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JP2005059556A - 水圧転写方法 - Google Patents

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JP2005059556A
JP2005059556A JP2003296400A JP2003296400A JP2005059556A JP 2005059556 A JP2005059556 A JP 2005059556A JP 2003296400 A JP2003296400 A JP 2003296400A JP 2003296400 A JP2003296400 A JP 2003296400A JP 2005059556 A JP2005059556 A JP 2005059556A
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Takanori Isozaki
孝徳 磯▲ざき▼
Shintaro Hikasa
慎太郎 日笠
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

【課題】 凹凸のある立体面や曲面を有する成形体の表面に、高精細な柄を有する印刷層を形成することができる水圧転写方法を提供する。
【解決手段】 ポリビニルアルコール系重合体からなる基材フィルム上に印刷層を形成してなる水圧転写用フィルムを印刷面を上にして30〜180秒間水面に浮かべた後、印刷面の上に5〜50g/mの量の活性剤を塗布し、その1〜60秒後に被転写体を前記印刷面に押圧しながら全部または一部を水中に沈降させて液圧により印刷層を被転写体に転写することを特徴とする水圧転写方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリビニルアルコール系重合体からなる基材フィルムに印刷層を形成してなる水圧転写用フィルムを用いて、凹凸のある立体面や曲面を有する成形体の表面に印刷層を形成する水圧転写方法に関する。
非平面形状の成形体の表面に印刷を施す方法として、一般に、印刷層が形成された水圧転写用フィルムをその印刷面を上にして水面に浮かべ、十分膨潤させてから、被転写体である成形体を水中に向けて上方から押しつけ、被転写体の表面に印刷層を転写させるという方法が採用されている(例えば、特許文献1、特許文献2など)。このような水圧転写用フィルムには、従来よりポリビニルアルコール系重合体(以下、ポリビニルアルコール系重合体を「PVA」、ポリビニルアルコール系重合体フィルムを「PVAフィルム」と略称することがある)等の水溶性又は水膨潤性の樹脂を原料としたフィルムが基材フィルムとして用いられている。この用途に用いられる基材フィルムには、印刷適性が優れていること、水面に浮かべたときに膨潤すること、および被転写体へのつきまわり性を有することなどが必要とされ、そのような要求に応えた基材フィルムが過去に提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4など)。
従来採用されている水圧転写方法は、水圧転写用フィルムに活性剤を塗布した後に水面に浮かべるため、水圧転写用フィルムが水溶液によって膨潤すると同時に印刷層も水圧転写用フィルムの膨潤の影響を受け、印刷柄が膨張しやすい、水圧転写用フィルムに印刷された柄と被転写体に転写された柄が相違し、特に印刷柄の膨張によりピントボケの印象を与える場合があり、鮮明で高精細な柄を転写することができないという問題を抱えていた。
また、水圧転写用フィルムを水面に浮かべた後に活性剤を塗布する方法が提案されている(例えば、特許文献5)が、水圧転写用フィルムを水面に浮かべる時間や活性剤を塗布してから被転写体に転写するまでの時間を制御すること等については全く配慮されておらず、高精細な柄を転写するという技術はこれまで知られていなかったと言っても過言ではない。
この発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
特開昭51−21914号公報 特開昭54−33115号公報 特開昭54−92406号公報 特開昭54−150208号公報 特開昭58−191187号公報
