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JP2014093398A - 半導体発光装置、照明装置、及び波長変換部材 - Google Patents

半導体発光装置、照明装置、及び波長変換部材 Download PDF

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JP2014093398A
JP2014093398A JP2012242621A JP2012242621A JP2014093398A JP 2014093398 A JP2014093398 A JP 2014093398A JP 2012242621 A JP2012242621 A JP 2012242621A JP 2012242621 A JP2012242621 A JP 2012242621A JP 2014093398 A JP2014093398 A JP 2014093398A
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Hisafumi Yoshida
尚史 吉田
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

【課題】発光効率の低下を起こすことなく小型化及び高輝度化を図ることができ、且つ製造工程の簡素化及び削減、並びに製造コストの低減を図ることができる半導体発光装置、当該半導体発光装置を有する照明装置、及びこれらに用いられる波長変換部材を提供すること。
【解決手段】紫外光又は青色光を放射する半導体発光素子と、前記半導体発光素子から入射される入射光の少なくとも一部を吸収して前記入射光とは異なる波長の出射光を出射する蛍光体、及び前記蛍光体を保持する母材からなる少なくとも1本の発光糸状成形体を含む波長変換部材と、を有し、前記波長変換部材は、前記少なくとも1本の発光糸状成形体を用いて面状又は立体形状に形成されていること。
【選択図】図5

Description

本発明は、半導体発光素子から入射する入射光の少なくとも一部を波長変換して当該入射光とは異なる波長の出射光を放出する波長変換部材を用いた半導体発光装置、当該半導体発光装置を有する照明装置、及びこれらの装置に用いられる当該波長変換部材に関する。
発光装置の光源として白熱電球や蛍光灯が従来より広く用いられている。近年では、これらに加え、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)や有機EL(OLED)等の半導体発光素子を光源とした半導体発光装置が開発され使用されつつある。これらの半導体発光素子では、様々な発光色を得ることが可能であるため、発光色の異なる複数の半導体発光素子を組み合わせ、それぞれの発光色を合成して所望の色の合成光を得るようにした半導体発光装置も開発され使用され始めている。
例えば、発光色が赤色のLEDチップを用いた赤色LEDと、発光色が緑色のLEDチップを用いた緑色LEDと、発光色が青色のLEDチップを用いた青色LEDとを組み合わせ、各LEDに供給する駆動電流を調整して各LEDから発せられた光を合成することにより、所望の白色光を放射させるようにした半導体発光装置が特許文献1に開示されている。
元来、LEDチップ自体の発光スペクトル幅は比較的狭いため、LEDチップ自体が発する光をそのまま照明に用いた場合、一般的な照明光において重要となる演色性が低下するという問題がある。そこで、このような問題を解消すべく、LEDチップが発する光を蛍光体などの波長変換部材によって波長変換し、波長変換によって得られた光を放射するようにしたLEDが開発され、このようなLEDを組み合わせた半導体発光装置が、例えば特許文献2に開示されている。
特許文献2に開示されている半導体発光装置においては、青色の光を発するLEDチップを接触しつつ覆うように透明樹脂が設けられ、当該透明樹脂の内部に黄色蛍光体が含有されている。すなわち、特許文献2に開示されている半導体発光装置は、LEDチップを直接的に覆うように波長変換部材が設けられている。しかしながら、このような構造を有する半導体発光装置においては、半導体発光装置の輝度のばらつき及び色ムラが大きかった。また、このような構造を有する半導体発光装置においては、波長変換部材がLEDチップから生じる熱の影響を受けるため、半導体発光装置自体の発光効率の低下を招いていた。このような問題を解決するために、LEDチップから蛍光体を含有する樹脂(すなわち、波長変換部材)を離間して配置した構造を有する半導体発光装置の研究開発及び製品化が、近年においては盛んに行われている。このような構造を有する半導体発光装置は、例えば特許文献3に開示されている。
特開2006−4839号公報 特開2007−122950号公報 特開2011−159813号公報
LEDチップから波長変換部材を離間して配置した構造を有する半導体発光装置は、上述したような問題を解決する構造となっているが、その製造コストは、波長変換部材がLEDチップを直接的に覆う構造を有する半導体発光装置の製造コストよりも高くなっている。このため、半導体発光装置自体の小型化によるコスト低減の要望がより強まってきている。また、近年における半導体発光装置の使用用途の多彩化により、半導体発光装置自体の高輝度化の要望も強まってきているため、LEDチップへの供給電力の増加がより一層図られている。
しかしながら、上述したようなLEDチップから波長変換部材を離間して配置した構造を有する半導体発光装置においては、半導体発光装置の寸法及び発光特性に応じて波長変換部材を別途製造する必要があり、波長変換部材の寸法及び特性が異なれば、波長変換部材用の異なる金型が必要であった。このため、多種にわたる半導体発光装置を製造する場合には複数種類の金型を製造することによるコスト増加が生じ、半導体発光装置の小型化のみでは、波長変換部材及び半導体発光装置のコスト低減を十分に図ることが困難であった。
また、板状に形成された波長変換部材は、比較的に硬質であるため、半導体発光装置の発光面を立体的な形状とする場合、複数の波長変換部材を組み合わせて当該立体的な形状を形成する必要があった。このため、半導体発光装置の製造工程の簡素化及び削減、並びに製造コストの低減を図ることが困難であった。
更に、LEDチップから波長変換部材を離間して配置した構造を有する半導体発光装置であっても、波長変換部材に含まれる蛍光体自体の発熱が抑制されているわけではないため、半導体発光装置自体の小型化や、LEDチップへの供給電力の増加に伴って波長変換部材に到達する入射光の光密度が大きくなると、波長変換部材を構成する蛍光体における発熱量が増加し、半導体発光装置自体の発光効率が低下するという問題が生じていた。従って、LEDチップから波長変換部材を離間して配置した構造を有する半導体発光装置においては、波長変換部材がLEDチップを直接的に覆う構造を有する従来のような半導体発光装置よりも発熱による発光効率の低下は発生しにくいものの、小型化及び高輝度化を十分に図ることは困難であった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、発光効率の低下を起こすことなく小型化及び高輝度化を図ることができ、且つ製造工程の簡素化及び削減、並びに製造コストの低減を図ることができる半導体発光装置、当該半導体発光装置を有する照明装置、及びこれらに用いられる波長変換部材を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の半導体発光装置は、紫外光又は青色光を放射する半導体発光素子と、前記半導体発光素子から入射される入射光の少なくとも一部を吸収して前記入射光とは異なる波長の出射光を出射する蛍光体、及び前記蛍光体を保持する母材からなる少なくとも1本の発光糸状成形体を含む波長変換部材と、を有し、前記波長変換部材は、前記少なくとも1本の発光糸状成形体を用いて面状又は立体形状に形成されていることを特徴とする。
また、上記目的を達成するため、本発明の照明装置は、上記半導体発光装置と、前記半導体発光素子に向かう対流を生成する送風機と、を有することを特徴とする。
更に、上記目的を達成するため、本発明の波長変換部材は、外部から入射される入射光の少なくとも一部を吸収して前記入射光とは異なる波長の出射光を出射する蛍光体、及び前記蛍光体を保持する母材からなる少なくとも1本の発光糸状成形体を有し、前記少なくとも1本の発光糸状成形体によって面状又は立体形状に形成されていることを特徴とする。
本発明に係る半導体発光装置及び照明装置においては、当該装置に用いられる波長変換部材が、半導体発光素子から入射される入射光の少なくとも一部を吸収して当該入射光とは異なる波長の出射光を出射する蛍光体、及び当該蛍光体を保持する母材からなる少なくとも1本の発光糸状成形体を用いて面状又は立体形状に形成されているため、発光効率の低下を起こすことなく小型化及び高輝度化を図ることができ、且つ製造工程の簡素化及び削減、並びに製造コストの低減を図ることができる。
また、本発明に係る波長変換部材は、入射する光を異なる波長の光に変換する蛍光体及び当該蛍光体を保持する母材からなる少なくとも1本の発光糸状成形体を用いて面状又は立体形状に形成されている。このため、本発明に係る波長変換部材を半導体発光装置に用いることにより、当該半導体発光装置の発光効率の低下を起こすことなく、当該半導体発光装置の小型化及び高輝度化を図ることができる。また、このような波長変換部材の構成により、波長変換部材の製造工程の簡素化及び削減、並びに製造コストの低減を図ることができる。
実施例1に係る半導体発光装置の概略を示す斜視図である。 実施例1に係る半導体発光装置の平面図である。 図2中のIII−III線に沿う半導体発光装置の断面図である。 図3に示された断面図の要部拡大図である。 実施例1に係る波長変換部材の部分拡大平面図である。 変形例に係る波長変換部材の部分拡大平面図である。 変形例に係る波長変換部材の部分拡大正面図である。 変形例に係る波長変換部材の模式的な部分拡大平面図である。 変形例に係る波長変換部材の模式的な部分拡大平面図である。 変形例に係る波長変換部材の部分拡大平面図である。 変形例に係る波長変換部材の部分拡大平面図である。 実施例2に係る半導体発光装置の概略を示す斜視図である。 図12中のXIII−XIII線に沿う半導体発光装置の断面図である。 実施例3に係る半導体発光装置の概略を示す斜視図である。 図14中のXV−XV線に沿う半導体発光装置の断面図である。 実施例4に係る半導体発光装置の概略を示す斜視図である。 図16中のXVII−XVII線に沿う半導体発光装置の断面図である。 実施例5に係る照明装置の概略を示す断面図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について、実施例及び変形例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施例及び変形例の説明に用いる図面は、いずれも本発明による半導体発光装置、照明装置及び波長変換部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、または省略などを行っており、各構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。更に、実施例及び変形例で用いる様々な数値は、いずれも一例を示すものであり、必要に応じて様々に変更することが可能である。
<半導体発光装置の全体構成>
