[go: up one dir, main page]

JP2007264421A - 定着部材、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

定着部材、定着装置及び画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2007264421A
JP2007264421A JP2006091250A JP2006091250A JP2007264421A JP 2007264421 A JP2007264421 A JP 2007264421A JP 2006091250 A JP2006091250 A JP 2006091250A JP 2006091250 A JP2006091250 A JP 2006091250A JP 2007264421 A JP2007264421 A JP 2007264421A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fixing
fixing member
resistance plate
layer
member according
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006091250A
Other languages
English (en)
Inventor
Akiko Ito
明子 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2006091250A priority Critical patent/JP2007264421A/ja
Publication of JP2007264421A publication Critical patent/JP2007264421A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Fixing For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】定着部材に自己温度制御機能を持たせることにより、定着に必要なニップ幅を形成しつつも低熱容量化を実現し、昇温効率を低下させることなく幅方向両端部における過昇温を確実に防止し、定着装置の安全性を確保する。
【解決手段】本発明では、加圧部材30と対向して定着ニップを形成するとともに、磁束励磁手段24によって電磁誘導加熱される定着部材20を、キュリー点が100℃〜300℃の磁性体層21dを有する定着回転体21と、定着回転体21を挟んで磁束励磁手段と対向する位置に別体で配置された低抵抗板状部材22と、定着回転体の内部に配置されたニップ形成部材23で構成する。そして、低抵抗板状部材の長手方向の厚みを変化させることにより、立ち上がり時の昇温特性を悪化させることなく、幅方向両端部における過昇温を確実に防止する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁誘導を利用して加熱される定着部材、及び、その定着部材を備え、定着ニップで未定着画像を担持した記録媒体を加熱・加圧して未定着画像を記録媒体に定着する定着装置、及び、その定着装置を備えた複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ、あるいはそれらの複合機等の画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置に用いられる定着装置としては、従来からローラ加熱方式等のハロゲンヒータの輻射熱を用いたものが存在し広く使用されている。
その中で省エネルギー化や待ち時間の短縮化の要求から、ベルト定着やフィルム定着に代表されるように、熱容量の小さな定着部材が使用されるようになり、定着装置の立ち上がり時間の短縮が可能となっている。
特に特許文献1に記載の発明では、定着ベルトの外側から当接部材(テンションローラ等)を押し付け、定着ベルトと加熱ローラの接触長を大きく取ることで、短時間で多くの熱量を加熱ローラから定着ベルトに与え、短時間での立ち上がりを可能としている。
こうした定着装置の待ち時間の低減は重要な課題となっているが、更なる待ち時間の低減のため、近年では電磁誘導加熱(Induction Heating)方式を採用したローラ加熱方式やベルト加熱方式の定着装置が種々提案されている。そして、これらの方式では、発熱部材に対して非接触の誘導コイルから高周波の磁場が誘起され、誘導電流が発熱部材のコイル側表層に発生しジュール熱により発熱する。
ここで、従来の電磁誘導加熱方式の定着装置の例を挙げると、例えば特許文献2等に記載の定着装置は、発熱部材としての支持ローラ(加熱ローラ)、定着補助ローラ(定着ロ一ラ)、支持ローラと定着補助ローラとによって張架された定着ベルト、支持ローラに定着ベルトを介して対向する磁束励磁手段(誘導加熱手段)、定着補助ローラに定着ベルトを介して当接する加圧ローラ、等で構成される。磁束励磁手段は、幅方向(記録媒体の搬送方向に直交する方向である。)に延設されたコイル部(励磁コイル)や、コイル部に対向するコア部(励磁コイルコア)等で構成される。
そして、定着ベルトは、磁束励磁手段との対向位置で加熱される。加熱された定着ベルトは、定着補助ローラ及び加圧ローラの位置に搬送される記録媒体上のトナー像を加熱して定着する。詳しくは、コイル部に高周波の交番電流を流すことで、コイル部の周囲に交番磁界が形成されて、支持ローラ表面近傍に渦電流が生じる。支持ローラ(発熱部材)に渦電流が生じると、支持ローラ自身の電気抵抗によってジュール熱が発生する。このジュール熱によって、支持ローラに巻装された定着ベルトが加熱される。
このような電磁誘導加熱方式の定着装置は、発熱部材が電磁誘導によって直接的に加熱されるために、熱ローラ方式(ヒータランプ加熱方式)等の他方式のものに比べて熱変換効率が高く、少ないエネルギー消費で短い立ち上げ時間にて定着ベルトの表面温度(定着温度)を所望の温度まで昇温できるものとして知られている。
一方、特許文献3等には、電磁誘導加熱方式を用いた定着装置であって、定着ローラ(加熱媒体)における非通紙領域の昇温を抑制することを目的として、定着ローラに内設した磁束励磁手段(誘導コイル)から発生される磁束の一部を遮蔽する磁束遮蔽部材を設ける技術が開示されている。
詳しくは、磁束遮蔽部材は、磁性金属からなる定着ローラにおける通紙領域に応じてその位置を変化させて、磁束を遮蔽する範囲を可変する。この技術は、定着ローラに届く磁束を非通紙領域において遮蔽して、非通紙領域における過昇温を抑止することを目的としたものである。
また、特許文献4等には、電磁誘導加熱方式を用いた定着装置であって、定着ローラ(加熱ローラ)の軸芯が加熱されて軸受が劣化するのを抑止することを目的として、定着ロ−ラの発熱層を、磁性材料からなる第1発熱層と、非磁性材料からなる第2発熱層と、で構成する技術が開示されている。
詳しくは、第1発熱層は、その固有抵抗が第2発熱層のものより高く、その肉厚が第2発熱層のものより厚くなるように形成されている。この技術は、非磁性材料からなる第2発熱層を主たる発熱層として、磁性材料からなる第1発熱層を設けることで磁束励磁手段から発せられた磁束が定着ローラの軸芯に達しないようにするものである。
上述した従来の定着装置は、発熱部材の昇温効率を低下させることなく、発熱部材の幅方向両端部における過昇温を防止することが難しかった。詳しくは、以下の通りである。
一般的な画像形成装置は、幅方向のサイズが異なる数種類の記録媒体に対して、画像形成ができるように構成されている。ここで、幅方向サイズの異なる記録媒体とは、JIS寸法のA列やB列における種々の定形サイズの記録媒体の他に、不定形サイズの記録媒体も含まれる。また、同一サイズ(例えぱA4サイズ等)の記録媒体であっても、長手方向を搬送方向にした場合と、短手方向(長手方向に直交する方向)を搬送方向にした場合とでは、幅方向サイズの異なる記録媒体を扱っていることになる。
このような幅方向サイズの異なる記録媒体を定着装置で定着する場合には、記録媒体の幅方向サイズに応じて、定着部材(定着ベルト又は定着ローラ)の幅方向の温度分布が変動して、温度ムラが生じてしまうことがあった。例えぱ、幅方向サイズの小さな記録媒体を通紙して定着する場合には、その記録媒体の幅方向サイズに対応する定着部材の通紙領域では熱が多く奪われて、非通続領域に比べて定着温度が低くなる。このような現象は、幅方向サイズの小さな記録媒体を連続的に通紙するような場合に、特に顕著になる。また、立ち上げ時間の早い電磁誘導加熱方式の定着装置では、特に幅方向両端部の過昇温が顕著になる。
したがって、定着部材の幅方向中央部の定着温度を基準として定着部材の幅方向全域の定着温度を制御しようとすると、定着部材の幅方向中央部の定着温度は所望の温度に制御できるものの、幅方向両端部の定着温度が上昇してしまうことになる。このように、定着部材の幅方向両端部の定着温度が上昇した状態で、幅方向サイズの大きな記録媒体を定着すると、温度上昇位置に対応した記録媒体上にホットオフセットが発生してしまう。さらに、幅方向両端部の定着温度が定着部材の耐熱温度を超えた場合には、定着部材に熱的破損が生じてしまうことも考えられる。
これに対して、定着部材の幅方向両端部の定着温度を基準として定着部材の幅方向全域の定着温度を制御しようとすると、定着部材の幅方向両端部の定着温度は所望の温度に制御できるものの、幅方向中央部の定着温度が下降してしまうことになる。このように、定着部材の幅方向中央部の定着温度が下降した状態で記録媒体を定着すると、温度下降位置に対応した記録媒体上に定着不良やコールドオフセットが発生してしまう。
このような問題を解決するために、特許文献3等では、記録媒体のサイズに応じて磁束遮蔽部材の位置を変化させて非通紙領域における磁束を遮蔽している。これにより、幅方向サイズが小さな記録媒体を連続的に運転する場合であっても、非通転領域の過昇温を抑止する効果がある程度期待できる。
しかし、特許文献3等の技術は、磁束励磁手段と定着部材(加熱媒体)との間に磁束遮蔽部材を介在させるために、定着部材に対して磁束励磁手段を近接させることができなかった。そのため、磁束励磁手段によって誘導加熱される定着部材の昇温効率を充分に向上させることができなかった。具体的には、定着部材の立ち上げ時間を充分に短縮することができなかった。
一方、特許文献4等の技術は、定着部材(定着ローラ)の軸芯が加熱されるのを抑止するために、定着部材の発熱層を磁性材料からなる第1発熱層と非磁性材料からなる第2発熱層とで構成するものであって、定着部材の幅方向両端部における過昇温を防止する効果は期待できない。
ここで、特許文献4において、定着部材の幅方向両端部における過昇温を防止するために、特許文献3の磁束遮蔽部材を設置するためには、定着部材と磁束励磁手段との間に磁束遮蔽部材を介在させることになる。したがって、この場合も特許文献3と同様に、発熱部材に対して磁束励磁手段を近接させることができずに、定着部材の昇温効率を充分に向上させることができないことになる。
そこで上記のような問題を解決し、定着部材の昇温効率の向上と、定着部材の幅方向両端部における過昇温を防止する効果とを得られる構成の定着装置が提案されている(例えば特許文献5等)。
図13はその一例を示すものであって、この定着装置は、定着部材を構成する発熱部材としてのスリーブ状の加熱ローラ101と、加熱ローラ101内に配設された磁性体からなる内部コア(例えばフェライトローラ)102及び磁束遮蔽部材103と、定着ロ一ラ106と、加熱ローラ101と定着ローラ106とによって張架された定着ベルト100と、加熱ローラ101に定着ベルト100を介して対向する磁束励磁手段104,105と、定着ローラ106に定着ベルト100を介して当接する加圧ローラ107と、加圧ローラ107の内部に設けられた補助加熱用のハロゲンヒータ108と、入口ガイド109等を有している。また、磁束励磁手段は、幅方向(記録媒体Pの搬送方向に直交する方向)に延設されたコイル(誘導コイル)105と、コア104(コイルコア)等で構成され、コア104にはセンターコア104aとサイドコア104bが設けられている。
