JP2005060540A - ポリカーボネート共重合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 優れた耐熱性、剛性を有し、溶融流動性が向上することで成形性の改善されたポリカーボネート共重合体を提供する。
【解決手段】 全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モル%が特定式で表されるフルオレン系ビスフェノールであり、95〜5モル%が特定式で表されるジヒドロキシ成分からなるポリカーボネート共重合体であって、該ポリカーボネート共重合体のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、
T = Tg+140 (℃)
におけるメルトボリュームレート(MVRT)、該ポリカーボネート共重合体を塩化メチレンに溶解した溶液での20℃における比粘度(ηsp)が下記式を満足することを特徴とする高耐熱性、高流動性ポリカーボネート共重合体。
2.5 ≦ [log(MVRT)+1.3]/ηsp ≦ 10.0
【選択図】 なし
【解決手段】 全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モル%が特定式で表されるフルオレン系ビスフェノールであり、95〜5モル%が特定式で表されるジヒドロキシ成分からなるポリカーボネート共重合体であって、該ポリカーボネート共重合体のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、
T = Tg+140 (℃)
におけるメルトボリュームレート(MVRT)、該ポリカーボネート共重合体を塩化メチレンに溶解した溶液での20℃における比粘度(ηsp)が下記式を満足することを特徴とする高耐熱性、高流動性ポリカーボネート共重合体。
2.5 ≦ [log(MVRT)+1.3]/ηsp ≦ 10.0
【選択図】 なし
Description
本発明は、高耐熱且つ高流動なポリカーボネート共重合体に関する。さらに詳しくは優れた耐熱性、剛性を有する、溶融流動性が向上することで成形性の改善されたポリカーボネート共重合体に関する。
従来、ビスフェノールAにカーボネート前駆物質を反応させて得られるポリカーボネート樹脂は透明性、耐熱性、機械的特性、寸法安定性が優れているがゆえにエンジニアリングプラスチックとして多くの分野に広く使用されている。
近年、軽薄短小化が進み、更なる耐熱性の向上と共に、高い溶融流動性を持ったポリカーボネート樹脂が求められている。
近年、軽薄短小化が進み、更なる耐熱性の向上と共に、高い溶融流動性を持ったポリカーボネート樹脂が求められている。
ポリカーボネート樹脂の耐熱性、剛性を向上するためには、一般的に嵩高い動きにくい構造を有するビスフェノール類を用いる方法があり、種々のポリカーボネート樹脂が提案されている。中でも、特定のフルオレン構造を有するポリカーボネート樹脂が提案されている(例えば特許文献1,2参照)。しかしながら、これらの構造を有するポリカーボネート樹脂は、耐熱性が高くなる一方で溶融流動性が低くなるため、高い耐熱性と溶融流動性を併せ持つ樹脂を得ることは非常に困難であった。
特開平11−174424号公報
特開平8−134198号公報
本発明の目的は、優れた耐熱性を持ち、且つ溶融流動性の良好なポリカーボネート樹脂を提供することにある。耐熱性と溶融流動性を兼ね備えているということは、成形性に対して非常に重要であり、また押出や成形時のヤケを防止する観点からも極めて重要となる。
本発明者はこの目的を達成せんとして鋭意研究を重ねた結果、特定の二価フェノールを使用して合成された芳香族ポリカーボネート共重合体のガラス転移温度+140℃におけるメルトボリュームレートと、そのポリマーを塩化メチレンに溶解した溶液での20℃における比粘度からなる計算式の値を特定範囲に制御することによって、上記目的を達成することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モル%が下記一般式[1]、
で表されるジヒドロキシ成分からなるポリカーボネート共重合体であって、そのポリマーのガラス転移温度をTg(℃)としたとき、
T = Tg+140 (℃)
におけるメルトボリュームレート(MVRT)、ポリマーを塩化メチレンに溶解した溶液での20℃における比粘度(ηsp)が下記式を満足することを特徴とする高耐熱且つ高流動なポリカーボネート共重合体が提供される。
2.5 ≦ [log(MVRT)+1.3]/ηsp ≦ 10.0
この関係式は
3.5 ≦ [log(MVRT)+1.3]/ηsp ≦ 9.0
が好ましく、
4.0 ≦ [log(MVRT)+1.3]/ηsp ≦ 8.5
であることが更に好ましい。
[log(MVRT)+1.3]/ηsp の値が2.5よりも小さい場合は、樹脂の溶融流動性が低く、成形が困難となるため好ましくない。また10.0よりも大きい場合は、耐熱性が低く、また樹脂の衝撃強度が低くなる為、成形品が割れやすくなり好ましくない。
本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体は、そのポリマーを塩化メチレンに溶解した溶液での20℃における比粘度をηspとしたとき、
0.18 ≦ ηsp ≦ 0.50
であることが好ましい。より好ましくは、
0.20 ≦ ηsp ≦ 0.45
である。
0.18 ≦ ηsp ≦ 0.50
であることが好ましい。より好ましくは、
0.20 ≦ ηsp ≦ 0.45
である。
ηspが0.18よりも小さい場合、樹脂が脆く、成形品が非常に割れやすくなるため好ましくない。ηspが0.50よりも大きい場合、樹脂の溶融流動性が非常に低くなり、成形が困難となるため好ましくない。
本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体は、それを構成する芳香族ジヒドロキシ成分として、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンが全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モル%、好ましくは10〜95モル%、さらに好ましくは30〜85モル%である。5モル%未満の場合、本発明の目的である耐熱用材料として不満足な性質となり好ましくない。
