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JP2005281427A - プラスチックの処理方法、リサイクル方法、処理回収物およびリサイクルプラスチック - Google Patents

プラスチックの処理方法、リサイクル方法、処理回収物およびリサイクルプラスチック Download PDF

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JP2005281427A JP2004095587A JP2004095587A JP2005281427A JP 2005281427 A JP2005281427 A JP 2005281427A JP 2004095587 A JP2004095587 A JP 2004095587A JP 2004095587 A JP2004095587 A JP 2004095587A JP 2005281427 A JP2005281427 A JP 2005281427A
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Abstract

【課題】 プラスチックの処理方法において、分解および/または可溶化効率を向上し、且つリサイクルに好適な特性を有する処理回収物を得ることができるプラスチックの処理方法、リサイクル方法、処理回収物およびリサイクルプラスチックを提供する。
【解決手段】 プラスチックの処理において、フェノール化合物を必須成分とする超臨界又は亜臨界状態の溶媒中での処理に供する、プラスチックの平均径範囲を規定して行うことを特徴とするプラスチックの処理方法、
前記処理方法により、プラスチックを処理して得られた処理回収物を、プラスチックの原料として再利用するプラスチックのリサイクル方法、プラスチックの処理回収物、前記処理回収物を原料として、再利用してなるリサイクルプラスチック。

Description

本発明は、プラスチックの処理方法、リサイクル方法、処理回収物およびリサイクルプラスチックに関するものである。
プラスチックの中でも熱硬化性樹脂は、優れた電気絶縁性・耐熱性・機械的強度を示すため、電気・電子部品、自動車部品等の材料として広く用いられている。熱硬化性樹脂は、一旦、硬化すると、熱により軟化・融解せず、溶剤にも溶解しないため、その硬化物から有価な化学原料を再生することは、技術的に困難であった。しかし、環境保全と資源循環型社会構築の必要性が検討されている昨今、熱硬化性樹脂のリサイクルに関しても様々な研究が行われている。
例えば、フェノール樹脂硬化物の分解方法として、フェノール樹脂硬化物の3〜10倍というフェノールとパラトルエンスルホン酸のような強酸触媒を用いて、完全に分解可溶化する方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、この方法は、フェノール樹脂硬化物を可溶化するために、大量のフェノールが必要であり、可溶化するまでに必要な時間も、5時間程度かかるため、工業的に実用可能な方法とは言い難い。さらに、触媒として、パラトルエンスルホン酸のような、強酸触媒を用いているため、フェノール性水酸基の脱水反応が起こり、キサンテン類などの不活性な副生成物が生成する。このため、再び材料化する際に、樹脂成分の硬化性(反応性)が低下するという問題点がある。また、アルカリによる中和処理の必要性や、イオン性不純物による電気絶縁性の低下、長期的な信頼性の低下が問題となり、再利用の用途が限定されてしまう可能性がある。
また、3%の水酸化ナトリウム水溶液中でフェノール樹脂硬化物からノボラックフェノール樹脂が回収できることを、Summersが報告している(例えば、非特許文献2参照。)。しかし、この方法においても、例えば、260℃という比較的高温な反応条件であるにも関わらず、樹脂成分70%を可溶化するまでに必要な時間が160分程度かかるため、工業的に実用可能な方法とは言い難い。
近年、これらの課題を克服するために、超臨界流体を用いて熱硬化性樹脂を可溶化処理して、化学原料を回収する方法に関する検討がなされている。例えば、超臨界又は亜臨界状態の、単核フェノール化合物又は水/単核フェノール化合物の溶液中で熱硬化性樹脂を可溶化処理して、オリゴマーを回収する方法が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、酸やアルカリなどを加えることなく、10分間程度の短い反応時間で熱硬化性樹脂が可溶化して、分子量200〜10,000のオリゴマー成分を回収でき、そのオリゴマーは化学原料として再利用可能であるとしている。
しかし、上記の方法による熱硬化性樹脂のリサイクルにおいて、可溶化反応中に副反応が起こるために、原料と全く同じ化学構造の樹脂成分を回収することが困難な場合があった。例えば、フェノール樹脂やエポキシ樹脂が有する水酸基の脱水反応によって、キサンテン環を有する不活性な化合物などが生成するために、得られたオリゴマーから熱硬化性樹脂を製造する際に、硬化性が低下するという問題点があった。このことから、可溶化処理により得られた原料から製造された熱硬化性樹脂の硬化性を向上させるためにも、可溶化反応中の副反応を抑制する必要がある。そのためには、反応温度を低く設定、あるいは反応時間をできるだけ短縮する等の方法で、副反応を抑制できるが、可溶化率が低下する問題がある。一方、可溶化率を向上させるためには、反応温度を高く設定するか、あるいは反応時間を長くする必要があるが、副反応が促進されるため、リサイクル樹脂の硬化性が低下する問題がある。従って、可溶化率を低下させずに、副反応を抑制することは困難であった。
さらに、可溶化処理に供する熱硬化性樹脂の粒径が粗すぎると、粒子中心付近では熱分解反応が進行する割合が大きくなり、キサンテン環構造の生成が促進され硬化性が低下したり、被処理物をスラリーとして調整する際、スラリーの分散性が低下して、可溶化効率が低下するといった問題があった。
