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JP2011190852A - 車両用無段変速機の制御装置 - Google Patents

車両用無段変速機の制御装置 Download PDF

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JP2011190852A JP2010056640A JP2010056640A JP2011190852A JP 2011190852 A JP2011190852 A JP 2011190852A JP 2010056640 A JP2010056640 A JP 2010056640A JP 2010056640 A JP2010056640 A JP 2010056640A JP 2011190852 A JP2011190852 A JP 2011190852A
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Taira Iraha
平 伊良波
Yuya Shimosato
裕也 下里
Kunio Hattori
邦雄 服部
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】変速応答性を良好に保ちつつ、急変速を低減することのできる無段変速機の制御装置を提供する。
【解決手段】目標入力回転速度NIN_tgtと入力軸回転速度NINとの偏差ΔNINと、フィードバックゲインとに基づいて変速制御値のフィードバック制御を行なう変速比制御手段210と、所定の開始条件が満たされた時に前記フィードバック制御を開始する制御開始手段208とを有する無段変速機の制御装置50において、制御開始手段208によりフィードバックが開始された際に(S2)、偏差ΔNINが所定の追従性低下判定値NIN_th1を上回る場合には(S3)、追従性制御手段218の追従性低下手段222により偏差ΔNINがその追従性低下判定値NIN_th1を上回らない場合よりもフィードバック制御の追従性が低くされるので(S4)、偏差ΔNINが大きいときにおいて急変速の実行が低減される。
【選択図】図8

Description

本発明は、無段変速機の制御装置に関するものであり、特に、変速における応答性の向上と変速ショックの低減とを両立することのできる無段変速機の制御装置に関するものである。
入力軸回転速度と出力軸回転速度の比である変速比を無段階に連続的に変更可能な無段変速機が知られている。例えば特許文献1に記載の無段変速機がそれである。かかる無段変速機においては、その変速比が車速や出力トルクなどの車両の走行状態に基づいて設定される目標変速比となるように制御されることにより、変速が実行される。
このような変速比の制御においては、変速機における所定部材の目標回転速度と実回転速度との偏差に基づいたフィードバック制御を行なうことができる。特許文献1には、かかる変速比の制御における例として、変速機における目標入力回転速度と実入力回転速度との偏差に基づいて変速比をフィードバック制御する技術が開示されている。
特開2001−324007号公報
ところで、実際の変速比と目標変速比との差が大きい場合、かかるフィードバック制御においては、前記偏差が大きくなるため、変速比が大きく変更されることなり、それに起因する問題、例えば、ドライバビリティが悪化するという問題が発生する可能性があった。かかる問題を防止するため、例えば、特許文献1に記載の技術のように、車両が登坂状態にある場合を除き、車速がフィードバック制御によるダウンシフトがショックとして体感されることがない、あるいは車両の運転性が損なわれない程度の車速以上である場合にフィードバック制御を実行する方法が提案されている。また、無段変速機の変速圧力制御においては、制御対象(システム)の応答性が早く、フィードバックゲインの設定の際にはハンチングに対するシステムの安定性を考慮する必要がある一方、フィードバックゲインを小さくすると変速の完了までの時間を要するという問題があった。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、変速応答性を良好に保ちつつ、急変速を低減することのできる無段変速機の制御装置を提供することにある。
かかる目的を達成するための請求項1にかかる発明は、(a)目標変速比と実変速比との偏差とフィードバックゲインとに基づいて該偏差が解消されるようにフィードバック制御を行なう変速比制御手段と、(b)所定の開始条件が満たされた場合に前記フィードバック制御を開始させる制御開始手段とを有する車両用無段変速機の制御装置において、(c)前記制御開始手段によりフィードバックが開始された際に、前記偏差が所定の判定値を上回る場合には、前記偏差が該判定値を上回らない場合よりも前記フィードバック制御の追従性を低くする追従性制御手段をさらに有することを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1の車両用無段変速機の制御装置において、前記追従性制御手段は、前記フィードバックゲインを小さくすることにより追従性を低くするものであることを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項1または2の車両用無段変速機の制御装置において、前記所定の開始条件は、ガレージシフトの実施完了後であることを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、請求項1または2の車両用無段変速機の制御装置において、前記所定の開始条件は、ニュートラル制御からの復帰後であることを特徴とする。
請求項5にかかる発明は、請求項1または2の車両用無段変速機の制御装置において、前記無段変速機は、溝幅が可変な一対のプーリとその一対のプーリに巻き掛けられた伝動ベルトによって入力軸および出力軸の間の動力伝達が行なわれるベルト式無段変速機であり、前記所定の開始条件は、車両の停止後において無段変速機における伝動ベルトが所定位置に戻っていないことであることを特徴とする。
また、請求項6にかかる発明は、請求項1乃至5のいずれか1の車両用無段変速機の制御装置において、前記追従性制御手段は、前記偏差が所定の終了判定値を下回る場合に、前記フィードバックの追従性を復帰させること特徴とする。
請求項1にかかる発明によれば、かかる目的を達成するための請求項1にかかる発明は、(a)目標変速比と実変速比との偏差とフィードバックゲインとに基づいて該偏差が解消されるようにフィードバック制御を行なう変速比制御手段と、(b)所定の開始条件が満たされた時に前記フィードバック制御を開始させる制御開始手段とを有する車両用無段変速機の制御装置において、(c)前記制御開始手段によりフィードバックが開始された際に、前記偏差が所定の判定値を上回る場合には、追従性制御手段により前記偏差が該判定値を上回らない場合よりも前記フィードバック制御の追従性が低くされるので、前記偏差が大きいときにおいて急変速の実行が低減される。
請求項2にかかる発明によれば、前記追従性制御手段は前記フィードバックゲインを小さくすることにより追従性を低くするので、前記急変速の実行を好適に低減することができる。
請求項3にかかる発明によれば、前記所定の開始条件はガレージシフトの実施完了後であることであるので、ガレージシフトが終了したことに基づいて前記フィードバック制御が実行される。そのため、無段変速機の入力軸回転速度センサ等が不要となる。また、無段変速機などの部品の精度を緩和することができる。
請求項4にかかる発明によれば、前記所定の開始条件はニュートラル制御からの復帰後であることであるので、ニュートラル制御が終了したことに基づいて前記フィードバック制御が実行される。そのため、無段変速機の入力軸回転速度センサ等が不要となる。また、無段変速機などの部品の精度を緩和することができる。
請求項5にかかる発明によれば、前記所定の開始条件は車両の停止後において無段変速機における伝動ベルトが所定位置に戻っていないことであるので、車両が急停止した後に前記フィードバック制御が実行される。そのため、無段変速機の入力軸回転速度センサ等が不要となる。また、急停止後伝動ベルトが所定位置に戻っていない場合であっても、前記急変速の実行を好適に低減することができる。
また、請求項6にかかる発明によれば、前記追従性制御手段は、前記偏差が所定の終了判定値を下回る場合に、前記フィードバックの追従性を復帰させるので、前記偏差が前記終了判定値を下回り、急変速のおそれが低い走行状態となった場合に応答性を向上させることができる。逆に言えば、急変速のおそれがある走行状態においてのみ、急変速を低減するように追従性が低くされるので、変速への追従性と急変速の低減が両立される。
