JP2006249178A - エポキシ樹脂組成物、その硬化物、及びフェノール樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 得られる硬化物の難燃性、耐熱性、誘電特性等の物性を兼備し、プリント基板用樹脂組成物、プリント基板および樹脂付き銅箔に使用する層間絶縁材料用樹脂組成物、電子部品の封止材用樹脂組成物、レジストインキ、導電ペースト、塗料、接着剤、複合材料等に好適に用いることができるエポキシ樹脂組成物、その硬化物、及び該エポキシ樹脂の硬化剤として好適に用いることが出来るフェノール樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 フェノール類とトリアジン環を有する化合物とヒドロキシ基置換芳香族アルデヒド類とを反応させて得られる縮合物(I)を含有するフェノール樹脂組成物(A)とエポキシ樹脂(B)とを含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物、これを硬化した硬化物、フェノール類とトリアジン環を有する化合物とヒドロキシ基置換芳香族アルデヒド類とを反応させて得られる縮合物(I)を含有するフェノール樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】 フェノール類とトリアジン環を有する化合物とヒドロキシ基置換芳香族アルデヒド類とを反応させて得られる縮合物(I)を含有するフェノール樹脂組成物(A)とエポキシ樹脂(B)とを含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物、これを硬化した硬化物、フェノール類とトリアジン環を有する化合物とヒドロキシ基置換芳香族アルデヒド類とを反応させて得られる縮合物(I)を含有するフェノール樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、得られる硬化物の耐熱性、誘電特性(低誘電率、低誘電正接)に優れ、プリント基板用樹脂組成物、プリント基板および樹脂付き銅箔に使用する層間絶縁材料用樹脂組成物、電子部品の封止材用樹脂組成物、レジストインキ、導電ペースト、塗料、接着剤、複合材料等に好適に用いることができ、さらにハロゲン系の難燃剤を使用しなくても難燃性に優れる硬化物を得る事が出来る、環境対応型のエポキシ樹脂組成物、その硬化物、及び該エポキシ樹脂組成物に好適に用いることが出来るフェノール樹脂組成物に関する。
従来、エポキシ樹脂組成物は、耐熱性、密着性、電気絶縁性等に優れた硬化物が得られることから、半導体封止材、プリント配線基板、塗料、注型材料用途等に好適に用いられている。例えば、半導体分野では、現在大部分の半導体装置においてエポキシ樹脂組成物を用いた封止材料が用いられており、難燃性を付与するために臭素化エポキシ樹脂等のハロゲン系難燃剤、及び/又は難燃助剤として三酸化、四酸化、五酸化アンチモン等のアンチモン化合物が配合されている。しかし、近年の環境・安全への取り組みの中で、ダイオキシン発生が懸念されるハロゲン系の難燃剤や、発ガン性が疑われているアンチモン化合物を使用しない地球環境にやさしい新規の難燃化方法の開発要求が強くなっている。
さらに近年の技術革新に伴う耐熱性、耐湿性、難燃性、低誘電率、低誘電正接、低熱膨張等を高いレベルで兼備するエポキシ樹脂組成物が求められており、このため、硬化剤として用いられるフェノール樹脂又はフェノール樹脂組成物にも耐熱性、耐湿性、難燃性、低誘電率等の付加価値の付与効果がある材料の開発の必然性が高い。特にハロゲンフリーで高度な難燃性を持ち、且つ半導体ICの高密度化、高速化に伴う高周波化に対応できる低誘電率、低誘電正接を達成する材料の開発が強く要求されている。
上記の問題を解決するため、エポキシ樹脂の硬化剤として使用するフェノール樹脂としては、例えば、分子内にトリアジン環を含有するノボラック型フェノール樹脂が提供されている(例えば、特許文献1参照。)が、高度な難燃性を示すものの、耐熱性、誘電特性を高いレベルで兼備する硬化物を得る事が困難であった。
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、得られる硬化物の難燃性、耐熱性、誘電特性等の物性を兼備し、プリント基板用樹脂組成物、プリント基板および樹脂付き銅箔に使用する層間絶縁材料用樹脂組成物、電子部品の封止材用樹脂組成物、レジストインキ、導電ペースト、塗料、接着剤、複合材料等に好適に用いることができるエポキシ樹脂組成物、その硬化物、及び該エポキシ樹脂の硬化剤として好適に用いることが出来るフェノール樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決する為に鋭意検討したところ、フェノール類とトリアジン環を有する化合物とヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類とを反応させて得られる縮合物を含有するフェノール樹脂組成物をエポキシ樹脂の硬化剤として用いることを特徴とするエポキシ樹脂組成物が、得られる硬化物の難燃性に優れ、さらに耐熱性、耐湿性、誘電特性等を高いレベルで兼備することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、フェノール類(x1)とトリアジン環を有する化合物(x2)とヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)とを反応させて得られる縮合物(I)を含有するフェノール樹脂組成物(A)とエポキシ樹脂(B)とを含有すること特徴とするエポキシ樹脂組成物、及びその硬化物を提供するものである。
更に本発明は、フェノール類(x1)とトリアジン環を有する化合物(x2)と芳香族アルデヒド類(x3)とホルムアルデヒド(x4)とを反応させて得られる縮合物(II)を含有するフェノール樹脂組成物(C)とエポキシ樹脂(B)とを含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物、及びその硬化物を提供するものである。
更に本発明は、フェノール類(x1)とトリアジン環を有する化合物(x2)とヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)とを反応させて得られる縮合物(I)を含有することを特徴とするフェノール樹脂組成物をも提供するものである。
更に本発明は、フェノール類(x1)とトリアジン環を有する化合物(x2)と芳香族アルデヒド類(x3)とホルムアルデヒド(x4)とを反応させて得られる縮合物(II)を含有することを特徴とするフェノール樹脂組成物をも提供するものである。
本発明により得られるフェノール樹脂組成物を含有したエポキシ樹脂組成物は、実用レベルの成形性、硬化性を有し、従来材料よりも一層優れた難燃性、耐熱性、誘電特性をその硬化物に付与できる。このため、プリント基板用樹脂組成物、電子部品用封止材用樹脂組成物、レジストインキ、導電ペースト等の電子材料分野に用いた場合は、高密度実装化や、高周波対応化、高速演算化などに対応する樹脂組成物としてきわめて有用である。また、得られる該成形硬化物は耐湿性、密着性等においても上記用途や、更に接着剤、複合材料等における高度の要求を満たすものであり、高信頼性が必要な分野に対応できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の第一の発明であるエポキシ樹脂組成物は、硬化剤としてフェノール類(x1)とトリアジン環を有する化合物(x2)とヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)とを反応させて得られる縮合物(I)を含有する本発明のフェノール樹脂組成物(A)を用いることを特徴とするものである。
前記フェノール樹脂組成物(A)としては、その製造方法として特に限定されるものではないが、例えば、フェノール類(x1)とトリアジン環を有する化合物(x2)とヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)とを縮合反応させることによって得る事が出来、フェノール類(x1)とトリアジン環を有する化合物(x2)とヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)との縮合物(I)の他に、フェノール類(x1)とヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)との縮合物、トリアジン環を有する化合物(x2)とヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)との縮合物、未反応のフェノール類(x1)、未反応のトリアジン環を有する化合物(x3)等を含む混合物であっても良い。