この定着装置では、加熱ローラ101の内部にコア(フェライトローラ)102を設けているので、磁束励磁手段104と内部コア(フェライトローラ)102が対向する位置で加熱ローラ101が効率よく加熱され、定着ベルト100が加熱される。すなわち、磁束励磁手段104のコイル105に高周波の交番電流を流すことで、磁束励磁手段104のコアと加熱ローラ101内の内部コア102との間に磁力線が形成されて、加熱ローラ表面に渦電流が生じ、加熱ローラ自身の電気抵抗によってジュール熱が発生し、このジュール熱によって加熱ローラ101と、この加熱ローラに巻装された定着ベルト100が効率よく加熱される。一方、加熱ローラ内に設けられた磁束遮蔽部材103は、内部コア102の周面を遮蔽する範囲を可変できるように構成されており、記録媒体Pの幅に応じて、磁束遮蔽部材103により内部コア102の遮蔽範囲を調整することで、加熱ローラ101を透過する磁力線の幅方向の範囲も調整されて、加熱ローラ及び定着ベルトの幅方向の加熱範囲が可変される。
図13に示す構成では、加熱ローラ101の外部に磁束励磁手段104を配置し、加熱ローラ101の内部に整磁用の内部コア102と磁束遮蔽部材103を設けているので、昇温効率の向上と、幅方向両端部における過昇温を防止する効果とを得られる
また、上記と同様の効果を得られる定着装置の別の構成例を図14に示す。この定着装置は、磁性体発熱部材からなる円筒状の定着スリーブ110と加圧ローラ115を有し、定着スリーブ110の内部に、コア111と誘導コイル112からなる磁束励磁手段を設け、定着スリーブ110の外部に磁束遮蔽部材113と外部コア114を設けた構成である。
この構成では、コア111と誘導コイル112からなる磁束励磁手段を定着スリーブ110の内側に配置し、定着スリーブ110の外部に外部コアを配置することにより、誘起される磁場の磁気回路を閉じ込め、昇温効率を上昇させることができる。また、定着スリーブと外部コアとの間に磁束遮蔽部材113を設けているので、幅方向両端部における過昇温を防止することができる。また、弾性変形が可能な定着スリーブ110とすることにより、加圧ローラ115を圧接して定着ニップを容易に形成することができる。
さらに、上記と同様の効果を得られる定着装置の別の構成例を図15に示す。この定着装置は、円筒状の芯金と、発泡材料からなる弾性断熱層と、磁性体発熱層とを有する構成の定着ローラ120を備え、該定着ローラ120には加圧ローラ125が圧接され、定着ローラ120の外部に磁束励磁手段123を配置している。そして、定着ローラ120の芯金の内部に、磁性体からなる内部コア121と磁束遮蔽部材122を設けた構成となっている。
この構成では、定着ローラ120の外部に磁束励磁手段123を配置し、定着ローラ120の芯金の内部に内部コア121と磁束遮蔽部材122を設けているので、図13と同様に、昇温効率の向上と、幅方向両端部における過昇温を防止する効果とを得られる。また、磁性体発熱層を弾性断熱層上に設け、磁束励磁手段123を定着ローラ120の外側に配置することにより、発熱部材表層側が発熱することになる上、発熱部材の低熱容量化による短時間での立ち上がりが可能となる。
特開平9−218601号公報 特開2005−70376号公報 特開平10−74009号公報 再表WO2003/43379号公報 特開2005−241891号公報
図13〜図15に示したような構成の定着装置では、定着部材を構成する定着回転体(発熱部材を有するスリーブ、ベルト、ローラ等)を挟んで磁束励磁手段と対向する位置に、フェライト等の高透磁率材料からなる内部コアあるいは外部コアを配置しているので、磁束励磁手段のコアと整磁用のコアとの間に磁力線が形成されて、昇温効率の向上を図ることができる。また、定着回転体と内部コアあるいは外部コアの間に磁束遮蔽部材を可変可能に設けて、遮蔽範囲を調整することで、定着回転体を透過する磁束の幅方向の範囲も調整されて、定着回転体の幅方向の加熱範囲を可変することができる。
しかしながら、上記のように磁束励磁手段のコアとは別に、フェライト等の高透磁率材料からなる内部コアや外部コアを設ける構成では、定着装置の部品数が増大しコスト高となる。また、定着回転体の内部に熱容量の大きなコアや磁束遮蔽部材を設ける構成では、コアと磁束遮蔽部材に熱が奪われるため、定着部材としての熱容量が増大し、温度の立ち上がりが遅くなる。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、定着回転体自身に磁束の透過を制御する整磁機能を持たせることにより、定着に必要なニップ幅を形成しつつも低熱容量化を実現し、昇温効率を低下させることなく幅方向両端部における過昇温を確実に防止することができる、安全性に優れた簡易な構成の定着部材と、その定着部材を備えた定着装置、及び、その定着装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明では以下のような技術的手段を採っている。
本発明の第1の手段は、加圧部材と対向して定着ニップを形成するとともに、磁束励磁手段によって電磁誘導加熱される定着部材であって、キュリー点が100℃〜300℃の磁性体層を有する円筒状またはベルト状の定着回転体と、前記定着回転体を挟んで前記磁束励磁手段と対向する位置に別体で配置され長手方向が前記定着回転体の幅方向に平行な低抵抗板状部材とを備え、前記低抵抗板状部材の長手方向の厚みが変化していることを特徴とする。
また、本発明の第2の手段は、第1の手段の定着部材において、前記定着回転体は、低抵抗の誘導発熱層を有することを特徴とする。
本発明の第3の手段は、第1または第2の手段の定着部材において、前記低抵抗板状部材の断面形状は、前記定着回転体の曲率に沿った円弧形状としたことを特徴とする。
また、本発明の第4の手段は、第1乃至第3のいずれか1つの手段の定着部材において、前記低抵抗板状部材は、長手方向中央部の厚みが、両端部の厚みよりも薄いことを特徴とする。
さらに本発明の第5の手段は、第1乃至第4のいずれか1つの手段の定着部材において、前記低抵抗板状部材は、長手方向両端部の厚みが磁束の浸透深さ以上であることを特徴とする。
本発明の第6の手段は、第1乃至第5のいずれか1つの手段の定着部材において、前記低抵抗板状部材は、前記定着回転体の周方向に回転可能であり、かつ前記周方向の厚みが部分的に変化していることを特徴とする。
また、本発明の第7の手段は、第6の手段の定着部材において、前記低抵抗板状部材の回転位置は、定着する記録媒体のサイズによって切替えられることを特徴とする。
さらに本発明の第8の手段は、第7の手段の定着部材において、定着される記録媒体のサイズが小サイズのときは、前記低抵抗板状部材の両端部の厚みが厚い部分が前記磁束励磁手段との対向部に位置することを特徴とする。
さらにまた、本発明の第9の手段は、第6または第7の手段の定着部材において、前記定着回転体が非回転時は、前記低抵抗板状部材の長手方向の厚みが磁束の浸透深さ以上である部分が、前記磁束励磁手段との対向部に位置することを特徴とする。
本発明の第10の手段は、第1乃至第9のいずれか1つの手段の定着部材において、前記磁性体層は温度によって磁束の透過を制御する整磁機能を有し、前記低抵抗板状部材との組み合わせにより自己温度制御機能を有することを特徴とする。
本発明の第11の手段は、第1乃至第10のいずれか1つの手段の定着部材において、前記低抵抗板状部材の体積抵抗率は5.0×10−8Ω・m以下であることを特徴とする。
また、本発明の第12の手段は、第2乃至第11のいずれか1つの手段の定着部材において、前記定着回転体の誘導発熱層は体積抵抗率が5.0×10−8Ω・m以下であることを特徴とする。
さらに本発明の第13の手段は、第11の手段の定着部材において、前記低抵抗板状部材は非磁性の金属または合金からなることを特徴とする。
さらにまた、本発明の第14の手段は、第12の手段の定着部材において、前記定着回転体の誘導発熱層は非磁性の金属または合金からなることを特徴とする。
本発明の第15の手段は、第1乃至第14のいずれか1つの手段の定着部材において、前記磁性体層の厚みは100μm以下であることを特徴とする。
また、本発明の第16の手段は、第2乃至第15のいずれか1つの手段の定着部材において、前記誘導発熱層の厚みは50μm以下であることを特徴とする。
本発明の第17の手段は、第1乃至第16のいずれか1つの手段の定着部材において、前記定着回転体は、前記磁性体層または前記誘導発熱層の上に、弾性層と離型層を有することを特徴とする。
また、本発明の第18の手段は、第1乃至第17のいずれか1つの手段の定着部材において、前記磁性体層と前記低抵抗板状部材との距離は5mm以下としたことを特徴とする。
本発明の第19の手段は、第1乃至第18のいずれか1つの手段の定着部材において、前記定着回転体内に、弾性変形が可能な断熱材からなるニップ形成部材を有することを特徴とする。
また、本発明の第20の手段は、第19の手段の定着部材において、前記ニップ形成部材は、回転可能に設けられたローラ状部材であることを特徴とする。
さらに本発明の第21の手段は、第19の手段の定着部材において、前記ニップ形成部材は、パッド状部材であることを特徴とする。
本発明の第22の手段は、第19乃至第21のいずれか1つの手段の定着部材において、前記定着回転体は、前記ニップ形成部材で支持される弾性変形が可能な定着スリーブであることを特徴とする。
また、本発明の第23の手段は、第19乃至第21のいずれか1つの手段の定着部材において、前記定着回転体は、前記低抵抗板状部材と前記ニップ形成部材で支持される可撓性を有する定着ベルトであることを特徴とする。
さらに本発明の第24の手段は、第19乃至第21のいずれか1つの手段の定着部材において、前記定着回転体の内周面に潤滑剤を塗布することを特徴とする。
本発明の第25の手段は、磁束励磁手段と、該磁束励磁手段によって電磁誘導加熱される定着部材と、該定着部材に圧接する加圧部材を備え、前記定着部材と前記加圧部材との間の定着ニップで未定着画像を担持した記録媒体を加熱・加圧し、前記未定着画像を前記記録媒体に定着する定着装置において、前記定着部材として、第1乃至第24のいずれか1つの手段の定着部材を備えたことを特徴とする。
本発明の第26の手段は、第25の手段の定着装置において、前記加圧部材は、前記定着部材の定着回転体内に設けたニップ形成部材に対向して配置され、前記加圧部材で前記定着回転体を前記ニップ形成部材側に加圧して定着ニップを形成することを特徴とする。
また、本発明の第27の手段は、第26の手段の定着装置において、前記ニップ形成部材は、前記加圧部材よりも柔らかい弾性材料からなり、前記定着ニップ部では、前記定着回転体側が凹形状となることを特徴とする。
本発明の第28の手段は、第25乃至第27のいずれか1つの手段の定着装置において、前記加圧部材は加圧ローラであることを特徴とする。
また、本発明の第29の手段は、第28の手段の定着装置において、前記加圧ローラに駆動手段を有することを特徴とする。
本発明の第30の手段は、像担持体に画像を形成する手段と、前記像担持体上の画像を記録媒体に転写する手段と、前記記録媒体に転写された画像を定着する手段を備えた画像形成装置において、前記定着手段として、第25乃至第29のいずれか1つの手段の定着装置を備えたことを特徴とする。
本発明では、加圧部材と対向して定着ニップを形成するとともに、磁束励磁手段によって電磁誘導加熱される定着部材において、キュリー点が100℃〜300℃の磁性体層を有する円筒状またはベルト状の定着回転体と、前記定着回転体を挟んで前記磁束励磁手段と対向する位置に別体で配置され長手方向が前記定着回転体の幅方向に平行な低抵抗板状部材とを備える構成としたので、前記磁性体層がキュリー点以下の温度では磁性体(強磁性体)となり、キュリー点以上の温度では非磁性体(常磁性体又は反磁性体)となるので、温度によって磁束の透過を制御する整磁機能を有する。これにより、定着回転体の温度がキュリー点以下では、磁束を定着回転体内に閉じ込める効果により誘導電流による昇温を促進し、定着回転体の温度がキュリー点以上では、磁束は定着回転体を透過して低抵抗板状部材に至り、負荷が適切でなくなるので定着回転体内での誘導電流の発生が抑制され、昇温が停止する。このように、本発明の定着部材では、定着回転体と低抵抗板状部材の組み合わせにより自己温度制御機能を有するので、磁性体層のキュリー点の設定に応じて定着回転体の昇温温度を所定の温度に制御でき、昇温効率を低下させることなく幅方向両端部における過昇温をも確実に防止できる。また、従来技術のような内部コアや磁束遮蔽部材を設けることなく自己温度制御機能を得ることができるので、簡易な構成で低コストな定着部材を実現することができる。また、上記の構成に加えて、定着回転体に低抵抗な誘導発熱層を設けることにより、インバータ制御による高周波誘導を行うことができ、発熱効率をより向上して立ち上がりの早い昇温を行うことができる。
