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JP2009051317A - 二輪車用空気入りタイヤ - Google Patents

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JP2009051317A
JP2009051317A JP2007218952A JP2007218952A JP2009051317A JP 2009051317 A JP2009051317 A JP 2009051317A JP 2007218952 A JP2007218952 A JP 2007218952A JP 2007218952 A JP2007218952 A JP 2007218952A JP 2009051317 A JP2009051317 A JP 2009051317A
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Makoto Ishiyama
誠 石山
Seiji Koide
征史 小出
Shinsaku Katayama
辰作 片山
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Abstract

【課題】トレッド部のタイヤ幅方向の一方側及び他方側の使用頻度が異なるサーキットにおいて、横グリップ性を向上させるとともに、トレッドショルダー部の耐摩耗性を改善させる二輪車用空気入りタイヤを提供することを課題とする。
【解決手段】カーカス14と、スパイラルベルト16と、交錯ベルト17と、トレッド部18とが順次タイヤ径方向外側に配置されたタイヤ10において、トレッド部18のタイヤ幅方向両側の少なくとも踏面側に、トレッド端Tからの展開幅W1、W2が夫々トレッド展開幅Lの5〜30%の範囲内で且つセンター側ゴム部26に比べてショアA硬度が低い軟質ゴム部22、23が形成され、軟質ゴム部22が他方の軟質ゴム部23と比べてショアA硬度、厚み、及び展開幅のうちの少なくとも一つで異なることで、横グリップ性を向上させることができ、トレッドショルダー部Sの耐摩耗性を改善させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、二輪車用空気入りタイヤに関し、特には、トレッド部のタイヤ幅方向の一方側及び他方側の使用頻度が異なるサーキットにおいて、横グリップ性を向上させるとともに、トレッドショルダー部の耐摩耗性を改善させた二輪車用空気入りタイヤに関する。
自動二輪車は、車体を傾けて旋回する特徴がある。そのため、自動二輪車に用いられるタイヤは、旋回時の車体の傾きによって、路面に接地する部分が移動する。また、車体の直立時では速度が速く、制動力と駆動力とによって車体前後方向(タイヤの赤道方向)の力がタイヤに加わるが、車体を傾けた旋回時には大きな横力が主体的に加わる。そのため、タイヤのショルダー部には、良好な横グリップ性が求められる。特に、速さを求める自動二輪車の競技用タイヤにおいては、タイヤセンター部とタイヤショルダー部でゴムの種類を変えるのが一般的である。
また、レースや競技用の二輪車用空気入りタイヤにおいて、タイヤセンター部では、直進時の速度が非常に速いため発熱しにくいゴムを配置したり、トレッドセンター部を2層構造として内部に発熱しにくいゴムを配置し、外部(トレッド部の踏面側)にグリップ性能の高いゴムを配置したりするなどの工夫がなされている。
一方、タイヤショルダー部では、旋回時に大きな横力が必要となるため、柔らかいグリップ性能の高いゴムを配置する。しかし、走行中にタイヤショルダー部が発熱して、走行に伴って旋回性能が低下したり、ショルダー部の摩耗が進んでグリップ性能が失われたり、あるいは発熱によってショルダー部のゴムが劣化したりする問題がある。このような問題に対して、特許文献1及び特許文献2ではトレッド部の厚み方向のゴム物性を変更して上記問題を解決する技術が開示されている。
一般的に、ゴムの特性として、ゴムの弾性率の指標である動的弾性率(E’)が小さいとゴムが柔らかいことを意味し、柔らかいゴムは路面の凹凸に食い込むためグリップ性能が高い。一方で、柔らかいゴムには摩耗速度が早いという特性がある。また、ゴムの柔らかさは、硬度、すなわちショアA硬度で示すこともできる。ショアA硬度の小さいゴムは、柔らかく、グリップ性能が高い反面、耐摩耗性が劣るという特性を有する。
ところで、二輪車用空気入りタイヤでは、自動二輪車が車体を傾けて旋回することから、直進時と旋回時とでは、トレッド部の路面と接する部位が異なる。つまり、直進時にはトレッド部の中央部分が路面と接触し、旋回時にはトレッド部の端部側が路面と接触する特徴がある。自動二輪車の競技やレースにおいては、特に旋回時の横力(横グリップ力)が重要である。旋回時の横グリップ力が十分だと、コーナーを高速で旋回することができるだけではなく、コーナーの次に続くストレート(直線)もコーナー脱出の速度が速いため、初速が速く、直線でもスピードを乗せることができる。すなわち、タイヤの横グリップ力を増すことができれば、競技やレースにおいてラップタイムを短縮することができる。
以上のことから、旋回時にはタイヤの横方向(幅方向)に対してグリップすることが求められる。自動二輪車を速く旋回させるには、旋回速度にともなって大きくなる遠心力と釣り合わせるために車体を大きく倒す必要があり、さらにその遠心力に対抗できるようにタイヤがグリップできなければならない。つまり、車体を大きく傾けたときのタイヤのグリップ力が不足する場合は、速く旋回できないことになるため、ここでのグリップが旋回性能に及ぼす影響は非常に大きい。
また、自動二輪車のレースが行われるサーキットの中には、右旋回と左旋回の頻度が異なるサーキットがある。例えば、右回りのサーキット(時計回りのサーキット)では、右回りのコーナーが多くなる。また、コーナーの形状によっては、速い速度で旋回できるいわゆる高速コーナーが右旋回ばかりで、遅い速度の低速コーナーが左旋回ばかりというコースもある。速度の速いコーナーは、遠心力も大きく、タイヤに対する入力も厳しい。そのため、高速コーナーでは、タイヤの摩耗が進みやすく、またタイヤの回転速度が速いことから、ゴムが発熱しやすい。このように、サーキットによっては、右旋回と左旋回で求めるタイヤ性能が異なる場合がある。
特開2006−76355号公報 特開2005−271760号公報
本発明は、上記事実を考慮して、トレッド部のタイヤ幅方向の一方側及び他方側の使用頻度が異なるサーキットにおいて、横グリップ性を向上させるとともに、トレッドショルダー部の耐摩耗性を改善させる二輪車用空気入りタイヤを提供することを課題とする。
本発明者は、本発明を完成するにあたり、旋回時のグリップ性を向上させるために詳細な研究を行った。特にバイク車輌が最も倒れるバンク角度(キャンバー角度)45〜50度付近でのグリップ性を集中的に向上させることに取り組んだ。これは、例えばレースにおいては旋回速度が非常に重要であり、旋回速度が速ければコーナーの次のストレートでの速度も速くなり、結果的にラップタイムが向上するからである。また、一般道路においても旋回時のグリップ力を増すことは安全性に貢献できる。
そして、本発明者は、自動二輪車用のタイヤで車体を大きく倒した場合の旋回性能について以下の検討を行った。
自動二輪車用の空気入りタイヤでは、車体を大きく倒した場合の旋回性能については、タイヤのトレッド部のタイヤ幅方向片側の端部が路面に接地してグリップを発生させている。車体を大きく倒して旋回する場合、路面とトレッド部の接地形状は図12のような状態となる。バイク車体が大きく倒れて旋回する場合、すなわち、タイヤのキャンバー角(以下、キャンバーアングルとしてCAと記す)が45〜55度の範囲で旋回する場合、タイヤのトレッド幅(全幅)のほぼ1/4の領域が接地する。接地している領域を3等分し、トレッド端から領域A、領域B、領域Cとする。
以下、タイヤの幅方向断面でのトレッド変形を検討する。これは、トレッド部の変形によってタイヤに横力が発生するからである。横方向(幅方向)のトレッド部の変形はキャンバースラスト(横力)を発生させる。
図12はCA50度でタイヤが接地して回転しているときの断面を示したものである。断面の下には接地部の形状を示した。タイヤの寸法等によっては、接地形状は楕円の一部が欠けた形状であったり、半月状(図13参照)であったりする。
図12に示した楕円型接地形状の領域Bのトレッド部分の幅方向変形について述べる。領域Bのタイヤ幅方向中央位置でトレッド表面(トレッド踏面)、すなわち路面に接する位置をQ点とし、Q点の内側でトレッド部の最深部をP点とする。図12には、接地転動時におけるP点の軌跡、及び、Q点の軌跡が示されている。P点はトレッド部がタイヤのベルト(骨格部材)に接している点であり、タイヤがCAをつけて傾いて転動するため、P点の軌跡は弓なりの曲線を描く。これに対して、Q点はトレッド部の踏面が路面に接触した時に路面に固定されるため、路面の方向に、すなわちタイヤの進行方向に直線的に動く。従って、Q点の軌跡は直線を描く。
このようにP点の軌跡とQ点の軌跡との差によって、トレッド部が横剪断を受ける。丁度、弓と弦の関係であり、荷重直下で最大の横剪断量を受ける。この横剪断量によってトレッド部が横方向(幅方向)に変形するため、横力(キャンバースラスト)が発生する。このようなキャンバースラスト発生の仕組みから、接地長(接地形状の周方向長さ、すなわちタイヤ赤道方向の長さ)が長い方が、P点とQ点とで軌跡の差が広がり、トレッド部が大きな剪断力を受ける。接地長が短いと、トレッド部が受ける剪断量(横方向、すなわちタイヤ幅方向の剪断量)は少ない。
図12に示すように、接地形状が楕円型の場合には、領域Bでの横剪断量が最も大きく、次いで領域Aでの横剪断量が大きく、領域Cでの横剪断量は少ない。なお、図12に、領域Aの中央での回転半径をRA、領域Cの中央での回転半径をRCとして示す。図13に示すように、接地形状が半月型の場合は、領域Bと領域Aとで大きな横剪断量を受け、領域Cでの横剪断量は少ない。つまり、CAが45度〜55度である大CA時の旋回では、領域Bや領域Aが横力を大きく稼ぐ部位である。
一方、バイクの傾き角(バンク角、CA)を観察すると、CAが45度〜55度以上にはバイクは倒れない。つまり、領域Aは、バイクが最大角度で傾いた時のみに接地する領域である。また、領域Bについても、バイクが大きく傾いた時を中心に使われる。一方、領域Cは、バイクが大きく傾いてからやや傾きが戻った領域、つまりCAが40度近辺で、特によく使われる部分である。つまり、領域Cは、バイクを傾けていく過程で使い、更に大きく倒した時も使い、さらにバイクを加速させて直立する過程でも使う。特に、摩耗の大きいリアタイヤについて考えると、この領域Cは、バイクを大きく倒して、そこから加速するときに使う領域であり、すなわちCA40度近辺でバイクは大きな駆動力を伝えることが多いため、領域Cは加速時の前後方向の駆動入力と、横方向の横入力の両方を頻度高く受ける領域と言える。そのため、この領域Cは、トレッド部の摩耗が進む部位である。
領域A〜Cについてまとめると以下のようになる。