先ず、本発明の実施例に係る半導体発光装置1の構成を図1乃至図4を参照しつつ説明する。図1は、実施例に係る半導体発光装置1の全体構成の概略を示す斜視図である。図2は、図1の半導体発光装置1の平面図である。図3は、図2中のIII−III線に沿う半導体発光装置1の断面図である。図4は、図3に示された断面図の要部拡大図である。なお、図1乃至図4において、半導体発光装置1の平面図における一方向をX方向、当該平面図においてX方向と直交する方向をY方向、半導体発光装置1の高さ方向をZ方向と定義する。
本実施例において、半導体発光装置1は、擬似的な白色光を放射する光源である。図1乃至図3から分かるように、半導体発光装置1は、外形が円柱状であって、その内部が円柱状にくり抜かれている筐体2を備える。筐体2の内部には、配線基板3、及び配線基板3上に実装された発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)チップ4が配置されている。また、LEDチップ4から放射される光の少なくとも一部を波長変換する機能を有する波長変換部材5が、筐体2の開口2aを覆うように設けられている。
従って、本実施例に係る半導体発光装置1においては、LEDチップ4から放射される光と、波長変換部材5の波長変換機能によって波長変換された光との合成光である白色光が、光出射面1aから所定方向に出射されることになる。以下において、半導体発光装置1を構成する各部材を詳細に説明するとともに、半導体発光装置1の動作及び効果を詳細に説明する。
(筐体)
円柱状の外形を有する筐体2は、内部に収納される各種の構成部材を半導体発光装置1の外部から加えられる力(すなわち、外力)から保護するために、金属、セラミックス又はプラスチック等の比較的に強固な部材から構成されている。本実施例においては、筐体2の材料としてアルミニウムを用いた。上述したように、筐体2は、その内部が円柱状にくり抜かれており、円柱状(図3においては、コ字状)の部材収納空間2bが形成されている。このような部材収納空間2bが形成されることにより、筐体2の所定の面(図1乃至図3においては、XY平面に平行であって+Z方向に位置する面)に開口2aが形成されることになる。なお、筐体2の開口2aから、上述した合成光である白色光が放射されるため、半導体発光装置1の光放射面1aは、開口2a側に位置することになる。
筐体2はアルミニウムから形成されているため、筐体2の内部側面2cは、LEDチップ4から放射される光(請求項1における入射光)や、波長変換部材5によって波長変換された光(請求項1における出射光)を開口2a(すなわち、半導体発光装置1の光出射面1a)に向けて反射する。これにより、LEDチップ4から放射される光及び波長変換部材5から放射される光を無駄なく開口2aに導くことができ、半導体発光装置1自体の発光効率の向上を図ることができる。なお、筐体2が比較的に高い反射率を有さない部材から構成されている場合には、反射率の高いアルミナ系セラミック等の反射部材を、筐体2の部材収納空間2bを囲むように配置することが好ましい。反射部材としては、アルミナ系セラミックに限定されることなく、例えば、樹脂、ガラスエポキシ樹脂、樹脂中にフィラーを含有した複合樹脂などから選択された材料であってもよく、或いは、アルミナ粉末、シリカ粉末、酸化マグネシウム、酸化チタンなどの白色顔料を含むシリコーン樹脂であってもよい。
(配線基板)
配線基板3は、電気絶縁性に優れて良好な放熱性を有し、かつ、反射率の高い(好ましくは反射率が80%以上の)アルミナ系セラミックから構成されている。また、図4に示すように、配線基板3のチップ実装面3aには、LEDチップ4を実装し且つLEDチップ4に対して電流を供給するための配線パターン6、7が形成されている。なお、配線パターン6、7と、LEDチップ4との接続については、LEDチップ4を説明する際に詳細に説明する。
なお、配線基板3の材質はアルミナ系セラミックに限定されるものではなく、例えば、電気絶縁性に優れた材料として、樹脂、ガラスエポキシ樹脂、樹脂中にフィラーを含有した複合樹脂などから選択された材料を用いて配線基板3の本体を形成してもよい。或いは、配線基板3のチップ実装面3aにおける光の反射性を良くして半導体発光装置1の発光効率を向上させる上では、アルミナ粉末、シリカ粉末、酸化マグネシウム、酸化チタンなどの白色顔料を含むシリコーン樹脂を用いることが好ましい。一方、より優れた放熱性及び反射性を得るため、配線基板3の本体を絶縁体で被覆したアルミニウム等の金属製としてもよい。このような場合には、配線基板3の配線パターンなどを金属製の本体から電気的に絶縁する必要がある。
図3に示すように、配線基板3は、筐体2の部材収納空間2bの底部に配置される。配線基板3は、接着剤を使用して筐体2に固着されてもよく、又はネジ等を用いた機械的な固定方法によって固定されてもよい。また、XY平面における配線基板3の形状を、筐体2の開口部2bと同一にし、接着剤等を用いることなく、配線基板3を筐体2の部材収納空間2bに嵌着してもよい。
(LEDチップ)
本実施形態においてLEDチップ4には、460nmのピーク波長を有した青色光を発するLEDチップを用いる。具体的には、このようなLEDチップとして、例えばInGaN半導体が発光層に用いられるGaN系LEDチップがある。なお、LEDチップ4の種類や発光波長特性はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨から逸脱しない限りにおいて、様々なLEDチップなどの半導体発光素子を用いることができる。本実施形態においてLEDチップ4が発する光のピーク波長は、360nm〜480nmの波長範囲内にあることが好ましく、390nm〜430nmの波長範囲内又は430nm〜480nmの波長範囲内にあることがより好ましい。
図1及び図2から分かるように、配線基板3のチップ実装面3aには、12個のLEDチップ4が規則的に配列されている。具体的には、配線基板3の中央部に4個のLEDチップ4が等間隔で配置され、当該4個のLEDチップ4の四方を囲むように8個のLEDチップ4が配置されている。そして、中央部に配置された4個のLEDチップ4のそれぞれは、配線基板3の中心から等しい距離だけ離間した位置に配置され、同様に、四方を囲むように配置された8個のLEDチップ4のそれぞれは、配線基板3の中心から等しい距離だけ離間した位置に配置されている。すなわち、当該4個のLEDチップ4及び当該8個のLEDチップ4のそれぞれが同心円状に配置され、12個のLEDチップ4全体として、略円形のLEDチップ実装領域(図示せず)を形成している。このようにLEDチップ4を配置することにより、半導体発光装置1から放射される光にムラが生じにくくなる。
図4に示すように、LEDチップ4は、配線基板3のチップ実装面3aに対向する面側に、p電極8及びn電極9を有している。そして、配線パターン6にはp電極8が接合され、配線パターン7にはn電極9が接合されている。これらのp電極8及びn電極9の配線パターン6及び配線パターン7への接続は、図示しない金属バンプを介し、ハンダ付けによって行われている。また、図4において図示されていない他のLEDチップ4も、それぞれのLEDチップ4に対応して配線基板3のチップ実装面3aに形成された配線パターン6及び配線パターン7に、それぞれのp電極8及びn電極9が同様にして接合されている。ここで、LEDチップ4同士は、配線パターン6及び配線パターン7を介して直列接続さていてもよく、並列接続されていてもよく、更には直列接続及び並列接続を組み合わせた接続がなされていてもよい。本実施形態において、LEDチップ4同士は、並列接続されているものとする。
なお、LEDチップ4の配線基板3への実装方法は、これに限定されるものではなく、LEDチップ4の種類や構造などに応じて適切な方法を選択可能である。例えば、LEDチップ4を配線基板3の所定位置に接着固定した後、各LEDチップ4の2つの電極を対応する配線パターンにワイヤボンディングによって接続してもよいし、一方の電極を上述のように対応する配線パターンに接合すると共に、他方の電極を対応する配線パターンにワイヤボンディングによって接続するようにしてもよい。
(波長変換部材)
次に、波長変換部材5について、図4及び図5を参照しつつ詳細に説明する。ここで、図5は、本実施例に係る波長変換部材5の部分拡大平面図である。なお、図5におけるX方向及びY方向は、図2のX方向及びY方向に対応している。
図5に示すように、本実施例の波長変換部材5は、複数の発光糸状成形体11から構成されている。より具体的には、X方向において平行に配置された複数の経糸11aと、Y方向に往復しながら経糸11aの間を縫うように配置された緯糸11bとから、波長変換部材5が構成されている。このように経糸11aと緯糸11bとを交差するように織り込む又は編み込むことにより、面状の波長変換部材5が形成されることになる。換言すれば、波長変換部材5は、布状の成形物である。ここで、経糸11a及び緯糸11bの本数は、図5に示されているものに限られることなく、波長変換部材5の寸法に応じて適宜変更することができ、例えば、複数の緯糸11bが複数の経糸11aの間を縫うようにしてもよい。
また、図5に示すように、波長変換部材5は、複数の発光糸状成形体11を交差することによって形成される複数の空隙12を備えている。このような空隙12を備えることにより、空気が波長変換部材5を通り抜けることが可能となり、波長変換部材5の一方の面側から他方の面側に向かう空気の対流を生じさせることができる。当該空気の対流が生じることで、波長変換部材5から生じる熱を放熱することが可能になる。
発光糸状成形体11は、蛍光体と母材を含む組成物を細長く引き伸ばした形状の成形体であって、その成形体の断面の直径は、0.1mm以上3.0mm以下であることが好ましく、本実施例においては0.5mmとした。これは、波長変換部材5の強度及び可撓性を確保するためである。より具体的には、発光糸状成形体11の断面の直径が0.1mm未満になると、波長変換部材5としての可撓性は得られるものの、発光糸状成形体11自体が折れたり又は破損しやすくなり、半導体発光装置1の部材として十分な強度を備えることが困難になる。一方、発光糸状成形体11の断面の直径が3.0mmより大きくなると、波長変換部材5として強度は十分になるものの、様々な半導体発光装置1の形状に適合させるための十分な可撓性を得ることが困難になる。従って、本実施例に係る波長変換部材5は、基本的な形状が平坦な布状であるものの、要求される半導体発光装置1の形状に容易に適合することができるような十分な可撓性を備え、且つ外力が加えられた場合にも破損することがない十分な強度を備えている。すなわち、本実施例に係る波長変換部材5は、屈曲自在である。
図4の断面図に示すように、発光糸状成形体11である経糸11a及び緯糸11bのそれぞれは、LEDチップ4から入射する青色光の少なくとも一部を吸収し、当該青色光とは異なる波長の出射光を放出する蛍光体13と、蛍光体13を保持する母材14とから構成されている。本実施例に係る半導体発光装置1においては、青色光を放射するLEDチップ4を半導体発光素子として使用しているため、当該青色光の一部を黄色光及び赤色光に波長変換し、LEDチップ4から放射する青色光、波長変換部材5から出射する黄色光及び赤色光を合成して擬似的な白色光を出射する。従って、本実施例における蛍光体13には、青色光を吸収して励起し、基底状態に戻る際に青色光とは異なる波長の光を発する黄色蛍光体及び赤色蛍光体が用いられる。
具体的な黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上で、通常は620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、黄色蛍光体として例えば、YAG蛍光体又はLSN蛍光体等の蛍光体が好ましく、より具体的には、Y3Al512:Ce、(Y,Gd)3Al512:Ce、(Sr,Ca,Ba,Mg)2SiO4:Eu、(Ca,Sr)Si222:Eu、α−サイアロン、La3Si611:Ce(但し、その一部がCaやOで置換されていてもよい)が好ましい。
