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JP2009185333A - イオン透過性隔膜の製造方法 - Google Patents

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奬吾 安財
Kiminobu Osawa
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Abstract

【課題】アルカリ水電解装置に使用するためのガス分離性能をより向上させたイオン透過性隔膜の製造方法を提供する。
【解決手段】アルカリ水電解に用いられるイオン透過性隔膜1の製造方法は、ポリスルホン等の有機結合材料を有機溶剤に溶解させ、当該有機溶剤に親水性無機材料を分散させて懸濁液を調製し、当該懸濁液に有機繊維布を浸漬させた後、有機結合材料のガラス転移点以上であって融点以下の温度条件下で当該有機繊維布を加圧する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルカリ水電解装置に使用するためのイオン透過性隔膜の製造方法に関する。
水素は、最近のエネルギー事情を反映し、石油に代わる新しいエネルギー源として多方面から注目されている。このような水素の工業的製造方法としては、コークスや石油のガス化法、水電解法等が挙げられる。
前者の方法は、操作が煩雑であるとともに、非常に大規模な設備が必要となるので、イニシャルコストがかなりかかるという問題点がある。
一方、後者の方法は、原料として入手し易い水を用いるものであり、アルカリ水電解装置の電解槽内に複数の電極対を設け、これら対となる電極の間にKOH等のアルカリ電解液を流通させるとともにイオン透過性隔膜で区画して、このイオン透過性隔膜の陰極側で水素を発生させるとともに陽極側で酸素を発生させるものであるが、電極間にイオン透過性隔膜と被電解液とが存在しているので、電気抵抗が大きく、電解効率が悪いという問題がある。しかしながら、この水電解法は、比較的小規模な設備でも水素の発生が可能であり、実用的であることから、電解効率の向上が望まれている。
ところで、このようなアルカリ水電解装置に代表される電気化学的電解槽に使用する隔膜には、以下の性能が要求される。
(1)膜を通じてイオンのみを通し、ガスの通過や拡散がないこと
(2)電解液中で物理的、化学的に耐久性があること
(3)電気抵抗が低いこと
このような性能を有する電解用隔膜として、実用的には石綿布が広く使われている。しかし、電解液は場合によっては100℃以上になるにもかかわらず、石綿布は、100℃以上の温度では腐食を受け使用できなくなる上に、近年では、石綿による健康被害も多く報告されており、その使用には大きな問題がある。
そこで、上記(1)及び(2)の性能を満たすとともに、(3)電気抵抗が一層低いイオン透過性隔膜として、高分子多孔膜又はイオン交換膜、NiO等の金属酸化物膜を用いたもの(特許文献1参照)及び無機物質と有機高分子との複合材料等を隔膜材料としたイオン透過性隔膜(特許文献2参照)等が提案されている。
しかしながら、上記特許文献1及び2に開示されているイオン透過性隔膜は、かかる隔膜により隔てられた電解槽の差圧が増加した場合に、ガスがリークしやすくなり、ガスの分離が困難となるという問題がある。そのため、かかる問題点を改良すべく、真空脱気工程やボールミルによる無機親水化材の粉砕工程をさらに追加したイオン透過性隔膜の製造方法が提案されている(特許文献3参照)。
特公昭62−50557号公報 特許第2604734号公報 国際公開1993/015529号パンフレット
上記特許文献3に開示された方法によりイオン透過性隔膜を製造することにより、当該隔膜のガスの分離性能を向上させることができるものの、より安定的に、かつ安全にアルカリ水電解装置を運転するためには、さらにガス分離性能を向上させる必要がある。
そこで、本発明は、上記従来の課題に鑑みて、アルカリ水電解装置に使用するためのガス分離性能をより向上させたイオン透過性隔膜の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、アルカリ水電解に用いられるイオン透過性隔膜の製造方法であって、有機結合材料が溶解した有機溶剤に親水性無機材料を分散させてなる懸濁液と接触させた有機繊維布を、前記有機結合材料のガラス転移点以上であって融点以下の温度条件下で加圧することを特徴とするイオン透過性隔膜の製造方法を提供する(請求項1)。
