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JP2007080952A - 多値記録スピン注入磁化反転素子およびこれを用いた装置 - Google Patents

多値記録スピン注入磁化反転素子およびこれを用いた装置 Download PDF

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JP2007080952A JP2005263923A JP2005263923A JP2007080952A JP 2007080952 A JP2007080952 A JP 2007080952A JP 2005263923 A JP2005263923 A JP 2005263923A JP 2005263923 A JP2005263923 A JP 2005263923A JP 2007080952 A JP2007080952 A JP 2007080952A
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Hideaki Watanabe
英聡 渡邉
Akira Saito
明 斉藤
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Fuji Electric Co Ltd
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Fuji Electric Holdings Ltd
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Abstract

【課題】 素子の抵抗増加を抑制して多値記録を可能とするスピン注入磁化反転素子を提供する。
【解決手段】 強磁性固定層と、n個の強磁性フリー層/分離層の組を備え、強磁性固定層側から番号順に第j強磁性フリー層を配置し、第j強磁性フリー層の磁化反転電流密度をIcとしたときに、Icj−1>Ic(但し、2≦j≦n)を満たすか、あるいは、第j強磁性フリー層の一軸磁気異方性定数をKuとした時に、Kuj−1>Ku(但し、2≦j≦n)を満たすことを特徴とする。第j強磁性フリー層の保磁力をHcとした時に、Hcj−1>Hc(但し、2≦j≦n)を満たすか、第j強磁性フリー層の飽和磁化をMsとした時に、Msj−1>Ms(但し、2≦j≦n)を満たすことが好ましい。
各強磁性フリー層は、CoCrPt合金、CoCr合金またはCoPt合金により構成して、PtまたはCr濃度を単調減少することが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気的なメモリやセンサを構成する基本構造素子およびこれを用いた装置に関する。より具体的には、電子スピンの注入を制御した、多値記録が可能な磁気的なランダムアクセスメモリを構成する素子ならびに装置に関する。
近年、強磁性層/非磁性金属層/強磁性層からなる巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magneto−Resistance)効果素子および強磁性層/絶縁体層/強磁性層からなるトンネル磁気抵抗(TMR:Tunnel Magneto−Resistance)効果素子が開発され、新しい磁気センサや磁気メモリ(MRAM)への応用が期待されている。図8にMRAMの基本構造を示す。図8aに示す如く、MRAMではビット線52およびワード線56をマトリクス状に配線し、TMR素子等50をマトリクスの交点に配置する。TMR素子の構造は図8bに示したとおりであり、この図では第2強磁性層55の保磁力(Hc)が第1強磁性層53の保磁力より高い場合を示した。TMR素子に論理情報を書き込む際には別に設けた書き込み用ワード線57に電流を流して磁界を発生させることで行う。この時発生させる磁界の向きおよび強さを調節することで第1強磁性層53および第2強磁性層55の磁化方向を平行または反平行とし、“1”または“0”の情報を記憶させる。記憶させた情報の読み出しはワード線56からビット線52へ電流を流し、絶縁層54を経由する際のTMR効果によって生じた素子の抵抗値を読み取ることで行う。このようにしてTMR素子に対して論理情報の記録再生が可能であるが、この方法では1つのメモリセルで論理値“1”、“0”の2値、すなわち1ビットの情報しか記録再生できず将来の高密度化の要求に対して十分ではない。さらに、電流により磁場を発生するために情報書き込みのため消費電力が大きいという問題があった。
この問題を解決する方法として、電流磁場ではなくスピン偏極した電子の直接注入により情報書き込みを行う提案がなされ、現在注目を集めている(例えば、非特許文献1参照。)。
