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JP2010197836A - 無端ベルト、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

無端ベルト、定着装置及び画像形成装置 Download PDF

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JP2010197836A JP2009044146A JP2009044146A JP2010197836A JP 2010197836 A JP2010197836 A JP 2010197836A JP 2009044146 A JP2009044146 A JP 2009044146A JP 2009044146 A JP2009044146 A JP 2009044146A JP 2010197836 A JP2010197836 A JP 2010197836A
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Hiroshi Tamemasa
博史 為政
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Abstract

【課題】金属製ベルトにおいて、使用時の繰り返し変形による亀裂の発生が低減された無端ベルトを提供する。
【解決手段】無端ベルトである定着ベルト61は、内周側から順に、金属層61a、弾性層61b、離型層61cを設けた3層構成の長尺の円筒形状をなしている。金属層61aの内周面が定着ベルト61の内側表面61iに、離型層61cの外周面が定着ベルト61の外側表面61oである。金属層61aは、側面に継ぎ目のない無端(シームレス)ベルトで、3層の多層構造をなしている。内側から、ステンレス鋼のベース金属層、銅の発熱金属層そしてステンレス鋼の中間金属層である。
【選択図】図4

Description

本発明は、無端ベルト、定着装置及び画像形成装置に関する。
近年、電子写真方式の画像形成装置において、加熱方式の定着装置に対する高速化の要求に応えるため、強度面で優れた金属製ベルトを定着ベルトとして用いることが提案されている。
特許文献1には、用紙上に形成された未定着トナー像を、電鋳プロセスによる金属性で、発熱体に接する面の表面あらさが0.5μm未満であるシームレスベルトを介して加熱溶融し、用紙上にトナー像を定着させる装置が記載されている。
特許文献2には、このような金属製の定着ベルトとして、熱伝導率が優れ、かつ寸法精度が高い、マンガン0.05〜0.6重量%を含むニッケル・マンガン合金からなるマイクロビッカース硬度が450〜650の無端状電鋳シートを基体として形成した定着ベルトが記載されている。
特開平7−13448号公報 特開平9−34286号公報
ところで、金属製ベルトは、例えば、ニッケル等の電鋳技術を利用できる金属の場合は電鋳法により成型され、ステンレス合金やニッケル合金等を用いる場合は、塑性加工法等により成型される。
本発明の目的は、金属製ベルトにおいて、使用時の繰り返し変形による亀裂の発生が低減された無端ベルトを提供することにある。
請求項1に記載の発明は、クロム15重量%以上かつ19重量%以下、ニッケル6重量%以上かつ10重量%以下、マンガン1重量%以上かつ3重量%以下、銅2重量%以上かつ5重量%以下を含むステンレス鋼層を少なくとも1層有する円筒状の金属層と、前記金属層の外側に積層された離型層と、を備えることを特徴とする無端ベルトである。
請求項2に記載の発明は、前記金属層は、複数の前記ステンレス鋼層と前記ステンレス鋼層に挟まれた銅層とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の無端ベルトである。
請求項3に記載の発明は、前記金属層の前記ステンレス鋼層は、炭素含有量が0.1重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の無端ベルトである。
請求項4に記載の発明は、前記金属層の前記ステンレス鋼層は、加工硬化係数が0.4以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の無端ベルトである。
請求項5に記載の発明は、前記金属層と前記離型層との間に弾性層をさらに有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の無端ベルトである。
請求項6に記載の発明は、クロム15重量%以上かつ19重量%以下、ニッケル6重量%以上かつ10重量%以下、マンガン1重量%以上かつ3重量%以下、銅2重量%以上かつ5重量%以下を含むステンレス鋼層を少なくとも1層有する円筒状の金属層と、当該金属層の外側に積層された離型層と、を備える定着ベルトと、前記定着ベルトの外側に圧接される加圧部材と、前記定着ベルトの内側に設けられ、当該定着ベルトを加熱する加熱部材と、を備えることを特徴とする定着装置である。
請求項7に記載の発明は、前記定着ベルトの受ける繰り返し歪み幅が、0.7%以上であることを特徴とする請求項6に記載の定着装置である。
請求項8に記載の発明は、前記加熱部材は、前記定着ベルトの前記金属層に渦電流を発生させ当該定着ベルトを発熱させる電磁誘導加熱部材であることを特徴とする請求項6または7に記載の定着装置である。