また、具合的な赤色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は570nm以上、好ましくは580nm以上、より好ましくは585nm以上で、通常は780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、赤色蛍光体として例えば、CASN蛍光体又はSCASN蛍光体等の蛍光体が好ましく、より具体的には(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O)2:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu、(Sr,Ba)3SiO5:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、SrAlSi47:Eu、(La,Y)22S:Eu、Eu(ジベンゾイルメタン)3・1,10−フェナントロリン錯体などのβ−ジケトン系Eu錯体、カルボン酸系Eu錯体、K2SiF6:Mn、Mn付活ジャーマネートが好ましく、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Sr,Ca)AlSi(N,O)3:Eu、SrAlSi47:Eu、(La,Y)22S:Eu、K2SiF6:Mn(但し、Siの一部がAlやNaで置換されていてもよい)がより好ましい。
母材14には、熱可撓性樹脂(熱可撓性エポキシ樹脂)、熱硬化性樹脂(熱硬化性シリコーン樹脂、メラミン樹脂)、熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂)又はガラス等の透光性を備える材料を用いることができ、より具体的には熱可塑性樹脂であるポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル(PET)樹脂、又は複数樹脂を用いたアロイ等を用いることができる。本実施例においては、ポリカーボネート樹脂を使用した。また、母材14は、光透過率が80%以上であってJIS K7171に従って測定した曲げ弾性率が100MPa以上20000MPa以下であることが好ましい。これは、LEDチップ4から放射される青色光、蛍光体13によって波長変換された黄色光及び赤色光を効率良く外部に出射しつつ、波長変換部材5自体の優れた可撓性をもたらすためである。従って、上述した光透過率及び曲げ弾性率を満たすことができれば、上述した以外の材料を用いてもよい。
ここで、母材14としては、ポリカーボネート樹脂が、透明性、耐熱性、機械的特性、難燃性に優れる点で、最も好ましく使用できる。以下に、ポリカーボネート樹脂について詳細に説明する。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、下記の一般的な化学式(1)で表される、炭酸結合を有する基本構造の重合体である。
Figure 2014093398
化学式(1)中、X1は一般には炭化水素であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたX1を用いてもよい。
また、ポリカーボネート樹脂は、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂、及び脂肪族炭素である脂肪族ポリカーボネート樹脂に分類できるが、いずれを用いることもできる。なかでも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限はないが、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなるポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしてもよい。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法も用いてもよい。また、ポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単独重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このようなポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例を挙げると、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;2,2'−ジヒドロキシ−1,1'−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;2,2'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
これらの中でもビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、脂肪族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーの例を挙げると、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、デカン−1,10−ジオール等のアルカンジオール類;シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール、2,2,4,4−テトラメチル−シクロブタン−1,3−ジオール等のシクロアルカンジオール類;2,2'−オキシジエタノール(即ち、エチレングリコール)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、スピログリコール等のグリコール類;1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジエタノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,6−ビス(ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4,4'−ビフェニルジメタノール、4,4'−ビフェニルジエタノール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビスフェノールAビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、ビスフェノールSビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル等のアラルキルジオール類;1,2−エポキシエタン(即ち、エチレンオキシド)、1,2−エポキシプロパン(即ち、プロピレンオキシド)、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,4−エポキシシクロヘキサン、1−メチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、2,3−エポキシノルボルナン、1,3−エポキシプロパン等の環状エーテル類が挙げられ、これらは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が挙げられる。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲンや、ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適な、界面重合法及び溶融エステル交換法について具体的に説明する。
「界面重合法」
界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体は、前述のとおりである。なお、カーボネート前駆体の中でもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられるが、中でも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限はないが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10〜12にコントロールするために、5〜10重量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10〜12、好ましくは10〜11になる様にコントロールするために、ビスフェノール化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、中でも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、中でも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’−ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’−ジメチルアニリン、N,N’−ジエチルアニリン等の芳香族三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩、ピリジン、グアニン、グアニジンの塩等が挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調整剤としては、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する芳香族フェノール;メタノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール、メルカプタン、フタル酸イミド等が挙げられるが、中でも芳香族フェノールが好ましい。このような芳香族フェノールとしては、具体的に、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキル基置換フェノール;イソプロパニルフェノール等のビニル基含有フェノール、エポキシ基含有フェノール、o−オキシン安息香酸、2−メチル−6−ヒドロキシフェニル酢酸等のカルボキシル基含有フェノール等が挙げられる。なお、分子量調整剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調整剤の使用量は、ジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、また、通常50モル以下、好ましくは30モル以下である。分子量調整剤の使用量をこの範囲とすることで、ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性及び耐加水分解性を向上させることができる。
反応の際に、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いた場合には、分子量調節剤はジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
「溶融エステル交換法」
溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
ジヒドロキシ化合物は、前述の通りである。一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートが好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの比率は所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが好ましく、中でも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
