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JP2006012224A - 情報記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

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JP2006012224A JP2004184401A JP2004184401A JP2006012224A JP 2006012224 A JP2006012224 A JP 2006012224A JP 2004184401 A JP2004184401 A JP 2004184401A JP 2004184401 A JP2004184401 A JP 2004184401A JP 2006012224 A JP2006012224 A JP 2006012224A
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Abstract

【課題】多数層積層した時の溝形状が変形する。
【解決手段】基板電位をマイナス方向に動かすバイアス電圧を印加しながら無機物膜をスパッタリングにより形成するか、または、有機膜を塗布した後エネルギーを与えて積層膜を形成し、積層後も凹凸形状を維持するようにさせる。
【効果】溝形状を保持したまま多層積層できる。
【選択図】図4

Description

本発明は、光を用いて情報を記録、再生する情報記録媒体、およびその製造方法に関する。
光ディスクでは、記録媒体(ディスク)を記録再生装置から外せることと、記録媒体が安価であることが大きな特長になっている。従って光ディスク装置では、この特徴を失わずに高速・高密度化するのが望ましい。
光ディスクの実効的記録密度(実効的面密度)を高めるには、光の遠達性、透過性という特長を生かした多層化が望ましい。しかし、3層以上では各層の透過率と記録感度とがトレードオフの関係にあり、再生信号品質か記録感度か、どちらかが犠牲にならざるを得なかった。
そこで、このトレードオフを解消する技術が開発されてきており、例えば、特開2003−346378号には、エレクトロクロミック材料を用いた記録層を多層にし、記録層を一対の電極で挟んで電圧を印加し、記録層自身を電圧印加によって吸収スペクトルを変化させ、光吸収するようにして、選択的に記録層を着色させ、情報を記録させることが記載されている。
なお、特開2002−82360号には、エレクトロクロミック層の両側を導電層で挟んだ光書き込み型記録材料について記載されている。但し、多層に関するものではなく、材料に関する文献である。
特開2003−346378号
特開2002−82360号
本発明者らの検討の結果、記録層を多層に積み上げていくと、先に形成する下側の記録層は基板の凹凸形状に沿った形状となるが、後に形成する上側の記録層は、基板の凹凸形状を保存せずに、凹凸がなめらかになってしまうことがわかった。そうすると、従来のエレクトロクロミックを用いた記録媒体では、通常の光ディスクと同様にトラッキング用の溝(グルーブ)でトラッキングすると、多数層積層した時の溝形状の変形により、トラッキングエラーが生じやすくなってしまう。レーザビームを複数にして1つのビームはグルーブやピットが形成された基板のすぐ上の反射層に焦点を合わせ、このビームとディスク面内方向の位置関係がほぼ固定された他のビームの焦点位置が記録又は再生する層上に来るようにすればトラッキングやアドレス確認が可能であるが、光ヘッド大型化の原因になる。複数のビームの位置関係が温度変化などで動くおそれも有る。これを避けて1ビームで記録・再生する場合は、ピットや溝を転写した層を数層ごとに設けることにより、移動した焦点位置でアドレスが読めるようにしておく必要が有る。そのためには転写層は10ミクロン以上の膜厚が必要になる。
本発明の目的は、これらの問題点を解決し、従来の光ディスクとの高い互換性と装置の小型化可能性を保って、安定な大容量高速記録を達成することにある。
多層化を達成する技術としては、透過率が高い酸化物や硫化物や有機物の記録層を複数層積層し、レーザー光で屈折率や消衰係数を変化させる方式と、透明電極で挟んだエレクトロクロミック材料層と固体電解質層を電圧印加によって透明にしたり着色させたりし、着色させた層だけ記録・再生ができるようにする方式の双方がある。そこで、本発明では、この両者の何れかを用いることとする。以下、具体的に、本発明の構成を説明する。
(1)記録媒体は繰り返し凹凸形状を有する基板または紫外線硬化樹脂層を有し、この凹凸は傾斜がついており、ほぼ台形(但し長い方の底辺がない)とほぼ逆台形(但し長い方の底辺がない)の組の繰り返しになっている。そして、基板または紫外線硬化樹脂層から離れると、円弧状の繰り返し、または底辺の無いほぼ3角形と底辺の無いほぼ逆3角形の組の繰り返しになっている。製膜時に、DCバイアス電圧を強めにかけると膜表面を部分的にArイオンが強くたたいてエッチングし、底辺の無い3角形に近い形と底辺の無い逆3角形に近い形の組の繰り返しに近くなって、弱めにかけると凹凸の頂部がとがらず、円弧の一部に近い形状の繰り返しになった。
(2)上記基板または紫外線硬化樹脂層の凹凸の高さに対し、基板または紫外線硬化樹脂層から離れた、円弧状、または底辺の無いほぼ3角形と底辺の無いほぼ逆3角形組の繰り返しからなる層の凹凸の高さが、0.5倍から0.9倍の範囲にあるようにする。
勿論、上記積層された層には、情報を記録する際には、記録マークが形成される。
(3)スパッタリングにより膜を形成する場合は、凹凸形状を有する基板に、基板電位をマイナス方向に動かすバイアス電圧を印加しながらダミー層の無機物膜をスパッタリングにより形成する。このようなバイアス電圧を印加することで、円弧状等に形成できる。
(4)塗布により膜を形成する場合は、凹凸形状を有する基板に、膜を塗布し、前記膜にエネルギービームを照射する。この膜は、凹凸形状の上に形成されるので、膜厚が厚くなる基板凹部の領域に選択的に熱が吸収される。その結果、この膜は、加熱と溶媒の急速な蒸発により表面張力が低下し、また、蒸発ガスの背圧によって膜厚が均一化する。このエネルギービームの照射は、膜全体に行っても良いが、凹部領域に選択的に行っても同様の効果が得られる。このようにすることで、上記円弧状等の形状が形成される。この膜として、有機膜を用いると良い。
なお、前記記録層を形成するステップは、前記有機膜を塗布するステップの前に行われてもよい。また、記録層を形成した後に、更に記録層のうちの有機物膜の凹領域にエネルギーを与えても良い。
記録は高いパワーのパルスレーザ光を照射された部分だけ着色電圧をかけても着色しない、または着色が遅い状態に変化させることによって行う。この方式では光学系は従来の光ディスクの光学系が使えるのが長所であるが、新たにディスクに電圧をかけ、電流を流すことが必要になる。
なお、本発明において発色するとは、記録又は再生に用いるレーザ光の波長に対して吸収が増加することと定義する。従って、発色前から着色していることもあり得る。
本発明の情報記録媒体は、大幅に多層化可能であると共に、記録・再生装置では従来のディスクとの互換性が高く、大容量で高速記録・再生が可能である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本発明の記録媒体の構成は、具体的には以下のとおりである。図1に示したように、トラッキング用の溝を有する基板1上に、金属反射層2をまず形成し、続いてダミー層3を形成し、その後第1の透明電極4、エレクトロクロミック材料層5、固体電解質材料層6、第2の透明電極7の順で製膜したもの(4から7)を、光学的、あるいは熱的に必要が有れば透明電極間にスペーサー層を挟んで繰り返し2組以上積層する。エレクトロクロミック材料層5と固体電解質材料層6の積層は、この順序の方が駆動電圧が低くなったが、逆順でもよい。ダミー層は、実施例2で述べるバイアススパッタした無機材料の層、または積層膜でも良い。図ではスペーサー層が無い場合を示しているので、図からわかるように1つ下の層の上部透明電極は1つ上の層の下部透明電極を兼ねている。記録層を挟む電極間に電圧を印加すると記録用あるいは読み出し用レーザ光の吸収率及びまたは反射率が増大するようにするのが好ましい。これにより任意の層だけ光吸収し、他の層はほとんど光吸収が無いようにできる。これにより、他の層の干渉が無いので1層当たりの膜厚を従来の1/100程度に薄くでき、複数の層を絞込みレンズの焦点深度内に配置することもできて、従来の複数層ディスクより多層・大容量化できる。もちろん、1層あるいは2層以外は焦点深度内に入らないように、焦点位置を動かして記録・再生してもよい。エレクトロクロミック材料層の反射率が高い場合は金属反射層は省略しても良い。