前記フェノール樹脂組成物(A)としては、成型時の揮発分発生を抑え、均一な硬化物を得ることができる点から、フェノール類(x1)とトリアジン環を有する化合物(x2)とヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)との縮合物(I)中に未反応のヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類を含まず、且つ芳香族置換メチロール基を含まないものである事が好ましい。
また前記フェノール樹脂組成物(A)中に残留する一官能性フェノール類の含有率としては、該フェノール樹脂組成物(A)中で3重量%以下であることが好ましい。一官能性フェノール類を3重量%以下にすることにより、得られる硬化物の耐熱性、耐湿性が良くなるという効果がある。ここでいう一官能性フェノール類とは、1分子中にエポキシ基と反応し得るフェノール性の水酸基を1つだけ含む化合物を意味する。
前記フェノール類(x1)としては、特に限定されるものではなく、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−イソプロピルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−sec−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、m−ブロモフェノール、p−ブロモフェノール等のフェノール類、α−ナフトール、β−ナフトール等のナフトール類、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール等のキシレノール類等の一価フェノール類;レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1’−ビス(ジヒドロキシフェニル)メタン、1,1’−ビス(ジヒドロキシナフチル)メタン、テトラメチルビフェノール、ビフェノール、ヘキサメチルビフェノール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のナフタレンジオール類等の二価フェノール類;トリスヒドロキシフェニルメタン等の三価フェノール類を挙げることができる。特にフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、ナフトール類、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,6−キシレノール、レゾルシン、ハイドロキノン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等が経済性及び製造の容易さの点から好ましい。またこれらのフェノール類としては、その使用にあたって1種類のみに限定されるものではなく、2種以上の併用も可能である。
前記トリアジン環を有する化合物(x2)としては、特に限定されるものではないが、下記一般式(1)
で表わされる化合物であることが好ましい。
前記一般式(1)で表わされる化合物としては、具体的にはメラミン、あるいはアセトグアナミン、ベンゾグアナミンなどのグアナミン誘導体、シアヌル酸、あるいはメチルシアヌレート、エチルシアヌレート、アセチルシアヌレート、塩化シアヌルなどのシアヌル酸誘導体等が挙げられる。これらの中でも、R1、R2、R3のうちのいずれか2つ又は3つがアミノ基であるメラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなどのグアナミン誘導体がより好ましい。
前記トリアジン環を有する化合物(x2)の使用にあたっては、1種類のみに限定されるものではなく、2種以上を併用することも可能である。
前記ヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)としては、ヒドロキシル基で置換された芳香環を有する分子中に1個以上のアルデヒド基をもつ化合物であれば特に限定されるものではなく、例示するならば、サリチルアルデヒドを含む、2−、3−、4−の各ヒドロキシ置換ベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−4−メチルベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−3,4−ジメチルベンズアルデヒド、4−ヒドロキシビフェニルアルデヒド、2−、5−、6−の各ヒドロキシ置換−1−ナフトアルデヒド、7−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒドなどが挙げられ、これらの中でも、特に工業的供給安定性、汎用性、得られる硬化物の耐熱性、難燃性、誘電特性に優れる点からサリチルアルデヒドが好ましい。
以下に本発明のフェノール樹脂組成物(A)を得るための方法について説明する。まず、前記したフェノール類(x1)とトリアジン環を有する化合物(x2)とヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)とを無触媒あるいは触媒存在下で反応させる。このとき、系のpHは特に限定されるものではないが、pHが3.0〜9.0の範囲であることが好ましい。また、各原料の反応順序も特に制限はなく、フェノール類(x1)、ヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)をまず反応させてからトリアジン環を有する化合物(x2)を加えても、逆にトリアジン環を有する化合物(x2)とヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)とを反応させてからフェノール類(x1)を加えても、同時に全ての原料を加えて反応させても良い。この時、フェノール類(x1)に対するヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)のモル比は特に限定されるものではないが、好ましくはヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)/フェノール類(x1)=0.1〜1.1(モル比)であり、より好ましくは前記比として0.2〜0.8である。
またフェノール類(x1)に対するトリアジン環を有する化合物(x2)とのモル比としては、反応系が均一であって、かつ反応物も均一になる点、及び得られる硬化物の架橋密度が適当であり、硬化物物性に優れる点から、トリアジン環を有する化合物(x2)/フェノール類(x1)=0.05〜1.50(モル比)である事が好ましく、特に好ましくは前記比として0.10〜0.50である。
また触媒を使用する場合、触媒種は特に限定されるものではないが、塩基性触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物、およびこれらの酸化物、アンモニア、1〜3級アミン類、ヘキサメチレンテトラミン、炭酸ナトリウム等が挙げられ、酸触媒としては、例えば塩酸、硫酸、スルホン酸等の無機酸、シュウ酸、酢酸等の有機酸、ルイス酸、あるいは酢酸亜鉛などの2価金属塩等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を電気電子材料用の樹脂として使用する場合には、金属などの無機物が触媒残として残ることは好ましくないことから、塩基性の触媒としてはアミン類、酸性の触媒としては有機酸を使用することが好ましく、無触媒系は更に好ましい。
また反応制御の面から反応を各種溶媒の存在下で行ってもよい。必要に応じて中和、水洗して塩類などの不純物の除去を行っても良いが、無触媒あるいは触媒にアミン類を使用した場合は行わなくても良い。
反応終了後、縮合水、未反応のヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)、フェノール類(x1)、溶媒等を常圧蒸留、真空蒸留等の常法にしたがって除去する。この時、芳香族置換メチロール基を実質的に含まない樹脂組成物を得るためには120℃以上の加熱処理を行うことが好ましい。また120℃以上の温度であれば充分時間をかけることにより芳香族置換メチロール基を消滅させることができるが、効率的に消滅させるにはより高い温度、好ましくは150℃以上の加熱処理を行うことが好ましい。この時高温においてはノボラック樹脂を得るときの常法にしたがい、加熱とともに蒸留することが好ましい。また前記したようにフェノール樹脂組成物(A)中の一官能性フェノール類を3重量%以下にすることが好ましい。
また、フェノール樹脂組成物(A)としては、異なる原料を用いて同様にして得られた複数種の組成物を混合して本発明のエポキシ樹脂組成物に用いても良い。