さらに本発明の定着部材では、前記低抵抗板状部材の長手方向の厚みを変化させる、具体的には、前記低抵抗板状部材は、長手方向中央部の厚みが、両端部の厚みよりも薄く、長手方向両端部の厚みが磁束の浸透深さ以上であることにより、定着回転体の誘導加熱時における自己温度制御機能は定着回転体の両端部で特に有効に機能し、定着回転体の中央部での立ち上がり性能や加熱効率は低下させずに、幅方向両端部における過昇温を防止でき、小サイズの記録媒体を連続通紙する時にも、定着回転体の中央部での加熱不足を発生させることなく、幅方向両端部における過昇温を確実に防止できる。したがって、立ち上がり性能や加熱効率を低下させずに、安全性に優れた定着部材を提供することができる。
さらに本発明の定着部材では、前記低抵抗板状部材は、前記定着回転体の周方向に回転可能であり、かつ前記周方向の厚みが部分的に変化している構成とし、前記低抵抗板状部材の回転位置が、定着する記録媒体のサイズによって切替えられるように構成することにより、定着する記録媒体のサイズによって磁束励磁手段との対向部における低抵抗板状部材の厚さを変えることができるようになり、自己温度制御機能が有効に機能する範囲を調整することが可能となるので、大サイズの記録媒体の定着時の定着回転体両端部での加熱不足を防止できるとともに、小サイズの記録媒体の連続通紙時の端部過昇温を防止できる。したがって、大サイズの記録媒体の定着時の加熱効率を低下させずに、小サイズの記録媒体の連続通紙時の安全性を確保することができる。
本発明の定着装置では、磁束励磁手段と、該磁束励磁手段によって電磁誘導加熱される定着部材と、該定着部材に圧接する加圧部材を備え、前記定着部材として、上述の構成及び効果を有する定着部材を用いたことにより、立ち上がりの早い昇温を行うことができ、かつ昇温効率を低下させることなく幅方向両端部における過昇温をも確実に防止できる、安全性に優れた低コストな定着装置を実現することができる。
また、定着部材の円筒状またはベルト状の定着回転体内にニップ形成部材を設け、前記加圧部材で定着回転体をニップ形成部材側に加圧して定着ニップを形成することにより、十分なニップ幅を得ることができ、定着性を向上することができる。
本発明の画像形成装置では、立ち上がりの早い昇温を行うことができ、かつ昇温効率を低下させることなく幅方向両端部における過昇温をも確実に防止できる、安全性に優れた低コストな定着装置を備えることにより、低コストで省エネルギー効果を得られ、定着性も良好で、安全性にも優れた画像形成装置を実現することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
まず、本発明に係る定着部材の整磁機能と、それを利用した定着装置の自己温度制御機能の基本的な原理について説明する。
電磁誘導加熱方式の定着装置では、発熱部材となる定着回転体(スリーブやベルト、ローラ)に磁性体層を設け、この磁性体層にキュリー点が100℃〜300℃に調整された強磁性体、例えばFe−NiやCu−Ni等の整磁合金を用いることで、過剰な温度上昇を防止できる。すなわち、このFe−NiやCu−Ni等の整磁合金は、組成比を変えることでキュリー点の温度を容易に調整することができ、昇温温度の上限を設定して過昇温を防止することができる。なお、磁性体層に用いる強磁性体は上記の整磁合金に限らず、キュリー点が100℃〜300℃であれば、その他の整磁合金でも良い。
キュリー点が100℃〜300℃に調整された整磁合金では、温度がキュリー点以下のときの磁性状態(強磁性体)から、温度がキュリー点以上のときの非磁性状態(常磁性又は反磁性)へと物性が転移することで自己温度制御機能が発揮できる。
図16は定着部材を銅(Cu)薄層からなる誘導発熱層・整磁合金からなる磁性体層・低抵抗部材(例えばアルミニウム(Al))の3層で構成した場合の整磁機能を模式的に示す説明図である。図16のモード1に示すように、温度がキュリー点以下で、整磁合金が磁性体の状態では、コイルからの磁束は磁性体状態の浸透深さ以上には透過せず、Cu薄層の誘導発熱層表層で主に発熱が起こる。
これは整磁合金が磁性体状態では、発熱層の渦電流負荷により発熱が起こるが、図16のモード2に示すように、温度がキュリー点以上になり、整磁合金が非磁性体になると、コイルからの磁束は磁性体層を通過してAl層まで透過し、磁気回路中に良導体のAlが入るため、負荷が最適値ではなくなることで投入電力が減少し発熱が止まる。これによって発熱層の昇温が停止する。以上が自己温度制御機能の原理である。
なお、ここで、表皮深さ(浸透深さ)δは、
δ=k(ρ/fμ)1/2
(k:定数、ρ:抵抗率、μ:比透磁率、f:周波数)
で定義され、透磁率の高い磁性体状態では磁束の浸透深さは非磁性体状態に比べ浅い。
また、渦電流負荷dは、
d=発熱層の体積抵抗率/δ
で定義される。
ただし、発熱層の厚み(=t)が磁束の浸透深さ以下では、渦電流負荷dは、
d=発熱層の体積抵抗率/t
で定義される。
上記の自己温度制御機能を定着回転体(定着スリーブ、定着ベルト又は定着ローラ)に活用することで、熱容量の小さい定着回転体を用いた際の端部温度上昇の問題が解決できる。
この端部温度上昇の問題とは、前述したように、小サイズ紙を通紙した際、用紙突入部は温度が用紙に奪われるが、用紙外部では熱量が奪われないため、中央部の設定温度を維持するように電力が投入されると、中央部に比べ端部の温度が極めて上昇するという問題である。そのために端部温度が過昇温となった場合は、中央と同じにならされるまで通紙を止める必要があり、利便性を損なっていた。また、これを行わないとホットオフセット画像が発生し、画像品質を保証できない。
しかし、上記のように整磁合金を用いた定着回転体と低抵抗の良導体(例えばAl)を組み合わた定着部材とすることで、端部温度が過昇温となった場合には、整磁合金はキュリー点で状態が転移し、負荷が適切でなくなることから、端部に電力投入がなされなくなり、端部温度上昇の問題が解決できる。
ここで、図17は整磁合金と低抵抗の良導体(例えばAl)を組み合わせた定着部材を用いた定着装置の一例を示す図であり、(a)は定着装置の概略構成図、(b)は定着部材の層構成を示す図である。図17に示す定着部材は、芯金と発泡ゴムからなる定着ローラ132の外周に、整磁合金とCu誘導発熱層を有する定着スリーブ131を設けた構成であり、この定着部材に加圧部材(加圧ローラ)133が圧接して設けられている。そして、定着スリーブ131の外周には、インバータ制御回路135に接続された誘導コイル134とコア133からなる磁束励磁手段が設けられており、磁束励磁手段からの磁束により定着スリーブ131のCu誘導発熱層が誘導加熱される。このような構成の定着装置では、定着ローラ132の芯金を低抵抗部材であるアルミニウム(Al)にすることで、図16に示したような自己温度制御機能が発揮される。
ただし定着スリーブ131の磁性体層として、この整磁合金を用いるためには、所謂定着スリーブ131と対向する加圧部材133により画像定着に必要なニップ幅を確保する必要があり、従って定着スリーブ131には適度な柔軟性が必要とされている。
そこで本発明者らは、これまで効率良い発熱を得るために、磁性体層(整磁合金)に加え、発熱層として体積抵抗率が5.0×10−8Ω・m以下の金属(図17中では定着スリーブ131のCu誘導発熱層)を用いているが、定着スリーブ131に適度な柔軟性を与える必要から整磁合金層には100μmの薄層を用い、発熱層も体積抵抗率が5.0×10−8Ω・m以下の金属を50μm以下の厚みで使用している。
これによりキュリー点以上での浸透深さが大きいため、磁束は定着ローラ132のAl芯金を透過して自己温度制御機能が発揮される。また、これに加えて、定着ローラ132と別体で芯金内に配置される、従来技術に示したような内部コア(フェライトローラ等)を設ける必要が無いので、定着部材の低熱容量化を果たしている。
一方、加圧部材133との圧接部でニップ幅を与えるには、定着スリーブ131の柔軟性だけでは充分でなく、定着スリーブ131内で適度な弾性を有したニップ形成部材(図17では定着ローラ132)を用い、これにより整磁合金層を有する定着スリーブ131を加圧部材136との間に挟みこむことでニップ幅を形成する必要がある。
ところが整磁合金の自己温度制御機能を充分に発揮させるには、磁束が定着ローラのAl芯金まで達するように、整磁合金層とAl芯金のギャップは7mm以下の距離とすることが望ましく、これにより弾性体の厚みが限定されることになり、定着ニップ幅を形成することを困難にしていた。すなわち、図18に示すように、定着ローラ132を構成する発泡ゴムの厚みを5mmと薄くした場合には、磁束はAl芯金を透過し自己温度制御機能が発揮されるが、発泡ゴムの厚みが薄くなり、ニップ幅の形成が困難になる。また、図19に示すように、定着ローラ132の発泡ゴムの厚みを10mmと厚くした場合には、ニップ幅の形成は容易になるが、磁束がAl芯金まで達しにくくなり、自己温度制御機能を充分に発揮させることができなくなる。
ここで、キュリー点以下での発熱量をW1とし、キュリー点以上の発熱量をW2として、発熱抑制率を、
(W1−W2)/W1×100[%]
として定義すると、自己温度制御機能は整磁合金と低抵抗部材(Al芯金)の距離(整磁合金−Alのギャップ)に依存し、実験的に自己温度制御機能発揮のためには発熱抑制率が45%必要であり、これは図20のグラフに示すように、発熱層と低抵抗部材(Al芯金)の距離にしておよそ7mmとなる。従って、図17に示すような、定着ローラ132の芯金を自己温度制御機能を得るための低抵抗部材として利用する構成では、定着ニップ幅の確保が困難である。
そこで、本発明は上記の点を考慮し、定着に必要なニップ幅を形成しつつも低熱容量化を実現し、整磁合金による自己温度制御機能を充分に発揮させることができる構成の定着部材と、その定着部材を備えた定着装置を開発するに至った。
すなわち、本発明では、加圧部材と対向して定着ニップを形成するとともに、磁束励磁手段によって電磁誘導加熱される定着部材を、キュリー点が100℃〜300℃の磁性体層を有する円筒状またはベルト状の定着回転体と、この定着回転体を挟んで磁束励磁手段と対向する位置に別体で配置され長手方向が前記定着回転体の幅方向に平行な低抵抗板状部材とを備える構成とする。より具体的には、本発明では、定着回転体として円筒状の定着スリーブまたはベルト状の定着ベルトを用い、この定着スリーブまたは定着ベルトを挟んで磁束励磁手段と対向する位置に、長手方向が定着回転体の幅方向に平行な低抵抗板状部材を別体で配置する。これにより低抵抗板状部材と磁性体層(整磁合金)との距離を、自己温度制御機能が確実に発揮できる距離(例えば5mm以下)に設定することができる。
また、低抵抗板状部材とは別に、定着スリーブまたは定着ベルト内に、加圧部材と対向して定着スリーブまたは定着ベルトを挟み込むニップ形成部材を設ければ、定着に必要なニップ幅をも確保することができる。
以下、本発明に係る定着部材と、これを用いた定着装置、及び、その定着装置を備えた画像形成装置の具体的な実施例について説明する。
図1は本発明の一実施例を示す定着装置の構成説明図であり、同図(a)は定着装置の概略構成を示す断面図、同図(b)は(a)に示す定着装置を構成する定着部材20の点線で囲んだ部分Aの層構成を示す概略要部断面図である。
図1に示すように、本実施例の定着装置19は、磁束励磁手段としての誘導加熱部24、この誘導加熱部24によって電磁誘導加熱される定着部材20と、定着部材20に圧接する加圧部材30を備えている。
