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JP2009025565A - 定着部材、定着部材の製造方法、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

定着部材、定着部材の製造方法、定着装置及び画像形成装置 Download PDF

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JP2009025565A
JP2009025565A JP2007188721A JP2007188721A JP2009025565A JP 2009025565 A JP2009025565 A JP 2009025565A JP 2007188721 A JP2007188721 A JP 2007188721A JP 2007188721 A JP2007188721 A JP 2007188721A JP 2009025565 A JP2009025565 A JP 2009025565A
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Taketoshi Azuma
武敏 東
Hitoshi Okazaki
仁 岡崎
Masahito Saito
雅人 齋藤
Makoto Komata
誠 小俣
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

【課題】安定した発熱特性を維持する電磁誘導加熱定着装置用の定着部材を提供する。
【解決手段】イミド化率50%〜90%であるポリイミド樹脂を含む弾性率4.5GPa以上の基材61aと銅を含む金属層61bとを有する定着ベルト61であって、金属層61bにおける銅の結晶の体積平均粒径が3μm以上20μm以下であることにより、金属層61bにおけるクラック等の発生が低減し、長期に亘る発熱特性を維持し、さらに、基材61aの断熱効果により金属層61bで発生する熱の放熱量が低減し、ウォームアップタイムが短縮する。
【選択図】図3

Description

本発明は、定着部材、定着部材の製造方法、定着装置及び画像形成装置に関する。
従来、電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置は、記録媒体上に形成したトナー像を記録媒体上に定着するための定着工程において、一般的に熱圧力定着法を採用している。なかでも、電磁誘導加熱方式により定着部材を加熱する方法が知られている。
このような電磁誘導加熱方式により加熱する定着部材として、特許文献1に、金属層及びポリイミド樹脂層を有する積層フィルムが記載されている。また、特許文献2に、ポリイミドの基層と銅を含む導電性層と中立軸位置調整層及びトナー離型層とを積層するベルトが記載されている。
特開2001−341231号公報 特開2004−070191号公報
ところで、電磁誘導加熱方式を利用する定着装置(誘導加熱定着装置)では、金属発熱層を有する定着部材と、定着部材の内部または外部の近接位置に設置されて高周波電源と電気的に接続するコイル及び加圧部材を用いる。
このような定着部材の金属発熱層にクラック・亀裂等が生じると、金属発熱層の抵抗が増大したり、あるいは、金属発熱層が電気的に絶縁状態になるため、発熱特性が低下する。また、発生したクラックが溝状のディフェクトの場合は、局所的に膜厚が薄い部分の溝部が異常発熱を起こす。このような異常発熱により、定着ベルト表面の離型層が焼けたり、溶融を招き、定着部材としての耐久性を著しく低下させる原因となる。
本発明は、安定した発熱特性を維持する定着部材を提供することを課題とする。
請求項1記載の発明は、耐熱性樹脂を含み、弾性率が4.5GPa以上である基材と、銅を含み、前記基材上に形成する金属層と、を有し、前記金属層における前記銅の結晶の体積平均粒径が3μm以上20μm以下であることを特徴とする定着部材である。
請求項2記載の発明は、前記基材の前記金属層を形成する面と反対側の面に凹凸パターンを有することを特徴とする請求項1に記載の定着部材である。
請求項3記載の発明は、耐熱性樹脂を含む基材上に銅を含む金属層を形成し、前記金属層を温度300℃〜450℃で加熱処理することを特徴とする定着部材の製造方法である。
請求項4記載の発明は、前記基材の弾性率が4.5GPa以上であることを特徴とする請求項3記載の定着部材の製造方法である。
請求項5記載の発明は、前記耐熱性樹脂が、イミド化率50%〜90%であるポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項3記載の定着部材の製造方法である。
請求項6記載の発明は、前記金属層における前記銅の結晶の体積平均粒径が3μm〜20μmになるように当該金属層を加熱処理することを特徴とする請求項3記載の定着部材の製造方法である。
請求項7記載の発明は、前記金属層を有する面とは反対側の面に凹凸パターンを形成することを特徴とする請求項3記載の定着部材の製造方法である。
請求項8記載の発明は、弾性率が4.5GPa以上である耐熱性樹脂製の基材上に、体積平均粒径が3μm以上20μm以下である銅の結晶を含む金属層を備える定着部材と、前記定着部材の外周面を圧接する加圧部材と、前記定着部材の前記金属層に渦電流を発生させ、当該定着部材を発熱させる電磁誘導加熱部材と、を有することを特徴とする定着装置である。
請求項9記載の発明は、前記定着部材の内周面に凹凸パターンを有し、且つ、当該定着部材の当該内周面に潤滑剤を供給する潤滑剤塗布部材をさらに備えることを特徴とする請求項8記載の定着装置である。