本発明の目的は、ポリビニルアルコール系重合体からなる基材フィルムに印刷層を形成してなる水圧転写用フィルムを用いて、凹凸のある立体面や曲面を有する成形体の表面に、高精細な柄を有する印刷層を形成する水圧転写方法を提供することにある。
本発明者らによる検討の結果、上記課題は、ポリビニルアルコール系重合体からなる基材フィルム上に印刷層を形成してなる水圧転写用フィルムを用い、印刷面を上にして特定の時間水面に浮かべた後、印刷面の上に特定量の活性剤を塗布し、さらに特定の時間が経過した後に被転写体に転写することにより解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリビニルアルコール系重合体からなる基材フィルム上に印刷層を形成してなる水圧転写用フィルムを印刷面を上にして30〜180秒間水面に浮かべた後、印刷面の上に5〜50g/mの量の活性剤を塗布し、その1〜60秒後に被転写体を前記印刷面に押圧しながら全部または一部を水中に沈降させて液圧により印刷層を被転写体に転写することを特徴とする水圧転写方法に関する。
本発明の水圧転写方法によれば、凹凸を有する非平面形状の成形体の表面に、高精細な柄を鮮明に印刷することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において用いられるポリビニルアルコール系重合体は、未変性のPVAであっても、あるいはPVAの主鎖中にエチレン、プロピレンなどのオレフィン類、アクリル酸およびアクリル酸エステル類、メタクリル酸およびメタクリル酸エステル類、アクリルアミド誘導体、メタクリルアミド誘導体、ビニルエーテル類、ハロゲン化ビニル、アリル化合物、マレイン酸およびその塩またはエステル類、ビニルシリル化合物などのモノマーが1種類又は2種類以上共重合された変性PVAであってもよい。これらのモノマーによる変性量は通常25モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。モノマーによる変性量が25モル%を超えると、基材フィルムと印刷層との親和性などが低下する恐れがある。
本発明において、PVAの重合度は好ましくは500〜4000であり、より好ましくは700〜3000、さらに好ましくは1000〜2500である。PVAの重合度が500未満の場合には、基材フィルムとしての機械強度が不足する場合がある。一方、PVAの重合度が4000を超えると、生産効率が低下する場合があり、また、水溶性が低下するため、水圧転写用フィルムとして経済的な水圧転写速度が得られない場合がある。
PVAのケン化度は好ましくは80〜99モル%であり、より好ましくは85〜90モル%である。PVAのケン化度が80モル%未満の場合には、PVAフィルムの水に溶解する速度が低下したり、水に不溶化したりして、転写工程における水圧転写用フィルムの通過性(以下、「工程通過性」と略称することがある)が悪化する場合がある。
本発明において用いられる基材フィルムは、PVAを含有する製膜原料を流延法、押出法等により製膜することにより製造することができる。
本発明において用いられる基材フィルムは、印刷層を形成した水圧転写用フィルムのフィルムの外観を向上させたり、基材フィルムの表面のスリップ性を向上させる目的で、基材フィルムの表面にマット処理が施されていることが好ましい。マット処理を施す方法として、基材フィルムを製膜する際に、マット面を有する金属製ロール、金属板、ベルトなどを用いて該フィルムに転写させるオンラインマット処理法、基材フィルムを一旦ロールに巻き取った後にエンボス処理を施す方法などが挙げられる。マット処理が施された基材フィルムの表面粗さは、Raが0.5μm以上であるのが好ましく、1μm以上がより好ましい。表面粗さのRmaxは1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。
本発明において用いられる基材フィルムの長さおよび幅について特に制限はないが、長さの下限としては、基材フィルムの印刷時の生産性の観点から1m以上が好ましく、100m以上がより好ましく、1000m以上がさらに好ましい。幅の下限としては、0.5m以上が好ましく、0.8m以上がより好ましく、1m以上がさらに好ましい。基材フィルムの幅が0.5mより小さいと、印刷時の生産性が低下することがある。基材フィルムの幅の上限は4m以下が好ましく、3m以下がより好ましい。幅が4mを超えると、均一な厚みを有する水圧転写用フィルムの生産が困難になる。
