JP2005038780A - 固体高分子型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電極内におけるフラッディング現象を効果的に抑制する手段を提供し、様々な運転条件に対する適応性に優れる燃料電池を提供する。
【解決手段】 セパレータ208、ガス拡散層206、および触媒層204がこの順序で積層されてなる電極を有する固体高分子型燃料電池であって、ガス拡散層206または触媒層204の積層面に、発電反応で生じた水を滞留させる滞留溝210が形成されてなり、滞留溝210の前記セパレータ208側に存在する層は、滞留溝210に対向する箇所に形成されてなる親水性部位212と、滞留溝210に対向しない箇所に形成されてなる疎水性部位214とからなり、セパレータ208は多孔質である固体高分子型燃料電池によって、上記課題は解決される。
【選択図】 図2
【解決手段】 セパレータ208、ガス拡散層206、および触媒層204がこの順序で積層されてなる電極を有する固体高分子型燃料電池であって、ガス拡散層206または触媒層204の積層面に、発電反応で生じた水を滞留させる滞留溝210が形成されてなり、滞留溝210の前記セパレータ208側に存在する層は、滞留溝210に対向する箇所に形成されてなる親水性部位212と、滞留溝210に対向しない箇所に形成されてなる疎水性部位214とからなり、セパレータ208は多孔質である固体高分子型燃料電池によって、上記課題は解決される。
【選択図】 図2
Description
本発明は、固体高分子型燃料電池に関する。
燃料電池は、電極反応による生成物が原理的には水であり、地球環境への悪影響がほとんど無いクリーンな発電システムである。燃料電池は、固体高分子型燃料電池、直接メタノール型燃料電池、固体酸化物型燃料電池、りん酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池などに分類される。固体高分子型燃料電池は、他の燃料電池より低温で動作することから、自動車等の移動体用動力源として期待されている。
一般に、固体高分子型燃料電池は、アノード、高分子電解質膜、およびカソードからなる電極−電解質膜接合体が、セパレータによって挟持された構造を有する。アノードおよびカソードは、アノード反応またはカソード反応を促進する触媒を含む触媒層、および、セパレータに設けられたガス流通溝に供給された反応ガスを触媒層に拡散させるガス拡散層からなる。ガス拡散層を経て触媒層に供給された反応ガスによって、触媒層において以下の発電反応が進行する。
このとき、電池反応の反応速度が比較的高い作動条件下では、アノードからカソードに向けて高分子電解質を移動するプロトンに伴って移動する水の量、および式(2)のカソード反応により生成し、凝縮する生成水の量が増加する。
多量の水が生成されると、これらの水がカソード外部に速やかに排出されず、カソード内に滞留する、フラッディング現象と呼ばれる現象が生じる。フラッディング現象が生じると、反応ガスを触媒層内の反応サイトへ、安定かつ充分に供給することが困難となり、反応サイトの一部が機能しなくなる。その結果、燃料電池の電池出力が低下する。燃料電池の電池特性は、様々な要因により左右されるが、フラッディング現象は燃料電池の電池特性に大きな影響を与える。
フラッディング現象を抑制するためには、電極に撥水性を付与する手段が提案されている。しかしながら、燃料電池の出力が大きい場合や、ガス流量が少ない場合には、生成水の除去が困難である。この問題を解決すべく、撥水性のガス拡散層(電極層)中に、水透過性の高い浸透部を形成する発明が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1によると、ガス拡散層近傍から効率的に水分を除去するためには、浸透部は、ガス流路に対向する箇所に配置される。しかしながら、燃料電池の運転条件によっては、浸透部に水が溜まりやすく、その結果、ガス拡散を阻害する虞がある。
特開平10−326622号公報
そこで本発明が目的とするところは、電極内におけるフラッディング現象を効果的に抑制する手段を提供し、様々な運転条件に対する適応性に優れる燃料電池を実現することである。
本発明は、セパレータ、ガス拡散層、および触媒層がこの順序で積層されてなる電極を有する固体高分子型燃料電池であって、前記ガス拡散層または前記触媒層の積層面に、発電反応で生じた水を滞留させる滞留溝が形成されてなり、前記滞留溝の前記セパレータ側に存在する層は、前記滞留溝に対向する箇所に形成されてなる親水性部位と、前記滞留溝に対向しない箇所に形成されてなる疎水性部位とからなり、前記セパレータは多孔質である、固体高分子型燃料電池である。
本発明の固体高分子型燃料電池は、電極反応により生成した水を効果的に排出しうる。このため、本発明の固体高分子型燃料電池を用いれば、電極におけるフラッディング現象が効果的に抑制され、様々な運転条件において、優れた発電特性が得られる。