堀内光、大阪市立工業研究所報告「フェノール樹脂の分解反応に関する研究」、第38巻、57頁(1964) R.M.Summers:J.Polym.Chem.Ed.,16,1669(1978) 特開2001−151933号公報(第3−4頁)
本発明は、プラスチックの分解および/または可溶化処理において効率よく且つ良好な特性を有する処理回収物が得られるプラスチックの処理方法、リサイクル方法、処理回収物およびリサイクルプラスチックを提供するものである。
本発明者は、プラスチックを分解および/または可溶化する処理方法において、フェノール化合物を必須成分とする超臨界又は亜臨界状態の溶媒中で処理を行い、さらに前記プラスチックの粒径を特定の大きさに調整することによって、より効率よく処理を行え、且つ良好な特性を有する処理回収物が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) フェノール化合物を必須成分とする超臨界または亜臨界状態の溶媒中で、熱硬化性樹脂を含むプラスチックを分解および/または可溶化する処理方法であって、前記プラスチックは200μm以下の平均径を有するものであることを特徴とするプラスチックの処理方法、
(2) 前記プラスチックは70μm以下の平均径を有するものである前記第(1)項記載のプラスチックの処理方法、
(3) 前記処理は、塩基性触媒の存在下で行うものである前記第(1)項または第(2)項に記載のプラスチックの処理方法、
(4) 前記超臨界または亜臨界状態が、温度200℃〜400℃の範囲で調整されるものである、前記第(1)項〜第(3)項のいずれかに記載の、プラスチックの処理方法、
(5) 前記超臨界または亜臨界状態が、圧力2〜40MPaの範囲で調整されるものである、前記第(1)項〜第(4)項のいずれかに記載の、プラスチックの処理方法、
(6) 前記熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、及びユリア樹脂の中から選択された1種または2種以上である、前記第(1)項〜第(5)項のいずれかに記載のプラスチックの処理方法、
(7) 前記フェノール化合物が、前記第(1)項〜第(6)項のいずれかに記載のプラスチックの処理方法により、熱硬化性樹脂を含むプラスチックを分解および/または可溶化した後、分離・精製して得られるフェノール化合物を含むものであることを特徴とする、プラスチックの処理方法、
(8) 熱硬化性樹脂を含むプラスチックを、前記第(1)項〜第(7)項のいずれかに記載のプラスチックの処理方法により、分解および/または可溶化し回収して得られる樹脂成分および/または残渣からなるプラスチックの処理回収物、
(9) 前記樹脂成分が、200〜10,000の分子量を有する樹脂成分を主体とする化合物である前記第(8)項に記載のプラスチックの処理回収物、
(10) 前記残渣が、前記熱硬化性樹脂を含むプラスチックの未分解樹脂成分、該プラスチックの重合炭化生成物、該プラスチックに含有する充填材および塩基性触媒から選ばれるものである前記第(8)項に記載のプラスチックの処理回収物、
(11) 熱硬化性樹脂を含むプラスチックを、前記第(1)項〜第(7)項のいずれかに記載のプラスチックの処理方法により、分解および/または可溶化し回収して得られる、樹脂成分および/または残渣からなるプラスチックの処理回収物を、プラスチックの原料として再利用することを特徴とする、プラスチックのリサイクル方法、
(12) 前記第(8)項〜第(10)項のいずれかに記載のプラスチックの処理回収物を、原料として、再利用してなるリサイクルプラスチック、
を提供するものである。
本発明によれば、プラスチックの分解または/および可溶化処理において、処理効率を向上させ、これにより得られる回収物は良好な特性を有することから、リサイクルプラスチックとして再利用することができる。
本発明は、熱硬化性樹脂を含むプラスチックの処理において、フェノール化合物を必須成分とする超臨界又は亜臨界状態の溶媒中で、分解および/または可溶化を行い、しかも、処理に供するプラスチックの平均径上限を200μm以下に調整して、前記処理を行うことを特徴とするプラスチックの処理方法であり、このような処理方法により、処理効率をより向上させ、かつ良好な特性を有する処理回収物を得ることができるものである。また、本発明は、前記プラスチックの処理方法により回収された処理回収物を、プラスチックの原料として再利用するリサイクル方法であり、かつ、処理回収物を原料として再利用してなるリサイクルプラスチックである。本発明によれば、処理回収物を再利用しない通常のプラスチックと比較しても遜色ない機械強度、硬化性、成形性を有したリサイクルプラスチックを得ることができる。なお、本発明におけるプラスチックの処理とは、化学的な分解による処理、および/または、物理的な可溶化による処理を含むものである。
本発明で処理に供するプラスチックの平均粒径は頻度表面積平均径で定義される値を用いるのが好適である。
処理に供するプラスチックの平均径の範囲は、上限値としては200μm以下であり、70μm以下がさらに好ましい。下限値としては、特に限定されるものではないが、通常5μmが好ましい。平均径が前記上限値より大きいものを用いた場合、処理効率の低下、粒子を溶媒に分散させた場合の分散性の低下、副反応の併発などの影響によって、得られる処理回収物とリサイクルプラスチックの特性に問題が生じることがある。また、処理のうえでは平均径は小さければ小さいほどよいが、前記下限値より小さいものを調整すると、粒子同士の凝集が起こったり、粒径調整に費やす時間、エネルギーの割には処理効率に対して格段な効果が得られない場合がある。また、前記プラスチックの粒径の調整方法としては、粉砕による方法、篩分による方法、重力式分級機による方法、前記調整方法による調整物の混合による方法などが挙げられるが、前記粒経に調整できればよく、これらの方法に限定されるものではない。前記粉砕による方法としては、例えば、ハンマーミルおよびレイモンドミルなどの粉砕機により粗粉砕する方法、ボールミルなどの粉砕機により微粉砕する方法が挙げられ、これらの粉砕後に、篩い分けにより粒度を調整したものを用いるのが好ましい。
