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JP2006257225A - ポリビニルアルコール系フィルム及びその用途 - Google Patents

ポリビニルアルコール系フィルム及びその用途 Download PDF

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JP2006257225A
JP2006257225A JP2005075343A JP2005075343A JP2006257225A JP 2006257225 A JP2006257225 A JP 2006257225A JP 2005075343 A JP2005075343 A JP 2005075343A JP 2005075343 A JP2005075343 A JP 2005075343A JP 2006257225 A JP2006257225 A JP 2006257225A
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Shuichi Kitamura
秀一 北村
Tomoyoshi Mizutani
知由 水谷
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Mitsubishi Chemical Corp
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Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

【課題】 冷水溶解性に優れ、更にヒートシール性(ヒートシール強度、ヒートシール部分の溶解性)、耐薬品性、長期保存後の柔軟性に優れたポリビニルアルコール系フィルムを提供すること。
【解決手段】 20℃の水に3分以内に溶解するポリビニルアルコール系フィルムであって、かつ、側鎖に1,2−グリコール結合を含有し、ケン化度が85〜97モル%であるポリビニルアルコール系樹脂(A)及び多価アルコール(B)を含有してなる樹脂組成物からなるポリビニルアルコール系フィルム。

Description

本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とするポリビニルアルコール系フィルムに関し、更に詳しくは、冷水溶解性に優れ、更にヒートシール性(ヒートシール強度、ヒートシール部分の溶解性)、耐薬品性、長期保存後の柔軟性に優れたポリビニルアルコール系フィルムに関するものである。
従来より、ポリビニルアルコール系フィルムは、その水溶性を活かして、農薬や洗剤等の薬剤の包装(ユニット包装)用途、(水圧)転写用フィルム、ナプキン・紙おむつ等の生理用品、オストミーバッグ等の汚物処理用品、吸血シート等の医療用品、育苗シート・シードテープ・刺繍用基布等の一時的基材等に用いられている。
中でも、農薬や洗剤等の薬剤のユニット包装用途では、使用時に一々計量する手間が省けるうえ、手を汚したりすることもないという利点がある。
これらに用いられる水溶性のポリビニルアルコール系樹脂としては、水溶解性、特に低温水溶解性を有するケン化度80〜90モル%程度の未変性部分鹸化ポリビニルアルコール系樹脂やスルホン酸基やカルボキシル基等で変性したポリビニルアルコール系樹脂が一般的である。
しかしながら、これらの従来のポリビニルアルコール系フィルムは、水溶性には優れるものの、農薬や洗剤等を分包(ユニット包装)し、長期間保存する場合には、薬品の影響により、フィルム中の可塑剤が薬剤に移行し、フィルムの可撓性や柔軟性が低下し、運搬中の衝撃等によりフィルムが破袋するなどの不都合が生じている。冬場や寒冷地等では、特に大きな問題となっている。
また、ユニット包装加工の工程において、一般的に行なわれているヒートシール処理により、処理部分におけるポリビニルアルコール系フィルムの結晶性が高くなり、フィルムの一部が溶け残るなどの不都合も生じている。
かかる問題に対する対策の一つとして、スルホン酸基またはカルボキシル基からなる共重合体単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂100重量部に、3〜6価の多価アルコール1モルに対しアルキレンオキサイド1〜4モルを付加反応して得られた化合物3〜100重量部を配合してなる組成物からなる水溶性フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平9−272773号公報
しかしながら、特許文献1の開示技術では、冷水溶解性や長期保存後の柔軟性については改善されているもののまだまだ満足するものではなく、一般的に可塑剤として用いられるグリセリンやジグリセリンに比べても可塑効果に劣るものであり、更に、上記のヒートシール性については改善されておらず、不充分であり、更なる改良が求められている。