本発明において用いられる基材フィルムには、柔軟性を付与する目的で、可塑剤が含まれていることが好ましい。使用される可塑剤はPVAに可塑性を付与する物質であれば特に制限はないが、グリセリン、ジグリセリン、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコール系可塑剤が好ましく、特にグリセリンが好ましい。可塑剤の添加量は、PVA100重量部に対して、好ましくは20重量部以下であり、より好ましくは15重量部以下である。可塑剤の添加量が20重量部を超えると、ブロッキングが生じる恐れがある。
また、本発明において用いられる基材フィルムには、本発明の目的を阻害しない範囲で、基材フィルムに印刷層を形成する際に必要な機械的強度、水圧転写用フィルムを取扱う際の耐湿性、水面に浮かべた水圧転写用フィルムの吸水による柔軟化の速度、水中での延展性、水中での拡散に要する時間、転写工程での変形の容易さ等を調節することを目的として、澱粉、前記したPVA以外の水溶性高分子などが含まれていてもよい。
この目的に使用される澱粉としては、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、コムギ澱粉、コメ澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉等の天然澱粉類;エーテル化加工、エステル化加工、酸化加工などが施された加工澱粉類を挙げることができ、特に加工澱粉類が好ましい。澱粉の添加量は、PVA100重量部に対して、好ましくは15重量部以下であり、10重量部以下がより好ましい。澱粉の添加量が15重量部を超えると、水圧転写用フィルムの耐衝撃性が低下して、脆くなるため、工程通過性が低下する恐れがある。
水溶性高分子としては、デキストリン、ゼラチン、にかわ、カゼイン、シェラック、アラビアゴム、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルメチルエーテル、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸の共重合体、酢酸ビニルとイタコン酸の共重合体、ポリビニルピロリドン、セルロース、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ソーダなどを挙げることができる。水溶性高分子の添加量は、PVA100重量部に対して、好ましくは15重量部以下であり、10重量部以下がより好ましい。水溶性高分子の添加量が15重量部を超えると、水圧転写時のフィルムの溶解性や分散性が悪化する恐れがある。
また、本発明において用いられる基材フィルムには、本発明の目的を阻害しない範囲で、水面に浮かべてからの吸水による柔軟化の速度、水中での延展性、水中での拡散に要する時間を調節する目的で、無機塩類や界面活性剤などの添加剤を添加することができる。
無機塩類としては特に制限はなく、例えばホウ酸やホウ砂などが挙げられる。無機塩類の添加量は、PVA100重量部に対して、好ましくは5重量部以下であり、1重量部以下がより好ましい。5重量部を超えると、基材フィルムの水溶性が著しく低下する。
界面活性剤としては特に制限はないが、水圧転写用シートの水面での延展性、および印刷面の寸法安定性の観点からノニオン性界面活性剤が好適である。界面活性剤の添加量は、印刷層のベースフィルムへの密着性などの点から、PVA100重量部に対して、好ましくは5重量部以下であり、より好ましくは1重量部以下である。
さらに、本発明において用いられる基材フィルムには、本発明の目的を阻害しない範囲で、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤などを添加することもできる。これらの添加剤の添加量は、通常PVA100重量部に対して、好ましくは10重量部以下であり、より好ましくは5重量部以下である。添加剤の添加量が10重量部を超えると、基材フィルムの耐衝撃性が悪化する恐れがある。