まず、一般的な固体高分子型燃料電池を用いた発電について簡単に説明する。ただし、固体高分子型燃料電池は、図示する構造に限定されず、他の構造を有していても良い。
一般的には、固体高分子型燃料電池は、プロトン伝導性の高分子電解質膜により隔てられた二つの多孔性電極からなる。図1は、固体高分子型燃料電池の一実施形態の構造を示す模式図である。燃料電池は、電極−電解質膜接合体(MEA:MembraneElectrode Assembly)102がアノード側セパレータ104aおよびカソード側セパレータ104cによって挟持された構造を有する。セパレータは、さらに集電体105によって挟持される。電極−電解質膜接合体102は、ガス拡散層106、アノード側触媒層108a、カソード側触媒層108c、高分子電解質膜110、および必要に応じて他の層からなる積層体である。アノード側セパレータ104aには、アノードガスが流れる流通溝112が形成される。また、カソード側セパレータ104cには、カソードガスが流れる流通溝114が形成される。他の層としては、カーボン層116などが積層されうる。なお、本願の符号において、数字の後についている「a」および「c」は、アノード側およびカソード側をそれぞれ示す。例えば、「108a」とは、アノード側に配置されている触媒層108を意味する。
アノードガス用の流通溝112には、水素ガスからなる燃料ガスが供給される。一方、カソードガス用の流通溝114には、酸素ガスからなる酸化剤が供給される。酸化剤として空気が用いられてもよい。水素ガスおよび酸素ガスは、多孔性ガス拡散層106を経て、触媒層108a,108cに拡散される。このように反応ガスを供給することにより、式(1)および式(2)に示す電気化学的反応が生じ、その進行に伴い電子が発生する。この電子を電極から外部回路に取り出すことにより、電気エネルギーが発生する。
燃料電池の電気化学的反応においては、アノード側触媒層の電極触媒上で、燃料の酸化によりプロトンが生成する(式(1))。生成したプロトンは、触媒層内に分散されたプロトン伝導性ポリマーを介して、高分子電解質膜に到達する。そして、プロトンは、さらに高分子電解質膜内を通過してカソード側に移行する。その後、同じくカソード側触媒層に分散されたプロトン伝導性ポリマーを介して、カソード側触媒層の電極触媒に達する。電極触媒においては、酸化剤として供給された酸素ガス及び外部回路を通ってきた電子と反応して水を生成する(式(2))。
長時間の運転や高電流密度での作動条件下においては、アノードからカソードに向けて高分子電解質膜を移動するプロトンに伴って移動する水の量とカソードの電極反応により生成し、凝縮する生成水の量とが増加する。これらの水が大量に生成すると、水がカソードから外部に速やかに排出されず、カソード側触媒層内に水が滞留するフラッディング現象が起こりやすい。
本発明は、この問題を解決する手段を提供する。即ち、本発明の第1は、セパレータ、ガス拡散層、および触媒層がこの順序で積層されてなる電極を有する固体高分子型燃料電池であって、前記ガス拡散層または前記触媒層の積層面に、発電反応で生じた水を滞留させる滞留溝が形成されてなり、前記滞留溝の前記セパレータ側に存在する層は、前記滞留溝に対向する箇所に形成されてなる親水性部位と、前記滞留溝に対向しない箇所に形成されてなる疎水性部位とからなり、前記セパレータは多孔質である、固体高分子型燃料電池である。
参考までに、固体高分子型燃料電池の一実施形態の断面模式図を、図2として示す。図2の高分子電解質型燃料電池においては、高分子電解質膜202、触媒層204、ガス拡散層206、セパレータ208が、積層している。そして、触媒層204とガス拡散層206との積層面における触媒層側に滞留溝210が形成されている。ガス拡散層206は、滞留溝210に対向する親水性部位212と、滞留溝210に対向しない疎水性部位214とからなる。また、多孔質のセパレータ208には、反応ガスを流通させるための流通溝216が形成されている。
本発明のように触媒層またはガス拡散層の少なくとも一つの層の積層面に、発電反応で生じた水を滞留させる滞留溝を設けることにより、触媒近傍での生成水が、滞留溝へ導かれる。その結果、触媒近傍での水の滞留が抑制され、電極内でのガス拡散性が向上し、三相界面が増大しうる。また、触媒層内において、水過剰箇所から水不足箇所への水の移動が促進され、フラッディング現象が抑制される。なお、本願において、「滞留溝」と言う場合には、原則として、「発電反応で生じた水を滞留させる滞留溝」を意味する。また、「積層面」とは、積層されている触媒層やガス拡散層において、隣接して積層されている層との界面を意味する。例えば、触媒層、ガス拡散層、セパレータが積層している場合には、触媒層とガス拡散層との界面に滞留溝が存在していてもよいし、ガス拡散層とセパレータとの界面に滞留溝が存在していてもよい。滞留溝は2層から形成される積層面の、いずれの層側に形成されていてもよい。例えば、図2に示す実施形態のように、ガス拡散層206と触媒層204との積層面における触媒層側に滞留溝210が形成されていてもよい。ガス拡散層と触媒層との積層面におけるガス拡散層側に滞留溝が形成されていてもよい(図示せず)。