そこで、本発明ではこのような背景下において、冷水溶解性に優れ、更にヒートシール性(ヒートシール強度、ヒートシール部分の溶解性)、耐薬品性、長期保存後の柔軟性に優れたポリビニルアルコール系フィルム及びそれを用いた薬剤包装体を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者等は上記の如き現況に鑑み鋭意研究した結果、20℃の水に3分以内に溶解するポリビニルアルコール系フィルムであって、かつ、側鎖に1,2−グリコール結合を含有し、ケン化度が85〜97モル%であるポリビニルアルコール系樹脂(A)及び多価アルコール(B)を含有してなる樹脂組成物からなるポリビニルアルコール系フィルムが、上記目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
本発明では特に、ポリビニルアルコール系樹脂(A)の側鎖に含有する1,2−グリコール結合量が3〜12モル%であることが好ましく、また、ポリビニルアルコール系樹脂(A)の20℃における4重量%水溶液粘度が4〜400mPa・sであることが好ましい。
本発明では、更に界面活性剤(C)を含有してなることも好ましい。
また本発明では、1重量%の懸濁液または水溶液とした時のpHが1〜12(20℃)となるような薬剤を上記ポリビニルアルコール系フィルムで包装してなる薬剤包装体も提供するものである。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、20℃の水に3分以内に溶解するポリビニルアルコール系フィルムであって、かつ、側鎖に1,2−グリコール結合を含有し、ケン化度が85〜97モル%であるポリビニルアルコール系樹脂(A)及び多価アルコール(B)を含有してなる樹脂組成物からなるため、農薬や洗剤などの薬剤を包装しても、冷水溶解性、ヒートシール性(ヒートシール強度、ヒートシール部分の溶解性)、耐薬品性、長期保存後の柔軟性に優れたフィルムであり、各種の包装用途等に有用で、特に薬剤等のユニット包装用途に有用である。中でも本発明では、水に分散または溶解させて1重量%の懸濁液または水溶液とした時のpHが1〜12(20℃)となるような薬剤を包装するのに有用である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、20℃の水に3分以内に溶解するポリビニルアルコール系フィルムであって、かつ、側鎖に1,2−グリコール結合を含有し、ケン化度が85〜97モル%であるポリビニルアルコール系樹脂(A)及び多価アルコール(B)を含有してなるものである。
本発明で用いるポリビニルアルコール系樹脂(A)としては、側鎖に1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂、即ち、一般式(1)で示される1,2−グリコール構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂であれば特に限定されない。
Figure 2006257225

(ここで、R1、R2、R3はそれぞれ独立して水素又はアルキル基である。)
このようなポリビニルアルコール系樹脂(A)は、例えば、(ア)ビニルエステル系モノマーと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化することによって製造することができる。
かかるビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、中でも酢酸ビニルが好ましく用いられる。
かかるビニルエステル系モノマーと共重合される3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとは、下記の化学式(2)で示されるものである。
Figure 2006257225

(ここで、Rはアルキル基で、好ましくはメチル基である。)
なお、上記の(2)式で示される化合物は、イーストマンケミカル社やアクロス社の製品として市場から入手したり、ブタンジオール製造時の中間体を精製して使用することができる。
また、本発明においては、上記の共重合成分以外にも本発明の目的を阻害しない範囲において、他のモノマーを共重合させることも可能で、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、グリセリンモノアリルエーテル、アルキルビニルエーテル類、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等のポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン、エチレンカーボネート、アリルアセテート等が挙げられる。
さらに、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、3−ブテントリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のカチオン基含有単量体、アセトアセチル基含有単量体等も挙げられる。
上記のビニルエステル系モノマーと3,4−ジアセトキシ−1−ブテン(さらには他のモノマー)を共重合するに当たっては、特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、またはエマルジョン重合等の公知の方法を採用することができるが、通常は溶液重合が行われる。
共重合時のモノマー成分の仕込み方法としては特に制限されず、一括仕込み、分割仕込み、連続仕込み等任意の方法が採用されるが、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンがポリビニルエステル系ポリマーの分子鎖中に均一に分布させられる、ポリビニルアルコール の融点が降下する等の物性面での点から滴下重合が好ましく、特にはHANNA法に基づく重合方法が好ましい。
