JP2013241996A - 無段変速伝動機構のチェーンリンク挟圧力制御装置 - Google Patents
無段変速伝動機構のチェーンリンク挟圧力制御装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2013241996A JP2013241996A JP2012115648A JP2012115648A JP2013241996A JP 2013241996 A JP2013241996 A JP 2013241996A JP 2012115648 A JP2012115648 A JP 2012115648A JP 2012115648 A JP2012115648 A JP 2012115648A JP 2013241996 A JP2013241996 A JP 2013241996A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- chain link
- pulley
- clamping pressure
- endless chain
- secondary pulley
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 230000005540 biological transmission Effects 0.000 title claims description 50
- 238000012937 correction Methods 0.000 claims abstract description 22
- 230000007423 decrease Effects 0.000 claims description 13
- 238000001514 detection method Methods 0.000 claims description 2
- 238000004519 manufacturing process Methods 0.000 abstract description 9
- 239000002699 waste material Substances 0.000 abstract description 6
- 230000003449 preventive effect Effects 0.000 abstract 1
- 230000002093 peripheral effect Effects 0.000 description 12
- 238000004804 winding Methods 0.000 description 9
- 239000000446 fuel Substances 0.000 description 7
- 238000000034 method Methods 0.000 description 7
- 230000008878 coupling Effects 0.000 description 4
- 238000010168 coupling process Methods 0.000 description 4
- 238000005859 coupling reaction Methods 0.000 description 4
- 230000006866 deterioration Effects 0.000 description 3
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 3
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 2
- 238000003780 insertion Methods 0.000 description 2
- 230000037431 insertion Effects 0.000 description 2
- 230000002265 prevention Effects 0.000 description 2
- 238000004364 calculation method Methods 0.000 description 1
- 238000006243 chemical reaction Methods 0.000 description 1
- 238000004891 communication Methods 0.000 description 1
- 230000003247 decreasing effect Effects 0.000 description 1
- 238000006073 displacement reaction Methods 0.000 description 1
- 238000005516 engineering process Methods 0.000 description 1
- 238000002474 experimental method Methods 0.000 description 1
- 238000005259 measurement Methods 0.000 description 1
Images
Landscapes
- Control Of Transmission Device (AREA)
- Pulleys (AREA)
- Transmissions By Endless Flexible Members (AREA)
Abstract
【課題】チェーンがプーリ中心ボス部外周の進退可能な可動歯と噛み合う変速比でポンプ駆動エネルギーような狭圧力発生エネルギーの浪費に関する問題を解消する。
【解決手段】セカンダリプーリ圧Ps(チェーン挟圧力)を、通常通りに決定されたA1点における油圧値PsL(チェーン挟圧力のみでスリップ防止可能な値)から、製造当初の可動歯の分担可能トルク初期値に相当するΔPsLだけ低下させる。当該低下時おけるチェーンのスリップ率Sと、製造当初におけるチェーンの初期スリップ率So(=0)との間におけるスリップ率偏差ΔS=|S−So|がA2点に例示するごとく許容上限値ΔSmax以下であれば、スリップ率偏差ΔSをA3点に示すごとく0にするためのセカンダリプーリ圧補正量(チェーンリンク挟圧力補正量)ΔPsHを求め、セカンダリプーリ圧Psを、A1点における油圧値PsLからΔPsHだけ低下補正して得られたPs=PsH=PsL−ΔPsを、最ハイ変速比でのセカンダリプーリにおけるチェーンの挟圧力制御に資する。
【選択図】図9
【解決手段】セカンダリプーリ圧Ps(チェーン挟圧力)を、通常通りに決定されたA1点における油圧値PsL(チェーン挟圧力のみでスリップ防止可能な値)から、製造当初の可動歯の分担可能トルク初期値に相当するΔPsLだけ低下させる。当該低下時おけるチェーンのスリップ率Sと、製造当初におけるチェーンの初期スリップ率So(=0)との間におけるスリップ率偏差ΔS=|S−So|がA2点に例示するごとく許容上限値ΔSmax以下であれば、スリップ率偏差ΔSをA3点に示すごとく0にするためのセカンダリプーリ圧補正量(チェーンリンク挟圧力補正量)ΔPsHを求め、セカンダリプーリ圧Psを、A1点における油圧値PsLからΔPsHだけ低下補正して得られたPs=PsH=PsL−ΔPsを、最ハイ変速比でのセカンダリプーリにおけるチェーンの挟圧力制御に資する。
