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JP2011144878A - 車両用動力伝達装置の油圧制御装置 - Google Patents

車両用動力伝達装置の油圧制御装置 Download PDF

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JP2011144878A
JP2011144878A JP2010006310A JP2010006310A JP2011144878A JP 2011144878 A JP2011144878 A JP 2011144878A JP 2010006310 A JP2010006310 A JP 2010006310A JP 2010006310 A JP2010006310 A JP 2010006310A JP 2011144878 A JP2011144878 A JP 2011144878A
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】ニュートラル制御を解除する際にクッションプレートが潰れることによる係合ショックを抑制する。
【解決手段】ニュートラル制御の解除時には、クッションプレート68を押し潰す為のクッション荷重FCPに相当するクッション潰れ油圧PCPFがクッションプレート68へ作用する直前の直前待機圧PWDBでクラッチ圧Pcの上昇が一時的に待機させられるので、クッションプレート68が押し潰されたときの摩擦係合要素52に作用する油圧分の急上昇が上記直前待機圧PWDB付近からの上昇となり、例えばクッション潰れ油圧PCPFがクッションプレート68へ作用する直前の直前待機圧PWDBでクラッチ圧Pcの上昇が一時的に待機させられずにそのまま上昇させられてクッションプレート68が押し潰される場合に比較して、摩擦係合要素52に作用する油圧分の急上昇分が小さくされて係合ショックが抑制される。
【選択図】図11

Description

本発明は、ニュートラル制御(N制御)を実行する車両用動力伝達装置の油圧制御装置に係り、特に、ニュートラル制御を解除する際の制御に関するものである。
例えば走行ポジションにおいてフットブレーキがオン状態で車両停止中である等の所定のニュートラル制御条件が成立した場合に、エンジンから駆動輪までの間の動力伝達経路に介設された係合装置をスリップ状態乃至解放状態としてその動力伝達経路を動力伝達抑制状態とすることにより、エンジンのアイドリング負荷を抑制する為のニュートラル制御を実行する車両用動力伝達装置の油圧制御装置が良く知られている。このようなニュートラル制御では、例えばシフト位置が「D」ポジションのまま上記係合装置をスリップ乃至解放することでエンジン出力の駆動輪側への伝達を実質的に遮断している。そして、このニュートラル制御の解除時すなわちニュートラル制御からの復帰時には、その係合装置を係合している。
ここで、例えば特許文献1,2に示されるように、油圧式摩擦係合装置を構成する摩擦係合要素(摩擦板)とピストンの押圧部との間にクッションプレートが介装されている場合がある。このようなクッションプレートは、例えば油圧式摩擦係合装置の解放時の油圧を制御せず(或いは制御できず)、単に作動油をドレン(排出)させることだけでその油圧式摩擦係合装置を解放するような構成を採用している場合に、その解放時のショックを軽減させることを目的として設けられている。
特開2004−212182号公報 特開2004−286182号公報
ところで、上記油圧式摩擦係合装置を係合させる際には、ファーストフィル(急速充填)後に低圧待機状態(或いはスイープアップ状態)とし、その後、最終的な係合圧に向けて油圧を急上昇させることが提案されている。一方、クッションプレートを有する油圧式摩擦係合装置を係合する場合には、ピストンが摩擦板を押圧するときの実際の係合圧(実係合圧)は、クッションプレートが押し潰される過程では、そのクッションプレートを押し潰す油圧分と、摩擦板を押圧する油圧分(すなわちトルク伝達容量を増加させる油圧分)とに分けられる。そうすると、係合圧を上昇させていく過程では、クッションプレートが完全に潰れ切るまでは、クッションプレートの形状変化によって摩擦板を押圧する油圧分の制御性(指令油圧に対する追従性)が低下する可能性がある。つまり、クッションプレートが完全に潰れ切るまでは、指令油圧を大きくして実係合圧が増加してもクッションプレートを押し潰す油圧分に取られて摩擦板を押圧する油圧分が増加せず、その摩擦板を押圧する油圧分と指令油圧(実油圧)との乖離が大きくなる可能性がある。その為、係合圧を上昇させる過程のある時点でクッションプレートが完全に潰れ切ると、実係合圧がそのまま摩擦板を押圧する油圧分となるので、結果的に摩擦板を押圧する油圧分がその実係合圧まで急上昇させられることになる。このような現象が例えば最終的な係合圧に向けて指令油圧を急上昇させる過程で発生すると、摩擦板を押圧する油圧分が急上昇させられて油圧式摩擦係合装置は急係合させられ、その時の急激なイナーシャ変化により係合ショックが増大させられる可能性がある。尚、このような課題は未公知である。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、ニュートラル制御の解除にあたり油圧式摩擦係合装置を係合する為に係合圧を上昇させる際に、クッションプレートが潰れることによる係合ショックを抑制することができる車両用動力伝達装置の油圧制御装置を提供することにある。
前記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a) 係合によりエンジンの動力を駆動輪側へ伝達すると共に摩擦係合要素とピストンの押圧部との間にバネ材であるクッションプレートが介装された油圧式摩擦係合装置を備え、走行ポジションにおいて所定のニュートラル制御条件が成立した場合にその油圧式摩擦係合装置をスリップ状態乃至解放状態として前記エンジンから前記駆動輪までの間の動力伝達経路を動力伝達抑制状態とすることによりそのエンジンのアイドリング負荷を抑制する為のニュートラル制御を実行する車両用動力伝達装置の油圧制御装置であって、(b) 前記ニュートラル制御の解除時に前記油圧式摩擦係合装置を係合する為に係合圧を上昇させる際には、前記クッションプレートを押し潰す為のクッション荷重に相当する油圧がそのクッションプレートへ作用する直前の待機圧でその係合圧の上昇を一時的に待機させることにある。
このようにすれば、前記ニュートラル制御の解除時に前記油圧式摩擦係合装置を係合する為に係合圧を上昇させる際には、前記クッションプレートを押し潰す為のクッション荷重に相当する油圧がそのクッションプレートへ作用する直前の待機圧でその係合圧の上昇が一時的に待機させられるので、クッションプレートが押し潰されたときの摩擦係合要素を押圧する油圧分の急上昇が上記待機圧付近からの上昇となり、例えばクッション荷重に相当する油圧がクッションプレートへ作用する直前の待機圧で係合圧の上昇が一時的に待機させられずにそのまま上昇させられてクッションプレートが押し潰される場合に比較して、摩擦係合要素を押圧する油圧分の急上昇分が小さくされて係合ショックが抑制される。このように、ニュートラル制御の解除にあたり油圧式摩擦係合装置を係合する為に係合圧を上昇させる際に、クッションプレートが潰れることによる係合ショックを抑制することができる。
ここで、好適には、前記直前の待機圧での一時的な待機中に、前記クッション荷重に相当する油圧が前記クッションプレートへ作用したことに伴う前記油圧式摩擦係合装置の入力側回転速度の変化に基づいて、前記係合圧の上昇を一時的に待機させる際の次回の待機圧を学習制御により設定することにある。このようにすれば、クッション荷重の個体差等に左右されずに、車両毎に係合ショックを抑制する為の最適な待機圧を設定することができる。つまり、クッションプレートが潰れることによる係合ショックを可及的に抑制するには、例えば上記待機圧をクッション荷重に相当する油圧がクッションプレートへ作用する寸前の油圧に設定することが望ましいが、クッション荷重に相当する油圧に対するマージンを取らずに(余裕代を取らずに)待機圧をぎりぎりに設定すると、クッション荷重の個体差等がある為に下限品などでは、その設定した待機圧での待機中にクッション荷重に相当する油圧を超えてしまって相応の係合ショックが発生する可能性がある。そこで、このような係合ショックの発生に対応した変化が生じる前記油圧式摩擦係合装置の入力側回転速度の変化量を検出することによって、次回の待機圧を適宜学習制御により補正し、車両毎に最適な待機圧を設定する。
また、好適には、前記待機圧の学習制御は、前記直前の待機圧での一時的な待機中における前記入力側回転速度の変化量に所定値以上の落込みが生じた毎に、前記次回の待機圧を今回の待機圧から段階的に低下させることにある。このようにすれば、クッション荷重の個体差等に左右されずに、車両毎に係合ショックを抑制する為の最適な待機圧を一層確実に設定することができる。