かかる共重合で用いられる溶媒としては、通常、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールやアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられ、工業的には、メタノールが好適に使用される。
溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すればよく、例えば、溶媒がメタノールの時は、S(溶媒)/M(モノマー)=0.01〜10(重量比)、好ましくは0.05〜3(重量比)程度の範囲から選択される。
共重合に当たっては重合触媒が用いられ、かかる重合触媒としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル等の公知のラジカル重合触媒やアゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル等の低温活性ラジカル重合触媒等が挙げられ、重合触媒の使用量は、触媒の種類により異なり一概には決められないが、重合速度に応じて任意に選択される。例えば、アゾイソブチロニトリルや過酸化アセチルを用いる場合、ビニルエステル系モノマーに対して0.01〜0.2モル%が好ましく、特には0.02〜0.15モル%が好ましい。
また、共重合反応の反応温度は、使用する溶媒や圧力により40℃〜沸点程度とすることが好ましい。
本発明においては、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの共重合割合は特に限定されないが、後述の1,2−グリコール結合の導入量に合わせて共重合割合を決定すればよい。
得られた共重合体は、次いでケン化されるのであるが、かかるケン化にあたっては、上記で得られた共重合体をアルコールまたは含水アルコールに溶解し、アルカリ触媒又は酸触媒を用いて行われる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノール等が挙げられるが、メタノールが特に好ましく用いられる。アルコール中の共重合体の濃度は系の粘度により適宜選択されるが、通常は10〜60重量%の範囲から選ばれる。ケン化に使用される触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒、硫酸、塩酸、硝酸、メタスルフォン酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等の酸触媒が挙げられる。
かかるケン化触媒の使用量については、ケン化方法、目標とするケン化度等により適宜選択されるが、アルカリ触媒を使用する場合は通常、ビニルエステル系モノマー及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの合計量1モルに対して0.1〜30ミリモル、好ましくは2〜17ミリモルが適当である。
また、ケン化反応の反応温度は特に限定されないが、10〜60℃が好ましく、より好ましくは20〜50℃である。
上記ポリビニルアルコール系樹脂(A)は上記の如くケン化時にビニルエステル系モノマーのエステル部分と3,4−ジアセトキシ−1−ブテンのアセトキシ部分を同時に水酸基へ変換することによって製造される。
かくして、側鎖に1,2−グリコール結合を含有するポリビニルアルコール系樹脂(A)が得られるのであるが、本発明では、かかるポリビニルアルコール系樹脂(A)のケン化度は、85〜97モル%、特には88〜97モル%が好ましく、かかるケン化度が85モル%未満ではフィルム強度や耐薬品性が低下し、97モル%を超えるとヒートシール部の溶解性が低下することとなる。
なお、本発明におけるケン化度とは、ビニルエステル系モノマーのエステル部分及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテンのアセトキシ部分の総量の水酸基への変化率(モル%)で表示される(ケン化反応において、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンのアセトキシ部分はほぼ完全にケン化される)。
また、ポリビニルアルコール系樹脂(A)の側鎖に導入される1,2−グリコール結合量としては、3〜12モル%であることが好ましく、更に好ましくは3〜10モル%、特に好ましくは4〜8モル%である。かかる結合量が3モル%未満では本発明の効果が得難く、逆に12モル%を超えると生産性が低下するため好ましくない。
更に、上記ポリビニルアルコール系樹脂(A)の20℃における4重量%水溶液粘度は4〜400mPa・s、特には4〜300mPa・s、更には8〜270mPa・sが好ましく、かかる4重量%水溶液粘度が4mPa・s未満ではフィルム強度が不足することとなり、400mPa・sを超えるとフィルムの平面平滑性が低下することとなり好ましくない。