図9はスピン注入を用いて2値の情報を記録再生するメモリ素子の構成例を示すものである(例えば、特許文献1参照。)。第1強磁性固定層131、第1分離層141、第1強磁性フリー層151、第2分離層142、第2強磁性固定層132から構成される。この素子に第2強磁性固定層132から第1強磁性固定層131へ向かって電子を流したときの電子スピンおよび強磁性層中の磁化の挙動を図9aに示す。図中で、白抜きの矢印は各磁性層の磁化の向きを表しており、小さな丸を付した矢印は電子のスピンの向きを表し、丸のない細い矢印は電子の流れる向きを表している(以下の図面も同様である。)。また、以下の説明では磁化の向きを図中の白抜き矢印の向きと対応させて右向き、左向きと呼ぶことにする。電子スピンの向きについても同様である。まず、第2強磁性固定層132を通過した電子スピンは、第2強磁性固定層132中の磁性金属原子スピンとの相互作用(s−d相互作用)により第2強磁性固定層132の磁化方向へ整列する(スピンの偏極が起こる)。この電子が第1強磁性フリー層151へ流れると、このスピンのもつ角運動量が第1強磁性フリー層151へ伝達され、第1強磁性フリー層151中の磁化に作用する。一方、第1強磁性固定層131の磁化方向は、第2強磁性固定層132の磁化方向とは逆向きであるため、電子の流れが第1強磁性固定層131へ入る界面においては、第2強磁性固定層132の磁化方向と同方向の右向きスピンを有する電子は反射される。この反射された電子が有する右向きのスピンは、やはり第1強磁性フリー層151中の磁化に作用する。すなわち、第2強磁性固定層132の磁化方向と同じ右向きのスピン電子が、第1強磁性フリー層151に対して2回作用するため、実質的に2倍の書き込み作用が得られる。その結果として、第1強磁性フリー層151に対する書き込みを従来の電流磁場方式よりも小さい電流で実施できるとされている。
強磁性フリー層151の磁化を反転する場合は、第1強磁性固定層131から第2強磁性固定層132へ向かって電子を流すことにより行われる。この時の電子スピンおよび強磁性層中の磁化の挙動を図9bに示す。この場合には、電子のスピンは、第1強磁性固定層131の磁化の作用を受けて、紙面左向きとなる。このスピン電子は、第1強磁性フリー層151においてその磁化に作用する。さらに、左向きのスピンを持った電子は、それとは逆向きの磁化を有する第2強磁性固定層132との界面において反射されて、もう一度第1強磁性フリー層151の磁化に作用する。このようにして、反対方向の磁化を有する2つの強磁性固定層を準備した上で、素子に流す電流の方向を変えることで第1強磁性フリー層151に対して2値の情報を書き込む方法が提案されている。
この種の素子を多数積層することにより多値記録を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1の段落0095〜0096参照。)。図10は特許文献1に開示されている構成を示すもので、本願の用語を用いて示せば、第1強磁性固定層131、第1分離層141、第1強磁性フリー層151、第2分離層142、第2強磁性固定層132、第3分離層143、第2強磁性フリー層152、第4分離層144、第3強磁性固定層133から構成されている。図中で白抜き矢印が両方向にある層は、磁化の向きが可変であることを表している。第2強磁性固定層132を共通化しているものの、基本的には図9の素子を積み重ねたもので、第1強磁性フリー層151および第2強磁性フリー層152の磁性材料や膜厚を変えることによって、それぞれの層の磁化方向が反転する臨界電流密度(以下、磁化反転電流密度と呼ぶ。)を変えることにより多値化が可能とされている。
特開2004−193595号公報 カティン(J. A. Katine)、「Co/Cu/Co柱における電流駆動磁気反転およびスピン波励起(Current−Driven Magnetization Reversal and Spin−Wave Excitation in Co/Cu/Co Pillars)」、フィジカル・レビュー・レターズ(Physical Review Letters)、米国、2000年、第84巻、第14号、p.3149−3152。
上述の方法においては、2値記録を行う素子を複数積層して多値記録を行うことを想定したものである。従って、磁化反転を記録する強磁性フリー層の層毎に少なくとも1層の強磁性固定層を配置することが必要となることから、多値記録の数が増大するに伴い強磁性固定層の層数は増大する。しかしながら、強磁性固定層は磁化を固定して容易に変動しないために充分な膜厚を有することが必要とされている。この結果、複数の強磁性固定層を備える場合には、素子抵抗は増大し、動作時の消費電力が増大することとなる。
また、複数の強磁性フリー層の磁化反転電流密度を変化させて多値情報を記録することから、磁化反転電流密度を異なる値に設定するための設計指針が重要となる。このような強磁性フリー層の設計指針として各強磁性フリー層の膜厚を変化させることが提案されているが、膜厚の増加は抵抗値の増加につながり、ひいては消費電力の増加につながるので好ましい方法とは言えない。また、強磁性フリー層を設計する際の磁性材料の設定方法については具体的な方法が示されていないのが現状である。
本発明は上述の点に着目してなされたものであり、本発明の目的は、素子の抵抗増加を抑制して多値記録を可能とする方法を提供するものである。さらには、磁化反転の臨界電流値が明確に異なる複数の強磁性フリー層を膜厚を変化させること無く作製可能な磁性材料およびその組成の決定方法を提供することにある。
本発明は、層間に非磁性の分離層を有する複数の強磁性フリー層を強磁性固定層上に積層することにより、強磁性固定層の層数を最少としながら所望の多値記録が可能なことを見出して上述の問題を解決したものである。