領域A:最大CA(45度〜55度)の時にのみ使用され、横入力を受ける。最大CA時での横グリップ力の発生に大きく寄与する(特に接地形状が半月形状の場合)。
領域B:最大CA(45度〜55度)の時に主体的に使う。最大CA時での横グリップ力の発生に大きく寄与する(特に接地形状が楕円形状の場合)。最大CA時またはCA40度の時にも接地しており、領域Aよりは使用頻度が高い。
領域C:最大CA(45度〜55度)の時にも使われる。さらに、最大CAに達する過程で使われ、特にリアタイヤの場合は、CA40度の本格加速開始時点で中心的に使われるため、摩耗が激しい部位となる。領域Aや領域Bと比べると明らかに使用頻度が高い。また、CAが40度の時には、接地形状の中心となり、接地長が伸びるため、横方向の剪断量も大きくなり、摩耗が厳しい。
前述したゴムの特性を考慮して、トレッド部に柔らかいゴムを使うと、路面に対して柔らかいゴムは食い込みやすくグリップ(摩擦係数)が増大する。しかし柔らかいゴムは摩耗速度が早い特性を有している。このため、領域A、領域B、及び領域Cに、夫々柔らかいゴムを配置して、理想的にグリップを稼いだとしても、前述の特性から、特に領域Cについては、摩耗が厳しく柔らかいゴムを配置するのは無理がある。
しかし、競技やレース用に特化すれば、右旋回と左旋回について、極端にどちらか一方の旋回が厳しく、それに比べて他方の旋回が厳しく無い場合は、トレッド部のタイヤ幅方向の一方側と他方側とでゴムの配置位置を変えることが望ましくなる。
また、二輪車用空気入りタイヤのキャンバースラスト発生のしくみの特性から、もう1点特徴的なことがある。図12に示したP点の軌跡とQ点の軌跡との差がトレッド部の横変形量であるが、この横変形量は一定の変位である。つまり、この軌跡は、タイヤの幾何学的なもので決まるため、最大の横剪断量は一定の量となる。例えば、通常のタイヤで、大CA時における領域Bの横剪断量は7mm程度である。そのため、トレッド部のゴムが硬くても柔らかくても、横剪断量は一定の7mm程度である。つまり、トレッド部のゴムが柔らかいと、変位は一定のため、トレッド部を変形させる力が少なくて済む(すなわち発生する横力(キャンバースラスト)が小さい)。逆に、トレッド部のゴムが硬いと、トレッド部を一定量だけ横変形させるのに大きな力を要する(すなわち発生する横力が大きくなる)。つまり、キャンバースラスト(横力)は、トレッド部の剛性(トレッドゴムの弾性率、硬度)によるところが大きい。
しかしながら、実際は硬いゴムは路面の細かい凹凸に食い込みにくく、その結果、摩擦係数が小さく滑りやすい。このため、ゴムが硬すぎるとトレッド部の接地面と路面とが滑ってしまうので変位量が減ってしまい、横力が出なくなる。
本発明者は以上のような検討を行うとともに実験を重ねて更に検討を加え、本発明を完成するに至った。
請求項1に記載の二輪車用空気入りタイヤは、少なくとも1枚のカーカスと、前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置された少なくとも1枚のベルトと、前記ベルトのタイヤ径方向外側に配置されたトレッド部と、を備えた二輪車用空気入りタイヤであって、前記トレッド部のタイヤ幅方向両側の少なくとも踏面側には、トレッド端からの展開幅がトレッド展開幅の5〜30%の範囲内で且つ、タイヤセンター側に隣接するセンター側ゴム部に比べてショアA硬度が低い軟質ゴム部が形成され、一方の軟質ゴム部は他方の軟質ゴム部と比べてショアA硬度、厚み、及び展開幅のうちの少なくとも一つが異なることを特徴としている。
請求項1では展開幅(ペリフェリ方向幅)を用いて軟質ゴム部の領域を規定している。ここで展開幅とは、弧を直線にするように、幅方向に丸みをもつ部位を直線状あるいは平面状となるように展開したときの幅を意味する。従って、トレッド展開幅(トレッド部の展開幅)とは、トレッド部の外周に沿った略円弧方向の幅のことであり、トレッド部を展開した状態におけるトレッド端同士の間隔のことである。また、軟質ゴム部の展開幅とは、軟質ゴム部の外周に沿った略円弧方向の幅のことである。
請求項1の二輪車用空気入りタイヤでは、トレッド部のタイヤ幅方向両側の少なくとも踏面側に、センター側ゴム部よりもショアA硬度が低い(柔らかい)軟質ゴム部が形成されることを規定している。
また、軟質ゴム部はトレッド端からの展開幅がトレッド展開幅の5〜30%の範囲内とされている。なお、トレッド端側では、軟質ゴム部を踏面側に配置し、内部側に軟質ゴム部と異なるゴムからなるゴム部を配置する構成としてもよく、トレッド端側が軟質ゴム部のみとなるように構成してもよい。
ところで、トレッド部の踏面側に軟質ゴム部を配置するのは、センター側ゴム部よりも柔らかい軟質ゴム部がアスファルトなどの骨材の細かい凹凸に食い込み、摩擦係数が高くなってグリップ性が良くなるからである。一方、先に述べたように、二輪車用空気入りタイヤのトレッドショルダー部の横変位量は幾何学的に決まっており、トレッドショルダー部全てを軟質ゴム部にしてしまうとトレッドショルダー部の剪断剛性が低下し、大きな横力を発生させることができなくなる。そのため、トレッドショルダー部の踏面側のみに軟質ゴム部を配置することが好ましい。
なお、ショアA硬度は、市販の硬度計を用いて計測可能である。例えば、トレッドゴムを切り出し、100℃の熱湯に30分漬け、ゴムの温度を100℃にした後に、硬度計で硬度を計測することができる。通常、硬度が高いものは動的弾性率も高い。
請求項1ではこの柔らかさをショアA硬度で規定しているが、動的弾性率(E’)を用いて規定してもよい。動的弾性率は、例えば周波数15Hz、歪5%をサイン波でゴムのサンプルに加え、そのときの反力を計測することで測定することができる。この場合、レオメトリックス社製の粘弾性測定装置を用いて、温度100℃、周波数15Hz、歪5%で動的弾性率を計測してもよい。また、特に自動二輪車の競技用のタイヤの場合は、トレッドショルダー部の温度は100℃を超える場合もあるので、目的に応じて100℃での動的弾性率E’を計測して、本発明の動的弾性率としてもよい。請求項1では特に温度を規定していないが、一般の消費者向けのタイヤでは50℃の動的弾性率を用いることが好ましく、競技用のタイヤでは100℃以上の動的弾性率を用いることが好ましい。
次に、軟質ゴム部の展開幅について説明する。軟質ゴム部の展開幅をトレッド展開幅の5〜30%の範囲内とした根拠は、CA45度〜55度で接地する部分の範囲を含ませるためである。この範囲にセンター側ゴム部よりも柔らかい軟質ゴム部を配置することで、旋回時のグリップ力を増大させることができる。
具体的には、前出の図12を用いて説明したように、CA45〜55度で接地するのは、トレッド端からの展開幅がトレッド展開幅の25%の領域である。上限を30%としておけば、CA45度だけでなく、少し車体を起こしたCA40度でも高い横力を得ることができる。より実際的には、先に述べたように、図12の領域Aと、領域Bと、領域Cと分けた場合に、領域Aには柔らかいゴムを配置しやすく、領域Bが次に配置しやすい。領域Cはトラクションが加わり、かつ使用頻度が高いため、柔らかいゴムは摩耗しやすく注意が必要である。このため、領域Cに柔らかいゴムを配置する場合は、旋回時の使用頻度の低い側に使うことが好ましい。
また、下限を5%としたのは、5%以上の展開幅がないと軟質ゴム部を配置した効果が現れにくいためである。
軟質ゴム部の展開幅がトレッド展開幅の5%未満である場合、軟質ゴム部がたとえ図12に示した領域Aに配置されていても、軟質ゴム部の配置されている範囲が狭すぎて効果が少なくなる。このため、5%以上とした。軟質ゴム部の展開幅がトレッド展開幅の30%を超えている場合、直立時に使用する領域に近づき、横力(横グリップ力)を必要とする旋回時と作用が異なり、不適切となる。
またCA40度でタイヤの接地中心になるのは図12の領域Cの周辺であり、この領域はトレッド端を基点として、トレッド端から16%〜30%程度の領域である。この領域まで軟質ゴム部を配置すると、加速時の厳しい入力によって軟質ゴム部が早期に摩耗する虞がある。そのため、この領域に軟質ゴム部を配置する場合は、使用頻度が低い場合か、旋回時の入力が小さい低速コーナーでよく使われる場合か、あるいは、柔らかくする割合を少なめにする場合である。
例えば、トレッド端からトレッド展開幅の30%の範囲内に軟質ゴム部を配置する場合は、軟質ゴム部の柔らかくする割合を20%(センター側ゴム部の硬さを100%としたときに、80%の硬さ)程度とするのに対して、トレッド端からトレッド展開幅の15%の範囲内に軟質ゴム部を配置する場合は、柔らかくする割合を30%(70%の硬さ)、さらに、トレッド端からのトレッド展開幅の10%の範囲内にだけ軟質ゴム部を配置する場合は、柔らかくする割合を40%(60%の硬さ)とするように調節することが好ましい。
次に、トレッド部のタイヤ幅方向の一方側の軟質ゴム部のショアA硬度と、他方側のゴム部のショアA硬度とが異なる場合の作用について説明する。
トレッド部のタイヤ幅方向の一方側及び他方側の使用頻度が異なるサーキット(すなわち、右旋回及び左旋回の頻度及び入力が異なるサーキット)において、使用頻度の低い側に使用頻度の高い側よりも柔らかい軟質ゴム部を配置することで、トレッド部のタイヤ幅方向の一方側と他方側とでバランスよく本発明のメリットを享受できる。
すなわち、使用頻度が低い側に非常に柔らかい軟質ゴム部を配置することで横グリップ性を向上させ、使用頻度が高い側にやや柔らかいゴムからなる軟質ゴム部を配置することで摩耗に強くさせることができる。そして、トレッド部のタイヤ幅方向の一方側及び他方側の使用頻度に応じて軟質ゴム部の柔らかさを決定することで、一方側の軟質ゴム部及び他方側の軟質ゴム部の摩耗の進行を均一にすることができる。
ここで、トレッド部のタイヤ幅方向の一方側及び他方側の両方ともに非常に柔らかい軟質ゴム部を配置した場合は、使用頻度の少ない側はよいが、使用頻度の高い側の摩耗が早期に進み、レースの後半で適切なグリップ力を得られなくなる。
また、トレッド部のタイヤ幅方向の一方側及び他方側の両方ともにやや柔らかい軟質ゴム部を配置した場合は、使用頻度の高い側はよいが、使用頻度の低い側について、もっとグリップ力を上げることができるのにその特性を生かすことができない。
なお、軟質ゴム部の内側(タイヤ径方向内側)には、軟質ゴム部よりもショアA硬度の高い硬質ゴム部、あるいは損失正接tanδの低い低損失正接ゴム部を配置するのが好ましい。
次に、トレッド部のタイヤ幅方向の一方側の軟質ゴム部の厚みと、他方側のゴム部の厚みとが異なる場合の作用について説明する。
前述したように、トレッドショルダー部のゴム層を複数層(例えば、2層)にする場合は、踏面側をセンター側ゴム部よりも柔らかい軟質ゴム部とすることで、軟質ゴム部が路面の凹凸に食い込みグリップを発生させるが、トレッドショルダー部全部を柔らかくすると摩耗しやすく、軟質ゴム部によってトレッド剛性が低下してしまい横グリップが低下することから、トレッドショルダー部の踏面側のみに軟質ゴム部を配置し、内側には硬質ゴム部(軟質ゴム部よりもショアA硬度が高いゴム部)を配置することが好ましい。