本発明で処理される熱硬化性樹脂を含むプラスチックは、硬化した樹脂、未硬化もしくは半硬化の樹脂、これらの樹脂を含有するワニスなどを含むものとする。また、単独の熱硬化性樹脂の他に、シリカ微粒子、ガラス繊維等の無機質充填材や、木粉等の有機質充填材を含む成形材料もしくは成形品、ガラス織布、ガラス不織布のような無機質基材や、紙、布等の有機質基材を用いた積層板、これに銅箔等の金属箔を張り合わせた金属張り積層板、さらには銅張り積層板などを加工して得られるプリント回路板のような熱硬化性樹脂製品も含むものとする。
本発明に適用される熱硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂の中から選択された1種または2種以上を含むものについて、特に効果的に適応できる。更には、フェノール樹脂を含むものが、より好ましい。
本発明に用いるフェノール化合物は、芳香環の炭素に結合する水素の少なくとも一つが水酸基に置換しており、超臨界または亜臨界状態で、単独または他の溶媒との混合物として、超臨界または亜臨界状態で反応溶媒として機能し、プラスチックを処理し得るフェノール化合物であれば、特に限定されない。通常、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、及びアルキル置換フェノールなどの単環フェノール化合物、1−ナフトール、2−ナフトールなどの多環フェノール化合物、P,P−ビスフェノール、ビスフェノールAなどの多核フェノール化合物、カテコールなどの複数の水酸基を持つフェノール化合物などが好適に挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。これらの内、コスト面および、分解および/または可溶化に与える効果から、フェノールが好ましい。
本発明の処理方法において、溶媒として、フェノール化合物と他の溶媒との混合物を用いる場合、前記他の溶媒としては、水をはじめとして、メタノールおよびエタノール等のモノアルコール類、エチレングリコールおよびプロピレングリコール等のグリコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、有機酸類、酸無水物類など、通常の化学反応において溶媒として用いられるものであれば限定されない。これらは、1種または2種以上で用いることができる。また、フェノール化合物に対する他の溶媒の混合割合としては、フェノール化合物100重量部に対して他の溶媒1〜500重量部の割合が好ましく、フェノール化合物100重量部に対して他の溶媒5〜50重量部の割合がより好ましい。
また、本発明におけるフェノール化合物を必須成分とする溶媒の使用割合は、プラスチック100重量部に対して、50〜1000重量部の範囲が好ましく、100〜400重量部の範囲がより好ましい。前記溶媒の割合が前記下限値よりも少なくなると、プラスチックの分解および/または可溶化処理を円滑に進行させるのが困難になることがある。一方、前記上限値よりも多くなると、溶媒を加熱するために多大な熱量を必要とする反面、格別な効果が得られない場合がある。
本発明は、必要に応じ、得られる回収物やリサイクルプラスチックの特性に影響しない範囲で、触媒を用いることができる。本発明に用いる触媒としては、塩基性無機触媒および塩基性有機触媒等の塩基性触媒が好ましい。前記塩基性無機触媒としては、例えば、水酸化ベリリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムや、水和等によって同等の効能を発現する酸化物などが好適に挙げられ、さらに、溶解度が小さく、回収する樹脂成分を強酸により中和処理する必要が無い上、反応生成物と無機フィラーとの分離が容易であるベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどの2A族元素の水酸化物、またはこれら元素の酸化物が好ましい。これら塩基性無機触媒のなかでも、コスト面、分解および/または可溶化処理効率、回収処理物の特性から、水酸化カルシウムが、最も好ましい。水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物を用いると、反応溶媒に対する溶解度が大きいため、回収する樹脂成分に、アルカリ金属のイオン性不純物が混入し、再生材料の電気絶縁性が低下する可能性がある。また、前記塩基性無機触媒の大きさとしては、特に限定はなく、粒径が数十mmの粗粒子から、数nm程度の超微粒子であっても良い。
前記塩基性有機触媒としては、例えば、ピリジンおよびトリエチルアミンなどのアミン類、アセトアミジンおよびベンジルアミジンなどのアミジン類、ジアゾビシクロウンデセンなどのアンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムヒドロキシドなどのホスホニウム塩などが、好適に挙げられる。これらは、超臨界または亜臨界状態では、系内で触媒作用をした後に、自己分解するため、反応生成物から分離する必要が無い。また、金属イオンを含まないため、リサイクルプラスチックの電気絶縁性が低下する可能性が低い。
