[go: up one dir, main page]

JP2005240266A - スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント - Google Patents

スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント Download PDF

Info

Publication number
JP2005240266A
JP2005240266A JP2004286523A JP2004286523A JP2005240266A JP 2005240266 A JP2005240266 A JP 2005240266A JP 2004286523 A JP2004286523 A JP 2004286523A JP 2004286523 A JP2004286523 A JP 2004286523A JP 2005240266 A JP2005240266 A JP 2005240266A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
screen
monofilament
core
sheath
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004286523A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshitoki Mori
義斉 森
Atsushi Odajima
敦 小田嶋
Hiroyuki Kurokawa
浩亨 黒川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2004286523A priority Critical patent/JP2005240266A/ja
Publication of JP2005240266A publication Critical patent/JP2005240266A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)

Abstract

【課題】 優れた線径均一性とスカム抑制効果、寸法安定性を兼ね備えたスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントを提供すること。
【解決手段】 芯鞘型複合のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントであって、芯部ポリマーがIV=0.70〜1.30、破断強度が6.0cN/dtex以上、所定の節糸が1個/100万m以下であることを特徴とする精密スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。および鞘部ポリマーに含有量の60%以上が粒径0.50μm以下である無機粒子を0.35〜0.60重量%含有し、破断強度が6.0cN/dtex以上であることを特徴とするハイメッシュスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
【選択図】なし

