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JP2011131243A - 亜鉛めっき鋼板のアーク溶接方法及びアーク溶接継手 - Google Patents

亜鉛めっき鋼板のアーク溶接方法及びアーク溶接継手 Download PDF

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Shinji Kodama
真二 児玉
Kinya Ishida
欽也 石田
Kunio Hayashi
邦夫 林
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Abstract

【課題】亜鉛めっき鋼板どうしの溶接継手において、ブローホールやピットの発生を低減させ、信頼性の高い溶接継手を提供することを目的とする。
【解決手段】亜鉛めっき鋼板のアーク溶接において、前記アーク溶接が低入熱・高溶着な溶接方法であり、溶接ワイヤの供給量あたりの投入エネルギーPwが0.4以上、0.65以下であり、鋼板の板厚当たりの溶接ワイヤの溶着金属量Ftが2.5以上、6.0以下であり、さらに前記アーク溶接のシールドガス中の成分がAr、CO2、O2からなり、O2≦6体積%で且つ30体積%≦CO2+5×O2≦100体積%の関係を満たすことを特徴とする亜鉛めっき鋼板のアーク溶接方法。
ここで,
P Pw=溶接電流Iw [A] × 溶接電圧Vw[V] / 溶接ワイヤ供給量Vf[mm/min]
Ft=溶接ワイヤ供給量Vf[mm/min] / 溶接速度Vt[mm/min] / 鋼板の板厚[mm] である。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車や薄板建材の構造部材として用いられる亜鉛めっき鋼板の溶接に関するものであり、特にブローホールやピット等の溶接欠陥の発生を防止し、良好な溶接継手を得ることが可能な重ね隅肉アーク溶接方法に関するものである。
自動車や家庭電化製品を中心に、美観性(塗装性)、耐食性、強度、加工性を兼ね備えた材料として、亜鉛めっき鋼板が多用されている。そして、亜鉛めっき鋼板の溶接方法として、消耗電極式アーク溶接方法が実施されており、特に高速溶接が可能となるMAGアーク溶接やMIGアーク溶接が広く使用されている。
しかし、これらのアーク溶接法で亜鉛めっき鋼板を溶接すると、ブローホールやピット等の溶接欠陥が発生し、溶接継手の強度、信頼性の低下につながり、問題視されている。これは、溶接時の高入熱でめっき中の亜鉛が蒸発し、亜鉛ガスとなって溶接金属中に存在するためである。このため、溶接時の溶滴移行状態が不安定となり、スパッタが増加するとともに、溶融金属内に亜鉛蒸気が存在することによってブローホールやピットが発生する。
スパッタを低減させるために、パルスMAG溶接が用いられているが、ブローホールやピットの抑制効果は十分とは言えない。
特に、亜鉛めっき鋼板どうしを重ね合わせて溶接する重ね隅肉溶接では、発生した亜鉛蒸気の逃げ道がなく、溶融金属内にブローホール、ピットが多量に存在し、大きな問題となっている。
この問題を解決する手段として、パルスMAG溶接とシールドガス中の酸素濃度を10体積%以上とすることが提案されている(特許文献1)。これは、アーク溶接時に溶融池内に侵入する亜鉛蒸気をシールドガス中に添加した酸素によって亜鉛より高融点の酸化亜鉛(ZnO)とすることで、溶接ビード中に固体として存在させることと、溶接対象とする亜鉛めっき鋼板の板厚に対して、溶接入熱を最適化させることで亜鉛の蒸発量と溶融池の凝固速度を制御し、溶融池中に侵入した亜鉛蒸気を溶融池が凝固する前に排出させる効果を利用したものである。しかし、多量の酸素添加により、溶滴移行形態が不安定となり、溶接ビード形状が凸凹状の不整ビードとなってしまい、安定した継手信頼性が得られない。
