JP3618440B2 - ビニルアルコール系重合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶性が良好なビニルアルコール系重合体に関する。さらに詳しくは、柔軟性および耐ブロッキング性に優れたフィルムが得られるビニルアルコール系重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
分子内にビニルアルコール単位を有するビニルアルコール系重合体の代表的なものとしては、ポリビニルアルコール(以下「PVA」と略記する)が知られている。PVAは造膜性、透明性および強度に優れていることから、紙用コーティング剤および紙用内添剤などの紙用改質剤;紙、木材および無機物等の接着剤;経糸糊剤、フィルムおよびシート等に幅広く使用されている。従来のPVAとしては、けん化度が98モル%程度の「完全けん化PVA」とけん化度が88モル%程度の「部分けん化PVA」が知られている。
【0003】
従来のPVAから得られるフィルムは、水溶性、柔軟性および耐ブロッキング性等に問題があった。すなわち、「完全けん化PVA」から得られるフィルムの場合には、耐ブロッキング性は「部分けん化PVA」と比較して優れるものの、結晶化度が高いために水溶性が低く、かつ柔軟性が低く硬いフィルムしか得られないという問題があった。一方、「部分けん化PVA」から得られるフィルムの場合には、水溶性、柔軟性は「完全けん化PVA」より優れる反面、耐ブロッキング性に劣るという問題があった。
【0004】
PVAから得られるフィルムに柔軟性を付与するために、可塑剤や他の重合体をブレンドする方法が提案されている。しかしながら、可塑剤を添加する方法は、フィルムを長期間に渡って使用すると、フィルム中の可塑剤含有量が経時的に減少し、冬場のような低温低湿下では、フィルムの柔軟性が不足して、フィルムに割れやひびが発生するという問題があった。一方、PVAに他の重合体をブレンドする方法では、両者の相溶性が不良のために、成形物の機械的特性が著しく低下したり、透明性が大きく低下するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、水溶性が良好なビニルアルコール系重合体を提供することにある。本発明のさらなる目的は、柔軟性および耐ブロッキング性に優れたフィルムが得られるビニルアルコール系重合体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ビニルエステルと、グリセロールモノアリルエーテル、グリセロールモノビニルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−メトキシ−プロピル)アリルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−エトキシ−プロピル)アリルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−n−プロポキシ−プロピル)アリルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−iso−プロポキシ−プロピル)アリルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−n−ブトキシ−プロピル)アリルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−tert−ブトキシ−プロピル)アリルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−iso−ブトキシ−プロピル)アリルエーテルおよび(2−ヒドロキシ−3−sec−ブトキシ−プロピル)アリルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体とを共重合して得られた共重合体をけん化して得られるビニルアルコール系重合体を見出し、本発明を完成させるに至った。本発明において、ビニルアルコール系重合体に導入される構造単位(A)は下記の一般式(化1)で示すことができる。
【0007】
【化1】
【0008】
(但し、Rは水素または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す。)
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のビニルアルコール系重合体は、分子内にビニルアルコール単位を有していることが必要である。本発明のビニルアルコール系重合体は、ビニルエステルと、上記の構造単位(A)を有する単量体とを共重合して得られた共重合体をけん化して得られる。構造単位(A)におけるRは、水素または炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、水素またはメチル基が特に好ましい。
【0010】
本発明のビニルアルコール系重合体における構造単位(A)の含有量については特に制限はないが、0.1〜50モル%が好ましく、1〜30モル%がより好ましい。
構造単位(A)の含有量が0.1モル%未満の場合には、水溶性や柔軟性の向上の程度が低く、50モル%より大きい場合には、ビニルアルコール系重合体としての特徴が低下する。
本発明のビニルアルコール系重合体のけん化度については特に制限はなく、完全けん化でも部分けん化でもよいが、水溶性や耐ブロッキング性等の点から、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上が特に好ましい。
本発明のビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度(以下「重合度」と略記する)は、100〜20000が好ましく、200〜8000がより好ましく、300〜5000が特に好ましい。重合度が100未満の場合にはビニルアルコール系重合体としての特徴が低下し、重合度が20000より大きい場合には、ビニルアルコール系重合体の工業的な製造が難しい。
【0011】