Description

本発明は、精密スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントおよびハイメッシュスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントに関するものであり、詳しくはプラズマディスプレイを構成する前面電極基板や背面電極基板への電極ペースト塗布などに使用するスクリーン紗、およびCD印刷やグラフィック印刷などに使用する織り密度が355メッシュ以上、即ちタテ糸・ヨコ糸本数が共に1インチ当たり355本以上で構成するスクリーン紗に用いられるポリエステルモノフィラメントに関するものである。
印刷スクリーン用織物としては、従来はシルクなどの天然繊維やステンレスなどの無機繊維からなるメッシュ織物が広く使用されてきたが、近年は、柔軟性や耐久性、コストパフォーマンスに優れる合繊メッシュが好んで使用され、中でもポリエステルモノフィラメントは寸法安定性に優れるなどスクリーン用適正が高く、広く普及している。
近年、家電業界における家庭用プラズマディスプレイテレビの普及などに伴い、プラズマディスプレイ(以下、PDPと略す)を構成する前面電極基板や背面電極基板への電極ペーストの塗布や、電子回路印刷など、コンパクトディスク(以下、CDと略す)の普及や、コンピューターグラフィックによるデザイン物の印刷・刊行物が主流となる中で、感熱孔版印刷などに合繊メッシュを用いる試みがなされており、メッシュがより細かく、線径が均一であり、紗張り時の伸びが少なく寸法安定性に優れたスクリーン紗が要求される。殊に、PDPにおける電極ペースト塗布においては、メッシュ織物の欠点が直ちに電極ペースト厚みムラとなり、結果的にはPDPテレビなどでは画像欠点となるため、正常部の断面線径に対して、1.2倍を超える節糸を含んだモノフィラメントでは、全く使用できないこと、CD印刷やグラフィック印刷においては、メッシュ織物の欠点が直ちに印刷欠点となり、商品価値が失われてしまうことが知られている。
また、一般に、スクリーン紗の製造工程は高密度織物を高速で製織するため、高密度製織においては、特に走行フィラメントと小ピッチ配列の筬刃の接触頻度および摩擦力が増大し、フィラメント表面が削り取られてヒゲ状あるいは粉末状のスカムが発生しやすい。このスカムは織機汚れとなるばかりでなく、スクリーン紗の中に織り込まれてしまうと精密印刷時の重大な欠点となる。
すなわち、前記用途における要求品質を満足するために、細繊度かつ高強度、高モジュラス化し、繊維長手方向の太さムラが無く線径均一性が高く、スカム発生などが無いスクリーン紗用原糸を提供することが重要な課題となる。
従来、スクリーン紗用モノフィラメントについては、スカム発生の軽減と高強度化を目的とする改善技術の提案が多くなされている。
例えば、芯部をIV=0.60〜0.90のポリエチレンテレフタレートとし、鞘部をIV=0.60〜0.80でイソフタル酸8〜20モル%、ネオペンチルグリコール5〜14モル%共重合したビカット軟化温度67〜78℃のポリエチレンテレフタレートとする複合モノフィラメントである(特許文献1参照)。また、他の提案として、芯鞘型複合モノフィラメントにおいて、破断強度が6g/d(5.29cN/dtex)以上、伸度10%時のモジュラスが3.5g/d(3.08cN/dtex)以上、破断伸度が33%未満であり、鞘を形成するポリエステルのガラス転移温度(Tg)が芯のそれより低く、かつ、35〜73℃であり、芯:鞘の面積比70:30〜95:5のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントである(特許文献2参照)。これらのモノフィラメントでは、鞘部を共重合ポリエステルとしてガラス転移温度や軟化温度を低下することにより、ポリマーのソフト性を向上させた場合には、スカム発生を軽減する効果を有するものの、完全防止には至らず、さらには電子回路印刷のような高精密印刷用スクリーン紗に必要な高密度化や寸法安定性の向上を実現するためのスクリーン紗用原糸に要求される強度や10%伸長時応力などの重要な原糸物性を実現することが非常に困難である。これらの提案では、強度を得ることを目的に、IV=0.60〜0.90の範囲のポリエステルを単に芯部に使用して溶融紡糸したものであるが、これらのモノフィラメントにはポリエステルが溶融紡糸時に熱劣化することで発生するゲル化物が吐出糸条中に混入して、正常部繊度に対して、局所的に著しく太い節糸が発生し、線径均一性の高いモノフィラメントが得られず、PDPの高精密印刷に適したスクリーン紗を得ることができない。
また、他の提案として、芯鞘型複合モノフィラメントにおいて、芯部ポリマーの極限粘度が0.70以上、鞘部ポリマーの極限粘度が0.40以上、破断強度が5.5cN/dtex以上のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントである(特許文献3参照)。これらのモノフィラメントでは、鞘部を共重合ポリエステルとしてガラス転移温度や軟化温度を低下させたり、単に極限粘度の著しく低いポリエステルとすることにより、ポリマーのソフト性を向上させてスカム発生を軽減することを図っているが、スルーザー製織機による355メッシュ以上のハイメッシュスクリーン紗製織における筬羽根でのスカム発生を完全防止には至らず、スクリーン紗生産性が劣るばかりでなく、スカムが繊維状に発生しやすい為に、スクリーン紗に繊維状スカムが織り込まれてしまい、CD印刷やグラフィック印刷のような高精密印刷に用いた場合の印刷欠点を誘発してしまう。
特開平11−241227号公報(特許請求の範囲) 特開平2−289120号公報(特許請求の範囲) 特開2003−213528号公報(特許請求の範囲)
本発明は、上記問題を解決し、PDPの電極ペースト塗布やその他高精密印刷に用いた際に、塗布欠点が発生しない、精密スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントや、CD印刷やグラフィックに用いた際に、塗布欠点が発生しない、ハイメッシュスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントを提供することにある。
前記目的を達成するための本発明は、芯鞘型複合のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントであって、芯部・鞘部を構成するポリマーが共にポリエチレンテレフタレートであり、芯部ポリマーの溶液粘度(IV)が0.70〜1.30であり、破断強度が6.0cN/dtex以上、次式(1)の範囲の複合断面線径である節糸が1個/100万m以下であることを特徴とするスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
1837×{D/(10000×π)}0.5≦X≦
2100×{D/(10000×π)}0.5 (1)
但し、D:繊度(dtex)
X:節糸の複合断面線径(μm)
および、芯鞘型複合のポリエステルモノフィラメントであって、芯部・鞘部を構成するポリマーが共にポリエチレンテレフタレートであり、鞘部ポリマーに、含有量の60%以上が粒径0.50μm以下である無機粒子を0.35〜0.60重量%含有し、破断強度が6.0cN/dtex以上であることを特徴とするスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントである。
本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントは、芯部ポリマーのIV、破断強度、節糸の数を適正なもの、および破断強度、鞘部ポリマーに含有する無機粒子の含有量、及び粒径を適正なものとすることにより、従来モノフィラメントでは得られなかったPDP電極ペースト塗布などの高精密印刷に好適な高精密製織性、優れた寸法安定性とスカム抑制効果を奏するスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント、および355メッシュ以上のハイメッシュスクリーン紗製織性、優れた寸法安定性とスカム抑制効果を有し、CD印刷やグラフィック印刷などの高精密印刷に好適なハイメッシュスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントを得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明におけるポリエステルとは、繰り返し単位がエチレンテレフタレートであるポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す)を示す。