本発明の第二の発明であるエポキシ樹脂組成物は、硬化剤としてフェノール類(x1)とトリアジン環を有する化合物(x2)とヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)とホルムアルデヒド(x4)とを反応させて得られる縮合物(II)を含有することを特徴とする。成型時の揮発分発生を抑え、均一な硬化物を得ることができる点から、未反応のアルデヒド類を含まず、且つ芳香族置換メチロール基及びメチロール基を含まないことが望ましい。
前記フェノール樹脂組成物(C)に用いるフェノール類(x1)、トリアジン環を有する化合物(x2)、ヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)としては、前記フェノール樹脂組成物(A)で挙げたものをいずれも使用することが出来る。
前記フェノール樹脂組成物(C)は、前記フェノール樹脂組成物(A)の溶剤溶解性、溶液粘度等を所望の性状にするために、アルデヒド類としてヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)とホルムアルデヒド(x4)とを併用して用いることを特徴とする。この時使用するホルムアルデヒド(x4)としては、特に限定されるものではないが、供給源としてホルマリン、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。
前記ヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)とホルムアルデヒド(x4)との使用割合としては特に限定されるものではなく、得られるフェノール樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、及びその硬化物の所望の性能に応じて適宜選択されるものであるが、好ましくはヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)/ホルムアルデヒド(x4)=0.05〜9.00(モル比)であり、耐熱性を重視する場合にはヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)/ホルムアルデヒド(x4)=0.5〜7.0(モル比)がより好ましく、溶剤溶解性を重視する場合にはヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)/ホルムアルデヒド(x4)=0.1〜3.0(モル比)がより好ましい。前記比として重複する0.5〜3.0の範囲は耐熱性と溶剤溶解性のバランスが良好な組成物が得られるため特に好ましい。
また前記フェノール樹脂組成物(C)中に残留する一官能性フェノール類の含有率としては、該フェノール樹脂組成物(C)中で3重量%以下であることが好ましい。一官能性フェノール類を3重量%以下にすることにより、得られる硬化物の耐熱性、耐湿性が良くなるという効果がある。ここでいう一官能性フェノール類とは、1分子中にエポキシ基と反応し得るフェノール性の水酸基を1つだけ含む化合物を意味する。
以下に本発明で用いるフェノール樹脂組成物(C)を得るための方法について説明する。まず、前記したフェノール類(x1)とトリアジン環を有する化合物(x2)とヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)とホルムアルデヒド(x4)とを無触媒あるいは触媒存在下で反応させる。ホルムアルデヒド(x4)の添加時期については限定されるものではなく、反応開始前にヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)と同時に反応させることもでき、後から添加し反応することもできる。このとき、系のpHは特に限定されるものではないが、pH3.0〜9.0の範囲であることが好ましい。また、各原料の反応順序も特に制限はなく、フェノール類(x1)、ヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)、ホルムアルデヒド(x4)をまず反応させてからトリアジン環を有する化合物(x2)を加えても、逆にトリアジン環を有する化合物(x2)とヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)、ホルムアルデヒド(x4)とを反応させてからフェノール類(x1)を加えても、同時に全ての原料を加えて反応させても良い。この時、フェノール類(x1)に対するヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)及びホルムアルデヒド(x4)の総量のモル比は特に限定されるものではないが、好ましくはヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)及びホルムアルデヒド(x4)の総量/フェノール類(x1)=0.1〜1.1(モル比)であり、より好ましくは前記比として0.2〜0.8である。
またフェノール類(x1)に対するトリアジン環を有する化合物(x2)とのモル比としては、反応系が均一であって、かつ反応物も均一になる点、及び得られる硬化物の架橋密度が適当であり、硬化物物性に優れる点から、トリアジン環を有する化合物(x2)/フェノール類(x1)=0.05〜1.50(モル比)である事が好ましく、特に好ましくは前記比として0.10〜0.50である。
また触媒を使用する場合、触媒種は特に限定されるものではないが、塩基性触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物、およびこれらの酸化物、アンモニア、1〜3級アミン類、ヘキサメチレンテトラミン、炭酸ナトリウム等が挙げられ、酸触媒としては、例えば塩酸、硫酸、スルホン酸等の無機酸、シュウ酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸、ルイス酸、あるいは酢酸亜鉛などの2価金属塩等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を電気電子材料用の樹脂として使用する場合には、金属などの無機物が触媒残として残ることは好ましくないことから、塩基性の触媒としてはアミン類、酸性の触媒としては有機酸を使用することが好ましいが、無触媒系は更に好ましい。
また反応制御の面から反応を各種溶媒の存在下で行ってもよい。必要に応じて中和、水洗して塩類などの不純物の除去を行っても良いが、無触媒あるいは触媒にアミン類を使用した場合は行わなくても良い。
反応終了後、縮合水、未反応のヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)、フェノール類(x1)、ホルムアルデヒド(x4)、溶媒等を常圧蒸留、真空蒸留等の常法にしたがって除去する。この時、芳香族置換メチロール基及びメチロール基を実質的に含まない樹脂組成物を得るためには120℃以上の加熱処理を行うことが好ましい。また120℃以上の温度であれば充分時間をかけることにより芳香族置換メチロール基及びメチロール基を消滅させることができるが、効率的に消滅させるにはより高い温度、好ましくは150℃以上の加熱処理を行うことが好ましい。この時高温においてはノボラック樹脂を得るときの常法にしたがい、加熱とともに蒸留することが好ましい。またこの時前記したように一官能性フェノール類を3重量%以下にすることが好ましい。
また、フェノール樹脂組成物としては、異なる原料を用いて同様にして得られた複数種の組成物を混合して本発明のエポキシ樹脂組成物に用いても良い。
本発明の第一及び第二のエポキシ樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂(B)としては、種々のエポキシ樹脂を用いることができ特に限定されるものではないが、例示するならば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等の2価のフェノール類から誘導されるエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール変性型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂等の3価以上のフェノール類から誘導されるエポキシ樹脂、有機リン化合物で変性されたエポキシ樹脂などが挙げられる。またこれらのエポキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記エポキシ樹脂の硬化剤として前述のフェノール樹脂組成物(A)又はフェノール樹脂組成物(C)を用いるものであるが、さらに硬化反応を速やかに進行させるために、硬化促進剤を適宜使用することもできる。前記硬化促進剤としては、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられ、これらは単独のみならず2種以上の併用も可能である。
