JP2011176097A - 貼り合わせsoiウェーハ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】接着熱処理を長時間行うことなく、BOX層と裏面酸化膜との膜厚差に起因するSOIウェーハの反りを低減することが可能なSOIウェーハの製造方法を提供する。
【解決手段】支持用ウェーハ20に酸化膜21aを形成する工程と、酸化膜21aと接するように、活性用ウェーハ30を支持用ウェーハ20に重ね合わせる工程と、これらを熱処理によって接着する工程と、を含む。酸化膜21aの膜厚をAとし、活性用ウェーハ30の表面上の酸化膜の膜厚をBとした場合、A−B>2μmを満たす。これにより、BOX層40の膜厚を2μm超とすることができ、且つ、BOX層40の膜厚と裏面酸化膜22aの膜厚との差が小さくなることから、接着熱処理を長時間行うことなく、高耐圧なSOIウェーハを製造することが可能となる。
【選択図】図2
【解決手段】支持用ウェーハ20に酸化膜21aを形成する工程と、酸化膜21aと接するように、活性用ウェーハ30を支持用ウェーハ20に重ね合わせる工程と、これらを熱処理によって接着する工程と、を含む。酸化膜21aの膜厚をAとし、活性用ウェーハ30の表面上の酸化膜の膜厚をBとした場合、A−B>2μmを満たす。これにより、BOX層40の膜厚を2μm超とすることができ、且つ、BOX層40の膜厚と裏面酸化膜22aの膜厚との差が小さくなることから、接着熱処理を長時間行うことなく、高耐圧なSOIウェーハを製造することが可能となる。
【選択図】図2
Description
本発明は貼り合わせSOI(Silicon On Insulator)ウェーハ及びその製造方法に関し、特に、ゲッタリング能力に優れ且つ反りが低減された貼り合わせSOIウェーハ及びその製造方法に関する。
シリコンウェーハの一種としてSOIウェーハが知られている。SOIウェーハは、トランジスタなどの半導体素子が形成される活性層の直下にBOX層(Buried Oxide層:埋め込み酸化膜)が形成されたタイプのシリコンウェーハである。SOIウェーハは、pn接合に逆バイアスを加えることによって素子分離する通常のシリコンウェーハと比べて、素子の持つ浮遊容量が小さくなることから、高速なスイッチング動作が可能となるばかりでなく、消費電力を低減することも可能となる。
SOIウェーハの製造方法としては、貼り合わせ法とSIMOX(Separation by Implantation of Oxygen)法が知られている。このうち、貼り合わせ法は、支持用ウェーハと活性用ウェーハを用意し、これらの一方又は両方の表面に酸化膜を形成した後に重ね合わせ、熱処理によって接着した後、活性用ウェーハを所望の厚さまで減肉させることによってSOIウェーハを製造する方法である(特許文献1,2参照)。
特許文献1には、支持用ウェーハに形成する酸化膜の膜厚と活性用ウェーハに形成する酸化膜の膜厚との差を2μm以下とすることによって、接着熱処理時におけるスリップ転位の発生を防止できることが記載されている。
しかしながら、高耐圧な素子を形成可能なSOIウェーハを提供するためには、BOX層の膜厚を2μm超に厚く設計しなければならないケースがある。この場合、特許文献1に記載された方法では、BOX層の膜厚と支持用ウェーハの裏面に形成された酸化膜の膜厚との差が大きくなってしまうため、SOIウェーハに大きな反りが生じてしまうという問題があった。具体的には、支持用ウェーハに形成された酸化膜の膜厚をAとし、活性用ウェーハに形成された酸化膜の膜厚をBとした場合、貼り合わせによってBOX層の厚みはA+Bとなる一方、支持用ウェーハの裏面に形成された酸化膜(裏面酸化膜)の膜厚はAのままであることから、両者間にはBの膜厚差が生じる。一例として、BOX層の厚み(=A+B)を4μmに設計する場合、特許文献1に記載された発明のようにAとBとの差を2μm以下とするためには、Bの値は最低でも1μm(この場合Aの値は3μm)となり、これがそのままBOX層と裏面酸化膜との膜厚差となる。