スクリーン紗用モノフィラメントは、一般に高強度を得るために、繊維を形成するポリマーの分子配向が低配向状態となるように紡糸し、一旦未延伸糸を巻き取った後に、高倍率延伸して高配向化される。高配向化した延伸糸は、高強度を発現する反面、曲げや剪断、削れに対して脆くなり、高密度スクリーン製織時の筬により摩耗される度合いが大きくなる。このため、高密度スクリーン紗の製織においては、フィラメント強度の保持とスカム発生防止を両立することが、高品位なスクリーン紗を得るためには必要不可欠となる。
本発明において、ポリエステルモノフィラメントは、その横断面において芯部が鞘部により覆われ、芯部が繊維表面に露出しないように配置された芯鞘型複合モノフィラメントである。芯鞘型複合とすることで、高密度スクリーン紗を製織する際に必要な強度とスカム発生防止を両立するものであり、単一成分のみでこれを達成し得ないことは同業者の間では従来公知である。なお、ここで芯鞘型とは芯部が鞘部により完全に覆われていれば良いが、溶融紡糸の際の吐出安定性や紗張り後のスクリーンの寸法安定性を保持しやすくするため、同心円状に配置することが好ましい。また、断面形状については、丸型、偏平型三角型、四角型など幾つもの形状があるが、安定した製糸性やスクリーン製織性を得やすいという点や、製織後乳剤を塗布して感光させる際にハーレーションの発生を抑えるため、スクリーン紗の目開き、すなわちタテ糸とヨコ糸の交差により形成される格子状空間の形状の安定性などより、丸断面とすることが好ましい。
本発明において、例えば塗布厚み10μm以下で行うような高分解能および高精密な水準の印刷を目的とした355〜500メッシュ(本/2.54cm)のスクリーンを得るため、単糸繊度は5〜15dtexであることが好ましい。より好ましくは、6〜12dtexである。
スクリーン紗の紗張り工程においては、紗の寸法安定上、一定値以上の張力が必要であり、張力は強度(cN/dtex)×メッシュにより定まる。高密度化を図る場合、一般的には細繊度のモノフィラメントを用いれば良いが、モノフィラメント繊度とメッシュ密度は完全には反比例しないため、細繊度化するほど破断強度は高くする必要がある。このため、本発明のモノフィラメントの場合では、必要な破断強度は6.0cN/dtex以上であり、より好ましい破断強度は6.5cN/dtex以上、更に好ましくは7.0cN/dtex以上である。
本発明のモノフィラメントの破断伸度は15〜25%である。製織糸切れやスカム発生、成分剥離などの発生を抑制し、また寸法安定性を向上するものである。好ましくは、破断伸度は17〜22%である。
本発明において、繊度をD(dtex)としたとき、節糸の線径をX(μm)が、1837×{D/(10000×π)}0.5〜2100×{D/(10000×π)}0.5の範囲の節糸が1個/100万m以下であることが重要である。節糸が、前記範囲を超えて含有したモノフィラメントでは、スクリーン紗にした際の織格子間隔のムラ欠点が多発し、PDP電極ペースト塗布などの高精密印刷用途に不適なものとなる。好ましくは、節糸が0.5個/100万m以下であり、更に好ましくは0個/100万mである。なお、節糸の線径が2100×{D/(10000×π)}0.5を超えるものについては、一般印刷に用いるスクリーン紗においても印刷欠点となるため、本発明の対象となるPDPなどの高精密印刷用途については、当然含まれてはならない。該用途では塗布ムラ欠点の原因となる節糸の線径は1837×{D/(10000×π)}0.5以上のものである。
本発明において、芯部PETのIVが過剰に低い場合については、モノフィラメントの強度は主に芯部ポリマーが受け持つために、前記強度特性を満足することができない。また、IVが過剰に高い場合は、前記の強度特性を満足するための延伸熱セットを施すと、芯部ポリマーの延伸ムラを発生するだけでなく、溶融紡糸時の熱劣化が進行しやすく、ゲル化物の発生を誘発するため、モノフィラメント長手方向の均一性が劣り、前記定義の節糸が多発する。このため、前記のモノフィラメントに必要な強度特性すなわち破断強度6.0cN/dtex以上を満足し、良好な均一性を得るための芯部PETはIV=0.70〜1.30が好ましく、より好ましくは、IV=1.00〜1.20である。
本発明における鞘部PETは、IV=0.45〜0.68の範囲であることが好ましく、前記芯部PETとの複合安定性や延伸性を向上し、また前記破断強度を満足し、スカム発生を抑制するものである。より好ましくは、IV=0.50〜0.65である。
また、355メッシュ以上のハイメッシュスクリーン紗製織においては、鞘部PETに含有量の60%以上が0.50μmを超えて大きい粒径の無機粒子を含有した場合、または含有量が0.60重量%を超えて上回る場合は、いずれもモノフィラメント溶融紡糸時に繊維表面にボイドを形成しやすくなり、繊維長手方向の繊径および破断強度の均一性が劣るばかりでなく、筬羽根などでモノフィラメントが擦過する際に、繊維表面に突起状に現れたボイド部分から繊維表面が削れ始めてしまう。また、無機粒子含有量が0.35重量%を下回る、もしくは無機粒子を含まない場合では、モノフィラメント表面の擦過抵抗が大きくなるために、整経クリールからの解除性が劣ったり、筬羽根などスルーザー製織機各部位でのスカムが発生してしまう。よって、本発明の鞘部PETは、含有量の60%以上が粒径0.50μm以下である酸化チタンなどの無機粒子を0.35〜0.60重量%含有するものであり、スカム抑制効果を十分に得るものである。好ましくは、含有量0.40〜0.50重量%で、含有量の70%以上が粒径0.50μm以下である。ポリマー中の無機粒子について、目的の範囲の粒径を得る方法としては、特に限定するものではないが、例えばポリマーの重縮合段階で、触媒と酸化チタンとを別々に添加することで凝集を抑制する方法などが挙げられる。本発明における無機粒子の含有量および粒径については、HORIBA社製LA−700(PARTICLE SIZE ANALYZER)を用いて、恒温層温度25℃にて測定した粒度分布にて求めたものである。
本発明における芯部PETと鞘部PETの複合断面積比(芯:鞘)は、横断面を顕微鏡を用いて任意の倍率に拡大した写真撮影を行い、この写真を用いて芯部と鞘部の断面積比を求めたもので、70:30〜90:10の範囲であることが好ましく、破断強度、製織時の耐筬摩耗性を向上するものである。より好ましくは、複合断面積比(芯:鞘)は75:25〜85:15の範囲である。
本発明の精密スクリーン紗用モノフィラメントを得るには、芯部ポリマーのIVが0.70〜1.30と高IVであるため、溶融時の熱劣化が進行し節糸発生に直結する。このため、芯部ポリマーの押し出し機から口金までのポリマー滞留時間は15分以内にすることで得られる。好ましくは10分以内、より好ましくは8分以内である。ここでポリマー滞留時間とは、押し出し機、ポリマー配管、パック部材、口金などの押し出し機以降のポリマー通過容積を吐出量(g/分)で徐した値である。
芯部ポリマー滞留時間以外の製造条件については、特に限定するものではないが、押し出し機種については、一般的にポリマーの排出性が高くデッドスペースでのポリマー残存時間が短い、エクストルダー押し出し機を用いることが好ましい。また、鞘部ポリマーについては、IVが汎用レベルであるため節糸への寄与は少ないが、芯部ポリマーと同様に押し出し機から口金までのポリマー滞留時間は15分以内とすることが好ましく、より好ましくは10分以内、さらに好ましくは8分以内である。また、紡糸温度や溶融温度については、目的とする物性が得られ、安定紡糸可能な範囲で低温化することが好ましく、ポリマー熱劣化を抑制するためであり、好ましい紡糸温度は290〜300℃である。また、ポリマー配管や紡糸パック部材などについては、発生したポリマー劣化物を粉砕して節糸として顕在化することを回避するために、ノリタケカンパニー製スタティックミキサーなどの静止混練子を設置しても良い。