上記発明(請求項1)によれば、有機結合材料のガラス転移点以上であって融点以下の温度条件下で有機繊維布を加圧することにより、有機結合材料が軟化しやすくなり、有機繊維布における親水性無機材料層を圧密化することができるため、ガス分離性能をより向上させたイオン透過性隔膜を製造することができる。また、有機繊維布を加圧することで、イオン透過性隔膜の膜面の平滑性を向上させ、当該膜面を均一化することができるため、イオン透過性隔膜をアルカリ水電解装置に装填したときに、例えば、Oリングやガスケットにおけるシール性を向上させることができ、ガスのリークをより防止することのできるイオン透過性隔膜を製造することができる。
上記発明(請求項1)においては、前記親水性無機材料が、所定の粒径を有する微粉末であるのが好ましい(請求項2)。親水性無機材料の粒径を小さくするほど効率よくイオン透過性隔膜を圧密化することができるため、かかる発明(請求項2)によれば、ガス分離性能をより向上させたイオン透過性隔膜を製造することができる。
上記発明(請求項1,2)においては、前記親水性無機材料が、フッ化カルシウム(CaF)、フルオロアパタイト(FAP)、ヒドロキシアパタイト(HAP)及び酸化ジルコニウム(ZrO)からなる群より選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく(請求項3)、上記発明(請求項1〜3)においては、前記有機結合材料が、ポリサルフォン、ポリプロピレン及びフッ化ポリビニリデンからなる群より選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい(請求項4)。
上記発明(請求項3,4)によれば、膜材料としての親水性無機材料や有機結合材料が、非常に良好な親水性を有し、優れたイオン伝導性を示すため、親水性及びイオン伝導性に優れるとともに、ガス分離性能をより向上させたイオン透過性隔膜を製造することができる。
本発明によれば、アルカリ水電解装置に使用するための隔膜であって、親水性無機材料層を圧密化することによってガス分離性能をより向上させたイオン透過性隔膜を製造することができる。
以下、本発明の一実施形態に係るイオン透過性隔膜の製造方法を説明する。
本実施形態に係るイオン透過性隔膜の製造方法においては、まず、有機溶剤に有機結合材料を溶解させる。
有機結合材料は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリサルフォン、ポリプロピレン、フッ化ポリビニリデン等のうちの少なくとも1種を用いることができる。これらの有機結合材料のうち、ポリサルフォンを用いるのが好ましい。ポリサルフォンを膜形成物質として用いることで、イオン透過性隔膜の機械的強度や分離性能を向上させることができる。
また、有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、エチレングリコールのモノ及びジエーテル、又はメチルエチルケトンのようなケトン類等を用いることができ、好ましくは、N−メチル−2−ピロリドンを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
有機溶剤の配合割合は、膜形成物質である有機結合材料との合計100質量%中40質量%以上であればよい。かかる配合割合であれば、有機結合材料を有機溶剤に十分に溶解させることができる。
なお、有機結合材料を溶解した有機溶剤について脱気処理を行い、有機溶剤中に溶解し又は浮遊している気泡を除去するのが好ましい。かかる脱気処理としては、例えば、所定の真空度(−0.09MPa程度以下)にて真空脱気を行えばよい。
次に、有機結合材料が溶解した有機溶剤に親水性無機材料を分散させて、懸濁液を調製する。
親水性無機材料としては、例えば、フッ化カルシウム(CaF)、フルオロアパタイト(FAP)、ヒドロキシアパタイト(HAP)、酸化ジルコニウム(ZrO)等を用いることができ、好ましくは、フッ化カルシウムを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
親水性無機材料は、粒径5μm以下の微粒子であるのが好ましく、特に粒径1μm以下の微粒子であるのが好ましい。親水性無機材料の粒径が5μmを超えると、後述する有機繊維布を加圧するステップを経ても、イオン透過性隔膜を効果的に圧密化することができず、イオン透過性隔膜のガス分離性能を向上させることが困難となるおそれがある。