また、好適には、前記油圧式摩擦係合装置は、流体式伝動装置を介して前記エンジンに連結されており、アクセルオンを伴う前記ニュートラル制御の解除時には、エンジン回転速度の吹き上がりに伴って前記流体式伝動装置の出力回転速度が吹き上がるように前記係合圧を低圧待機させ、前記流体式伝動装置の出力回転速度が吹き上がった後に前記油圧式摩擦係合装置の係合に向けて前記係合圧を再び上昇させ、その後前記油圧式摩擦係合装置の入出力間の差回転速度が所定の回転変化で零に向かうようにフィードバック制御により前記係合圧を変化させるものであり、前記低圧待機後に前記係合圧を再び上昇させる際に、前記クッション荷重に相当する油圧が前記クッションプレートへ作用する直前の待機圧でその係合圧の上昇を一時的に待機させることにある。このようにすれば、アクセルオンを伴う前記ニュートラル制御の解除時に、先ず前記係合圧を低圧待機させ、その後前記油圧式摩擦係合装置の係合に向けて前記係合圧を再び上昇させ、更にその後前記油圧式摩擦係合装置の差回転速度に基づくフィードバック制御により前記係合圧を変化させることにより、係合後のトルクの落込みを抑制することができる。つまり、アクセルオンを伴う前記ニュートラル制御の解除時に、例えば前記流体式伝動装置の出力回転速度を吹き上げることなくエンジントルクが立ち上がる前に油圧式摩擦係合装置を係合するように係合圧を上昇させると、完全係合前には油圧式摩擦係合装置のトルク伝達容量が高くなることと流体式伝動装置の出力回転速度が低下することによるイナーシャトルクとで駆動力が発生し、係合後にはエンジントルクが駆動力となるが、係合前の駆動力が大きな場合には係合後に駆動力(加速度)が一旦落ち込む可能性がある。そこで、流体式伝動装置の出力回転速度を一旦吹き上げて、その後、流体式伝動装置の出力回転速度と油圧式摩擦係合装置の出力回転速度とを所定の回転変化でゆっくりと近づけることにより、係合後のトルクの落込みを抑制する。但し、クッションプレートを有する油圧式摩擦係合装置では、前記低圧待機後に前記油圧式摩擦係合装置の係合に向けて前記係合圧を再び上昇させる過程でクッション荷重に相当する油圧がクッションプレートへ作用すると、係合ショックが増大する可能性がある。これに対して、前記低圧待機後に前記係合圧を再び上昇させる際に、前記クッション荷重に相当する油圧が前記クッションプレートへ作用する直前の待機圧でその係合圧の上昇を一時的に待機させるので、摩擦係合要素を押圧する油圧分の急上昇が小さくされて係合ショックが適切に抑制される。
また、好適には、エンジンから駆動輪までの間の動力伝達経路に自動変速機が備えられている。この自動変速機は、複数組の遊星歯車装置の回転要素が係合装置によって選択的に連結されることにより複数のギヤ段(変速段)が択一的に達成される例えば前進4段、前進5段、前進6段、更にはそれ以上の変速段を有する等の種々の遊星歯車式自動変速機、動力伝達部材として機能する伝動ベルトが有効径が可変である一対の可変プーリに巻き掛けられ変速比が無段階に連続的に変化させられる所謂ベルト式無段変速機、共通の軸心まわりに回転させられる一対のコーンとその軸心と交差する回転中心回転可能な複数個のローラがそれら一対のコーンの間で挟圧されそのローラの回転中心と軸心との交差角が変化させられることによって変速比が可変とされた所謂トラクション型無段変速機、或いはエンジン軸や出力軸などに動力伝達可能に電動機が備えられる所謂パラレル式のハイブリッド車両に搭載される自動変速機などにより構成される。また、前記自動変速機の車両に対する搭載姿勢は、その自動変速機の軸線が車両の幅方向となるFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両などの横置き型でも、その自動変速機の軸線が車両の前後方向となるFR(フロントエンジン・リヤドライブ)車両などの縦置き型でも良い。
また、好適には、例えば遊星歯車式自動変速機を備える車両のニュートラル制御は、「R」or「D」ポジションにおいて、係合装置を全て解放するか或いは変速機の変速段を形成する為の何れかの係合装置を解放するなどして、自動変速機内の動力伝達経路が遮断される自動変速機のニュートラル状態を形成することで実行される。また、例えばベルト式無段変速機やトラクション型無段変速機を備える車両のニュートラル制御は、エンジンから駆動輪までの間の動力伝達経路に備えられた係合装置と歯車装置とを含む良く知られた前後進切換装置におけるその係合装置をスリップ状態乃至解放状態として、動力伝達経路のニュートラル状態を形成することで実行される。また、例えば遊星歯車式自動変速機が有する係合装置や前後進切換装置が有する係合装置とは別に動力伝達経路に備えられた係合装置をスリップ状態乃至解放状態として、自動変速機のニュートラル状態を形成することでもニュートラル制御が実行される。
また、好適には、上記係合装置としては、油圧アクチュエータによって係合させられる多板式、単板式のクラッチやブレーキ等の摩擦係合装置が広く用いられる。この油圧式摩擦係合装置を係合させるための作動油を供給するオイルポンプは、走行用の駆動力源により駆動されて作動油を吐出するものでも良いが、例えば駆動力源とは別に配設された専用の電動モータなどで駆動されるものでも良い。この油圧式摩擦係合装置を含む油圧制御回路は、例えば電磁弁装置としてのリニアソレノイドバルブの出力油圧を直接的に油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)にそれぞれ供給することが応答性の点で望ましいが、そのリニアソレノイドバルブの出力油圧をパイロット油圧として用いることによりシフトコントロールバルブ(変速制御弁)を制御して、そのコントロールバルブから油圧アクチュエータに作動油を供給するように構成することもできる。また、上記リニアソレノイドバルブは、例えば複数の油圧式摩擦係合装置の各々に対応して1つずつ設けられるが、同時に係合したり係合、解放制御したりすることがない複数の油圧式摩擦係合装置が存在する場合には、それ等に共通のリニアソレノイドバルブを設けることもできるなど、種々の態様が可能である。また、必ずしも全ての油圧式摩擦係合装置の油圧制御をリニアソレノイドバルブで行う必要はなく、一部乃至全ての油圧制御をON−OFFソレノイドバルブのデューティ制御など、リニアソレノイドバルブ以外の調圧手段で行っても良い。
また、好適には、前記エンジンとしては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関が広く用いられる。さらに、補助的な走行用の駆動力源として、電動機等がこのエンジンに加えて用いられても良い。
尚、この明細書で「油圧を供給する」という場合は、「油圧を作用させ」或いは「その油圧に制御された作動油を供給する」ことを意味する。
本発明が適用された車両に備えられた自動変速機の構成を説明する骨子図である。 図1の自動変速機の複数のギヤ段を成立させる際の摩擦係合装置の作動の組み合わせを説明する作動図表である。 クラッチC1を含む自動変速機の一部を示す要部断面図である。 図1の自動変速機などを制御する為に車両に設けられた電気的な制御系統の要部を説明するブロック線図である。 図4の油圧制御回路のうちクラッチ及びブレーキの各油圧アクチュエータの作動を制御するリニアソレノイドバルブに関する回路図である。 図4の電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 スロットル弁開度をパラメータとしてエンジン回転速度と推定エンジントルクとの予め実験的に求められて記憶された関係(エンジントルクマップ)の一例を示す図である。 図1の自動変速機のギヤ段の決定に用いられる変速線図の一例を示す図である。 ニュートラル制御解除時のクラッチの油圧指令値の一例であって、アクセルオフの通常解除時の所定の係合パターンである。 アクセルオンを伴うニュートラル制御解除時の所定の係合パターンとして本実施例における変更前(本発明適用前)の係合パターンを用いた場合の一例を示す図である。 図4の電子制御装置の制御作動の要部すなわちニュートラル制御を解除する際にクッションプレートが潰れることによる係合ショックを抑制する為の制御作動を説明するフローチャートである。 図11の制御作動に対応するタイムチャートであって、アクセルオンを伴うニュートラル制御解除時の所定の係合パターンとして本実施例における変更後(本発明適用後)の係合パターンを用いた場合の一例を示す図である。 図4の電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図であって、図6の機能ブロック線図に相当する別の実施例である。 図4の電子制御装置の制御作動の要部すなわち直前待機圧を学習制御する為の制御作動を説明するフローチャートである。 図14の制御作動に対応するタイムチャートである。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両10に備えられた自動変速機12の構成を説明する骨子図である。図2は自動変速機12の複数のギヤ段GS(変速段GS)を成立させる際の摩擦係合装置の作動状態を説明する作動表である。この自動変速機12は、車両10の左右方向(横置き)に搭載するFF車両に好適に用いられるものであって、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスアクスルケース14(以下、ケース14)内において、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置16を主体として構成されている第1変速部18と、ダブルピニオン型の第2遊星歯車装置20及びシングルピニオン型の第3遊星歯車装置22を主体としてラビニヨ型に構成されている第2変速部24とを共通の軸心C上に有し、入力軸26の回転を変速して出力歯車28から出力する。入力軸26は、自動変速機12の入力回転部材に相当するものであり、本実施例では走行用の駆動力源であるエンジン30によって回転駆動される流体式伝動装置としてのトルクコンバータ32のタービン軸と一体的に構成されている。また、出力歯車28は、自動変速機12の出力回転部材に相当するものであり、本実施例では例えば図4に示す差動歯車装置34に動力を伝達するために、デフリングギヤ36と噛み合うことでファイナルギヤ対を構成するデフドライブピニオンと同軸上に配置されたカウンタドリブンギヤと噛み合ってカウンタギヤ対を構成するカウンタドライブギヤとして機能している。そして、このように構成された自動変速機12等において、エンジン30の出力は、トルクコンバータ32、自動変速機12、差動歯車装置34、及び一対の車軸38等を含む車両用動力伝達装置11を順次介して左右の駆動輪40へ伝達されるようになっている(図4参照)。尚、自動変速機12やトルクコンバータ32は中心線(軸心)Cに対して略対称的に構成されており、図1の骨子図においてはその軸心Cの下半分が省略されている。
トルクコンバータ32は、エンジン30の動力を流体を介することなく入力軸26に直接伝達するロックアップ機構としてのロックアップクラッチ42を備えている。このロックアップクラッチ42は、係合側油室44内の油圧と解放側油室46内の油圧との差圧ΔPにより摩擦係合させられる油圧式摩擦クラッチであり、それが完全係合(ロックアップオン)させられることにより、エンジン30の動力が入力軸26に直接伝達される。また、例えば所定のスリップ状態で係合するように差圧ΔPすなわちトルク容量がフィードバック制御されることにより、車両の駆動(パワーオン)時には例えば50rpm程度の所定のスリップ量でタービン軸(入力軸26)をエンジン30の出力回転部材に対して追従回転させる一方、車両の非駆動(パワーオフ)時には例えば−50rpm程度の所定のスリップ量でエンジン30の出力回転部材をタービン軸に対して追従回転させられる。
