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JP2007106710A - 糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤 - Google Patents

糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、糖尿病性腎症の予防及び/又は治療において効果的であり、かつ安全性の高い医薬を提供することを課題とする。
【解決手段】ミゾリビン又はその水和物を有効成分として含有する、糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、糖尿病性腎症の予防及び/又は治療において効果的な医薬に関する。具体的には、本発明は、有効成分としてミゾリビンを含有する糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤に関する。さらには、有効成分としてミゾリビンを含有するインスリン非依存性(2型)糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤に関する。
腎臓は、尿を作って代謝産物として生じる不要な老廃物を除去し、体液の量や組成を一定に保つ臓器である。また、腎臓は各種のホルモンを産生して血圧の調整や造血作用に関係し、骨の成長やカルシウム、リンの調節に関連の深いビタミンDの代謝にも関係している重要な臓器であり、その機能が低下または喪失した状態、すなわち腎不全では、生命活動の根源が脅かされることになる。
1998年以降、末期腎不全に進行し透析導入が必要となる患者の原疾患の第一位を糖尿病性腎症が占めるようになり、その治療対策が重要な課題となっている。腎症の発症・進展を遅延させることを目標に、食事・運動療法、血糖コントロール、又は降圧療法等が行われているが、臨床上この目標を十分に達成することは容易ではなく、その治療薬の探索・開発が待ち望まれている。
ここで、4−カルバモイル−1−β−D−リボフラノシル−イミダゾリウム−5−オレイト(以下、ミゾリビン)は、オイペニシリウム属に属するオイペニシリウム・ブレフェルディアナム(Eupenicillium brefeldianum)M−2166株(FERM P−1104)の培養液より発見された核酸関連物質で、水に易溶で、200℃付近で褐色発泡分解する弱酸性物質であって、その製造方法としては、上記の菌株を用いる醗酵法や化学合成法等の種々の方法が知られている(特許文献1〜4)。
ミゾリビンは、すでに市販されている免疫抑制剤であって、例えば腎移植における拒否反応の抑制に有用性が認められ、通常体重1kg当たり、初期量としてミゾリビン2〜3mg相当量、維持量として1〜2mg相当量を1日量として経口投与するブレディニン(登録商標名:旭化成ファーマ株式会社製)錠として無水系結晶体が使用されている。
特開昭48−56894号公報 特開昭50−121275号公報 特開昭50−121276号公報 特開昭51−1693号公報
本発明は、糖尿病性腎症の予防及び/又は治療において効果的であり、かつ安全性の高い医薬を提供することを目的とするものである。
本発明者は、糖尿病を患う腎症患者の腎症の進展を抑制すること、中でも益々増加しつつある糖尿病患者が腎症を発症するのを防ぐこと、また、増加しつつある糖尿病患者における腎症前期及び/又は早期腎症の進展を抑制することこそが重要であるという新規な課題を見出した。そしてこの課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ミゾリビンを用いた予防及び/又は治療がその目的に適合しうることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。現在、糖尿病性腎症の治療としてはこれらの対処療法の他、血圧効果剤の利用が知られており、また、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)が1型糖尿病動物モデルにおいて腎症に効果があったということが報告されているにすぎない(Kidney International, Vol.63(2003), pp.209-216)。従って、より効果が強く、安全性の高い糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤が求められている。
すなわち、本発明は、以下の構成に関する。