口金から吐出した糸条については、芯部ポリマーのIVが1.00以上のものを用いる場合、冷却固化の直前に内壁温度300〜340℃の加熱帯を通過させることが好ましく、糸条との距離が4.5cm、長さ10cmの加熱帯を用いることが口金のワイピング作業などの作業性やウースター斑などの品位面で好ましく、目的の強伸度を得やすくするためのものである。
本発明の延伸方法については、特に限定するものでは無いが、用いる芯部ポリマーのIVや、得ようとする強伸度によって、第1ホットローラーと第2ホットローラー間で延伸熱処理し、第2ホットローラーと冷却ローラー間でリラックス付与したのちに巻き取る方法、第1ホットローラーと第2ホットローラー間で1段目の延伸、第2ホットローラーと第3ホットローラー間で2段目の延伸熱処理したのち、第3ホットローラーと冷却ローラー間でリラックス付与したのちに巻き取る方法、などから好適に選択することが出来るが、未延伸糸を一旦巻き取ることなく直接延伸する直接紡糸延伸法については、延伸斑が発生しやすく好ましくない。
本発明のハイメッシュスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの製造条件については、特に限定するものではないが、押し出し機種については、一般的にポリマーの排出性が高くデッドスペースでのポリマー残存時間が短い、エクストルダー押し出し機を用いることが好ましい。また、紡糸温度や溶融温度については、目的とする物性が得られ、安定紡糸可能な範囲で低温化することが好ましく、ポリマー熱劣化を抑制するためであり、好ましい紡糸温度は290〜300℃である。口金から吐出した糸条については、芯部ポリマーのIVが1.00以上のものを用いる場合、冷却固化の直前に内壁温度300〜340℃の加熱帯を通過させることが好ましく、糸条との距離が3.0〜5.0cm、長さ10〜20cmの加熱帯を用いることが口金のワイピング作業などの作業性やウースター斑などの品位面で好ましく、目的の強伸度を得やすくするためのものである。
本発明の延伸方法については、特に限定するものでは無いが、用いる芯部ポリマーのIVや、得ようとする強伸度によって、例えば表面温度が85〜95℃の第1ホットローラーと表面温度が120〜150℃の第2ホットローラー間で延伸倍率3.80〜4.40倍で延伸熱処理し、第2ホットローラーと冷却ローラー間で0.5〜3.0%のリラックス付与したのちに巻き取る方法、また表面温度が85〜95℃の第1ホットローラーと表面温度が95〜160℃の第2ホットローラー間で延伸倍率3.80〜4.60倍で1段目の延伸を行い、引き続いて第2ホットローラーと表面温度が150〜230℃の第3ホットローラー間で延伸倍率1.05〜1.20倍で2段目の延伸熱処理したのち、第3ホットローラーと冷却ローラー間で0.5〜6.5%のリラックス付与したのちに巻き取る方法、などから好適に選択することが出来るが、未延伸糸を一旦巻き取ることなく直接延伸する直接紡糸延伸法については、延伸斑が発生しやすく好ましくない。
以下本発明を実施例により詳細に説明する。なお、実施例中の評価は以下の方法に従った。
1.溶液粘度(IV)
オルソクロロフェノール中25℃で測定された値より算出した。
2.破断強伸度
オリエンテックス社製テンシロン引張試験機を用い、初期試料長20cm、引張速度2cm/分で測定した。
3.線径均一性(節糸個数)
表面粗度Rz0.8μm以下の湯浅糸道社製セラミックスガイド2個をスリット状に固定し、工作精度±1.0μmの隙間ゲージを用いて、評価すべきモノフィラメントの繊度Dに対して2,080×{D/(10,000×π)}0.5の幅に該スリット幅を調整したものを準備する。これをスラブキャッチャーと称する。このスラブキャッチャーを製経時の糸道に設置して、製経と同時にモノフィラメントを通過させ、スリットに引っ掛かった個数を数え、100万m当たりの個数に換算した。節糸個数が0.6個/100万m未満を○、0.6〜1個/100万mを△、1個/100万mを超えるものを×とし、○および△を合格とした。
4.粒度分布
評価すべきモノフィラメントを溶解し、HORIBA社製LA−700(PARTICLE SIZE ANALYZER)を用いて、恒温層温度25℃にて測定し、実施例中の粒度分布(%)は粒径0.50μm以下の粒子が全含有量に占める割合を示したものである。
5.織格子欠点
スルーザー型製織機を使用し、タテ・ヨコ密度350メッシュ(350本/2.54cm)、回転数350rpmで織幅2.54m、長さ30mのスクリーン織物を1反として10反製織し、織物中のタテ糸・ヨコ糸で形成された織物格子について、正常部に対して1.5倍以上の格子間隔になっている部分、例えば繊度10.0デシテックスすなわち繊径30μmの糸を用いた350メッシュのスクリーン織物では正常部格子間隔42μmに対して64μm以上の間隔である格子を格子欠点とし、この格子欠点個数が1個/反以上あるものを不合格とした。
6.スカム抑制効果
スルーザー型製織機を使用し、350〜500メッシュのスクリーン織物を15反連続で製織し、筬の汚れが進行して正常な製織を維持出来ず、停機せざるを得なくなった時点までの製織長を求め、350メッシュの製織の場合は、340mを超えるものを○、250〜340mを△、250m未満を×とし、○および△を合格とし、また355メッシュ〜500メッシュの製織の場合は、200mを超えるものを○、150〜200mを△、150m未満を×とし、○および△を合格とした。
7.スクリーンの寸法安定性
印刷パターンの歪みを観察し、歪み発生時の印刷累計枚数にて、1500枚を超えるものを○、1200〜1500枚を△、1200枚未満を×とし、○および△を合格とした。
実施例1
日本製綱所製シングルフライトスクリューφ25のエクストルダー押し出し機からなる複合紡糸機を用いて、芯部にIV=1.00のPET、鞘部に酸化チタン粒子を0.5重量%含有したIV=0.51のPETを用いて、芯成分の押し出し機から口金吐出までに要する滞留時間が10分となる様なポリマー配管を用いて、複合断面積比80:20となるようにポリマー吐出量を調整して、紡糸温度298℃にて口金から糸条を吐出した後、内壁温度300℃で糸条との距離が4.5cm、長さ10cmの加熱帯を通過させた後に、冷却風にて冷却固化した芯鞘型複合モノフィラメント糸条を、油剤付与後に紡糸速度850m/分で未延伸糸を一旦巻き取った。
この未延伸糸を、表面温度90℃の第1ホットローラーと表面温度100℃の第2ホットローラー間で4.39倍、第2ホットローラーと表面温度200℃の第3ホットローラー間で1.07倍、第3ホットローラーと表面温度が室温の冷却ローラー間で4.29%のリラックスを付与して延伸熱セットし、繊度が10.0デシテックスの複合モノフィラメント1.0kg巻きボビンパッケージを得た。
得られたモノフィラメントの破断強度は7.1cN/dtex、破断伸度19.5%であった。製経機の解舒糸条糸道上にスラブキャッチャーを設置し、該モノフィラメント500本を用いて製経を行った際の節糸個数は0.6個/100万mであり、目的の線径均一性であった。また、該モノフィラメントを用いて、350メッシュのスクリーン紗を製織した結果、織格子欠点は0.6個/反、筬汚れによる停機までの製織長は450mであり、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1700枚までパターンの歪みは発生せず、良好なスカム抑制効果と寸法安定性が得られた。また、該スクリーン紗を用いて、PDPの電極ペースト塗布を行い、塗布ムラを確認したが、画像欠点に至るものではなかった。
実施例2