本発明において、基材フィルム上に印刷層を設けることにより水圧転写用フィルムを製造するには、グラビア印刷、凸版印刷、ロールコートなどの印刷方式が採用される。その際に用いられる印刷インキとしては、非水溶性樹脂からなるバインダー、染料、顔料等の着色剤および溶剤からなる印刷インキが好適に用いられる。非水溶性樹脂としては、硝酸セルロース、アルキド樹脂などが挙げられ、これらは混合して用いてもよい。溶剤としては、トルエン、酢酸エチル、イソプロピルアルコールなどが挙げられ、これらは混合して用いてもよい。
本発明において、水圧転写用フィルムを製造するにあたり、インキ層に硝酸セルロースを含ませるか、又は基材フィルムと印刷層との間に硝酸セルロースからなる層を設けるのが好ましく、これにより水圧転写用フィルムを水面に浮かべたときの膨潤が抑制され、その結果、高精細な柄を被転写体に鮮明に転写することが可能になる。硝酸セルロースを含むインキ層は、平面状に連続していることが好ましい。基材フィルムと印刷層との間に設けられる硝酸セルロースからなる層は、平面状に連続する層であることが好ましく、また、硝酸セルロースを含むインキ層も、平面状に連続していることが好ましい。
本発明において硝酸セルロースは、窒素量が10〜12%のものが好ましく用いられる。硝酸セルロースを印刷インキの成分として用いる場合の溶剤としては、酢酸エチル、イソブチルメチルケトン、セロソルブ、ブチルセロソルブなどが挙げられる。硝酸セルロースを印刷インキの成分として用いる場合、印刷インキは、インキの総量を100重量%とすると、硝酸セルロース1〜25重量%、溶剤30〜99重量%、バインダー0〜30重量からなることが好ましい。
公知の方法にしたがい、硝酸セルロースを含むコート液を基材フィルム上に被覆することにより、基材フィルム上に硝酸セルロースからなる層を設けることができる。コート液を調製するのに用いることができる溶剤としては、酢酸エチル、イソブチルメチルエチルケトン、セルソルブ、ブチルセロソルブなどが挙げられる。基材フィルム上にコート液を被覆する方法としては、例えば、グラビアロールコーティング、マイヤーバーコーティング、リバースロールコーティング、エアーナイフコーティング、スプレー方式等が挙げられるが、均一な層を形成することができるのであれば、その方法は特に限定されない。硝酸セルロースからなる層は水圧転写用フィルムの膨張率を制御するため、平面状に連続した層であることが好ましい。
硝酸セルロースからなる層は、基材フィルムの片面又は両面に設けることができる。印刷層と基材フィルムとの親和性の観点からは、硝酸セルロースからなる層を片面に設けるだけで十分であるが、水圧転写用フィルムのカール性やブロッキング防止性などを考慮した工程通過性の点から両面に設けた方が有利な場合がある。
コート液には、水圧転写用フィルムの本来の性能が損なわれるのでなければ、目的に合わせて、防錆剤、防かび剤、粘度安定剤、界面活性剤、スリップ剤などが添加されていてもよい。特にシリカなどの無機系充填剤等のスリップ剤を添加することは、印刷層の印刷性を向上させる観点から好ましい。
基材フィルムと印刷層との間に設けられる硝酸セルロースからなる被覆層の厚みは、好ましくは0.05〜20μmであり、0.1〜10μmが好適である。被覆層の厚みが20μmを超えると、コスト面で不利となる。
基材フィルム上に設けられた硝酸セルロース樹脂からなる層に印刷を施すには、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、ロールコート等の従来公知の印刷方式を採用することができる。印刷インキとしては、従来公知のものを用いることができるが、硝酸セルロース樹脂を含んでいることが好ましい。
水圧転写用フィルムの厚みは、その水溶性と工程通過性とのバランスを考慮して適宜決定すればよいが、通常10〜100μmであり、好ましくは20〜80μm、より好ましくは30〜50μmである。厚みが10μm未満であると、フィルム強度が不足して、工程通過性が低下することがある。また、100μmを超えると、フィルムの水溶性が低下して、結果的に生産効率が低下する場合がある。
本発明において、水圧転写用フィルムを浮かべるのに用いられる水は、ケン化度80〜99モル%のポリビニルアルコール系重合体の含有量が0.01〜7.0重量%、好ましくは0.5〜3.0重量%の水溶液であることが、水面上での水圧転写用フィルムの安定性の点から好ましい。この場合、ポリビニルアルコール系重合体の含有量が7.0重量%を超えると、水溶液の粘度が上昇して、被転写体への転写を行うのが困難になる場合がある。
