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JP2008078186A - 窒化物系化合物半導体の結晶成長方法 - Google Patents

窒化物系化合物半導体の結晶成長方法 Download PDF

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JP2008078186A JP2006252578A JP2006252578A JP2008078186A JP 2008078186 A JP2008078186 A JP 2008078186A JP 2006252578 A JP2006252578 A JP 2006252578A JP 2006252578 A JP2006252578 A JP 2006252578A JP 2008078186 A JP2008078186 A JP 2008078186A
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Ko Kurihara
香 栗原
Hideyoshi Horie
秀善 堀江
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Abstract

【課題】バルク全体にわたってp型窒化物系化合物半導体結晶の低抵抗化が可能で、しかも欠陥レベルの低い、高品質の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法を提供すること。
【解決手段】窒素原料ガスとしてアンモニアと有機窒素化合物とを含有するガスが供給され、窒化物系化合物半導体膜がエピタキシャル成長される。この窒化物系化合物半導体の単一の膜の成膜プロセス中に、窒素原料ガス中のアンモニアと有機窒素化合物のモル流量を制御して、有機窒素化合物(xモル)とアンモニアの(yモル)の供給モル比(R=x/(x+y))を変化させる。成膜は主として供給モル比が小さな領域で行い、供給モル比が大きい領域では膜中に混入した水素が外方拡散により脱離する。また、窒化物系化合物半導体膜が所望の厚みとなるまで、上記の成膜工程と成膜中アニール工程を複数回繰り返す。
【選択図】図3

Description

本発明は窒化物系化合物半導体の結晶成長方法に関し、より詳細には、窒素をV族元素として含むIII−V族化合物半導体薄膜結晶のエピタキシャル成長技術に関する。
青色発光素子と蛍光体との組み合わせにより白色光源とすることができ、このような白色光源は、液晶ディスプレイなどのバックライト、発光ダイオード(LED)イルミネーション、自動車用照明、あるいは蛍光灯に替わる一般照明などとしての応用が盛んに研究されてきており、その一部は既に実用化されている。現在では、このような青色発光素子は主として、有機金属気相成長法(MOCVD法)や分子線エピタキシー法(MBE法)などの手法により窒化ガリウム系半導体結晶の薄膜を成長させることにより作製される。
図1は、MOCVD法で窒化ガリウム系半導体薄膜を積層成長させて青色LEDを作製する一般的な結晶成長プロセス例を説明するための図である。この図に示した例では基板としてサファイアが用いられており、先ず、サファイア基板101を結晶成長用の反応炉内のサセプタに載置して炉内に水素ガスを供給し、1000℃程度もしくはそれ以上の温度(この図では1060℃)で所定の時間保持して基板表面を清浄化(サーマルクリーニング)する(図1(A))。
この処理の後、基板温度を550℃程度の比較的低温の領域まで一旦下げ、基板温度を充分に安定させた状態で炉内に結晶成長用のガスを供給させていわゆる低温バッファ層102を形成する。ここで用いられる結晶成長用ガスは、例えば、ガリウム供給源であるトリメチルガリウム(TMG)と窒素供給源であるアンモニア(NH3)であり、これらの原料ガスが水素ガスをキャリヤガスとして供給され、GaNのバッファ層102が得られる(図1(B))。
このバッファ層102の形成後、基板温度を再び1000℃程度の高温領域まで上げ、基板温度が充分に安定した後に、トリメチルガリウム(TMG)とアンモニア(NH3)を水素ガスをキャリヤガスとして供給してi型GaN層103を成膜する。そして、上記供給ガス中にGaN結晶中でn型ドーパントとなるSiの供給源であるモノシランガス(SiH4)を所定の流量だけ混入させて結晶成長を継続させて、上記i型GaN層103の上にn型GaN層104を成膜する(図1(C))。
次に、基板温度を中間領域(この図では750℃)まで下げて基板温度が充分に安定した後に、この成長温度でInGaNの量子井戸層とGaNの障壁層を交互に複数層積層させたInGaN/GaN多重量子井戸発光層105を形成する(図1(D))。ここで、GaNの障壁層の成長はトリメチルガリウム(TMG)とアンモニア(NH3)を水素をキャリヤガスとして供給することで行われ、InGaNの量子井戸層の成長は上記ガスにさらに所定流量のトリメチルインジウム(TMI)を混入させて実行される。
続いて、基板温度を1000℃付近の高温領域まで再度上げ、水素をキャリヤガスとして、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、アンモニア(NH3)、およびp型ドーパントとなるMgの供給源であるシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を供給してMgドープのp型AlGaN層106を形成し(図1(E))、さらに、上記供給ガスのうちのトリメチルアルミニウム(TMA)の供給を断ってMgドープのp型GaN層107を形成する(図1(F))。なお、p型ドーパントはMgに変えてZnやBeとする場合もある。
