JP2005047983A - 医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶出物が少なく、環境ホルモン性物質を含有せず、かつ射出成形性、透明性、色調、耐衝撃性および耐熱性に優れ、さらに放射線や電子線の照射滅菌処理後の変色が少ない医療用具用射出成形体を提供すること。
【解決手段】ゲルマニューム元素およびアルミニューム元素中から選ばれた一種以上の元素を5〜300ppm含有し、少なくともグリコール成分として、エチレングリコールが25〜95モル%、シクロヘキサンジメタノールが5〜75モル%、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸が65〜100モル%からなる、固有粘度が0.50〜0.90dl/gである共重合ポリエステル樹脂組成物を射出成形して得られる射出成形体であり、該成形体が下記特性を有する医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体。
(1)4mm厚さ当たりのヘーズが1.0以下であること。
(2)50℃・5時間の水溶出量が3ppm以下であること。
(3)黄色度指数(YI)が8.0以下であること。
【選択図】 なし
【解決手段】ゲルマニューム元素およびアルミニューム元素中から選ばれた一種以上の元素を5〜300ppm含有し、少なくともグリコール成分として、エチレングリコールが25〜95モル%、シクロヘキサンジメタノールが5〜75モル%、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸が65〜100モル%からなる、固有粘度が0.50〜0.90dl/gである共重合ポリエステル樹脂組成物を射出成形して得られる射出成形体であり、該成形体が下記特性を有する医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体。
(1)4mm厚さ当たりのヘーズが1.0以下であること。
(2)50℃・5時間の水溶出量が3ppm以下であること。
(3)黄色度指数(YI)が8.0以下であること。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用具用射出成形体に関する。さらに詳しくは、高透明で色調が良好で耐衝撃性、耐熱性および安全性の高い医療用具用射出成形体に関する。本発明は、環境ホルモン物質を含有せず人体にやさしい、医療用具のケース、キャップ、コック、配管など好適な共重合ポリエステル樹脂射出成形体に関するものである。特に放射線あるいは電子線照射により滅菌処理される、例えば血液浄化器の透析膜を収納する容器に好適な共重合ポリエステル樹脂射出成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
点滴や人工透析用具の材料としては、これまで硬質塩化ビニール樹脂やポリカーボネート樹脂が、射出成形性・透明性・機械的性質が優れるので広く使用されている。しかし、近年硬質塩化ビニール樹脂やポリカーボネート樹脂に含有するフタル酸エステルやビスフェノールの人体への悪作用が懸念されていることから、これらに代わる樹脂組成物の開発が要請されている。医療機器の容器としては、人体に悪作用を持たないことは言うに及ばず、内容物の状態確認のために高透明性やよい色調が要求される。
【0003】
また、ポリエチレンテレフタレート樹脂による代替が、一部試みられているが、成形時ゲート部分や厚肉部分は透明性が失われることや、黄みの高い成形体しか得られないため、内容物の色調確認に問題があった。また、透明性を付与するために低温の金型を使用することが有効な手段であるが、この場合も流動性が不足し良好な成形体が得られないという問題があった。
【0004】
また、該医療機器の容器としては、近年、経済的にも優れていることが望まれており、その成形法としては生産効率の高い射出成形法で展開されているが、ポリエステル系樹脂は該射出成形性が劣るためその改良が望まれていた。
【0005】
すでに、特開2000−297144号公報、特開2003−40987号公報において、特定融点範囲の共重合ポリエステルを用いたポリエステル樹脂の射出成形体が開示されている。しかしながら、上記方法で得られた成形体は、医療機器の容器としては、透明性、色調、耐衝撃性および耐熱性において市場要求を満たしていない。また、近年、安全性や経済性の点より医療機器の容器の滅菌方法として、放射線や電子線を照射する方法が増えてきているが、該滅菌処理により医療機器の容器材質の劣化がおこり、その色調や透明性が悪化するためその対策が求められているが、上記方法で得られた成形体は、この滅菌処理時の放射線や電子線の照射による変質に対する設計がなされていないため、該特性に劣り市場要求を満たしていない。また、上記方法により得られた射出成形体は、耐衝撃性に劣り組み立て時の打撃でクラックが発生したりあるいは耐熱性に劣り成形工程で変形が発生することがあり、安全の信頼性に問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−297144号公報
【特許文献2】
特開2003−40987号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した医療用具用成形体において、溶出物が少なく、環境ホルモン性物質を含有せず、かつ射出成形性がよく、また成形体内の内容物の状態確認が確実にできる透明性と色調を有し、また耐衝撃性、耐熱性が高く成形・組立工程において破損・変形せず、さらに放射線照射や電子線照射による滅菌処理後も変色の少ない医療用具用射出成形体を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、遂に本発明を完成するに到った。即ち、本発明は、ゲルマニューム元素およびアルミニューム元素の中から選ばれた一種以上の元素を元素として10〜300ppm含有し、少なくともグリコール成分として、エチレングリコールが25〜95モル%、シクロヘキサンジメタノールが5〜75モル%、及びジカルボン酸成分としてテレフタル酸が65〜100モル%含有し、固有粘度が0.50〜0.90dl/gである共重合ポリエステル樹脂組成物射出成形して得られる射出成形体であり、該成形体が下記(1)〜(3)の特性を有することを特徴とする医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体である。
(1)4mm厚さ当たりのヘーズが1.0以下であること。