BOX層と裏面酸化膜との膜厚差に起因するウェーハの反りを低減するためには、接着熱処理を長時間行うことによって裏面酸化膜の膜厚を増大させる必要があるが、この場合には、生産性が低下してしまう。この問題は、BOX層の膜厚が大きいほど顕著となる。また、特許文献2には、支持用ウェーハに形成する酸化膜の膜厚(A)を、活性用ウェーハに形成する酸化膜の膜厚(B)よりも薄くすることが記載されているが、この場合には、BOX層と裏面酸化膜との膜厚差はより大きくなることから、反りの問題はより深刻となる。
このように、従来のSOIウェーハの製造方法では、BOX層と裏面酸化膜との膜厚差に起因するSOIウェーハの反りを低減するために、接着熱処理を長時間行う必要があることから、生産性が低いという問題があった。
したがって、本発明の目的は、接着熱処理を長時間行うことなく、BOX層と裏面酸化膜との膜厚差に起因するSOIウェーハの反りを低減することが可能なSOIウェーハの製造方法を提供することである。
他方、特許文献3,4には、ゲッタリング能力を持たせたSOIウェーハが記載されている。しかしながら、いずれも貼り合わせ前にダメージ処理を行う必要があり、工程数の増大をもたらすという問題があった。
したがって、本発明の他の目的は、工程数を増大させることなく製造可能であり、ゲッタリング能力に優れた高耐圧なSOIウェーハを提供することである。
本発明者は、支持用ウェーハに形成された酸化膜の膜厚Aと活性用ウェーハに形成された酸化膜の膜厚Bとの関係がスリップ転位の発生にどのように関係するのか、鋭意研究を行った。その結果、膜厚Aと膜厚Bとの差が2μmを超えると、酸化膜が厚い側のウェーハにスリップ転位が発生する一方、酸化膜が薄い側のウェーハにはスリップ転位が発生しないことが明らかとなった。本発明は、このような技術的知見に基づきなされたものである。
本発明によるSOIウェーハは、支持用ウェーハ上に埋め込み酸化膜を介して活性層が設けられた貼り合わせSOIウェーハであって、前記埋め込み酸化膜の膜厚が2μm超であり、前記支持用ウェーハにはスリップ転位が存在しており、前記活性層にはスリップ転位が存在していないことを特徴とする。
本発明によれば、支持用ウェーハにスリップ転位が存在していることから、これが重金属などを捕獲するゲッタリングサイトとして機能する。しかも、スリップ転位の発生は、貼り合わせ前の支持用ウェーハ及び活性用ウェーハに形成された酸化膜の膜厚によって制御することが可能であることから、ダメージ処理などの工程を追加することなく製造可能である。さらに、埋め込み酸化膜の膜厚が2μm超であることから、高耐圧な素子を形成することが可能となる。
本発明においては、前記支持用ウェーハの裏面に形成された裏面酸化膜の膜厚が2μm超であることが好ましい。これによれば、埋め込み酸化膜と裏面酸化膜との膜厚差が小さくなることから、ウェーハの反りを抑制することが可能となる。しかも、活性用ウェーハ上の酸化膜の膜厚を薄くすることができることから、接着熱処理を長時間行うことなく製造可能となる。
本発明においては、前記埋め込み酸化膜の膜厚と前記裏面酸化膜の膜厚との差が0.2μm以下であることが好ましい。これによれば、ウェーハの反りを20μm以下に抑制することが可能となる。
また、本発明によるSOIウェーハの製造方法は、支持用ウェーハの少なくとも一方の表面に第1の酸化膜を形成する酸化膜形成工程と、前記第1の酸化膜と接するように、活性用ウェーハを前記支持用ウェーハに重ね合わせる重ね合わせ工程と、重ね合わせられた前記支持用ウェーハと前記活性用ウェーハを熱処理によって接着する接着熱処理工程と、を含む貼り合わせSOIウェーハの製造方法であって、前記第1の酸化膜の膜厚をAとし、前記第1の酸化膜と接する側における前記活性用ウェーハの表面上の第2の酸化膜の膜厚をBとした場合、
