)式
MUeff=(AR)α×(DP)α+(AR)P×(DP)P×{(Hv)P/(Hv)α}+(AR)B×(DP)B×{(Hv)B/(Hv)α}+(AR)M×(DP)M×{(Hv)M/(Hv)α}‥‥(2)
ここで、(AR)α、(AR)P、(AR)B、(AR)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相の面積割合(0〜1)、
(DP)α、(DP)P、(DP)B、(DP)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相のき裂進展方向における組織単位(μm)、
(Hv)α、(Hv)P、(Hv)B、(Hv)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相の平均ビッカース硬さ
で定義されるき裂進展方向における有効組織単位MUeff(μm)とが、次(3)〜(5)式
γP*/MUeff ≦ 10 ‥‥(3)
γP* ≦ 250 ‥‥(4)
MUeff ≦ 150 ‥‥(5)
を満足することを特徴とする耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材。
(2)(1)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:3.0%以下、Ni:10%以下、Cr:3.0%以下、Mo:2.0%以下、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする高強度鋼材。
(3)(1)または(2)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.010%以下、REM:0.010%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする高強度鋼材。
(4)フェライトが面積率で50%を超え、残部が硬質相からなる組織を有し、降伏点:315MPa以上の高強度を有する高強度鋼材を対象とし、該対象とする高強度鋼材について、組織観察、ビッカース硬さ測定を行って、想定する疲労き裂進展方向における組織を構成する各相の面積割合(AR)、各相の組織単位(DP)、各相の平均ビッカース硬さ(HV)を求め、次(1)式
γP*={(KImax)2×106/(2πσY 2)}×(1−2ν)2 ‥‥(1)
ここで、KImax:モードIの最大応力拡大係数で、5〜35の範囲内の値(MPa√m)、σY:降伏応力(MPa)、ν:ポアソン比(=0.3)
で定義されるき裂先端塑性域寸法γp *(μm)、次(2)式
MUeff=(AR)α×(DP)α+(AR)P×(DP)P×{(Hv)P/(Hv)α}+(AR)B×(DP)B×{(Hv)B/(Hv)α}+(AR)M×(DP)M×{(Hv)M/(Hv)α}‥‥(2)
ここで、(AR)α、(AR)P、(AR)B、(AR)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相の面積割合(0〜1)、
(DP)α、(DP)P、(DP)B、(DP)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相のき裂進展方向における組織単位(μm)、
(Hv)α、(Hv)P、(Hv)B、(Hv)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相の平均ビッカース硬さ
で定義されるき裂進展方向における有効組織単位MUeff(μm)を算出して、次(3)〜(5)式
γP*/MUeff ≦ 10 ‥‥(3)
γP* ≦ 250 ‥‥(4)
MUeff ≦ 150 ‥‥(5)
を満足する場合を耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた鋼材と判定することを特徴とする耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材の判定方法。
(5)(4)において、前記鋼材が、質量%で、C:0.02〜0.4%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Sol.Al:0.10%以下を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする高強度鋼材の判定方法。
(6)(5)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:3.0%以下、Ni:10%以下、Cr:3.0%以下、Mo:2.0%以下、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする高強度鋼材の判定方法。
(7)(5)または(6)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.010%以下、REM:0.010%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする高強度鋼材の判定方法。
まず、本発明鋼材の組成限定理由について説明する。なお、以下、とくに断わらない限り、質量%は単に%で記す。
Cは、強度を増加させる元素であり、ベイナイト相やマルテンサイト相を主体とする組織を有する鋼材で、所望の高強度を確保するためには、0.02%以上の含有を必要とする。一方、0.4%を超える含有は、溶接性を阻害する。このため、Cは、0.02〜0.4%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.02〜0.35%である。
Siは、脱酸剤として有効に作用するとともに、強度を増加させ高強度化に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上の含有を必要とする。一方、1.0%を超えて含有すると、溶接性、靭性が低下する。このため、Siは0.01〜1.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.05〜0.8%である。
Mnは、焼入れ性の向上を介して強度増加に寄与するとともに、靭性向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.5%以上の含有を必要とする。一方、3.0%を超えて多量に含有すると、溶接性の低下を招く。このため、Mnは0.5〜3.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.5〜2.5%である。
Pは、鋼の靭性を劣化させる元素であり、できるだけ低減することが望ましいが、0.05%までは許容できる。このようなことから、Pは0.05%以下の限定とした。なお、好ましくは0.03%以下である。
S:0.05%以下
Sは、鋼中では硫化物系介在物として存在し、鋼の延性、靭性を低下させる。このため、Sはできるだけ低減することが望ましいが、0.05%までは許容できる。このようなことから、Sは0.05%以下に限定した。なお、好ましくは0.03%以下である。
Sol.Alは、脱酸剤として作用する元素であり、また、結晶粒の微細化にも寄与する。このような効果を得るためには0.01%以上含有することが望ましいが、0.10%を超えて多量に含有すると、酸化物系介在物が増加し靭性、延性が低下する。このため、Sol.Alは0.10%に限定した。なお。好ましくは0.08%以下である。
Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、Bは、いずれも強度増加に寄与する元素であり、必要に応じて1種または2種以上を選択して含有できる。