【選択図】図9
Description
本発明は、無段変速伝達機構に関し、特に無終端チェーンリンクと、これを無段変速可能に巻き掛けしたプーリとから成る無段変速伝動機構のチェーンリンク挟圧力制御装置に関するものである。
この種の無段変速伝動機構としてはVベルト式無段変速機が良く知られており、無終端チェーンリンクをプーリのV溝に掛け渡して動力伝達可能となす一方、この動力伝達中にプーリV溝の溝幅を変更することでプーリに対する無終端チェーンリンクの巻き掛け径を連続的に変化させることにより、無段変速が可能となるよう構成する。
他方、無段変速伝動機構のスリップを抑制して伝動効率を高める技術として従来、例えば特許文献1に記載のごとく、プーリV溝の底面を画成するプーリの中心ボス部外周面に歯を突設し、無終端チェーンリンクの内周に形成した歯溝がプーリ中心ボス部外周面の歯と噛み合う伝動比である間、プーリおよび無終端チェーンリンク間のスリップを防止して無段変速伝動機構の伝動効率を高める技術が提案されている。
他方で特許文献1には、プーリ中心ボス部の外周面に設ける歯をバネ手段で径方向外方へ附勢して径方向進退可能に設けた可動歯となし、この可動歯が、無終端チェーンリンクに設けた可動歯噛合溝と噛み合った伝動比でのスリップ防止を実現可能にした技術も提案されている。
この提案技術によれば、上記の可動歯が無終端チェーンリンクの内周歯溝と噛み合い損なった場合、無終端チェーンリンクの内周により径方向内方へ後退され得ることから、プーリ中心ボス部外周の歯が無終端チェーンリンクとの干渉により、この無終端チェーンリンクを損傷させるようなことがなくて、耐久性の点で有利である。
しかし上記した先の提案技術にあっては、上記の径方向進退可能な可動歯が、無終端チェーンリンクの可動歯噛合溝と噛み合った伝動比でも、当該噛み合いが行われていない伝動比におけると同様に、プーリV溝の溝幅方向における無終端チェーンリンクの挟圧力を、無終端チェーンリンクがプーリに対してスリップすることのないよう伝達トルク対応の値に制御する。
つまり、無終端チェーンリンクと可動歯との噛み合いがなくても、無終端チェーンリンクの挟圧力のみで無終端チェーンリンクがプーリに対してスリップすることのないよう無終端チェーンリンクの挟圧力を制御していた。
つまり、無終端チェーンリンクと可動歯との噛み合いがなくても、無終端チェーンリンクの挟圧力のみで無終端チェーンリンクがプーリに対してスリップすることのないよう無終端チェーンリンクの挟圧力を制御していた。
このため、無終端チェーンリンクが可動歯との噛み合いによりプーリに対しスリップ防止されているのに、更に加えて無終端チェーンリンクの挟圧力によっても無終端チェーンリンクがプーリに対しスリップしないよう無終端チェーンリンクの挟圧力を制御していることとなる。
しかし、無終端チェーンリンクが可動歯との噛み合っている伝動比で無終端チェーンリンクの挟圧力が全く無駄という訳でもなく、その理由は以下のためである。
しかし、無終端チェーンリンクが可動歯との噛み合っている伝動比で無終端チェーンリンクの挟圧力が全く無駄という訳でもなく、その理由は以下のためである。
プーリ中心ボス部の外周面に設けた可動歯を径方向進退可能にすべく径方向外方へ附勢するバネ手段は経時劣化し、そのバネ力で決まる可動歯を介した無終端チェーンリンク及びプーリ間の分担可能トルクも、製造後の時間経過につれて低下する。
それ故にこの時間経過につれ無終端チェーンリンクと可動歯との噛み合いのみにより無終端チェーンリンクがプーリに対してスリップしないようにすることができなくなり、この場合は無終端チェーンリンクの挟圧力によって上記可動歯の分担可能トルクを補佐し、製造後の時間経過によっても無終端チェーンリンクがプーリに対してスリップしないようにする必要がある。
しかし従来のごとく無終端チェーンリンクの挟圧力を、それのみによって無終端チェーンリンクがプーリに対してスリップしない大きさに決定するのでは、無終端チェーンリンクの挟圧力が要求に対して過大となる。
無終端チェーンリンクの挟圧は、プーリのV溝を画成する同軸対向シーブへの軸線方向油圧による推力で行っており、この油圧を発生させるポンプの駆動にエネルギーが消費される。
よって、無終端チェーンリンクの挟圧力過大分がポンプ駆動エネルギーの浪費となり、燃費の悪化を招くという問題を生ずる。
無終端チェーンリンクの挟圧は、プーリのV溝を画成する同軸対向シーブへの軸線方向油圧による推力で行っており、この油圧を発生させるポンプの駆動にエネルギーが消費される。
よって、無終端チェーンリンクの挟圧力過大分がポンプ駆動エネルギーの浪費となり、燃費の悪化を招くという問題を生ずる。
本発明は、上記ポンプ駆動エネルギーの浪費(燃費の悪化)に関する問題を解消し得るようにした無段変速伝動機構のチェーンリンク挟圧力制御装置を提供することを目的とする。
この目的のため、本発明による無段変速伝動機構のチェーンリンク挟圧力制御装置は、以下のごとくにこれを構成する。
先ず、本発明の要旨構成の基礎前提となる無段変速伝動機構を説明するに、これは、
無終端チェーンリンクと、この無終端チェーンリンクを無段変速可能に巻き掛けしたプーリとから成り、該プーリの中心ボス部外周にバネ手段で径方向外方へ附勢して径方向進退可能に設けた可動歯と、前記無終端チェーンリンクに設けた可動歯噛合溝とが噛み合い可能なものである。
先ず、本発明の要旨構成の基礎前提となる無段変速伝動機構を説明するに、これは、
無終端チェーンリンクと、この無終端チェーンリンクを無段変速可能に巻き掛けしたプーリとから成り、該プーリの中心ボス部外周にバネ手段で径方向外方へ附勢して径方向進退可能に設けた可動歯と、前記無終端チェーンリンクに設けた可動歯噛合溝とが噛み合い可能なものである。
本発明は、かかる無段変速伝動機構に対し以下のようなチェーンリンク挟圧力低下手段と、チェーンリンクスリップ量検出手段と、チェーンリンク挟圧力補正手段とを設けた構成に特徴づけられる。
チェーンリンク挟圧力低下手段は、前記可動歯と前記可動歯噛合溝とが噛み合った状態から、前記可動歯を有したプーリによる前記無終端チェーンリンクの挟圧力を第1所定量より低下量が大きな第2所定量低下させるものである。
またチェーンリンクスリップ量検出手段は、チェーンリンク挟圧力低下手段による無終端チェーンリンクの挟圧力低下で生じた前記無終端チェーンリンクのスリップ量を検出するものである。
更にチェーンリンク挟圧力補正手段は、前記スリップ量に基き、前記第1所定量低下させて狭圧力を設定するものである。