本発明のビニルアルコール系重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合したものでもよい。エチレン性不飽和単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸などの不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類;アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩などのアクリルアミド類;メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩などのメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン,N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;トリメトキシビニルシランなどのビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。
また、本発明ビニルアルコール系重合体は、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を、ヒドロキシアルキル基含有オレフィンと共重合し、得られた共重合体をけん化することによって得られる末端変性物でもよい。
【0012】
本発明のビニルアルコール系重合体の製法としては、ビニルエステルと構造単位(A)を有する単量体単位とを共重合して得られた共重合体を、アルコールあるいはジメチルスルホキシド溶液中でけん化する方法などの公知の方法などが挙げられる。
【0013】
ビニルエステル系単量体単位としては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が挙げられるが、通常は酢酸ビニルが好ましい。構造単位(A)を有する単量体単位としては、グリセロールモノアリルエーテル、グリセロールモノビニルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−メトキシ−プロピル)アリルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−エトキシ−プロピル)アリルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−n−プロポキシ−プロピル)アリルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−iso−プロポキシ−プロピル)アリルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−n−ブトキシ−プロピル)アリルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−tert−ブトキシ−プロピル)アリルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−iso−ブトキシ−プロピル)アリルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−sec−ブトキシ−プロピル)アリルエーテルなどに由来する単量体単位である。
【0014】
ビニルエステルと構造単位(A)を有する単量体単位との共重合の方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常採用され、高重合度のものを得る場合には、乳化重合法が採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合に使用される開始剤としては、例えば、α,α’ −アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。重合温度については特に制限はないが、−30〜150℃の範囲が適当である。
【0015】
ビニルエステルと構造単位(A)を有する単量体単位との共重合体は公知の方法によってけん化される。例えば、アルコール、場合によっては含水アルコールに溶解した状態でけん化される。けん化反応に使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコールなどの低級アルコールが挙げられ、メチルアルコールが特に好適に使用される。けん化反応に使用されるアルコールは、40重量%以下であれば、アセトン、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、ベンゼン等の溶剤を含有していてもよい。
【0016】
けん化反応に用いられる触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、ナトリウムメチラートなどのアルカリ触媒、あるいは鉱酸などの酸触媒が用いられる。けん化反応の温度については特に制限はないが、20〜60℃の範囲が適当である。けん化反応の進行に伴って、ゲル状生成物が析出してくる場合には、その時点で生成物を粉砕し、洗浄後、乾燥することにより、本発明の成形物に用いるビニルアルコール系重合体が得られる。
【0017】
本発明のビニルアルコール系重合体は、水溶性が良好であり、フィルムにした場合には、柔軟性および耐ブロッキング性に優れていることから、紙用コーティング剤、紙用内添剤および顔料バインダーなどの紙用改質剤、木材、紙、アルミ箔および無機剤などの接着剤、セラミックス用バインダーなどの無機物用バインダー、不織布バインダー、塗料、経糸糊剤、繊維加工剤、ポリエステルなどの疎水性繊維の糊剤や分散安定剤などの各種用途に使用できる。
【0018】