Cuは、固溶して強度増加に寄与するとともに、耐候性向上にも寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上含有することが望ましい。一方、3.0%を超える多量の含有は、溶接性を低下させるとともに、熱間加工性を低下させ、疵が発生しやすくなる。このため、含有する場合には、Cuは3.0%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは2.5%以下である。
Moは、強度の増加に寄与するとともに、耐熱性の向上にも寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上含有することが望ましい。一方、2.0%を超えて含有すると、溶接性、靭性の低下を招く。このため、含有する場合には、Moは2.0%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは1.5%以下である。
Tiは、Nbと同様に析出強化を介して強度増加に寄与するとともに、溶接部靭性の改善にも寄与する。このような効果を得るためには、0.001%以上含有することが望ましい。一方、0.1%を超えて多量に含有すると、材料コストの高騰を招く。このようなことから、含有する場合には、Tiは0.1%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.07%以下である。
Ca、REMはいずれも、介在物の形態制御を介して鋼材の延性、靱性向上に寄与する元素であり、必要に応じて選択して1種または2種を含有できる。
Caは、介在物の形態制御を介して鋼材の延性、靱性向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.001%以上含有することが望ましいが、0.010%を超える多量の含有は、靱性の低下を招く。このため、含有する場合には、Caは0.010%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.005%以下である。
REMは、Caと同様に、介在物の形態制御を介して鋼材の延性、靱性向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.001%以上含有することが望ましいが、0.010%を超える多量の含有は、靱性の低下を招く。このため、含有する場合には、REMは0.010%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.005%以下である。
本発明鋼材は、上記した組成を有し、平均的な組織形態となる板厚1/4位置において、面積率で50%を超えるフェライトを主相とし、該主相と残部硬質相とからなる組織を有する。本発明では、耐疲労き裂伝ぱ特性と、強度、延性、靱性、さらには溶接性との両立を図るために、主相としてフェライトを選定した。なお、ここでいう主相とは、面積率で50%を超える分率を有する相をいうものとする。フェライト相の組織分率の上限はとくに限定する必要はないが、所望の降伏強さ:315MPa以上を確保するためには、95%以下とすることが好ましい。また、主相以外の残部は硬質相とする。硬質相としては、パーライト、ベイナイト、マルテンサイトが例示できる。本発明鋼材では、硬質相として、それらのうちの少なくとも1種を含むものとする。このような鋼材であれば、溶接構造物用として必要なvE0が31J以上の靭性も確保できる。
γP*={(KImax)2×106/(2πσY 2)}×(1−2ν)2 ‥‥(1)
ここで、KImax:モードIの最大応力拡大係数で、5〜35の範囲内の値(MPa√m)、σY:降伏応力(MPa)、ν:ポアソン比
で定義されるき裂先端塑性域寸法γp *(μm)と、次(2)式
MUeff=(AR)α×(DP)α+(AR)P×(DP)P×{(Hv)P/(Hv)α}+(AR)B×(DP)B×{(Hv)B/(Hv)α}+(AR)M×(DP)M×{(Hv)M/(Hv)α}‥‥(2)
ここで、(AR)α、(AR)P、(AR)B、(AR)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相の面積割合(0〜1)、
(DP)α、(DP)P、(DP)B、(DP)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相のき裂進展方向における組織単位(μm)、
(Hv)α、(Hv)P、(Hv)B、(Hv)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相の平均ビッカース硬さ
で定義されるき裂進展方向における有効組織単位MUeff(μm)とが、次(3)〜(5)式
γP*/MUeff ≦ 10 ‥‥(3)
γP* ≦ 250 ‥‥(4)
MUeff ≦ 150 ‥‥(5)
を満足する。
つぎに、き裂先端塑性域寸法γP*について説明する。
γp*={(KImax)2×106/(2πσY 2)}×(1−2ν)2 ‥‥(1)
で定義される。ここで、「KImax」は、モードIの最大応力拡大係数であり、5〜35MPa√mの範囲の値とする。「モードI」は、図2に示したようにき裂が開口する変形様式であり、疲労き裂進展に対して支配的なモードである。
KImax=ΔKI/(1-R)
で計算できる。ここで、ΔKIはモードI応力拡大係数範囲(MPa√m)、Rは応力比である。
疲労き裂伝ぱ速度は、一般に、応力拡大係数との関係で3つの領域(領域A〜C)に分けられる。領域Aでは、き裂の進展が認められなくなる下限界へと至る領域であり、領域Bは、き裂が安定的に伝ぱし、き裂伝ぱ速度(対数)と応力拡大係数(対数)の関係で線形的な関係が認められる領域であり、領域Cは、応力拡大係数の増加に伴い疲労き裂伝ぱ速度が急激に増加し不安定破壊へと至る領域である。本発明では、領域Bにおける疲労き裂伝ぱ速度を低減することを目的としている。この領域Bは、通常、最大応力拡大係数KImaxが、5〜35MPa√mの範囲に相当し、このため、鋼材の使用状態に応じてKImaxを、5〜35MPa√mの範囲の値で設定するものとする。KImaxが5MPa√m未満では疲労き裂が停留し、35MPa√mを超えると不安定破壊が生じる。なお、好ましくは10〜30MPa√mの範囲である。また、ここでσYは降伏強さまたは0.2%耐力で、疲労き裂の開口方向で測定することが好ましいが、それが困難である場合には、引張試験片が採取できる方向としてもよい。また、νは鋼材のポアソン比で、通常0.3である。
γP* ≦ 250 ‥‥(4)
を満足する範囲に限定した。γP*が250(μm)を超えて大きくなると、(1)式よりσY:315MPa以上とKImax:5〜35MPa√mの組合せの範疇を超える領域に近くなり、所望の疲労き裂伝ぱ特性の確保が困難となる。また、(3)式を満足する最大のMUeffも大きくなり、強度や靭性との両立が難しくなる。そこで、γP*の上限を250(μm)に限定した。
本発明でいう「有効組織単位MUeff」は、疲労き裂の屈曲に寄与する組織単位をいう。具体的には、疲労き裂伝ぱ経路と構成組織を参照しながら決定される屈曲を開始する頻度がもっとも高い組織単位をいう。
複合組織を有する鋼材において、疲労き裂の屈曲、すなわち疲労き裂伝ぱ速度の低下は、各相の組織単位の大きさ(DP)と、各相の面積割合(AR)に応じて決定されると考え、各相の組織単位(DP)と各相の面積割合(AR)の積(AR)×(DP)をその指標とした。そして、その積に、主相に対する各相の硬さ比{(Hv)/(Hv)α}を乗じることにより、主相を基準とした各相の組織単位の重み付けができる。これにより、混合則に従って、主相と、主相より硬質の各相を第二相とし、それらの総和をとり、複合組織の有効組織単位MUeffとした。
MUeff=(AR)α×(DP)α+(AR)P×(DP)P×{(Hv)P/(Hv)α}+(AR)B×(DP)B×{(Hv)B/(Hv)α}+(AR)M×(DP)M×{(Hv)M/(Hv)α}‥‥(2)