また本発明のエポキシ樹脂組成物には必要に応じて、無機充填剤、改質剤として使用される熱硬化性および熱可塑性樹脂、難燃付与剤、顔料、シランカップリング剤、離型剤等の種々の配合剤を添加することができる。
前記無機質充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ、水酸化マグネシウム等が挙げられる。無機充填材の配合量を特に大きくする場合は溶融シリカを用いるのが一般的である。溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め且つ成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いる方が好ましい。更に球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。その充填率は適用用途や所望特性によって、望ましい範囲が異なるが、例えば半導体封止材用途に使用する場合は、線膨張係数や難燃性を鑑みれば高い方が好ましく、組成物全体量に対して65重量%以上が好ましく、特に好ましくは85重量%以上である。また導電ペーストや導電フィルムなどの用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填剤を用いることができる。
前記改質剤として使用される熱硬化性および熱可塑性樹脂としては種々のものが全て使用できるが、例えばフェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などが例示できる。
前記難燃付与剤としては種々のものが全て使用できるが、例えば、ハロゲン化合物、燐原子含有化合物や窒素原子含有化合物や無機系難燃化合物などが挙げられる。それらの具体例を挙げるならばテトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂やブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などのハロゲン化合物、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリス(2,6ジメチルフェニル)ホスフェート、レゾルシンジフェニルホスフェートなどのリン酸エステル、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド、赤リン、リン酸グアニジン、ジアルキルヒドロキシメチルホスホネートなどの縮合リン酸エステル化合物などの燐原子含有化合物、メラミンなどの窒素原子含有化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、硼酸カルシウムなどの無機系難燃化合物が例示できる。このなかで、ハロゲン化合物は、ハロゲン含有難燃剤及びアンチモン化合物を使用しない地球環境にやさしい新規の難燃化方法の開発要求とは合致しないことを付記する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前述のフェノール樹脂組成物とエポキシ樹脂と、必要に応じて配合されるその他の配合剤を均一に混合することによって得る事が出来る。この時、作業性を向上させる等の目的や、用途や加熱硬化条件に応じて、粘度調整を行っても良い。この時使用できる溶剤としては、特に限定されないがメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のアルコール性溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素性溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド等の非アルコール性極性溶媒等沸点160℃以下の溶剤およびN−メチルピロリドン等が挙げられ、適宜に2種または、それ以上の混合溶剤として使用することができ、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いる際の用途・加熱硬化条件等に応じて適宜選択して用いる事が好ましい。また、フェノール樹脂組成物、又はエポキシ樹脂に予め溶剤を加えておいてから、両者を混合する方法であっても、フェノール樹脂組成物とエポキシ樹脂、必要に応じて配合される各種配合剤を混合した後、粘度調整として溶剤を加え、均一にする方法であっても良い。
本発明のエポキシ樹脂組成物の使用用途としては、特に制限されるものではなく、例えば、プリント基板用、電子部品の封止材用、導電ペースト、樹脂注型材料、接着剤、絶縁塗料等のコーティング材料等が挙げられ、これらの中でも、得られる硬化物の誘電特性に優れる点から、プリント基板用樹脂組成物、電子部品の封止材用樹脂組成物、レジストインキ、導電ペーストに好適に用いることができ、耐湿性に優れる点から接着剤に好適に用いることができ、更に高機能性である点から複合材料に好適に用いることができる。
前記プリント基板用としては、特にプリプレグ用、銅張り積層板用、ビルドアッププリント基板の層間絶縁材料用に好適に用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物をプリント基板用のプリプレグ用樹脂組成物とするには、有機溶剤を用いてワニス化することでプリプレグ用樹脂組成物とすることが好ましい。前記有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール性溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素性溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等の非アルコール性極性溶媒等の溶剤が挙げられ、適宜に2種または、それ以上の混合溶剤として使用することができる。得られた該ワニスを、紙、ガラス布、ガラス不織布、アラミド紙、アラミド布、ガラスマット、ガラスロービング布などの各種補強基材に含浸し、用いた溶剤種に応じた加熱温度、好ましくは50〜170℃で加熱することによって、硬化物であるプリプレグを得ることができる。この時用いる樹脂組成物と補強基材の重量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜60重量%となるように調整することが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物から銅張り積層板用樹脂組成物を得るには、上記プリプレグ用樹脂組成物とする方法と同じであり、得られたプリプレグを、例えば特開平7−41543号公報に記載されているように積層し、適宜銅箔を重ねて、1〜10MPaの加圧下に170〜250℃で10分〜3時間、加熱圧着させることにより、銅張り積層板を得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物からビルドアップ基板用層間絶縁材料を得る方法としては特に限定されないが、例えば特公平4−6116号公報、特開平7−304931号公報、特開平8−64960号公報、特開平9−71762号公報、特開平9−298369号公報などに記載の各種方法を採用できる。より具体的には、ゴム、フィラーなどを適宜配合した当該樹脂組成物を、回路を形成した配線基板にスプレーコーティング法、カーテンコーティング法等を用いて塗布した後、硬化させる。その後、必要に応じて所定のスルーホール部等の穴あけを行った後、粗化剤により処理し、その表面を湯洗することによって、凹凸を形成させ、銅などの金属をめっき処理する。前記めっき方法としては、無電解めっき、電解めっき処理が好ましく、また前記粗化剤としては酸化剤、アルカリ、有機溶剤等が挙げられる。このような操作を所望に応じて順次繰り返し、樹脂絶縁層及び所定の回路パターンの導体層を交互にビルドアップして形成することにより、ビルドアップ基盤を得ることができる。但し、スルーホール部の穴あけは、最外層の樹脂絶縁層の形成後に行う。また、銅箔上で当該樹脂組成物を半硬化させた樹脂付き銅箔を、回路を形成した配線基板上に、170〜250℃で加熱圧着することで、粗化面を形成、メッキ処理の工程を省き、ビルドアップ基板を作製することも可能である。
前記電子部品の封止材用としては、半導体チップのテープ状封止材用、ポッティング型液状封止剤、アンダーフィル用樹脂、半導体の層間絶縁膜用に好適に用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を半導体封止材料用に調整するためには、前記フェノール樹脂組成物、エポキシ樹脂、必要に応じて配合されるその他のカップリング剤、離型剤などの添加剤や無機充填材などを予備混合した後、押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に混合する手法が挙げられる。テープ状封止剤として使用する場合には、前述の手法によって得られた樹脂組成物を加熱して半硬化シートを作製し、封止剤テープとした後、この封止剤テープを半導体チップ上に置き、100〜150℃に加熱して軟化させ成形し、170〜250℃で完全に硬化させる方法を挙げることができる。
