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JP2012073353A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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JP2012073353A JP2010217318A JP2010217318A JP2012073353A JP 2012073353 A JP2012073353 A JP 2012073353A JP 2010217318 A JP2010217318 A JP 2010217318A JP 2010217318 A JP2010217318 A JP 2010217318A JP 2012073353 A JP2012073353 A JP 2012073353A
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mhz
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Shinya Yamamoto
真也 山本
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

【課題】接触帯電方式の帯電装置を有する画像形成装置に用いたときでも、かぶりの発生が抑制される電子写真感光体の提供。
【解決手段】少なくとも、導電性基体と、下引層と、電荷発生層と、を備え、前記下引層が金属酸化物粒子を含有し、前記下引層のインピーダンスを1MHzから1mHzまでの範囲の交流電圧で測定したとき、インピーダンスの位相差θの極大点が10mHz以上150mHz以下の周波数の範囲内にある電子写真感光体。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
電子写真感光体に関して、繰り返し使用における電子写真特性の安定性を確保する観点から、導電性基体上に少なくとも下引層と感光層を有し、下引層が金属酸化物微粒子と該金属酸化物微粒子と反応可能な基を有するアクセプター性化合物とを含有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)
また、特許文献2では、中間層が、金属酸化物粒子及び結着樹脂を含有し、28℃、85%RHで10V/mの電場を印可したときの体積抵抗が10〜1013Ω・cmであり、且つ15℃、15%RHで10V/mの電場を印可したときの体積抵抗が28℃、85%RHで10V/mの電場を印可したときの体積抵抗の500倍以下である電子写真感光体が提案されている。
また特許文献3には、中間層が金属酸化物粒子を含有し、かつ該中間層および前記電荷発生層がアントラキノン誘導体を含有し、さらに該中間層が、28℃、湿度85%RHにおいて10V/mの電場を印可したときに、1.0×10Ω・cm以上1.0×1013Ω・cm以下の体積抵抗を示す電子写真感光体が開示されている。
また特許文献4には、露光装置が面発光レーザアレイを備えるマルチビーム方式の露光装置であり、中間層は金属酸化物粒子を含有し、且つ比抵抗が28℃、85%RHで10V/mの電場を印加したときに10〜1013Ω・cmとなるように前記金属酸化物粒子の含有量及び分散状態が調節されている画像形成装置が開示されている。
特開2006−030697号公報 特開2003−186219号公報 特開2006−030699号公報 特開2005−010662号公報
本発明は、画像のかぶりの発生が抑制される電子写真感光体を提供することを課題とする。
上記目的を達成するため、以下の発明が提供される。
請求項1に係る発明は、
少なくとも、導電性基体と、下引層と、電荷発生層と、を備え、
前記下引層が金属酸化物粒子を含有し、
前記下引層のインピーダンスを1MHzから1mHzまでの範囲の交流電圧で測定したとき、インピーダンスの位相差θの極大点が10mHz以上150mHz以下の周波数の範囲内にある電子写真感光体である。
請求項2に係る発明は、
接触帯電方式の帯電装置を有する画像形成装置に用いる請求項1に記載の電子写真感光体である。
請求項3に係る発明は、
直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する帯電方式の帯電装置を有する画像形成装置に用いる請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体である。
請求項4に係る発明は、
前記金属酸化物粒子が、下記一般式で示されるシランカップリング剤で処理されてなる請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電子写真感光体である。

〔式中のR1はアルコキシ基又はハロゲン原子を表し、Rは、水素原子、フェニル基、又は末端にアミノ基を有するアルキル基を表す。〕
請求項5に係る発明は、
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に直接接触して前記電子写真感光体を帯電する帯電装置、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像剤によりトナー像に現像する現像装置、及び前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するトナー除去装置からなる群より選ばれる少なくとも1つと、
を備えるプロセスカートリッジである。
請求項6に係る発明は、
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に直接接触して前記電子写真感光体を帯電する帯電装置と、
帯電した前記電子写真感光体を露光して、該電子写真感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記静電潜像を現像剤によりトナー像に現像する現像装置と、
前記トナー像を被転写媒体に転写する転写装置と、
を有する画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、下引層のインピーダンスの位相差θの極大点が10mHz以上150mHz以下の範囲外にある電子写真感光体に比べて、画像のかぶりの発生が抑制されるという効果が得られる。
請求項2に係る発明によれば、接触帯電装置を有する画像形成装置に用いたときであっても、画像のかぶりの発生が抑制されるという効果が得られる。
請求項3に係る発明によれば、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する接触帯電装置を有する画像形成装置に用いたときであっても、画像のかぶりの発生が抑制されるという効果が得られる。
請求項4に係る発明によれば、下引層に用いる金属酸化物粒子が、下記一般式で示されるシランカップリング剤で処理されていない場合に比べて、画像のかぶりの発生が抑制されるという効果が得られる。
式中のR1はアルコキシ基またはハロゲン原子を表し、Rは、水素原子、フェニル基、又は末端にアミノ基を有するアルキル基を表す。