で定義する。
ここでいう「き裂進展方向における組織単位」とは、き裂進展方向に測定した、き裂の屈曲と密接な関連のある組織単位である。
なお、使用条件が不明の場合には、KImax:5〜35MPa√mの範囲内で任意のKImaxを定め、想定されるき裂進展方向と直角をなす方向(図2のy方向)で引張試験を行い、σYを求め、(1)式を用いてき裂先端塑性域寸法γP*を算出し、さらに主相および第二相について想定されるき裂進展方向の組織単位、面積割合、および平均硬さを測定し、(2)式を用いてMUeffを算出することが好ましい。
MUeff ≦ 150 ‥‥(5)
を満足するように限定した。なお、好ましくは120(μm)以下である。
なお、硬さ測定は、板厚1/4位置にて図2に示したx−y平面において、少なくとも各相5点以上ビッカース硬度計を用いて実施し、その平均値を各相の硬さ(Hv)とする。また、硬さ測定は、粒界や相境界では安定した値を得難いため、粒界間、相境界間の距離が圧痕の4倍以上となるように試験荷重を調整して行うことが好ましい。
本発明鋼材は、上記した組成、上記した組織を有し、降伏点YS:315MPa以上、vE0:31J以上で、き裂先端塑性域寸法γP*と有効結晶粒単位MUeffとの関係で、(3)〜(5)式を満足する耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材である。
まず、上記した組成を有する溶鋼を、転炉等の常用の溶製方法で溶製し、連続鋳造法等の常用の鋳造方法を用いて鋼素材とする。鋼素材の製造方法はとくに限定されないことはいうまでもない。
得られた鋼素材を、950〜1300℃の温度範囲の温度に加熱した後、900℃以上の温度域での累積圧下率が50%以上で、仕上圧延終了温度を(Ar3変態点−150℃)以上とする熱間圧延を施し、該熱間圧延終了後、5℃/s以上の冷却速度で650℃以下まで冷却する加速冷却を施し、所定形状の鋼材とすることが好ましい。なお、加速冷却を施した後、さらに、Ac1変態点未満の温度で焼戻処理を施してもよい。なお、温度は、鋼材表面温度、冷却速度は鋼材厚さ方向での平均冷却速度とする。
Ar3(℃)=910−310C−80Mn−20Cu−15Cr−55Ni−80Mo
(ここで、C、Mn、Cu、Cr、Ni、Mo:各元素の含有量(質量%))
を用いて算出できる。
また、Ac1変態点は、例えば、次式
Ac1(℃)=723−14Mn+22Si−14.4Ni+23.3Cr
(ここで、Mn、Si、Cr、Ni:各元素の含有量(質量%))
を用いて算出できる。
Ac3(℃)=854−180C+44Si−14Mn−17.8Ni−1.7Cr
(ここで、C、Si、Mn、Ni、Cr:各元素の含有量(質量%))
を用いて算出できる。
また、本発明によれば、対象とする高強度鋼材のなかから、耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材を判定することができる。ここで、対象とする高強度鋼材としては、上記した組成、上記したフェライトが面積率で50%を超え、残部が硬質相からなる組織を有し、降伏強さ315MPa以上である高強度鋼材とする。
γP*/MUeff ≦ 10 ‥‥(3)
γP* ≦ 250 ‥‥(4)
MUeff ≦ 150 ‥‥(5)
を満足するか否かを判定する。(3)〜(5)式を満足する場合を、耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた鋼材と評価し、一方、(3)〜(5)式を満足できない場合を、耐疲労き裂伝ぱ特性に劣る鋼材と評価することで、鋼材を判定する。上記したように、γP*/MUeffが10以下である鋼材は、疲労き裂伝ぱ速度が低下し、優れた耐疲労き裂伝ぱ特性を有する高強度鋼材である。このような方法によれば、優れた耐疲労き裂伝ぱ特性を有する高強度鋼材を容易に判定することが可能で、溶接構造物の疲労に対する予寿命評価精度が高くなるという利点がある。
得られた鋼素材(A,B,D,E,G,H,I,K,M,N,S,T,U)に、製法Aとして、表2に示す条件で加熱、熱間圧延、圧延後加速冷却し、板厚12〜100mmの鋼板とした。なお、一部の鋼板には熱処理(焼戻処理)を施した。
(1)疲労き裂伝ぱ試験
得られた鋼板から、図6に示す3種の方向からCT試験片、三点曲げ試験片を採取した。試験片T−Lは、負荷方向が幅方向Tでき裂伝ぱ方向が圧延方向LとなるCT試験片であり、試験片L−Tは、負荷方向が圧延方向Lでき裂伝ぱ方向が幅方向TとなるCT試験片である。試験片T−L、試験片L−Tでは、鋼板板厚25mm以下の場合には試験片厚さは鋼板全厚とし、鋼板板厚25mm超〜50mm以下の場合には、鋼板片面を研削して25mm厚とした片面減厚試験片とした。また、鋼板板厚50mm超の場合には、鋼板両面を研削して板厚1/4位置が中心となる25mm厚の両面減厚試験片とした。
K1=(3SP/2W2B)√(πa)F1(ζ) ……(7)
(ここで、S:スパン(=4W)、P:荷重、W:き裂伝ぱ方向の試験片厚さ、B:幅方向Tの試験片厚さ(=W/2)、a:切欠きを含むき裂長さ)
を用いた。なお、F1(ζ)は、a/W=ζとした時の形状係数で、次(8)式
F1(ζ)={1.99−ζ(1−ζ)(2.15−3.93ζ+2.7ζ2)}/{√π(1+2ζ)(1−ζ)3/2}‥‥(8)
を用いて計算した。
なお、耐疲労き裂伝ぱ特性の評価は、材料学会編「金属材料疲労き裂進展抵抗データ集」Vol.1 P55に記載のNK船級 KA鋼についての応力拡大係数範囲と疲労き裂伝ぱ速度の関係のデータバンド上限を基準値とし、同じ応力拡大係数範囲で疲労き裂伝ぱ速度が基準値の1/2以下となる場合を耐疲労き裂伝ぱ特性に優れる鋼板とした。疲労き裂伝ぱ速度がこの基準値の1/2以下とは具体的には、疲労き裂伝ぱ速度da/dNが、ΔKI=15MPa√mで1.75×10-8(m/cycle)以下、ΔKI=20MPa√mで4.26×10-8(m/cycle)以下、ΔKI=25MPa√mで8.50×10-8(m/cycle)以下、となる場合をいう。耐疲労き裂伝ぱ特性に優れる鋼板とは、疲労き裂伝ぱ速度が、少なくともΔKI=15MPa√mと20MPa√mの2水準で上記した水準を満足していることとした。
(2)組織観察
鋼板の板厚1/4位置から、組織観察用試験片を採取し、観察面を研磨し、2%ナイタール腐食液で腐食し、組織を現出し、光学顕微鏡(倍率:100〜400倍)または走査型電子顕微鏡(倍率:100〜1000倍)を用いて、組織を観察し、少なくとも各5視野で撮像した。なお、組織観察では、必要に応じて透過電子顕微鏡、EBSDも用いた。なお、観察面は具体的には、試験片T−L、試験片L−Tでは、鋼板の板厚1/4位置に相当する位置で鋼板の板面に平行な面であり、試験片L−Zでは、圧延方向断面とした。なお、観察面はいずれもき裂との関係において図2に示すx−y平面とした。
(3)引張試験
得られた鋼板から、日本海事協会 鋼船規則を参考に、引張方向が圧延方向Lまたは圧延方向に直交する方向Tとなるように引張試験片を採取し、JIS Z 02241の規定に準拠して引張試験を実施し、引張特性(上降伏点または0.2%耐力YS、引張強さTS、伸びEl)を求めた。なお、引張試験片は板厚40mm以下の鋼板では全厚で採取したU1号試験片を、板厚40mm超えの鋼板では板厚/4位置から採取したU14A号試験片を、それぞれ用いた。
(4)衝撃試験
得られた鋼板から、日本海事協会 鋼船規則を参考に、試験片長さ方向が圧延方向Lでき裂進展方向が圧延方向に直交する方向Tとなるように、または、試験片長さ方向が圧延方向に直交する方向Tでき裂進展方向が圧延方向Lとなるように、衝撃試験片を採取し、JIS Z 02242の規定に準拠して試験温度:0℃でシャルピー衝撃試験を実施し、吸収エネルギーvE0(J)を求め、靭性を評価した。なお、試験片本数は各3本とし、それらの平均吸収エネルギー値を求めた。衝撃試験片は、板厚20mm未満では、板厚1/2位置を中心とし、板厚20mm以上では板厚1/4位置を中心としてU4号シャルピー2mmV切欠き試験片を採取した。