有機結合材料が溶解した有機溶剤に親水性無機材料を分散させてなる懸濁液を調製する方法は、特に限定されないが、例えば、予め乳鉢等を用いて粒径5μm以下の微粒子とした親水性無機材料を、有機結合材料が溶解した有機溶剤に分散させることにより当該懸濁液を調製してもよいし、ボールミル等の粉砕機に有機結合材料が溶解した有機溶剤と粒径が5μmを超える親水性無機材料とを投入することにより当該懸濁液を調製してもよい。後者の方法によれば、親水性無機材料の微粉化を行いながら、微粉化された親水性無機材料を有機溶剤に分散させることができ、効率的に懸濁液を調製することができる。
親水性無機材料と有機結合材料との配合割合は、親水性無機材料の配合割合が10〜95質量%であることが好ましい。親水性無機材料の配合割合が10質量%未満であると、得られるイオン透過性隔膜の電気抵抗が大きくなるおそれがある。また、親水性無機材料の配合割合が95質量%を超えると、イオン透過性隔膜の機械的強度、特に脆性が低くなりすぎて膜としての形態を維持するのが困難となるおそれがある。親水性無機材料の配合割合が有機結合材料に対して多いほど、イオン透過性隔膜の湿潤性(親水性)が高くなり、電気抵抗が低くなる傾向があるため、好ましい親水性無機材料の配合割合は、40〜90質量%、特に75〜85質量%である。
なお、親水性無機材料としてのヒドロキシアパタイトは、配合割合が高いほど電気抵抗が低くなるが、有機結合材料及び有機溶剤との混合性が悪く、他の親水性無機材料(例えば、フルオロアパタイト等)と比較して、同質量%における懸濁液の粘性が高く、分離しやすい性質がある。このため、親水性無機材料としてヒドロキシアパタイトを用いる場合には、その配合割合を多くとも60〜70質量%程度として懸濁液を調製するのが好ましい。
このようにして得られた懸濁液は、所望により真空度が−0.09MPa程度以下にて所定の時間(例えば、1時間程度)真空脱気処理を行い、懸濁液内部に存在する気泡等を除去するのが好ましい。
続いて、樹脂製(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製)等の型枠を用意し、その型枠内に有機繊維布を伸張した状態で維持させ、上述のようにして得られた懸濁液を型枠内に流し込むことにより、伸張した状態のままの有機繊維布を懸濁液に浸漬する。そして、所望により懸濁液の液面を平滑化し、その後有機繊維布に浸透した有機溶剤を除去する。
有機繊維布としては、ポリプロピレンからなるメッシュ、又はエチレンとモノクロロトリフルオロエチレン等の予めハロゲン化されたエチレンとの共重合体からなるメッシュ等を用いることができる。この有機繊維布としては、織布又は不織布を用いることができ、その繊維径は1mm以下であることが好ましく、特に繊維径が0.5mm以下であることが好ましい。また、有機繊維布の織目の寸法は特に制限はないが、4mm以下であることが好ましく、特に1mm以下であることが好ましい。
有機繊維布に浸透した有機溶剤を除去する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、イソプロピルアルコール等のアルコール浴に上記型枠を浸漬し、有機溶剤を抽出することにより除去してもよいし、有機溶剤を揮発(蒸発)させることにより除去してもよい。
最後に、有機繊維布を型枠から外し、当該有機繊維布を、所定の温度条件下にて加圧する。これにより、イオン透過性隔膜を圧密化し、当該膜の膜面を均一化することができ、ガスの分離性能をより向上させたイオン透過性隔膜を得ることができる。かかる場合に、ホットプレート等を用いて有機繊維布を所定の温度条件下にて加熱しながら加圧してもよいし、所定の温度の雰囲気中にて有機繊維布を加圧してもよい。
上記有機繊維布に対して加圧する際の温度条件は、有機結合材料のガラス転移点以上であって融点以下である。これにより、有機繊維布に対して加圧した際に、有機結合材料が軟化しやすくなり、親水性無機材料層を容易に圧密化することができる。例えば、有機結合材料としてポリサルフォンを用いた場合、ポリサルフォンのガラス転移点である190℃以上、ポリサルフォンの融点以下で加熱する。
有機繊維布に対する加圧は、例えば、市販の加熱・加圧装置等を用いて行ってもよいし、金属板等を用いて行ってもよい。また、有機繊維布に対して加圧する際の圧力条件は、親水性無機材料層を圧密化し得る限り、特に制限されるものではない。