滞留溝が形成される積層面は、特に限定されないが、好ましくは、ガス拡散層と触媒層との界面である。ガス拡散層と触媒層の界面に滞留溝が形成される場合には、ガス拡散層は、滞留溝に対向する箇所に形成されてなる親水性部位と、滞留溝に対向しない箇所に形成されてなる疎水性部位とからなる。触媒層とガス拡散層との界面に滞留溝を形成することによって、触媒層における発電反応によって生じた水を、効率的に排出させうる。
また、滞留溝とセパレータとの間に存在する層において、滞留溝に対向する箇所が、滞留溝に対向しない箇所に比べて、親水性である。このため、滞留溝に滞留する水は、滞留溝に対向する親水性部位を経て、セパレータに排出されやすい。一方、滞留溝に対向しない疎水性部位を経て、外部の空気は、安定して触媒層へと供給されうる。このため、電池反応の反応速度が比較的高い作動条件下であっても、フラッディング現象が生じにくい。
なお、「滞留溝に対向する」とは、触媒層やガス拡散層の積層方向に位置することを意味する。例えば、「触媒層とガス拡散層との界面に設けられた滞留溝に対向するように、ガス拡散層に形成された親水性部位」とは、ガス拡散層において、滞留溝と接する部位からセパレータ方向に形成された親水性部位を意味する。親水性部位は、滞留溝が形成されている部位からセパレータまでに存在する層まで、連続して存在することが好ましいが、滞留溝からセパレータへの水の排出が可能であれば、不連続であってもよい。少なくとも滞留溝からセパレータまでの間に存在する層に、滞留溝に滞留する水をセパレータ側に排出できるように、滞留溝に対向する親水性部位が存在していればよい。
滞留溝とセパレータとの間に存在する層は、前記滞留溝に対向する箇所に形成されてなる親水性部位と、前記滞留溝に対向しない箇所に形成されてなる疎水性部位とからなる。ただし、滞留溝とセパレータとの間に存在する層が、親水処理および撥水処理の双方を施されていることは必要としない。層の所定の箇所に、親水処理または撥水処理を施した実施形態も、親水性部位および疎水性部位からなる層に該当する。つまり、相対的に親水性な箇所と相対的に疎水性な箇所とが共存していればよい。親水性か疎水性かは、水との接触角を調べるなどの手段によって、判断されうる。
さらに、本発明の固体電解質型燃料電池は、電極−電解質膜接合体を挟持するセパレータが多孔質である。このため、滞留溝から親水性部位を経てセパレータ側に移動した水が、多孔質のセパレータ内部を通じて、効率よく外部に排出される。
次に、本発明の固体電解質型燃料電池の構成部位について、順に説明する。
高分子電解質膜は、プロトン伝導性ポリマーからなる。プロトン伝導性ポリマーは、イオン伝導性のポリマーであれば、特に限定されない。例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、スルホン酸型ポリエーテルスルホン系ポリマー、スルホン酸型ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、スルホン酸型ポリアリレンエーテルスルホン系ポリマー、スルホン酸型ポリイミダゾール系ポリマー、スルホン酸型ポリイミド系ポリマーなどからなる膜が挙げられる。プロトン伝導性ポリマーに含まれるイオン交換基は、特に限定されず、上記スルホン酸以外のカルボン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸等のいずれであってもよい。また、二種類以上のイオン交換基が含まれていてもよい。
高分子電解質膜の厚さや大きさについては、特に限定されない。製造する固体高分子型燃料電池の大きさや出力に応じて、適宜決定すればよい。
触媒層には、白金や白金合金を担持させたカーボン粉末や白金黒などの電極触媒が含まれる。また、好ましくは、触媒層中には、プロトン伝導性ポリマーが含まれる。より好ましくは、触媒層は、プロトン伝導性ポリマーを含み、電極触媒がプロトン伝導性ポリマーによって被覆される。プロトン伝導性を有するポリマーとしては、前記高分子電解質膜に用いられるポリマーのように、内部をプロトンが伝達する特性を有するポリマーが用いられる。プロトン伝導性を有するポリマーは、高分子電解質膜に用いられるポリマーと同種であっても、異種であってもよい。触媒層内では、触媒層を構成するカーボン粉末の二次粒子間に形成される微小な細孔からなる空隙部が、反応ガスの拡散流路として機能する。場合によっては、撥水性ポリマーなどの他の材料が触媒層中に混在していてもよい。
