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JP2011190299A - 活性エネルギー線硬化性化合物 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】少量の配合で効果的に耐候性を向上させ、かつ耐磨耗性や各種部材との密着性を損なうことのない硬化塗膜を形成し得る活性エネルギー線硬化性化合物を提供する。
【解決手段】ピペリジニル基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a1)と、フッ素原子含有官能基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a2)と、水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a3)と、(メタ)アクリロイル基を有するその他のアクリル系モノマー(a4)とを共重合してなる、水酸基を有するアクリル系プレポリマーと、イソシアネート基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a5)との反応生成物による活性エネルギー線硬化性化合物。
【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化性化合物に関する。詳しくは、各種基材との密着性に優れ、耐候性及び耐磨耗性に優れる硬化層を形成し得る活性エネルギー線硬化性組成物に好適に使用される活性エネルギー線硬化性化合物に関する。
太陽光線に含まれる紫外線が、塗膜に含まれる化合物の化学結合を切断して劣化させることはよく知られており、特に屋外のような太陽光線の照射量が多いところで使用される塗膜には高度な耐候性が求められる。
従来より、塗料に耐候性を有する添加剤(以下、耐候性添加剤という)を加え、塗膜に求められる耐候性を付与することがなされている。耐候性を有する添加剤としては、たとえば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系に代表される紫外線吸収剤、ピペリジン系、ヒンダードフェノール等の酸化防止剤、リン、イオウ原子を有する過酸化物分解剤などが挙げられる。
例えば、特許文献1には、特定の元素を含有する触媒を用い、カルボキシル基とエポキシ基とを反応させて、重合性二重結合を複数有する重合体(A1)を得、該重合体(A1)と重合性単量体(A2)とを含有する感光性樹脂組成物から耐候性に優れる塗膜を形成し得る旨開示されている。そして、耐候性付与向上剤の利用も開示されている。
しかし、これらの耐候性添加剤は低分子量であり、長時間の紫外線暴露によりブリードアウトしてしまい、本来の機能を十分に発揮できない。活性エネルギー線硬化を使用する塗料では、耐候性添加剤に重合性基を付与し、硬化系に組込む工夫がなされたものもあるが、単官能のものが多く、硬化系に十分に組込まれない懸念がある。
一方で、耐候性骨格を組込んだ高分子化合物が各種市販されているが、重合性基を有していないため、硬度や耐薬品性を落とすなど、別の問題が発生してしまう。
以上の問題を解決するために、耐候性を有する骨格と重合性基の両方を組込んだ高分子化合物が提案されている(特許文献2)。
これにより硬度や耐薬品性などを落とすことなく耐候性を付与することが可能であるが、本発明者らの検討ではそれでも耐候性が不十分であり、耐候性をより最適な形で発揮させる工夫が必要である。
特開2000−159828号公報 特開2007−238823号公報
本発明者らは、上記問題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明に達した。即ち、
本発明は、ピペリジニル基と、フッ素原子を含有する官能基と、(メタ)アクリロイル基とを有する活性エネルギー線硬化性化合物(A)に関する。
前記本発明のる活性エネルギー線硬化性化合物(A)は、ピペリジニル基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a1)と、フッ素原子含有官能基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a2)と、水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a3)と、必要に応じて(メタ)アクリロイル基とを有するその他のアクリル系モノマー(a4)とを共重合してなる、水酸基を有するアクリル系プレポリマーと、
イソシアネート基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a5)との反応生成物であることが好ましい。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性化合物(A)は、数平均分子量が3000〜100000であることが好ましく、