(5)硬さ試験
(1)で用いた組織観察試験片を硬さ測定試験片として、各相について、粒界間や相境界間の距離が圧痕の4倍以上となるように荷重を調整して、ビッカース硬さHvを測定した。硬さ測定は、各相につき5点以上測定し、それらの平均値を各相の硬さ(Hv)とした。なお、厚さ測定面は組織観察面と同じとした。
(6)溶接性試験
得られた鋼板から、JIS Z 3158の規定に準拠して、y形溶接割れ試験片を採取し、予熱温度を25℃とし、気温:20℃、湿度:60%の溶接雰囲気中で、MAG溶接(入熱14kJ/cm)するy形溶接割れ試験を実施し、割れの発生の有無を調査した。割れが生じなかった場合を○、それ以外の場合を×として評価した。
MUeff=(AR)B×(DP)B+(AR)α×(DP)α×{(Hv)α/(Hv)B}+(AR)P×(DP)P×{(Hv)P/(Hv)B}+(AR)M×(DP)M×{(Hv)M/(Hv)B}‥‥(9)
MUeff=(AR)M×(DP)M+(AR)α×(DP)α×{(Hv)α/(Hv)M}+(AR)P×(DP)P×{(Hv)P/(Hv)M}+(AR)B×(DP)B×{(Hv)B/(Hv)M}‥‥(10)
得られたMUeffの結果を、組織観察結果とビッカース硬さ測定結果とともに表4に示す。
鋼板No.A11(比較例)は、C等が本発明範囲を高く外れ、靭性、溶接性が低下するとともに、組織がベイナイト単相となり本発明範囲から外れ、かつΔKI=20MPa√mの場合にγP*/MUeffが10を超えて耐疲労き裂伝ぱ特性が低下している。また、鋼板No.A12(比較例)は、P、Sが本発明範囲を高く外れ、延性、靭性が低下している。また、鋼板No.A13(比較例)は、C、Mnが本発明範囲を低く外れ、強度(降伏点YSまたは0.2%耐力YS)が目標値を確保できていないため、ΔKI=15MPa√mでγP*が250μmを超え、ΔKI=20MPa√mの場合にγP*/MUeffが10を超え、耐疲労き裂伝ぱ特性が低下している。また、鋼板No.A14(比較例)は、加熱温度が高く、組織が粗大化してMUeffが150μmを超え、そのため降伏強さが目標値を確保できず、また靭性が低下している。また、鋼板No.A15(比較例)は、加熱温度が低くかつ900℃以上の累積圧下率が低いため、オーステナイト粒が粗大化し焼入れ性が向上して組織がベイナイト単相となり、かつMUeffが150μmを超え、そのため靭性が低下し、さらにΔKI=20MPa√mの場合にγP*/MUeffが10を超え、耐疲労き裂伝ぱ特性が低下している。また、鋼板No.A16(比較例)は、圧延仕上温度が低く、加速冷却がフェライト、パーライトの生成完了後であったため、加速冷却によるフェライトの微細化、第二相強化が得られず、降伏強さが目標値を確保できていない。このため、ΔKI=15MPa√mの場合にγP*/MUeffが10を超え、耐疲労き裂伝ぱ特性が低下している。また、鋼板No.A17(比較例)は、熱間圧延後の冷却速度が遅く、加速冷却によるフェライトの微細化、第二相強化が得られず、降伏強さが目標値を確保できていない。このため、ΔKI=20MPa√mの場合にγP*/MUeffが10を超え、耐疲労き裂伝ぱ特性が低下している。また、鋼板No.A18(比較例)は、圧延後の冷却停止温度が高く、加速冷却によるっフェライトの微細化、第二相強化が得られず、降伏強さが目標値を確保できていない。このため、ΔKI=20MPa√mの場合にγP*/MUeffが10を超え、耐疲労き裂伝ぱ特性が低下している。また、鋼板No.A19(比較例)は、焼戻温度が高く、MAが、多量に生成したため、靭性が低下している。
(実施例2)
得られた鋼素材(鋼No.A,B,E,G,I,N,O,P,Q,R)に、製法Bとして、表6に示す条件で加熱、熱間圧延、圧延後冷却し、板厚12〜100mmの鋼板とした。なお、圧延後冷却は、第1段加速冷却と緩冷却と第2段加速冷却からなる3段冷却、緩冷却と加速冷却からなる2段冷却、あるいは加速冷却のみ、緩冷却のみの1段冷却とした。一部の鋼板には熱処理(焼戻処理)を施した。
得られた結果のうち、引張特性、靭性、溶接性の結果を表7に示す。
鋼板No.B30(比較例)は、鋼素材の加熱温度が高く、オーステナイト粒の微細化が図れず、熱間圧延、加速冷却を適正に行ってもフェライト相が粗大化し、降伏点YSが315MPa未満と所望の高強度を確保できていない。また、ΔKI=20MPa√m以上でγP*が250μmを超え、γP*/MUeffが10を超えて、耐疲労き裂伝ぱ特性が低下している。加えて、靭性も低下している。また、鋼板No.B31(比較例)は、鋼素材の加熱温度が低く、また、900℃以上の累積圧下率が低く、オーステナイト粒の細粒化が図れず、得られるフェライト相が粗大化し、降伏点YSが315MPa未満と所望の高強度を確保できていない。また、靭性も低下している。また、ΔKI=20MPa√m以上で、γP*/MUeffが10を超えて、耐疲労き裂伝ぱ特性が低下している。また、鋼板No.B32(比較例)は、熱間圧延の仕上温度が低く、加速冷却がフェライト生成、パーライト析出完了後となるため、加速冷却によるフェライトの微細化や、第二相強化が得られず、降伏点YSが315MPa未満と所望の高強度を確保できていない。また、ΔKI=20MPa√m以上で、γP*/MUeff が10を超えて、耐疲労き裂伝ぱ特性が低下している。
(実施例3)
得られた鋼素材(鋼No.C,F,I,J,P)に、製法Cとして、表10に示す条件で加熱、熱間圧延、圧延後冷却し、板厚12〜100mmの鋼板としたのち、表10に示す条件で再加熱し、ついで種々の冷却速度で冷却する熱処理を行った。なお、一部の鋼板には熱処理(焼戻処理)を施した。
得られた結果のうち、引張特性、靭性、溶接性の結果を表11に示す。
鋼板No.C41(比較例)は、熱間圧延終了後水冷したため、フェライト相を主相とする組織が得られず、ΔKI=15MPa√m以上で、γP*/MUeffが10を超えて、耐疲労き裂伝ぱ特性が低下している。また、鋼板No.C42(比較例)は、再加熱温度がAc3変態点を超えて高温であったため、マルテンサイト単相組織となり、ΔKI=15MPa√m以上で、γP*/MUeffが10を超えて、耐疲労き裂伝ぱ特性が低下している。また、鋼板No.C43(比較例)は、再加熱後の冷却が遅いため、フェライトの微細化、第二相強化が得られず、降伏点YSが315MPa未満と所望の高強度が得られず、ΔKI=15MPa√m以上で、γP*/MUeffが10を超えて、耐疲労き裂伝ぱ特性が低下している。また、鋼板No.C44(比較例)は、再加熱後の冷却における冷却停止温度が高く、降伏点YSが315MPa未満と所望の高強度が得られず、ΔKI=20MPa√m以上で、γP*/MUeffが10を超えて、耐疲労き裂伝ぱ特性が低下している。また、鋼板No.C45(比較例)は、焼戻温度が高温であるため、MAが多量に生成し、靭性が低下している。
(実施例4)
表14に示す組成を有し、常用の熱間圧延、圧延後冷却、熱処理等を施され、表15に示す組織と強度とを有する鋼板(板厚:12〜100mm)について、耐疲労き裂伝ぱ特性を判定した。
この判定は、別途、疲労き裂伝ぱ試験を行い整合性を確認している。疲労き裂伝ぱ試験は、対象鋼板から、図6に示すように三点曲げ試験片L−Zを採取した。疲労き裂伝播試験の試験方法は実施例1と同様とした。なお、鋼板板厚25mm以下の場合には試験片厚さは鋼板全厚とし、鋼板板厚25mm超〜50mm以下の場合には、鋼板片面を研削してZ方向厚さを25mm厚とした片面減厚試験片とした。また、鋼板板厚50mm超の場合には、鋼板両面を研削して板厚1/4位置が中心となるZ方向厚さが25mm厚の両面減厚試験片とした。得られた疲労き裂伝ぱ速度を表17に併記した。