(2)50℃・5時間の水溶出量が3ppm以下であること。
(3)黄色度指数(YI)が8.0以下であること。
【0009】
上記の構成からなる本発明の医療用具用樹脂組成物は、溶出物は少なく環境ホルモン性物質を含有せず、流動性が高く射出成形性に優れ、透明で色調がよく、また耐衝撃性、耐熱性が高く成形・組立工程において破損・変形せず、さらに放射線照射や電子線照射による滅菌処理後も変色の少ないので成形品の内容物の状態が観察できる医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体を提供できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の医療用具用樹脂組成物について実施の形態を説明する。
本発明に使用される共重合ポリエステル樹脂組成物は、ゲルマニューム元素およびアルミニューム元素の中から選ばれた一種以上の元素を元素として5〜300ppm含有することが重要である。10〜250ppmが好ましく、15〜200ppmが特に好ましい。これらは重合触媒として使用される。これらの元素は、酸化物、酢酸塩、アルコキサイド等として添加するのが好ましい。これらの元素が5ppm以下では、重合速度が遅く生産性が低く、また300ppm以上では、溶融成型時の熱分解を促進して、色調が黄味おびて本発明の効果が発揮できない。また、放射線や電子線照射による滅菌処理による光学特性の低下を抑えることが出来ない。
【0011】
本発明においては、請求項2に記載のごとく上記共重合ポリエステル樹脂組成物がコバルト元素を1〜30ppm含んでなることが好ましい実施態様である。該配合により、青み付け効果が発現され、後述のYIが低減され成形体の色調が改善される。2〜20ppmが好ましく、3〜10ppmmが特に好ましい。1ppm未満では色調改善効果が少なく、逆に30ppmを超えた場合は成形体の透明性や明度が低下するので好ましくない。該コバルト元素は、酸化物、酢酸塩、アルコキサイド等として添加するのが好ましい。本発明においては、該コバルト元素に対して0.5〜2当量のリン元素を併用するのが好ましい実施態様である。該リン元素を併用することにより青み付け効果を効率良く発現することができる。
該リン元素は、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸およびこれらのエステル化合物等として添加添加するのが好ましい。
【0012】
本発明に使用される共重合ポリエステル樹脂組成物は、少なくともグリコール成分として、エチレングリコールが65〜95モル%、シクロヘキサンジメタノールが5〜75モル%、及びジカルボン酸成分としてテレフタル酸を65〜100モル%含有したものであることが重要である。該組成の共重合ポリエステル樹脂を用いることにより、射出成形性が確保でき、成形品の透明性と耐熱性を両立することができる。シクロヘキサンジメタノールが5モル%未満の場合、共重合ポリエステル樹脂が結晶化して発現する球晶構造により、成形体が白化して透明性が損なわれやすく、そのために成形条件幅が狭く量産性に劣る。またシクロヘキサンジメタノールが75モル%より多い場合は、溶融成形性が悪化する場合や結晶化して球晶構造により成形体が白化して透明性が損なわれて好ましくない。
エチレングリコールやシクロヘキサンジメタノール以外のグリコール成分としては、公知のグリコール成分が共重合できる。例えば、1,3プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリラクトン等が挙げられる。これらの中では、ブタンジオールが成形品の透明性の面から好ましい。またテレフタル酸以外の酸成分としては、公知の酸成分が共重合できる。例えば、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などが使用される。これらの中では、イソフタル酸やナフタレンジカルボン酸は、熱劣化が小さいので好ましい。
【0013】
前記共重合ポリエステル樹脂組成物から透明性や良好な色調の成形体を得るには、共重合ポリエステル樹脂組成物は、固有粘度固有粘度(JIS K7390準拠 溶媒:フェノール/テトラクロロエタン=6/4質量比、測定温度:30℃)が0.50〜0.90dl/gであることが好ましい。特には0.55〜0.85dl/gが好ましい。固有粘度が0.50以下では、水冷した金型を使用しても成形体が厚い場合、成形時内部は徐冷となり共重合ポリエステル樹脂組成物する。また、0.90dl/g以上では射出成形時に高いせん断力がかかるゲート付近では、応力誘起結晶化がおこり成形体の透明性が低下して好ましくない。
【0014】
また、前記共重合ポリエステル樹脂からなる成形体の0.46MPa荷重下における荷重たわみ温度は、65℃以上が好ましく、さらに好ましくは70℃以上であると成形時の変形が小さく好ましい。
【0015】
本発明の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体は、色差計で測定される三刺激値(ASTM D1925)から(1)式により計算される。黄色度指数(YI)が8.0以下であることが重要である。
(YI)=100(1.28X−1.06Z)/Y (1)
6.0以下がより好ましい。該YIは、黄色度の尺度であり、当該値が小さいほど黄色度が低い。8.0を超えた場合は、例えば容器として用いた場合に内容物の色調が異なって見えるので好ましくない。医療用機器の容器としては重要な特性の一つである。
【0016】
本発明の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体は、4mm厚さ当たりのヘーズが1.0%以下、であることが重要であり、0.9%以下が好ましく、0.8%以下が特に好ましい。1.0%を超えた場合は、例えば容器として用いた場合に内容物の透視性が悪くなるので好ましくない。上記特性と同様に、医療用機器の容器としては重要な特性の一つである。
【0017】
本発明の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体は、50℃・5時間の水溶出量が3ppm以下であることが必要であり、好ましくは2.5ppm以下である。2ppm以下が特に好ましい。この水溶出量は次のようにして求められる。3mmφ×3mm長のペレット50g秤量しガラス製U字管に詰め、50℃の蒸留水700mlを300ml/分の循環速度で5時間循環する。循環後の液20mlを秤量瓶にとり105℃で蒸発乾固後、蒸発残渣の質量を秤量し、サンプルペレットに対する分率をppmにて評価する。これ以上の水溶出量では、医療用器具への内容物に影響するので不適当である。水溶出物には、モノマーやオリゴマー残や安定剤や触媒などが含まれる。