このようにして製造されたイオン透過性隔膜の厚さは、100μm以上、特に200〜1000μmであるのが好ましい。イオン透過性隔膜の厚さが100μm未満では、アルカリ水電解用のイオン透過性隔膜としての強度が十分でないおそれがある。また、イオン透過性隔膜の厚さを100μm以上としても、膜の電気抵抗が上昇することがなく、アルカリ水電解用のイオン透過性隔膜として十分な強度を付与することができる。
このようにして製造されたイオン透過性隔膜は、例えば、1mol/LのKOH溶液中、25℃の条件下において、2.0Ωcm以下、特に0.6Ωcm以下の膜抵抗(電気抵抗)を有する。
そして、イオン透過性隔膜は、膜を介してイオンのみを通過させるが、ガスを通過させたり拡散させたりすることがなく、アルカリ溶液中で物理的、化学的に耐久性を有する。しかも、有機繊維布を加圧することによって製造されるイオン透過性隔膜は、ガスの分離性能をより向上させることができる。したがって、かかるイオン透過性隔膜は、アルカリ水電解用のイオン透過性隔膜として好適に使用することができる。
例えば、図1に示すように、イオン透過性隔膜1は、メッシュ状の電極2,3の間に挟みこまれるようにして当該電極2,3により保持され、このメッシュ状の電極2,3は、電導部材2A,3Aを介してバイポーラ電極4,5の陽極側4A及び陰極側5Aのそれぞれに接続される。これにより、イオン透過性隔膜1を通じて電極2,3間に電圧がかかるようになっている。
このようなイオン透過性隔膜1を用いた図1に示す電解ユニットにおいては、バイポーラ電極4,5に電流を流すと、電導部材2A,3Aからメッシュ状の電極2,3間に電圧が生じ、水酸化カリウム溶液Wの電気分解により、イオン透過性隔膜1とメッシュ状の電極2(陽極)との界面において、酸素(O)が発生する。
そして、イオン透過性隔膜1とメッシュ状の電極3(陰極)との界面においては、2倍量の水素(H)が発生する。この電解ユニットにおける電解槽は、イオン透過性隔膜1により陰極側と陽極側とに区画されているので、陰極側で発生した水素のみを回収することで水素ガスを製造することができる。
このとき、イオン透過性隔膜1には、親水性に優れた無機材料(無機湿潤性物質)が含まれており、またイオン透過性隔膜1が多孔質構造を有しているため、水酸化カリウム溶液中のイオンは迅速に移動する。そのため、イオン透過性隔膜1の電気抵抗が低下し、アルカリ水電解を効率よく行うことができる。
しかも、このイオン透過性隔膜1の製造過程における有機繊維布の加圧にて親水性無機材料層が圧密化することによって、当該イオン透過性隔膜1の多孔質構造は、緻密に構成されており、溶液は通過するが、陽極側で発生する酸素ガスの気泡、及び陰極側で発生する水素ガスの気泡は、イオン透過性隔膜1を通過できないため、これらの気体が相互に混入するおそれがない。したがって、陰極側から得られる水素ガスの純度を高く維持することができる。
以上説明したように、本実施形態に係るイオン透過性隔膜の製造方法によれば、得られるイオン透過性隔膜の親水性無機材料層を圧密化し、膜面をより均一化させることができるため、ガスの分離性能をより向上させたイオン透過性隔膜を製造することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、上記実施形態においては、有機繊維布を懸濁液に浸漬させることにより製膜処理を行っているが、有機繊維布と懸濁液とを接触させ得る限り、特に限定されるものではなく、有機繊維布の表面に懸濁液を1回又は複数回に亘って塗布又は噴霧することにより製膜処理を行ってもよい。
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
ポリサルフォン(PSF,Solvay Advanced Polymers社製)40gにN−メチル−2−ピロリドン(NMP,キシダ化学社製)300gを加え、真空中において340rpmで24時間攪拌して、NMPにPSFを溶解させたポリサルフォン溶液を調製した。なお、攪拌終了後の真空度は、−0.09MPaであった。
ボールミル(アズワン社製,製品名:セラミックポットミル)中にφ2mmのボール及びφ4mmのボールのそれぞれを200mLずつ投入し、得られたポリサルフォン溶液340g及びフッ化カルシウム(CaF,キシダ化学社製)160gをさらに投入した。