(1)質量%で、C:0.02〜0.4%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Sol.Al:0.10%以下を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成と、板厚1/4位置において、面積率で50%を超えるフェライトを主相とし、該主相と残部硬質相とからなる組織とを有し、降伏点:315MPa以上の高強度とシャルピー衝撃試験における試験温度:0℃での吸収エネルギーvE0が31J以上の高靭性とを有し、次(1)式
γP*={(KImax)2×106/(2πσY 2)}×(1−2ν)2 ‥‥(1)
ここで、KImax:モードIの最大応力拡大係数で、5〜35の範囲内の値(MPa√m)、σY:降伏応力(MPa)、ν:ポアソン比
で定義されるき裂先端塑性域寸法γp *(μm)と、次(2)式
MUeff=(AR)α×(DP)α+(AR)P×(DP)P×{(Hv)P/(Hv)α}+(AR)B×(DP)B×{(Hv)B/(Hv)α}+(AR)M×(DP)M×{(Hv)M/(Hv)α}‥‥(2)
ここで、(AR)α、(AR)P、(AR)B、(AR)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相の面積割合(0〜1)、
(DP)α、(DP)P、(DP)B、(DP)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相のき裂進展方向における組織単位(μm)、
(Hv)α、(Hv)P、(Hv)B、(Hv)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相の平均ビッカース硬さ
で定義されるき裂進展方向における有効組織単位MUeff(μm)とが、次(3)〜(5)式
γP*/MUeff ≦ 10 ‥‥(3)
γP* ≦ 250 ‥‥(4)
MUeff ≦ 150 ‥‥(5)
を満足することを特徴とする耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材。
(2)(1)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:3.0%以下、Ni:10%以下、Cr:3.0%以下、Mo:2.0%以下、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする高強度鋼材。
(3)(1)または(2)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.010%以下、REM:0.010%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする高強度鋼材。
(4)フェライトが面積率で50%を超え、残部が硬質相からなる組織を有し、降伏点:315MPa以上の高強度を有する高強度鋼材を対象とし、該対象とする高強度鋼材について、組織観察、ビッカース硬さ測定を行って、想定する疲労き裂進展方向における組織を構成する各相の面積割合(AR)、各相の組織単位(DP)、各相の平均ビッカース硬さ(HV)を求め、次(1)式
γ P *={(K Imax ) 2 ×10 6 /(2πσ Y 2 )}×(1−2ν) 2 ‥‥(1)
ここで、K Imax :モードIの最大応力拡大係数で、5〜35の範囲内の値(MPa√m)、σ Y :降伏応力(MPa)、ν:ポアソン比(=0.3)
で定義されるき裂先端塑性域寸法γ p * (μm)、次(2)式
MU eff =(AR) α ×(D P ) α +(AR) P ×(D P ) P ×{(Hv) P /(Hv) α }+(AR) B ×(D P ) B ×{(Hv) B /(Hv) α }+(AR) M ×(D P ) M ×{(Hv) M /(Hv) α }‥‥(2)
ここで、(AR) α 、(AR) P 、(AR) B 、(AR) M :フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相の面積割合(0〜1)、
(D P ) α 、(D P ) P 、(D P ) B 、(D P ) M :フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相のき裂進展方向における組織単位(μm)、
(Hv) α 、(Hv) P 、(Hv) B 、(Hv) M :フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相の平均ビッカース硬さ
で定義されるき裂進展方向における有効組織単位MU eff (μm)を算出して、γ p * /MU eff で整理し、耐疲労き裂伝ぱ特性を判定することを特徴とする耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材の判定方法。
(5)フェライトが面積率で50%を超え、残部が硬質相からなる組織を有し、降伏点:315MPa以上の高強度を有する高強度鋼材を対象とし、該対象とする高強度鋼材について、組織観察、ビッカース硬さ測定を行って、想定する疲労き裂進展方向における組織を構成する各相の面積割合(AR)、各相の組織単位(DP)、各相の平均ビッカース硬さ(HV)を求め、次(1)式
γP*={(KImax)2×106/(2πσY 2)}×(1−2ν)2 ‥‥(1)
ここで、KImax:モードIの最大応力拡大係数で、5〜35の範囲内の値(MPa√m)、σY:降伏応力(MPa)、ν:ポアソン比(=0.3)
で定義されるき裂先端塑性域寸法γp *(μm)、次(2)式
MUeff=(AR)α×(DP)α+(AR)P×(DP)P×{(Hv)P/(Hv)α}+(AR)B×(DP)B×{(Hv)B/(Hv)α}+(AR)M×(DP)M×{(Hv)M/(Hv)α}‥‥(2)
ここで、(AR)α、(AR)P、(AR)B、(AR)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相の面積割合(0〜1)、
(DP)α、(DP)P、(DP)B、(DP)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相のき裂進展方向における組織単位(μm)、
(Hv)α、(Hv)P、(Hv)B、(Hv)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相の平均ビッカース硬さ
で定義されるき裂進展方向における有効組織単位MUeff(μm)を算出して、次(3)〜(5)式
γP*/MUeff ≦ 10 ‥‥(3)
γP* ≦ 250 ‥‥(4)
MUeff ≦ 150 ‥‥(5)
を満足する場合を耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた鋼材と判定することを特徴とする耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材の判定方法。
(6)(4)または(5)において、前記鋼材が、質量%で、C:0.02〜0.4%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Sol.Al:0.10%以下を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする高強度鋼材の判定方法。
(7)(6)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:3.0%以下、Ni:10%以下、Cr:3.0%以下、Mo:2.0%以下、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする高強度鋼材の判定方法。