水溶出量を本発明の範囲にする方法としては、純度の高いモノマーを使用し、水に不溶性の安定剤を選択することにより達成される。
成形前にモノマーやオリゴマーを除去する方法も好ましい実施態様である。該除去法としては、溶剤で抽出する方法、超臨界圧状態で抽出する方法、減圧で加熱し飛散させる方法等が挙げられる。
【0018】
医療用具の場合、点滴液や透析液の滴下や流動状態ばかりではなく、異物や透明度や色調の観察が必要である。容器やコックの透明度や色調は、医療用具の成否にかかわる重要な性能である。
【0019】
本発明の射出成形体は、請求項3に記載のごとく、シャルピー衝撃値が3kJ/m2以上あることが好ましい。4kJ/m2以上がさらに好ましい。3kJ/m2未満の場合は、組み立て時の打撃によりエッジ部にクラックが発生することがあり好ましくない。該特性は、前記した共重合ポリエステル樹脂の共重合比と固有粘度の選択により達成することができる。
【0020】
本発明の射出成形体は、請求項4に記載のごとく、0.46MPaの荷重下における荷重たわみ温度はが65℃以上であることが好ましい。70℃以上がさらに好ましい。65℃未満の場合は、成形工程で変形が発生することがあり好ましくない。該特性は、前記した共重合ポリエステル樹脂の共重合比と固有粘度の選択により達成することができる。
【0021】
さらに、本発明に使用される共重合ポリエステル樹脂組成物には、常用の添加剤、例えば耐熱安定剤、耐侯剤、耐加水分解剤、顔料などを添加してもよい。熱安定剤としては、ヒンダードフェノール系、チオエーテル系、ホスファイト系等やこれらの組み合わせを挙げることができる。耐侯剤としては、ベンゾフェノン系、トリアゾール系、ヒンダードアミン系などが挙げることができる。また、耐加水分解剤としては、カルボジイミド、ビスオキサゾリン、エポキシ、イソシアネート化合物が挙げることが出来る。また、蛍光染料を配合することもできる。
【0022】
本発明に使用される共重合ポリエステル樹脂組成物は、前記の各構成成分をモノマー段階で混合し重合することができる。また、安定剤や離型剤は重合前後に混合することもできるが、単軸押出機、2軸押出機やニーダーなどの装置を用いて、離型剤や安定剤を混練することにより製造することができる。安定剤をより高濃度に含む組成物を予め溶融混練して、成形時にこれをマスターバッチとして混合することもできる。
また前記方法などによって得られた共重合ポリエステル樹脂組成物を射出成形体に成形する方法としては、金型温度を20〜60℃にするのが好ましい。特に25〜55℃の範囲にするが好ましい。金型温度は低い方が、成形体の結晶化が抑えられて成形体の透明性が向上するので好ましいが、20℃未満での成形は、成形する環境の湿度が高い場合に結露が発生し易くなる。また、温度制御が困難であるので好ましくない。さらに、射出成形時に、温度調節が難しい成形体のコア部の表裏や部分によりひずみが不均一になりクラックが発生することがあり好ましくない。また、60℃以上では離型抵抗が大きくなったり、成形品のヘーズが高くなり好ましくない。本発明によると、高温における変形が小さいので、高温側の温度条件幅が広くとれる効果を有する。
【0023】
本発明においては、共重合ポリエステル樹脂を前記した組成に最適化しているので、上記金型温度範囲で安定した生産ができるが、請求項5に記載のごとく、上記共重合ポリエステル樹脂組成物が離型剤を0.01〜2質量%含んでなることが好ましい実施態様である。離型剤としては、共重合ポリエステル樹脂を失透させることなく離型抵抗を低減するものでなけばならない。例えば、高級脂肪酸エステル系、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸のモノアミド、高級脂肪酸のビスアミドが挙げられる。特に、炭素数が20以下の高級脂肪酸塩や高級脂肪酸のビスアミドが好ましい。これらの離型剤はポリエステル樹脂100質量部に対して0〜2質量部、好ましく0.01〜0.8質量部が配合される。2質量部を超えると成形体の透明度や色調が損なわれるので本発明には好ましくない。該離型剤の配合により、金型よりの成形体の離型性が向上し、生産の安定性がより向上する。
【0024】
本発明の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体は、請求項6に記載のごとく、前記した射出成形体に20kGyのγ線照射照射をした時のYIの増加が8.0以下であることが好ましい実施態様である。7.0以下が好ましく、6.0以下が特に好ましい。本特性を満たすことにより、前記した放射線や電子線を照射することにより滅菌処理される医療用具用として好適に使用できる。本特性は、ポリエステル樹脂組成を前記した範囲に設定することにより達成できる。
【0025】
本発明の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体の用途は特に限定されないが、上記した特性を有するので請求項7に記載のごとく医療用用具が放射線あるいは電子線の照射により滅菌処理される用途に用いられるものであることが好ましい実施態様である。また、本発明の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体は、同様の理由より血液浄化器の透析膜を収納する容器として使用するのが好ましい実施態様である。これらの用途に展開することにより本発明の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体の有する特性をより有効に発現させることができる。
【0026】
【実施例】
以下実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお明細書中の物性評価は以下の方法により測定した。
(1)共重合ポリエステル樹脂の固有粘度
JIS K7390に準じてフェノール/テトラクロロエタン=6/4(質量比)の混合溶媒に溶解し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した。なお、測定は3回行い、その平均値を求めた。
(2)共重合ポリエステル樹脂の融点
結晶化した共重合ポリエステル樹脂をデュポン社製、V4.0B2000型示差走査熱量測定を用いて、アルゴン雰囲気中で、試料重量:10mg、昇温開始温度:30℃、昇温速度:20℃/分で測定し、吸熱ピーク温度を融点として求めた。