請求項4に係る発明によれば、下引層のインピーダンスの位相差θの極大点が10mHz以上150mHz以下の範囲外にある電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジに比べて、画像のかぶりの発生が抑制されるという効果が得られる。
請求項5に係る発明によれば、下引層のインピーダンスの位相差θの極大点が10mHz以上150mHz以下の範囲外にある電子写真感光体を備える画像形成装置に比べて、画像のかぶりの発生が抑制されるという効果が得られる。
電子写真感光体の一実施形態を示す概略部分断面図である。 電子写真感光体の他の一実施形態を示す概略部分断面図である。 第1実施形態の画像形成装置の基本構成を示す概略図である。 第2実施形態の画像形成装置の基本構成を示す概略図である。 プロセスカートリッジの一例の基本構成を示す概略図である。
以下、実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は適宜省略する。
〔電子写真感光体〕
本実施形態の電子写真感光体(以下、「感光体」と称する場合がある)は、導電性基体と、金属酸化物粒子を含有する下引層と、電荷発生層と、を備える。そして、前記下引層のインピーダンスを1MHzから1mHzまでの範囲の交流電圧で測定したとき、インピーダンスの位相差θの極大点が10mHz以上150mHz以下の周波数の範囲内にある。
感光体の帯電方式としては、コロトロン等を用いた非接触型帯電装置のほかに、帯電ロールやブラシを用いた接触型帯電装置がある。接触帯電方式は環境面で優れる方式であるため採用されつつあるが、非接触帯電方式と比較して感光体の磨耗が増大することが知られている。また、帯電時の電流の短絡などにより帯電ムラに起因するかぶりや微小黒(色点)などの画質欠陥が発生し易いという課題を有している。
上記課題を検討した結果、下引層におけるインピーダンスの位相差θの極大点が特定の周波数の範囲内にあるときに、帯電ムラに起因するかぶりなどの画質欠陥の発生が抑制されることが明らかとなった。
従来の一般的な下引層を測定したところ、150mHzよりも高い周波数にインピーダンスの位相差θの極大点があることが分かった。本実施形態の感光体ではこれよりも低い周波数で極大点を有する下引層を設けることによって帯電性の均一性が図られ、結果として、感光体の帯電状態が均一化される。特に、直流電圧に交流電圧を重畳して印加する接触帯電装置は、直流電圧のみを印加する接触帯電装置よりも帯電ムラによるかぶりが発生し易いため、本実施形態の電子写真感光体が好適に適用される。
このように下引層におけるインピーダンスの位相差θの極大点が150mHz以下の場合に、帯電ムラに起因するかぶりの発生が抑制され、10mHz以上にすることで、残留電位の上昇による画像濃度の低下が抑えられる。
帯電ムラに起因するかぶりの発生の抑制の観点から、前記インピーダンスの位相差θの極大点は、10mHz以上150mHz以下であり、15mHz以上60mHz以下であることが望ましい。
ここで、下引層におけるインピーダンスの位相差θの極大点の測定方法について説明する。
インピーダンスの測定には、電源としてSI 1287 electrochemical interface (東陽テクニカ製)、電流計としてSI 1260 inpedance/gain phase analyzer(東陽テクニカ製)、電流アンプとして1296 dielectric interface(東陽テクニカ製)を用いる。
まず、後述の下引層用塗布液をアルミパイプに浸漬塗布した後、感光体において下引層を形成するときと同じ条件で乾燥を行い、感光体に付与する下引層と同じ厚さの下引層単層膜を形成する。例えば、170℃24分で乾燥硬化した膜厚15μmの下引層を有する感光体を作製したときには、インピーダンスの測定試料用の下引層単層膜も、170℃、24分で乾燥硬化して、膜厚15μmとする。この下引層単層膜について、対向電極として100nmの金電極を真空蒸着法により蒸着し、測定試料を作製する。
温度20℃、湿度50RH%の環境下で、作製した測定試料のアルミパイプを陰極、金電極を陽極として、1Vp−pの交流電圧を周波数1MHzから1mHzまでの範囲で高周波側から印加して、インピーダンスを測定する。
インピーダンスは印加電圧に対する応答電流の振幅比と印加電圧と応答電流の位相差の2つのパラメータで表現され、印加電圧の周波数に対する印加電圧-応答電流間の位相差をプロットし、位相差θが極大になる周波数を求める。
インピーダンスの位相差θの極大点が10mHz以上150mHz以下の周波数の範囲内にある下引層は、電荷を捕捉する物質の添加を増加したり、硬化条件を変えたりして、電荷が移動し難い形態に設計することで達成される。なお、硬化における加熱温度や加熱時間などによっては電荷を捕捉する物質の捕捉能が低下する場合があり複合的な要因を勘案する必要があるため、下引層の成分や温度条件などで個別に規定するのではなく、インピーダンスの位相差θの極大点を示す周波数の範囲として総合的に規定することが肝要である。具体的な下引層の調整方法については、後述する。
以下、本実施形態の感光体について、更に詳細に説明する。
本実施形態の電子写真感光体は、少なくとも、導電性基体と、下引層と、電荷発生層と、を備える。なお本明細書において、絶縁性とは、体積抵抗率で1012Ωcm以上の範囲を意味する。一方、導電性とは、体積抵抗率で1010Ωcm以下の範囲を意味する。
本実施形態に係る電子写真感光体について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る電子写真用感光体の好適な一例を示す模式断面図である。図2は他の実施形態に係る電子写真感光体を示す模式断面図である。
図1に示す電子写真感光体7Aでは、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷発生層2、及び電荷輸送層3が順次形成された構造を有するものである。図2に示す電子写真感光体7Bは、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に、電荷輸送層3、及び電荷発生層2が順次形成された構造を有するものである。
そして、上記図1及び図2に示す電子写真感光体7A及び7Bにおいて、下引層1が上記所定の構成となっている。
以下、代表例として図1に示す電子写真感光体7Aに基づいて、各要素について説明する。
<導電性基体>
導電性基体4としては、従来から使用されているものであれば、如何なるものを使用してもよい。例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、およびアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO等の薄膜を設けたプラスチックフィルム等、あるいは導電性付与剤を塗布、または含浸させた紙、およびプラスチックフィルム等が挙げられる。導電性基体4の形状はドラム状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。
導電性基体4として金属パイプを用いる場合、表面は素管のままであってもよいし、予め鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの処理が行われていてもよい。
