JP2009060412A - 弾性波フィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】汎用性を持ちながら、種々の帯域に対応することのできる弾性波フィルタを提供する。
【解決手段】弾性波フィルタ1には、圧電基板11上に、弾性波の伝播方向と直交する方向に沿って電極指16a〜16d、19のピッチが広がる傾斜型IDT12、13が入力側と出力側とに設けられており、例えば入力側の傾斜型IDT12は、弾性波の伝播方向と直交する方向に沿って複数の傾斜型IDTブロック12a〜12dに分割され、互いに接続されていると共に、これらの傾斜型IDTブロック12a〜12dの中から使用するものを選択することができる。
【選択図】図1
【解決手段】弾性波フィルタ1には、圧電基板11上に、弾性波の伝播方向と直交する方向に沿って電極指16a〜16d、19のピッチが広がる傾斜型IDT12、13が入力側と出力側とに設けられており、例えば入力側の傾斜型IDT12は、弾性波の伝播方向と直交する方向に沿って複数の傾斜型IDTブロック12a〜12dに分割され、互いに接続されていると共に、これらの傾斜型IDTブロック12a〜12dの中から使用するものを選択することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、SAW(Surface Acoustic Wave)等の励振に用いられるIDT(Interdigital Transducer)の中でも、特に弾性波の伝播方向と直交する方向に沿って電極指のピッチが変化する傾斜型IDTを備えた弾性波フィルタに関する。
携帯電話等の移動体端末に実装され、高周波信号の弁別を行う弾性波フィルタには例えば弾性体表面を伝わるSAW等を利用した弾性波フィルタが採用されており、この種の弾性波フィルタのうち、伝播方向と直交する方向に沿って電極指のピッチが広がる傾斜を有する電極を備えたものが知られている。図7は、このような弾性波フィルタの一つである2ポート型のSAWフィルタ100の一例を示しており、当該SAWフィルタ100は例えばSAWが伝播する圧電基板101と、この圧電基板101上にSAWの伝播方向に対して互いに間隔をおいて設けられた入力側IDT102と出力側IDT103とから構成されている。
これらのIDT102、103のうち例えば入力側IDT102は、互いに平行になるように形成された一対のバスバー104各々から多数の電極指105が交差指状に伸び出した構成となっており、一方側のバスバー104は周波数信号の入力ポート106に接続され、他方側のバスバー104は接地されている。そして、入力ポート106に周波数信号が入力されると、その信号に応じた周波数を持つ弾性波が各電極指105間で励振され、この弾性波が出力側IDT103へ向かって圧電基板101上を伝播するように構成されている。一方出力側IDT103は、バスバー104の一方側が出力ポート107と接続されている点を除いては入力側IDT102と同様の構成を備えており、入力側IDT102から伝播した弾性波が機械−電気変換されて出力ポート107より出力されるようになっている。
また、図7に示すSAWフィルタ100は帯域フィルタとしての特徴を備えており、IDT102、103に設けられた各々の電極指105の幅は、弾性波の伝播方向(図7中の左右X方向)と垂直な方向(Y方向)に沿って次第に広くなる(あるいは狭くなる)ように構成されている。また、隣り合う電極指105同士の間隔も上述した電極指105の幅の広がり方と同様に、弾性波の伝播方向と垂直な方向に沿って次第に広くなっている。このような構成によりIDT102、103に設けられた各電極指105は、図7に示すように夫々異なる傾斜を持ち、全体としては扇状に広がった傾斜型のIDT102、103が形成されている。
そして各IDT102、103が以上に説明した構造を備えていることにより、電極指105の幅及び電極指105間の間隔(以下、これらを総称して、弾性波の伝播方向における隣り合う電極指105の中心間の間隔をピッチという)が広い「ア」の位置では、当該ピッチに対応した低い周波数を持つ信号とSAWとの電気−機械変換がなされ、「イ」の位置では「ア」の位置よりも高い周波数信号の変換、「ウ」の位置では最も高い周波数信号の変換がなされる。この結果SAWフィルタ100は、図8(b)に示すようにように「ア、イ、ウ」夫々の位置に対応した周波数信号を通過させる周波数伝達特性を持つことになる。また既述のように各電極指105のピッチはY方向に連続的に変化するので「ア」の位置から「ウ」の位置までの全体でみると、SAWフィルタ100は図8(c)に示すように「ア」の位置に応じた最低周波数から「ウ」の位置に応じた最高周波数までの広い帯域で周波数信号を通過させる帯域フィルタとなる。ここで図8(b)、図8(c)の横軸は、SAWフィルタ100に入力された周波数信号の周波数[MHz]を示し、縦軸はSAWフィルタ100を通過した周波数信号の振幅レベル[dB]を示している。