本発明のビニルアルコール系重合体を用いる成形物の柔軟性をさらに向上させるために、本発明のビニルアルコール系重合体に、可塑剤を添加することもできる。可塑剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、分子量600以下のポリエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;グリセリン、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオールなどのジオール類;トリメチロールプロパン、ジグリセリン、3−メチル−1,3,5−ペンタトリオール、少量(20%以下)の水などの公知のものを使用することができるが、これらに限定されない。可塑剤の添加量としては、ビニルアルコール系重合体100重量部に対して30重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさらに好ましい。
さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、他の重合体を配合することもできる。
【0019】
本発明のビニルアルコール系重合体には、粘土鉱物、無機塩、ガラスなどビニルアルコール系重合体との反応性が低い無機材料を混合して使用することもできる。無機材料としては、カオリン、クレー、タルク、酸性白土、シリカ、アルミナ、珪藻土、ベントナイト、モンモリロナイト、木節粘土、硅目粘土、ロウ石、ミョウバン石、陶土、長石、石綿、パーライト、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、カーボンブラック、酸化チタン、マイカ、シラス、ガラス、ガラス繊維など公知の充填剤が使用できる。本発明で使用できる無機材料の平均粒子径としては特に制限はないが、0.1〜100μmが好ましい。
無機材料の添加量としては、ビニルアルコール系重合体100重量部に対して2000重量部以下が好ましく、1000重量部以下がより好ましい。さらに、着色剤や酸化防止剤等の安定剤などの各種添加剤を配合できる。
【0020】
本発明のビニルアルコール系重合体の成形方法としては、ビニルアルコール系重合体の溶媒である水あるいはジメチルスルホキシド等の溶液の状態から成形する方法および熱溶融成形法が挙げられる。成形法としては特に制限はないが、例えば、フィルムを得る場合には、流延法、押出成形、インフレーション成形などが挙げられ、ボトルを得る場合には、ブロー成形などが挙げられる。また、繊維を得る場合には、湿式紡糸、乾式紡糸、溶融紡糸などが挙げられる。
本発明のビニルアルコール系重合体は、上記の成形方法によりフィルム、ボトル、繊維等の任意形状がとれるので、特に水溶性フィルム、水溶性ボトル、水溶性繊維等の水溶性成形物に有用である。
【0021】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明を詳細に説明する。以下の実施例およ比較例において「部」および「%」は特に断りのない限り重量基準を意味する。
【0022】
ビニルアルコール系重合体中の構造単位(A)、ビニルエステル単位、ビニルアルコール単位および他のコモノマー単位の含有量は、270MHz1H−NMRにより定量した。1H−NMR測定時のPVA系重合体中の溶媒には重水素化DMSOを用いた。ビニルアルコール系重合体の重合度、水溶性、4%水溶液粘度、フィルムの柔軟性および耐ブロッキング性は以下の方法で測定した。
【0023】
(1)粘度平均重合度
けん化度が99.5モル%未満の場合には、けん化度99.5モル%以上になるまでけん化したPVAについて、水中、30℃で測定した極限粘度[η](g/dl)から次式により求めた粘度平均重合度(P)で表す。
P=([η]×103 /8.29)(1/0.62)
【0024】
(2)水溶性濃度
10%の水溶液を調製して、目視により評価した。その結果を下記の記号で示す。
○:水に溶解する。
×:水に溶解しない。
【0025】
(3)4%水溶液粘度
濃度4%の水溶液を調製して、20℃で、B型粘度計を用いて粘度(ブルックフィールド粘度)を測定した。
【0026】
(4)フィルムの柔軟性
濃度8%の水溶液から流延法により作成したフィルム(フィルム厚40μm±2μm)を65%RH、20℃で、1週間調湿した後、触感で柔軟性を5段階に評価した。
5:非常に柔軟
4:かなり柔軟
3:やや硬い
2:かなり硬い
1:非常に硬い
【0027】
(5)耐ブロッキング性
濃度8%の水溶液から流延法により作成したフィルム(フィルム厚40μm±2μm)を65%RH、20℃で、1週間調湿した後、幅120mm、長さ25mmの大きさに2枚切り取り、2枚のフィルムを重ねてさらにガラス板で挟み込み、50g/cm2 の圧力を24時間加えた。その後、2枚のフィルムの剥離強度をオートグラフを用いて引張速度が50mm/minの条件で測定した。その結果を1〜5の段階で評価した。
5:ほとんどブロッキングなし。
4:わずかにブロッキングが発生したが、樹脂の凝集破壊はなし。
3:幾分ブロッキングが発生したが、樹脂の凝集破壊はなし。
2:ほぼ全面がブロッキングし、ほぼ全面で樹脂の凝集破壊が発生。
1:全面がブロッキングし、全面で樹脂の凝集破壊が発生。
【0028】
還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管および後添加液用の仕込み口とポンプを備えた5リットルの重合槽に酢酸ビニルを1630g、グリセロールモノアリルエーテルを286g、メタノールを720g仕込んだ。重合液を撹拌しながら、系内を窒素置換して加温し、60℃の恒温になった時点で、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)(以下「ADMV」と略記する)を18g添加して重合を開始した。重合開始時より系内の固形分濃度を分析しつつ重合を行い、4.5時間後に重合槽を冷却することにより重合を停止した。重合停止前の重合率は42%であった。得られた重合ペーストをn−ヘキサン中に滴下して重合物を析出させた。次に、重合物をアセトンに溶解し、n−ヘキサン中で析出させる再沈−精製操作を3回実施した後、再度アセトンに溶解し、蒸留水に滴下させ、煮沸精製した後、60℃で乾燥して精製ポリ酢酸ビニル(以下「PVAc」と略記する)を得た。次に、精製PVAcの濃度30%のメタノール溶液を調製し、40℃で撹拌しながら、水酸化ナトリウムの濃度10%のメタノール溶液(PVAc中の酢酸ビニル単位に対してモル比0.10)を添加し、60分間のけん化反応を行った。得られたゲル状物を粉砕後、メタノールに浸漬し、水酸化ナトリウムの濃度10%のメタノール溶液(PVAc中の酢酸ビニル単位に対するモル比0.02)を添加し、さらに5時間の再けん化を行った。得られたPVAをメタノールで洗浄し、50℃で18時間乾燥して白色のPVAを得た。得られたPVA中のグリセロールモノアリルエーテル単位の含量は10.2モル%であった。PVAの基本構造および物性を表2および表3に示す。