フッ素原子含有官能基はパーフルオロアルキル基であることが好ましく、(メタ)アクリロイル基当量は250〜1600であることが好ましい。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化性化合物(A)において、プレポリマーは、アクリル系モノマー(a1)〜(a4)合計100重量%中、(a1):10〜80重量%、(a2):0.1〜20重量%、(a3):10〜80重量%、(a4):0〜10重量%の共重合体であることが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性化合物(A)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物は、各種部材との密着性に優れ、耐候性及び耐磨耗性に優れる硬化塗膜を形成し得る。
本発明の活性エネルギー線硬化性化合物(A)について説明する。
活性エネルギー線硬化性化合物(A)は、ピペリジニル基と、フッ素原子を含有する官能基と、(メタ)アクリロイル基とを有する。
前記活性エネルギー線硬化性化合物(A)は、例えば以下のようにして得ることができる。
即ち、ピペリジニル基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a1)と、フッ素原子含有官能基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a2)と、水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a3)と、必要に応じて(メタ)アクリロイル基とを有するその他のアクリル系モノマー(a4)とを共重合し、水酸基を有するアクリル系プレポリマーを得、イソシアネート基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a5)中のイソシアネート基を、前記水酸基を有するアクリル系プレポリマー中の水酸基と反応させて得ることができる。
<ピペリジニル基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a1)>
ピペリジニル基を有するアクリル系モノマー(a1)は、硬化塗膜に耐候性を付与する機能を担う。
硬化塗膜が紫外線に曝されると、化学結合が切断されラジカルが生成する。生成したラジカルは、硬化塗膜中の化学結合の切断を促進する。活性エネルギー線硬化性化合物(A)に導入されたピペリジニル基は、前記ラジカルと反応し前記ラジカルを不活性化させ、硬化塗膜中の化学結合の切断を抑制する機能を担う。
ピペリジニル基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a1)としては、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンなどが挙げられる。
なお、本発明において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基ないしメタクリロイル基の意であり、(メタ)アクリロイルオキシとは、アクリロイルオキシないしメタクリロイルオキシの意である。アクリル系モノマー(a2)〜(a5)や活性エネルギー線硬化性化合物(B)〜(C)の説明においても同様である。
<フッ素原子含有官能基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a2)>
フッ素原子含有官能基を有するアクリル系モノマー(a2)は、硬化塗膜に耐候性を付与する機能を担う。その理由としては以下の2つであると考えられる。
(1)C−H結合よりも結合が強い(=結合エネルギーが大きい)C−F結合を組込むことで結合が切断されにくくなる。
(2)塗膜が硬化する際、活性エネルギー線硬化性化合物(A)中のフッ素原子含有官能基は表面に配向し易い。そして、これら官能基が表面に配向する際、活性エネルギー線硬化性化合物(A)を構成する前記アクリル系モノマー(a1)由来のピペリジニル基も塗膜表面近傍に集中し易くなり、その結果、塗膜内部の劣化を防ぐ。
フッ素原子を有する官能基は、たとえば、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル基、ペンタフルオロフェニル基等のフッ素置換されたアルキル基、アリール基、アラルキル基、などが挙げられ、パーフルオロアルキル基が好ましい。
これら官能基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a2)としては、たとえば、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロヘキシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロオクチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、フッ素原子含有官能基を有するものが水酸基を有する場合には、後述する水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a3)には分類せずに、その他のアクリル系モノマー(a2)に分類することとする。