請求項9に記載の発明は、トナー像を形成する像形成部と、前記像形成部で形成されたトナー像を記録材に転写する転写部と、クロム15重量%以上かつ19重量%以下、ニッケル6重量%以上かつ10重量%以下、マンガン1重量%以上かつ3重量%以下、銅2重量%以上かつ5重量%以下を含むステンレス鋼層を少なくとも1層有する円筒状の金属層と、当該金属層の外側に積層された離型層と、を備える定着ベルトと、当該定着ベルトとの間に押圧部を形成し回転駆動される加圧部材と、当該定着ベルトの内側に設けられ、当該定着ベルトを加熱する加熱部材とを有し、前記記録材に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着部と、を備えることを特徴とする画像形成装置である。
請求項1の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、使用時の繰り返し変形による亀裂の発生が低減できる。
請求項2の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、無端ベルトの加熱の効率が向上する。
請求項3の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、使用時の繰り返し変形による亀裂の発生をより低減できる。
請求項4の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、使用時の繰り返し変形をより大きくできる。
請求項5の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、無端ベルトの弾性が向上する。
請求項6の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、安定した定着が行われる。
請求項7の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、定着後に記録用紙が定着ベルトから剥離しやすくする。
請求項8の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、定着ベルト自身の発熱により加熱定着が行える。
請求項9の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、安定した画像形成が行われる。
本実施の形態が適用される画像形成装置の一例の概略構成図である。 定着装置の構成の一例を示す図である。 圧力パッドが定着ベルトに与えるNip歪みの一例を説明するための図である。 本実施の形態が適用される定着ベルトの構成の一例を示す断面図である。 本実施の形態が適用される定着ベルトの構成の一例をさらに詳細に示す断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、使用する図面は、本実施の形態を説明するために使用するものであり、実際の大きさを現すものではない。
(画像形成装置100)
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置100の一例の概略構成図である。ここでは、一般にタンデム型と呼ぶ中間転写方式の画像形成装置100を例に挙げて説明する。
図1に示す画像形成装置100は、像形成部の一例として、電子写真方式により各色成分のトナー像を形成する複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kを備える。次に、画像形成装置100は、転写部の一例として、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成する各色成分トナー像を中間転写ベルト(像保持体)15に順次転写(一次転写)する一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写した重畳トナー画像を記録用紙P(記録材)である用紙に一括転写(二次転写)する二次転写部20とを備える。さらに、画像形成装置100は、定着部の一例として、二次転写された画像を記録用紙P上に定着する定着装置60を備える。また、画像形成装置100は、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を備える。
図1に示すように、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム11と、感光体ドラム11を帯電する帯電器12と、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13と、各色成分トナーを収容し感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14とを有する。また、感光体ドラム11上に形成する各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16と、感光体ドラム11上の残留トナーを除去するドラムクリーナ17と、を有する。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に略直線状に配置されている。
中間転写ベルト15は、各種ロールにより、図1に示す矢印B方向に循環駆動する。各種ロールとして、中間転写ベルト15を駆動する駆動ロール31と、中間転写ベルト15を支持する支持ロール32と、中間転写ベルト15に一定の張力を与え蛇行を防止するテンションロール33と、二次転写部20に設けるバックアップロール25と、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けるクリーニングバックアップロール34とを有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟み感光体ドラム11に対向する一次転写ロール16を有する。二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置する二次転写ロール(転写部材)22と、二次転写ロール22の対向電極として中間転写ベルト15の裏面側に配置されたバックアップロール25と、バックアップロール25に二次転写バイアスを印加する給電ロール26とを有する。