プロトン伝導性ポリマーは、イオン伝導性のポリマーであれば、特に限定されない。プロトン伝導性ポリマーの具体例としては、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー、スルホン酸型ポリエーテルスルホン系ポリマー、スルホン酸型ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、スルホン酸型ポリアリレンエーテルスルホン系ポリマー、スルホン酸型ポリイミダゾール系ポリマー、スルホン酸型ポリイミド系ポリマー等が挙げられる。プロトン伝導性ポリマーに含まれるイオン交換基は、特に限定されず、上記スルホン酸以外のカルボン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸等のいずれであってもよい。また、二種類以上のイオン交換基が含まれていてもよい。
好ましくは、触媒層は、触媒層に隣接する固体電解質膜の触媒層側の表面全体を被覆する。固体電解質膜の触媒層側の表面全体を触媒層で被覆することにより、電解質膜全体を電極反応に利用できる。このため、触媒と接していない箇所が存在する時と比較すると反応界面が多くなる。
ガス拡散層は、高いガス拡散性を有する材料からなる。例えば、ポーラスカーボンやカーボンクロスなどがガス拡散層として用いられる。ガス拡散層は、セパレータに供給された反応ガスを拡散して、触媒層に供給する役割を担う。ガス拡散層やその他の層は、2層以上の多層構造を有していてもよい。例えば、ガス拡散層206と触媒層204との間には、燃料電池をアッセンブリーする際の圧縮による破損や部材間の電気抵抗を抑制するために、カーボン層が配置されてもよい(図示せず)。本願においては、かようなカーボン層は、ガス拡散層の概念中に含まれる。従って、カーボン層の積層面に滞留溝が形成されている実施形態は、ガス拡散層の積層面に流通溝が形成される実施形態に包含される。
好ましくは、ガス拡散層の少なくとも親水性部位の空孔が、セパレータの空孔よりも大きい。ただし、親水性部位の空孔と疎水性部位の空孔とが同一であってもよい。少なくとも、親水性部位の空孔が、セパレータの空孔よりも大きければよい。製造コストを考慮すると、ガス拡散層の空孔を親水性部位と疎水性部位とで変化させるよりも、好ましくは、ガス拡散層が同一材料から形成される。水の移動は、空孔の大きな箇所から空孔の小さな箇所へと移動する傾向にある。セパレータの空孔をガス拡散層の空孔より小さくすることで、毛細管現象により、反応生成水のセパレータへの移動が促進され、電極内から水が効果的に排除されうる。
本発明においては、セパレータは多孔質である。例えば、塊状の人造黒鉛、燐片の天然黒鉛、熱硬化性樹脂などの材料からなるセパレータが用いられる。黒鉛としては、人造黒鉛、天然黒鉛のいずれも用いられうる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ、ジアリルフタレートなどが用いられうる。製造方法としては、例えば、スポンジに樹脂を加えたスラリーを染み込ませ、焼成して全てを黒鉛化する製法などが挙げられる。セパレータ中に存在する気孔の平均気孔径は、特に限定されないが、好ましくは1〜2μmである。セパレータの大きさや厚さは、固体電解質型燃料電池のサイズや出力に応じて、適宜決定すればよい。
セパレータには、通常、反応ガスが流通する流通溝が形成される。流通溝の設置部位は、特に限定されないが、効果的に反応ガスを触媒層に供給させるためには、流通溝は、ガス拡散層とセパレータとの界面に設置される。一般的には、セパレータは、図2に示すように、セパレータ208とガス拡散層206とが接する部位に、反応ガスが流通する流通溝216が形成されている。
好ましくは、流通溝は、滞留溝に対向しない箇所に形成される。滞留溝に滞留する水は、前述の通り、滞留溝に対向する親水性部位を通じてセパレータ側に排出される。このとき、図2に示すように、セパレータ208に形成されている流通溝216が、滞留溝210に対向しない部位に形成されていると、滞留溝210に滞留する水は、セパレータ208の流通溝216が設けられていない部位に排出されやすい。以下の説明においては、便宜上、セパレータにおける流通溝が設けられていない積層面を「リブ」と呼ぶ。そして、セパレータの流通溝が設けられていない部位であるリブ218に排出された水は、多孔質であるセパレータ208を経て、外部に排出される。したがって、反応ガスが、流通溝216およびガス拡散層206を経て、触媒層204に到達することが、滞留溝210から排出された水によって妨害されない。
触媒層に滞留溝が形成される実施形態、換言すれば、図2に示すように、触媒層204の一部が滞留溝210を形成するために除去された形状を呈する実施形態においては、セパレータ208に形成されている流通溝216が、好ましくは滞留溝210に対向しない部位に形成される。反応ガスは流通溝216からガス拡散層206に供給されるため、流通溝216から高分子電解質膜202方向に反応ガスは供給されやすい。したがって、流通溝216から高分子電解質膜202へと伸びる方向に、より多くの触媒を配置することによって、電極反応が効率よく促進しうる。逆にいえば、反応ガスがより多く供給される部位に滞留溝を形成すると、反応性が低下する虞がある。