請求項10記載の発明は、トナー像を形成するトナー像形成部と、前記トナー像を記録材上に転写する転写部と、前記記録材上に転写したトナー像を当該記録材上に定着する定着部と、を有し、前記定着部は、ポリイミド樹脂製の基材上に体積平均粒径が3μm以上20μm以下の銅の結晶を含む金属層を有する定着部材と、前記定着部材の外周面を圧接する加圧部材と、前記定着部材を発熱させる電磁誘導加熱部材と、を備えることを特徴とする画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、定着部材全体の耐屈曲性が保たれ、且つ、金属層におけるクラック等の発生が低減し、長期に亘る発熱特性を維持できる。また、基材の断熱効果により金属層で発生する熱の放熱量が低減し、ウォームアップタイムを短縮する。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、定着部材と押圧部材との摺動抵抗を抑制する。
請求項3に係る発明によれば、定着部材における金属層の銅の結晶粒径が大きくなる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、例えば、定着部材である定着ベルトの耐屈曲性が向上する。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、加熱処理を行う際に基材の弾性率の低下が低減する。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、定着部材の耐久性が向上する。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、定着部材と摺動する押圧部材の寿命が向上する。
請求項8に係る発明によれば、誘導加熱方式の定着装置における定着部材の耐久性が向上する。
請求項9に係る発明によれば、長期に亘り発熱特性を維持する定着部材を備える定着装置により、安定した画像が得られる。
請求項10に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、長期に亘り安定した画像が得られる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(実施の形態)について説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、使用する図面は、本実施の形態を説明するために使用するものであり、実際の大きさを現すものではない。
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置の概略構成図である。ここでは、一般にタンデム型と呼ぶ中間転写方式の画像形成装置を例に挙げ説明する。図1に示す画像形成装置は、トナー像形成部として、電子写真方式により各色成分のトナー像を形成する複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kを備える。次に、転写部として、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成する各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)する一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写した重畳トナー画像を記録材(記録用紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)する二次転写部20を有する。さらに、定着部として、二次転写された画像を用紙P上に定着する定着装置60を備える。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有する。
図1に示すように、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム11と、感光体ドラム11を帯電する帯電器12と、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図1中、露光ビームを符号Bmで示す)と、各色成分トナーを収容し感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14と、を有する。また、感光体ドラム11上に形成する各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16と、感光体ドラム11上の残留トナーを除去するドラムクリーナ17と、を有する。本実施の形態では、これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kを、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に略直線状に配置する。
中間転写ベルト15は、各種ロールにより、図1に示す矢印B方向に所定の速度で循環駆動(回動)する。各種ロールとして、中間転写ベルト15を回動する駆動ロール31と、中間転写ベルト15を支持する支持ロール32と、中間転写ベルト15に一定の張力を与え蛇行を防止するテンションロール33と、二次転写部20に設けるバックアップロール25と、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けるクリーニングバックアップロール34と、を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟み感光体ドラム11に対向する一次転写ロール16を有する。一次転写ロール16にトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)を印加し、各感光体ドラム11上のトナー像を中間転写ベルト15に順次、静電吸引し、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像を形成する。