通常の塗布法で上記のように多層積層を行うと(ただし反射層や透明電極はスパッタリングで形成)、図6に示したように、基板11上にAg−Pd−Cu半透明反射層12、アクリル樹脂の下地層13、透明電極14、エレクトロクロミック材料層15、固体電解質層16、透明電極層17と積層していくと、溝やピットが順次浅くなって行き、ついにはほとんど平坦になってしまう。スパッタリング、真空蒸着で形成する層ばかりの場合は、溝やピットの側壁への膜の付着によって溝が狭くなって行き、いずれの場合も記録層を数層形成した段階でトラッキングやアドレス読み取りが困難になってしまう。これを避けるために本発明では以下に述べるように塗布で形成する層(主として有機材料層)とスパッタリングで形成する層(無機材料層)にそれぞれ別々の対策を行ってできるだけ溝の凹凸を保って多数層積層できるようにする。この対策は、後述する。
上記のような記録層を複数有する記録媒体を用い、多くの電極対間に電圧を印加するが、記録又は消去、又は読出し時に、それらを行う層の両側の電極間だけに他の電極間とは異なった電圧を印加するようにする。異なった電圧とは、極性が逆の電圧の場合も含む。着色方向の電圧と消色方向の電圧が符号が逆で電圧値が異なっていても良い。このようにすることで、所定の記録層に選択的に着色され、着色された層に光照射して情報の記録または再生を行うことができる。
また、本発明においてエレクトロクロミック材料層とは、電圧印加(電流が流れる)によって直接発色する(吸収又は反射スペクトルが変化する)材料の層という定義である。現在エレクトロクロミック材料と呼ばれていないものでも良い。ただし、膜厚50nmの層とした時、透過率を保つため、記録・再生の少なくとも一方、できれば両方の光の波長に対し、所定の電圧印加時に光吸収が10%以下、より好ましくは5%以下にできるものが良い。そのほかに、電圧印加(電流が流れる)によって発光する領域とその光を受けて発色又は消色する領域を有する層も含むものとしても良い。エレクトロクロミック材料としては、ごく一例として、酸化タングステン、チオフェン系有機分子の重合体(ポリチオフェンやその誘導体)が挙げられる。
ディスク内周部には各層の透明電極、あるいは透明電極から延長した電極の端部が図7に示したように放射状121になるように形成するのも良い。放射状の場合は透明電極の面抵抗による電圧の不均一を避けるために、1つの透明電極層に2つ以上の放射状電極を設けるのが好ましい。ここで、図7中、123は基板、122は多層記録層、121は放射状電極、124は透明電極、125は固体電解質層、126は導電性有機材料より成るエレクトロクロミック材料層、127は記録層、128は電圧印加手段、129は光ビームである。
図2は、本発明で用いる多層ディスク記録再生装置の1例を示す構造図である。ディスクの下方に有る、記録再生装置の静止部からモーター41の回転軸42への電線58、スリップリング式電圧伝達機構47、59、から出て、回転軸を回転軸先端に向かう導線45、ディスク受け(ディスク載置部)44,バネ内蔵ピン電極53、ディスク受け内部をバネ内蔵ピン電極に向かう導線52などより成る。上記ディスク内周部の同心円状電極55とディスク受けのピン電極55が接触するようにバネとピン内蔵のディスク押さえ56で押えられている。ピン電極はピン(細い円柱又は円筒)状でなくてもよく、例えば円弧を成す帯状の電極であっても良い。電流は、電極55,54,46を介して、基板57上の透明電極43に供給される。図2においてはディスク受け付近の電極を多数書くとわかりにくくなるので3個だけを書いてある。上記の装置側の複数の電極はそれぞれが幅が狭く長く、全体が一枚の長いベルト状になっていて回転する電極との接触部分が摩耗したら接触位置を変えられるようになっている。ディスクの構造は図2と同じである。
上記同心円状の電極のそれぞれを分割した複数の電極が楔状の金属片を打ち込んだものとしてもよい。
上記同心円状の電極又は透明電極の同心円状引き出し部のそれぞれが連続ではなく、図12に示したようにそれぞれの円の上に複数の電極が配列されたものであるようにしてもよい。対角線上の2つの電極は同じ透明電極層からディスク中心方向に伸びているものとするのが、透明電極の面抵抗による着色速度ムラなどを抑制するのに効果が有る。上記透明電極の端部(同心円状やそれらを円周方向に分割した部分で、図12の171から176)を導電率向上及び補強のために金属又は炭素の微粒子を含む材料を塗布したものとしてもよい。図12において177は中心穴である。
光などのエネルギーを記録媒体に与えることによって情報を記録する記録媒体が少なくともエレクトロクロミック材料層を透明又は半透明の2つの電極間に有するものを2組以上積層したものであり、記録媒体は静止しており、記録媒体側の電極と電源とが絶縁物カバーの内部に複数の金属接点を内蔵するコネクターによって接続されている情報記録装置としても良い。
以下に、本願の媒体についてさらに詳細に説明する。
(材料と製膜法)
エレクトロクロミック材料層は上下の電極間に電圧をかけることによって発色する。ここでは、光源に波長660nmのレーザを用いた場合に適したポリチオフェン系材料、または波長405nm付近の青色レーザを用いた場合に適したポリアニリン系材料(誘導体)を用いた。ポリチオフェン系材料の層は、具体的にはH.C.Starck社の商品名Baytron Pを約80vol% 含み、残部の主成分がt-ブチルアルコールで、他に少量の界面活性剤NS210,ポリビニルアルコール、3−GPTMS(3-glycidoxypropyltrimethylsilane)を含む液を塗布、加熱乾燥した層である。BaytronPは、ポリエチレン3,4ジオキシチオフェンの低分子量ポリマー(オリゴマー)が、PSS(ポリスチレンスルフォン酸)の高分子重合体のところどころに付いたものである。この上に固体電解質材料を積層する。固体電解質材料は、PMMA(ポリメチルメタクリレート)とリチウムトリフレート(lithium trifluorosulfonate)を主成分とし、propylene carbonate, ethylene carbonate, acetonitrile, cyclohexanon及び、日立化成のUV硬化樹脂H−9を少量含むものを塗布し、UV光照射、加熱乾燥したものである。塗布によって形成するので、基板のランド部では膜厚が薄くなり、グルーブ部では厚くなる。
上記膜厚を均一化するために本発明の記録媒体は塗布後十分に乾燥する前(即ち塗布後10分以内、より好ましくは1分以内)に相変化光ディスクの初期結晶化装置(日立コンピュータ機器製)で波長670nmの大出力(出力2W)半導体レーザ光を初期結晶化時とほぼ同様にディスクを回転させながら照射した。