【0027】
(3)共重合ポリエステル樹脂の共重合組成
共重合ポリエステル樹脂1mgを下記条件でプロトンNMR測定した。
(測定条件)
装置 :核磁気共鳴装置(BRUKER製AVANCE500)
測定溶媒 :重水素化クロロホルム/トリフルオロ酢酸=9/1(v/v)
1H共鳴周波数: 500MHz
積算回数 : 512回
測定温度 : 室温
【0028】
(4)共重合ポリエステル樹脂の金属含有量の定量
蛍光X線法で測定した。それぞれの金属について含有量既知の標準サンプルを用いて求めた検量線で定量した。(測定装置:理学電機製上面照射型蛍光X線分析装置 ZSX 100e)
(5)テストピースの作製
共重合ポリエステル樹脂組成物のペレットを120℃で5時間乾燥後、離型剤をペレットに添着して、シリンダー温度240−260−260℃に調節された射出成型機のホッパーに供給して、表面温度が30℃に温度調節された金型を使用して、射出時間10秒、冷却時間10秒の条件にて、厚さ1mm・ランド長さ1mmのフィルムゲートにより100×100×4mmの平板を射出成形した。これらの平板を評価用サンプルとした。
【0029】
(6)黄色度指数(YI)
色差計(東京電色工業(株)製TC1500MC−88型)とC光源を使用して、(5)にて作製した厚さ4mmの平板の中央部についてASTM D1925に準じて三刺激値XYZ値を測定した。次式により黄色度指数(YI)を計算した。
YI=100(1.28X−1.06Z)/Y (1)
【0030】
(7)透明性(ヘーズ)
(5)にて作製した厚さ4mmの平板の中央部について、JIS K7361−1に準じ、日本電色工業(株)濁度計(Haze Meter NDH2000型)とハロゲンランプを使用して、ヘーズを測定した。
(8)水溶出性
3mmφ×3mm長のペレット50g秤量しガラス製U字管に詰め、50℃の蒸留水700mlを300ml/分の循環速度で5時間循環した。循環後の液を20ml秤量瓶にとり105℃で蒸発乾固した。蒸発残渣の質量を秤量し、サンプルペレット質量に対する分率ppmにて評価した。
【0031】
(9)耐放射線性
(5)にて作製した厚さ4mmの平板を遮光状態無酸素状態にして、20kGyのγ線を照射し照射前後の黄色度指数の変化(△YI)を評価した。YIの評価は(6)に示した方法で実施した。
(10)シャルピー衝撃値
樹脂温度270℃、金型温度20℃に調節して、ISO294の多目的金型により、厚さ4mmのテストピースを射出成形した。ISO179に準じて、ノッチ加工後の23℃におけるシャルピー衝撃試験を実施した。
(11)荷重たわみ温度
樹脂温度270℃、金型温度20℃に調節して、ISO294の多目的金型により、厚さ4mmのテストピースを射出成形した。ISO75−1,2に準じて、0.46MPa荷重下にて荷重たわみ温度を測定した。
【0032】
(実施例1)
テレフタル酸100モル部、エチレングリコール190モル部およびシクロヘキサンジメタノール10モル部を精留塔および攪拌装置を備えた反応容器に入れ、攪拌を行いながら260℃まで徐々に昇温した。留出する水を系外に排出しながらエステル化を行い、重縮合反応器に移した後15分間260℃にて保留した後、重縮合触媒として酸化ゲルマニュームを生成ポリエステルに対してゲルマニューム元素として80ppmとなるようにに添加した。5分経過後色調改善剤として酢酸コバルトおよびリン酸トリメチルをそれぞれコバルト元素およびリン元素として生成ポリエステルに対して5ppmおよび10ppmとなるように添加しさらに5分経過後に、真空度−90kPa以下、280℃で2時間30分重合を行い共重合ポリエステルを得た。これを真空度−90kPa以下140℃で6時間真空乾燥および結晶化処理し、引き続き200℃まて昇温して6時間固相重合を行い、共重合ポリエステル樹脂を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂を前記した条件でテストピースを作製した。得られたテストピースの特性値を表1に示す。
【0033】
(比較例1)
実施例1の方法において、重合触媒を3酸化アンチモンとし、色調調整剤のコバルトおよびリン化合物の添加を取り止める以外は、実施例1と同様にして本比較例の共重合ポリエステル樹脂およびテストピースを得た。得られたテストピースの特性値を表1に示す。
【0034】
(比較例2〜4)
比較例1の方法で、ポリエステル樹脂組成を表1に示すように変更する以外は、比較例1と同様にしてこれらの比較例のポリエステル樹脂およびテストピースを得た。得られたテストピースの特性値を表1に示す。なお、比較例2は共重合を止めポリエチレンテレフタレートとした。
【0035】
(実施例2〜5)
実施例1の方法において共重合ポリエステル組成や重縮合触媒および色調調整剤組成を表1に示すごとく変更する以外は、実施例1と同様にして本比較例の共重合ポリエステル樹脂およびテストピースを得た。得られたテストピースの特性値を表1に示す。
【0036】
実施例1〜6で得られた射出成形体はいずれもが、透明性、色調、溶出量および耐放射線性、耐熱性に優れており、医療用用具用として好適に使用することができる。一方、比較例1は、色調および耐放射線性が、比較例2は、色調、透明性、溶出量および耐放射線耐久性が、比較例3は、色調、溶出量および耐放射線性が劣り、医療用用具用としては低品質であった。比較例4は、耐熱性が劣り、医療用具としては信頼性が低い。
【0037】
【表1】
【0038】
表中の略号は次の通りである。原料モノマーはすべてナカライテスク社のGR試薬を使用した。
EG:エチレングリコール
CHDM:シクロヘキサンジメタノール
BD:シクロヘキサンジメタノール
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
Ge:ゲルマニューム
Al:アルミニューム
Co:コバルト
Sb:アンチモン
St−Mg:ステアリン酸マグネシューム
【0039】
【発明の効果】
本発明の共重合ポリエステル樹脂組成物からなる成形体は、透明性、色調および耐衝撃性や耐熱性に優れており、かつ放射線照射や電子線照射による変色が少なく、医療用具のケースやコックに最適である。特に、放射線照射や電子線照射による滅菌処理後にも変色が少ないので、放射線や電子線の照射滅菌処理を必要とする医療用具のケースなどにより好適に用いることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用具用射出成形体に関する。さらに詳しくは、高透明で色調が良好で耐衝撃性、耐熱性および安全性の高い医療用具用射出成形体に関する。本発明は、環境ホルモン物質を含有せず人体にやさしい、医療用具のケース、キャップ、コック、配管など好適な共重合ポリエステル樹脂射出成形体に関するものである。特に放射線あるいは電子線照射により滅菌処理される、例えば血液浄化器の透析膜を収納する容器に好適な共重合ポリエステル樹脂射出成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