またチェーンリンクスリップ量検出手段は、チェーンリンク挟圧力低下手段による無終端チェーンリンクの挟圧力低下で生じた前記無終端チェーンリンクのスリップ量を検出するものである。
更にチェーンリンク挟圧力補正手段は、前記スリップ量に基き、前記第1所定量低下させて狭圧力を設定するものである。
このような本発明による無段変速伝動機構のチェーンリンク挟圧力制御装置にあっては、無終端チェーンリンクの挟圧力を、可動歯の分担可能トルクとの共働により無終端チェーンリンクがプーリに対してスリップしないような大きさに決定し得ることとなる。
よって、無終端チェーンリンクの挟圧力が要求に対して過大になるのを防止することができ、挟圧力発生エネルギー(通常はポンプ駆動エネルギー)の浪費により燃費が悪化するという問題を解消することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
<実施例の構成>
図1〜6は、本発明の一実施例になるチェーンリンク挟圧力制御装置を具えた無段変速伝動機構を示し、図1は、無段変速伝動機構10の全体を示す概略側面図、図2は、そのセカンダリプーリ側における巻き掛け伝動部の詳細図である。
<実施例の構成>
図1〜6は、本発明の一実施例になるチェーンリンク挟圧力制御装置を具えた無段変速伝動機構を示し、図1は、無段変速伝動機構10の全体を示す概略側面図、図2は、そのセカンダリプーリ側における巻き掛け伝動部の詳細図である。
図1において、11は、無段変速伝動機構10の駆動側プーリであるプライマリプーリ、12は、従動側プーリであるセカンダリプーリを示す。
これらプライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12間に無終端チェーンリンク13を掛け渡して設け、無段変速伝動機構10は、この無終端チェーンリンク13を介しプライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12間で動力伝達を行い得るものとする。
これらプライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12間に無終端チェーンリンク13を掛け渡して設け、無段変速伝動機構10は、この無終端チェーンリンク13を介しプライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12間で動力伝達を行い得るものとする。
プライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12はそれぞれ、回転軸線方向に正対する対向シーブ11a,12a(図1では手前側のシーブを除去して、向こう側のシーブのみを示す)を具え、これら対向シーブ11a,11a間および対向シーブ12a,12a間にプーリV溝を画成したV溝プーリとする。
無終端チェーンリンク13は、図2に明示するごとく、多数のリンク板14を順次、その両端におけるリンクピン挿通孔14a内のリンクピン15で数珠繋ぎに連結して連続円環状に構成する。
そして各リンクピン15の両端面は、プライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12のプーリV溝側壁を提供する対向シーブ11aの内側面および対向シーブ12aの内側面と面接触するよう傾斜させる。
そして各リンクピン15の両端面は、プライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12のプーリV溝側壁を提供する対向シーブ11aの内側面および対向シーブ12aの内側面と面接触するよう傾斜させる。
かくて無終端チェーンリンク13は、プーリ巻き付き領域においてリンクピン15を、プライマリプーリ11の対向シーブ11a,11a間およびセカンダリプーリ12の対向シーブ12a,12a間に挟圧され、プライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12間での動力伝達を行うことができる。
プライマリプーリ11の対向シーブ11aは、その一方を固定シーブとし、他方を軸線方向にストローク制御可能な可動シーブとする。
セカンダリプーリ12の対向シーブ12aは図3(a),(b)に示すように、プライマリプーリ11の可動シーブと同じ側におけるシーブ12a_1をプーリ中心ボス部16に固着した固定シーブとし、プライマリプーリ11の固定シーブと同じ側におけるシーブ12a_2をプーリ中心ボス部16にスプライン嵌合させて軸線方向にストローク制御可能な可動シーブとする。
セカンダリプーリ12の対向シーブ12aは図3(a),(b)に示すように、プライマリプーリ11の可動シーブと同じ側におけるシーブ12a_1をプーリ中心ボス部16に固着した固定シーブとし、プライマリプーリ11の固定シーブと同じ側におけるシーブ12a_2をプーリ中心ボス部16にスプライン嵌合させて軸線方向にストローク制御可能な可動シーブとする。
プライマリプーリ11の可動シーブおよびセカンダリプーリ12の可動シーブ12a_2にそれぞれ、対向する固定シーブに向かう方向の油圧によるプーリ推力を作用させて無終端チェーンリンク13をプーリ軸線方向に挟圧することにより前記の動力伝達を可能ならしめる。
この動力伝達中、プライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12間におけるプーリ推力比の制御により、プライマリプーリ11の可動シーブを固定シーブに対し接近させてプーリV溝幅を狭くすると同時に、セカンダリプーリ12の可動シーブ12a_2を固定シーブ12a_1から遠ざけてプーリV溝幅を広くする。
よって無終端チェーンリンク13は、プライマリプーリ11に対する巻き掛け径を増大されると共に、セカンダリプーリ12に対する巻き掛け径を小さくされ、無段変速伝動機構10は図1,2に示す最ハイ変速比選択状態に向け無段変速下にアップシフト可能である。
この動力伝達中、プライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12間におけるプーリ推力比の制御により、プライマリプーリ11の可動シーブを固定シーブに対し接近させてプーリV溝幅を狭くすると同時に、セカンダリプーリ12の可動シーブ12a_2を固定シーブ12a_1から遠ざけてプーリV溝幅を広くする。
よって無終端チェーンリンク13は、プライマリプーリ11に対する巻き掛け径を増大されると共に、セカンダリプーリ12に対する巻き掛け径を小さくされ、無段変速伝動機構10は図1,2に示す最ハイ変速比選択状態に向け無段変速下にアップシフト可能である。
逆に、プライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12間におけるプーリ推力比の制御により、プライマリプーリ11の可動シーブを固定シーブから遠ざけてプーリV溝幅を広くすると同時に、セカンダリプーリ12の可動シーブ12a_2を固定シーブ12a_1に対し接近させてプーリV溝幅を狭くする。