二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置する二次転写ロール22と、バックアップロール25と、を有する。バックアップロール25を中間転写ベルト15の裏面側に配置して二次転写ロール22の対向電極とし、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26を接触配置する。
二次転写ロール22は、中間転写ベルト15を挟みバックアップロール25に圧接配置し、さらに二次転写ロール22を接地してバックアップロール25との間に二次転写バイアスを形成し、二次転写部20に搬送される用紙P上にトナー像を二次転写する。
中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側に、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去する中間転写ベルトクリーナ35を接離自在に設ける。また、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側に、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42を配設する。さらに、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43を配設する。基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けた所定のマークを認識して基準信号を発生し、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始する。
本実施の形態では、用紙搬送系として、用紙Pを収容する用紙トレイ50と、用紙トレイ50中の用紙Pを取り出して搬送するピックアップロール51と、用紙Pを搬送する搬送ロール52と、用紙Pを二次転写部20へと送る搬送シュート53と、二次転写ロール22により二次転写された用紙Pを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55と、用紙Pを定着装置60に導く定着入口ガイド56と、を有する。
次に、画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。
図1に示すような画像形成装置では、画像読取装置(IIT)(図示せず)やパーソナルコンピュータ(PC)(図示せず)等から出力される画像データに、画像処理装置(IPS)(図示せず)により所定の画像処理を施した後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業を実行する。IPSでは、入力された反射率データに、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理を施す。画像処理を施した画像データを、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換し、レーザ露光器13に出力する。
レーザ露光器13は、入力される色材階調データに応じ、例えば、半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体ドラム11に照射する。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体ドラム11の表面を帯電器12によって帯電した後、レーザ露光器13によって表面を走査露光し、静電潜像を形成する。形成した静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像する。
次に、感光体ドラム11上に形成するトナー像を、各感光体ドラム11と中間転写ベルト15とが当接する一次転写部10において中間転写ベルト15上に転写する。具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により、中間転写ベルト15の基材に対し、トナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)を付加し、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写を行う。
トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次一次転写した後、中間転写ベルト15が移動してトナー像を二次転写部20に搬送する。用紙搬送系は、トナー像を二次転写部20に搬送するタイミングに合わせてピックアップロール51を回転し、用紙トレイ50から所定サイズの用紙Pを供給する。ピックアップロール51により供給した用紙Pは、搬送ロール52により搬送され、搬送シュート53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Pを一旦停止し、トナー像を保持した中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)を回転し、用紙Pの位置とトナー像の位置との位置合わせを行う。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介し、二次転写ロール22をバックアップロール25に押圧する。このとき、用紙Pは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)を印加し、二次転写ロール22とバックアップロール25との間に転写電界を形成する。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像を、二次転写ロール22とバックアップロール25とによって二次転写部20において押圧し、用紙P上に一括して静電転写する。