本発明が適用された車両用動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。 図1の車両用駆動装置などを制御するために車両に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。 図1の車両用動力伝達装置を制御する油圧制御回路のうち、無段変速機の変速制御に係る油圧制御に関する要部を示す油圧回路図である。 スロットル弁開度および車速を変数として、ロックアップクラッチの開放領域(ロックアップオフ)、スリップ制御領域、係合領域(ロックアップオン)を示す関係図(マップ、領域線図)である。 図2の電子制御装置による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 図5の変速比制御手段により自動変速制御が行われる際に、運転状態に応じて入力側の目標回転速度を求める自動変速マップの一例を示す図である。 本実施例における電子制御装置の制御作動の要部を説明するためのフローチャートである。 ガレージ制御が実行され、その終了後に無段変速機の変速比のフィードバック制御が実行される場合の車両の状態を説明するタイムチャートである。 実施例における追従性低下手段の別の態様を説明する図であって、追従性低下手段によって設定される際に参照される偏差とゲインの関係を説明する図である。
以下、本発明の一実施例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両用動力伝達装置10の構成を説明する骨子図である。この車両用動力伝達装置10は横置き型自動変速機であって、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に採用されるものであり、走行用の動力源としてエンジン12を備えている。内燃機関にて構成されているエンジン12の出力は、エンジン12のクランク軸、流体式伝動装置としてのトルクコンバータ14から前後進切替装置16、ベルト式の無段変速機(CVT)18、減速歯車装置20を介して差動歯車装置22に伝達され、左右の駆動輪24L、24Rへ分配される。
トルクコンバータ14は、エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車14p、およびトルクコンバータ14の出力側部材に相当するタービン軸34を介して前後進切換装置16に連結されたタービン翼車14tを備えており、流体を介して動力伝達を行うようになっている。また、それ等のポンプ翼車14pおよびタービン翼車14tの間にはロックアップクラッチ26が設けられており、油圧制御回路100(図3参照)内のロックアップコントロールバルブ106などによって係合側油室および開放側油室に対する油圧供給が切り換えられることにより、係合または開放されるようになっており、完全係合させられることによってポンプ翼車14pおよびタービン翼車14tは一体回転させられる。また、ポンプ翼車14pには、無段変速機18の変速制御やベルト挟圧力制御、ロックアップクラッチ26の係合開放制御等を実施するための油圧を発生させる機械式のオイルポンプ28が連結されており、エンジンの回転と連動して作動させられる。
前後進切替装置16は、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1とダブルピニオン型の遊星歯車装置16pとを主体として構成されており、トルクコンバータ14のタービン軸34はサンギヤ16sに一体的に連結され、無段変速機18の入力軸36はキャリア16cに一体的に連結されている一方、キャリア16cとサンギヤ16sは前進用クラッチC1を介して選択的に連結され、リングギヤ16rは後進用ブレーキB1を介してハウジングに選択的に固定されるようになっている。前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1は、何れも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合装置である。なお、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が本発明の走行クラッチに対応している。
そして、前進用クラッチC1が係合させられるとともに後進用ブレーキB1が開放されると、前後進切換装置16は一体回転状態とされることによりタービン軸34が入力軸36に直結され、前進用動力伝達経路が成立(達成)させられて、前進方向の駆動力が無段変速機18側へ伝達される。また、後進用ブレーキB1が係合させられるとともに前進用クラッチC1が開放されると、前後進切換装置16は後進用動力伝達経路が成立(達成)させられて、入力軸36はタービン軸34に対して逆方向へ回転させられるようになり、後進方向の駆動力が無段変速機18側へ伝達される。また、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が共に開放されると、前後進切換装置16は動力伝達を遮断するニュートラル状態(動力伝達遮断状態)になる。
無段変速機18は、入力軸36に設けられた入力側部材である有効径が可変の駆動側プーリ(プライマリプーリ、プライマリシーブ)42と、出力軸44に設けられた出力側部材である有効径が可変の従動側プーリ(セカンダリプーリ、セカンダリシーブ)46と、それ等の可変プーリ42、46に巻き掛けられた伝動ベルト48とを備えており、可変プーリ42、46と伝動ベルト48との間の摩擦力を介して動力伝達が行われる。
可変プーリ42および46は、入力軸36および出力軸44にそれぞれ固定された固定回転体42aおよび46aと、入力軸36および出力軸44に対して軸まわりの相対回転不能かつ軸方向の移動可能に設けられた可動回転体42bおよび46bと、それらの間のV溝幅を変更する推力を付与する油圧アクチュエータとしての駆動側油圧アクチュエータ(プライマリプーリ側油圧アクチュエータ)42cおよび従動側油圧アクチュエータ(セカンダリプーリ側油圧アクチュエータ)46cとを備えて構成されており、駆動側油圧アクチュエータ42cへの作動油の油圧が油圧制御回路100によって制御されることにより、両可変プーリ42、46のV溝幅が変化して伝動ベルト48の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が連続的に変化させられる。
図2は、図1の車両用動力伝達装置10などを制御するために車両に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。電子制御装置50は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン12の出力制御や無段変速機18の変速制御およびベルト挟圧力制御やロックアップクラッチ26のトルク容量制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用や無段変速機18およびロックアップクラッチ26の油圧制御用等に分けて構成される。
電子制御装置50には、エンジン回転速度センサ52により検出されたクランク軸回転角度(位置)ACR(°)およびエンジン12の回転速度(エンジン回転速度)Neに対応するクランク軸回転速度を表す信号、タービン回転速度センサ54により検出されたタービン軸34の回転速度(タービン回転速度)Ntを表す信号、車速センサ(出力軸回転速度センサ)58により検出された無段変速機18の出力回転速度である出力軸44の回転速度(出力軸回転速度)NOUTすなわち出力軸回転速度Noutに対応する車速Vを表す車速信号、スロットルセンサ60により検出されたエンジン12の吸気配管32(図1参照)に備えられた電子スロットル弁30のスロットル弁開度θTHを表すスロットル弁開度信号、冷却水温センサ62により検出されたエンジン12の冷却水温TWを表す信号、CVT油温センサ64により検出された無段変速機18等の油圧回路の油温TCVTを表す信号、アクセル開度センサ66により検出されたアクセルペダル68の操作量であるアクセル開度Accを表すアクセル開度信号、フットブレーキスイッチ70により検出された常用ブレーキであるフットブレーキの操作の有無BONを表すブレーキ操作信号、レバーポジションセンサ72により検出されたシフトレバー74のレバーポジション(操作位置)PSHを表す操作位置信号、油圧センサ75により検出される従動側油圧アクチュエータ46cのベルト狭圧Pdを表すベルト狭圧信号などが供給されている。