ところで、p型窒化物系化合物半導体結晶中のアクセプタ(上述例ではMg)に水素が結合すると、アクセプタが電気的に不活性化されることが知られている。このため、p型の窒化物系化合物半導体結晶を、水素を含む雰囲気で結晶成長させたり、水素ガス中あるいは水素を生成するガス中で熱処理したような場合には、そのp型窒化物系化合物半導体結晶は高抵抗化してしまう。このため、結晶成長に水素ガスを使用するMOCVD等の成膜方法では、低抵抗のp型窒化物系化合物半導体結晶をas−grown(熱処理等の特別な成膜後処理を行わない)の状態で得ることは容易ではない。
そこで、低抵抗のp型窒化物系化合物半導体結晶を得る方法が種々検討されてきており、高抵抗化した窒化物系化合物半導体結晶に対して成膜後に特別な処理を施すことでアクセプタを電気的に活性化する方法(第1の方法)と、結晶成長プロセスの工夫によってas−grown状態のp型窒化物系化合物半導体結晶の低抵抗化を図る方法(第2の方法)、素子構造(積層構造)を工夫してp型キャリヤ(ホール)の濃度と移動度の双方を高めて抵抗値を下げる方法(第3の方法)の3つに大別することができる。
具体的には、第1の方法として、Mgなどの不純物をドープした窒化ガリウム系化合物半導体結晶に加速電圧3〜30kV程度の電子線照射処理を施して添加したアクセプタを電気的に活性化する方法(特許文献1)や、窒化ガリウム系化合物半導体の分解圧以上に加圧した窒素などの不活性ガス雰囲気中で400℃以上の温度でアニーリングを行う方法(特許文献2)等が知られている。
また、第2の方法としては、有機金属化学気相成長法によりp型窒化物系化合物半導体を成長させる際に窒素放出過程において水素を放出しない窒素原料ガス(すなわち、NH3ではなく有機窒素原料ガス)を用いる方法(特許文献3)や、結晶温度700度以上で成長したp型窒化ガリウムにおいては主として成長終了後の冷却時に水素によるアクセプタのパッシベーションが生じる点に着目して、結晶成長後にNH3ガスの供給を停止して、水素を含まない不活性ガス雰囲気中で結晶の冷却を行う方法(特許文献4)等が知られている。
さらに、第3の方法としては、互いに組成の異なる第1と第2の窒化物系化合物半導体層を交互に積層させたInGaN/GaN超格子構造により不純物濃度が高い一方の窒化物系化合物半導体層においてキャリアを多く発生させるとともに不純物濃度が低い他方の窒化物系化合物半導体層における移動度を相対的に高くする方法(特許文献5)や、InAlGaN系の超格子構造によりドナー性の結晶欠陥によるアクセプタの補償を低減させる方法(特許文献6)等が知られている。
これらの方法のうち、第1の方法の電子線照射処理では、低抵抗化するのは電子線照射面である試料表面近傍に限られ、p型窒化ガリウム系化合物半導体結晶のバルク全体を低抵抗化させることはできない。また、試料面全体に一度の処理で電子線照射することが困難であるために、一般的には試料面上で電子線照射スポットを掃引させる手法が採られることから、アクセプタの活性化レベルの面内均一性やプロセスの高速性(スループットの向上)という観点からは問題がある。
また、第1の方法の不活性ガス中のアニーリングの手法は、窒化ガリウム系化合物半導体結晶の分解圧を考慮した高圧条件下でアニーリングを実行しても、試料表面近傍からの窒素脱離は完全に抑えることはできず、窒素脱離に起因する欠陥を生じさせてしまう。この欠陥は窒化ガリウム系化合物半導体結晶中ではn型キャリヤとして機能するため、表面近傍のp型キャリヤ濃度が実質的に低下してしまう結果となる。そして、この現象により、窒化ガリウム系化合物半導体結晶表面の充分な低抵抗化が図られないことに加え、当該表面に形成される電極との接触抵抗が増大してしまい素子全体が高抵抗化してしまうという問題があった。
第2の方法の有機窒素原料ガスを用いる方法では、結晶中への水素の取り込みは抑制されるものの、原料ガス自体が含有する炭素の混入が生じ易く、NH3ガスを用いた場合に比較して結晶中の炭素濃度が高くなってしまう。また、有機窒素原料ではNH3で見られる還元作用がないため、酸素濃度も増加する。これらの、窒化ガリウム系化合物半導体結晶中に取り込まれた炭素や酸素はn型キャリヤとして機能するため、所望のp型キャリヤ濃度が得られないという問題がある。
また、第2の方法のp型の結晶を成長させた後にNH3のガス供給を停止する方法では、結晶成長後における水素混入の防止や表面近傍領域の水素濃度低減化には効果があるものの、既に結晶中に取り込まれた水素はそのままバルク中に留まるために、p型窒化ガリウム系化合物半導体結晶の充分な低抵抗化を図ることはできない。
超格子構造を利用して低抵抗化を図る第3の方法では、積層膜の組成が変わるとそのバンドギャップや屈折率も変化してしまうため、デバイス設計の自由度が大きく限定されてしまうという問題がある。特に、InGaNを用いる場合には、そのバンドギャップエネルギがGaNに比べて低くなるため、これを発光デバイスに適用するとの光吸収ロスが大きくなってしまう。また、InAlGaN系超格子構造は4元系結晶薄膜を積層させた構造であるために、各層を成長させる際の組成を正確に制御することは容易ではない。
さらに、超格子構造の形成に際しては、各層毎に適切な成長条件(成長温度、キャリヤガス、成長圧力など)を設定する必要があることから、超格子構造が薄膜の積層を短周期で繰り返す構造のものである場合には、結晶成長プロセスが複雑化し、結果的に高品質で高キャリヤ濃度のp型層を得ることが困難となる。
特開平3−218625号公報 特開平5−183189号公報 特開平10−4211号公報 特開平9−199758号公報 特開平11−340509号公報 特開2002−319743号公報 Applied Physics Letters ,May 13, 2002 , Volume 80, Issue 19, pp. 3554-3556.