その後、トナー像を静電転写した用紙Pを、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離してそのまま搬送し、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設ける搬送ベルト55へと搬送する。搬送ベルト55は、用紙Pを定着装置60まで搬送する。定着装置60は、用紙P上の未定着トナー像を熱および圧力で処理し用紙P上に定着する。定着画像を形成した用紙Pは、画像形成装置の排出部に設けた排紙載置部(図示せず)に搬送する。
一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーを、中間転写ベルト15の回動に伴ってクリーニング部まで搬送し、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去する。
次に、本実施の形態における定着装置60について説明する。
図2は、定着装置60の構成を示す図である。図2に示すように、定着装置60は、定着部材の一例としての定着ベルト61、定着ベルト61に交流磁界を発生させる電磁誘導加熱部材の一例としての磁場発生ユニット85、定着ベルト61に対向するように配置する加圧部材の一例としての加圧ロール62、定着ベルト61を介して加圧ロール62から押圧される圧力パッド64を有する。
定着ベルト61は、円筒形状を有し、例えば直径30mm程度のエンドレスベルトである。定着ベルト61の層構成は後述する。定着ベルト61は、圧力パッド64とベルトガイド部材63、定着ベルト61の両端部に配置するエッジガイド部材(図示せず)によって回動自在に支持される。そして、ニップ部Nにおいて加圧ロール62に圧接され、加圧ロール62に従動して回動する。
ベルトガイド部材63は、定着ベルト61の内部に配置するホルダ65に取り付ける。また、定着ベルト61の回動方向に向けた複数のリブ(図示せず)で形成し、定着ベルト61内周面との接触面積を小さくする。ベルトガイド部材63は、摩擦係数が低く、かつ熱伝導率が低いPFAやPPS等の耐熱性樹脂で形成し、定着ベルト61内周面との摺動抵抗を低減し、熱の発散を低くなるように構成する。
圧力パッド64は、定着ベルト61を介して加圧ロール62から押圧されてニップ部Nを形成する。圧力パッド64は、バネや弾性体によって加圧ロール62を、例えば35kgfの荷重で押圧するようにホルダ65により支持する。圧力パッド64は、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体からなり、加圧ロール62側を平面状に形成し、ニップ部Nにおいて、略均一なニップ圧を形成する。本実施の形態では、圧力パッド64として、ゴム硬度が20°(JIS−A)のシリコーンゴムを用い、幅8.5mm、ゴム厚5mmに設定する。定着ベルト61は、圧力パッド64の加圧ロール62側の面から離れる際に急激な曲率の変化を生じるため、定着後の用紙Pは定着ベルト61から剥離する。
ニップ部Nの下流側近傍に配設する剥離補助部材70は、剥離バッフル71を定着ベルト61の回転方向と対向する方向(カウンタ方向)に向け、バッフルホルダ72により保持する。また、圧力パッド64と定着ベルト61との間に低摩擦シート68を配設し、定着ベルト61内周面と圧力パッド64との摺動抵抗を低減する。本実施の形態では、低摩擦シート68は圧力パッド64と別体に構成し、両端をホルダ65に固定する。
ホルダ65に、定着装置60の長手方向に亘って潤滑剤塗布部材67を配設する。潤滑剤塗布部材67は、定着ベルト61内周面に接触し、定着ベルト61と低摩擦シート68との摺動部に潤滑剤を供給する。尚、潤滑剤としては、例えば、シリコーンオイル、フッ素オイル等の液体状オイル;固形物質と液体とを混合させたグリース等、さらにこれらを組み合わせたものが挙げられる。
加圧ロール62は、例えば、直径16mmの中実の鉄製コア(円柱状芯金)621と、コア621の外周面を被覆する、例えば厚さ12mmのシリコーンスポンジ等の耐熱性弾性体層622と、例えば、厚さ30μmのPFA等の耐熱性樹脂被覆または耐熱性ゴム被覆による離型層623とを有する。尚、加圧ロール62の製造方法としては、例えば、PFAチューブの内周面に接着用プライマーを塗布したフッ素樹脂チューブと中実シャフトとを成形金型内にセットし、フッ素樹脂チューブと中実シャフトとの間に液状発泡シリコーンゴムを注入後、加熱処理(150℃×2hrs)によりシリコーンゴムを加硫、発泡させて弾性層を形成する方法が挙げられる。
加圧ロール62は、定着ベルト61に対向するように配置し、矢印D方向に、例えば140mm/sのプロセススピードで回転し、定着ベルト61を従動させる。また、加圧ロール62と圧力パッド64とにより定着ベルト61を挟持した状態で保持してニップ部Nを形成し、このニップ部Nに未定着トナー像を保持した用紙Pを通過させ、熱および圧力を加えて未定着トナー像を用紙Pに定着する。
電磁誘導加熱部材の一例である磁場発生ユニット85は、断面が定着ベルト61の形状に沿った形状を有し、定着ベルト61の外周表面と0.5mm〜2mm程度の間隙で設置する。磁場発生ユニット85は、磁界を発生させる励磁コイル851と、励磁コイル851を保持するコイル支持部材852と、励磁コイル851に電流を供給する励磁回路853とを有する。
励磁コイル851は、例えば、相互に絶縁された直径φ0.5mmの銅線材を16本〜20本程度束ねたリッツ線を、長円形状や楕円形状、長方形状等の閉ループ状に巻いて形成したものを用いる。励磁コイル851に励磁回路853によって所定の周波数の交流電流を印加することにより、励磁コイル851の周囲に交流磁界Hが発生する。交流磁界Hが、後述する定着ベルト61の金属層61b(図3参照)を横切る際に、電磁誘導作用によってその交流磁界Hの変化を妨げる磁界を発生するように渦電流Iが生じる。励磁コイル851に印加する交流電流の周波数は、例えば、10kHz〜50kHzに設定する。渦電流Iが定着ベルト61の金属層61bを流れることによって、金属層61bの抵抗値Rに比例した電力W(W=I2R)によるジュール熱が発生し、定着ベルト61を加熱する。
