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JP2013211250A - 波長変換部材及びこれを用いた半導体発光装置 - Google Patents

波長変換部材及びこれを用いた半導体発光装置 Download PDF

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JP2013211250A
JP2013211250A JP2012163494A JP2012163494A JP2013211250A JP 2013211250 A JP2013211250 A JP 2013211250A JP 2012163494 A JP2012163494 A JP 2012163494A JP 2012163494 A JP2012163494 A JP 2012163494A JP 2013211250 A JP2013211250 A JP 2013211250A
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light
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phosphor
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JP2012163494A
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Satonari Katsumoto
覚成 勝本
Toshiaki Yokoo
敏明 横尾
Hiroya Kigami
弘也 樹神
Masami Suzuki
政巳 鈴木
Daisuke Yamamoto
大輔 山本
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

【課題】半導体発光装置に設けられた際に当該半導体発光装置の発光効率を低下させることなく、蛍光体の含有量を減少させてコスト低減を図ることができる波長変換部材、及び当該波長変換部材を用いた半導体発光装置を提供する。
【解決手段】入射光の少なくとも一部を波長変換して前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する波長変換部材であって、前記入射光の少なくとも一部を吸収して前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する蛍光体と、前記入射光および前記出射光を拡散する光拡散部材と、前記光拡散部材を保持する母材と、を含み、 0.05≦|(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%])≦4.00 の数式を満たすこと。
【選択図】図4

Description

本発明は、入射光の少なくとも一部を波長変換して当該入射光とは異なる波長の出射光を放出する波長変換部材、及び当該波長変換部材と半導体発光素子とを用いた半導体発光装置に関する。
発光装置の光源として白熱電球や蛍光灯が従来より広く用いられている。近年では、これらに加え、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)や有機EL(OLED)等の半導体発光素子を光源とした半導体発光装置が開発され使用されつつある。これらの半導体発光素子では、様々な発光色を得ることが可能であるため、発光色の異なる複数の半導体発光素子を組み合わせ、それぞれの発光色を合成して所望の色の合成光を得るようにした半導体発光装置も開発され使用され始めている。
例えば、発光色が赤色のLEDチップを用いた赤色LEDと、発光色が緑色のLEDチップを用いた緑色LEDと、発光色が青色のLEDチップを用いた青色LEDとを組み合わせ、各LEDに供給する駆動電流を調整して各LEDから発せられた光を合成することにより、所望の白色光を放射させるようにした半導体発光装置が特許文献1に開示されている。
元来、LEDチップ自体の発光スペクトル幅は比較的狭いため、LEDチップ自体が発する光をそのまま照明に用いた場合、一般的な照明光において重要となる演色性が低下するという問題がある。そこで、このような問題を解消すべく、LEDチップが発する光を蛍光体などの波長変換部材によって波長変換し、波長変換によって得られた光を放射するようにしたLEDが開発され、このようなLEDを組み合わせた半導体発光装置が、例えば特許文献2に開示されている。
特許文献2に開示されている半導体発光装置においては、青色の光を発するLEDチップを接触しつつ覆うように透明樹脂が設けられ、当該透明樹脂の内部に黄色蛍光体が含有されている。すなわち、特許文献2に開示されている半導体発光装置は、LEDチップを直接的に覆うように波長変換部材が設けられている。しかしながら、このような構造を有する半導体発光装置においては、半導体発光装置の輝度のばらつき及び色ムラが大きかった。このような問題を解決するために、LEDチップから蛍光体を含有する樹脂(すなわち、波長変換部材)を離間して配置した構造を有する半導体発光装置の研究開発及び製品化が、近年においては盛んに行われている。このような構造を有する半導体発光装置は、例えば特許文献3に開示されている。
特開2006−4839号公報 特開2007−122950号公報 特開2011−159813号公報
しかしながら、LEDチップから離間して波長変換部材を設ける構造は、LEDチップを接触して覆うように波長変換部材を設ける構造と比較して、波長変換部材の寸法が大きくなり、これによって樹脂に含有される蛍光体の量が増加する。一般的に、LEDチップから波長変換部材を離間する場合には、LEDチップを波長変換部材で直接的に覆う場合と同一の発光効率を得るために、従来よりも数倍以上の蛍光体が必要となる。従って、波長変換部材に使用する蛍光体量を削減することが求められている。
従って、LEDチップから離間して波長変換部材を設ける構造を有する半導体発光装置においては、従来よりも蛍光体の量が増加し、波長変換部材及び半導体発光装置のコストが増加する問題が生じていた。特に、多数のLEDチップに対して単一の波長変換部材を設ける場合には、製品コストが増加していた。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、半導体発光装置に設けられた際に当該半導体発光装置の発光効率を低下させることなく、蛍光体の含有量を減少させてコスト低減を図ることができる波長変換部材、及び当該波長変換部材を用いた半導体発光装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の波長変換部材は、入射光の少なくとも一部を波長変換して前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する波長変換部材であって、前記入射光の少なくとも一部を吸収して前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する蛍光体と、前記入射光および前記出射光を拡散する光拡散部材と、前記光拡散部材を保持する母材と、を含み、
0.05 ≦ |(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%]) ≦ 4.00
の数式を満たすことを特徴とする。
また、上記目的を達成するため、本発明の波長変換部材は、入射光の少なくとも一部を波長変換して前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する波長変換部材であって、前記入射光の少なくとも一部を吸収して前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する蛍光体と、前記入射光および前記出射光を拡散する光拡散部材と、前記光拡散部材を保持する母材と、を含み、
0.05 ≦ |(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%]) ≦ 1.00
の数式を満たすことを特徴とする。
また、上述した波長変換部材において、前記数式における|(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|の値は、0.07以上であることが好ましい。
また、上述した波長変換部材において、前記光拡散部材を含まないで、同一色度の出射光を放射する波長変換部材を作成した場合の前記蛍光体の含有濃度[wt%]を基準として、前記蛍光体の含有濃度[wt%]の減少比率が、6.4%〜83.1%であってもよい。
上述した波長変換部材は、
0.25 ≦ |(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%]) ≦ 1.00
の数式を満たすことが更に好ましい。
上述した波長変換部材は、
6 ≦ dy/dx ≦ 170
x:|(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%])
y:前記光拡散部材を含まないで、同一色度の出射光を放射する波長変換部材を作成した場合の前記蛍光体の含有濃度[wt%]を基準として、前記蛍光体の含有濃度[wt%]の減少比率
の数式を満たしてもよい。
上述した波長変換部材において、前記蛍光体及び前記光拡散部材は、前記母材内に混在していてもよい。また、前記蛍光体及び前記光拡散部材は、前記母材内に互いに分離して含有されるとともに、蛍光体層及び光拡散層を形成していてもよい。この場合に、前記蛍光体層及び前記光拡散層は互いに接触しつつ積層されていてもよく、或いは、前記母材は、前記蛍光体層と前記光拡散層とを離間する空隙層を有していてもよい。
上述した波長変換部材において、前記光拡散部材の屈折率が、1.3以上1.9以下であり、前記母材の屈折率が、1.3以上1.7以下であることが好ましい。
上述した波長変換部材において、前記光拡散部材は、珪素、アルミニウム、チタン、及び、ジルコニウムからなる群の少なくとも1つの元素を含む無機系光拡散材、又は、有機系光拡散材であることが好ましい。この場合に、前記有機系光拡散材が、元素として珪素を含む有機系光拡散材、又は、アクリル系光拡散材であることがより好ましい。
前記有機系光拡散材が、元素として珪素を含む有機系光拡散材、又は、アクリル系光拡散材である場合、前記光拡散部材の密度は1g/cm3〜5g/cm3であってもよい。
上述した波長変換部材において、前記母材が、樹脂またはガラスからなることが好ましい。この場合に、前記樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、及びシリコーン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つの樹脂であることがより好ましい。
上述した波長変換部材において、前記母材がポリカーボネート樹脂、前記光拡散部材がポリメチルシルセスキオキサン粒子であることがより好ましい。
更に、上記目的を達成するため、本発明の半導体発光装置は、配線基板と、前記配線基板の実装面に配置された半導体発光素子と、前記半導体発光素子から入射される入射光の少なくとも一部を吸収して前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する蛍光体、前記入射光および前記出射光を拡散する光拡散部材、及び前記光拡散部材を保持する母材を含む波長変換部材と、を有し、前記波長変換部材は、
0.05 ≦ |(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%]) ≦ 4.00
の数式を満たすことを特徴とする。
そして、上記目的を達成するため、本発明の半導体発光装置は、配線基板と、前記配線基板の実装面に配置された半導体発光素子と、前記半導体発光素子から入射される入射光の少なくとも一部を吸収して前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する蛍光体、前記入射光および前記出射光を拡散する光拡散部材、及び前記光拡散部材を保持する母材を含む波長変換部材と、を有し、前記波長変換部材は、
0.05 ≦ |(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%]) ≦ 1.00
の数式を満たすことを特徴とする。
上述した半導体発光装置において、前記数式における|(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|の値は、0.07以上であることが好ましい。
上述した半導体発光装置において、前記光拡散部材を含まない場合の発光効率(lm/W)を基準として、発光効率(lm/W)の維持率が90%以上であり、且つ、前記光拡散部材を含まない場合と比較して前記蛍光体の含有濃度[wt%]が減少していてもよい。
また、上述した半導体発光装置において、前記半導体発光素子と前記波長変換部材とは、離間していてもよい。
更に、上述した半導体発光装置において、前記蛍光体及び前記光拡散部材は、前記母材内に混在していてもよい。また、上述した半導体発光装置において、前記蛍光体及び前記光拡散部材は、前記母材内に互いに分離して含有されるとともに、蛍光体層及び光拡散層からなる積層構造を形成してもよい。このような場合に、前記半導体発光素子から前記蛍光体層までの距離は、前記半導体発光素子から前記光拡散層までの距離よりも小さくても、又は大きくてもよい。
上述した半導体発光装置において、前記光拡散部材の屈折率が、1.3以上1.9以下であり、前記母材の屈折率が、1.3以上1.7以下であることが好ましい。
上述した半導体発光装置において、前記母材が、樹脂またはガラスからなることが好ましい。この場合に、前記樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、及びシリコーン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つの樹脂であることがより好ましい。
上述した半導体発光装置において、前記母材がポリカーボネート樹脂、前記光拡散部材がポリメチルシルセスキオキサン粒子であることがさらに好ましい。