ポリカーボネート樹脂では、その末端水酸基量が熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端水酸基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率、エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を調整したポリカーボネート樹脂を得ることができる。なお、この操作により、通常は得られるポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率を調整して末端水酸基量を調整する場合、その混合比率は前記の通りである。また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。なかでも、例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法において、反応温度は通常100〜320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただし中でも、ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いてもよい。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは20ppm以下である。
ポリカーボネート樹脂の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]は、通常10,000以上、好ましくは16,000以上、より好ましくは18,000以上であり、また、通常40,000以下、好ましくは30,000以下である。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて成形加工を容易に行えるようになる。なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
なお、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10-4Mv0.83から算出される値を意味する。また極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記数式(1)により算出した値である。
Figure 2014093398
ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1,000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。これにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂の重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
ポリカーボネート樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂単独(ポリカーボネート樹脂単独とは、ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、例えば、モノマー組成や分子量が互いに異なる複数種のポリカーボネート樹脂を含む態様を含む意味で用いる。)で用いてもよく、ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂とのアロイ(混合物)とを組み合わせて用いてもよい。さらに、例えば、難燃性や耐衝撃性をさらに高める目的で、ポリカーボネート樹脂を、シロキサン構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性や難燃性をさらに向上させる目的でリン原子を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性を向上させる目的で、ジヒドロキシアントラキノン構造を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;光学的性質を改良するためにポリスチレン等のオレフィン系構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;耐薬品性を向上させる目的でポリエステル樹脂オリゴマーまたはポリマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体として構成してもよい。他の熱可塑性樹脂と組み合わせて用いる場合は、樹脂成分中のポリカーボネート樹脂の割合が50重量%以上であることが好ましく、60重量%であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましい。
また、成形品の外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1,500以上、好ましくは2,000以上であり、また、通常9,500以下、好ましくは9,000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30重量%以下とすることが好ましい。
さらに、ポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂)であってもよい。前記の使用済みの製品としては、例えば、光学ディスク等の光記録媒体;導光板;自動車窓ガラス、自動車ヘッドランプレンズ、風防等の車両透明部材;水ボトル等の容器;メガネレンズ;防音壁、ガラス窓、波板等の建築部材などが挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂のうち、80重量%以下であることが好ましく、中でも50重量%以下であることがより好ましい。再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
上述した母材14には、本発明の特性を損なわない範囲において必要に応じて公知の各種添加剤を含有させることができる。例えば、拡散剤、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、滑剤、光安定剤、可塑剤、帯電防止剤、熱伝導性改良剤、導電性改良剤、着色剤、耐衝撃性改良剤、抗菌剤、耐薬品性改良剤、強化剤、レーザーマーキング改良剤、屈折率調整剤などが挙げられる。これらの添加剤の具体的な種類や量は、母材14に対して公知の好適なものを選択することができる。
ここで、ポリカーボネート樹脂に配合する好ましい添加剤について例示する。ポリカーボネート樹脂には、拡散剤を含有することが好ましい。拡散剤を含有することで、母材に光拡散性を付与することが可能となる。拡散剤は、無機系光拡散剤、有機系光拡散剤、又は気泡が挙げられる。
無機系光拡散剤としては、例えば、珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛及びバリウム等の元素を含有する無機系光拡散剤を用いることが可能であり、また、珪素、アルミニウム、チタン、及びジルコニウムからなる群の少なくとも1つの元素を含む無機系光拡散剤を用いることが好ましい。有機系光拡散剤材としては、アクリル系、スチレン系、ポリアミド系若しくは元素として珪素もしくはフッ素を含む有機系光拡散剤を用いることが可能であり、中でも、アクリル系光拡散剤、又は元素として珪素を含む有機系光拡散剤を用いることが好ましい。
無機系光拡散剤の具体例としては、二酸化ケイ素(シリカ)、ホワイトカーボン、溶融シリカ、タルク、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ホウ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸アルミ化ナトリウム、珪酸亜鉛、硫化亜鉛、ガラス粒子、ガラス繊維、ガラスフレーク、マイカ、ワラストナイト、ゼオライト、セピオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、カオリン、チタン酸カリウム等の材料が挙げられる。
これらの無機拡散剤は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、メチルハイドロジェンポリシロキサン、脂肪酸含有炭化水素化合物等の各種表面処理剤で処理されたものであっても良く、表面を不活性な無機化合物で被覆されたものでもよい。
有機系光拡散剤としては、スチレン系(共)重合体、アクリル系(共)重合体、シロキサン系(共)重合体、ポリアミド系(共)重合体等の材料が挙げられる。これら、有機系拡散剤の分子の一部又は全部は、架橋していても架橋していなくてもよい。ここで、「(共)重合体」とは「重合体」及び「共重合体」の双方を意味する。
拡散剤としては、シリカ、ガラス、炭酸カルシウム、マイカ、架橋アクリル系(共)重合体粒子、シロキサン系(共)重合体粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。また、さらに平均粒子径が1μm以上であることが好ましく、30μm以下であることが好ましい。なお、平均粒子径は、積算重量百分率、粒度分布計等により測定した粒子径である。
拡散剤を用いる場合、母材14中に、通常0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上含有する。また、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下含有する。
拡散剤は、波長変換部材を成形する前の樹脂組成物に対しては、通常0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上含有する。また、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下含有する。
熱安定剤としては、例えばリン系化合物が挙げられる。リン系化合物としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第10族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられる。
なかでも、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の有機ホスファイトが好ましい。
熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.001重量部以上、好ましくは0.001重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上であり、また、通常1重量部以下、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.3重量部以下、さらに好ましくは0.1重量部以下である。熱安定剤が少なすぎると熱安定性改良効果が得難く、多すぎると逆に熱安定性が低下する場合がある。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
なかでも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上であり、また、通常1重量部以下、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.3重量部以下である。酸化防止剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、酸化防止剤としての効果が不十分となる可能性があり、酸化防止剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族又は脂環式飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。