更にポッティング型液状封止剤として使用する場合には、前述の手法によって得られた樹脂組成物を必要に応じて溶剤に溶解した後、半導体チップや電子部品上に塗布し、直接、硬化させればよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物をアンダーフィル用樹脂として使用する方法についても特に限定されないが、予め基板ないし半導体素子上に本発明のエポキシ樹脂組成物を半硬化させてから、加熱して半導体素子と基板を密着させ、完全硬化させるコンプレッションフロー法等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を半導体の層間絶縁材料として使用する場合は、例えば特開平6−85091号公報の記載の方法が採用できる。層間絶縁膜に用いる場合は半導体に直接接することになるため、高温環境下において線膨張率の差によるクラックが生じないよう、絶縁材の線膨張率を半導体の線膨張率に近づけることが要求される。また、半導体の微細化、多層化、高密度化による信号遅延の問題に対応するため、絶縁材の低容量化技術が求められており、絶縁材を低誘電化することによってこの問題を解決することができる。当該樹脂組成物は、これらの要求を満たす特性を有するため好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物をレジストインキとして使用する場合には、例えば特開平5−186567号公報に記載の方法に準じて、レジストインキ用組成物とした後、スクリーン印刷方式にてプリント基板上に塗布した後、レジストインキ硬化物とする方法が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を導電ペーストとして使用する場合には、例えば、特開平3−46707号公報に記載の微細導電性粒子を該樹脂組成物中に分散させ異方性導電膜用組成物とする方法、特開昭62−40183号公報、特開昭62−76215号公報、特開昭62−176139号公報などに開示されているような室温で液状である回路接続用ペースト樹脂組成物や異方性導電接着剤とする方法が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を接着剤用樹脂組成物として使用する場合には、例えば前記フェノール樹脂組成物、エポキシ樹脂、必要に応じて配合されるその他の硬化剤、樹脂類、硬化促進剤、溶剤、添加剤等を室温または加熱下で混合ミキサー等を用いて均一に混合することによって得ることができ、各種の基材に塗布した後、室温又は加熱下に放置することによって基材の接着を行うことができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物から複合材料を得るには、用途に応じた粘度に調製するために有機溶剤を用いてワニス化し、該当ワニスを補強基材に含浸し、加熱してプリプレグを得た後、それを繊維の方向を少しずつ変えて、擬似的に等方性を持たせるように積層し、その後加熱することにより硬化成形する方法が挙げられる。前記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のアルコール性溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素性溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド等の非アルコール性極性溶媒等沸点160℃以下の溶剤が挙げられ、適宜に2種または、それ以上の混合溶剤として使用することができる。加熱温度としては、用いる溶剤の種類を考慮して決定され、好ましくは50〜150℃とされる。補強基材の種類は特に限定されず、例えば炭素繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙、ガラス布、ガラス不織布、アラミド紙、アラミド布、ガラスマット、ガラスロービング布などが挙げられる。樹脂分と補強基材の割合も特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜60重量%となるように調整するのが好ましい。
本発明の硬化物は、前述の本発明のエポキシ樹脂組成物を成形硬化させて得られるものであり、積層物、注型物、接着剤、塗膜、フィルム等として使用できる。その硬化方法としては特に制限されるものではなく、例えば、前記フェノール樹脂組成物(A)又は(C)、エポキシ樹脂(B)、必要に応じて配合されるその他の硬化剤、各種配合剤等を均一に混合した後、室温または80〜200℃で加熱硬化する方法を挙げることができる。また、前述の各種用途に応じて調製されたエポキシ樹脂組成物は、適応する用途に応じた硬化方法を適宜採用することが好ましい。
本発明の第一のフェノール樹脂組成物は、フェノール類(x1)とトリアジン環を有する化合物(x2)とヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)とを反応させて得られる縮合物(I)を含有することを特徴とする。ここで用いることが出来るフェノール類(x1)、トリアジン環を有する化合物(x2)、ヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)は前述したものをいずれも挙げることができ、また、その製造方法としても、前述のフェノール樹脂組成物(A)で述べたものと同様である。これらの中でも、前記縮合物(I)が未反応のアルデヒド類を含まず、且つ芳香族置換メチロール基を含まない縮合物であることが、加熱成形時の揮発成分が少ないため取り扱い上、好ましいものである。
更に、前記トリアジン環を有する化合物(x2)としては、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンを用いることが、工業的入手が容易である点から好ましい。又、前記ヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)としては、サリチルアルデヒドを含む、2−、3−、4−の各ヒドロキシ置換ベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−4−メチルベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−3,4−ジメチルベンズアルデヒド、4−ヒドロキシビフェニルアルデヒド、2−、5−、6−の各ヒドロキシ置換−1−ナフチルアルデヒド、7−ヒドロキシ−2−ナフチルアルデヒドなどが挙げられるが、サリチルアルデヒドを用いることが、工業的入手が容易である点から好ましい。
また、前記フェノール樹脂組成物中に残留する一官能性フェノール類の含有率が3重量%以下であると、これを硬化させて得られる硬化物の耐熱性、耐湿性に優れる点から好ましいものである。ここで言う一官能性フェノール類とは、前述と同じである。
本発明の第二のフェノール樹脂組成物は、フェノール類(x1)とトリアジン環を有する化合物(x2)とヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)とホルムアルデヒド(x4)とを反応させて得られる縮合物(II)を含有することを特徴とする。ここで用いることが出来るフェノール類(x1)、トリアジン環を有する化合物(x2)、ヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)、及びホルムアルデヒド(x4)の供給源としては前述したものをいずれも挙げることができ、また、その製造方法としても、前述のフェノール樹脂組成物(C)で述べたものと同様である。
これらの中でも、前記トリアジン環を有する化合物(x2)としては、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンを用いることが、工業的入手が容易である点から好ましく、又、前記ヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)がサリチルアルデヒドを用いることが、同様に好ましい。
更に、フェノール樹脂組成物中に残留する一官能性フェノール類の含有率が3重量%以下であると、これを硬化させて得られる硬化物の耐熱性、耐湿性に優れる点から好ましいものである。ここで言う一官能性フェノール類とは、前述と同じである。