<下引層>
下引層1は、少なくとも金属酸化物粒子を含み、電荷発生材料を結着樹脂中に分散して形成され得る。
−金属酸化物粒子−
金属酸化物粒子としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫、酸化ジルコニウム等の金属酸化物粒子が挙げられ、酸化亜鉛、酸化チタンを用いることが望ましい。金属酸化物粒子は単種の使用であっても、2種以上の併用であってもよい。
金属酸化物粒子の平均粒子径は、50nm以上200nm以下であることが望ましく、60nm以上150nm以下であることがより望ましく、70nm以上100nm以下であることが更に望ましい。金属酸化物粒子の上記範囲内の平均粒子径を有する金属酸化物粒子は、下引層1におけるインピーダンスの位相差θの極大点を10mHz以上150mHz以下の周波数の範囲内にする点から望ましい。
なお、一般に、金属酸化物粒子の添加量を変えずに平均粒子径を小さくすると、下引層1におけるインピーダンスの位相差θの極大点は、低周波数側に移動する。よって、上記位相差θの極大点を鑑みて、用いる金属酸化物粒子の平均粒子径を選択することが望ましい。
更に、金属酸化物粒子と共にアクセプター性化合物を含有させることで電気特性の長期安定性、キャリアブロック性に優れた下引層が得られる。
アクセプター性化合物としては、上記特性が得られるものであれば限定されず、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質などが望ましく、特にアントラキノン構造を有する化合物が望ましい。更にヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物等、アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物が望ましく用いられ、具体的にはアントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が挙げられる。
これらのアクセプター性化合物の含有量は上記特性が得られる範囲であれば限定されないが、望ましくは金属酸化物粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下の範囲で含有される。更に電荷蓄積防止と無機粒子の凝集を防止する観点から0.05質量%以上10質量%以下の範囲で添加されることが望ましい。
なお、一般に、アクセプター性化合物の添加量を多くすると、下引層1におけるインピーダンスの位相差θの極大点は、低周波数側に移動する。よって、上記位相差θの極大点を鑑みて、用いるアクセプター性化合物の添加量を選択することが望ましい。
アクセプター性化合物は、下引層形成用塗布液に添加するだけでもよいし、金属酸化物粒子の表面にあらかじめ付着させておいてもよい。金属酸化物粒子の表面にアクセプター性化合物を付与させる方法としては、乾式法、又は、湿式法が挙げられる。
乾式法にて表面処理を施す場合には、金属酸化物粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接又は有機溶媒に溶解させたアクセプター性化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによってバラツキが生じることなく処理される。添加又は噴霧する際には溶剤の沸点以下の温度で行われることが望ましい。溶剤の沸点以下の温度で噴霧すると、アクセプター性化合物が局部的に偏在するのを抑える。添加又は噴霧した後、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施される。
また、湿式法としては、無機粒子を溶剤中で攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミル等を用いて分散し、アクセプター性化合物を添加し攪拌又は分散した後、溶剤除去することでバラツキが生じることなく処理される。溶剤除去方法はろ過又は蒸留により留去される。溶剤除去後には更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に限定されない。湿式法においては表面処理剤を添加する前に無機粒子含有水分を除去してもよく、その例として表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法を用いてもよい。
また、無機粒子にはアクセプター性化合物を付与する前に表面処理を施してもよい。表面処理剤としては、所望の特性が得られるものであればよく、公知の材料から選択される。例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性材等が挙げられる。シランカップリング剤による表面処理によって、粉体抵抗が制御される。アミノ基を有するシランカップリング剤は下引層1に良好なブロッキング性を与えるため望ましく用いられる。
一般に、カップリング剤は電荷を捕捉する性質を有するため、カップリング剤の処理量を多くすると、下引層1におけるインピーダンスの位相差θの極大点は低周波数側に移動する。よって、上記位相差θの極大点での周波数を鑑みて、カップリング剤の処理量を調整することが望ましい。
また、下引層1におけるインピーダンスの位相差θの極大点での周波数を上記範囲内とする観点から、カップリング剤を用いる場合には、アミノ基を含むシランカップリング剤を用いることが望ましく、下記一般式で示されるシランカップリング剤を用いることが更に望ましい。
式中のR1はアルコキシ基又はハロゲン原子を表し、Rは、水素原子、フェニル基、又は末端にアミノ基を有するアルキル基を表す。
下引層1中の金属酸化物粒子の含有率は、30質量%以上90質量%以下であることが望ましく、55質量%以上80質量%以下であることがより望ましく、60質量%以上75質量%以下であることが更に望ましい。
一般に、下引層1中の金属酸化物粒子の含有率を多くすると、下引層1におけるインピーダンスの位相差θの極大点は、低周波数側に移動する。よって、上記位相差θの極大点での周波数を鑑みて、金属酸化物粒子の含有率を調整することが望ましい。
−結着樹脂−
下引層1に含まれる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などが用いられる。
−溶媒−
下引層1の形成の際には、上記成分を溶媒に加えた塗布液が使用される。かかる溶媒としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤、などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤は単独で用いても、2種以上の併用であってもよい。
また、下引層形成用塗布液中に金属酸化物粒子を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機等が利用される。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
このようにして得られる下引層形成用塗布液を導電性基体4上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。