図2は、滞留溝210がガス拡散層206と触媒層204との界面に形成されてなり、セパレータ208がガス拡散層206との界面に流通溝216を有し、流通溝216は滞留溝210に対向しない箇所に形成されている実施態様である。そして、ガス拡散層206は、滞留溝210に対向する箇所に形成されてなる親水性部位212と、滞留溝210に対向しない箇所に形成されてなる疎水性部位214とからなる。このような実施態様においては、好ましくは、ガス拡散層206は、流通溝216に対向する箇所が撥水処理される。カソード反応によって生じる生成水は、触媒層204に形成された滞留溝210に滞留しやすい。ガス拡散層206の流通溝216に対向する箇所を撥水処理することによって、ガス拡散層206において、流通溝216に対向せず、滞留溝210に対向する箇所が、相対的に親水化される。このため、滞留溝210からセパレータ外部へと、生成水が効果的に排出される。
逆に、ガス拡散層は、流通溝に対向しない箇所が親水処理されてもよい。ガス拡散層の流通溝に対向しない箇所を親水処理することによって、ガス拡散層の流通溝に対向せず、滞留溝に対向する箇所が、相対的に親水化される。このため、滞留溝からセパレータ外部へと、生成水が効果的に排出される。
また、ガス拡散層は、撥水処理および親水処理の双方が施されてもよい。撥水処理または親水処理のみを行なう場合、燃料電池の製造コストを削減できる。一方、撥水処理および親水処理を行なう場合、滞留溝からセパレータ外部への水の排出が、より効果的となる。
親水処理や撥水処理は、酸化スズ溶液などの親水剤、ポリテトラフルオロエチレン溶液のような撥水剤を用いて行われうる。所定の領域を選択的に処理するには、GDL上にパターンを配置し、下部から吸引を行う。そして、パターンに親水剤または撥水剤を流しこみ、目的の重量になるまで、親水剤または撥水剤の供給および下部からの吸引を、繰り返し行う。下部からの吸引を行うことにより、GDL面内に親水剤または撥水剤が分散してしまうことを防止できる。
触媒層は、触媒層の構成成分を含む溶液を調製し、これを塗布することによって形成されうる。触媒層の構成成分やその配合量については、本発明においては特に限定されない。塗膜の形成方法としては、ダイコーター法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スプレー法、カーテンコーター法等が挙げられる。また、触媒層は、テトラフルオロエチレン、ポリイミド等のシート状の基板面に、前述の方法を用いて触媒層の構成成分を含む溶液を塗布し、乾燥後、基板から剥離する方法を用いてもよい。他の層を、このような方法で形成してもよい。
本発明の特徴である滞留溝は、ガス拡散層または触媒層の積層面に形成される。滞留溝の形状は、水が滞留し、セパレータ方向に生成水が排出されうるのであれば、特に限定されない。好ましくはガス拡散層と接する箇所では、リブ幅の50〜90%程度の幅であり、滞留溝の深さは触媒層の厚みの40〜80%程度である。
好ましくは、滞留溝は、セパレータに近いほど溝幅が広い。セパレータ側に近づくほど溝幅を広くすることで、ガス供給箇所付近の空孔を確保することができ、電極内でのガス拡散性向上が期待できる。
触媒層は、高分子電解質膜に近づくほど、幅が広がっていてもよい。触媒層の形状が高分子電解質膜に近いほど拡がる形状であると、プロトン伝導経路が十分に確保される。
また、好ましくは、滞留溝の溝幅の最大幅が、セパレータのリブ幅よりも狭い。「リブ」とは、前述の通り、セパレータとガス拡散層との界面において、流通溝が形成されていない部位を指す。滞留溝の溝幅を、セパレータのリブ幅よりも狭くすることによって、セパレータの流通溝から供給される反応ガスが、効率よく触媒層に到達する。その結果、より多くの三相界面が形成され、発電性能が向上する。
溝は、所望する大きさの溝が形成されるのであれば、特に限定されない。実施例に記載したように、所定の凹凸が形成されたポリテトラフルオロエチレン上に触媒インクを塗布し、乾燥させることによって、凹凸を有する触媒層を形成してもよい。場合によっては、平板上の触媒層を形成した後、表面を削り取り、溝としてもよい。
滞留溝などの本発明の特徴を有する電極を用いることによって、固体高分子型燃料電池の発電特性を向上させうる。前記電極はアノードであっても、カソードであってもよい。いずれの電極に適用された場合であっても、フラッディング現象の抑制に効果がある。アノードおよびカソードの双方が前記特徴を有していてもよい。好ましくは、少なくともカソード側に、本発明の特徴を有する電極が適用される。カソード側に前記電極を適用することによって、カソード反応によって生成した水が、効率よく電池外に排出される。