コイル支持部材852は、耐熱性を有する非磁性材料で構成する。このような非磁性材料としては、例えば、耐熱ガラス、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐熱性樹脂、またはこれらにガラス繊維を混合した耐熱性樹脂が挙げられる。
次に、定着部材の一例としての定着ベルト61について説明する。
図3は、定着ベルト61を説明する概略断面図である。図3に示すように、定着ベルト61は、耐熱性樹脂を含む基材61aと、基材61aの外周面上に積層する金属層61bと、表面を形成する離型層61eと、を有する。さらに、本実施の形態では、金属層61bの外側に形成する保護層61cと、保護層61cと離型層61eとの間に設ける弾性層61dとを有する。
基材61aは、耐熱性樹脂フィルムから構成され、厚さ10μm〜150μm、好ましくは50μm〜100μmの円筒形状を有する。耐熱性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリサルフォン樹脂等が挙げられる。これらのなかでも、ポリイミド樹脂が好ましい。
ここで、ポリイミド樹脂としては、通常、ポリアミック酸を脱水閉環して得る。ポリアミック酸は、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物との反応物であるポリイミド前駆体である。
ポリアミック酸を得るために使用するジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル等が挙げられる。テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分等のビフェニルテトラカルボン酸の二無水物、ピロメリット酸の二無水物等が挙げられる。
また、ポリアミック酸又はポリイミドの溶液を調製するために使用する溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスホルアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン、ピリジン、エチレングリコール等が挙げられる。
ポリアミック酸の脱水閉環(イミド化)は、通常、ポリアミック酸を加熱する方法により、または、ポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行う。
ポリアミック酸を加熱する場合の加熱温度は、通常80℃〜250℃とされ、好ましくは100℃〜220℃である。
ポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する場合は、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して0.01〜20モルとするのが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いる。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01モル〜10モルが好ましい。脱水閉環反応の反応温度は、通常0℃〜180℃、好ましくは10℃〜150℃である。
本実施の形態において、基材61aを構成するポリイミド樹脂におけるポリイミドのイミド化率は、50%〜90%、好ましくは、55%〜85%である。ここで「イミド化率」とは、重合体における繰り返し単位の総数に対する、イミド環を形成する繰り返し単位の数の割合を%で表したものである。
基材61aを構成するポリイミド樹脂のイミド化率を上述した範囲(50%〜90%)とすることにより、後述するように、基材61aの弾性率が低下することなく、金属層61bを高温、長時間で加熱処理することが可能となり、金属層61bを構成する銅の結晶粒径を大きくできる。
ここで、基材61aは、例えば、定着ベルト61の両端部がエッジガイド部材(図示せず)等に突き当たる場合でも、座屈等が生じない程度の剛性が必要とされる。本実施の形態では、基材61aの弾性率は、通常、4.5GPa以上、好ましくは、5GPa以上である。但し、基材61aの弾性率は、通常、10GPa以下である。
次に、金属層61bは、金属として銅を含み、励磁コイル851の磁界により発生する渦電流により発熱する層である。金属層61bを構成する金属としては、銅以外としては、例えば、ニッケル、鉄、金、銀、アルミニウム、クロム、錫、亜鉛等の単一又は2種類以上の合金が挙げられる。これらの中でも、銅及び金、銀は固有抵抗が低いため好ましい。また、銅、金、銀の合金が好ましい。
本実施の形態では、金属層61bにおける銅の含有量は、通常、80%以上、好ましくは90%以上である。
本実施の形態において、金属層61bに含まれる銅の結晶の体積平均粒径は、通常、3μm〜20μm、好ましくは、5μm〜10μmである。銅の結晶の体積平均粒径が過度に小さい場合は、定着ベルト61の耐屈曲性が低下する傾向がある。
ここで、体積平均粒径は、例えば、走査イオン顕微鏡(セイコーインスツルメント株式会社製JFIB−2300)を用いて測定する。
また、金属層61bの厚さは、通常、3μm〜20μm、好ましくは5μm〜15μmである。
保護層61cは、金属層61bに加わる機械的ストレスを緩和し、クラック等のディフェクトの発生を抑制するために、必要に応じて設ける。保護層61cの内部応力の絶対値は、通常5kg/mm以下である。保護層61cの膜厚は、少なくとも1μm以上、好ましくは、2μm以上である。保護層61cを構成する材料は、例えば、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、これらの金属を主成分とする合金が挙げられる。本実施の形態では、銅を含む金属層61bに対し、保護層61cはニッケル、ニッケルを主成分とする合金を含むことが好ましい。