離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上であり、また、通常5重量部以下、好ましくは3重量部以下、より好ましくは1重量部以下、さらに好ましくは0.5重量部以下である。離型剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、押出射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
難燃剤としては、ハロゲン系、リン系、有機酸金属塩系、シリコーン系の難燃剤、難燃助剤としては、フッ素樹脂系難燃助剤が挙げられる。難燃剤及び難燃助剤は併用することも可能であり、また、複数を組み合わせて使用することもできる。中でも好ましいのは、リン系難燃剤、有機酸金属塩系難燃剤、フッ素樹脂系難燃助剤である。
リン系難燃剤としては芳香族リン酸エステルやホスファゼン化合物が挙げられる。有機酸金属塩系難燃剤としては、有機スルホン酸金属塩が好ましく含フッ素の有機スルホン酸金属塩が特に好ましく、具体的にはパーフルオロブタンスルホン酸カリウム等を例示できる。フッ素系難燃助剤としては、フルオロオレフィン樹脂が好ましく、フィブリル構造を有するテトラフルオロエチレン樹脂が例示できる。フッ素系難燃助剤はパウダー状でもディスパージョン状でも、フッ素樹脂を別の樹脂で被覆したパウダー状でも何れの形態であってもよい。
これらの難燃剤、難燃助剤の配合比率は所望の難燃レベルを達成するために必要な量を配合すればよいが、通常はポリカーボネート100重量部に対して、リン系難燃剤の場合で1〜20重量部の範囲、有機酸金属塩の場合は0.01〜1重量部の範囲、フッ素樹脂系難燃助剤の場合で0.01〜1重量部の範囲で配合することが好ましい。上記範囲で難燃剤、難燃助剤を1種類もしくは2種類以上を使用することができる。この範囲より少ないと難燃性の改良効果が出難くなり、これより多いと熱安定性、機械的特性が低下する傾向にあり好ましくない。なお、難燃レベルは、例えばUL94に代表される燃焼試験などにより判定することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物などの有機紫外線吸収剤などが挙げられる。これらのうち、有機紫外線吸収剤が好ましく、中でもベンゾトリアゾール化合物がより好ましい。有機紫外線吸収剤を選択することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の透明性や機械物性が良好なものになる傾向にある。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等が挙げられ、なかでも2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が好ましく、特に2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。
このようなベンゾトリアゾール化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製(商品名、以下同じ)「シーソーブ701」、「シーソーブ702」、「シーソーブ703」、「シーソーブ704」、「シーソーブ705」、「シーソーブ709」、共同薬品社製「バイオソーブ520」、「バイオソーブ580」、「バイオソーブ582」、「バイオソーブ583」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ71」、「ケミソーブ72」、サイテックインダストリーズ社製「サイアソーブUV5411」、アデカ社製「LA−32」、「LA−38」、「LA−36」、「LA−34」、「LA−31」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「チヌビンP」、「チヌビン234」、「チヌビン326」、「チヌビン327」、「チヌビン328」等が挙げられる。
紫外線吸収剤の好ましい含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上であり、また、5重量部以下、好ましくは3重量部以下、より好ましくは1重量部以下、さらに好ましくは0.5重量部以下である。紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、耐候性の改良効果が不十分となる可能性があり、紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、モールドデボジット等が生じ、金型汚染を引き起こす可能性がある。なお、紫外線吸収剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
本実施例において、波長変換部材5は、接着剤等の固着部材を用いて筐体2に固着される。また、波長変換部材5を筐体2cの側面を覆うように配置し、波長変換部材5と筐体2の側面とを紐等によって縛りつけてもよい。そして、波長変換部材5を構成する複数の発光糸状成形体11がほつれたり、或いはばらばらにならないように、発光糸状成形体11同士を接着剤で固定してもよく、波長変換部材5の縁部分を樹脂等で固めてもよく、又は他の糸等を用いて複数の発光糸状成形体11の端部を束にして固定してもよい。
次に、波長変換部材5の具体的な製造方法を説明する。先ず、YAG蛍光体、CASN蛍光体、及びSCASN蛍光体を8:1:1の重量比で混合して混色蛍光体を生成する。続いて、ポリカーボネート樹脂原料と混合し、溶融紡糸装置に投入する。その後、溶融紡糸装置内の温度を摂氏260度(260℃)以上に調整し、混色蛍光体とポリカーボネート樹脂原料とを混合した蛍光体混合ポリカーボネート樹脂を溶かす。そして、溶かした蛍光体混合ポリカーボネート樹脂の一部を引っ張ることで、断面の直径0.5mmの発光糸状成形体11が生成される。
発光糸状成形体11を生成した後、公知の織機を用いて上述した工程を経て生成された発光糸状成形体11を織り(編み)込むことにより、波長変換部材5を形成する。より具体的には、形成する波長変換部材5の寸法に応じて、経糸11aの本数及び長さ及び緯糸11bの本数及び長さを決定し、経糸11aの間に緯糸11bを縫うようにして経糸11aと緯糸11bとを交互に上下に織り込み、波長変換部材5を形成する。すなわち、一般的な平織りによって波長変換部材5が形成されることになる。なお、織り方は、平織りに限定されることなく、綾織、又は朱子織であってもよい。
<実施例1の効果>
本実施例に係る半導体発光装置1においては、半導体発光装置1の構成部材である波長変換部材5が、LEDチップ4から入射される青色光の少なくとも一部を吸収して当該青色光とは異なる波長の赤色光及び黄色光を出射する蛍光体13、及び蛍光体13を保持する母材14からなる少なくとも1本の発光糸状成形体11を用いて面状に形成されている。このような構造を有する波長変換部材5は、比較的に容易に製造することができるため、半導体発光装置1及び波長変換部材5の製造工程の簡素化及び削減、並びに製造コストの低減を図ることができる。また、上述した構造を有する波長変換部材5は、その大きさを自在に変更することができるため、当該波長変換部材5を用いた半導体発光装置1においては、発光効率の低下を起こすことなく小型化及び高輝度化を図ることができる。
また、本実施例に係る波長変換部材5を構成する母材14は、光透過率が80%以上であって曲げ弾性率が100MPa以上20000MPa以下であるため、波長変換部材5に良好な可撓性をもたらしつつ、波長変換部材5における光のロスを低減することできる。これにより、半導体発光装置1の形状に合わせて容易に波長変換部材5の形状を変化させることができ、良好な発光効率を有する半導体発光装置1を実現することができる。
更に、本実施例に係る波長変換部材5においては、複数の発光糸状成形体11が編み込まれているため、波長変換部材5に複数の空隙が形成されている。このような空隙の存在により、波長変換部材5を通過する空気の対流を生成することができ、波長変換に伴う波長変換部材5の発熱による温度上昇を抑制することができる。
そして、本実施例に係る波長変換部材5においては、複数の発光糸状成形体11の断面の直径が0.1mm以上3mm以下であるため、波長変換部材5が屈曲自在となり、波長変換部材5の形状を様々な形状(面状又は立体状)に変更することができる。これにより、波長変換部材5の金型の種類を増やすことなく、半導体発光装置1自体の外形パターンを増やすことができ、製造コストの増加を生じさせることなく、様々な形状の要望に応じて半導体発光装置1を製造することができる。
<変形例>
上述した半導体発光装置1の構造は一例に過ぎず、各種の構成部材の構造及び形状は、本発明の要旨を変更しない範囲において任意に変更することが可能である。以下において、半導体発光装置1の構成部材の変形例を説明する。
(波長変換部材の変形例)
上述した実施例において、LEDチップ4から放射される青色光と、蛍光体13から出射される黄色光及び赤色光とを合成し、波長変換部材5から擬似的に白色光を放射していたが、黄色蛍光体のみを母材14に含有させるようにしてもよい。このような場合であっても、青色光及び黄色光とから白色光を合成し、波長変換部材5から当該白色光を放射することができる。また、黄色光は赤色光と緑色光との合成光であるため、波長変換部材5が含有する蛍光体13を赤色蛍光体及び緑色蛍光体に代えてもよい。このような場合には、LEDチップ4から放射される青色光と、赤色蛍光体から放射される赤色光と、緑色蛍光体から放射される緑色光とを合成し、波長変換部材5から擬似的に白色光を放射することになる。
具体的な緑色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は500nm以上、好ましくは510nm以上、より好ましくは515nm以上で、通常は550nm未満、好ましくは542nm以下、より好ましくは535nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、緑色蛍光体として例えば、(Y,Lu)3(Al,Ga)512:Ce、CaSc24:Ce、Ca3(Sc,Mg)2Si312:Ce、(Sr,Ba)2SiO4:Eu、(Si,Al)6(O,N)8:Eu(β−サイアロン)、(Ba,Sr)3Si612:N2:Eu、SrGa24:Eu、BaMgAl1017:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca,Mg)Si222:Euが好ましい。
また、上述した実施例に係る波長変換部材5において、ポリカーボネート樹脂である母材14内には蛍光体13のみが分散して保持されていたが、光拡散部材を母材14内に混入させてもよい。光拡散部材としは、例えば、無機系光拡散材、又は有機系光拡散材を用いることができる。
更に、上述した実施例においては、発光糸状成形体11を織り込むことによって波長変換部材5を形成していたが、図6又は図7に示すような構造を備える波長変換部材25、35を形成してもよい。ここで、図6は変形例に係る波長変換部材25の部分拡大平面図であり、図7は変形例に係る波長変換部材35の部分拡大正面図である。なお、図6及び図7におけるX方向、Y方向、及びZ方向は、図1及び図2におけるX方向、Y方向、及びZ方向に対応している。