なお、本発明において、集電体、セパレータ、触媒、高分子電解質膜など、従来の固体高分子型燃料電池にも用いられている構成材料は、特に限定されない。得られている知見に基づいて材料や組み立て方法を選択すればよい。得られている知見に基づいて、固体高分子型燃料電池を適宜改変してもよい。
固体高分子型燃料電池は、アノード側セパレータ、アノード側触媒層、高分子電解質膜、カソード側触媒層、およびカソード側セパレータを積層させることによって作製される。この他の層が積層される場合には、積層させることを所望する箇所に、層が適宜形成される。
通常は、触媒層と高分子電解質膜とが対向するように高分子電解質膜を配置して、ホットプレスにより接合することによって、電極−電解質膜接合体が作製される。触媒層および高分子電解質膜以外の膜を配置する場合には、配置した後、ホットプレスにより接合すればよい。電極−電解質膜接合体をセパレータで挟持することによって、固体高分子型燃料電池の単セルが完成する。固体高分子型燃料電池の作製方法は、広く知られており、ここでは詳細には説明しない。必要に応じて、各種文献を参照してもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の内容を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
以下の手順に従って、図2に示す構造を有する固体高分子型燃料電池の単セルを作製した。
以下の手順に従って、図2に示す構造を有する固体高分子型燃料電池の単セルを作製した。
1.カソード触媒インクの調製
50質量%白金担持カーボン粉末1質量に対し、純水を3質量、イオン伝導性高分子電解質溶液(5質量%ナフィオン溶液;デュポン社登録商標)を8質量、イソプロピルアルコールを2質量、撥水剤を0.1質量混合し、カソード触媒インクを調製した。撥水剤としては、ポリテトラフルオロエチレンを用いた。
50質量%白金担持カーボン粉末1質量に対し、純水を3質量、イオン伝導性高分子電解質溶液(5質量%ナフィオン溶液;デュポン社登録商標)を8質量、イソプロピルアルコールを2質量、撥水剤を0.1質量混合し、カソード触媒インクを調製した。撥水剤としては、ポリテトラフルオロエチレンを用いた。
2.アノード触媒インクの調製
撥水剤を混入させない以外は、「1.カソード触媒インクの調製」と同様にして、アノード触媒インクを調製した。
撥水剤を混入させない以外は、「1.カソード触媒インクの調製」と同様にして、アノード触媒インクを調製した。
3.滞留溝付き触媒層の作製
触媒層の滞留溝に相当する箇所が、押し出されて突起となっているポリテトラフルオロエチレンシートを準備した。換言すれば、このポリテトラフルオロエチレンシートが、触媒層に相当する箇所が、谷折りされた状態になっている。このシート上に、調製した触媒インクを、ダイコート法により塗布した。また、前記ポリテトラフルオロエチレンシートと同形状の突起を有する厚さ0.15mmのステンレスプレートを作製し、前記ステンレスプレート上に前記ポリテトラフルオロエチレンシートを載せ、そのポリテトラフルオロエチレンシート上に触媒インクを塗布した。その後、触媒インクを乾燥させた。乾燥後の触媒層の厚みは、約15μmであった。触媒インクを使い分けた以外は、アノード側触媒層およびカソード側触媒層のいずれも、同様にして作製した。
触媒層の滞留溝に相当する箇所が、押し出されて突起となっているポリテトラフルオロエチレンシートを準備した。換言すれば、このポリテトラフルオロエチレンシートが、触媒層に相当する箇所が、谷折りされた状態になっている。このシート上に、調製した触媒インクを、ダイコート法により塗布した。また、前記ポリテトラフルオロエチレンシートと同形状の突起を有する厚さ0.15mmのステンレスプレートを作製し、前記ステンレスプレート上に前記ポリテトラフルオロエチレンシートを載せ、そのポリテトラフルオロエチレンシート上に触媒インクを塗布した。その後、触媒インクを乾燥させた。乾燥後の触媒層の厚みは、約15μmであった。触媒インクを使い分けた以外は、アノード側触媒層およびカソード側触媒層のいずれも、同様にして作製した。
4.滞留溝付き触媒層−電解質膜接合体の作製
触媒層が形成されたポリテトラフルオロエチレンシートを、イオン伝導性の高分子電解質膜(ナフィオン112;デュポン社登録商標)上に、電解質膜と触媒層が接するように配置した。これをホットプレスすることによって、滞留溝付き触媒層−電解質膜接合体を得た。ホットプレス条件は、2MPa、120℃、2分間とした。触媒層は電解質膜の両面に配置した。また、ポリテトラフルオロエチレンシートは、その後剥がされた。
触媒層が形成されたポリテトラフルオロエチレンシートを、イオン伝導性の高分子電解質膜(ナフィオン112;デュポン社登録商標)上に、電解質膜と触媒層が接するように配置した。これをホットプレスすることによって、滞留溝付き触媒層−電解質膜接合体を得た。ホットプレス条件は、2MPa、120℃、2分間とした。触媒層は電解質膜の両面に配置した。また、ポリテトラフルオロエチレンシートは、その後剥がされた。