上述した半導体発光装置において、前記波長変換部材で波長変換されなかった前記半導体発光素子から放射される光と、前記波長変換部材で変換された光が混合して白色光を放射してもよい。
本発明の波長変換部材においては、0.05 ≦ |(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%]) ≦ 4.00の数式を満たしているため、半導体発光装置に設けられた際に当該半導体発光装置の発光効率を低下させることなく、蛍光体の含有量を減少させてコスト低減を図ることができる。これは、波長変換部材に含まれる蛍光体単位重量当たりの波長変換される半導体発光素子から放射される光の割合を増加させることができることによるものと推察される。この場合に、|(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%])の値が、1.00以下であると当該効果(発光効率の低下及びコスト低減)が顕著に奏されることになる。
また、本発明の波長変換部材においては、|(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%])の値が0.25である場合には、蛍光体の含有量のばらつきに起因する半導体発光装置の発光効率のばらつきを低減することができる。このことは、ひいては、半導体発光素子から放射される光の変換効率が変化することから、半導体発光素子から放射される光(例えば、青色光)と波長変換部材によって変換された光(例えば、黄色光)とが混合して半導体発光装置から放射される光(例えば、白色光)の色度のばらつきを低減することができる。
更に、本発明の半導体発光装置においては、波長変換部材が、0.05 ≦ |(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%]) ≦ 4.00の数式を満たしているため、発光効率を低下させることなく、蛍光体の含有量を減少させてコスト低減を図ることができる。この場合に、|(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%])の値が、1.00以下であると当該効果(発光効率の低下及びコスト低減)が顕著に奏されることになる。
第1実施形態に係る半導体発光装置の全体構成の概略を示す斜視図である。 第1実施形態に係る半導体発光装置の平面図である。 図2中のIII−III線に沿う半導体発光装置の断面図である。 図3における要部の拡大断面図である。 第1実施形態に係る半導体発光装置におけるシミュレーションの結果を示すグラフである。 第1実施形態に係る半導体発光装置におけるシミュレーションの結果を示すグラフである。 第2実施形態に係る半導体発光装置の要部を図4と同様に示した拡大断面図である。 第2実施形態に係る半導体発光装置の要部を図4と同様に示した他の態様の拡大断面図である。 第3実施形態に係る半導体発光装置の要部を図4と同様に示した拡大断面図である。 第3実施形態に係る半導体発光装置の要部を図4と同様に示した他の態様の拡大断面図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について、いくつかの実施形態に基づき詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、各実施形態の説明に用いる図面は、いずれも本発明による半導体発光装置を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、または省略などを行っており、各構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。更に、各実施形態で用いる様々な数値は、いずれも一例を示すものであり、必要に応じて様々に変更することが可能である。
<第1実施形態>
(半導体発光装置の構成)
図1は、第1実施形態に係る半導体発光装置1の全体構成の概略を示す斜視図であり、図2は図1の半導体発光装置1の平面図である。なお、図1及び図2において、半導体発光装置1の平面図における一方向をX方向、当該平面図においてX方向と直交する方向をY方向、半導体発光装置1の高さ方向をZ方向と定義する。
本実施形態において、半導体発光装置1は、擬似的な白色光を放射する光源である。図1に示すように、半導体発光装置1は電気絶縁性に優れて良好な放熱性を有し、かつ、反射率の高い(好ましくは反射率が80%以上の)アルミナ系セラミックからなる配線基板2を備える。配線基板2のチップ実装面2aには、X方向に4個、Y方向に3個、合計12個の半導体発光素子である発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)チップ3が配列されている。図1には示していないが、配線基板2には、これらLEDチップ3のそれぞれに電力を供給するための配線パターンが形成され、電気回路を構成している。
なお、配線基板2の材質はアルミナ系セラミックに限定されるものではなく、例えば、電気絶縁性に優れた材料として、樹脂、ガラスエポキシ、樹脂中にフィラーを含有した複合樹脂などから選択された材料を用いて配線基板2の本体を形成してもよい。或いは、配線基板2のチップ実装面2aにおける光の反射性を良くして半導体発光装置1の発光効率を向上させる上では、アルミナ粉末、シリカ粉末、酸化マグネシウム、酸化チタンなどの白色顔料を含むシリコーン樹脂を用いることが好ましい。一方、より優れた放熱性及び反射性を得るため、配線基板2の本体を銀等の金属製としてもよい。このような場合には、配線基板2の配線パターンなどを金属製の本体から電気的に絶縁する必要がある。
また、図1に示すように、LEDチップ3が実装された配線基板2のチップ実装面2aには、LEDチップ3から入射する入射光の少なくとも一部を異なる波長に波長変換し、当該波長変換された光を出射光として半導体発光装置1の外部に放射する波長変換部材4が配設されている。波長変換部材4の形状は、半球状であってその内部に空隙が形成されているドーム状(すなわち、椀状)である。そして、波長変換部材4は、12個のLEDチップ3から離間し、全てのLEDチップ3を覆っている。
図3は、図2中のIII−III線に沿う半導体発光装置1の断面図であり、図4は図3に示された断面図の要部拡大図である。以下において、図3及び図4を参照しつつ、LEDチップ3、波長変換部材4の詳細な説明をする。
(LEDチップ)
本実施形態においてLEDチップ3には、460nmのピーク波長を有した青色光を発するLEDチップを用いる。具体的には、このようなLEDチップとして、例えばInGaN半導体が発光層に用いられるGaN系LEDチップがある。なお、LEDチップ3の種類や発光波長特性はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨から逸脱しない限りにおいて、様々なLEDチップなどの半導体発光素子を用いることができる。本実施形態においてLEDチップ3が発する光のピーク波長は、360nm〜480nmの波長範囲内にあるのが好ましく、390nm〜430nmの波長範囲内又は430nm〜480nmの波長範囲内にあることがより好ましい。
図4に示すように、LEDチップ3の配線基板2側に向く面には、p電極5とn電極6とが設けられている。図4に示すLEDチップ3の場合、配線基板2のチップ実装面2aに形成されている配線パターン7にp電極5が接合されると共に、同じくチップ実装面2aに形成された配線パターン8にn電極6が接合されている。これらp電極5及びn電極6の配線パターン7及び配線パターン8への接続は、図示しない金属バンプを介し、ハンダ付けによって行っている。図示されていない他のLEDチップ3も、それぞれのLEDチップ3に対応して配線基板2のチップ実装面2aに形成された配線パターンに、それぞれのp電極5及びn電極6が同様にして接合されている。ここで、LEDチップ3同士は、配線パターン7及び配線パターン8を介して直列接続さていてもよく、並列接続されていてもよく、更には直列接続及び並列接続を組み合わせた接続がなされていてもよい。
なお、LEDチップ3の配線基板2への実装方法は、これに限定されるものではなく、LEDチップ3の種類や構造などに応じて適切な方法を選択可能である。例えば、LEDチップ3を配線基板2の所定位置に接着固定した後、各LEDチップ3の2つの電極をワイヤボンディングで対応する配線パターンに接続してもよいし、一方の電極を上述のように対応する配線パターンに接合すると共に、他方の電極をワイヤボンディングで対応する配線パターンに接続するようにしてもよい。
(波長変換部材)
上述したように、波長変換部材4は、LEDチップ3から放射される入射光の一部を波長変換し、当該入射光とは異なる波長の出射光を放射する。より具体的な構成として、波長変換部材4は、LEDチップ3から放射される入射光を吸収して励起し、基底状態に戻る際に入射光とは異なる波長を有する出射光を放射する蛍光体4aと、蛍光体4aから放射される出射光を拡散して半導体発光装置1の出射面側へ導く光拡散部材4bと、蛍光体4a及び光拡散部材4bを分散して保持するとともに、波長変換部材4の母材として機能する樹脂4cとを有している。図4は、母材として樹脂を用いた場合の半導体発光装置1の断面図の要部拡大図であり、図4の本実施形態における波長変換部材4においては、樹脂4c内に蛍光体4a及び光拡散部材4bが混在している。
また、本実施形態の半導体発光装置1においては、波長変換部材4がLEDチップから離間しているため、LEDチップ3が発する熱によって波長変換部材4が加熱されることがなく、波長変換部材4の波長変換機能及び半導体発光装置1の発光効率の低下が抑制されている。本実施形態において、波長変換部材4は、LEDチップ3から約25mm離間している。
〔蛍光体〕
本実施形態において、青色光を放射するLEDチップ3を半導体発光素子として使用しているため、半導体発光装置1から白色光を得るためには、当該青色光の一部を黄色光に波長変換し、当該黄色光及び波長変換されなかった青色光の混合により白色光を合成する必要がある。従って、本実施形態における蛍光体4aには、青色光を黄色光に波長変換する黄色蛍光体が使用されている。
また、白色光の色度や色温度を調整したり、演色性を上げるために、当該青色光の一部を赤色光や緑色光に波長変換する場合がある。この場合は、黄色蛍光体に加えて赤色蛍光体や緑色蛍光体を使用したり、黄色蛍光体に代えて赤色蛍光体と緑色蛍光体を使用したりすることができる。
具体的な黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上で、通常は620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、黄色蛍光体として例えば、Y3Al512:Ce[YAG蛍光体]、Lu3Al512:Ce[LuAG蛍光体]、(Y,Gd)3Al512:Ce、(Sr,Ca,Ba,Mg)2SiO4:Eu、(Ca,Sr)Si222:Eu、α−サイアロン、La3Si611:Ce(但し、その一部がCaやOで置換されていてもよい)が好ましい。
赤色蛍光体を用いる場合、その発光ピーク波長は、通常565nm以上、好ましくは575nm以上、より好ましくは580nm以上、また、通常780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲にあることが好適である。このような赤色蛍光体として、例えば、例えば、特開2006−008721号公報に記載されているCaAlSiN3:Eu[CASN蛍光体]、特開2008−7751号公報に記載されている(Sr,Ca)AlSiN3:Eu[SCASN蛍光体]、特開2007−231245号公報に記載されているCa1-xAl1-xSi1+x3-xx:Eu[CASON蛍光体]等のEu付活酸化物、窒化物又は酸窒化物蛍光体、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn等のMn付活ゲルマン酸塩蛍光体、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体等を用いることも可能である。
また、緑色蛍光体を用いる場合、その発光ピーク波長は、通常500nmより大きく、中でも510nm以上、さらには515nm以上であることが好ましく、また、通常550nm以下、中でも540nm以下、さらには535nm以下の範囲であることが好ましい。この発光ピーク波長が短過ぎると青味を帯びる傾向がある一方で、長過ぎると黄味を帯びる傾向があり、何れも緑色光としての特性が低下する可能性がある。このような緑色蛍光体として、例えば、Y3(Al,Ga)512:Ce[G−YAG蛍光体]、国際公開第2007/091687号公報に記載されている(Ba,Ca,Sr,Mg)2SiO4:Euで表されるEu付活アルカリ土類シリケート系蛍光体[BSS蛍光体]、特許第3921545号明細書に記載されているSi6-zAlz8-zz:Eu(但し、0<z≦4.2である。)等のEu付活酸窒化物蛍光体[β−SiAlON蛍光体]、国際公開第2007/088966号公報に記載されているM3Si6122:Eu(但し、Mはアルカリ土類金属元素を表す。)等のEu付活酸窒化物蛍光体[BSON蛍光体]、特開2008−274254号公報に記載されているBaMgAl1017:Eu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体[GBAM蛍光体]を用いることも可能である。