また、本発明で用いるポリビニルアルコール系樹脂(A)の製造方法として、上記(ア)ビニルエステル系モノマーと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法について詳述したが、かかる方法に限定されることなく、例えば、(イ)ビニルエステル系モノマーと一般式(3)で示されるビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(ウ)ビニルエステル系モノマーと一般式(4)で示される2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(エ)ビニルエステル系モノマーとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等も挙げられ、特に限定されるものではない。なお、ビニルエチレンカーボネートは、イーストマンケミカル社品として市場から入手することができる。
Figure 2006257225

但し、R1、R2、R3はそれぞれ独立して水素又はアルキル基である。
Figure 2006257225

但し、R1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ独立して水素又はアルキル基である。
本発明で用いる多価アルコール(B)としては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパンや、重合度が300以下のポリエチレングリコール等が挙げられ、これらの多価アルコールは単独または二種以上組み合わせて使用することができる。中でも特にグリセリン単独、ジグリセリン単独、もしくはグリセリンとジグリセリンまたはグリセリンとトリメチロールプロパンの組み合わせ等がユニット包装時の成型加工等の点で好適である。
グリセリンと、ジグリセリン及び/又はトリメチロールプロパンとを併用するに当たっては、グリセリンとトリメチロールプロパン及び/又はジグリセリンの含有割合が15/85〜85/15(重量比)であることが好ましく、特には20/80〜80/20(重量比)、更には25/75〜75/25(重量比)であることが好ましい。かかる含有割合が15/85(重量比)未満では常温以下での可塑効果が低く、85/15(重量比)を越えると経時安定性が低下する傾向となり好ましくない。
かかる多価アルコール(B)の含有量としては、ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して2〜40重量部であることが好ましく、特には3〜38重量部、更には4〜35重量部であることが好ましい。多価アルコール(B)の含有量が2重量部未満では可塑効果が得られず、40重量部を超えると放置安定性が低下し好ましくない。
本発明では、上記ポリビニルアルコール系樹脂(A)及び多価アルコール(B)の他に更に、界面活性剤(C)を含有することが好ましく、かかる界面活性剤(C)としては、特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルノニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられ、1種又は2種以上併用して用いられる。中でも、製造安定性の点でポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンラウリルアミンが好適である。
かかる界面活性剤(C)の含有量については、ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜4重量部、特に好ましくは0.3〜3重量部である。該含有量が0.1重量部未満では製膜装置のドラムやベルト等の金属表面と製膜したフィルムとの剥離性が低下して製造困難となり、5重量部を超えるとフィルムを包装体とする場合に実施するヒートシール時の接着強度が低下する等の不都合を生じることとなり好ましくない。
かくして本発明では、上記側鎖1,2−グリコール結合を含有するポリビニルアルコール系樹脂(A)及び多価アルコール(B)、好ましくは更に界面活性剤(C)を含有してなる樹脂組成物を得、製膜するのであるが、必要に応じて、更にフィラーや澱粉を含有させることができる。
フィラーとしては、無機フィラーや有機フィラーが挙げられ、無機フィラーとしては、その平均粒子径が1〜10μmのものであることが好ましく、かかる平均粒子径が1μm未満ではフィルムのブロッキング抑制効果が少なく、10μmを越えるとフィルムの外観が悪くなり商品価値が低下し好ましくない。具体例としては、例えば、タルク、クレー、二酸化ケイ素、ケイ藻土、カオリン、雲母、アスベスト、石膏、グラファイト、ガラスバルーン、ガラスビーズ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、ウイスカー状炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドーソナイト、ドロマイト、チタン酸カリウム、カーボンブラック、ガラス繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、加工鉱物繊維、炭素繊維、炭素中空球、ベントナイト、モンモリロナイト、銅粉、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アルミニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、クロム酸カリウム、クエン酸カルシウム等が挙げられる。