5.固体高分子型燃料電池セルの組み立て
厚さが約200μm、抵抗が0.05Ω・cm、気孔率が約78%、平均気孔径が約30μmであるカーボンペーパからなる多孔質基体を準備した。この多孔質基体は、電極においてガス拡散層として作用する。
厚さが約200μm、抵抗が0.05Ω・cm、気孔率が約78%、平均気孔径が約30μmであるカーボンペーパからなる多孔質基体を準備した。この多孔質基体は、電極においてガス拡散層として作用する。
カーボンペーパにおいて、セパレータのガス流通溝と接する箇所にのみ、ポリテトラフルオロエチレンにより撥水性を付与した。具体的には、所定の領域を選択的に処理するには、GDL上にパターンを配置し、下部から吸引を行い、パターンに撥水剤を流しこみ、目的の重量になるまで、撥水剤の供給および下部からの吸引を、繰り返し行った。次に、2枚のカーボンペーパを、滞留溝付き触媒層−電解質膜接合体の両側に、アノード側触媒層およびカソード側触媒層と多孔質基体とが接触するように配置し、ホットプレスすることで電極−電解質膜接合体を形成した。なお、ホットプレスの条件は、120℃、3MPa、5分間とした。
最後に、ガス拡散層の両側にセパレータを配置し、固体高分子型燃料電池の単セルを作製した。セパレータは、平均気孔径が1〜2μmである多孔質体を用いた。固体高分子型燃料電池の構成を、表1に示す。電流密度とセル電圧との関係を調査したところ、図3に示す結果が得られた。
<実施例2>
ガス拡散層として作用する多孔質基体において、セパレータのガス流通溝と接する箇所にのみ、ポリテトラフルオロエチレンにより撥水性を付与し、リブに接する箇所には酸化スズで処理することにより親水性を付与した。撥水処理および親水処理は、実施例1と同様にして行った。ガス拡散層への撥水性および親水性付与以外の処理も、実施例1と同様にして、固体高分子型燃料電池の単セルを作製した。固体高分子型燃料電池の構成を、表1に示す。電流密度とセル電圧との関係を調査したところ、図3に示す結果が得られた。
ガス拡散層として作用する多孔質基体において、セパレータのガス流通溝と接する箇所にのみ、ポリテトラフルオロエチレンにより撥水性を付与し、リブに接する箇所には酸化スズで処理することにより親水性を付与した。撥水処理および親水処理は、実施例1と同様にして行った。ガス拡散層への撥水性および親水性付与以外の処理も、実施例1と同様にして、固体高分子型燃料電池の単セルを作製した。固体高分子型燃料電池の構成を、表1に示す。電流密度とセル電圧との関係を調査したところ、図3に示す結果が得られた。
<比較例1>
以下の手順に従って、滞留溝なし触媒層および非多孔質セパレータを有する固体高分子型燃料電池の単セルを作製した。
以下の手順に従って、滞留溝なし触媒層および非多孔質セパレータを有する固体高分子型燃料電池の単セルを作製した。
1.カソード触媒インクの調製
実施例1と同様にして、カソード触媒インクを調製した。
実施例1と同様にして、カソード触媒インクを調製した。
2.アノード触媒インクの調製
実施例1と同様にして、アノード触媒インクを調製した。
実施例1と同様にして、アノード触媒インクを調製した。
3.滞留溝なし触媒層の作製
平坦なポリテトラフルオロエチレンシート上に、調製した触媒インクを、ダイコート法により塗布した。その後、触媒インクを乾燥させた。乾燥後の触媒層の厚みは、約15μmであった。触媒インクを使い分けた以外は、アノード側触媒層およびカソード側触媒層のいずれも、同様にして作製した。
平坦なポリテトラフルオロエチレンシート上に、調製した触媒インクを、ダイコート法により塗布した。その後、触媒インクを乾燥させた。乾燥後の触媒層の厚みは、約15μmであった。触媒インクを使い分けた以外は、アノード側触媒層およびカソード側触媒層のいずれも、同様にして作製した。
4.滞留溝なし触媒層−電解質膜接合体の作製
触媒層が形成されたポリテトラフルオロエチレンシートを、イオン伝導性の高分子電解質膜(ナフィオン112;デュポン社登録商標)上に、電解質膜と触媒層が接するように配置した。これをホットプレスすることによって、滞留溝なし触媒層−電解質膜接合体を得た。ホットプレス条件は、2MPa、120℃、2分間とした。触媒層は電解質膜の両面に配置した。また、ポリテトラフルオロエチレンシートは、その後剥がされた。
触媒層が形成されたポリテトラフルオロエチレンシートを、イオン伝導性の高分子電解質膜(ナフィオン112;デュポン社登録商標)上に、電解質膜と触媒層が接するように配置した。これをホットプレスすることによって、滞留溝なし触媒層−電解質膜接合体を得た。ホットプレス条件は、2MPa、120℃、2分間とした。触媒層は電解質膜の両面に配置した。また、ポリテトラフルオロエチレンシートは、その後剥がされた。
5.固体高分子型燃料電池セルの組み立て