ここで、軟質ゴム部の内側に硬質ゴム部を配置した場合には、トレッド部のタイヤ幅方向一方側の軟質ゴム部の厚みと、他方側の軟質ゴム部の厚みとを夫々変えることで、トレッド部を形成するゴム(トレッドゴム)の剪断剛性を変更することができる。軟質ゴム部の厚みが薄いと、トレッド部の剪断剛性が強くなり、強い横入力に耐えることができる。すなわち耐摩耗性に優れる。これに対して、軟質ゴム部の厚みが厚いと、摩耗速度は早いがグリップ力が強い。また、トレッドゴムの発熱は、センター側ゴム部よりも柔らかい軟質ゴム部の方が、歪が大きく発熱しやすいことから、軟質ゴム部が厚いとさらに発熱しやすい。
以上のことから、トレッド部のタイヤ幅方向一方側及び他方側の使用頻度の高い側は、軟質ゴム部の厚みを薄くしてトレッド部の剛性を高め、摩耗に強くする。使用頻度の高い側に対して使用頻度の低い側は、軟質ゴム部の厚みを厚くして、グリップ力を優先させる。ここで、使用頻度の低い側は使用頻度が低いため軟質ゴム部が摩耗しやすくても、摩耗の進行は使用頻度の高い側と同程度に調節することができる。さらに、軟質ゴム部は発熱が高いため、使用頻度が低くてもトレッド部の温度を上昇させることができる。なお、トレッド部の温度を上昇させるのは、レースに使用するトレッドゴムは高温になるとグリップ力が向上するように設計されているためで、このトレッドゴムは100°C程度の高温にならないと十分なグリップ力が得られないためである。
また、使用頻度の低い側に、硬いゴムを配置すると、ゴムの歪が小さく発熱が小さいため、トレッドゴムがなかなか高温に達しない。一方、使用頻度の高い側に軟質ゴム部を配置すると、すぐに発熱してしまい、トレッド温度が100℃以上となる。
特に柔らかいゴムを長時間使用頻度の高い、厳しい入力条件で使用すると、ゴムの内部に気泡ができて、気泡を起点にゴムが破壊される、いわゆるブロー現象が起こる。このような観点からも、使用頻度の高い側の軟質ゴム部の厚みは薄くして発熱を抑制し、使用頻度の低い側の軟質ゴム部の厚みは厚くしてグリップ力を稼ぐと共に少ない入力でトレッド部が発熱しやすいようにすることが有効となる。従って、トレッド部のタイヤ幅方向の一方側の軟質ゴム部の厚みと他方側の軟質ゴム部の厚みとを変えれば、このような特性を簡単に調節することが可能である。
次に、トレッド部のタイヤ幅方向の一方側の軟質ゴム部の展開幅と、他方側のゴム部の展開幅とが異なる場合の作用について説明する。
トレッド部のタイヤ幅方向の一方側及び他方側の使用頻度に応じて、例えば、使用頻度が非常に高い場合には前述した接地形状の領域Aだけに軟質ゴム部を配置し、領域Bや領域Cには軟質ゴム部よりも硬い(ショアA硬度が高い)タイヤセンター側ゴム部を配置することで、領域B及び領域Cの摩耗を抑制することができる。
また、使用頻度がやや高い場合には、領域Aと領域Bとに軟質ゴム部を配置する。使用頻度が低い場合には、領域A〜Cに軟質ゴム部を配置して、グリップ力を最大限に稼ぐことが可能となる。トレッド部のタイヤ幅方向の一方側及び他方側の使用頻度が異なるサーキットでは、旋回時の入力を考慮して、一方側及び他方側の使用頻度に応じたトレッド部のゴム配置が可能となる。これにより、旋回時の入力による両トレッドショルダー部の摩耗のアンバランスを解消し、使用頻度の低い側では軟質ゴム部の展開幅を増やして少ない入力でもゴムを発熱しやすくでき、また、グリップ力も最大限に稼ぐことができる。
以上のことから、請求項1の二輪車用空気入りタイヤは、トレッド部のタイヤ幅方向の一方側及び他方側の使用頻度が異なるサーキットにおいて、横グリップ性を向上させることができるとともに、トレッドショルダー部の耐摩耗性を改善させることができる。
請求項2に記載の二輪車用空気入りタイヤは、少なくとも1枚のカーカスと、前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置された少なくとも1枚のベルトと、前記ベルトのタイヤ径方向外側に配置されたトレッド部と、を備えた二輪車用空気入りタイヤであって、前記トレッド部のタイヤ幅方向片側のみに、トレッド端からの展開幅がトレッド展開幅の5〜30%の範囲内で且つ、タイヤセンター側に隣接するセンター側ゴム部に比べてショアA硬度が低い軟質ゴム部が少なくとも踏面側に形成されることを特徴としている。
請求項2の二輪車用空気入りタイヤでは、トレッド部のタイヤ幅方向の一方側及び他方側で旋回時の使用頻度が極端に異なる場合を対象にして、トレッド部の一方側(片側)のみに軟質ゴム部を配置し、他方側には軟質ゴム部を配置しないことを規定した。これにより、他方側には軟質ゴム部を配置しないため耐摩耗性能を優先させることができる。すなわち使用頻度が高い側には、軟質ゴム部を配置しない。これに対して、使用頻度の低い側には軟質ゴム部を配置する。使用頻度の低い側は、使用頻度が低いので摩耗量が少ない。そのため、軟質ゴム部を搭載することでグリップ力を稼ぐとともに、少ない入力でもすぐにトレッドゴムを発熱でき適正な温度に到達させることができる。
請求項3に記載の二輪車用空気入りタイヤは、請求項1又は請求項2に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記軟質ゴム部の展開幅が、トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かって徐々に広がっていることを特徴としている。
請求項3の二輪車用空気入りタイヤでは、軟質ゴム部が摩耗するにつれて、露出面積が増えるように、トレッド部の踏面側からタイヤ径方向内側に向かって展開幅が徐々に広がっていることを規定した。これは、タイヤのトレッド部が摩耗すると、トレッド部の厚みが薄くなるためトレッド剛性が高まり、トレッド部の踏面が路面から滑りやすくなり、グリップ力が低下する傾向があるためである。そこで、軟質ゴム部の露出を増やすことで、グリップ力を補うことができる。特に、競技用のタイヤは、レースが進んで周回数を重ねてもタイヤのグリップ力を維持することが重要であるため、このような構成とすれば、トレッド部の摩耗が進んでも軟質ゴム部の露出範囲が増えていくため、摩擦係数の高い領域が増えてグリップ力を維持することができる。なお、本請求項のような構成は、両トレッド端側に活用してもよく、片側のトレッド端側のみに活用してもよい。
請求項4に記載の二輪車用空気入りタイヤは、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記軟質ゴム部の厚みが、前記トレッド部の平均厚みの20%以上100%以下の範囲内であることを特徴としている。
請求項4の二輪車用空気入りタイヤでは、軟質ゴム部の厚みをトレッド部の平均厚みと比較して規定した。ここで、軟質ゴム部の厚みは20%以上がよい。20%未満だと、軟質ゴム部の厚みが薄すぎて、軟質ゴム部が柔らかくても路面の凸凹に食い込みにくい。また、軟質ゴム部がすぐに摩耗してしまう懸念もある。なお、軟質ゴム部の厚みの最大は100%である。
また、軟質ゴム部の特性にもよるが、軟質ゴム部が非常に柔らかいゴムからなる場合は、軟質ゴム部の厚みは80%以下が好ましい。先に述べたように、二輪車のトレッドショルダー部の横変位量は幾何学的に決まっており、トレッドショルダー部全てを柔らかくしてしまうとトレッド部の剪断剛性が低下し、大きな横力を発生できなくなるからである。
請求項5に記載の二輪車用空気入りタイヤは、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記トレッド部のトレッドセンター部の少なくとも一部が、2種以上のゴム層を積層して形成されていることを特徴としている。
請求項5の二輪車用空気入りタイヤでは、トレッドセンター部の少なくとも一部が2種以上のゴム層を積層して形成されていることを規定した。なお、トレッドセンター部とは、トレッド部の中央部分であり、その展開幅は、トレッド展開幅の25%である。これは、バイクが直立しているときに路面と接触している部分の展開幅がトレッド展開幅の約25%であることによる。ここで、トレッドセンター部の全ての領域(トレッド展開幅の約25%)が2層になっていなくても、少なくともその大部分、具体的にはトレッドセンター部のうちのトレッド展開幅の15%以上の幅で2層になっていれば効果がある。
また、トレッドセンター部を2層にする理由は、トレッドゴムの発熱の抑制にある。トレッド部の内部に硬いゴムを配置し、外部(踏面側)に柔らかいゴムを配置すれば、外部の柔らかいゴムがグリップを稼ぎ、且つ内部のゴムが発熱を抑制する。また、内部のゴムに損失正接(tanδ)の低いゴムを使用すれば、さらにゴムの発熱を抑制できる。競技用のタイヤにおいては、直進走行時に速度が300km/hを超えて走行する自動二輪車競技もある。このような競技では、高速走行からトレッド部が高い周波数で変形を繰り返し受けて、発熱する。その発熱によって、トレッド部の内部のオイルが気化して泡が発生するブロー現象が起こり、この泡を起点としてトレッド部の一部が欠けて飛び散る故障を起こす場合がある。そのため、このような高度な競技用タイヤにおいては、トレッド部の内部に発熱しにくい損失正接の非常に低いゴムを配置し、一方でトレッド部の踏面側にグリップ力の高いゴムを使用するとよい。
ここで、請求項5の二輪車用空気入りタイヤのようにすれば、CA45〜55度の大CA時のみならず、直進時の駆動、制動特性も向上させることができる。
請求項6に記載の二輪車用空気入りタイヤは、請求項5に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記センター側ゴム部が前記トレッドセンター部の最外層のゴム層を形成していることを特徴としている。
請求項6の二輪車用空気入りタイヤでは、センター側ゴム部がトレッドセンター部の最外層のゴム層を形成していることを規定している。このようにすれば、トレッド部を形成するゴム種を少なくすることができ、効率的である。
請求項7に記載の二輪車用空気入りタイヤは、請求項5または請求項6に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記トレッドセンター部の最内層のゴム層が、前記軟質ゴム部の少なくとも一部に重なるまでタイヤ幅方向に延びていることを特徴としている。
請求項7の二輪車用空気入りタイヤでは、トレッドセンター部の最内層のゴム層が、軟質ゴム部の少なくとも一部に重なるまでタイヤ幅方向に延びていることを規定している。例えば、トレッドセンター部の最内層のゴム層が最外層のゴム層よりも発熱しにくいゴムからなる場合には、このようにすることで、トレッドショルダー部に軟質ゴム部を配置し発熱が大きくなったとしても、トレッド部の内部に発熱しにくいゴムが存在するために、発熱量をコントロールして、トレッドショルダー部がブローすることを防止できる。
また、請求項7の二輪車用空気入りタイヤのトレッドセンター部の最内層のゴム層は、トレッド部のタイヤ幅方向両側のうちの片側にだけ広く存在させても構わない。使用頻度の高い側にだけ、最内層のゴム層を広く配置すれば、使用頻度の高い側の耐熱性を向上でき、ブロー故障を防止できる。
請求項8に記載の二輪車用空気入りタイヤは、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記少なくとも1枚のベルトとして、タイヤ赤道方向に対して5度以下のコード角度をなすスパイラルベルトを備えたことを特徴としている。