前記9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンは、その10gをエタノール50mlに溶解した溶液を光路長30mmで測定したb値が好ましくは6.0以下、より好ましくは5.5以下であり、さらに好ましくは5.0以下である。b値が上記範囲内であれば、得られるポリカーボネート共重合体から形成される成形体は色相および強度が高く、延伸フィルム特性も良好となり好ましい。
通常、この9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンはo−クレゾールとフルオレノンの反応によって得られる。前記特定のb値を有する9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンは、特定の処理を行い不純物を除去することによって得ることができる。具体的には、o−クレゾールとフルオレノンの反応後に、未反応のo−クレゾールを留去した後、残さをアルコール系、ケトン系またはベンゼン誘導体系の溶媒に溶解し、これに活性白土または活性炭を加えてろ過後、ろ液から結晶化した生成物をろ過して精製された9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンを得ることができる。除去される不純物としては、2,4′−ジヒドロキシ体、2,2′−ジヒドロキシ体および構造不明の不純物等である。かかる精製に用いるアルコール系の溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール、ケトン系の溶媒としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン等の低級脂肪族ケトン類およびこれらの混合物が好ましく、ベンゼン誘導体系の溶媒としてはトルエン、キシレン、ベンゼンおよびこれらの混合物が好ましい。溶媒の使用量はフルオレン化合物が十分に溶解する量であれば足り、通常フルオレン化合物に対して2〜10倍量程度である。活性白土としては市販されている粉末状または粒状のシリカ−アルミナを主成分とするものが用いられる。また、活性炭としては市販されている粉末状または粒状のものが用いられる。
本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体において用いられる上記一般式[2]で示される他のジヒドロキシ成分としては、通常芳香族ポリカーボネートのジヒドロキシ成分として使用されているものであればよく、例えばハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールE)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサンなどが挙げられ、なかでもビスフェノールA、ビスフェノールZ、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールMが好ましく、特にビスフェノールAが好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体は、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えば芳香族ジヒドロキシ成分にホスゲンや炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆物質として、例えばホスゲンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物が用いられる。溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。
また、反応を促進するために通常エステル交換反応に使用される触媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体は、その重合反応において、末端停止剤として通常使用される単官能フェノール類を使用することができる。殊にカーボネート前駆物質としてホスゲンを使用する反応の場合、単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られた芳香族ポリカーボネート共重合体は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。
かかる単官能フェノール類としては、芳香族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤として使用されるものであればよく、一般にはフェノール或いは低級アルキル置換フェノールであって、下記一般式で表される単官能フェノール類を示すことができる。
前記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
また、他の単官能フェノール類としては、長鎖のアルキル基或いは脂肪族エステル基を置換基として有するフェノール類または安息香酸クロライド類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類を使用することができ、これらを用いて芳香族ポリカーボネート共重合体の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性が改良され、成形加工が容易となるばかりでなく、物性も改良される。特に樹脂の吸水率を低くする効果があり、好ましく使用される。これらは下記一般式[I−a]〜[I−h]で表される。
[前記一般式[I−a]〜[I−h]中、Xは−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、Tは単結合または上記Xと同様の結合を示し、nは10〜50の整数を示す。
