JP2008198783A - 電界効果トランジスタ - Google Patents
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Abstract
【課題】ノーマリーオフ動作をする半導体装置であって、ゲート電極直下の電子供給層の厚さばらつきが少なく、ゲートの閾値ON電圧のばらつきが少ない電界効果トランジスタを提供する。
【解決手段】GaNからなる電子走行層(13)と該電子走行層(13)よりバンドギャップが実質的に大きい電子供給層(15)とを有する電界効果トランジスタであって、ゲート電極(18)直下部分の電子供給層の厚さは、それ以外の部分の電子供給層の厚さより薄く、かつ、該電子供給層(15)の少なくとも一部は、BN層、InN層、GaN層およびAlN層からなる群から選択された少なくとも2種の層を交互に積層した多層構造を有する電界効果トランジスタ。
【選択図】図1
【解決手段】GaNからなる電子走行層(13)と該電子走行層(13)よりバンドギャップが実質的に大きい電子供給層(15)とを有する電界効果トランジスタであって、ゲート電極(18)直下部分の電子供給層の厚さは、それ以外の部分の電子供給層の厚さより薄く、かつ、該電子供給層(15)の少なくとも一部は、BN層、InN層、GaN層およびAlN層からなる群から選択された少なくとも2種の層を交互に積層した多層構造を有する電界効果トランジスタ。
【選択図】図1
Description
本発明は、電界効果トランジスタに関し、特には、ゲート電極に電圧を印加しない状態ではソース電極とドレイン電極との間に電流が流れない、いわゆるノーマリーオフ動作する電界効果トランジスタ(Field−Effect Transistor、FET)に関する。
GaN、InGaN、AlGaN、AlInGaNなどの窒化物系化合物半導体材料は、GaAs系の材料に比べてそのバンドギャップエネルギーが大きいため、これを用いた電子デバイスは耐熱温度が高く、高温動作に優れている。特にGaNを用いたFET等の電子デバイスを電源デバイスとして応用することが期待されている。
FETを電源デバイスとして用いることを考えた場合、既存の回路構成でコンバータやインバータといった電源回路を実現しようとするためにはFETはノーマリーオフの特性を示すことが必要とされる。
図7は、従来のGaN系化合物半導体のヘテロ接合を用い、高移動度電子層を形成して電子走行層72としたFETの構造を示す概略断面図である。図7(a)に示されるように、このFETは、サファイア基板70の上に、GaNからなるバッファ層71、アンドープGaNからなる電子走行層72、および該電子走行層72に比べて薄いアンドープAlGaNからなる電子供給層74を順次積層してなる層構造(ヘテロ接合構造)を有している。また、電子供給層74と電子走行層72の格子定数の違いで発生する歪と、電子供給層74の自発分極により、電子走行層72内部の電子供給層74近傍に高濃度の移動度の大きい2次元電子ガス(2DEG)の層73が形成され、その結果、ON抵抗(電流が流れるときの素子の抵抗)の低いFETが実現される。このように電子走行層に2DEGを用いたものを、以下、HFET(Heterojunction FET)と呼ぶことにする。なお、コンタクト層75は、ソース電極76およびドレイン電極77とのオーミックコンタクトが取り易いようにキャリア濃度を高くした層である。
電子供給層は、電子走行層内部に2次元電子ガス(2DEG)層が十分形成できるだけの応力を加えるとともに、分極を発生する層であり、通常、電子走行層と格子定数が異なっている層を一定の厚さ以上に形成することにより応力を加える。また、電子供給層には、分極が発生する結晶性材料が用いられる。単位厚さあたりの応力の大きさは、電子走行層と電子供給層との格子定数の差によって異なるが、模式的には、図8に示されるように、電子供給層がある厚さを越えると電子走行層に2DEGが発生し、ソース−ドレイン間のON抵抗が急激に低くなる。この厚さを閾値厚(Tth)と呼ぶ。電子供給層の厚さを厚くしすぎると、応力により電子走行層の結晶が壊れてしまうため、2DEGは消失してしまう。したがって、通常、電子供給層がGa0.75Al0.25Nであり、電子走行層がGaNである場合、電子供給層の厚さは20nm程度とされる。
電子供給層がTthより厚く形成されると、ゲート電極に電圧を加えない状態ではソース電極とドレイン電極間に電流が流れ続けるいわゆるノーマリーオン動作をし、ゲート電極に電圧を加えない状態ではソース電極とドレイン電極間に電流が流れないノーマリーオフ動作は実現できない。ノーマリーオン動作ではHFETを電子機器のスィッチング素子等に用いる場合、停電・断線といった非常時に機器のスィッチを遮断できないので安全性に問題がある。