塗布後、乾燥して下引層1が形成される。乾燥温度は、100℃以上200℃以下であることが望ましく、150℃以上200℃以下であることがより望ましく、160℃以上190℃以下であることが更に望ましい。
なお、乾燥のための加熱温度を高くしたりして硬化条件を厳しくすると、電荷の移動がし難くなり、下引層1におけるインピーダンスの位相差θの極大点は低周波数側に移動する。但し、金属酸化物粒子がカップリング剤で表面処理されている場合には、カップリング剤が分解する温度で加熱乾燥すると、カップリング剤の電荷の補足能が低下して、インピーダンスの位相差θの極大点は高周波数側に移動する。よって、上記位相差θの極大点での周波数を鑑みて、乾燥条件を調節することが望ましい。
下引層1の膜厚は15μm以上が望ましく、15μm以上30μm以下がより望ましい。
下引層1には、表面粗さの調整のために樹脂粒子を添加してもよい。樹脂粒子としては、シリコーン樹脂粒子、架橋型PMMA樹脂粒子等が挙げられる。
また、表面粗さの調整のために、下引層1の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
<中間層>
また、図示は省略するが、電気特性向上、画質向上、画質維持性向上、感光層接着性向上などのために、下引層1上に中間層をさらに設けてもよい。
中間層に用いられる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などがある。これらの化合物は単独で用いても、あるいは複数の化合物の混合物又は重縮合物として用いてもよい。
なかでも、ジルコニウムもしくはシリコンを含有する有機金属化合物は残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れている。
中間層の形成に使用される溶媒としては、公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤が挙げられる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
中間層は上層の塗布性改善の他に、電気的なブロッキング層の役割も果たすが、膜厚が大きすぎる場合には電気的な障壁が強くなりすぎて減感や繰り返しによる電位の上昇を引き起こす。したがって、中間層を形成する場合には、0.1μm以上3μm以下の膜厚の範囲に設定される。
<電荷発生層>
電荷発生層2は、電荷発生材料及び結着樹脂を含有する。
かかる電荷発生材料としては、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン顔料が挙げられ、特に、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.7゜、9.3゜、16.9゜、17.5゜、22.4゜及び28.8゜に強い回折ピークを有する無金属フタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも9.6゜、24.1゜及び27.2゜に強い回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶が望ましい。
その他、電荷発生材料としては、キノン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、アントロン顔料、キナクリドン顔料等を用いてもよい。また、これらの電荷発生材料は、単独で、或いは種以上を併用して使用される。
電荷発生層2における結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型あるいはビスフェノールZ型等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は、単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。
電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、質量比で、10:1から1:10までの範囲が望ましい。
電荷発生層2の形成の際には、上記成分を所定溶剤に加えた塗布液が使用される。かかる溶剤としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤、などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。
電荷発生材料を樹脂中に分散させるために、塗布液には分散処理が施される。分散方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が挙げられる。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
このようにして得られる塗布液を下引層1上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。
電荷発生層2の膜厚は、望ましくは0.01μm以上5μm以下、より望ましくは0.05μm以上2.0μm以下の範囲に設定される。
<電荷輸送層>
電荷輸送層3は、電荷輸送材料と結着樹脂を含有して、又は高分子電荷輸送材を含有して形成される。
電荷輸送材料としては、公知のものが適用され、例えば下記に示すものが例示される。
すなわち、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N'−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体等の正孔輸送物質、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送物質、あるいは以上に示した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等が挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種または2種以上を組み合わせて使用される。
電荷輸送層3における結着樹脂としては、ビフェニル共重合型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールA型あるいはビスフェノールZ型等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、塩素ゴム等の絶縁性樹脂、およびポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。これらの結着樹脂は、単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。
電荷輸送層3は、上記成分を溶剤に加えた塗布液を用いて形成される。電荷輸送層3の形成に使用される溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。併用する際に使用される溶剤としては、結着樹脂が溶解されるのであれば特に制限は無い。
電荷輸送材料と上記結着樹脂との配合比は、質量比で、10:1から1:5までが望ましい。