水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a3)は、後述するイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a5)との反応点として機能する水酸基を、プレポリマーに導入する機能を担う。
水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a3)としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(ヒドロキシ基二官能)、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシスチレン、ヒドロキノンモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、および、これらをエチレンオキシド変性(EO変性)、プロピレンオキシド変性(PO変性)、カプロラクトン変性(CL変性)等の単官能(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性化合物(A)を得る際には、前記のアクリル系モノマー(a1)〜(a3)以外に、(メタ)アクリロイル基を有するその他のアクリル系モノマー(a4)を用いることができる。
その他のアクリル系モノマー(a4)としては、上記記載の水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a3)と異なる化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、などが挙げられる。
本発明に用いられる、水酸基を有するアクリル系プレポリマーは次の手順により得られる。
すなわち、ピペリジニル基を有するアクリル系モノマー(a1)と、フッ素原子含有官能基を有するアクリル系モノマー(a2)と、水酸基を有するアクリル系モノマー(a3)と、必要に応じてその他のアクリル系モノマー(a4)とをラジカル共重合する。
前記アクリル系モノマー(a1)〜(a4)の合計100重量%中、ピペリジニル基を有するアクリル系モノマー(a1):10〜80重量%、フッ素原子含有官能基を有するアクリル系モノマー(a2):0.1〜20重量%、水酸基を有するアクリル系モノマー(a3):10〜80重量%、その他のアクリル系モノマー(a4):0〜10重量%であることが好ましく、(a1):20〜70重量%、(a2):1〜15重量%、(a3):20〜70重量%、その他のアクリル系モノマー(a4):0〜5重量%であることがさらに好ましい。
ピペリジニル基を有するアクリル系モノマー(a1)の共重合比が80重量%を超えると、相対的に水酸基を有するアクリル系モノマー(a3)の共重合比率が少なくなる。その結果、次工程でイソシアネート基を有するアクリル系モノマー(a5)と反応させるべき水酸基が少なくなり、得られる活性エネルギー線硬化性化合物(A)の(メタ)アクリロイル基当量が大きくなり、形成される硬化塗膜の耐磨耗性が低下する。一方、ピペリジニル基を有するアクリル系モノマー(a1)の共重合比が10重量%未満では、得られる活性エネルギー線硬化性化合物(A)中のピペリジニル基の量が少なくなり、活性エネルギー線硬化性組成物に大量に配合しないと、優れた耐候性を発現することができない。
フッ素原子含有官能基を有するアクリル系モノマー(a2)の共重合比が20重量%を超えるとフッ素原子の塗膜表面への配向が多くなり、硬化塗膜に撥水・撥油性、滑性、耐候性が付与される反面、硬化塗膜の表面硬度が低下してしまう。一方、フッ素原子含有官能基を有するアクリル系モノマー(a2)の共重合比が0.1重量%未満の場合、塗膜表面へのフッ素原子の配向が少なく、さらにピペリジニル基の塗膜表面への配向が少なく、優れた耐候性を発現する事ができない。
水酸基を有するアクリル系モノマー(a3)の共重合比が80重量%を超えると、逆にピペリジニル基を有するアクリル系モノマー(a1)の共重合比が少なくなり、耐候性の向上が期待できない。一方、水酸基を有するアクリル系モノマー(a3)の共重合比が10重量%未満だと、前記同様に活性エネルギー線硬化性化合物(A)の(メタ)アクリロイル基当量が大きくなり、形成される硬化塗膜の耐磨耗性が低下する。
ラジカル重合時に使用する重合開始剤は溶剤やモノマーに対する溶解性、重合温度、目的とする分子量等に合わせて適当なものを選んで使用できる。たとえば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、などのアゾ系開始剤、ポリジメチルシロキサンまたはポリエチレングリコール鎖を有するマクロアゾ開始剤、過酸化ジイソブチル、過酸化ジ−t−ブチル、過酸化ベンゾイル、2−エチルヘキサン酸t−ブチル、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−2−メチルシクロヘキサン等の過酸化物などが挙げられる。