(1)ミゾリビン又はその水和物を有効成分として含有する、糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤。
(2)糖尿病が2型糖尿病である、上記(1)に記載の糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤。
(3)ミゾリビン又はその水和物を有効成分として含有する、糖尿病性腎症治療剤。
(4)糖尿病が2型糖尿病である、上記(3)に記載の糖尿病性腎症治療剤。
(5)腎症前期及び/又は早期腎症の患者用の、上記(3)又は(4)に記載の糖尿病性腎症治療剤。
(6)早期腎症から中期腎症移行期の腎症患者用の、上記(3)又は(4)に記載の糖尿病性腎症治療剤。
(7)有効成分であるミゾリビン又はその水和物の1日あたりの投与量が0.5mg/kgから30mg/kgであることを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤。
(8)有効成分であるミゾリビン又はその水和物の1日あたりの投与量が0.5mg/kgから30mg/kgであることを特徴とする、上記(3)〜(6)のいずれかに記載の糖尿病性腎症治療剤。
(9)糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤の製造のためのミゾリビン又はその水和物の使用。
(10)糖尿病が2型糖尿病である、上記9に記載のミゾリビン又はその水和物の使用。
(11)腎症前期及び/又は早期腎症の患者用であって、糖尿病が2型糖尿病である糖尿病性腎症の治療剤の製造のためのミゾリビン又はその水和物の使用。
(12)ミゾリビン又はその水和物を投与することを特徴とする、糖尿病性腎症の予防及び/又は治療方法。
(13)糖尿病が2型糖尿病である、上記(12)に記載の糖尿病性腎症の予防及び/又は治療方法。
(14)腎症前期及び/又は早期腎症の患者に、ミゾリビン又はその水和物を投与することを特徴とする治療方法であって、糖尿病が2型糖尿病である糖尿病性腎症の治療方法。
(15)糖尿病性腎症の予防及び/又は治療が、糸球体の硬化症の抑制、間質繊維化の抑制、尿中アルブミン排泄量の抑制、又は腎臓における活性化マクロファージ数の抑制のいずれかあるいはこれらの組み合わせである、上記(1)、(2)、又は(7)に記載の糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤。
(16)糖尿病性腎症の治療が、糸球体の硬化症の抑制、間質繊維化の抑制、尿中アルブミン排泄量の抑制、又は腎臓における活性化マクロファージ数の抑制のいずれかあるいはこれらの組み合わせである、上記(3)〜(6)、又は(8)に記載の糖尿病性腎症の治療剤。
本発明のミゾリビンを有効成分として含む薬剤によれば、効果的かつ安全性の高い糖尿病性腎症の予防及び/又は治療を行うことができる。すなわち、糖尿病を患う腎症患者の腎症の進展を抑制すること、増加しつつある糖尿病患者における腎症前期及び/又は早期腎症の進展を抑制することができる。その結果として、糖尿病性腎症患者の末期腎不全の進行をも妨げることが可能となる。
以下、本願発明について具体的に説明する。
本発明で用いることができるミゾリビンの化学名は、4−カルバモイル−1−β−D−リボフラノシル−イミダゾリウム−5−オレイトである。ミゾリビンは、オイペニシリウム属に属するオイペニシリウム・ブレフェルディアナム(Eupenicillium brefeldianum)M−2166株(FERM P−1104)の培養液より発見された核酸関連物質で、水に易溶で、200℃付近で褐色発泡分解する弱酸性物質であって、その製造方法としては、上記の菌株を用いる醗酵法や化学合成法等の種々の方法が知られている(特開昭48−56894号公報、特開昭50−121275号公報、特開昭50−21276号公報、特開昭51−1693号公報、又はLaiら:Symposium to the 9th Biennlal Scientific Meeting Asian Pacific Association for the Study of the Liver(1994)等を参照)。
ミゾリビンの水和物としては特に限定されないが、一水和物であってもよく、特に、無水物であることが好ましい。無水物としては、特公平6−15556号公報にて報告されているとおり、A型無水物とB型無水物が知られているが、いずれであってもよく、特に好ましくは、B型無水物が例示される。また、上記文献の他、「日本薬局方外医薬品規格1997」復刻版にも、ミゾリビンの無水物が記載されている。