二次転写部20の下流側に、中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去する中間転写ベルトクリーナ35を設ける。イエローの画像形成ユニット1Yの上流側に、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42を配設する。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43を配設する。
記録用紙搬送系には、用紙収容部50と、用紙収容部50中の記録用紙Pを取り出して搬送するピックアップロール51と、記録用紙Pを搬送する搬送ロール52と、記録用紙Pを二次転写部20へと送る搬送シュート53と、二次転写ロール22により二次転写された記録用紙Pを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55と、記録用紙Pを定着装置60に導く定着入口ガイド56とを有する。
画像形成装置100の基本的な作像プロセスについて説明する。
図1に示すような画像形成装置100では、画像読取装置(図示せず)等から出力される画像データに画像処理を施した後、画像データをY、M、C、Kの4色の色材階調データに変換し、レーザ露光器13に出力する。レーザ露光器13は、入力される色材階調データに応じ、例えば、半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの矢印A方向に回転する各感光体ドラム11に照射する。各感光体ドラム11の表面を帯電器12によって帯電した後、レーザ露光器13によって表面を走査露光し、静電潜像を形成する。形成した静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像する。
つぎに、感光体ドラム11上に形成するトナー像を、一次転写部10において中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写を行う。中間転写ベルト15は矢印B方向に移動してトナー像を二次転写部20に搬送する。記録用紙搬送系は、トナー像を二次転写部20に搬送するタイミングに合わせて、用紙収容部50から記録用紙Pを供給する。
二次転写部20では、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像を、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれた記録用紙P上に静電転写する。その後、トナー像を静電転写した記録用紙Pを搬送ベルト55により定着装置60まで搬送し、定着装置60は、記録用紙P上の未定着トナー像を熱及び圧力で処理し記録用紙P上に定着する。定着画像を形成した記録用紙Pは、画像形成装置100の排出部に設けた排紙載置部に搬送する。
(定着装置60)
次に、本実施の形態における定着装置60について説明する。
図2は、定着装置60の構成の一例を示す図である。本実施の形態では、電磁誘導加熱方式を採用する定着装置60を例に挙げて説明する。
図2(a)に示すように、定着装置60は、無端ベルトである定着ベルト61、交流電流により生じる磁界によって定着ベルト61を発熱させる電磁誘導加熱部材の一例としての磁場発生ユニット85、定着ベルト61に対向するように配置する、加圧部材の一例としての加圧ロール62、定着ベルト61を介して加圧ロール62から押圧される圧力パッド64を有する。
無端ベルトである定着ベルト61は、圧力パッド64とベルトガイド部材63、定着ベルト61の両端部に配置するエッジガイド部材(図示せず)によって回動自在に支持される。そして、押圧部であるニップ(Nip)部Nにおいて加圧ロール62に圧接され、加圧ロール62に従動して矢印E方向に回動する。
定着ベルト61の詳細は後述する。
ベルトガイド部材63は、定着ベルト61の内部に配置するホルダ65に取り付ける。そして、ベルトガイド部材63は、定着ベルト61の回動方向に向けた複数のリブ(図示せず)で形成し、定着ベルト61内周面との接触面積を小さくする。さらに、ベルトガイド部材63は、摩擦係数が低く、かつ熱伝導率が低いPFA(パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐熱性樹脂で形成する。これにより、ベルトガイド部材63と定着ベルト61内周面との摺動抵抗を低減し、熱の発散を低くするように構成する。
圧力パッド64は、定着ベルト61を介して加圧ロール62から押圧されてニップ部Nを形成する。圧力パッド64は、バネや弾性体によって加圧ロール62を、例えば35kgfの荷重で押圧するようにホルダ65により支持する。圧力パッド64は、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体からなる。圧力パッド64は、加圧ロール62側に凹部と凸部が形成されている。これにより、定着ベルト61が、圧力パッド64の加圧ロール62側の面から離れる際に急激な曲率の変化を生じ、定着後の記録用紙Pが定着ベルト61から剥離しやすくしている。このため、定着ベルト61は、ニップ部Nにおいて、予め定められた歪み(Nip歪み)を繰り返し受けることになる。
ニップ部Nの下流側近傍に配設する剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ベルト61の回転方向と対向する方向(カウンタ方向)に向け、バッフルホルダ72により保持する。また、圧力パッド64と定着ベルト61との間に低摩擦シート68を配設し、定着ベルト61内周面と圧力パッド64との摺動抵抗を低減する。本実施の形態では、低摩擦シート68は圧力パッド64と別体に構成し、両端をホルダ65に固定する。