よって無終端チェーンリンク13は、プライマリプーリ11に対する巻き掛け径を小さくされると共に、セカンダリプーリ12に対する巻き掛け径を増大され、無段変速伝動機構10は図1に示す最ハイ変速比選択状態から図示せざる最ロー変速比選択状態に向け無段変速下にダウンシフト可能である。
よって無終端チェーンリンク13は、プライマリプーリ11に対する巻き掛け径を小さくされると共に、セカンダリプーリ12に対する巻き掛け径を増大され、無段変速伝動機構10は図1に示す最ハイ変速比選択状態から図示せざる最ロー変速比選択状態に向け無段変速下にダウンシフト可能である。
前記した図1の最ハイ変速比選択状態でセカンダリプーリ12に対する無終端チェーンリンク13のスリップを防止または抑制して無段変速伝動機構10の伝動効率を向上させるため、図1,2では、セカンダリプーリ12の中心ボス部16に、その外周面から突出するよう複数個の可動歯17を円周方向等間隔に配して設ける。
これら可動歯17は、セカンダリプーリ中心ボス部16の外周面に設けた円筒状の可動歯ガイド18によりプーリ径方向へ案内すると共に、図3(a)に示すごとくセカンダリプーリ12の固定シーブ12a_1および可動シーブ12a_2の内周面12bによりプーリ径方向外方への変位を制限する。
これら可動歯17は、セカンダリプーリ中心ボス部16の外周面に設けた円筒状の可動歯ガイド18によりプーリ径方向へ案内すると共に、図3(a)に示すごとくセカンダリプーリ12の固定シーブ12a_1および可動シーブ12a_2の内周面12bによりプーリ径方向外方への変位を制限する。
かくして可動歯17は、セカンダリプーリ中心ボス部16の外周面に対し制限範囲内で径方向へ進退可能であるが、後で詳述するようなバネ手段19により、図1,2および図3(a)に示すごとく可動歯ガイド18から径方向外方へ突出した進出限界位置に弾支する。
無終端チェーンリンク13の内周縁を画成する各リンク板14の内側縁には、セカンダリプーリ12に対する巻き掛け領域において、可動歯17の突出先端が図2および図3(a)のごとくに噛み合うための可動歯噛合溝14bを設ける。
そして、可動歯17と可動歯噛合溝14bとの噛み合いにより、最ハイ変速比選択状態でセカンダリプーリ12に対する無終端チェーンリンク13のスリップを防止または抑制し、無段変速伝動機構10の伝動効率を向上させることができる。
そして、可動歯17と可動歯噛合溝14bとの噛み合いにより、最ハイ変速比選択状態でセカンダリプーリ12に対する無終端チェーンリンク13のスリップを防止または抑制し、無段変速伝動機構10の伝動効率を向上させることができる。
しかして可動歯17は、可動歯噛合溝14bと整列せずこれとの噛み合いが不能である場合、図3(b)に示すごとくバネ手段19に抗してリンク板14の内側縁により可動歯ガイド18内に押し込まれた後退位置となり得て、可動歯17が無終端チェーンリンク13との干渉によりこれを損傷させるようなことがない。
<バネ手段の詳細>
可動歯ガイド18内の可動歯17を、セカンダリプーリ中心ボス部16の外周でその径方向外方へ附勢するバネ手段19を、本実施例においては図3,4に示すごとく2個一組とし、これらバネ手段19を可動歯17の長手方向、つまりセカンダリプーリ中心ボス部16の軸線方向へ分散配置する。
この分散配置に当たり、好ましくはバネ手段19が可動歯17の長手方向に等分にバネ力を付与するよう分散させるのが良い。
可動歯ガイド18内の可動歯17を、セカンダリプーリ中心ボス部16の外周でその径方向外方へ附勢するバネ手段19を、本実施例においては図3,4に示すごとく2個一組とし、これらバネ手段19を可動歯17の長手方向、つまりセカンダリプーリ中心ボス部16の軸線方向へ分散配置する。
この分散配置に当たり、好ましくはバネ手段19が可動歯17の長手方向に等分にバネ力を付与するよう分散させるのが良い。
各バネ手段19は全てを同様なものとし、図4〜6につき説明する以下のごとき構成とする。
本実施例におけるバネ手段19は、その全体を図5(a)および図6に示すように、線状体のU字状エレメント21と、同じく線状体の連結エレメント22とを交互に同一円周上に配置して一体ユニットとなす。
本実施例におけるバネ手段19は、その全体を図5(a)および図6に示すように、線状体のU字状エレメント21と、同じく線状体の連結エレメント22とを交互に同一円周上に配置して一体ユニットとなす。
U字状エレメント21は、セカンダリプーリ中心ボス部16の外周と各可動歯17との間において、つまり可動歯ガイド18の対応する可動歯収容溝18a内において、該中心ボス部外周の母線方向へ延在するよう介在させる。
従ってU字状エレメント21は可動歯17と同数だけ存在し、これらU字状エレメント21は、その対向脚部21aが相互非結合端においてセカンダリプーリ中心ボス部16の外周に着座し、これら対向脚部21aが相互結合端において可動歯17に着座するよう指向させ、当該U字状エレメント21の指向方向を2個のバネ手段19で同じとする。
従ってU字状エレメント21は可動歯17と同数だけ存在し、これらU字状エレメント21は、その対向脚部21aが相互非結合端においてセカンダリプーリ中心ボス部16の外周に着座し、これら対向脚部21aが相互結合端において可動歯17に着座するよう指向させ、当該U字状エレメント21の指向方向を2個のバネ手段19で同じとする。
隣り合うU字状エレメント21の隣接脚部21a同士を、両者の相互非結合端において連結エレメント22により結合し合うことにより、全てのU字状エレメント21を相互に一体化する。
これらU字状エレメント21の一体化に際しては、U字状エレメント21を、対向脚部21aの相互結合端が相互非結合端よりも可動歯17に近づくよう、図6にθで示す角度だけ傾斜させて、U字状エレメント21が全周に亘って皿バネ形状に存在するようなものとする。
かくてバネ手段19は、線状エレメント21,22の交互組み合わせに成る連続線状体となり、捩りバネ型式の構造を持つこととなる。
これらU字状エレメント21の一体化に際しては、U字状エレメント21を、対向脚部21aの相互結合端が相互非結合端よりも可動歯17に近づくよう、図6にθで示す角度だけ傾斜させて、U字状エレメント21が全周に亘って皿バネ形状に存在するようなものとする。
かくてバネ手段19は、線状エレメント21,22の交互組み合わせに成る連続線状体となり、捩りバネ型式の構造を持つこととなる。
ところでバネ手段19は、図5(a)のVIII部において隣り合うU字状エレメント21の隣接脚部21a同士を連結せず、U字状エレメント21の一体化ユニットであるバネ手段19を、1箇所23が切り欠かれたC字状に構成する。
上記のような図5,6に示すC字状のバネ手段19は、後述する組み付けを可能にするため、図5(a),(b)の切り欠き箇所23を設定するのに加えて、当該組み付けを容易にするため、自由状態での内径をセカンダリプーリ中心ボス部16の外径よりも若干大きくする。