自動変速機12は、第1変速部18及び第2変速部24の各回転要素(サンギヤS1〜S3、キャリアCA1〜CA3、リングギヤR1〜R3)のうちのいずれかの連結状態の組み合わせに応じて第1ギヤ段「1st」〜第6ギヤ段「6th」の6つの前進ギヤ段(前進変速段)が成立させられるとともに、後進ギヤ段「R」の後進ギヤ段(後進変速段)が成立させられる。図2に示すように、例えば前進ギヤ段では、クラッチC1とブレーキB2との係合により第1速ギヤ段が、クラッチC1とブレーキB1との係合により第2速ギヤ段が、クラッチC1とブレーキB3との係合により第3速ギヤ段が、クラッチC1とクラッチC2との係合により第4速ギヤ段が、クラッチC2とブレーキB3との係合により第5速ギヤ段が、クラッチC2とブレーキB1との係合により第6速ギヤ段が、それぞれ成立させられるようになっている。また、ブレーキB2とブレーキB3との係合により後進ギヤ段が成立させられ、クラッチC1、C2、及びブレーキB1〜B3の何れもが解放されることによりニュートラル状態となるように構成されている。尚、ケース14内には、エンジン30によって回転駆動されることにより、上記クラッチC1、C2、及びブレーキB1〜B3を作動させる為の元圧となる作動油圧を発生する機械式のオイルポンプ48が備えられている。
図2の作動表は、上記各ギヤ段GSとクラッチC1、C2、及びブレーキB1〜B3の作動状態との関係をまとめたものであり、「○」は係合、「◎」はエンジンブレーキ時のみ係合を表している。尚、第1ギヤ段「1st」を成立させるブレーキB2には並列に一方向クラッチF1が設けられているため、発進時(加速時)には必ずしもブレーキB2を係合させる必要は無い。つまり、発進時にはクラッチC1のみを係合させれば良く、例えば後述するニュートラル制御からの復帰時にはこのクラッチC1が係合させられる。このように、このクラッチC1は発進クラッチとして機能する。また、各ギヤ段GSの変速比γGS(=入力軸26の回転速度NIN/出力歯車28の回転速度NOUT)は、第1遊星歯車装置16、第2遊星歯車装置20、及び第3遊星歯車装置22の各ギヤ比(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)ρ1、ρ2、ρ3によって適宜定められる。
上記クラッチC1、C2、及びブレーキB1〜B3(以下、特に区別しない場合は単にクラッチC、ブレーキBという)は、例えば多板式のクラッチやブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御され、係合によりエンジン30の動力を駆動輪40側へ伝達する油圧式摩擦係合装置である。そして、油圧制御回路100内のリニアソレノイドバルブSL1〜SL5(図4,5参照)の励磁、非励磁や電流制御により、各クラッチC及びブレーキBの係合、解放状態が切り換えられると共に、係合、解放時の過渡係合油圧などが制御される。
図3は、クラッチC1を含む自動変速機12の一部を示す要部断面図である。尚、ここでは、クラッチC1を例示して油圧式摩擦係合装置を説明するが、クラッチC2も基本的には同様の構成である。また、図1と同様に、図2の断面図においてもその軸心Cの下半分が省略されている。
図3に示すように、入力軸26は、ケース14にベアリングを介して相対回転可能に支持されており、軸心Cに対して垂直に伸びる鍔部26aが設けられている。入力軸26の鍔部26aの外周縁には、その外周縁に一体に溶接接合されると共に、ケース14に対して相対回転可能に支持されている円環状の基部材50が設けられている。この基部材50の外周面には、クラッチC1の構成部材である摩擦係合要素52を支持するクラッチドラム54が一体に溶接接合されており入力軸26と一体回転させられる。
クラッチドラム54は、軸心方向の一方に開口する有底円筒状部材であり、内周面が基部材50の外周面に溶接接合されている略円環板状(円板状)の底板部54aと、その底板部54aの外周面に連結され軸心と平行に伸びる円筒状の筒部54bとで構成されている。クラッチドラム54の筒部54bの内周面には長手状に伸びるスプライン歯が設けられており、クラッチC1を構成する摩擦係合要素52のセパレートプレート52aの外周縁が複数枚スプライン嵌合されている。
摩擦係合要素52は、外周縁が筒部54bの内周面にスプライン嵌合されている複数枚の略円環板状(円板状)のセパレートプレート52aと、その複数枚のセパレートプレート52aの間に介在させられて内周縁がクラッチハブ56の外周面にスプライン嵌合されている複数枚の略円環板状(円板状)の摩擦プレート52bとで構成されている。このクラッチハブ56は、第3遊星歯車装置22のサンギヤS3に連結されてその回転を伝達するものである。
クラッチドラム54とクラッチハブ56の間には、クラッチドラム54側から摩擦係合要素52を押圧するする為のピストン58及びバネ受板60が配置されている。ピストン58は、その内周面がシールを介して入力軸26に対して軸心方向に摺動可能に嵌め付けられ、外周縁には摩擦係合要素52の方向に伸びる押圧部58aが設けられている。バネ受板60は、入力軸26に嵌め着けられているスナップリング62に当接することによって軸心方向の一方の移動が阻止させられていると共に、ピストン58とバネ受板60との間に介在させられピストン58をクラッチドラム54の底板部54aに当接するように付勢するリターンスプリング64によってバネ受板60の他方の軸心方向への移動が阻止させられている。
更に、クラッチC1において、筒部54bの内周面には、セパレートプレート52aと摩擦プレート52bとの各摩擦板の軸心方向の移動を阻止する為のスナップリング66が嵌め着けられている。また、摩擦係合要素52のスナップリング66とは反対側であるセパレートプレート52aとピストン58の押圧部58aとの間には、外周縁が筒部54bのスプライン歯にスプライン嵌合されると共に径方向内側にセパレートプレート52aと略等しい長さに延設されたリング状のバネ材であるクッションプレート68が介装されている。このクッションプレート68は、例えば後述するようにクラッチC1の解放時の油圧を制御できず、単に作動油をドレン(排出)させることだけでクラッチC1を解放するような構成である為に、その解放時のショックを軽減させることを目的として設けられている。
このように構成されたクラッチC1において、入力軸26に設けられた作動油油路70から油室72内に作動油が供給されると、その作動油の油圧によってピストン58がリターンスプリング64の付勢力に抗して摩擦係合要素52方向に移動させられ、押圧部58aがクッションプレート68の内周縁を押圧する。この押圧によって、クッションプレート68の外周縁を支点としてモーメントが発生し、このモーメント力によってクッションプレート68に隣接するセパレートプレート52aがスナップリング66側に押圧させられる。これにより、セパレートプレート52aと摩擦プレート52bとがスナップリング66側に押圧させられる。そして、スナップリング66によってセパレートプレート52a及び摩擦プレート52bの軸心方向への移動が阻止されていることから、摩擦係合要素52が係合させられる、すなわちクラッチC1が係合させられる。尚、油室72やピストン58が作動油の作用により作動させられるクラッチC1の油圧アクチュエータとして機能する。
図4は、エンジン30や自動変速機12などを制御する為に車両10に設けられた電気的な制御系統の要部を説明するブロック線図である。図4において、車両10には、例えば自動変速機12のニュートラル制御などに関連する油圧制御装置を含む電子制御装置120が備えられている。この電子制御装置120は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン30の出力制御や自動変速機12の変速制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用のエンジン制御装置や油圧制御回路100内のリニアソレノイドバルブSL1〜SL5を制御する変速制御用の油圧制御装置等に分けて構成される。
電子制御装置120には、例えば作動油温センサ74により検出された油圧制御回路100内の作動油(例えば公知のATF)の温度である作動油温TOIL表す信号、アクセル開度センサ76により検出された運転者による車両10に対する要求量(ドライバ要求量)としてのアクセルペダル78の操作量であるアクセル開度Accを表す信号、エンジン回転速度センサ80により検出されたエンジン30の回転速度であるエンジン回転速度Nを表す信号、冷却水温センサ82により検出されたエンジン30の冷却水温Tを表す信号、吸入空気量センサ84により検出されたエンジン30の吸入空気量Qを表す信号、スロットル弁開度センサ86により検出された電子スロットル弁の開度であるスロットル弁開度θTHを表す信号、車速センサ88により検出された車速Vに対応する出力歯車28の回転速度である出力回転速度NOUTを表す信号、ブレーキスイッチ90により検出された常用ブレーキであるフットブレーキの作動中(踏込操作中)を示すフットブレーキペダル92の操作(オン)BONを表す信号、レバーポジションセンサ94により検出されたシフトレバー96のレバーポジション(操作位置、シフトポジション)PSHを表す信号、タービン回転速度センサ98により検出されたトルクコンバータ32のタービンの回転速度であるタービン回転速度N(すなわち入力軸26の回転速度である入力回転速度NIN)を表す信号などがそれぞれ供給される。