より具体的には、本発明のスピン注入磁化反転素子は、磁化が第1の方向に実質的に固定された強磁性固定層と、磁化の方向が可変のn層の強磁性フリー層と、非磁性のn層の分離層とを備え、nを2以上とし、前記強磁性固定層に一番近い強磁性フリー層を第1強磁性フリー層とし、一番遠い強磁性フリー層を第n強磁性フリー層として前記各強磁性フリー層を番号順に配置し、前記強磁性固定層と前記第1強磁性フリー層の間に前記分離層の一つを配置し、前記各強磁性フリー層の間にそれぞれ前記分離層の一つを配置し、前記各強磁性フリー層の磁化反転動作を電子スピン注入により行い、磁化反転電流密度をIcとして、前記第j強磁性フリー層の磁化反転電流密度をIcとしたときに、前記各強磁性フリー層がIcj−1>Ic(但し、2≦j≦n)を満たすことを特徴とする。
あるいは、一軸磁気異方性定数をKuとし、前記第j強磁性フリー層の一軸磁気異方性定数をKuとした時に、前記各強磁性フリー層がKuj−1>Ku(但し、2≦j≦n)を満たすことを特徴とする。
保磁力をHcとし、前記第j強磁性フリー層の保磁力をHcとした時に、前記各強磁性フリー層がHcj−1>Hc(但し、2≦j≦n)を満たすことが好ましい。
また、飽和磁化をMsとし、前期第j強磁性フリー層の飽和磁化をMsとした時に、前記各強磁性フリー層がMsj−1>Ms(但し、2≦j≦n)を満たすことが好ましい。
前記各強磁性フリー層は、CoCrPt合金、CoCr合金またはCoPt合金により構成されることが好ましい。
上述の合金を用いる時は、Cr濃度をCとし、前記第j強磁性フリー層のCr濃度をCとした時に、前記各強磁性フリー層がCj−1>C(但し、2≦j≦n)、および0.1原子%≦C≦20原子%(但し、1≦j≦n)を満たすことが好ましい。
あるいは、Pt濃度をPとし、前記第j強磁性フリー層のPt濃度をPとした時に、前記各強磁性フリー層がPj−1>P(但し、2≦j≦n)、および0.1原子%≦P≦20原子%(但し、1≦j≦n)を満たすことが好ましい。
前記各強磁性フリー層の長さを幅で除した値は2以上であることが好ましい。
前記各分離層は非磁性金属であることが好ましく、特にCuであることが好ましい。
あるいは、前記各分離層は絶縁体であることが好ましく、特にAlであることが好ましい。
また、前記強磁性固定層の前記強磁性フリー層と反対側の面に固定層電極を設け、前期第n強磁性フリー層の前記強磁性固定層とは反対側の面にフリー層電極を設けることが好ましい。
また、前記第n強磁性フリー層の前記強磁性固定層とは反対側の面に、非磁性の分離層および強磁性補助固定層をこの順にさらに設け、該強磁性補助固定層の磁化が前記第1の方向とは反対の第2の方向に実質的に固定されていることが好ましい。
本発明の磁気メモリ装置は、上述したいずれかのスピン注入磁化反転素子を用いることを特徴とする。
スピン注入磁化反転素子を上述のように構成することにより、厚膜で電気抵抗の大きい強磁性固定層を最小限の層数として多値記録を行うことが可能となる。この結果、素子の電気抵抗を抑制して、消費電力を削減することが可能となる。また、各強磁性フリー層を上述のように設定することにより、磁化反転電流密度を所望の順で配置することが可能となる。この結果、各強磁性フリー層の膜厚を変化させることなく、安定して動作可能な多値記録素子を実現可能である。
強磁性フリー層の材料として、CoCrPt合金、CoCr合金あるいはCoPt合金を用いることにより、Ku、Hcを幅広く設定することが可能となり、磁化反転電流密度を所望の順で配置することが容易になるとともに、安定して動作する強磁性フリー層の層数を増加することが可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の磁気メモリ素子10の構成例を説明するためのもので、断面模式図で示している。基板11上に固定層電極12、強磁性固定層13を形成し、その上に複数の強磁性フリー層を形成している。各強磁性フリー層は分離層を介して相互に間隙を設けて形成される。図1はn層の強磁性フリー層を設けた例で、第1分離層14−1を介して第1強磁性フリー層15−1を形成し、第2分離層14−2を介して第2強磁性フリー層15−2が形成され、以降これを繰り返して、第n強磁性フリー層が形成され、最後にフリー層電極16が形成されている。
各強磁性フリー層の磁化反転電流密度は、第1強磁性フリー層を最大とし、第n強磁性フリー層を最小として、第1から第n強磁性フリー層まで単調に減少するように設定する。即ち、第j強磁性フリー層の磁化反転電流密度をIcとしたときに、Icj−1>Ic(但し、2<j<n)となるように設定する。
あるいは、各強磁性フリー層の一軸磁気異方性定数は、第1強磁性フリー層を最大とし、第n強磁性フリー層を最小として、第1から第n強磁性フリー層まで単調に減少するように設定する。即ち、第j強磁性フリー層の一軸磁気異方性定数をKuとした時に、Kuj−1>Ku(但し、2≦j≦n)となるように設定する。
(動作原理)
始めに本素子の動作原理について説明する。
図2は、本素子に書き込みを行う場合の動作原理を説明するための模式図で、簡略化のために、強磁性フリー層が2層の場合について示している。