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、バンドギャップなどの諸物性を変化させることなくバルク全体にわたってp型窒化物系化合物半導体結晶の低抵抗化が可能で、しかも欠陥レベルの低い、高品質の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法を提供することにある。
本発明はこのような課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、基板上に少なくとも1層の窒化物系化合物半導体膜を気相成長させる窒化物系化合物半導体の結晶成長方法であって、前記窒化物系化合物半導体の何れかの膜を気相成長させる際に、有機窒素化合物(xモル)とアンモニア(NH3)(yモル)とを含有する窒素原料ガスを供給し、該窒素原料ガス中の有機窒素化合物(xモル)の供給モル比(R=x/(x+y))を変化させる成膜プロセスを備えていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法において、前記供給モル比(R)を1秒以上120秒以下の周期Tで周期的に変化させることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法において、前記供給モル比(R)を少なくとも2つの水準(R1、R2:R1<R2)に設定することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法において、前記2つの水準(R1およびR2)での窒素原料ガスの供給時間をそれぞれT1およびT2(T=T1+T2)としたときに、T2≧0.5×T1に設定することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法において、前記2つの水準(R1、R2)はそれぞれ、0≦R1≦0.6、および、0.4≦R2≦1.0であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか1項に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法において、前記成膜プロセスにおけるIII族元素の原料ガスの供給量を、前記供給モル比(R)の変化に同期させて変動させることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れか1項に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法において、前記窒素原料ガス中の有機窒素化合物が最小の供給モル比(R=Rmin)で供給されるときだけIII族元素の原料ガスを供給することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れか1項に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法において、前記成膜プロセスにおけるアクセプタドーパントの原料ガスの供給量を、前記供給モル比(R)の変化に同期させて変動させることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8の何れか1項に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法において、前記窒素原料ガス中の有機窒素化合物が最小の供給モル比(R=Rmin)で供給されるときだけアクセプタドーパントの原料ガスを供給することを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9の何れか1項に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法において、前記有機窒素化合物がヒドラジン系化合物であることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法において、前記ヒドラジン系化合物が1.1−ジメチルヒドラジン若しくはターシャリーブチルヒドラジンであることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項1乃至11の何れか1項に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法において、前記窒化物系化合物半導体膜が、GaN、AlN、InN、BNまたはこれらの混晶であることを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項1乃至12の何れか1項に記載の方法により気相成長された窒化物系化合物半導体膜であって、該膜中の酸素濃度[O]、炭素濃度[C]、および、水素濃度[H]がそれぞれ、[O]≦1×1017cm-3、[C]≦1×1017cm-3、および、[H]≦5×1018cm-3であることを特徴とする。
本発明によれば、窒素原料ガス中のアンモニアと有機窒素化合物のモル比を単一の窒化物系化合物半導体膜の成長中に変化させ、有機窒素化合物のモル比が低い領域の成膜により膜中の水素濃度を低く制御しつつ、アンモニアガスのもつ還元性やエッチング性を膜中の炭素および酸素不純物の濃度低減に利用することで、水素、炭素および酸素の何れの濃度をも低減させることとしたので、バンドギャップなどの諸物性を変化させることなくバルク全体にわたってp型窒化物系化合物半導体結晶の低抵抗化が可能で、しかも欠陥レベルの低い、高品質の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法が提供される。