A−B>2μm
を満たすことを特徴とする。
A−B>2μm
を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、BOX層の膜厚を2μm超とすることができ、且つ、BOX層の膜厚と裏面酸化膜の膜厚との差が小さくなることから、接着熱処理を長時間行うことなく、高耐圧なSOIウェーハを製造することが可能となる。しかも、膜厚Aが膜厚Bよりも2μmを超えて大きいことから、活性用ウェーハにスリップ転位を発生させることなく、支持用ウェーハにスリップ転位を発生させることが可能となり、SOIウェーハにゲッタリング能力を与えることも可能となる。
本発明においては、前記第2の酸化膜の膜厚Bが0.2μm以下であることが好ましい。これによれば、接着熱処理を長時間行うことなく、SOIウェーハに生じる反りを低減することが可能となる。
本発明においては、前記第2の酸化膜の膜厚Bが実質的にゼロであることが好ましい。これによれば、支持用ウェーハと活性用ウェーハを重ね合わせた段階で、BOX層の膜厚と裏面酸化膜の膜厚との差が実質的にゼロとなる。ここで、「実質的にゼロ」とは、熱酸化などによって、活性用ウェーハに第2の酸化膜が積極的に形成されていない状態を指す。したがって、理想的には完全にゼロ(すなわち第2の酸化膜が全く存在しない)であるが、活性用ウェーハの表面に極薄い自然酸化膜が形成されているケースを含む意である。自然酸化膜は、第1の酸化膜の膜厚(2μm超)に比べると著しく薄いことから、本発明においては実質的に膜厚ゼロとみなすことが可能である。
また、前記酸化膜形成工程においては前記支持用ウェーハの他方の表面にも膜厚Aの裏面酸化膜を形成し、前記接着熱処理工程を酸素雰囲気で行うことによって、前記裏面酸化膜の膜厚をA+Bを超えない範囲で増大させることが好ましい。これによれば、接着熱処理によってBOX層の膜厚と裏面酸化膜の膜厚との差が縮小することから、反りを低減させることが可能となる。より好ましくは、活性用ウェーハに形成する酸化膜の膜厚Bを、接着熱処理に必要な時間で生じる裏面酸化膜の膜厚増大量と一致させれば、必要以上の時間やプロセスを要することなく、反りのないSOIウェーハを製造することが可能となる。
このように、本発明によれば、工程数を増大させることなく製造可能であり、ゲッタリング能力に優れた高耐圧なSOIウェーハを提供することが可能となる。
また、本発明によれば、接着熱処理を長時間行うことなく、BOX層と裏面酸化膜との膜厚差に起因するウェーハの反りを低減することが可能なSOIウェーハの製造方法を提供することが可能となる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態による貼り合わせSOIウェーハの構造を示す略断面図である。
図1に示すように、本実施形態による貼り合わせSOIウェーハ10は、支持用ウェーハ20と、支持用ウェーハ20の一方の表面21に設けられた埋め込み酸化膜(BOX層)40と、BOX層40を介して支持用ウェーハ20上に設けられた活性層(SOI層)30aとを備えている。
支持用ウェーハ20は、貼り合わせSOIウェーハ10の機械的強度を確保する役割を果たし、その厚みについては特に限定されるものではないが725μm程度とすればよい。支持用ウェーハ20には多数のスリップ転位Sが含まれており、これが重金属などを捕獲するゲッタリングサイトとして機能する。詳細については後述するが、支持用ウェーハ20に含まれるスリップ転位Sの大部分又は全部は、貼り合わせ前から存在していたものではなく、貼り合わせ後の接着熱処理によって事後的に発生したものである。また、支持用ウェーハ20の裏面22には、裏面酸化膜22aが形成されている。裏面酸化膜22aの膜厚はA+aである。詳細については後述するが、膜厚Aは接着熱処理前の膜厚であり2μm超である。また、膜厚aは接着熱処理による膜厚増大分であり、具体的な厚さは接着熱処理を行う温度と時間に依存する。