図6に示すように、波長変換部材25は、発光糸状成形体11を網状に重ねた構造を備えている。すなわち、上述した実施例のように、経糸及び緯糸を織り込むようなことを行わず、X方向に延在する発光糸状成形体11及びY方向に延在する発光糸状成形体11を単に重ね合わせることのみより、波長変換部材25が形成されている。このような場合には、発光糸状成形体11がばらばらになる可能性が高いため、発光糸状成形体11同士を接着剤で固定してもよく、波長変換部材25の縁部分を樹脂等で固めてもよく、複数の発光糸状成形体11の端部を束にして固定してもよい。このような場合であっても、波長変換部材25は、発光糸状成形体11同士の間に形成された複数の空隙22を備えることとなり、優れた放熱性を備えることになる。
そして、図6に示す波長変換部材25においては、織機等による織り込み工程を行う必要がなくなり、製造工程の簡素化及び製造コストの低減を図ることができる。また、織機等により織り込むような場合と比較して、空隙22の大きさを容易に調整することができ、波長変換部材25の放熱性の向上を図り易くなる。
図7に示すように、波長変換部材35は、少なくとも1本の発光糸状成形体11が絡まった構造を備えている。すなわち、上述した実施例又は図6に係る変形例のように、複数の発光糸状成形体11を規則的に交差するように並べることを行わず、少なくとも1本の発光糸状成形体11を不規則に絡めて重ねることにより、所望の厚さを有する波長変換部材35が形成されている。
このように発光糸状成形体11を絡めて重ねることにより、波長変換部材35としては可撓性を備えることになり、その形状を自在に変形することができる。また、このような場合であっても、波長変換部材25は、発光糸状成形体11同士の間に形成された複数の空隙32を備えることとなり、優れた放熱性を備えることになる。
波長変換部材35の製造方法の一例としては、上述した実施例と同様に溶融紡糸装置を用いて硬化する状態前(すなわち、一部を引っ張ることで延びる状態)の発光糸状成形体11を生成する。そして、当該発光糸状成形体11の温度が低下して硬化する前に、発光糸状成形体11を冷却水内に投入する。この際、発光糸状成形体11の投入位置を移動させることにより、発光糸状成形体11を冷却水内で絡めつつ硬化することで、波長変換部材35が形成される。
このように、本変形例の波長変換部材35は、1本の発光糸状成形体11から成形することができるため、発光糸状成形体11の長さの調整や規則的に並べる必要もなく、製造工程の簡素化を図ることができる。また、発光糸状成形体11を絡めるため、発光糸状成形体11がほつれたり、又はばらばらになることがなく、波長変換部材35の信頼性を高めることも可能である。
また、上述した実施例においては、波長変換部材5を形成する複数の発光糸状成形体11の構造は全て同一であったが、図8又は図9に示すように、構造が異なる複数の発光糸状成形体を備える波長変換部材45、55を形成してもよい。ここで、図8及び図9は、図5と同様にして示す、変形例に係る波長変換部材45、55の模式的な部分拡大平面図である。なお、図8及び図9におけるX方向及びY方向は、図2及び図5におけるX方向及びY方向に対応している。
図8に示すように、波長変換部材45は、2種類の発光糸状成形体41a、41bから形成されている。より具体的には、Y方向に延在する発光糸状成形体41aと、X方向に延在する発光糸状成形体41bとが網状に重ね合わせられることにより、波長変換部材45が形成されている。すなわち、波長変換部材45においては、上述した図6に係る変形例と同様に、発光糸状成形体同士が所定の間隔にて単に重ね合わせられ、複数の空隙42が形成されている。
Y方向に延在する発光糸状成形体41aは、YAG等の黄色蛍光体である蛍光体43aと、蛍光体43aを分散保持する母材44aとから構成されている。一方、X方向に延在する発光糸状成形体41bは、CASN及びSCASN等の赤色蛍光体である蛍光体43bと、蛍光体43bを分散保持する母材44bとから構成されている。このように、波長変換部材45は、異なる種類の蛍光体を含有する2種類の発光糸状成形体41a、41bから構成されている。すなわち、波長変換部材45は、互いに異なる発光特性を備える発光糸状成形体41a、41bから構成されている。なお、母材44aと母材44bとは、同一材料であってもよく、異なる材料であってよい。
このような波長変換部材45においては、発光糸状成形体41a、41bの本数及び長さ等を調整することにより、波長変換部材45から出射する合成白色光の色、色度、色温度等の特性を自在に調整することができる。例えば、波長変換部材45から出射する合成白色光を黄味がかった色にする場合には、発光糸状成形体41aの本数を多くする方法がとられることになり、波長変換部材45から出射する合成白色光を赤味がかった色にする場合には、発光糸状成形体41bの本数を多くする方法がとられることになる。
一方、図9に示すように、波長変換部材55は、4種類の発光糸状成形体51a、51b、51c、51dから形成されている。より具体的には、Y方向に延在する発光糸状成形体51a、51bと、X方向に延在する発光糸状成形体51c、51dとが網状に重ね合わせられることにより、波長変換部材55が形成されている。すなわち、波長変換部材55においては、上述した図6及び図8に係る変形例と同様に、発光糸状成形体同士が所定の間隔にて単に重ね合わせられ、複数の空隙52が形成されている。
Y方向に延在する発光糸状成形体51a、51bは、YAG等の黄色蛍光体である蛍光体53aと、蛍光体53aを分散保持する母材54aとから構成されている。ここで、発光糸状成形体51aと発光糸状成形体51bとの相違は蛍光体53aの含有量であり、発光糸状成形体51aにおける蛍光体53aの含有量が発光糸状成形体51bにおける蛍光体53aの含有量よりも少なくなっている。一方、X方向に延在する発光糸状成形体51c、51dは、CASN及びSCASN等の赤色蛍光体である蛍光体53bと、蛍光体53bを分散保持する母材54bとから構成されている。ここで、発光糸状成形体51cと発光糸状成形体51dとの相違は蛍光体53bの含有量であり、発光糸状成形体51cにおける蛍光体53bの含有量が発光糸状成形体51dにおける蛍光体53bの含有量よりも少なくなっている。このように、波長変換部材55は、蛍光体の種類及び蛍光体の含有量が異なる、すなわち発光特性が互いに異なる4種類の発光糸状成形体51a、51b、51c、51dから構成されている。なお、図8の変形例と同様に、母材54aと母材54bとは、同一材料であってもよく、異なる材料であってよい。
このような波長変換部材55においても、図8に係る波長変換部材45と同様に、発光糸状成形体51a、51b、51c、51dの本数及び長さ等を調整することにより、波長変換部材45から出射する合成白色光の色、色度、色温度等の特性を自在に調整することができる。
また、発光糸状成形体51a、51bを交互に配置することなく、所定の領域に発光糸状成形体51a又は51bのいずれかを多く配置することにより、半導体発光装置1から出射する合成白色光に色むらを備えさせてもよい。同様に、発光糸状成形体51c、51dについても、所定の領域にいずれかを多く配置してもよい。例えば、波長変換部材55を半分に分けた場合に、一方の領域に発光糸状成形体51aを多く配置し、他方の領域に発光糸状成形体51bを多く配置することにより、半導体発光装置1から出射する合成白色光の黄色みを上述した領域ごとに異ならしめてもよい。
なお、図8及び図9に係る変形例においては、複数の発光糸成形体を単に重ね合わせることにより、波長変換部材45、55を形成していたが、上述した実施例と同様にして複数の発光糸状成形体を織り込む、又は図7に係る変形例と同様にして複数の発光糸状成形体を絡ませることにより波長変換部材45、55を形成してもよい。また、各発光糸状成形体が含有する蛍光体は、黄色蛍光体及び赤色蛍光体に限定されることなく、各色光を出射する蛍光体を用いることができ、各色の蛍光体を含有する発光糸状成形体をランダムに配置してもよい。
更に、上述した実施例においては、波長変換部材5を形成する全ての発光糸状成形体11が蛍光体13を含有し、青色光を波長変換して黄色光又は赤色光を出射することができたが、図10又は図11に示すように、非発光糸状成形体を備える波長変換部材65、75を形成してもよい。ここで、図10及び図11は、図5と同様にして示す、変形例に係る波長変換部材65、75の部分拡大平面図である。なお、図10及び図11におけるX方向及びY方向は、図5におけるX方向及びY方向に対応している。
図10に示すように、波長変換部材65は、経糸11a、緯糸11b、及び擬似糸61から形成されている。より具体的には、Y方向に延在する経糸11a及び擬似糸61が、X方向に延在する緯糸11bによって織り込まれている。すなわち、波長変換部材65は、上述した実施例に係る波長変換部材5における経糸11aの一部が擬似糸61に代わった構造を備えている。ここで、経糸11a及び緯糸11bについては、上述した実施例と同一材料からなるため、その説明は省略する。
擬似糸61は、例えば、母材14のみからなり、蛍光体を含有しない非発光糸状成形体である。従って、擬似糸61にLEDチップからの青色光が入射しても、当該青色光は波長変換されることなく、擬似糸61を透過することになる。このように、波長変換部材65が擬似糸61を含むことにより、合成白色光を構成する青色光の量を多くすることができ、合成白色光を青味がかった白色にすることができる。また、蛍光体を含有しない非発光糸状成形体を多くすることにより、蛍光体のコストを削減することができ、波長変換部材65及び半導体発光装置1自体のコストの低減にも繋がることになる。
図11に示すように、波長変換部材75は、経糸11a、緯糸11b、及び放熱糸71から形成されている。より具体的には、Y方向に延在する経糸11a及び放熱糸71が、X方向に延在する緯糸11bによって織り込まれている。すなわち、波長変換部材75は、上述した実施例に係る波長変換部材5における経糸11aの一部が放熱糸71に代わった構造を備えている。ここで、経糸11a及び緯糸11bについては、上述した実施例と同一材料からなるため、その説明は省略する。
放熱糸71は、比較的に熱伝導率が高く、LEDチップ4から放射される青色光、並びに蛍光体13から出射される黄色光及び赤色光を反射する材料から構成されていることが好ましい。特に、擬似糸61は、アルミニウム、銀、金、白金等の金属材料から構成されていることが好ましい。このように波長変換部材75内に放熱糸71が存在することにより、波長変換部材75が青色光を吸収して黄色光又は赤色光に変化する際に生じる熱を効率良く外部に放熱することが可能になる。また、放熱糸71が上述したような反射特性を備えことにより、放熱糸71によって各色の光が吸収されることがなくなり、半導体発光装置1としての発光効率の低下を抑制することができる。
なお、放熱糸71は、ペルチェ素子から構成されていてもよい。このような場合には、上述した金属材料から構成される場合と比較して、一層の冷却効果を奏することが可能になる。
(LEDチップの変形例)
上述した実施例においては、半導体発光装置1の光源として青色光を放射するLEDチップ4を用いたが、半導体発光装置1から白色光を放射することができれば、青色光を放射するLEDチップ4に限定されることなく、例えば、紫外線を放射する他のLEDチップや、近紫外チップ、紫色LEDチップを用いてもよい。このような場合、波長変換部材5を構成する各発光糸状成形体11が、当該波長の光を励起光として吸収して赤色光を放射する赤色蛍光体、紫外線を吸収して緑色光を放射する緑色蛍光体、及び紫外線を吸収して青色光を放射する青色蛍光体を分散して保持してもよい。また、赤色蛍光体のみを含有する赤色発光糸状成形体、緑色蛍光体のみを含有する緑色発光糸状成形体、及び青色蛍光体のみを含有する青色発光糸状成形体を形成し、これらの発光糸状成形体を織り込んで波長変換部材5を形成してもよい。このようなLEDチップが発する光のピーク波長は、400nm〜420nmの波長範囲内にあることが好ましく、405nm〜415nmの波長範囲内にあることがより好ましい。