ここで、HFETでノーマリーオフ動作を実現する方法としては、たとえば図7(b)に示されるように、電子供給層74の、ゲート電極78が形成される部分に深いエッチング溝79を形成し、ゲート電極78が形成される部分における電子供給層74aの厚さを他の部分より十分薄くする(リセスエッチング)方法が知られている(たとえば、特許文献1、2参照)。
リセスエッチングによりノーマリーオフ動作が実現できる理由は、次のとおりである。電子供給層74を薄くすることで分極が小さくなり、ピンチオフ電圧VTが上昇する。そのため、ゲート電極78に電圧を加えていない状態においては、ゲート電極部分で移動度の大きい2次元電子ガス層33が消失して空乏化し、ソース−ドレイン間の抵抗が高くなる。すなわち、ソース−ドレイン間が電気的にオフ状態となる。リセスエッチングを行なう際、電子供給層74を薄くしすぎるとON電圧が高くなりすぎるため、ゲート電極形成部分の電子供給層74aの厚さは精密に制御されなければならない。
特開2000−277724号公報
特開2005−183733号公報
上記のように、ノーマリーオフ動作をするHFETを実現するためには、ゲート電極形成部分の電子供給層の厚さを制御性よく薄くすることが必要である。しかし、従来より当該電子供給層の薄層化に用いられているドライエッチング法は、エッチング速度が遅く、比較的均一にエッチングすることができる方法ではあるものの、数十nmと、非常に薄い電子供給層を制御性よく、かつ均一に削るには十分ではなかった。このため、製造する毎に閾値ON電圧(スレッシュ電圧:Vth)がばらつく、ウェハの場所によって閾値ON電圧がばらつくといった問題が発生していた。また、エッチング溝を深くするとエッチング時間が長くなり、エッチング速度の不均一性によりエッチング後の電子供給層表面の凹凸が大きくなる。そのため、ゲート電極の密着性が悪くなるという問題もあった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ノーマリーオフ動作をする電界効果トランジスタであって、ゲート電極直下の電子供給層の厚さばらつきが少なく、ゲートの閾値ON電圧のばらつきが少ない電界効果トランジスタを提供することである。
本発明は、電子供給層の一部あるいは全部を、結晶組成の異なる、したがって、エッチング速度の異なる2種類以上の層を交互に積層させた多層構造とすることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。
本発明は、GaNからなる電子走行層と該電子走行層よりバンドギャップが実質的に大きい電子供給層とを有する電界効果トランジスタであって、ゲート電極直下部分の電子供給層の厚さは、それ以外の部分の電子供給層の厚さより薄く、かつ、該電子供給層の少なくとも一部は、BN層、InN層、GaN層およびAlN層からなる群から選択された少なくとも2種の層を交互に積層した多層構造を有する電界効果トランジスタである。
ここで、電子供給層は、さらにAlxGa1-xN層(0≦x≦1)を含んでいてもよい。この場合、当該AlxGa1-xN層は、上記電子走行層に接して形成することが好ましい。
ゲート電極直下の層は、実質的にAlを含有しない層であることが好ましい。
本発明によれば、ゲート電極部直下の電子供給層の厚さバラツキが少なく、ゲートの閾値ON電圧のばらつきが少ない、ノーマリーオフ動作する電界効果トランジスタが提供される。
以下、実施の形態を示して本発明を詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の電界効果トランジスタの好ましい一例を示す概略断面図である。図1に示されるHFETは、シリコン基板11の上に、ノンドープGaNからなるバッファ層12、アンドープGaNからなる電子走行層13、および電子供給層15を順次積層してなる層構造を有している。また、電子供給層15と電子走行層13の格子定数の違いで発生する歪と、電子供給層15の自発分極により、電子走行層13内部の電子供給層15近傍に高濃度の2次元電子ガス(2DEG)層14が形成され、その結果、ON抵抗(電流が流れるときの素子の抵抗)の低いHFETが実現される。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の電界効果トランジスタの好ましい一例を示す概略断面図である。図1に示されるHFETは、シリコン基板11の上に、ノンドープGaNからなるバッファ層12、アンドープGaNからなる電子走行層13、および電子供給層15を順次積層してなる層構造を有している。また、電子供給層15と電子走行層13の格子定数の違いで発生する歪と、電子供給層15の自発分極により、電子走行層13内部の電子供給層15近傍に高濃度の2次元電子ガス(2DEG)層14が形成され、その結果、ON抵抗(電流が流れるときの素子の抵抗)の低いHFETが実現される。