一方、スパッタを低減させる別の手段として、入熱量を押さえる溶接プロセスとしてコールド・メタル・トランスファー(CMT:Cold Metal Transfer)溶接が提案されている(特許文献2)。これは、溶接中に溶接ワイヤの移動と溶接電流及び溶接電圧の極性を細かく制御し、低入熱・高溶着な溶接を実現するものである。これによれば、低入熱化とスパッタの抑制は実現できたが、ブローホールとピットの抑制は十分ではない。
特開平10−258367号公報 特表2008−531283号公報
前述したように、亜鉛めっき鋼板、特に亜鉛めっき薄鋼板どうしの重ね隅肉溶接において、溶接金属内の亜鉛蒸気によるブローホール、ピット(以後、特に断らない限り「ブローホール」は、ブローホールおよびピットの両方を意味する。)の個数を低減し、尚且つスパッタの発生をも抑制する亜鉛めっき鋼板の重ね隅肉アーク溶接法を開発することを課題とし、高い溶接信頼性を持つ溶接継手とその製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねてきた結果、上記課題を解決するために以下の事項が有効であることを見出した。
(a)溶接ワイヤ供給量当たりの投入熱量(溶接電流と電圧の積)を小さく、鋼板板厚当たりの溶着量(単位溶接長当たりの溶接ワイヤ供給量)を大きく規定し、低入熱・高溶着溶接にすることによって亜鉛蒸気の発生・成長を抑制することができること。
(b)酸化性のシールドガスを用いて溶接金属の酸素濃度を高め、表面張力を低下させることによって、溶融金属からブローホールを排出させる効果を促進することができること。
(c)溶接金属中のSi量、すなわち脱酸元素量を低減し、溶接金属の酸素濃度を高め表面張力を低下させることによってブローホールの排出を促進することができること。
そして、低入熱・高溶着溶接法としてのコールド・メタル・トランスファー(CMT)溶接法を利用し、前記知見に従い溶接条件を制限することにより、スパッタを抑制し、尚且つブローホールやピットの個数を低減できる溶接方法を見出し、本発明を成すに至った。
その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)亜鉛めっき鋼板のアーク溶接において、前記アーク溶接が低入熱・高溶着な溶接方法であり、溶接ワイヤの供給量あたりの投入エネルギーPwが0.4以上、0.65以下であり、鋼板の板厚当たりの溶着金属量Ftが2.5以上、6.0以下であり、さらに前記アーク溶接のシールドガス中の成分がAr、CO2、O2からなり、O2≦6体積%で且つ30体積%≦CO2+5×O2≦100体積%の関係を満たすことを特徴とする亜鉛めっき鋼板のアーク溶接方法。
ここで,
Pw=溶接電流Iw [A]×溶接電圧Vw[V]/溶接ワイヤ供給量Vf[mm/min]
Ft=溶接ワイヤ供給量Vf[mm/min]/溶接速度Vt[mm/min]/鋼板の板厚[mm] である。
(2)前記低入熱・高溶着な溶接方法が、コールド・メタル・トランスファー溶接方法であることを特徴とする(1)に記載の亜鉛めっき鋼板のアーク溶接方法。
(3)前記溶接ワイヤがSiを質量%で0.2%以上、0.9%以下含有していることを特徴とする(1)または(2)に記載の亜鉛めっき鋼板のアーク溶接方法。
(4)前記アーク溶接が重ね隅肉アーク溶接であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の亜鉛めっき鋼板のアーク溶接方法。
(5)(1)に係る亜鉛めっき鋼板のガスシールドアーク溶接方法による溶接継手において、ブローホール率が30%以下であることを特徴とする亜鉛めっき鋼板のアーク溶接継手。
ここで、
ブローホール率[%]=溶接部のブローホール長さの総和[mm]/溶接部の溶接長さ[mm]×100 である。
本発明は、亜鉛めっき鋼板どうしのアーク溶接、特に重ね隅肉アーク溶接において、ブローホールやピットの発生を抑制し、尚且つスパッタをも抑制し、高信頼性の溶接継手を得ることができるという効果を奏する。
溶接継手のX線透過写真によるブローホールを示す図である。図1(a)は、ブローホール率64%を、図1(b)はブローホール率21%のときの写真を示す。 PwとFtによる適正溶接範囲を示す図である。 シールドガス中のCO2濃度とO2濃度の適正範囲を示す図である。 コールド・メタル・トランスファー(CMT)溶接の原理を示す図である。