また、本発明における塩基性触媒の添加量は、プラスチック100重量部に対して、0.05〜100重量部の範囲が好ましく、0.1〜10重量部の範囲であることがより好ましい。上記の添加量の範囲より少ないと、分解または/および可溶化速度を向上させることができなくなることがある。また、添加量が上記範囲よりも多いと、回収する樹脂成分に、イオン性不純物が混入し、電気絶縁性が低下することや、過剰に存在する塩基性化合物が反応を阻害するため、処理速度が低下する場合がある。
本発明における分解および/または可溶化処理条件としては、前記フェノール化合物を必須成分とする溶媒を超臨界又は亜臨界状態とすればよく、温度及び圧力を調整することにより設定できる。前記温度としては、200〜400℃の範囲が好ましい。温度が前記下限値よりも低くなると、プラスチックの分解および/または可溶化速度が低下し、短時間での処理が困難になる場合がある。一方、温度が前記上限値よりも高くなると、熱分解や脱水反応などの副反応が併発して、回収した熱硬化性樹脂を構成する有機成分の化学構造が変化するため、化学原料としての再利用が困難になる場合がある。また、前記圧力としては、2〜40MPaが好ましい。圧力が前記下限値よりも低くなると、溶媒が超臨界または亜臨界状態ではなく、蒸気または気体の状態となるため、分解および/または可溶化速度が著しく低下してしまい、プラスチックの処理自体が困難になる場合がある。圧力が前記上限値よりも高くなると、より過酷な条件で運転可能な設備が必要となり、高圧を維持するために必要なエネルギーが増加する反面、分解および/または可溶化速度はほとんど向上せず、格段な効果が得られない場合がある。処理時間としては、通常、1〜60分の範囲で処理できるが、コスト面を考慮すると3〜30分の範囲で調節することがより好ましい。
本発明のプラスチックの処理方法としては、加熱加圧容器中において、前記フェノール化合物を必須成分とする溶媒中に、プラスチック、またはプラスチックと塩基性触媒を添加し、前記条件により、溶媒を超臨界あるいは亜臨界状態とすることで処理される。ここで、本発明のプラスチックの処理方法は、プラスチックに含まれる熱硬化性樹脂における反応や分解で、その状態および構造等に変化を生じても、最終的に分解および/または可溶化すれば、特に限定されるものではない。また、本発明の処理方法により、樹脂成分および/または残渣からなるプラスチックの処理回収物を得ることができる。
上記方法で得られた樹脂成分は、通常、200〜10,000の分子量を有する樹脂成分を主体とする化合物からなる。ここで本発明における分子量とは、重量平均分子量を意味するものとする。200〜10,000の分子量は、熱硬化性樹脂から構成されるプラスチックを製造する際に用いられるプレポリマーと同程度の分子量であるため、必要に応じて精製を行うことにより、熱硬化性樹脂から構成されるプラスチックの化学原料(プレポリマー)として再利用することができる。ここで、200〜10,000の分子量を有する樹脂成分を主体とするとは、ここで示した分子量の樹脂成分が50%以上含まれることを言うが、主体とする分子量の他に、分子量10,000以上の樹脂成分も含まれる。また、200〜10,000の分子量を有する脂成分としては、通常の熱硬化性樹脂の場合は、原料モノマーの2〜100核体程度である。また、前記200〜10,000の分子量を有する樹脂成分を主体とする化合物は、プラスチック中の熱硬化性樹脂から得られる成分だけでなく、プラスチック中に含まれる有機質系充填材や基材から得られる成分を含む場合がある。
前記方法で得られた残渣は、前記熱硬化性樹脂を含むプラスチックの未分解成分、該プラスチックの重合炭化生成物、該プラスチックに含有する充填材および塩基性触媒を含むものであり、プラスチックの充填材として再利用することができる。前記充填材としては、例えば、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タルク、シリカおよびアルミナなどの無機充填材などが挙げられる。
これらの分解生成物は、処理を行った加熱加圧処理容器の内容物から、溶媒(フェノール化合物、水)および分解残渣などを分離した後、プラスチックの原料として再利用することができる。前記分離方法としては、特に限定されるものではなく、通常の固液分離で用いられる、サイクロン・ろ過・重力沈降などの方法が挙げられる。また、可溶化処理で得られた前記200〜10,000の分子量を有する樹脂成分を主体とする化合物と分解残渣とを含む混合物を、有機溶媒で希釈した後に、サイクロン・ろ過・重力沈降などの固液分離操作をしても良い。
また、本発明においては、プラスチックの処理を行った後、分離・精製して得られるフェノール化合物を必須成分とする溶媒を、熱硬化性樹脂を含むプラスチック処理に再利用することができる。これらの再利用においては、必要に応じて、新たにフェノール化合物や水を加えても良い。ここで、分離・精製の方法には、特に限定はなく、フラッシュ蒸留、減圧蒸留、溶媒抽出など、いずれの方法を用いても良い。また、得られる処理回収物には、上記の前記200〜10,000の分子量を有する樹脂成分を主体とする化合物以外に、フェノール化合物、水などの溶媒が少量含まれていても良い。
本発明のリサイクル方法においては、上記プラスチックの処理方法により得られた、樹脂成分および/または残渣からなるプラスチックの処理回収物を、それぞれ単独または混合して、上記プラスチックの原料として再利用するものである。
前記熱硬化性樹脂を含むプラスチックより得られる、樹脂成分および/または残渣からなる処理回収物を、上記プラスチックの原料として再利用する方法としては、例えば、熱硬化性樹脂成形材料の原材料として再利用する場合、前記処理回収物を他の原材料と混合して公知の製造方法により再利用できるが、その際、新たな樹脂成分および残渣に相当する原材料を用いることなく前記処理回収物だけを原材料として用いても良いし、他の化学原料および/または充填材と併用して用いても良い。前記処理回収物の含有量としては、特に限定されないが、熱硬化性樹脂成形材料全体に対して、好ましくは2〜80重量%であり、より好ましくは5〜60重量%である。
