JP2005322627A - フェライトコア、偏向ヨーク、及びカラー受像管装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 偏向感度が良好で、偏向電力を低減でき、生産性良好で、低コストのカラー受像管装置を提供する。
【解決手段】 偏向ヨーク4を構成するフェライトコア40は、内周面に畝状の複数の凸部41を備える。中心軸と直交する断面において、フェライトコア40の外周面の断面形状は略円形、凸部を除いたフェライトコアの内周面の断面形状は、フェライトコアの大径側端近傍で略円形、小径側端近傍と大径側端近傍との間の部分で略長方形である。
【選択図】 図2
【解決手段】 偏向ヨーク4を構成するフェライトコア40は、内周面に畝状の複数の凸部41を備える。中心軸と直交する断面において、フェライトコア40の外周面の断面形状は略円形、凸部を除いたフェライトコアの内周面の断面形状は、フェライトコアの大径側端近傍で略円形、小径側端近傍と大径側端近傍との間の部分で略長方形である。
【選択図】 図2
Description
本発明は、テレビジョンまたはコンピュータディスプレイ等に用いられるカラー受像管装置に関する。また、本発明は、このカラー受像管装置に使用される偏向ヨーク及びフェライトコアに関する。
偏向電力の低減及び偏向ヨークの発熱抑制のために、偏向ヨークを構成するフェライトコアの内面に、受像管の管軸方向に向かって突出する複数の凸部を設けた、いわゆるスロットコアが特許文献1に開示されている。このスロットコアを有する偏向ヨークの、電子銃寄りの位置での管軸に垂直な面での断面図を図17に示す。図17に示すように、偏向ヨークが搭載される受像管の管軸をZ軸、Z軸と直交する水平方向軸をX軸、Z軸及びX軸と直交する垂直方向軸をY軸とする。図17において、90はフェライトコアであり、91はその内面に設けられた複数の凸部である。周方向に隣り合う凸部91の間の溝内に巻線を嵌め込ませて水平偏向コイル97と垂直偏向コイル98とが巻装されている。99は水平偏向コイル97と垂直偏向コイル98とを絶縁するための絶縁枠である。各凸部91は管軸を含む面に沿って、フェライトコア90の電子銃側端からスクリーン側端までの管軸方向の全領域にわたって延設されている。このような凸部91を設けることにより、凸部91を設けない場合に比べて、フェライトコア90を受像管に近づけることができるため、偏向効率を改善でき、偏向電力の低減に有利である。また、コイル97,98に磁束が鎖交しにくくなるので、渦電流損失が低減し、偏向ヨークの発熱も低減できる。
偏向ヨークは、カラー受像管のファンネルの外周面上に搭載される。偏向ヨークが搭載される部分のファンネルの外周面の管軸に垂直な面での断面形状は、従来は一般に円形であった。しかしながら、蛍光体スクリーンが形成された矩形の表示画面に一致するように、電子銃が内蔵されるネック部を除いて、径変化部分の断面形状をネック部側から蛍光体スクリーン側に向かって、円形から略長方形に徐々に変化させたファンネルが使用されるようになっている。これに合致するように、図18に示されているように、フェライトコア90、水平偏向コイル97、垂直偏向コイル98、及び絶縁枠99の断面形状を略長方形とした偏向ヨークが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この偏向ヨークでは、フェライトコア90の内周面に形成された凸部91の先端を結ぶ包絡線94もまた略長方形である。このように、略長方形のファンネルの外周面の断面形状に合わせて偏向ヨークを構成する各構成部材の断面形状を略長方形とすることにより、偏向ヨーク、特にフェライトコア90の凸部91を電子ビームに接近させることができるので、偏向感度が更に向上し、且つ偏向電力を更に低減できる。