ミゾリビンは、すでに市販されている免疫抑制剤であって、例えば腎移植における拒否反応の抑制に有用性が認められ、通常体重1kg当たり、初期量としてミゾリビン2〜3mg相当量、維持量として1〜2mg相当量を1日量として経口投与するブレディニン(登録商標名:旭化成ファーマ株式会社製)錠として無水系結晶体が使用されている。
本発明の薬剤は、単独で糖尿病患者における糖尿病性腎症の発症を阻止するための予防剤として用いることができ、食事療法や運動療法と共に用いることも好ましい。糖尿病患者としては特に限定されることはないが、2型糖尿病患者であることが好ましい。また、1型糖尿病患者が好ましい別の態様もある。また、糖尿病性腎症の徴候または症状を示す患者に、食事療法や運動療法と共にミゾリビン又はその水和物単独で用いることにより、症状が進展するのを抑制するための治療剤として用いることができる。さらにはミゾリビンの作用に悪影響を及ぼさない薬剤とミゾリビンとを併用することができる。このような併用用の薬剤としては、ミゾリビンと以下のA)−G)から選択される薬剤との組み合わせが例示される。A)−G)の薬剤は1つであっても2つ以上であってもよいが、1つ又は2つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。また、2つであることが好ましい別の態様もある。
A)α-グルコシダーゼ阻害薬(アカルボース、ボグリボースなど)
B)インスリン抵抗性改善薬(ピオグリタゾン、ロシグリタゾンなど)
C)経口血糖降下薬(スルホニル尿素薬、ビグアナイド剤など)
D)インスリン注射などの糖尿病薬及び/又は抗血小板薬(塩酸ジラゼプ、ジピリダモールなど)
E)アンギオテンシン変換酵素阻害薬(カプトプリル、塩酸テモカプリル、リシノプリル、マレイン酸エナラプリル、塩酸ベナゼプリルなど)
F)降圧薬(塩酸ベニジピン、ニフェジピン、塩酸バルニジピン、塩酸マニジピン、塩酸エホニジピン、塩酸テラゾシン、フマル酸ビソプロロールなど)
G)高脂血症改善薬(プラバスタチン、シンバスタチン、プロブコール、イコサペント酸エチルなど)
上記併用用の薬剤は、糖尿病性腎症の症状をなくすか、又は症状の進展を抑制するのに十分な量でそれぞれ投与すればよく、各併用用の薬剤はミゾリビンとは独立して適宜投与量を選択することができる。例えば、臨床上用いられている投与量で用いる方法が挙げられる。
糖尿病性腎症を治療するに際し、本発明におけるミゾリビン又はその水和物と上記A)−G)から選択される薬剤とを併用することも本発明の範囲内である。併用するに際しては、ミゾリビン又はその水和物と上記A)−G)から選択される薬剤が、別々の製剤となったものを投与する他に、配合剤として、一度に投与することもできる。
本発明の糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤において、ミゾリビン又はその水和物の1日あたりの投与量は、有効成分としてのミゾリビンに換算して下限としては、0.5mg/kg以上が好ましく、1mg/kg以上がより好ましく、1.5mg/kgがさらに好ましく、2mg/kg以上が大変好ましく、3mg/kg以上が最も好ましい。また、上限としては、30mg/kg以下が好ましく、20mg/kg以下がより好ましく、15mg/kgがさらに好ましく、10mg/kgが特に好ましく、6mg/kg以下が最も好ましい。
投与回数としては、ミゾリビン又はその水和物を単独投与の場合これを1日1〜3回に分割投与すればよい。また、上記A)−G)の薬剤と併用する場合においても1日1〜3回に分割して投与することができる。
糖尿病性腎症は尿蛋白正常の時期すなわち腎症前期(第1期)、微量アルブミン尿が検出される時期すなわち早期腎症期(第2期)、持続性蛋白尿を示す時期、すなわち中期腎症にあたる顕性腎症期(第3期)、さらに腎機能が著明に低下し透析導入が検討される時期、いわゆる末期腎不全の状態(第4期)というように進行する。そして最後に、透析療法を必要とする時期(第5期)となる。糖尿病性腎症の病態治療においては、第2期から第3期に移行しないように治療することが重要である。本発明の薬剤は腎症前期、早期腎症、又は早期から中期腎症移行期の腎症の患者に使用することが好ましく、早期腎症又は早期腎症から中期腎症移行期の腎症の患者に使用することがより好ましい。また腎症前期の患者に使用することが好ましい別の態様もある。さらに、早期腎症の患者に使用することが好ましい態様もあり、早期腎症から中期腎症移行期の腎症の患者に使用することもより好ましい。そして本発明の薬剤は顕性腎症期、腎不全期、又は透析療法期の患者にも用いることもできる。中でも本発明の薬剤は、糖尿病性腎症の病期を第2期から第3期、すなわち早期腎症から中期腎症へ移行させないための治療に特に有効である。