また、電子制御装置120からは、エンジン30の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号S、例えばアクセル開度Accに応じて電子スロットル弁の開閉を制御する為のスロットルアクチュエータへの駆動信号や燃料噴射装置から噴射される燃料噴射量を制御する為の噴射信号やイグナイタによるエンジン30の点火時期を制御する為の点火時期信号などが出力される。また、自動変速機12の変速制御の為の油圧制御指令信号S、例えば自動変速機12のギヤ段GSを切り換える為に油圧制御回路100内のリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の励磁、非励磁などを制御する為のバルブ指令信号(油圧指令値、駆動信号)やライン油圧PLを調圧制御する為のリニアソレノイドバルブSLTへの駆動信号などが出力される。
また、シフトレバー96は、例えば運転席の近傍に配設され、図4に示すように、5つのレバーポジション「P」、「R」、「N」、「D」、または「S」へ手動操作されるようになっている。
「P」ポジション(レンジ)は自動変速機12内の動力伝達経路を解放しすなわち自動変速機12内の動力伝達が遮断されるニュートラル状態(中立状態)とし且つメカニカルパーキング機構によって機械的に出力歯車28の回転を阻止(ロック)する為の駐車ポジション(位置)である。また、「R」ポジションは自動変速機12の出力歯車28の回転方向を逆回転とする為の後進走行ポジション(位置)である。また、「N」ポジションは自動変速機12内の動力伝達が遮断されるニュートラル状態とする為の中立ポジション(位置)である。また、「D」ポジションは自動変速機12の変速を許容する変速範囲(Dレンジ)で第1ギヤ段「1st」〜第6ギヤ段「6th」の総ての前進ギヤ段を用いて自動変速制御を実行させる前進走行ポジション(位置)である。また、「S」ポジションはギヤ段の変化範囲を制限する複数種類の変速レンジすなわち高車速側のギヤ段が異なる複数種類の変速レンジを切り換えることにより手動変速が可能な前進走行ポジション(位置)である。
上記「D」ポジションは自動変速機12の変速可能な例えば図2に示すような第1速ギヤ段乃至第6速ギヤ段の範囲で自動変速制御が実行される制御様式である自動変速モードを選択するレバーポジションでもあり、「S」ポジションは自動変速機12の各変速レンジの最高速側ギヤ段を超えない範囲で自動変速制御が実行されると共にシフトレバー96の手動操作により変更された変速レンジ(すなわち最高速側ギヤ段)に基づいて手動変速制御が実行される制御様式である手動変速モードを選択するレバーポジションでもある。
尚、上記実施例では、シフトレバー96が「S」ポジションに操作されることにより、最高速側の変速レンジが設定される(シフトレンジ固定)ものであったが、シフトレバー96の操作に基づいて変速段(ギヤ段)が指定される(ギヤ段固定)ものであっても構わない。この場合、自動変速機12ではマニュアルシフト操作される度にその操作に対応する所望のギヤ段となるように変速制御が実行される。
図5は、油圧制御回路100のうちクラッチC1、C2、及びブレーキB1〜B3の各油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)ACT1〜ACT5の作動を制御するリニアソレノイドバルブSL1〜SL5に関する油圧制御回路の要部を示す図である。
図5において、油圧供給装置102は、エンジン30によって回転駆動される機械式のオイルポンプ48(図1参照)から発生する油圧を元圧として第1ライン油圧PL1を調圧する例えばリリーフ型のプライマリレギュレータバルブ(第1調圧弁)104と、そのプライマリレギュレータバルブ104から排出される油圧を元圧として第2ライン油圧PL2を調圧するセカンダリレギュレータバルブ(第2調圧弁)106と、スロットル弁開度θTHや吸入空気量Q等で表されるエンジン負荷等に応じた第1ライン油圧PL1及び第2ライン油圧PL2が調圧される為にプライマリレギュレータバルブ104及びセカンダリレギュレータバルブ106へ信号圧PSLTを供給するリニアソレノイドバルブSLTと、第1ライン油圧PL1を元圧としてモジュレータ油圧PMを一定値に調圧するモジュレータバルブ108とを備えている。また、油圧供給装置102は、シフトレバー96の操作に基づいて機械的或いは電気的に油路が切り換えられるマニュアルバルブ110を備えている。このマニュアルバルブ110は、例えばシフトレバー96が「D」ポジション或いは「S」ポジションへ操作されたときには、入力された第1ライン油圧PL1をドライブ油圧PDとして出力し、シフトレバー96が「R」ポジションへ操作されたときには、入力された第1ライン油圧PL1をリバース油圧PRとして出力し、シフトレバー96が「P」ポジション或いは「N」ポジションへ操作されたときには、油圧の出力を遮断する(ドライブ油圧PD及びリバース油圧PRを排出側へ導く)。このように、油圧供給装置102は、第1ライン油圧PL1、第2ライン油圧PL2、モジュレータ油圧PM、ドライブ油圧PD、及びリバース油圧PRを出力するようになっている。
また、油圧制御回路100には、各油圧アクチュエータACT1〜ACT5に対応して、リニアソレノイドバルブSL1〜SL5(以下特に区別しない場合はリニアソレノイドバルブSLと記載する)がそれぞれ設けられている。油圧アクチュエータACT1、ACT2、ACT3、ACT5には、それぞれ対応するリニアソレノイドバルブSL1、SL2、SL3、SL5により、油圧供給装置102からそれぞれ供給されたドライブ油圧PDが電子制御装置120からの指令信号に応じた係合油圧PC1、PC2、PB1、PB3に調圧されてそれぞれ直接的に供給される。また、各油圧アクチュエータACT4には、対応するリニアソレノイドバルブSL4により、油圧供給装置102から供給された第1ライン油圧PL1が電子制御装置120からの指令信号に応じた係合油圧PB2に調圧されて直接的に供給される。尚、ブレーキB3の油圧アクチュエータACT5には、リニアソレノイドバルブSL5により調圧された係合油圧PB3またはリバース油圧PRのどちらかがシャトル弁112を介して供給されるようになっている。
このように、油圧アクチュエータACT1、ACT2、ACT3、ACT5にそれぞれ供給される係合油圧PC1、PC2、PB1、PB3はドライブ油圧PDを元圧として調圧された油圧である。このような油圧制御回路100の構成では、例えばシフトレバー96が「D」ポジションから「N」ポジションへ操作されるD→N操作時には、元圧となるドライブ油圧PDを供給できないので、クラッチC1、C2、及びブレーキB1、B3の解放時の係合油圧PC1、PC2、PB1、PB3を調圧することができない。すなわち、D→N操作時には、解放時の係合油圧PC1、PC2、PB1、PB3は単に排出されるだけとなる。単に排出されるだけでは、解放時のショックが増大される可能性があることから、本実施例では、例えば図3に示したように、解放時のショックを軽減する為のクッションプレート68がクラッチC1に設けられている。尚、他のクラッチC2、及びブレーキB1、B3もこのクラッチC1と同様に、クッションプレートが設けられていても良い。
リニアソレノイドバルブSL1〜SL5は、基本的には何れも同じ構成であり、電子制御装置120によりそれぞれ独立に励磁、非励磁や電流制御がなされて各油圧アクチュエータACT1〜ACT5へ供給される油圧を独立に調圧制御し、クラッチC1、C2、及びブレーキB1〜B3の係合油圧PC1、PC2、PB1、PB2、PB3をそれぞれ制御するものである。そして、自動変速機12は、例えば図2の係合作動表に示すように予め定められた係合装置が係合されることによって各ギヤ段GSが成立させられる。また、自動変速機12の変速制御においては、例えば変速に関与するクラッチCやブレーキBの解放側摩擦係合装置と係合側摩擦係合装置との掴み替えによる所謂クラッチツゥクラッチ変速が実行される。このクラッチツゥクラッチ変速の際には、変速ショックを抑制しつつ可及的に速やかに変速が実行されるように解放側摩擦係合装置の解放過渡係合油圧と係合側摩擦係合装置の係合過渡係合油圧とが適切に制御される。例えば、図2の係合作動表に示すように3速→4速のアップシフトでは、ブレーキB3が解放されると共にクラッチC2が係合され、変速ショックを抑制するようにブレーキB3の解放過渡油圧とクラッチC2の係合過渡油圧とが適切に制御される。
図6は、電子制御装置120による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図6において、エンジン出力制御部すなわちエンジン出力制御手段122は、例えばスロットル制御の為にスロットルアクチュエータにより電子スロットル弁を開閉制御する他、燃料噴射量制御の為に燃料噴射装置による燃料噴射量を制御し、点火時期制御の為にイグナイタ等の点火装置を制御するエンジン出力制御指令信号Sを出力する。例えば、エンジン出力制御手段122は、図7に示すようなスロットル弁開度θTHをパラメータとしてエンジン回転速度NとエンジントルクTの推定値(以下推定エンジントルク)T’との予め実験的に求められて記憶された関係(エンジントルクマップ)から実際のエンジン回転速度Nに基づいて目標エンジントルクT が得られるスロットル弁開度θTHとなるように電子スロットル弁を開閉制御する他、燃料噴射装置による燃料噴射量を制御し、イグナイタ等の点火装置を制御する。上記目標エンジントルクT は、例えばドライバ要求量に対応するアクセル開度Accに基づいてそのアクセル開度Accが大きい程大きくされるように電子制御装置120により求められるものであり、ドライバー要求エンジントルクに相当する。
変速制御部すなわち変速制御手段124は、例えば図8に示すような車速V及びアクセル開度Accを変数として予め記憶された関係(変速マップ、変速線図)から実際の車速V及びアクセル開度Accに基づいて変速判断を行い、自動変速機12の変速を実行すべきか否かを判断する。そして、変速制御手段124は、自動変速機12の変速すべきギヤ段を判断し、その判断したギヤ段が得られるように自動変速機12の自動変速制御を実行する変速指令を出力する。例えば、変速制御手段124は、図2に示す係合表に従ってギヤ段が達成されるように、自動変速機12の変速に関与する油圧式摩擦係合装置を係合及び/又は解放させる油圧制御指令信号(変速出力指令値)Sを油圧制御回路100へ出力する。