更に、図19に示すような偏向ヨークが特許文献3で提案されている。この偏向ヨークは、フェライトコア90の凸部91を除いた内周面(凸部91間の溝の底面を順に結んで得られる滑らかな仮想の曲面)及び外周面のXY面での断面形状がともに円形である点で図18に示した偏向ヨークと異なる。凸部91の先端を結ぶ包絡線94は搭載されるファンネルの外周面の断面形状に合うような略長方形である。従って、図19の偏向ヨークは、図18の偏向ヨークと同様に、偏向感度を向上させ、且つ偏向電力を低減することができる。
更に、図19の偏向ヨークに使用されるフェライトコア90は、そのXY面での断面形状が凸部91の先端を結ぶ包絡線94を除いて円形であるので、図18の偏向ヨークに使用されるフェライトコアに比べて設計が容易で、寸法安定性が良好である。
また、フェライトコアの焼成工程において、図19のフェライトコアは図18のフェライトコアに比べて利点を有する。その理由は以下の通りである。フェライトコアを焼成する際、未硬化のフェライトコアは、その外周面と全周にわたって接触することができる開口を有するすり鉢状の固定治具にて保持される必要がある。図18のフェライトコアに対しては、その略長方形断面の外周面に合致するような専用の固定治具が必要である。これに対して、図19のフェライトコアに対しては、フェライトコアの外径にかかわらず、略円錐面を有する汎用の共通の固定治具を用いることができる。また、共通の固定治具を用いることができるので、固定治具の熱容量が同じになり、複数種類のフェライトコアを同時に焼成する場合にも焼成条件の設定が容易である。このように図19のフェライトコアであれば焼成工程を低コストで効率よく行うことができる。また、焼成炉内におさまる固定治具の個数も効率よい状態で一定に保つことができる。
実開昭61−56757号公報
国際公開第WO99/26270号パンフレット
特開2004−14349号公報
しかしながら、図19のフェライトコアは、管軸方向の位置にかかわらず、凸部91を除いた内周面及び外周面の断面形状が円形であるのに対して、凸部91の先端を結ぶ包絡線94が略長方形であるので、凸部91の先端をファンネルの外周面に接近させようとすると、凸部91の突出長が長くなり、凸部91が欠けることなどによりフェライトコアの製造工程での歩留まりが低下するという問題がある。
本発明は、従来の上記の問題を解決し、内周面に畝状の凸部を備えたフェライトコアを有し、偏向感度が良好で、偏向電力を低減でき、生産性良好で、低コストのカラー受像管装置を提供することを目的とする。また、本発明は、このようなカラー受像管装置を実現するための偏向ヨーク及びフェライトコアを提供することを目的とする。
本発明のフェライトコアは、略ろうと形状を有するフェライトコアであって、内周面に周方向に配列された複数の凸部を有する。前記凸部はいずれも前記フェライトコアの小径側端と大径側端とを結ぶ方向に沿った畝状である。前記フェライトコアの中心軸と直交する断面において、前記フェライトコアの外周面の断面形状は略円形である。前記中心軸と直交する断面において、前記複数の凸部を除いた前記フェライトコアの内周面の断面形状は、前記大径側端近傍で略円形であり、前記小径側端近傍と前記大径側端近傍との間の部分で略長方形である。ここで、「大(小)径側端近傍」とは、大(小)径側端に面取りなどが形成されている場合には、それらが形成された領域は除かれることを意図している。
本発明の偏向ヨークは、上記の本発明のフェライトコアと、前記中心軸と直交する第1軸にほぼ沿った垂直偏向磁界を発する垂直偏向コイルと、前記中心軸及び前記第1軸と直交する第2軸にほぼ沿った水平偏向磁界を発する水平偏向コイルと、前記垂直偏向コイルと前記水平偏向コイルとを絶縁する絶縁枠とを備える。
また、本発明のカラー受像管装置は、前面パネル及びファンネルからなる外囲器と、前記ファンネルのネック部内に収納され、電子ビームを放出する電子銃と、前記ファンネルの外周面上に搭載され、前記電子ビームを水平方向及び垂直方向に偏向させる偏向ヨークとを備える。そして、前記偏向ヨークが上記の本発明の偏向ヨークであることを特徴とする。