蛍光体4aの粒径は、通常体積基準のメディアン径D50vが0.1μm以上のものが好ましく、1μm以上のものがより好ましく使用できる。また、30μm以下のものが好ましく、20μm以下のものがより好ましく使用できる。ここで体積基準のメディアン径D50vとは、レーザー回折・散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いて、試料を測定し、粒度分布(累積分布)を求めたときの体積基準の相対粒子量が50%になる粒子径と定義される。測定方法としては例えば、超純水中に蛍光体4aを入れ、超音波分散器((株)カイジョ製)を用いて周波数を19KHz、超音波の強さを5Wとし、25秒間試料を超音波で分散させた後に、フローセルを用いて透過率88%から92%の範囲に調整し、凝集していないことを確認した上で、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所 LA−300)により、粒径範囲0.1μm〜600μmにて測定する方法が挙げられる。また、上述の方法では蛍光体粒子が凝集してしまう場合には、分散剤をもちいてもよく、例としてはタモール(BASF社製)などを0.0003重量%を含む水溶液中に蛍光体4aを入れ、上述の方法と同様に超音波で分散させた上で測定してもよい。
粒子径の分布の度合いを示す指標としては、蛍光体4aの体積基準の平均粒子径Dvと個数基準の平均粒子径Dnの比(Dv/Dn)がある。本願発明においては、Dv/Dnが1.0以上であることが好ましく、1.2以上がより好ましく、1.4以上がさらに好ましい。一方で、Dv/Dnが25以下であることが好ましく、10以下がさらに好ましく、5以下が特に好ましい。Dv/Dnが大きすぎる場合には重量が大きく異なる蛍光体粒子が存在することになり、蛍光体層中において蛍光体粒子の分散が不均一となる傾向がある。
また、蛍光体4aとしては、その表面を第3成分により予めコーティングしたものを用いることも可能である。コーティングに用いる第3成分の種類、コーティングの手法は特に限定されず、公知の任意の第3成分及び手法を用いればよい。
第3成分としては、例えば、有機酸、無機酸、シラン処理剤、シリコーンオイル、流動パラフィン等が挙げられる。これらの第3成分を用いて、蛍光体4aを表面処理、被覆することにより、樹脂4cへの親和性、分散性、熱安定性、蛍光発色性等が改善される傾向にある。表面処理、被覆量としては、通常、100重量部の蛍光体4aあたり0.01〜10重量部であり、0.01重量部より少ないと親和性、分散性、熱安定性、蛍光発色性等の改善効果が得難く、10重量部より多くても熱安定性、機械的特性、蛍光発色性が低下するなどの不具合を生じやすくなる。
波長変換部材4中の蛍光体4aの含有量は、光拡散部材4b、樹脂4cの種類にもよるが、例えば、樹脂4cがポリカーボネート樹脂の場合、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.1重量部以上、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上であり、また、通常50重量部以下、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下、さらに好ましくは20重量部以下である。蛍光体4aの含有量が少なすぎると蛍光体の波長変換効果が得難くなる傾向にあり、多すぎると機械的特性が低下する場合があり好ましくない。
〔光拡散部材〕
本実施形態において、光拡散部材4bは、1.3以上1.9以下の屈折率を有していることが好ましい。当該理由については、後述する評価結果を参照する際に説明する。また、光拡散部材4bは、透明性が高く、光透過性に優れることが好ましく、例えば、消衰係数が10-2以下であってもよく、好ましくは10-3以下であり、更に好ましくは10-4以下であり、特に好ましくは10-6以下である。なお、光拡散部材4bの屈折率は、YOSHIYAMAらの液浸法(エアロゾル研究 Vol.9, No.1 Spring pp.44-50 (1994))によって測定することができる。測定温度は20℃、測定波長は450nmである。更に、光拡散部材4bの密度は、1g/cm3〜5g/cm3であることが好ましい。本実施形態において、光拡散部材4bとしては、無機系光拡散材、又は有機系光拡散材を用いることが好ましい。
無機系光拡散材としては、例えば、珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、カルシウム及びバリウム等の無機系光拡散材を用いることが可能であり、また、珪素、アルミニウム、チタン、及びジルコニウムからなる群の少なくとも1つの元素を含む無機系光拡散材を用いることが好ましい。有機系光拡散材としては、アクリル系、スチレン系、ポリアミド系若しくは元素として珪素を含む有機系光拡散材を用いることが可能であり、中でも、アクリル系光拡散材、又は元素として珪素を含む有機系光拡散材を用いることが好ましい。
無機系光拡散材の具体例としては、二酸化ケイ素(シリカ)、ホワイトカーボン、タルク、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸アルミ化ナトリウム、珪酸亜鉛、ガラス、マイカ等の材料が挙げられる。
有機系光拡散材としては、スチレン系(共)重合体、アクリル系(共)重合体、シロキサン系(共)重合体、ポリアミド系(共)重合体等の材料が挙げられる。これら、有機系拡散材の分子の一部又は全部は、架橋していても架橋していなくてもよい。ここで、「(共)重合体」とは「重合体」及び「共重合体」の双方を意味する。
上述した材料のうち、少量で光拡散効果を大きくするためには、母材の屈折率と選択した光拡散部材の屈折率との差が大きい材料を選ぶことが好ましい。また、発光効率を大きく低下させないためには、高い透明性を有している材料を選ぶことが好ましい。
例えば、樹脂4cがポリカーボネート樹脂の場合、光拡散部材4bとしては架橋アクリル系(共)重合体粒子、アクリル系化合物とスチレン系化合物の共重合体の架橋粒子、シロキサン系(共)重合体粒子、アクリル系化合物とケイ素原子を含む化合物のハイブリッド型架橋粒子を用いることが好ましく、架橋アクリル系(共)重合体粒子、シロキサン系(共)重合体粒子を用いることがより好ましい。
架橋アクリル系(共)重合体粒子としては、非架橋性アクリルモノマーと架橋性モノマーからなる重合体粒子がより好ましく、メチルメタクリレートとトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが架橋した重合体粒子がさらに好ましい。シロキサン系(共)重合体としては、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子がより好ましく、ポリメチルシルセキスキオキサン粒子がさらに好ましい。
本発明においては、とりわけポリメチルシルセスキオキサン粒子が、熱安定性に優れる点で好ましい。
樹脂4c中での光拡散部材4bの分散形状は、略球状、板状、針状、不定形の何れでもよいが、光散乱効果に異方性がない点で、略球状であることが好ましい。光拡散部材4bの平均的な寸法は、通常100μm以下であり、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは10μm以下であり、また、通常0.01μm以上であり、好ましくは0.1μm以上であり、さらに好ましくは0.5μm以上である。光拡散部材4bの平均的な寸法が上記範囲から外れる場合は、光拡散部材4bの微妙な含有量の差異や粒子径の差異によって光拡散性が大きく変動しやすくなり、光拡散性を安定的にコントロールすることが難しくなり、本発明で必要とされる十分な光拡散性を発揮することが困難となる場合がある。また、これにより、結果的に波長変換効率を好ましい範囲で安定制御することが難しくなる可能性が生じる。ここで、光拡散部材4bの平均的な寸法とは、体積基準による50%平均寸法であり、レーザー又は回折散乱法によって測定される体積基準粒度分布のメジアン径(D50)の値である。
また、光拡散部材4bの粒径分布は、単分散系でも、幾つかのピークトップを有する多分散系であってもよく、また、1つのピークトップであって、その粒径分布が狭くても広くてもよいが、好ましくは粒径分布が狭くほぼ単一の粒径であること(単分散又は単分散に近い粒径分布)が好ましい。
光拡散部材4bの粒子径の分布の度合いを示す指標としては、光拡散部材4bの体積基準の平均粒子径Dvと個数基準の平均粒子径Dnの比(Dv/Dn)がある。本願発明においては、Dv/Dnが1.0以上であることが好ましい。一方で、Dv/Dnが5以下であることが好ましい。Dv/Dnが大きすぎる場合には重量が大きく異なる光拡散部材4bが存在することになり、波長変換部材4中において光拡散部材4bの分散が不均一となる傾向がある。
上述した光拡散部材4bとして用いられる無機系光拡散材、及び有機系光拡散材は、1種類を単独で用いてもよく、材質や寸法の異なるものを2種類以上組み合わせて用いてもよい。2種類以上を組み合わせて用いる場合に、光拡散部材4bの屈折率は、複数の光拡散部材の体積平均によって算出される。
以下の表1に、光拡散部材4bとして一般的に用いられる材料の屈折率を記載する。なお、表1における各材料の屈折率は一般的な参考値であり、各材料の屈折率が必ずしも表1における値に限定されるわけではない。
Figure 2013211250
波長変換部材4中の光拡散部材4bの含有量は、蛍光体4a、樹脂4cの種類にもよるが、例えば、樹脂4cがポリカーボネート樹脂で、光拡散部材4bがポリメチルシルセスキオキサン粒子である場合、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.1重量部以上、好ましくは0.3重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上であり、また、通常10.0重量部以下、好ましくは7.0重量部以下、より好ましくは3.0重量部以下である。光拡散部材4bの含有量が少なすぎると拡散効果が不十分となり、また蛍光体4aの量を減量させる効果も得難くなる傾向にあり、多すぎると機械的特定が低下する場合があり好ましくない。
なお、上述した蛍光体4aも黄色光を拡散することもあるが、本願発明の光拡散部材の重量濃度の計算においては、蛍光体4aを光拡散部材4bの一部として含めないものとする。
〔母材〕
母材は、光拡散部材を保持する。また、光拡散部材を母材中に分散していることが好ましい。本実施形態において、母材は、蛍光体を保持しており、蛍光体は母材中に分散していることが好ましい。母材としては、通常、樹脂、ガラス等が用いられる。
〔樹脂〕
蛍光体4a及び光拡散部材4bを分散して保持する樹脂4cは、通常1.3以上1.7以下の屈折率を有している。当該理由については、後述する評価結果を参照する際に説明する。なお、樹脂4cの屈折率の測定方法は、以下の通りである。測定温度は20℃であり、プリズムカプラー法にて測定する。測定波長は450nmである。
以下の表2に、母材として一般的に用いられる樹脂の屈折率を記載する。なお、表2における各樹脂の屈折率は一般的な参考値であり、各樹脂の屈折率が必ずしも表2における値に限定されるわけではない。
Figure 2013211250
より具体的な樹脂4cとしては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂)、アクリル系樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂)、エポキシ樹脂、及びシリコーン系樹脂を用いることが好ましい。また、樹脂4cは、半導体発光素子から放出される光(例えば、紫外光、近紫外光、又は青色光等)、または、波長変換部材から放出される可視光を吸収しないことが好ましい。更には、LEDチップ3から発せられる青色光に対して十分な透明性と耐久性とを有していることが好ましい。
上述した樹脂4cとして用いられるこれらの樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの樹脂の共重合体であってもよく、2種類以上を積層して使用してもよい。2種類以上を組み合わせて用いる場合に、樹脂4cの屈折率は、複数の樹脂の体積平均によって算出される。
樹脂4cとしては、ポリカーボネート樹脂が、透明性、耐熱性、機械的特性、難燃性に優れる点で、最も好ましく使用できる。以下に、ポリカーボネート樹脂について詳細に説明する。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、下記の一般的な化学式(1)で表される、炭酸結合を有する基本構造の重合体である。
Figure 2013211250
化学式(1)中、X1は一般には炭化水素であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたX1を用いてもよい。
また、ポリカーボネート樹脂は、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂、及び脂肪族炭素である脂肪族ポリカーボネート樹脂に分類できるが、いずれを用いることもできる。なかでも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限はないが、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなるポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしてもよい。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法も用いてもよい。また、ポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単独重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このようなポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例を挙げると、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;2,2'−ジヒドロキシ−1,1'−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;2,2'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