レーザー光はダミー層またはエレクトロクロミック層で一部ではあるが吸収され、膜厚の厚い部分ほど光吸収が多く、発熱が多いので高温となり、表面張力の低下、有機溶媒または水分の蒸発、蒸発に伴う蒸気の背圧により膜厚が減少する傾向が強く、線速度5m/sでの照射でランド部とグルーブ部の膜厚差が10%以内と大幅に改善された。このようなレーザ光照射による光吸収と膜厚減少のメカニズムについてはコロナ社刊、「光メモリの基礎」の第3章記録可能光メモリ媒体、穴あけによる光記録の項に詳しく述べられている。この方法を各塗布層に繰り返し行うと、凹凸の形状は必ずしも基板の溝形状と同じではなく、図1に示したように変形して屋根形(ほぼ一定の高さの頂線の両側に平面に近い傾斜面が有り、それが頂線に平行方向に繰り返した形状)に近づいて行き安定するが、凹部と凸部の比率は変化しないので、トラッキングやアドレス読み出しは可能である。本実施例では、有機膜全体にエネルギービームを照射したが、基板の凹部に対応する有機膜の領域に選択的にエネルギービームを照射しても良い。この場合は、例えばマスクなどを介して照射するか、パルスビームにしてパルスが凹部に対応する有機膜の領域に照射されるようにする。
なお、上記は有機膜を塗布した場合であるが、他にタングステン過酸化物水溶液を塗布して非晶質WO3層を形成する場合にも有効である。これは、有機膜ではなく、無機膜であるが、塗布後レーザ照射すると良いのは、有機膜に限らず、無機膜でも有効である。
実際には固体電解質層も塗布で形成する場合、レーザ光の吸収が少ないので、溝内部の膜厚を減少させる効果が小さい。従って、エレクトロクロミック材料層では溝内部の膜厚が溝間の膜厚より薄くなるように高線速度で高パワーのレーザ光照射を行う。エレクトロクロミック材料層と固体電解質層の両層をまとめて1つの記録層と見た時、多数層積層によって形状が変化して行かず安定する照射を行った。
図1からわかるように、最初の300nm程度の積層までは凹凸の形状が変化し、凹凸の高さ(深さ)も変化するので、基板表面の溝深さは最適の凹凸の高さより深くしておき、積層の最初から200nmから500nmまでの範囲は透明な有機物層より成るダミー層3とし、形状が安定化してから実際の多層記録層に用いるのが望ましい。ダミー層は透明電極、エレクトロクロミック材料層、固体電解質層という構成ではなく、アクリル樹脂のように全く異なる透明材料の層あるいは積層膜を形成しても良い。
基板表面の溝深さは最適溝深さの1.1倍から2倍の範囲に有れば、凹凸高さが安定化した部分の層におけるトラッキングが安定に行えた。より好ましい範囲は1.3倍から1.8倍の範囲である。
チオフェン系ポリマー(略してポリチオフェン)のほか、Lu−ジフタロシアニンなどの金属フタロシアニン、ヘプチルビオロゲン、タングステン蓚酸錯体,スチリル系化合物である 3,3ジメチル-2-(P-ジメチルアミノスチリル)インドリノ[2,1−b]オキサゾリン(IRPDM)(光源波長5145nm)や3,3ジメチル-2-(P-ジメチルアミノシンナミリデンビニル)インドリノ[2,1−b]オキサゾリン、青色レーザ記録再生用としてポリアニリンとポリ(2−アクリルアミド−メタン−2−プロパンスルフォン酸(略称PANPS))との積層膜(D. DeLongchamp and P. T. HammondによるAdvanced Materials Vol.13, No. 19, 1455(2001)の論文に記載)なども使用可能である。さらに、光導電効果をもたせるために、TCNQ(7,7, 8,8-Tetracyanoquinodimethane)の層を形成してもよい。
モノマー、又は数分子が結合しただけの低分子量のものを高速真空蒸着し、基板上でオリゴマーやポリマーにするのも好ましい。基板上でオリゴマーやポリマーにするには、真空蒸着中に電子線、イオン、青色又は近紫外光を照射して分子を励起状態にする。真空蒸着の場合、溝の埋まる効果は弱いので、製膜後のレーザー照射も弱めでよい。
有機材料と無機材料が混在する場合、例えばエレクトロクロミック材料層が有機材料で固体電解質層と透明電極層が無機材料である場合、有機材料層には上記の塗布後レーザー照射法、無機材料層には実施例2で述べるバイアススパッタ法を適用する。
これらの方法の適用によってグルーブ形状が屋根形で安定した場合、それによるメリットも生まれる。屋根形では右斜面と左斜面で反射光が異なる方向にほぼ平面波で出て行くので、右斜面と左斜面の両方に記録マークを形成してもクロストークが生じにくいなどのメリットである。もちろん、屋根形の頂部と底部のいずれか、または両方に記録しても良い。屋根形形状は、グルーブに直角な面で切った断面について見ると凹凸形状が円弧の一部に近い形状の繰り返し、または底辺の無い3角形に近い形と底辺の無い逆3角形に近い形の組の繰り返しに近くなっているものである。
上記基板または紫外線硬化樹脂層をグルーブに直角な面で切った断面形状の底辺が無い台形に近い形と底辺(長い方の辺)が無い逆台形に近い形との組の繰り返しの振幅、すなわち凹凸の高さに対し、基板または紫外線硬化樹脂層から離れた上記凹凸形状が屋根形形状、すなわち、ほぼ一定の高さの頂線の両側に平面に近い傾斜面が有り、それが頂線に平行方向に繰り返した形状の部分の凹凸の高さが0.5倍から0.9倍の範囲にあると、屋根形形状の再現性が良く、どの層にも同様に許容範囲内のトラッキングオフセットで安定にトラッキングすることができた。
基板に近く基板表面の凹凸に近い部分(すなわち、グルーブの断面形状が底辺の無い台形と逆台形とを組合わせた形状に近い部分)と、基板から少し離れて層数が増しても形状が安定して変化が少ない領域とではディスクからの反射光の分布も異なるので、すべての記録層に記録しても良いが、基板から少し離れて層数が増しても形状が安定して変化が少ない領域の記録層だけに記録・再生するのが、トラッキングや記録・再生特性のバラツキが少なく、好ましい。記録・再生しない層はダミー層とするのが良い。このダミー層は記録層とは別の低価格材料で形成するのが好ましい。図1の記録媒体において、レーザー光照射はダミー層に対しても行う。これによって、次の層からほぼ層の形状が安定する。
(媒体の製法)
この媒体は次のようにして製作された。まず、直径12cm、厚さ0.6mmで表面にトラックピッチが0.615μmで深さ約70nmのランド・グルーブ記録用のトラッキング用の溝(幅0.615μm)を有し、トラック1周を複数のセクターに分割して各セクターの始まりにピット列によってアドレス、同期信号などを表したヘッダー部を持ち、溝のウォブルによってクロックが表現されたポリカーボネート基板を用いた。DVD−RAMの基板とほぼ同様な基板である。この基板を用いたのは必ずしも最適であるというわけではなく、DVD+RWの基板やHD−DVDの基板のようにアドレスなどもウォブリングで表現され、ピットが無いイングルーブ記録用の基板の方が塗布へのアドレスピットの影響が無い点で好ましい。層間のクロストークが有った場合でも影響が出にくいフォーマットの基板とするのがさらに好ましい。例えば、サンプルサーボフォーマット基板である。図10は、グルーブの概略平面図である。
図3に示したように、上記ポリカーボネート基板61上に、まずAg94PdCu半透明反射層62を膜厚20nm、次に長波長光を吸収するシアニン系色素を混入したアクリル樹脂のダミー層63をスピンコート法で積層し、ITO透明電極74を100nm、エレクトロクロミック材料層65を100nm、固体電解質層66を100nm、WO保護層(スペーサー層)67を50nm、ITO透明電極64を100nm、あとは同様に繰り返してエレクトロクロミック材料層、固体電解質層、WO保護層、ITO透明電極、エレクトロクロミック材料層、固体電解質層、WO保護層、ITO透明電極、エレクトロクロミック材料層、固体電解質層、WO保護層、ITO透明電極の順にITO透明電極で両側を挟まれた記録層を5層積層した。さらにこの上に内周部に内径(直径)15mm、外径41mmの、表から裏へ電極が貫通した基板、外周部に内径約41mm外径120mm厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を貼り付けた。光はこの張り合せ保護板側から入射させた。この内周部の基板と外周部の基板は一体化して1枚のポリカーボネート板としてもよい。塗布層形成後には、凹凸振幅回復のため、すべてレーザ照射を行った。