そして、本発明により、窒化物系化合物半導体膜中への水素、酸素、および、炭素の混入が抑制され、酸素濃度[O]を1×1017cm-3以下、炭素濃度[C]を1×1017cm-3以下、そして、水素濃度[H]を5×1018cm-3以下とすることが可能となる。
以下に、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
先ず、図2を参照して、窒化物系化合物半導体を気相成長させる際に、窒素原料ガスから膜中に取り込まれる水素および炭素の、原料ガス混合比依存性について、本発明者らが検討した結果について説明する。この図は、気相法による結晶成長において、窒素の原料ガスとしてアンモニア(NH3)と有機窒素化合物であるジメチルヒドラジン(DMHy)の混合ガスを用い、窒素をキャリアガスとして、p型の窒化ガリウム(p−GaN)を成膜した直後の膜中の水素濃度(左縦軸)および炭素濃度(右縦軸)を、窒素原料ガス中のジメチルヒドラジンの供給モル比を横軸としてプロットしたものである。
なお、この図では、ジメチルヒドラジンのモル比をx、アンモニアのモル比をyとすると、横軸の値がx/(x+y)で与えられるように図示されているから、ジメチルヒドラジンのモル比がゼロのときに横軸値が0、アンモニアのモル比がゼロのときに横軸値が1、となる。
この図に示されているように、ジメチルヒドラジンのモル比が低い領域(領域A)では膜中の水素濃度は高いものの炭素濃度は低くなる。これとは逆に、ジメチルヒドラジンのモル比が高い領域(領域B)では膜中の炭素濃度は高いものの水素濃度は低くなる。しかし、窒素原料ガス中のジメチルヒドラジンのモル比をどのように設定しても、水素と炭素の膜中濃度を同時に充分に低減させることはできないことがわかる。
本発明者らは、このような検討結果に基づいて、窒素原料ガス中のジメチルヒドラジンのような有機窒素化合物とアンモニアとのモル比を単一の窒化物系化合物半導体膜の成膜プロセス中に変化させ、膜中への炭素濃度の取り込みが少ない環境下(有機窒素化合物のモル比が低い領域)での成膜工程と、これに続く膜中への水素濃度の取り込みが少ない環境下(有機窒素化合物のモル比が高い領域)での成膜中アニール工程とを単一膜の成膜プロセスに設けることとすれば、得られる窒化物系化合物半導体膜中の炭素濃度と水素濃度の何れをも低減させることが可能であるとの知見を得て本発明を成すに至ったのである。
本発明者らの検討によれば、窒化物系化合物半導体結晶中でp型キャリヤの不活性化の原因となる水素および炭素のうち、水素は主としてアンモニアから供給され、炭素は主として有機窒素原料から供給されてしまう。また、還元性ガスであるアンモニアの供給量が不十分であったり供給されないような場合には、成膜環境中の残留不純物であり且つその膜中への取り込まれ方が炭素と類似する酸素の膜中への取り込量も増大し、この酸素もp型キャリヤの不活性化の原因となる。
そこで、本発明者らは、窒素原料ガス中のアンモニアと有機窒素化合物のモル比を単一の窒化物系化合物半導体膜の成長中に変化させ、有機窒素化合物のモル比が低い領域の成膜により膜中の水素濃度を低く制御しつつ、アンモニアガスのもつ還元性やエッチング性を膜中の炭素および酸素不純物の濃度低減に利用することで、水素、炭素および酸素の何れの濃度をも低減させることとしたのである。
具体的に説明すると、窒素原料ガス中の有機窒素化合物のモル比が低い(アンモニアのモル比が高い)条件下で窒化物系化合物半導体を成膜すると、当該成膜領域は水素不純物濃度は高いものの低炭素・低酸素濃度の高品質な結晶となる。この成膜工程に続いて、窒素原料ガス中の有機窒素化合物のモル比が高い(アンモニアのモル比が低い)条件下で成膜中アニールを実行すると、このアニール中に膜中に取り込まれた水素が外方拡散して表面から脱離されて膜中の水素濃度が低下する。なお、この成膜中アニールの窒化物系化合物半導体膜表面近傍の雰囲気中には有機窒素化合物から乖離した窒素が充分に供給されるため、当該アニール中に表面から窒素が脱離することに起因する結晶劣化は抑制される。
このような成膜中アニールで用いるキャリアガスは、水素ガスよりも窒素ガスを用いることが望ましい。水素ガスを用いた場合は、成膜中アニール、すなわち水素脱離の効果が減少してしまうだけではなく、エッチング効果もあるため、結晶表面にダメージを与えてしまう。一方、III族原料を供給して結晶成長を行っているタイミングでは、水素キャリアガス、或いは水素と窒素の混合ガスを用いることも可能である。しかし、結晶成長中に何度もキャリアガスを切り替えることとすると、成膜プロセス時間が長くなるだけではなく、圧力変動なども引き起こし易い。そこで、キャリアガスについては、Mgドープ層の成膜中は窒素ガスを用いることが望ましい。
なお、上述の「成膜中アニール」の工程中に顕著な結晶成長が生じると当該成膜領域には不純物としての炭素および酸素が取り込まれる結果となる。このため、成膜中アニール中にはV族元素の原料供給を完全に停止するか、あるいはアニール時間の調整やV族元素の原料供給量を制御して結晶成長を抑制することが好ましい。つまり、この工程を完全に結晶成長が生じない条件で行う必要は必ずしもないが、当該工程中水素の脱離が生じるものであるため、これを便宜上、「成膜中アニール」とよぶ。このような成膜中アニール時には、水素脱離だけではなく、エピ成長表面平坦化の効果や窒素空孔欠陥の解消効果なども生じ、エピタキシャル成長膜が混晶である場合には局所歪の安定化などの効果も生じる。これらの効果について以下説明する。