これらの中でもビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、脂肪族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーの例を挙げると、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、デカン−1,10−ジオール等のアルカンジオール類;シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール、2,2,4,4−テトラメチル−シクロブタン−1,3−ジオール等のシクロアルカンジオール類;2,2'−オキシジエタノール(即ち、エチレングリコール)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、スピログリコール等のグリコール類;1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジエタノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,6−ビス(ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4,4'−ビフェニルジメタノール、4,4'−ビフェニルジエタノール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビスフェノールAビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、ビスフェノールSビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル等のアラルキルジオール類;1,2−エポキシエタン(即ち、エチレンオキシド)、1,2−エポキシプロパン(即ち、プロピレンオキシド)、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,4−エポキシシクロヘキサン、1−メチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、2,3−エポキシノルボルナン、1,3−エポキシプロパン等の環状エーテル類が挙げられ、これらは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が挙げられる。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲンや、ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適な、界面重合法及び溶融エステル交換法について具体的に説明する。
(界面重合法)
界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体は、前述のとおりである。なお、カーボネート前駆体の中でもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられるが、中でも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限はないが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10〜12にコントロールするために、5〜10重量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10〜12、好ましくは10〜11になる様にコントロールするために、ビスフェノール化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、中でも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、中でも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’−ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’−ジメチルアニリン、N,N’−ジエチルアニリン等の芳香族三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩、ピリジン、グアニン、グアニジンの塩等が挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調整剤としては、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する芳香族フェノール;メタノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール、メルカプタン、フタル酸イミド等が挙げられるが、中でも芳香族フェノールが好ましい。このような芳香族フェノールとしては、具体的に、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキル基置換フェノール;イソプロパニルフェノール等のビニル基含有フェノール、エポキシ基含有フェノール、o−オキシン安息香酸、2−メチル−6−ヒドロキシフェニル酢酸等のカルボキシル基含有フェノール等が挙げられる。なお、分子量調整剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調整剤の使用量は、ジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、また、通常50モル以下、好ましくは30モル以下である。分子量調整剤の使用量をこの範囲とすることで、ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性及び耐加水分解性を向上させることができる。
反応の際に、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いた場合には、分子量調節剤はジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
(溶融エステル交換法)
溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
ジヒドロキシ化合物は、前述の通りである。一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートが好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの比率は所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが好ましく、中でも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
ポリカーボネート樹脂では、その末端水酸基量が熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端水酸基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率、エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を調整したポリカーボネート樹脂を得ることができる。なお、この操作により、通常は得られるポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率を調整して末端水酸基量を調整する場合、その混合比率は前記の通りである。また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。なかでも、例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法において、反応温度は通常100〜320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただし中でも、ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いてもよい。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは20ppm以下である。
ポリカーボネート樹脂の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]は、通常10,000以上、好ましくは16,000以上、より好ましくは18,000以上であり、また、通常40,000以下、好ましくは30,000以下である。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて成形加工を容易に行えるようになる。なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
なお、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10-4Mv0.83から算出される値を意味する。また極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記数式(1)により算出した値である。
Figure 2013211250
ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1,000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。これにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂の重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
ポリカーボネート樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂単独(ポリカーボネート樹脂単独とは、ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、例えば、モノマー組成や分子量が互いに異なる複数種のポリカーボネート樹脂を含む態様を含む意味で用いる。)で用いてもよく、ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂とのアロイ(混合物)とを組み合わせて用いてもよい。さらに、例えば、難燃性や耐衝撃性をさらに高める目的で、ポリカーボネート樹脂を、シロキサン構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性や難燃性をさらに向上させる目的でリン原子を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性を向上させる目的で、ジヒドロキシアントラキノン構造を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;光学的性質を改良するためにポリスチレン等のオレフィン系構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;耐薬品性を向上させる目的でポリエステル樹脂オリゴマーまたはポリマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体として構成してもよい。他の熱可塑性樹脂と組み合わせて用いる場合は、樹脂成分中のポリカーボネート樹脂の割合が50重量%以上であることが好ましく、60重量%であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましい。
また、成形品の外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1,500以上、好ましくは2,000以上であり、また、通常9,500以下、好ましくは9,000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30重量%以下とすることが好ましい。
さらに、ポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂)であってもよい。前記の使用済みの製品としては、例えば、光学ディスク等の光記録媒体;導光板;自動車窓ガラス、自動車ヘッドランプレンズ、風防等の車両透明部材;水ボトル等の容器;メガネレンズ;防音壁、ガラス窓、波板等の建築部材などが挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂のうち、80重量%以下であることが好ましく、中でも50重量%以下であることがより好ましい。再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
上述した樹脂4cには、本発明の特性を損なわない範囲において必要に応じて公知の各種添加剤を含有させることができる。例えば、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、滑剤、光安定剤、可塑剤、帯電防止剤、熱伝導性改良剤、導電性改良剤、着色剤、耐衝撃性改良剤、抗菌剤、耐薬品性改良剤、強化剤、レーザーマーキング改良剤、屈折率調整剤などが挙げられる。これらの添加剤の具体的な種類や量は、樹脂4cに対して公知の好適なものを選択することができる。
ここで、ポリカーボネート樹脂に配合する好ましい添加剤について例示する。
熱安定剤としては、例えばリン系化合物が挙げられる。リン系化合物としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第10族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられる。
なかでも、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の有機ホスファイトが好ましい。
熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.001重量部以上、好ましくは0.001重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上であり、また、通常1重量部以下、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.3重量部以下、さらに好ましくは0.1重量部以下である。熱安定剤が少なすぎると熱安定性改良効果が得難く、多すぎると逆に熱安定性が低下する場合がある。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