図8の変速マップにおいて、実線はアップシフトが判断されるための変速線(アップシフト線)であり、破線はダウンシフトが判断されるための変速線(ダウンシフト線)である。この図8の変速マップにおける変速線は、例えば実際のアクセル開度Acc(%)を示す横線上において実際の車速Vが線を横切ったか否かすなわち変速線上の変速を実行すべき値(変速点車速)Vを越えたか否かを判断するためのものであり、この値Vすなわち変速点車速の連なりとして予め記憶されていることにもなる。
前記油圧制御指令信号Sは、クラッチCやブレーキBのトルク伝達容量(クラッチトルク)を制御する為のトルク指令値、すなわち必要なトルク伝達容量が得られる係合油圧を発生する為の油圧指令値であって、例えば解放側摩擦係合装置のトルク指令値として解放側摩擦係合装置を解放する為の必要なトルク伝達容量が得られるように作動油が排出される油圧指令値が出力されると共に、係合側摩擦係合装置のトルク指令値として係合側摩擦係合装置を係合する為の必要なトルク伝達容量が得られるように作動油が供給される油圧指令値が出力される。また、自動変速機12の何れかのギヤ段GSを維持する非変速時には、変速機入力トルクTINに耐えうる摩擦力を保持できる(すなわちトルク伝達容量を確保できる)係合油圧を発生するための油圧指令値が出力される。
油圧制御回路100は、変速制御手段124による油圧制御指令信号Sに従って、自動変速機12の変速が実行されるように、或いは自動変速機12の現在のギヤ段GSが維持されるように、油圧制御回路100内のリニアソレノイドバルブSL1〜SL5を作動させて、そのギヤ段GS成立(形成)に関与する油圧式摩擦係合装置の各油圧アクチュエータACT1〜ACT5を作動させる。
ここで、本実施例の車両10では、例えば車両停車中におけるエンジン30のアイドリング負荷を低減する為にニュートラル制御を実行する。このニュートラル制御は、例えば予め設定された所定のニュートラル制御条件が満たされた場合に、発進クラッチであるクラッチC1を所定のスリップ状態乃至解放状態として自動変速機12内の動力伝達経路を動力伝達抑制状態(すなわち動力伝達遮断状態と略同等の状態乃至動力伝達遮断状態)とする制御である。尚、クラッチC1の所定のスリップ状態とは、若干の滑りを有するが係合荷重の殆ど生じていないすなわちトルク伝達容量を殆ど持たない解放状態と同等の状態である。
具体的には、ニュートラル制御条件判定部すなわちニュートラル制御条件判定手段126は、例えばシフトレバー96の走行ポジションにおいて所定のニュートラル制御条件が成立するか否かを判定する。すなわち、ニュートラル制御条件判定手段126は、所定のニュートラル制御条件が成立するか否かを判定することにより、ニュートラル制御の実行を開始するか否かを逐次判定するニュートラル制御実行判定手段である。この所定のニュートラル制御条件は、例えば車両10が停止中であってアクセルペダル78が踏み込まれておらず、フットブレーキペダル92が踏まれていることなどである。ニュートラル制御条件判定手段126は、例えばレバーポジションPSHが「D」ポジションであるときに、車速Vが車両停止を判定する為の所定の車速零判定値であり、アクセル開度Accがアクセルオフを判定する為の所定の開度零判定値であり、且つブレーキスイッチ90から操作(オン)BONを表す信号が出力されている場合に、ニュートラル制御条件が成立したと判定する。
また、ニュートラル制御条件判定手段126は、後述するニュートラル制御手段128によるニュートラル制御中に前記所定のニュートラル制御条件が成立するか否かを判定することにより、そのニュートラル制御を解除(終了)するか否かを逐次判定する、すなわちニュートラル制御からの復帰を開始するか否かを逐次判定するニュートラル制御解除判定手段でもある。例えば、ニュートラル制御条件判定手段126は、ニュートラル制御手段128によるニュートラル制御中に、例えばレバーポジションPSHが「D」ポジションから操作されたか、アクセルペダル78が踏込み操作されたと判定されるような所定のアクセル開度判定値以上となったか、或いはブレーキスイッチ90から操作(オン)BONを表す信号が出力されなくなったブレーキオフの場合に、ニュートラル制御の解除開始を判定する。
ニュートラル制御部すなわちニュートラル制御手段128は、例えばニュートラル制御条件判定手段126によりシフトレバー96の「D」ポジションにおいて前記所定のニュートラル制御条件が成立したと判定された場合には、第1速ギヤ段を達成する為の係合装置であるクラッチC1を所定のスリップ状態乃至解放状態とするニュートラル制御実行指令を変速制御手段124に出力して、自動変速機12を含む動力伝達経路を動力伝達抑制状態乃至動力伝達遮断状態とするニュートラル制御を実行する。変速制御手段124は、そのニュートラル制御実行指令に従って、クラッチC1を所定のスリップ状態乃至解放状態とするように予め定められた所定の解放パターンに従ってクラッチC1の係合圧を低下させるクラッチ解放指令を油圧制御回路100に出力する。自動変速機12内の動力伝達が抑制乃至遮断(解放)されることにより、トルクコンバータ32の後段側(下流側)の負荷が抑制され、トルクコンバータ32が略一体回転するようになってエンジン30のアイドリング負荷が抑制され、燃費やNVH(騒音・振動・乗り心地)性能が向上する。このように、ニュートラル制御では、クラッチC1が例えば解放状態(或いはわずかにスリップ係合するような係合直前状態)とさせられることにより、自動変速機12内の動力伝達経路が実質的に解放状態とされつつ、クラッチC1の半係合から係合への切換によって直ちに発進可能な発進待機状態とされる。
ニュートラル解除時制御部すなわちニュートラル解除時制御手段130は、例えばニュートラル制御手段128によるニュートラル制御中にニュートラル制御条件判定手段126によりニュートラル制御の解除開始が判定された場合には、自動変速機12を含む動力伝達経路を動力伝達可能状態とするように、第1速ギヤ段の係合側係合装置であるクラッチC1のトルク伝達容量を増加させて係合させるニュートラル制御解除指令を変速制御手段124に出力して、ニュートラル制御を解除(終了)するすなわちニュートラル制御から復帰させる。変速制御手段124は、そのニュートラル制御解除指令に従って、クラッチC1を係合状態とするように予め定められた所定の係合パターンに従ってクラッチC1の係合油圧PC1を上昇させるクラッチ係合指令を油圧制御回路100に出力する。
ここで、ニュートラル制御を解除するとき(ニュートラル制御解除時)の上記所定の係合パターンすなわちクラッチC1の油圧指令値について検討する。例えばブレーキオフによりニュートラル制御が解除されるが未だアクセルオフのままであるときには、エンジントルクTが増大しないことから、クラッチC1を速やかに係合させても、係合ショックの発生は抑制される。そこで、アクセルオフの通常解除時の所定の係合パターンとしては、図9に示すように、タービン回転速度NをクラッチC1の出力側の回転速度としての車速Vに拘束されるサンギヤS3の回転速度NS3に向けて速やかに低下させるように、すなわちクラッチC1の入出力間の差回転速度ΔNC1(=N−NS3)が速やかに零に向かうように、クラッチC1のトルク伝達容量(係合油圧PC1)を増加させて係合させる油圧指令値とする。
図9において、アクセルオフのニュートラル制御解除時のクラッチC1の油圧指令値として、先ず、ファーストフィル(急速充填)の為の油圧指令値が出力開始され(t1時点)、次いで、低圧にて待機する為の低圧待機圧PWLに維持される(t2時点乃至t4時点)。低圧待機圧PWLとされているときにクラッチC1がトルク伝達容量を持ち始めてタービン回転速度Nが低下し始めると(t3時点)、その後、係合ショックを抑制しつつ差回転速度ΔNC1が零とされるようにすなわちクラッチC1が係合されるようにクラッチC1のトルク伝達容量を増加させる為の所定の勾配にて低圧待機圧PWLから漸増する油圧指令値が出力される(t4時点乃至t5時点)。そして、差回転速度ΔNC1が零とされると、最終的な係合油圧PC1を得る為の油圧指令値とされる(t5時点以降)。
尚、サンギヤS3の回転速度NS3は、タービン回転速度Nと同意の入力回転速度NINとは異なるが、クラッチC1の係合により入力回転速度NINと同回転速度となることから、自動変速機12の入力回転速度と見ることもできる。従って、本実施例では、入力軸26の回転速度を入力回転速度NINとし、サンギヤS3の回転速度NS3を変速機入力側回転速度NS3とする。また、変速機入力側回転速度NS3はタービン回転速度N等と同様に、直接的に回転センサを用いて検出しても良いが、電子制御装置120により出力回転速度NOUTと自動変速機12の現在のギヤ段GSにおける変速比γGSに基づいて変速機入力側回転速度NS3(=γGS×NOUT)が算出されても良い。
一方、例えばアクセルオンを伴うニュートラル制御の解除時には、アクセル開度Accの増大に応じてある程度の応答遅れを持ってエンジントルクTが増大する。この際、エンジントルクTが立ち上がる前にクラッチC1を速やかに係合するように例えば図9に示すようなアクセルオフ時の油圧指令値にて係合油圧PC1を上昇させると、最終的な係合前に既にクラッチC1のトルク伝達容量が高くなることと、タービン回転速度Nが速やかに低下することによるイナーシャトルクの発生とで、エンジントルクTに依らない駆動力が係合前に発生する。そして、クラッチC1の係合後にはエンジントルクTの伝達により駆動力が発生するが、係合前の駆動力が相対的に大きい場合には係合後に駆動力(加速度)が一旦落ち込む可能性がある。そこで、アクセルオンを伴うニュートラル制御解除時の所定の係合パターンとしては、係合後の出力トルクの落込みを抑制する為に、図10に示すように、タービン回転速度Nを一旦吹き上げて、その後、タービン回転速度Nと変速機入力側回転速度NS3(サンギヤS3の回転速度NS3)とを所定の回転変化でゆっくりと近づけるように、すなわちクラッチC1の入出力間の差回転速度ΔNC1(=N−NS3)が所定の回転変化で零に向かうように、クラッチC1のトルク伝達容量(係合油圧PC1)を増加させて係合させる油圧指令値とする。