また、電子制御装置50からは、エンジン12の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号SE、例えば電子スロットル弁30の開閉を制御するためのスロットルアクチュエータ76を駆動するスロットル信号や燃料噴射装置78から噴射される燃料の量を制御するための噴射信号や点火装置80によるエンジン12の点火時期を制御するための点火時期信号などが出力される。また、無段変速機18の変速比γを変化させる為の変速制御指令信号ST、伝動ベルト48の挟圧力を調整させる為の挟圧力制御指令信号S、ロックアップクラッチ26の係合、開放、スリップ量を制御させる為のロックアップ制御指令信号SL/U、例えば油圧制御回路100内の前記ロックアップリレーバルブの弁位置を切り換える後述するソレノイドバルブを駆動するための指令信号やロックアップクラッチ26の係合力を調節するリニアソレノイドバルブを駆動するための指令信号、ニュートラル制御時において前進用クラッチC1または後進用ブレーキB1を開放乃至半係合させるための信号、ガレージシフト時において前進用クラッチC1または後進用ブレーキB1の係合圧を調整するための信号などが油圧制御回路100へ出力される。
シフトレバー74は、例えば運転席の近傍に配設され、順次位置させられている5つのレバーポジション「P」、「R」、「N」、「D」、および「L」のうちの何れかへ手動操作されるようになっている。
「P」ポジション(レンジ)は車両用動力伝達装置10の動力伝達経路を開放しすなわち車両用動力伝達装置10の動力伝達が遮断されるニュートラル状態(中立状態)とし且つメカニカルパーキング機構によって機械的に出力軸44の回転を阻止(ロック)するための駐車ポジション(位置)であり、「R」ポジションは出力軸44の回転方向を逆回転とするための後進走行ポジション(位置)であり、「N」ポジションは車両用動力伝達装置10の動力伝達が遮断されるニュートラル状態とするための中立ポジション(位置)であり、「D」ポジションは無段変速機18の変速を許容する変速範囲で自動変速モードを成立させて自動変速制御を実行させる前進走行ポジション(位置)であり、「L」ポジションは強いエンジンブレーキが作用させられるエンジンブレーキポジション(位置)である。このように、「P」ポジションおよび「N」ポジションは動力伝達経路をニュートラル状態とし車両を走行させないときに選択される非走行ポジションであり、「R」ポジション、「D」ポジションおよび「L」ポジションは動力伝達経路を動力伝達経路の動力伝達を可能とする動力伝達可能状態とし車両を走行させるときに選択される走行ポジションである。
図3は、油圧制御回路100のうち、ロックアップクラッチ26のロックアップ制御、およびシフトレバー74の操作に伴う前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1の係合油圧制御に関連する要部を示す油圧回路図である。図3において、油圧制御回路100は、図示しない調圧弁から供給されるモジュレータ圧PSMを元圧として切替圧PSL1を出力する第1切替バルブSL1、図示しない調圧弁から供給されるモジュレータ圧PSMを元圧として切替圧PSL2を出力する第2切替バルブSL2、上記第1切替バルブSL1および第2切替バルブSL2の出力状態に従って前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1へ供給される作動油を切替えるクラッチアプライコントロールバルブ102、上記第1切替バルブSL1および第2切替バルブSL2の出力状態に従ってロックアップクラッチ26を開放状態とする開放側位置(オフ側位置)およびロックアップクラッチ26を係合状態とする係合側位置(オン側位置)の何れか択一的に切り換えるロックアップリレーバルブ104、電子制御装置50から供給される駆動電流に対応した制御圧PSLUを出力するリニアソレノイドバルブSLU、ロックアップリレーバルブ104が係合側位置に切り替えられた状態でリニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUに従ってロックアップクラッチ26の係合力を制御するためのロックアップコントロールバルブ106、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が選択的に係合或いは開放されるようにシフトレバー74の操作に従って油路が機械的に切り換えられるマニュアルバルブ108、リニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUの脈動を吸収するためのSLUダンパ110等を備えている。
前記クラッチアプライコントロールバルブ102は、マニュアルバルブ108を介して前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1へ供給される作動油の供給状態を切替える切替弁として機能する。クラッチアプライコントロールバルブ102は、軸方向に移動させられることにより、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1に供給される作動油を図示しない調圧弁によって調圧された一定のモジュレータ圧LPM2とするnormal位置(図において、左側)、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1に供給される作動油をリニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUとするfail/ガレージ位置(図において右側)のいずれかに位置させられるスプール弁子120と、図示しない調圧弁によって調圧された一定のモジュレータ圧LPM2が入力される第1入力ポート122と、リニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUが入力される第2入力ポート124と、マニュアルバルブ108の入力ポート150に接続され、スプール弁子120に切替位置に応じて第1入力ポート122および第2入力ポート124の何れかと連通される第1出力ポート126と、図示しない調圧弁によって調圧された制御圧LPM3が入力される第3入力ポート128と、従動側油圧アクチュエータ46cの油圧Pdが入力される第4入力ポート130と、駆動側油圧アクチュエータ42cに接続され、スプール弁子120の切替位置に応じて第3入力ポート128および第4入力ポート130の何れかと連通される第2出力ポート132と、スプール弁子120をnormal位置側に常時付勢するスプリング134と、スプール弁子120にfail/ガレージ位置側に向かう推力を付与するために切替圧PSL1を受け入れる油室136と、スプール弁子120にnormal位置側に向かう推力を付与するために切替圧PSL2を受け入れる油室138とを、備えている。
例えば、第1切替バルブSL1の切替圧PSL1が油室136に供給されると、スプール弁子120がスプリング134の付勢力に抗ってfail/ガレージ位置側(図において右側)に移動させられる。このとき、第2入力ポート124と第1出力ポート126とが連通させられ、リニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUがマニュアルバルブ108の入力ポート150に供給される。すなわち、リニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUが前進用クラッチC1の係合油圧となる。前記制御圧PSLUは、リニアソレノイドバルブSLUの励磁電流のデューティー比に基づいてリニア(線形)に変化させられるので、前進用クラッチC1の係合過程であるガレージシフトの際に前進用クラッチC1の係合油圧を変化させることができ、係合ショックを低減することができる。また、第4入力ポート130と第2出力ポート132とが連通させられ、従動側油圧アクチュエータ46cの油圧Pdが駆動側油圧アクチュエータ42cに供給される。
一方、第2切替バルブSL2の切替圧PSL2が油室138に供給されると、スプール弁子120がnormal位置側(図において左側)に移動させられる。このとき、第1入力ポート122と第1出力ポート126とが連通させられ、モジュレータ圧LPM2がマニュアルバルブ108の入力ポート150に供給される。また、第3入力ポート128と第2出力ポート132とが連通させられ、制御圧LPM3が駆動側油圧アクチュエータ42cに供給される。すなわち、モジュレータ圧LPM2が前進用クラッチC1の係合油圧となる。モジュレータ圧LPM2は一定圧であるので、前進用クラッチC1の係合が完了した後において、係合状態を安定して保持することができる。
マニュアルバルブ108において、入力ポート150には、クラッチアプライコントロールバルブ102の第1出力ポート126から出力された係合油圧Pa(制御圧PSLUまたはモジュレータ圧LPM2)が供給される。そして、シフトレバー74が「D」ポジション或いは「L」ポジションに操作されると、係合油圧Paが前進用出力ポート152を経て前進用クラッチC1に供給され、前進用クラッチC1が係合させられる。また、シフトレバー74が「R」ポジションに操作されると、係合油圧Paが後進用出力ポート154を経て後進用ブレーキB1に供給され、後進用ブレーキB1が係合させられる。また、シフトレバー74が「P」ポジションおよび「N」ポジションに操作されると、入力ポート150から前進用出力ポート152および後進用出力ポート154への油路がいずれも遮断され、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が共に開放させられる。