なかでも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上であり、また、通常1重量部以下、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.3重量部以下である。酸化防止剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、酸化防止剤としての効果が不十分となる可能性があり、酸化防止剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族又は脂環式飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。
離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上であり、また、通常5重量部以下、好ましくは3重量部以下、より好ましくは1重量部以下、さらに好ましくは0.5重量部以下である。離型剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
難燃剤としては、ハロゲン系、リン系、有機酸金属塩系、シリコーン系の難燃剤、難燃助剤としては、フッ素樹脂系難燃助剤が挙げられる。難燃剤及び難燃助剤は併用することも可能であり、また、複数を組み合わせて使用することもできる。中でも好ましいのは、リン系難燃剤、有機酸金属塩系難燃剤、フッ素樹脂系難燃助剤である。
リン系難燃剤としては芳香族リン酸エステルやホスファゼン化合物が挙げられる。有機酸金属塩系難燃剤としては、有機スルホン酸金属塩が好ましく含フッ素の有機スルホン酸金属塩が特に好ましく、具体的にはパーフルオロブタンスルホン酸カリウム等を例示できる。フッ素系難燃助剤としては、フルオロオレフィン樹脂が好ましく、フィブリル構造を有するテトラフルオロエチレン樹脂が例示できる。フッ素系難燃助剤はパウダー状でもディスパージョン状でも、フッ素樹脂を別の樹脂で被覆したパウダー状でも何れの形態であってもよい。
これらの難燃剤、難燃助剤の配合比率は所望の難燃レベルを達成するために必要な量を配合すればよいが、通常はポリカーボネート100重量部に対して、リン系難燃剤の場合で1〜20重量部の範囲、有機酸金属塩の場合は0.01〜1重量部の範囲、フッ素樹脂系難燃助剤の場合で0.01〜1重量部の範囲で配合することが好ましい。上記範囲で難燃剤、難燃助剤を1種類もしくは2種類以上を使用することができる。この範囲より少ないと難燃性の改良効果が出難くなり、これより多いと熱安定性、機械的特性が低下する傾向にあり好ましくない。なお、難燃レベルは、例えばUL94に代表される燃焼試験などにより判定することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物などの有機紫外線吸収剤などが挙げられる。これらのうち、有機紫外線吸収剤が好ましく、中でもベンゾトリアゾール化合物がより好ましい。有機紫外線吸収剤を選択することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の透明性や機械物性が良好なものになる傾向にある。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等が挙げられ、なかでも2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が好ましく、特に2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。
このようなベンゾトリアゾール化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製(商品名、以下同じ)「シーソーブ701」、「シーソーブ702」、「シーソーブ703」、「シーソーブ704」、「シーソーブ705」、「シーソーブ709」、共同薬品社製「バイオソーブ520」、「バイオソーブ580」、「バイオソーブ582」、「バイオソーブ583」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ71」、「ケミソーブ72」、サイテックインダストリーズ社製「サイアソーブUV5411」、アデカ社製「LA−32」、「LA−38」、「LA−36」、「LA−34」、「LA−31」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「チヌビンP」、「チヌビン234」、「チヌビン326」、「チヌビン327」、「チヌビン328」等が挙げられる。
紫外線吸収剤の好ましい含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上であり、また、5重量部以下、好ましくは3重量部以下、より好ましくは1重量部以下、さらに好ましくは0.5重量部以下である。紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、耐候性の改良効果が不十分となる可能性があり、紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、モールドデボジット等が生じ、金型汚染を引き起こす可能性がある。なお、紫外線吸収剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
〔波長変換部材4を構成する樹脂組成物の製造方法〕
波長変換部材4を構成する樹脂組成物の製造方法、波長変換部材4の加工方法は特に限定されず、樹脂4cの加工法として公知の手法を用いればよい。例えば、樹脂4cがポリカーボネート樹脂の場合の、樹脂組成物の一般的な製造方法は次の通りである。
ポリカーボネート樹脂に蛍光体4a、光拡散部材4b、及び必要に応じて配合されるその他の成分を加え、タンブラーミキサーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機で混合する。混合は全原料一括混合でも、幾つかの原料を分割して混合してもよい。その後に、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどで溶融混練して樹脂組成物ペレットを得る。
得られた樹脂組成物ペレットを用いて、シート・フィルムなどの押出成形、異型押出成形、真空成形、射出成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、回転成形、発泡成形など任意の成形方法により、必要な形状の波長変換部材4を成形する。中でも、射出成形法を採用することが好ましい。さらに、必要に応じてその成形体を更に溶着、接着、切削など加工することもできる。
樹脂4cがポリカーボネート樹脂の場合について、さらに詳しく好ましい条件を例示する。
ポリカーボネート樹脂と蛍光体4a、光拡散部材4b、その他添加剤をタンブラーミキサーで混合後、単軸或いは二軸押出機を用いて溶融混練する。溶融混練条件としては、剪段力を加え過ぎない様に、スクリューとして順送りのフライトスクリューエレメントを中心に構成されたスクリューを使用する。逆送りのフライトスクリュー、ニーディングスクリューエレメントなどの剪段力を強く負荷するスクリューエレメントの多用は、樹脂の変色を招き好ましくない。また、蛍光体4aが固い場合、スクリュー、シリンダーの材質として、削れ難い耐摩処理の施された材質のものを用いることが好ましい。
また、混練温度は230〜340℃の範囲が好ましい。実測樹脂温度として340℃を超えると変色しやすくなるため好ましくなく、樹脂温度が230℃未満ではポリカーボネート樹脂の溶融粘度が高過ぎて押出機への機械的負荷が大きくなり好ましくない。特に好ましい混練温度は240〜300℃の範囲である。
スクリュー回転数、吐出量は生産速度、押出機への負荷、樹脂ペレットの状態を鑑みて適宜選択すればよい。また、押出機には原料と共に巻き込んだ空気、加熱により発生したガスを押出機系外に放出するベント構造を1カ所以上設置することが好ましい。
以上により得られたポリカーボネート樹脂組成物ペレットを用いて、任意の加工法で所望の形状に成形及び加工すればよい。
上述したような構成を有する本実施形態の半導体発光装置1は、一般照明として用いることができる。このような場合、半導体発光装置1が発する光(具体的には、青色光と黄色光との合成光である白色光)は、黒体輻射軌跡から偏差duvが−0.0200〜0.0200であることが好ましく、色温度が1,600K〜7,000Kの範囲内にあることが好ましい。
また、上述したような構成を有する本実施形態の半導体発光装置1は、一般照明以外にも、バックライトとして用いることも可能である。ディスプレイのバックライトのLED光源として用いる場合は、半導体発光装置1が発する光(具体的には、青色光と黄色光との合成光である白色光)は、通常、色温度が5,000K〜20,000Kの範囲内である。
(シミュレーションによる評価)
次に、本実施形態における半導体発光装置1について、YAG系の蛍光体4a、光拡散部材4b及び樹脂4cの材料及び特性を変更し、各半導体発光装置の発光効率をシミュレーションによって算出し、当該算出結果(シミュレーション結果)の評価を行った。より具体的な条件として、蛍光体4aの特性(屈折率、消衰係数、量子効率)は公知刊行物『ツォンギュアン・リュー(Zongyuan Liu)、他3名,「白色発光ダイオードのパッケージ用のYAG:Ce蛍光体の光学特性の測定及び数値的研究(Measurement and numerical studies of optical properties of YAG:Ce phosphor for white light-emitting diode packaging)」,応用光学(APPLIED OPTICS),2010年1月10日,第49巻,第2号,p.247−257』を参考とした。また、配線基板2の反射率は90%、光拡散部材4bの消衰係数は10-6以下、樹脂4cの光吸収率の消衰係数は10-6以下とした。更に、半導体発光装置1のターゲット色度をx=0.30、y=0.31とした。そして、光拡散部材4bの平均粒径及び粒度分布、並びに蛍光体4aの平均粒径及び粒度分布は種々の場合を想定し、ORA社(現Synopsis社)の照明設計解析ソフトウェアであるLightTools(登録商標)を用いて光線追跡法により、シミュレーションを実施した。当該シミュレーション結果を、表3乃至表6、並びに図5及び図6を参照しつつ詳細に説明するとともに、波長変換部材4の良好な条件について説明する。
第1試料群として、光拡散部材4bに二酸化ケイ素、樹脂4cにポリカーボネート樹脂を用いた場合を想定し、光拡散部材4bである二酸化ケイ素の使用量(重量濃度)を変化させた際における、各半導体発光装置の発光効率(lm/W)をシミュレーションによって算出した。具体的な条件として、試料1−1には光拡散部材4bである二酸化ケイ素を波長変換部材4に含有させず、蛍光体4a及び樹脂4cであるポリカーボネート樹脂から波長変換部材4を構成した。そして、試料1−2〜試料1−20の波長変換部材4には光拡散部材4bである二酸化ケイ素を含有させ、蛍光体4a、光拡散部材4b及び樹脂4cであるポリカーボネート樹脂から波長変換部材4を構成し、試料番号が大きくなるにつれて光拡散部材4bの含有量を増加させ、光拡散部材4bの重量濃度(wt%)を増加させた。
また、第1試料群のシミュレーションにおいては、光拡散部材4bに二酸化ケイ素、樹脂4cにポリカーボネート樹脂を想定したため、測定温度20℃で450nmにおける屈折率として、光拡散部材4bは1.45、樹脂4cは1.58とした。また、光拡散部材4bの密度を2.20g/cm3、樹脂4cの密度を1.20g/cm3とした。更に、波長変換部材4自体の厚み(すなわち、樹脂4cの厚み)を1.00mmとした。
以下の表3に、各試料(半導体発光装置1)における「光拡散部材4bの重量濃度(wt%)」、「屈折率差×波長変換部材4自体の厚み×光拡散部材4bの重量濃度」、「蛍光体4aの使用濃度(wt%)」、「蛍光体4aの使用濃度の減少率(%)」、「発光効率(lm/W)」、及び「発光効率の維持率(%)」を示す。ここで、「蛍光体4aの使用濃度の減少率(%)」とは、試料1−1における蛍光体4aの使用濃度と他の各試料における蛍光体4aの使用濃度との差を、試料1−1における蛍光体4aの使用濃度で除し、当該除した数値を100倍したものである。また、「発光効率の維持率(%)」とは、試料1−1における発光効率を基準(100%)とし、他の各資料の発光効率を試料1−1における発光効率で除した数値を100倍したものである。
Figure 2013211250
表3に示すように、第1試料群においては、光拡散部材と母材の屈折率差×光変換部材の厚み×光拡散部材の重量濃度(wt%)の値が1.300において、蛍光体4aの使用濃度を85.8%減少させることができ、また、発光効率の維持率は91.5%であった。
また、光拡散部材と母材の屈折率差×光変換部材の厚み×光拡散部材の重量濃度の値が5.200においては、蛍光体4aの使用濃度を90.7%も減少させることができ、この際の発光効率の維持率は75.7%であった。この場合においても、一般的に良好な特性を得ることができる発光効率の維持率の値(70%以上)を確保することができている。
更に、光拡散部材と母材の屈折率差×光変換部材の厚み×光拡散部材の重量濃度の値が6.500を超えると、蛍光体4aの使用濃度の減少比率は90.2%を超えるが、発光効率の維持率が70%未満になることがわかった。
すなわち、第1試料群においては、光拡散部材と母材の屈折率差×光変換部材の厚み×光拡散部材の重量濃度の値を適切な範囲にすることにより、蛍光体4aの使用濃度を減少させることができ、かつ、発光効率を十分に維持できることがわかった。