図10において、アクセルオンを伴うニュートラル制御解除時のクラッチC1の油圧指令値として、先ず、図9の通常解除時と同様に、ファーストフィル(急速充填)の為の油圧指令値が出力開始され(t1時点)、次いで、低圧にて待機する為の低圧待機圧PWLに維持される(t2時点乃至t4時点)。低圧待機圧PWLとされているときにクラッチC1がトルク伝達容量を持ち始めてタービン回転速度Nが低下し始めると(t3時点)、その後、アクセルオンに応じたエンジン回転速度Nの吹き上がりに伴ってタービン回転速度Nが吹き上がるようにタービン回転速度Nの吹き上がりを待つ為の第2低圧待機圧PWL2に維持される(t4時点乃至t5時点)。タービン回転速度Nが吹き上がった後、クラッチC1の係合に向けて係合油圧PC1を速やかに上昇させる為の第2低圧待機圧PWL2から急増する油圧指令値が出力され(t5時点)、次いで、吹き上がったタービン回転速度Nを低下させるように係合油圧PC1を増大させる為の漸増する油圧指令値が出力される(t5時点乃至t6時点)。その後、差回転速度ΔNC1が小さくされると、差回転速度ΔNC1が係合ショックを抑制しつつ係合される為の予め求められた所定の回転変化で零に向かうように、差回転速度ΔNC1に基づくフィードバック制御により係合油圧PC1を変化(調圧)させる為の油圧指令値とされる(t6時点乃至t7時点)。そして、差回転速度ΔNC1が零とされてクラッチC1が係合させられると、上記フィードバック制御が終了させられて最終的な係合油圧PC1を得る為の油圧指令値とされる(t7時点以降)。
ところで、本実施例のようにクッションプレート68を有するクラッチC1を係合する場合には、ピストン58が摩擦係合要素52を押圧するときの実際のクラッチ圧PC1(実クラッチ圧PC1)は、クッションプレート68が押し潰される過程では、主にクッションプレート68を押し潰す為に作用する油圧と、摩擦係合要素52そのものを押圧する為に作用する油圧(すなわちトルク伝達容量を増加させる為に作用する油圧)とに分けられる。そうすると、油圧指令値を増大して実クラッチ圧PC1を上昇させていく過程では、クッションプレート68が完全に潰れ切るまでは、クッションプレート68の形状変化によって摩擦係合要素52に作用する油圧分の制御性(油圧指令値に対する追従性)が低下する可能性がある。つまり、クッションプレート68が完全に潰れ切るまでは、油圧指令値を増大させて実クラッチ圧PC1を増加させても、クッションプレート68に作用する油圧分に取られて摩擦係合要素52に作用する油圧分が増加せず、摩擦係合要素52に作用する油圧分と油圧指令値(或いは実クラッチ圧PC1)との乖離が大きくなる可能性がある。その為、実クラッチ圧PC1が上昇していく過程のある時点でクッションプレート68が完全に潰れ切ると、実クラッチ圧PC1が専ら摩擦係合要素52に作用する油圧分となるので、結果的にその摩擦係合要素52に作用する油圧分が実クラッチ圧PC1まで急上昇させられることになる。このような現象が、例えば図10のt5時点乃至t5’時点に示すような油圧指令値を第2低圧待機圧PWL2から急増させることに伴って実クラッチ圧PC1が急上昇させられる過程で発生すると、摩擦係合要素52に作用する油圧分が急上昇させられてクラッチC1は急係合させられ、その時の急激なイナーシャ変化により係合ショックが増大させられる可能性がある。つまり、クラッチC1では、第2低圧待機圧PWL2後に上記実クラッチ圧PC1が急上昇させられる過程でクッションプレート68を押し潰す為のクッション荷重FCPに相当するクッション潰れ油圧PCPFがクッションプレート68へ作用すると、摩擦係合要素52に作用する油圧分が急上昇させられて係合ショックが増大させられる可能性がある。
そこで、本実施例では、ニュートラル制御の解除時にクラッチC1を係合する為にクラッチ圧Pcを上昇させる際には、係合ショックの発生を抑制する為に、クッション荷重FCPに相当するクッション潰れ油圧PCPFがクッションプレート68へ作用する直前の直前待機圧PWDBでクラッチ圧Pcの上昇を一時的に待機させる。例えば、アクセルオンを伴うニュートラル制御解除時の所定の係合パターンとして、第2低圧待機圧PWL2後にクラッチ圧Pcを再び上昇させる際には、直前待機圧PWDBでそのクラッチ圧Pcの上昇を一時的に待機させる。これにより、直前待機圧PWDBにおける実クラッチ圧Pcとクッション潰れ油圧PCPFとの差が小さくされるので、クッションプレート68が押し潰されたときの摩擦係合要素52に作用する油圧分の急上昇が直前待機圧PWDB付近からの上昇となり、第2低圧待機圧PWL2付近からの上昇に比較して、摩擦係合要素52に作用する油圧分の急上昇が小さくされる。尚、クッション荷重FCPは例えばクッションプレート68を押し潰す為の予め実験的に或いは設計的に求められた仕様であり、クッション潰れ油圧PCPFは例えばクッション荷重FCPに対応する係合油圧PC1として予め実験的に或いは設計的に求められた油圧値であり、直前待機圧PWDBは例えばクッション潰れ油圧PCPFに対して所定のマージン(安全幅、余裕代)を持つ油圧指令値として予め実験的に或いは設計的に求められたクッション潰れ油圧PCPFよりも小さい油圧値である。
より具体的には、図6に戻り、アクセル操作判定部すなわちアクセル操作判定手段132は、例えばアクセル開度Accがアクセルオフを判定する為の所定の開度零判定値を超えたか否かに基づいて、ニュートラル解除時制御手段130によるニュートラル制御の解除に際してアクセルペダル78の踏込操作が為されたか否かすなわちアクセルオンとされたか否かを判定する。
ニュートラル解除進行度判定部すなわちニュートラル解除進行度判定手段134は、例えばニュートラル解除時制御手段130によるニュートラル制御の解除過程において、エンジン回転速度Nが吹いたか否かすなわちエンジン回転速度Nが上昇開始したか否かを判定する。例えば、ニュートラル解除進行度判定手段134は、エンジン回転速度Nの変化量ΔNがエンジン回転速度Nの上昇開始を判定する為の所定の変化量ΔN’以上となったか否かに基づいて、エンジン回転速度Nが上昇開始したか否かを判定する。尚、ここでのエンジン回転速度Nの変化量ΔNは、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される制御上は、実質的にはエンジン回転速度Nの変化速度(dN/dt)と同意として取り扱う。従って、エンジン回転速度Nの変化量ΔNが所定の変化量ΔN’以上となったか否かは、実質的には、エンジン回転速度Nの変化速度(dN/dt)が所定の変化速度(dN/dt)’以上となったか否かと見ることもできる。
また、ニュートラル解除進行度判定手段134は、例えばニュートラル解除時制御手段130によるニュートラル制御の解除過程において、タービン回転速度Nが吹いたか否かすなわちタービン回転速度Nが上昇開始したか否かを判定する。例えば、ニュートラル解除進行度判定手段134は、タービン回転速度Nの変化量ΔNがタービン回転速度Nの上昇開始を判定する為の所定の変化量ΔN’以上となったか否かに基づいて、タービン回転速度Nが上昇開始したか否かを判定する。尚、ここでのタービン回転速度Nの変化量ΔNは、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される制御上は、実質的にはタービン回転速度Nの変化速度(dN/dt)と同意として取り扱う。従って、タービン回転速度Nの変化量ΔNが所定の変化量ΔN’以上となったか否かは、実質的には、タービン回転速度Nの変化速度(dN/dt)が所定の変化速度(dN/dt)’以上となったか否かと見ることもできる。
また、ニュートラル解除進行度判定手段134は、例えばニュートラル解除時制御手段130によるニュートラル制御の解除過程において、クラッチC1の係合が完了したか否かを判定する。例えば、ニュートラル解除進行度判定手段134は、クラッチC1の入出力間の差回転速度ΔNC1(=N−NS3)がクラッチC1の係合完了を判定する為の所定の差回転零判定値となったか否かに基づいて、クラッチC1の係合が完了したか否かを判定する。
変速制御手段124は、アクセル操作判定手段132によりアクセルオンとされていないと判定される場合は、図9に示すようなアクセルオフの通常解除時の所定の係合パターンに従ってクラッチC1の係合油圧PC1を上昇させるクラッチ係合指令を油圧制御回路100に出力する。一方、変速制御手段124は、アクセル操作判定手段132によりアクセルオンとされたと判定された場合は、アクセルオンを伴うニュートラル制御解除時の所定の係合パターンに従ってクラッチC1の係合油圧PC1を上昇させるクラッチ係合指令を油圧制御回路100に出力する。
例えば、変速制御手段124は、アクセル操作判定手段132によりアクセルオンとされたと判定された場合は、タービン回転速度Nが低下し始めた後に、所定の勾配にて低圧待機圧PWLから漸増するアクセルオフの通常解除時の油圧指令値に替えて、低圧待機圧PWL後に第2低圧待機圧PWL2に維持する油圧指令値を油圧制御回路100に出力する。また、変速制御手段124は、ニュートラル解除進行度判定手段134によりエンジン回転速度Nが上昇開始したと判定された場合には、第2低圧待機圧PWL2からのファーストフィル(急速充填)の為の油圧指令値に続いてクッション潰れ油圧PCPFがクッションプレート68へ作用する直前の直前待機圧PWDBに維持する油圧指令値を油圧制御回路100に出力する。また、変速制御手段124は、ニュートラル解除進行度判定手段134によりタービン回転速度Nが上昇開始したと判定された場合には、クラッチC1の係合に向けて係合油圧PC1を速やかに上昇させる為の直前待機圧PWDBから急増する油圧指令値を油圧制御回路100に出力する。また、変速制御手段124は、ニュートラル解除進行度判定手段134によりクラッチC1の係合が完了したと判定された場合には、差回転速度ΔNC1に基づくフィードバック制御により係合油圧PC1を変化させる為の油圧指令値に替えて、最終的な係合油圧PC1を得る為の油圧指令値を油圧制御回路100に出力する。
図11は、電子制御装置120の制御作動の要部すなわちニュートラル制御を解除する際にクッションプレート68が潰れることによる係合ショックを抑制する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。この図11のフローチャートのスタート時は、ニュートラル制御手段128によるニュートラル制御が実行中であることを前提としている。また、図12は、図11の制御作動に対応するタイムチャートである。