エピ成長表面の平坦化を目的として成長中断することは、III−V族化合物半導体の結晶成長において一般的に行われている方法であるが、III−V族化合物が窒素化合物である場合には、アンモニアのエッチング効果のために、アンモニア雰囲気中で結晶成長を中断しても表面平坦化は期待できない。しかし、結晶成長雰囲気が有機窒素原料雰囲気であれば、雰囲気ガスによるエッチングは生じることがないために、成長中断により表面平坦化を図ることが可能である。
また、窒素原料がアンモニアのみである場合には、V族とIII族の原料供給比(V/III)の実効値を高めることが困難であることから、結晶成長中に窒素空孔欠陥がしばしば形成される。しかし、V族原料として有機窒素原料を用い、かつ、III族原料の供給を停止するか、あるいは低成長速度とすることにより、膜中の窒素空孔欠陥を低減させることが可能である。なお、III族原料の供給を停止することは、原料供給比(V/IIIの値)を無限大とすることに相当する。
さらに、局所歪の安定化に関しては、インジウムを含む混晶の場合、膜中でのインジウムの局所的な偏析が発光のメカニズムと大きく関係していることが知られており、この偏析の程度には成長中の温度状態が効いていると考えられている。有機窒素原料を供給しながら成長中断を行った場合には、アンモニア供給がある場合に生じるエッチング効果などが生じ難いため、適切な偏析の条件が得られる可能性がある。なお、これらの効果は、アニールを成膜後に行うよりも成膜中に実行することで、より顕著なものとなる。
上述の方法は、窒化物系化合物半導体膜表面近傍からの水素の外方拡散を利用しているため、成膜工程と成膜中アニール工程をそれぞれ1回だけ実行したのでは所望の厚みの窒化物系化合物半導体膜を得ることができない場合が生じる。その場合には、窒化物系化合物半導体膜が所望の厚みとなるまで、上記の成膜工程と成膜中アニール工程を複数回繰り返す。
図3は、本発明の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法における窒素原料ガスの供給シーケンスを概念的に説明するための図で、この図には、単一の窒化物系化合物半導体の膜を成長させる際の窒素原料ガスの供給シーケンスが例示されている。窒化物系化合物半導体の膜は、サファイヤ、GaN、SiC、LiNbO3、LiGaO3、AlN、ScAlMO4、ZnOなどの基板上に、VPE法、MOVPE法、MOCVD法、CBE(Chemical Beam Epitaxy)法、などの気相成長法によりエピタキシャル成長され、窒素原料ガスとしてアンモニア(NH3)と1.1−ジメチルヒドラジンなどの有機窒素化合物とを含有するガスが供給される。
本発明においては、単一の窒化物系化合物半導体膜の成長プロセス中に、窒素原料ガス中のアンモニアと有機窒素化合物のモル流量を制御して(図3(A)参照)、有機窒素化合物(xモル)とアンモニア(yモル)の供給モル比(R=x/(x+y))を変化させる(図3(B)参照)。なお、ここでは、供給モル比(R)を少なくとも2つの水準(R1、R2:R1<R2)に設定した例を示してある。図3(B)中に示したように、有機窒素化合物の窒素原料中の供給モル比が小さい領域(R1)が上述の成膜工程にあたり、供給モル比が大きい領域(R2)は上述の成膜中アニール工程にあたる。
上述したように、成膜工程と成膜中アニール工程をそれぞれ1回だけ実行したのでは所望の厚みの窒化物系化合物半導体膜を得ることができない場合には、窒化物系化合物半導体膜が所望の厚みとなるまで、上記の成膜工程と成膜中アニール工程を複数回繰り返す。
この繰り返しの周期がどの範囲で適当かということについては、表層からどの程度の深さまでの水素を脱離させることができるかにより決定され成膜温度にも依存するが、成長速度が1μm/時間の標準的な成膜速度で且つ表面から約30nmの深さまでの水素脱離効果が期待できる場合、最大120秒程度の周期Tで繰り返すことが好ましい。
なお、繰り返し周期の最短時間は反応炉のバルブの駆動時間やシーケンスプログラム等により制約されるが、過度のバルブの開閉は反応ガスの炉内での乱流を引き起こすおそれがあるため、少なくとも1秒以上とすることが望ましい。つまり、1回の成膜工程(プロセス時間T1)と1回の成膜中アニール工程(プロセス時間T2)の和で与えられる窒素原料ガスの供給モル比の変化の周期T(=T1+T2)は、1秒以上120秒以下と設定することが望ましい。また、成膜中アニール工程で充分に水素を脱離させるべく、1回の成膜中アニール工程(プロセス時間T2)はT2≧0.5×T1を満足するように設定されることが好ましく、例えば、T2>T1となるように設定される。
なお、図3(A)には有機窒素化合物のモル流量を一定にしてアンモニアのモル流量のみを変動させた例が図示されているが、アンモニアと有機窒素化合物の何れのモル流量も変動させるようにしてもよい。また、成膜中アニール工程中に供給する窒素原料ガス中のアンモニアのモル流量をゼロとしたり(図3(C)参照)、成膜工程中に供給する窒素原料ガス中の有機窒素化合物のモル流量をゼロとするなどの流量調整も可能である。しかし、ガスのモル流量切り替え時に窒素原料の欠乏が生じることを回避するためには、上記タイミング(T1、T2)の少なくとも一方において、アンモニアと有機窒素化合物の両方を混合させた窒素原料ガスを供給するようにすることが好ましい。
さらに、成膜工程と成膜中アニール工程の切替(窒素原料ガスの供給シーケンス)はステップ状である必要は必ずしもない。例えば図3(D)に図示したように、供給モル比がR1からR2へと連続的に変わるように制御することも可能である
結晶成長は主として上述の成膜工程中に進行することとなるが、このときの有機窒素の供給モル比の下限(図3におけるR1)の値は0%(有機窒素化合物のモル流量ゼロ)であってもよく、上限値は有機窒素化合物から発生した炭素の膜中への取り込み回避の観点から決定される。例えば、アンモニアから発生した水素が例えばジメチルヒドラジンのメチル基と結合して安定なメタンとなるような混合比(3:2)であり、具体的には、概ね0.6である。より炭素濃度を低減させる目的では、その半減に相当する0.3以下とすることがさらに望ましい。