また、有機フィラーとしては、その平均粒子径が0.5〜10μmのものであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μm、特に好ましくは0.5〜5μm、更に好ましくは0.5〜3μmである。該平均粒子径が0.5μm未満ではコスト面で高くなり、10μmを越えると分散性が低下することとなり好ましくない。
かかる有機フィラーの具体例としては、例えば、澱粉、メラミン系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂の他、ポリ乳酸、米澱粉等の生分解性樹脂等も挙げられるが、特にはポリメチル(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、生分解性樹脂が好適に用いられる。
上記フィラーの含有量については、ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して2〜30重量部、好ましくは2.5〜25重量部、特に好ましくは2.5〜20重量部であり、かかる含有量が2重量部未満ではフィルムの水中への分散性に効果がなく、30重量部を越えるとフィルムの水中への分散性が低下することとなり好ましくない。
澱粉は、ブロッキング防止や機械強度の調整の目的で含有されるが、その平均粒子径が10μm以上のもの(上記フィラーで記載の澱粉とは平均粒子径が異なる)であることが好ましく、具体例としては、生澱粉(トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、コムギ澱粉、キッサバ澱粉、サゴ澱粉、タピオカ澱粉、モロコシ澱粉、コメ澱粉、マメ澱粉、クズ澱粉、ワラビ澱粉、ハス澱粉、ヒシ澱粉等);物理的変性澱粉(α−澱粉、分別アミロース、湿熱処理澱粉等);酵素変性澱粉(加水分解デキストリン、酵素分解デキストリン、アミロース等);化学分解変性澱粉(酸処理澱粉、次亜塩素酸酸化澱粉、ジアルデヒド澱粉等);化学変性澱粉誘導体(エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン化澱粉、架橋澱粉等)等が挙げられる。尚、化学変性澱粉誘導体のうちエステル化澱粉としては、酢酸エステル化澱粉、コハク酸エステル化澱粉、硝酸エステル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、キサントゲン酸エステル化澱粉、アセト酢酸エステル化澱粉等、エーテル化澱粉としては、アリルエーテル化澱粉、メチルエーテル化澱粉、カルボキシメチルエーテル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、ヒドロキシプロピルエーテル化澱粉等、カチオン化澱粉としては、澱粉と2−ジエチルアミノエチルクロライドの反応物、澱粉と2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの反応物等、架橋澱粉としては、ホルムアルデヒド架橋澱粉、エピクロルヒドリン架橋澱粉、リン酸架橋澱粉、アクロレイン架橋澱粉等が挙げられ、中でも入手の容易さや経済性点から、生澱粉が好適である。
かかる澱粉の含有量は特に限定されないが、ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して0.1〜40重量部であることが好ましく、特に好ましくは1〜30重量部である。かかる含有量が0.1重量部未満ではブロッキング抑制効果が低く、また機械強度の改善効果も少なく、40重量部を越えるとフィルムの外観や引張伸度が大幅に低下し好ましくない。
また、本発明の目的を阻害しない範囲で、上記の他に、他の水溶性高分子(ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キトサン、キチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、香料、防錆剤、着色剤、増量剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、還元剤(亜硫酸ソーダ、酒石酸、アスコルビン酸、チオ硫酸ソーダ、ロンガリット)、等を含有させることも可能である。
かくして本発明では、ポリビニルアルコール系樹脂(A)及び多価アルコール(B)を含有してなる樹脂組成物を製膜(フィルム化)して、ポリビニルアルコール系フィルムとすればよく、かかる製膜に当たっては、特に限定されることなく流延法やインフレーション法等の方法を採用することができる。特に流延法を採用する場合は上記界面活性剤(C)を含有させることが好ましい。
例えば、流延法について、より具体的に説明すれば、上記樹脂組成物(粉末)に水を加えて固形分濃度が10〜50重量%(好ましくは15〜35重量部)の樹脂組成物の水分散液又は水溶性を得る、或いは、ポリビニルアルコール系樹脂(A)(粉末)に水を加えて固形分濃度を10〜50重量%(好ましくは15〜35重量部)に調整したポリビニルアルコール系樹脂水溶液に多価アルコール(B)、及び界面活性剤(C)を加えて固形分濃度が10〜50重量%(好ましくは15〜35重量部)の樹脂組成物の水分散液又は水溶液を得る。