図2aは、各強磁性フリー層と強磁性固定層の磁化の向きを同一方向に揃える場合を示している。フリー層電極16から固定層電極12に向かって電流を流すと、電子は固定層電極12から強磁性固定層13に注入される。固定層電極12中の電子スピンの分布は右向きスピンと左向きスピンが一致しているが、強磁性固定層13中では電子スピンと磁性金属原子スピンとの相互作用(s−d相互作用)が働き、かつ強磁性固定層13が厚膜のために、電子スピンは強磁性固定層13の磁化方向(右向き)に整列する。このようにスピン偏極した電子が第1分離層14−1を介して第1強磁性フリー層15−1、さらに、第2分離層14−2を介して第2強磁性フリー層15−2に注入されると、各強磁性フリー層の磁化は、強磁性固定層13の磁化方向と平行になる向きのトルクを受ける。フリー層電極16からの注入電流密度Iを十分に大きくして、各強磁性フリー層の磁化反転電流密度より大きくした場合、即ち、I>Ic>Icとした場合は、図2aに示したように第1強磁性フリー層15−1および第2強磁性フリー層15−2の磁化方向は強磁性固定層13の磁化に平行な状態へ遷移する。この状態を論理値“0”とする。
次に、論理値“1”への遷移を説明する。図2bは、論理値“0”の状態において固定層電極12からフリー層電極16に向かってIc>I>Icなる電流密度Iの電流を流した場合を示している。この場合、電子はフリー層電極16から第2強磁性フリー層15−2に注入される。フリー層電極16中の電子スピンの状態は右向きスピンと左向きスピンの分布は一致しており、第2強磁性フリー層15−2に注入される電子も類似の分布を有するため、フリー層電極16から直接注入される電子からは磁化反転のトルクは生じない。しかしながら、図2bに示したように第1強磁性フリー層15−1の磁化と反平行な左向きスピンの電子は、右向きスピンの電子よりも第1強磁性フリー層15−1への注入時に高いポテンシャル障壁が存在するため第1強磁性フリー層15−1の表面で反射され、第2強磁性フリー層15−2に注入される。この結果、第2強磁性フリー層15−2の磁化は左向きのトルクを受ける。なお、強磁性固定層との界面でも同様な現象が生じるが、フリー層電極16からの注入電流密度IはIC1>I>IC2なる関係を持っているため、図2bに示したように第2強磁性フリー層15−2の磁化方向のみが反転し、強磁性固定層13の磁化に反平行な状態に遷移する。この状態を論理値“1”とする。
続いて、論理値“2”への遷移を説明する。図2cは、論理値“1”の状態において固定層電極12からフリー層電極16に向かって流す電流を増加させ、I>IC1>IC2なる電流密度Iの電流を流した場合を示している。この場合、図2cに示したように強磁性固定層13の表面で反射された左向きのスピン電子と第1強磁性フリー層15−1の磁化との相互作用により、第1強磁性フリー層15−1の磁化方向が反転し、第2強磁性フリー層15−2の磁化方向と同様に強磁性固定層13の磁化方向と反平行な状態に遷移する。この状態を論理値“2”とする。
記録情報の論理値と各磁性層の磁化方向との関係を整理すると表1のようになる。このようにして本素子に流す電流の方向および大きさを制御することで1つの素子に対して多値の情報を記録することができる。
以上の説明では、強磁性フリー層が2層の場合について説明したが、強磁性フリー層の層数を増加してn層とする場合には、各強磁性フリー層の磁化反転電流密度をIcj−1>Icを満たすように設定した上で、次のようにして書き込みを行う。まず、強磁性フリー層6から固定層電極12に向けてIcより大きな電流密度Iで電流を流す。Icは全てのIcの中で最大であるから、各強磁性フリー層の磁化は強磁性固定層の磁化の向きに揃うことになる。次に、第j強磁性フリー層の磁化反転を行うためには、固定層電極12からフリー層電極16に向けて、Icj−1>I>ICjなる電流密度Iにて電流を流せばよい。この結果、第n強磁性フリー層から第j強磁性フリー層までの磁化が強磁性固定層13と反対向きで揃い、第(j−1)強磁性フリー層から第1強磁性フリー層までの磁化が強磁性固定層13と同じ向きで揃うこととなり、隣接する層間で磁化反転する箇所が1箇所発生することになる。
Figure 2007080952
続いて、素子に記録された情報の読み出し方法について説明する。情報を読み出す際には、各強磁性フリー層の磁化が反転しない程度の小さな電流密度Iの電流を流し、素子の抵抗値を測定する。第n強磁性フリー層の磁化反転電流密度が最小であるから、I<Icとすればよい。電流を流す方向は、いずれの方向でも読出しが可能である。但し、電流を流す方向により、異なる動作原理で読出しが行われる。
始めに、固定層電極12からフリー層電極16へ向かう方向に電流を流す場合、即ち、電子がフリー層電極16から固定層電極12へ向かう場合について説明する。この場合の読出し原理は、磁性層中で電子スピンが緩和することに基づいている。図3は、固定層電極12からフリー層電極16へ向かう方向に電流を流す場合の読出しの原理を説明するための模式図で、図3aは第1強磁性フリー層15−1と第2強磁性フリー層15−2の間で磁化が反転している状態を例にとって示しており、図3bは第(n−2)強磁性フリー層15−(n−2)と第(n−1)強磁性フリー層15−(n−1)の間で磁化が反転している状態を例にとって示している。図中で、U字型の矢印が電子の反射を表しており、実線が主要な強い反射、破線が弱い反射を表している。