活性層30aは、トランジスタなどの半導体素子を形成するための領域であり、その厚みについては特に限定されるものではないが0.3〜250μm、例えば15μm程度とすればよい。活性層30aにはスリップ転位が存在していない。活性層30aは、後述する活性用ウェーハ30からなる部分である。
BOX層40は、活性層30aに形成される半導体素子間を絶縁分離する役割を果たし、その膜厚はA+Bである。A+Bの値は2μm超である。このように、BOX層40の膜厚が2μm超であることから、活性層30aに高耐圧な半導体素子を形成することが可能である。ここで、膜厚Aは接着熱処理前における支持用ウェーハ20の表面21上の酸化膜の膜厚であり、膜厚Bは接着熱処理前における活性用ウェーハの表面上の酸化膜の膜厚である。したがって、膜厚Bと膜厚aを一致させれば、支持用ウェーハ20の両面に形成された絶縁膜(BOX層40と裏面酸化膜22a)の膜厚が一致することから、膜厚差に起因するウェーハの反りを防止することが可能となる。BOX層40と裏面酸化膜22aの膜厚を完全に一致させることは必須でないが、これらの膜厚差は0.2μm以下とすることが好ましい。これによれば、膜厚差に起因するウェーハの反りを十分に低減することが可能となる。
図2は、本発明の好ましい実施形態による貼り合わせSOIウェーハ10の製造方法を説明するための模式図である。
まず、いずれもスリップ転位を含まない支持用ウェーハ20と活性用ウェーハ30を用意する。本発明において支持用ウェーハ20がスリップ転位を含まないことは必須でないが、スリップ転位を有するウェーハは良好な接着特性を得ることが困難であるため、支持用ウェーハ20においても貼り合わせ前にはスリップ転位を含まないことが好ましい。一方、活性用ウェーハ30は最終的に活性層30aとして用いられることから、少なくともデバイス特性に影響を与えるようなスリップ転位を含んではならない。尚、支持用ウェーハ20と活性用ウェーハ30の厚さは同じである必要はない。
次に、支持用ウェーハ20に対して、洗浄、純粋リンス及びフッ酸有機洗浄をこの順に行うことによりその表面を清浄化した後、熱酸化することにより、支持用ウェーハ20の表面21及び裏面22にそれぞれ膜厚Aの酸化膜21a,22aを形成する(酸化膜形成工程)。膜厚Aは2μm超である。本発明において、支持用ウェーハ20の裏面22に酸化膜22aを形成することは必須でないが、ウェーハの反りを十分に低減するためには、支持用ウェーハ20の裏面22にも酸化膜21aと同じ厚さの酸化膜22aを形成することが好ましい。
一方、活性用ウェーハ30については熱酸化を行う必要はなく、その両面に熱酸化膜が形成されていない状態とすることが好ましい。活性用ウェーハ30に対しても、貼り合わせ前に純粋リンス及びフッ酸有機洗浄をこの順に行うことによりその表面を清浄化することが好ましい。理想的には、貼り合わせ直前における活性用ウェーハ30の表面は酸化膜が全く形成されていない状態であることが望ましいが、酸素を含有する雰囲気中に曝すとその表面に自然酸化膜が不可避的に生じる。しかしながら、自然酸化膜は非常に薄いことから、これを除去することは必須でない。
但し、本発明において活性用ウェーハ30に熱酸化膜を形成してはならない訳ではなく、活性用ウェーハ30の表面上の酸化膜の膜厚をBとした場合、
A−B>2μm