かかる水分散液又は水溶液をT−ダイ等のスリットを通過させ、表面温度が50〜100℃、好ましくは70〜95℃の鏡面仕上(3S以下)されたエンドレスベルトやドラムロール等の金属表面に流延し、乾燥し、必要に応じて更に熱処理してポリビニルアルコール系フィルムを得ることができる。
上記樹脂組成物の固形分濃度が10重量%未満では生産性が低下し、50重量%を超えると高粘度となってドープの脱泡に時間を要したり、フィルム製膜時にダイラインが発生し好ましくなく、金属表面の温度が50℃未満では乾燥に時間を要し実用上好ましくなく、100℃を越えると製膜時に発泡し好ましくない。
また、アプリケーターを用いて、樹脂組成物の水分散液又は水溶液をポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンフィルム等のプラスチック基材あるいは金属基材上にキャストして、乾燥させてポリビニルアルコール系フィルムを得ることもできる。
ここで、流延法について説明したが、本発明ではこれに限定されるものではない。
かくして上記方法によりポリビニルアルコール系フィルムが得られるのであるが、本発明では、20℃の水に3分以内に溶解することが必要であり、好ましくは2分以内、特に好ましくは1分以内であり、かかるフィルムの溶解性は、ポリビニルアルコール系樹脂(A)の変性量やケン化度(但し、85〜97モル%)、粘度、熱処理温度等を適宜調整することにより調整される。
なお、水に対する溶解性の測定については、ポリビニルアルコール系フィルムを3cm×5cmのサイズにカットし、治具に固定し、次に、1リットルビーカーに水(1リットル)を入れ、スターラーにより撹拌しながら水温を20℃に保ちつつ、フィルムを水面と平行に固定できる治具にフィルムを固定して、かかる水中に浸漬し、3cmの撹拌子を用い400rpmで撹拌を続けながらフィルムが溶解するまでの時間(秒)を測定することとした。ここで溶解とは、かかるフィルムが視認できなくなることをいい、このとき直径1mm以下の不溶微粒子が分散している場合も溶解の意味に含めるものである。
かくして得られたポリビニルアルコール系フィルムにおいては、その厚みは、用途により一概に言えないが、5〜100μm、特には10〜80μmであることが好ましく、かかる厚みが5μm未満ではフィルムの製膜精度や機械的強度が低下し、逆に100μmを超えると冷水での溶解速度が大幅に遅くなり、また製膜時の効率も低下し好ましくない。
また、該ポリビニルアルコール系フィルムの表面はプレーンであってもよいが、該フィルムの片面或いは両面にエンボス模様や梨地模様等を施しておいても良い。
かくして得られたポリビニルアルコール系フィルムは、各種の包装用途等に有用であるが、特に薬剤等のユニット包装用途に有用であり、かかる用途について更に説明する。
かかる薬剤としては、特に制限はないが、水に溶解または分散させて用いる薬剤が良く、また、アルカリ性、中性、酸性のいずれであっても良い。更に、薬剤の形状も顆粒、錠剤、粉体、粉末、液状等いずれの形状でも良い。
中でも本発明では、水に分散または溶解させて1重量%の懸濁液または水溶液とした時のpH値が1〜12(20℃)となるような薬剤を包装するのに有用である。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムを用いて薬剤を包装するに当たっては、イ)予め該フィルムを袋状にしておいてから、薬剤を包装する方法、ロ)該フィルムで直接薬剤を包装する方法等が挙げられる。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
尚、例中「%」、「部」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
各物性について、次のようにして行なった。
(1)側鎖の1,2−グリコール結合量
1H−NMR(内部標準物質:テトラメチルシラン、溶媒:d6−DMSO)で測定して算出した。
(2)ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度
残酢酸ビニル単位の加水分解に要するアルカリ消費で分析を行なった。
(3)ポリビニルアルコール系樹脂の4%水溶液粘度
水温を20℃に調整しヘプラ−粘度計により測定した。
実施例1
4%水溶液粘度13.0mPa・s(20℃)、ケン化度90.0モル%、側鎖の1,2−グリコール結合量6.0モル%のポリビニルアルコール系樹脂(A)100部に、多価アルコール(B)としてジグリセリン10部、界面活性剤(C)としてポリオキシエチレンドデシルアミン1部、及び水400部を混合して、90〜99℃で30分間撹拌し、ポリビニルアルコール系樹脂(A)を溶解した後、更に90℃で3時間脱泡し、固形分濃度22%の樹脂組成物の水分散液を得た。
表面が鏡面処理されたSUS板をホットプレート上に設置し、表面を90℃に調整した後、上記の樹脂組成物の水分散液を、加熱されたSUS板上に流延し、その後80〜90℃で5分間乾燥して、キャスト基材よりフィルムを剥離し、厚さ70μmのポリビニルアルコール系フィルムを得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、以下の評価を行った。
(水溶解性)