成膜中アニール工程(R=R2)は膜中に混入した水素を外方拡散により脱離させることを主目的とする工程であるため、アンモニアのモル流量をゼロ(図3におけるR2=1.0)とすることが望ましい。しかし、アンモニアはもともと有機窒素化合物に対して分解効率が小さいため、有機窒素化合物の供給モル比が少なくとも0.4程度あれば、アンモニアからの雰囲気中への水素の供給が膜の水素脱離を阻害することはない。より水素濃度を低減させるためには、アンモニアのモル比を半減させる供給モル比R、すなわち0.7以上であれば、より望ましい。
つまり、供給モル比(R)を例えば2つの水準(R1、R2:R1<R2)に設定する場合には、成膜工程での有機窒素原料の供給モル比(R1)を0≦R1≦0.6の範囲に設定し、成膜中アニール工程での有機窒素原料の供給モル比(R2)を0.4≦R2≦1.0の範囲に設定することが好ましい。
主として成膜工程において結晶成長を進行させる一方、この結晶成長中に取り込まれた水素を脱離させることを主目的として成膜中アニール工程が設けられるから、本発明における成膜プロセスにおいては、ガリウムやインジウムなどのIII族元素の原料供給を、上述の供給モル比(R)の変化に同期させて変動させることとなる。例えば、有機窒素原料ガスが最小の供給モル比Rmin(図3の例ではR1)で供給されるときだけIII族元素の原料ガスを供給するようにする。なお、炉内でのガスフローに与える影響を抑えるために窒素原料ガスの流量調整を最小限に留めたい場合には、膜表面からの窒素脱離が生じない条件下で有機窒素化合物のモル流量を一定にしておき、アンモニアのモル流量をIII族元素の原料ガスの供給と連動させることが望ましい。
また、p型の窒化物系化合物半導体を成膜する場合には、アクセプタドーパントの原料ガスの供給はIII族元素の原料供給に同期させることになるから、アクセプタドーパントの原料ガスの供給もまた、上述の供給モル比Rmin(R)の変化に同期させて変動させることとなる。例えば、有機窒素原料ガスが最小の供給モル比(図3の例ではR1)で供給されるときだけアクセプタドーパントの原料ガスを供給するようにする。
本発明において用いる有機窒素化合物としては、ヒドラジン系の化合物ほかにもアミン系化合物などもある。しかし、アミン系化合物は中間反応を生じ易く、この中間反応体が結晶成長に悪影響を及ぼすためにキャリヤ濃度の高い(低抵抗の)良質のp型窒化物系化合物半導体膜を得ることが困難である。1.1−ジメチルヒドラジンやターシャリーブチルヒドラジンはこのような難点がなく、しかも、分解温度や取り扱い上の安全性の観点からも問題がなく、有機窒素化合物として望ましい。
このような本発明の成膜プロセスによれば、窒化物系化合物半導体膜中への水素、酸素、および、炭素の混入が抑制され、酸素濃度[O]を1×1017cm-3以下、炭素濃度[C]を1×1017cm-3以下、そして、水素濃度[H]を5×1018cm-3以下とすることが可能である。さらに、成膜しようとしている膜の種類(AlGaN、GaNなど)やその膜厚に応じて成膜条件(R1,R2,T1,およびT2)を適切に設定することにより、酸素濃度[O]が6×1016cm-3以下、炭素濃度[C]を6×1016cm-3以下、そして、水素濃度[H]を1×1018cm-3以下と、さらに低減することが可能である。
また、膜中への水素混入が抑制されることにより、p型結晶においては成膜後のアクセプタ活性化処理(電子線照射やアニールなど)が不要となり生産性が向上する。これに加え、従来の手法である成膜後アニールでは、結晶表面の窒素欠乏状態が生じ易く、これにより誘起される接触抵抗の増大が問題となっていたが、本発明の成膜プロセスによればかかる問題が回避され、デバイスの素子抵抗を低く抑えることができる。
本発明の成膜プロセスで得られたp型GaN膜を反応炉中で冷却して取り出した後に、as−grown状態でホール測定してキャリヤ濃度を測定すると、従来法で成膜した後に不活性ガス中でアニールを施したp型GaN膜以上のキャリヤ濃度(1×1018cm-3)が得られた。また、接触抵抗についても、非特許文献1に記載されているデータに照らすと、0.1Ωcm2程度乃至5×10-4Ωcm2程度の値が得られることとなり、従来の膜に比較して大幅な接触抵抗の低減化が可能となる。
以下に、実施例により本発明をより詳細に説明する。
図4は、MOCVD法で窒化ガリウム系半導体薄膜を積層成長させる本実施例の結晶成長プロセスを説明するための図で、本実施例は、単層のp型GaN膜を成膜させた例である。基板としてC面を主面(成長面)としたサファイヤ基板11を反応炉内のサセプタ上に設置し、水素ガスを流しながら1.3kPaまで減圧し、基板表面温度が1060℃となるまでヒータで加熱する(図4(A))。
サファイア基板11を1060℃で5分間保持した後、550℃まで降温しつつ、反応炉内圧力を0.13Mpaまで加圧する。そして、基板温度550℃において、水素をキャリヤガスとして、アンモニア(NH3)ガスを20リットル/分、トリメチルガリウム(TMG)ガスを100μモル/分の流量で2分間供給し、微結晶からなる窒化ガリウム(GaN)の低温バッファ層12を形成する(図4(B))。
その後、TMGの供給を停止し、NH3ガスと水素ガスのみを反応炉に供給した状態で基板温度が1020℃になるまで加熱し、基板温度1020℃の状態でTMGを300μモル/分で1時間供給した状態で1時間維持し、高温バッファ層13を形成する(図4(C))。なお、この成膜条件で得られる高温バッファ層13の厚みは約3μmである。そして、この高温バッファ層13上にp型のGaN膜14を形成する(図4(D)〜(G))。