このようにして得られる電荷輸送層形成用の塗布液を電荷発生層2上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が適用される。
電荷輸送層3の膜厚は、5μm以上50μm以下が望ましく、10μm以上40μm以下がより望ましい。
<最表面層>
図1及び図2では図示しないが、感光体の際表面層として保護層を設けてもよい。保護層は、例えば、導電性材料と結着樹脂とを含んで構成される。また、保護層は、例えば、重合性官能基を有する電荷輸送性材料の硬化膜で構成されていてもよい。硬化膜は、必要に応じて、他の樹脂を含んでいてもよい。保護層の構成は、周知の構成が採用される。
感光体の最表面層となる層(例えば、保護層または電荷輸送層)は、更に、潤滑性を付与させ、表面層を磨耗しにくくしたり、傷がつきにくくするため、また感光体表面に付着した現像剤のクリーニング性を高めるために、潤滑性粒子(例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂粒子、シリコーン系樹脂微粒子)を含有することが好ましい。これらの潤滑性粒子は、2種以上を混合して用いてもよい。特に、フッ素系樹脂粒子は望ましく用いられる。
フッ素系樹脂粒子としては、4フッ化エチレン、3フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂粒子や「第8回ポリマー材料フォ−ラム講演予稿集 p89」に示される、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーとを共重合させた樹脂粒子が挙げられる。特に、4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂の粒子が好ましい。
フッ素系樹脂粒子の一次粒径は0.05μm以上1μm以下が好ましく、0.1μm以上0.5μm以下がより好ましい。一次粒径が0.05μmを下回ると分散時の凝集が進みやすくなる。一方、1μmを上回ると画質欠陥が発生し易くなる。
電荷輸送層3が最表面層となる場合、電荷輸送層3の全固形分に対するフッ素系樹脂粒子の含有量は2質量%以上15質量%以下であることが好ましい。なお、電荷輸送層3の全固形分に対するフッ素系樹脂粒子の含有量が2質量%未満の場合、フッ素系樹脂粒子分散による電荷輸送層の改質が不十分となることがある。また、当該含有量が15質量%を超えると、分散性が悪化し、膜強度の低下が生じることがある。
最表面層中にフッ素系樹脂粒子を分散させるための塗布液の分散方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー等のメディアレス分散機が利用される。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
また、最表面層中のフッ素系樹脂粒子の分散安定剤として、フッ素系界面活性剤や、フッ素系グラフトポリマーを用いることで、塗布液としての分散性が安定する。フッ素系グラフトポリマーとしては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、スチレン化合物等からなるマクロモノマー及びパーフルオロアルキルエチルメタクリレートよりグラフト重合された樹脂が好ましい。
フッ素系界面活性剤やフッ素系グラフトポリマーの含有量は、フッ素系樹脂粒子の全質量に対して1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
さらに、表面の平滑性を向上させる目的で、最表面層中にフッ素変性シリコーンオイルを添加してもよい。このフッ素変性シリコーンオイルは、フルオロアルキル基を有するものが望ましい。
また、同様の目的で、最表面層にはシリコーンオイル等のオイルを添加してもよい。シリコーンオイルとしては、たとえば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノ−ル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル等が挙げられる。このなかでも、表面の平滑性を向上させる観点からは、フッ素変性シリコーンオイルが望ましく、フルオロアルキル基を有するものがより望ましい。
前記フッ素変性シリコーンオイルは所望の特性が得られる範囲であれば添加量に制限は無く、例えば、電荷輸送層用塗布液中に0.1ppmから1000ppmの範囲で使用され、0.5ppmから500ppmの範囲が望ましい。フッ素変性シリコーンオイルの添加量が上記範囲内にあると、十分な平滑面が得られ、感光体を繰り返し使用したときに残留電位の上昇が抑えられる。
<その他の成分>
電子写真装置中で発生するオゾンや窒素酸化物、あるいは光、熱による感光体の劣化を防止するため、感光層3を構成する各層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤などの添加剤を添加してもよい。
例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機リン化合物等が挙げられる。光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペン等の誘導体が挙げられる。
次に、本実施形態に係る電子写真感光体を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジについて説明する。
〔画像形成装置〕
−第1実施形態−
図3は、第1実施形態の画像形成装置の基本構成を概略的に示している。図3に示す画像形成装置200は、本実施形態の電子写真感光体7と、電源209に接続され、電子写真感光体7を帯電させる接触帯電方式の帯電装置208と、帯電装置208により帯電された電子写真感光体7を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成装置(露光装置)210と、露光装置210により形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置211と、電子写真感光体7の表面に形成されたトナー像を被転写媒体500に転写する転写装置212と、転写後、電子写真感光体7の表面に残留するトナーを除去するトナー除去装置213と、電子写真感光体7の残留電位を除去する除電器214と、被転写媒体500に転写されたトナー像を被転写媒体500に定着させる定着装置215と、を備える。なお、帯電装置208は、電子写真感光体7に直接接触して電子写真感光体7を帯電する帯電装置である。なお、例えば、除電器214は必ずしも設けられている必要はない。
帯電装置208は帯電部材を有しており、感光体7を帯電させる際には帯電部材に直流電圧が印加される。電圧の範囲としては、直流電圧を印加する場合、感光体帯電電位に応じて正又は負の50V以上2000V以下が望ましく、100V以上1500V以下がより望ましい。
交流電圧を重畳する場合は、ピーク間電圧が400V以上1800V以下、望ましくは800V以上1600V以下、さらに望ましくは1200V以上1600V以下が望ましい。交流電圧の周波数は50Hz以上20000Hz以下、望ましくは100Hz以上5000Hz以下である。