本発明のフェライトコアは、内周面に畝状の複数の凸部を備えたスロットコアでありながら、生産性が良く、低コストである。しかも、偏向効率を改善でき、偏向電力を低減できるというスロットコア本来の効果をも奏する。
また、本発明の偏向ヨーク及びカラー受像管装置は、低消費電力、低発熱、低コスト、軽量化を実現できる。
以下、本発明を実施の形態を示しながら説明する。
図1は本発明に係るカラー受像管装置の一例の概略構成を示す片断面図である。
図1に示すように、このカラー受像管装置のカラー受像管は、内面に蛍光体スクリーン1Aが形成された前面パネル1とファンネル2とが接合された外囲器を備える。ファンネル2の最細部であるネック部3内には、3本の電子ビーム7(3本の電子ビーム7は水平方向の一直線上に配列されるため、図では手前の1本の電子ビームのみが示されている。)を放出する電子銃6が収納されている。図示したように、このようなカラー受像管の管軸をZ軸、Z軸と直交する水平方向軸をX軸、X軸及びZ軸と直交する垂直方向軸をY軸とするXYZ直交座標系を設定する。
ファンネル2の前面パネル1との接合部とネック部3との間の外径が変化する部分の外周面上に偏向ヨーク4が搭載されている。偏向ヨーク4は、水平偏向コイル47と垂直偏向コイル48とフェライトコア40とを備えている。水平偏向コイル47はY軸にほぼ沿った水平偏向磁界を発し、垂直偏向コイル48はX軸にほぼ沿った垂直偏向磁界を発する。電子銃6から射出される3本の電子ビーム7はこの水平偏向磁界及び垂直偏向磁界により水平方向及び垂直方向に偏向されて、蛍光体スクリーン1A上を走査する。水平偏向コイル47と垂直偏向コイル48との間には、樹脂製の絶縁枠49が設けられている。絶縁枠49は、水平偏向コイル47と垂直偏向コイル48との間の電気的な絶縁状態を維持すると共に、両偏向コイル47、48を支持する役割を果たしている。
ネック部3の外周面上には、画面中央における電子ビームの静コンバーゼンス調整およびピュリティー調整を行うためのCPU(Convergence and Purity Unit)5が設けられれている。CPU5は電子ビームに対して磁界を印加する2極、4極、6極の各マグネットリングを備えており、電子銃6が内蔵されているファンネル2のネック部3の外周面上に取り付けられる。
次に、本発明のカラー受像管装置に搭載される偏向ヨーク4について更に詳細に説明する。
(実施の形態1)
図2は、本発明の実施の形態1に係る偏向ヨークに使用されるフェライトコア40の斜視図である。フェライトコア40は、磁性材料であるフェライトを全体として略ろうと形状を有するように焼き固めて製造される。ここで「略ろうと形状」とは、巨視的に見たとき外径及び内径が中心軸方向の一方端から他方端に向かって増加(又は減少)していることを意味する。外周面、内周面、及び中心軸方向の端面に微小な突起や窪みが存在していても良い。フェライトコア40は、その中心軸をカラー受像管のZ軸と一致させてカラー受像管に搭載される。従って、以下、フェライトコア40の中心軸をZ軸と呼ぶ。図2にフェライトコア40が搭載されるカラー受像管のXYZ軸を併せて示している。
図2は、本発明の実施の形態1に係る偏向ヨークに使用されるフェライトコア40の斜視図である。フェライトコア40は、磁性材料であるフェライトを全体として略ろうと形状を有するように焼き固めて製造される。ここで「略ろうと形状」とは、巨視的に見たとき外径及び内径が中心軸方向の一方端から他方端に向かって増加(又は減少)していることを意味する。外周面、内周面、及び中心軸方向の端面に微小な突起や窪みが存在していても良い。フェライトコア40は、その中心軸をカラー受像管のZ軸と一致させてカラー受像管に搭載される。従って、以下、フェライトコア40の中心軸をZ軸と呼ぶ。図2にフェライトコア40が搭載されるカラー受像管のXYZ軸を併せて示している。