ホルダ65に、定着装置60の長手方向に亘って潤滑剤塗布部材67を配設する。潤滑剤塗布部材67は、定着ベルト61内周面に接触し、定着ベルト61と低摩擦シート68との摺動部に潤滑剤を供給する。なお、潤滑剤としては、例えば、シリコーンオイル、フッ素オイル等の液体状オイル;固形物質と液体とを混合させたグリース等、さらにこれらを組み合わせたものが挙げられる。
加圧ロール62は、例えば、直径16mmの中実の鉄製のコア(円柱状芯金)621と、コア621の外周面を被覆する、例えば厚さ12mmのシリコーンスポンジ等のゴム層622と、例えば、厚さ30μmのPFA等の耐熱性樹脂被覆または耐熱性ゴム被覆による表面層623とを有する。なお、加圧ロール62の製造方法としては、例えば、PFAチューブ(表面層623になる)の内周面に、接着用プライマーを塗布したフッ素樹脂チューブと中実シャフト(コア621になる)とを成形金型内にセットし、フッ素樹脂チューブと中実シャフトとの間に液状発泡シリコーンゴムを注入後、加熱処理(150℃、2時間)によりシリコーンゴムを加硫、発泡させてゴム層622を形成する方法が挙げられる。
加圧ロール62は、定着ベルト61に対向するように配置し、矢印D方向に、例えば140mm/secのプロセススピードで回転し、定着ベルト61を従動させる。また、加圧ロール62と圧力パッド64とにより定着ベルト61を挟持した状態で保持してニップ部Nを形成し、このニップ部Nに未定着トナー像を保持した記録用紙Pを通過させ、熱及び圧力を加えて未定着トナー像を記録用紙Pに定着する。
磁場発生ユニット85は、断面が定着ベルト61の形状に沿ったアール形状を有し、定着ベルト61の外周表面と0.5mm〜2mm程度の間隙で設置する。磁場発生ユニット85は、磁界を発生させる励磁コイル851と、励磁コイル851を保持するコイル支持部材852と、励磁コイル851に電流を供給する励磁回路853とを有する。
励磁コイル851は、例えば、相互に絶縁された直径φ0.5mmの銅線材を16本〜20本程度束ねたリッツ線を、長円形状や楕円形状、長方形状等の閉ループ状に巻いて形成したもの用いる。励磁コイル851に励磁回路853によって予め定められた周波数の交流電流を印加することにより、励磁コイル851の周囲に交流磁界Hが発生する。交流磁界Hが、後述する定着ベルト61の金属層を横切る際に、電磁誘導作用によってその交流磁界Hの変化を妨げる磁界を発生するように渦電流Iが生じる。励磁コイル851に印加する交流電流の周波数は、例えば、10kHz〜50kHzに設定する。渦電流Iが定着ベルト61の金属層を流れることによって、金属層の抵抗値Rに比例した電力W(W=IR)によるジュール熱が発生し、定着ベルト61を加熱する。
コイル支持部材852は、耐熱性を有する非磁性材料で構成する。このような非磁性材料としては、例えば、耐熱ガラス、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、PPS等の耐熱性樹脂、またはこれらにガラス繊維を混合した耐熱性樹脂が挙げられる。
なお、本実施の形態では、定着ベルト61を加熱する加熱部材の一例として電磁誘導加熱部材を備える電磁誘導加熱方式の定着装置60について説明したが、加熱部材としては、輻射ランプ発熱体、抵抗発熱体を採用することもできる。
輻射ランプ発熱体としては、例えば、ハロゲンランプ等が挙げられる。抵抗発熱体としては、例えば、鉄−クロム−アルミニウム系、ニッケル−クロム系、白金、モリブデン、タンタル、タングステン、炭化珪素、モリブデン−シリサイド、カーボン等が挙げられる。
定着装置60では、加圧ロール62の矢印D方向への回転に伴い、定着ベルト61が従動回転し、励磁コイル851により発生した磁界に曝される。この際、定着ベルト61中の金属層には渦電流が発生し、定着ベルト61の外周面が定着可能な温度まで加熱される。このようにして加熱された定着ベルト61は、加圧ロール62との押圧部(ニップ部N)まで移動する。搬送手段により、未定着トナー像がその表面に設けられた記録用紙Pが定着入口ガイド56を介して定着装置60に搬入される。記録用紙Pが定着ベルト61と加圧ロール62との押圧部を通過した際に、未定着トナー像は定着ベルト61により加熱され記録用紙Pの表面に定着される。その後、画像が表面に形成された記録用紙Pは、搬送手段により搬送され、定着装置60から排出される。また、押圧部において定着処理を終え、外周面の表面温度が低下した定着ベルト61は、励磁コイル851方向へと回転し、次の定着処理に備えて再度加熱される。
(Nip歪み)
本実施の形態における定着装置60のNip歪みについて説明する。
図3は、圧力パッド64が定着ベルト61に与えるNip歪みの一例を説明するための図である。図3では、定着装置60における定着ベルト61、圧力パッド64および低摩擦シート68のみを示している。
圧力パッド64は、領域Iで凹部を、領域IIで凸部を形成している。このため、圧力パッド64は、領域Iでは、定着ベルト61の外側表面61oに対して、圧縮応力(内側表面61iに対して、引っ張り応力)が発生する。そして、領域IIでは、定着ベルト61の外側表面61oに対して、引っ張り応力(内側表面61iに対して、圧縮応力)が発生する。圧力パッド64をこのような形状にすることで、定着ベルト61が、圧力パッド64の加圧ロール62側の面から離れる際に急激な曲率の変化を生じ、定着後の記録用紙Pが定着ベルト61から剥離しやすくしている。