重合開始剤は、プレポリマー重合時のモノマー100重量部[すなわち、ピペリジニル基を有するアクリル系モノマー(a1)と、フッ素原子含有官能基を有するアクリル系モノマー(a2)と、水酸基を有するアクリル系モノマー(a3)と、必要に応じてその他のアクリル系モノマー(a4)との合計100重量部]に対して、0.1〜10重量部であることが好ましい。
重合開始剤が0.1重量部未満であると、得られるプレポリマー及び活性エネルギー線硬化性化合物(A)の分子量が大きくなり、活性エネルギー線硬化性化合物(A)を含有する活性エネルギー線硬化性組成合物の粘度が高くなり過ぎるため、塗料として使用する際、塗工適性が低下するおそれがある。
また、重合開始剤が10重量部よりも多いと、得られるプレポリマーの分子量が小さくなってしまい、プレポリマー中に含まれる水酸基を有しない成分の割合が多くなる。その結果、そのようなプレポリマーと、後述するイソシアネート基を有するアクリル系モノマー(a5)とを反応させても反応生成物である活性エネルギー線硬化性化合物(A)中に含まれる(メタ)アクリロイル基を有しない成分の含有量が多くなり、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化性が悪化し、硬化塗膜の硬度等が低下してしまうため、好ましくない。同様の理由で、プレポリマーの数平均分子量は3,000〜100,000が好ましい。
ラジカル重合は無溶剤で行っても、溶剤中で行っても構わない。使用できる溶剤は、たとえば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸シクロヘキシル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ダイアセトンアルコール、等が挙げられる。
ラジカル重合時の温度は、溶剤の沸点や開始剤の組合せによって制限される場合もあるが、通常40〜150℃、好ましくは60〜100℃で行われる。
活性エネルギー線硬化性化合物(A)の形成に用いられる水酸基を有するプレポリマーの水酸基価は、30〜300(mgKOH/g)であることが好ましく、70〜270(mgKOH/g)であることがより好ましい。水酸基価が小さすぎると、次工程で導入できる(メタ)アクリロイル基が少なくなり、得られる活性エネルギー線硬化性化合物(A)の(メタ)アクリロイル基当量が大きくなり、形成される硬化塗膜の耐磨耗性が低下する。一方、水酸基価が大きすぎると、ピペリジニル基を有するアクリル系モノマー(a1)の共重合比が少なくなり、耐候性の向上が期待できない。
本発明の活性エネルギー線硬化性化合物(A)は、前記アクリル系モノマー(a1)〜(a4)から形成された水酸基を有するアクリル系プレポリマーと、イソシアネート基を有するアクリル系モノマー(a5)とを反応させることによって得られる。
イソシアネート基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a5)としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート等の単官能(メタ)アクリレート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等の多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
この際の反応条件は水酸基とイソシアネート基の組合せによって適した条件を選ぶ必要があるが、それぞれの持つ二重結合が反応しないよう、反応温度20〜110℃、好ましくは50〜100℃で行うことが望ましい。
さらに二重結合が反応しないよう、反応時に重合禁止剤を添加しておいてもよい。重合禁止剤としては、たとえば、ヒドロキノン(HQ)、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、t−ブチルカテコール(TBC)、4−メトキシ−1−ナフトール、等のフェノール、ナフトール誘導体、フェノチアジン誘導体、ニトロソアミン塩、などが挙げられる。また、反応系中に酸素または空気を吹き込むことでも同様の重合禁止効果が得られる。重合禁止剤が着色等の問題を引き起こす場合は、重合禁止剤は少量に抑え、酸素または空気を吹き込みながら反応を行う方が好ましい。
このようにして得られる本発明の活性エネルギー線硬化性化合物(A)は、アクリル系モノマー(a1)由来のピペリジニル基と、アクリル系モノマー(a2)由来のフッ素原子含有官能基と、アクリル系モノマー(a5)由来の(メタ)アクリロイル基を有する。活性エネルギー線硬化性化合物(A)の数平均分子量は3000〜100000であることが好ましく、5000〜50000であることがより好ましい。