糖尿病で高血糖状態が続くと、糸球体を構成している細かい血管が動脈硬化を起こして固くなり、糸球体の組織の目が粗くなって、ろ過機能が低下することにより糖尿病性腎症が起こる。本発明の薬剤を用いることにより、糸球体と間質への白血球浸潤が阻害され、かつ糸球体硬化又は間質線維化を改善することができる。さらには本発明の薬剤は、高脂血症、高血圧症、又は肥満を合併した糖尿病患者の腎症にも有効である。
ミゾリビンの剤形としては、経口投与用製剤あるいは非経口投与用製剤が挙げられるが、好ましい例としては経口投与用製剤が挙げられる。例えば、体重50〜60kgの患者成人に対してミゾリビン経口投与用製剤25mg又は50mg錠を用いて1回150〜250mg量のミゾリビンを1日2回投与する方法が挙げられる。ミゾリビンの1日あたりの投与回数は適宜調節可能であるが、好ましい投与回数は1日3回以下、より好ましくは1日2回以下、最も好ましくは1日1回である。
ミゾリビンは、経口投与製剤(登録商標名:ブレディニン錠)として使用することが簡便であり、常法により適宜カプセル剤又は顆粒剤等の経口投与製剤にすることもできる。具体的には、例えば、賦形剤として無水乳糖、結晶セルロース、デキストラン、又はスターチなど、結合剤としてカルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、又はエチルセルロースなど、崩壊剤としてカルボキシメチルセルロース、炭酸カルシウム、又はメチルセルロースなど、あるいは滑沢剤としてステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、又はタルクなどを適宜選択して組み合わせ、常法により錠剤、又はカプセル剤などの経口投与製剤とすることができる。
非経口投与用製剤としては、坐剤、エアゾール吸入法による製剤、経皮吸収性製剤、又は注射剤として常法の製剤化技術にて製剤化することができる。
具体的には、ミゾリビンを水性溶媒に溶解させることによってエアゾール用液剤や注射剤を製造することができる。例えば、ミゾリビンの液剤中における濃度は水性溶媒に対して、好ましくは0.1〜10 W/V %、より好ましくは1〜10 W/V %程度になるよう調製し、特に注射剤については調製後滅菌または除菌処理して製剤とすればよい。この水性溶媒としては、例えば、注射用蒸留水又は滅菌精製水等が例示される。さらに、通常液剤に適宜選択して用いられる添加剤、例えば、pH調整用の緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酒石酸緩衝液、又は酢酸緩衝液等)、等張化剤(例えば、ソルビトール、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グルコース、又は塩化ナトリウム等)、安定化剤(例えば、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、又はメタ重亜硫酸塩等)、防腐殺菌剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸エステル類、ベンジルアルコール、パラクロルメタキシノール、クロルクレゾール、フェネチルアルコール、ソルビン酸またはその塩、チメロサール、又はクロロブタノール等)、キレート剤(例えば、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、又は縮合リン酸ナトリウム等)、粘稠剤(例えば、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、又はポリアクリル酸ナトリウム等)等を通常使用される添加量で配合添加することができる。
本発明により、糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤の製造のためのミゾリビン又はその水和物の使用方法が提供される。糖尿病は特に限定されないが、2型糖尿病であることが好ましい。また、腎症前期及び/又は早期腎症の患者用の糖尿病性腎症治療剤の製造のためのミゾリビン又はその水和物の使用方法も本発明の範囲に含まれる。さらには本発明により、早期から中期(第2期から第3期)への移行期の腎症患者用としての糖尿病性腎症治療剤の製造のためのミゾリビン又はその水和物の使用方法が提供される。