図3は、本実施の形態1に係るフェライトコア40のZ軸及び垂直方向軸(Y軸)を含む面(YZ面)での片断面図である。フェライトコア40のYZ面での断面形状はZ軸に対して対称であるのでZ軸に対して一方の側の断面形状のみを示している。図示したように、フェライトコア40の小径側端の位置をZ=0とし、これより大径側をZ軸の正の方向とする。本実施の形態1のフェライトコア40のZ軸方向寸法(長さ)は48mmである。
図4は、フェライトコア40の小径側端近傍の位置(Z=3mm)でのZ軸に垂直な面(XY面)での断面図、図5は、フェライトコア40の略中央位置(Z=25mm)でのXY面での断面図、図6は、フェライトコア40の大径側端近傍の位置(Z=43mm)でのXY面での断面図である。
図2〜図6に示すように、フェライトコア40は、その内周面に周方向に配列された複数の凸部41を備える。各凸部41は、ほぼZ軸に向かって突出し、且つZ軸を含む面にほぼ沿った畝状に形成されている。Z軸方向において、凸部41は、小径側端(Z=0mm)からZ=36mmの位置の範囲に形成されており、大径側端近傍のZ=38〜48mmの範囲には形成されていない。
図4〜図6に示すようなXY断面において、複数の凸部41を除いたフェライトコア40の内周面43の断面形状は、図4に示すフェライトコアの小径側端近傍及び図6に示す大径側端近傍で略円形であり、これらの間の部分で図5に示すように略長方形である。なお、「複数の凸部41を除いたフェライトコア40の内周面43」とは、図4及び図5に示すように凸部41が形成されている断面においては、凸部41間の溝42の底面を順に結んで得られる滑らかな仮想の曲面を意味し、図6に示すように凸部41が形成されていない断面においてはフェライトコア40の内周面そのものを意味する。本実施の形態1において、XY断面における内周面43の断面形状は、図3において、小径側のZ=0〜5mmの範囲(領域I)では略円形(図4参照)であり、Z=5〜36mmの範囲(領域II)では略長方形(図5参照)であり、大径側のZ=38〜48mmの範囲(領域IV)では略円形(図6参照)である。Z=36〜38mmの範囲(領域III)では、内周面43の断面形状は略長方形から略円形へ徐々に遷移している。なお、内周面43の断面形状が「略長方形」であるとは、図5に示すように、断面形状が、X軸、Y軸、対角軸上にそれぞれ中心をもつ半径RL,RS,RDを有する3つの円弧を組み合わせた形状である場合を含む。
また、図4及び図5に示すように、XY断面において、複数の凸部41の先端を順に結んで得られる閉曲線(凸部41の先端の包絡線)44のX軸(第1軸)上における寸法をWH、Y軸(第2軸)上における寸法をWVとしたとき、WH>WVである。閉曲線44は、凸部41が存在しないXY断面(例えば図6)では定義されない。図4及び図5に示されているように、閉曲線44のX軸より上側の部分のみに着目すると、この部分は略M字形状を有している。すなわち、閉曲線44のY軸方向寸法は、Y軸からわずかに離れたX軸上の2地点にて最大となる。
更に、図4〜図6に示すようなXY断面において、フェライトコア40の外周面の断面形状はZ軸上の位置にかかわらず略円形である。
図7は、上記のフェライトコア40を備えた本実施の形態1に係る偏向ヨーク4のZ=25mmの位置でのXY断面図である。図示したように、垂直偏向コイル48は、その巻線をフェライトコア40の隣り合う凸部41間の溝内に嵌め込むようにしてトロイダル型に巻装されている。垂直偏向コイル48よりもZ軸寄りの位置に水平偏向コイル47がその巻線をサドル型に巻装されて配置されている。垂直偏向コイル48と水平偏向コイル47との間に配置された絶縁枠49は、両コイルを絶縁するとともに、両コイルを保持している。水平偏向コイル47はY軸(第2軸)にほぼ沿った水平偏向磁界を発し、垂直偏向コイル48はX軸(第1軸)にほぼ沿った垂直偏向磁界を発する。
このように構成された偏向ヨーク4は、図1に示したようにカラー受像管のファンネル2の外周面上に搭載されてカラー受像管装置が構成される。
次に、本実施の形態1の効果を説明する。
上述したように、図19に示した従来のフェライトコア90は、凸部91の先端をファンネルの外周面に接近させようとすると、凸部91の突出長が長くなり、この凸部91が欠けるなどの問題を有していた。この問題を解決するために、本発明者らは、図8に示すようなフェライトコア80を評価した。このフェライトコア80は、複数の凸部81を除いた内周面83の断面形状がZ軸方向の位置にかかわらず略長方形状である点で図19のフェライトコア90と異なる。図9はこのフェライトコア80のYZ面での片断面図である。
このフェライトコア80は、凸部81の突出長を小さくすることができるため、図19のフェライトコア90が有していた凸部91の欠けの問題を解消することができる。ところが、特に大径側端近傍のYZ面が交差する部分の肉厚Tが他の部分の肉厚に比べて異常に大きくなり、フェライトコア80の焼成工程において、焼成条件の設定可能範囲が狭く、全体を均一に焼成することが困難であるという問題がある。また、肉厚Tの厚肉部分のためにフェライトコア80の重量が増大するという問題もある。更に、重量の増大によりコスト増を招くという問題もある。
そこで、本発明者らは更に検討を進め、上述した本実施の形態1のフェライトコア40を考案した。
フェライトコア40は外周面のXY断面形状が略円形であり、内周面に複数の凸部41を備えたスロットコアであって、複数の凸部41を除いたフェライトコア40の内周面43の断面形状は、小径側端近傍と大径側端近傍との間の部分で略長方形であり(図5参照)、大径側端近傍で略円形である(図6参照)。従って、本実施の形態1ように、Z軸方向において内周面43が略長方形の断面形状を有する部分に凸部41を設けて偏向電力の低減効果を得ながら、フェライトコア40の大径側の領域IVに凸部41を設けない構成が可能となる。その結果、フェライトコア40の大径側端には、図8のフェライトコア80のような肉厚部分が存在しない。よって、焼成工程において焼成が容易である。また、フェライトコアの重量増加を招かず、従ってコストも増加しない。また、大径側端近傍において凸部41が存在しないので、凸部41の突出長が長くなることがなく、凸部41が欠けるという問題も発生しない。
また、内周面43の断面形状は、搭載されるファンネルの外周面のXY断面形状に合致するように、小径側端の領域Iでの略円形から領域IIでの略長方形に変化しているので、これらの領域では凸部41の突出長を極端に長くしなくても凸部41の先端をファンネルの外周面に接近させることができる。従って、これらの領域で凸部41の欠けを生じることがない。
フェライトコア40は内周面に複数の凸部41を備えたスロットコアであるので、従来のスロットコアと同様に、フェライトコア40を受像管に近づけることができる。従って、偏向効率を改善でき、偏向電力の低減することができる。
また、垂直偏向コイル48の巻線が凸部41間の溝42に嵌め込まれているので、垂直偏向コイル48に磁束が鎖交しにくい。従って、渦電流損失が低減し、偏向ヨークの発熱も低減できる。
本実施の形態1では、大径側端近傍では凸部41は存在しない。しかしながら、Z軸方向において、大径側端近傍の部分は、それ以外の部分に比べて電子ビームからの距離がもともと遠いので、この大径側端近傍に凸部41が存在しなくても、スロットコアが本来有する効果は十分に得ることができる。
また、Z軸上の少なくとも1点でのXY断面において複数の凸部41の先端を順に結んで得られる閉曲線44がWH>WVを満足することにより、凸部41の先端を、XY断面形状が略長方形であるファンネルの外周面に可能な限り接近させることができる。従って、偏向感度が向上し、且つ偏向電力を更に低減できる。
更に、フェライトコア40の外周面のXY断面形状は、Z軸方向の位置にかかわらず、略円形である。従って、焼成工程において汎用の共通の固定治具を使用できる。複数種類のフェライトコアを同時に焼成する場合にも熱容量が同じ共通する固定治具を使用できるので、焼成条件の設定が容易である。従って、焼成工程を低コストで効率よく行うことができる。また、略円形であることにより、外周面の設計が容易である。
従って、本実施の形態1のフェライトコア40を備えた偏向ヨーク4は、偏向感度の向上、偏向電力の低減、発熱の低減、生産性向上、低コスト化、軽量化を実現できる。
更に、このような偏向ヨーク4を備えたカラー受像管装置は、低消費電力、低発熱、低コスト、軽量化を実現できる。
上記に示した実施の形態では、Z=0〜36mm内の全ての点でのXY断面において定義される閉曲線44がWH>WVを満足するが、本発明はこれに限定されない。フェライトコア40は、閉曲線44がWH>WVを満足するXY断面を少なくとも1つ有していることが好ましい。特に、閉曲線44がWH>WVを満足するXY断面が、上記の内周面43が略長方形であるZ軸方向の範囲内に有していることが好ましい。この好ましい構成により、凸部41の突出長さを小さくすることができるので、凸部41の欠け等の問題を更に低減することができる。
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2に係る偏向ヨークに使用されるフェライトコア40の斜視図である。図11は、本実施の形態2に係るフェライトコア40のYZ面での片断面図である。図10及び図11に示されているように、本実施の形態2のフェライトコア40は、内周面に形成された凸部41が大径側端にまで延設されている点で、実施の形態1のフェライトコア40と異なる。実施の形態1と共通する部分については説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に本実施の形態を説明する。
図10は、本発明の実施の形態2に係る偏向ヨークに使用されるフェライトコア40の斜視図である。図11は、本実施の形態2に係るフェライトコア40のYZ面での片断面図である。図10及び図11に示されているように、本実施の形態2のフェライトコア40は、内周面に形成された凸部41が大径側端にまで延設されている点で、実施の形態1のフェライトコア40と異なる。実施の形態1と共通する部分については説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に本実施の形態を説明する。
図12は、フェライトコア40の大径側端近傍の位置(Z=43mm)でのXY面での断面図である。これと同位置での実施の形態1のフェライトコア40についてのXY断面図を示した図6と比較すれば明らかなとおり、本実施の形態2ではフェライトコア40の大径側領域(Z=38〜48mm)にも凸部41が形成されている。なお、本実施の形態2のフェライトコア40の小径側端近傍の位置(Z=3mm)でのXY断面図、及び略中央位置(Z=25mm)でのXY断面図は、それぞれ図4、図5と同じである。また、本実施の形態2のフェライトコア40を備えた本実施の形態2に係る偏向ヨーク4のZ=25mmの位置でのXY断面図は、図7と同じである。
本実施の形態2も実施の形態1と同様の効果を奏する。
実施の形態1と同様に、Z=0〜36mm内の全ての点でのXY断面において定義される閉曲線44がWH>WVを満足するので、スロットコアの本来の効果は十分に発現する。従って、大径側端近傍での凸部41の突出長さを小さくすることができるので、凸部41の欠けを防止できる。但し、大径側端近傍での凸部41の突出長さを可能な限り大きくすれば、偏向効率が向上し、偏向電力を低減できる。
(実施の形態3)
図13は、本発明の実施の形態3に係るフェライトコア40の小径側端近傍の位置(Z=3mm)でのXY断面図、図14は、本発明の実施の形態3に係るフェライトコア40の略中央位置(Z=25mm)でのXY断面図、図15は、本発明の実施の形態3に係るフェライトコア40の大径側端近傍の位置(Z=43mm)でのXY断面図である。
図13は、本発明の実施の形態3に係るフェライトコア40の小径側端近傍の位置(Z=3mm)でのXY断面図、図14は、本発明の実施の形態3に係るフェライトコア40の略中央位置(Z=25mm)でのXY断面図、図15は、本発明の実施の形態3に係るフェライトコア40の大径側端近傍の位置(Z=43mm)でのXY断面図である。
本実施の形態3のフェライトコア40が実施の形態1のフェライトコア40と異なるのは、XY断面において、複数の凸部41の先端を順に結んで得られる閉曲線(凸部41の先端の包絡線)44が略長方形である点である。閉曲線44のY軸方向寸法は、Y軸上にて最大値WVをとる。Z=0〜36mm内の全ての点でのXY断面において定義される閉曲線44がWH>WVを満足することについては実施の形態1のフェライトコア40と同じである。
図16は、本実施の形態3のフェライトコア40を備えた本実施の形態3に係る偏向ヨーク4のZ=25mmの位置でのXY断面図である。絶縁枠49は、略長方形の閉曲線44に沿うような略長方形のXY断面形状を有している。
本実施の形態3は、上記以外は実施の形態1と同じであり、実施の形態1と同様の効果を奏する。
上記の実施の形態1〜3において、水平偏向コイル47の巻線は、図17〜図19と同様に、凸部41間の溝42内に嵌め込まれるように巻装されていても良い。これにより、水平偏向コイル47に鎖交する磁束が少なくなるので渦電流損失と発熱を更に低減できる。
上記の実施の形態1〜3では、複数の凸部41は全てほぼZ軸に向かって突出していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、XY断面において、凸部41はX軸又はY軸にほぼ平行に突出していても良い。
本発明において、凸部が「フェライトコアの小径側端と大径側端とを結ぶ方向に沿った畝状である」とは、畝状の凸部41が延びている概略方向を示している。畝状の凸部41の方向は、上記の実施の形態1〜3に示したように、Z軸を含む面にほぼ沿っている必要はない。例えば、XY断面における凸部41のZ軸に対する周方向位置が、Z軸方向位置に応じて変化していても良い。より具体的には、例えば、凸部41が、フェライトコア40の小径側端と大径側端との間に螺旋状に延びていても良い。
凸部は小径側端と大径側端との間の全領域に存在している必要はなく、小径側端近傍、大径側端近傍、あるいはこれらの間の1又は複数の区間において、凸部が存在していない領域があっても良い。
上記の実施の形態1〜3では、小径側端近傍での複数の凸部41を除いたフェライトコア40の内周面43のXY断面における断面形状は略円形であったが、本発明はこれに限定されず、例えば略長方形であっても良い。但し、一般に、フェライトコア40の小径側端近傍が対向する位置でのファンネル2の外周面のXY断面形状は略円形であるので、フェライトコア40の小径側端近傍での内周面43のXY断面形状が略円形であると、フェライトコア40を電子ビームに接近させることができるので好ましい。
上記の実施の形態1〜3では、Z軸上の少なくとも1点でのXY断面において、複数の凸部41の先端を順に結んで得られる閉曲線44がWH>WVを満足していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、偏向電力の低減効果は実施の形態1〜3に劣るものの、Z軸方向の位置にかかわらず閉曲線44が円形であっても良い。
本発明において、XY断面において、フェライトコア40の内/外周面の断面形状が「略円形」であるとは、実質的に円形であると判断できる形状を意味し、例えば、製造誤差に基づく歪みが存在する場合や、表面に微小な突起や窪みが存在する場合を含む。
本発明の利用分野は特に限定されず、例えばテレビジョンまたはコンピュータディスプレイ等のカラー受像管装置に広範囲に利用できる。
1A 蛍光体スクリーン
1 前面パネル
2 ファンネル
3 ネック部
4 偏向ヨーク
5 CPU
6 電子銃
7 電子ビーム
40 フェライトコア
41 凸部
42 溝
43 フェライトコアの内周面
44 凸部の先端を結ぶ閉曲線(凸部の先端の包絡線)
47 水平偏向コイル
48 垂直偏向コイル
49 絶縁枠
1 前面パネル
2 ファンネル
3 ネック部
4 偏向ヨーク
5 CPU