芯部にIV=0.78のPET、鞘部は実施例1と同じものを用いて、複合断面積比80:20となるようにポリマー吐出量を調整し、芯成分の押し出し機から口金吐出までに要する滞留時間が8分となる様なポリマー配管を用いて、紡糸温度295℃にて口金から糸条を吐出した後、加熱帯は通過させずに、冷却風にて冷却固化した芯鞘型複合モノフィラメント糸条を、油剤付与後に紡糸速度1200m/分で未延伸糸を一旦巻き取った。
この未延伸糸を、表面温度90℃の第1ホットローラーと表面温度130℃の第2ホットローラー間で3.98倍、第2ホットローラーと表面温度が室温の冷却ローラー間で1.35%のリラックスを付与して延伸熱セットし、繊度が10.0デシテックスの複合モノフィラメント1.0kg巻きボビンパッケージを得た。
得られたモノフィラメントの破断強度は6.2cN/dtex、破断伸度21.0%であった。製経機の解舒糸条糸道上にスラブキャッチャーを設置し、該モノフィラメント500本を用いて製経を行った際の節糸個数は0.5個/100万mであり、良好な線径均一性であった。また、該モノフィラメントを用いた350メッシュのスクリーン紗の製織結果では、織格子欠点は0.4個/反、筬汚れによる停機までの製織長は500mであり、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1318枚までパターンの歪みは発生せず、良好なスカム抑制効果と寸法安定性、品質を兼ね備えたスクリーン紗が得られた。
また、該スクリーン紗を用いて、PDPの電極ペースト塗布を行い、塗布ムラを確認したが、塗布ムラ発生は無かった。
実施例3
芯部にIV=1.30のPET、鞘部に酸化チタン粒子を0.50重量%含有したIV=0.65のPETを用いたこと以外、実施例1と同様の方法で繊度が10.0デシテックスの複合モノフィラメント1.0kg巻きボビンパッケージを得た。得られたモノフィラメントの破断強度は8.1cN/dtex、破断伸度15.3%であった。製経機の解舒糸条糸道上にスラブキャッチャーを設置し、該モノフィラメント500本を用いて製経を行った際の節糸個数は1.0個/100万mであり、精密印刷に使用するには問題無い線径均一性であった。また、該モノフィラメントを用いた350メッシュのスクリーン紗の製織結果では、織格子欠点は0.9個/反、筬汚れによる停機までの製織長は260mであり、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1850枚までパターンの歪みは発生せず、スカム抑制効果も問題なく、良好な寸法安定性を有するスクリーン紗が得られた。また、PDPの電極ペースト塗布を行い、塗布ムラを確認したが、画像欠点に至るレベルでは無かった。
実施例4
芯部にIV=0.70のPET、鞘部に酸化チタン粒子を0.50重量%含有したIV=0.45のPETを用い、芯成分の押し出し機から口金吐出までに要する滞留時間が10分となる様なポリマー配管を用いたこと以外、実施例2と同様の方法で繊度が10.0デシテックスの複合モノフィラメント1.0kg巻きボビンパッケージを得た。得られたモノフィラメントの破断強度は6.0cN/dtex、破断伸度17.7%であった。製経機の解舒糸条糸道上にスラブキャッチャーを設置し、該モノフィラメント500本を用いて製経を行った際の節糸個数は0.2個/100万mであり、良好な線径均一性であった。また、該モノフィラメントを用いた350メッシュのスクリーン紗の製織結果では、織格子欠点は0.1個/反、筬汚れによる停機までの製織長は340mであり、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1290枚までパターンの歪みは発生せず、スカム抑制効果と寸法安定性には問題なく、品質を兼ね備えたスクリーン紗が得られた。また、該スクリーン紗を用いて、PDPの電極ペースト塗布を行い、塗布ムラを確認したが、塗布ムラ発生は無かった。
結果をまとめて表1に示す。
比較例1
芯部にIV=1.40のPETを用いたこと以外、実施例1と同様の方法で繊度が10.0デシテックスの複合モノフィラメント1.0kg巻きボビンパッケージを得た。得られたモノフィラメントの破断強度は8.5cN/dtex、破断伸度16.5%、節糸個数は2.2個/100万mであり、350メッシュのスクリーン紗を製織した結果では、筬汚れによる停機までの製織長は280m、印刷結果では印刷枚数1920枚までパターンの歪みは発生せず、スカム抑制効果と寸法安定性には問題ないものの、製経を行った際の節糸個数は2.2個/100万mであり、織格子欠点は2.1個/反と劣ったものであった。節糸部を顕微FT−IR分析した結果、芯部PETのIVが過剰に高いことに起因したゲル化物が多量に混入していることが判明した。また、該スクリーン紗を用いて、PDPの電極ペースト塗布を行い、塗布ムラを確認したところ、スクリーン紗の織格子欠点によると思われる電極ムラが発生しており、PDPには使用出来ないものであった。
比較例2
酸化チタン粒子0.50重量%含有したIV=0.65のPETのみを用いて単成分とし、押し出し機から口金吐出までに要する滞留時間が6分となる様なポリマー配管を用いて、紡糸温度290℃にて口金から糸条を吐出した後、加熱帯を通過させずに、冷却風にて冷却固化した単成分モノフィラメント糸条を、油剤付与後に紡糸速度800m/分で未延伸糸を一旦巻き取り、実施例2と同様の方法で延伸後、繊度が10.0デシテックスのモノフィラメント1.0kg巻きボビンパッケージを得た。
得られたモノフィラメントの破断強度は5.4cN/dtex、破断伸度24.0%、節糸個数は0.1個/100万mであり、製経を行った際の節糸個数は0.1個/100万mであり、織格子欠点は0.1個/反と問題無いものの、350メッシュのスクリーン紗の製織結果では、スカムや糸切れが多発し停機までの製織長は120mと350メッシュの製織に耐えうるものでは無かった。印刷結果では印刷枚数980枚でパターン歪みが発生し、実質精密印刷に使用できるレベルのスクリーン紗は得られなかった。
比較例3
芯成分の押し出し機から口金吐出までに要する滞留時間が20分となる様なポリマー配管を用いたこと以外、実施例2と同様の方法で繊度が10.0デシテックスの複合モノフィラメント1.0kg巻きボビンパッケージを得た。得られたモノフィラメントの破断強度は6.2cN/dtex、破断伸度20.8%、節糸個数は3.5個/100万mであり、350メッシュのスクリーン紗製織結果では、停機までの製織長は510mであり、印刷結果では印刷枚数1300枚までパターン歪みが発生せずスカム抑制効果と寸法安定性には問題無いものの、製経を行った際の節糸個数は3.5個/100万mであり、織格子欠点3.3個/反と著しく劣ったものとなり、実質精密印刷に使用できるレベルのスクリーン紗は得られなかった。節糸部を顕微FT−IR分析した結果、芯部PETのIVの紡糸時滞留時間が過剰に長いことに起因したゲル化物が多量に混入していることが判明した。また、該スクリーン紗を用いて、PDPの電極ペースト塗布を行い、塗布ムラを確認したところ、スクリーン紗の織物格子間隔の変動によると思われる電極ムラが発生しており、PDPには使用出来ないものであった。
比較例4
酸化チタン粒子0.50重量%含有したIV=0.78のPETのみを用いて単成分とし、押し出し機から口金吐出までに要する滞留時間が6分となる様なポリマー配管を用いて、紡糸温度295℃にて口金から糸条を吐出した後、加熱帯を通過させずに、冷却風にて冷却固化した単成分モノフィラメント糸条を、油剤付与後に紡糸速度800m/分で未延伸糸を一旦巻き取り、表面温度90℃の第1ホットローラーと表面温度130℃の第2ホットローラー間で4.50倍で延伸熱セットしたこと以外、実施例2と同様の方法で延伸後、繊度が10.0デシテックスのモノフィラメント1.0kg巻きボビンパッケージを得た。得られたモノフィラメントの破断強度は6.0cN/dtex、破断伸度26.1%、節糸個数は0.2個/100万mであり、製経を行った際の織格子欠点0.1個/反、印刷枚数1260枚までパターン歪みが発生せず、問題無いものの、製織結果ではスカムが多量発生し、停機までの製織長は120mであり、350メッシュのスクリーン紗が生産できるレベルでは無かった。
Figure 2005240266
Figure 2005240266
実施例5