プレポリマーを形成する際に用いる重合開始剤の量についての説明箇所で述べたように、多量の重合開始剤を用い、形成されるプレポリマーの数平均分子量が小さくなり過ぎると、プレポリマー中に含まれる水酸基を有しない成分の割合が多くなる。その結果、そのようなプレポリマーから形成された活性エネルギー線硬化性化合物(A)中に含まれる(メタ)アクリロイル基を有しない成分の含有量が多くなり、活性エネルギー線硬化性組成物としての硬化性が悪化し、硬化塗膜の硬度等が低下してしまうため、好ましくない。
一方、活性エネルギー線硬化性化合物(A)の数平均分子量が大きすぎると粘度が高くなり過ぎるため、塗料として使用する際、塗工適性が低下するおそれがある。
なお、アクリル系モノマー(a5)は活性エネルギー線硬化性化合物(A)の数平均分子量にはほとんど影響を及ぼさないので、活性エネルギー線硬化性化合物(A)の前駆体というべき、水酸基を有するプレポリマーの数平均分子量は前記したように3,000〜100,000であることが好ましい。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性化合物(A)は、ピペリジニル基の官能基当量が200〜7000であることが好ましく、300〜4000であることがより好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性化合物(A)は、フッ素原子含有官能基の官能基当量が3000〜20000であることが好ましく、3500〜17000であることがより好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性化合物(A)は、(メタ)アクリロイル基の官能基当量が250〜1600であることが好ましく、300〜1000であることがより好ましい。
なお、ここでいう官能基当量とは、各官能基1モルを含む活性エネルギー線硬化性化合物(A)の質量(g)を意味する。
本発明の活性エネルギー線硬化性化合物(A)と、他の活性エネルギー線硬化性化合物や光重合開始剤や有機溶剤等とを配合し、活性エネルギー線硬化性組成物を得ることができる。
他の活性エネルギー線硬化性化合物としては、ベンゾトリアゾール基と(メタ)アクリロイル基とを有する活性エネルギー線硬化性化合物(B)、前記(A)〜(B)以外の他の活性エネルギー線硬化性化合物(C)を挙げることができる。
ベンゾトリアゾール基と(メタ)アクリロイル基とを有する活性エネルギー線硬化性化合物(B)中のベンゾトリアゾール基は、紫外線のエネルギーを熱エネルギーに変換し、硬化塗膜中の化学結合の切断を抑制する機能を担う。
ベンゾトリアゾール基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(B)としては、2−(2‘−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2‘−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5‘−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−(メタ)アクリロイルオキシ−5‘−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−(メタ)アクリロイルオキシ−5‘−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−(メタ)アクリロイルオキシ−3‘,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
他の活性エネルギー線硬化性化合物(C)としては、(メタ)アクリロイル基を有する種々の化合物が用いられる。例えば、カプロラクトン由来の−(CH25−と(メタ)アクリロイル基とを有する活性エネルギー線硬化性化合物(C1)が挙げられる。カプロラクトン由来の−(CH25−と(メタ)アクリロイル基とを有する活性エネルギー線硬化性化合物(C1)は、下記一般式(1)にて示される構造を呈することが好ましい。
一般式(1)
Figure 2011190299
上記一般式(1)中、R1は、水素原子もしくはメチル基を示す。また、n+m+l+o+p+q=1〜12の整数であり、n+m+l+o+p+q=2〜12であることが好ましく、さらには6〜12であることが好ましい。n+m+l+o+p+qが1未満では、長期の耐候性試験により塗膜が剥がれ落ちやすくなってしまう。n+m+l+o+p+qが12を越えると、(メタ)アクリロイル基の量が増加し、形成される硬化塗膜の耐磨耗性が低下する傾向にある。
このようなカプロラクトン由来の−(CH25−を有する活性エネルギー線硬化性化合物(C1)としては、ジペンタエリスリトールとε−カプロラクトンとの付加物に(メタ)アクリル酸がさらに付加したレート化物が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物は、他の活性エネルギー線硬化性化合物(C)として、カプロラクトン由来の−(CH25−を有しない他の活性エネルギー線硬化性化合物(C2)をさらに含有することができる。