本発明により、ミゾリビン又はその水和物を投与することを特徴とする、糖尿病性腎症の予防及び/又は治療方法が提供される。また、腎症前期及び/又は早期腎症の患者にミゾリビン又はその水和物を投与することを特徴とする糖尿病性腎症の治療方法も本発明の範囲に含まれる。さらには本発明により、早期から中期(第2期から第3期)への移行期の腎症患者にミゾリビン又はその水和物を投与することを特徴とする糖尿病性腎症の治療方法が提供される。糖尿病は特に限定されないが、2型糖尿病であることが好ましい。ミゾリビン又はその水和物の投与量は、下限としては、0.5mg/kg以上が好ましく、1mg/kg以上がより好ましく、1.5mg/kgがさらに好ましく、2mg/kg以上が大変好ましく、3mg/kg以上が最も好ましい。また、上限としては、30mg/kg以下が好ましく、20mg/kg以下がより好ましく、15mg/kgがさらに好ましく、10mg/kgが特に好ましく、6mg/kg以下が最も好ましい。
本発明のミゾリビン又はその水和物を投与することによる糖尿病性腎症の予防とは、糖尿病性腎症を発症させないことを意味し、また、糖尿病性腎症の様々な時期の症状の進行を止めること又はその進行を抑制することを意味することもある。また、糖尿病性腎症の治療とは、糖尿病性腎症の様々な症状を緩和すること、症状の進行を止めること、又はその進行を抑制することをいう。
具体的には、尿中のアルブミン量の増加、糸球体の硬化、間質繊維化等の観察・測定によりその予防・治療効果を知ることができる。
次に、本発明の糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤の実施例を示すが、本発明は以下の実施例に限定されない。
本発明を実施例に基づいて説明する。本発明は以下の実施例になんら限定されないが、以下の実施例により本発明の効果は十分に説明される。
〔試験方法〕
自然発症の2型糖尿病モデル動物としてOtsuka Long-Evans Tokushima Fatty (OLETF)ラットを、非糖尿病対照動物としてLong-Evans Tokushima Otsuka (LETO)ラットを、ともに腎症が早期から中期(第2期から第3期)への移行期にあたる35週齢で用いた。1群7匹のOLETFラットにミゾリビン(旭化成ファーマ株式会社製)5mg/kg(表1中OLETF+MZR-5と示す)または10mg/kg(表1中OLETF+MZR-10と示す)を1日1回8週間腹腔内投与した。また、陽性対照としてOLETFラット(表1中OLETF controlと示す)に、非糖尿病の陰性対照としてLETOラット(表1中LETOと示す)に、同様のスケジュールで生理食塩水を腹腔内投与した。
〔尿排泄アルブミン量の評価〕
投与終了後、各群のラットにおいて尿排泄アルブミン量を評価した(表1)。尿排泄アルブミン量は尿中クレアニチン1mgあたりの含量を示している。表1に示す通り、OLETFラットの陽性対照(control)とLETOラットの比較により有意に尿排泄アルブミン量の増加が認められ、OLETFラット間の比較によりcontrolよりミゾリビン5mg投与、10mg投与したラットの方が尿排泄アルブミン量が少なく、ミゾリビンの投与によりその増加が有意に抑制されたことが確認できた。
〔腎糸球体硬化の評価〕
各ラットの片方の腎について、10%ホルマリンで固定してパラフィン包埋した。全てのホルマリン固定腎切片は過ヨウ素酸シッフ(PAS)及びマッソントリクロームにより染色した。PAS染色切片上で、強拡大視野(×400)の下に各標本について50個の糸球体を観察し、各糸球体の硬化症の程度を半定量的にスコア化した(0=硬化なし、1=25%未満の硬化、2=25〜50%の硬化)。結果を図1に示す。
〔間質の線維化の評価〕
前記腎糸球体硬化の評価で用いた各切片について20箇所の領域をマッソントクリーム染色像上で分析し(×200)、この各領域で繊維化の程度を半定量的にスコア化した(0=繊維化なし、1=10%未満の繊維化、2=10〜25%の繊維化、3=25〜50%の繊維化、4=50%を超えた繊維化)。結果を図2に示す。
〔活性化マクロファージ(ED−1陽性細胞)数の評価〕