磁束励磁手段としての誘導加熱部24は、コア部25(コイルコア)とコイル部26(誘導コイル)等で構成される。コイル部26は、定着部材20の外周の一部を覆うように配設されたコア部25(または図示しないコイルガイド)に細線を束ねたリッツ線を巻回して定着部材の幅方向(図1の紙面垂直方向)に延設したものである。コア部25は、強磁性体(例えば比透磁率が1000〜3000程度のフェライト等)からなり、定着部材20の定着回転体21に向けて効率のよい磁束を形成するためにセンターコア25aやサイドコア26bが設けられている。また、コア部25は、幅方向に延設されたコイル部25に対向するように設置されている。
定着部材20は、キュリー点が100℃〜300℃の磁性体層21dを有する円筒状の定着回転体21と、この定着回転体21を挟んで誘導加熱部24と対向する位置に別体で配置され長手方向が定着回転体21の幅方向に平行な低抵抗板状部材22とを備えている。また、定着回転体21内には、加圧部材30と対向する位置にローラ状で回転可能なニップ形成部材23が設けられており、このニップ形成部材23と加圧部材30とが定着回転体21を挟んで圧接し、定着ニップを形成している。
ここで、円筒状の定着回転体21は弾性変形が可能な定着スリーブであり、例えば図1(b)に示すように、磁性体層21d、低抵抗の誘導発熱層21c、弾性層21b、離型層21aの4層を積層して形成されている。なお、本実施例では4層構成としているが、誘導発熱層を省略した3層構成とすることもでき、この場合は、磁性体層21dが誘導発熱層を兼ねた構成となる。しかし、非磁性材料からなる低抵抗の誘導発熱層21aを設けることにより、誘導加熱部24に高周波用のインバータ制御回路(周波数10kHz〜1MHz)を用いて発熱効率を向上することができるので、低抵抗の誘導発熱層21cを設けるほうが好ましい。
定着スリーブ21の磁性体層21dは、例えばキュリー点が100℃〜300℃のFe−NiやCu−Ni等の整磁合金からなる層であり、その厚みは100μm以下である。
誘導発熱層21cは、例えば体積抵抗率が5.0×10−8Ω・m以下の非磁性の金属または合金等で形成され、その厚みは50μm以下である。ここでは一例として、非磁性材料の銅(Cu)で形成されたメッキ層(メッキに限らず、スパッタや蒸着などで形成してもよい)としているが、良導体であれば、その他の金属や合金を用いることができる。
弾性層21bは、定着スリーブ21の基材を兼ねた弾性材料からなり、一例としては厚みが数百μm(例えば200μm)のシリコーンゴム(Siゴム)で形成されている。
離型層21aは、例えばPFA(四フッ化−パーフルオロアルキルビニルエーテル樹脂)等のフッ素化合物で形成され、その厚さは数十μm(例えば30μm)になっている。この離型層21aは、記録媒体P上のトナー像(トナー)Tが直接的に接する定着スリーブ21表面のトナー離型性を高めるためのものである。
上記のように、定着スリーブ21の基材をシリコーンゴム(Siゴム)等の弾性層21bで構成し、その一面に誘導発熱層21cと磁性体層21dを形成し、磁性体層21dの厚みを100μm以下、誘導発熱層21cの厚みを50μm以下に設定することにより、定着スリーブ21にニップ形成に必要な柔軟性を与えることができる。
この柔軟性は、主に曲げ剛性で考えられ、金属からなる誘導発熱層21cを定着スリーブ21に使用した際には、定着スリーブ21の薄肉化により、厚みの3乗で断面2次モーメントが低下することで機械強度(曲げ剛性)が低下し、柔軟性が与えられる。
なお、曲げ剛性は、
曲げ剛性=E×I
(E:ヤング率、I:断面2次モーメント)
で定義される。
定着スリーブ21を挟んで誘導加熱部24と対向する位置に別体で配置された低抵抗板状部材22は、定着部材20の幅方向(図1の紙面に垂直な軸方向)に延設して設置されている。そして、この低抵抗板状部材22の断面形状は、定着スリーブ21の曲率に沿った円弧形状をしており、板状部材の端部での急激な曲率の変化により、定着スリーブ21の磁性体層21dや誘導発熱層21cを構成する金属や合金が破断することを防止している。また、この低抵抗板状部材22の体積抵抗率は5.0×10−8Ω・m以下であり、非磁性の金属または合金の板材(例えばアルミニウム(Al)板、銅(Cu)板等)22bで形成されている。
ここで、本発明では、図1に示す定着部材20のように、定着回転体である定着スリーブ21に設けた磁性体層(整時合金)21dと、定着スリーブ21内に別体で配置した低抵抗板状部材22との組み合わせることにより自己温度制御機能を発揮することが特徴であるが、その作用効果について簡単に説明する。なお、ここでは図1の実施例に対する比較例として、図2に示すように、磁性体層の代わりに非磁性のステンレススチール(SUS)層とした定着スリーブ21を用い、低抵抗板状部材を省いた構成の定着装置を例に挙げて説明する。
従来から電磁誘導加熱用の発熱層としてよく用いられている非磁性のステンレススチール(SUS)では、加熱を続けた場合、図4に示すように、温度が上昇し続ける。これに対して、前述の整磁合金の場合は、キュリー点を越えると昇温を抑える効果が発現するが、先に述べたように、整磁合金単体より、アルミニウム(Al)等の低抵抗体(良伝導体)を組み合わせる方がキュリー点を越えたときの加熱を抑制する効果が上がる。すなわち、キュリー点を越えると、整磁合金が非磁性体となり、磁束が低抵抗体(Al)を通るようになって、負荷が最適ではなくなり、回路に投入する電力が低下して発熱が止まる。
また、常温から200℃では、非磁性SUSと、整磁合金+Alとで、フルパワーで加熱を続けた場合の温度上昇カーブを比べると、図4のように、整磁合金+Alの場合は、キュリー点に近づくにつれて温度上昇が緩やかになる、すなわち立ち上がり性能は落ちる。そこで、整磁合金を使用しても安全性を損なわない範囲で、立ち上がり性能を改善することが必要であり、かつ安全性に優れる定着部材を備えることが重要となる。
図2の比較例は、発熱層を非磁性のSUS(基材)+銅(Cu)発熱層(例えば銅メッキ層)とした場合の構成である。外部の誘導加熱部24により発熱層を誘導加熱し、図示しない温度センサ(サーミスタ、サーモパイル等)により定着スリーブ21の温度を検知して、誘導加熱部24のコイル26に供給する電力を増減して目標温度に制御するものとする。一方、本実施例では図1の構成例のように、発熱層を、キュリー点以下では磁性体である整磁合金(基材)+銅(Cu)発熱層(銅メッキ層)とし、低抵抗体(例えばAl)を配置している。この場合も、上述の比較例と同様に温度センサを使用して目標温度に制御する。
ここで両者のウォームアップ時の温度変化を比較すると、図5に示すように、(A)の非磁性SUSの場合は、温度上昇の立ち上がりが比較的早い。(B)の整磁合金+Alの場合は、キュリー点に近づくにしたがって磁性が失われていき、投入電力が減って発熱しにくくなるので、目標温度に近づくにつれ温度上昇が緩やかになる。ゆえに(A)の非磁性SUSに比べると立ち上がりが遅くなる。そこで、これを改善することを検討する。
定着装置で過昇温が特に問題となるのは、小サイズの記録媒体を連続通紙した時に、定着スリーブの両端部で熱が蓄積され、温度が過剰に上昇するというものであり、定着スリーブの中央部では記録媒体に熱が奪われるので、過昇温は起こさない。したがって、図1の構成で、磁性体層(整磁合金)と低抵抗板状部材22との組み合わせによる自己温度制御機能は、定着スリーブ21の両端側で特に必要であり、定着スリーブ21の中央部ではあまり必要ではない。また、定着スリーブ中央部での自己温度制御機能を弱めた方がウォームアップ時の立ち上がりを早くできる。
以上の点から、本発明では、磁性体層(整磁合金)と組み合わせる低抵抗板状部材22は、長手方向(定着回転体の幅方向)の厚みを変化させており、具体的には、長手方向中央部の厚みを、両端部の厚みよりも薄くしている。すなわち、長手方向の厚みを変化させることで、安全性を損なわない範囲で、立ち上がり性能を改善できる。
また、低抵抗板状部材は、長手方向両端部の厚みが磁束の浸透深さ以上とする。このように、低抵抗板状部材22の両端部の厚さを浸透深さよりも厚くすることにより、定着スリーブの両端部で確実に自己温度制御機能を発揮させることができ、定着スリーブ端部の温度上昇を、ある程度以下に抑えられるので、安全性を確保できる。
より具体的に説明すると、本実施例では、定着スリーブ21の磁性体層(整磁合金)21dと低抵抗板状部材(例えばAl板)22のギャップは2mmとする。低抵抗板状部材22は、軸方向から見ると、定着スリーブ21の内周に沿って円を切り欠いたような形状(円弧形状)であるが、図3に示すように、長手方向中央部の低抵抗板状部材22の厚さを両端部より薄くし、磁束の浸透深さよりも薄くする。ここで誘導加熱部24のコイルに通電される交流の周波数を30kHzとした場合、Alの浸透深さは0.38mmである。そこで、図3に示すように、低抵抗板状部材22の厚さを、中央部0.1mm、両端部0.5mmとすると、中央部の低抵抗体板状部材22の厚さは浸透深さよりも薄く、両端部の厚さは浸透深さよりも厚くなる。
ここで、ある目標温度(定着温度)を維持するように電力を制御したとき、中央部、および端部での、スリーブ表面の温度変化は模式的に図6のようになる。
キュリー点以下での発熱量をW1、キュリー以上の発熱量をW2とし、発熱抑制率を、
発熱抑制率=(W1−W2)/W1×100[%]
として定義すると、実験の結果、磁性体層(整磁合金)と組み合わせる低抵抗板状部材(Al板)22の厚さが0.1mmのとき発熱抑制率が60%、厚さが0.5mmのとき発熱抑制率が80%であるという結果が得られている。そして、この差が、図6に示すように、(2)と(3)の温度上昇カーブの鈍り方の差となって現れている。図6では比較のため非磁性SUSの温度上昇カーブも合わせて図示してあるが、整磁合金と組み合わせる低抵抗板状部材(Al板)の厚さを中央部で0.1mmとして、浸透深さより薄くすることにより、温度上昇時の立ち上がり性が改善されることがわかる
次に、ある温度で制御するのではなく、最大電力を投入し続ける場合の温度変化を考える。定着スリーブ21の磁性体層(整磁合金)21dと低抵抗板状部材(Al板)22とのギャップが2mmの場合に、低抵抗板状部材(Al板)22の厚さと連続加熱時の温度上昇の関係は図7のようになる。整磁合金と組み合わせる低抵抗板状部材(Al板)22の中央部の厚さは0.1mmと浸透深さより薄いが、このときの中央部の発熱抑制率は60%であるため、比較例で示した非磁性SUSの場合に比べれば、温度上昇を抑制することができる。また、電力を入れ続けると加熱が止まることのない非磁性SUSと比べると安全である。
一方、両端部では、低抵抗板状部材(Al板)22の厚さが0.5mmで、発熱抑制率が80%であるため、キュリー点以上で磁性を失うと、発熱が大幅に減って、温度上昇があまり起こらなくなる。したがって、小サイズ連続通紙の場合にも、定着スリーブ21の両端部はある温度以上に加熱されることがなく、安全性を確保できる。また、通紙する記録媒体Pのサイズによって、端部には紙が通過したり、しなかったりするが、定着スリーブ21の中央部にはどのサイズの場合でも記録媒体Pが通過するので、中央部では両端部のように温度上昇を抑制する必要はない。その結果、立ち上がり時にも中央部が少し速く立ち上がり、使い勝手が向上する。すなわち、図6に示すように、低抵抗板状部材(Al板)22の全体の厚さが(3)の0.5mmの場合は、立ち上がり時の時間がt2かかるが、低抵抗板状部材(Al板)22の中央部の厚さを(2)の0.1mmとした場合は、立ち上がり時の時間がt1であり、ウォームアップに要する時間(プリントOKとなる時間)を早くすることができる。すなわち、低抵抗板状部材22の長手方向中央部の厚みを、両端部の厚みよりも薄くすることで、安全性を損なわない範囲で、立ち上がり性能を改善できる。
次に本発明の別の例として、低抵抗板状部材22は、定着スリーブ21の周方向に回転可能に設けることができ、この場合には、周方向の厚みを部分的に変化させる。
また、低抵抗板状部材22の回転位置は、定着する記録媒体Pのサイズによって切替えられるようにする。
さらに、定着される記録媒体Pのサイズが小サイズのときは、低抵抗板状部材の両端部の厚みが厚い部分が磁束励磁手段との対向部に位置するようにする。