また、電子供給層15上にはソース電極16およびドレイン電極17が形成され、さらにリセスエッチングにより形成された電子供給層15の凹部を完全に埋め、かつ電子供給層15の表面の一部に広がるようにゲート電極18が設けられている。そして、このようなリセスエッチングにより、ノーマリーオフ動作が実現されている。ゲート電極18を、該凹部を完全に塞ぎ、かつ電子供給層15の表面の一部に広がるように形成することにより、リセスエッチングにより形成する凹部の幅を狭くすることができるので、ゲート電極18下部の抵抗の増加を抑制することができるとともに、電子供給層15の表面に広がるように形成することによって、電界をゲート端に集中させ、ドレイン−ゲート間の電界を緩和することができる。
ここで、図1には示されていないが、電子供給層15は、結晶組成の異なる2種の層を交互に積層した多層構造からなっており、具体的には図2に示されるように、結晶組成の異なるGaN層21とAlN層22とを交互に積層した構造を有する。さらに具体的には、電子走行層13に接する層がAlN層22であり、この上にGaN層21、AlN層22を順次形成してなり、その最表面(電極形成面)は、GaN層21である。なお、積層される層の積層数は、図2に示される数に限定されるものではない。このようなGaN層21とAlN層22とを交互に積層した多層構造からなる電子供給層を、結晶組成によりエッチング速度の異なるエッチングガスを用いてドライエッチングすることにより、たとえエッチング速度がウェハ面内で不均一となっても、あるいはウェハを代えてエッチングする場合であっても、リセスエッチングされる部分の電子供給層の厚さバラツキを低減することが可能となる。また、リセスエッチングにより形成される凹部における電子供給層の表面が均一あるいは略均一であるため、ゲート電極の密着性を向上させることができる。さらに、電子供給層の最表面を、Alを含有しないGaN層としたことにより、酸化性の高いAlを含む層とする場合と比較して、電極との界面準位の低減を図ることができ、電極との密着性を高めることができる。
本実施形態において、電子供給層を構成するGaN層21およびAlN層22の厚さは、ノーマリーオフ動作を実現するために、図8を参照して説明した閾値厚(Tth)を超えないことが必要であり、具体的には、それぞれ2.5nm、1.25nmである。GaN層21、AlN層22は、それぞれ図3(a)、図3(b)のような結晶構造を有しており、いずれも、層の厚さ方向から見ると、III族原子(Ga原子31またはAl原子34)のみから構成される面(A面)と、V族原子(N原子32)のみから構成される面(B面)とが交互に現れる。一つのA面から次のA面まで(一つのB面から次のB面まででも同じ)を1原子層と呼び、その厚さはGaN、AlNともにおよそ0.25nmである。したがって、本実施形態に係る電子供給層(図1における電子供給層15)は、GaN層21、AlN層22をそれぞれ10原子層、5原子層の厚さとし、これらを交互に積層して(ただし、上述のように電子走行層に接して形成されるのはAlN層)、多層構造としたものである。
電子供給層全体の厚さは、2次元電子ガス(2DEG)層のキャリア濃度が5×1012〜15×1012/cm2が得られる厚さを選択することが好ましく、本実施形態においては、30nmである。すなわち、1組のAlN層およびGaN層を8組積層させた構成である。上述のように、電子供給層が厚すぎると、応力によって電子走行層の結晶が破壊されるため、2DEG層が消失する可能性があるが、本実施形態の電子供給層においては、このような現象はなく、低ON抵抗のHFETが実現されている。これは、各GaN層、AlN層の厚さが十分に薄く、応力の大きさが、これら各層を平均化した組成を有するAlGaN層からなる電子供給層の場合とほぼ同等であるためと考えられる。
また、本実施形態において、リセスエッチングにより形成された凹部の下部に残存した電子供給層の厚さは、7.5nmである。すなわち、2組のAlN層およびGaN層が残存している。このような構成により、ゲート部に形成するショットキー電極の電界により電子走行層の電子が追い出され、ゲート電圧がOFF状態でドレイン−ソース間に電流が流れない、いわゆるノーマリーオフが実現でき、かつ閾値電圧のばらつきの小さいHFETが実現できる。