次に、キャリアガスを水素から窒素に切り替え、Mgドープ層の成長を開始する。図5は、図4(D)〜(G)のp型GaN膜14の成膜プロセスにおけるガス供給のシーケンスを説明するための図である。先ず、NH3ガスの供給を停止し、有機窒素原料である1.1−ジメチルヒドラジン(DMHy)を気化させて500sccmの流量で30秒間炉内に流してDMHy供給の安定化を図る(図4(D))。なお、この時点ではGa原料の供給は行わないため、GaN膜は成長しない。
DMHy供給の安定化に続いて、Ga原料であるTMGを100μモル/分、p型ドーパントの原料であるシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を1.5μモル/分、そして、窒素原料であるNH3ガスを20リットル/分供給し、p型GaN14の成膜を行う。なお、DMHy(500sccm)の流量は一定に維持されているため、このDMHyも窒素源となる。また、図4中の(D)、(E)を繰り返すことになるが、これを1回行う工程をここでは「1サイクル」と呼ぶ。
図5に図示しているように、1サイクル中の成膜にかかる工程時間は15秒とされ、これにより薄膜のp型GaN膜14が得られる(図4(E))。
この成膜工程の後に、膜の表面から水素を脱離させる目的で、成膜中アニール工程を設ける。具体的には、TMG、Cp2Mg、および、NH3ガスの供給を停止し、窒素ガスをキャリアとするDMHy(500sccm)のみを45秒間供給する(図4(F))。
そして、この15秒間の成膜工程と45秒間の成膜中アニール工程を繰り返すことで、p型GaN膜14を所望の厚みとする(図4(G))。なお、本実施例の場合、繰り返し回数は60回(合計60分間)であり、最終的に得られたp型GaN膜14の厚みは0.5μmである。
図6は、MOCVD法でGaN系多重量子井戸構造を有するLED用基板を作製する本実施例の結晶成長プロセスを説明するための図で、先ず、基板としてC面を主面(成長面)としたサファイヤ基板11を反応炉内のサセプタ上に設置し、水素ガスを流しながら1.3kPaまで減圧し、基板表面温度が1060℃となるまでヒータで加熱する(図6(A))。
サファイア基板11を1060℃で5分間保持した後、550℃まで降温しつつ、反応炉内圧力を0.13Mpaまで加圧する。そして、基板温度550℃において、水素をキャリヤガスとして、アンモニア(NH3)ガスを20リットル/分、トリメチルガリウム(TMG)ガスを100μモル/分の流量で2分間供給し、微結晶からなる窒化ガリウム(GaN)の低温バッファ層12を形成する(図6(B))。
その後、TMGの供給を停止し、NH3ガスと水素ガスのみを反応炉に供給した状態で基板温度が1020℃になるまで加熱し、基板温度1020℃の状態で水素をキャリアガスとしてTMGを300μモル/分で1時間供給し、高温バッファ層13を形成する(図6(C))。なお、この成膜条件で得られる高温バッファ層13の厚みは約3μmである。
次に、TMGとNH3およびn型ドーパントであるシリコン(Si)の原料であるモノシランガス(SiH4)を供給し、厚み3μmのn型GaN層15を形成する(図6(D))。
続いて、基板温度を750℃まで下げ、キャリアガスを水素から窒素に切り替え、n型GaN層15の上にInGaN/GaNの多重量子井戸発光層16を形成する。具体的には、窒素をキャリアガスとして、トリメチルインジウム(TMI)とTMGおよびNH3を供給してInGaN量子井戸層16aを形成し(図6(E))、TMGとNH3を供給してGaN障壁層16bを形成し(図6(F))、これらInGaN量子井戸層16aとGaN障壁層16bを交互に成膜させて多重に積層させ、InGaN/GaNの多重量子井戸発光層16が得られる(図6(G))。
これに続いて再び基板温度が1020℃になるまで加熱し、NH3の供給を停止する一方、窒素をキャリアガスとして、DMHyを気化させて500sccmの流量でガス供給する。この状態で30秒間安定させた後、DMHy(500sccm)の供給を継続したまま、p型AlGaN層17を成膜する(図6(H))。具体的には、15秒間の成膜工程と45秒間の成膜中アニール工程を5回繰り返して、75nmの厚みのp型AlGaN層17を得る。なお、成膜工程で供給するガスは、供給量が一定のDMHy(500sccm)に加えて、窒素をキャリアガスとしたトリメチルアルミニウム(TMA:50μモル/分)、TMG(100μモル/分)、Cp2Mg(1.5μモル/分)、及び、NH3(10リットル/分)であり、成膜中アニール工程ではDMHy(500sccm)以外の原料ガス供給を停止する。
このp型AlGaN層17の上に、p型GaN層18を成膜する(図6(I))。具体的には、15秒間の成膜工程と45秒間の成膜中アニール工程を15サイクル繰り返して、0.15μmの厚みのp型GaN層18を得る。なお、成膜工程で供給するガスは、供給量が一定のDMHy(500sccm)に加えて、窒素をキャリアガスとしたTMG(100μモル/分)、Cp2Mg(1.5μモル/分)、及び、NH3(20リットル/分)であり、成膜中アニール工程ではDMHy(500sccm)以外の原料ガス供給を停止する。
以上、実施例により本発明の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法について説明したが、上記実施例は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例ではp型層をGaNとされているものを、AlNやInNあるいはBNとしたり、これらの混晶とすることもできる。また、成長温度や各原料の供給量あるいは各層の膜厚などは目的に応じて変更可能である。これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内にあり、更に本発明の範囲内において他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