ところで、このようなSAWフィルタ100を備えた移動体端末は、将来的にはこれまで以上に多様な機能を備えることが予想され、SAWフィルタ100の機能についても多様化が求められることになると考えられる。例えばシームレスローミングと呼ばれる技術では、ユーザと共に移動する移動体端末が携帯電話回線網や無線LAN等、その位置で利用可能なネットワークを探し出して適切なネットワークへの切り替えを行う検討がされている。このようなネットワーク間の切り替えを行う際に各ネットワークで利用される周波数信号の帯域が大きく異なっていると、例えば夫々の周波数帯域に応じたSAWフィルタ100を用意しなければならない。このことは多品種のフィルタを用意し、更に、これらSAWフィルタに夫々対応する整合回路を用意してチップとして組み立てなければならず、工程管理が繁雑であるといった課題がある。
なお特許文献1には、2ポート型のSAWフィルタにおいて、出力側を傾斜型IDTで構成し、入力側、出力側のIDTの間に横方向に細長い複数の帯状電極を、傾斜型IDTのピッチが変化する方向(図7のY方向)に列設すると共に、各々の帯状電極にバイアス電圧を印加可能な構成とした弾性波フィルタが記載されている。当該弾性波フィルタは、各帯状電極に印加されるバイアス電圧を変化させ、各帯状電極の設けられた位置におけるIDT間の挿入損失を変化させることにより使用可能な帯域幅を変化させる構成となっている。しかしながらこのようにバイアス電圧を印加することにより挿入損失を変化させる手法を採用すると、フィルタの消費電力が大きくなってしまうため、低消費電力化の求められる移動体端末への搭載は現実的でない。
特開昭61−94411号公報:第40頁下段右2行目〜第41頁上段左5行目、第41頁上段右9行目〜同14行目、図4
本発明はこのような事情に基づいて行われたものであり、その目的は、汎用性を持ちながら、種々の帯域に対応することのできる弾性波フィルタを提供することにある。
本発明に係わる弾性波フィルタは、圧電基板上に、弾性波の伝播方向と直交する方向に沿って電極指のピッチが広がる傾斜型IDTが、入力側と出力側とに設けられた弾性波フィルタにおいて、
入力側の傾斜型IDT及び出力側の傾斜型IDTの一方を弾性波の伝播方向と直交する方向に沿って複数の傾斜型IDTブロックに分割して、これら複数の傾斜型IDTブロックを互いに並列に接続したことと、
前記複数の傾斜型IDTブロックの中から、使用する傾斜型IDTブロックの組み合わせを選択できるように構成したことと、を特徴とする。
前記弾性波フィルタは、前記複数の傾斜型IDTブロックに夫々対応して設けられ、対応する傾斜型IDTブロックを有効または無効にするためのスイッチ部を備えることが好ましい。
入力側の傾斜型IDT及び出力側の傾斜型IDTの一方を弾性波の伝播方向と直交する方向に沿って複数の傾斜型IDTブロックに分割して、これら複数の傾斜型IDTブロックを互いに並列に接続したことと、
前記複数の傾斜型IDTブロックの中から、使用する傾斜型IDTブロックの組み合わせを選択できるように構成したことと、を特徴とする。
前記弾性波フィルタは、前記複数の傾斜型IDTブロックに夫々対応して設けられ、対応する傾斜型IDTブロックを有効または無効にするためのスイッチ部を備えることが好ましい。
また上述の弾性波フィルタが、傾斜型IDTブロックの組み合わせに応じた整合インピーダンスを有する複数の整合回路と、これら複数の整合回路の中から、選択された傾斜型IDTブロックの組み合わせに対応する整合回路を、選択された傾斜型IDTブロックに接続するための整合回路選択手段と、を備えるように構成することが好適であり、更にまた互いに隣接する傾斜型IDTブロックの周波数伝達特性の交点の振幅レベルが、これら傾斜型IDTブロックの通過帯域の振幅レベルの平均値よりも2.5dB〜3.5dB(3.0dBプラスマイナス0.5dB)低くなるようにするとよい。ここで互いに隣接するIDTブロックの交点における伝達特性の位相は互いに同相とする。