請求項8の二輪車用空気入りタイヤでは、タイヤのベルトに、スパイラルベルトを用いることを規定している。スパイラルベルトは赤道方向に対する角度が0度〜5度のコードを内部に含むベルトであり、1本または2本以上のコードを未加硫ゴムで被覆した連続体をタイヤ周方向に沿って連続的に螺旋巻きすることで形成できる。このようなベルトは周方向にコードが沿うため遠心力でタイヤが膨張しにくく、特に高速走行時の操縦安定性能に優れる。そのため、近年の高性能タイヤに広く使われるようになってきた。しかしながら、このような部材は高速走行時の操縦安定性能には有効であるが、車体を大きく倒したCA45〜55度では速度も遅いため、本来の遠心膨張しにくい効果は薄れ、横グリップ力に関しては従来のスパイラルベルトのないタイヤとあまり変わらない。そこで、このような高性能タイヤに、本発明を適用すると、大CA時の横グリップ力が増して、高性能タイヤとしての性能バランスが良くなり、好ましい。
請求項9に記載の二輪車用空気入りタイヤは、請求項8に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記スパイラルベルトの展開幅がトレッド展開幅の60%以上90%以下の範囲内であることを特徴としている。
請求項9の二輪車用空気入りタイヤでは、スパイラルベルトの展開幅を規定した。なお、スパイラルベルトの展開幅とは、スパイラルベルトの外周に沿った略円弧方向の幅のことである。
図12は、タイヤがCA50度で旋回する時のトレッド部のタイヤ幅方向断面についての挙動を示したものであるが、一方で、トレッド部の周方向の変形も、領域Aと領域Bと領域Cとで夫々異なっている。これは、接地形状のタイヤセンター寄りの領域Cと、接地形状のトレッド端寄りの領域Aとでベルトの速度が異なるからである。
二輪車用空気入りタイヤはタイヤ幅方向断面において、大きな丸みを持っている。そのため、回転軸からベルトまでの距離であるベルト半径が、領域Aと領域Cとでは領域Cの方が大きい。すなわち、半径RCの方が、半径RAよりも大きい。これは、ベルトの速度、つまりトレッド部が路面に接触してから、タイヤの回転が進み、トレッド部が路面から離れるまでのベルト速度が、領域Cの方が速いことを意味する。なぜなら、ベルト半径に、タイヤの回転角速度をかけたものがベルトの速度になるからであり、タイヤの回転速度は領域Aも領域Cも同じだからである。このベルトの周方向の速度差により、タイヤのセンター寄りの領域Cではトレッド部がドライビング状態となり、タイヤのトレッド端寄りの領域Aではブレーキング状態となる。
ドライビングとは、タイヤをタイヤ赤道方向(周方向)に沿って輪切りにした場合に、そのトレッド部の変形が、トレッド部の内面(タイヤ内部の骨格部材に接している面)がタイヤ進行方向後方にせん断され、路面に接地しているトレッド踏面がタイヤ進行方向前方に変形しているせん断状態であり、ちょうどタイヤに駆動力をかけたときに起こる変形である。一方、ブレーキングはドライビングの逆であり、トレッド部の変形はタイヤ内部側(ベルト)が前方にせん断され、路面に接地しているトレッド踏面が後方に変形しているせん断状態であり、制動したときのタイヤの動きとなる。この周方向のトレッド部の変形は、タイヤが駆動力も制動力も受けずに、遊輪状態で転がるだけで発生する。そして、この周方向の剪断変形によって、領域Aと領域Cとでトレッド踏面が路面から滑りやすくなり、摩耗が進む。
ここで、請求項9のようなスパイラルベルトの展開幅にすると、図12の領域Aにスパイラルベルトが配置されない。これにより、領域Aのベルトは、接地している部分において周方向に伸びることができる。スパイラルベルトは周方向に沿って巻かれたものであるため、スパイラルベルトが存在すると周方向にベルトは伸びないが、スパイラルベルトがないと、角度付きのベルトだけであり、周方向に伸びることができる。領域Aのベルトは、路面に接触してから、回転が進むとともに伸びる。ベルトが伸びると、ベルトの速度が、ベルトの伸びた分だけ加速される。そのため、領域Aのベルト速度が増して、領域Cのベルト速度との差が縮まり、領域Cのドライビング変形、領域Aのブレーキング変形が減少して、トレッド踏面が路面から滑りにくくなり、摩耗が改善される。
また、軟質ゴム部がトレッドショルダー部に配置されるため、軟質ゴム部が摩耗しやすくなるが、請求項9のようにすれば、耐摩耗性が向上して、摩耗を改善することができる。
スパイラルベルトの展開幅を60%〜90%とした。図12において接地形状の接地幅はトレッド部の25%の領域であり、接地の中心の幅は75%である。それゆえ、スパイラルベルトの展開幅は75%が理想的である。しかし、正確に75%としなくても、60%以上90%以下であれば効果が得られる。90%を超えると、領域Aにもスパイラルベルトが配置されることになり、領域Aの骨格部材(ベルト)が周方向に伸びる効果が薄まる。60%未満であると、領域Cにもスパイラルベルトが存在しなくなり、領域Aのベルトが周方向に伸びても領域Cのベルトも周方向に伸びるので、ベルトの速度差が改善されずに効果が得られない。
スパイラルベルトの展開幅のさらに好ましい範囲は、66%以上84%以下である。先の通り、図12における接地幅はトレッド展開幅の25%であり、接地幅を領域A,領域B、領域Cに3等分すると約8%ずつの領域となる。接地形状のタイヤ幅方向の中心である75%を中心にスパイラルベルトの展開幅を設定している。84%以下とすれば、スパイラルベルトを配置しない部分がトレッド端から8%の領域であり、図12の領域Aにはスパイラルベルトは存在しない。そのため、領域Aは確実に周方向にベルトが伸びる。
スパイラルベルトの展開幅をトレッド展開幅の66%以上とすれば、領域Cには確実にスパイラルベルトが存在する。そのため、領域Cは伸びることが出来ず、領域Aは伸びる。このような構成とすれば、領域Aと領域Cとでベルトの伸びに確実に差を付けることができ、領域Aと領域Cのトレッド部のベルト速度を縮められ、周方向のトレッド部の無駄な変形を抑制できる。また、領域Cにスパイラルベルトが必ず存在するため、高速転動時にも少なくとも領域Cはタガ効果を発揮して、操縦安定性能を最低限は確保できる。
以上説明したように、本発明の二輪車用空気入りタイヤは、トレッド部のタイヤ幅方向一方側及び他方側の使用頻度が異なるサーキットにおいて、横グリップ性を向上させることができるとともに、トレッドショルダー部の耐摩耗性を改善させることができる、という優れた効果を有する。
以下、実施形態として二輪車用空気入りタイヤを挙げ、本発明の実施の形態について説明する。なお、第2実施形態以下では、既に説明した構成要素と同様のものには同じ符号を付して、その説明を省略する。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤ10(以下、単にタイヤ10。)は、左右一対のビード部12と、一方のビード部12から他方のビード部12へトロイド状に延びる少なくとも1枚のカーカス14と、を備えている。
(カーカス)
カーカス14は図1及び図2では省略しているが2枚配置されている。また、カーカス14の端部分はビード部12において、ビードコア11をなすビードワイヤー13によって2枚まとめて両側(タイヤ内側及び外側)から挟み込まれてビードコア11に係止されている。なお、その他の実施形態では、カーカス14の端部分を2枚まとめてタイヤ内側からタイヤ外側へとビードコア11の周りに巻き回して固定する構成であってもよいものとする。
また、カーカス14は、被覆ゴム中に複数本のラジアル方向に延びるコード(例えば、ナイロン等の有機繊維コード)を平行に並べて埋設したものであり、本実施形態では、タイヤ赤道面(タイヤセンター)CL上でのタイヤ赤道面CLに対するコードの角度を90度に設定している。なお、本実施形態では、カーカス14のコードとしてナイロン(「ナイロン」はデュポン社の登録商標)繊維を撚って直径0.6mmとしたものを用い、カーカス14におけるこのコードの打ち込み間隔を65本/50mmに設定している。
(スパイラルベルト)
カーカス14のクラウン部のタイヤ径方向外側には、スパイラルベルト16が配置されている。このスパイラルベルト16は、1本又は複数本のコード(例えば、ケブラー等の有機繊維コード)を平行に並べて被覆ゴム中に埋設してなるゴム被覆コード部材を、コードの角度がタイヤ赤道面CLに対して5度以下の角度をなすようにスパイラル状に巻回してなるものである。
なお、本実施形態では、スパイラルベルト16のコードとして芳香族ポリアミド(商品名は「ケブラー」)の繊維を撚って直径0.7mmとしたものを用い、このコードの打ち込み間隔を50本/50mmに設定している。また、その他の実施形態では、スパイラルベルト16のコードを直径0.21mmのスチール単線を1×3タイプで撚ったスチールコードを用いてもよく、このスチールコードを用いる場合には、コードの打ち込み間隔を30本/50mmに設定することが好ましい。
また、本実施形態では、図1に示すように、スパイラルベルト16の展開幅とトレッド展開幅Lとがほぼ同一とされている。
(交錯ベルト)
スパイラルベルト16のタイヤ径方向外側には、2枚のベルトプライを積層してなる交錯ベルト17が配置されている。このベルトプライは、複数本のコード(芳香族ポリアミド繊維を撚って直径0.7mmとした有機繊維コード)を平行に並べて被覆ゴム中に埋設して形成されている。また、2枚のベルトプライは、互いのコードのタイヤ赤道面CLに対する角度が反対方向となるように積層されており、本実施形態では、このコードのタイヤ赤道面CLに対する角度が50度に設定されている。なお、本実施形態では2枚のベルトプライのコードの打ち込み間隔を夫々30本/50mmに設定している。
また、図1に示されるように、交錯ベルト17のうちのタイヤ径方向内側に配置されるベルトプライを符号17Aとし、タイヤ径方向外側に配置されるベルトプライを符号17Bとする。なお、本実施形態では、ベルトプライ17Aの展開幅がベルトプライ17Bの展開幅よりも広く設定されている。
(トレッド部)
図1及び図2に示すように、交錯ベルト17のタイヤ径方向外側には、トレッド部18が配置されている。
トレッド部18は、タイヤ幅方向の一方側(図1に向かって左側)のトレッド端T側で、且つ少なくとも踏面側に配置される軟質ゴム部22と、タイヤ幅方向の他方側(図1に向かって右側)のトレッド端T側で、且つ少なくとも踏面側に配置される軟質ゴム部23と、軟質ゴム部22及び軟質ゴム部23のタイヤ径方向外側に隣接するとともにタイヤ赤道面CL側に隣接するように配置されるセンター側ゴム部26と、スパイラルベルト16のタイヤ径方向外側に隣接し且つタイヤ赤道面CLを挟んでタイヤ幅方向両側に延出する低損失正接ゴム部28と、によって形成されている。
軟質ゴム部22は、一方のトレッド端Tからの展開幅W1がトレッド展開幅L(タイヤ赤道面CLからトレッド端Tまでの展開幅の2倍)の5〜30%の範囲内とされ、且つセンター側ゴム部26に比べてショアA硬度が低く設定されている。また、この軟質ゴム部22の厚みH1は、トレッド部18の平均厚みの20〜100%の範囲内とすることが好ましい。