鞘部ポリマーに含有量の70%以上が0.50μm以下である酸化チタン粒子を0.50重量%含有したIV=0.51のPETを用い、ポリマー吐出量を変更したこと以外、実施例1と同様の方法で繊度が12.0デシテックスの複合モノフィラメント1.0kg巻きボビンパッケージを得た。
得られたモノフィラメントの破断強度は7.1cN/dtex、破断伸度20.5%であった。該モノフィラメントを用いて、355メッシュのハイメッシュスクリーン紗を製織した結果、筬汚れによる停機までの製織長は300mであり、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1710枚までパターンの歪みは発生せず、良好なスカム抑制効果と寸法安定性が得られた。なお、製織後の筬羽根に付着したスカムを電子顕微鏡で観察した結果、スカムは粉末状であり、スクリーン紗製品への織り込まれ欠点とならないものであった。
実施例6
鞘部ポリマーの酸化チタン含有量を0.35重量%とし、ポリマー吐出量を変更したこと以外、実施例5と同様の方法で、繊度が10.0デシテックスの複合モノフィラメントを得た。該モノフィラメントを用いて、380メッシュのハイメッシュスクリーン紗を製織した結果、筬汚れによる停機までの製織長は180mであり、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1680枚までパターンの歪みは発生せず、スクリーン紗を生産するには問題の無いスカム抑制効果と良好な寸法安定性が得られた。
実施例7
芯部ポリマーにIV=0.78のPET、鞘部ポリマーに含有量の60%以上が0.50μm以下である酸化チタン粒子を0.45重量%含有したIV=0.51のPETを用いて、紡糸温度295℃にて口金から糸条を吐出した後、冷却風にて冷却固化した芯鞘型複合モノフィラメント糸条を、油剤付与後に紡糸速度1200m/分で未延伸糸を一旦巻き取った。
この未延伸糸を、表面温度90℃の第1ホットローラーと表面温度130℃の第2ホットローラー間で4.04倍、第2ホットローラーと表面温度が室温の冷却ローラー間で1.35%のリラックスを付与して延伸熱セットし、繊度が8.0デシテックスの複合モノフィラメント1.0kg巻きボビンパッケージを得た。
得られたモノフィラメントの破断強度は6.2cN/dtex、破断伸度22.0%であった。該モノフィラメントを用いて、420メッシュのハイメッシュスクリーン紗を製織した結果、筬汚れによる停機までの製織長は270mであり、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1320枚までパターンの歪みは発生せず、良好なスカム抑制効果と、精密印刷用スクリーン紗としては問題の無い寸法安定性が得られた。
実施例8
鞘部ポリマーをIV=0.67のPETとしたこと以外、実施例7と同様の方法で複合モノフィラメントを得た。該モノフィラメントを用いて、420メッシュのハイメッシュスクリーン紗を製織した結果、筬羽根部に繊維状のスカムが発生したものの、筬汚れによる停機までの製織長は160mであり、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1250枚までパターンの歪みは発生せず、精密印刷用スクリーン紗としては問題の無いスカム抑制効果と寸法安定性が得られた。
実施例9
芯部ポリマーをIV=1.30のPETとし、鞘部ポリマーに含有量の65%以上が0.50μm以下である酸化チタン粒子を0.55重量%含有したIV=0.67のPETを用い、ポリマー吐出量を変更したこと以外、実施例5と同様の方法で繊度が6.0デシテックスの複合モノフィラメントを得た。該モノフィラメントを用いて、500メッシュのハイメッシュスクリーン紗を製織した結果、筬汚れによる停機までの製織長は155mであり、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1840枚までパターンの歪みは発生せず、精密印刷用スクリーン紗としては問題の無いスカム抑制効果と良好な寸法安定性が得られた。
比較例5
鞘部ポリマーの酸化チタン含有量を0.20重量%としたこと以外、実施例5と同様の方法で複合モノフィラメントを得た。該モノフィラメントを用いて、355メッシュのハイメッシュスクリーン紗を製織した結果、タテ糸整経時のボビンパッケージテーパー部での輪抜けによる解舒不良や製織時のヨコ糸切れが発生し、また筬羽根部でのスカム発生が著しいものとなり、筬汚れによる停機までの製織長は110mとなり、工業的に精密印刷用スクリーン紗を生産することの困難なものであった。なお、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1600枚までパターンの歪みは発生せず寸法安定性は問題ないものであった。
比較例6
鞘部ポリマーの酸化チタン含有量を0.80重量%としたこと以外、実施例5と同様の方法で複合モノフィラメントを得た。該モノフィラメントを用いて、355メッシュのハイメッシュスクリーン紗を製織した結果、筬羽根部でのスカム発生が著しいものとなり、筬汚れによる停機までの製織長は100mであった。製織後のスカムを採取して電子顕微鏡観察と元素分析を行った酸化チタン凝集物が多量に確認され、工業的に精密印刷用スクリーン紗を生産することの困難なものであった。なお、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1660枚までパターンの歪みは発生せず寸法安定性は問題ないものであった。
比較例7
含有量の60%以上が0.50μm以下である酸化チタン粒子を0.55重量%含有したIV=0.78のPETを用いて、日本製綱所製スクリュー外径φ25mmのエクストルダー押し出し機からなる単成分紡糸機を用いて、紡糸温度295℃にて口金から糸条を吐出した後、冷却風にて冷却固化した芯鞘型複合モノフィラメント糸条を、油剤付与後に紡糸速度900m/分で未延伸糸を一旦巻き取った。
この未延伸糸を、表面温度90℃の第1ホットローラーと表面温度130℃の第2ホットローラー間で3.80倍で延伸熱セットし、繊度が12.0デシテックスの複合モノフィラメント1.0kg巻きボビンパッケージを得た。
得られたモノフィラメントの破断強度は5.5cN/dtex、破断伸度28.6%であった。該モノフィラメントを用いて、355メッシュのハイメッシュスクリーン紗を製織した結果、筬汚れによる停機までの製織長は120mであり、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数930枚でパターン歪みが発生し、工業的に精密印刷に用いることのできないものであった。
比較例8
鞘部ポリマーに含有量の30%が0.50μm以下である酸化チタン粒子を0.50重量%含有するPETとしたこと以外、実施例7と同様の方法で複合モノフィラメントを得た。該モノフィラメントを用いて、355メッシュのハイメッシュスクリーン紗を製織した結果、タテ糸整経時の輪抜けやクリールガイド部での擦過糸切れによる解舒不良や製織時のヨコ糸切れ発生が著しく、また筬羽根部でのスカム発生が著しいものとなり、筬汚れによる停機までの製織長は80mであり、工業的に精密印刷用スクリーン紗を生産することの困難なものであった。
比較例9
鞘部ポリマーをIV=0.64のポリエチレングリコール7.0モル%共重合PETとしたこと以外、実施例7と同様の方法で複合モノフィラメントを得た。得られたモノフィラメントの破断強度は6.1cN/dtex、破断伸度は23.1%であり、該モノフィラメントを用いて、355メッシュのハイメッシュスクリーン紗を製織した結果、筬羽根部での繊維状スカム発生が著しいものとなり、筬汚れによる停機までの製織長は105mであった。また、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1300枚までパターン歪みは発生しなかったものの、スクリーン紗中の繊維状スカム織り込まれ欠点が多数見つかり、塗布ムラによる印刷欠点が多く、実質的に精密印刷には用いることのできないものであった。
Figure 2005240266
Figure 2005240266