図11において、先ず、ニュートラル制御条件判定手段126に対応するS10において、例えば前記所定のニュートラル制御条件が成立するか否かが判定されることにより、ニュートラル制御を解除するか否かが逐次判定されるすなわちニュートラル制御からの復帰制御を開始するか否かが逐次判定される。このS10の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが肯定される場合はニュートラル解除時制御手段130及び変速制御手段124に対応するS20において、例えばクラッチC1を係合させるニュートラル制御解除指令が出力され、ニュートラル制御の解除が開始されるすなわちニュートラル制御からの復帰が開始される(図12のt1時点)。この時点では、未だアクセルオンが判定されていないので、そのニュートラル制御解除指令に従ってクラッチC1を係合状態とするように予め定められた図9に示すようなアクセルオフの通常解除時の所定の係合パターンに従ってクラッチC1の係合油圧PC1を上昇させるクラッチ係合指令が油圧制御回路100に出力される。例えば、ファーストフィル(急速充填)の為の油圧指令値が出力開始され(図12のt1時点)、それに続いて、低圧待機圧PWLに維持する油圧指令値が出力される(図12のt2時点)。次いで、アクセル操作判定手段132に対応するS30において、例えばアクセル開度Accが所定の開度零判定値を超えたか否かに基づいてアクセルオンとされたか否かが判定される。このS30の判断が否定される場合は変速制御手段124に対応するS40において、例えば上記S20にて開始された図9に示すようなアクセルオフの通常解除時の所定の係合パターンに従ってクラッチC1の係合油圧PC1を上昇させるクラッチ係合指令の出力が継続される。
一方で、上記S30の判断が肯定される場合は変速制御手段124に対応するS50において、例えばタービン回転速度Nが低下し始めた(図12のt3時点)後に、所定の勾配にて低圧待機圧PWLから漸増するアクセルオフの通常解除時の油圧指令値に替えて、アクセルオンに応じたエンジン回転速度Nの吹き上がりに伴ってタービン回転速度Nが吹き上がるように(すなわち意図的にタービン回転速度Nを吹け上がらせるように)低圧待機圧PWL後に第2低圧待機圧PWL2に維持する油圧指令値が出力される(図12のt4時点)。次いで、ニュートラル解除進行度判定手段134に対応するS60において、例えばエンジン回転速度Nの変化量ΔNが所定の変化量ΔN’以上となったか否かに基づいてエンジン回転速度Nが吹いたか否かが判定される。このS60の判断が否定される場合は上記S50に戻るが肯定される場合は変速制御手段124に対応するS70において、例えば第2低圧待機圧PWL2からのファーストフィル(急速充填)の為の油圧指令値が出力され(図12のt4’時点)、それに続いて、クッション潰れ油圧PCPFがクッションプレート68へ作用する直前の直前待機圧PWDBに維持する油圧指令値が出力される(図12のt4”時点)。次いで、ニュートラル解除進行度判定手段134に対応するS80において、例えばタービン回転速度Nの変化量ΔNが所定の変化量ΔN’以上となったか否かに基づいてタービン回転速度Nが吹いたか否かが判定される。このS80の判断が否定される場合は上記S70に戻るが肯定される場合は変速制御手段124に対応するS90において、例えばクラッチC1の係合に向けて係合油圧PC1を速やかに上昇させる為の直前待機圧PWDBから急増する油圧指令値が出力され(図12のt5時点)、それに続いて、吹き上がったタービン回転速度Nを低下させるように係合油圧PC1を増大させる為の漸増する油圧指令値が出力される(図12のt5時点以降)。その後、クラッチC1の入出力間の差回転速度ΔNC1(=N−NS3)がフィードバック制御に移行する為の所定の回転速度差ΔNC1’より小さくされると、或いは差回転速度ΔNC1の変化が減少側に転ずると、変速制御手段124に対応するS100において、例えば差回転速度ΔNC1が係合ショックを抑制しつつ係合される為の予め求められた所定の回転変化で零に向かうように差回転速度ΔNC1に基づくフィードバック制御により係合油圧PC1を変化(調圧)させる為の油圧指令値が出力される(図12のt6時点以降)。次いで、ニュートラル解除進行度判定手段134に対応するS110において、例えば差回転速度ΔNC1が所定の差回転零判定値以下となったか否かに基づいてクラッチC1の係合が完了したか否かが判定される。このS110の判断が否定される場合は上記S100に戻るが肯定される場合は本ルーチンが終了させられる。例えば、差回転速度ΔNC1が零となってクラッチC1の係合完了が判定されると、上記S100におけるフィードバック制御が終了させられて最終的な係合油圧PC1を得る為の油圧指令値が出力される(図12のt7時点以降)。
上述のように、本実施例によれば、ニュートラル制御の解除時にクラッチC1を係合する為にクラッチ圧Pcを上昇させる際には、クッションプレート68を押し潰す為のクッション荷重FCPに相当するクッション潰れ油圧PCPFがクッションプレート68へ作用する直前の直前待機圧PWDBでクラッチ圧Pcの上昇が一時的に待機させられるので、クッションプレート68が押し潰されたときの摩擦係合要素52に作用する油圧分(摩擦係合要素52を押圧する油圧分)の急上昇が上記直前待機圧PWDB付近からの上昇となり、例えばクッション潰れ油圧PCPFがクッションプレート68へ作用する直前の直前待機圧PWDBでクラッチ圧Pcの上昇が一時的に待機させられずにそのまま上昇させられてクッションプレート68が押し潰される場合に比較して、摩擦係合要素52に作用する油圧分の急上昇分が小さくされて係合ショックが抑制される。このように、ニュートラル制御の解除にあたりクラッチC1を係合する為にクラッチ圧Pcを上昇させる際に、クッションプレート68が潰れることによる係合ショックを抑制することができる。
また、本実施例によれば、アクセルオンを伴うニュートラル制御の解除時には、低圧待機圧PWL後にタービン回転速度Nを一旦吹き上げる為に第2低圧待機圧PWL2に維持させ、その後クラッチC1の係合に向けてクラッチ圧Pcを第2低圧待機圧PWL2から再び上昇させ、タービン回転速度NTとサンギヤS3の回転速度NS3とを所定の回転変化でゆっくりと近づけるようにクラッチC1の入出力間の差回転速度ΔNC1(=N−NS3)に基づくフィードバック制御によりクラッチ圧Pcが変化させられるので、クラッチC1の係合後の出力トルク(加速度)の落込みを抑制することができる。加えて、クラッチC1の係合に向けてクラッチ圧Pcを第2低圧待機圧PWL2から再び上昇させる際に、クッション荷重FCPに相当するクッション潰れ油圧PCPFがクッションプレート68へ作用する直前の直前待機圧PWDBでクラッチ圧Pcの上昇が一時的に待機させられるので、摩擦係合要素52に作用する油圧分の急上昇分が小さくされて係合ショックが適切に抑制される。
次に、本発明の他の実施例を説明する。尚、以下の説明において実施例相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
前述の実施例では、直前待機圧PWDBは、クッション荷重FCPに相当するクッション潰れ油圧PCPFに対して所定のマージン(安全幅、余裕代)を持つ油圧指令値として一律に設定されたクッション潰れ油圧PCPFよりも小さい油圧値であった。ところで、クッションプレート68が潰れることによる係合ショックを可及的に抑制するには、例えば直前待機圧PWDBをクッション潰れ油圧PCPFがクッションプレート68へ作用する寸前の油圧に設定することが望ましいが、クッション潰れ油圧PCPFに対するマージンを取らずに直前待機圧PWDBをぎりぎりに設定すると、クッション荷重FCPの個体差(製品ばらつき)等がある為にクッション荷重FCPが小さい下限品などでは、その設定した直前待機圧PWDBでの待機中にクッション潰れ油圧PCPFを超えてしまって相応の係合ショックが発生する可能性がある。
そこで、本実施例では、前述の実施例に加えて、直前待機圧PWDBでの一時的な待機中に、クッション荷重FCPに相当するクッション潰れ油圧PCPFがクッションプレート68へ作用したことに伴うクラッチC1の入力側回転速度の変化例えばタービン回転速度Nの変化に基づいて、クラッチ圧Pcの上昇を一時的に待機させる際の次回の直前待機圧PWDBを学習制御により設定する。つまり、直前待機圧PWDBでの待機中にクッション潰れ油圧PCPFを超えてしまうことによる係合ショックの発生に対応した変化が生じるタービン回転速度Nの変化量ΔNを検出することによって、次回の直前待機圧PWDBを適宜学習制御により補正し、車両毎に最適な直前待機圧PWDBを設定する。例えば、直前待機圧PWDBの学習制御は、直前待機圧PWDBでの一時的な待機中におけるタービン回転速度Nの変化量ΔNに所定値以上の落込みが生じた毎に、次回の直前待機圧PWDBを今回の直前待機圧PWDBから段階的に低下させる。
より具体的には、図13は、電子制御装置120による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図であって、図6の機能ブロック線図に対して、ショック発生判定手段136及び待機圧学習制御手段138を備える点が相違する。図13において、ショック発生判定部すなわちショック発生判定手段136は、直前待機圧PWDBでの一時的な待機中におけるタービン回転速度Nの変化量ΔNに所定値以上の落込みが生じたか否かを判定する。例えば、ショック発生判定手段136は、所定時間の間に、変化量ΔNの減少側への所定値以上の変化と、変化量ΔNの増大側への所定値以上の変化とを検出したか否かに基づいて、タービン回転速度Nの変化量ΔNに所定値以上の落込みが生じたか否かを判定する。上記所定値は、直前待機圧PWDBでの一時的な待機中にクッション潰れ油圧PCPFを超えてしまうことによる係合ショックの発生に対応したタービン回転速度Nの変化を判定する為の予め実験的等に求められた判定値である。