ITO透明電極は反応性スパッタリング、WO保護層は真空蒸着で形成した。真空蒸着としたのは、その下の層が有機材料から成る場合、スパッタリング時のイオン衝撃から保護するためと、酸素を有機材料層に奪われて高抵抗層ができるのを防止するためである。イオン衝撃を受けると特性劣化が速くなった。WO層の膜厚は薄い(30nm程度)方が光透過率の点では好ましい。ITO透明電極は電子ビーム蒸着、レーザ蒸着(ターゲットに大出力のレーザ光を照射して蒸発・製膜する方法で、PLD法とも呼ばれる)で形成することもでき、その場合は保護層としてのWO層を50nm未満に薄くしたり省略することもできる。ただし、蒸着法によるITO膜は、透過率、導電率の面ではスパッタITO膜より少し低目となる。保護の目的では、真空蒸着、又は塗布で形成できる既知の透明導電性無機材料がWOの代わりに使用できる。
本実施例の記録層の層構成は、アクリル系紫外線硬化樹脂にLiトリフレート(正式名Liトリフロロメタンスルフォネート,Li trifluorometanesulfonate:CFSOLi)と可塑剤を混合した材料の固体電解質層、及びPEDT/PSSの層、すなわちpoly(3,4 etylenedioxythiophene)とpoly(stylene sulfonate) との混合材料よりなる電子活性導電性ポリマー発色材料より成るエレクトロクロミック層の2層である。
透明電極で挟まれる層の構成の他の例は、Helmut W. Heuer氏らの、Advanced Functional Materials vol.12, No.2 pp89-94 (Feb. 2002) 記載の、electrochromic Window Based on conducting Poly (3,4-ethylenedioxythiophene)-Poly(styrene sulfonate)の論文に着色制御窓ガラス材料として述べられている材料と層構成のうち、(CeO67(TiO33より成るイオン貯蔵兼暗電流ブロック層、Liトリフレート(正式名Liトリフロロメタンスルフォネート,Li trifluoromethansulfonate:CFSOLi)の電解質層、及びPEDT/PSSの層、すなわちpoly(3,4 etylenedioxythiophene)とpoly(stylene sulfonate)との混合材料よりなる電子活性導電性ポリマー発色材料層の3層である。チオフェン系ポリマーの層を形成する前に、チオフェン系ポリマーの端部にシアノ基(−NC)、チオール基(−SH)、S−アセチル基(−SAc)のいずれかを付ける処理を行えばさらに好ましい。チオフェン系ポリマーの長手方向がなるべく膜厚方向に向いて、膜厚方向の電流が流れやすいようにするためである。有機電解質層としてはポリエチレンオキサイド−チオシアン酸カリウム系も好ましい。
上記PEDT/PSS層の代わりに、Fei Wang 氏他著のMicromolecules vol.33 pp2083-2091(2000)のElectrochromic Linear and StarBranched poly(3,4-ethylenedioxychiophene-didodecyloxybenzene) Polymers の論文に記載されているエレクトロクロミック発色するポリチオフェン系ポリマー材料であるStar-branched
poly(3,4-ethylenedioxychiophene-didodecyloxybenzene)(略称SPEB)を用いると、発色・消色が速く、良好な特性が得られる。電解質には上記電解質を用いる。
固体電解質層とエレクトロクロミック材料層との間に透明な酸化物などより成る誘電体あるいは半導体の層を設けると、Liイオンのバリア層の役割を果たし、Liイオンがエレクトロクロミック層に捕えられて固体電解質層側に戻って来ないなどの、着色・消色繰返し劣化要因を抑制することができる。例えば酸化クロムの厚さ10〜50nm程度の層を用いるのが良い。
これまで述べた有機材料層を用いる場合のメリットは、導電性が有り、導電率は温度上昇とともに高くなり、また、光導電性も持たせることができるのでフォトキャリアを電界によって加速し、温度上昇により着色を促進したり記録感度を高めることができること、記録が起きる温度自体が低いことである。図8に示したように、着色は分子中に電子が取り込まれることにより正電荷によるポーラロンが消滅して励起状態とのエネルギー差が可視光のエネルギーに相当するようになることによって起こる。この電子移動を助けるためにLiイオン、水素イオン(プロトン)などのイオンが移動する。
WO保護層は保護層としてでなく、オートフォーカス及び/又はトラッキング及び/又は再生用の光反射層としても用いることができる。光反射層として用いる場合はすべての記録層に付加せず、一層おき、2層おきなど、複数層おきに設けても良い。WO3やAg合金、Al合金などの反射層はグルーブなどの凹凸を転写した層に付けるのが望ましい。
上記透明電極から透明電極の周期は約0.4μmであった。この周期は、0.1μm以上の範囲が隣接層への熱拡散による記録状態の変化防止の面で必要であった。15μm以下の範囲がレンズの基板への衝突障害、収差などの光学的な問題が起きないのに必要であった。より好ましい範囲は0.2μm以上、2μm以下であった。
シート抵抗が大きいことがあまり問題とならない小型の記録媒体では、透明電極もポリアセチレン、ポリチオフェンなどの導電性ポリマーで形成することが可能である。その場合、無機物透明電極に比べてエレクトロクロミック層との屈折率差が小さく、界面で反射した光の干渉などの悪影響を避けることができる点で好ましい。下地層として疎水性表面処理剤、シランカップリング剤、又は平均0.5〜3nmの膜厚の薄い銅族元素(Cu,
Ag,Au)層を設けても良い。
各層への電圧印加は層ごとに別の電源から行うこともできるが、次のようにすると電源数を少なく、かつ、低消費電力化できた。すなわち、電圧印加は1台の電源から各層に順次間歇的パルス状マイナス電圧(固体電解質側がマイナス)を印加することによって行う。記録再生する層を選択する場合は、この順序どおり、あるいはこの順序を乱してでも記録再生に必要な時間幅だけプラス電圧を印加し、記録又は再生が終ったら次の層から、あるいは次にマイナス電圧をかけるはずだった層から順次間歇的マイナス電圧印加に戻す。電圧を除去した時の自然着色の速度は遅いので、間歇的マイナス電圧印加でも平均して高い透過率を保つことができる。プラス電圧は5ボルト、マイナス電圧はマイナス3ボルトとした。図9は、本発明の多層ディスクの単一電源から各層への順次間歇電圧印加の他の方法を示す図である。記録層に、電圧を除去した時、5秒以下で急速に消色する材料あるいは層構成を用いた場合は、上記の間歇的マイナス電圧印加は必要無い。フォーカスやトラッキングできる層が無くならないように、必ず1層は着色しているようにするか、全層透明時に、基板表面の反射層にフォーカス位置を戻すように制御する。
エレクトロクロミック材料は、電圧によって吸収又は反射スペクトルが変化するものであれば、現在エレクトロクロミック材料と呼ばれていないものでも良い。例えば、結晶で起きるフランツケルディッシュ効果のような効果を用いても良い。単結晶でも小型のディスクや記録媒体は作ることができる。ただし、吸収の少ない方の状態では光吸収が10%以下、より好ましくは5%以下のものを使うのが好ましい。着色状態と消色状態の反射率差が5%以上で80%以下であるのが良好なフォーカス・トラッキングサーボと再生信号の十分なS/N比を得るために好ましい。さらに好ましいのは、8%以上30%以下の範囲であった。透明な多くの層の透過率が高いように、着色状態の方が反射率が高いのが好ましい。
エレクトロクロミック材料の代わりにエレクトロルミネッセント(EL)材料とフォトクロミック材料の混合材料を用いても良い。
フォトクロミック材料としてはフルギド、ジアリールエテンなどが使用できる。フルギドの場合、青色光照射によって波長500nm付近に吸収が生じるので、波長514.5nmのKrレーザで記録可能である。