トルクコンバータ14のロックアップクラッチ26は、係合側油路160を介して供給される係合側油室162内の油圧Ponと開放側油路164を介して供給される開放側油室166内の油圧Poffとの差圧ΔP(=Pon-Poff)によりフロントカバー168に摩擦係合させられる油圧式摩擦クラッチである。そして、トルクコンバータ14の運転条件としては、例えば差圧ΔPが負とされてロックアップクラッチ26が開放される所謂ロックアップオフ、差圧ΔPが零以上とされてロックアップクラッチ26が半係合される所謂スリップ状態、および差圧ΔPが最大値とされてロックアップクラッチ26が完全係合される所謂ロックアップオンの3条件に大別される。また、ロックアップクラッチ26のスリップ状態においては、差圧ΔPが零とされることによりロックアップクラッチ26のトルク分担がなくなって、トルクコンバータ14は、ロックアップオフと同様の運転状態とされる。
ロックアップリレーバルブ104は、ロックアップクラッチ26の係合位置(ON位置:図において右側)および開放位置(OFF位置:図において左側)を切替えるスプール弁子170と、そのスプール弁子170の一方の軸端側に設けられてスプール弁子170に開放位置(OFF位置)側へ向かう推力を付与するスプリング172と、スプール弁子170を開放位置(OFF位置)へ移動させるための第1切替バルブSL1の切替圧PSL1を受け入れる油室174と、スプール弁子170を係合位置(ON位置)側へ移動させるための第2切替バルブSL2の切替圧PSL2を受け入れる油室176と、図示しない第2レギュレータバルブによって調圧されたセカンダリ圧Psecが入力される入力ポート178と、ロックアップコントロールバルブ106の制御ポート202と連通される迂回ポート180と、係合側油路160と連通されている係合側ポート182と、開放側油路164と連通されている開放側ポート184とを、備えている。
ロックアップコントロールバルブ106は、ロックアップクラッチ26を半係合状態とするスリップ位置(SLIP位置)、または完全係合状態とする完全係合位置(ON位置)の何れか切替えるためのスプール弁子190と、そのスプール弁子190にスリップ位置(SLIP位置)側へ向かう推力を付与するスプリング192と、そのスプール弁子190をスリップ側位置へ向かって付勢するためにトルクコンバータ14の係合側油室162内の油圧Ponを受け入れる油室194と、そのスプール弁子190を完全係合位置(ON位置)へ向かって付勢するためにトルクコンバータ14の開放側油室166内の油圧Poffを受け入れる油室196と、スプール弁子190を完全係合位置へ向かって付勢するために制御圧PSLUを受け入れる油室198と、セカンダリ圧Psecが入力される入力ポート200と、ロックアップリレーバルブ104の迂回ポート180と連通される制御ポート202とを、備えている。
このように構成されたロックアップリレーバルブ104およびロックアップコントロールバルブ106により、係合側油室140および解放側油室144への作動油圧の供給状態が切り換えられてロックアップクラッチ26の作動状態が切り換えられる。より具体的には、電子制御装置50は、例えば図4に示すように、スロットル弁開度θTHおよび車速Vを変数として解放(ロックアップオフ)領域、スリップ制御領域、係合(ロックアップオン)領域を有する予め記憶された関係(マップ、ロックアップ領域線図)から実際の車両状態例えばスロットル弁開度θTHおよび車速Vに基づいてロックアップクラッチ26の作動状態の切換えを制御するロックアップクラッチ制御手段を機能的に備えており、この関係に基づいてロックアップクラッチ26の作動状態が切り換えられる。
まず、ロックアップクラッチ26が解放状態を含むスリップ状態乃至ロックアップオン状態に切り換えられた場合を説明する。ロックアップリレーバルブ104において、第2切替バルブSL2の切替圧PSL2が油室176に供給されてスプール弁子170が係合位置(ON位置)へ移動させられ、入力ポート178に供給されたセカンダリ圧Psecが係合側ポート182から係合側油路160を通り係合側油室162へ供給される。この係合側油室162へ供給されるセカンダリ圧Psecが油圧Ponとなる。同時に、開放側油室166は、開放側油路164を通り開放側ポート184から迂回ポート180を経てロックアップコントロールバルブ106の制御ポート202に連通させられる。そして、開放側油室166の油圧Poffがロックアップコントロールバルブ106によって調整されるに従い、差圧ΔP(=Pon-Poff)が調整されて、ロックアップクラッチ26の作動状態がスリップ状態乃至ロックアップオンの範囲で切り替えられる。
具体的には、ロックアップリレーバルブ104のスプール弁子170が係合位置(ON位置)へ付勢されているときに、すなわちロックアップクラッチ26が係合側状態に切り換えられたときに、ロックアップコントロールバルブ106において、スプール弁子190を完全係合位置(ON位置)へ付勢させるための制御圧PSLUが油室198へ供給されずスプリング192の推力によってそのスプール弁子190がスリップ位置(SLIP位置)とされると、入力ポート200に供給されたセカンダリ圧Psecが制御ポート202から迂回ポート180を経て開放側ポート184から解放側油路142を通り開放側油室164へ供給される。これにより、油圧Ponと油圧Poffとが同圧とされることから差圧ΔPが零とされて、ロックアップリレーバルブ104が係合位置へ切り換えられた状態であっても、ロックアップクラッチ26がロックアップオフと同等の状態とされる。
また、ロックアップリレーバルブ104のスプール弁子170が係合位置(ON位置)へ付勢されているときに、ロックアップコントロールバルブ106において、スプール弁子190を完全係合位置(ON位置)へ付勢するための予め定められた制御圧PSLUが(ロックアップオン時)が油室198へ供給されてスプール弁子190が完全係合位置へ付勢されると、入力ポート200から制御ポート202への油路が遮断され、解放側油室166にはセカンダリ圧Psecが供給されないと共に、開放側油室166内の作動油が制御ポート202を経てドレーンポートEXから排出される。これにより、油圧Poffが零とされることから差圧ΔPが最大とされてロックアップクラッチ26がロックアップオンとされる。
また、ロックアップリレーバルブ104のスプール弁子170が係合位置(ON位置)へ付勢されているときに、ロックアップコントロールバルブ106において、スプール弁子190をスリップ位置(SLIP位置)と完全係合位置(ON位置)との間の状態へ位置させるための予め定められた制御圧PSLU が油室198へ供給されると、入力ポート200に供給されたセカンダリ圧Psecが制御ポート202を経て開放側油室166へ供給される状態と開放側油室166内の作動油が制御ポート202を経てドレーンポートEXから排出される状態とが、上記制御圧PSLUに基づいて調整される。つまり、油圧Poffは、ロックアップクラッチ26の回転速度差NSLP(Ne-Nt)が目標回転速度差NSLP となる差圧ΔPとされるように制御圧PSLU に基づいてロックアップコントロールバルブ106によって調圧される。
次に、ロックアップクラッチ26が開放状態に切り換えられた場合を説明する。ロックアップリレーバルブ104において、切替圧PSL2が油室176に供給されず、切替圧PSL1が油室174に供給されると、その切替圧PSL1およびスプリング172の付勢力によってスプール弁子170が開放位置(OFF位置)に移動させられ、入力ポート178に供給されたセカンダリ圧Psecが開放側ポート184からトルクコンバータ14の開放側油路164を通り、開放側油室166へ供給される。そして、係合側油室162を経てトルクコンバータ14の係合側油路160を通り係合側ポート182に排出された作動油が排出ポート204から潤滑回路206へ供給される。これにより、差圧ΔPが負とされてロックアップクラッチ26がロックアップオフとされる。