を満たす範囲であれば、活性用ウェーハ30に熱酸化膜を形成しても構わない。この場合であっても膜厚Bはできる限り薄いことが好ましく、0.2μm以下であることがより好ましい。これは、後述するように、膜厚Bは、貼り合わせ直後におけるBOX層40と裏面酸化膜22aの膜厚差となるからであり、膜厚差が大きくなればなるほど反りが大きくなるからである。したがって、膜厚Bが実質的にゼロであれば、貼り合わせ直後におけるBOX層40と裏面酸化膜22aの膜厚差も実質的にゼロとなり、反りが発生しなくなる。ここで、活性用ウェーハ30に熱酸化膜を形成することが許容される理由は、貼り合わせ後の接着熱処理を酸素含有雰囲気で行えば、裏面酸化膜22aの膜厚が若干増大するからである。但し、本実施形態では裏面酸化膜22aの膜厚が2μm超であり、接着熱処理による膜厚の増大レートが小さいことから、膜厚Bが大きすぎると、BOX層40と裏面酸化膜22aの膜厚差を無くすためには長時間に亘って接着熱処理を行う必要が生じる。この点を考慮すれば、膜厚Bはできる限り薄いことが好ましく、0.2μm以下であることがより好ましい。
A−B>2μm
を満たす範囲であれば、活性用ウェーハ30に熱酸化膜を形成しても構わない。この場合であっても膜厚Bはできる限り薄いことが好ましく、0.2μm以下であることがより好ましい。これは、後述するように、膜厚Bは、貼り合わせ直後におけるBOX層40と裏面酸化膜22aの膜厚差となるからであり、膜厚差が大きくなればなるほど反りが大きくなるからである。したがって、膜厚Bが実質的にゼロであれば、貼り合わせ直後におけるBOX層40と裏面酸化膜22aの膜厚差も実質的にゼロとなり、反りが発生しなくなる。ここで、活性用ウェーハ30に熱酸化膜を形成することが許容される理由は、貼り合わせ後の接着熱処理を酸素含有雰囲気で行えば、裏面酸化膜22aの膜厚が若干増大するからである。但し、本実施形態では裏面酸化膜22aの膜厚が2μm超であり、接着熱処理による膜厚の増大レートが小さいことから、膜厚Bが大きすぎると、BOX層40と裏面酸化膜22aの膜厚差を無くすためには長時間に亘って接着熱処理を行う必要が生じる。この点を考慮すれば、膜厚Bはできる限り薄いことが好ましく、0.2μm以下であることがより好ましい。
次に、各ウェーハ20,30に対して洗浄、純粋リンス及びフッ酸有機洗浄をこの順に行った後、水素終端させる。そして、酸化膜21aが活性用ウェーハ30と接するよう、支持用ウェーハ20と活性用ウェーハ30とを重ね合わせ、所定の圧力で両者を押圧する(重ね合わせ工程)。これにより、支持用ウェーハ20と活性用ウェーハ30との間には、膜厚A+BのBOX層40が形成される。また、この時点では、支持用ウェーハ20の裏面22に形成された裏面酸化膜22aの膜厚はAのままである。
次に、重ね合わせられた支持用ウェーハ20と活性用ウェーハ30を1100℃以上の温度で熱処理することにより、両者を接着する(熱処理工程)。これにより、支持用ウェーハ20と活性用ウェーハ30は、BOX層40を介して強固に接着される。また、接着熱処理を酸素含有雰囲気中で行えば、裏面酸化膜22aの膜厚が若干増大する。但し、既に形成された酸化膜の膜厚を熱酸化によって増大させる場合、既に形成された酸化膜の膜厚が厚いほど膜厚の増大レートが小さくなる。本実施形態では、裏面酸化膜22aの膜厚が2μm超と非常に厚いことから、接着熱処理が短時間である場合には、裏面酸化膜22aの膜厚はほとんど増大しない。裏面酸化膜22aの膜厚をある程度増大させるためには、その分接着熱処理に長い時間をかける必要があるが、生産性などを考慮すれば0.2μmを超える膜厚増大量を得ることは現実的でない。したがって、接着熱処理によってBOX層40と裏面酸化膜22aの膜厚差を無くすためには、上述の通り、膜厚Bはできる限り薄いことが好ましく、0.2μm以下であることがより好ましい。
逆に、膜厚Bがゼロ又は非常に薄い場合において、酸素含有雰囲気での接着熱処理を必要以上に長時間行うと、BOX層40よりも裏面酸化膜22aの方が厚くなってしまう。したがって、接着熱処理は、裏面酸化膜22aの膜厚がA+Bを超えない範囲で行うことが好ましい。