前記熱硬化性樹脂成形材料の化学原料として、前記樹脂成分を他の化学原料と併用する場合、併用する化学原料としては、特に限定されないが、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂およびエポキシ樹脂などの樹脂が挙げられる。
前記樹脂成分と前記樹脂の中でノボラック型フェノール樹脂を併用する場合、通常、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを使用するが、ヘキサメチレンテトラミンの含有量としては、通常のフェノール樹脂成形材と同様に、前記樹脂成分とノボラック型フェノール樹脂の合計100重量部に対して、10〜25重量部が好ましい。前記樹脂成分とノボラック型フェノール樹脂の合計の含有量は、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを使用する場合はそれも含めて、熱硬化性樹脂成形材料全体に対して20〜80重量%とすることが好ましく、さらに好ましくは30〜60重量%である。また、熱硬化性樹脂成形材料の硬化速度を調整するために、必要に応じて酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどを硬化助剤として用いることができる。
また、熱硬化性樹脂成形材料の原材料として、前記残渣を通常の充填材と併用する場合、併用する充填材としては、特に限定されないが、通常の熱硬化性樹脂成形材料で用いる、無機基材および/または有機基材を用いることができる。前記無機基材としては、例えば、ガラス繊維、炭酸カルシウム、焼成クレー、タルク、シリカ、ケイソウ土、アルミナおよび酸化マグネシウムなどが挙げられる。これらの無機基材は、成形品の用途等により必要に応じて選択することができる。また、有機基材としては、例えば、木粉、パルプ、合板粉、紙粉砕粉および布粉砕粉などが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これによって何ら限定されるものではない。
[実施例1]フェノール樹脂成形材料の処理
プラスチックとして、フェノール樹脂成形材料(住友ベークライト(株)製 PM−8200)を粉砕後、孔径150μmの篩いで篩わけしたものを用いた。レーザー回折/散乱式粒度測定機(ベックマン コールター(株)製 LS230)に、分散媒として水を用い、モーター速度100%で湿式測定を行ったところ頻度表面積平均粒子径は17μmであった。
上記のフェノール樹脂成形材料:58.3gと、フェノール:85.6gと水:21.3gの混合物からなる反応溶媒とを混合する際に、塩基性触媒として、粉末状の水酸化カルシウム(関東化学社製)3.0gを加えた。上記の混合物を、オートクレーブ(日東高圧(株)製 内容積200cm3)に仕込んだのち、加熱して、内温を280℃とすることで、反応器内圧を3.7MPaまで上昇させ、高温高圧状態とした。反応系内をパドル型およびアンカー型の複合型攪拌翼により300rpmで攪拌しながら、20分間保持したのち、空冷して、常温常圧に戻した。反応終了後、固体残渣、低分子量から中分子量の化合物と溶媒の混合物(処理回収物)から、常圧および減圧条件下で加熱することで、溶媒(フェノール化合物、水)を除去して、低分子量から中分子量の化合物と固体残渣との混合物:75.0gを得た。この混合物の一部をサンプリングしてテトラヒドロフラン(以下、THF)で溶解させることで、THF可溶の低分子量から中分子量の化合物と、THF不溶の固体残渣との割合を評価した。さらに、元のフェノール樹脂成形材料の含有する有機成分重量に対する低分子量から中分子量の化合物の重量の割合を可溶化率として評価した。その結果、98%の可溶化率が得られた。
[実施例2]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、フェノール樹脂成形材料を頻度表面積平均粒子径が17μmのものから29μmのものに変更し、反応温度を280℃から300℃とし、反応圧力を3.7MPaから7.8MPaとした以外は実施例1と同様な操作で処理を行った。処理結果を、表1にまとめて示した。
[実施例3]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、フェノール樹脂成形材料を頻度表面積平均粒子径が17μmのものから3.7μmのものに変更し、反応温度を280℃から250℃とし、反応圧力を3.7MPaから2.1MPaとした以外は実施例1と同様な操作で処理を行った。処理結果を、表1にまとめて示した。
[実施例4]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例2において、フェノール樹脂成形材料を頻度表面積平均粒子径が29μmのものから120μmのものに変更し、反応圧力を7.8MPaから10.2MPaとした以外は実施例2と同様な操作で処理を行った。処理結果を、表1にまとめて示した。
[実施例5]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、フェノール樹脂成形材料を頻度表面積平均粒子径が17μmのものから36μmのものに変更し、反応温度を280℃から190℃とし、反応圧力を3.7MPaから1.3MPaとした以外は実施例1と同様な操作で処理を行った。処理結果を、表1にまとめて示した。
[実施例6]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例3において、フェノール樹脂成形材料を頻度表面積平均粒子径が3.6μmのものから61μmのものに変更し、塩基触媒として水酸化カルシウム3.0gに代えて同量の水酸化ナトリウムを添加した以外は実施例1と同様な操作で可溶化処理を行った。処理結果を、表1にまとめて示した。