本発明によれば、弾性波フィルタにおける弾性波の伝播方向の一方側に、互いに異なる通過帯域を持つ複数の傾斜型IDTを並列に接続し、これら複数の傾斜型IDTの中から予め決められた組み合わせの傾斜型IDTを使用可能とする構成を備えているので、1つのデバイスを通過帯域や帯域幅の異なる複数種類のフィルタとして使うことができる。従って、各仕様に見合う複数の弾性波フィルタを製造して実装する場合に比べて工程管理等に要するメーカ側の負担が少なくて済む。
はじめに本実施の形態に係るSAWフィルタ1の構成について図1の構成図を参照しながら説明する。図1に示すようにSAWフィルタ1はフィルタ本体を構成するフィルタ部10と、SAWフィルタ1の通過帯域を選択するための選択部2とから構成されている。フィルタ部10は、例えば水晶、LiTaO3やLiNbO3等の圧電体からなる圧電基板11と、例えばフォトリソグラフィによってこの圧電基板11の表面にパターニングされ、例えばアルミニウム等により構成された入力側IDT12及び出力側IDT13と、を備えている。なお以下の説明においては、図面に向かって上方側を前方側、下方側を後方側として説明をする。
図1、図2(a)に示すように本実施の形態に係る入力側IDT12は、背景技術にて説明した従来型の入力側IDT102(図7参照)を前方側から後方側へかけて複数分割、例えば4分割した構造となっている。入力側IDT12の構成について詳細に説明すると、入力側IDT12は4つの傾斜型IDTブロック12a〜12dから構成されており、これらの傾斜型IDTブロック12a〜12dは、従来の傾斜型IDTを弾性波の伝播方向と直交する方向に複数に分割することにより形成される台形の傾斜型IDTの電極構造を備えている。4つの傾斜型IDTブロック12a〜12dのうち例えば最前方の傾斜型IDTブロック12aは、互いに平行になるように形成された一対のバスバー14a、15a各々から多数の電極指16aが交差指状に伸び出した構造となっており、周知のIDT構造を有している。一対のバスバー14a、15aのうち、前方側は周波数信号が入力される入力側バスバー14aであり、後方側は接地されている接地側バスバー15aである。
また従来の入力側IDT102と同様に、当該傾斜型IDTブロック12aも帯域フィルタ用の傾斜型IDTとして構成されており、弾性波の伝播方向から見た、隣り合う電極指16aの中心間の間隔(電極指16aのピッチ)が前方側から後方側、即ち弾性波の伝播方向と垂直な方向に沿って次第に広くなっている。この結果、当該傾斜型IDTブロック12aは、後述の出力側IDT13との間で、図2(b)に符号「3a」を付して示した周波数伝達特性を備えた帯域フィルタを形成している。
そして後方側に並んでいる各傾斜型IDTブロック12b〜12dも、上述の傾斜型IDTブロック12aとほぼ同様のIDT構造を有しているが、夫々の傾斜型IDTブロック12b〜12dは出力側IDT13との間で図2(b)に符号「3b〜3d」を付して示した周波数伝達特性を有する帯域フィルタを構成するように各電極指16b〜16dのピッチが設定されている点が既述の傾斜型IDTブロック12aとは異なる。
これら4つの傾斜型IDTブロック12a〜12dは、バスバー14a〜14d、15a〜15dが互いに平行になるように、また通過帯域の高い傾斜型IDTブロック12aが最も前方となり、順次、通過帯域の低いものが後方側となるように残る傾斜型IDTブロック12b〜12dが配置されている。また各接地側バスバー15a〜15dはバスバー接続線151で連結され、共通の接地点にて接続されている。なお図2(a)に示すように、選択部2の機能との関係で、隣り合う傾斜型IDTブロック12a〜12d同士の電極指16a〜16dのピッチ等についても所定のルールに基づく調整がなされているが、その詳細については後述する。
入力側IDT12がこのような構成となっている一方で、出力側IDT13は図7にて説明した従来型の出力側IDT103と同様の構成となっており、17は周波数信号が出力されるバスバー(出力側バスバー17)、18は接地されているバスバー(接地側バスバー18)、19はこれらのバスバー17、18から交差指状に伸び出した電極指である。出力側IDT13は入力側IDT12に対し、弾性波の伝播方向に間隔をおいて設けられていると共に、各傾斜型IDTブロック12a〜12dからの弾性波が伝播する領域に電極指19が形成してある。25は周波数信号が出力される出力ポートである。