具体的に説明すると、図8に示すように、低抵抗板状部材(Al板)22の厚さが、両端0.5mm、中央0.1mmである状態の部分を22−1とし、長手方向全体で0.1mmである状態の部分を22−2とする。つまり、低抵抗板状部材(Al板)22の両端では、周方向の厚みを変化させる。また、この場合は、低抵抗板状部材22の周方向の幅(円弧形状の長さ)は、誘導加熱部24による加熱幅(図1の矢印Bで示す加熱領域全体の幅)よりも大きくする。そして、この低抵抗板状部材22を定着スリーブ21の周方向に回転する手段(例えば、板状部材の両端部をスイングアーム等の機構で支持し、ステッピングモータやソレノイド等の駆動手段を利用して周方向に微小距離回転する等)を設けて、定着する記録媒体Pのサイズによって、誘導加熱部24に対向する部分(磁束に影響する部分)が符号22−1と22−2で示す部分のいずれか一方になるように切り替えられるようにする。
そして、立ち上がり時および大サイズの記録媒体Pの通紙時は、低抵抗板状部材22の符号22−2の部分が誘導加熱部24と対向する位置にくるようにし、小サイズの記録媒体Pの通紙時は、低抵抗板状部材22の符号22−1の部分が誘導加熱部24と対向する位置にくるように回転位置の切り替えを行う。このように回転位置を切替えることにより、立ち上がり時や大サイズの記録媒体Pの通紙時は、低抵抗板状部材22の長手方向の全体で厚さが0.1mmの部分22−2が誘導加熱部24と対向するため、温度上昇が適切(キュリー点近傍での鈍り方がそれほど大きくなく、連続加熱しても非磁性SUSのように急激に温度上昇し続けるほどでもない)であり、小サイズの記録媒体Pの通紙時には、長手方向の非通紙部分(両端部)での低抵抗板状部材22の厚さが0.5mm(浸透深さより厚い)、中央部の厚さが0.1mm(浸透深さより薄い)となる部分22−1が誘導加熱部24と対向するため、小サイズの記録媒体では熱が奪われない非通紙部分(両端部)でも、自己温度制御機能により温度がそれ程上昇することがなく、両端部での過昇温を防止して安全性を確保することができる。
このように、図8に示す例では、低抵抗板状部材22を、定着スリーブ21の周方向に回転可能に設け、周方向の厚みを部分的に変化させるとともに、低抵抗板状部材22の回転位置は、定着する記録媒体Pのサイズによって切替えられるようにすることにより、小サイズの記録媒体Pの連続通紙時の温度上昇を低減することができ、安全性を確保することができる。
すなわち、定着される記録媒体Pのサイズが小サイズのときは、低抵抗板状部材22の両端部の厚みが厚い部分(浸透深さより厚い部分)が誘導加熱部24との対向部に位置するように回転位置を切替えるので、小サイズの記録媒体Pの連続通紙時にも、定着スリーブ両端部での過昇温を防止でき、安全性を確実に確保することができる。
さらに本発明の別の例として、定着スリーブ21が非回転時は、低抵抗板状部材22の長手方向の厚みが磁束の浸透深さ以上である部分が、誘導加熱部24との対向部に位置するようにするとよい。
具体的に説明すると、図9に示すように、低抵抗板状部材(Al板)22の厚さが、両端0.5mm、中央0.1mmである状態の部分を22−1とし、長手方向全体で0.1mmである状態の部分を22−2とし、長手方向全体で0.5mmである状態の部分を22−3として、周方向で3つの領域に分ける。つまり、低抵抗板状部材(Al板)22の両端と、中央部で、周方向の厚みを変化させる。また、この場合も、低抵抗板状部材22の周方向の幅(円弧形状の長さ)は、誘導加熱部24による加熱幅(図1の矢印Bで示す加熱領域全体の幅)よりも大きくする。そして、この低抵抗板状部材22を定着スリーブ21の周方向に回転可能にして、定着する記録媒体Pのサイズや、定着スリーブ21の回転、非回転の状態によって、誘導加熱部24に対向する部分(磁束に影響する部分)が符号22−1、22−2、22−3で示す部分のいずれかになるように切り替えられるようにする。なお、定着する記録媒体Pのサイズに応じて切替える場合は、図8と同様の動作となる。
図9の例では、定着スリーブ21の回転を検知する手段(図示せず)を備えた構成として、定着スリーブ21の非回転時には、低抵抗板状部材22の符号22−3の部分が誘導加熱部24と対向する位置にくるように回転位置の切り替えを行う。
電磁誘導加熱では、急速に温度上昇するため、定着スリーブの非回転時を検知して加熱をOFFとすることが知られているが、本例では、さらに非回転時には、低抵抗板状部材22の長手方向全体で浸透深さよりも厚い部分22−3が誘導加熱部24と対向する位置にくるように回転位置の切り替えを行う。これにより、万一何らかの原因で加熱されてしまった場合も、誘導加熱部24との対向部には、低抵抗板状部材22の長手方向全体で浸透深さよりも厚い部分22−3が位置しているので、前述の自己温度制御機能により、キュリー点を越えての温度上昇がほぼ抑制されるので、定着スリーブの中央部でも、過剰な温度上昇を防止でき、従来よりも確実に安全性を確保することができる。
次に本実施例の定着装置の構成について、さらに説明を加える。
本実施例の定着装置における定着部材20では、低抵抗板状部材22を、ニップ形成部材23とは独立させて、誘導加熱部24と対向する位置に別体で配置しているので、定着スリーブ21に近接して低抵抗板状部材22を配置することが容易であり、定着スリーブ21の磁性体層21dと低抵抗板状部材22との距離を容易に縮めることが可能であり、定着部材20が自己温度制御機能を確実に発揮するための距離(磁性体層21dと低抵抗板状部材22とのギャップ:5mm以下)に容易に設定することができる。
また、本実施例の定着部材20では、低抵抗板状部材22を構成するAl板材と定着スリーブ21の間に断熱部材(図示せず)を設けてもよい。このように、断熱部材で低抵抗板状部材22が定着スリーブ21に直接接触することを規制する事で、定着スリーブ21から低抵抗板状部材22への熱移動が抑制される。これにより実質的な低熱容量化が実現できる。なお、断熱部材としては、所謂発泡素材のものやフェルトなどを用いることができる。
図1に示す構成の定着装置19では、定着部材20の定着スリーブ21内には、加圧部材30と対向する位置にローラ状で回転可能なニップ形成部材23が設けられており、このニップ形成部材23と加圧部材30とが定着スリーブ21を挟んで圧接し、定着ニップを形成している。そして、このような定着ニップ形成用のニップ形成部材23と、上記の低抵抗板状部材22とを別々に設けたことにより、自己温度制御機能発揮のための構成と、定着ニップ形成用の構成を両立させることができ、定着に必要なニップ幅を形成しつつも低熱容量化を実現し、昇温効率を低下させることなく幅方向両端部における過昇温をも確実に防止できる。
図1に示す構成の定着装置19では、ニップ形成部材23は、芯材23aを軸として、その周囲にローラ状の弾性変形が可能な断熱材23bを設けた2層構成であり、芯材23aを中心に回転可能となっている。
また、加圧部材30は、芯金30aと、シリコーンゴム等の弾性材料で形成される弾性層30bを有する加圧ローラであり、この加圧ローラ30は、定着部材20の定着スリーブ21内に設けたニップ形成部材23に対向して配置されている。そして、加圧ローラ30で定着スリーブ21をニップ形成部材23側に加圧して定着ニップを形成する。この際、ニップ形成部材23の断熱材23bは、加圧ローラ30よりも柔らかい弾性材料(例えばウレタンゴム等の発泡材料)からなり、定着ニップ部では、定着スリーブ21側が凹形状に凹む構成となっている。これにより記録媒体P上のトナー像Tを定着する際に必要なニップ幅を確実に確保することができる。
以上に説明した図1に示す構成の定着装置では、ニップ形成部材23は2層構成のローラとしたが、芯材23aの無い、1層構成のローラとしても良い。また、ローラ状に限定されるものではなく、ニップ形成部材23にパッド状部材を用いてもよい。
ここで、図10は本発明の別の実施例を示す定着装置の概略構成図であり、ニップ形成部材23をパッド状部材27で構成した例である。このパッド状部材27は断熱材からなり、バネ等の押圧部材で加圧ローラ30側に押圧されて定着ニップを形成する。この際、ニップ形成部材23のパッド状部材27は、加圧ローラ30よりも柔らかい弾性材料(例えばウレタンゴム等の発泡材料)からなり、定着ニップ部では、定着スリーブ21側が凹形状に凹む構成となっている。これにより図1の構成と同様に、記録媒体P上のトナー像Tを定着する際に必要なニップ幅を確実に確保することができる。
ところで、図1に示す構成の定着装置では、定着部材20と加圧ローラ30を回転する駆動手段は、ローラ状のニップ形成部材23と加圧ローラ30のいずれか一方に設けられ、駆動手段により一方が回転され、他方が従動回転する構成である。そして定着駆動時には、ニップ形成部材23が時計回りに回転し、加圧ローラ30が反時計周りに回転し、定着スリーブ21が時計回りに回動して、トナー像を担持した記録媒体Pを定着ニップ部で挟持搬送し、誘導加熱部24で加熱された定着スリーブ21による加熱と、加圧ローラ30による加圧で、トナー像を記録媒体Pに定着する。
一方、図10に示す構成の定着装置のように、ニップ形成部材23をパッド状部材27で構成した場合は、パッド状部材27は回転することができないので、定着部材20と加圧ローラ30を回転する駆動手段は、加圧ローラ30側にのみ設けられ、加圧ローラ30が反時計周りに回転することによって。定着スリーブ21を時計回りに回動させる構成となる。そして定着駆動時には、加圧ローラ30が反時計周りに回転し、定着スリーブ21を時計回りに回動して、トナー像を担持した記録媒体Pを定着ニップ部で挟持搬送し、誘導加熱部24で加熱された定着スリーブ21による加熱と、加圧ローラ30による加圧で、トナー像を記録媒体Pに定着する。
なお、図1に示す構成の定着装置では、低抵抗板状部材22は定着スリーブ21の内部に別体で固定配置されているが、定着スリーブ21の磁性体層(整磁合金)に近接させているため、定着スリーブ21の回動時に、低抵抗板状部材22に設けた断熱部材と定着スリーブ21の内周面が接触する状態となり、摺動時の摩擦による疲労で、定着スリーブ21の内周面側に形成された磁性体層が破断する恐れがある。また、図10に示す構成の定着装置では、ニップ形成部材23をパッド状部材27で構成しているので、定着スリーブ21の回動時には、パッド状部材27と定着スリーブ21の内周面とが摺動する状態となり、定着スリーブ21の内周面側に形成された磁性体層が摩擦による疲労で破断する恐れがある。そこで、本実施例では、このような問題を解消するため定着スリーブ21の内周面に潤滑剤を塗布する構成とした。
本実施例の定着装置では、定着スリーブ21内に摺動部材を配する構成となっているため、摩擦による疲労が起こるが、潤滑剤を塗布することで摩擦による疲労を大幅に低減でき、磁性体層の破断等の問題を低減することができる。なお、潤滑剤としては、フッ素グリスやシリコーンオイルに代表されるような潤滑剤を適宜使用できる。また、この潤滑剤を、例えば低抵抗板状部材22に設けた断熱部材や、ニップ形成部材23を構成するパッド状部材27に予め染み込ませておく等の手段により、定着スリーブ21の内周面に潤滑剤を容易に塗布することができる。
以上、本発明に係る定着部材及び定着装置の実施例を説明したが、定着部材20を構成する定着回転体は、図1や図10に示したような円筒状の定着スリーブ21に限るものではなく、定着ベルトで構成しても良い。
図11はその一実施例を示すものであって、定着回転体として定着ベルトを用いた定着装置の概略構成図である。図11に示す定着装置においては、磁束励磁手段である誘導加熱部24や、加圧部材である加圧ローラ30の構成は、図1の定着装置と同じであるが、定着部材20を構成する定着回転体が、低抵抗板状部材22とニップ形成部材23とで支持される可撓性を有する定着ベルト28で構成されている。
この定着ベルト28の層構成は、例えば図1(b)の定着スリーブ21の層構成と同様であり、磁性体層、低抵抗の誘導発熱層、弾性層、離型層の4層を積層して形成されている。定着ベルト28の磁性体層は、例えばキュリー点が100℃〜300℃のFe−NiやCu−Ni等の整磁合金からなる層であり、その厚みは100μm以下である。誘導発熱層は、例えば体積抵抗率が5.0×10−8Ω・m以下の非磁性の金属または合金等で形成され、その厚みは50μm以下である。ここでは一例として、非磁性材料の銅(Cu)の薄層をメッキで形成して誘導発熱層としているが、スパッタや蒸着等で形成してもよく、また、材料も良導体であれば、その他の金属や合金でもよい。