[実施例7]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、反応圧力を3.7MPaから41.2Paとし、塩基触媒として水酸化カルシウム3.0gに代えて同量の水酸化バリウム八水和物を添加した以外は実施例1と同様な操作で処理を行った。処理結果を、表1にまとめて示した。
[実施例8]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、フェノール樹脂成形材料を頻度表面積平均粒子径が17μmのものから5.2μmのものに変更し、塩基触媒として水酸化カルシウム3.0gに代えて同量のトリエチルアミンを添加した以外は実施例1と同様な操作で処理を行った。処理結果を、表1にまとめて示した。
[実施例9]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、フェノール樹脂成形材料を頻度表面積平均粒子径が17μmのものから5.2μmのものに変更し、反応温度を280℃から230℃とし、反応圧力を3.7MPaから1.5MPaとし、添加する水酸化カルシウムの量を3.0gから1.7gに変更した以外は実施例1と同様な操作で処理を行った。処理結果を、表1にまとめて示した。
[実施例10]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例2において、フェノール樹脂成形材料を頻度表面積平均粒子径が29μmのものから2.9μmのものに変更し、塩基触媒を添加せず、それ以外は実施例1と同様な操作で処理を行った。処理結果を、表1にまとめて示した。
[実施例11]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、反応温度を280℃から350℃とし、反応圧力を3.7MPaから13MPaとし、溶媒組成をフェノール:85.6g、水:21.3gからフェノール:106.9g、水:0gとした以外は実施例1と同様な操作で処理を行った。処理結果を、表1にまとめて示した。
[実施例12]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、溶媒として、フェノール85.6gに代えてO−クレゾール85.6g(和光純薬製)を用いた以外は実施例1と同様な操作で処理を行った。処理結果を、表1にまとめて示した。
[実施例13]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、溶媒として、フェノール85.6gに代えて1−ナフトール85.6g(和光純薬製)を用いた以外は実施例1と同様な操作で処理を行った。処理結果を、表1にまとめて示した。
[実施例14]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、溶媒として、フェノール85.6gに代えてP,P−ビスフェノールF85.6g(関東化学製)を用いた以外は実施例1と同様な操作で処理を行った。処理結果を、表1にまとめて示した。
[実施例15]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、フェノール樹脂成形材料を頻度表面積平均粒子径が17μmのものから162μmのものに変更し、反応温度を280℃から420℃とし、反応圧力を3.7MPaから27MPaとし、溶媒組成をフェノール:85.6g、水:21.3gからフェノール:85.6g、ビスフェノールA(和光純薬製):21.3gとした以外は実施例1と同様な操作で処理を行った。処理結果を、表1にまとめて示した。
[実施例16]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、反応温度を280℃から460℃とし、反応圧力を3.7MPaから35MPaとし、溶媒組成をフェノール:85.6g、水:21.3gからフェノール:77.0g、カテコール(和光純薬製):8.6g、水21.3gとした以外は実施例1と同様な操作で処理を行った。処理結果を、表1にまとめて示した。
[実施例17]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、溶媒として、市販試薬のフェノールに代えて、実施例1における回収処理物から分離した、同量の再利用フェノールを用いた以外は実施例1と同様な操作で処理を行った。処理結果を、表1にまとめて示した。
[実施例18]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、溶媒組成をフェノール:85.6g、水:21.3gから、フェノール:74.9g、水:32.0gとした以外は実施例1と同様な操作で処理を行った。処理結果を、表1にまとめて示した。
[施例19]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、フェノール樹脂成形材料を頻度表面積平均径が17μmのものから5.2μmのものに変更し、さらに樹脂仕込み量を58.3gから71.2gとした以外は実施例1と同様な操作で処理を行った。処理結果を、表1にまとめて示した。
[実施例20]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、熱硬化性樹脂として、半導体封止用のエポキシ樹脂成形材料58.3g(住友ベークライト(株)製 EME−6300H)を用いた以外は実施例1と同様な操作で処理を行い、樹脂成分:72gを得た。
[実施例21]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、熱硬化性樹脂として、メラミン樹脂成形材料58.3g(松下電工製 ME−J)を用いた以外は実施例1と同様な操作で処理を行い、樹脂成分:77gを得た。