本発明において、水圧転写用フィルムはその印刷面を上にして30〜180秒間、好ましくは40〜120秒間水面に浮かべ、フィルムが膨潤して寸法変化しようとする応力が減少した後、印刷面の上に活性剤が塗布される。水圧転写用フィルムを水面に浮かべる時間が30秒よりも短いと、水圧転写用フィルムの膨潤が不十分となり、活性剤を塗布した後の転写によって柄が被転写体の凹凸に十分追随できないで、高精細に転写できない場合がある。180秒よりも長いと、水圧転写用フィルムの膨潤が進み過ぎて一部溶解し、印刷層の定着性が低下するため、活性剤を塗布した後の転写によって柄が広がって、被転写体に高精細な柄を転写できなくなる場合がある。
水面に浮かべられた水圧転写用フィルムの印刷面の上に塗布される活性剤としては、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ブチルメタクリレート、ジブチルフタレート、硫酸バリウムなどが挙げられる。活性剤の塗布量は5〜50g/mであることが必要であり、8〜30g/mであることが特に好ましい。活性剤の塗布量が5g/m未満の場合、印刷面を被転写物に転写できなくなり、活性剤の塗布量が50g/mを超えると、印刷面が膨潤し過ぎて印刷柄が広がる恐れがある。
本発明において、活性剤は、水圧転写用フィルムを印刷面を上にして所定の時間水面に浮かべた後、印刷面の上に塗布することが重要である。水圧転写用フィルムに活性剤を塗布した後に水面に浮かべると、水圧転写用フィルムが全体的に膨潤し、徐々に広がる挙動を示すため、印刷柄も徐々に広がり、水圧転写用フィルムに印刷された柄をほぼ同一サイズで被転写体に転写することは困難になる。
印刷面の上に活性剤を塗布した1〜60秒後、好ましくは5〜20秒後に、被転写体を印刷面に押圧しながら全部または一部を水中に沈降させて液圧により印刷層を被転写体に転写する。このように印刷面の上に活性剤を塗布した後、印刷柄が広がる前の短時間で、被転写体を印刷面に押圧する操作を行うことにより、高精細な柄を転写することが可能になる。
水圧転写用フィルムを印刷面を上にして30〜180秒間水面に浮かべた後、印刷面の上に5〜50g/mの量の活性剤を塗布し、その1〜60秒後に被転写物を前記印刷面に押圧しながら全部または一部を水中に沈降させて液圧により印刷層を被転写体に転写するという本発明の水圧転写方法によれば、水圧転写用フィルムを水面に浮かべたときの膨張率(L/L)を、好ましくは1.00〜1.20、より好ましくは1.00〜1.10の範囲に抑えることができる。本発明によれば、水圧転写用フィルムを水面に浮かべたときの膨張率をこのような小さい値に抑えることができ、その結果、高繊細な柄を被転写体に転写することができる。
なお、ここで、Lは、正方形に切り取った水圧転写用フィルムを水面に浮かべる前の一辺の長さ、Lは、その水圧転写用フィルムを水面に浮かべた後、被転写体に転写するときの一辺の長さである。
さらに、本発明によれば、前述のとおり、基材フィルム上に硝酸セルロースを含むインキ層を設けるか、又は基材フィルムと印刷層との間に硝酸セルロースからなる層を設けた水圧転写用フィルムを用いる場合には、水圧転写用フィルムを水面に浮かべたときの膨潤が抑制されるため、水面に浮かべたときの膨張率(L/L)をより小さい値に抑えることができる。
本発明の水圧転写方法は、木、合板、パーティクルボードなどの木質基材;各種プラスチック類;パルプセメント板、スレート板、石綿セメント板、GRC(ガラス繊維補強セメント)などの繊維セメント板;石膏ボード、珪酸カルシウム板、珪酸マグネシウム板、コンクリートなどの無機質板状物;鉄、銅、アルミニウムならなる金属板;およびこれらの複合物に適用することができる。被転写体の表面の形状は平坦であっても、粗面であっても、あるいは凹凸形状を有していてもよいが、凹凸のある立体面や曲面を有する成形体の表面に印刷層を形成するのに好ましく適用される。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれによって何ら限定を受けるものではない。