弾性層は、定着ベルト28の基材を兼ねたシリコーンゴム(Siゴム)等の弾性材料で形成されており、可撓性を有するベルトとしての機能を失わない厚さに形成されている。
離型層は、例えばPFA(四フッ化−パーフルオロアルキルビニルエーテル樹脂)等のフッ素化合物の薄層で形成されている。
上記のように、定着ベルト28の基材をシリコーンゴム(Siゴム)等の弾性層で構成し、その一面に誘導発熱層と磁性体層を形成し、磁性体層の厚みを100μm以下、誘導発熱層21cの厚みを50μm以下に設定することにより、定着ベルト28にニップ形成に必要な柔軟性を与えることができる。
定着ベルト28は、誘導加熱部24のコイル26に沿って対向して固定配置されている断面形状を円弧状に形成された低抵抗板状部材22と、回転可能なローラ状のニップ形成部材23とで回動可能に支持されており、誘導加熱部24で、前述の定着スリーブと同様に誘導加熱される。また、この際の、自己温度制御機能の概要は前述の定着スリーブを用いた場合と同様であり、低抵抗板状部材22の構成も前述したとおりである。
定着ベルト28がニップ形成部材23に架設された位置では加圧部材30が圧接し、定着ニップを形成している。この際、ニップ形成部材23の断熱材23bは、加圧ローラ30よりも柔らかい弾性材料(例えばウレタンゴム等の発泡材料)からなり、定着ニップ部では、定着ベルト28側が凹形状に凹む構成となっている。これにより記録媒体P上のトナー像Tを定着する際に必要なニップ幅も確実に確保することができる。
図11に示す構成の定着装置では、定着部材20と加圧ローラ30を回転する駆動手段は、ローラ状のニップ形成部材23と加圧ローラ30のいずれか一方に設けられ、駆動手段により一方が回転され、他方が従動回転する構成である。そして定着駆動時には、ニップ形成部材23が時計回りに回転し、加圧ローラ30が反時計周りに回転し、定着ベルト28が時計回りに回動して、トナー像を担持した記録媒体Pを定着ニップ部で挟持搬送し、誘導加熱部24で加熱された定着ベルト28による加熱と、加圧ローラ30による加圧で、トナー像を記録媒体Pに定着する。
図11に示す構成の定着装置では、低抵抗板状部材22は定着ベルト28の内部に別体で固定配置されているが、定着ベルト28の支持部材を兼ねた構成としているため、定着ベルト28の回動時に、低抵抗板状部材22(あるいは低抵抗板状部材22に設けた断熱部材)と定着ベルト28の内周面が接触する状態となり、摺動時の摩擦による疲労で、定着ベルト28の内周面側に形成された磁性体層が破断する恐れがある。そこで、本実施例では、このような問題を解消するため定着ベルト28の内周面に潤滑剤を塗布する構成としている。
本実施例の定着装置では、定着ベルト28内に摺動部材を配する構成となっているため、摩擦による疲労が起こるが、潤滑剤を塗布することで摩擦による疲労を大幅に低減でき、磁性体層の破断等の問題を低減することができる。なお、潤滑剤としては、前述したように、フッ素グリスやシリコーンオイルに代表されるような潤滑剤を適宜使用できる。また、この潤滑剤を、例えば低抵抗板状部材22に設けた断熱部材に予め染み込ませておく等の手段により、定着ベルト28の内周面に潤滑剤を容易に塗布することができる。
以上、本発明に係る定着部材及び定着装置の実施例を説明したが、次に本発明の定着装置を用いた画像形成装置の実施例を説明する。
上述の実施例で説明した定着装置は、モノクロの複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ等の画像形成装置に好適に利用できることは言うまでもないが、発熱効率が良く、立ち上がりが早く、自己温度制御機能による過昇温防止効果にも優れているので、高品質な定着性能が得られ、多色やフルカラー画像を形成する画像形成装置に利用するのに好適である。そこで、ここでは、フルカラー画像形成装置の構成例を説明する。
図12は画像形成装置全休の構成例を示す概略構成図である。
図12において、符号1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、3は原稿Dを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、7は転写紙等の記録媒体Pが収容される給紙部、9は記録媒体Pの搬送タイミングを調整するレジストローラ、11Y、11M、11C、11BKはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が形成される感光体ドラム(像担持体)、12は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上を帯電する帯電部、13は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成される静電潜像を現像する現像部、14は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成されたトナー像を記録媒体P上に重ねて転写する転写パイアスローラ、15は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の未転写トナーを回収するクリーニング部、を示している。
また、符号16は転写ベルト17を清掃する転写ベルトクリーニング部、17は複数色のトナー像が記録媒体P上に重ねて担持されるように記録媒体Pを搬送する転写ベルト、19は記録媒体P上のトナー像(未定着画像)を定着する電磁誘導加熱方式の定着装置、を示している。
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部3の搬送ロ一ラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス5上の原稿Dの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Dにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Dのカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光(露光光)が、それぞれ、対応する感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に向けて発せられる。
一方、4つの感光休ドラム11Y、11M、11C、11BKは、それぞれ、図1の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Bkの表面は、帯電部12との対向部で、一様に帯電される(帯電工程)。こうして、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Bk上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11Y、11M、11C、11Bk表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程)。
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目の感光体ドラム11Y表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部12にて帯電された後の感光体ドラム11Y上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11M表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11C表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙同左から4番目の感光休ドラム11BK表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、現像部13との対向位置に達する。そして、各現像郎13から感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の潜像が現像される(現像工程)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、転写ベルト17の内周面に当接するように転写バイアスローラ14が設置されている。そして、転写バイアスロ一ラ14の位置で、転写ベルト17上の記録媒体Pに、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(転写工程)。
そして、転写工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、クリーニング部15との対向位置に達する。そして、クリーニング部15で、感光体11Y、11M、11C、11BK上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程)。
その後、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、不図示の除電部を通過して除電され、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
他方、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の各色のトナーが重ねて転写(担持)された記録媒体Pは、図中の矢印方向に走行して、分離チャージャ18との対向位置に達する。そして、分離チャージャ18との対向位置で、記録媒体Pに蓄積された電荷が中和されて、トナーのちり等を生じさせることなく記録媒体Pが転写ベルト17から分離される。
その後、転写ベルト17表面は、転写ベルトクリーニング郎16の位置に達する。そして、転写ベルト17上に付着した付着物が転写ベルトクリーニング部16に回収される。
ここで、転写ベルト17上に搬送される記録媒体Pは、絵紙部7からレジストローラ9等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送された記録媒体Pが、不図示の搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9に導かれる。レジストローラ9に達した記録媒体Pは、タイミングを合わせて、転写ベルト17の位置に向けて搬送される。
そして、上記の転写工程を経てフルカラー画像が転写された記録媒体Pは、転写ベルト17から分離された後に定着装置19に導かれる。
定着装置19は前述の実施例で説明した構成の電磁誘導加熱式の定着装置であり、この定着装置19では、誘導加熱部24で電磁誘導加熱される定着部材20と、加圧ローラ30とのニップにて、未定着のカラートナー像を担持した記録媒体Pが加熱・加圧され、カラー画像(トナー)が記録媒体P上に定着される(定着工程)。
そして定着工程後の記録媒体Pは、不図示の排紙ローラによって、装置本体1外の図示しない排紙トレイ等に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
図12に示す画像形成装置では、前述の定着装置の実施例で説明したような(図1、図10、図11のいずれかの構成)、立ち上がりの早い昇温を行うことができ、かつ昇温効率を低下させることなく幅方向両端部における過昇温をも確実に防止できる、安全性に優れた低コストな定着装置19を備えることにより、低コストで省エネルギー効果を得られ、定着性も良好で、安全性にも優れている。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は前記実施例に示した構成に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内において、前記実施例の中で示唆した以外にも、前記実施例は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記実施例の構成部材の数、配置、形状等は前記実施例に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、配置、形状等にすることができる。