[実施例22]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、熱硬化性樹脂として、ユリア樹脂成形材料58.3g(松下電工製 CU−A)を用いた以外は実施例1と同様な操作で処理を行い、樹脂成分:75gを得た。。
[比較例1]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、フェノール樹脂成形材料を頻度表面積平均粒子径が17μmのものから225μmのものに変更した以外は実施例1と同様な操作で処理を行った。処理結果を、表1にまとめて示した。
[比較例2]フェノール樹脂成形材料の処理
実施例1において、フェノール樹脂成形材料を頻度表面積平均粒子径が17μmのものから232μmのものに変更し、塩基触媒を添加せず、それ以外は実施例1と同様な操作で処理を行った。処理結果を、表1にまとめて示した。
Figure 2005281427
*)熱硬化性樹脂に含有される有機フィラー成分、および溶媒のフェノール化合物が結合するため、樹脂分回収量は仕込み熱硬化性樹脂量より増量する。
表1に示した結果から、実施例1〜19に示した処理方法では、比較例1〜3より可溶化率がよく、実施例20〜22に示したような樹脂にも好適である。樹脂の頻度表面積平均径が2〜200μmの範囲の外である比較例1、2の結果から、粗すぎると可溶化率が低下し、短時間で充分に樹脂分を回収できないといった問題があることがわかる。好適な平均径の範囲以上である実施例3、4、10、15の場合、やや可溶化率、回収量が低下する傾向がある。これらの比較から、処理を行うプラスチックの平均径範囲を規定することで、効率よい処理を行うことができることがわかる。
上記の処理方法によって得られた樹脂成分を、再生材料として用いるために、回収樹脂成分の分子量、水酸基当量値および硬化性を評価した。
[実施例23]フェノール樹脂成形材料を処理して得られる、回収樹脂成分の分子量、水酸基当量値および硬化性の評価
実施例1において、THF可溶分で得られた反応生成物の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。このときの分離カラムは東ソーTSKgel GMHXL2本、TSKgel G2000HXL2本を使用し、溶離液としてはテトラヒドロフラン、検量線はポリスチレン換算、検出器は示差屈折計を使用し、流量は1ml/分、温度40℃とした。その結果、THF可溶分で得られた反応生成物は、Mn:670、Mw:3,100の樹脂成分であることを確認した。
実施例1で得られた樹脂成分を粉砕したのちに、以下に示す方法によって、フェノール性水酸基の当量値を測定し、残存量を評価した。まず、回収した樹脂成分1.5gに10mlのジオキサン(和光純薬製)を加え、60℃に温めて樹脂成分を溶解させた。室温に冷却したのちに、1.5M塩化アセチルトルエン溶液(和光純薬製)10mlを加え、0℃まで冷却した。冷却後、ピリジン(関東化学社製)2mlを加え1時間加温し、純水25mlを加えて攪拌しながら30分間氷水中で過剰の塩化アセチルを分解し、乳化を防ぐ為に25mlのアセトンを添加した。この溶液を0.5N水酸化ナトリウムアルコール規定液(キシダ化学社製)を用いて滴定を行い、その滴定量から算出した結果、水酸基当量は125であった。
さらに、硬化性の目安として、得られた樹脂成分を粉砕し、ヘキサメチレンテトラミン15重量部を配合して、150℃の熱板上でゲル化するまでの時間(ゲルタイム)を測定し、128秒を得た。
[実施例24]フェノール樹脂成形材料を処理して得られる、回収樹脂成分の分子量、水酸基当量値および硬化性の評価
実施例2で得られた樹脂成分を、実施例23と同様な操作で分子量、水酸基当量及びゲルタイムの測定を行った。その結果を表2にまとめて示した。
[比較例3]フェノール樹脂成形材料を処理して得られる、回収樹脂成分の分子量、水酸基当量値および硬化性の評価
比較例2で得られた樹脂成分を、実施例23と同様な操作で分子量、水酸基当量及びゲルタイムの測定を行った。その結果を、表2にまとめて示した。
Figure 2005281427
**)水酸基当量値が小さい程、フェノール性水酸基を多く保持していることになる。
表2に示した結果からわかるように、規定平均径範囲内であれば充分な硬化性をもった樹脂成分を回収できることがわかる。また、比較例3では、平均径が規定範囲より大きい比較例2の可溶化処理において、反応が不均一に進行したため、過剰に低分子化してしまった。さらに、粒子中心周辺での副反応(熱分解反応)の割合も増すため、キサンテン環構造が生成し水酸基当量値、ゲルタイムが増大した。
上記処理方法によって得られた樹脂成分を用いて、リサイクルフェノール樹脂成形材料を作製し、曲げ強度および曲げ弾性率を評価した。
[実施例25]フェノール樹脂成形材料のリサイクル
実施例1で得た樹脂成分:43重量部に対して、ヘキサメチレンテトラミン(和光純薬製、特級):7重量部、木粉:40重量部、炭酸カルシウム(和光純薬製):10重量部を配合して、クッキングミル(松下電器製、ファイバーミキサー)で乾式混合してフェノール樹脂成形材料を得た。これを、プレス成形機(温度:175℃、圧力:10MPa、成形時間:3分間)により、成形し、曲げ強度・曲げ弾性率の試験片を作製した。曲げ強度および曲げ弾性率の測定は、JIS−K6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して行った。その結果、曲げ強度:79MPa、曲げ弾性率:6863MPaを得た。表3に測定結果をまとめた。
[比較例4]フェノール樹脂成形材料のリサイクル
成形材料の原材料として、比較例2で製造した低分子量から中分子量の化合物と固体残渣との混合物に対して実施例25と同様の操作で試験片を作成して、その曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。表3に測定結果をまとめた。