かかるC字状のバネ手段19は2個一組とし、それぞれを図5(a),(b)の切り欠き箇所23において円周方向に拡開させ、この拡開状態でバネ手段19の連結エレメント22を図4および図7(a),(b)に示すごとく可動歯ガイド18上の対応する円周溝18bに嵌合する。
このとき2個のC字状バネ手段19は、U字状エレメント21が可動歯収容溝18aと整列するような円周方向位置となす。
かかるC字状のバネ手段19は2個一組とし、それぞれを図5(a),(b)の切り欠き箇所23において円周方向に拡開させ、この拡開状態でバネ手段19の連結エレメント22を図4および図7(a),(b)に示すごとく可動歯ガイド18上の対応する円周溝18bに嵌合する。
このとき2個のC字状バネ手段19は、U字状エレメント21が可動歯収容溝18aと整列するような円周方向位置となす。
かようにC字状バネ手段19をセカンダリプーリ中心ボス部16の外周面(可動歯ガイド18上の対応する円周溝)に嵌合した後、可動歯ガイド18上の可動歯収容溝18a内に可動歯17を差し込んで、可動歯ガイド18に対するバネ手段19および可動歯17の組付けを完了する。
上記したようなバネ手段19は、図6に示すU字状エレメント21の傾斜角θを適切に設定することにより、可動歯ガイド18上の可動歯収容溝18a内に可動歯17を差し込んで組み付けるとき、U字状エレメント21の対向脚部21aが相互結合端において可動歯17により径方向内方へ押し込まれ、連結エレメント22を捩り変形させる。
よって可動歯17の組み付け時に、連結エレメント22の捩り変形反力が可動歯17を可動歯ガイド18の可動歯収容溝18a内で径方向外方へ附勢し、可動歯17を通常は可動歯ガイド18の可動歯収容溝18aから径方向外方へ突出した図3(a)および図7(a),(b)の進出限界位置に弾支することができ、最ハイ変速比選択状態において前記したスリップ防止を実現し得る。
よって可動歯17の組み付け時に、連結エレメント22の捩り変形反力が可動歯17を可動歯ガイド18の可動歯収容溝18a内で径方向外方へ附勢し、可動歯17を通常は可動歯ガイド18の可動歯収容溝18aから径方向外方へ突出した図3(a)および図7(a),(b)の進出限界位置に弾支することができ、最ハイ変速比選択状態において前記したスリップ防止を実現し得る。
<チェーンリンク挟圧力制御>
プライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12による無終端チェーンリンク13の挟圧力制御に当たっては、無終端チェーンリンク13が可動歯17と噛み合った最ハイ変速比選択状態以外の変速状態である間、この変速状態が得られるようプライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12間におけるプーリ推力比を制御する。また、これらプライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12に対し無終端チェーンリンク13がスリップすることのないよう両プーリ11,12のプーリ推力(無終端チェーンリンク13の挟圧力)を決定する。
プライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12による無終端チェーンリンク13の挟圧力制御に当たっては、無終端チェーンリンク13が可動歯17と噛み合った最ハイ変速比選択状態以外の変速状態である間、この変速状態が得られるようプライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12間におけるプーリ推力比を制御する。また、これらプライマリプーリ11およびセカンダリプーリ12に対し無終端チェーンリンク13がスリップすることのないよう両プーリ11,12のプーリ推力(無終端チェーンリンク13の挟圧力)を決定する。
しかし無終端チェーンリンク13が可動歯17と噛み合った最ハイ変速比選択状態でも同じように無終端チェーンリンク13の挟圧力を決定すると、つまり当該チェーンリンク挟圧力を、それのみによって無終端チェーンリンク13がプーリ11,12に対しスリップしない大きさに決定すると、可動歯17の分担可能トルクに相当する大きさだけ、セカンダリプーリ12による無終端チェーンリンクの挟圧力が要求に対して過大となる。
ところで無終端チェーンリンク13の挟圧は前記した通り、プーリ11,12のV溝を画成する同軸対向シーブへの軸線方向油圧による推力で行っており、この油圧を発生させるポンプの駆動にエネルギーが消費される。
よって、無終端チェーンリンク13の上記した挟圧力過大分がポンプ駆動エネルギーの浪費となり、燃費の悪化を招くという問題を生ずる。
よって、無終端チェーンリンク13の上記した挟圧力過大分がポンプ駆動エネルギーの浪費となり、燃費の悪化を招くという問題を生ずる。
本実施例においては、この問題が生じないようにするため、図8に示す制御プログラムの実行により、最ハイ変速比でのセカンダリプーリ12によるチェーンリンク挟圧力を以下のごとくに制御する。
先ずその原理を図9に基づき説明するに、図9の横軸は最ハイ変速比でのセカンダリプーリ12に対する無終端チェーンリンク13の実スリップ率Sと、製造当初における最ハイ変速比でのセカンダリプーリ12に対する無終端チェーンリンク13の初期スリップ率Soとの間におけるスリップ率偏差(絶対値)ΔS=|S−So|を示す。また、図9の縦軸は最ハイ変速比でのセカンダリプーリ12による無終端チェーンリンク13の挟圧力を表すセカンダリプーリ圧Psを示す。
先ずその原理を図9に基づき説明するに、図9の横軸は最ハイ変速比でのセカンダリプーリ12に対する無終端チェーンリンク13の実スリップ率Sと、製造当初における最ハイ変速比でのセカンダリプーリ12に対する無終端チェーンリンク13の初期スリップ率Soとの間におけるスリップ率偏差(絶対値)ΔS=|S−So|を示す。また、図9の縦軸は最ハイ変速比でのセカンダリプーリ12による無終端チェーンリンク13の挟圧力を表すセカンダリプーリ圧Psを示す。
ここで最ハイ変速比での初期スリップ率Soは、プライマリプーリ回転数の実測値をNpとし、製造当初におけるセカンダリプーリ回転数の初期値をNso(前記した通り本実施例では0)とし、変速比をi(=Nso/Np)とすると、次式により表される。
So={(Np−Nso×i)/Np}×100[%] ・・・(1)
また実スリップ率Sは、プライマリプーリ回転数の実測値をNpとし、セカンダリプーリ回転数の実測値をNsとし、変速比をi(=Nso/Np)とすると、次式により表される。
S={(Np−Ns×i)/Np}×100[%] ・・・(2)
So={(Np−Nso×i)/Np}×100[%] ・・・(1)
また実スリップ率Sは、プライマリプーリ回転数の実測値をNpとし、セカンダリプーリ回転数の実測値をNsとし、変速比をi(=Nso/Np)とすると、次式により表される。