ここで、油圧制御回路100において、上述したようにリニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUは、ロックアップクラッチ26の差圧ΔPを制御すると共に、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1に供給される係合圧を制御するために使用される。具体的に説明すると、第1切替バルブSL1から切替圧PSL1が出力される一方、第2切替バルブSL2から切替圧PSL2が出力されない状態では、クラッチアプライコントロールバルブ102において、スプール弁子120がfail/ガレージ位置に移動させられる。なお、上記fail/ガレージ位置は、車両において何らかの故障が発生した場合、またはシフトレバー74を「N」ポジションから「D」、「R」、「L」ポジションのいずれかに切り替える際に実施されるガレージ制御時に切り替えられるものであり、この状態において、リニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUが第2入力ポート124から第1出力ポート126を経てマニュアルバルブ108の入力ポート150に供給される。そして、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1の一方にその制御圧PSLUが供給され、その制御圧PSLUに基づいて前進用クラッチC1または後進用ブレーキB1が滑らかに係合される。また、駆動側油圧アクチュエータ42cには従動側油圧アクチュエータ46cの油圧Pdが供給されることで、予め設定されている変速比γaに調整される。クラッチアプライコントロールバルブ102の出力ポート132から可変プーリ42の駆動側油圧アクチュエータ42への油路においてはオリフィス208が設けられている。そして前記変速比γaは、このオリフィスの径によって定まる駆動側油圧アクチュエータ42への油圧Pinと、前記従動側油圧アクチュエータ46dの油圧Pdとの推力比によって定まる。
このとき、ロックアップリレーバルブ104においては、第1切替バルブSL1の切替圧PSL1が油室174に供給されるに従い、スプール弁子170が開放位置(OFF位置)に切り替えられるため、ロックアップリレーバルブ104の迂回ポート180は遮断された状態となる。したがって、ロックアップリレーバルブ104とロックアップコントロールバルブ106とは、遮断された状態となり、リニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUが油室198に供給されてもロックアップクラッチ26には影響が生じない。上記より、第1切替バルブSL1から切替圧PSL1が出力された状態では、リニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUは、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1の係合圧となる。
一方、第1切替バルブSL1から切替圧PSL1が出力されない一方、第2切替バルブSL2から切替圧PSL2が出力される状態では、ロックアップリレーバルブ104において、スプール弁子170が係合位置(ON位置)側に位置させられる。この状態において、上述したように、ロックアップコントロールバルブ106の油室198にリニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUが供給されることで、スプール弁子190がSLIP位置乃至ON位置の範囲で制御され、ロックアップクラッチ26の係合状態(スリップ状態)が制御される。このとき、クラッチアプライコントロールバルブ102においては、切替圧PSL2が油室138に供給されることで、スプール弁子120がnormal位置に位置させられるため、リニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUが供給される第2入力ポート124が遮断された状態となる。上記より、第2切替バルブSL2から切替圧PSL2が出力された状態では、リニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUは、ロックアップクラッチ26の係合状態を制御するための制御圧として機能する。
図5は、電子制御装置50による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。すなわち、電子制御装置50が本発明の車両用無段変速機の制御装置に対応する。なお、図5に示す機能ブロック線図においては、フィードバック制御の開始やフィードバックゲインにおける追従性の制御などの制御作動に関する手段が主に記載されており、例えば伝動ベルト48の狭圧力を制御するベルト狭圧力制御手段等は省略されている。電子制御装置50は、ガレージ制御手段224、ニュートラル制御手段226、急停止判定手段228、制御開始手段208、変速比制御手段210、目標回転速度設定手段216、追従性制御手段218などを機能的に含んで構成されている。
なお、本実施例の以下の説明においては、すなわち、本実施例においては、無段変速機18の制御において制御指標として入力軸回転速度NINやその偏差が用いられている。しかしながら、入力軸回転速度NINは、ある出力軸回転速度NOUT(あるいは車速V)の値のもとで、無段変速機18の変速比γと一対一に対応する値であるので、入力軸回転速度NINやその偏差に代えて変速比γやその偏差を用いて同様の制御を行なうことが可能である。
このうち、ガレージ制御手段224は、いわゆるガレージ制御(ガレージシフト)を行なうものである。具体的には、前進クラッチC1あるいは後進用ブレーキB1の係合過程において、前記クラッチアプライコントロールバルブ102のスプール弁子120をfail/ガレージ側に位置させるような油圧制御を油圧制御回路100に行なわせることにより、リニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUを前進用クラッチC1の係合油圧とする。そして、リニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUがリニアに変化させられることにより、前進クラッチC1あるいは後進用ブレーキB1の係合が滑らかに行なわれる。ガレージ制御手段224がガレージ制御を行なっているか否か、あるいはガレージ制御が完了したか否かについての情報は、後述する制御開始手段208に供給されるようになっている。
ニュートラル制御手段226は、いわゆるニュートラル制御を行なうものである。具体的には例えば、車両の停止しており、ブレーキ操作信号により常用ブレーキが作動させられているなどの所定の条件が満たされる場合において、シフトレバー74のレバーポジションPSHが「D」ポジションである場合には、前進クラッチC1を半係合状態もしくは解放状態とする制御を行なう。また、前記所定の条件が満たされる場合において、シフトレバー74のレバーポジションPSHが「R」ポジションである場合には、後進用ブレーキB1を半係合状態もしくは解放状態とする制御を行なう。ニュートラル制御手段226がニュートラル制御を行なっているか否かについての情報は、後述する制御開始手段208に供給されるようになっている。本実施例において、ニュートラル制御手段226によるニュートラル制御が終了するとは、ニュートラル制御により半係合状態もしくは解放状態とされていた前進クラッチC1もしくは後進用ブレーキB1が係合状態まで復帰させられる、いわゆるニュートラル制御からの復帰制御が終了することを含む。
急停止判定手段228は、ベルト式無段変速機18において、伝動ベルト48が所定位置に戻らない程の車両の停止が行なわれたか否かの判定を行なう。ベルト式無段変速機18においては、車両が減速し、停止する場合には、一般に車速の減少に伴って変速比γが低くなるように可変プーリ42および46のV溝幅が変化させられ、それら可変プーリ42および46に伝動ベルト48が巻き掛けられた状態となる。そして車両の停止時においては、次に行なわれる発進に備え、所定の発進のための変速比、例えば最も低い変速比となるようにされる。しかしながら、車両が急停止する場合においては、変速比の変化が間に合わず、急停止後の発進の際に、前記発進のための変速比となっていない可能性がある。かかる場合が本発明の所定位置に戻らない程の停止に該当する。すなわち、本発明におけるベルトの所定位置とは、発進のための変速比を実現する伝動ベルト48の位置に対応する。急停止判定手段228は、車両の停止した場合において、例えば油圧制御回路100におけるプライマリシーブ42cへの指示圧などに基づいて無段変速機18の変速比γを検出し、前記発進のための変速比となっているか否かに基づいて、ベルトが所定位置に戻らない程の急停止が行なわれたか否かの判定を行なう。具体的には、車両が停止した場合に、前記発進のための変速比となっていない場合には、ベルトが所定位置に戻らない程の急停止が行なわれたとの判定を行なう。