具合的な赤色蛍光体の発光ピーク波長、及び緑色蛍光体の発光ピーク波長は、上述したものと同一である。
具体的な青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上で、通常は500nm未満、好ましくは490nm以下、より好ましくは480nm以下、更に好ましくは470nm以下、特に好ましくは460nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、青色蛍光体として例えば、(Ca,Sr,Ba)MgAl1017:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46(Cl,F)2:Eu、(Ba,Ca,Mg,Sr)2SiO4:Eu、(Ba,Ca,Sr)3MgSi28:Euが好ましく、(Ba,Sr)MgAl1017:Eu、(Ca,Sr,Ba)10(PO46(Cl,F)2:Eu、Ba3MgSi28:Euがより好ましく、Sr10(PO46Cl2:Eu、BaMgAl1017:Euが特に好ましい。
実施例1に係る半導体発光装置1の波長変換部材5は面状に形成されていたが、波長変換部材5を立体的に形成し、当該立体的な波長変換部材を用いて半導体発光装置を構成してもよい。図12及び図13を参照しつつ、このような半導体発光装置101を実施例2として説明する。ここで、図12は半導体発光装置101の概略を示す斜視図であり、図13は図12における線XIII−XIIIに沿った断面図である。なお、図12及び図13におけるX方向、Y方向、Z方向は、図1及び図4における各方向と同一方向を示している。
図12及び図13から分かるように、半導体発光装置101は、複数の略直方体状の配線基板103、配線基板103上に実装されたLEDチップ104、LEDチップ104の上方に設けられた光学レンズ110、及びLEDチップ104から放射される光の少なくとも一部を波長変換する機能を有する波長変換部材105から構成されている。ここで、LEDチップ104の構造及び種類は実施例1のLEDチップ4の構造及び種類と同一であり、波長変換部材105の構造は実施例1の波長変換部材5の構造と同一であるため、共通する構成については、その説明を省略する。
本実施例における半導体発光装置101においては、8枚の配線基板103が放射状に配置され、1つの配線基体を構成している。従って、本実施例における半導体発光装置101は、実施例1の半導体発光装置1と異なり、当該配線基体側にも複数の空隙117が形成されている。また、各配線基板103のチップ実装面103aは、LEDチップ104の1個が搭載される程の幅を有しており、実施例1の実装基板3よりもその幅が小さくなっている。各配線基板103には、2個のLEDチップ103が実装されており、半導体発光装置1としては、合計16個のLEDチップ103が実装されている。なお、本実施例において、8枚の配線基板103は接着剤等の固着部材により固着されているが、これに限定されることなく、例えば、上記配線基体と同一形状の配線基体を予め一体的に形成するようにしてもよい。
本実施例における波長変換部材105は、全体として湾曲し、配線基板103のチップ実装面103a、LEDチップ104、及び光学レンズ110を離間して覆うように配置されている。すなわち、波長変換部材105はその外形がお椀状に形成されており、半導体発光装置101の外形がドーム状となっている。これにより、配線基板103と波長変換部材105との間に、LEDチップ104及び光学レンズ110を収納するための部材収納空間105aが形成されることになる。ここで、波長変換部材105は、実施例1の波長変換部材5と同様に、複数の発光糸状成形体から構成されているため、優れた可撓性を有しており、これにより、全体的に湾曲させることができる。また、波長変換部材105は、半導体発光装置101の縁部分を構成する各配線基板103の外側端部に、接着剤等を使用して固着されている。
光学レンズ110は、一般的な平凸レンズであり、LEDチップ104から放射する青色光を一定の方向に集光する。これにより、半導体発光装置101から出射する合成白色光をスポット的に照射することが可能になる。光学レンズ110は、平凸レンズに限定されることなく、光を集光することができる様々なレンズを用いることができる。なお、半導体発光装置101から出射する合成白色光をスポット的に照射するのでなく、全体的に広がるように合成白色光を照射する場合には、光学レンズ110を凹レンズにすることが好ましい。これは、LEDチップ104から出射する青色光を発散させ、波長変換部材105の大部分に対して青色光を出射させるためである。
本実施例の半導体発光装置101においては、複数の配線基板103から空隙117を有する配線基体が構成されているため、配線基板103から波長変換部材105に亘る空気の流れを生じさせることが可能になる。すなわち、部材収納空間105a内に対流を生じさせることができる。これにより、LEDチップ103及び波長変換部材105に対する冷却効果を向上させることができる。
実施例2に係る半導体発光装置101においては、波長変換部材105の外形がドーム状(半球状)に形成されていたが、波長変換部材の外形を球状に形成し、当該立体的な波長変換部材を用いて半導体発光装置を構成してもよい。図14及び図15を参照しつつ、このような半導体発光装置201を実施例3として説明する。ここで、図14は半導体発光装置201の概略を示す斜視図であり、図15は図14における線XV−XVに沿った断面図である。
図14及び図15から分かるように、半導体発光装置201は、1つの直方体状の配線基板203、1つのLEDチップ204、LEDチップ204の上方に設けられた光学レンズ210、及びLEDチップ204から放射される光の少なくとも一部を波長変換する機能を有する波長変換部材205から構成されている。ここで、配線基板203上に実装されるLEDチップ204の数量は、実施例1の半導体発光装置1とは異なり1個であるものの、配線基板203の基本的な構成は実施例1の配線基板3と同様であり、LEDチップ204の構造及び種類は実施例1のLEDチップ4の構造及び種類と同一であるため、共通する構成については、その説明を省略する。また、波長変換部材205の構造は実施例1の波長変換部材5の構造と同一であるため、共通する構成については、その説明を省略する。
本実施例における波長変換部材205は、全体として湾曲し、LEDチップ204、及び光学レンズ210を離間して覆うように配置されている。より具体的には、波長変換部材205の外形は球状に形成され、配線基板203の外形に合わせて開口が設けられており、当該開口にLEDチップ204及び光学レンズ210が実装された状態の配線基板203が嵌め込まれている。これにより、配線基板203と波長変換部材105との間に、LEDチップ204及び光学レンズ210を収納するための略球状の部材収納空間205aが形成されている。ここで、波長変換部材205は、実施例1の波長変換部材5と同様に、複数の発光糸状成形体から構成されているため、優れた可撓性を有しており、これにより、全体的に湾曲させることができる。
本実施例においては、光学レンズ210として、拡散レンズが使用されている。これにより、LEDチップ204から出射する青色光を波長変換部材205の全面に向けて出射することができ、半導体発光装置201から出射される合成白色光を比較的に広範囲に出射することができる。
本実施例においては、織り込む発光糸状成形体11の数量及び長さを変更することにより、波長変換部材205の寸法を自在調整することができるため、1個のLEDチップ204を光源とするような比較的小型の半導体発光装置201を実現することが可能になる。
本実施例に係る半導体発光装置201は、例えば、電球等の光源として用いることが可能になる。
実施例3に係る半導体発光装置203においては、波長変換部材205の外形を球状に構成し、波長変換部材205によって1つのLEDチップ及び1つの光学レンズ210が離間して囲まれることにより、従来のような電球と同様の形状の半導体発光装置203が構成されていたが、球状の波長変換部材内に複数のLEDチップ及び光学レンズを設けるようにしてもよい。図16及び図17を参照しつつ、このような半導体発光装置301を実施例4として説明する。ここで、図16は半導体発光装置301の概略を示す斜視図であり、図17は図16における線XVII−XVIIに沿った断面図である。
図16及び図17から分かるように、半導体発光装置301は、正六面体状の配線基体303、配線基体303の6つ面のそれぞれに実装されたLEDチップ304、LEDチップ304の上方に設けられた光学レンズ310、LEDチップ304から放射される光の少なくとも一部を波長変換する機能を有する波長変換部材305、配線基体303に電力を供給するための電力供給配線315、及び配線基体303を保持するための保持棒316から構成されている。ここで、LEDチップ304の構造及び種類は実施例1のLEDチップ4の構造及び種類と同一であり、波長変換部材305の構造は実施例1の波長変換部材5の構造と同一であるため、共通する構成については、その説明を省略する。
正六面体状の配線基体303は、各表面に配線パターンが形成されており、その基本的な構成は、実施例1における配線基板3と同様であり、当該配線パターンに電力供給配線315が電気的に接続されている。従って、配線基体303に実装されたLEDチップ304は、電力供給配線315及び当該配線パターンを介して外部電力が供給されることになる。なお、配線基体303の形状は正六面体に限定されることなく、他の正多面体、又は単なる多面体等の基体であってもよい。このような場合においても、各面にLEDチップ304及び光学レンズ310が実装されることになる。
本実施例における波長変換部材305は、全体として湾曲し、配線基体303、LEDチップ304、及び光学レンズ310を離間して覆うように配置されている。より具体的には、波長変換部材305の外形は球状に形成され、配線基板303が波長変換部材305の中心に配置さている。これにより、波長変換部材305の内側領域に、LEDチップ304及び光学レンズ310を収納するための部材収納空間305aが形成されることになる。また、波長変換部材305の一部には開口317が設けられており、電力供給配線315が開口317を介して波長変換部材305内の配線基体303に電気的に接続されている。
ここで、波長変換部材305は、実施例1の波長変換部材5と同様に、複数の発光糸状成形体11から構成されているため、優れた可撓性を有しており、これにより、全体的に湾曲させることができる。また、波長変換部材305を構成する発光糸状成形体11は、容易に切断することもできることから、布状に織り込まれた状態の波長変換部材305を湾曲させて球状にした後、波長変換部材305の一部を切り取ることによって開口317を形成してもよい。
本実施例においては、光学レンズ310として、拡散レンズが使用されている。この理由は、実施例3と同一である。
保持棒316は、配線基体303を波長変換部材305内の中心に保持するために設けられている。また、保持棒316は、LEDチップ304から放射される青色光を吸収することがないように、高い反射率を有する金属等で形成することが好ましい。例えば、保持棒316は、アルミニウム、銀、銅等の金属、又はアルミナ系セラミックから構成されていてもよい。また、高い反射率を有さない材料を使用する場合には、当該材料の表面に反射材料(例えば、アルミニウム、銀、若しくは銅等の金属、又はアルミナ系セラミック)を配置することが好ましい。