次に、図4を参照して、図1のHFETの製造方法の一例について説明する。図4は、図1のHFETの製造方法の一例を示す概略工程図であり、製造途中におけるHFETの概略断面図である。まず、従来公知の方法を用いて、シリコン基板11上に、ノンドープGaNからなるバッファ層12、アンドープGaNからなる電子走行層13、および電子供給層15を順次積層する(図4(a))。ここで、電子供給層15は、AlN層とGaN層とを交互に合計8組積層させたものである。次に、図示されていないが、電子供給層15の最表面であるGaN層上に、ソース電極16およびドレイン電極17を形成する。これらのオーミック電極は、たとえば、GaN層側からTi/Al/Ti/Au、またはHf/Al/Hf/Auを順に積層して形成することができる。
次に、ゲート電極18を形成する部分の電子供給層をICP法等のドライエッチング法を用いてエッチングし、凹部19を形成する(図4(b))。エッチングには、ICPエッチング装置を用い、エッチングガスにはSiCl4とCl2との混合ガスを用いることができる。まず、GaN層のエッチングレート>AlN層のエッチングレートとなる条件である、ICPパワー500W、DCバイアス−150Vの条件で、最表面のGaN層のエッチング行ない、次にGaN層のエッチングレート<AlN層のエッチングレートとなる条件である、ICPパワー1000W、DCバイアス−30Vの条件で、露出したAlN層のエッチングを行なう。この2つの条件によるエッチングを交互に繰り返してAlN層とGaN層とを順次選択的にエッチングすることにより、計6組のGaN層およびAlN層を除去し、2組を残存させた。
その後、形成された凹部19に金属膜を順次形成して、ショットキー特性を有するゲート電極18を形成し、図1に示されるHFET素子が完成する。
たとえば以上のようにして作製された、本実施形態のHFETは、良好なノーマリーオフ動作を再現性よく行なう。また、2mΩcm2という、低いON抵抗を有するものであった。さらに、本実施形態のHFETの閾値ON電圧は、0.3±0.01Vであり、閾値ON電圧のバラツキが非常に小さい。なお、ON抵抗および閾値ON電圧のバラツキは、次のようにして測定したものである。
ON抵抗:半導体パラメータアナライザを用い、ゲート電圧Vg 2Vにてソース−ドレイン間の電圧Vds 1V時の電流値Idsを測定し、以下の式よりON抵抗を算出した。
ON抵抗=Vds/Ids×デバイス面積
閾値ON電圧のバラツキ:ソース−ドレイン間の電圧Vds 5Vで、ゲート電圧Vgを変化させ、Idsが10μAとなるゲート電圧を測定した。
ON抵抗:半導体パラメータアナライザを用い、ゲート電圧Vg 2Vにてソース−ドレイン間の電圧Vds 1V時の電流値Idsを測定し、以下の式よりON抵抗を算出した。
ON抵抗=Vds/Ids×デバイス面積
閾値ON電圧のバラツキ:ソース−ドレイン間の電圧Vds 5Vで、ゲート電圧Vgを変化させ、Idsが10μAとなるゲート電圧を測定した。
ここで、上記第1の実施形態は、本発明の目的を害しない範囲において、たとえば以下のような変形が可能である。まず、上記第1の実施形態では、電子供給層をAlN層とGaN層とを交互に積層した多層構造としたが、基板とほぼ格子整合し、良好な結晶薄膜(層)が形成できる材料からなり、かつ結晶組成が異なっており、これによりエッチング速度が異なる2種以上の層からなる多層構造であればよい。具体的には、BN層、InN層、GaN層およびAlN層からなる群から選択された2種以上の層を挙げることができ、2種類の層の組み合わせとしては、たとえばAlN層とGaN層のほか、AlN層とInN層、GaN層とInN層などを挙げることができる。また、3種類の層の組み合わせとしては、たとえば、GaN/AlN/InNなどを挙げることができる。この中でも、AlN層とGaN層との組み合わせ、GaN/AlN/InNの組み合わせは、GaNとの格子定数が近接しているため好ましい。
電子供給層は、上記してきた、たとえばAlN層とGaN層との多層構造のほか、xが異なる2種類以上のAlxGa1-xN層(0≦x≦1)を積層した多層構造であってもよい。多層構造を構成する2種以上の層は、構成原子が全く異なる、たとえばGaN、AlN、InNのような2種類の原子からなる二元混晶の組み合わせを用いた方が、構成する原子が同じでその組成(割合)が異なる層の組み合わせを用いる場合と比較して、エッチング速度に差がでやすいため好ましい。