S={(Np−Ns×i)/Np}×100[%] ・・・(2)
図9の横軸におけるスリップ率偏差ΔS=|S−So|=0は、セカンダリプーリ回転数の初期値Nsoが本実施例の場合0であることから、実スリップ率Sが0であることを意味し、また同様な理由(Nso=0であること)から、図9の横軸に目盛ったスリップ率偏差ΔSは、実質的に実スリップ率Sに相当する。
また図9の横軸におけるスリップ率偏差ΔSmax=5%は、無終端チェーンリンク13がセカンダリプーリ12に対し凝着するほどのスリップを生じないスリップ率偏差ΔSの許容上限値(実スリップ率Sの許容上限値)である。
また図9の横軸におけるスリップ率偏差ΔSmax=5%は、無終端チェーンリンク13がセカンダリプーリ12に対し凝着するほどのスリップを生じないスリップ率偏差ΔSの許容上限値(実スリップ率Sの許容上限値)である。
本実施例では、先ずセカンダリプーリ圧Ps(無終端チェーンリンク13の挟圧力)を、最ハイ変速比以外で行っていたと同様の要領により決定された図9のA1点における油圧値PsL(チェーンリンク挟圧力のみで無終端チェーンリンク13がセカンダリプーリ12に対しスリップしないようにし得るチェーンリンク挟圧力)から、製造当初のバネ手段19による可動歯17の分担可能トルク初期値に相当するセカンダリプーリ圧低下量ΔPsLだけ低下させる。
そして、かかるセカンダリプーリ圧Ps(無終端チェーンリンク13の挟圧力)の低下時におけるスリップ率偏差ΔS(実質的には実スリップ率S)を求める。このスリップ率偏差ΔS(実スリップ率S)が図9のA2点におけるごとく、許容上限スリップ率偏差ΔSmax=5%以下である場合は、セカンダリプーリ圧Ps(無終端チェーンリンク13の挟圧力)が、可動歯17の分担可能トルクとの共働により丁度、スリップ率偏差ΔS(実スリップ率S)を図9のA2点における値から同図にA3点におけるごとく0となすような値PsHになるよう、スリップ率偏差ΔS(実スリップ率S)を、図9のA1点における油圧値PsL(チェーンリンク挟圧力のみで無終端チェーンリンク13がセカンダリプーリ12に対しスリップしないようにし得るチェーンリンク挟圧力)よりも同図にΔPsHだけ低い値PsHへと補正する。
一方、上記したセカンダリプーリ圧Ps(無終端チェーンリンク13の挟圧力)の低下時におけるスリップ率偏差ΔS(実スリップ率S)が図9のA4点におけるごとく、許容上限スリップ率偏差ΔSmax=5%を超える場合は、上記セカンダリプーリ圧Ps(無終端チェーンリンク13の挟圧力)の低下補正時に無終端チェーンリンク13がセカンダリプーリ12に対し凝着するなど、故障の原因となる。
そこでこのような場合は、セカンダリプーリ圧Ps(無終端チェーンリンク13の挟圧力)の上記した低下補正を行わず、セカンダリプーリ圧Ps(無終端チェーンリンク13の挟圧力)を直ちに図9のA4点から破線矢印で示すように低下前のA1点におけるPsLへと戻す。
そこでこのような場合は、セカンダリプーリ圧Ps(無終端チェーンリンク13の挟圧力)の上記した低下補正を行わず、セカンダリプーリ圧Ps(無終端チェーンリンク13の挟圧力)を直ちに図9のA4点から破線矢印で示すように低下前のA1点におけるPsLへと戻す。
図9につき上述した原理に基づき本実施例においては、最ハイ変速比でのセカンダリプーリ12による無終端チェーンリンク13の挟圧力(チェーンリンク挟圧力)を、図8に示す制御プログラムの実行により以下のごとくに制御する。
図8のステップS11においては、セカンダリプーリ圧Ps(チェーンリンク挟圧力)を、最ハイ変速比以外で行っていたと同様の要領により決定された図9のA1点における油圧値PsL(チェーンリンク挟圧力のみで無終端チェーンリンク13がセカンダリプーリ12に対しスリップしないようにし得るチェーンリンク挟圧力)から、製造当初のバネ手段19による可動歯17の分担可能トルク初期値に相当するセカンダリプーリ圧低下量ΔPsL(第2所定量)だけ低下させる。なお、本実施例において、ステップS11をチェーンリンク挟圧力低下手段とする。
図8のステップS11においては、セカンダリプーリ圧Ps(チェーンリンク挟圧力)を、最ハイ変速比以外で行っていたと同様の要領により決定された図9のA1点における油圧値PsL(チェーンリンク挟圧力のみで無終端チェーンリンク13がセカンダリプーリ12に対しスリップしないようにし得るチェーンリンク挟圧力)から、製造当初のバネ手段19による可動歯17の分担可能トルク初期値に相当するセカンダリプーリ圧低下量ΔPsL(第2所定量)だけ低下させる。なお、本実施例において、ステップS11をチェーンリンク挟圧力低下手段とする。
次のステップS12においては、上記ステップS11で行ったセカンダリプーリ圧Psの低下(Ps=PsL−ΔPsL)に伴う無終端チェーンリンク13のセカンダリプーリ12に対するスリップ率Sを前記(2)式の演算により求める。なお、本実施例において、ステップS12をチェーンリンクスリップ量検出手段とする。
ステップS13においては、ステップS12で求めた実スリップ率Sと、製造当初における最ハイ変速比でのセカンダリプーリ12に対する無終端チェーンリンク13の初期スリップ率Soとの間におけるスリップ率偏差(絶対値)ΔS=|S−So|を演算する。
ステップS14においては、上記のスリップ率偏差ΔSが図9のA2点に例示するごとく許容上限値ΔSmax以下であるか否かをチェックし、ΔS≦ΔSmaxであればステップS15において、図10のマップを基にスリップ率偏差ΔSからセカンダリプーリ圧補正量(チェーンリンク挟圧力補正量)ΔPsHを検索する。
このセカンダリプーリ圧補正量(チェーンリンク挟圧力補正量)ΔPsHは、図9のA1点における油圧値PsL(チェーンリンク挟圧力のみで無終端チェーンリンク13がセカンダリプーリ12に対しスリップしないようにし得るチェーンリンク挟圧力)からのセカンダリプーリ圧低下補正量である。
なお、当該補正後のセカンダリプーリ圧Ps=PsH=PsL−ΔPsHが可動歯17の分担可能トルクとの共働により丁度、スリップ率偏差ΔS(実スリップ率S)を図9のA2点における値から同図にA3点におけるごとく0となすためのセカンダリプーリ圧補正量として予め実験などにより求めておく。
このセカンダリプーリ圧補正量(チェーンリンク挟圧力補正量)ΔPsHは、図9のA1点における油圧値PsL(チェーンリンク挟圧力のみで無終端チェーンリンク13がセカンダリプーリ12に対しスリップしないようにし得るチェーンリンク挟圧力)からのセカンダリプーリ圧低下補正量である。
なお、当該補正後のセカンダリプーリ圧Ps=PsH=PsL−ΔPsHが可動歯17の分担可能トルクとの共働により丁度、スリップ率偏差ΔS(実スリップ率S)を図9のA2点における値から同図にA3点におけるごとく0となすためのセカンダリプーリ圧補正量として予め実験などにより求めておく。