本発明のフェノール樹脂組成物は、その用途として限定されるものではなく、例えば、前述のようにエポキシ樹脂の硬化剤として、また、レジスト等の被覆用樹脂組成物、摩擦材用結合剤等にも用いることが出来る。更に、該フェノール樹脂組成物中のフェノール性水酸基をグリシジル化してエポキシ樹脂とした後、本発明のエポキシ樹脂組成物のエポキシ樹脂(B)として用いて良い。
本発明のフェノール樹脂組成物をレジスト等の被覆用樹脂組成物として用いる場合には、溶剤として、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、プロピレングリコ−ルモノメチルエーテルアセテート、エチルラクテート等を単独又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明のフェノール樹脂組成物に硬化剤を配合し硬化性フェノール樹脂組成物として、摩擦材等に使用する場合には、硬化剤として、例えば、ヘキサメチレンテトラミン、パラホルムアルデヒド等の加熱によりホルムアルデヒドを発生する物質を用いることができる。またこれらの硬化剤に必要に応じて硬化促進剤を併用することができる。硬化促進剤としては、一般にエポキシ樹脂組成物の硬化促進剤として用いられている種々のものの使用が可能である。例えばイミダゾール及びその誘導体、ホスフィン化合物、アミン類、BF3アミン化合物などが挙げられる。
摩擦材用結合剤として使用する場合には、このフェノール樹脂組成物に繊維基材と硬化剤とを併用し、熱硬化して製造する方法が挙げられる。この際繊維基材としては、例えばガラス繊維、セラミック繊維、石綿繊維、炭素繊維、ステンレス繊維のような無機繊維、綿、麻のような天然繊維、ポリエステル、ポリアミドのような合成有機繊維等が挙げられる。これらの繊維を単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、性能、価格等を考慮すると、ガラス繊維を主にしたものが好ましい。繊維基材の形状に関しても、何ら限定するものではなく、短繊維、長繊維、ヤーン、マット、シート等、どのようなものでもよい。また硬化剤としては、上記に記載したものを用いることができる。
本発明のフェノール樹脂組成物を硬化性フェノール樹脂組成物としたときの熱硬化の条件は特に制限されるものではなく、通常のフェノール樹脂を硬化させる条件で硬化せしめることが可能であり、樹脂成分が軟化する温度以上であれば問題なく、通常120℃以上200℃以下の温度で行う。成形不良が起こりにくい点で、130〜180℃の範囲で行うのが好ましい。さらに耐熱性に優れた摩擦材を得るためには、成形後、焼成することが好ましい。
更に本発明のフェノール樹脂組成物を摩擦材として使用する際に、充填剤、添加剤等を添加することができる。充填剤、添加剤としては、特に限定されるものではなく、例えばシリカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化珪素、カシュー油重合物、二硫化モリブデン、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、黒鉛、グラファイト、ゴム粒、アルミニウム粉、銅粉、真ちゅう粉等が挙げられる。これらの充填剤等は単独でも、2種類以上混合して使用してもよい。またその使用量も用途、要求性能によって調整されるべきものである。
本発明のフェノール樹脂組成物をエポキシ樹脂原料としても用いる場合には、例えば、フェノール樹脂組成物とエピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン等のエピハロヒドリン類とを反応させる方法が挙げられる。
前記反応の方法としては特に限定されるものではなく、種々の技術を使用することができるが、例示するならば、本発明のフェノール樹脂組成物とエピハロヒドリン類の溶解混合物に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を添加し、または添加しながら20〜120℃で1〜10時間反応させる方法が挙げられる。エピハロヒドリン類の添加量は、原料となる本発明のフェノール樹脂組成物中の水酸基、アミノ基等の活性水素1当量に対して、通常0.3〜20当量の範囲が用いられる。
前記エポキシ樹脂を得る反応において、アルカリ金属水酸化物はその水溶液を使用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液し水は除去しエピハロヒドリン類は反応系内に連続的に戻す方法でもよい。また、フェノール樹脂組成物とエピハロヒドリン類の溶解混合物にテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加し50〜150℃で1〜5時間反応させて得られる該フェノール樹脂組成物のハロヒドリンエーテル化物にアルカリ金属水酸化物の固体または水溶液を加え、再び20〜120℃で1〜10時間反応させ脱ハロゲン化水素(閉環)させる方法でもよい。
更に、反応を円滑に進行させるためにメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、1、4−ジオキサンなどのエーテル類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒などを添加して反応を行うことが好ましい。溶媒を使用する場合のその使用量は、エピハロヒドリン類の量に対し通常5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。また非プロトン性極性溶媒を用いる場合はエピハロヒドリン類の量に対し通常5〜100重量%、好ましくは10〜60重量%である。
これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下、110〜250℃、圧力10mmHg以下でエピハロヒドリン類や他の添加溶媒などを除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、エピハロヒドリン類を回収した後に得られる粗エポキシ樹脂を再びトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて更に反応させて閉環を確実なものにすることもできる。この場合、アルカリ金属水酸化物の使用量は粗エポキシ樹脂中に残存する加水分解性塩素1モルに対して、通常0.5〜10モル、好ましくは1.2〜5.0モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜3時間である。反応速度の向上を目的として、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相関移動触媒を存在させてもよい。相関移動触媒を使用する場合のその使用量は、粗エポキシ樹脂に対して0.1〜3.0重量%の範囲が好ましい。
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することによりエポキシ樹脂を得ることができる。このようにして得られるエポキシ樹脂は、本発明のエポキシ樹脂組成物のエポキシ樹脂として使用することもできるし、その他の種々のエポキシ樹脂の用途に用いることができる。特に前述のような、耐熱性、難燃性、誘電特性等が求められる用途に好適に用いることができる。
次に本発明を合成例、実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」「%」は特に断わりのない限り重量基準である。
以下の合成例で得られたフェノール樹脂組成物の芳香族置換メチロール基およびメチロール基の存在の有無、および一官能性フェノール類、未反応アルデヒド類の有無は次のように求めた。
<芳香族置換メチロール基およびメチロール基の存在の有無>
13C−NMRを用いて樹脂組成物中に存在する芳香族置換メチロール基およびメチロール基の存在の有無を測定した。
13C−NMRを用いて樹脂組成物中に存在する芳香族置換メチロール基およびメチロール基の存在の有無を測定した。
装置:日本電子株式会社製 GSX270プロトン:270MHz、測定溶媒:重メタノールあるいは重アセトン、重ジメチルスルホキシド、基準物質:テトラメチルシラン。得られたチャートにおいて55〜70ppmにある、ノイズと明確に区別され得るピークを用いて判定した。ピークが認められた場合を「有」、認められない場合を「無」とした。
<一官能性フェノール類量>
カラム:30%セライト545カルナバワックス2m×3mmΦ、カラム温度:170℃、注入口温度:230℃、検出器:FID、キャリアガス:N2ガス 1.0kg/cm2、測定法:内部標準法の測定条件において、フェノール樹脂組成物中の一官能性フェノール量を測定した。
カラム:30%セライト545カルナバワックス2m×3mmΦ、カラム温度:170℃、注入口温度:230℃、検出器:FID、キャリアガス:N2ガス 1.0kg/cm2、測定法:内部標準法の測定条件において、フェノール樹脂組成物中の一官能性フェノール量を測定した。