まず、本発明で解決しなければならないブローホールについて説明する。
ブローホールは、溶接時の入熱により、鋼板表面にめっきされた亜鉛や亜鉛合金から、融点の低い亜鉛が蒸発し、ガス状となって、溶接金属中に発生するものである。溶接金属が溶融状態のうちに発生するため、溶接金属の凝固とともに、溶接金属中に閉じ込められ、溶接金属中の空孔となる。これがブローホールである。
また、溶接金属が溶融中に成長し、溶接金属表面に達し大気開放し、そのまま溶接金属が凝固するため、溶接金属表面に開孔する。これがピットである。
図1(a)(b)に、COガスシールドのCMT溶接機で、板厚2mmの亜鉛合金めっき鋼板(めっき付着量45g/m2)を重ね隅肉溶接したときのブローホール発生状況を示す。白く見える部分がブローホールである。図1(a)にブローホール率64%のX線投影写真を、図1(b)にブローホール率21%のX線投影写真を示す。これらは、重ね隅肉溶接は鋼板の重ね代を30mmとし、重ね面が完全に密着するように、ジグで拘束した。溶接ワイヤはφ1.2mmの一般的なマグ溶接用ソリッドワイヤ(JIS Z 3312 YGW12)を使用した。ブローホールの発生状況は、溶接後の試験体をX線透過撮影し観察した。ブローホールの発生状況の評価指標としてブローホール率を以下のように定義し、導入した。この実施条件を標準実施条件とし、以下説明する。
ブローホール率[%] =溶接部のブローホールおよびピット長さの総和[m]/溶接部の溶接長さ[m]×100
ブローホールおよびピットは、通常球状であるので、ブローホールおよびピット長さとは、X線透過撮影像におけるブローホール径およびピット径とした。以下、単にブローホールと呼ぶときは、ピットも含んでいるものとする。
一般に溶接継手は母材に比べて溶接金属の強度を高め、溶接金属での破断を防ぐように設計される。特に亜鉛めっき鋼板のような薄鋼板の溶接では、比較的低入熱溶接のため溶接金属の冷却速度が速くなり、溶接金属の合金成分による焼入れ性増加の効果と相まって、溶接金属の硬度(引張強さ)が母材に比べて30%〜50%増加する。このため、溶接金属の内部に30%程度のブローホールが存在する溶接継手の引張試験を行っても、溶接金属での破断は起こらず、母材もしくは溶接熱影響部での破断となる。
発明者らの重ね隅肉溶接継手での調査検討によれば、ブローホール率30%以下であれば継手の強度劣化はほとんどないことが確認されている。そのため、ブローホール率30%未満を「良好」とし、ブローホール率30%以上を「不良」として評価した。
次に、溶接条件とブローホールの発生の関係について説明する。
一般的に、溶接時の入熱は溶接電流×溶接電圧/溶接速度で表現され、この入熱によって鋼板母材および溶接ワイヤが溶融する。このため、同一の入熱で溶接ワイヤの溶融量の増加が可能となれば、鋼板母材に投入される溶接熱量が減少するため亜鉛蒸気の発生を抑制できる。
一方、母材板厚に対する溶着金属量が増加すれば、余盛り金属量増加によりブローホールの内圧を高く保つことが可能となり、ブローホールの成長を抑制できる。
即ち、溶接熱量(投入する熱量)を低減することにより、ブローホールの原因となる亜鉛上記の発生を抑制し、更に、溶着金属量を増加させることにより、発生したブローホールの成長を抑制することができる。
そこで、溶接ワイヤ供給量に対する投入エネルギー(溶接ワイヤ供給量あたりの溶接入熱)Pwと、鋼材板厚あたりの溶着金属量(鋼板板厚あたりの溶着金属量(余盛り量に相当))Ftを以下のように定義し、これらパラメータによる溶接方法の最適化を試みた。
Pw(溶接ワイヤ供給量あたりの溶接入熱)
Pw=溶接電流Iw [A]×溶接電圧Vw[V]/溶接ワイヤ供給量Vf[mm/min]
Ft(鋼板板厚あたりの溶着金属量)
Ft=溶接ワイヤ供給量Vf[mm/min]/溶接速度Vt[mm/min]/鋼板の板厚[mm]
まず、溶接入熱及び溶着金属量による影響について検討した。