次のステップS16においては、セカンダリプーリ圧Psを、図9のA1点における油圧値PsLから上記のΔPsHだけ低下補正して、Ps=PsH=PsL−ΔPsを求め、当該補正後のセカンダリプーリ圧Psを、最ハイ変速比でのセカンダリプーリ12における無終端チェーンリンク13の挟圧力制御に資する。なお、本実施例において、ステップS16をチェーンリンク挟圧力補正手段とする。
ステップS14でスリップ率偏差ΔSが図9のA4点に例示するごとく許容上限値ΔSmaxよりも大きいと判別する場合は、ステップS17においてセカンダリプーリ圧Ps(チェーンリンク挟圧力)を直ちに図9のA4点から破線矢印で示すように低下前のA1点におけるPsLへと戻し、そのまま制御を終了することによりステップS16における上記したセカンダリプーリ圧Ps(チェーンリンク挟圧力)の低下補正を行わないこととする。
<実施例の効果>
上記した最ハイ変速比でのセカンダリプーリ12における無終端チェーンリンク13の挟圧力制御によれば、ΔS≦ΔSmaxであることを条件に(ステップS14)、セカンダリプーリ圧Psを、図9のA1点における油圧値PsLから上記のΔPsH(第1所定量)だけ低下補正して得られるセカンダリプーリ圧Ps=PsH=PsL−ΔPsによるプーリ推力で無終端チェーンリンク13をプーリ軸線方向に挟圧するため(ステップS15およびステップS16)、無終端チェーンリンク13の挟圧力を、経時劣化するバネ手段19のバネ力で決まる可動歯17の分担可能トルクとの共働により無終端チェーンリンク13がセカンダリプーリ12に対しスリップしないような大きさに決定し得ることとなる。
上記した最ハイ変速比でのセカンダリプーリ12における無終端チェーンリンク13の挟圧力制御によれば、ΔS≦ΔSmaxであることを条件に(ステップS14)、セカンダリプーリ圧Psを、図9のA1点における油圧値PsLから上記のΔPsH(第1所定量)だけ低下補正して得られるセカンダリプーリ圧Ps=PsH=PsL−ΔPsによるプーリ推力で無終端チェーンリンク13をプーリ軸線方向に挟圧するため(ステップS15およびステップS16)、無終端チェーンリンク13の挟圧力を、経時劣化するバネ手段19のバネ力で決まる可動歯17の分担可能トルクとの共働により無終端チェーンリンク13がセカンダリプーリ12に対しスリップしないような大きさに決定し得ることとなる。
よって、無終端チェーンリンク13の挟圧力が要求に対して過大になるのを防止することができ、挟圧力発生エネルギー(通常はポンプ駆動エネルギー)の浪費により燃費が悪化するという問題を解消することができる。
また本実施例では、ΔS>ΔSmaxであると判別する場合(ステップS14)、セカンダリプーリ圧Ps(チェーンリンク挟圧力)を直ちに図9のA4点から破線矢印で示すように低下前のA1点におけるPsLへと戻し(ステップS17)、ステップS16におけるセカンダリプーリ圧Ps(チェーンリンク挟圧力)の低下補正を行わないため、ΔS>ΔSmaxであるのにセカンダリプーリ圧Ps(チェーンリンク挟圧力)の低下補正を行ったことで、無終端チェーンリンク13がセカンダリプーリ12に対し凝着するなどの故障を回避することができる。
なお、本実施例では、トルクおよび回転数の入力条件が変動変動する度に演算を実施したが、最初に無終端チェーンリンク13が可動歯17と噛み合ってロックアップ状態に入る時だけ、無終端チェーンリンク13に係わる張力マップの確からしさをキャリブレーションしてもよい。これにより、刻一刻と変化する無終端チェーンリンク13の張力を変化の都度求めることない。よって、無終端チェーンリンク13が可動歯17と噛み合った伝動効率の良いロックアップ状態を持続できるため、入力条件が変動する度に無終端チェーンリンク13をセカンダリプーリ12に対し一次的にスリップさせることないので、燃費が更に向上する。また、セカンダリプーリ圧Psの前記補正量ΔPsHを図11に例示するごとくに決定することもできる。
図11につき更に付言するに、セカンダリプーリ圧補正量ΔPsHに係わる油圧マップIIにおいて、無終端チェーンリンク13からセカンダリプーリ12への入力トルクおよび入力回転数の組み合わせ(無終端チェーンリンク13からセカンダリプーリ12への入力)のうち、特定の入力に関したセカンダリプーリ圧補正量ΔPsHが特定できれば、他の入力(入力トルクおよび入力回転数の組み合わせ)に関したセカンダリプーリ圧補正量ΔPsHも特定できるように、入力(入力トルクおよび入力回転数の組み合わせ)間の関係を規定したマップを図11に示す油圧マップIIのように予め用意しておく。
そして、図11のセカンダリプーリ圧初期値PsLに係わる油圧マップIより求めたセカンダリプーリ圧初期値PsLから、図11の油圧マップIIより上記のごとくに求めたセカンダリプーリ圧補正量ΔPsHを差し引いて、補正後セカンダリプーリ圧PsHを図11の油圧マップIIIのように求め、無終端チェーンリンク13の挟圧力制御に資する。
<その他の実施例>
なお上記した実施例では、最ハイ変速比で無終端チェーンリンク13とセカンダリプーリ12との間のスリップを防止するよう、セカンダリプーリ12の中心ボス部16に可動歯17を設置する場合につき説明したが、本発明の着想は、最ロー変速比で無終端チェーンリンク13とプライマリプーリ11との間のスリップを防止するよう、プライマリプーリ11の中心ボス部に可動歯を設置する場合も同様にして適用可能であり、この場合も前記した作用効果を同様に奏し得るのは言うまでもない。
なお上記した実施例では、最ハイ変速比で無終端チェーンリンク13とセカンダリプーリ12との間のスリップを防止するよう、セカンダリプーリ12の中心ボス部16に可動歯17を設置する場合につき説明したが、本発明の着想は、最ロー変速比で無終端チェーンリンク13とプライマリプーリ11との間のスリップを防止するよう、プライマリプーリ11の中心ボス部に可動歯を設置する場合も同様にして適用可能であり、この場合も前記した作用効果を同様に奏し得るのは言うまでもない。
10 無段変速伝動機構
11 プライマリプーリ
12 セカンダリプーリ
13 無終端チェーンリンク
14 リンク板
14a リンクピン挿通孔
14b 可動歯噛合溝
15 リンクピン
16 プーリ中心ボス部
17 可動歯
18 可動歯ガイド
19 バネ手段
21 U字状エレメント
22 連結エレメント
11 プライマリプーリ
12 セカンダリプーリ
13 無終端チェーンリンク
14 リンク板
14a リンクピン挿通孔
14b 可動歯噛合溝
15 リンクピン
16 プーリ中心ボス部
17 可動歯
18 可動歯ガイド
19 バネ手段
21 U字状エレメント
22 連結エレメント
Claims (4)
- 無終端チェーンリンクと、この無終端チェーンリンクを無段変速可能に巻き掛けしたプーリとから成り、該プーリの中心ボス部外周にバネ手段で径方向外方へ附勢して径方向進退可能に設けた可動歯と、前記無終端チェーンリンクに設けた可動歯噛合溝とが噛み合い可能な無段変速伝動機構において、