<未反応アルデヒド類の存在の有無>
FT−IRを用いて反応中にフェノール樹脂組成物中に存在する未反応アルデヒド類の存在の有無を測定した。
FT−IRを用いて反応中にフェノール樹脂組成物中に存在する未反応アルデヒド類の存在の有無を測定した。
装置:日本分光株式会社製 FT/IR−500。反応混合物をKBr板に塗布し、得られたチャートの1700cm−1付近に観測されるアルデヒド基由来のピークを用いて判定した。ピークが認められた場合を「有」、認められない場合を「無」とした。
実施例1
コンデンサーと常圧および減圧蒸留装置とを備えた反応器に、フェノール940部、メラミン148部、およびサリチルアルデヒド718部を仕込み、115℃に昇温して2時間反応させた。次いで、常圧蒸留しながら135℃に昇温し、そのまま2時間反応させ、再度常圧蒸留しながら180℃に昇温し、180℃で減圧蒸留を行って未反応モノマーや水等の低沸点成分を除去し、軟化点157℃の樹脂1250部を得た。この樹脂組成物を(A−1)とする。尚、得られたフェノール樹脂組成物中の固形分には芳香族置換メチロール基、未反応アルデヒド類は存在せず、未反応フェノールモノマー量は0.1重量%であった。
コンデンサーと常圧および減圧蒸留装置とを備えた反応器に、フェノール940部、メラミン148部、およびサリチルアルデヒド718部を仕込み、115℃に昇温して2時間反応させた。次いで、常圧蒸留しながら135℃に昇温し、そのまま2時間反応させ、再度常圧蒸留しながら180℃に昇温し、180℃で減圧蒸留を行って未反応モノマーや水等の低沸点成分を除去し、軟化点157℃の樹脂1250部を得た。この樹脂組成物を(A−1)とする。尚、得られたフェノール樹脂組成物中の固形分には芳香族置換メチロール基、未反応アルデヒド類は存在せず、未反応フェノールモノマー量は0.1重量%であった。
実施例2
仕込み比をフェノール940部、メラミン148部、サリチルアルデヒド434部、および41.5%ホルマリン170部に変えた以外は合成例1と同様に反応を行い、軟化点152℃の樹脂1050部を得た。この樹脂組成物を(C−1)とする。尚、得られたフェノール樹脂組成物中の固形分には芳香族置換メチロール基およびメチロール基、未反応アルデヒド類は存在せず、未反応フェノールモノマー量は0.4重量%であった。
仕込み比をフェノール940部、メラミン148部、サリチルアルデヒド434部、および41.5%ホルマリン170部に変えた以外は合成例1と同様に反応を行い、軟化点152℃の樹脂1050部を得た。この樹脂組成物を(C−1)とする。尚、得られたフェノール樹脂組成物中の固形分には芳香族置換メチロール基およびメチロール基、未反応アルデヒド類は存在せず、未反応フェノールモノマー量は0.4重量%であった。
実施例3
コンデンサーと常圧および減圧蒸留装置とを備えた反応器に、フェノール940部、メラミン148部、およびサリチルアルデヒド434部を仕込み、100℃に昇温して2時間反応させた。次いで、常圧蒸留しながら135℃に昇温し、そのまま2時間反応させ、再度常圧蒸留しながら150℃に昇温し、2時間反応させた後、95℃に降温した。反応系内に41.5%ホルマリン170部を滴下により添加し、100℃に昇温して2時間反応させた。次いで、常圧蒸留しながら135℃に昇温し、そのまま2時間反応させ、再度常圧蒸留しながら180℃に昇温し、180℃で減圧蒸留を行って未反応モノマーや水等の低沸点成分を除去し、軟化点153℃の樹脂1045部を得た。この樹脂組成物を(C−2)とする。尚、得られたフェノール樹脂組成物中の固形分には芳香族置換メチロール基およびメチロール基、未反応アルデヒド類は存在せず、未反応フェノールモノマー量は0.5重量%であった。
コンデンサーと常圧および減圧蒸留装置とを備えた反応器に、フェノール940部、メラミン148部、およびサリチルアルデヒド434部を仕込み、100℃に昇温して2時間反応させた。次いで、常圧蒸留しながら135℃に昇温し、そのまま2時間反応させ、再度常圧蒸留しながら150℃に昇温し、2時間反応させた後、95℃に降温した。反応系内に41.5%ホルマリン170部を滴下により添加し、100℃に昇温して2時間反応させた。次いで、常圧蒸留しながら135℃に昇温し、そのまま2時間反応させ、再度常圧蒸留しながら180℃に昇温し、180℃で減圧蒸留を行って未反応モノマーや水等の低沸点成分を除去し、軟化点153℃の樹脂1045部を得た。この樹脂組成物を(C−2)とする。尚、得られたフェノール樹脂組成物中の固形分には芳香族置換メチロール基およびメチロール基、未反応アルデヒド類は存在せず、未反応フェノールモノマー量は0.5重量%であった。
合成例1
コンデンサーと常圧および減圧蒸留装置とを備えた反応器に、フェノール940部、メラミン151部、および41.5%ホルマリン434部を仕込み、100℃に昇温して2時間リフラックス反応させた。次いで、常圧蒸留しながら135℃に昇温し、そのまま2時間リフラックス反応させ、再度常圧蒸留しながら180℃に昇温し、180℃で減圧蒸留を行って未反応モノマーや水等の低沸点成分を除去し、軟化点136℃の樹脂740部を得た。この樹脂組成物を(A’−1)とする。尚、得られたフェノール樹脂組成物中の固形分にはメチロール基、未反応アルデヒド類は存在せず、未反応フェノールモノマー量は0.9重量%であった。
コンデンサーと常圧および減圧蒸留装置とを備えた反応器に、フェノール940部、メラミン151部、および41.5%ホルマリン434部を仕込み、100℃に昇温して2時間リフラックス反応させた。次いで、常圧蒸留しながら135℃に昇温し、そのまま2時間リフラックス反応させ、再度常圧蒸留しながら180℃に昇温し、180℃で減圧蒸留を行って未反応モノマーや水等の低沸点成分を除去し、軟化点136℃の樹脂740部を得た。この樹脂組成物を(A’−1)とする。尚、得られたフェノール樹脂組成物中の固形分にはメチロール基、未反応アルデヒド類は存在せず、未反応フェノールモノマー量は0.9重量%であった。
実施例4〜6、比較例1
第1表の配合で下記の方法でエポキシ樹脂組成物を調整し、下記の如き条件で硬化させて両面銅張積層板を試作し、各種の評価を行った。結果を第1表に示す。
第1表の配合で下記の方法でエポキシ樹脂組成物を調整し、下記の如き条件で硬化させて両面銅張積層板を試作し、各種の評価を行った。結果を第1表に示す。
[エポキシ樹脂組成物の調整]
エポキシ樹脂組成物は、上記で得られたA−1、C−1、C−2、A’−1で示されるフェノール樹脂組成物と、エポキシ樹脂(B)とを混合した後、最終的に組成物の不揮発分(N.V.)が55%となるように調整した。
エポキシ樹脂組成物は、上記で得られたA−1、C−1、C−2、A’−1で示されるフェノール樹脂組成物と、エポキシ樹脂(B)とを混合した後、最終的に組成物の不揮発分(N.V.)が55%となるように調整した。
[積層板作製条件]
基材 :180μm; 日東紡績株式会社製 ガラスクロス「WEA 7628 H258」
プライ数 :8
プリプレグ化条件:160℃/2分
銅 箔 :35μm; 古河サ−キットホイ−ル株式会社製
硬化条件 :200℃、40kg/cm2で1.5時間
成型後板厚 :1.6mm 樹脂含有量 :40%
[物性試験条件]
成形状態: エッチング処理を施し銅箔除去した後、目視で外観検査を行い、欠損、カスレ、ミーズリング等が無く、均一に成形されているものを○とした。
基材 :180μm; 日東紡績株式会社製 ガラスクロス「WEA 7628 H258」
プライ数 :8
プリプレグ化条件:160℃/2分
銅 箔 :35μm; 古河サ−キットホイ−ル株式会社製
硬化条件 :200℃、40kg/cm2で1.5時間
成型後板厚 :1.6mm 樹脂含有量 :40%
[物性試験条件]
成形状態: エッチング処理を施し銅箔除去した後、目視で外観検査を行い、欠損、カスレ、ミーズリング等が無く、均一に成形されているものを○とした。
ガラス転移温度: エッチング処理を施し銅箔除去した後、DMA法にて測定。昇温スピード3℃/min。
吸湿率: プレッシャークッカー試験機を使用し、121℃、2.1気圧、100%RHの条件において試験片(25mm×50mm)を2時間保持後、その前後の重量変化を測定した。
誘電特性: 誘電特性評価器を用いて100MHz、1GHzの周波数における誘電率と誘電正接を測定した(試験片のサイズ75×25×2mm)。
燃焼試験: 燃焼試験用に上記エポキシ樹脂組成物中固形分に対し30重量%の水酸化アルミを分散添加したワニスを作製し、上記積層板作成条件と同様に、積層板の作成を行った。試験方法はUL−94垂直試験に準拠。
尚、第1表中の各原料及び略号は以下の通りである。
「N−673」 :クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名[EPICLON N−673]、エポキシ当量211g/eq.)