Qはハロゲン原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基を示し、pは0〜4の整数を示し、Yは炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、W1は水素原子、−CO−R17、−CO−O−R18またはR19である、ここでR17、R18およびR19は、それぞれ炭素数1〜10、好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜8、好ましくは5〜6の一価の脂環族炭化水素基または炭素数6〜15、好ましくは6〜12の一価の芳香族炭化水素基を示す。
aは4〜20、好ましくは5〜10の整数を示し、mは1〜100、好ましくは3〜60、特に好ましくは4〜50の整数を示し、Zは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、W2は水素原子、炭素数1〜10、好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜8、好ましくは5〜6の一価の脂環族炭化水素基または炭素数6〜15、好ましくは6〜12の一価の芳香族炭化水素基を示す。]
Qはハロゲン原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基を示し、pは0〜4の整数を示し、Yは炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、W1は水素原子、−CO−R17、−CO−O−R18またはR19である、ここでR17、R18およびR19は、それぞれ炭素数1〜10、好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜8、好ましくは5〜6の一価の脂環族炭化水素基または炭素数6〜15、好ましくは6〜12の一価の芳香族炭化水素基を示す。
aは4〜20、好ましくは5〜10の整数を示し、mは1〜100、好ましくは3〜60、特に好ましくは4〜50の整数を示し、Zは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、W2は水素原子、炭素数1〜10、好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜8、好ましくは5〜6の一価の脂環族炭化水素基または炭素数6〜15、好ましくは6〜12の一価の芳香族炭化水素基を示す。]
これらのうち好ましいのは、[I−a]および[I−b]の置換フェノール類である。この[I−a]の置換フェノール類としては、nが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては、例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノールなどを挙げることができる。
また、[I−b]の置換フェノール類としてはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては、例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。
前記一般式[I−a]〜[I−g]で示される置換フェノール類または置換安息香酸クロライドにおいて置換基の位置は、p位またはo位が一般的に好ましく、その両者の混合物が好ましい。
前記単官能フェノール類は、得られた芳香族ポリカーボネート共重合体の全末端に対して少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%末端に導入されることが望ましく、また単官能フェノール類は単独でもしくは2種以上混合して使用してもよい。
また、本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体において、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンが、全芳香族ヒドロキシ成分の60モル%以上である場合は、樹脂の流動性が低下することがあり、そのため前記一般式[I−a]〜[I−g]で示される置換フェノール類または置換安息香酸クロライド類を末端停止剤として使用することが好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸あるいはその誘導体を共重合したポリエステルカーボネートであってもよい。また少量の3官能化合物を共重合した分岐ポリカーボネートであってもよい。
本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体は、そのガラス転移温度が160℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂には、離型剤、蛍光増白剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、抗菌剤等改質改良剤を適宜添加して用いることができる。
本発明において使用される蛍光増白剤は、合成樹脂等の色調を白色あるいは青白色に改善するために用いられるものであれば特に制限はなく、例えばスチルべン系、ベンズイミダゾール系、ナフタルイミド系、ローダミン系、クマリン系、オキサジン系化合物等が挙げられる。
本発明で用いられる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤またはベンゾフェノン系紫外線吸収剤が使用される。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−(4−メトキシ−α−クミル)−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
なかでも2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールが好ましく、更に2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。
トリアジン系の紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニルトリアジン系の例えば商品名チヌビン400(チバスペシャルティーケミカル社製)が好ましい。