かかる接着熱処理においては、支持用ウェーハ20側に形成された酸化膜21aの膜厚Aが活性用ウェーハ30側に形成された酸化膜の膜厚Bよりも2μmを超えて大きいことから、支持用ウェーハ20側に強い応力が生じ、多数のスリップ転位が発生する。このようなスリップ転位は、貼り合わせられた2枚のウェーハに形成された酸化膜の膜厚差が2μm超である場合に、酸化膜の膜厚が厚い側のウェーハにのみ発生することが本発明者の実験により確かめられている。その一方で、酸化膜の膜厚が薄い側のウェーハにはスリップ転位は発生しない。このため、本発明において接着熱処理を行うと、支持用ウェーハ20側にスリップ転位が発生する一方、活性用ウェーハ30側にはスリップ転位が発生しない。
次に、活性用ウェーハ30の表面を平面研削することによって活性用ウェーハ30を減肉させ、厚さ約0.3〜250μmの活性層30aとする。そして、活性層30aの周縁部分にテラス研磨を施すことにより、本実施形態による貼り合わせSOIウェーハ10が完成する。
このようにして完成した貼り合わせSOIウェーハ10は、BOX層40の膜厚が2μm超であり、支持用ウェーハ20にはスリップ転位が存在しており、活性層30aにはスリップ転位が存在していない。このため、活性層30aに形成するデバイスの特性がスリップ転位によって劣化することが無いばかりでなく、支持用ウェーハ20に存在する多数のスリップ転位が重金属などを捕獲するゲッタリングサイトとして機能する。しかも、支持用ウェーハ20に含まれるスリップ転位は、接着熱処理によって自然に生じるものであることから、ゲッタリングサイトを形成するための特別な工程を付加する必要はない。また、貼り合わせ前においてはスリップ転位の存在しない支持用ウェーハ20を用いていることから、始めからスリップ転位を含むウェーハを貼り合わせる場合とは異なり、良好な接着特性を得ることが可能となる。
さらに、本実施形態では、活性用ウェーハ30の表面上の酸化膜の膜厚Bが薄いことから(好ましくは0.2μm以下)、貼り合わせ直後におけるBOX層40と裏面酸化膜22aとの膜厚差も小さくなる。このため、かかる膜厚差によってSOIウェーハに生じる反りが低減されるばかりでなく、比較的短時間の接着熱処理によってBOX層40と裏面酸化膜22aの膜厚差を十分に、例えば0.2μm以下に低減することが可能となる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
チョクラルスキー法によって育成された同じシリコン単結晶インゴットから複数のシリコンウェーハを切り出し、その半分をウェーハX、残りの半分をウェーハYとした。これらウェーハX,Yの径は200mmであり、厚みは725μmである。いずれのウェーハにもスリップ転位は含まれていない。
次に、熱酸化によってウェーハX,Yに種々の厚みの酸化膜を形成した後、ウェーハXとウェーハYを種々の組み合わせで重ね合わせた。その後、1200℃で接着熱処理を行うことによって両者を接着した。接着熱処理は1時間行った。
そして、ウェーハXとウェーハYの接合面にカミソリ刃を挿入して両者を分離し、それぞれのウェーハにスリップ転位が発生しているか否かをX線トポグラフ(ラング法)で観察した。ウェーハXの評価結果を表1に示し、ウェーハYの評価結果を表2に示す。
表1及び表2に示すように、酸化膜の膜厚差が2μm以下である場合には、いずれのウェーハにもスリップ転位は発生しなかった。これに対し、酸化膜の膜厚差が2μm超(本実施例では3μm以上)である場合には、酸化膜の膜厚が厚い側のウェーハにスリップ転位が発生した。一方、酸化膜の膜厚が薄い側のウェーハにはスリップ転位が発生しなかった。これにより、表面に形成された酸化膜の膜厚差が2μm超である2枚のウェーハを重ね合わせた後に接着熱処理を行った場合、酸化膜の膜厚が厚い側のウェーハにはスリップ転位が発生する一方、酸化膜の膜厚が薄い側のウェーハにはスリップ転位が発生しないことが確認された。