磁性層中に注入された電子は磁性層中を移動する際に、磁性層と相互作用を行う。電子スピンの向きは電子の平均自由工程の数倍の距離保存されるが、やがて緩和して、電子のスピンは通過している磁性層の磁化の向きに揃うこととなる。この距離をスピン緩和距離と呼び、金属では100から200nmである。フリー層電極16中の電子スピンの分布は右向きスピンと左向きスピンが一致しているが、各強磁性フリー層中を移動するに伴い、スピン偏極が生じる。電子スピンの緩和の程度は移動する距離に応じて変化するため電子スピンの偏極状態は移動する距離に応じて変化することになる。図3aでは、第n強磁性フリー層15−nから第2強磁性フリー層15−2まで各強磁性フリー層は左向きの磁化を有しているため、電子スピンは次第に左向きの偏極の程度が増大する。電子が第1強磁性フリー層15−1に注入される時には、第1強磁性フリー層の磁化と反対向きの左向きスピンの電子は高いポテンシャル障壁を受けて反射される率が高くなり、結果として抵抗値が高くなる。
これに対して、図3bの場合には、第(n−2)強磁性フリー層で右向き磁化に反転するため、電子の移動距離は短く、スピン偏極の程度も小さい。従って、第(n−2)強磁性フリー層に電子が注入される時の反射が小さくなり、抵抗値は図3aの場合に比べて小さくなる。
従って、磁化が反転する強磁性フリー層の位置により素子の抵抗値が異なることになり、この抵抗値を用いて記録された情報を読み出すことが可能である。
次に、フリー層電極16から固定層電極12へ向かう方向に電流を流す場合、即ち、電子が固定層電極12からフリー層電極16へ向かう場合について説明する。この場合の読出し原理は、隣接する層間での電子の反射率が、電子スピンの分布によって異なることに基づいている。図4は、フリー層電極16から固定層電極12へ向かう方向に電流を流す場合の読出しの原理を説明するための模式図で、図4aは第1強磁性フリー層15−1と第2強磁性フリー層15−2の間で磁化が反転している状態を例にとって示しており、図4bは第n−2強磁性フリー層15−(n−2)と第n−1強磁性フリー層15−(n−1)の間で磁化が反転している状態を例にとって示している。
隣接する層に注入される電子の反射率は、電子スピンの分布により変化し、注入先の磁化の方向と反対方向の電子スピンが多くなるほど反射率が高くなる。固定層電極12中の電子スピンの分布は右向きスピンと左向きスピンが一致しているが、強磁性固定層13の膜厚が厚いこと等の理由により、強磁性固定層13に注入された電子のスピンは、大部分が強磁性固定層13の方向に揃うこととなり、図4の例では右向きに揃うこととなる。強磁性固定層13と同方向の右向きの磁化を有している強磁性フリー層を移動するときは、電子スピンは右向きの程度が増加する変化はあるが、右向きのスピン偏極が維持される。また、左向きのスピンが少ないため隣接する層間での電子の反射は抑制されている。図4aでは、第2強磁性フリー層15−2で磁化が反転しているため、電子が第2強磁性フリー層15−2に注入されるときには、右向きスピンの電子の一部は界面で反射されることになる。第3強磁性フリー層は薄い等の理由で、右向きスピンの電子の反射は一部にとどまり、電子スピンの右向きの偏極は維持される。このため、第2強磁性フリー層15−2から第n強磁性フリー層15−nまで、右向きスピンの偏極の程度が減少しながら同様の反射が繰り返し行われ、結果として高い抵抗値を示すこととなる。
これに対して、図4bの例では、第(n−1)強磁性フリー層で磁化が反転するため、隣接する層間での反射の機会が減少し、結果として抵抗値が図4aに比べて低くなる。
従って、磁化が反転する強磁性フリー層の位置により素子の抵抗値が異なることになり、この抵抗値を用いて記録された情報を読み出すことが可能である。
(各層の構成)
以下、本素子を構成する各層の構成について説明する。
基板11の材料は、基板上に配置する複数の素子を独立に制御するために絶縁性を有し、また、素子を保持するために充分な剛性を有する材料であれば、所望の平坦度に応じて適宜選択可能である。例えば、サファイア、酸化シリコンなどの厚さ数100umの絶縁基板や、表面を酸化し絶縁性を確保したSi等の半導体基板等が使用できる。
固定層電極12は、導電性の材料であれば適宜選択可能であり、その厚さは数十nmから数百nm、面積は20nm×20nmから10μm×10μmの範囲が好ましい。その形状は四角形状が好ましいが、所望により丸型、楕円形状等とすることもできる。
強磁性固定層13および各強磁性フリー層の形状は、膜厚を除いて同一形状で積層することが好ましい。各強磁性層中の磁化の配向方向を基板面に平行な特定方向(例えば、図1の左右方向)とすることが好ましい。磁化をそのような向きに配向させるには強磁性層に形状異方性を持たせることが有効である。このため、磁化を配向する方向を長さ(L)とし、これと直行する方向を幅(W)とした時に、L/W≧2にて強磁性固定層、各強磁性フリー層を形成することが好ましい。