ベンゾオキサジン系の紫外線吸収剤としては、2−メチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−ブチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−フェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(1−又は2−ナフチル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(4−ビフェニル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2,2’−ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2,2’−m−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2,6又は1,5−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、1,3,5−トリス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ベンゼンなどが挙げられるが、中でも2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)が好ましい。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられ、なかでも2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンが好ましい。これらの紫外線吸収剤は単独で用いても、二種以上併用してもよい。
これらの紫外線吸収剤は、ポリカーボネート樹脂と紫外線吸収剤との合計量を100重量%として0.01〜5重量%であり、好ましくは0.02〜3重量%であり、特に好ましくは0.05〜2重量%である。0.01重量%未満では紫外線吸収性能が不十分で、5重量%を超えると樹脂の色相が悪化することがあるので好ましくない。
本発明では、ブルーイング剤を用いてもよく、かかるブルーイング剤としては、例えばバイエル(株)製のマクロレックスバイオレット、三菱化学(株)製のダイアレジンバイオレット、ダイアレジンブルー、サンド(株)製のテラゾールブルー等が挙げられ、最も好適なものとしてマクロレックスバイオレットが挙げられる。これらのブルーイング剤は好ましくは0.1〜3ppm、より好ましくは0.3〜1.5ppm、最も好ましくは0.3〜1.2ppmの濃度で芳香族ポリカーボネート樹脂中に配合される。
本発明において、前記芳香族ポリカーボネート共重合体に必要に応じて、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸およびこれらのエステルよりなる群から選択された少なくとも1種のリン化合物を配合することができる。かかるリン化合物の配合量は、該芳香族ポリカーボネート共重合体に対して0.0001〜0.05重量%が好ましく、0.0005〜0.02重量%がより好ましく、0.001〜0.01重量%が特に好ましい。このリン化合物を配合することにより、かかる芳香族ポリカーボネート共重合体の熱安定性が向上し、成形時における分子量の低下や色相の悪化が防止される。
かかるリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸およびこれらのエステルよりなる群から選択される少なくとも1種のリン化合物であり、好ましくは下記一般式
[式中、R5〜R16は、それぞれ独立して、水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどの炭素数1〜20のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチルなどの炭素数6〜15のアリール基またはベンジル、フェネチルなどの炭素数7〜18のアラルキル基を表し、また1つの化合物中に2つのアルキル基が存在する場合は、その2つのアルキル基は互いに結合して環を形成していてもよい。]
よりなる群から選択された少なくとも1種のリン化合物である。
よりなる群から選択された少なくとも1種のリン化合物である。
上記(1)式で示されるリン化合物としては、例えばトリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
上記(2)式で示されるリン化合物としては、例えばトリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどが挙げられ、上記(3)式で示されるリン化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイトなどが挙げられ、また上記(4)式で示される化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピルなどが挙げられる。
これらのリン化合物のなかで、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイトが好ましく使用される。
本発明のポリカーボネート共重合体には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を添加することができる。その例としてはフェノール系酸化防止剤を示すことができ、具体的には例えばトリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の好ましい添加量の範囲はポリカーボネート共重合体に対して0.0001〜0.05重量%である。
さらに本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体には、必要に応じて一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステルを加えることもできる。
かかる高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルであるのが好ましい。また、かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、2−エチルヘキシルステアレートなどが挙げられ、なかでもステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレートが好ましく用いられる。