第2試料群として、光拡散部材4bに二酸化ケイ素、樹脂4cにシリコーン樹脂を用いた場合を想定し、光拡散部材4bである二酸化ケイ素の使用量(重量濃度)を変化させた際における、各半導体発光装置の発光効率(lm/W)をシミュレーションによって算出した。具体的な条件として、試料2−1には光拡散部材4bである二酸化ケイ素を波長変換部材4に含有させず、蛍光体4a及び樹脂4cであるシリコーン樹脂から波長変換部材4を構成した。そして、試料2−2〜試料2−19の波長変換部材4には光拡散部材4bである二酸化ケイ素を含有させ、蛍光体4a、光拡散部材4b及び樹脂4cであるシリコーン樹脂から波長変換部材4を構成し、試料番号が大きくなるにつれて光拡散部材4bの含有量を増加させ、光拡散部材4bの重量濃度(wt%)を増加させた。
また、第2試料群のシミュレーションにおいては、光拡散部材4bに二酸化ケイ素、樹脂4cにシリコーン樹脂を想定したため、測定温度20℃で450nmにおける屈折率として、光拡散部材4bは1.45、樹脂4cは1.40とした。また、光拡散部材4bの密度を2.20g/cm3、樹脂4cの密度を1.00g/cm3とした。更に、波長変換部材4自体の厚み(すなわち、樹脂4cの厚み)を1.00mmとした。
以下の表4に、各試料(半導体発光装置1)における「光拡散部材4bの重量濃度(wt%)」、「屈折率差×波長変換部材4自体の厚み×光拡散部材4bの重量濃度」、「蛍光体4aの使用濃度(wt%)」、「蛍光体4aの使用濃度の減少率(%)」、「発光効率(lm/W)」、及び「発光効率の維持率(%)」を示す。なお、「蛍光体4aの使用濃度の減少率(%)」及び「発光効率の維持率(%)」とは、表3における定義と同一である。
Figure 2013211250
表4に示すように、第2試料群においては、光拡散部材と母材の屈折率差×光変換部材の厚み×光拡散部材の重量濃度(wt%)の値が0.500において、蛍光体4aの使用濃度を55.0%減少させることができ、発光効率の維持率は95.2%であった。
また、光拡散部材と母材の屈折率差×光変換部材の厚み×光拡散部材の重量濃度の値が2.500においては、蛍光体4aの使用濃度を82.1%も減少させることができ、この際の発光効率の維持率は87.3%であった。この場合においても、一般的に良好な特性を得ることができる発光効率の維持率の値(70%以上)を確保することができている。
すなわち、第2試料群においても、光拡散部材と母材の屈折率差×光変換部材の厚み×光拡散部材の重量濃度の値を適切な範囲にすることにより、第1試料群ほどの発光効率維持効果はないものの、蛍光体4aの使用濃度を減少させることができ、かつ、発光効率を十分に維持できることがわかった。
第3試料群として、光拡散部材4bに酸化アルミニウム、樹脂4cにポリカーボネート樹脂を用いた場合を想定し、光拡散部材4bである酸化アルミニウムの使用量(重量濃度)を変化させた際における、各半導体発光装置の発光効率(lm/W)をシミュレーションによって算出した。具体的な条件として、試料3−1には光拡散部材4bである酸化アルミニウムを波長変換部材4に含有させず、蛍光体4a及び樹脂4cであるポリカーボネート樹脂から波長変換部材4を構成した。そして、試料3−2〜試料3−20の波長変換部材4には光拡散部材4bである酸化アルミニウムを含有させ、蛍光体4a、光拡散部材4b及び樹脂4cであるポリカーボネート樹脂から波長変換部材4を構成し、試料番号が大きくなるにつれて光拡散部材4bの含有量を増加させ、光拡散部材4bの重量濃度(wt%)を増加させた。
また、第3試料群のシミュレーションにおいては、光拡散部材4bに酸化アルミニウム、樹脂4cにポリカーボネート樹脂を想定したため、測定温度20℃で450nmにおける屈折率として、光拡散部材4bは1.75、樹脂4cは1.58とした。また、光拡散部材4bの密度を4.00g/cm3、樹脂4cの密度を1.20g/cm3とした。更に、波長変換部材4自体の厚み(すなわち、樹脂4cの厚み)を1.00mmとした。
以下の表5に、各試料(半導体発光装置1)における「光拡散部材4bの重量濃度(wt%)」、「屈折率差×波長変換部材4自体の厚み×光拡散部材4bの重量濃度」、「蛍光体4aの使用濃度(wt%)」、「蛍光体4aの使用濃度の減少率(%)」、「発光効率(lm/W)」、及び「発光効率の維持率(%)」を示す。なお、「蛍光体4aの使用濃度の減少率(%)」及び「発光効率の維持率(%)」とは、表3における定義と同一である。
Figure 2013211250
表5に示すように、第3試料群においては、光拡散部材と母材の屈折率差×光変換部材の厚み×光拡散部材の重量濃度(wt%)の値が1.700において、蛍光体4aの使用濃度を87.2%減少させても、発光効率の維持率が90.1%であった。
また、光拡散部材と母材の屈折率差×光変換部材の厚み×光拡散部材の重量濃度の値が3.400においては、蛍光体4aの使用濃度を91.2%も減少させることができ、この際の発光効率の維持率は84.1%であった。この場合においても、一般的に良好な特性を得ることができる発光効率の維持率の値(70%以上)を確保することができている。
更に、光拡散部材と母材の屈折率差×光変換部材の厚み×光拡散部材の重量濃度の値が5.100を超えると、蛍光体4aの使用濃度の減少比率は91.7%を超えるが、発光効率の維持率が70%未満になることがわかった。
すなわち、第3試料群においても、光拡散部材と母材の屈折率差×光変換部材の厚み×光拡散部材の重量濃度の値を適切な範囲にすることにより、第1試料群と同様に、蛍光体4aの使用濃度を減少させることができ、かつ、発光効率を十分に維持できることがわかった。
第4試料群として、光拡散部材4bに酸化アルミニウム、樹脂4cにシリコーン樹脂を用いた場合を想定し、光拡散部材4bである酸化アルミニウムの使用量(重量濃度)を変化させた際における、各半導体発光装置の発光効率(lm/W)をシミュレーションによって算出した。具体的な条件として、試料4−1には光拡散部材4bである酸化アルミニウムを波長変換部材4に含有させず、蛍光体4a及び樹脂4cであるシリコーン樹脂から波長変換部材4を構成した。そして、試料4−2〜試料4−19の波長変換部材4には光拡散部材4bである酸化アルミニウムを含有させ、蛍光体4a、光拡散部材4b及び樹脂4cであるシリコーン樹脂から波長変換部材4を構成し、試料番号が大きくなるにつれて光拡散部材4bの含有量を増加させ、光拡散部材4bの重量濃度(wt%)を増加させた。
また、第4試料群のシミュレーションにおいては、光拡散部材4bに酸化アルミニウム、樹脂4cにシリコーン樹脂を想定したため、測定温度20℃で450nmにおける屈折率として、光拡散部材4bは1.75、樹脂4cは1.40とした。また、光拡散部材4bの密度を4.00g/cm3、樹脂4cの密度を1.00g/cm3とした。更に、波長変換部材4自体の厚み(すなわち、樹脂4cの厚み)を1.00mmとした。
以下の表6に、各試料(半導体発光装置1)における「光拡散部材4bの重量濃度(wt%)」、「屈折率差×波長変換部材4自体の厚み×光拡散部材4bの重量濃度」、「蛍光体4aの使用濃度(wt%)」、「蛍光体4aの使用濃度の減少率(%)」、「発光効率(lm/W)」、及び「発光効率の維持率(%)」を示す。なお、「蛍光体4aの使用濃度の減少率(%)」及び「発光効率の維持率(%)」とは、表3における定義と同一である。
Figure 2013211250
表6に示すように、第4試料群においては、光拡散部材と母材の屈折率差×光変換部材の厚み×光拡散部材の重量濃度(wt%)の値が0.700において、蛍光体4aの使用濃度を80.4%まで減少させることができ、また、発光効率の維持率が91.1%であった。光拡散部材と母材の屈折率差×光変換部材の厚み×光拡散部材の重量濃度(wt%)の値が0.700を超えると、蛍光体4aの使用濃度の減少比率は80.4%を超えるが、発光効率の維持率が90%未満になることがわかった。
また、光拡散部材と母材の屈折率差×光変換部材の厚み×光拡散部材の重量濃度の値が3.500においては、蛍光体4aの使用濃度を93.0%も減少させることができ、この際の発光効率の維持率は71.7%であった。この場合においても、一般的に良好な特性を得ることができる発光効率の維持率の値(70%以上)を確保することができている。
更に、光拡散部材と母材の屈折率差×光変換部材の厚み×光拡散部材の重量濃度の値が3.500を超えると、蛍光体4aの使用濃度の減少比率は91.0%を超えるが、発光効率の維持率が70%未満になることがわかった。
すなわち、第4試料群においても、光拡散部材と母材の屈折率差×光変換部材の厚み×光拡散部材の重量濃度の値を適切な範囲にすることにより、第1試料群と同様に、蛍光体4aの使用濃度を減少させることができ、かつ、発光効率を十分に維持できることがわかった。
表3乃至表6の結果に基づいて、第1試料群から第4試料群までの各試料における、「(光拡散部材4bと樹脂4cとの屈折率差の絶対値)×(波長変換部材4自体の厚み)×(光拡散部材4bの重量濃度)」と「(蛍光体4aの使用濃度)×(波長変換部材4自体の厚み)」と関係、及び、「(光拡散部材4bと樹脂4cとの屈折率差の絶対値)×(波長変換部材4自体の厚み)×(光拡散部材4bの重量濃度)」と「発光効率」との関係をグラフにした。図5が前者を表すグラフであり、図6が後者を表すグラフである。
上述したシミュレーションの結果から、波長変換部材4に光拡散部材4bを含有されていない試料と比較した場合に、70%以上の発光効率の維持率を確保しつつ、蛍光体4aの含有率を低減できる条件として、以下の数式(2)に示す条件を見出した。
0.05 ≦ |(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%]) ≦ 4.00 (2)
また、上述したシミュレーションの結果から、波長変換部材4に光拡散部材4bを含有されていない試料と比較した場合に、78%以上の発光効率の維持率を確保しつつ、蛍光体4aの含有率を低減できる条件として、以下の数式(3)に示す条件を見出した。
0.05 ≦ |(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%]) ≦ 2.50 (3)
更に、上述したシミュレーションの結果から、波長変換部材4に光拡散部材4bを含有されていない試料と比較した場合に、90%以上の発光効率の維持率を確保しつつ、蛍光体4aの含有率を低減できる条件として、以下の数式(4)に示す条件を見出した。
0.05 ≦ |(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%]) ≦ 1.00 (4)
また、上述した数式(2)乃至(4)のいずれかを満たすことを前提として、上述したシミュレーションの結果に基づくと、光拡散部材4bには屈折率が1.3以上1.9以下ものを選択し、樹脂4cには屈折率が1.3以上1.7以下のものを選択することが好ましい。そして、光拡散部材4bの屈折率と母材である樹脂4cの屈折率との差は、0.07以上であることが好ましく、より好ましくは0.10以上である。
更に、上述した数式(2)、並びに光拡散部材4b及び樹脂4cの屈折率の条件を満たす場合には、蛍光体4aの減少比率が6.4%〜93.0%であることがわかった。当該数値は、試料2−6及び試料4−16のシミュレーション結果に基づいている。これは、試料2−6の「(光拡散部材4bと樹脂(母材)4cとの屈折率差の絶対値)×(波長変換部材4自体の厚み)×(光拡散部材4bの重量濃度)」が、上述した数式(2)の下限値を満たす最小値であり、試料4−16の「(光拡散部材4bと樹脂(母材)4cとの屈折率差の絶対値)×(波長変換部材4自体の厚み)×(光拡散部材4bの重量濃度)」が、上述した数式(2)の上限値を満たす最大値であるからである。
更に、上述した数式(3)、並びに光拡散部材4b及び樹脂4cの屈折率の条件を満たす場合には、蛍光体4aの減少比率が6.4%〜91.3%であることがわかった。当該数値は、試料2−6及び試料4−13のシミュレーション結果に基づいている。これは、試料2−6の「(光拡散部材4bと樹脂(母材)4cとの屈折率差の絶対値)×(波長変換部材4自体の厚み)×(光拡散部材4bの重量濃度)」が、上述した数式(3)の下限値を満たす最小値であり、試料4−13の「(光拡散部材4bと樹脂(母材)4cとの屈折率差の絶対値)×(波長変換部材4自体の厚み)×(光拡散部材4bの重量濃度)」が、上述した数式(3)の上限値を満たす最大値であるからである。
更に、上述した数式(4)、並びに光拡散部材4b及び樹脂4cの屈折率の条件を満たす場合には、蛍光体4aの減少比率が6.4%〜83.1%であることがわかった。当該数値は、試料1−13及び試料2−6のシミュレーション結果に基づいている。これは、試料2−6の「(光拡散部材4bと樹脂(母材)4cとの屈折率差の絶対値)×(波長変換部材4自体の厚み)×(光拡散部材4bの重量濃度)」が、上述した数式(4)の下限値を満たす最小値であり、試料1−13の「(光拡散部材4bと樹脂(母材)4cとの屈折率差の絶対値)×(波長変換部材4自体の厚み)×(光拡散部材4bの重量濃度)」が、上述した数式(4)の上限値を満たす最大値であるからである。
以上のことから、上述した数式(4)、並びに光拡散部材4b及び樹脂(母材)4cの屈折率の条件を満たせば、光拡散部材4bを含まないで、同一色度の出射光を放射する波長変換部材4を作成した場合における蛍光体4aの含有濃度[wt%]を基準として、蛍光体4aの含有濃度[wt%]の減少比率が必ず6.4%〜83.1%の範囲内となり、蛍光体4aの使用量を低減しつつも、半導体発光装置1の発光効率の維持率を90%以上に確保することができる。
また、上述した数式(3)、並びに光拡散部材4b及び樹脂4cの屈折率の条件を満たせば、発光効率の維持率の最低値が78%まで低下するが、減少比率の範囲が6.4%〜91.3%まで拡大し、蛍光体4aの使用量を低減することができる。更に、また、上述した数式(2)、並びに光拡散部材4b及び樹脂4cの屈折率の条件を満たせば、発光効率の維持率の最低値が70%まで低下するが、減少比率の範囲が6.4%〜93.0%まで拡大し、蛍光体4aの使用量を低減することができる。なお、発光効率の維持率が70%以上であれば、良好な特性を有する発光装置を提供することができると考えられ、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。