次に選択部2について説明すると、各傾斜型IDTブロック12a〜12dは、周波数信号の信号ラインとアースとの間で互いに並列に接続されており、各傾斜型IDTブロック12a〜12dを含む4つのチャンネルには、各々スイッチ部をなす第1のスイッチSWa〜SWdが介装されこれらの第1のスイッチSWa〜SWdをオンにすることで対応する傾斜型IDTブロック12a〜12dが信号ラインに接続されて有効になり、また第1のスイッチSWa〜SWdをオフにすることで対応する傾斜型IDTブロック12a〜12dから切り離されて無効になる。従ってこれらの第1のスイッチSWa〜SWdは、傾斜型IDTブロック12a〜12dの組み合わせを選択する役割を果たす。
第1のスイッチSWa〜SWdは、本実施の形態に係るSAWフィルタ1が適用されるアプリケーションに応じてメーカ側にて、これら第1のスイッチSWa〜SWdのオン、オフの状態が設置される。即ち、目的とするフィルタ特性(通過帯域と減衰帯域)が得られる傾斜型IDTブロック12a〜12dの組み合わせとなるように各第1のスイッチSWa〜SWdの状態が設定される。
更に前記4つのチャンネルの入力側の合流点と、SAWフィルタ1へ周波数信号が入力される入力ポート24との間には、整合回路22と、整合回路選択手段をなす第2のスイッチSW1〜SW10との直列回路が複数個接続されている。各整合回路22は、前述の第1のスイッチSWa〜SWdにより選択された傾斜型IDTブロック12a〜12dの組み合わせに対応したインピーダンスを有しており、各直列回路における第2のスイッチSW1〜SW10をオンにすることで当該直列回路に含まれる整合回路22が信号ラインに接続され、第2のスイッチSW1〜SW10をオフにすることで当該直列回路に含まれる整合回路22が信号ラインから切り離される。後述の図3、図4に示すように、連続的な通過帯域を持つフィルタ特性が得られるように傾斜型IDT電極12a〜12dを組み合わせる場合には、4つのブロックの組み合わせは10通りあるので、整合回路22についても例えば10個用意される。そして、選択された傾斜型IDTブロック12a〜12dの組み合わせに応じた整合回路22が第2のスイッチSW1〜SW10により選択される。以上に説明した第1のスイッチSWa〜SWd、第2のスイッチSW1〜SW10及び整合回路22より、選択部22は構成されている。
次に、以上の構成を備えた実施の形態に係るSAWフィルタ1の作用について説明する。今、仮にSAWフィルタ1の通過帯域が全幅36MHz、中心周波数144MHz、比帯域25%(=(36MHz/144MHz)×100%)であって(図5(d)参照)、各傾斜型IDTブロック12a〜12dは上述の全幅36MHzを4分割した、およそ9MHzの通過帯域を有するものとする。このとき、第1のスイッチSWa〜SWdを用いてフィルタ部10の最後方に設けられた傾斜型IDTブロック12dを使用可能な状態とし、この選択結果に応じた整合回路22を介して周波数信号を入力ポート24より入力すると傾斜型IDTブロック12dと出力側IDT13との間で帯域フィルタが形成され、図3(a)に示す周波数伝達特性3dが得られる。これと同様に「12c、12b、12a」の傾斜型IDTブロック及びこれに対応した整合回路22を夫々選択して、周波数信号を入力すると図3(b)〜図3(d)に夫々示す周波数伝達特性3c〜3aが夫々得られ、合計して4種類の異なる通過帯域を持つ帯域フィルタを切り替えて使用することが可能となる。
次いで今、例えば2つの傾斜型IDTブロック12c、12b及びこの組み合わせに応じた整合回路22を選択して周波数信号を入力すると、これら2つの傾斜型IDTブロック12c、12bと出力側IDT13との間で帯域フィルタが形成され、図4(a)に示すように既述の周波数伝達特性3c、3bを合成した周波数伝達特性を得ることができる。
ここで本実施の形態に係るSAWフィルタ1においては、図4(a)に示すように傾斜型IDTブロック12cにより形成され、低周波数側に通過帯域を持つ周波数伝達特性3c(第1の周波数伝達特性)の通過帯域よりも高周波数側にて急激に振幅レベルが減衰する(減衰量が大きくなる)領域である第1のショルダー部31と、傾斜型IDTブロック12cにより形成され、高周波数側に通過帯域を持つ周波数伝達特性3c(第2の周波数伝達特性)の通過帯域よりも低周波数側にて急激に振幅レベルが減衰する領域である第2のショルダー部32とが各周波数伝達特性3c、3bの通過帯域の振幅レベル(これらの値が異なる場合はその平均値)よりもおよそ3dB小さい振幅レベルである点Aにて交差している。