上記、亜鉛合金めっき鋼板の重ね隅肉溶接と同じ条件で、溶接試験を行った。その結果、溶接ワイヤ供給量あたりの溶接入熱Pwが0.65を超えると、投入エネルギーの増加による母材表面の亜鉛めっきの蒸発が顕著となり、ブローホール率が30%以上となった。一方、Pwが0.4未満であると、投入エネルギーの低下により、溶接ワイヤの溶融が不安定となり、溶接ビードの形成そのものが困難となった。条件のバラツキ等を考慮すると、下限は0.4以上、上限は0.6以下の範囲であることがより望ましい。
鋼板板厚あたりの溶着金属量Ftが2.5未満では、板厚に対するワイヤの供給量が少な過ぎ、ブローホールが溶融金属内で容易に成長できるため、ブローホール径が拡大し、一部溶接ビード表面にピットが発生した。操業のバラツキを考慮すると、Ftの下限は、3.0以上とすることがより望ましい。一方、Ftの上限については、ブローホールの抑制の観点からは、特に定めるものではないが、6.0を超えると余盛り金属が多くなりすぎ凸ビードとなり、形状不良が発生した。そのため、Ftは、6.0以下が望ましい。条件のバラツキ等を考慮するとFtは5.5以下がさらに望ましい。
図2にPwを横軸、Ftを縦軸にとったときの、ブローホール率(30%以上が「×」、30%未満が「○」)の関係を示す。
また、溶接する鋼板の板厚を1mmにし、その他は上記標準実施条件にて、溶接を行った。その結果、図2に示したものと同様な結果が得られた。ここで、Pwは板厚に無関係なパラメータ、Ftは板厚を分母としたパラメータとなっている。
Pwはワイヤの溶融量に対する溶接の投入エネルギーを示す指標であり、この値を比較的低値に保つことによって、ワイヤ溶融量を多く、母材の溶融および熱影響部の加熱を少なく出来る。亜鉛蒸気の発生を抑制するには、母材板厚に関係なく熱影響部の加熱を低減する必要があるため、板厚に無関係なパラメータPwで整理できる。
一方、Pwは母材板厚に対するワイヤ供給量(余盛量)を示す指標である。板厚が薄くなると、溶接部の溶け落ちを防止する為、単位溶接長当たりの投入エネルギーを小さくする必要がある。このため、亜鉛蒸気の発生量が減少しブローホールの成長を抑制するために必要な余盛量も少なくなるため、板厚を分母としたパラメータFtで整理できる。
従って、本試験にて得られたPw, Ftの範囲は、溶接条件によらず亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板どうしの重ね突合せ溶接に、適用できるものと考える。
次に、シールドガスの成分の影響を検討した。
標準的なパルスMAG溶接に用いられるAr+20%COガスを用いると、上記のPw 及びFtの適正溶接条件を適用してもブローホールの発生率が高く、また溶接ビード表面にピットが発生する場合があることが確認された。
これに対し、シールドガス中のO量、CO量を増加させることによって、ブローホールの低減が可能となった。これは、一般的なMAGガス(Ar+20%CO)では溶接金属の酸素含有量が0.02%以下であるが、酸素含有量を0.03〜0.05%程度まで高くすると、溶接金属の粘性・表面張力が低下し、ブローホールが溶融金属から排出されやすくなるものと考えられる。そのことによって、残存ブローホール量が低減されたと考えられる。溶接中、シールドガス中のCO2は、COとO2に分解し(2CO2→2CO+O2)、一部酸素が溶接金属中溶け込む。そのため、シールドガス中のCO2とO2濃度が、溶接金属の表面張力に強く影響するものと思われる。そして、シールドガス中の酸素は、シールドガス中の二酸化炭素の5倍程度、溶接金属の酸素含有量を増加させることが知られている。
そこで、シールドガス中のCO2濃度とO2濃度(体積濃度)を変え、その他は、前記標準実施条件で実際に溶接を実施し、ブローホール率とピットの発生状況を評価した。その結果を図3にCO2濃度を横軸、O2濃度を縦軸にとったときの、ブローホール率(30%以上が「×」、30%未満が「○」)の関係を示す。
この結果、ブローホールを抑制するにはCO2+5×O2≧30%が必要であった。