そして、定着ベルト61の外側表面61oが領域Iで受ける引っ張り応力による歪みと、領域IIにおいて受ける圧縮応力による歪みとを足し合わせて、Nip歪み(定着ベルト61の受ける繰り返し歪み幅)とする。例えば、引っ張り応力による歪みを+、圧縮応力による歪みを−として、領域Iにおいて、圧縮応力による歪みが−0.3%、領域IIにおいて、引っ張り応力による歪みが+0.5%であるとすると、Nip歪みは0.8%となる。
なお、定着ベルト61の外側表面61oから見てNip歪みを説明したが、定着ベルト61の内側表面61iから見てもよい。圧縮応力が引っ張り応力に、引っ張り応力が圧縮応力になる点で異なるが、Nip歪みとしては同じとなる。
なお、図3では、圧力パッド64は、定着ベルト61の外側表面61oから見て、圧縮応力の領域Iと引っ張り応力の領域IIとをともに有するように凹部と凸部を形成したが、一方のみを発生する形状としてもよい。
(定着ベルト61)
次に、本実施の形態が適用される定着ベルト61について説明する。
図4は、本実施の形態が適用される定着ベルト61の構成の一例を示す断面図である。図4に示すように、定着ベルト61は、内周側から順に、基材となる金属層61a、弾性層61b、離型層61cを設けた3層構成の長尺の円筒形状をなしている。すなわち、金属層61aの内周面が定着ベルト61の内側表面61iに、離型層61cの外周面が定着ベルト61の外側表面61oになっている。
そして、本実施の形態が適用される定着ベルト61の金属層61aは、側面に継ぎ目のない無端(シームレス)ベルトである。そして、本実施の形態が適用される定着ベルト61は金属製ベルトである。
図5は、本実施の形態が適用される定着ベルト61の構成の一例をさらに詳細に示す断面図である。
ここでは、金属層61aは3層の多層構造をなしている。すなわち、多層構造の金属層61aは、内周側から、ベース金属層611、発熱金属層612および中間金属層613から構成されている。そして、ベース金属層611および中間金属層613は、本実施の形態では、クロム(Cr)15重量%以上かつ19重量%以下、ニッケル(Ni)6重量%以上かつ10重量%以下、マンガン(Mn)1重量%以上かつ3重量%以下、銅(Cu)2重量%以上かつ5重量%以下を含むステンレス鋼層である。さらに、このステンレス鋼層は、モリブデン(Mn)0.2重量%以下、シリコン(Si)0.5重量%以下、リン(P)0.5重量%以下、イオウ(S)0.01重量%以下、炭素(C)0.1重量%以下、窒素(N)0.1重量%以下である。そして、残部が鉄(Fe)である。
表1に、本実施の形態における金属層61aに用いるステンレス鋼層の組成を示す。なお、Feについては、残部の意味でBal.と示す。
1重量%以上の組成は、Feを除くと、Cr、Ni、Mn、Cuである。そして、1重量%以下のMo、Si、P、S、C、Nは不純物として含まれている。
Figure 2010197836
発熱金属層612は、例えば銅(Cu)層である。
発熱金属層612は、励磁コイル851により発生した磁界により渦電流が発生し、発熱する。ベース金属層611および中間金属層613は、発熱金属層612を挟んで、発熱金属層612を保護するとともに、発熱金属層612と同様に、励磁コイル851により発生した磁界により渦電流が発生し、発熱する。
金属層61aの厚さは、5μm〜100μmであるのが好ましい。そして、ベース金属層611の厚さは5μm〜40μm、発熱金属層612の厚さは5μm〜20μm、中間金属層613の厚さは5μm〜40μmが好ましい。
ここで、本実施の形態が適用される定着ベルト61の金属層61aにおけるステンレス鋼層の組成について説明する。
Crを15重量%〜19重量%添加した場合は、Fe中にCrを固溶させFe−Cr合金とし、固溶強化の効果で繰り返しの曲げ変形による疲労破壊に対する強度を向上させる。なお、Crの添加量が過度に少ないと固溶強化の効果が十分に得られない傾向があり、過度に多いと成型時の加工により硬化(加工硬化)し過ぎて硬く、脆くなり過ぎる傾向がある。
また、Niを6重量%〜10重量%添加した場合は、Fe中にNiを固溶させFe−Ni合金とし、固溶強化の効果で繰り返し曲げ変形による疲労破壊に対する強度を向上させる。なお、Niの添加量が過度に少ないと固溶強化の効果が十分に得られない傾向があり、過度に多いと成型時の加工により硬化(加工硬化)し過ぎて硬く脆くなり過ぎる傾向がある。
そして、Mnを1重量%〜3重量%添加した場合は、Fe−Cr−Ni合金中にMnを固溶させFe−Cr−Ni−Mn合金とすることで、塑性加工の際の硬化する度合いを和らげられ、加工硬化による脆化を防ぎ、繰り返し曲げ変形による疲労破壊に対する強度を向上する。なお、Mnの添加量が過度に少ないと、成型時の加工硬化による脆化を防ぐ効果が十分に得られない傾向があり、Mnの添加量が多すぎると、加工により硬化(加工硬化)し過ぎ、かえって硬く、脆くなり過ぎる傾向がある。
一方、Cuを2重量%〜5重量%添加する場合には、冷間加工性が向上する。なお、Cuの添加量が過度に少ないと、冷間加工性の向上が十分でなく、加工硬化しやすい。Cuの添加量が過度に多いと、不純物として結晶粒界に析出して結晶粒界を硬く脆くさせる傾向がある。
そして、Fe−Cr−Ni合金中において、Moが0.2重量%、Siが0.5重量%、Pが0.5重量%、Sが0.01重量%を超えて存在すると、不純物として結晶粒界に析出して結晶粒界を硬く脆くさせる傾向がある。
さらに、Fe−Cr−Ni合金中に、C、Nが存在すると、C、NがFeと反応して硬く脆い化合物であるセメンタイトを生成し、脆化する傾向にある。
表1に記載の組成のステンレス鋼層の加工硬化係数(n値)は、0.4以下であった。なお、降伏点以上の塑性域における真歪みと真応力との間にn乗硬化式が成立すると仮定したときのベキ数nを加工硬化係数(n値)という。
加工硬化係数が大きいほど、伸びが大きく、絞り加工しやすい。しかし、成型時の加工硬化により、残留歪みが多くなると、疲労破壊しやすくなる。