弾性層61dは、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の公知の耐熱性ゴムを用いて形成する。中でもシリコーンゴムは、表面張力が小さく、弾性に優れる点で好ましい。このようなシリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)などが挙げられる。弾性層61dの厚さは、通常、50μm〜1mm、好ましくは0.1mm〜0.5mmである。弾性層61dのゴム硬度は、通常、5〜70、好ましくは10〜30である。
離型層61eは、トナー像に対し適度な離型性を示す材料を用いて形成する。このような材料としては、例えば、フッ素ゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等が挙げられる。離型層61eの厚さは、通常、10μm〜100μmである。
(定着ベルト61の製造方法)
定着ベルト61は、通常、以下の操作により製造する。
本実施の形態では、ポリイミド樹脂を用いて基材61aを形成する場合は、例えば、直径30mm程度の金属製パイプの表面に、ポリアミック酸または溶媒可溶性のポリイミドの溶液を塗布し、加熱乾燥し、弾性率が4.5GPa以上の無端状ベルトを形成する。このとき、ポリイミド樹脂におけるポリイミドのイミド化率は、50%〜90%に調整する。
塗布方法としては、キャスト法、スプレー法、ディッピング法等が挙げられる。加熱温度は、前述したように、ポリアミック酸の場合は、通常80℃〜250℃、好ましくは100℃〜220℃である。ポリイミドの溶液の場合は、通常0℃〜180℃、好ましくは10℃〜150℃である。
次に、ポリイミド樹脂製の無端状ベルトの外周面に銅を含む金属層61bを形成する。金属層61bは、ポリイミド樹脂製の無端状ベルトの外周面にめっき処理を行うことにより形成することが好ましい。めっき処理を行う場合は、通常、無端状ベルトの外周面をアルカリエッチング処理後、無電解ニッケルめっき処理により、厚さ1μm程度のニッケルめっき膜を形成する。次に、このニッケルめっき膜を電極として、この上に電解銅めっき処理により銅めっき膜を形成する。
電解銅めっき処理を行う場合に使用する電解質溶液としては、例えば、(結晶硫酸銅及び硫酸)、(ホウフッ化銅及びホウフッ酸)、(シアン化銅及びシアン化ソーダ)、(ピロリン酸銅、ピロリン酸カリウム及びアンモニア水)等が挙げられる。
本実施の形態では、無端状ベルトの外周面に銅めっき膜を形成した後、無端状ベルトを300℃〜450℃、好ましくは350℃〜400℃の範囲で加熱処理する。加熱処理により、銅めっき膜中の銅結晶の体積平均粒径を、3μm〜20μmの範囲に調製し、金属層61bを形成する。
続いて、金属層61b上に、液状シリコーンゴム等を塗布した後、例えば、120℃〜200℃で加熱し、所定の厚さの弾性層61dを接着固化する。次に、弾性層61d上に、例えばシランカップリング剤系のプライマーを塗布し、続いて、予め裏面に接着活性化処理を施したフッ素樹脂チューブを弾性層61dの表面に被せ、150℃〜180℃で加熱接着処理して離型層61eを形成する。接着活性化処理としては特に限定されず、例えば、酸処理、ブラスト処理、プラズマ処理等が挙げられる。
また、弾性層61d上に、例えば、フッ素樹脂ディスパージョンを塗布し、その後、所定の温度で加熱することにより離型層61eを形成することもできる。
本実施の形態では、定着ベルト61を構成する基材61aは、金属層61bを設ける側と反対側の面である基材内周面611に凹凸パターンを有する。凹凸パターンの形状は特に限定されないが、例えば、溝状、穴状等が挙げられる。また、凹凸パターンの間隔は特に限定されないが、例えば、10μm〜1mmである。凹凸パターンの深さは特に限定されないが、例えば、0.5μm〜10μmである。
基材内周面611の凹凸パターンは、潤滑剤塗布部材67(図2参照)から供給される潤滑剤を保持する。このため、定着ベルト61と圧力パッド64との摺動抵抗を効果的に抑制し、圧力パッド64の寿命を延ばすことができる。
基材内周面611に凹凸パターンを形成する方法は特に限定されない。例えば、前述したように、ポリイミド樹脂を用いて基材61aを形成する場合、表面に所定の凹凸パターンを有する金属製パイプを使用し、これにポリアミック酸または溶媒可溶性のポリイミドの溶液を塗布し、加熱乾燥すると、基材内周面611に凹凸パターンを有する基材61aを得る。尚、金属製パイプの表面に凹凸パターンを形成する方法は、例えば、ブラスト法、切削法等、適宜選択できる。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をより具体的に説明する。尚、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(1)弾性率
JIS K7113に準拠し、定着ベルトの材料として使用するポリイミド樹脂の試験片について引張り試験を行い、弾性率を測定する(単位:GPa)。
(2)銅結晶の体積平均粒径
セイコーインスツルメント株式会社製FIB−SEM装置(JFIB−2300)により断面を直接観察し、10個の結晶について体積平均粒径を計測し、その平均値を銅結晶の体積平均粒径とする。
(3)評価方法
所定の電磁誘導加熱定着装置を使用し、富士ゼロックス株式会社製J紙を用いる通紙テストを行い、通紙前後における定着ベルトの電気特性である力率の変化を測定する。
(4)力率
力率とは、励磁コイルに高周波電流を流し、定着ベルトに設けた金属発熱層に渦電流が発生した結果、励磁コイルに流れる電流及び電圧の位相差θに基くcosθの値である。位相差θが0に近いほど力率は高くなり、より発熱しやすい状態である。