Claims (5)

  1. 芯鞘型複合のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントであって、芯部・鞘部を構成するポリマーが共にポリエチレンテレフタレートであり、芯部ポリマーの溶液粘度(IV)が0.70〜1.30であり、破断強度が6.0cN/dtex以上、次式(1)の範囲の複合断面線径である節糸が1個/100万m以下であることを特徴とするスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
    1837×{D/(10000×π)}0.5≦X≦
    2100×{D/(10000×π)}0.5 (1)
    但し、D:繊度(dtex)
    X:節糸の複合断面線径(μm)
  2. 芯鞘型複合のポリエステルモノフィラメントであって、芯部・鞘部を構成するポリマーが共にポリエチレンテレフタレートであり、鞘部ポリマーに、含有量の60%以上が粒径0.50μm以下である無機粒子を0.35〜0.60重量%含有し、破断強度が6.0cN/dtex以上であることを特徴とするスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
  3. 芯部のポリエチレンテレフタレートがIV=0.70〜1.30であることを特徴とする請求項2記載のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
  4. 芯部と鞘部の複合断面積比(芯:鞘)が70:30〜90:10、鞘部ポリマーの溶液粘度(IV)が0.45〜0.68のポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
  5. 破断伸度が15〜25%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
JP2004286523A 2004-01-26 2004-09-30 スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント Pending JP2005240266A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004286523A JP2005240266A (ja) 2004-01-26 2004-09-30 スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004016733 2004-01-26
JP2004286523A JP2005240266A (ja) 2004-01-26 2004-09-30 スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005240266A true JP2005240266A (ja) 2005-09-08