厚さが約200μm、抵抗が0.05Ω・cm、気孔率が約78%、平均気孔径が約30μmであるカーボンペーパからなる多孔質基体を準備した。この多孔質基体は、電極においてガス拡散層として作用する。
厚さが約200μm、抵抗が0.05Ω・cm、気孔率が約78%、平均気孔径が約30μmであるカーボンペーパからなる多孔質基体を準備した。この多孔質基体は、電極においてガス拡散層として作用する。
このカーボンペーパを、ポリテトラフルオロエチレンディスパージョンに浸漬し、乾燥、焼結することで、カーボンペーパに撥水性を付与した。次に、2枚のカーボンペーパを、滞留溝なし触媒層−電解質膜接合体の両側に、アノード側触媒層およびカソード側触媒層と多孔質基体とが接触するように配置し、ホットプレスすることで電極−電解質膜接合体を形成した。なお、ホットプレスの条件は、120℃、3MPa、5分間とした。
最後に、ガス拡散層の両側に、非多孔性のセパレータを配置し、固体高分子型燃料電池の単セルを作製した。固体高分子型燃料電池の構成を、表1に示す。電流密度とセル電圧との関係を調査したところ、図3に示す結果が得られた。
<比較例2>
ガス拡散層として、比較例1で用いられた、全体に撥水処理が施されたカーボンペーパを用いた。また、非多孔性のセパレータを用いた。その他は、実施例1と同様にして、固体高分子型燃料電池の単セルを作製した。固体高分子型燃料電池の構成を、表1に示す。電流密度とセル電圧との関係を調査したところ、図3に示す結果が得られた。
ガス拡散層として、比較例1で用いられた、全体に撥水処理が施されたカーボンペーパを用いた。また、非多孔性のセパレータを用いた。その他は、実施例1と同様にして、固体高分子型燃料電池の単セルを作製した。固体高分子型燃料電池の構成を、表1に示す。電流密度とセル電圧との関係を調査したところ、図3に示す結果が得られた。
図3に示すように、生成水が滞留する溝を設け、溝が形成された層とセパレータとの間に存在する層の親水性および/または撥水性を制御し、セパレータを多孔質材料から構成することによって、フラッディング現象が効果的に抑制され、様々な運転条件において、優れた電池特性が発現する。
102…電極−電解質膜接合体、104…セパレータ、105…集電板、106…ガス拡散層、108…触媒層、110…高分子電解質膜、112…アノードガス流通溝、114…カソードガス流通溝、116…カーボン層、118…親水層。
202…高分子電解質膜、204…触媒層、206…ガス拡散層、208…セパレータ、210…滞留溝、212…親水性部位、214…疎水性部位、216…流通溝、218…リブ。
Claims (10)
- セパレータ、ガス拡散層、および触媒層がこの順序で積層されてなる電極を有する固体高分子型燃料電池であって、
前記ガス拡散層または前記触媒層の積層面に、発電反応で生じた水を滞留させる滞留溝が形成されてなり、
前記滞留溝の前記セパレータ側に存在する層は、前記滞留溝に対向する箇所に形成されてなる親水性部位と、前記滞留溝に対向しない箇所に形成されてなる疎水性部位とからなり、
前記セパレータは、多孔質である、固体高分子型燃料電池。 - 前記滞留溝は、前記ガス拡散層と前記触媒層との界面に形成されてなり、前記ガス拡散層は、前記滞留溝に対向する箇所に形成されてなる親水性部位と、前記滞留溝に対向しない箇所に形成されてなる疎水性部位とからなる、請求項1に記載の固体高分子型燃料電池。
- 前記セパレータは、前記ガス拡散層との界面に反応ガスが流通する流通溝を有し、前記流通溝は、前記滞留溝に対向しない箇所に形成されている、請求項2に記載の固体高分子型燃料電池。
- 前記ガス拡散層は、前記流通溝に対向する箇所が撥水処理されてなる、請求項3に記載の固体高分子型燃料電池。
- 前記ガス拡散層は、前記流通溝に対向しない箇所が親水処理されてなる、請求項3または4に記載の固体高分子型燃料電池。
- 前記ガス拡散層の親水性部位の空孔が、前記セパレータの空孔よりも大きいことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池。
- 前記滞留溝は、前記セパレータに近いほど溝幅が広いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池。
- 前記滞留溝の溝幅の最大幅が、前記セパレータのリブ幅よりも狭いことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池。
- 前記触媒層に隣接する固体電解質膜は、前記触媒層によって、触媒層側の表面全体が被覆されてなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池。
- 前記電極はカソードである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池。
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