重合度2050、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール100重量部、グリセリン5重量部、エーテル化澱粉5重量部、およびホウ酸0.3%からなる15%水溶液を、マット面を有する表面温度が90℃のステンレス製の金属板上に流延し、製膜することにより、厚さ40μmのマット処理した基材フィルムを得た。これとは別に、窒素量12%の硝酸セルロースを酢酸エチルに溶解することにより、固形分30%のコート液を調製した。
基材フィルムのマット面の反対側に、コート液をダイレクト・グラビアロールコータ−を用いて速度75m/分で塗布した後、100℃に温度を設定した乾燥機で乾燥を行い、硝酸セルロースからなる層が被覆された、厚みが43μmのフィルムを得た。
このようにして得られたフィルムの、硝酸セルロースからなる層の被覆面に、顔料(茶色)/アルキド樹脂/トルエン/酢酸エチル/イソプロピルアルコール=10/20/20/30/20(重量比)からなるグラビアインキを用いて10mm角の格子柄を印刷し、水圧転写用フィルムを得た。水圧転写用フィルムについて印刷抜けは認められず、また、意匠のにじみも見られなかった。
水圧転写用フィルムをロール状に巻き取り、20℃、65%RHの雰囲気下で1週間保管したが、印刷層の剥離は認められなかった。
重合度2050、ケン化度88モル%のポリビニルアルコールを1.0重量%含有する水温が28℃の水溶液の水面に、水圧転写用フィルムの印刷面が上面になるようにして浮かべ、1分30秒後に活性剤(ブチルセロソルブアセテート26重量部、ブチルカルビトールアセテート26重量部、ブチルメタクリレート8重量部、ジブチルフタレート20重量部、硫酸バリウム20重量部の混合物)をスプレー塗工法により13g/mの量で塗布した。
活性剤を塗布して10秒後に、15cm角のABS樹脂製の平板状成形体を水面と平行になるようにして上方から押し当て、該成形体の表面に転写用シートを密着させた。この時の水圧転写フィルムの膨張率(L/L)は1.07であった。次いで、表面に水圧転写シートが延展、密着しているABS樹脂製成形体を水中から引き出し、40℃の温水で30分間シャワー洗浄した後、さらに蒸留水でシャワー洗浄し、水圧転写用フィルムのフィルム基材を除去し、乾燥させて、転写層を有するABS樹脂製成形体を得た。
フィルム基材は容易に除去することができ、また得られたABS樹脂製成形体について、転写された格子柄のピッチを確認したところ、中央部における10cm角内の格子柄は11mm角であり、高繊細な柄を転写することができた。また、印刷抜けも認められなかった。
重合度2050、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール100重量部、グリセリン5重量部、エーテル化澱粉5重量部、およびホウ酸0.3%からなる15%水溶液を、マット面を有する表面温度が90℃のステンレス製の金属板上に流延し、製膜することにより、厚さ40μmのマット処理した基材フィルムを得た。
得られた基材フィルムのマット面の反対側に、実施例1で用いたグラビアインキに、さらに硝酸セルロース100重量部とアルキド樹脂25重量部との混合樹脂を30重量%添加したインキを用いて、10mm角の格子柄を印刷し、水圧転写用フィルムを得た。
水圧転写用フィルムをロール状に巻き取り、20℃、65%RHの雰囲気下で1週間保管したが、印刷層の剥離は認められなかった。
活性剤を塗布して15秒後に、ABS樹脂製成形体を押し当てた以外は実施例1と同様にして、成形体への転写を行った。水圧転写用フィルムの膨張率(L/L)は1.10であった。
得られたABS樹脂製成形体について、転写された格子柄のピッチを確認したところ、中央部における10cm角内の格子柄は11mm角であり、高繊細な柄を転写することができた。また、印刷抜けも認められなかった。
比較例1
実施例1で用いたのと同じ水圧転写用フィルムを用い、これに実施例1で用いたのと同じ活性剤を塗布した後、重合度2050、ケン化度88モル%のポリビニルアルコールを1.0重量%含有する水温が28℃の水溶液の水面に、水圧転写用フィルムの印刷面が上面になるようにして浮かべ、その90秒後に、15cm角のABS樹脂製の平板状成形体を水面と平行になるようにして上方から押し当て、該成形体の表面に転写用シートを密着させた。この時の水圧転写用フィルムの膨張率(L/L)は1.55であった。