帯電部材としては、例えば、ローラ、ブラシ、フィルム等が挙げられる。その中でもローラ状の帯電部材(以下、「帯電ローラ」と称する場合がある)としては、例えば電気抵抗が10Ω以上10Ω以下の範囲に調整された材料から構成されるものが挙げられる。また帯電ローラは、単層でもよく、複数の層から構成されていてもよい。
帯電部材として帯電ローラを用いる場合、感光体7に接触する圧力としては、例えば、250mgf以上600mgf以下の範囲が挙げられる。
帯電部材を構成する材質としては、例えば、ウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)、エピクロルヒドリンゴム等の合成ゴムやポリオレフィン、ポリスチレン、塩化ビニル等からなるエラストマーを主材料とし、導電性カーボン、金属酸化物、イオン導電剤等の導電性付与剤を適量配合したもの等が挙げられる。
さらにナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン等の樹脂を塗料化し、そこに導電性カーボン、金属酸化物、イオン導電剤等の導電性付与剤を適量配合し、得られた塗料を浸漬塗布、スプレー塗布、ロール塗布等の手法により、積層して用いてもよい。
特に、直流電圧を絶対値で500V以上且つ、交流電圧のピーク間電圧が1200V以上の条件で直流電圧に交流電圧を重畳させる場合に、帯電ムラに起因したかぶりが発生し易いが、本実施形態の電子写真感光体を用いれば、このような形態の帯電装置であっても画像のかぶりの発生が抑えられる。
露光装置210としては、電子写真感光体表面を、半導体レーザ、LED(Light Emitting Diode)、液晶シャッター等の光源により所望の像様に露光する光学系装置等が用いられる。
現像装置211としては、一成分系、二成分系等の正規又は反転現像剤を用いた公知の現像装置等が用いられる。現像装置211に使用されるトナーの形状については、特に制限はなく、不定形、球形あるいは他の特定形状のものを使用してもよい。
転写装置212としては、ローラ状の接触型帯電部材の他、ベルト、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、あるいはコロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等、が挙げられる。
トナー除去装置213は、転写工程後の電子写真感光体7の表面に付着する残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された電子写真感光体7は上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。トナー除去装置213としては、異物除去部材(クリーニングブレード)の他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等が用いられるが、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
−第2実施形態−
図4は第2実施形態の画像形成装置の基本構成を概略的に示している。図4に示す画像形成装置220は中間転写方式の画像形成装置であり、ハウジング400内において4つの電子写真感光体7a,7b,7c,7dが中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。例えば、感光体1aがイエロー、感光体1bがマゼンタ、感光体1cがシアン、感光体1dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成する。
ここで、画像形成装置220に搭載されている電子写真感光体7a,7b,7c,7dは、それぞれ本実施形態の電子写真感光体である。
電子写真感光体7a,7b,7c,7dはそれぞれ一方向(紙面上は反時計回り)に回転し、その回転方向に沿って帯電ロール402a,402b,402c,402d、現像装置404a,404b,404c,404d、1次転写ロール410a,410b,410c,410d、クリーニングブレード415a,415b,415c,415dが配置されている。現像装置404a,404b,404c,404dはそれぞれトナーカートリッジ405a,405b,405c,405dに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを供給し、また、1次転写ロール410a,410b,410c,410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体7a,7b,7c,7dに接している。なお、ロール402a,402b,402c,402dは、子写真感光体7a,7b,7c,7dにそれぞれ直接接触して電子写真感光体7a,7b,7c,7dを帯電する。
さらに、ハウジング400内にはレーザ光源(露光装置)403が配置されており、レーザ光源403から出射されたレーザ光を帯電後の電子写真感光体7a,7b,7c,7dの表面に照射する。これにより、電子写真感光体7a,7b,7c,7dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニング(トナー等の異物除去)の各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。中間転写ベルト409は駆動ロール406、背面ロール408及び支持ロール407によって張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転する。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介して背面ロール408と接するように配置されている。背面ロール408と2次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406と対向して配置されたクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
また、ハウジング400内には被転写媒体を収容する容器411が設けられており、容器411内の紙などの被転写媒体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との間、さらには相互に接する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排出される。
なお、上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト409を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト409のようにベルト状であってもよいし、ドラム状であってもよい。ベルト状とする場合、中間転写体の基材を構成する樹脂材料としては、公知の樹脂が用いられる。例えば、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等の樹脂材料及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。さらに、樹脂材料と弾性材料をブレンドして用いてもよい。