n層の強磁性フリー層の磁化反転電流密度を、Icj−1>Icが成立する順序に設定するためには、次のいずれかの方法をとる。1)一軸磁気異方性定数(Ku)を所定の順序に設定する。具体的には、第j強磁性フリー層のKuをKuとした時に、Kuj−1>Ku(但し、2≦j≦n)が成立するように設定する。2)保磁力(Hc)を所定の順序に設定する。具体的には、第j強磁性フリー層のHcをHcとした時に、Hcj−1>Hc(但し、2≦j≦n)が成立するように設定する。3)飽和磁化(Ms)を所定の順序に設定する。具体的には、第j強磁性フリー層のMsをMsとした時に、Msj−1>Ms(但し、2≦j≦n)が成立するように設定する。
強磁性フリー層の磁性材料としては、磁性金属、強磁性半導体もしくは強磁性酸化物を使用することができる。例えば、Co、CoCr合金、CoPtCr合金、CoPtCrB合金、CoPtCrTaB合金、パーマロイ系合金(例えば、Ni80Fe20、NiFeMo合金等)、Fe、FeCo系合金(例えば、CoFeB、NiCoFe、FeCoN等)、NiMnSb合金、CoMnAl合金、CoMnSi合金、CoMnGe合金、CoCrFeAl合金、FePt合金、SrFeMoO合金、Fe合金、CoHfTa合金、CoZrNb合金、FeAlN合金、FeTaN合金等を用いることができる。
中でもCoCr系合金、CoPt系合金またはCoPtCr系合金が特に好ましい。これは、PtまたはCrの濃度を調整することにより、Ku、Hcを広い範囲で調整することが可能なことから、各強磁性フリー層の磁化反転電流密度を所望の値に容易に設定できるためである。Kuを設定するためには、Ptの濃度を変更することが好ましい。第j強磁性フリー層のPt濃度をPとした時に、Pj−1>P(但し、2≦j≦n)が成立するように設定することにより、Kuを所望の順序に設定することができる。Kuの設定を好適に行うためには、Ptの濃度は、0.1原子%以上、20原子%以下とすることが好ましい。Ptの濃度をこの範囲で設定することにより、一軸磁気異方性エネルギーを10〜10erg/cm程度の範囲で変化させることができる。Hcを設定するためには、Crの濃度を変更することが好ましい。第j強磁性フリー層のCr濃度をCとした時に、Cj−1>C(但し、2≦j≦n)が成立するように設定することにより、Hcを所望の順序に設定することができる。Hcの設定を好適に行うためには、Crの濃度は、0.1原子%以上、20原子%以下とすることが好ましい。
各強磁性フリー層の膜厚は電子スピンの緩和距離に比べて薄くすることが必要である。電子スピンの緩和距離は、金属では100から200nm程度であるため、各強磁性フリー層の膜厚は50nm以下が好ましく、電子スピンの偏極状態を好適に制御するためには、5nm以上、20nm以下が特に好ましい。
強磁性固定層13の磁性材料としては、磁気異方性定数および保磁力の大きな材料が好ましく、なかでも、Co、CoPt合金、FePt、CoCr、CoPtCr、CoPtCrB、CoPtCrTaB、CoPt人工格子膜、CoPd人工格子膜、CoPtCr−SiOグラニュラー膜等が特に好ましい。強磁性固定層の膜厚は、磁化を充分に固定し、かつ電子スピンを揃えるために厚いことが好ましく、具体的には50nm以上とすることが好ましい。
各分離層の材料としては、非磁性金属、酸化物を使用することができる。非磁性金属の場合はCu、V、Nb、Mo、Rh、Ta、W、Re、Ir、Pt、およびPdが好ましく、酸化物の場合は、アルミの酸化物、MgOが好ましい。また、これら非磁性金属膜と酸化物の二層積層膜を用いることができる。各分離層の膜厚は、各強磁性層の磁気的な分離性を確保するために1nm以上とすることが好ましく、電気抵抗を低減するためには10nm以下とすることが好ましい。
フリー層電極16は、導電性の材料であれば適宜選択可能であり、その厚さは数十nmから数百nmが好ましく、形状は強磁性フリー層と同等とすることが好ましい。
上述した単位素子を基板上に複数集積して大規模なランダムアクセスメモリ装置を構成することができる。このためには、例えば、図8aの配置を用いて、メモリ素子50として上述の素子を配置する。
(他の実施の形態)
図1の構成は本発明の素子の基本構成を示すものであり、各構成要素を適宜変更して目的に応じた改変を行うことが可能である。以下、変形例について例示する。
図5は、フリー層電極16と第n強磁性フリー層15−nの間に分離層を介して強磁性補助固定層17を設けたものである。第n強磁性フリー層は、他の強磁性フリー層と比較して、フリー層電極から注入される電子による磁化反転の書き込みがしにくい層である。これは、フリー層電極16中の電子スピンの分布が右向き、左向きが一致しているためである。強磁性補助固定層17は、電子スピンを予め弱く偏極することにより、第n強磁性フリー層の磁化反転を補助するものである。従って、強磁性補助固定層の磁化の向きは強磁性固定層13と反対向きに設定し、かつ固定する。その膜厚は、電子スピンを弱く偏極するに足る厚みとすることが好ましく、スピン緩和距離に比べて薄い、20nmないし50nmが好ましい。薄い膜厚で磁化の向きを固定するためには、Kuを高く設定することが好ましく、強磁性固定層のKuよりも高く設定することが特に好ましい。その材料としては強磁性固定層と同様の材料を用いることができる。
図6は、強磁性固定層13の磁化を固定する他の方法の例である。図6aは、強磁性固定層13と固定層電極12の間に、非磁性の反強磁性結合層20を介して強磁性層18を設け、強磁性固定層13と強磁性層18の間に反強磁性結合を設けたものである。また、図6bは、非磁性の強磁性結合層21を介して強磁性層19を設け、強磁性固定層13と強磁性層19の間に強磁性結合を設けたものである。強磁性層18、強磁性層19の材料、構成は公知のものを用いることができる。また、強磁性固定層13の磁化を固定するために公知の他の方法を用いても良い。