待機圧学習制御部すなわち待機圧学習制御手段138は、ショック発生判定手段136により直前待機圧PWDBでの一時的な待機中におけるタービン回転速度Nの変化量ΔNに所定値以上の落込みが生じたと判定された場合には、次回の直前待機圧PWDBを今回の直前待機圧PWDBから一段階下げる。例えば、待機圧学習制御手段138は、一段階の低下分として予め設定された所定の油圧分を今回の直前待機圧PWDBから低下させた油圧を次回の直前待機圧PWDBとして設定することにより、次回の直前待機圧PWDBを今回の直前待機圧PWDBから一段階下げる。
変速制御手段124は、待機圧学習制御手段138による学習制御により設定された直前待機圧PWDBを用いて、第2低圧待機圧PWL2からのファーストフィル(急速充填)の為の油圧指令値に続いてクッション潰れ油圧PCPFがクッションプレート68へ作用する直前の直前待機圧PWDBに維持する油圧指令値を油圧制御回路100に出力する。
図14は、電子制御装置120の制御作動の要部すなわち直前待機圧PWDBを学習制御する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。この図14のフローチャートは、例えば図11のフローチャートにおけるステップ70が実行されているときすなわち直前待機圧PWDBに維持する油圧指令値が出力されているときに実行される。また、図15は、図14の制御作動に対応するタイムチャートである。
図14において、先ず、ショック発生判定手段136に対応するS200において、例えば所定時間の間に、タービン回転速度Nの変化量ΔNの減少側への所定値以上の変化と、タービン回転速度Nの変化量ΔNの増大側への所定値以上の変化とが検出されたか否かに基づいて、タービン回転速度Nの変化量ΔNに所定値以上の落込みが生じたか否かが判定される。このS200の判断が否定される場合は待機圧学習制御手段138に対応するS210において、例えば次回の直前待機圧PWDBとして今回の直前待機圧PWDBがらそのまま用いられる。一方で、上記S200の判断が肯定される場合は待機圧学習制御手段138に対応するS220において、例えば次回の直前待機圧PWDBが今回の直前待機圧PWDBから一段階下げられる。つまり、所定の油圧分を今回の直前待機圧PWDBから低下させた油圧が次回の直前待機圧PWDBとして設定される。
図15において、図15(a)に示すように、設定された直前待機圧PWDBがクッション荷重FCPに相当するクッション潰れ油圧PCPFよりも大きい場合には、直前待機圧PWDBでの待機中にクッション潰れ油圧PCPFを超えてしまって相応の係合ショックが発生する。この際の、タービン回転速度Nの変化量ΔNをモニタリングし、タービン回転速度Nの変化量ΔNに所定値以上の落込みが生じて急変したと判断した場合には、今回の直前待機圧PWDBが高すぎると判断する。そして、学習制御によって次回の直前待機圧PWDBを今回の直前待機圧PWDBから一段階下げる。これを繰り返すことによって、図15(b)に示すように、直前待機圧PWDBを最適な値に設定することができる。
上述のように、本実施例によれば、直前待機圧PWDBでの一時的な待機中に、クッション荷重FCPに相当するクッション潰れ油圧PCPFがクッションプレート68へ作用したことに伴うタービン回転速度Nの変化量ΔNに基づいて、クラッチ圧Pcの上昇を一時的に待機させる際の次回の直前待機圧PWDBを学習制御により設定するので、クッション荷重FCPの個体差等に左右されずに、車両毎に係合ショックを抑制する為の最適な直前待機圧PWDBを設定することができる。
また、本実施例によれば、直前待機圧PWDBの学習制御は、直前待機圧PWDBでの一時的な待機中におけるタービン回転速度Nの変化量ΔNに所定値以上の落込みが生じた毎に、次回の直前待機圧PWDBを今回の直前待機圧PWDBから段階的に低下させるので、クッション荷重FCPの個体差等に左右されずに、車両毎に係合ショックを抑制する為の最適な直前待機圧PWDBを一層確実に設定することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、変速制御手段124(図11のステップS70)は、エンジン回転速度Nが上昇開始した時点を起点として、第2低圧待機圧PWL2からのファーストフィル(急速充填)の為の油圧指令値に続いてクッション潰れ油圧PCPFがクッションプレート68へ作用する直前の直前待機圧PWDBに維持する油圧指令値を油圧制御回路100に出力したが、必ずしもエンジン回転速度Nが上昇開始した時点を起点としなくとも良い。例えば、ある程度エンジン回転速度が吹き上がった時点を起点としても良い。また、変速制御手段124(図11のステップS90)は、タービン回転速度Nが上昇開始した時点を起点として、クラッチC1の係合に向けて係合油圧PC1を速やかに上昇させる為の直前待機圧PWDBから急増する油圧指令値を油圧制御回路100に出力したが、必ずしもタービン回転速度Nが上昇開始した時点を起点としなくとも良い。例えば、図15に示すように、ある程度タービン回転速度Nが吹き上がった時点を起点としても良い。
また、前述の実施例において、ニュートラル制御手段128は、ニュートラル制御をシフトレバー96の「D」ポジションにおいて実行したが、シフトレバー96の「R」ポジションにおいて実行しても良い。この場合には、後進ギヤ段を達成するための係合装置であるブレーキB2及びブレーキB3の少なくとも何れかをスリップ状態乃至解放状態とする。このような「R」ポジションにおいてニュートラル制御を実行する場合でも、本発明は適用され得る。
また、ニュートラル制御条件判定手段126は、クラッチC1の温度がクラッチC1の耐久性を損なう所定温度以上に達した場合や所定温度以上の状態が所定時間以上継続した場合等にニュートラル制御の解除開始を判定しても良い。このようにニュートラル制御の解除開始を判定する為に他の種々の条件を設定することができる。尚、クラッチC1の温度は温度センサにより直接的に検出されても良いし、スリップ状態におけるクラッチC1の相対回転速度差やスリップ継続時間等から推定しても良い。
また、前述の実施例では、自動変速機12が前進6速、後進1速の変速が可能な自動変速機であったが、自動変速機の変速段数や内部構造は特に前述した自動変速機12に限定されるものではない。すなわち、ニュートラル制御が実施可能であり、且つ、ニュートラル制御が解除される際に、所定の係合装置を係合させる構成であれば、本発明を適用することができる。また、ベルト式無段変速機などの無段変速機であっても本発明を適用することができる。尚、ベルト式無段変速機などの場合には、例えばエンジンとベルト式無段変速機との間の動力伝達経路を断接することが可能な係合装置や良く知られた前後進切換装置に設けられたを係合装置などにおいて、本発明が適用される。
また、前述の実施例では、流体式伝動装置としてロックアップクラッチ42が備えられているトルクコンバータ32が用いられていたが、必ずしもロックアップクラッチ42が備えられていなくとも良いし、トルク増幅作用のないフルードカップリングが用いられても良い。
また、前述した複数の実施例はそれぞれ、例えば優先順位を設けるなどして、相互に組み合わせて実施することができる。
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両
11:車両用動力伝達装置
30:エンジン
32:トルクコンバータ(流体式伝動装置)
40:駆動輪
52:摩擦係合要素
58:ピストン
58a:押圧部
68:クッションプレート
120:電子制御装置(油圧制御装置)
C1:クラッチ(油圧式摩擦係合装置)

Claims (4)

  1. 係合によりエンジンの動力を駆動輪側へ伝達すると共に摩擦係合要素とピストンの押圧部との間にバネ材であるクッションプレートが介装された油圧式摩擦係合装置を備え、走行ポジションにおいて所定のニュートラル制御条件が成立した場合に該油圧式摩擦係合装置をスリップ状態乃至解放状態として前記エンジンから前記駆動輪までの間の動力伝達経路を動力伝達抑制状態とすることにより該エンジンのアイドリング負荷を抑制する為のニュートラル制御を実行する車両用動力伝達装置の油圧制御装置であって、
    前記ニュートラル制御の解除時に前記油圧式摩擦係合装置を係合する為に係合圧を上昇させる際には、前記クッションプレートを押し潰す為のクッション荷重に相当する油圧が該クッションプレートへ作用する直前の待機圧で該係合圧の上昇を一時的に待機させることを特徴とする車両用動力伝達装置の油圧制御装置。
  2. 前記直前の待機圧での一時的な待機中に、前記クッション荷重に相当する油圧が前記クッションプレートへ作用したことに伴う前記油圧式摩擦係合装置の入力側回転速度の変化に基づいて、前記係合圧の上昇を一時的に待機させる際の次回の待機圧を学習制御により設定することを特徴とする請求項1に記載の車両用動力伝達装置の油圧制御装置。
  3. 前記待機圧の学習制御は、前記直前の待機圧での一時的な待機中における前記入力側回転速度の変化量に所定値以上の落込みが生じた毎に、前記次回の待機圧を今回の待機圧から段階的に低下させることを特徴とする請求項2に記載の車両用動力伝達装置の油圧制御装置。
  4. 前記油圧式摩擦係合装置は、流体式伝動装置を介して前記エンジンに連結されており、
    アクセルオンを伴う前記ニュートラル制御の解除時には、エンジン回転速度の吹き上がりに伴って前記流体式伝動装置の出力回転速度が吹き上がるように前記係合圧を低圧待機させ、前記流体式伝動装置の出力回転速度が吹き上がった後に前記油圧式摩擦係合装置の係合に向けて前記係合圧を再び上昇させ、その後前記油圧式摩擦係合装置の入出力間の差回転速度が所定の回転変化で零に向かうようにフィードバック制御により前記係合圧を変化させるものであり、
    前記低圧待機後に前記係合圧を再び上昇させる際に、前記クッション荷重に相当する油圧が前記クッションプレートへ作用する直前の待機圧で該係合圧の上昇を一時的に待機させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両用動力伝達装置の油圧制御装置。
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