電子供給層全体の厚さは、第1の実施形態における30nmに限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。全体の厚さが20〜40nm程度であれば、1〜3mΩcm2程度の良好なON抵抗を得ることができる。第1の実施形態における電子供給層を構成するGaN層およびAlN層の厚さ、ならびに積層させる組数も上記値に限定されるものではない。GaN層およびAlN層は、それぞれ独立して、たとえば1〜10原子層とすることができる。GaN層およびAlN層をより薄くすることにより、リセスエッチングされる部分の電子供給層の厚さのバラツキをより精密に制御することが可能となる。また、積層させる組数(1のAlN層と1のGaN層とを1組とする)は、たとえば4〜80組とすることができるが、上述のように、電子供給層全体の厚さが20〜40nmとなるようにすることが好ましい。
ドライエッチング後の、電子供給層を構成するAlN層およびGaN層の残存組数についても特に制限されるものではないが、積層組数4〜80組に対し、残存組数は2〜40組であることが好ましい。残存組数が1組であると、GaN、AlNそれぞれの特性が顕在化する。また、残存組数が41組以上であると、結晶欠陥により特性が劣化する傾向にある。
また、リセスエッチングにより形成される凹部の幅は特に制限されるものではないが、たとえば、ソース−ドレイン間のリーク電流を抑えるために0.5μm以上とすることが好ましい。また、デバイスサイズを小さくするという観点からは、3μm以下とすることが好ましく、より好ましくは1μm以下である。
GaN層、AlN層の厚さの比を変えれば電子供給層の平均的な組成を変えることができ、したがって分極の大きさを変えることができる。たとえば、AlN層の厚さをGaN層より厚くすることにより、Alの組成が大きくなって、分極も応力も大きくなるので電子供給層全体の厚さを薄くすることができ、工程が短くなるという利点がある。AlN層を厚くする場合においても、ゲート電極を形成する最表面を、Alを含有しないGaN層とすれば、酸化による電極のはがれという問題は生じない。
リセスエッチングにより形成される凹部にゲート電極を形成する際、ゲート電極は直接形成してもよく、あるいは、SiO2、Ta2O5、NbOなどの誘電体膜を形成した後、その上にゲート電極を形成するようにしてもよい。また、ゲート電極は、上記第1の実施形態のように、凹部を塞ぎ、電子供給層の表面上に広がるように形成してもよいし、図7に示されるように、凹部の中に完全に入り込むように形成してもよい。
さらに、基板は、シリコンのほか、SiC、サファイア等を使用できることはいうまでもない。以上に述べた変形例は、以下に示す他の実施形態においても適用し得るものである。
<第2の実施形態>
図5は、本発明の電界効果トランジスタの別の好ましい一例を示す概略断面図である。図5に示される高電子移動度トランジスタ(HFET)は、電子供給層が上記第1の実施形態と同様のAlN層とGaN層とを交互に積層した多層構造55と、AlxGa1-xN層(0≦x≦1)59とから構成されること以外は、第1の実施形態のHFETと同様の構造を有する。このような構成とすることにより、AlNとGaNの混晶となり、膜厚方向に均一なバンドギャップとなるため、電子供給層の分極の大きさがより適当な値となり、ノーマリーオフ特性が得られやすいという利点がある。
図5は、本発明の電界効果トランジスタの別の好ましい一例を示す概略断面図である。図5に示される高電子移動度トランジスタ(HFET)は、電子供給層が上記第1の実施形態と同様のAlN層とGaN層とを交互に積層した多層構造55と、AlxGa1-xN層(0≦x≦1)59とから構成されること以外は、第1の実施形態のHFETと同様の構造を有する。このような構成とすることにより、AlNとGaNの混晶となり、膜厚方向に均一なバンドギャップとなるため、電子供給層の分極の大きさがより適当な値となり、ノーマリーオフ特性が得られやすいという利点がある。
本実施形態において、電子供給層の一部であるAlxGa1-xN層(0≦x≦1)59の厚さは、7.5nmである。また、電子供給層の一部である多層構造55を構成するGaN層およびAlN層の厚さは、それぞれ2.5nm、1.25nm、すなわち、それぞれ、10原子層、5原子層の厚さである。多層構造55は、1のAlN層および1のGaN層を1組として、5組積層させた構造を有し、多層構造55全体として、20nmの厚さを有する。したがって、電子供給層全体の厚さは、30nmとなる。
次に、図6を参照して、図5のHFETの製造方法の一例について説明する。図6は、図5のHFETの製造方法の一例を示す概略工程図であり、製造途中におけるHFETの概略断面図である。まず、従来公知の方法を用いて、シリコン基板51上に、AlN、GaNからなるバッファ層52、アンドープGaNからなる電子走行層53を順次積層する。次に、その上にAlxGa1-xN層(0≦x≦1)59を形成した後、GaN層およびAlN層を交互に積層して多層構造55を形成する(図6(a))。