図7は、本発明の素子10の基本部分を積層したもので、強磁性固定層13から第n強磁性フリー層15−nまでの部分に対応する強磁性固定層213から第n強磁性フリー層215−nをもう一段積層したものである。同様にして3回以上の積層を行っても良い。このようにすることで、多値化のレベルをさらに上げることができる。
また、本素子への書き込みを、前記したスピン注入以外の方法で行って、本素子をセンサーとして用いることが可能である。例えば、磁場中に本素子を置き、その磁場で強磁性フリー層の磁化反転を行った上で、前記した読み込み方法を用いれば、磁化反転を生じた強磁性フリー層の位置を検出することができる。例えば、各強磁性フリー層を保磁力の順に並べておいた場合には、本素子を磁場のセンサーとして用いることが可能である。
以下、実施例を用いてさらに詳細に説明する。
図1の構成を用いて、強磁性フリー層を2層、分離層として非磁性金属を用いてGMR型の磁気メモリ素子を作製した。
非磁性基板11としてSi基板を用い、Si基板上に固定層電極12として、幅1μm、長さ10μmの形状でCuを200nmの厚さに成膜した。引き続き、固定層電極12上に、幅500nm、長さ1μmの形状で強磁性固定層13をCo70Cr20Pt10(ここで、下付き数字は原子%を表す。以下同様である。)を用いて100nmの厚さに形成した。引き続き、強磁性固定層13と同じ長さ、幅で以下の各層を形成した。Cuからなる層厚1nmの第1分離層14−1、Co89Pt10Crからなる層厚10nmの第1強磁性フリー層15−1、Cuからなる層厚1nmの第2分離層14−2、Co96PtCrからなる層厚10nmの第2強磁性フリー層15−2、Cuからなる層厚200nmのフリー層電極16を順次形成した。以上の各層の成膜はスパッタ法を用いて行った。このようにして、GMR効果を有する素子を得た。
TMR型の磁気メモリ素子の例である。
分離層14−1、14−2として層厚1nmのAl層をスパッタ法で形成したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてTMR効果を有する磁気メモリ素子を得た。
実施例2の素子を用いて、3値記録を行った。
始めに、各強磁性フリー層のKu、Icを測定したところ、第1強磁性フリー層のKuは、4.0×10erg/cm、Icは1.0×10A/cmで、第2強磁性フリー層のKuは、3.3×10erg/cm、Icは5.0×10A/cmであり、Ku>Ku、およびIc>Icが確認できた。
次に、表1の動作モードにより3値を記録し、読出しを行った。読み出し結果を表2に示す。書き込みの電流密度は、論理値“0”が1.2×10A/cm、論理値“1”が6.0×10A/cm、論理値“2”が1.4×10A/cmで、読出しの電圧は1Vである。
Figure 2007080952
以上の例では強磁性フリー層に用いる磁性材料をCoCrPtとし、Ptの組成比を変化させることで磁化反転電流密度を変化させたが、磁性材料をCoCrあるいはCoCrPtとしてCrの組成比を0.1〜20原子%の間で変化させた場合、および磁性材料をCoPtとし、Ptの組成比を0.1〜20%の間で変化させた場合にも実施例1、2と同様の効果が得られることを確認している。
本発明の磁気メモリ素子の構成例を説明するための断面模式図である。 本発明の磁気メモリ素子に書き込みを行う時の動作原理を説明するための断面模式図である。 本発明の磁気メモリ素子の読み込みを行う時の動作原理を説明するための断面模式図で、電流を固定層電極からフリー層電極に向けて流す場合のものである。 本発明の磁気メモリ素子の読み込みを行う時の動作原理を説明するための断面模式図で、電流をフリー層電極から固定層電極に向けて流す場合のものである。 本発明の磁気メモリ素子の他の構成例を説明するための断面模式図で、強磁性補助固定層を設けた例である。 本発明の磁気メモリ素子の他の構成例を説明するための断面模式図で、(a)は強磁性固定層に反強磁性結合を設けた例、(b)は強磁性固定層に強磁性結合を設けた例である。 本発明の磁気メモリ素子の他の構成例を説明するための断面模式図で、基本素子をさらに積層した例である。 従来技術である電流磁場駆動型のTMR磁気メモリ素子の構成例を説明するためのものである。 電子スピン注入磁化反転素子の従来技術の動作原理を説明するための断面模式図である。 電子スピン注入磁化反転素子を多値化する方法の従来技術を説明するための断面模式図である。
符号の説明
10 磁気メモリ素子
11 基板
12 固定層電極
13、213 強磁性固定層
14、214 分離層
14−n、214−n 第n分離層
15、215 強磁性フリー層
15−n、215−n 第n強磁性フリー層
16 フリー層電極
17 強磁性補助固定層
18 反強磁性結合を行う強磁性層
19 強磁性結合を行う強磁性層
20 反強磁性結合層
21 強磁性結合層
50 電流磁場駆動型TMRメモリ素子
52 ビット線
53 第1強磁性層
54 非磁性金属層
55 第2強磁性層