次に、実施例1にて用意した複数のシリコンウェーハのうち、酸化膜の膜厚が1μmであるウェーハXと、酸化膜の膜厚が5μmであるウェーハYを用い、これらを室温中で貼り合わせた後、1200℃で接着熱処理を行うことによって両者を接着した。接着熱処理は1時間行った。その結果、ウェーハY側にスリップ転位が発生したが、ウェーハXにはスリップ転位が発生しなかった。次に、ウェーハXを研削しテラス研磨を行うことによって、厚さ5μmの活性層を形成した。以上により、サンプル1の貼り合わせSOIウェーハが完成した。
一方、実施例1にて用意した複数のシリコンウェーハのうち、酸化膜の膜厚がいずれも3μmであるウェーハXとウェーハYを用い、上記と同様にしてサンプル2の貼り合わせSOIウェーハを作製した。サンプル2の貼り合わせSOIウェーハにおいては、ウェーハX,Yのいずれにもスリップ転位は発生しなかった。
次に、サンプル1,2の貼り合わせSOIウェーハの活性層にCuを1013atoms/cm2の濃度で故意汚染した。そして、1100℃、2時間の熱処理を行った後、活性層の表面におけるCu濃度を測定した。測定の結果を図3に示す。
図3に示すように、支持用ウェーハ(ウェーハY)にスリップ転位が含まれないサンプル2の貼り合わせSOIウェーハと比べて、支持用ウェーハ(ウェーハY)にスリップ転位が含まれるサンプル1の貼り合わせSOIウェーハにおいては、表面のCu濃度が低かった。これにより、支持用ウェーハに生じているスリップ転位がCuのゲッタリングサイトとして機能していることが確認された。
10 SOIウェーハ
20 支持用ウェーハ
21 支持用ウェーハの表面
22 支持用ウェーハの裏面
21a 酸化膜
22a 裏面酸化膜
30 活性用ウェーハ
30a 活性層
40 BOX層
S スリップ転位
20 支持用ウェーハ
21 支持用ウェーハの表面
22 支持用ウェーハの裏面
21a 酸化膜
22a 裏面酸化膜
30 活性用ウェーハ
30a 活性層
40 BOX層
S スリップ転位
Claims (7)
- 支持用ウェーハ上に埋め込み酸化膜を介して活性層が設けられた貼り合わせSOIウェーハであって、
前記埋め込み酸化膜の膜厚が2μm超であり、
前記支持用ウェーハにはスリップ転位が存在しており、
前記活性層にはスリップ転位が存在していない、ことを特徴とする貼り合わせSOIウェーハ。 - 前記支持用ウェーハの裏面に形成された裏面酸化膜の膜厚が2μm超であることを特徴とする請求項1に記載の貼り合わせSOIウェーハ。
- 前記埋め込み酸化膜の膜厚と前記裏面酸化膜の膜厚との差が0.2μm以下であることを特徴とする請求項2に記載の貼り合わせSOIウェーハ。
- 支持用ウェーハの少なくとも一方の表面に第1の酸化膜を形成する酸化膜形成工程と、
前記第1の酸化膜と接するように、活性用ウェーハを前記支持用ウェーハに重ね合わせる重ね合わせ工程と、
重ね合わせられた前記支持用ウェーハと前記活性用ウェーハを熱処理によって接着する接着熱処理工程と、を含む貼り合わせSOIウェーハの製造方法であって、
前記第1の酸化膜の膜厚をAとし、前記第1の酸化膜と接する側における前記活性用ウェーハの表面上の第2の酸化膜の膜厚をBとした場合、
A−B>2μm
を満たすことを特徴とする貼り合わせSOIウェーハの製造方法。 - 前記第2の酸化膜の膜厚Bが0.2μm以下であることを特徴とする請求項4に記載の貼り合わせSOIウェーハの製造方法。
- 前記第2の酸化膜の膜厚Bが実質的にゼロであることを特徴とする請求項5に記載の貼り合わせSOIウェーハの製造方法。
- 前記酸化膜形成工程においては、前記支持用ウェーハの他方の表面にも膜厚Aの裏面酸化膜を形成し、
前記接着熱処理工程を酸素雰囲気で行うことによって、前記裏面酸化膜の膜厚をA+Bを超えない範囲で増大させることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の貼り合わせSOIウェーハの製造方法。
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