(8)(6)または(7)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.010%以下、REM:0.010%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする高強度鋼材の判定方法。
Cは、強度を増加させる元素であり、所望の高強度を確保するためには、0.02%以上の含有を必要とする。一方、0.4%を超える含有は、溶接性を阻害する。このため、Cは、0.02〜0.4%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.02〜0.35%である。
Claims (7)
- 質量%で、
C :0.02〜0.4%、 Si:0.01〜1.0%、
Mn:0.5〜3.0%、 P :0.05%以下、
S :0.05%以下、 Sol.Al:0.10%以下
を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成と、
板厚1/4位置において、面積率で50%を超えるフェライトを主相とし、該主相と残部硬質相とからなる組織とを有し、降伏点:315MPa以上の高強度と、シャルピー衝撃試験における試験温度:0℃での吸収エネルギーが31J以上の高靭性とを有し、
下記(1)式で定義されるき裂先端塑性域寸法γp *(μm)と、下記(2)式で定義されるき裂進展方向における有効組織単位MUeff(μm)とが、下記(3)〜(5)式を満足することを特徴とする耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材。
記
γP*={(KImax)2×106/(2πσY 2)}×(1−2ν)2 ‥‥(1)
ここで、KImax:モードIの最大応力拡大係数で、5〜35の範囲内の値(MPa√m)、σY:降伏応力(MPa)、ν:ポアソン比
MUeff=(AR)α×(DP)α+(AR)P×(DP)P×{(Hv)P/(Hv)α}+(AR)B×(DP)B×{(Hv)B/(Hv)α}+(AR)M×(DP)M×{(Hv)M/(Hv)α}‥‥(2)
ここで、(AR)α、(AR)P、(AR)B、(AR)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相の面積割合(0〜1)、
(DP)α、(DP)P、(DP)B、(DP)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相のき裂進展方向における組織単位(μm)、
(Hv)α、(Hv)P、(Hv)B、(Hv)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相の平均ビッカース硬さ
γP*/MUeff ≦ 10 ‥‥(3)
γP* ≦ 250 ‥‥(4)
MUeff ≦ 150 ‥‥(5) - 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:3.0%以下、Ni:10%以下、Cr:3.0%以下、Mo:2.0%以下、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度鋼材。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.010%以下、REM:0.010%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の高強度鋼材。
- フェライトが面積率で50%を超え、残部が硬質相からなる組織を有し、降伏点:315MPa以上の高強度を有する高強度鋼材を対象とし、
該対象とする高強度鋼材について、組織観察、ビッカース硬さ測定を行って、想定する疲労き裂進展方向における組織を構成する各相の面積割合(AR)、各相の組織単位(DP)、各相の平均ビッカース硬さ(HV)を求め、下記(1)式で定義されるき裂先端塑性域寸法γp *(μm)、下記(2)式で定義されるき裂進展方向における有効組織単位MUeff(μm)を算出して、下記(3)〜(5)式を満足する場合を耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた鋼材と判定することを特徴とする耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材の判定方法。
記
γP*={(KImax)2×106/(2πσY 2)}×(1−2ν)2 ‥‥(1)
ここで、KImax:モードIの最大応力拡大係数で、5〜35の範囲内の値(MPa√m)、σY:降伏応力(MPa)、ν:ポアソン比(=0.3)
MUeff=(AR)α×(DP)α+(AR)P×(DP)P×{(Hv)P/(Hv)α}+(AR)B×(DP)B×{(Hv)B/(Hv)α}+(AR)M×(DP)M×{(Hv)M/(Hv)α}‥‥(2)
ここで、(AR)α、(AR)P、(AR)B、(AR)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相の面積割合(0〜1)、
(DP)α、(DP)P、(DP)B、(DP)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相のき裂進展方向における組織単位(μm)、
(Hv)α、(Hv)P、(Hv)B、(Hv)M:フェライト(α)、パーライト(P)、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)、各相の平均ビッカース硬さ
γP*/MUeff ≦ 10 ‥‥(3)
γP* ≦ 250 ‥‥(4)
MUeff ≦ 150 ‥‥(5) - 前記鋼材が、質量%で、
C :0.02〜0.4%、 Si:0.01〜1.0%、
Mn:0.5〜3.0%、 P :0.05%以下、
S :0.05%以下、 Sol.Al:0.10%以下
を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項4に記載の高強度鋼材の判定方法。 - 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:3.0%以下、Ni:10%以下、Cr:3.0%以下、Mo:2.0%以下、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項5に記載の高強度鋼材の判定方法。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.010%以下、REM:0.010%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする請求項5または6に記載の高強度鋼材の判定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013273146A JP6064897B2 (ja) | 2013-12-27 | 2013-12-27 | 耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材およびその判定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013273146A JP6064897B2 (ja) | 2013-12-27 | 2013-12-27 | 耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材およびその判定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015127447A true JP2015127447A (ja) | 2015-07-09 |
JP6064897B2 JP6064897B2 (ja) | 2017-01-25 |
Family
ID=53837571