56 ワード線
57 書き込み用ワード線
131 第1強磁性固定層
132 第2強磁性固定層
133 第3強磁性固定層
141 第1分離層
142 第2分離層
143 第3分離層
144 第4分離層
151 第1強磁性フリー層
152 第2強磁性フリー層

Claims (15)

  1. 磁化が第1の方向に実質的に固定された強磁性固定層と、磁化の方向が可変のn層の強磁性フリー層と、非磁性のn層の分離層とを備え、
    nを2以上とし、
    前記強磁性固定層に一番近い強磁性フリー層を第1強磁性フリー層とし、一番遠い強磁性フリー層を第n強磁性フリー層として前記各強磁性フリー層を番号順に配置し、
    前記強磁性固定層と前記第1強磁性フリー層の間に前記分離層の一つを配置し、
    前記各強磁性フリー層の間にそれぞれ前記分離層の一つを配置し、
    前記各強磁性フリー層の磁化反転動作を電子スピン注入により行い、
    磁化反転電流密度をIcとして、前記第j強磁性フリー層の磁化反転電流密度をIcとしたときに、前記各強磁性フリー層がIcj−1>Ic(但し、2≦j≦n)を満たすことを特徴とするスピン注入磁化反転素子。
  2. 磁化が第1の方向に実質的に固定された強磁性固定層と、磁化の方向が可変のn層の強磁性フリー層と、非磁性のn層の分離層とを備え、
    nを2以上とし、
    前記強磁性固定層に一番近い強磁性フリー層を第1強磁性フリー層とし、一番遠い強磁性フリー層を第n強磁性フリー層として前記各強磁性フリー層を番号順に配置し、
    前記強磁性固定層と前記第1強磁性フリー層の間に前記分離層の一つを配置し、
    前記各強磁性フリー層の間にそれぞれ前記分離層の一つを配置し、
    前記各強磁性フリー層の磁化反転動作を電子スピン注入により行い、
    一軸磁気異方性定数をKuとして、前記第j強磁性フリー層の一軸磁気異方性定数をKuとした時に、前記各強磁性フリー層がKuj−1>Ku(但し、2≦j≦n)を満たすことを特徴とするスピン注入磁化反転素子。
  3. 保磁力をHcとし、前記第j強磁性フリー層の保磁力をHcとした時に、前記各強磁性フリー層がHcj−1>Hc(但し、2≦j≦n)を満たすことを特徴とする請求項1ないし2のいずれかに記載のスピン注入磁化反転素子。
  4. 飽和磁化をMsとし、前期第j強磁性フリー層の飽和磁化をMsとした時に、前記各強磁性フリー層がMsj−1>Ms(但し、2≦j≦n)を満たすことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のスピン注入磁化反転素子。
  5. 前記各強磁性フリー層がCoCrPt合金、CoCr合金またはCoPt合金により構成されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のスピン注入磁化反転素子。
  6. Cr濃度をCとし、前記第j強磁性フリー層のCr濃度をCとした時に、前記各強磁性フリー層がCj−1>C(但し、2≦j≦n)、および0.1原子%≦C≦20原子%(但し、1≦j≦n)を満たすことを特徴とする請求項5に記載のスピン注入磁化反転素子。
  7. Pt濃度をPとし、前記第j強磁性フリー層のPt濃度をPとした時に、前記各強磁性フリー層がPj−1>P(但し、2≦j≦n)、および0.1原子%≦P≦20原子%(但し、1≦j≦n)を満たすことを特徴とする請求項5ないし6のいずれかに記載のスピン注入磁化反転素子。
  8. 前記各強磁性フリー層の長さを幅で除した値が2以上であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のスピン注入磁化反転素子。
  9. 前記各分離層が非磁性金属であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のスピン注入磁化反転素子。
  10. 前記非磁性金属がCuであることを特徴とする請求項9に記載のスピン注入磁化反転素子。
  11. 前記各分離層が絶縁体であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のスピン注入磁化反転素子。
  12. 前記絶縁体がAlであることを特徴とする請求項11に記載のスピン注入磁化反転素子。
  13. 前記強磁性固定層の前記強磁性フリー層と反対側の面に固定層電極を設け、前期第n強磁性フリー層の前記強磁性固定層とは反対側の面にフリー層電極を設けたことを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載のスピン注入磁化反転素子。
  14. 前記第n強磁性フリー層の前記強磁性固定層とは反対側の面に、非磁性の分離層および強磁性補助固定層をこの順にさらに設け、該強磁性補助固定層の磁化が前記第1の方向とは反対の第2の方向に実質的に固定されていることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載のスピン注入磁化反転素子。
  15. 請求項1ないし14のいずれかに記載のスピン注入磁化反転素子を用いたことを特徴とする磁気メモリ装置。
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