また、上記実施形態にかかる被転写媒体とは、電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。例えば、図3に示した第1実施形態のように電子写真感光体7から直接、紙等の被転写媒体に転写する場合は、紙等が被転写媒体である。また、図4に示した第2実施形態のように中間転写体を用いる場合には、中間転写体が被転写媒体である。
<プロセスカートリッジ>
図5は、本実施形態の電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジの一例の基本構成を概略的に示している。このプロセスカートリッジ300は、電子写真感光体7と共に、電子写真感光体7を帯電させる接触帯電方式の帯電装置208、露光により電子写真感光体7上に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤によりトナー像に現像する現像装置211、転写後、電子写真感光体7の表面に残留するトナーを除去するトナー除去装置213、露光のための開口部218、及び、除電露光のための開口部217を、取り付けレール216を用いて組み合わせて一体化したものである。
そして、このプロセスカートリッジ300は、電子写真感光体7の表面に形成されたトナー像を被転写媒体500に転写する転写装置212と、被転写媒体500に転写されたトナー像を被転写媒体500に定着させる定着装置215と、図示しない他の構成部分とからなる画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成する。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<感光体の作製>
[実施例1]
−下引層の形成−
酸化亜鉛:(平均粒子径70nm:テイカ社製試作品)100質量部をトルエン450質量部とメタノール50質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM603:信越化学工業社製)1.75質量部を添加し、サンドグラインダーミルにて1時間分散した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、150℃で2時間焼き付けを行ったのち室温まで冷却し、解砕して表面処理酸化亜鉛を得た。
前記表面処理酸化亜鉛33質量部、ブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)6質量部、アリザリン0.6質量部、及びメチルエチルケトン25質量部を30分間混合した後、ブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)5質量部、シリコーン樹脂粒子(トスパール120、東芝シリコーン社製)3質量部及びレベリング剤(シリコーンオイルSH29PA、東レダウコーニングシリコーン社製)0.01質量部を上記の混合液に添加し、サンドミルにて2時間の分散処理を行い、下引き層用塗布液を得た。この塗布液を30mmφのアルミニウム支持体上に浸漬塗布し、170℃、24分間乾燥硬化することにより、膜厚20μmの下引層を形成した。
−電荷発生層の形成−
次に、電荷発生材料として、Cu−kα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンを用い、その15質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10質量部およびn−ブチルアルコール300質量部からなる混合物をサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液を、上記下引き層上に浸漬塗布し、乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
−電荷輸送層の形成−
次に、N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン20質量部とN,N′−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン20質量部とビスフェノールZポリカーボネート樹脂(分子量40,000)60質量部とをテトロヒドロフラン280質量部及びトルエン120質量部に十分に溶解混合した後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子(体積平均一次粒径:0.110μm)8質量部とフッ素含有グラフトポリマー0.3質量部を加え、さらに混合した後、高圧ホモジナイザーを用いて分散し、PTFE粒子分散液を作製した。得られた塗布液を上記電荷発生層の上に浸漬塗布し、乾燥することにより、膜厚24μmの電荷輸送層を形成し、実施例1の感光体を得た。
[実施例2]
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製)の表面処理に用いるシランカップリング剤を2.00質量部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の感光体を作製した。
[実施例3]
下引き層の乾燥硬化条件を180℃、40分間とした以外は実施例1と同様にして、実施例3の感光体を作製した。
[実施例4]
下引き層の乾燥硬化条件を160℃、24分間とした以外は実施例1と同様にして、実施例4の感光体を作製した。
[実施例5]
下引き層の乾燥硬化条件を160℃、24分間とした以外は実施例2と同様にして、実施例5の感光体を作製した。
[実施例6]
実施例1の下引層の作製において、酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製)の表面処理に用いるシランカップリング剤を2.00質量部とし下引層の乾燥硬化条件を155℃、24分間とした以外は、実施例1と同様の方法で、実施例6の感光体を作製した。
[実施例7]
実施例1の下引層の作製において、酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製)の表面処理に用いるシランカップリング剤を1.45質量部とした以外は、実施例1と同様の方法で、実施例7の感光体を作製した。
[実施例8]
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製)の表面処理に用いるシランカップリング剤をγ-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM903:信越化学工業社製)を2.00質量部に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8の感光体を作製した。
[実施例9]
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製)の表面処理に用いるシランカップリング剤をN-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM573:信越化学工業社製)を4.8質量部に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9の感光体を作製した。