本発明の一実施例を示す定着装置の構成説明図である。 本発明に対する比較例を示す定着装置の構成説明図である。 本発明の定着装置に用いる低抵抗板状部材の構成例を示す概略斜視図である。 定着部材の発熱層に、非磁性SUSを用いた場合の連続加熱時の温度上昇特性と、発熱層に整磁合金を用いて低抵抗体(Al)と組み合わせた場合の連続加熱時の温度上昇特性とを示す図である。 定着部材の発熱層に非磁性SUSを用いた場合の目標温度への温度上昇特性と、発熱層に整磁合金を用いて低抵抗体(Al)と組み合わせた場合の目標温度への温度上昇特性とを示す図である。 定着部材の発熱層に非磁性SUSを用いた場合の目標温度への温度上昇特性と、発熱層に整磁合金を用いて低抵抗板状部材(Al)と組み合わせ、その厚さを変えた場合の目標温度への温度上昇特性とを示す図である。 定着部材の発熱層に非磁性SUSを用いた場合の連続加熱時の温度上昇特性と、発熱層に整磁合金を用いて低抵抗板状部材(Al)と組み合わせ、その厚さを変えた場合の連続過熱時の温度上昇特性とを示す図である。 本発明の定着装置に用いる低抵抗板状部材の別の構成例を示す概略斜視図である。 本発明の定着装置に用いる低抵抗板状部材のさらに別の構成例を示す概略斜視図である。 本発明の別の実施例を示す定着装置の構成説明図である。 本発明の別の実施例を示す定着装置の構成説明図である。 本発明の別の実施例を示す画像形成装置の構成説明図である。 従来技術の一例を示す定着装置の概略構成図である。 従来技術の別の例を示す定着装置の概略構成図である。 従来技術の別の例を示す定着装置の概略構成図である。 本発明に係る定着部材の自己温度制御機能の原理の説明図である。 自己温度制御機能を有する定着装置の基本構成の説明図である。 図17に示す構成の定着装置の課題の説明図である。 図17に示す構成の定着装置の別の課題の説明図である。 整磁合金と低抵抗部材(Al)のギャップに対する、磁気結合率及び発熱抑制率の関係を示すグラフである。
符号の説明
1 画像形成装置本体(装置本体)
19 定着装置
20 定着部材
21 定着スリーブ(定着回転体)
21a 離型層
21b 弾性層
21c 誘導発熱層
21d 磁性体層(整磁合金)
22 低抵抗板状部材
23 ニップ形成部材
24 誘導加熱部(磁束励磁手段)
25 コア部(コイルコア)
26 コイル部(誘導コイル)
27 パッド状部材
28 定着ベルト(定着回転体)
30 加圧ローラ(加圧部材)
P 記録媒体
T トナー像

Claims (30)

  1. 加圧部材と対向して定着ニップを形成するとともに、磁束励磁手段によって電磁誘導加熱される定着部材であって、
    キュリー点が100℃〜300℃の磁性体層を有する円筒状またはベルト状の定着回転体と、前記定着回転体を挟んで前記磁束励磁手段と対向する位置に別体で配置され長手方向が前記定着回転体の幅方向に平行な低抵抗板状部材とを備え、前記低抵抗板状部材の長手方向の厚みが変化していることを特徴とする定着部材。
  2. 請求項1に記載の定着部材において、
    前記定着回転体は、低抵抗の誘導発熱層を有することを特徴とする定着部材。
  3. 請求項1または2に記載の定着部材において、
    前記低抵抗板状部材の断面形状は、前記定着回転体の曲率に沿った円弧形状としたことを特徴とする定着部材。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の定着部材において、
    前記低抵抗板状部材は、長手方向中央部の厚みが、両端部の厚みよりも薄いことを特徴とする定着部材。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の定着部材において、
    前記低抵抗板状部材は、長手方向両端部の厚みが磁束の浸透深さ以上であることを特徴とする定着部材。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の定着部材において、
    前記低抵抗板状部材は、前記定着回転体の周方向に回転可能であり、かつ前記周方向の厚みが部分的に変化していることを特徴とする定着部材。
  7. 請求項6に記載の定着部材において、
    前記低抵抗板状部材の回転位置は、定着する記録媒体のサイズによって切替えられることを特徴とする定着部材。
  8. 請求項7に記載の定着部材において、
    定着される記録媒体のサイズが小サイズのときは、前記低抵抗板状部材の両端部の厚みが厚い部分が前記磁束励磁手段との対向部に位置することを特徴とする定着部材。
  9. 請求項6または7に記載の定着部材において、
    前記定着回転体が非回転時は、前記低抵抗板状部材の長手方向の厚みが磁束の浸透深さ以上である部分が、前記磁束励磁手段との対向部に位置することを特徴とする定着部材。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の定着部材において、
    前記磁性体層は温度によって磁束の透過を制御する整磁機能を有し、前記低抵抗板状部材との組み合わせにより自己温度制御機能を有することを特徴とする定着部材。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の定着部材において、
    前記低抵抗板状部材の体積抵抗率は5.0×10−8Ω・m以下であることを特徴とする定着部材。
  12. 請求項2乃至11のいずれか1項に記載の定着部材において、
    前記定着回転体の誘導発熱層は体積抵抗率が5.0×10−8Ω・m以下であることを特徴とする定着部材。
  13. 請求項11に記載の定着部材において、
    前記低抵抗板状部材は非磁性の金属または合金からなることを特徴とする定着部材。
  14. 請求項12に記載の定着部材において、
    前記定着回転体の誘導発熱層は非磁性の金属または合金からなることを特徴とする定着部材。
  15. 請求項1乃至14のいずれか1項に記載の定着部材において、
    前記磁性体層の厚みは100μm以下であることを特徴とする定着部材。
  16. 請求項2乃至15のいずれか1項に記載の定着部材において、
    前記誘導発熱層の厚みは50μm以下であることを特徴とする定着部材。
  17. 請求項1乃至16のいずれか1項に記載の定着部材において、
    前記定着回転体は、前記磁性体層または前記誘導発熱層の上に、弾性層と離型層を有することを特徴とする定着部材。
  18. 請求項1乃至17のいずれか1項に記載の定着部材において、
    前記磁性体層と前記低抵抗板状部材との距離は5mm以下としたことを特徴とする定着部材。
  19. 請求項1乃至18のいずれか1項に記載の定着部材において、
    前記定着回転体内に、弾性変形が可能な断熱材からなるニップ形成部材を有することを特徴とする定着部材。
  20. 請求項19記載の定着部材において、
    前記ニップ形成部材は、回転可能に設けられたローラ状部材であることを特徴とする定着部材。
  21. 請求項19記載の定着部材において、
    前記ニップ形成部材は、パッド状部材であることを特徴とする定着部材。
  22. 請求項19乃至21のいずれか1項に記載の定着部材において、
    前記定着回転体は、前記ニップ形成部材で支持される弾性変形が可能な定着スリーブであることを特徴とする定着部材。
  23. 請求項19乃至21のいずれか1項に記載の定着部材において、
    前記定着回転体は、前記低抵抗板状部材と前記ニップ形成部材で支持される可撓性を有する定着ベルトであることを特徴とする定着部材。
  24. 請求項19乃至21のいずれか1項に記載の定着部材において、
    前記定着回転体の内周面に潤滑剤を塗布することを特徴とする定着部材。
  25. 磁束励磁手段と、該磁束励磁手段によって電磁誘導加熱される定着部材と、該定着部材に圧接する加圧部材を備え、前記定着部材と前記加圧部材との間の定着ニップで未定着画像を担持した記録媒体を加熱・加圧し、前記未定着画像を前記記録媒体に定着する定着装置において、
    前記定着部材として、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の定着部材を備えたことを特徴とする定着装置。
  26. 請求項25記載の定着装置において、
    前記加圧部材は、前記定着部材の定着回転体内に設けたニップ形成部材に対向して配置され、前記加圧部材で前記定着回転体を前記ニップ形成部材側に加圧して定着ニップを形成することを特徴とする定着装置。
  27. 請求項26記載の定着装置において、
    前記ニップ形成部材は、前記加圧部材よりも柔らかい弾性材料からなり、前記定着ニップ部では、前記定着回転体側が凹形状となることを特徴とする定着装置。
  28. 請求項25乃至27のいずれか1項に記載の定着装置において、
    前記加圧部材は加圧ローラであることを特徴とする定着装置。
  29. 請求項28記載の定着装置において、
    前記加圧ローラに駆動手段を有することを特徴とする定着装置。
  30. 像担持体に画像を形成する手段と、前記像担持体上の画像を記録媒体に転写する手段と、前記記録媒体に転写された画像を定着する手段を備えた画像形成装置において、
    前記定着手段として、請求項25乃至29のいずれか1項に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
JP2006091250A 2006-03-29 2006-03-29 定着部材、定着装置及び画像形成装置 Pending JP2007264421A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006091250A JP2007264421A (ja) 2006-03-29 2006-03-29 定着部材、定着装置及び画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006091250A JP2007264421A (ja) 2006-03-29 2006-03-29 定着部材、定着装置及び画像形成装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007264421A true JP2007264421A (ja) 2007-10-11

Family

ID=38637454

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006091250A Pending JP2007264421A (ja) 2006-03-29 2006-03-29 定着部材、定着装置及び画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007264421A (ja)

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008139759A (ja) * 2006-12-05 2008-06-19 Fuji Xerox Co Ltd 定着装置、及び画像形成装置
JP2009175189A (ja) * 2008-01-21 2009-08-06 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置および画像形成装置
JP2009265241A (ja) * 2008-04-23 2009-11-12 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置およびこれを備える画像形成装置
JP2009265242A (ja) * 2008-04-23 2009-11-12 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置およびこれを備える画像形成装置