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013273146A Active JP6064897B2 (ja) | 2013-12-27 | 2013-12-27 | 耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材およびその判定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6064897B2 (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018043067A1 (ja) * | 2016-08-29 | 2018-03-08 | 株式会社神戸製鋼所 | 厚鋼板およびその製造方法 |
JP2018193605A (ja) * | 2016-08-29 | 2018-12-06 | 株式会社神戸製鋼所 | 厚鋼板およびその製造方法 |
JP2019214753A (ja) * | 2018-06-12 | 2019-12-19 | 日本製鉄株式会社 | 低降伏比耐火鋼板 |
CN112501511A (zh) * | 2020-11-30 | 2021-03-16 | 武汉钢铁有限公司 | 一种低内应力桥梁结构用钢及其生产方法 |
WO2021125660A1 (ko) * | 2019-12-18 | 2021-06-24 | 주식회사 포스코 | 진공튜브용 강재 및 그 제조방법 |
KR20220083309A (ko) * | 2020-12-11 | 2022-06-20 | 주식회사 포스코 | 강관 가공 후에 압축 강도 손실이 적은 열연강재 및 그 제조 방법 |
CN114720271A (zh) * | 2021-01-04 | 2022-07-08 | 中国航发商用航空发动机有限责任公司 | 复合材料裂纹尖端的塑性变形区测量方法 |
EP4206337A1 (de) * | 2021-12-29 | 2023-07-05 | Voestalpine Grobblech GmbH | Grobblech und thermomechanisches behandlungsverfahren eines vormaterials zur herstellung eines grobblechs |
RU2839969C2 (ru) * | 2021-11-22 | 2025-05-14 | Баошань Айрон Энд Стил Ко., Лтд. | Высокопрочная сталь с соответствующей атмосферостойкостью и способ её изготовления |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10168542A (ja) * | 1996-12-12 | 1998-06-23 | Nippon Steel Corp | 低温靭性と疲労強度に優れた高強度鋼材及びその製造方法 |
JP2005298877A (ja) * | 2004-04-08 | 2005-10-27 | Nippon Steel Corp | 疲労き裂伝播特性に優れた鋼板およびその製造方法 |
JP2005320619A (ja) * | 2004-04-08 | 2005-11-17 | Nippon Steel Corp | 疲労き裂伝播特性に優れた鋼板及びその製造方法 |
JP2007327087A (ja) * | 2006-06-06 | 2007-12-20 | Kobe Steel Ltd | 母材靱性と疲労亀裂進展特性に優れた厚鋼板 |
JP2007332402A (ja) * | 2006-06-13 | 2007-12-27 | Jfe Steel Kk | 耐疲労亀裂伝播特性に優れる鋼材およびその製造方法 |
JP2008007834A (ja) * | 2006-06-30 | 2008-01-17 | Jfe Steel Kk | 疲労亀裂伝播抵抗性に優れた鋼材の製造方法 |
JP2008208406A (ja) * | 2007-02-26 | 2008-09-11 | Jfe Steel Kk | 材質異方性が小さく、耐疲労亀裂伝播特性に優れた鋼材およびその製造方法 |
-
2013
- 2013-12-27 JP JP2013273146A patent/JP6064897B2/ja active Active
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10168542A (ja) * | 1996-12-12 | 1998-06-23 | Nippon Steel Corp | 低温靭性と疲労強度に優れた高強度鋼材及びその製造方法 |
JP2005298877A (ja) * | 2004-04-08 | 2005-10-27 | Nippon Steel Corp | 疲労き裂伝播特性に優れた鋼板およびその製造方法 |
JP2005320619A (ja) * | 2004-04-08 | 2005-11-17 | Nippon Steel Corp | 疲労き裂伝播特性に優れた鋼板及びその製造方法 |
JP2007327087A (ja) * | 2006-06-06 | 2007-12-20 | Kobe Steel Ltd | 母材靱性と疲労亀裂進展特性に優れた厚鋼板 |
JP2007332402A (ja) * | 2006-06-13 | 2007-12-27 | Jfe Steel Kk | 耐疲労亀裂伝播特性に優れる鋼材およびその製造方法 |
JP2008007834A (ja) * | 2006-06-30 | 2008-01-17 | Jfe Steel Kk | 疲労亀裂伝播抵抗性に優れた鋼材の製造方法 |
JP2008208406A (ja) * | 2007-02-26 | 2008-09-11 | Jfe Steel Kk | 材質異方性が小さく、耐疲労亀裂伝播特性に優れた鋼材およびその製造方法 |
Cited By (20)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018193605A (ja) * | 2016-08-29 | 2018-12-06 | 株式会社神戸製鋼所 | 厚鋼板およびその製造方法 |
WO2018043067A1 (ja) * | 2016-08-29 | 2018-03-08 | 株式会社神戸製鋼所 | 厚鋼板およびその製造方法 |
JP7077802B2 (ja) | 2018-06-12 | 2022-05-31 | 日本製鉄株式会社 | 低降伏比耐火鋼板 |
JP2019214753A (ja) * | 2018-06-12 | 2019-12-19 | 日本製鉄株式会社 | 低降伏比耐火鋼板 |
JP7431327B2 (ja) | 2019-12-18 | 2024-02-14 | ポスコホールディングス インコーポレーティッド | 真空チューブ用鋼材及びその製造方法 |
KR20210078022A (ko) * | 2019-12-18 | 2021-06-28 | 주식회사 포스코 | 진공튜브용 강재 및 그 제조방법 |
KR102348664B1 (ko) * | 2019-12-18 | 2022-01-06 | 주식회사 포스코 | 진공튜브용 강재 및 그 제조방법 |
WO2021125660A1 (ko) * | 2019-12-18 | 2021-06-24 | 주식회사 포스코 | 진공튜브용 강재 및 그 제조방법 |
JP2023507955A (ja) * | 2019-12-18 | 2023-02-28 | ポスコホールディングス インコーポレーティッド | 真空チューブ用鋼材及びその製造方法 |