次に、弾性層61bと離型層61cとを説明する。
弾性層61bは、弾性と耐熱性が得られる材料で構成されている。例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の公知の耐熱性ゴムが用いうる。中でもシリコーンゴムは、表面張力が小さく、弾性に優れる点で好ましい。このようなシリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、MQ(ポリジメチルシリコーンゴム)、VMQ(メチルビニルシリコーンゴム)、PMQ(メチルフェニルシリコーンゴム)、FVMQ(フルオロシリコーンゴム)などが挙げられる。
弾性層61bの厚さは、通常、50μm〜400μm、好ましくは100μm〜300μmである。弾性層61bのゴム硬度は、アスカーCで規定して10°〜50°、好ましくは20°〜40°である。
離型層61cは、トナー像に対し適度な離型性を示す材料で構成されている。例えば、フッ素ゴム、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA、FEP(四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体)等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
離型層61bの厚さは、通常、10μm〜50μm、好ましくは20μm〜40μmである。
さて、定着ベルト61の製造方法について説明する。
まず、ステンレス鋼板(例えば、厚み0.2mm)に、例えば、1,100℃の窒素雰囲気下にて熱処理を施す。そして、2枚のステンレス鋼板および銅板(例えば、厚み0.1mm)のそれぞれの接着面を研磨して、表面に形成されている酸化被膜を除去する。その後、2枚のステンレス鋼板の間に銅板を挟み、冷間(再結晶化温度より低い温度)状態で圧延加工を行う。それにより、銅層が2層のステンレス鋼層に挟まれたクラッド鋼板(3層での厚みが、例えば、0.4mm)を得る。そして、このクラッド鋼板を、例えば窒素雰囲気下で、例えば処理温度900℃、処理時間60分にて熱処理を施す。
次に、クラッド鋼板を深絞り法、へら絞り法、プレス法等により、筒状に成型する。その後、回転塑性加工(スピンドル加工)にて、開口部と底部を有する筒状に成型する。そして、開口部と底部とを切断除去して、無端ベルト(シームレスベルト)を得る。
その後、金属層61a上に、弾性層61bをリング塗布法、浸漬塗布法、注入成型法等で形成する。さらに、弾性層61cの上に、離型層61cを静電粉体塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、遠心製膜法等で形成する。
以上により、定着ベルト61が製造される。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をより具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(1.定着ベルト61の作製)
実施例1〜10および比較例1〜7の定着ベルト61では、図4に示した多層構造の金属層61aを用いた。比較例8では、定着ベルト61にニッケルを電鋳して形成した単層の金属層61a(ニッケル電鋳ベルト)を使用した。
表2は、多層構造の金属層61aのベース金属層611および中間金属層613に用いたステンレス鋼層の組成を示す表である。なお、ベース金属層611と中間金属層613とは、同じ組成のステンレス鋼層を用いた。
定着ベルト61に使用されるステンレス鋼は、製造時(溶解/鋳造時)に予め定められた組成に基づいて、各構成元素が計量されて、仕込まれている。しかし、表2に示す組成は、溶解/鋳造/圧延されたステンレス鋼材よりサンプリングし、元素定量分析(原子吸光または誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)分析により求めた。
表2では、ステンレス鋼層の組成として、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、シリコン(Si)、リン(P)、イオウ(S)、炭素(C)、窒素(N)について、重量%で表している。そして、鉄(Fe)については、残量(Bal.)として表している。
なお、比較例8については、ニッケル電鋳ベルトとのみ表している。比較例8のニッケル電鋳ベルトのニッケル(Ni)は純度99.99%である。
ここで、定着ベルト61の作製方法を説明する。
始めに、実施例1〜10および比較例1〜7の定着ベルト61に用いた多層構造の金属層61aについて説明する。
まず、表2に示す組成のステンレス鋼板(厚み0.2mm)に、銅板を挟み込み、冷間状態で圧延加工を行い、銅層が2層のステンレス鋼層に挟み込まれたクラッド鋼板(3層での厚み0.4mm)を得た。
そして、クラッド鋼板をプレス・深絞り加工にて深さ10mm程度の円筒容器状に成型した。その後、回転塑性加工(スピンドル加工)にて、開口部と底部を有する筒状に成型した。そして、開口部と底部とを切断除去して、内径30mm、長さ370mm、肉厚50μmの無端ベルト(シームレスベルト)を得た。なお、無端ベルトは、ステンレス鋼層のベース金属層611の厚さが20μm、Cuの発熱金属層612の厚さが10μm、ステンレス鋼層の中間金属層613の厚さが20μmである。
ステンレス鋼層であるベース金属層611および中間金属層613には、プレス・深絞り加工および回転塑性加工にて加えられた応力により、歪みが蓄積している。
なお、発熱金属層612に用いたCuは展性が高いため、歪みの蓄積は、ステンレス鋼層であるベース金属層611および中間金属層613に比べ少ない。