次に、ソース電極56およびドレイン電極57を多層構造55上に形成した後(図6において図示せず)、第1の実施形態の場合と同様にして、ゲート電極を形成する部分について、多層構造55のAlN層およびGaN層をすべてドライエッチングして、凹部60を形成し、AlxGa1-xN層(0≦x≦1)59を露出させる(図6(b))。最後に、該凹部60にゲート電極58を形成して、図5に示されるHFETを得る。
本実施形態のHFETは、良好なノーマリーオフ動作を再現性よく行なう。また、2mΩcm2という、低いON抵抗を有するものであった。さらに、本実施形態のHFETの閾値ON電圧は、0.3±0.01Vであり、閾値ON電圧のバラツキが非常に小さい。
ここで、上記第2の実施形態は、本発明の目的を害しない範囲において、たとえば以下のような変形が可能である。まず、AlxGa1-xN層(0≦x≦1)59の厚さは、上記値に限られるものではなく、5〜15nm程度とすることができる。AlxGa1-xN層(0≦x≦1)59の厚さがこの範囲内である場合には、ノーマリーオフ化が可能である。また、AlxGa1-xN層(0≦x≦1)59の厚さを調整することにより、閾値が変えることが可能である。
多層構造55を構成するGaN層およびAlN層の各層は、上記第1の実施形態と同様に、1〜10原子層程度とすることができる。また、1のGaN層および1のAlN層を1組として、2〜40組積層させて、多層構造55全体の厚さを10〜20nm程度とすることができる。電子供給層全体の厚さは、第2の実施形態における30nmに限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。全体の厚さが20〜40nm程度であれば、1〜3mΩcm2程度の良好なON抵抗を得ることができる。
ドライエッチング後の、電子供給層を構成するAlN層およびGaN層の残存組数についても特に制限されるものではないが、多層構造55の積層組数2〜40組に対し、残存組数を0〜39組とすることができる。すなわち、第2の実施形態のように、ゲート電極形成部のAlN層およびGaN層をすべてエッチングしてもよいし、多層構造が残るようにエッチングしてもよい。さらには、AlN層およびGaN層をすべてエッチングした上で、さらにAlxGa1-xN層(0≦x≦1)59がエッチングされた構造としてもよい。
多層構造55とAlxGa1-xN層(0≦x≦1)59との積層順序を逆にすることもできる。すなわち、多層構造55が電子走行層53に接するように電子供給層を構成してもよい。このような構成によっても、リセスエッチング後に残存する電子供給層の厚さバラツキを精密に制御することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
11,51 シリコン基板、12,52 バッファ層、13,53 電子走行層、14,54 2次元電子ガス(2DEG)層、15 電子供給層、16,56 ソース電極、17,57 ドレイン電極、18,58 ゲート電極、19,60 凹部、21 GaN層、22 AlN層、31 Ga原子、32 N原子、33 GaN(1層分)、34 Al原子、35 AlN(1層分)、55 多層構造、59 AlxGa1-xN層(0≦x≦1)。
Claims (4)
- GaNからなる電子走行層と該電子走行層よりバンドギャップが実質的に大きい電子供給層とを有する電界効果トランジスタであって、
ゲート電極直下部分の前記電子供給層の厚さは、それ以外の部分の前記電子供給層の厚さより薄く、かつ、
前記電子供給層の少なくとも一部は、BN層、InN層、GaN層およびAlN層からなる群から選択された少なくとも2種の層を交互に積層した多層構造を有する、電界効果トランジスタ。 - 前記電子供給層は、さらにAlxGa1-xN層(0≦x≦1)を含む、請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
- 前記AlxGa1-xN層は、前記電子走行層に接して形成される、請求項2に記載の電界効果トランジスタ。
- ゲート電極直下の層は、実質的にAlを含有しない層である、請求項1〜3のいずれかに記載の電界効果トランジスタ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007032213A JP2008198783A (ja) | 2007-02-13 | 2007-02-13 | 電界効果トランジスタ |
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2007
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