「MEK」 :メチルエチルケトン
「N−673」 :クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名[EPICLON N−673]、エポキシ当量211g/eq.)
「MEK」 :メチルエチルケトン
Claims (24)
- フェノール類(x1)とトリアジン環を有する化合物(x2)とヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)とを反応させて得られる縮合物(I)を含有するフェノール樹脂組成物(A)と、エポキシ樹脂(B)とを含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 前記トリアジン環を有する化合物(x2)がメラミン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミンからなる群から選ばれる1種以上の化合物である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記ヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)がヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシビフェニルアルデヒド及びヒドロキシナフトアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上の化合物である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記フェノール樹脂組成物(A)中に残留する一官能性フェノール類の含有率が3重量%以下である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
- フェノール類(x1)とトリアジン環を有する化合物(x2)とヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)とホルムアルデヒド(x4)とを反応させて得られる縮合物(II)を含有するフェノール樹脂組成物(C)と、エポキシ樹脂(B)とを含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 前記トリアジン環を有する化合物(x2)がメラミン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミンからなる群から選ばれる1種以上の化合物である請求項5記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記ヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)がヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシビフェニルアルデヒド及びヒドロキシナフトアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上の化合物である請求項5記載のエポキシ樹脂組成物。
- フェノール樹脂組成物(C)中に残留する一官能性フェノール類の含有率が3重量%以下である請求項5記載のエポキシ樹脂組成物。
- プリント基板用樹脂組成物である請求項1〜8の何れか1項記載のエポキシ樹脂組成物。
- 電子部品の封止材用樹脂組成物である請求項1〜8の何れか1項記載のエポキシ樹脂組成物。
- レジストインキ用である請求項1〜8の何れか1項記載のエポキシ樹脂組成物。
- 導電ペースト用である請求項1〜8の何れか1項記載のエポキシ樹脂組成物。
- 層間絶縁材料用である請求項1〜8の何れか1項記載のエポキシ樹脂組成物。
- 接着材料用である請求項1〜8の何れか1項記載のエポキシ樹脂組成物。
- 複合材料用である請求項1〜8の何れか1項記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜15の何れか1項記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られることを特徴とする硬化物。
- フェノール類(x1)とトリアジン環を有する化合物(x2)とヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)とを反応させて得られる縮合物(I)を含有することを特徴とするフェノール樹脂組成物。
- 前記トリアジン環を有する化合物(x2)がメラミン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミンからなる群から選ばれる1種以上の化合物である請求項18記載のフェノール樹脂組成物。
- 前記ヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)がヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシビフェニルアルデヒド及びヒドロキシナフトアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上の化合物である請求項17記載のフェノール樹脂組成物。
- フェノール樹脂組成物中に残留する一官能性フェノール類の含有率が3重量%以下である請求項17記載のフェノール樹脂組成物。
- フェノール類(x1)とトリアジン環を有する化合物(x2)とヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)とホルムアルデヒド(x4)とを反応させて得られる縮合物(II)を含有することを特徴とするフェノール樹脂組成物。
- 前記トリアジン環を有する化合物(x2)がメラミン、アセトグアナミン及びベンゾグアナミンからなる群から選ばれる1種以上の化合物である請求項21記載のフェノール樹脂組成物。
- 前記ヒドロキシル基置換芳香族アルデヒド類(x3)がヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシビフェニルアルデヒド及びヒドロキシナフトアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上の化合物である請求項21記載のフェノール樹脂組成物。
- フェノール樹脂組成物中に残留する一官能性フェノール類の含有率が3重量%以下である請求項21記載のフェノール樹脂組成物。
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JP2005065326A JP2006249178A (ja) | 2005-03-09 | 2005-03-09 | エポキシ樹脂組成物、その硬化物、及びフェノール樹脂組成物 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008127551A (ja) * | 2006-11-24 | 2008-06-05 | Nippon Foil Mfg Co Ltd | レジストインキ組成物 |
WO2010079672A1 (ja) * | 2009-01-09 | 2010-07-15 | 昭和高分子株式会社 | ノボラック樹脂および熱硬化性樹脂組成物 |
JP2012119918A (ja) * | 2010-11-30 | 2012-06-21 | Murata Mfg Co Ltd | 電子部品 |
CN104263296A (zh) * | 2014-09-30 | 2015-01-07 | 赣州诚博科技服务有限公司 | 一种刨花模压材料用胶水的制备方法 |
KR20180090739A (ko) | 2017-02-03 | 2018-08-13 | 토요잉크Sc홀딩스주식회사 | 보호 시트가 구비된 프린트 배선판, 시트형상 기재가 구비된 열 경화성 접착 시트 및 이들의 제조 방법, 그리고 열 경화성 접착 시트 |
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2005
- 2005-03-09 JP JP2005065326A patent/JP2006249178A/ja active Pending
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