次に、比較例8の定着ベルト61に用いたニッケル電鋳ベルトの金属層61aの作製方法を説明する。金属層61aの作成方法は、外径30mmの円筒形ステンレス金型を、硫酸ニッケルを主成分とする、PH3.0、浴温50℃の電解めっき浴中に浸漬し、陰極電流密度7A/dmにて、60分間電析を行った。これにより、内径30mm、膜厚50μm、長さ370mmの金属層61aを得た。
ここで、弾性層61bおよび離型層61cの作製方法について説明する。
金属層61aの外側の表面に、アスカーCで規定される硬度が35°となるように調整された液状シリコーンゴム(KE1940−35、液状シリコーンゴム35°品、信越化学工業株式会社製)を、膜厚が200μmとなるように塗布し、乾燥させて乾燥状態の液状シリコーンゴム層を得た。
上記の乾燥状態の液状シリコーンゴム層の表面に、PFAディスパージョン(500CL、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)を、膜厚が30μmとなるように塗布し、380℃で焼成した。
これにより、シリコーンゴムからなる弾性層61bとPFAからなる離型層61cとを作製した。
以上により、定着ベルト61を得た。
(2.加圧ロール62の作製)
内面に接着用プライマーを塗布した外径50mm、長さ340mm、厚さ30μmのフッ素樹脂チューブ(表面層623となる)と金属製のコア621とを成形金型内にセットする。そして、フッ素樹脂チューブとコア621との間に液状発泡シリコーンゴム(ゴム層622となる)を注入する。その後、加熱処理(150℃、2時間)を行うことにより、シリコーンゴムを加硫、発泡させ、ゴム弾性を有した加圧ロール62を作製する。ゴム層622の層厚は2mmである。
(3.電磁誘導発熱空回転耐久評価)
作製した定着ベルト61と加圧ロール62とを、図2に示す定着装置60を備えた画像形成装置100(富士ゼロックス株式会社製、Docu Print C620)に取りつけた。
この画像形成装置100にて、定着ベルト61を、前述したように電磁誘導加熱により定着ベルト61を加熱しながら、200時間連続して空回転(連続200時間空回転)させた。そして、定着ベルト61の発熱維持性(信頼性)および定着ベルト61の金属層61aに発生する亀裂の有無について評価した。なお、空回転とは、記録用紙Pへのトナーの定着を行うことなく、定着ベルト61を加圧ロール62に圧接させ、加圧ロール62を回転させることをいう。
(4.Nip歪み)
圧力パッド64によって定着ベルト61に与えられるNip歪みが0.7%以上になるように設定した(表2参照)。
具体的には、金属層61aの表面に歪みゲージ(例えば、共和電業株式会社製KFEL−2−120−C1L1M2R等)を貼り付け、圧力パッド64とのニップ部(N)によって与えられる歪みを測定した。
そして、Nip歪みが予め定められた値(ここでは、0.7%)に達しない場合には、圧力パッド64を変更して、Nip歪みが予め定められた値(ここでは、0.7%)以上となる場合を実施例および比較例とした。
なお、定着ベルト61は、回転する毎に繰り返し曲げ変形による歪み(Nip歪み)を受ける。よって、Nip歪みが大きいほど、定着ベルト61、特に、金属層61aに歪みが蓄積し、疲労破壊にいたりやすい。
なお、0.7%以上のNip歪みは、回転する毎に繰り返し与えられる歪みの量としては大きな値である。
(5.発熱特性)
定着ベルト61は、電磁誘導発熱空回転耐久評価の開始時期(初期状態)において、180℃に設定されている。そして、定着ベルト61は、この温度を維持するように運転されている。ところが、金属層61aのステンレス鋼層のベース金属層611または中間金属層613に亀裂が入ると、Cuの発熱金属層612にも亀裂が入り、渦電流が流れにくくなる。このため、定着ベルト61の温度が維持されなくなり、定着ベルト61の温度が低下する(発熱不良)。したがって、定着ベルト61の温度により、定着ベルト61の発熱状態、すなわち発熱維持特性(信頼性)を評価した。
なお、定着ベルト61の温度は、赤外線温度計により、モニタした。
(6.亀裂)
一方、亀裂の発生は、音の発生や目視観察により判定した。多くの場合、亀裂が入るとき音がする。音がしたときは、幅0.1mmで長さ10mm程度の亀裂が、金属層61aの外周表面61oに見られる。そこで、目視により亀裂の発生の有無を判定した。なお、連続200時間空回転において、音の発生がない場合においても、200時間経過後、金属層61aの表面を観察し、亀裂の有無を判定した。
(実施例1〜10、比較例1〜8)
作製した定着ベルト61を用いて電磁誘導発熱空回転耐久評価を行った結果を表2に示す。
Figure 2010197836
表2に示す結果から、表1に含まれる組成の範囲のステンレス鋼層を用いた定着ベルト61(実施例1〜10)は、連続200時間空回転において、初期の発熱特性(180℃)が維持された。そして、連続200時間空回転後において、定着ベルト61の金属層61aに亀裂は見いだされなかった。
また、CrとMnとを範囲の上限とした実施例9の定着ベルト61では、Nip歪み1.2%においても、連続200時間空回転において、発熱不良および亀裂を生じなかった。
一方、表1の組成の範囲から外れた組成のステンレス鋼層を用いた定着ベルト61(比較例1〜7)は、連続200時間空回転の開始から20時間から44時間の間において、発熱不良となり、金属層61aに亀裂の発生が見いだされた。
さらに、ニッケル電鋳ベルトを用いた定着ベルト61(比較例8)では、連続200時間空回転の開始からわずか6時間で発熱不良の状態になり、Niの金属層61aに亀裂の発生が見出された。これは、使用時に繰り返し加えられた曲げ変形(Nip歪み)が0.7%以上(実際には1.0%)と大きいため、短時間で疲労破壊に至ったと考えられる。すなわち、ニッケル電鋳ベルトは、使用時に繰り返し加えられる曲げ変形(Nip歪み)が大きい定着装置60に使用しづらいと考えられる。