軟質ゴム部23は、他方のトレッド端Tからの展開幅W2がトレッド展開幅L(タイヤ赤道面CLからトレッド端Tまでの展開幅の2倍)の5〜30%の範囲内とされ、且つセンター側ゴム部26に比べてショアA硬度が低く設定されている。また、この軟質ゴム部23の厚みH2は、トレッド部18の平均厚みの20〜100%の範囲内とすることが好ましい。
図1に示すように、センター側ゴム部26は、トレッドセンター部Cの最外層を形成している。従って、軟質ゴム部22と低損失正接ゴム部28との間にはセンター側ゴム部26が介在している。なお、トレッドセンター部Cとは、タイヤ赤道面CLを中心にタイヤ幅方向に広がる領域であり、この領域の展開幅はトレッド展開幅Lの25%である。また、トレッドショルダー部Sとは、トレッドセンター部Cのタイヤ幅方向の端からトレッド端Tまでの領域である。
低損失正接ゴム部28は、トレッドセンター部Cの最内層を構成するとともに、タイヤ幅方向の両端部が両トレッドショルダー部Sにまで延びている。また、低損失正接ゴム部28は、損失正接が軟質ゴム部22やセンター側ゴム部26よりも低く設定され、厚みがタイヤ赤道面CLからトレッド端Tにかけて徐々に薄くなっている。
なお、本実施形態では、トレッド部18に溝を設けていないが、排水用の溝を設けてもよいものとする。また本実施形態のトレッド踏面(又は単に踏面)とは、トレッド部の路面と接触する面を指しているものとする。
また、本実施形態では、軟質ゴム部22のショアA硬度M1と軟質ゴム部23のショアA硬度M2とが異なり、且つ軟質ゴム部22のショアA硬度M1よりも軟質ゴム部23のショアA硬度M2が低くなるように設定されている。
またさらに、ショアA硬度M1はセンター側ゴム部26のショアA硬度M0の50%〜90%の範囲内とすることが好ましく、ショアA硬度M2はショアA硬度M0の40%〜80%の範囲内とすることが好ましい。
なお、軟質ゴム部22の厚みH1と軟質ゴム部23の厚みH2とが同一に設定されるとともに、軟質ゴム部22の展開幅W1と軟質ゴム部23の展開幅W2とが同一に設定されている。
次に第1実施形態の作用について説明する。
トレッド部18では、センター側ゴム部26のショアA硬度M0よりも軟質ゴム部22のショアA硬度M1が低く、ショアA硬度M0よりも軟質ゴム部23のショアA硬度M2が低いことから、旋回時における横グリップ性が向上する。これにより、このタイヤ10を装着した自動二輪車でサーキットを走行する場合に、コーナーを高速で旋回することができ、コーナーの次に続くストレートもコーナー脱出の速度が速いことから初速が速く、直線でもスピードを乗せることができる。結果、ラップタイムを短縮することができる。従って、タイヤ10は旋回性能(操縦安定性能)に優れる。
また、トレッド部18のタイヤ幅方向の一方側の使用頻度が高く、他方側の使用頻度が低くなるように構成されたサーキットを走行する場合に、使用頻度の高い側には軟質ゴム部22が配置され、使用頻度の低い側には軟質ゴム部23が配置されることから、使用頻度の低い側では使用頻度の高い側よりも横グリップ性が向上し、使用頻度の高い側では使用頻度の低い側よりも摩耗に強くなる。
さらに、サーキットにおけるトレッド部18のタイヤ幅方向の一方側及び他方側の使用頻度に応じて軟質ゴム部22、及び軟質ゴム部23の夫々のショアA硬度を決定することで、軟質ゴム部22と軟質ゴム部23との摩耗の進行を均一にすることができる。
以上のことから、タイヤ10は、トレッド部18のタイヤ幅方向の一方側及び他方側の使用頻度が異なるように構成されたサーキットにおいて、横グリップ性を向上させることができるとともに、トレッドショルダー部Sの耐摩耗性を改善させることができる。
また、軟質ゴム部22、23の展開幅W1、W2を夫々トレッド展開幅Lの5〜30%の範囲内とし、上限を30%としたのはCA45〜55度で接地する領域(トレッド端Tからの展開幅がトレッド展開幅Lの25%の領域)に加えてCA40度で接地する領域も含むため、少し車体を起こした状態でも高い横力を得ることができる。また、下限を5%としたのは、5%以上の展開幅がないと軟質ゴム部22、23を配置した効果が現れにくいためである。また、上限の30%を超えた場合には、直立時に使用する領域に近づくため、横グリップ力を必要とする旋回時と作用が異なり、不適切となる。
また、軟質ゴム部22、23の厚みH1、H2は夫々トレッド部18の平均厚みの20〜100%とすることが好ましい。これは、厚みH1、H2が夫々20%未満だと、厚みH1、H2が薄すぎるため、軟質ゴム部22、23が柔らかくてもそれよりもタイヤ径方向内側のセンター側ゴム部26が硬いことから路面の凸凹に食い込みにくい。また、軟質ゴム部22、23がすぐに摩耗してしまう懸念もある。なお、軟質ゴム部22、23の厚みH1、H2の夫々の最大は100%である。
トレッドセンター部Cの最内層にセンター側ゴム部26よりも損失正接の低い低損失正接ゴム部28を配置したことで、センター側ゴム部26でグリップを稼ぎつつ、低損失正接ゴム部28でトレッドゴムの発熱を抑制できる。なお、低損失正接ゴム部28は、少なくともトレッドセンター部Cのうちのトレッド展開幅Lの15%以上の領域内に設けられれば効果がある。
また、センター側ゴム部26がトレッドセンター部Cの最外層のゴム層を形成していることから、トレッド部18を形成するゴム種を少なくすることができ、効率的である。
そして、タイヤ10にスパイラルベルト16を設けたことで、走行時の遠心力でタイヤ10が膨張し難くなり、高速走行時の操縦安定性能が向上する。
ショアA硬度M1がショアA硬度M0の90%よりも大きいと、センター側ゴム部26との硬度の差が小さくなり、柔らかいゴムを配置した意味がなくなり、横グリップが向上する効果が非常に小さくなる。また、ショアA硬度M2がショアA硬度M0の40%未満であると、センター側ゴム部26と軟質ゴム部23とのショアA硬度の差が大きくなり過ぎてこれらのゴムの境界部分に剛性段差が生じて、偏摩耗の発生を促進したり、両者の間に亀裂を生じたりする問題が発生する。さらに、ショアA硬度M1とショアA硬度M2との差が10%未満となると、左右の性能の差が現れにくい。従って、ショアA硬度M1の下限はショアA硬度M2の下限よりも10%高い値とし、ショアA硬度M2の上限はショアA硬度M1の上限よりも10%低い値とするのが好ましい。
従って、ショアA硬度M1はショアA硬度M0の50%〜90%の範囲内とすることが好ましく、ショアA硬度M2はショアA硬度M0の40%〜80%の範囲内とすることが好ましい。
なお、本実施形態では、トレッドゴムの少なくとも一部を未加硫ゴムからなる幅の狭い未加硫ゴム連続体(ゴムストリップ)を専用の成型機械を用いて自動的に周方向且つ螺旋状に重ねて巻き付けることで成型している。このように成型するのはトレッドショルダー部Sではタイヤ断面で丸みが大きく、このトレッドショルダー部Sに作業者が手作業で幅の広いトレッド部材を配置すると、成型精度(形状精度)を確保しにくいためである。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。図3に示すように、本実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤ30(以下、単にタイヤ30。)では、第1実施形態に比べ、軟質ゴム部22の厚みH1と軟質ゴム部23の厚みH2とが異なり、且つ軟質ゴム部23の厚みH2が軟質ゴム部22の厚みH1よりも厚く設定されている。また、本実施形態では、軟質ゴム部22のショアA硬度M1と軟質ゴム部23のショアA硬度M2とが同一に設定されるとともに、展開幅W1と展開幅W2とが同一に設定されている。
次に第2実施形態の作用について説明する。なお、第1実施形態で得られる作用と同様のものについてはその説明を省略する。
第1実施形態と同様のサーキット(トレッド部18のタイヤ幅方向の一方側の使用頻度が高く、他方側の使用頻度が低くなるように構成されたサーキット)を走行する場合に、使用頻度の高い側に軟質ゴム部22が配置され、使用頻度の低い側に軟質ゴム部23が配置され、且つ、これらの軟質ゴム部22、23のタイヤ径方向内側に隣接するようにセンター側ゴム部26が配置されることから、使用頻度の高い側のトレッドショルダー部Sの剪断剛性が使用頻度の低い側よりも強くなり、強い横入力に耐えることができる、すなわち摩耗に強くなる。これに対して、使用頻度の低い側は使用頻度の高い側よりも横グリップ力が向上する。ここで、使用頻度の低い側は使用頻度が低いため、軟質ゴム部23が摩耗しやすくても、摩耗の進行は使用頻度の高い側と同程度に調節することができる。すなわち、軟質ゴム部22と軟質ゴム部23との摩耗の進行を均一にすることができる。
また、使用頻度の低い側に軟質ゴム部22を配置すると、ゴムの歪が小さく発熱が小さいため、トレッドゴムがなかなか高温に達しない。一方、使用頻度の高い側に軟質ゴム部23を配置すると、すぐに発熱してしまい、トレッド温度が100℃以上となる。軟質ゴム部23を長時間使用頻度の高い、厳しい入力条件で使用すると、ゴムの内部に気泡ができて、気泡を起点にゴムが破壊される、いわゆるブロー現象が起こる。このような観点から、軟質ゴム部22の厚みH1は薄くして発熱を抑制し、軟質ゴム部23の厚みは厚くしてグリップ力を稼ぐと共に少ない入力でトレッド部18が発熱しやすいようにすること好ましい。
以上のことから、タイヤ30は、トレッド部18のタイヤ幅方向の一方側及び他方側の使用頻度が異なるように構成されたサーキットにおいて、横グリップ性を向上させることができるとともに、トレッドショルダー部Sの耐摩耗性を改善させることができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。図4に示すように、本実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤ40(以下、単にタイヤ40。)では、第1実施形態に比べ、軟質ゴム部22の展開幅W1と軟質ゴム部23の展開幅W2とが異なり、軟質ゴム部23の展開幅W2が軟質ゴム部22の展開幅W1よりも広く設定されている。また、本実施形態では、軟質ゴム部22のショアA硬度M1と軟質ゴム部23のショアA硬度M2とが同一に設定されるとともに、厚みH1と厚みH2とが同一に設定されている。
次に第3実施形態の作用について説明する。なお、第1実施形態で得られる作用と同様のものについてはその説明を省略する。
第1実施形態と同様のサーキット(トレッド部18のタイヤ幅方向の一方側の使用頻度が高く、他方側の使用頻度が低くなるように構成されたサーキット)を走行する場合に、使用頻度の高い側に軟質ゴム部22が配置され、使用頻度の低い側に軟質ゴム部23が配置されることから、使用頻度の低い側では使用頻度の高い側よりも軟質ゴム部の接地面積が広くなってグリップ力が向上するとともに、接地面積が広くなることから少ない入力でトレッドゴムを発熱しやすく、さらにグリップ力を稼ぐことができる。また、使用頻度の高い側では使用頻度の低い側よりも軟質ゴム部の接地面積が狭くなることからトレッドショルダー部Sの摩耗を抑制することができる。