前記可動歯と前記可動歯噛合溝とが噛み合った状態から、前記可動歯を有したプーリによる前記無終端チェーンリンクの挟圧力を第1所定量より低下量が大きな第2所定量低下させるチェーンリンク挟圧力低下手段と、該手段による無終端チェーンリンクの挟圧力低下で生じた前記無終端チェーンリンクのスリップ量を検出するチェーンリンクスリップ量検出手段と、前記スリップ量に基き、前記第1所定量低下させて狭圧力を設定するチェーンリンク挟圧力補正手段とを具備してなることを特徴とする無段変速伝動機構のチェーンリンク挟圧力制御装置。 - 前記第1所定量は、前記チェーンリンクスリップ量から得られる実スリップ率が大きいほど少なくするものであることを特徴とする請求項1記載の無段変速伝動機構のチェーンリンク挟圧力制御装置。
- 前記チェーンリンク挟圧力補正手段は、前記スリップ量から得られる実スリップ率が設定値を超えた場合、前記チェーンリンク挟圧力の補正を行わないことを特徴とする請求項1又は2記載の無段変速伝動機構のチェーンリンク挟圧力制御装置。
- 前記チェーンリンク挟圧力補正手段は、前記無終端チェーンリンクからプーリへの入力に係わる前記チェーンリンク挟圧力の補正量より、他の入力に係わる前記チェーンリンク挟圧力の補正量を推定して求め、該推定した補正量だけチェーンリンク挟圧力を低下補正するものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1に記載の無段変速伝動機構のチェーンリンク挟圧力制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012115648A JP2013241996A (ja) | 2012-05-21 | 2012-05-21 | 無段変速伝動機構のチェーンリンク挟圧力制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012115648A JP2013241996A (ja) | 2012-05-21 | 2012-05-21 | 無段変速伝動機構のチェーンリンク挟圧力制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013241996A true JP2013241996A (ja) | 2013-12-05 |
Family
ID=49843073
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012115648A Pending JP2013241996A (ja) | 2012-05-21 | 2012-05-21 | 無段変速伝動機構のチェーンリンク挟圧力制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2013241996A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014185716A (ja) * | 2013-03-25 | 2014-10-02 | Jatco Ltd | 無段変速機および制御方法 |
JP2014185718A (ja) * | 2013-03-25 | 2014-10-02 | Jatco Ltd | 無段変速機および制御方法 |
-
2012
- 2012-05-21 JP JP2012115648A patent/JP2013241996A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014185716A (ja) * | 2013-03-25 | 2014-10-02 | Jatco Ltd | 無段変速機および制御方法 |
JP2014185718A (ja) * | 2013-03-25 | 2014-10-02 | Jatco Ltd | 無段変速機および制御方法 |
WO2014157085A1 (ja) * | 2013-03-25 | 2014-10-02 | ジヤトコ株式会社 | 無段変速機および制御方法 |
WO2014157002A1 (ja) * | 2013-03-25 | 2014-10-02 | ジヤトコ株式会社 | 無段変速機および制御方法 |
US9765883B2 (en) | 2013-03-25 | 2017-09-19 | Jatco Ltd | Continuously variable transmission and control method therefor |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5977186B2 (ja) | 無段変速機および制御方法 | |
JP4641319B2 (ja) | 無段変速機用ベルト | |
EP2988032A1 (en) | Control device for vehicle transmission | |
CN103827546A (zh) | 环状传动带式无级变速器 | |
JP5811203B2 (ja) | 車両用駆動装置の制御装置 | |
EP1352182B1 (en) | Belt | |
CN109973607B (zh) | 车辆用动力传递装置的控制装置 | |
CN110388433A (zh) | 车辆用动力传递装置的控制装置 | |
JP2013241996A (ja) | 無段変速伝動機構のチェーンリンク挟圧力制御装置 | |
CN110345244A (zh) | 车辆用动力传递装置的控制装置 | |
US9556931B2 (en) | Element for metallic belt | |
JP5977185B2 (ja) | 無段変速機および制御方法 | |
US20070213149A1 (en) | Continuously variable V-belt transmission | |
JP7024473B2 (ja) | 車両の制御装置 | |
JP6958410B2 (ja) | 車両の制御装置 | |
JP5430532B2 (ja) | 無段変速伝動機構 | |
CN110118249A (zh) | 车辆用动力传递装置的控制装置 | |
JP5614223B2 (ja) | 無段変速伝動機構 | |
JP2012251578A (ja) | チェーン式無段変速伝動機構 | |
JP2014016008A (ja) | 無段変速伝動機構 | |
JP2011163461A (ja) | 無段変速伝動機構 | |
JP3675329B2 (ja) | ベルト式無段変速装置 | |
JP2013113432A (ja) | 無段変速伝動機構 | |
JP2008248931A (ja) | 無段変速機変速制御装置及び無段変速機変速制御方法 | |
JP2013113433A (ja) | 無段変速伝動機構 |