フィルム基材の除去は容易であったが、得られたABS樹脂製成形体について、転写された格子柄のピッチを確認したところ、中央部における10cm角内の格子柄は16mm角であり、印刷が広がった形で一部に柄ボケが発生し、鮮明な柄を転写することはできなかった。
比較例2
実施例1において、水圧転写用フィルムの印刷面に塗布して1分30秒後に、ABS樹脂製成形体を水面と平行になるようにして上方から押し当てた以外は実施例1と同様にして、成形体の表面に転写用シートを密着させた。この時の水圧転写用フィルムの膨張率(L/L)は1.43であった。
得られたABS樹脂製成形体について、転写された格子柄のピッチを確認したところ、中央部における10cm角内の格子柄は15mm角であり、印刷が広がった形で一部に柄ボケが発生し、鮮明な柄を転写することはできなかった。
比較例3
実施例1において、水圧転写用フィルムの印刷面に塗布して0.5秒後に、ABS樹脂製成形体を水面と平行になるようにして上方から押し当てた以外は実施例1と同様にして、成形体の表面に転写用シートを密着させた。この時の水圧転写用フィルムの膨張率(L/L)は1.04であった。
得られたABS樹脂製成形体を観察したところ、部分的に柄抜けが発生しているのが認められた。
比較例4
実施例1において、水圧転写用フィルムを水面に浮かべてから20秒後に活性剤を塗布し、さらにその15秒後にABS樹脂製成形体を押し当てた以外は実施例1と同様にして、成形体への転写を行った。水圧転写用フィルムの膨張率(L/L)は1.05であった。
水圧転写用フィルムの膨潤が不十分であり、ABS樹脂製成形体への転写時にインキ層が密着して部分的に追従することができなかったために、得られた成形体には、柄の一部に抜けが生じているのが認められた。
比較例5
実施例1において、水圧転写用フィルムを水面に浮かべてから200秒後に活性剤を塗布し、さらにその10秒後にABS樹脂製成形体を押し当てた以外は実施例1と同様にして、成形体への転写を行った。水圧転写用フィルムの膨張率(L/L)は1.15であった。
水圧転写用フィルムの膨潤が進み過ぎて、ABS樹脂製成形体への転写時に柄の一部が転写されなかったために、得られた成形体には、柄の一部に抜けが生じているのが認められた。
比較例6
活性剤の塗布量を4g/mにした以外は実施例1と同様にして、ABS樹脂製成形体への水圧転写を行った。水圧転写用フィルムの膨張率(L/L)は1.05であった。
得られたABS樹脂製成形体を観察したところ、その全面に亘って柄抜けが生じているのが認められた。
比較例7
活性剤の塗布量を55g/mにした以外は実施例1と同様にして、ABS樹脂製成形体への水圧転写を行った。水圧転写用フィルムの膨張率(L/L)は1.35であった。
得られたABS樹脂製成形体について、格子柄のピッチを確認したところ、中央部における10cm角内の格子柄は14mm角であり、印刷が広がった形で一部に柄ボケが発生し、鮮明な柄を転写することはできなかった。

Claims (6)

  1. ポリビニルアルコール系重合体からなる基材フィルム上に印刷層を形成してなる水圧転写用フィルムを印刷面を上にして30〜180秒間水面に浮かべた後、印刷面の上に5〜50g/mの量の活性剤を塗布し、その1〜60秒後に被転写体を前記印刷面に押圧しながら全部または一部を水中に沈降させて液圧により印刷層を被転写体に転写することを特徴とする水圧転写方法。
  2. 印刷層が、連続したインキ層からなる請求項1記載の水圧転写方法。
  3. インキ層が、硝酸セルロースを含むインキ層である請求項2記載の水圧転写方法。
  4. 水圧転写用フィルムが、ポリビニルアルコール系重合体からなる基材フィルムと印刷層との間に硝酸セルロースからなる層を設けたものである請求項1記載の水圧転写方法。
  5. 被転写体に印刷面を転写する際の、水圧転写用フィルムの膨張率が1.20倍以下である請求項1〜4記載の水圧転写方法。
  6. 水圧転写用フィルムを浮かべるのに用いられる水が、ケン化度80〜99モル%のポリビニルアルコール系重合体の含有量が0.01〜7.0重量%の水溶液である請求項1〜5記載の水圧転写方法。
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