このため、軟質ゴム部22の展開幅W1と軟質ゴム部23の展開幅W2とを調整することで、旋回時の入力による両トレッドショルダー部Sの摩耗のアンバランスを解消することができる。
以上のことから、タイヤ40は、トレッド部18のタイヤ幅方向の一方側及び他方側の使用頻度が異なるように構成されたサーキットにおいて、横グリップ性を向上させることができるとともに、トレッドショルダー部Sの耐摩耗性を改善させることができる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。図5に示すように、本実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤ50(以下、単にタイヤ50。)では、第1実施形態に比べ、トレッド部18のタイヤ幅方向の他方側のみに軟質ゴム部23を配置して、一方側には軟質ゴム部22を配置せずにセンター側ゴム部26をトレッド端Tまで延長している点が異なる。
次に第4実施形態の作用について説明する。なお、第1実施形態で得られる作用と同様のものについてはその説明を省略する。
第1実施形態と同様のサーキット(トレッド部18のタイヤ幅方向の一方側の使用頻度が高く、他方側の使用頻度が低くなるように構成されたサーキット)を走行する場合に、使用頻度の高い側には全体的にセンター側ゴム部26が配置され、使用頻度の低い側のみに軟質ゴム部23が配置されることから、使用頻度の低い側では使用頻度の低い側よりも横グリップ性が向上するとともに、少ない入力でもすぐにトレッドゴムを発熱させてトレッド部18を適正な温度に到達させることができる。これに対して、使用頻度の高い側ではセンター側ゴム部26が路面と接地するため使用頻度の低い側よりも摩耗に強くなる。
以上のことから、タイヤ50は、トレッド部18のタイヤ幅方向の一方側及び他方側の使用頻度が異なるように構成されたサーキットにおいて、横グリップ性を向上させることができるとともに、トレッドショルダー部Sの耐摩耗性を改善させることができる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明する。図6に示すように、本実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤ60(以下、単にタイヤ60。)では、第1実施形態に比べ、軟質ゴム部22のショアA硬度M1と軟質ゴム部23のショアA硬度M2とが異なり、厚みH1と厚みH2とが異なり、展開幅W1と展開幅W2とが異なる。そして、ショアA硬度M2がショアA硬度M1よりも低く、厚みH2が厚みH1よりも厚く、展開幅W2が展開幅W1よりも広く設定されている。
次に第5実施形態の作用について説明する。
第5実施形態では、第1実施形態〜第3実施形態で得られる作用の全てを得ることができる。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態について説明する。図7に示すように、本実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤ70(以下、単にタイヤ70。)では、第1実施形態に比べ、軟質ゴム部22、23の夫々の展開幅W1、W2が踏面側からタイヤ径方向内側に向かって徐々に広がっている点が異なる。なお、図7では、軟質ゴム部22が設けられている側のトレッド端T側のみを示している。
次に第6実施形態の作用について説明する。なお、第1実施形態で得られる作用と同様のものについてはその説明を省略する。
タイヤ70のトレッド部18の摩耗が進行するにつれて、トレッド部18の厚みが薄くなってトレッド剛性が高まり、トレッド部18の踏面が路面から滑りやすくなることからグリップ力が低下する傾向にあるが、本実施形態の構成によれば、摩耗の進行に伴って軟質ゴム部22、23の露出面積が増えることから、低下した分のグリップ力を補うことができる。特に、競技用のタイヤは、レースが進んで周回数を重ねてもタイヤのグリップ力を維持することが重要であるため、このような構成とすれば、トレッド部18の摩耗が進んでも軟質ゴム部22、23の露出範囲が増えていくため、摩擦係数の高い領域が増えて長期に亘ってグリップ力を維持することができる。
なお、本実施形態では、軟質ゴム部22、23の夫々の展開幅W1、W2が踏面側からタイヤ径方向内側に向かって徐々に広がっている構成としたが、本発明はこの構成に限定される必要はなく、軟質ゴム部22のみが踏面側からタイヤ径方向内側に向かって徐々に広がっている構成でもよく、軟質ゴム部23のみが踏面側からタイヤ径方向内側に向かって徐々に広がっている構成でもよいものとする。
また、本実施形態の構成は、第1実施形態に加えて、第2実施形態〜第5実施形態のいずれに適用してもよいものとする。なお、第4実施形態においては、軟質ゴム部23のみに適用するものとする。
[第7実施形態]
次に、第7実施形態について説明する。図8に示すように、本実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤ80(以下、単にタイヤ80。)では、第1実施形態に比べ、トレッド端T側のゴム構造が異なる。本実施形態では、軟質ゴム部23のタイヤ径方向内側が交錯ベルト17に隣接し、タイヤセンター側がセンター側ゴム部26に隣接するように配置されている。なお、図8では、軟質ゴム部23が設けられている側のトレッド端T側のみを示している。
次に第7実施形態の作用について説明する。なお、第1実施形態で得られる作用と同様のものについてはその説明を省略する。
第1実施形態と同様のサーキット(トレッド部18のタイヤ幅方向の一方側の使用頻度が高く、他方側の使用頻度が低くなるように構成されたサーキット)を走行する場合において、使用頻度の低い側に軟質ゴム部23が配置されることから、少ない入力でトレッド部18を効果的に発熱させることができるため、使用頻度の低い側の横グリップ性に最も優れる。
なお、本実施形態では、軟質ゴム部23のタイヤ径方向内側が交錯ベルト17に隣接し、タイヤセンター側がセンター側ゴム部26に隣接するように配置される構成としたが、本発明はこの構成に限定される必要はなく、軟質ゴム部22のタイヤ径方向内側が交錯ベルト17に隣接し、タイヤセンター側がセンター側ゴム部26に隣接するように配置される構成としてもよく、軟質ゴム部22及び軟質ゴム部23の両方共に本発明の構成が適用される構成としてもよいものとする。
また、本実施形態の構成は、第1実施形態に加えて、第2実施形態〜第6実施形態のいずれに適用してもよいものとする。なお、第2実施系形態の軟質ゴム部22、23の夫々の厚さH1、H2が異なるという構成を有する実施形態においては、本発明の構成の適用は軟質ゴム部22または軟質ゴム部23のどちらか一方のみとなる。また、第4実施形態のように、トレッド部18の他方側のみに軟質ゴム部23が配置される構成を有する実施形態においては、本発明の構成の適用は軟質ゴム部23のみとなる。
[第8実施形態]
次に、第8実施形態について説明する。図9に示すように、本実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤ90(以下、単にタイヤ90。)では、第1実施形態に比べ、トレッド端T側のゴム構造が異なる。本実施形態では、低損失正接ゴム部28のタイヤ幅方向両端部が軟質ゴム部22、23の配置されている夫々の領域のタイヤ径方向内側まで延び、センター側ゴム部26を介して重なっている。なお、図9では、軟質ゴム部22が設けられている側のトレッド端側を示している。
次に第8実施形態の作用について説明する。なお、第1実施形態で得られる作用と同様のものについてはその説明を省略する。
低損失正接ゴム部28のタイヤ幅方向の両端部が軟質ゴム部22、23の配置されている夫々の領域のタイヤ径方向内側まで延出していることから、軟質ゴム部22、23の発熱が大きくなっても、低損失正接ゴム部28が発熱量をコントロールして、トレッドショルダー部Sがブローすることを防止することができる。
なお、本実施形態では、低損失正接ゴム部28のタイヤ幅方向両端部が軟質ゴム部22、23の配置されている領域のタイヤ径方向内側まで延び、センター側ゴム部26を介して重なっている構成としたが、本発明はこの構成に限定される必要はなく、低損失正接ゴム部28のタイヤ幅方向の片側の端部のみが軟質ゴム部22又は軟質ゴム部23の配置されている領域のタイヤ径方向内側まで延び、センター側ゴム部26を介して重なっている構成としてもよいものとする。
また、本実施形態の構成は、第1実施形態に加えて、第2実施形態〜第6実施形態のいずれに適用してもよいものとする。なお、第4実施形態のように、トレッド部18の他方側のみに軟質ゴム部23が配置される構成を有する実施形態においては、本発明の構成の適用は軟質ゴム部23のみとなる。
[第9実施形態]
次に、第9実施形態について説明する。図10に示すように、本実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤ100(以下、単にタイヤ100。)では、第1実施形態に比べ、トレッド端側のゴム構造が異なる。本実施形態では、低損失正接ゴム部28のタイヤ幅方向両端部がタイヤ幅方向両側に延びて少なくとも一部が軟質ゴム部22、23のタイヤ径方向内側に夫々隣接して重なり、軟質ゴム部22、23のタイヤセンター側がセンター側ゴム部26に隣接している。なお、図10では、軟質ゴム部22が設けられている側のトレッド端側を示している。
次に第9実施形態の作用について説明する。なお、第1実施形態で得られる作用と同様のものについてはその説明を省略する。
低損失正接ゴム部28のタイヤ幅方向の両端部がタイヤ幅方向両側に延びて少なくとも一部が軟質ゴム部22、23のタイヤ径方向内側に隣接して重なっていることから、軟質ゴム部22、23の発熱が大きくなっても、低損失正接ゴム部28が発熱量をコントロールして、トレッドショルダー部Sがブローすることを防止することができる。また、本実施形態は、第8実施形態と比べて、軟質ゴム部22、23と低損失正接ゴム部28との間にセンター側ゴム部26を介在させないことから、少ない入力でトレッド部18を発熱させることができるため、横グリップ性に優れる。
なお、本実施形態では、低損失正接ゴム部28のタイヤ幅方向両端部がタイヤ幅方向両側に延びて少なくとも一部が軟質ゴム部22、23のタイヤ径方向内側に隣接して重なっている構成としたが、本発明はこの構成に限定される必要はなく、低損失正接ゴム部28のタイヤ幅方向の片側の端部のみが軟質ゴム部22又は軟質ゴム部23のタイヤ径方向内側に隣接して重なっている構成としてもよいものとする。
また、本実施形態の構成は、第1実施形態に加えて、第2実施形態〜第6実施形態のいずれに適用してもよいものとする。なお、第4実施形態のように、トレッド部18の他方側のみに軟質ゴム部23が配置される構成を有する実施形態においては、本発明の構成の適用は軟質ゴム部23のみとなる。
[第10実施形態]