ここで第1のショルダー部31と第2のショルダー部32との交点Aにおける振幅レベル「ai」が通過帯域の振幅レベル「at」よりも3dB小さい場合には、当該交点における出力信号の電力は、通過帯域における出力信号の電力の半分になる。従って、当該交点の周波数において傾斜型IDTブロック12c、12bの2つのIDTを通過した出力信号を足し合わせると、通過帯域からの出力信号とほぼ等しい振幅レベルが得られ、図4(b)に示す合成周波数伝達特性30aを有する、帯域幅がおよそ18MHzの帯域フィルタが構成されることになる。
ここで図4(a)に示した第1のショルダー部31、第2のショルダー部32との交点Aの位置は、(1)振幅レベルの減衰が始まる周波数の差、即ち図4(a)に示した点B、点C間の横方向の距離、(2)第1のショルダー部31、第2のショルダー部32の傾きの大きさ等の要素により決まる。これらの要素のうち点B-C間の周波数差は、図2(a)に示した傾斜型IDTブロック12bの後端位置における電極指16bのピッチ「d3」と、傾斜型IDTブロック12cの先端位置における電極指16cのピッチ「d4」との差によって決まり、第1のショルダー部31、第2のショルダー部32の傾きは各傾斜型IDTブロック12c、12bの交差領域における電極指16b、16cの数等で決まることが知られている。
そこで本実施の形態における傾斜型IDTブロック12c、12bは、図4(a)に示す交点Aの振幅レベル「ai」が通過帯域の振幅レベル「at」よりもおよそ3dB小さくなるように、電極指16c、16b間のピッチ「d3、d4」の値や電極指16b、16cの本数の設計が行われている。なお「およそ3dB」とは、リップル(通過帯域における減衰量の極大値と最小損失との差の最大値)の規格にもよるが、点Aの振幅レベルと通過帯域の振幅レベルとの差が2.5dB〜3.5dB(3.0dBプラスマイナス0.5dB)程度低い範囲であっても、SAWフィルタ1の実用上問題ない場合があることを意味している。
そして以上に説明した傾斜型IDTブロック12b、12cの関係と同様に、本実施の形態に係る4つの傾斜型IDTブロック12a〜12dは、隣り合う傾斜型IDTブロック12a〜12d同士の周波数伝達特性3a〜3cにおいて、第1のショルダー部31と第2のショルダー部32とが通過帯域の振幅レベルよりも3dB小さい位置で交差するように設計されている。このため、図4(c)に示すように周波数伝達特性3c、3dを組み合わせて図4(d)に示す合成周波数伝達特性30bを有する帯域フィルタ(帯域幅約18MHz)を構成したり、図5(a)、図5(b)に示す3つの周波数伝達特性3a〜3cの組み合わせによる合成周波数伝達特性30c(帯域幅約27MHz)や図5(c)、図5(d)に示す4つの周波数伝達特性3a〜3dの組み合わせによる合成周波数伝達特性30d(帯域幅36MHz)等を有する帯域フィルタを構成したりする等、1つのSAWフィルタ1を様々な帯域、帯域幅を有するフィルタとして使用することが可能となる。
以上に説明した実施の形態に係るSAWフィルタ1によれば以下のような効果がある。このSAWフィルタ1における弾性波の伝播方向の一方側に、互いに異なる通過帯域を持つ複数の傾斜型IDTブロック12a〜12d(傾斜型IDT)を並列に接続し、これらの中から予め決められた組み合わせの傾斜型IDTブロック12a〜12dを使用可能とする構成を備えているので、1つのデバイスを通過帯域や帯域幅の異なる複数種類のフィルタとして使うことができる。従って、各仕様に見合う複数のSAWフィルタ1を製造して実装する場合に比べて工程管理等に要するメーカ側の負担が少なくて済む。
更に、複数種類の整合インピーダンスを有する整合回路の中から第1のスイッチSWa〜SWdによって選択された傾斜型IDTブロック12a〜12dの組み合わせに適合する整合インピーダンスを有する整合回路22を選択し、この選択された整合回路22を介して傾斜型IDTブロック12a〜12dに周波数信号が入力されるようにする第2のスイッチSW1〜SW10を当該SAWフィルタ1が備えていることにより、振幅レベルの傾き等の少ない、平坦性のよい周波数伝達特性を得ることができる。