かかるアルコールと高級脂肪酸とのエステルの配合量は、該芳香族ポリカーボネート共重合体に対して0.01〜2重量%が好ましく、0.015〜0.5重量%がより好ましく、0.02〜0.2重量%がさらに好ましい。配合量がこの範囲内であれば離型性に優れ、また離型剤がマイグレートし金属表面に付着することもなく好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体には、さらに滑剤、充填剤などの添加剤や他のポリカーボネート樹脂、他の熱可塑性樹脂を本発明の目的を損なわない範囲で少割合添加することもできる。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から成形品を得る方法としては、射出成形、押し出し成形、ブロー成形等が用いられ、フィルムやシートを製造する方法としては、厚みの均一性に優れ、ゲル、ブツ、フィッシュアイ、スクラッチ等の光学欠点の生じない方法が好ましく、例えば溶融押出し法、カレンダー法等が挙げられる。溶融時の樹脂温度はTg+80℃〜450℃が好ましく、Tg+100℃〜400℃が特に好ましい。溶融時の樹脂温度がTg+80℃以下では、充分な溶融流動性を得ることができず、成形が困難となるため好ましくない。一方、450℃以上では、樹脂の分解が激しく、良好な成形品を得ることが困難となるため好ましくない。
かかる方法により製造された成形品は光透過性が高く、その上耐熱性、剛性が高く且つ高流動であるため、ソリやヤケが少なく、色調の優れた光学成形品に好適に用いられる。
本発明の高耐熱且つ高流動なポリカーボネート樹脂は、優れた耐熱性、剛性を持ち、且つ高い溶融流動性を有している。この樹脂を用いた場合、成形性が良好で、またヤケ等が少なく色相の良好な成形品を得ることができる等本発明がもたらす工業的効果は格別である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明する。実施例中の部は重量部であり、%は重量%である。なお、評価は下記の方法によった。
(1)比粘度:ポリマー0.7gを塩化メチレン100mlに溶解し20℃の温度で測定した。
(2)ガラス転移温度(Tg):ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)社製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定した。
(3)モノマー溶液のb値:試料10gを50mlのエタノールに溶解し光路長30mmの試料管にて日本電色(株)色差計300Aを用いて測定した。
(4)メルトボリュームレート(MVR):JIS K−7210に準拠して、テクノセブン(株)製L251−11型MFR測定機を用いて、Tg+140℃、荷重1.2kgで10分間に流出したポリマー量(cm3)で示した。
(5)成形性:各ペレットから射出成形機(住友重工 SG260M−HP)を用いて、厚み2mm、150mm角の平板を表1に示すシリンダ及び金型の設定温度にて成形した。シリンダの上限温度は400℃、金型の上限温度は135℃に設定した。成形条件を変更し、この基板を成形できたものについて○、樹脂が脆く成形品の取出し時に割れが発生するものについて×、条件を変更しても成形できないものについて××と評価した。
(6)成形品の色相: 成形性の評価にて作成した平板の黄色度(YI)を、日本電色(株)製分光色彩計SE−2000(光源:C/2)を用いて測定した。成形性の評価にて×あるいは××と評価されたものについても、評価可能な部分を使用して測定した。
(1)比粘度:ポリマー0.7gを塩化メチレン100mlに溶解し20℃の温度で測定した。
(2)ガラス転移温度(Tg):ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)社製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定した。
(3)モノマー溶液のb値:試料10gを50mlのエタノールに溶解し光路長30mmの試料管にて日本電色(株)色差計300Aを用いて測定した。
(4)メルトボリュームレート(MVR):JIS K−7210に準拠して、テクノセブン(株)製L251−11型MFR測定機を用いて、Tg+140℃、荷重1.2kgで10分間に流出したポリマー量(cm3)で示した。
(5)成形性:各ペレットから射出成形機(住友重工 SG260M−HP)を用いて、厚み2mm、150mm角の平板を表1に示すシリンダ及び金型の設定温度にて成形した。シリンダの上限温度は400℃、金型の上限温度は135℃に設定した。成形条件を変更し、この基板を成形できたものについて○、樹脂が脆く成形品の取出し時に割れが発生するものについて×、条件を変更しても成形できないものについて××と評価した。
(6)成形品の色相: 成形性の評価にて作成した平板の黄色度(YI)を、日本電色(株)製分光色彩計SE−2000(光源:C/2)を用いて測定した。成形性の評価にて×あるいは××と評価されたものについても、評価可能な部分を使用して測定した。
[実施例1]
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水21540部、48%水酸化ナトリウム水溶液4930部を入れ、エタノール溶液でのb値が3.0の9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)1292部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下“BPA”と略称することがある)3118部およびハイドロサルファイト15部を溶解した後、塩化メチレン14530部を加えた後撹拌下15〜25℃でホスゲン2200部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、クミルフェノール181.2部および48%水酸化ナトリウム水溶液705部を加え、乳化後、トリエチルアミン5.9部を加えて28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後、生成物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになったところで、ニーダーにて塩化メチレンを蒸発して、BCFとBPAの比がモル比で20:80の比粘度が0.298、Tgが165℃である黄白色のポリマー4740部を得た(収率95%)。