点滴や人工透析用具の材料としては、これまで硬質塩化ビニール樹脂やポリカーボネート樹脂が、射出成形性・透明性・機械的性質が優れるので広く使用されている。しかし、近年硬質塩化ビニール樹脂やポリカーボネート樹脂に含有するフタル酸エステルやビスフェノールの人体への悪作用が懸念されていることから、これらに代わる樹脂組成物の開発が要請されている。医療機器の容器としては、人体に悪作用を持たないことは言うに及ばず、内容物の状態確認のために高透明性やよい色調が要求される。
【0003】
また、ポリエチレンテレフタレート樹脂による代替が、一部試みられているが、成形時ゲート部分や厚肉部分は透明性が失われることや、黄みの高い成形体しか得られないため、内容物の色調確認に問題があった。また、透明性を付与するために低温の金型を使用することが有効な手段であるが、この場合も流動性が不足し良好な成形体が得られないという問題があった。
【0004】
また、該医療機器の容器としては、近年、経済的にも優れていることが望まれており、その成形法としては生産効率の高い射出成形法で展開されているが、ポリエステル系樹脂は該射出成形性が劣るためその改良が望まれていた。
【0005】
すでに、特開2000−297144号公報、特開2003−40987号公報において、特定融点範囲の共重合ポリエステルを用いたポリエステル樹脂の射出成形体が開示されている。しかしながら、上記方法で得られた成形体は、医療機器の容器としては、透明性、色調、耐衝撃性および耐熱性において市場要求を満たしていない。また、近年、安全性や経済性の点より医療機器の容器の滅菌方法として、放射線や電子線を照射する方法が増えてきているが、該滅菌処理により医療機器の容器材質の劣化がおこり、その色調や透明性が悪化するためその対策が求められているが、上記方法で得られた成形体は、この滅菌処理時の放射線や電子線の照射による変質に対する設計がなされていないため、該特性に劣り市場要求を満たしていない。また、上記方法により得られた射出成形体は、耐衝撃性に劣り組み立て時の打撃でクラックが発生したりあるいは耐熱性に劣り成形工程で変形が発生することがあり、安全の信頼性に問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−297144号公報
【特許文献2】
特開2003−40987号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した医療用具用成形体において、溶出物が少なく、環境ホルモン性物質を含有せず、かつ射出成形性がよく、また成形体内の内容物の状態確認が確実にできる透明性と色調を有し、また耐衝撃性、耐熱性が高く成形・組立工程において破損・変形せず、さらに放射線照射や電子線照射による滅菌処理後も変色の少ない医療用具用射出成形体を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、遂に本発明を完成するに到った。即ち、本発明は、ゲルマニューム元素およびアルミニューム元素の中から選ばれた一種以上の元素を元素として10〜300ppm含有し、少なくともグリコール成分として、エチレングリコールが25〜95モル%、シクロヘキサンジメタノールが5〜75モル%、及びジカルボン酸成分としてテレフタル酸が65〜100モル%含有し、固有粘度が0.50〜0.90dl/gである共重合ポリエステル樹脂組成物射出成形して得られる射出成形体であり、該成形体が下記(1)〜(3)の特性を有することを特徴とする医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体である。
(1)4mm厚さ当たりのヘーズが1.0以下であること。
(2)50℃・5時間の水溶出量が3ppm以下であること。
(3)黄色度指数(YI)が8.0以下であること。
【0009】
上記の構成からなる本発明の医療用具用樹脂組成物は、溶出物は少なく環境ホルモン性物質を含有せず、流動性が高く射出成形性に優れ、透明で色調がよく、また耐衝撃性、耐熱性が高く成形・組立工程において破損・変形せず、さらに放射線照射や電子線照射による滅菌処理後も変色の少ないので成形品の内容物の状態が観察できる医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体を提供できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の医療用具用樹脂組成物について実施の形態を説明する。
本発明に使用される共重合ポリエステル樹脂組成物は、ゲルマニューム元素およびアルミニューム元素の中から選ばれた一種以上の元素を元素として5〜300ppm含有することが重要である。10〜250ppmが好ましく、15〜200ppmが特に好ましい。これらは重合触媒として使用される。これらの元素は、酸化物、酢酸塩、アルコキサイド等として添加するのが好ましい。これらの元素が5ppm以下では、重合速度が遅く生産性が低く、また300ppm以上では、溶融成型時の熱分解を促進して、色調が黄味おびて本発明の効果が発揮できない。また、放射線や電子線照射による滅菌処理による光学特性の低下を抑えることが出来ない。
【0011】
本発明においては、請求項2に記載のごとく上記共重合ポリエステル樹脂組成物がコバルト元素を1〜30ppm含んでなることが好ましい実施態様である。該配合により、青み付け効果が発現され、後述のYIが低減され成形体の色調が改善される。2〜20ppmが好ましく、3〜10ppmmが特に好ましい。1ppm未満では色調改善効果が少なく、逆に30ppmを超えた場合は成形体の透明性や明度が低下するので好ましくない。該コバルト元素は、酸化物、酢酸塩、アルコキサイド等として添加するのが好ましい。本発明においては、該コバルト元素に対して0.5〜2当量のリン元素を併用するのが好ましい実施態様である。該リン元素を併用することにより青み付け効果を効率良く発現することができる。