他の活性エネルギー線硬化性化合物(C2)としては、数平均分子量が500〜10000のオリゴマーが好ましく、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル化マレイン酸変性ポリブタジエン等の不飽和二重結合を有するオリゴマーが好ましく、ポリウレタン(メタ)アクリレートがより好ましい。
これらのオリゴマーは、一分子あたりの(メタ)アクリロイル基が平均で2〜15個であることが好ましく、さらには4〜12個であることが好ましい。(メタ)アクリロイル基が2未満であると塗膜の硬度は低下し、耐擦傷が低下してしまう。15個よりも多いと、塗膜の硬化収縮が大きくなり、それにつれ塗膜の歪みも大きくなる。こうした塗膜は耐候性試験時のクラック、剥離の発生につながり大きく外観を損なう。
活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化性化合物(A)〜(C)の合計100重量%中、(A):1〜50重量%、(B):1〜20重量%、(C):30〜95重量%であることが好ましく、(A):(B):(C)=2〜45:2〜15:40〜90(重量%)であることがより好ましい。
さらに活性エネルギー線硬化性化合物(A)〜(C)の合計100重量%中、(A):1〜50重量%、(B):1〜20重量%、(C1):5〜60重量%、(C2):20〜80重量%であることが好ましく、(A):(B):(C1):(C2)=2〜45:2〜15:10〜50:30〜70(重量%)であることがより好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物は、無機酸化物(D)をさらに含有することが塗膜の高硬度化、耐磨耗性向上の点から好ましい。無機酸化物(D)としては、SiO2が好ましい。
具体的には、MEK−ST、IPA−ST、PGM−ST(全て日産化学(株)製オルガノシリカゾル)といったアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒に10〜100nmレベルのコロイダルシリカを分散させたコロイド溶液があげられる。
活性エネルギー線硬化性組成物の硬化に紫外線、可視光を用いる場合は、活性エネルギー線硬化性組成物は、さらに光重合開始剤(光ラジカル発生剤)を含有する。
活性エネルギー線硬化組成物中の活性エネルギー線硬化性化合物(A)〜(C)の合計100重量部に対して、光重合開始剤は、0.1〜20部、好ましくは1〜10部添加する。
光重合開始剤(光ラジカル発生剤)としては、たとえば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル]チタニウム、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン−2−O−ベンゾイルオキシム、などが挙げられる。
一方、硬化の際に活性エネルギー線に電子線を用いる場合は、上記のような光重合開始剤(光ラジカル発生剤)の添加は必要ない。
活性エネルギー線硬化性組成物には、さらに添加剤として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、硬化剤、レベリング剤、消泡剤、染料、顔料、酸化防止剤、重合禁止剤、保湿剤、粘度調整剤、防腐剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤、赤外線吸収剤、電磁波シールド剤、帯電防止剤、等を加えることができる。
各種部材に活性エネルギー線硬化性組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して前記組成物を硬化させることで、各種部材表面に耐候性に優れる硬化層を具備させることができる。活性エネルギー線硬化性組成物が溶剤含有する場合には、活性エネルギー線の照射に先立ち、各種部材に活性エネルギー線硬化性組成物を塗布した後、溶剤を加熱乾燥することができる。
部材としては、ガラス、セラミック、ポリカーボネート、ポリエステル、ウレタン、アクリル、ポリアセテートセルロース、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、ステンレス等の各種金属、などが挙げられる。特に、ガラスやセラミックに比べて耐候性に劣る樹脂基材に使用することで、耐候性を付与することができ、用途によっては、ガラス基材にはない樹脂基材特有の軽さ、柔らかさなどを特徴生かすことができる。
形状としては、フィルムやシートや板のような平たい形状の他、高さ(厚み)のかなりある立体的な形状であってもよい。平たい形状の場合、活性エネルギー線硬化性組成物は片面又は両面に塗布することができる。また、立体的な部材の場合、部材の一部に塗布することもできるし、全表面に塗布することもできる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、部、%は特に断りのない限り重量基準である。また、下記実施例及び比較例に示す活性エネルギー線硬化性組成物の性能評価は以下に示す方法で行った。