本実施例においては、LEDチップ304が正四面体状の配線基体303の全ての面に実装されているため、LEDチップ304が6つの方向に向かって青色光を出射することになり、半導体発光装置1の中心から放射状に青色光を出射することができる。そして、波長変換部材305が配線基体303を中心として外形が球状になるように配置されているため、LEDチップ304から波長変換部材305に到達して波長変換された黄色光及び赤色光が、半導体発光装置1の中心から放射状に出射されることになる。これにより、合成白色光は、半導体発光装置1の中心から放射状に出射されることになり、半導体発光装置1から全方位に対して白色光を均一に出射することが可能になる。
本実施例に係る半導体発光装置301は、例えば、提灯、灯籠、又は行灯等の照明装置の光源として用いることが可能になる。
次に、実施例5として、実施例2に係る半導体発光装置101を備える照明装置400について、図18を参照しつつ詳細に説明する。ここで図18は、図13と同様にして示す照明装置400の断面図である。なお、半導体発光装置101の構成については、実施例2と同一であるため、その説明は省略する。
図18に示すように、照明装置400は、半導体発光装置101、送風機421、制御回路422、及び筐体423から構成されている。本実施例の照明装置400は、発光部分である半導体発光装置201が半球状に形成され、筐体423を外形とする非発光部分が略半球状に形成されており、全体として略球状の構造を有している。
送風機421は、羽状部421aと、羽部421aを支持する支持部421bとから構成され、チップ実装面103aとは反対側に位置する面に配置されている。より具体的には、送風機421は、駆動源(図示せず)によって回転駆動する支持部421aと、支持部421の外周に支持された複数の羽部421aとを有している。すなわち、本実施例に係る送風機421は、プロペラファン型に属する。なお、送風機421の羽として機能する羽部421a数量は例えば4枚であるが、送風機421の大きさ及び送り出す空気の量(風量)に応じて適宜変更することができる。
制御回路422は、送風機421を回転駆動させるために必要な電力供給を制御することができる、一般的な電子回路である。制御回路422は、送風機421に対して対向するように筐体423の内側表面に配置されており、電気配線(図示せず)を介して送風機の駆動源と電気的に接続している。
また、制御装置422は、LEDチップ104に供給するための電力量も制御する。従って、制御装置422からLEDチップ104に供給される電力量を調整することにより、照明装置400から照射される白色光の輝度及び光量等を調整することができる。
筐体423は、その外形が略球状であり、その内部に送風機421及び制御回路422を収納するための部材収納空間423aを有している。すなわち、筐体423は、略ドーム状に構成されており、送風機421を離間して覆うように配置されている。また、筐体423には、筐体423を貫くように空気孔423bが設けられている。これらの空気孔423bは、送風機421が駆動することによって部材収納空間423aから筐体423の外部に排出するために設けられている。ここで、空気孔423bは、送風機421と対向する位置に設けられていることが好ましい。これは、送風機421の回転によって部材収納空間423a内の空気を効率よく外部に排出するためである。
筐体423は、内部に収納される各種の構成部材を照明装置400の外部から加えられる力(すなわち、外力)から保護するために、金属、セラミックス又はプラスチック等の比較的に強固な部材から構成されている。本実施形態においては、筐体2の材料としてプラスチックを用いることにする。
本実施例に係る照明装置400においては、送風機421が回転駆動することにより、波長変換部材105の空隙を経由して空気が部材収納空間105aに流れ込む。換言すれば、波長変換部材105からLEDチップ104に向けた対流が生じる。また、部材収納空間105a内の空気は、配線基板103同士の間を通り抜けて部材収納空間423aに流れ込み、更には空気孔423bを介して外部に排出される。以上のことから、本実施例の照明装置400においては、図18に示すような、波長変換部材105から筐体423の空気孔423bに向かう対流が生じることになる。このような対流が生じることにより、LEDチップ104及び制御回路422を冷却することができ、照明装置400の発光効率の向上を図ることができる。
なお、空気の流れは、波長変換部材105から筐体423の空気孔423bに向かうものに限れることなく、筐体423の空気孔423bから波長変換部材105に向かうように調整してもよい。
1 半導体発光装置
1a 光出射面
2 筐体
2a 開口
2b 部材収納空間
2c 内部側面
3 配線基板
3a チップ実装面
4 LEDチップ
5 波長変換部材
6 配線パターン
7 配線パターン
8 p電極
9 n電極
11 発光糸状成形体
11a 経糸
11b 緯糸
12 空隙
13 蛍光体
14 母材
22、32、42、117 空隙
25、35、45、55、65、75、105、205 波長変換部材
41a、41b 発光糸状成形体
43a、43b 蛍光体
44a、44b 母材
61 擬似糸
71 放熱糸
101、201、301 半導体発光装置
103a チップ実装面
104、204、304 LEDチップ
105a、205a、305a 部材収納空間
110、210、310 光学レンズ
303 配線基体
315 電力供給配線
316 保持棒
317 開口
400 照明装置
421 送風機
421a 羽部
421b 支持部
422 制御回路
423 筐体
423a 部材収納空間
423b 空気孔

Claims (27)

  1. 紫外光又は青色光を放射する半導体発光素子と、
    前記半導体発光素子から入射される入射光の少なくとも一部を吸収して前記入射光とは異なる波長の出射光を出射する蛍光体、及び前記蛍光体を保持する母材からなる少なくとも1本の発光糸状成形体を含む波長変換部材と、を有し、
    前記波長変換部材は、前記少なくとも1本の発光糸状成形体を用いて面状又は立体形状に形成されていることを特徴とする半導体発光装置。
  2. 前記波長変換部材は、前記少なくとも1本の発光糸状成形体を交差して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
  3. 前記母材は、光透過率が80%以上であって曲げ弾性率が100MPa以上20000MPa以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体発光装置。
  4. 前記波長変換部材は、複数の前記発光糸状形成物を編み込んで形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の半導体発光装置。
  5. 前記波長変換部材は、複数の前記発光糸状形成物を網状に重ねて形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の半導体発光装置。
  6. 前記波長変換部材は、前記少なくとも1本の発光糸状成形体を絡めることによって形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の半導体発光装置。
  7. 前記波長変換部材は、交差する前記発光糸状成形体によって形成される複数の空隙を備えることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  8. 前記波長変換部材は、屈曲自在であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  9. 前記発光糸状成形体の断面の直径は、0.1mm以上3mm以下であることを特徴とする請求項8に記載の半導体発光装置。
  10. 複数の前記発光糸状成形体は、互いに異なる発光特性を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  11. 前記母材は、熱可撓性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又はガラスからなることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  12. 前記波長変換部材は、前記蛍光体を含有しない非発光糸状成形体を含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  13. 前記非発光糸状成形体は、前記入射光を反射する金属からなることを特徴とする請求項12に記載の半導体発光装置。
  14. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の半導体発光装置と、前記半導体発光素子に向かう対流を生成する送風機と、を有することを特徴とする照明装置。
  15. 外部から入射される入射光の少なくとも一部を吸収して前記入射光とは異なる波長の出射光を出射する蛍光体、及び前記蛍光体を保持する母材からなる少なくとも1本の発光糸状成形体を有し、
    前記少なくとも1本の発光糸状成形体によって面状又は立体形状に形成されていることを特徴とする波長変換部材。
  16. 前記発光糸状成形体が交差していることを特徴とする請求項15に記載の波長変換部材。
  17. 前記母材は、光透過率が80%以上であって曲げ弾性率が100MPa以上20000MPa以下であることを特徴とする請求項15又は16に記載の波長変換部材。
  18. 複数の前記発光糸状形成物を編み込んで形成されていることを特徴とする請求項16又は17に記載の波長変換部材。
  19. 複数の前記発光糸状形成物を網状に重ねて形成されていることを特徴とする請求項16又は17に記載の波長変換部材。
  20. 前記少なくとも1本の発光糸状成形体を絡むことで形成されていることを特徴とする請求項16又は17に記載の波長変換部材。
  21. 交差する前記発光糸状成形体によって形成される複数の空隙を有することを特徴とする請求項16乃至20のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  22. 前記波長変換部材は、屈曲自在であることを特徴とする請求項15乃至21のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  23. 前記発光糸状成形体の断面の直径は、0.1mm以上3mm以下であることを特徴とする請求項22に記載の波長変換部材。
  24. 複数の前記発光糸状成形体は、互いに異なる発光特性を備えることを特徴とする請求項15乃至23のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  25. 前記母材は、熱可撓性樹脂、熱硬化性樹脂、又はガラスからなることを特徴とする請求項15乃至24のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  26. 前記波長変換部材は、前記蛍光体を含有しない非発光糸状成形体を含むことを特徴とする請求項15乃至25のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  27. 前記非発光糸状成形体は、前記入射光を反射する金属からなることを特徴とする請求項26に記載の波長変換部材。
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