また、図5における横軸の値(x)である「(光拡散部材4bと樹脂4cとの屈折率差の絶対値)×(波長変換部材4自体の厚み)×(光拡散部材4bの重量濃度)」と、図5における縦軸の値(y)である「(蛍光体4aの使用濃度)×(波長変換部材4自体の厚み)」とを用いて、図5における各試料の傾き(dy/dx)について評価すると、以下の表7の結果が得られた。具体的な傾きの算出方法として、試料ごとに、次の試料番号に対する図5の横軸の値の差(dx)及び縦軸の値の差(dy)を算出し、縦軸の値の差(dy)を横軸の値の差(dx)で除して傾き(dy/dx)を算出した。ここで、縦軸の値の差(dy)については、実際の「(蛍光体4aの使用濃度)×(波長変換部材4自体の厚み)」の差ではなく、蛍光体使用濃度の減少率(%)の差に置き換えている。そして、各試料群のなかで、最大の試料番号が付されている試料(試料1−20、試料2−19、試料3−20、試料4−19)については、傾きを算出していない。なお、傾きがマイナスになる値については、一律してゼロ「0」としている。
Figure 2013211250
ここで、表7に示すように、上述した数式(4)の下限値を満たす最小値を有する試料2−6の傾きは170であり、上述した数式(4)の上限値を満たす最大値を有する試料1−13の傾きは6であった。このことから、上述した数式(4)を図5における傾きを用いて示すと、以下の数式(5)として示すことができる。
6 ≦ dy/dx ≦ 170 (5)
但し、上記数式(5)において、xは|(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%])を表し、yは蛍光体4aの使用濃度の減少比率を表す。
更に、図5からわかるように、第1試料群、第3試料群、第4試料群のいずれにおいても、「(光拡散部材4bと樹脂4cとの屈折率差の絶対値)×(波長変換部材4自体の厚み)×(光拡散部材4bの重量濃度)」の値(図5における横軸の値(x))が0〜0.25の範囲内においては、「(蛍光体4aの使用濃度)×(波長変換部材4自体の厚み)」の値(図5における縦軸の値(y))が急峻に減少しているが、図5における横軸の値(x)が0.25以上の範囲においては、図5における縦軸の値(y)がなだらかに減少しているか、又はほぼ減少していない。このことから、図5における横軸の値(x)である「(光拡散部材4bと樹脂(母材)4cとの屈折率差の絶対値)×(波長変換部材4自体の厚み)×(光拡散部材4bの重量濃度)」の値を0.25以上とすることにより、蛍光体4aの含有量のばらつきに起因する半導体発光装置1の発光効率のばらつきを低減することができる。このことから、ひいては、半導体発光素子から放射される光の変換効率が変化することから、半導体発光素子から放射される光(青色光)と波長変換部材によって変換された光(黄色光)とが混合して半導体発光装置から放射される光(白色光)の色度のばらつきを低減することができる。従って、波長変換部材4は、以下の数式(6)を満たすことがより好ましい。
0.25 ≦ |(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%]) ≦ 1.00 (6)
ここで、表7に示すように、試料1−8の傾き(dy/dx)が59であり、試料2−10の傾き(dy/dx)が107、試料4−5の傾き(dy/dx)が95、試料4−6の傾き(dy/dx)が64であった。これらの傾きを考慮して上述した数式(6)を図5における傾きを用いて示すと、以下の数式(7)として示すことができる。
107 ≦ dy/dx ≦ 170 (7)
但し、上記数式(7)において、xは|(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%])を表し、yは蛍光体4aの使用濃度の減少比率を表す。
なお、上述した蛍光体4aも黄色光を拡散することもあるが、上述した数式において、光拡散部材4bに蛍光体4aを含めず、蛍光体4aを光拡散部材4bの一部として考慮しないものとする。
(実際の試料評価)
次に、本実施形態における半導体発光装置1について、蛍光体4aの混合比、及び蛍光体4aの使用濃度(wt%)を変更して、半導体発光装置1から放出される光の目標色度点(x、y)=(0.46、0.41)になるように調整した。そして、各半導体発光装置の発光効率を実際に測定し、当該測定結果の評価を行った。なお、配線基板2としては、反射率90%以上のホワイトアルミナを用いた。当該評価結果を、表8を参照しつつ詳細に説明する。なお、実際に発光効率を測定した試料群を第5試料群と称する。
波長変換部材4を作製するために用いた第5試料群の樹脂組成物の原材料は以下の通りである。
光拡散部材4b:ポリメチルシルセスキオキサン球状粒子、モメンティブ社製、商品名「トスパール120」、平均粒径2μm、屈折率1.42、密度1.3g/cm3
樹脂4c:ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールAを出発原料として界面重合法で製造したポリカーボネート樹脂のグラニュール)、三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名「ユーピロンS−3000FN」、粘度平均分子量21,000、密度=1.2g/cm3(23℃)、屈折率1.58
蛍光体4a:三菱化学社製の蛍光体、YAG(黄色蛍光体)、CASN(赤色蛍光体)、SCASN(短波長赤色蛍光体)、G−YAG(緑色蛍光体)の混合物。混合比は、(YAG+G−YAG):(CASN+SCASN)=8:2である。
波長変換部材4に使用した樹脂組成物の製造条件及び波長変換部材4の成形条件は以下の通りである。
蛍光体4a、光拡散部材4b、樹脂4cを表8に記載の所定量配合し、タンブラーミキサーで混合後、40mm単軸押出機(いすず加工機社製、フルフライトスクリュー)を用いて、シリンダー温度280℃設定、スクリュー回転数75rpm、生産速度18kg/h、真空ベント0.08MPaの条件にて溶融混練し、樹脂組成物ペレットを得た。次いで得られたペレットを用い、射出成形機(日精社製「NS40」)にて、シリンダー温度280℃設定、金型温度80℃、射出保圧時間3sec、冷却時間10secの条件で1mm厚の波長変換部材4を作製した。
以下の表8に、各試料(半導体発光装置1)における「光拡散部材4bの重量濃度(wt%)」、「屈折率差×波長変換部材4自体の厚み×光拡散部材4bの重量濃度」、「蛍光体4aの使用濃度(wt%)」、及び「発光効率(lm/W)」を示す。
Figure 2013211250
表8に示すように、蛍光体4aの混合比率が変わったとしても、上述した数式(2)乃至(4)のいずれかの条件を満たせば、比較的に高い発光効率が得られることがわかった。なお、本評価においては、蛍光体の使用濃度(wt%)が減少すると、発光効率が増加するような結果となっており、上述したシミュレーションの結果と異なっている。これは、半導体発光装置1の発光効率が光拡散部材4bの添加以外の他の要因(例えば、蛍光体4aの混合比率)の影響を受けるためである。
(本実施形態による効果)
本実施形態の波長変換部材4においては、0.05 ≦ |(光拡散部材4bの屈折率)−(樹脂4cの屈折率)|×(波長変換部材4の厚み[mm])×(光拡散部材4bの重量濃度[wt%]) ≦ 4.00の数式が満されているため、半導体発光装置1に設けられた際に半導体発光装置1の発光効率を低下させることなく、蛍光体4aの含有量を減少させてコスト低減を図ることができる。この場合に、|(光拡散部材4bの屈折率)−(樹脂4cの屈折率)|×(波長変換部材4の厚み[mm])×(光拡散部材4bの重量濃度[wt%])の値が、2.50以下であると当該効果(発光効率の低下及びコスト低減)が顕著に奏され、1.00以下であると当該効果がより一層顕著に奏されることになる。
また、本実施形態の波長変換部材4においては、|(光拡散部材4bの屈折率)−(樹脂4cの屈折率)|×(波長変換部材4の厚み[mm])×(光拡散部材4bの重量濃度[wt%])の値が0.25以上である場合には、蛍光体4aの含有量のばらつきに起因する半導体発光装置1の発光効率のばらつきを低減することができる。
更に、本実施形態の半導体発光装置1においては、波長変換部材4が、0.05 ≦ |(光拡散部材4bの屈折率)−(樹脂4cの屈折率)|×(波長変換部材4の厚み[mm])×(光拡散部材4bの重量濃度[wt%]) ≦ 4.00の数式を満たしているため、発光効率を低下させることなく、蛍光体4aの含有量を減少させてコスト低減を図ることができる。この場合に、|(光拡散部材4bの屈折率)−(樹脂4cの屈折率)|×(波長変換部材4の厚み[mm])×(光拡散部材4bの重量濃度[wt%])の値が、2.50以下であると当該効果(発光効率の低下及びコスト低減)が顕著に奏され、1.00以下であると当該効果がより一層顕著に奏されることになる。
なお、本実施形態においては、波長変換部材4の母材として上述したような樹脂4cを用いたが、これに限定されることなく、ガラス等を用いることもできる。
また、本実施形態においては、半導体発光装置1の光源として青色光を放射するLEDチップ3を用いたが、半導体発光装置1から白色光を放射することができれば、青色光を放射するLEDチップに限定されることなく、例えば、紫外線を放射するLEDチップを用いてもよい。このような場合、波長変換部材4は、紫外線を吸収して赤色光を放射する赤色蛍光体、紫外線を吸収して緑色光を放射する緑色蛍光体、及び紫外線を吸収して青色光を放射する青色蛍光体を分散保持することになる。
具合的な赤色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は570nm以上、好ましくは580nm以上、より好ましくは585nm以上で、通常は780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、赤色蛍光体として例えば、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O)2:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu、(Sr,Ba)3SiO5:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、SrAlSi47:Eu、(La,Y)22S:Eu、Eu(ジベンゾイルメタン)3・1,10−フェナントロリン錯体などのβ−ジケトン系Eu錯体、カルボン酸系Eu錯体、K2SiF6:Mnが好ましく、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Sr,Ca)AlSi(N,O)3:Eu、SrAlSi47:Eu、(La,Y)22S:Eu、K2SiF6:Mn(但し、Siの一部がAlやNaで置換されていてもよい)がより好ましい。
具体的な緑色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は500nm以上、好ましくは510nm以上、より好ましくは515nm以上で、通常は550nm未満、好ましくは542nm以下、より好ましくは535nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、緑色蛍光体として例えば、Y3(Al,Ga)512:Ce、CaSc24:Ce、Ca3(Sc,Mg)2Si312:Ce、(Sr,Ba)2SiO4:Eu、(Si,Al)6(O,N)8:Eu(β−サイアロン)、(Ba,Sr)3Si612:N2:Eu、SrGa24:Eu、BaMgAl1017:Eu,Mnが好ましい。
具体的な青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上で、通常は500nm未満、好ましくは490nm以下、より好ましくは480nm以下、更に好ましくは470nm以下、特に好ましくは460nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、青色蛍光体として例えば、(Ca,Sr,Ba)MgAl1017:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46(Cl,F)2:Eu、(Ba,Ca,Mg,Sr)2SiO4:Eu、(Ba,Ca,Sr)3MgSi28:Euが好ましく、(Ba,Sr)MgAl1017:Eu、(Ca,Sr,Ba)10(PO46(Cl,F)2:Eu、Ba3MgSi28:Euがより好ましく、Sr10(PO46Cl2:Eu、BaMgAl1017:Euが特に好ましい。
更に、本実施形態において、LEDチップ3から放射される青色光と、黄色蛍光体である蛍光体4aから放射される黄色光とを合成し、半導体発光装置1から擬似的に白色光を放射していたが、黄色光は赤色光と緑色光との合成光であるため、波長変換部材4が含有する蛍光体を上述した赤色蛍光体及び緑色蛍光体に代えてもよい。このような場合には、LEDチップ3から放射される青色光と、赤色蛍光体から放射される赤色光と、緑色蛍光体から放射される緑色光とを合成し、半導体発光装置1から擬似的に白色光を放射することになる。
そして、本実施形態における半導体発光装置1においては、LEDチップ3と波長変換部材4とを離間して配置していたが、LEDチップ3を覆うように波長変換部材4を配置してもよい。
上述したような変形例であっても、上述した数式(2)、並びに光拡散部材4b及び樹脂4cの屈折率の条件を満たす場合には、上述した本実施形態と同一の効果を得ることができる。
<第2実施態様>
上述した第1実施形態においては、樹脂4c内に蛍光体4a及び光拡散部材4bが混在していたが、このような波長変換部材4の構造に限定されることなく、図7に示すような構造を有する波長変換部材に代えてもよく、このような構造を有する波長変換部材24を第2実施態様として、以下に説明する。なお、図7は、図4と同様にして示す半導体発光装置21の要部拡大断面図であり、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