上記積層膜の上に紫外線硬化樹脂によるオーバーコート層を形成し、同様なもう1枚のディスクと張り合わせた。
消色させる場合は逆電圧を印加した。
記録はレーザ光、及び/又は電流の作用によって、膜のエレクトロクロミック作用を失わせ、電圧を印加しても発色しない、あるいは記録前と異なる吸収スペクトルを持つようにして行う。逆に発色が強まることにより記録されても良いが、電圧を0にするか逆電圧をかけた時は記録していない部分と光学的に同じ状態になって、記録が見えないようにする必要が有る。
エレクトロクロミック層又は固体電解質層が結晶−非晶質間、あるいは結晶−結晶間で相変化するようにして記録すると、書き換え可能性が期待できる。相によって着色又は消色速度が1桁以上違うようにできれば、電圧印加後どちらかの相にある領域だけ着色した状態で読み出すようにすれば、読み出し可能である。WOなどの無機材料の場合、非晶質状態の方がプラスイオンが動きやすく、速度が速い。
別の方法として、熱又は電流による物理的変化(相変化など)、又は化学変化(例えば
Liイオンとの反応)によって屈折率、消衰係数のうちの少なくとも一方が変化する有機、あるいは無機材料の層を別の層として積層し、この層の変化によって記録を行ってもよい。例えば、電流や予熱レ−ザービームによる昇温で吸収端が変化する導電性有機材料層を用いる。
また、さらに別の方法として、熱又は電流と磁場によって磁化の方向が変化する磁性材料をエレクトロクロミック材料又は固体電解質材料に隣接して記録層として形成してもよい。例えば、ガーネット等の透明光磁気材料が考えられ、温度が上がると磁化が反転する設計をする。
透明電極から透明電極までの光学的膜厚が読み出し光の波長に対してほぼ1波長又はその整数倍分になるようにすると、どの記録層も光学的に等価となるので好ましい。
(透明電極の他の例)
透明電極の材料としては、(In(SnO1−xの組成で、xが5%から99%の範囲の材料、抵抗値の面でより好ましくは、xが90%から98%の範囲の材料、これにモル%で50%以下のSiOを添加したもの、SnOにモル%で2から5%のSbなどの他の酸化物を添加したもの、などの既知の透明電極材料が使用可能である。
さらに、記録層間の透明電極を2層に分けてその間の断熱層を設け、断熱層も有機材料とすれば上記と同じ理由で光学的に好ましい。断熱層は導電性が有っても良いが、無い方がより好ましく、アクリル系オリゴマー、ポリマー、金属フタロシアニンの真空蒸着膜など、多くの材料が使用可能である。ZnS−SiOなどの無機材料を用いてもよい。
(基板の他の例)
本実施例では、表面に直接、トラッキング用の溝を有するポリカーボネート基板77を用いているが、トラッキング用の溝を有する基板とは、基板表面全面又は一部に、記録・再生波長をλとしたとき、λ/15n(nは基板材料の屈折率)以上の深さの溝を持つ基板である。溝は一周で連続的に形成されていても、途中分割されていてもよい。溝深さが約λ/12nの時、トラッキングとノイズのバランスの面で好ましいことがわかった。また、その溝幅は場所により異なっていてもよい。溝部とランド部の両方に記録・再生が行えるフォーマットを有する基板でも、どちらか一方に記録を行うフォーマットの基板でも、間歇的にトラッキング用サーボマークを設けたサンプルサーボフォーマットの基板でもよい。グルーブのみに記録するタイプでは、トラックピッチが波長/絞込みレンズのNAの0.7倍付近、グルーブ幅がその1/2付近のものが好ましい。アドレスはグルーブのウォブリングで表現されていても、グルーブ部またはランド部のピット列で表現されていてもよいが、ウォブリングで表現されているのが、積層による変形の影響を受けにくく、好ましい。
厚さ20〜40μmのスペーサー層を多層記録層の数層毎(例えば10層おき)に挟んでもよい。スペーサー層にはニッケルスタンパーからトラッキング用のグルーブ、ピットのうちの少なくとも一方を含む凹凸パターンを転写してトラッキング信号やアドレス、クロック、同期信号などの検出に用いるのが良い。この場合、スペーサー層を2層以上用いる場合は、光学系に球面収差を補償する素子を設けた方が良い。
記録・再生光を張り合わせ基板側から入射させる場合、張り合わせ基板を0.1mm程度に薄くして、絞込みレンズのNAを0.85と大きくしても良い。そうすればトラックピッチは約3/4程度にできる。
同心円形の場合、各透明電極は基板から遠いほど少しずつ内径が大きくなっていて、例えば一番基板に近い透明電極は一番内側にリング状に露出しており、この部分から電圧を印加できるようになっている。その上の透明電極は、それより少し大きい直径でリング状に露出している。各層の透明電極は、形成時に内周マスクを少しずつ大きくして行って、各電極が同心円状に内周部に露出するようにした。この露出部分にはその半径方向の幅より少し狭い幅(例えば90%)でリング状の金属部分を設けて導電率や機械的強度を増強すれば、製造コストはやや上昇するが、性能面で特に好ましい。
図13に示したように、張り合わせ基板21の内周部はプリント基板のように金属ピン(細い金属円筒、又は金属線)27が貫通していて、両面に透明電極22の数に対応した同心円の金属層23が形成されており、金属ピン27が表面と裏面の対応する電極27,25を接続している。記録層を有する基板に貼り付ける側は、通常のプリント基板では表面の金属配線にハンダメッキされているが、この場合は同心円状金属配線上に導電性粘着テープ層、導電性紫外線硬化樹脂層、又はInなどの低融点金属、又は合金の層を形成しておく、導電性粘着テープはベースフィルム、粘着剤の少なくとも一方に金属粉、炭素粉、金属メッシュなどの導電性材料を混合したものである。In、あるいは低融点合金は撮像管のフェースプレートの圧着に使われていたように低融点で柔らかいので、記録層を有する基板に押し付けると変形して透明電極に接着する。100度付近まで昇温して圧着すればさらに柔らかくなり、圧着が容易になる。導電性接着剤を用いてもよい。同心円状透明電極から導電性粘着剤または接着剤、張り合わせ(保護)基板の接着側同心円電極、張り合わせ基板貫通電極を経て張り合わせ基板の表面に設けた同心円状金属電極に接続し、それにドライブ装置側の電極を接触させる方法は、位置合わせが必要無い点で好ましい。 しかし放射状透明電極の場合でも、放射状電極の位置と、張り合わせ基板の基板貫通電極との位置を合わせて張り合わせ、張り合わせ基板の表面側(張り合わせ後外界に面する側)の電極は同心円状とすれば、ディスクをドライブ装置にセットする時は位置合わせが必要無くなる。このような基板の構造を多層膜を形成する側の基板に設けてもよいが、その場合は上の層ほど透明電極をディスク内周部まで製膜する。導電性接着あるいは粘着剤は省略してもよい。
このようなディスク構造にすると、確実に、均一に、再現性、信頼性高く電気的接続を行うことができる。ディスク内周に引き出した透明電極の同心円状部分や張り合わせ基板の表面の同心円状電極のそれぞれは必ずしも円(円環)状でなくてもよく、円周方向にも複数に分割してもよい。この場合、ディスクを回転軸にどのように取り付けても所定の電圧がかかるように、記録層を挟む対の透明電極に対応する2つの電極は図12に示したように内外方向に位置が揃うように配置した。
このディスクは、DVD−RAMなどの従来の光ディスクドライブ装置と同様なドライブ装置に装着される。ただし、ディスクへの電圧伝達機構だけが追加される。本実施例では電圧伝達機構はボールベアリング又はスリップリングとした。スリップリングとは、回転軸側のリング状金属と静止側のブラシと呼ばれる短冊状金属の組合せである。ボールベアリングには導電性のグリースを用いた。電圧伝達機構はディスク回転モータのディスク側、あるいはディスク回転モータの外側(周囲)、あるいはディスク回転モータのディス
クとは反対側に設ける。