CN114867884B (zh) * | 2019-12-18 | 2023-12-22 | Posco公司 | 真空管用钢材及其制造方法 |
CN114867884A (zh) * | 2019-12-18 | 2022-08-05 | Posco公司 | 真空管用钢材及其制造方法 |
US20230024943A1 (en) * | 2019-12-18 | 2023-01-26 | Posco | Steel material for vacuum tube and method of manufacturing same |
CN112501511B (zh) * | 2020-11-30 | 2022-02-01 | 武汉钢铁有限公司 | 一种低内应力桥梁结构用钢及其生产方法 |
CN112501511A (zh) * | 2020-11-30 | 2021-03-16 | 武汉钢铁有限公司 | 一种低内应力桥梁结构用钢及其生产方法 |
KR102415762B1 (ko) | 2020-12-11 | 2022-07-01 | 주식회사 포스코 | 강관 가공 후에 압축 강도 손실이 적은 열연강재 및 그 제조 방법 |
KR20220083309A (ko) * | 2020-12-11 | 2022-06-20 | 주식회사 포스코 | 강관 가공 후에 압축 강도 손실이 적은 열연강재 및 그 제조 방법 |
CN114720271A (zh) * | 2021-01-04 | 2022-07-08 | 中国航发商用航空发动机有限责任公司 | 复合材料裂纹尖端的塑性变形区测量方法 |
RU2839969C2 (ru) * | 2021-11-22 | 2025-05-14 | Баошань Айрон Энд Стил Ко., Лтд. | Высокопрочная сталь с соответствующей атмосферостойкостью и способ её изготовления |
EP4206337A1 (de) * | 2021-12-29 | 2023-07-05 | Voestalpine Grobblech GmbH | Grobblech und thermomechanisches behandlungsverfahren eines vormaterials zur herstellung eines grobblechs |
WO2023126506A1 (de) * | 2021-12-29 | 2023-07-06 | Voestalpine Grobblech Gmbh | Grobblech und thermomechanisches behandlungsverfahren eines vormaterials zur herstellung des grobblechs |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6064897B2 (ja) | 2017-01-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6064896B2 (ja) | 耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた鋼材およびその製造方法並びに耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた鋼材の判定方法 | |
JP6064897B2 (ja) | 耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材およびその判定方法 | |
CN101835918B (zh) | 高强度厚钢板及其制造方法 | |
JP5574059B2 (ja) | 低温靭性に優れた高強度h形鋼及びその製造方法 | |
US9260771B2 (en) | Ni-added steel plate and method of manufacturing the same | |
JP5096088B2 (ja) | 靭性および疲労亀裂発生抑制特性に優れた溶接継手 | |
WO2015102051A1 (ja) | 熱間成形部材およびその製造方法 | |
JP6400516B2 (ja) | 耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材およびその製造方法 | |
JP6006477B2 (ja) | 低温靭性と強度のバランスに優れた高強度鋼板の製造方法、及びその制御方法 | |
JP5759109B2 (ja) | 脆性亀裂伝播停止特性に優れた鋼材、およびその製造方法 | |
CN104011247A (zh) | 脆性裂纹传播停止特性优良的高强度厚钢板及其制造方法 | |
JP4220871B2 (ja) | 高張力鋼板およびその製造方法 | |
JP6036616B2 (ja) | 耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた溶接構造物用鋼板およびその製造方法 | |
WO2014175122A1 (ja) | H形鋼及びその製造方法 | |
WO2020153085A1 (ja) | 厚鋼板およびその製造方法 | |
JP4645461B2 (ja) | 耐延性亀裂発生特性と耐疲労亀裂伝播特性に優れた高強度鋼材およびその製造方法 | |
JP2011202210A (ja) | 耐再熱脆化性及び低温靭性に優れた耐火鋼材並びにその製造方法 | |
JP5432565B2 (ja) | 脆性亀裂伝播停止特性および疲労亀裂進展抑制特性に優れた厚鋼板 | |
JP5812193B2 (ja) | 脆性き裂伝播停止特性に優れた構造用高強度厚鋼板およびその製造方法 | |
JP2007197776A (ja) | 耐遅れ破壊特性と耐疲労き裂伝播特性に優れた高強度鋼材およびその製造方法 | |
JP6036615B2 (ja) | 溶接性および耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた溶接構造物用鋼板およびその製造方法 | |
JP6400517B2 (ja) | 耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材およびその製造方法 | |
JP2006299365A (ja) | 音響異方性の少ない母材靭性に優れた厚鋼板およびその製造方法 | |
JP6210112B2 (ja) | 疲労特性に優れた高強度鋼材およびその製造方法 | |
JP4924047B2 (ja) | 表面残留応力の絶対値が150N/mm2以下の耐疲労亀裂伝播特性に優れた鋼材の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20150727 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20160314 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160426 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160624 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20161122 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20161205 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6064897 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |