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JP2005305807A - クロムフリー塗装鋼板 - Google Patents

クロムフリー塗装鋼板 Download PDF

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JP2005305807A
JP2005305807A JP2004125336A JP2004125336A JP2005305807A JP 2005305807 A JP2005305807 A JP 2005305807A JP 2004125336 A JP2004125336 A JP 2004125336A JP 2004125336 A JP2004125336 A JP 2004125336A JP 2005305807 A JP2005305807 A JP 2005305807A
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Kenji Ikishima
健司 壱岐島
Hiroyuki Tsuchiya
宏之 土屋
Michio Hirayama
三千男 平山
Sachio Matsuo
左千夫 松尾
Hiroyuki Eto
博之 衛藤
Michiyasu Takahashi
通泰 高橋
Katsumi Okada
克己 岡田
Akito Yoshioka
明人 吉岡
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Nippon Steel Corp
Sumitomo Metal Steel Products Inc
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Sumitomo Metal Industries Ltd
Sumitomo Metal Steel Products Inc
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Abstract

【課題】 良好な耐食性と加工性を安定して示す、亜鉛系めっき鋼板を基材とするクロムフリー塗装鋼板を提供する。
【解決手段】 亜鉛系めっき鋼板の少なくとも片面に、1000〜10,000 ppmのNiイオン濃度を有するpH2〜4の酸性処理液を用いて、40〜70℃で1〜10秒間の噴霧または浸漬によりNi付着量1〜20 mg/m2のニッケル処理を行ってから、クロムを含まない下地処理皮膜と、クロムを含まない下塗り塗膜と、少なくとも1層の上塗り塗膜とを形成し、下塗り塗膜と上塗り塗膜の膜厚の合計を10μm以上とする。下地処理皮膜は、水性樹脂とシリカ微粒子および/またはシランカップリング剤とを含有する処理液の塗布と乾燥により形成された、付着量50〜300 mg/m2 の皮膜が好ましく、下塗り塗膜は有機樹脂中に3〜20質量%のシリカを含有する塗膜が好ましい。

Description

本発明は、亜鉛系めっき鋼板を基材とする、クロムフリーの (クロムを含まない) 塗装鋼板に関する。本発明の塗装鋼板は、例えば、照明器具や、冷蔵庫、洗濯機、暖房器具、更にはエアコン室外機など各種家電製品に好適である。また、建材用としての適用も可能である。
予め塗装が施されている塗装鋼板 (プレコート鋼板) は、生産性に優れていることから、家電製品や建材などに広く使用されている。塗装鋼板には、耐食性に加え、加工性にも優れていることが求められる。
従来の一般的な塗装鋼板は、亜鉛系めっき鋼板に下地処理として塗布型クロメート処理を施した後、ストロンチウムクロメートやジンククロメート等のクロム酸塩系の防錆顔料を含有する下塗り塗料(プライマー)を塗装し、その上に所望の色の上塗り塗料(トップコート)を塗装することにより製造されてきた。クロメート処理と防錆顔料としてクロム酸塩を含有する下塗り塗膜との複合効果によって、耐食性に優れ、加工性、塗膜密着性も良好な塗装鋼板となる。
しかし、昨今の環境問題に関する意識の高まりから、特に西欧では、クロム等の有害な重金属を塗装鋼板に使用することが禁止されつつある。そのため、下地処理と下塗り塗料のいずれにもクロム化合物を使用しない、クロムフリー塗装鋼板に対するニーズが高まっている。
クロメートに代わる下地処理としては、燐酸亜鉛等の燐酸塩処理も利用できるが、水性樹脂とシリカ微粒子および/またはシランカップリング剤とを主成分とする処理液を用いるクロムフリーの下地処理が一般に使用されている。
一方、クロムフリーの下塗り塗料としては、クロム酸塩系の防錆顔料の代わりに、燐酸塩系もしくはバナジン酸塩系の防錆顔料、またはシリカ (例、乾性シリカ、湿式シリカ、イオン交換により金属を含有させた多孔質シリカ) を含有させた塗料を使用することが知られている。
上述したようなクロムを含まない下地処理液と下塗り塗料とを使用して製造されるクロムフリーの塗装鋼板は、これまでにかなりの数が提案されている。しかし、従来のクロムフリー塗装鋼板は、耐食性のバラツキが大きく、十分な耐食性を必ずしも安定して示すことができなかった。本発明は、良好な耐食性を安定して示す、亜鉛系めっき鋼板を基材とするクロムフリー塗装鋼板を提供することを課題とする。
本発明者らは、亜鉛系めっき鋼板を下地処理する前に、Niイオンを含有する酸性ニッケル処理液を用いて前処理すると、クロムフリー塗装鋼板の耐食性が著しく向上する場合があることに気付いた。
そこで、この前処理として行うニッケル処理についてさらに検討した結果、下塗り塗膜と上塗り塗膜の合計塗膜厚みが10μmを境にして、ニッケル処理が正反対の結果を与えることを知った。即ち、合計塗膜厚みが10μmより薄い場合には、ニッケル処理によりクロムフリー塗装鋼板の耐食性はかえって著しく低下する。一方、合計塗膜厚みが10μm以上であると、ニッケル処理によりクロムフリー塗装鋼板の耐食性が著しく向上する。
この知見に基づいて完成した本発明は、亜鉛系めっき鋼板の少なくとも片面に、下から順に、Ni付着量1〜20 mg/m2以上のニッケル処理後に形成された、クロムを含まない下地処理皮膜と、クロムを含まない下塗り塗膜と、少なくとも1層の上塗り塗膜とを有し、下塗り塗膜と上塗り塗膜の膜厚の合計が10μm以上であることを特徴とする、クロムフリー塗装鋼板である。
ニッケル処理は、1000〜10,000 ppmのNiイオン濃度を有するpH2〜4の酸性処理液を用いて、処理温度40〜70℃で1〜10秒間の噴霧または浸漬により行うことが好ましい。
下地処理皮膜は、水性樹脂とシリカ微粒子および/またはシランカップリング剤とを含有し、クロムを含有しない処理液の塗布と乾燥により形成された、付着量50〜300 mg/m2 の皮膜であることが好ましい。
下塗り塗膜は、エポキシ系、ポリエステル系、ウレタン系等の有機樹脂中に3〜20質量%のシリカを含有する塗膜とすることが好ましい。
本発明によれば、前処理として行うニッケル処理によって、良好な加工性を保持したまま耐食性が改善されるため、耐食性と加工性が良好なクロムフリー塗装鋼板を安定して提供することが可能となる。
本発明に係るクロムフリー塗装鋼板の基材鋼板は亜鉛系めっき鋼板である。ここで「亜鉛系めっき鋼板」とは、亜鉛を含むめっき皮膜を有するめっき鋼板の意味である。亜鉛は必ずしもめっきの主成分でなくてもよいが、少なくとも40質量%の亜鉛を含有するめっきが好ましい。
亜鉛系めっき鋼板は、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛合金めっき鋼板 (例、電気Zn−Ni合金めっき鋼板) 等の電気めっき鋼板でもよいが、塗装鋼板の基材としては、耐食性と価格を考慮して、溶融めっき鋼板が一般に使用される。
本発明において基材として使用するのに適した溶融亜鉛系めっき鋼板としては、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、溶融5%Al−Zn合金めっき鋼板、溶融55%Al−Zn合金めっき鋼板、およびマグネシウムを1〜10%含有する溶融亜鉛めっき鋼板等が例示される。めっき付着量は、片面当たり30〜150 g/m2の範囲が好ましい。
本発明によれば、この基材亜鉛系めっき鋼板を下地処理する前に、前処理として、Ni付着量が1〜20 mg/m2のニッケル処理を行う。ニッケル処理とは、めっき中の亜鉛の溶出による還元力でニッケルを析出させる処理であり、置換めっきと呼ばれる方法でニッケルを析出させるものである。ニッケル処理は、通常は、Niイオンを含有する酸性の処理液を用いて行われる。
使用する処理液は、Niイオンを1000〜10,000 ppm含有する、pH2〜4の酸性処理液、特に硫酸ニッケルを主体とする処理液が好適である。処理は、40〜70℃の処理温度 (処理液の温度) で1〜10秒間の噴霧または浸漬により行うことが好ましい。処理液のNiイオン濃度が少なすぎると、処理時間が長くなり、多すぎると、その後の水洗が不十分になる場合がある。処理液pHは2〜4程度が、めっきの溶解性と処理時間の観点から有効である。処理温度が低すぎると処理時間が長くなり、高すぎると水の蒸発が激しく、濃度管理が面倒になる。
前述したように、この下地処理前のニッケル処理は、下塗りと上塗りの合計塗膜厚みが10μm以上である場合に有効である。
合計塗膜厚みが10μmより薄い場合は、このニッケル処理を施すと、かえってクロムフリー塗装鋼板の耐食性を損ねる。この場合は、塗膜の絶縁性が低く、金属ニッケルとめっき中の亜鉛との間の電位差による影響が大きくなって、金属ニッケルが存在することで、卑な亜鉛が酸化されやすい状態になり、耐食性が低くなると考えられる。特に、クロムフリー塗装鋼板の場合にはその影響が顕著で、ニッケル処理はしない方がよい。
しかし、クロムフリー塗装鋼板であっても、下塗りと上塗りの合計塗膜厚みが10μmより大きくなって、塗膜の絶縁性が高くなると、ニッケル処理をした方が良好な耐食性を発現できる。ニッケルによる塗膜密着性の向上効果が有効に機能するものと推定される。この効果を得るには、金属ニッケルとして1mg/m2 以上の付着量となるようにニッケル処理を行う。Ni付着量の上限は特に規定されるものではないが、経済性を考慮して、本発明では20 mg/m2以下とする。好ましいNi付着量は5〜15 mg/m2である。
このような塗装前処理としてのニッケル処理は公知であり、そのための処理液も市販されている。しかし、特にクロムフリー塗装鋼板において、合計塗膜厚みが10μmを境にして、ニッケル処理の効果が上記のように逆転することは知られていなかった。
例えば、特許第3205207 号には、亜鉛系または溶融アルミニウムめっき鋼板に予めニッケルその他の金属皮膜を3〜50 mg/m2の付着量で形成した後、下地処理としてCr付着量10〜150 mg/m2 のクロメート皮膜を形成し、下塗り塗膜と特定の上塗り塗膜を形成した、塗膜密着性や耐パンチング性に優れた塗装鋼板が開示され、この前処理の金属皮膜は電気めっきや化学めっきにより形成される。
この特許では、前処理で析出させたニッケルその他の金属皮膜によって、その後に形成される塗布型クロメート皮膜のクロム還元率が増大し、クロメート皮膜が難溶化して、その密着性が高まると説明されている。従って、この効果は、下地処理がクロメートである場合にしか得られず、クロムフリー塗装鋼板に適用しうるものではない。
下地処理は、クロムを含まない処理であれば特に限定されず、市販のノンクロム型の下地処理液を用いて実施することもできる。
本発明において好ましい下地処理は、水性樹脂とシリカ微粒子および/またはシランカップリング剤とを含有する下地処理液を用いた処理である。この下地処理は、処理液の塗布と好ましくは加熱による乾燥により行われる。この下地処理の場合、好ましい付着量は50〜300 mg/m2 であり、乾燥温度は50〜150 ℃の範囲が好ましい。付着量が少なすぎると耐食性が低く、過大では経済性に劣るばかりでなく、塗装鋼板の加工性を低下させることがある。下地処理の種類が異なると、好ましい付着量や乾燥温度も変化するが、当業者であれば好ましい範囲を容易に設定できる。
下地処理は、ジルコニウム系もしくはチタン系といった、ケイ素以外の金属酸化物皮膜を形成する材料を用いて実施することも可能である。
下塗り塗膜は、適当なベース樹脂液中に、クロムを含まない防錆顔料等の防錆性向上成分を含有させた塗料を用いて形成する。好ましいベース樹脂は、エポキシ系、ポリエステル系、またはウレタン系の樹脂であり、これに硬化剤成分として、メラミン樹脂、ポリイソシアネート、ポリアミン、フェノール樹脂の1種以上を共存させて、ベース樹脂を熱硬化させた塗膜とすることが好ましい。
下塗り塗料に耐食性向上のために含有させる防錆性向上成分は、燐酸塩系またはバナジン酸塩系の防錆顔料でもよいが、好ましくはシリカ、例えば、乾性シリカ (ヒュームドシリカ) 、湿式シリカ (コロイダルシリカ) 、イオン交換により金属を含有させた多孔質シリカ (例、カルシウムを含有させたカルシウムシリケート) である。防錆性向上成分は2種以上を併用することも可能である。
下塗り塗料中にシリカを含有させる場合、シリカの含有量は、固形分基準で3質量%以上とすることが好ましい。これより少量では、耐食性向上の効果が小さい。シリカの量が多すぎると、塗膜の光沢が低下したり、塗装鋼板の加工性が低下することがあるので、20質量%以下とすることが好ましい。