図7に示すように、複数の蛍光体24a及び複数の光拡散部材24bは、樹脂24c内において互いに分離して含有されている。そして、複数の蛍光体24a及び樹脂24cから蛍光体層24dが形成され、複数の光拡散部材24b及び樹脂24cから光拡散層24eが形成されている。すなわち、本実施形態における波長変換部材24は、樹脂24cが蛍光体24aのみを含有した状態の蛍光体層24dの上に、樹脂24cが光拡散部材24bのみを含有した状態の光拡散層24eが積層された2層構造を有している。
また、本実施形態において、蛍光体層24dがLEDチップ3と対向するように配置されている。すなわち、LEDチップ3から蛍光体層24dまでの距離は、LEDチップから光拡散層24eまでの距離よりも小さくなっている。
なお、図8に示すように、光拡散層24eがLEDチップ3と対向するように配置してもよい。すなわち、LEDチップ3から蛍光体層24dまでの距離は、LEDチップから光拡散層24eまでの距離よりも大きくなっている。
本実施形態においても、上述した数式(2)、並びに光拡散部材及び樹脂の屈折率の条件を満たす場合には、上述した第1実施形態と同一の効果を得ることができる。本実施形態に係る半導体発光装置21は、比較的に高い発光効率を有し、一般照明用途及びバックライト用途として適している。更に、蛍光体層24d及び光拡散層24eが互いに接触して積層されているため、半導体発光装置21として、小型化を図ることが容易になる。
<第3実施態様>
上述した第2実施形態において、波長変換部材24は、複数の蛍光体24a及び樹脂24cから形成される蛍光体層24dと、複数の光拡散部材24b及び樹脂24cから形成される光拡散層24eとが積層された2層構造を有していた。しかしながら、このような波長変換部材24の構造に限定されることなく、図9に示すような構造を有する波長変換部材に代えてもよく、このような構造を有する波長変換部材34を第3実施態様として、以下に説明する。なお、図9は、図4及び図7と同様にして示す半導体発光装置31の要部拡大断面図であり、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
図9に示すように、樹脂34cは空隙層34fを介して2つの層に分離されている。そして、樹脂34cの一方の層内には、複数の蛍光体34aが分散して保持されており、これによって蛍光体層34dが形成されている。また、樹脂34cの他方の層内には、複数の光拡散部材34bが分散して保持されており、これによって光拡散層34eが形成されている。すなわち、本実施形態における波長変換部材34は、蛍光体層34d、空隙層34f、及び光拡散層34eが順次積層された3層構造を有している。
また、本実施形態において、蛍光体層34dがLEDチップ3と対向するように配置されている。すなわち、LEDチップ3から蛍光体層34dまでの距離は、LEDチップから光拡散層34eまでの距離よりも小さくなっている。
なお、図10に示すように、光拡散層34eがLEDチップ3と対向するように配置してもよい。すなわち、LEDチップ3から蛍光体層34dまでの距離は、LEDチップから光拡散層34eまでの距離よりも大きくなっている。このような場合であっても、図9に記載された半導体発光装置31比較して発光効率が低減することなく、一般照明用途及びバックライト用途として十分に使用することができる。
本実施形態においても、上述した数式(2)、並びに光拡散部材及び樹脂の屈折率の条件を満たす場合には、上述した第1実施形態と同一の効果を得ることができる。なお、上述した数式(2)乃至(5)における波長変換部材の厚みとは、本実施形態では波長変換部材34全体の厚みではなく、蛍光体層34dの層厚及び光拡散層34eの層厚の合計である。すなわち、波長変換部材34全体の厚みから空隙層34fの層厚を差し引いた厚みである。
1,21,31 半導体発光装置
2 配線基板
2a チップ実装面
3 LEDチップ(半導体発光素子)
4,24,34 波長変換部材
4a,24a,34a 蛍光体
4b,24b,34b 光拡散部材
4c,24c,34c 樹脂(母材)
5 p電極
6 n電極
7 配線パターン7
8 配線パターン8
24d,34d 蛍光体層
24e,34e 光拡散層
34f 空隙層

Claims (31)

  1. 入射光の少なくとも一部を波長変換して前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する波長変換部材であって、
    前記入射光の少なくとも一部を吸収して前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する蛍光体と、
    前記入射光および前記出射光を拡散する光拡散部材と、
    前記光拡散部材を保持する母材と、を含み、
    0.05 ≦ |(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%]) ≦ 4.00
    の数式を満たすことを特徴とする波長変換部材。
  2. 入射光の少なくとも一部を波長変換して前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する波長変換部材であって、
    前記入射光の少なくとも一部を吸収して前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する蛍光体と、
    前記入射光および前記出射光を拡散する光拡散部材と、
    前記光拡散部材を保持する母材と、を含み、
    0.05 ≦ |(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%]) ≦ 1.00
    の数式を満たすことを特徴とする波長変換部材。
  3. 前記数式における|(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|の値は、0.07以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の波長変換部材。
  4. 前記光拡散部材を含まないで、同一色度の出射光を放射する波長変換部材を作成した場合の前記蛍光体の含有濃度[wt%]を基準として、前記蛍光体の含有濃度[wt%]の減少比率が、6.4%〜83.1%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  5. 前記数式における|(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%])の値は、0.25以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  6. 6 ≦ dy/dx ≦ 170
    x:|(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%])
    y:前記光拡散部材を含まないで、同一色度の出射光を放射する波長変換部材を作成した場合の前記蛍光体の含有濃度[wt%]を基準として、前記蛍光体の含有濃度[wt%]の減少比率
    の数式を満たすことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  7. 前記蛍光体及び前記光拡散部材は、前記母材内に混在していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  8. 前記蛍光体及び前記光拡散部材は、前記母材内に互いに分離して含有されるとともに、蛍光体層及び光拡散層を形成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  9. 前記蛍光体層及び前記光拡散層は、互いに接触しつつ積層されていることを特徴とする請求項8に記載の波長変換部材。
  10. 前記母材は、前記蛍光体層と前記光拡散層とを離間する空隙層を有することを特徴とする請求項8に記載の波長変換部材。
  11. 前記光拡散部材の屈折率が、1.3以上1.9以下であり、
    前記母材の屈折率が、1.3以上1.7以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  12. 前記光拡散部材は、珪素、アルミニウム、チタン、及び、ジルコニウムからなる群の少なくとも1つの元素を含む無機系光拡散材、又は、有機系光拡散材であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  13. 前記有機系光拡散材が、元素として珪素を含む有機系光拡散材、又は、アクリル系光拡散材であることを特徴とする請求項12に記載の波長変換部材。
  14. 前記光拡散部材の密度は、1g/cm3〜5g/cm3であることを特徴とする請求項12又は13に記載の波長変換部材。
  15. 前記母材が、樹脂またはガラスからなることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  16. 前記樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、及びシリコーン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つの樹脂であることを特徴とする請求項15に記載の波長変換部材。
  17. 前記樹脂がポリカーボネート樹脂であり、前記光拡散部材がポリメチルシルセスキオキサン粒子であることを特徴とする請求項15に記載の波長変換部材。
  18. 配線基板と、
    前記配線基板の実装面に配置された半導体発光素子と、
    前記半導体発光素子から入射される入射光の少なくとも一部を吸収して前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する蛍光体、前記入射光および前記出射光を拡散する光拡散部材、及び前記光拡散部材を保持する母材を含む波長変換部材と、を有し、
    前記波長変換部材は、
    0.05 ≦ |(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%]) ≦ 4.00
    の数式を満たすことを特徴とする半導体発光装置。
  19. 配線基板と、
    前記配線基板の実装面に配置された半導体発光素子と、
    前記半導体発光素子から入射される入射光の少なくとも一部を吸収して前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する蛍光体、前記入射光および前記出射光を拡散する光拡散部材、及び前記光拡散部材を保持する母材を含む波長変換部材と、を有し、
    前記波長変換部材は、
    0.05 ≦ |(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|×(波長変換部材の厚み[mm])×(光拡散部材の重量濃度[wt%]) ≦ 1.00
    の数式を満たすことを特徴とする半導体発光装置。
  20. 前記数式における|(光拡散部材の屈折率)−(母材の屈折率)|の値は、0.07以下であることを特徴とする請求項18又は19に記載の半導体発光装置。
  21. 前記光拡散部材を含まない場合の発光効率(lm/W)を基準として、発光効率(lm/W)の維持率が90%以上であり、且つ、前記光拡散部材を含まない場合と比較して前記蛍光体の含有濃度[wt%]が減少していることを特徴とする請求項18乃至20のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  22. 前記半導体発光素子と前記波長変換部材とは、離間していることを特徴とする請求項18乃至21のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  23. 前記蛍光体及び前記光拡散部材は、前記母材内に混在していることを特徴とする請求項18乃至22のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  24. 前記蛍光体及び前記光拡散部材は、前記母材内に互いに分離して含有されるとともに、蛍光体層及び光拡散層からなる積層構造を形成することを特徴とする請求項18乃至22のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  25. 前記半導体発光素子から前記蛍光体層までの距離は、前記半導体発光素子から前記光拡散層までの距離よりも小なることを特徴とする請求項24に記載の半導体発光装置。
  26. 前記半導体発光素子から前記蛍光体層までの距離は、前記半導体発光素子から前記光拡散層までの距離よりも大なることを特徴とする請求項24に記載の半導体発光装置。
  27. 前記光拡散部材の屈折率が、1.3以上1.9以下であり、
    前記母材の屈折率が、1.3以上1.7以下であることを特徴とする請求項18乃至26のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  28. 前記母材が、樹脂またはガラスからなることを特徴とする請求項18乃至27のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  29. 前記樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、及びシリコーン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つの樹脂であることを特徴とする請求項28に記載の半導体発光装置。
  30. 前記樹脂が、ポリカーボネート樹脂であり、前記光拡散部材がポリメチルシルセスキオキサン粒子であることを特徴とする請求項28に記載の半導体発光装置。
  31. 前記波長変換部材で波長変換されなかった前記半導体発光素子から放射される光と、前記波長変換部材で変換された光が混合して白色光を放射することを特徴とする請求項18乃至30のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
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