製造例、実施例中にある略称、製品名は以下の通りである。
「LA87」;3−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−2−メチル−1−プロペン−3−オン((株)ADEKA社製 アデカスタブLAシリーズ)
「FAMAC−4」;2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート(ユニマテック(株)社製)
「FAMAC−8」;2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(ユニマテック(株)社製)
「MMA」;メチルメタクリレート
「4HBA」;4−ヒドロキシブチルアクリレート
「カレンズAOI」;(昭和電工(株)製、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート)
「RUVA93」;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学(株)社製)
「DPCA60」;ジペンタエリスリトールとε−カプロラクトンとの付加物の(メタ)アクリレート化物(一般式(1)におけるn+m+l+o+p+q=6)
「UA−1100H」;ウレタンオリゴマー(新中村化学(株)社製 Mn=764、官能基数=6)
「PGM−ST」;コロイダルシリカ(日産化学(株)社製)
「イルガキュア184」;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン(株)製)
「AIBN」;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)
「EHQ」;ヒドロキノンモノメチルエーテル(和光純薬製)
「DBTDL」;ジブチル錫ジラウリレート(和光純薬製)
(実施例1)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、ガス導入管を備えた反応容器に、シクロヘキサノン250部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら80℃で1時間攪拌した。滴下槽に(a1)としてLA87を100部、(a2)としてFAMAC−4を25部(a3)として4HBAを125部、AIBN7.5部、シクロヘキサノン80.9部を仕込み、滴下槽内を攪拌しながら2時間かけて反応槽に滴下した。滴下終了後、シクロヘキサノン34.7部で洗浄し、洗浄液を反応槽に入れた。さらに2時間反応させた後、AIBN2.5部をシクロヘキサノン22.5部に溶かした溶液を3等分し、30分おきに3回に分けて添加した。3回目添加の1時間後に冷却して取り出し、プレポリマーのシクロヘキサノン溶液を得た。固形分は39.56%であった。また、プレポリマーの水酸基価は185(mgKOH/g)であった。
上記のプレポリマーのシクロヘキサノン溶液137.6部、重合禁止剤としてMEHQ0.05部、触媒としてDBTDL0.17部、シクロヘキサノン39.6部を仕込み、ドライエアーを吹き込みながら60℃で1時間攪拌した。滴下槽に(a5)として、プレポリマー中の水酸基1モルに対してイソシアネート1モルに相当する量のカレンズAOIを入れ、1時間かけて反応滴下した。滴下終了後、3時間後にIR測定を行ったところ、イソシアネート基に由来するピークが消失していたので、冷却して取り出した。固形分は41.53%の活性エネルギー線硬化性化合物A1の溶液を得た。
活性エネルギー線硬化性化合物A1は、数平均分子量:11000、ピペリジニル基当量:842、(メタ)アクリルロイル基当量:430であった。
なお、数平均分子量MnはGPC(ゲル浸透クロマトグラフ)を使用し、ポリスチレン換算で求めた。
(製造例2〜4)、(比較製造例1〜3)
(a1)〜(a5)の種類や量を表1および表2に示すように変更した以外は製造例1と同様にして活性エネルギー線硬化性化合物A2〜A7の溶液を得た。
(実施例1)
製造例1で得た各活性エネルギー線硬化性化合物A1の溶液(固形分:10重量部を含む)と、RUVA93:10重量部、DPCA60:40重量部、UA1100H:40重量部、PGM−ST:7.5重量部、イルガキュア184:3重量部を混合し、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
市販ポリカーボネート板(タキロン(株)製)に前記の活性エネルギー線硬化性組成物をバーコーターにて塗工し、熱風乾燥オーブンにて120℃−3分間、乾燥し、その後速やかにUV照射装置にてピーク照度750mW/cm、積算光量1000mJ/cmの硬化条件にて硬化させ、膜厚約10μmの硬化物を得た。
硬化物について、後述する方法にて、耐磨耗性、耐候性、密着性(初期、耐候性試験後)を評価した。結果を表3に示す。
(実施例2〜6)、(比較例1〜7)
実施例1と同様にして表3〜4に示す処方に従って、活性エネルギー線硬化性組成物及び硬化物を得、同様にして評価した。
1)耐摩耗性
JIS K6404−22に準ずる。