下塗り塗料は、適当な塗装方法 (例、ロールコート、カーテンフローコート、エアスプレイ、エアレススプレイ、浸漬等) にて塗布したのち、最高到達温度が 180〜230 ℃になるように約30〜60秒程度で焼付け、乾燥させて塗膜を形成することが好ましい。
上塗り塗膜を形成するための上塗り塗料は、従来より塗装鋼板に使用されているものを使用すればよい。ベース樹脂は、下塗り塗料について上述したものと同様でよい。通常は、上塗り塗料には防錆性向上成分を含有させず、塗装鋼板に所望の色を付与する着色顔料を含有させる。また、塗装鋼板に潤滑性を付与するためにワックス粒子等の潤滑成分を添加したり、耐候性を付与するため紫外線吸収剤を添加することがある。
上塗り塗料も、下塗り塗料について上述したのと同様に塗布および乾燥して、塗膜を形成することが好ましい。上塗り塗膜は、所望により、同一または異なる塗料を用いて、2層以上としてもよい。例えば、各層に異なる機能を持たせた2層以上の上塗り塗膜を形成することができる。
本発明においては、前述したように、前処理による耐食性向上効果を発揮させるため、下塗り塗膜と上塗り塗膜の合計厚みを10μm以上とする必要がある。この合計塗膜厚みの上限は特に規定しないが、厚すぎると、経済性が劣る上、加工性が低下することがあるので、通常は50μm以下であり、好ましくは30μm以下である。
各塗膜の厚みは、色の安定性や塗装鋼板の各種の目標性能から決定すればよいが、好ましくは、下塗り塗膜の厚みは1〜10μmの範囲であり、上塗り塗膜の厚みは5〜30μmの範囲である。
以上に説明した前処理、下地処理、下塗り塗膜および上塗り塗膜は、基材の亜鉛系めっき鋼板の片面または両面に形成することができる。片面 (表面とする) だけに形成する場合、反対側の裏面の構成は特に制限されない。
以下の実施例は本発明を例示するために示すものであり、本発明を何ら制限するものではない。実施例中、%は特にことわらない限り、質量%である。
[供試塗装鋼板の作成]
基材として、溶融亜鉛めっき鋼板(片面当たりめっき付着量60 g/m2 、鋼板厚み0.5 mm) を使用した。
この基材の両面を、脱脂のみ(前処理付着量0mg/m2)、または脱脂+ニッケル処理により前処理した。ニッケル処理は、処理液として硫酸ニッケルを主体とする日本ペイント製NPC 700 (Niイオン濃度7500 ppm、pH 3.5) を使用し、特に断らない限り、処理温度50℃、処理時間3秒での噴霧処理により行った。
別に、上記ニッケル処理液を水で希釈するか、もしくは硫酸ニッケルを追加してNiイオン濃度を変化させた処理液、または濃硫酸もしくはアンモニア水を加えてpHを変化させた処理液を用いて、あるいは処理条件を変化させて、前処理を行った。
前処理した基材めっき鋼板の両面に、コロイダルシリカと水性樹脂を主成分とするノンクロム型下地処理液である日本ペイント製サーフコートEC2100をバーコータで塗布し、特にことわらない限り、最高到達板温80℃で約3秒間加熱して乾燥させることにより、下地処理を行った。
こうして両面を下地処理した溶融亜鉛めっき鋼板の片面に、下塗り塗料と上塗り塗料を順に塗装して、供試塗装鋼板を作成した。
下塗り塗料は、ポリエステル樹脂(東洋紡製バイロン29CS、溶剤溶解型)に硬化剤としてメラミン樹脂(三井サイテック製サイメル370 、溶剤溶解型) を固形分基準で80/20の質量比になるように混合したワニスに、チタニア顔料を固形分として30質量%添加し、さらに乾性シリカを0〜7質量%添加し、分散させることにより調製した。この下塗り塗料を、特にことわらない限り、乾燥塗膜厚みが5μmとなるようにバーコータで塗布し、熱風オーブンを用いて最高到達板温200 ℃で約40秒間焼付けて、塗膜を乾燥させた。
上塗り塗料は、日本ペイント製フレキコート100HQ (ポリエステル/メラミン系) を使用し、特にことわらない限り、乾燥塗膜厚みが15μmとなるようにバーコータで塗布し、熱風オーブンを用いて最高到達温度230 ℃で約60秒間で焼付けて、塗膜を乾燥させた。
比較材として、表1に示すように、下塗り塗膜と上塗り塗膜の厚みの小さい供試塗装鋼板も作成した。
[供試塗装鋼板の評価方法]
供試塗装鋼板のサンプルを次に述べるようにして耐食性と加工性について試験した。試験結果を表1〜3に示す。