[比較例5]
通常の合成方法で製造したノボラックフェノール樹脂を原料として、フェノール樹脂成形材料の試験片を作製して、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
実施例25において、実施例1で得た樹脂成分48.0gに代えて、市販のノボラックフェノール樹脂48.0g(住友ベークライト(株)製 PR−51714)を用いた以外は、実施例25と同様の操作で試験片を作製して、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。表3に測定結果をまとめた。
上記処理方法によって得られた固体残渣成分を用いて、リサイクルフェノール樹脂成形材料を作製し、曲げ強度および曲げ弾性率を評価した。
[実施例26]回収した固体残渣成分を用いたフェノール樹脂成形材料の特性
比較例5において、無機充填材として添加した炭酸カルシウム10重量部に代えて、実施例1で得た固体残渣成分10重量部を用いた以外は、実施例25と同様の操作で試験片を作成して、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。表3に測定結果をまとめた。
Figure 2005281427
表3に示した結果からわかるように、実施例1から製造した低分子量から中分子量の化合物と固体分解残渣との混合物を熱硬化性樹脂成形材料の原材料として用いた場合、良好な強度を有する再生材料が得られた。比較例2のような分解物は硬化性が低く、且つ分子量も低すぎるため、これより製造した熱硬化性樹脂成形材料は充分な曲げ強度および曲げ弾性率は得られなかった。また比較例5に示すように、本処理方法で得られた樹脂を用いて製造したフェノール樹脂成形材料は市販の合成ノボラックフェノール樹脂を用いたにものと比較しても遜色ない曲げ強度および曲げ弾性率を有していることが分かる。この比較から、本発明で規定した原料樹脂の平均径上限が、可溶化効率および再生材料特性において適した上限であることがわかる。
また、実施例26の結果によれば、固体残渣成分を無機充填材として再利用した場合に、曲げ強度と弾性率は通常の無機充填材を用いた場合とほぼ同等である。さらに、回収した樹脂成分と固体残渣成分をどちらも再利用することができる。
本発明のプラスチックの処理方法は、産業廃棄物や一般廃棄物中に大量に含まれる熱硬化性樹脂を含むプラスチックを効率よく分解および/または可溶化処理することができる。また、この方法により、得られた処理回収物をリサイクルプラスチックの原料として再利用することができる。さらには、粉砕粒径の上限を規定することで、粉砕に要するエネルギーを節約する方向へ展開させることができる。

Claims (12)

  1. フェノール化合物を必須成分とする超臨界または亜臨界状態の溶媒中で、熱硬化性樹脂を含むプラスチックを分解および/または可溶化する処理方法であって、前記プラスチックは200μm以下の平均径を有するものであることを特徴とするプラスチックの処理方法。
  2. 前記プラスチックは70μm以下の平均径を有するものである請求項1記載のプラスチックの処理方法。
  3. 前記処理は、塩基性触媒の存在下で行うものである請求項1または請求項2に記載のプラスチックの処理方法。
  4. 前記超臨界または亜臨界状態が、温度200℃〜400℃の範囲で調整されるものである、請求項1〜3のいずれかに記載の、プラスチックの処理方法。
  5. 前記超臨界または亜臨界状態が、圧力2〜40MPaの範囲で調整されるものである、請求項1〜4のいずれかに記載の、プラスチックの処理方法。
  6. 前記熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、及びユリア樹脂の中から選択された1種または2種以上である、請求項1〜5のいずれかに記載のプラスチックの処理方法。
  7. 前記フェノール化合物が、請求項1〜6のいずれかに記載のプラスチックの処理方法により、熱硬化性樹脂を含むプラスチックを分解および/または可溶化した後、分離・精製して得られるフェノール化合物を含むものであることを特徴とする、プラスチックの処理方法。
  8. 熱硬化性樹脂を含むプラスチックを、請求項1〜7のいずれかに記載のプラスチックの処理方法により、分解および/または可溶化し回収して得られる樹脂成分および/または残渣からなるプラスチックの処理回収物。
  9. 前記樹脂成分が、200〜10,000の分子量を有する樹脂成分を主体とする化合物である請求項8に記載のプラスチックの処理回収物。
  10. 前記残渣が、前記熱硬化性樹脂を含むプラスチックの未分解樹脂成分、該プラスチックの重合炭化生成物、該プラスチックに含有する充填材および塩基性触媒から選ばれるものである請求項8に記載のプラスチックの処理回収物。
  11. 熱硬化性樹脂を含むプラスチックを、請求項1〜7のいずれかに記載のプラスチックの処理方法により、分解および/または可溶化し回収して得られる、樹脂成分および/または残渣からなるプラスチックの処理回収物を、プラスチックの原料として再利用することを特徴とする、プラスチックのリサイクル方法。
  12. 請求項8〜10のいずれかに記載のプラスチックの処理回収物を、原料として、再利用してなるリサイクルプラスチック。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116041899A (zh) * 2022-12-21 2023-05-02 开化瑞达塑胶科技有限公司 高效利用废弃酚醛模塑料制品制备无氨酚醛注塑料的方法

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