記録媒体部分の要点をまとめると、記録媒体は、光照射によって情報を記録する情報の記録媒体であって、基板上に、少なくとも電圧印加によって光吸収又は反射スペクトルが変化する材料の層(単一又は複数の層)を透明又は半透明電極で挟んだ単位構造を2層以上積層し、ディスク内周部にこれら透明電極、あるいは透明電極から延長した電極の端部が同心円状又は放射状に露出するように形成されており、さらにその上に別の基板が貼られていることが特徴である。少なくとも一方の上記基板の一部に、基板を貫通又は基板の中心穴付近を迂回して反対側の表面に達する複数の金属ピンを設け、当該基板の表面側に同心円状の電極を設けるのが良い。上記同心円状の電極のそれぞれが連続ではなく、複数の電極がそれぞれの円の上に配列されたものとしても良い。これら複数の電極を同電位とせず、それぞれ記録領域の別の透明電極に対応させてもよい。上記電極が張り合わせる相手側基板の電極やドライブ装置側の電極と接触する部分には金属又は炭素の微粒子を含む材料を塗布又は貼り付けて補強するのがさらに良い。
ディスク受け部分の構造の例は、図5に示したように、ディスク受け80に設けた同心円81上に位置するバネを内蔵する1つまたは複数のピン電極、ディスク受けの各ピン電極から回転軸先端83に向かう導線を有するものとする。1つの同心円上のピン電極は図では1本とした。
図12のような同心円をさらに円弧に分割した電極配置の場合は、ディスク載置部又はディスク押さえ部のどの電極がディスク上のどの層の電極に対応するように取り付けられたかを透明電極の引き出し長さによる抵抗値や静電容量やフォーカス誤差信号の違いによりドライブ装置側で検出するのが望ましい。
ドライブ装置の静止部分から回転部分への電気的接続は上記のような接触する方法以外に、発光ダイオード又はレーザと受光素子との組合せ、コイルの組合せ、あるいは磁石とコイルの組み合わせでも良い。磁石とコイルの組合わせの場合は距離を変えることにより電極を選択する。ただし、電流が十分に供給できない場合は、複数組を配置する必要があり、ドライブ装置内で一定の体積を占める。コイルの場合、交流電圧が生じるので整流するのがよい。
本発明では、基板の凹部で溝となっている部分をグルーブと呼ぶ。グルーブとグルーブの間をランドと呼ぶ。光が基板を通して膜に入射する場合は、入射側から見てグルーブは凸に見える。このため、光を基板と反対の側から入射させる方式でも、同様に入射側から見て凸となっている側がグルーブと呼ばれる場合も有る。この部分は、基板だけに注目したときは凸部であってグルーブとグルーブの間のランド部分であるから、この呼び方は本発明の定義とは逆ということになる。ランドとグルーブの一方だけに記録する、いわゆるイングルーブ記録の場合、光入射が基板側からの場合も基板と反対側からの場合も光入射側から見て凸部に記録した方が記録特性が良い場合が多いが、大きな差ではないので光入射側から見て凹部に記録しても良い。
記録・再生レーザ光は、張り合わせ基板側から入射させるのを標準とした。基板表面に金属反射層を設けず、最上部に必要が有れば金属反射層を設けて、基板側からレーザ光を入射させても良い。
本実施例はすべてディスクについて述べたが、回転しない静止記録媒体であっても良い。その場合、レーザ光の方の位置を変える。同心円階段状の電極露出は、直線的階段状の露出となる。
(記録・消去・再生)
上記記録媒体に対して、情報の記録再生を行った。以下に、本情報記録再生の動作を説明する。まず、記録再生を行う際のモータ制御方法としては、記録再生を行うゾーン毎にディスクの回転数を変化させるZCLV(Zoned Constant Linear Ve1ocity)方式を採用したものについて述べる。記録は、元のディジタル信号を8−16変調し、さらに1つの記録マークを長いマークほど多くのパルスより成るマルチパルス記録波形にして記録した。
本発明の記録媒体を用いることにより、どの層にもオートフォーカスとトラッキングの両方が可能になるため、1つのレーザを用いた光ヘッドで多層の記録と再生が可能である。
このようにして目標の層だけ十分に着色した状態で記録・再生を行う。記録は高パワーレーザ照射した場所だけ熱によって着色機能が失われる、または着色が遅くなることによって行われた。
次に、着色のメカニズムを述べる。各記録層は基本的に2層又は3層から構成され、図8に示すように、主要な役割を果たしているのは固体電解質層とエレクトロクロミック材料層である。固体電解質層は、最初は電解液であったのを固体化したものであり、その動作は液体電解質で考えると考えやすい。
ポリチオフェン系材料のエレクトロクロミック層内ではポリエチレンジオキシチオフェン分子は相対的に高分子量のポリスチレンスルフォン酸(PSS)分子のところどころについた状態であり、電解液内のLiがイオン化してプラスに帯電するのに対応して、ポリスチレンスルフォン酸分子はポリエチレンジオキシチオフェン分子から電子を奪ってマイナスに帯電する。ポリエチレンジオキシチオフェン中には正電荷が生じ、ポーラロン、バイポーラロンが形成される。ポーラロン、バイポーラロンが形成された分子は可視域の光吸収がほとんど無くなる。電解液側の電極をプラス、エレクトロクロミック層側の電極をマイナスにして電圧を印加すると、電解液中のLiイオンはエレクトロクロミック層側に動いて層の表面に集まる。一部のLiイオンはエレクトロクロミック層内に入り込む。エレクトロクロミック層側の電極からは電子が注入されるので、エレクトロクロミック材料層内の電子濃度は高まり、電子がポリチオフェンジオキシチオフェン分子の正電荷と結合する。これによって着色が起こる。PSSに捕えられていた電子は、一部がLiイオンに引かれて電解液方向に出て行く。
この着色過程において光が照射されてフォトキャリアが生成され、かつエレクトロクロミック層の温度が上がると、ホッピング電導の導電率が上昇する。そうすると電子注入は大幅に高速化し、フォトキャリアとして電子も生成するので、着色が大幅に促進される。この現象を利用したのが先行ビームによる予備照射である。ホッピング伝導、又は半導体的伝導であることや、光伝導性が有ることが知られている材料であれば、本実施例で述べた材料以外でも同様な効果が得られる。無機エレクトロクロミック材料の多くは半導体的で、光導電性も有る。
本実施例の記録媒体では、記録マークとそれ以外の部分とで約2:1の光反射率のコントラスト比が得られた。コントラスト比がこれ以下になると、再生信号のノイズによる揺らぎが上限値の9%を越えてしまい、実用的な再生信号品質の範囲を外れる。
エレクトロクロミック材料層あるいは別途設けたカルコゲナイド材料層の結晶化によって記録する場合は、消去は、印加電圧を上げ、レーザ光をパルス照射することによって非晶質化させて行う。
記録された情報の再生も上記光ヘッドを用いて行う。再生すべき層を記録時と同様に予備加熱により着色させ、レーザビームを記録されたマーク上に照射し、マークとマーク以外の部分からの反射光を検出することにより、再生信号を得る。
再生信号の振幅をプリアンプ回路により増大させ、8−16復調器では16ビット毎に8ビットの情報に変換する。以上の動作により、記録されたマークの再生が完了する。以上の条件でマークエッジ記録を行った場合、最短マークである3Tマークのマーク長は約0.4μmとなる。記録信号には、情報信号の始端部、終端部に4Tマークと4Tスペースの繰り返しのダミーデータが含まれている。始端部にはVFOも含まれている。信号変調方式として8−16変調以外を用いることももちろん可能である。
(構成、製法)
実施例2では、マイナスの基板バイアス電圧をかけて、無機物膜のスパッタリングを行う例を示す。