しかしながら、O2>6%またはCO2+5×O2>100%になると、過度なO2、CO2添加となり、溶鋼中のCと酸素が反応し、COガスが発生することによりブローホールが増加する。つまり、亜鉛蒸気によるブローホールだけでなく、COガスによるブローホールも発生することになるからである。従って、100体積%≧CO2+5×O2≧30体積%および、6体積%≧O2≧0体積%の範囲内で、ブローホールの少ない、適正な溶接継手が得られるのである。これら、O2やCO2+5×O2の上限・下限の体積%は、それぞれ5%程度の余裕をもって制御することが好ましい。10%程度の余裕があれば、更に望ましい。
次に溶接金属中のSi量について検討した。一般的に溶接材料には、溶接金属の脱酸のために、Siが0.55〜1.1%程度添加されている。この脱酸元素が不十分の場合は、鋼中のCと溶接雰囲気中の酸素が反応しCOガスが発生するため、これに起因するブローホールが発生してしまう。
一方で亜鉛めっき鋼板の溶接では、過剰なSi添加は脱酸反応が過剰となり、溶接金属中の酸素をスラグアウトさせ、溶接金属の粘性・表面張力を高めてしまう問題がある。溶接金属の粘性・表面張力が高くなると、溶融金属中に生成されたブローホールが溶融金属外に排出されることを妨げ、ブローホールを残存させてしまう。そこで、溶接金属中のSi量を低減させ、ブローホール排出性を改善することを試みた。
本願発明では、シールドガスのO2、CO2量を増加させた酸化性のシールドガスを用いる。このため、通常のアーク溶接ではSi量を低下させるとCO反応によるブローホールが発生しやすくなる。しかし、CMT溶接などの低入熱・高溶着溶接では、溶接ワイヤが溶融する時の温度を低く設定することができ、低Si量においても母材中のCと雰囲気中のO2が反応するCO反応を抑制することが可能であることを見出した。
亜鉛蒸気に起因するブローホール抑制が顕著となるSi量の上限は0.9質量%であり、CO反応によるブローホール抑制するためのSi量の下限は0.2質量%であった。従って、溶接ワイヤ中のSi濃度は、0.2質量%以上、0.9質量%以下とするとよい。条件のバラツキ等を考慮すると、下限は0.25質量%以上、上限は0.85質量%以下とすることが、より望ましい。
本発明に有効な亜鉛めっき鋼板は、自動車用鋼板として用いられている合金化溶融亜鉛めっき鋼板の他、一般的な溶融亜鉛めっき鋼板、高耐食めっき鋼板として知られているZn-Al-Mg−Si系めっき鋼板やZn-Al-Mg系めっき鋼板などがあげられる。亜鉛を主体としためっきを施した鋼板であれば、特にめっき組成や、母材となる鋼材の種類は問わない。
また、亜鉛めっき鋼板の板厚は、特に問わないが、低入熱溶接にて良好なビード形状を得るために、0.5〜3.2mmの範囲が適している。
また、溶接継手態様については、ガスシールドアーク溶接であれば、重ね隅肉アーク溶接でも、突合せアーク溶接、開先突合せアーク溶接であってもよく、特にその態様は問わない。亜鉛めっき鋼板はいわゆる薄板での使用が多く、この場合の突合せ溶接は、重ね隅肉溶接とする場合が多い。
本発明のPwやFtで規定される低入熱・高溶着なガスシールドアーク溶接であれば、その態様は特に問わない。具体的に実現方法としては、例えば、前記実施試験で使用したコールド・メタル・トランスファー(CMT)溶接がある(例えば、特許文献2)。簡単に言うと、溶接電流Iw、溶接電圧Vwと溶接ワイヤ供給量Vfを細かく制御し、アーク加熱と通電加熱を繰り返すことにより、トータルの入熱量を低減させながら、溶接金属の溶着量を増加させている。例えば、図4に示すように、
(a)アーク加熱しながら、ワイヤを供給する。
(b)溶接電流を下げアークを消滅させた状態で、ワイヤが溶融池と接触させる。
(c)その後、ワイヤ供給を停止し、そのまま通電加熱を行う。
(d)ワイヤを後退させ、短絡中の溶融池と切断し、次のアーク加熱を始める
このようにアーク加熱期間を限定し、母材に投入される熱量を減少させることにより低入熱・高溶着溶接を実現している。
実施例に用いた鋼板を表1に、溶接材料を表2に示す。