前記腎糸球体硬化の評価で用いたパラフィン包埋した腎の連続切片(3μm厚)を用いてED1を検出した。脱パラフィン化した切片を3%過酸化水素水とともに10分間培養し、内因性のペルオキシダーゼ活性を阻害した。リン酸緩衝食塩水(PBS)内で、7%ウシ血清アルブミンを用いて阻害した後に、各切片をED1に対する一次抗体とともに37℃で45〜60分間培養した(5μg/ml)。ED1に対する染色手技の際には、抗原を最適条件で回収するため、プロテイナーゼKによる処理を7分間行った。その後、これらの切片をDako社のLSABシステムリンク抗体とともに10分間培養した後に、ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンとともに室温で10分間培養した。切片をPBSで洗浄し、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)溶液で染色してから、ヘマトキシリンで対比染色した。各切片から得た50個以上の糸球体と20箇所以上の重なり合っていない間質領域を強拡大倍率(×400)下に評価すると共に、それぞれの糸球体と間質領域におけるED1陽性細胞の数を各群につき数えて平均を算出した。糸球体についての結果を図3に、間質についての結果を図4に示す。
このように、糸球体硬化と間質の線維化および腎臓における活性化マクロファージ(ED−1陽性細胞)数もミゾリビン投与により有意に抑制されたことが確認できた。
以上の結果より、自然発症2型糖尿病モデルにおける糖尿病性腎症の進展がミゾリビンの投与により有意に抑制されたことが確認できた。
本発明のミゾリビンを有効成分として含む薬剤は、糖尿病性腎症の予防及び/又は治療において、効果が強く、安全性の高い薬剤として有用である。
実施例1の腎糸球体硬化に対するミゾリビンの効果を示す図である。 実施例1の腎間質線維化に対するミゾリビンの効果を示す図である。 実施例1の腎糸球体における活性化マクロファージ(ED−1陽性細胞)数に対するミゾリビンの効果を示す図である。 実施例1の腎間質における活性化マクロファージ(ED−1陽性細胞)数に対するミゾリビンの効果を示す図である。

Claims (16)

  1. ミゾリビン又はその水和物を有効成分として含有する、糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤。
  2. 糖尿病が2型糖尿病である、請求項1に記載の糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤。
  3. ミゾリビン又はその水和物を有効成分として含有する、糖尿病性腎症治療剤。
  4. 糖尿病が2型糖尿病である、請求項3に記載の糖尿病性腎症治療剤。
  5. 腎症前期及び/又は早期腎症の患者用の、請求項3又は4に記載の糖尿病性腎症治療剤。
  6. 早期腎症から中期腎症移行期の腎症患者用の、請求項3又は4に記載の糖尿病性腎症治療剤。
  7. 有効成分であるミゾリビン又はその水和物の1日あたりの投与量が0.5mg/kgから30mg/kgであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤。
  8. 有効成分であるミゾリビン又はその水和物の1日あたりの投与量が0.5mg/kgから30mg/kgであることを特徴とする、請求項3〜6のいずれかに記載の糖尿病性腎症治療剤。
  9. 糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤の製造のためのミゾリビン又はその水和物の使用。
  10. 糖尿病が2型糖尿病である、請求項9に記載のミゾリビン又はその水和物の使用。
  11. 腎症前期及び/又は早期腎症の患者用であって、糖尿病が2型糖尿病である糖尿病性腎症の治療剤の製造のためのミゾリビン又はその水和物の使用。
  12. ミゾリビン又はその水和物を投与することを特徴とする、糖尿病性腎症の予防及び/又は治療方法。
  13. 糖尿病が2型糖尿病である、請求項12に記載の糖尿病性腎症の予防及び/又は治療方法。
  14. 腎症前期及び/又は早期腎症の患者に、ミゾリビン又はその水和物を投与することを特徴とする治療方法であって、糖尿病が2型糖尿病である糖尿病性腎症の治療方法。
  15. 糖尿病性腎症の予防及び/又は治療が、糸球体の硬化症の抑制、間質繊維化の抑制、尿中アルブミン排泄量の抑制、又は腎臓における活性化マクロファージ数の抑制のいずれかあるいはこれらの組み合わせである、請求項1、2、又は7に記載の糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤。
  16. 糖尿病性腎症の治療が、糸球体の硬化症の抑制、間質繊維化の抑制、尿中アルブミン排泄量の抑制、又は腎臓における活性化マクロファージ数の抑制のいずれかあるいはこれらの組み合わせである、請求項3〜6、又は8に記載の糖尿病性腎症の治療剤。
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