次に、第10実施形態について説明する。図11に示すように、本実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤ110では、第1実施形態に比べ、スパイラルベルト16の展開幅が異なる。本実施形態では、スパイラルベルト16の展開幅W3をトレッド展開幅Lの60%以上90%以下の範囲内に設定している。
次に第10実施形態の作用について説明する。なお、第1実施形態で得られる作用と同様のものについてはその説明を省略する。
スパイラルベルト16の展開幅W3がトレッド展開幅Lの90%を超えると、スパイラルベルト16が配置されない領域が狭すぎるため、交錯ベルト17が十分に伸びることができず、トレッドショルダー部Sの摩耗が改善されない。また、展開幅W3がトレッド展開幅Lの60%未満だと、スパイラルベルト16が配置されない領域が広すぎるため、配置されていない領域の交錯ベルト17が全体的に伸びてしまうため、トレッドショルダー部Sの摩耗が改善されない。これに対して、スパイラルベルト16の展開幅W3がトレッド展開幅Lの60%以上90%以下の範囲内であれば、スパイラルベルト16の配置されていない領域の交錯ベルト17が伸びて、トレッド部18の接地面との速度差が縮まりトレッドショルダー部Sにおける耐摩耗性が向上する。
また、本実施形態の構成は、第1実施形態に加えて、第2実施形態〜第9実施形態のいずれに適用してもよいものとする。
[その他の実施形態]
第1〜第9の実施形態では、カーカス14のタイヤ径方向外側にスパイラルベルト16又はスパイラルベルト16を配置する構成としたが、本発明はこの構成に限定されず、スパイラルベルト16を配置しない構成としてもよく、この場合には、交錯ベルト17のベルトプライ17A及びベルトプライ17Bの夫々のコードのタイヤ赤道面CLに対する角度を30度に設定することが好ましい。
また、第1〜第10の実施形態では、スパイラルベルト16のタイヤ径方向外側に交錯ベルト17を配置する構成としたが、本発明はこの構成に限定されず、交錯ベルト17を配置しない構成としてもよく、また、交錯ベルト17の代替として、複数本平行に並べられたコードを被覆ゴム中に埋設して形成されたベルトを、タイヤ赤道面CL上でのタイヤ赤道面CLに対するコードの角度が90度となるように1枚配置してもよいものとする。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
<試験例>
本発明の効果を確かめるために、本発明者は、本発明に係る二輪車用空気入りタイヤの8例(以下、実施例1〜8という)、比較のための二輪車用空気入りタイヤの2例(以下、比較例1、比較例2という)、及び、従来の二輪車用空気入りタイヤの一例(以下、従来例という)について、性能試験を行って性能を評価した。タイヤサイズは全て190/50ZR17である。
この試験に用いた各タイヤの基本構造は、第1実施形態のタイヤの基本構造と概ね同じであり、各タイヤの設定値は、ベルトプライ17Aの展開幅が250mm、ベルトプライ17Bの展開幅が230mm、トレッド部18の厚みが全て7mm(すなわちトレッド部18の平均厚みが7mm)、トレッド展開幅Lが240mm、センター側ゴム部26の100°CのショアA硬度M0が35(動的弾性率E’は1.42MPaに相当)に設定されている。また、低損失正接ゴム部28は、展開幅が140mm、厚み(タイヤ赤道面上)が3mm、100°CのショアA硬度が50(動的弾性率E’は2.60MPaに相当)に設定されている。
以下、本試験例で用いた各タイヤの仕様を説明する。なお、各タイヤの仕様をまとめたものを表1に示す。また、以下の説明で幅を示す数値は全て展開幅の数値を意味する。
Figure 2009051317
(従来例)
トレッド部18を形成するゴムが1種のみで該ゴムの100°CのショアA硬度が35に設定されているタイヤ。
(実施例1)
第1の実施形態のタイヤと同構造のタイヤ。軟質ゴム部22の100°CのショアA硬度M1が30(動的弾性率E’は1.16MPaに相当)、展開幅W1が40mm、厚みH1が4mmに設定され、軟質ゴム部23の100°CのショアA硬度M2が25(動的弾性率E’は0.92MPaに相当)、展開幅W2が40mm、厚みH2が4mmに設定され、スパイラルベルト16の展開幅W3が240mmに設定されている。また、軟質ゴム部22、23の配置形状が夫々図2とされている。
(実施例2)
第2の実施形態のタイヤと同構造のタイヤ。軟質ゴム部22の100°CのショアA硬度M1が30、展開幅W1が40mm、厚みH1が2mmに設定され、軟質ゴム部23の100°CのショアA硬度M2が30、展開幅W2が40mm、厚みH2が7mmに設定され、スパイラルベルト16の展開幅W3が240mmに設定されている。また、軟質ゴム部22の配置形状が図2、軟質ゴム部23の配置形状が図8とされている。
(実施例3)
第3の実施形態のタイヤと同構造のタイヤ。軟質ゴム部22の100°CのショアA硬度M1が30、展開幅W1が25mm、厚みH1が4mmに設定され、軟質ゴム部23の100°CのショアA硬度M2が30、展開幅W2が70mm、厚みH2が4mmに設定され、スパイラルベルト16の展開幅W3が240mmに設定されている。また、軟質ゴム部22、23の配置形状が夫々図2とされている。
(実施例4)
第4の実施形態のタイヤと同構造のタイヤ。軟質ゴム部23の100°CのショアA硬度M2が25、展開幅W2が40mm、厚みH2が4mmに設定され、スパイラルベルト16の展開幅W3が180mmに設定されている。また、軟質ゴム部23の配置形状が図2とされている。
(実施例5)
実施例3のタイヤのスパイラルベルト16の展開幅W3を180mmに設定したタイヤ。
(実施例6)
実施例1のタイヤの軟質ゴム部22、23の配置形状を夫々図7としたタイヤ。
(実施例7)
実施例1のタイヤの軟質ゴム部22の厚みH1を4mm、軟質ゴム部23の厚みH2を4mmに設定したタイヤ。また、軟質ゴム部22の配置形状が図9、軟質ゴム部23の配置形状が図10とされている。
(実施例8)
実施例7のタイヤの軟質ゴム部22の展開幅W1を25mm、軟質ゴム部23の展開幅W2を70mm、スパイラルベルト16の展開幅W3を180mmに設定したタイヤ。
(比較例1)
実施例1のタイヤの軟質ゴム部22の100°CのショアA硬度M1を25、軟質ゴム部23の100°CのショアA硬度M2を25に設定したタイヤ。
(比較例2)
従来例のタイヤのスパイラルベルト16の展開幅W3を180mmに設定したタイヤ。
(試験方法、及び、評価結果)
本試験例では、これらのタイヤを用い、以下の3種類の試験を行って各タイヤの性能を評価した。
(試験A)CA50度での横力測定による横グリップ性の評価
試験Aでは、試験機としては、直径3mのスチール製のドラムに、#40番の紙やすりを貼り付け、紙やすりを路面に見立てる。
また、各タイヤについて、リム幅6インチ、リム径17インチのホイールに組み、タイヤ内圧200kPaとした。そして、CA50度、荷重1500N、SA0度でドラムに押し付け、タイヤが100km/hで転動するようにドラムを回転させ、この状態における横力をタイヤの回転軸に取付けた3分力計から測定した。横力がキャンバースラストである。
横力を測定する際には、タイヤが回転し始めて5分後に計測した。このときタイヤは十分に温まり、トレッドショルダー部の温度は約100℃になっていた。
試験Aでは、従来例の横力を横力指数100とした。なお、従来例1の横力は1700Nであった。そして、他の各タイヤについて、従来例に対する相対評価となる横力指数を求めた。この指数を表1に併せて示す。表1では、横力指数が大きいほど横力が大きくて横グリップ性が良好であることを示す。
また、横力は、トレッドのタイヤ幅方向両端側について計測した。つまり、キャンバーは左右に50度倒して計測した。
(試験B)テストコースでの操縦安定性の評価
試験Bでは、テストコースで、熟練ライダーによる総合的な操縦安定性能の試験を実施した。準備したタイヤはリア用のタイヤであったため、リアのみのタイヤを交換して実車試験を行った。フロントのタイヤは常に従来のもので固定した。
この試験Bでは、1000ccのスポーツタイプの二輪車を準備して、テストコースで実車走行させ、車両を大きく倒した旋回時における操縦安定性(コーナリング性能)を中心に評価した。評価はライダーのフィーリングによる10点法での総合評価とした。旋回評価は、左右で行い、右旋回、左旋回で評点をつけてもらった。テストコースは左旋回が多いサーキット(図14参照)を用いた。評価結果を表1に併せて示す。表1では、点数(評点)が高いほど操縦安定性がよいことを示す。
また、試験Bでは、テストコース1周のラップタイムは、何れのタイヤでも約130秒ほどである。試験Bではこのテストコースを6周した。各タイヤについて、テストコースを6周したときのラップタイムの平均を表1に示す。ラップタイムの平均は低いほど好ましい。
また、サーキット1周のバンク角度(キャンバー角度)の使用頻度をグラフ化したのが図14である。縦軸は、1周の時間に対して、どれくらいの時間割合で使用しているのかを%で示したものである。このサーキットでは、図14からもわかるように、左の旋回コーナーが非常に多く、左のトレッドの使用頻度が高いことがわかる。
(試験C)摩耗量の評価
試験Bを行う前に、各タイヤの重量を予め測定した。タイヤの重量はリムから外して計測した値とした。
そして、試験Bでテストコースを6周した後にタイヤに付着したゴムかすや小石などの付着物を綺麗に取り除き、タイヤをリムから取り外して、タイヤの重量を測定した。このときに、タイヤをトレッドセンター部の赤道面で左右2つに切断して、右のタイヤの重量、左のタイヤの重量を計測した。新品時のタイヤ1本の重量から走行後のタイヤの重量を引くことにより、タイヤの左右の摩耗量が測定される。
新品時からの重量差が摩耗量として評価できる。テストコースにはコーナーが多かったため、摩耗はトレッドショルダー部で集中的に発生していた。つまり、求められたこの重量差が新品時からのトレッドショルダー部の摩耗量と考えることができる。
摩耗量の評価をするにあたり、従来例の右側(使用頻度が低い側)の摩耗量を指数100とし、他のタイヤについては、従来例に対する相対評価となる指数を求めた。評価結果を表1に併せて示す。表1では摩耗量の指数が低いほど耐摩耗性がよいことを示す。
(試験A〜Cからの考察)
以上の評価結果から本発明者は以下の考察を行った。
従来例、比較例1と実施例1とを比べる。従来例はトレッド部に軟質ゴム部が全く無い構成である。これに対して、比較例1は左右対称に軟質ゴム部22、23を配置した。左右に軟質ゴム部を配置することで、ドラムでの横力指数が向上し、サーキットにおいてもグリップ力が向上した。そしてラップタイムが短縮された。しかし、左側(使用頻度が高い側)の摩耗量が多く、周回の後半(6周の走行での5周目、6周目)において、左側のトレッドが摩耗したためにグリップ力が失われ、ラップタイムが低下するのが目立った。
これに対して、実施例1は、左側の軟質ゴム部(23)をやや硬めにしたものである。実施例1では、左側の旋回において、走行を重ねてもグリップが低下しにくくなった。そのため、ラップタイムが比較例1よりも速い。また、左側の摩耗量が比較例1よりも改善された。
実施例1は、従来例と比べると摩耗量が改善され、ラップタイムが2秒以上短縮された。