鋼板Aは270MPa級の軟鋼で板厚を1mm、2mm、2.3mmとした。鋼板Bは780MPa級のハイテン材で板厚を2mmとした。めっき種はいずれも合金化溶融亜鉛めっきで、めっき付着量は片面当たり45g/m2とした。
溶接材料は、いずれも490MPa級鋼用のソリッドワイヤ(ワイヤ径1.2mmφ)で、Si量を変化させた。
溶接電源には、主としてCMT電源(型式:TPS5000CMT)を用い、上記亜鉛めっき鋼板の重ね隅肉アーク溶接にて溶接性の評価を行った。
溶接条件は、トーチ高さを15mm、トーチ角度60°に固定し、シールドガス成分、溶接速度、溶接電流、電圧、ワイヤ供給速度をパラメータとした。(図4参照)
実施例の結果を表3に示す。
No1〜No14は本発明の結果で、No15〜No21が比較例である。
No1〜No14はいずれも請求項の規定を満足しており、ブローホール率は30%以下、ピットはなし、アンダーカットやオーバーラップのない良好な形状であった。なお、No10、No11の高Si溶接ワイヤを用いたものは、ブローホールの発生量が比較的多いのに対し、中Si、低Siの溶接ワイヤではブローホール量が少なくなることが確認できた。
No15,16はFt(板厚当りのワイヤ供給量)が少なく、溶融金属内でブローホールが大きく成長し、ブローホール率が基準を上回った。
No17はPw(ワイヤ供給量当りの投入エネルギー)が大きく、亜鉛蒸気の発生量が増加したためブローホールも増加した。
No18はシ−ルドガスのO2、CO2量が少ないため、溶融金属からのブローホール排出が困難となった。
No19、20は通常の溶接電源を用いてパルスMAG溶接、CO2溶接を行った場合で、いずれも多量のブローホールが発生した。
No21は通常の溶接電源を用いて、低Siワイヤにて非めっき鋼板を溶接した例であるが、CO反応によるブローホールが多発した。
本発明は、亜鉛めっき鋼板の突合せ溶接で、ブローホールやピット欠陥の極めて少ない溶接継手を与えるものであり、同鋼板を使用する物であれば、何にでも利用することができる。自動車や家電をはじめ、亜鉛めっき鋼板の用途は広く、本発明の適用分野も広いものと考えている。

Claims (5)

  1. 亜鉛めっき鋼板のアーク溶接において、前記アーク溶接が低入熱・高溶着な溶接方法であり、溶接ワイヤの供給量あたりの投入エネルギーPwが0.4以上、0.65以下であり、鋼板の板厚当たりの溶着金属量Ftが2.5以上、6.0以下であり、さらに前記アーク溶接のシールドガス中の成分がAr、CO2、O2からなり、O2≦6体積%で且つ30体積%≦CO2+5×O2≦100体積%の関係を満たすことを特徴とする亜鉛めっき鋼板のアーク溶接方法。
    ここで,
    Pw=溶接電流Iw [A] × 溶接電圧Vw[V] / 溶接ワイヤ供給量Vf[mm/min]
    Ft=溶接ワイヤ供給量Vf[mm/min] / 溶接速度Vt[mm/min] / 鋼板の板厚[mm] である。
  2. 前記低入熱・高溶着な溶接方法が、コールド・メタル・トランスファー溶接方法であることを特徴とする請求項1に記載の亜鉛めっき鋼板のアーク溶接方法。
  3. 前記溶接ワイヤがSiを質量%で0.2%以上、0.9%以下含有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の亜鉛めっき鋼板のアーク溶接方法。
  4. 前記アーク溶接が重ね隅肉アーク溶接であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の亜鉛めっき鋼板のアーク溶接方法。
  5. 請求項1に係る亜鉛めっき鋼板のガスシールドアーク溶接方法による溶接継手において、ブローホール率が30%以下であることを特徴とする亜鉛めっき鋼板のアーク溶接継手。
    ここで、
    ブローホール率[%]=溶接部のブローホール長さの総和[m]/溶接部の溶接長さ[m]×100 である。
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