JP2009300862A (ja) * 2008-06-16 2009-12-24 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置およびこれを備える画像形成装置
JP2009300863A (ja) * 2008-06-16 2009-12-24 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置およびこれを備える画像形成装置
JP2010002604A (ja) * 2008-06-19 2010-01-07 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置、及び画像形成装置
JP2010002603A (ja) * 2008-06-19 2010-01-07 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置、及び画像形成装置
JP2010002532A (ja) * 2008-06-19 2010-01-07 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置及び画像形成装置
JP2010032699A (ja) * 2008-07-28 2010-02-12 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置及び画像形成装置
JP2011107247A (ja) * 2009-11-13 2011-06-02 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置、画像形成装置および定着用のベルト
JP2011191590A (ja) * 2010-03-16 2011-09-29 Ricoh Co Ltd 熱定着装置及び画像形成装置
CN102269964A (zh) * 2008-06-19 2011-12-07 柯尼卡美能达商用科技株式会社 定影装置和成像设备
JP2013041223A (ja) * 2011-08-19 2013-02-28 Fuji Xerox Co Ltd 定着装置および画像形成装置
JP2014074885A (ja) * 2012-09-14 2014-04-24 Ricoh Co Ltd 定着装置及び画像形成装置
US9316977B2 (en) 2013-03-29 2016-04-19 Ricoh Company, Ltd. Fixing device and image forming apparatus

Cited By (28)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008139759A (ja) * 2006-12-05 2008-06-19 Fuji Xerox Co Ltd 定着装置、及び画像形成装置
JP2009175189A (ja) * 2008-01-21 2009-08-06 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置および画像形成装置
JP4665995B2 (ja) * 2008-04-23 2011-04-06 コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 定着装置およびこれを備える画像形成装置
JP2009265241A (ja) * 2008-04-23 2009-11-12 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置およびこれを備える画像形成装置
JP2009265242A (ja) * 2008-04-23 2009-11-12 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置およびこれを備える画像形成装置
JP4665994B2 (ja) * 2008-04-23 2011-04-06 コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 定着装置およびこれを備える画像形成装置
JP2009300862A (ja) * 2008-06-16 2009-12-24 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置およびこれを備える画像形成装置
JP2009300863A (ja) * 2008-06-16 2009-12-24 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置およびこれを備える画像形成装置
JP2010002603A (ja) * 2008-06-19 2010-01-07 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置、及び画像形成装置
JP2010002604A (ja) * 2008-06-19 2010-01-07 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置、及び画像形成装置
JP4557053B2 (ja) * 2008-06-19 2010-10-06 コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 定着装置及び画像形成装置
US8600278B2 (en) 2008-06-19 2013-12-03 Konica Minolta Business Technologies, Inc. Fixing device and image formation apparatus
JP4600532B2 (ja) * 2008-06-19 2010-12-15 コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 定着装置、及び画像形成装置
US7912413B2 (en) 2008-06-19 2011-03-22 Konica Minolta Business Technologies, Inc. Fixing device having good warm-up property and image formation apparatus
JP2010002532A (ja) * 2008-06-19 2010-01-07 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置及び画像形成装置
US8521074B2 (en) 2008-06-19 2013-08-27 Konica Minolta Business Technologies, Inc. Fixing device and image formation apparatus
US8185031B2 (en) 2008-06-19 2012-05-22 Konica Minolta Business Technologies, Inc. Fixing device and image formation apparatus
US8145113B2 (en) 2008-06-19 2012-03-27 Konica Minolta Business Technologies, Inc. Fixing device and image formation apparatus
CN102269964A (zh) * 2008-06-19 2011-12-07 柯尼卡美能达商用科技株式会社 定影装置和成像设备
JP2010032699A (ja) * 2008-07-28 2010-02-12 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置及び画像形成装置
JP4596055B2 (ja) * 2008-07-28 2010-12-08 コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 定着装置及び画像形成装置
JP2011107247A (ja) * 2009-11-13 2011-06-02 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置、画像形成装置および定着用のベルト
JP2011191590A (ja) * 2010-03-16 2011-09-29 Ricoh Co Ltd 熱定着装置及び画像形成装置
US8989607B2 (en) 2010-03-16 2015-03-24 Ricoh Company, Ltd. Thermal fixing device and image forming apparatus including same which detects the speed of a belt on the outer surface of a fixing member
JP2013041223A (ja) * 2011-08-19 2013-02-28 Fuji Xerox Co Ltd 定着装置および画像形成装置
JP2014074885A (ja) * 2012-09-14 2014-04-24 Ricoh Co Ltd 定着装置及び画像形成装置
JP2017142541A (ja) * 2012-09-14 2017-08-17 株式会社リコー 定着装置及び画像形成装置
US9316977B2 (en) 2013-03-29 2016-04-19 Ricoh Company, Ltd. Fixing device and image forming apparatus

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4949803B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP2007264421A (ja) 定着部材、定着装置及び画像形成装置
EP1923752B1 (en) Fixing Device and Image Forming Apparatus Using the Same
JP4448016B2 (ja) 像加熱装置
CN102269964B (zh) 定影装置和成像设备
JP2007310353A (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP3913069B2 (ja) 加熱装置
JP2011191590A (ja) 熱定着装置及び画像形成装置
US8983352B2 (en) Fixing device and image forming apparatus provided with the same
JP4115147B2 (ja) 加熱装置
JP5029656B2 (ja) 電磁誘導加熱装置及びこれを用いた定着装置、画像形成装置
JP4901343B2 (ja) 定着ローラ、定着装置、及び、画像形成装置
CN101609290B (zh) 定影装置和成像设备
JP2002008845A (ja) 加熱装置および画像形成装置
JP4781457B2 (ja) 画像加熱装置及びこれを備えた画像形成装置
JP5016128B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP2001068261A (ja) 加熱装置および画像形成装置
JP2006114283A (ja) 加熱装置及び加熱装置の制御方法、画像形成装置
JP4999054B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP5045702B2 (ja) 電磁誘導加熱体及びこれを用いた電磁誘導加熱装置、定着装置、画像形成装置
JP2007041309A (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP3584132B2 (ja) 像加熱装置
JP3787426B2 (ja) 加熱装置
JP2008003369A (ja) 画像加熱装置
JP2007057673A (ja) 加熱装置および画像形成装置