制御開始手段208は、所定の条件が満たされた場合に後述する変速比制御手段210による無段変速機18の変速比γのフィードバック制御を開始させる。本実施例においては、前記所定の条件とは、ガレージ制御手段224によるガレージ制御の実行が完了したこと、ニュートラル制御手段226によるニュートラル制御が終了したこと、あるいは急停止判定手段228により伝動ベルト48が所定位置に戻らない状態にあると判定された場合において車両が発進すること、の少なくともいずれかが成立することに対応している。これらの場合は、いずれも制御開始手段208によって無段変速機18の変速比γのフィードバック制御を開始しようとする場合に、本発明の変速比制御手段210によらないで無段変速比18の入力回転速度NINのフィードバック制御を行なった場合には急変速が発生する程度に、目標変速比であるγtgtに対応する目標入力回転速度NIN_tgtと実際の変速比γに対応する入力回転速度NINとの偏差ΔNINの大きさが開いている場合に対応する。
このように、ガレージ制御手段224によるガレージ制御の実行が完了したこと、ニュートラル制御手段226によるニュートラル制御が終了したこと、あるいは急停止判定手段228により伝動ベルト48が所定位置に戻らない状態にあると判定された場合において車両が発進すること、の少なくともいずれかが成立した場合に、言いかえれば、トルクコンバータ14のタービン回転速度Nと無段変速機18の入力軸回転速度NINとが同じとみなすことができる場合に変速比制御手段210によるフィードバック制御が制御開始手段208によって開始される。そのため、無段変速機18の入力軸回転速度NINに代えてタービン回転速度センサ54によって検出されるタービン回転速度Nを用いることができる。また、ガレージ制御手段224によるガレージ制御や、ニュートラル制御手段226によるニュートラル制御からの復帰においては、無段変速機18の変速比の制御は、前進クラッチC1の係合が例えば予め定められた制御指令値の時間変化などに基づいて制御が行なわれるフィードフォワード制御により行なわれることができるので、かかる制御においては無段変速機18の入力軸回転速度NINを知る必要がない。従って、無段変速機18の入力軸回転速度NINを検出するための入力回転速度センサ52の設置を省くことができる。
目標回転速度設定手段216は、例えばアクセル開度Accなどに基づいて決定される車両の要求駆動力および車速などに基づいて、無段変速機18の変速比γ、あるいは入力軸回転速度NINの目標値である、目標変速比γtgtあるいは目標入力回転速度NIN_tgtの値を設定する。目標回転速度設定手段216は、例えば図6に示す自動変速マップから運転者の出力要求量を表すアクセル操作量θACC および車速V(出力軸回転速度NOUTに対応)に基づいて入力側の目標回転速度NIN_tgtを算出する。図6のマップは変速条件に相当するもので、車速Vが低くアクセル操作量Accが大きい程大きな変速比γになる目標回転速度NIN_tgtが設定されるようになっている。また、車速Vは出力軸回転速度NOUTに対応するため、入力軸回転速度NINの目標値である目標回転速度NIN_tgtは目標変速比γtgtに対応し、無段変速機18の最小変速比γminと最大変速比γmaxの範囲内で定められている。上記自動変速マップは、電子制御装置50の図示しない記憶装置などに予め記憶されている。目標回転速度設定手段216は、無段変速機18の変速比γを車両の運転状態すなわち車速Vやアクセル操作量(開度)Accなどに応じて自動的に連続的に変化させる。
変速比制御手段210は、無段変速機18の変速比γのフィードバック制御を行なうものであって、制御開始手段208において開始させられる。変速比制御手段210は、無段変速機18の入力軸回転速度NINと後述する目標回転速度設定手段216によって設定される目標入力回転速度NIN_tgtとの偏差ΔNINを算出する偏差算出手段212と、その偏差算出手段212によって算出された偏差や、後述する追従性制御手段218によって制御されるフィードバックゲインなどに基づいて無段変速機18の変速比を変更するための油圧を設定する変速油圧設定手段214とを機能的に含んでいる。
このうち、偏差算出手段212は、変速比制御手段210は、無段変速機18の入力軸回転速度NINと目標回転速度設定手段216によって設定される目標入力回転速度NIN_tgtとの偏差ΔNINを算出する。なお、入力軸回転速度NINは、例えばトルクコンバータ14のタービン回転速度センサ54によって検出されるタービン回転速度Nが用いられればよい。
変速油圧設定手段214は、前記偏差算出手段212によって算出された偏差や、後述する追従性制御手段218によって制御されるフィードバックゲインなどに基づいて無段変速機18の変速比を変更するための油圧を設定するとともに、その油圧を出力させるための制御を行なう。具体的には油圧制御回路100の電磁開閉弁などをフィードバック制御して、入力側可変プーリ42の油圧シリンダに対する作動油の供給、排出を制御する。変速油圧設定手段214によるフィードバック制御は、前記偏差算出手段212によって算出された偏差を0とする、すなわち、実際の入力軸回転速度NINが目標入力回転速度NIN_tgtに追従するためのフィードバック制御を、後述する追従性制御手段218によって制御されるフィードバックゲインを用いて行なう。
前述のように、変速比制御手段210によるフィードバック制御は、ガレージ制御手段224によるガレージ制御の実行が完了したこと、ニュートラル制御手段226によるニュートラル制御が終了したこと、あるいは急停止判定手段228により伝動ベルト48が所定位置に戻らない状態にあると判定された場合において車両が発進すること、の少なくともいずれかが成立した場合に制御開始手段208によって開始される。このとき、ガレージ制御手段224によるガレージ制御や、ニュートラル制御手段226によるニュートラル制御からの復帰がフィードフォワード制御により行なわれる場合には、それらガレージ制御やニュートラル制御からの復帰制御が終了する際の無段変速機18の変速比がなりゆきで決定される。そのため、変速比制御手段210によるフィードバック制御の開始時に変速比の偏差が大きくなり、かかる大きい偏差に基づいてフィードバック制御が行なわれると、フィードバック制御の開始に伴って急変速が行なわれる場合がある。一方、フィードフォワード制御によって行なわれるガレージ制御手段224によるガレージ制御の実行完了時や、ニュートラル制御手段226によるニュートラル制御からの復帰制御の終了時において、前記偏差ΔNINの値が急変速が生じないほど大きくならないように、ガレージ制御手段224によるガレージ制御の実行完了時や、ニュートラル制御手段226によるニュートラル制御からの復帰制御の終了時における入力回転速度NINの値が一定の範囲となるように無段変速機18を含むの動力伝達装置10を設計することも考えられる。しかしながら、かかる方法の実現のためには要求される部品の精度などが厳しいものとなり、部品コストが増大するという問題が生ずる。
そこで本発明の無段変速機の制御装置においては、追従性制御手段218を設け、変速比制御手段210によるフィードバック制御の追従性を制御することにより、急変速の発生を低減する。
追従性制御手段218は、前記変速比制御手段210の変速油圧設定手段214におけるフィードバック制御の追従性を制御する。この追従性制御手段218は、追従性が低くなるように変化させる追従性低下手段222と、その追従性低下手段222により低下させられた追従性を復帰させる追従性復帰手段220とを機能的に含んで構成されている。
このうち、追従性低下手段222は、変速油圧設定手段214によるフィードバック制御が開始された際に、前記偏差算出手段212によって算出される実際の入力軸回転速度NINと目標入力回転速度NIN_tgtとの偏差ΔNINの値が予め定められた所定の追従性低下判定値NIN_th1を上回る場合には、偏差ΔNINの値が追従性低下判定値NIN_th1を上回らない場合に比べて変速比制御手段210の変速油圧設定手段214におけるフィードバック制御の追従性を低くする。具体的には例えば、追従性制御手段218は変速比制御手段210の変速油圧設定手段214に対して、そのフィードバック制御においてゲインとして用いられる値として2つの値K1、およびそのK1よりも大きいK2を有しており、追従性低下手段222は、変速油圧設定手段214に対して、そのフィードバック制御において前記K2に代えてそれよりも小さい値であるK1をフィードバックゲインとして用いるように制御を行なう。このようにすれば、追従性低下手段222による制御の追従性が低下することとなる。