得られたポリビニルアルコール系フィルムを3cm×5cmのサイズにカットし、治具に固定し、次に、1リットルビーカーに水(1リットル)を入れ、スターラーにより撹拌しながら水温を(1)20℃、(2)15℃に保ちつつ、フィルムを水面と平行に固定できる治具にフィルムを固定して、かかる水中に浸漬し、3cmの撹拌子を用い400rpmで撹拌を続けながらフィルムが溶解するまでの時間(秒)を測定した。ここで溶解とは、かかるフィルムが視認できなくなることをいい、このとき直径1mm以下の不溶微粒子が分散している場合も溶解の意味に含めるものである。
(ヒートシール性)
(1)ヒートシール強度
23℃、50%RH雰囲気下で、ヒートシーラー(安田精機製作所社製『YSS式ヒートシーラー』)を用いて、上部圧着部(2mm)200℃、下部圧着部(20mm)100℃、圧着力約2MPa、0.5秒の条件で、1週間調湿したポリビニルアルコール系フィルム2枚をヒートシールして、得られたヒートシール部分の破断強度を15mm幅でTピール(180度剥離試験)により200mm/minの試験速度で測定した。
(2)ヒートシール部の水溶解性
23℃、50%RH雰囲気下で、1週間調湿したポリビニルアルコール系フィルム2枚を、ヒートシーラー(安田精機製作所社製『YSS式ヒートシーラー』)を用いて、上部圧着部200℃、下部圧着部100℃、圧着力約2MPa、0.5秒の条件で、ヒートシールして、得られたヒートシール部分の一部を試料(3cm×1cm)として、水溶解性の評価と同様にして該試料が溶解するまでの時間(秒)を測定した。なお、撹拌については、500rpmで行った。
(耐薬品性)
23℃、50%RH雰囲気下で、1週間調湿したポリビニルアルコール系フィルムを6cm×9cmのサイズにカットした後、そのフィルムを2枚用意して、23℃、50%RH雰囲気下で、ヒートシーラー(安田精機製作所社製『YSS式ヒートシーラー』)を用いて、上部圧着部200℃、下部圧着部100℃、圧着力約2MPa、0.5秒の条件で、3辺をシールして袋を作製し、かかる袋に、(1)粉末酸性物質(コハク酸:1%水溶液として時のpHが2(20℃))、(2)粉末アルカリ性物質(炭酸水素ナトリウム:1%水溶液とした時のpHが11(20℃))を、40gを充填して密封し、これを40℃×70%RHの環境下に2週間放置した後、かかる袋から3cm×5cmのサイズにカットし取り出して1枚のフィルムを得、水溶解性の評価と同様にして該フィルムが溶解するまでの時間(秒)を測定した。
(促進試験後の柔軟性)
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、(1)製造直後のフィルムと、(2)長期保存を想定した保存の促進条件(綿100%の布で15cm×15cmのフィルムの両面を挟みサンプル全面に1kgの荷重をかけアルミ袋で密封して40℃の恒温機中で30日間放置)で保存した後のフィルムに対して、それぞれの弾性率を、JIS K 7127に準拠して、10℃×30%RHの環境下で1週間保存した後測定した。
実施例2
4%水溶液粘度16.5mPa・s(20℃)、ケン化度95.0モル%、側鎖の1,2−グリコール結合量8.0モル%のポリビニルアルコール系樹脂(A)100部に、多価アルコール(B)としてジグリセリン20部、界面活性剤(C)としてポリオキシエチレンドデシルアミン1部、及び水400部を混合して、90〜99℃で30分間撹拌し、ポリビニルアルコール系樹脂(A)を溶解した後、更に90℃で3時間脱泡し、固形分濃度23%の樹脂組成物の水分散液を得た。
かかる樹脂組成物の水分散液を用いた以外は実施例1と同様に行い、厚さ70μmのポリビニルアルコール系フィルムを得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。
実施例3
4%水溶液粘度8.0mPa・s(20℃)、ケン化度88.0モル%、側鎖の1,2−グリコール結合量4.0モル%のポリビニルアルコール系樹脂(A)100部に、多価アルコール(B)としてグリセリン10部、界面活性剤(C)としてポリオキシエチレンドデシルアミン1部、及び水400部を混合して、90〜99℃で30分間撹拌し、ポリビニルアルコール系樹脂(A)を溶解した後、更に90℃で3時間脱泡し、固形分濃度22%の樹脂組成物の水分散液を得た。
かかる樹脂組成物の水分散液を用いた以外は実施例1と同様に行い、厚さ70μmのポリビニルアルコール系フィルムを得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。
比較例1
4%水溶液粘度22.0mPa・s(20℃)、ケン化度88.0モル%の未変性ポリビニルアルコール系樹脂100部に、多価アルコール(B)としてジグリセリン10部、界面活性剤(C)としてポリオキシエチレンドデシルアミン1部、及び水400部を混合して、90〜99℃で30分間撹拌し、ポリビニルアルコール系樹脂を溶解した後、更に90℃で3時間脱泡し、固形分濃度22%の樹脂組成物の水分散液を得た。
かかる樹脂組成物の水分散液を用いた以外は実施例1と同様に行い、厚さ70μmのポリビニルアルコール系フィルムを得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。
比較例2