該リン元素は、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸およびこれらのエステル化合物等として添加添加するのが好ましい。
【0012】
本発明に使用される共重合ポリエステル樹脂組成物は、少なくともグリコール成分として、エチレングリコールが65〜95モル%、シクロヘキサンジメタノールが5〜75モル%、及びジカルボン酸成分としてテレフタル酸を65〜100モル%含有したものであることが重要である。該組成の共重合ポリエステル樹脂を用いることにより、射出成形性が確保でき、成形品の透明性と耐熱性を両立することができる。シクロヘキサンジメタノールが5モル%未満の場合、共重合ポリエステル樹脂が結晶化して発現する球晶構造により、成形体が白化して透明性が損なわれやすく、そのために成形条件幅が狭く量産性に劣る。またシクロヘキサンジメタノールが75モル%より多い場合は、溶融成形性が悪化する場合や結晶化して球晶構造により成形体が白化して透明性が損なわれて好ましくない。
エチレングリコールやシクロヘキサンジメタノール以外のグリコール成分としては、公知のグリコール成分が共重合できる。例えば、1,3プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリラクトン等が挙げられる。これらの中では、ブタンジオールが成形品の透明性の面から好ましい。またテレフタル酸以外の酸成分としては、公知の酸成分が共重合できる。例えば、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などが使用される。これらの中では、イソフタル酸やナフタレンジカルボン酸は、熱劣化が小さいので好ましい。
【0013】
前記共重合ポリエステル樹脂組成物から透明性や良好な色調の成形体を得るには、共重合ポリエステル樹脂組成物は、固有粘度固有粘度(JIS K7390準拠 溶媒:フェノール/テトラクロロエタン=6/4質量比、測定温度:30℃)が0.50〜0.90dl/gであることが好ましい。特には0.55〜0.85dl/gが好ましい。固有粘度が0.50以下では、水冷した金型を使用しても成形体が厚い場合、成形時内部は徐冷となり共重合ポリエステル樹脂組成物する。また、0.90dl/g以上では射出成形時に高いせん断力がかかるゲート付近では、応力誘起結晶化がおこり成形体の透明性が低下して好ましくない。
【0014】
また、前記共重合ポリエステル樹脂からなる成形体の0.46MPa荷重下における荷重たわみ温度は、65℃以上が好ましく、さらに好ましくは70℃以上であると成形時の変形が小さく好ましい。
【0015】
本発明の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体は、色差計で測定される三刺激値(ASTM D1925)から(1)式により計算される。黄色度指数(YI)が8.0以下であることが重要である。
(YI)=100(1.28X−1.06Z)/Y (1)
6.0以下がより好ましい。該YIは、黄色度の尺度であり、当該値が小さいほど黄色度が低い。8.0を超えた場合は、例えば容器として用いた場合に内容物の色調が異なって見えるので好ましくない。医療用機器の容器としては重要な特性の一つである。
【0016】
本発明の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体は、4mm厚さ当たりのヘーズが1.0%以下、であることが重要であり、0.9%以下が好ましく、0.8%以下が特に好ましい。1.0%を超えた場合は、例えば容器として用いた場合に内容物の透視性が悪くなるので好ましくない。上記特性と同様に、医療用機器の容器としては重要な特性の一つである。
【0017】
本発明の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体は、50℃・5時間の水溶出量が3ppm以下であることが必要であり、好ましくは2.5ppm以下である。2ppm以下が特に好ましい。この水溶出量は次のようにして求められる。3mmφ×3mm長のペレット50g秤量しガラス製U字管に詰め、50℃の蒸留水700mlを300ml/分の循環速度で5時間循環する。循環後の液20mlを秤量瓶にとり105℃で蒸発乾固後、蒸発残渣の質量を秤量し、サンプルペレットに対する分率をppmにて評価する。これ以上の水溶出量では、医療用器具への内容物に影響するので不適当である。水溶出物には、モノマーやオリゴマー残や安定剤や触媒などが含まれる。
水溶出量を本発明の範囲にする方法としては、純度の高いモノマーを使用し、水に不溶性の安定剤を選択することにより達成される。
成形前にモノマーやオリゴマーを除去する方法も好ましい実施態様である。該除去法としては、溶剤で抽出する方法、超臨界圧状態で抽出する方法、減圧で加熱し飛散させる方法等が挙げられる。
【0018】
医療用具の場合、点滴液や透析液の滴下や流動状態ばかりではなく、異物や透明度や色調の観察が必要である。容器やコックの透明度や色調は、医療用具の成否にかかわる重要な性能である。
【0019】
本発明の射出成形体は、請求項3に記載のごとく、シャルピー衝撃値が3kJ/m2以上あることが好ましい。4kJ/m2以上がさらに好ましい。3kJ/m2未満の場合は、組み立て時の打撃によりエッジ部にクラックが発生することがあり好ましくない。該特性は、前記した共重合ポリエステル樹脂の共重合比と固有粘度の選択により達成することができる。
【0020】
本発明の射出成形体は、請求項4に記載のごとく、0.46MPaの荷重下における荷重たわみ温度はが65℃以上であることが好ましい。70℃以上がさらに好ましい。65℃未満の場合は、成形工程で変形が発生することがあり好ましくない。該特性は、前記した共重合ポリエステル樹脂の共重合比と固有粘度の選択により達成することができる。
【0021】
さらに、本発明に使用される共重合ポリエステル樹脂組成物には、常用の添加剤、例えば耐熱安定剤、耐侯剤、耐加水分解剤、顔料などを添加してもよい。熱安定剤としては、ヒンダードフェノール系、チオエーテル系、ホスファイト系等やこれらの組み合わせを挙げることができる。耐侯剤としては、ベンゾフェノン系、トリアゾール系、ヒンダードアミン系などが挙げることができる。また、耐加水分解剤としては、カルボジイミド、ビスオキサゾリン、エポキシ、イソシアネート化合物が挙げることが出来る。また、蛍光染料を配合することもできる。
【0022】