なお、レース用のタイヤは、非常に激しい入力条件で使われるため、走行中に横滑りしたり、エンジントルクで縦方向に滑ったりする。摩耗は、滑りが大きいと促進される特徴がある。そのため、軟質ゴム部を配置して、グリップ力を増すと、滑りが収まって摩耗が改善される場合がある。市販のタイヤの場合は、軟質ゴム部を配置すると、軟質ゴム部が摩滅しやすく、摩耗が進むのが一般的であるが、入力の厳しいサーキット走行においては逆の現象が見られる場合がある。今回、従来例に比べて、比較例1の摩耗性能が改善されたのはこの影響による。ただし、比較例1の左側は、入力に対してあまりにも軟質ゴム部が柔らかすぎたために、摩耗の改善量が少なかった。これに比べて、実施例1の左側の軟質ゴム部は、比較例1よりも硬めであるが、摩耗性能が改善されている。
実施例2は、タイヤ幅方向両側に同じ硬さ、同じ幅の軟質ゴム部を配置している。しかし、配置した軟質ゴム部の厚みが異なっている。右側は、トレッドショルダー部の全部の厚さに対して軟質ゴム部を配置した。左側は、2mmの厚さで踏面側にのみ、軟質ゴム部を配置している。
軟質ゴム部の厚みを変えることで、トレッド部の剛性を調整することができる。また、軟質ゴム部を厚く配置することで、使用頻度が低くても、すぐにトレッド部が発熱して、グリップを発生する適温にトレッド部が温められる。
実施例2は従来例1や比較例1よりも評点が高く、サーキットでのラップタイムも短縮した。また、摩耗については、特に左側の摩耗が改善された。
実施例3は、同じ硬さ、同じ厚さの軟質ゴム部を配置して、その幅を変更したものである。25mmの幅は、トレッド幅の10%に相当し、図12の領域Aの部分に相当する。70mmの幅はトレッド幅の29%に相当し、図12の領域A〜Cの全てを覆う幅である。このサーキットでは、右側の旋回が極端に少ないため、右側のトレッド部については、領域Cにまで軟質ゴム部を配置しても摩耗は問題にならなかった。むしろ、右側の軟質ゴム部を柔らかくしてグリップ力を増したために、右旋回においてタイヤの滑りが抑えられて、摩耗量は軟質ゴム部を配置したにもかかわらず改善された。左側の旋回は入力が厳しく、長時間使用するため、図12の領域Aの部分にだけ軟質ゴム部を配置した。左側についても、グリップ力が増して摩耗量が減少した。
実施例4は、左側は従来と同じとして、右側にだけ、軟質ゴム部を配置したものである。このようにすれば、製造工程が簡略化して容易になるメリットもある。また、実施例4は、スパイラルベルトの幅をトレッド展開幅の75%にあたる180mmにした。その結果、摩耗量が減少し、サーキットでのラップタイムも従来例に比べて速くなった。
比較例2は、従来例のスパイラルベルトの幅を180mmに変更したものであるが、比較例2と比べても、使用頻度の低い右側のトレッドゴムの表面に軟質ゴム部を配置した実施例4は、ラップタイムが短縮されている。これは、使用頻度の低い右側のグリップ力が、軟質ゴム部によって向上したからである。
実施例5は、実施例3のスパイラルベルトの幅を180mmにしたものである。
比較例2は従来例のスパイラルベルトの幅を180mmにしたものであるが、従来例に比べてラップタイムが1.5秒短縮している。これに対して、実施例5は従来例3に比べて、ラップタイムが2秒短縮しており、効果が大きい。また、摩耗量も、大幅な改善が確認された。
このように、軟質ゴム部を配置することと、スパイラルベルトの幅を180mmと狭くすることを組み合わせると、それぞれの要素を単一で使うよりも、大きな効果が得られる。
実施例5はラップタイムも非常に速く、摩耗量も極めて少ない。
実施例6は、軟質ゴム部が、摩耗するにしたがって徐々に広く露出するようにしたものである。実施例1は、軟質ゴム部が厚さ方向に同じ幅で配置されたものであるが、これらを比べると、実施例6の方が平均のラップタイムが速い。これは特に周回の後半で、グリップ力が維持できたからである。これによって、実施例6の摩耗量は、実施例1よりも少ない。
実施例7は、トレッドセンター部の内部の損失正接の小さい発熱しにくい低損失ゴム部がタイヤショルダー部まで達している構造である。このように、発熱しにくい低損失ゴム部を内部に配置することで、走行を重ねてもトレッドショルダー部の温度が上がりすぎることがなく、適温を保てる。そのため、周回の後半においても、安定したラップタイムを計測できた。その結果、6周の平均のラップタイムは速くなった。
実施例8は、これまでの実施例のよい部分を全て組み合わせた構成とした。左右の軟質ゴム部の硬さ、厚さ、幅を変更し、また、トレッドセンター部の発熱しにくい低損失ゴム部をトレッドショルダー部まで延長させた。その結果、ラップタイムは、従来例対比で、5秒7という大幅な向上を見せた。また摩耗量も大幅に低減した。
このように、本発明の構成を組み合わせることで、相乗的な効果が期待できる。
第1実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤのタイヤ径方向断面図である。 第1実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤのトレッド端側を示すタイヤ径方向部分断面図である。 第2実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤのタイヤ径方向断面図である。 第3実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤのタイヤ径方向断面図である。 第4実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤのタイヤ径方向断面図である。 第5実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤのタイヤ径方向断面図である。 第6実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤのトレッド端側を示すタイヤ径方向部分断面図である。 第7実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤのトレッド端側を示すタイヤ径方向部分断面図である。 第8実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤのトレッド端側を示すタイヤ径方向部分断面図である。 第9実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤのトレッド端側を示すタイヤ径方向部分断面図である。 第10実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤのタイヤ径方向断面図である。 二輪車用空気入りタイヤの接地について説明する説明図である。 二輪車用空気入りタイヤの接地で、別の接地面形状を示す説明図である。 試験に用いるサーキットの各CAの使用頻度を示す図である。
符号の説明
10 タイヤ(二輪車用空気入りタイヤ)
14 カーカス
16 スパイラルベルト
18 トレッド部
22 軟質ゴム部
23 軟質ゴム部
26 センター側ゴム部
28 低損失正接ゴム部
30 タイヤ(二輪車用空気入りタイヤ)
40 タイヤ(二輪車用空気入りタイヤ)
50 タイヤ(二輪車用空気入りタイヤ)
60 タイヤ(二輪車用空気入りタイヤ)
70 タイヤ(二輪車用空気入りタイヤ)
80 タイヤ(二輪車用空気入りタイヤ)
90 タイヤ(二輪車用空気入りタイヤ)
100 タイヤ(二輪車用空気入りタイヤ)
110 タイヤ(二輪車用空気入りタイヤ)
L トレッド展開幅
T トレッド端
W1 展開幅(一方の軟質ゴム部の展開幅)
W2 展開幅(他方の軟質ゴム部の展開幅)
W3 展開幅(スパイラルベルトの展開幅)
H1 厚み(一方の軟質ゴム部の厚み)
H2 厚み(一方の軟質ゴム部の厚み)
M1 ショアA硬度(一方の軟質ゴム部のショアA硬度)
M2 ショアA硬度(他方の軟質ゴム部のショアA硬度)

Claims (9)

  1. 少なくとも1枚のカーカスと、前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置された少なくとも1枚のベルトと、前記ベルトのタイヤ径方向外側に配置されたトレッド部と、を備えた二輪車用空気入りタイヤであって、
    前記トレッド部のタイヤ幅方向両側の少なくとも踏面側には、トレッド端からの展開幅がトレッド展開幅の5〜30%の範囲内で且つ、タイヤセンター側に隣接するセンター側ゴム部に比べてショアA硬度が低い軟質ゴム部が形成され、
    一方の軟質ゴム部は他方の軟質ゴム部と比べてショアA硬度、厚み、及び展開幅のうちの少なくとも一つが異なることを特徴とする二輪車用空気入りタイヤ。
  2. 少なくとも1枚のカーカスと、前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置された少なくとも1枚のベルトと、前記ベルトのタイヤ径方向外側に配置されたトレッド部と、を備えた二輪車用空気入りタイヤであって、
    前記トレッド部のタイヤ幅方向片側のみに、トレッド端からの展開幅がトレッド展開幅の5〜30%の範囲内で且つ、タイヤセンター側に隣接するセンター側ゴム部に比べてショアA硬度が低い軟質ゴム部が少なくとも踏面側に形成されることを特徴とする二輪車用空気入りタイヤ。
  3. 前記軟質ゴム部の展開幅が、トレッド踏面からタイヤ径方向内側に向かって徐々に広がっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  4. 前記軟質ゴム部の厚みが、前記トレッド部の平均厚みの20%以上100%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  5. 前記トレッド部のトレッドセンター部の少なくとも一部が、2種以上のゴム層を積層して形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  6. 前記センター側ゴム部が前記トレッドセンター部の最外層のゴム層を形成していることを特徴とする請求項5に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  7. 前記トレッドセンター部の最内層のゴム層が、前記軟質ゴム部の少なくとも一部に重なるまでタイヤ幅方向に延びていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  8. 前記少なくとも1枚のベルトとして、タイヤ赤道方向に対して5度以下のコード角度をなすスパイラルベルトを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  9. 前記スパイラルベルトの展開幅がトレッド展開幅の60%以上90%以下の範囲内であることを特徴とする請求項8に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
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