4%水溶液粘度9.8mPa・s(20℃)、ケン化度80.0モル%、側鎖の1,2−グリコール結合量6.0モル%のポリビニルアルコール系樹脂100部に、多価アルコール(B)としてジグリセリン10部、界面活性剤(C)としてポリオキシエチレンドデシルアミン1部、及び水400部を混合して、90〜99℃で30分間撹拌し、ポリビニルアルコール系樹脂を溶解した後、更に90℃で3時間脱泡し、固形分濃度22%の樹脂組成物の水分散液を得た。
かかる樹脂組成物の水分散液を用いた以外は実施例1と同様に行い、厚さ70μmのポリビニルアルコール系フィルムを得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。
比較例3
4%水溶液粘度15.0mPa・s(20℃)、ケン化度99.0モル%、側鎖の1,2−グリコール結合量6.0モル%のポリビニルアルコール系樹脂100部に、多価アルコール(B)としてジグリセリン10部、界面活性剤(C)としてポリオキシエチレンドデシルアミン1部、及び水400部を混合して、90〜99℃で30分間撹拌し、ポリビニルアルコール系樹脂を溶解した後、更に90℃で3時間脱泡し、固形分濃度22%の樹脂組成物の水分散液を得た。
かかる樹脂組成物の水分散液を用いた以外は実施例1と同様に行い、厚さ70μmのポリビニルアルコール系フィルムを得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。
比較例4
4%水溶液粘度15.0mPa・s(20℃)、ケン化度95.0モル%、マレイン酸モノメチルエステルによる変性量2.0モル%のポリビニルアルコール系樹脂100部に、多価アルコール(B)としてジグリセリン10部、界面活性剤(C)としてポリオキシエチレンドデシルアミン1部、及び水400部を混合して、90〜99℃で30分間撹拌し、ポリビニルアルコール系樹脂を溶解した後、更に90℃で3時間脱泡し、固形分濃度22%の樹脂組成物の水分散液を得た。
かかる樹脂組成物の水分散液を用いた以外は実施例1と同様に行い、厚さ70μmのポリビニルアルコール系フィルムを得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。
比較例5
4%水溶液粘度12.0mPa・s(20℃)、ケン化度88.0モル%、主鎖に直接結合した1,2−グリコール結合量1.8モル%のポリビニルアルコール系樹脂100部に、多価アルコール(B)としてジグリセリン10部、界面活性剤(C)としてポリオキシエチレンドデシルアミン1部、及び水400部を混合して、90〜99℃で30分間撹拌し、ポリビニルアルコール系樹脂を溶解した後、更に90℃で3時間脱泡し、固形分濃度22%の樹脂組成物の水分散液を得た。
かかる樹脂組成物の水分散液を用いた以外は実施例1と同様に行い、厚さ70μmのポリビニルアルコール系フィルムを得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。
実施例、比較例の評価結果を表1に示す。
Figure 2006257225
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、冷水溶解性に優れ、更に、ヒートシール性(ヒートシール強度、ヒートシール部分の溶解性)、耐薬品性、長期保存後の柔軟性に優れた効果を有し、各種用途、例えば農薬や洗剤等の薬剤の包装(ユニット包装)用途をはじめ、(水圧)転写用フィルム、ナプキン・紙おむつ等の生理用品、オストミーバッグ等の汚物処理用品、吸血シート等の医療用品、育苗シート・刺繍用基布等の一時的基材、等の用途にも利用することができ、中でも薬剤包装用途に非常に有用である。

Claims (6)

  1. 20℃の水に3分以内に溶解するポリビニルアルコール系フィルムであって、かつ、側鎖に1,2−グリコール結合を含有し、ケン化度が85〜97モル%であるポリビニルアルコール系樹脂(A)及び多価アルコール(B)を含有してなる樹脂組成物からなることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルム。
  2. ポリビニルアルコール系樹脂(A)の側鎖に含有する1,2−グリコール結合量が3〜12モル%であることを特徴とする請求項1記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  3. ポリビニルアルコール系樹脂(A)の20℃における4重量%水溶液粘度が4〜400mPa・sであることを特徴とする請求項1または2記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  4. 更に、界面活性剤(C)を含有してなることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルム
  5. フィルムの厚みが5〜100μmであることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  6. 1重量%の懸濁液または水溶液とした時のpHが1〜12(20℃)となるような薬剤を、請求項1〜5いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムで包装してなることを特徴とする薬剤包装体。

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