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水21540部、48%水酸化ナトリウム水溶液4930部を入れ、エタノール溶液でのb値が3.0の9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)1292部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下“BPA”と略称することがある)3118部およびハイドロサルファイト15部を溶解した後、塩化メチレン14530部を加えた後撹拌下15〜25℃でホスゲン2200部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、クミルフェノール181.2部および48%水酸化ナトリウム水溶液705部を加え、乳化後、トリエチルアミン5.9部を加えて28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後、生成物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになったところで、ニーダーにて塩化メチレンを蒸発して、BCFとBPAの比がモル比で20:80の比粘度が0.298、Tgが165℃である黄白色のポリマー4740部を得た(収率95%)。
このポリカーボネート樹脂粉粒体に、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイト0.050%、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.030%、ステアリン酸モノグリセリドを0.030%加えて、ベント付きφ30mm単軸押出機を用いてペレット化し、これを用いて成形性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1のBCFの使用量を3231部、BPAの使用量を1949部、クミルフェノールの使用量を163.1部とする以外は実施例1と同様にしてBCFとBPAの比がモル比で50:50であるポリマー5350部(収率94%)を得た。このポリマーの比粘度は0.297、Tgは197℃であった。このポリマー樹脂粉粒体を実施例1と同様にしてペレット化し、これを用いて成形性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1のBCFの使用量を3231部、BPAの使用量を1949部、クミルフェノールの使用量を163.1部とする以外は実施例1と同様にしてBCFとBPAの比がモル比で50:50であるポリマー5350部(収率94%)を得た。このポリマーの比粘度は0.297、Tgは197℃であった。このポリマー樹脂粉粒体を実施例1と同様にしてペレット化し、これを用いて成形性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1のBCFの使用量を4523部、BPAの使用量を1169部、クミルフェノールの使用量を174.0部とする以外は実施例1と同様にしてBCFとBPAの比がモル比で70:30であるポリマー5640部(収率90%)を得た。このポリマーの比粘度は0.263、Tgは216℃であった。このポリマー樹脂粉粒体を実施例1と同様にしてペレット化し、これを用いて成形性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1のBCFの使用量を4523部、BPAの使用量を1169部、クミルフェノールの使用量を174.0部とする以外は実施例1と同様にしてBCFとBPAの比がモル比で70:30であるポリマー5640部(収率90%)を得た。このポリマーの比粘度は0.263、Tgは216℃であった。このポリマー樹脂粉粒体を実施例1と同様にしてペレット化し、これを用いて成形性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1のクミルフェノールの代わりにドデシルフェノールを165.8部とする以外は実施例1と同様にしてBCFとBPAの比がモル比で20:80であるポリマー4760部(収率96%)を得た。このポリマーの比粘度は0.436、Tgは163℃であった。このポリマー樹脂粉粒体を実施例1と同様にしてペレット化し、これを用いて成形性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1のクミルフェノールの代わりにドデシルフェノールを165.8部とする以外は実施例1と同様にしてBCFとBPAの比がモル比で20:80であるポリマー4760部(収率96%)を得た。このポリマーの比粘度は0.436、Tgは163℃であった。このポリマー樹脂粉粒体を実施例1と同様にしてペレット化し、これを用いて成形性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1と同様の装置にイオン交換水32320部、48%水酸化ナトリウム4320部を入れ、BCF3394部、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(以下“BPM”と略称することがある)2071部およびハイドロサルファイト13部を溶解した後、塩化メチレン12720部を加え、攪拌下15〜20℃でホスゲン2000部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、クミルフェノール142.7部と48%水酸化ナトリウム水溶液617部を加え乳化後、トリエチルアミン3.8部を加えて、28〜33℃で1時間攪拌して反応を終了した。このものを実施例1と同様に処理してBCFとBPM構成単位のモル比が60:40であるポリマー5430部を得た(収率91%)。