この他、互いに隣り合う傾斜型IDTブロック12a〜12d同士が互いに隣接する通過帯域を持つ周波数伝達特性3a〜3dを有するように各電極指16a〜16dの幅やそれらの間隔が設定されていることにより、連続した通過帯域を有する合成周波数伝達特性を備えた帯域フィルタを構成することが可能となる。そして特に、これら隣り合う傾斜型IDTブロック12a〜12d同士の周波数伝達特性3a〜3dの第1のショルダー部31と第2のショルダー部32とが各周波数伝達特性3a〜3dの通過帯域の振幅レベルよりもおよそ3dB小さな位置にて交差するように、隣り合う傾斜型IDTブロック12a〜12d同士の電極指16a〜16dのピッチ「d1〜d6」や各電極指16a〜16dの本数が設定されている。この結果、複数の周波数伝達特性3a〜3dを組み合わせて形成された合成周波数伝達特性30において、周波数伝達特性3a〜3d同士の繋ぎ目の目立たない、平坦な通過帯域を得ることができる。
なお図4、図5の各図に示した実施の形態においては、新たに形成される合成周波数伝達特性30が連続した通過帯域を有するように傾斜型IDTブロック12a〜12dを選択した場合について例示しているが、例えば12a、12cの互いに隣接していない2つの傾斜型IDTブロックを選択して、図3(a)の周波数伝達特性3dと図3(c)の周波数伝達特性3bとを合成した連続しない通過帯域を有する合成周波数伝達特性を有する帯域フィルタを構成するようにしてもよい。このような場合には、図2(a)に示した各傾斜型IDTブロック12a〜12dの組み合わせは15通りあるので、これらの組み合わせに応じた種類の整合回路22が必要となる。
なお、ここでSAWフィルタ1は、複数の傾斜型IDTブロック12a〜12dの組み合わせ全てに対応する整合回路22を備えていなくてもよい。例えば、SAWフィルタ1にて実際に使用する周波数帯域(IDTブロック12a〜12dの組み合わせ)が予め分かっている場合には、これらの組み合わせに対応する整合回路22を備えていればよい。また、例えば3つの傾斜型IDTブロック12a、12b、12cが同じインピーダンスを持っている場合には、IDTブロック12a、12bの組み合わせと、IDTブロック12b、12cの組み合わせとでは同じ整合回路22を利用することにより回路数を低減してもよい。
また図1に示したように、本実施の形態では入力側IDT12を4つの傾斜型IDTブロック12a〜12dに分割した構成としているが、入力側IDT12に代えて出力側IDT13を分割してもよいし、入力側IDT12、出力側IDT13の双方を分割するようにしてもよい。但し、入力側IDT12、出力側IDT13の双方を分割する場合には必要な整合回路22の数が多くなってしまうので、いずれか一方を分割するように構成することが好ましい。また、分割する傾斜型IDTブロックの数は、4つに限定されるものではなく、更にまた一方が分割された傾斜型IDTであり、他方は傾斜型ではないIDTであってもよい。
また図6に示すように階段型のIDTを分割して例えば入力側IDT121を構成してもよい。この他、上述の実施の形態においてはSAWを利用するSAWフィルタ1を採用した場合について説明したが、本発明に適用可能な弾性波フィルタの種類はこれに限られない。例えば弾性境界波を利用するタイプの弾性波フィルタについても本発明は適用することができる。
SWa〜SWd
第1のスイッチ
SW1〜SW10
第2のスイッチ
1 SAWフィルタ
10 フィルタ部
11 圧電基板
12、121
入力側IDT
12a〜12d
傾斜型IDTブロック
13 出力側IDT
14a〜14d
入力側バスバー
15a〜15d
接地側バスバー
151 バスバー接続線
16a〜16d
電極指
17 出力側バスバー
18 接地側バスバー
19 電極指
2 選択部
22 整合回路
24 入力ポート
25 出力ポート
3a〜3d
周波数伝達特性
30、30a〜30c
合成周波数伝達特性
31 第1のショルダー部
32 第2のショルダー部
100 SAWフィルタ
101 圧電基板
102 入力側IDT
103 出力側IDT
104 バスバー
105 電極指
106 入力ポート
107 出力ポート
第1のスイッチ
SW1〜SW10
第2のスイッチ
1 SAWフィルタ
10 フィルタ部
11 圧電基板
12、121
入力側IDT
12a〜12d
傾斜型IDTブロック
13 出力側IDT
14a〜14d
入力側バスバー
15a〜15d
接地側バスバー
151 バスバー接続線
16a〜16d
電極指
17 出力側バスバー
18 接地側バスバー
19 電極指
2 選択部
22 整合回路
24 入力ポート
25 出力ポート
3a〜3d
周波数伝達特性
30、30a〜30c
合成周波数伝達特性
31 第1のショルダー部