本実施例では、図2に示す定着装置60において、磁場発生ユニット85をインピーダンスメーター(横河電機株式会社製WT1600FC)に変え、20KHzの高周波電流を励磁コイルに流したときの電流及び電圧の位相差θを測定し、力率(cosθ)を算出する。ここでは、通紙テスト前の力率を1.0としたときの通紙後の力率を相対評価する。
(実施例1)
−定着ベルトの作製−
耐熱性樹脂層としてポリイミド樹脂(商品名:Uワニス−S、宇部興産株式会社製)を用いる。ポリイミド樹脂を、直径30mmのアルミニウム(Al)パイプの凹凸パタ−ンを有する表面に上に塗布し、イミド化率65%になるよう加熱乾燥し、膜厚60μm×外径30mmの無端状ベルトを作製する。
次に、この無端状ベルトの外周面にアルカリエッチング処理を行う。洗浄後、外周面に無電解ニッケルめっき処理を行い、厚さ1μmのニッケルめっき膜を形成する。続いて、このニッケルめっき膜を電極として、この上に電解めっき処理により膜厚10μmの銅層を形成し、続いて、防錆処理を行い、その後、380℃の炉内に4時間放置し、加熱乾燥する。さらに、この銅層上にフッ素樹脂(PFA)ディスパージョン塗料(商品名:EN−710CL、三井デュポンフロロケミカル株式会社製)を塗布し、その後、380℃の炉内に1時間放置してフッ素樹脂塗膜を焼成し、膜厚30μmのPFA層を形成し、定着ベルトを得る。このとき、得られる定着ベルトの銅層における銅結晶の体積平均粒径は5μmであり、ポリイミド樹脂製の基材の弾性率は5.5GPaである。
このようにして得られる定着ベルトについて電磁誘導加熱定着装置を使用する通紙テストにおいて、通紙前後における定着ベルトの力率の変化を測定する。結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリイミド樹脂を用いてイミド化率が70%の無端状ベルトを作成し、電解めっき処理による銅層を作成後に加熱乾燥を380℃の炉内に8時間放置とした以外は実施例1と同様の操作を行ない定着ベルトを作成する。このとき、定着ベルトの銅層における銅結晶の体積平均粒径は20μmであり、ポリイミド樹脂の基材の弾性率は4.5GPaである。
このようにして得られる定着ベルトについて電磁誘導加熱定着装置を使用する通紙テストにおいて、通紙前後における定着ベルトの力率の変化を測定する。結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリイミド樹脂を用いてイミド化率が75%の無端状ベルトを作成し、電解めっき処理による銅層を作成後に加熱乾燥を380℃の炉内に6時間放置とした以外は実施例1と同様の操作を行ない定着ベルトを作成する。このとき、定着ベルトの銅層における銅結晶の体積平均粒径は10μmであり、ポリイミド樹脂の基材の弾性率は4.5GPaである。
このようにして得られる定着ベルトについて電磁誘導加熱定着装置を使用する通紙テストにおいて、通紙前後における定着ベルトの力率の変化を測定する。結果を表1に示す。
(実施例4)
ポリイミド樹脂を用いてイミド化率が90%の無端状ベルトを作成し、電解めっき処理による銅層を作成後に加熱乾燥を380℃の炉内に0.5時間放置とした以外は実施例1と同様の操作を行ない定着ベルトを作成する。このとき、定着ベルトの銅層における銅結晶の体積平均粒径は3μmであり、ポリイミド樹脂の基材の弾性率は4.5GPaである。
このようにして得られる定着ベルトについて電磁誘導加熱定着装置を使用する通紙テストにおいて、通紙前後における定着ベルトの力率の変化を測定する。結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリイミド樹脂を用いてイミド化率98%の無端状ベルトを作成し、電解めっき処理による銅層を作成後に加熱乾燥を行わない以外は、実施例1と同様の操作を行なって定着ベルトを作成する。このとき、定着ベルトの銅層における銅結晶の体積平均粒径は1.5μmであり、ポリイミド樹脂の基材の弾性率は6.0GPaである。
このようにして得られる定着ベルトについて電磁誘導加熱定着装置を使用する通紙テストにおいて、通紙前後における定着ベルトの力率の変化を測定する。結果を表1に示す。
(比較例2)
ポリイミド樹脂を用いてイミド化率が98%の無端状ベルトを作成し、これ以外は実施例1と同様の操作を行ない定着ベルトを作成する。このとき、定着ベルトの銅層における銅結晶の体積平均粒径は5μmであり、ポリイミド樹脂の基材の弾性率は3.5GPaである。
このようにして得られる定着ベルトについて電磁誘導加熱定着装置を使用する通紙テストにおいて、通紙前後における定着ベルトの力率の変化を測定する。結果を表1に示す。
(比較例3)
ポリイミド樹脂を用いてイミド化率が60%の無端状ベルトを作成し、電解めっき処理による銅層を作成後に加熱乾燥を380℃の炉内に10時間放置とした以外は実施例1と同様の操作を行ない定着ベルトを作成する。このとき、定着ベルトの銅層における銅結晶の体積平均粒径は25μmであり、ポリイミド樹脂の基材の弾性率は5.0GPaである。
このようにして得られる定着ベルトについて電磁誘導加熱定着装置を使用する通紙テストにおいて、通紙前後における定着ベルトの力率の変化を測定する。結果を表1に示す。
(比較例4)
ポリイミド樹脂を用いてイミド化率が80%の無端状ベルトを作成し、電解めっき処理による銅層を作成後に加熱乾燥を行わない以外は実施例1と同様の操作を行ない定着ベルトを作成する。このとき、定着ベルトの銅層における銅結晶の体積平均粒径は2μmであり、ポリイミド樹脂の基材の弾性率は3.5GPaである。
このようにして得られる定着ベルトについて電磁誘導加熱定着装置を使用する通紙テストにおいて、通紙前後における定着ベルトの力率の変化を測定する。結果を表1に示す。
(比較例5)
ポリイミド樹脂を用いてイミド化率が90%の無端状ベルトを作成し、電解めっき処理による銅層を作成後に加熱乾燥を380℃の炉内に10時間放置とした以外は実施例1と同様の操作を行ない定着ベルトを作成する。このとき、定着ベルトの銅層における銅結晶の体積平均粒径は25μmであり、ポリイミド樹脂の基材の弾性率は3.5GPaである。