【0029】
実施例2〜7
表1に示す重合条件に変更した以外は、実施例1と同様に重合、けん化および精製を行い、精製PVAを得た。PVAの基本構造および物性を表2および表3に示す。
【0030】
実施例8
実施例1と同様の重合槽に、酢酸ビニルを2800g、(2−ヒドロキシ−3−tert−ブトキシ−プロピル)アリルエーテルを835g、アリルスルホン酸ソーダを30g仕込んだ。重合液を撹拌しながら、系内を窒素置換して加温し、60℃の恒温になった時点で、ADMVを28g添加して重合を開始した。重合開始時より系内の固形分濃度を分析しつつ重合を行い、3.5時間後に重合槽を冷却することにより重合を停止した。重合停止前の重合率は43%であった。実施例1と同様にして、精製PVAcを得、続いて、けん化および精製を行うことにより、精製PVAを得た。得られたPVA中の(2−ヒドロキシ−3−tert−ブトキシ−プロピル)アリルエーテル単位の含量は12.1モル%、アリルスルホン酸ソーダ単位の含量は0.5モル%であった。PVAの基本構造および物性を表2および表3に示す。
【0031】
実施例9
実施例6で得られたグリセロールモノアリルエーテル単位を2.0モル%含有するPVAcを、水酸化ナトリウムの濃度10%のメタノール溶液(PVAc中の酢酸ビニル単位に対するモル比0.009)を添加してけん化した。得られたゲル状物を粉砕後、メタノールで洗浄し、50℃で18時間乾燥して、白色粉末のPVAを得た。PVAの基本構造および物性を表2および表3に示す。
【0032】
実施例10
実施例7で得られた(2−ヒドロキシ−3−メトキシ−プロピル)アリルエーテルを1.5モル%含有するPVAcを、水酸化ナトリウムの濃度10%のメタノール溶液(PVAc中の酢酸ビニル単位に対するモル比0.009)を添加してけん化した。得られたゲル状物を粉砕後、メタノールで洗浄し、50℃で18時間乾燥して、白色粉末のPVAを得た。PVAの基本構造および物性を表2および表3に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
(表1の脚注)
HMPAE:(2−ヒドロキシ−3−メトキシ−プロピル)アリルエーテル
HEPAE:(2−ヒドロキシ−3−エトキシ−プロピル)アリルエーテル
HIPPAE:(2−ヒドロキシ−3−iso−プロポキシ−プロピル)アリルエーテル
HTBPAE:(2−ヒドロキシ−3−tert−ブトキシ−プロピル)アリルエーテル
GAE:グリセロールモノアリルエーテルSAS:アリルスルホン酸ソーダ
ADMV:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)
AIBN:α,α’−アゾビスイソブチロニトリル
【0035】
【表2】
【0036】
(表2の脚注)
表1の脚注に同じ
【0037】
【表3】
【0038】
比較例1〜4
公知の方法により合成した。PVAの基本構造および物性を表4および表5に示す。
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【発明の効果】
本発明のビニルアルコール系重合体は、水溶性が良好であり、本発明のビニルアルコール系重合体から得られるフィルムは、柔軟性および耐ブロッキング性に優れている。
本発明のビニルアルコール系重合体は、紙用コーティング剤、紙用内添剤および顔料バインダーなどの紙用改質剤、木材、紙、アルミ箔および無機剤などの接着剤、セラミックス用バインダーなどの無機物用バインダー、不織布バインダー、塗料、経糸糊剤、繊維加工剤、ポリエステルなどの疎水性繊維の糊剤や分散安定剤などの各種用途に使用できる。
さらに、成形用途にも有用であり、流延法、押出成形、インフレーション成形、ブロー成形、湿式紡糸、乾式紡糸、溶融紡糸などの任意の成形方法により、フィルム、ボトル、繊維等の任意形状がとれるので、特に水溶性フィルム、水溶性ボトル、水溶性繊維等の水溶性成形物用途に有用である。
本発明のビニルアルコール系重合体は、その使用用途が多岐にわたることから、その工業的な有用性は非常に高い。
Claims (1)
- ビニルエステルと、グリセロールモノアリルエーテル、グリセロールモノビニルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−メトキシ−プロピル)アリルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−エトキシ−プロピル)アリルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−n−プロポキシ−プロピル)アリルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−iso−プロポキシ−プロピル)アリルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−n−ブトキシ−プロピル)アリルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−tert−ブトキシ−プロピル)アリルエーテル、(2−ヒドロキシ−3−iso−ブトキシ−プロピル)アリルエーテルおよび(2−ヒドロキシ−3−sec−ブトキシ−プロピル)アリルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体とを共重合して得られた共重合体をけん化して得られるビニルアルコール系重合体。
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