追従性復帰手段220は、変速油圧設定手段214によるフィードバック制御の実行中において前記偏差ΔNINの値が予め定められた所定の追従性復帰判定値NIN_th2を下回る場合に、偏差ΔNINの値が追従性復帰判定値NIN_th2を上回る場合において低下させられていた変速油圧設定手段214におけるフィードバック制御の追従性を低下させられる前の追従性に復帰させる。具体的には例えば、追従性制御手段218は変速比制御手段210の変速油圧設定手段214に対して、そのフィードバック制御においてゲインとして用いられる値として2つの値K1、およびそのK1よりも大きいK2を有している場合に、追従性復帰手段220は、変速油圧設定手段214に対して、そのフィードバック制御において前記K1に代えてそれよりも大きい値であるK2をフィードバックゲインとして用いるように制御を行なう。このようにすれば、追従性低下手段222による制御の追従性が低下させられていた場合に、その追従性を低下させられる前の状態に復帰させることとなる。
図7は、本発明の無段変速機の制御装置の一実施例における制御作動の概要を説明するフローチャートである。このフローチャートは例えば数msなどの所定の間隔で繰り返し実行される。まず変速比制御手段210に対応するステップ(以下「ステップ」を省略する。)S1においては、無段変速機18の変速比γ(入力軸回転速度NIN)の制御において、入力軸回転速度の偏差ΔNINに基づいたフィードバック制御が行なわれているか否かが判断されている。変速比γのフィードバック制御が行なわれていない場合には、フィードバック制御の開始に伴う急変速の発生の可能性があるとして、本ステップの判断が肯定されてS2以降が実行させられる。既に変速比γのフィードバック制御が行なわれている場合には、本ステップの判断が否定され、本フローチャートが一旦終了させられる。
制御開始手段208に対応するS2においては、変速比γのフィードバック制御が開始されたか否かが判断される。具体的には例えばガレージ制御の実行が完了したこと、ニュートラル制御手段226によるニュートラル制御が終了したこと、あるいは急停止判定手段206により伝動ベルト48が所定位置に戻らない状態にあると判定された場合において車両が発進すること、の少なくともいずれかが成立した場合に、フィードバック制御が開始されるとして本ステップの判断が肯定される。本ステップの判断が肯定された場合には、フィードバック制御の開始に伴う急変速の発生の可能性があるとして、S3以降が実行させられる。本ステップの判断が否定された場合には、本S2が繰り返し実行され、フィードバック制御が開始されるまで待機が行なわれる。
S3は、変速比制御手段210の偏差算出手段212および追従性制御手段218の追従性低下手段222などに対応する。このS3においては、車両の運転状態に対応して設定される目標入力回転速度NIN_tgtと実際の入力軸回転速度NINとの偏差ΔNINの値が予め定められた所定の追従性低下判定値(閾値)NIN_th1を上回るか否かが判断される。偏差ΔNINの値が追従性低下判定値(閾値)NIN_th1を上回る場合には、本ステップの判断が肯定され、フィードバック制御の追従性を低下させるためにS4が実行される。偏差ΔNINの値が追従性低下判定値(閾値)NIN_th1を上回らない場合には、本ステップの判断が否定され、フィードバック制御の追従性を低下させる必要がないとしてS6が実行される。なお実際の入力軸回転速度NINは、タービン回転速度センサ54によって検出されるタービン回転速度Nが用いられることができる。
追従性制御手段218の追従性低下手段222や変速比制御手段210の変速油圧設定手段214などに対応するS4においては、フィードバック制御におけるフィードバックゲインの値を下げることにより、フィードバック制御における追従性の低下が行なわれる。これにより、偏差ΔNINの値が大きい場合でもゲインの値が小さくされたことにより制御量が小さくなるので、急変速が低減される。具体的には、予め2つのゲインであるK1、およびそのK1よりも大きいK2が選択可能に用意してあり、本ステップS4においてフィードバック制御の追従性の低下を行なう場合において前記K2に代えてそれよりも小さい値であるK1がフィードバックゲインとして用いられるようにすることで、フィードバックゲインの値を低下が行なわれる。
S5は、変速比制御手段210の偏差算出手段212および追従性制御手段218の追従性復帰手段220などに対応する。このS5においては、偏差ΔNINの値が予め定められた所定の追従性復帰判定値(閾値)NIN_th2を下回るか否かが判断される。偏差ΔNINの値が追従性復帰判定値(閾値)NIN_th2を下回る場合には、本ステップの判断が肯定され、フィードバック制御の追従性を復帰させるためにS6が実行される。偏差ΔNINの値が追従性復帰判定値(閾値)NIN_th2を下回らない場合には、本ステップの判断が否定され、S5の判断が肯定されるまでS5が繰り返し実行される。これは、S5の判断が否定される場合は、フィードバック制御の追従性を復帰する程度に偏差ΔNINが小さくなっていない、すなわち未だ急変速の可能性がある場合であり、S4で応答性が低下させられたフィードバック制御が引き続き実行されることに対応する。
追従性制御手段218の追従性復帰手段220や変速比制御手段210の変速油圧設定手段214などに対応するS6においては、フィードバック制御におけるフィードバックゲインの値をS4において低下させられることがない場合に対応する値に設定する。すなわち、フィードバック制御における追従性の復帰が行なわれる。これにより、フィードバック制御の追従性がS4で低下させられていた場合よりも速くなるので、制御の応答性が改善する。具体的には、予め2つのゲインであるK1、およびそのK1よりも大きいK2が用意してあり、ステップS4においてK1とされていたフィードバックゲインが、K1に代えてそれよりも大きい値であるK2に変更されることで、低下させられていたフィードバックゲインの値の復帰が行なわれる。
図8は、本発明の無段変速機の制御装置の本実施例における一実施例を表わすタイムチャートであり、クラッチアプライコントロールバルブ102を制御する信号圧S1、無段変速機18の変速比γおよびその目標値γtgt、プライマリシーブ42へ供給される油圧に対応する油圧Pinfb、エンジン回転速度Ne、タービン回転速度Nt、および無段変速機18の入力軸回転速度Ninの時間変化を表わした図である。図8の例においては、アクセルペダルが踏み込まれない状態、すなわちエンジン回転速度が変化しない状態でガレージ制御が行なわれ、そのガレージ制御の実行完了後フィードバック制御が実行される様子を示している。時刻t1までの間において、ガレージ制御手段224によるガレージ制御が実行されている。ガレージ制御の実行中は、クラッチアプライコントロールバルブ102の作動を制御するための信号圧S1はfail/ガレージ側にある。変速比γは、無段変速機18のプライマリーシーブ42に従動側油圧アクチュエータ46cの油圧Pdが供給されることによって変化させられる。そのため、油圧Pinfbは変化していない。一方、タービン回転速度は前進クラッチC1の係合に伴って低下させられ、前進クラッチC1が完全に係合されガレージ制御の実行が完了された場合に無段変速機18の入力軸回転速度NINに一致させられる。
時刻t1においてガレージ制御手段224によるガレージ制御の実行が完了され、制御開始手段208によって変速比制御手段210によるフィードバック制御の開始が判断されると、時刻t2からそのフィードバック制御が実行される。すなわち、時刻t2以降においては、車両の運転状態に応じて目標回転速度設定手段216により定められる目標入力回転速度NIN_tgtに対応する目標変速比γtgtと実際の入力軸回転速度NINに対応する変速比γとの偏差Δγを小さくするようにフィードバック制御が行なわれる。また、変速比γの制御は、油圧Pinfbが変化させられることにより実行されている。ここで、油圧Pinfbは、フィードバックゲインに偏差Δγを乗じたものである。なお、図8の時刻t2以降において、実線は本発明の無段変速機の制御装置が適用された場合の例を示している。また、破線は、本発明の無段変速機の制御装置が適用されず、予め定められた1のフィードバックゲインが用いられる場合の例を示している。この1のフィードバックゲインは、例えば本発明の実施例における追従制御手段218が有する2つのフィードバックゲインK1およびK2のうち、大きい方のゲインK2に対応するものであって、本実施例の追従性低下手段222によって選択されるフィードバックゲインK1よりも大きいものである。
図8において、時刻t2においては、偏差ΔNINが追従性低下判定値NIN_th1を上回っているとして、追従性低下手段222によるフィードバック制御の追従性の低下が行なわれている。具体的には、フィードバック制御におけるゲインの値としてゲインK1が用いられている。このゲインK1は、追従性低下手段222による追従性の低下が行なわれない場合のゲインであるK2よりも小さい値である。
図8において破線で表わされた本発明の無段変速機の制御装置が適用されない場合と、実線で表わされた本発明の無段変速機の制御装置が適用される場合とを比較すると、本発明の無段変速機の制御装置が適用されない場合は、フィードバックゲインの値が大きいので、偏差Δγは早く収束する。逆に言えば急変速が生じている。一方、本発明の無段変速機の制御装置が適用される場合は、偏差Δγが収束するまでに要する時間は本発明の無段変速機の制御装置が適用されない場合に比べて長く要するが、急変速が発生していない。