このようにして得られる定着ベルトについて電磁誘導加熱定着装置を使用する通紙テストにおいて、通紙前後における定着ベルトの力率の変化を測定する。結果を表1に示す。
(比較例6)
ポリイミド樹脂を用いてイミド化率が90%の無端状ベルトを作成し、電解めっき処理による銅層を作成後に加熱乾燥を380℃の炉内に6時間放置とした以外は実施例1と同様の操作を行ない定着ベルトを作成する。このとき、定着ベルトの銅層における銅結晶の体積平均粒径は10μmであり、ポリイミド樹脂の基材の弾性率は3.5GPaである。
このようにして得られる定着ベルトについて電磁誘導加熱定着装置を使用する通紙テストにおいて、通紙前後における定着ベルトの力率の変化を測定する。結果を表1に示す。
Figure 2009025565
表1に示す結果から、ポリイミド樹脂を含む弾性率4.5GPa以上の基材上に、体積平均粒径3μm以上20μm以下の銅結晶を含む銅層を有する定着ベルト(実施例1〜実施例4)は、通紙テストにおいて力率の変化がわずかであり、耐屈曲性が向上することが分かる。
一方、ポリイミド樹脂を含む弾性率6GPa(>4.5GPa)の基材上に、体積平均粒径1.5μm(<3μm)の銅結晶を含む銅層を有する定着ベルト(比較例1)は、通紙テストにおいて力率が減少することが分かる。
また、ポリイミド樹脂を含む弾性率3.5GPa(<4.5GPa)の基材上に、体積平均粒径5μm(3μm以上20μm以下)の銅結晶を含む銅層を有する定着ベルト(比較例2)は、通紙テストにおいて力率が減少することが分かる。
また、ポリイミド樹脂を含む弾性率5.0GPa(>4.5GPa)の基材上に、体積平均粒径25μm(>20μm)の銅結晶を含む銅層を有する定着ベルト(比較例3)は、通紙テストにおいて力率が減少することが分かる。
また、ポリイミド樹脂を含む弾性率3.5GPa(<4.5GPa)の基材上に、体積平均粒径2μm(<3μm)の銅結晶を含む銅層を有する定着ベルト(比較例4)は、通紙テストにおいて力率が減少することが分かる。
また、ポリイミド樹脂を含む弾性率3.5GPa(<4.5GPa)の基材上に、体積平均粒径25μm(>20μm)の銅結晶を含む銅層を有する定着ベルト(比較例5)は、通紙テストにおいて力率が減少することが分かる。
また、ポリイミド樹脂を含む弾性率3.5GPa(<4.5GPa)の基材上に、体積平均粒径10μm(3μm以上20μm以下)の銅結晶を含む銅層を有する定着ベルト(比較例6)は、通紙テストにおいて力率が減少することが分かる。
本実施の形態が適用される画像形成装置の概略構成図である。 定着装置の構成を示す図である。 定着ベルトの構成を説明する概略断面図である。
符号の説明
1Y,1M,1C,1K…画像形成ユニット、11…感光体ドラム、12…帯電器、13…レーザ露光器、14…現像器、15…中間転写ベルト、16…一次転写ロール、17…ドラムクリーナ、20…二次転写部、60…定着装置、61…定着ベルト、61a…基材層、61b…金属層、61e…離型層、62…加圧ロール、63…ベルトガイド部材、64…圧力パッド、65…ホルダ、67…潤滑剤塗布部材、68…低摩擦シート、70…剥離補助部材、85…磁場発生ユニット、851…励磁コイル、852…コイル支持部材

Claims (10)

  1. 耐熱性樹脂を含み、弾性率が4.5GPa以上である基材と、
    銅を含み、前記基材上に形成する金属層と、を有し、
    前記金属層における前記銅の結晶の体積平均粒径が3μm以上20μm以下であることを特徴とする定着部材。
  2. 前記基材の前記金属層を形成する面と反対側の面に凹凸パターンを有することを特徴とする請求項1に記載の定着部材。
  3. 耐熱性樹脂を含む基材上に銅を含む金属層を形成し、
    前記金属層を温度300℃〜450℃で加熱処理する
    ことを特徴とする定着部材の製造方法。
  4. 前記基材の弾性率が4.5GPa以上であることを特徴とする請求項3記載の定着部材の製造方法。
  5. 前記耐熱性樹脂が、イミド化率50%〜90%であるポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項3記載の定着部材の製造方法。
  6. 前記金属層における前記銅の結晶の体積平均粒径が3μm〜20μmになるように当該金属層を加熱処理することを特徴とする請求項3記載の定着部材の製造方法。
  7. 前記金属層を有する面とは反対側の面に凹凸パターンを形成することを特徴とする請求項3記載の定着部材の製造方法。
  8. 弾性率が4.5GPa以上である耐熱性樹脂製の基材上に、体積平均粒径が3μm以上20μm以下である銅の結晶を含む金属層を備える定着部材と、
    前記定着部材の外周面を圧接する加圧部材と、
    前記定着部材の前記金属層に渦電流を発生させ、当該定着部材を発熱させる電磁誘導加熱部材と、
    を有することを特徴とする定着装置。
  9. 前記定着部材の内周面に凹凸パターンを有し、且つ、当該定着部材の当該内周面に潤滑剤を供給する潤滑剤塗布部材をさらに備えることを特徴とする請求項8記載の定着装置。
  10. トナー像を形成するトナー像形成部と、
    前記トナー像を記録材上に転写する転写部と、
    前記記録材上に転写したトナー像を当該記録材上に定着する定着部と、を有し、
    前記定着部は、
    ポリイミド樹脂製の基材上に体積平均粒径が3μm以上20μm以下の銅の結晶を含む金属層を有する定着部材と、
    前記定着部材の外周面を圧接する加圧部材と、
    前記定着部材を発熱させる電磁誘導加熱部材と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
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