本発明に使用される共重合ポリエステル樹脂組成物は、前記の各構成成分をモノマー段階で混合し重合することができる。また、安定剤や離型剤は重合前後に混合することもできるが、単軸押出機、2軸押出機やニーダーなどの装置を用いて、離型剤や安定剤を混練することにより製造することができる。安定剤をより高濃度に含む組成物を予め溶融混練して、成形時にこれをマスターバッチとして混合することもできる。
また前記方法などによって得られた共重合ポリエステル樹脂組成物を射出成形体に成形する方法としては、金型温度を20〜60℃にするのが好ましい。特に25〜55℃の範囲にするが好ましい。金型温度は低い方が、成形体の結晶化が抑えられて成形体の透明性が向上するので好ましいが、20℃未満での成形は、成形する環境の湿度が高い場合に結露が発生し易くなる。また、温度制御が困難であるので好ましくない。さらに、射出成形時に、温度調節が難しい成形体のコア部の表裏や部分によりひずみが不均一になりクラックが発生することがあり好ましくない。また、60℃以上では離型抵抗が大きくなったり、成形品のヘーズが高くなり好ましくない。本発明によると、高温における変形が小さいので、高温側の温度条件幅が広くとれる効果を有する。
【0023】
本発明においては、共重合ポリエステル樹脂を前記した組成に最適化しているので、上記金型温度範囲で安定した生産ができるが、請求項5に記載のごとく、上記共重合ポリエステル樹脂組成物が離型剤を0.01〜2質量%含んでなることが好ましい実施態様である。離型剤としては、共重合ポリエステル樹脂を失透させることなく離型抵抗を低減するものでなけばならない。例えば、高級脂肪酸エステル系、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸のモノアミド、高級脂肪酸のビスアミドが挙げられる。特に、炭素数が20以下の高級脂肪酸塩や高級脂肪酸のビスアミドが好ましい。これらの離型剤はポリエステル樹脂100質量部に対して0〜2質量部、好ましく0.01〜0.8質量部が配合される。2質量部を超えると成形体の透明度や色調が損なわれるので本発明には好ましくない。該離型剤の配合により、金型よりの成形体の離型性が向上し、生産の安定性がより向上する。
【0024】
本発明の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体は、請求項6に記載のごとく、前記した射出成形体に20kGyのγ線照射照射をした時のYIの増加が8.0以下であることが好ましい実施態様である。7.0以下が好ましく、6.0以下が特に好ましい。本特性を満たすことにより、前記した放射線や電子線を照射することにより滅菌処理される医療用具用として好適に使用できる。本特性は、ポリエステル樹脂組成を前記した範囲に設定することにより達成できる。
【0025】
本発明の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体の用途は特に限定されないが、上記した特性を有するので請求項7に記載のごとく医療用用具が放射線あるいは電子線の照射により滅菌処理される用途に用いられるものであることが好ましい実施態様である。また、本発明の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体は、同様の理由より血液浄化器の透析膜を収納する容器として使用するのが好ましい実施態様である。これらの用途に展開することにより本発明の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体の有する特性をより有効に発現させることができる。
【0026】
【実施例】
以下実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお明細書中の物性評価は以下の方法により測定した。
(1)共重合ポリエステル樹脂の固有粘度
JIS K7390に準じてフェノール/テトラクロロエタン=6/4(質量比)の混合溶媒に溶解し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した。なお、測定は3回行い、その平均値を求めた。
(2)共重合ポリエステル樹脂の融点
結晶化した共重合ポリエステル樹脂をデュポン社製、V4.0B2000型示差走査熱量測定を用いて、アルゴン雰囲気中で、試料重量:10mg、昇温開始温度:30℃、昇温速度:20℃/分で測定し、吸熱ピーク温度を融点として求めた。
【0027】
(3)共重合ポリエステル樹脂の共重合組成
共重合ポリエステル樹脂1mgを下記条件でプロトンNMR測定した。
(測定条件)
装置 :核磁気共鳴装置(BRUKER製AVANCE500)
測定溶媒 :重水素化クロロホルム/トリフルオロ酢酸=9/1(v/v)
1H共鳴周波数: 500MHz
積算回数 : 512回
測定温度 : 室温
【0028】
(4)共重合ポリエステル樹脂の金属含有量の定量
蛍光X線法で測定した。それぞれの金属について含有量既知の標準サンプルを用いて求めた検量線で定量した。(測定装置:理学電機製上面照射型蛍光X線分析装置 ZSX 100e)
(5)テストピースの作製
共重合ポリエステル樹脂組成物のペレットを120℃で5時間乾燥後、離型剤をペレットに添着して、シリンダー温度240−260−260℃に調節された射出成型機のホッパーに供給して、表面温度が30℃に温度調節された金型を使用して、射出時間10秒、冷却時間10秒の条件にて、厚さ1mm・ランド長さ1mmのフィルムゲートにより100×100×4mmの平板を射出成形した。これらの平板を評価用サンプルとした。
【0029】
(6)黄色度指数(YI)
色差計(東京電色工業(株)製TC1500MC−88型)とC光源を使用して、(5)にて作製した厚さ4mmの平板の中央部についてASTM D1925に準じて三刺激値XYZ値を測定した。次式により黄色度指数(YI)を計算した。
YI=100(1.28X−1.06Z)/Y (1)
【0030】
(7)透明性(ヘーズ)
(5)にて作製した厚さ4mmの平板の中央部について、JIS K7361−1に準じ、日本電色工業(株)濁度計(Haze Meter NDH2000型)とハロゲンランプを使用して、ヘーズを測定した。
(8)水溶出性
3mmφ×3mm長のペレット50g秤量しガラス製U字管に詰め、50℃の蒸留水700mlを300ml/分の循環速度で5時間循環した。循環後の液を20ml秤量瓶にとり105℃で蒸発乾固した。蒸発残渣の質量を秤量し、サンプルペレット質量に対する分率ppmにて評価した。
【0031】
(9)耐放射線性
(5)にて作製した厚さ4mmの平板を遮光状態無酸素状態にして、20kGyのγ線を照射し照射前後の黄色度指数の変化(△YI)を評価した。YIの評価は(6)に示した方法で実施した。