このポリマーの比粘度は0.280、Tgは185℃であった。このポリマー樹脂粉粒体を実施例1と同様にしてペレット化し、これを用いて成形性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1と同様の装置にイオン交換水32320部、48%水酸化ナトリウム4320部を入れ、BCF3394部、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(以下“BPM”と略称することがある)2071部およびハイドロサルファイト13部を溶解した後、塩化メチレン12720部を加え、攪拌下15〜20℃でホスゲン2000部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、クミルフェノール142.7部と48%水酸化ナトリウム水溶液617部を加え乳化後、トリエチルアミン3.8部を加えて、28〜33℃で1時間攪拌して反応を終了した。このものを実施例1と同様に処理してBCFとBPM構成単位のモル比が60:40であるポリマー5430部を得た(収率91%)。このポリマーの比粘度は0.280、Tgは185℃であった。このポリマー樹脂粉粒体を実施例1と同様にしてペレット化し、これを用いて成形性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1のクミルフェノールの使用量を224.7部とする以外は実施例1と同様にしてBCFとBPAの比がモル比で20:80であるポリマー4780部(収率95%)を得た。このポリマーの比粘度は0.245、Tgは159℃であった。このポリマー樹脂粉粒体を実施例1と同様にしてペレット化し、これを用いて成形性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1のクミルフェノールの使用量を224.7部とする以外は実施例1と同様にしてBCFとBPAの比がモル比で20:80であるポリマー4780部(収率95%)を得た。このポリマーの比粘度は0.245、Tgは159℃であった。このポリマー樹脂粉粒体を実施例1と同様にしてペレット化し、これを用いて成形性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例3のクミルフェノールの使用量を108.7部とする以外は実施例1と同様にしてBCFとBPAの比がモル比で70:30であるポリマー5850部(収率94%)を得た。このポリマーの比粘度は0.487、Tgは220℃であった。このポリマー樹脂粉粒体を実施例1と同様にしてペレット化し、これを用いて成形性の評価を行ったが、樹脂の溶融流動性が低く、どの様な成形条件においても良好な成形品を得ることはできなかった。結果を表1に示す。
実施例3のクミルフェノールの使用量を108.7部とする以外は実施例1と同様にしてBCFとBPAの比がモル比で70:30であるポリマー5850部(収率94%)を得た。このポリマーの比粘度は0.487、Tgは220℃であった。このポリマー樹脂粉粒体を実施例1と同様にしてペレット化し、これを用いて成形性の評価を行ったが、樹脂の溶融流動性が低く、どの様な成形条件においても良好な成形品を得ることはできなかった。結果を表1に示す。
Claims (9)
- 全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モル%が下記一般式[1]、
95〜5モル%が下記一般式[2]
で表されるジヒドロキシ成分からなるポリカーボネート共重合体であって、該ポリカーボネート共重合体のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、
T = Tg+140 (℃)
におけるメルトボリュームレート(MVRT)、該ポリカーボネート共重合体を塩化メチレンに溶解した溶液での20℃における比粘度(ηsp)が下記式を満足することを特徴とする高耐熱性、高流動性ポリカーボネート共重合体。
2.5 ≦ [log(MVRT)+1.3]/ηsp ≦ 10.0 - 該ポリカーボネート樹脂のηspが
0.18 ≦ ηsp ≦ 0.50
であることを特徴とする請求項1記載の高耐熱性、高流動性ポリカーボネート共重合体。 - 該フルオレン系ビスフェノールが9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンである請求項1または2記載の高耐熱性、高流動性芳香族ポリカーボネート共重合体。
- 前記9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンは、その10gをエタノール50mlに溶解した溶液を光路長30mmで測定したb値が6.0以下である請求項1〜3のいずれかに記載の高耐熱性、高流動性ポリカーボネート共重合体。
- 一般式[2]で表される化合物が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及び/又はα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンである請求項1〜3のいずれかに記載の高耐熱性、高流動性ポリカーボネート共重合体。
- 請求項1〜5記載のポリカーボネート共重合体からなる成形品。
- 成形品がピックアップレンズ、カメラレンズ、マイクロアレーレンズ、プロジェクターレンズ及びフレネルレンズなどのレンズ、プリズム及び光ファイバーなどの光路変換部品、リフローハンダ付け部品、光ディスク、プラスチックミラー、各種筐体、トレイ又は容器である請求項6記載の成形品。
- 請求項1〜5記載のポリカーボネート共重合体からなるフィルム又はシート。
- フィルム又はシートが位相差フィルム、プラセル基板、光ディスクの保護フィルム、導光板又は拡散板である請求項8記載のフィルム又はシート。
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-
2003
- 2003-08-13 JP JP2003292825A patent/JP2005060540A/ja active Pending
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