これに対し、金属層61aにステンレス鋼層を用いた定着ベルト61(比較例1〜7)でも、連続200時間空回転の開始から20時間から41時間の間において、発熱不良となり、亀裂の発生が見いだされた。
さて、発熱不良および亀裂の発生が生じない実施例1〜10の定着ベルト61と、発熱不良および亀裂の発生が生じた比較例1〜7の定着ベルト61との違いは、金属層61aに用いたステンレス鋼層の組成の違いにある。
CrとNiを含むオーステナイト系ステンレス鋼は、加工硬化係数が高く、冷間加工により硬化(加工硬化)しやすい。このため、オーステナイト系ステンレスは、絞り加工に向くといわれている。この反面、冷間加工において、歪み(残留歪み)が蓄積しやく、使用時に繰り返し変形による歪みが加わると、疲労破壊にいたりやすいと考えられる。
実施例1〜10および比較例1〜7の定着ベルト61の金属層61aに用いたステンレス鋼層も、オーステナイト系ステンレスに含まれる。
したがって、表1に示した範囲から外れた組成のステンレス鋼層(比較例1〜7)は、加工硬化により硬く、脆くなり過ぎるか、繰り返し曲げ変形に対する疲労強度が低いと考えられる。このため、短時間で疲労破壊に至ったと思われる。
以上説明したように、本実施の形態である、表1に示した範囲に含まれるステンレス鋼層を金属層61aに用いた定着ベルト61は、発熱不良や亀裂の発生を低減しうる。
なお、本実施の形態では、金属層61aとして、3層の多層構造の金属層61aを用いた。しかし、金属層61aとして、ステンレス鋼層からなる単層構造や、ステンレス鋼層と銅層の2層構造としてもよい。
1Y,1M,1C,1K…画像形成ユニット、11…感光体ドラム、12…帯電器、13…レーザ露光器、14…現像器、15…中間転写ベルト、16…一次転写ロール、17…ドラムクリーナ、20…二次転写部、60…定着装置、61…定着ベルト、61a…金属層、61b…弾性層、61c…離型層、62…加圧ロール、63…ベルトガイド部材、64…圧力パッド、65…ホルダ、67…潤滑剤塗布部材、68…低摩擦シート、70…剥離補助部材、71…剥離バッフル、85…磁場発生ユニット、100…画像形成装置、621…コア、622…ゴム層、623…表面層、851…励磁コイル、852…コイル支持部材、853…励磁回路

Claims (9)

  1. クロム15重量%以上かつ19重量%以下、ニッケル6重量%以上かつ10重量%以下、マンガン1重量%以上かつ3重量%以下、銅2重量%以上かつ5重量%以下を含むステンレス鋼層を少なくとも1層有する円筒状の金属層と、
    前記金属層の外側に積層された離型層と、
    を備えることを特徴とする無端ベルト。
  2. 前記金属層は、複数の前記ステンレス鋼層と前記ステンレス鋼層に挟まれた銅層とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の無端ベルト。
  3. 前記金属層の前記ステンレス鋼層は、炭素含有量が0.1重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の無端ベルト。
  4. 前記金属層の前記ステンレス鋼層は、加工硬化係数が0.4以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の無端ベルト。
  5. 前記金属層と前記離型層との間に弾性層をさらに有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の無端ベルト。
  6. クロム15重量%以上かつ19重量%以下、ニッケル6重量%以上かつ10重量%以下、マンガン1重量%以上かつ3重量%以下、銅2重量%以上かつ5重量%以下を含むステンレス鋼層を少なくとも1層有する円筒状の金属層と、当該金属層の外側に積層された離型層と、を備える定着ベルトと、
    前記定着ベルトの外側に圧接される加圧部材と、
    前記定着ベルトの内側に設けられ、当該定着ベルトを加熱する加熱部材と、
    を備えることを特徴とする定着装置。
  7. 前記定着ベルトの受ける繰り返し歪み幅が、0.7%以上であることを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
  8. 前記加熱部材は、前記定着ベルトの前記金属層に渦電流を発生させ当該定着ベルトを発熱させる電磁誘導加熱部材であることを特徴とする請求項6または7に記載の定着装置。
  9. トナー像を形成する像形成部と、
    前記像形成部で形成されたトナー像を記録材に転写する転写部と、
    クロム15重量%以上かつ19重量%以下、ニッケル6重量%以上かつ10重量%以下、マンガン1重量%以上かつ3重量%以下、銅2重量%以上かつ5重量%以下を含むステンレス鋼層を少なくとも1層有する円筒状の金属層と、当該金属層の外側に積層された離型層と、を備える定着ベルトと、当該定着ベルトとの間に押圧部を形成し回転駆動される加圧部材と、当該定着ベルトの内側に設けられ、当該定着ベルトを加熱する加熱部材とを有し、前記記録材に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着部と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014238447A (ja) * 2013-06-06 2014-12-18 キヤノン株式会社 定着部材用の金属基材及びその製造方法、定着部材および定着装置

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