具体的には、テーバー摩耗試験機(TABER社製)を用い、摩耗輪(CS−10F)2輪使用、500g荷重にて500回転試験後のヘイズ変化(ΔH)を、ヘイズメーター(日本電色社製 NDH2000)を使用して測定、3箇所の測定結果の平均値に関して5段階評価を行った。
5;ΔH=10%未満
4;ΔH=10%以上20%未満
3;ΔH=20%以上30%未満
2;ΔH=30%以上40%未満
1;ΔH=40%以上
2)耐候性
JIS K5600−7−7に準ずる。
スガ試験機社製スーパーキセノンウェザーメーター(ブラックパネル温度63℃、降雨12分/60分サイクル)にて試験を行い、試験後の塗膜外観(クラックの発生、自然剥離の発生)を目視で評価した。結果は試験時間と試験後の塗膜の状態に応じて以下のように5段階で評価した。
5;1000時間の曝露試験後、外観に大きな変化がない。
4;1000時間の曝露試験後、塗膜にクラックが発生(塗膜の剥離はなし)。
3;1000時間の曝露試験後、塗膜に自然剥離が発生。
2;500時間の曝露試験後、塗膜にクラックが発生(塗膜の剥離はなし)。
1;500時間の曝露試験後、塗膜に自然剥離が発生。
3)密着性(初期)
JIS K5600に準ずる。
具体的には、耐候試験前の各塗膜にカッターで碁盤目(100目)にキズを入れ、セロハンテープ(ニチバン社製24mm幅)を密着させた後、垂直方向にはがし、塗膜が剥離せずに残存した碁盤目の数で5段階評価した。
5;100残/100
4;80〜99残/100
3;50〜79残/100
2;30〜49残/100
1;0〜30残/100
4)密着性(耐候試験後)

耐候試験後の各塗膜にセロハンテープ(ニチバン社製24mm幅)を密着させた後、垂直方向にはがし塗膜剥離の有無を評価した。結果は塗膜剥離の生じた試験時間に応じて、以下の通り5段階で評価した。
5;1000時間の暴露試験後、塗膜の剥離がない。
4;1000時間の曝露試験後、塗膜に剥離が発生。
3;750時間の曝露試験後、塗膜に剥離が発生。
2;500時間の曝露試験後、塗膜に剥離が発生。
1;250時間の曝露試験後、塗膜に剥離が発生。
Figure 2011190299
Figure 2011190299
Figure 2011190299
Figure 2011190299
本発明の活性エネルギー線硬化性化合物(A)は、優れた硬化性と耐候性を併せ持ち、他の活性エネルギー線硬化性化合物との相溶性もよい。前記活性エネルギー線硬化性化合物(A)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を各種部材に塗布し、硬化層を具備させることにより、紫外線等から部材を保護することができる。
そこで、活性エネルギー線硬化性組成物は、特に、屋外または屋内の太陽光が差し込む箇所など、太陽光線が照射する箇所で使用するような部材、たとえば、携帯電話、携帯ゲーム機、携帯音楽プレーヤー、デジタルカメラ等のディスプレイ、液晶テレビ、プラズマテレビのディスプレイ、太陽電池パネル、窓ガラスの表面保護フィルム、木材、紙、コンクリート、アスファルト、金属などの表面コーティング、インキ用バインダー、粘接着剤、などに使用され得る。

Claims (6)

  1. ピペリジニル基と、フッ素原子を含有する官能基と、(メタ)アクリロイル基とを有する活性エネルギー線硬化性化合物(A)。
  2. ピペリジニル基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a1)と、フッ素原子含有官能基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a2)と、水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a3)と、必要に応じて(メタ)アクリロイル基を有するその他のアクリル系モノマー(a4)とを共重合してなる、水酸基を有するアクリル系プレポリマーと、
    イソシアネート基と(メタ)アクリロイル基とを有するアクリル系モノマー(a5)との反応生成物であることを特徴とする請求項1記載の(メタ)アクリロイル基を有する活性エネルギー線硬化性化合物(A)。
  3. 数平均分子量が3000〜100000であることを特徴とする請求項1又は2記載の活性エネルギー線硬化性化合物(A)。
  4. フッ素原子含有官能基がパーフルオロアルキル基であることを特徴とする、請求項1〜3いずれか記載の活性エネルギー線硬化性化合物(A)。
  5. (メタ)アクリロイル基当量が250〜1600であることを特徴とする、請求項1〜4いずれか記載の活性エネルギー線硬化性化合物(A)。
  6. アクリル系モノマー(a1)〜(a4)合計100重量%中、(a1):10〜80重量%、(a2):0.1〜20重量%、(a3):10〜80重量%、(a4):0〜10重量%であることを特徴とする請求項2〜5いずれか記載の活性エネルギー線硬化性化合物(A)。
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