Family

ID=35022291

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004286523A Pending JP2005240266A (ja) 2004-01-26 2004-09-30 スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005240266A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008101288A (ja) * 2006-10-18 2008-05-01 Teijin Fibers Ltd 寸法安定性に優れたスクリーン紗用モノフィラメント
JP2008101289A (ja) * 2006-10-18 2008-05-01 Teijin Fibers Ltd 制電性に優れたスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント
JP2008101290A (ja) * 2006-10-18 2008-05-01 Teijin Fibers Ltd スクリーン紗用モノフィラメント
WO2010035640A1 (ja) 2008-09-26 2010-04-01 東レ株式会社 ポリエステルモノフィラメント、およびその製造方法、ならびにそれを用いたスクリーン紗の製造方法
JP2010077563A (ja) * 2008-09-26 2010-04-08 Toray Ind Inc ポリエステルモノフィラメント
JP2012117196A (ja) * 2012-01-06 2012-06-21 Teijin Fibers Ltd スクリーン紗用モノフィラメント
JP2020143403A (ja) * 2019-03-07 2020-09-10 東レ株式会社 ハイメッシュスクリーン紗用複合ポリエステルモノフィラメントおよびその製造方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003213528A (ja) * 2002-01-21 2003-07-30 Toray Ind Inc スクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントおよびその製造方法
JP2003213527A (ja) * 2002-01-16 2003-07-30 Toray Ind Inc スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントおよび製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003213527A (ja) * 2002-01-16 2003-07-30 Toray Ind Inc スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントおよび製造方法
JP2003213528A (ja) * 2002-01-21 2003-07-30 Toray Ind Inc スクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントおよびその製造方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008101288A (ja) * 2006-10-18 2008-05-01 Teijin Fibers Ltd 寸法安定性に優れたスクリーン紗用モノフィラメント
JP2008101289A (ja) * 2006-10-18 2008-05-01 Teijin Fibers Ltd 制電性に優れたスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント
JP2008101290A (ja) * 2006-10-18 2008-05-01 Teijin Fibers Ltd スクリーン紗用モノフィラメント
WO2010035640A1 (ja) 2008-09-26 2010-04-01 東レ株式会社 ポリエステルモノフィラメント、およびその製造方法、ならびにそれを用いたスクリーン紗の製造方法
JP2010077563A (ja) * 2008-09-26 2010-04-08 Toray Ind Inc ポリエステルモノフィラメント
CN102165110A (zh) * 2008-09-26 2011-08-24 东丽株式会社 聚酯单丝、其制造方法以及使用其的丝网制造方法
JP2012117196A (ja) * 2012-01-06 2012-06-21 Teijin Fibers Ltd スクリーン紗用モノフィラメント
JP2020143403A (ja) * 2019-03-07 2020-09-10 東レ株式会社 ハイメッシュスクリーン紗用複合ポリエステルモノフィラメントおよびその製造方法
JP7392266B2 (ja) 2019-03-07 2023-12-06 東レ株式会社 ハイメッシュスクリーン紗用複合ポリエステルモノフィラメントおよびその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101542439B1 (ko) 폴리에스테르 모노필라멘트, 그 제조방법, 및 그것을 사용한 스크린사의 제조방법
WO2016052269A1 (ja) ポリエステルフィラメントパッケージ
WO2007013270A1 (ja) (原着)ポリエステルモノフィラメント
JP2005240266A (ja) スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント
JP3778088B2 (ja) スクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントおよびその製造方法
JP2004232182A (ja) スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント及びその製造方法
WO2020067224A1 (ja) スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントおよびダイレクトデジタル製版用メッシュ織物
JP2007113151A (ja) スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの溶融紡糸方法及びスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント
JP2009084712A (ja) 細繊度ポリエステルモノフィラメントの紡糸方法
JP2005047020A (ja) スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント
JP3778086B2 (ja) スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントおよび製造方法
JP2024053157A (ja) 高精細スクリーン印刷用芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント
JP7392266B2 (ja) ハイメッシュスクリーン紗用複合ポリエステルモノフィラメントおよびその製造方法
JP5633104B2 (ja) 細繊度ポリエステルモノフィラメントの製造方法
JP2012117196A (ja) スクリーン紗用モノフィラメント
JP2006169680A (ja) スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの製造方法およびモノフィラメント。
JP2007332504A (ja) スクリーン紗用三層芯鞘複合ポリエステルモノフィラメント
JPWO2019107111A1 (ja) 高強力細繊度ポリエステルマルチフィラメント
JP2010221486A (ja) スクリーン紗
JP2008231590A (ja) スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの製造方法およびスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント
JP2004211221A (ja) スクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントおよびその製造方法ならびにスクリーン印刷用メッシュ織物
JP2005194669A (ja) ポリエステルモノフィラメント
JP2010077563A (ja) ポリエステルモノフィラメント
JP2022041904A (ja) ハイメッシュスクリーン紗用芯鞘型複合モノフィラメントおよびその製造方法
JP7045297B2 (ja) スクリーン紗用モノフィラメント及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20070809

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100114

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20100126

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Effective date: 20100601

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02