図4に示したように、上記ポリカーボネート基板71上に、Ag94PdCu半透明反射層72を膜厚20nm、ダミー層73をSiO2,GeO2,SiO2の3層合計で400nm,ITO透明電極74を100nm、エレクトロクロミック材料層75を100nm、固体電解質層76を100nm、ITO透明電極74を100nm、あとは同様に繰り返してエレクトロクロミック材料層、ITO透明電極、エレクトロクロミック材料層、固体電解質層、ITO透明電極、エレクトロクロミック材料層、固体電解質層、ITO透明電極の順にITO透明電極で両側を挟まれた記録層を5層積層した。図4では途中までを示している。記録層を挟む電極間に電圧を印加すると記録および読み出し用レーザ光の吸収率が増大する。任意の層だけ光吸収し、他の層はほとんど光吸収が無いようにできる。これにより、他の層の干渉が無いので1層当たりの膜厚を従来の1/100程度に薄くでき、複数の層を絞込みレンズの焦点深度内に配置することもできて、従来の複数層ディスクより多層・大容量化できる。もちろん、1層あるいは2層以外は焦点深度内に入らないように、焦点位置を動かして記録・再生してもよい。エレクトロクロミック材料層の反射率が高い場合は金属反射層は省略しても良い。
ディスクの構造は図2と同じで、さらにこの上に内周部に内径(直径)15mm、外径41mmの、両面に同心円電極がプリントされ、表から裏へ電極が貫通して表と裏の同じ直径の同心円電極同士が電気的に接続されたガラス−エポキシ基板、外周部に内径約41mm外径120mm厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を貼り付けた。光はこの張り合せ基板側から入射させた。この内周部の基板と外周部の基板は一体化して1枚のポリカーボネート基板としてもよい。
スパッタリング時の外部から与えるDCバイアスは、マイナス100ボルトとした。これにより、AC電圧成分が基板側マイナスとなった時、基板がアルゴンイオンによりスパッタエッチングされる。積層数が少ない場合は、ダミー層だけバイアススパッタを行い、エレクトロクロミック材料層や透明電極などは通常のスパッタリングとしてもよい。
各記録層はエレクトロクロミック材料層と固体電解質層の上にもう一層加えた3層構成でも良く、3層構成の場合、例えば酸化発色型第1発色層であるIrO又はNiO(xは1未満の正の数)の層150nm,固体電解質層であるTaの層300nm,還元発色型第2発色層であるWOの層200nmの3層とする。また、2層の場合、例えば発色層であるWO3層100nmと固体電解質層であるTa2O5あるいはそれに近い組成の層100nmの2層、あるいはまたCrより成るOHイオン貯蔵層(固体電解質層)200nm、IrOより成る発色材料層200nmの2層である。なお、光入射側から最も遠い透明電極の代わりにW−Tiなどの金属電極を用いてもよい。電解質層とは、水素、リチウム、ナトリウム、マグネシウムなどのプラスイオンを内部に安定に保持し、移動させられる層のことである。Ta2O5の固体電解質層は電子ビーム蒸着で製膜すると動作電圧などの面で反応性スパッタ膜より良好な特性が得られた。WO3層とIrOx層はAr−O2ガスによる反応性スパッタリングによって形成した。IrOxの場合はIr金属ターゲットを用いた。Ir膜を形成後陽極酸化してIrOx膜とする方法も、良好な着色性が得られる点で好ましい。
上記のような無機材料の積層の場合、基板に斜め方向から入射する材料原子または分子によってグルーブの段差部にも膜が付くので、通常の方法で多数層積層するとグルーブの幅が順次狭くなり、グルーブ間のランド部の幅が順次広くなって行き、トラッキングやアドレス信号、クロック信号などの読み取りが難しくなる。そこで本発明では、フォトニック結晶形成に利用されている方法を応用する。これは1998年 第59回応用物理学会予稿集第3分冊の1025ページ15p−T−11に記載されている方法で、通常のスパッタリングより基板上に形成された膜がアルゴンイオンによってスパッタされやすいようにDCバイアス電圧をかけてスパッタリングを行う。部分的にスパッタエッチングしながら膜を堆積させることになり、膜厚分布は通常とは異なったものとなる。
上記予稿集のフォトニック結晶の場合は2次元の周期的凹凸であり、本実施例は1次元の溝状の周期的凹凸であるが、DCバイアス条件に多少の違いが有るにしても、ほぼ同様な断面形状で多層膜の積層が可能であった。このような条件でスパッタすると、グルーブは積層が進むにしたがい。図3に示したように屋根型に変形するが凹部と凸部の比率は変化しないのでトラッキングやアドレスなどの読み出しは問題なく行える。ここで、バイアス電圧は、−50ボルト以上−500ボルト以下が望ましい。
図からわかるように最初の300nm程度の積層までは凹凸の形状が変化し、凹凸の高さ(深さ)も変化するので、基板表面の溝深さは最適の凹凸の高さより深くしておき、積層の最初から200nmから500nmまでの範囲は透明な層より成るダミー層とし、形状が安定化してからを実際の多層記録層に用いるのが望ましい。ダミー層は透明電極、エレクトロクロミック材料層、固体電解質層という構成ではなく、全く異なる透明材料の層、例えばSiO2層、あるいはSiO2とGeO2との積層膜を形成しても良い。
基板表面の溝深さは最適溝深さの1.1倍から2倍の範囲に有れば、凹凸高さが安定化した部分の層におけるトラッキングが安定に行えた。より好ましい範囲は1.3倍から1.8倍の範囲である。
WOに代わる無機物のエレクトロクロミック材料としては鉄のシアン化物であるプルシャンブルー(KFeII FeIII (CN)、MoO,Nb,V,TiO,NiOOH,CoOOH,Rh,IrO(xは1未満の正の数)、ZrNCl,InN,SnN(xは1未満の正の数)、MnO(xは2未満の正の数),WO−MoO複合(混合)薄膜なども使用可能である。これらの材料は保護層のWOの代わりに用いることもできる。WO−MoO は、波長400nm付近での光吸収を大きくできるという長所が有る。
エレクトロクロミック材料層に無機材料を用いた場合、固体電解質材料には既に述べたような有機材料と、以下に述べる無機材料の両方を用いることができるが、無機材料とすると、すべての層の製膜をスパッタリング、真空蒸着、電子ビーム蒸着などの乾式(真空)プロセスで統一できるというメリットが有る。スパッタリングが製膜の再現性が高く、特に好ましい。例えば、透明又は半透明電極の間に下記の積層膜のうちのいずれかを挟んだ構造とする。WO−Ta−IrO,WO−Cr、WO−MgF、WO−RbAg、WO−SiO,WO−ZrO,WO−LiClO,WO−LiF,WO−NaZrSiPO12(NASICON)、WO−NaYSi12などである。Taを用いたものは産業図書株式会社、馬場宣良他編「エレクトロクロミックディスプレイ」平成3年の168-186頁に記載のものである。これらのWOの1部又は全部をMOなど、上記の他の無機エレクトロクロミック材料で置き換えても良い。
記録はレーザ光、及び/又は電流の作用によって、膜のエレクトロクロミック作用を失わせ、電圧を印加しても発色しない、あるいは記録前と異なる吸収スペクトルを持つようにして行う。逆に発色が強まることにより記録されても良いが、電圧を0にするか逆電圧をかけた時は記録していない部分と光学的に同じ状態になって、記録が見えないようにする必要が有る。
エレクトロクロミック層又は固体電解質層が結晶−非晶質間、あるいは結晶−結晶間で相変化するようにして記録すると、書き換え可能性が期待できる。相によって着色又は消色速度が1桁以上違うようにできれば、電圧印加後どちらかの相にある領域だけ着色した状態で読み出すようにすれば、読み出し可能である。WOなどの無機材料の場合、非晶質状態の方がプラスイオンが動きやすく、速度が速い。
別の方法として、熱又は電流による物理的変化(相変化など)、又は化学変化(例えば
Liイオンとの反応)によって屈折率、消衰係数のうちの少なくとも一方が変化する有機、あるいは無機材料の層を別の層として積層し、この層の変化によって記録を行ってもよい。例えば、電流や予熱レ−ザービームによる昇温で吸収端が変化する導電性有機材料層を用いる。
また、さらに別の方法として、熱又は電流と磁場によって磁化の方向が変化する磁性材料をエレクトロクロミック材料又は固体電解質材料に隣接して記録層として形成してもよい。例えば、ガーネット等の透明光磁気材料が考えられ、温度が上がると磁化が反転する設計をする。
積層膜以外のディスクの断面構造、装置の構成、電圧印加方法、記録方法・再生方法などは実施例1と同様にした。