ボールミルを密閉し、40rpmで48時間ボールミルを回転させ、CaFの微粉化を行うとともに、スラリーを調製した。このようにして得られたスラリーをビーカーに移し、1時間、真空度−0.09MPaにて真空脱気し、スラリー内部の脱泡を行った。
100mm角のPEEK製型枠を用意し、200メッシュのポリプロピレン(PP)の隔膜基材を型枠に挟み込み、得られたスラリー20mLを型枠内に流し込んだ。型枠内のスラリーの液面を平滑にした後、3Lのイソプロピルアルコール(IPA)浴槽中に浸漬し、18時間NMPの抽出を行い、その後隔膜基材を型枠から外して隔膜材料を得た。この隔膜材料の膜厚を測定したところ、970μmであった。
このようにして得られた隔膜材料について、190℃の温度条件下にて加圧した。加圧後の隔膜材料の膜厚を測定したところ、920μmであった。得られた隔膜材料をφ47mmに切断し、イオン透過性隔膜を製造した。得られたイオン透過性隔膜を水に十分に浸漬してイオン透過性隔膜の細孔内に予め吸水させておき、かかるイオン透過性隔膜に圧力をかけて膜表面における気泡の発生を観察できる最小圧力(バブルポイント,kPa)を測定するとともに、圧力を増加させたときのガスリーク量(mL/s/cm)をも測定した。測定結果を図2に示す。
〔比較例1〕
隔膜材料を加圧する以外は、実施例1と同様にしてイオン透過性隔膜を製造した。得られたイオン透過性隔膜について、実施例1と同様にしてバブルポイント及びガスリーク量を測定した。測定結果を図2に示す。
図2は、ガスリーク量(mL/s/cm)と圧力(kPa)との関係を示すグラフである。図2に示すように、加圧することなく製造した比較例1のイオン透過性隔膜は、圧力が40kPaを超えるとガスのリーク量が増加しているが、加圧することにより製造した実施例1のイオン透過性隔膜は、圧力が70kPaまでリーク量が増加しなかった。このように、実施例1のイオン透過性隔膜は、優れたガスの分離性能を有することが確認された。したがって、実施例1の製造方法によれば、得られるイオン透過性隔膜のガス分離性能を向上させることが可能である。
また、実施例1のイオン透過性隔膜は、圧力を増加させても、急激なガスリーク量の増加は見られなかった。これは、製造段階における隔膜材料の加圧により、イオン透過性隔膜のフッ化カルシウム層が圧密化し、膜面が均一化したためであると考えられる。
さらに、バブルポイントの測定結果から、実施例1及び比較例1の隔膜材料のそれぞれについて、下記式に基づいて最大孔径を算出した。
ΔP=4×σ×cosθ/α
式中、ΔPは「圧力(kPa)」を表し、σは「空気に対する水の表面張力(=71.96×10−3(N/m))」を表し、θは「イオン透過性隔膜と水との接触角」を表し、αは「最大孔径」を表す。
かかる算出の結果、比較例1の隔膜材料の最大孔径が7.2μmであったのに対し、実施例1の隔膜材料の最大孔径は4.1μmであった。このことから、実施例1の製造方法によれば、イオン透過性隔膜のバブルポイントを向上することができることが確認された。
本実施形態に係る製造方法により得られるイオン透過性隔膜を使用したアルカリ水電解装置を示す概略構成図である。 実施例1及び比較例1の隔膜材料についてのバブルポイント測定結果を示すグラフである。
符号の説明
1…イオン透過性隔膜
2,3…電極
2A,3A…電導部材
4,5…バイポーラ電極
W…水酸化カリウム溶液

Claims (4)

  1. アルカリ水電解に用いられるイオン透過性隔膜の製造方法であって、
    有機結合材料が溶解した有機溶剤に親水性無機材料を分散させてなる懸濁液と接触させた有機繊維布を、前記有機結合材料のガラス転移点以上であって融点以下の温度条件下で加圧することを特徴とするイオン透過性隔膜の製造方法。
  2. 前記親水性無機材料が、所定の粒径を有する微粉末であることを特徴とする請求項1に記載のイオン透過性隔膜の製造方法。
  3. 前記親水性無機材料が、フッ化カルシウム(CaF)、フルオロアパタイト(FAP)、ヒドロキシアパタイト(HAP)及び酸化ジルコニウム(ZrO)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載のイオン透過性隔膜の製造方法。
  4. 前記有機結合材料が、ポリサルフォン、ポリプロピレン及びフッ化ポリビニリデンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のイオン透過性隔膜の製造方法。
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