このように、フィードバックゲインK1は、例えばフィードバック制御の際に許容される変速の速度、すなわち変速が急変速に該当しないように、また、変速に要する時間が長くなりすぎないように変速が実行されるように予めシミュレーションや実験などによって定められればよい。
また、時刻t3においては、偏差ΔNINが追従性復帰判定値NIN_th2を上回っているとして、追従性復帰手段220によるフィードバック制御の追従性の復帰が行なわれている。すなわちそれまでK1とされていたフィードバックゲインがK2とされる。
前述の実施例によれば、目標変速比γtgtに対応する目標入力回転速度NIN_tgtと実変速比γに対応する入力軸回転速度NINとの偏差ΔNINと、フィードバックゲインとに基づいて該偏差ΔNINが解消されるようにフィードバック制御を行なう変速比制御手段210と、所定の開始条件が満たされた時に前記フィードバック制御を開始させる制御開始手段208とを有する無段変速機の制御装置50において、制御開始手段208によりフィードバックが開始された際に、偏差ΔNINが所定の追従性低下判定値NIN_th1を上回る場合には、追従性制御手段218の追従性低下手段222により偏差ΔNINがその追従性低下判定値NIN_th1を上回らない場合よりもフィードバック制御の追従性が低くされるので、偏差ΔNINが大きいときにおいて急変速の実行が低減される。また、急変速が低減される結果、前記Pinfbのように変速の実行に関連する油圧を不要に高くすることが抑制されるので、燃費の向上に寄与することができる。
また、前述の実施例によれば、追従性制御手段218はフィードバックゲインKを小さく、すなわちより小さいK1とすることにより追従性を低くするので、急変速の実行を好適に低減することができる。
また、前述の実施例によれば、制御開始手段208における所定の開始条件はガレージシフトの実施完了後であることであり、ガレージ制御手段224によるガレージシフトが完了したことに基づいてフィードバック制御が実行されるので、無段変速機18の入力軸回転速度センサ等が不要となる。また、無段変速機18を含む動力伝達装置10における部品の精度を緩和することができる。
また、前述の実施例によれば、制御開始手段208における所定の開始条件はニュートラル制御からの復帰後であることであり、ニュートラル制御手段226によるニュートラル制御が終了したことに基づいてフィードバック制御が実行されるので、無段変速機18の入力軸回転速度センサ等が不要となる。また、無段変速機18を含む動力伝達装置10における部品の精度を緩和することができる。
また、前述の実施例によれば、制御開始手段208における所定の開始条件は車両の停止後において無段変速機における伝動ベルトが所定位置に戻っていないことであり、車両が急停止した後に前記フィードバック制御が実行されるので、無段変速機18の入力軸回転速度センサ等が不要となる。また、無段変速機18を含む動力伝達装置10における部品の精度を緩和することができる。また、急停止後伝動ベルト48が所定位置に戻っていない場合であっても、急変速の実行を好適に低減することができる。
また、前述の実施例によれば、追従性制御手段218の追従性復帰手段220は、偏差ΔNINが所定の追従性復帰判定値NIN_th2を下回る場合に、フィードバックの追従性を復帰させる、すなわちK1とされていたフィードバックゲインをそのK1よりも大きいK2にするので、偏差ΔNINが追従性復帰判定値NIN_th2を下回り、急変速のおそれが低い走行状態となった場合に追従性(応答性)を向上させることができる。逆に言えば、急変速のおそれがある走行状態においてのみ、急変速を低減するように追従性が低くされるので、変速への追従性と急変速の低減が両立される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例においては、追従性制御手段218は、フィードバック制御においてゲインとして用いられる値として2つの値K1、およびそのK1よりも大きいK2を有しており、追従性低下手段222は、K2よりも小さい値であるK1をフィードバックゲインとして用いるように制御し、追従性復帰手段220はK1よりも大きい値であるK2をフィードバックゲインとして用いるように制御したが、かかる態様に限られない。例えば図9の直線R1もしくは曲線R2でに示されるような偏差ΔNINに対するゲインKの関係を予め有しておき、追従性制御手段218の追従性低下手段222は、フィードバック制御におけるゲインの値を、制御開始手段208がフィードバック制御の開始を判断した時点における偏差ΔNINに応じて決定してもよい。また、追従性制御手段218の追従性低下手段222は、フィードバック制御におけるゲインの値を、偏差ΔNINに応じて前記関係に基づいて所定の時間間隔ごとに決定するようにしてもよい。
また、前述の実施例においては、追従性制御手段218の追従性低下手段222が追従性の低下を行なう指標である追従性低下判定値NIN_th1と追従性制御手段218の追従性復帰手段220が追従性の復帰を行なう指標である追従性復帰判定値NIN_th2とは別個に定められたが、両者が同じ値であることを妨げるものではない。
また、前述の実施例においては、無段変速機18の入力軸回転速度NINとしてトルクコンバータ14のタービン回転速度センサ54によって検出されるタービン回転速度Nを用いる例を示したが、入力軸回転速度NINを検出する入力軸回転速度センサが設けられる場合において、かかる入力軸回転速度センサによって検出される入力軸回転速度NINを用いることを妨げるものではない。
また、前述の実施例においては、ニュートラル制御手段226によるニュートラル制御やガレージ制御手段224によるガレージ制御は前進クラッチC1を用いたものが説明されたが、後進用ブレーキB1を用いても同様に実現可能である。また、前進用クラッチC1に代えて別に設けられる発進クラッチを用いたニュートラル制御やガレージ制御が行なわれることもできる。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
18:無段変速機
36:入力軸
42、46:プーリ
44:出力軸
48:伝動ベルト
50:車両用無段変速機の制御装置
208:制御開始手段(S2)
210:変速比制御手段(S3・S5)
218:追従性制御手段(S4)
224:ガレージ制御手段(S2)
226:ニュートラル制御手段(S2)
228:急停止判定手段(S2)
γtgt:目標変速比
γ:変速比
Δγ:変速比の偏差
K、K1、K2:フィードバックゲイン
IN_th1:判定値(追従性低下判定値)
IN_th2:終了判定値(追従性復帰判定値)

Claims (6)

  1. 目標変速比と実変速比との偏差とフィードバックゲインとに基づいて該偏差が解消されるようにフィードバック制御を行なう変速比制御手段と、
    所定の開始条件が満たされた場合に前記フィードバック制御を開始させる制御開始手段とを有する車両用無段変速機の制御装置において、
    前記制御開始手段によりフィードバックが開始された際に、前記偏差が所定の判定値を上回る場合には、前記偏差が該判定値を上回らない場合よりも前記フィードバック制御の追従性を低くする追従性制御手段をさらに有すること、
    を特徴とする車両用無段変速機の制御装置。
  2. 前記追従性制御手段は、前記フィードバックゲインを小さくすることにより追従性を低くするものである
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用無段変速機の制御装置。
  3. 前記所定の開始条件は、ガレージシフトの実施完了後である、請求項1または2に記載の車両用無段変速機の制御装置。
  4. 前記所定の開始条件は、ニュートラル制御からの復帰後である、請求項1または2に記載の車両用無段変速機の制御装置。
  5. 前記無段変速機は、溝幅が可変な一対のプーリとその一対のプーリに巻き掛けられた伝動ベルトによって入力軸および出力軸の間の動力伝達が行なわれるベルト式無段変速機であり、
    前記所定の開始条件は、車両の停止後において、無段変速機における伝動ベルトが所定位置に戻っていないことである
    請求項1または2に記載の車両用無段変速機の制御装置。
  6. 前記追従性制御手段は、前記偏差が所定の終了判定値を下回る場合に、前記フィードバックの追従性を復帰させること
    を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の車両用無段変速機の制御装置。
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