これら、すべて無機物から成る積層膜を用いるのは、電圧伝達経路が本発明の構成以外の、電圧による層選択方式多層光ディスク装置に対しても有効である。
実施例3は、エレクトロクロミック以外を用いた例、即ち、透過率が高い酸化物や硫化物等の記録層を複数層積層する実施例である。
(構成、製法)
図11に示したように、上記ポリカーボネート基板191上に、Ag94PdCu半透明反射層192を膜厚20nm、ダミー層193をSiO2,GeO2,SiO2の3層合計で400nm,(ZnS)80(SiO2)20層を100nmとTe−O−Pd層を100nmのダミー層194を形成し、この上に(ZnS)80(SiO2)20保護層194を100nm、Te−O−Pd記録層195を10nm、(ZnS)80(SiO2)20保護層194を100nm、あとは記録層と保護層を同様に繰り返して記録層を5層積層した。次に内径約15mm外径120mm厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を貼り付けた。光はこの張り合せ基板側から入射させた。ダミー層194をダミーとせず、そのTe−O−Pd層にも記録しても良い。
上記のような無機材料の積層の場合、通常の高周波またはDCスパッタリングでは基板に斜め方向から入射する材料原子または分子によってグルーブの段差部にも膜が付くので、多数層積層するとグルーブの幅が順次狭くなり、グルーブ間のランド部の幅が順次広くなって行き、トラッキングやアドレス信号、クロック信号などの読み取りが難しくなる。そこで本発明では、フォトニック結晶形成に利用されている方法を応用する。これは1998年 第59回応用物理学会予稿集第3分冊の1025ページ15p−T−11に記載されている方法で、通常のスパッタリングより基板上に形成された膜がアルゴンイオンによってスパッタされやすいようにDCバイアス電圧をかけてスパッタリングを行う。上記予稿集のフォトニック結晶の場合は2次元の周期的凹凸であり、本実施例は1次元の溝状の周期的凹凸であるが、DCバイアス条件に多少の違いが有るにしても、ほぼ同様な断面形状で多層膜の積層が可能であった。このような条件でスパッタすると、グルーブは積層が進むにしたがい。図3に示したように屋根型に変形するが凹部と凸部の比率は変化しないのでトラッキングやアドレスなどの読み出しは問題なく行える。
図からわかるように最初の300nm程度の積層までは凹凸の形状が変化し、凹凸の高さ(深さ)も変化するので、基板表面の溝深さは最適の凹凸の高さより深くしておき、積層の最初から200nmから500nmまでの範囲は透明な層より成るダミー層とし、形状が安定化してからを実際の多層記録層に用いるのが望ましい。ダミー層は全く異なる透明材料の層、例えばSiO2層、あるいはSiO2とGeO2との積層膜を形成しても良い。
基板表面の溝深さは最適溝深さの1.1倍から2倍の範囲に有れば、凹凸高さが安定化した部分の層におけるトラッキングが安定に行えた。
積層膜以外のディスクの構造、1つの層への記録・再生方法は、DVD+RWなどの通常の光ディスクと同様である。記録はTe−O−Pd膜がレーザ照射部分で結晶化し、部分的に凝集することによって行った。
基板に近く基板表面の凹凸に近い部分(すなわち、グルーブの断面形状が底辺の無い台形と逆台形とを組合わせた形状に近い部分)と、基板から少し離れて層数が増しても形状が安定して変化が少ない領域とではディスクからの反射光の分布も異なるので、すべての記録層に記録しても良いが、基板から少し離れて層数が増しても形状が安定して変化が少ない領域の記録層だけに記録・再生するのが、トラッキングや記録・再生特性のバラツキが少なく、好ましい。
本発明の1実施例の情報記録媒体の断面図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置のディスク取り付け部分付近の回転軸中心線を通る面での断面構造を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録媒体の一部の記録トラックに直角方向の断面構造を示す図。 本発明の1実施例の真空製膜する多層ディスク記録媒体の一部の記録トラックに直角方向の断面構造を示す図。 本発明の多層ディスク記録再生装置のディスク受け部分のバネ入りピン電極の配置を示す図。 実施例で比較した情報記録媒体の断面図。 本発明の1実施例の放射状内周引き出し電極を持つ多層ディスク記録媒体と記録再生装置の構成を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置の着色・消色原理を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置の着色・消色スイッチング回路から書く層にかかるパルス電圧を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置の螺旋状グルーブと、グルーブウォブリングおよび記録状況を示す詳細図。 本発明の1実施例の高透過率Te低酸化物相変化記録層を用いた多層ディスク記録媒体の断面構造を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録媒体の分割された内周同心円電極を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置のディスク取り付け部分付近の図。
符号の説明
1: 基板
2: 反射層
3: ダミー層
4: 透明電極
5: エレクトロクロミック材料層
6: 固体電解質層
7: 透明電極。

Claims (12)

  1. 傾斜のある凹凸形状が繰り返し形成された基板と、
    複数の記録層と、
    前記基板から離れた記録層は、ほぼ円弧状の繰り返し、または底辺のないほぼ三角形状の繰り返しの形状であることを特徴とする情報記録媒体。
  2. 前記記録層の1部に記録マークが形成されることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
  3. 前記基板から離れた記録層の凹凸高さは、前記基板の凹凸高さの0.5倍から0.9倍の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
  4. 凹凸形状を有する基板に、基板電位をマイナス方向に動かすバイアス電圧を印加しながらダミー層をスパッタリングにより形成するステップと、
    前記ダミー層上に記録層を形成するステップとを有することを特徴とする記録媒体の製造方法。
  5. 前記記録層を形成するステップは、複数あることを特徴とする請求項4記載の記録媒体の製造方法。
  6. 凹凸形状を有する基板に、第1の膜を塗布するステップと、
    前記塗布した第1の膜に、エネルギーを照射するステップと、
    前記第1の膜上に、記録層を形成するステップとを有することを特徴とする記録媒体の製造方法。
  7. 前記記録層を形成するステップは、複数あることを特徴とする請求項6記載の記録媒体の製造方法。
  8. 前記エネルギーを与えるステップは、前記基板の凹領域に前記第1の膜を凹形状に形成するステップであることを特徴とする請求項6記載の記録媒体の製造方法。
  9. 前記エネルギーを与えるステップは、前記基板の凹領域に対応する前記第1の膜に、光ビームを照射するステップであることを特徴とする請求項6記載の記録媒体の製造方法。
  10. 前記記録層を形成するステップの後にも前記基板の凹領域に対応する前記第1の膜に、エネルギーを与えるステップがあることを特徴とする請求項6記載の記録媒体の製造方法。
  11. 前記第1の膜は、ダミー層であることを特徴とする請求項6記載の記録媒体の製造方法。
  12. 前記第1の膜は有機膜であることを特徴とする請求項6記載の記録媒体の製造方法。
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