[比較例1]
酸化亜鉛:(平均粒子径70nm:テイカ社製試作品)の表面処理に用いるシランカップリング剤を1.25重量部とした以外は実施例1と同様にして、比較例1の感光体を作製した。特開2005−10662号公報の実施例1に相当する下引層である。
[比較例2]
下引き層の乾燥硬化条件を150℃、20分間とした以外は実施例2と同様にして、比較例2の感光体を作製した。
[比較例3]
実施例1の下引層を、特開2003−186219号公報の実施例1の下引層に代えた以外は実施例1と同様にして比較例3の感光体を作製した。なお、特開2003−186219号公報の実施例1の下引層では、酸化亜鉛100質量部にN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを10質量%含有するトルエン溶液10質量部で表面処理した酸化亜鉛粒子を用いている。
<下引層のインピーダンス測定>
−測定試料の作製−
上記実施例及び比較例の感光体を作製する際に用いた下引層用塗布液をそれぞれアルミパイプに浸漬塗布し、上記感光体の下引層を作製したときと同じ条件により乾燥を行い、膜厚15μmの下引層単層膜を形成した。この下引層単層膜について、対向電極として100nmの金電極を真空蒸着法により装着し、インピーダンス測定用試料とした。
−測定方法−
インピーダンスの測定には電源としてSI 1287 electrochemical interface (東陽テクニカ製)、電流計としてSI 1260 inpedance/gain phase analyzer(東陽テクニカ製)、電流アンプとして1296 dielectric interface(東陽テクニカ製)を用いた。
インピーダンス測定用試料におけるアルミパイプを陰極、金電極を陽極として、1Vp−pの交流電圧を周波数1MHzから1mHzまでの範囲で高周波側から印加し、各試料のインピーダンスを測定した。インピーダンスは印加電圧に対する応答電流の振幅比と印加電圧と応答電流の位相差の2つのパラメータで現される。インピーダンス測定用試料における、印加電圧の周波数に対する印加電圧−応答電流間の位相差をプロットし、インピーダンス測定用試料の位相差が極大となった周波数を表1に示す。
<画質欠陥の評価>
上記作製した感光体を富士ゼロックス社製DocuCentre C3300改造機に搭載し、28℃、80%RHの環境下で黒単色・画像面積5%の同じ画像をA4用紙で1000枚印字した後に、1000枚目の画像について画質評価を行った。結果を表1に示す。表1において画質が良好とは、かぶりの発生が見られず、画像濃度も低下しないものをいう。
なお、DocuCentre C3300の改造機に搭載される帯電装置は、直流電圧に交流電圧が重畳して印加される接触帯電方式の帯電装置であり、直流印加電圧−700V、交流電圧のピーク間電圧1400Vで感光体を帯電させる。
表1に示すとおり、実施例1から9の感光体、即ちインピーダンスの位相差θの極大点が10mHz以上150mHz以下の周波数に現れる感光体は、直流電圧に交流電圧を重畳して印加する接触帯電方式の帯電装置を有する画像形成装置に用いたときでも、帯電むらに起因するかぶりの発生、及び残留電位上昇による画像濃度の低下が抑制された。
これに対して、150mHzを超える周波数に極大点を有する比較例1の感光体は直流電圧に交流電圧を重畳して印加する接触帯電方式の帯電装置を有する画像形成装置に用いたときに、帯電むらに起因するかぶりが発生し、また10mHzを下回る周波数に極大点を有する比較例2、3の感光体は残留電位上昇によって画像濃度が低下した。
また、下引層の構成と、位相差θが極大をとる周波数との関係を以下に示す。
上記表における下引層4は、実施例1の下引層と同様にして、但しカップリング剤の使用量を上記表のように変えて作製した。下引層5及び7は、実施例8の下引層と同様にして、但しカップリング剤の使用量を上記表のように変えて作製した。
上記表における下引層22〜24は、実施例1の下引層と同様にして、但し酸化亜鉛粒子の粒径又は添加量を上記表のように変えて作製した。
上記表における下引層39及び40は、実施例8の下引層と同様にして、但し乾燥条件を上記表のように変えて作製した。
1…下引層、2…電荷発生層、3…電荷輸送層、4…導電性基体、7,7A,7B…電子写真感光体、200…画像形成装置、208…直流接触帯電装置、210…露光装置、211…現像装置、212…転写装置、213…トナー除去装置、214…除電器、215…定着装置、216…取り付けレール、217…除電露光のための開口部、218…露光のための開口部、220…画像形成装置、300…プロセスカートリッジ、402a,402b,402c,402d…帯電ロール(直流接触帯電装置)、500…被転写媒体

Claims (6)

  1. 少なくとも、導電性基体と、下引層と、電荷発生層と、を備え、
    前記下引層が金属酸化物粒子を含有し、
    前記下引層のインピーダンスを1MHzから1mHzまでの範囲の交流電圧で測定したとき、インピーダンスの位相差θの極大点が10mHz以上150mHz以下の周波数の範囲内にある電子写真感光体。
  2. 接触帯電方式の帯電装置を有する画像形成装置に用いる請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する帯電方式の帯電装置を有する画像形成装置に用いる請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記金属酸化物粒子が、下記一般式で示されるシランカップリング剤で処理されてなる請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電子写真感光体である。

    〔式中のR1はアルコキシ基又はハロゲン原子を表し、Rは、水素、フェニル基、又は末端にアミノ基を有するアルキル基を表す。〕
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体に直接接触して前記電子写真感光体を帯電する帯電装置、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像剤によりトナー像に現像する現像装置、及び前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するトナー除去装置からなる群より選ばれる少なくとも1つと、
    を備えるプロセスカートリッジ。
  6. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体に直接接触して前記電子写真感光体を帯電する帯電装置と、
    帯電した前記電子写真感光体を露光して、該電子写真感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
    前記静電潜像を現像剤によりトナー像に現像する現像装置と、
    前記トナー像を被転写媒体に転写する転写装置と、
    を有する画像形成装置。
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