(10)シャルピー衝撃値
樹脂温度270℃、金型温度20℃に調節して、ISO294の多目的金型により、厚さ4mmのテストピースを射出成形した。ISO179に準じて、ノッチ加工後の23℃におけるシャルピー衝撃試験を実施した。
(11)荷重たわみ温度
樹脂温度270℃、金型温度20℃に調節して、ISO294の多目的金型により、厚さ4mmのテストピースを射出成形した。ISO75−1,2に準じて、0.46MPa荷重下にて荷重たわみ温度を測定した。
【0032】
(実施例1)
テレフタル酸100モル部、エチレングリコール190モル部およびシクロヘキサンジメタノール10モル部を精留塔および攪拌装置を備えた反応容器に入れ、攪拌を行いながら260℃まで徐々に昇温した。留出する水を系外に排出しながらエステル化を行い、重縮合反応器に移した後15分間260℃にて保留した後、重縮合触媒として酸化ゲルマニュームを生成ポリエステルに対してゲルマニューム元素として80ppmとなるようにに添加した。5分経過後色調改善剤として酢酸コバルトおよびリン酸トリメチルをそれぞれコバルト元素およびリン元素として生成ポリエステルに対して5ppmおよび10ppmとなるように添加しさらに5分経過後に、真空度−90kPa以下、280℃で2時間30分重合を行い共重合ポリエステルを得た。これを真空度−90kPa以下140℃で6時間真空乾燥および結晶化処理し、引き続き200℃まて昇温して6時間固相重合を行い、共重合ポリエステル樹脂を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂を前記した条件でテストピースを作製した。得られたテストピースの特性値を表1に示す。
【0033】
(比較例1)
実施例1の方法において、重合触媒を3酸化アンチモンとし、色調調整剤のコバルトおよびリン化合物の添加を取り止める以外は、実施例1と同様にして本比較例の共重合ポリエステル樹脂およびテストピースを得た。得られたテストピースの特性値を表1に示す。
【0034】
(比較例2〜4)
比較例1の方法で、ポリエステル樹脂組成を表1に示すように変更する以外は、比較例1と同様にしてこれらの比較例のポリエステル樹脂およびテストピースを得た。得られたテストピースの特性値を表1に示す。なお、比較例2は共重合を止めポリエチレンテレフタレートとした。
【0035】
(実施例2〜5)
実施例1の方法において共重合ポリエステル組成や重縮合触媒および色調調整剤組成を表1に示すごとく変更する以外は、実施例1と同様にして本比較例の共重合ポリエステル樹脂およびテストピースを得た。得られたテストピースの特性値を表1に示す。
【0036】
実施例1〜6で得られた射出成形体はいずれもが、透明性、色調、溶出量および耐放射線性、耐熱性に優れており、医療用用具用として好適に使用することができる。一方、比較例1は、色調および耐放射線性が、比較例2は、色調、透明性、溶出量および耐放射線耐久性が、比較例3は、色調、溶出量および耐放射線性が劣り、医療用用具用としては低品質であった。比較例4は、耐熱性が劣り、医療用具としては信頼性が低い。
【0037】
【表1】
【0038】
表中の略号は次の通りである。原料モノマーはすべてナカライテスク社のGR試薬を使用した。
EG:エチレングリコール
CHDM:シクロヘキサンジメタノール
BD:シクロヘキサンジメタノール
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
Ge:ゲルマニューム
Al:アルミニューム
Co:コバルト
Sb:アンチモン
St−Mg:ステアリン酸マグネシューム
【0039】
【発明の効果】
本発明の共重合ポリエステル樹脂組成物からなる成形体は、透明性、色調および耐衝撃性や耐熱性に優れており、かつ放射線照射や電子線照射による変色が少なく、医療用具のケースやコックに最適である。特に、放射線照射や電子線照射による滅菌処理後にも変色が少ないので、放射線や電子線の照射滅菌処理を必要とする医療用具のケースなどにより好適に用いることができる。
Claims (8)
- ゲルマニューム元素およびアルミニューム元素の中から選ばれた一種以上の元素を元素として5〜300ppm含有し、少なくともグリコール成分として、エチレングリコールが25〜95モル%、シクロヘキサンジメタノールが5〜75モル%、及びジカルボン酸成分としてテレフタル酸が65〜100モル%からなる、固有粘度が0.50〜0.90dl/gである共重合ポリエステル樹脂組成物を射出成形して得られる射出成形体であり、該成形体が下記(1)〜(3)の特性を有することを特徴とする医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体。
(1)4mm厚さ当たりのヘーズが1.0以下であること。
(2)50℃・5時間の水溶出量が3ppm以下であること。
(3)黄色度指数(YI)が8.0以下であること。 - 共重合ポリエステル樹脂組成物がコバルト元素を1〜30ppm含んでなることを特徴とする請求項1に記載の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体。
- 成形体のシャルピー衝撃値が3kJ/m2以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体。
- 成形体の0.46MPa荷重下の荷重たわみ温度が65℃以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成型体。
- 共重合ポリエステル樹脂組成物が離型剤を0.01〜2質量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体。
- 射出成型体に20kGyのγ線照射をした時の黄色度指数(YI)の増加が8.0以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体。
- 医療用用具が放射線あるいは電子線の照射により滅菌処理される用途に用いられるものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体。
- 医療用用具が血液浄化器の透析膜を収納する容器であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の医療用具用ポリエステル系樹脂射出成形体。
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