6 電子銃
7 電子ビーム
40 フェライトコア
41 凸部
42 溝
43 フェライトコアの内周面
44 凸部の先端を結ぶ閉曲線(凸部の先端の包絡線)
47 水平偏向コイル
48 垂直偏向コイル
49 絶縁枠
Claims (6)
- 略ろうと形状を有するフェライトコアであって、
内周面に周方向に配列された複数の凸部を有し、
前記凸部はいずれも前記フェライトコアの小径側端と大径側端とを結ぶ方向に沿った畝状であり、
前記フェライトコアの中心軸と直交する断面において、前記フェライトコアの外周面の断面形状は略円形であり、
前記中心軸と直交する断面において、前記複数の凸部を除いた前記フェライトコアの内周面の断面形状は、前記大径側端近傍で略円形であり、前記小径側端近傍と前記大径側端近傍との間の部分で略長方形であることを特徴とするフェライトコア。 - 前記中心軸上の少なくとも1点での前記中心軸と直交する断面において、複数の前記凸部の先端を順に結んで得られる閉曲線の前記中心軸と直交する第1軸上の寸法をWH、前記中心軸及び前記第1軸と直交する第2軸上の寸法をWVとしたとき、WH>WVである請求項1に記載のフェライトコア。
- 前記複数の凸部を除いた前記内周面の断面形状が略長方形である断面を有する前記中心軸上の範囲内に、WH>WVである前記断面を有する請求項2に記載のフェライトコア。
- 前記小径側端近傍での前記中心軸と直交する断面において、前記複数の凸部を除いた前記フェライトコアの内周面の断面形状は略円形である請求項1に記載のフェライトコア。
- 請求項1に記載のフェライトコアと、
前記中心軸と直交する第1軸にほぼ沿った垂直偏向磁界を発する垂直偏向コイルと、
前記中心軸及び前記第1軸と直交する第2軸にほぼ沿った水平偏向磁界を発する水平偏向コイルと、
前記垂直偏向コイルと前記水平偏向コイルとを絶縁する絶縁枠と
を備える偏向ヨーク。 - 前面パネル及びファンネルからなる外囲器と、
前記ファンネルのネック部内に収納され、電子ビームを放出する電子銃と、
前記ファンネルの外周面上に搭載され、前記電子ビームを水平方向及び垂直方向に偏向させる偏向ヨークと
を備えるカラー受像管装置であって、
前記偏向ヨークが請求項5に記載の偏向ヨークであることを特徴とするカラー受像管装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005109963A JP2005322627A (ja) | 2004-04-09 | 2005-04-06 | フェライトコア、偏向ヨーク、及びカラー受像管装置 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004115746 | 2004-04-09 | ||
JP2005109963A JP2005322627A (ja) | 2004-04-09 | 2005-04-06 | フェライトコア、偏向ヨーク、及びカラー受像管装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005322627A true JP2005322627A (ja) | 2005-11-17 |
Family
ID=35469715
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005109963A Withdrawn JP2005322627A (ja) | 2004-04-09 | 2005-04-06 | フェライトコア、偏向ヨーク、及びカラー受像管装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005322627A (ja) |
-
2005
- 2005-04-06 JP JP2005109963A patent/JP2005322627A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20071204 |