耐食性は、塗装面にカッターナイフで素地鋼板に達するクロスカット傷を入れたサンプルを、塩水噴霧試験 ((JIS Z 2371)に240 時間供した後、クロスカット部の最大塗膜フクレ幅を測定することにより評価した。塩水噴霧240 時間でフクレ幅2mm超を×、2mm以下を△、1mm以下を○とした。
加工性は、塗装面を外側にして、同じ0.5 mm厚の鋼板を挟んで 180°密着曲げを行い、曲げ部を10倍ルーペで観察して、塗膜にクラックを生じない最低鋼板板挟み枚数(T)で評価した2T以下を○、3Tを△、4T以上を×とした。
Figure 2005305807
Figure 2005305807
Figure 2005305807
表1は、下地処理の付着量が70 mg/m2で、下塗り塗膜が乾性シリカを含有しない場合と、下地処理の付着量が150 mg/m2 で、下塗り塗膜が3%の乾性シリカを含有する場合とに分けて、前処理が脱脂処理のみ (前処理の付着量0mg/m2)、または脱脂処理+ニッケル処理 (前処理の付着量10 mg/m2、ニッケル処理の処理温度50℃、処理時間は約4秒) である時に、下塗り塗膜と上塗り塗膜の厚みを、合計塗膜厚みが10μmの内外で変化させた場合の耐食性の結果を示す。
表1から、下塗りと上塗りの合計塗膜厚みが10μmより小さい場合には、下塗り塗膜が乾性シリカを含有しない試験No.1〜4 と、これを含有する試験No.7〜8 のいずれについても、前処理のニッケル処理を行わない方が、耐食性が良好であり、ニッケル処理によって耐食性が悪化してしまうことがわかる。
これに対し、本発明に従って、合計塗膜厚みが10μm以上であると、下塗り塗膜が乾性シリカを含有しない試験No.5〜6 と、これを含有する試験No.9〜10のいずれについても、前処理のニッケル処理を行った方が耐食性がよくなっており、上とは正反対の結果となった。即ち、下地処理前にニッケル処理を行うことによる耐食性の向上効果は、合計塗膜厚みが10μm以上の場合に限って得られる。
表2は、前処理であるニッケル処理の処理条件の変化によるNi付着量の変動と、それによる耐食性への影響を示す。下地処理の付着量は140 mg/m2 であり、下塗り塗膜は3%の乾性シリカを含有していた。塗膜厚みは、前述の通り、下塗りが5μm、上塗りが15μmであった。
表2から、前処理のNi付着量が1mg/m2 より小さいと、塗装鋼板の耐食性が不十分となることがわかる。処理液中のNiイオン濃度が1000 ppm以上、pHが4以下、処理温度が40℃以上、処理時間が1秒以上であると、1mg/m2 以上のNi付着量を得ることができる。但し、試験No.4, 8, 10 のように、処理液のNiイオン濃度が高すぎたり、処理温度が高すぎたり、処理時間が長すぎるのは、操業面では不利である。
表3には、下地処理と下塗り塗膜の組成および処理条件を変化させた場合の耐食性および加工性への影響を示す。前処理のNi付着量は、どの例でも8 mg/m2 であった (処理液のNiイオン濃度7500 ppm、pH 3.5 、処理温度50℃、処理時間約3秒) 。
下地処理が、水性樹脂とコロイダルシリカを主体とする処理液の塗布と乾燥により行われる場合、下地処理の付着量が50〜300 mg/m2 で、乾燥温度が50〜150 ℃の範囲が良好であることがわかる。
下塗り塗膜は、乾性シリカの含有量が3〜20質量%の範囲、乾燥温度が 180〜230 ℃の範囲が良好な結果を与える。

Claims (3)

  1. 亜鉛系めっき鋼板の少なくとも片面に、下から順に、Ni付着量1〜20 mg/m2以上のニッケル処理後に形成された、クロムを含まない下地処理皮膜と、クロムを含まない下塗り塗膜と、少なくとも1層の上塗り塗膜とを有し、下塗り塗膜と上塗り塗膜の膜厚の合計が10μm以上であることを特徴とする、クロムフリー塗装鋼板。
  2. 下地処理皮膜が、水性樹脂とシリカ微粒子および/またはシランカップリング剤とを含有し、クロムを含有しない処理液の塗布と乾燥により形成された、付着量50〜300 mg/m2 の皮膜である、請求項1に記載の塗装鋼板。
  3. 下塗り塗膜が3〜20質量%のシリカを含有する請求項1または2に記載の塗装鋼板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007046500A1 (ja) 2005-10-20 2007-04-26 Nikon Corporation カメラ付き電子機器

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