本発明により、バンドギャップなどの諸物性を変化させることなくバルク全体にわたってp型窒化物系化合物半導体結晶の低抵抗化が可能で、しかも欠陥レベルの低い、高品質の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法が提供される。
MOCVD法で窒化ガリウム系半導体薄膜を積層成長させて青色LEDを作製する一般的な結晶成長プロセスを説明するための図である。 気相法で結晶成長させたGaN膜中の水素濃度および炭素濃度を窒素原料ガス中のジメチルヒドラジンの供給モル比を横軸としてプロットした図である。 本発明の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法における窒素原料ガスの供給シーケンスを概念的に説明するための図である。 MOCVD法で窒化ガリウム系半導体薄膜を積層成長させる実施例1の結晶成長プロセスを説明するための図である。 p型GaN膜の成膜プロセスにおけるガス供給のシーケンスを説明するための図である。 MOCVD法でGaN系多重量子井戸構造を有するLED用基板を作製する実施例2の結晶成長プロセスを説明するための図である。
符号の説明
11 サファイヤ基板
12 低温バッファ層
13 高温バッファ層
14 p型GaN膜
15 n型GaN層
16 InGaN/GaN多重量子井戸発光層
16a InGaN量子井戸層
16b GaN障壁層
17 p型AlGaN層
18 p型GaN層

Claims (13)

  1. 基板上に少なくとも1層の窒化物系化合物半導体膜を気相成長させる窒化物系化合物半導体の結晶成長方法であって、
    前記窒化物系化合物半導体の何れかの膜を気相成長させる際に、有機窒素化合物(xモル)とアンモニア(NH3)(yモル)とを含有する窒素原料ガスを供給し、該窒素原料ガス中の有機窒素化合物(xモル)の供給モル比(R=x/(x+y))を変化させる成膜プロセスを備えていることを特徴とする窒化物系化合物半導体の結晶成長方法。
  2. 前記供給モル比(R)を1秒以上120秒以下の周期Tで周期的に変化させることを特徴とする請求項1に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法。
  3. 前記供給モル比(R)を少なくとも2つの水準(R1、R2:R1<R2)に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法。
  4. 前記2つの水準(R1およびR2)での窒素原料ガスの供給時間をそれぞれT1およびT2(T=T1+T2)としたときに、T2≧0.5×T1に設定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法。
  5. 前記2つの水準(R1、R2)はそれぞれ、0≦R1≦0.6、および、0.4≦R2≦1.0であることを特徴とする請求項3又は4に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法。
  6. 前記成膜プロセスにおけるIII族元素の原料ガスの供給量を、前記供給モル比(R)の変化に同期させて変動させることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法。
  7. 前記窒素原料ガス中の有機窒素化合物が最小の供給モル比(R=Rmin)で供給されるときだけIII族元素の原料ガスを供給することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法。
  8. 前記成膜プロセスにおけるアクセプタドーパントの原料ガスの供給量を、前記供給モル比(R)の変化に同期させて変動させることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法。
  9. 前記窒素原料ガス中の有機窒素化合物が最小の供給モル比(R=Rmin)で供給されるときだけアクセプタドーパントの原料ガスを供給することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法。
  10. 前記有機窒素化合物がヒドラジン系化合物であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法。
  11. 前記ヒドラジン系化合物が1.1−ジメチルヒドラジン若しくはターシャリーブチルヒドラジンであることを特徴とする請求項10に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法。
  12. 前記窒化物系化合物半導体膜が、GaN、AlN、InN、BNまたはこれらの混晶であることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法。
  13. 請求項1乃至12の何れか1項に記載の方法により気相成長された窒化物系化合物半導体膜であって、該膜中の酸素濃度[O]、炭素濃度[C]、および、水素濃度[H]がそれぞれ、[O]≦1×1017cm-3、[C]≦1×1017cm-3、および、[H]≦5×1018cm-3であることを特徴とする窒化物系化合物半導体結晶。
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