32 第2のショルダー部
100 SAWフィルタ
101 圧電基板
102 入力側IDT
103 出力側IDT
104 バスバー
105 電極指
106 入力ポート
107 出力ポート
Claims (4)
- 圧電基板上に、弾性波の伝播方向と直交する方向に沿って電極指のピッチが広がる傾斜型IDTが、入力側と出力側とに設けられた弾性波フィルタにおいて、
入力側の傾斜型IDT及び出力側の傾斜型IDTの一方を弾性波の伝播方向と直交する方向に沿って複数の傾斜型IDTブロックに分割して、これら複数の傾斜型IDTブロックを互いに並列に接続したことと、
前記複数の傾斜型IDTブロックの中から、使用する傾斜型IDTブロックの組み合わせを選択できるように構成したことと、を特徴とする弾性波フィルタ。 - 前記複数の傾斜型IDTブロックに夫々対応して設けられ、対応する傾斜型IDTブロックを有効または無効にするためのスイッチ部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の弾性波フィルタ。
- 傾斜型IDTブロックの組み合わせに応じた整合インピーダンスを有する複数の整合回路と、
これら複数の整合回路の中から、選択された傾斜型IDTブロックの組み合わせに対応する整合回路を、選択された傾斜型IDTブロックに接続するための整合回路選択手段と、を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の弾性波フィルタ。 - 互いに隣接する傾斜型IDTブロックの周波数伝達特性の交点の振幅レベルが、これら傾斜型IDTブロックの通過帯域の振幅レベルの平均値よりも2.5dB〜3.5dB低いことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の弾性波フィルタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007226427A JP2009060412A (ja) | 2007-08-31 | 2007-08-31 | 弾性波フィルタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007226427A JP2009060412A (ja) | 2007-08-31 | 2007-08-31 | 弾性波フィルタ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009060412A true JP2009060412A (ja) | 2009-03-19 |
Family
ID=40555728
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007226427A Pending JP2009060412A (ja) | 2007-08-31 | 2007-08-31 | 弾性波フィルタ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009060412A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011078082A (ja) * | 2009-09-04 | 2011-04-14 | Nippon Dempa Kogyo Co Ltd | 弾性波フィルタ |
JP2017528021A (ja) * | 2014-06-24 | 2017-09-21 | スナップトラック・インコーポレーテッド | 電子音響トランスデューサおよび電子音響トランスデューサを備える電子音響部品 |
-
2007
- 2007-08-31 JP JP2007226427A patent/JP2009060412A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011078082A (ja) * | 2009-09-04 | 2011-04-14 | Nippon Dempa Kogyo Co Ltd | 弾性波フィルタ |
JP2017528021A (ja) * | 2014-06-24 | 2017-09-21 | スナップトラック・インコーポレーテッド | 電子音響トランスデューサおよび電子音響トランスデューサを備える電子音響部品 |
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